橘ありす「久川フレデリカ?」 (27)


~事務所までの道~


橘ありす「……」トコトコ

ありす「……」トコトコ

ありす「……あっ」ピタッ

黒猫「ニャーン」タッタッタッタッ

ありす「む……縁起が……いえ、非科学的で……」ブチッ

ありす「く、靴紐……」

ありす「……」

ありす「まあ、こういう日もあるでしょう……適当な靴紐を注文しておきま……」ブチッ

ありす「両方……!?」



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~事務所・部屋の前~


ありす「……まさかあの後、合計5匹の黒猫が前を素通りするとは……」

ありす「途中、朋さんから『運勢が最悪だから気をつけてね!!!』と電話が来たことも気になります……」

ありす「……いいえ、そんなものは非科学的で非論理的な迷信に過ぎません」

ありす「今日も、きっと変わらぬ一日になることでしょう」

ガチャ

ありす「おはようございま」


「「あっぷっぷ!!!」」


ありす「!?」


宮本フレデリカ「……(真顔)」

久川凪「……(真顔)」

フレデリカ「……」

凪「……」

フレデリカ「……フレちゃんの負けだね」フッ

凪「いいえ、ふれれれれさんも、強敵でした。ここがフランスなら勝負はわからなかったでしょう。悪手です。間違えました、握手です」

フレデリカ「でも次は負けないよ! フランス代表の名に懸けてね!」

凪「それならば凪も、久川家代表として負けられませんね。ゆーこちゃん、見ていますか? 久川家はとうとう、フランス国家と並び立つ存在になったのです。見てないか。ここは東京。徳島からは千里眼」

フレデリカ「次の試合はいつだっけ?」

凪「おおよそ……2秒後?」

フレ凪「「あっぷっぷ!!!(真顔)」」

凪「手ごたえあり」

フレデリカ「甘いっ!!!」

凪「なっ……いえ、自分の名前を呼ぼうとして詰まっただけです。決して動揺などは」

フレデリカ「ところでこれってどうやったら勝ちなの?」

凪「勝ちに価値がないならそれは勝ちではないと、徳島県にはこのような格言が残っていません」

フレデリカ「じゃあ今回はフレちゃんの勝ちー!!!」

凪「凪は後輩ですからね。屈するしかあるまい。久川の『久』も『く』と読めなくもなく、くっすることもまた同意なり」

ありす「……失礼しまし」

フレデリカ「まっしょうめんからどーん!!!」ガシィ

ありす「は、離してください!!! この空間は本当にイヤです!!!」ジタバタ


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フレデリカ「じゃ、ありすちゃんも落ち着いたところで!」

ありす「……すみません、少し取り乱しました」

凪「いいえ、こちらも気付くのが遅れたことは反省事項です。でもこれくらいの罪ならきっとすぐ時効です」

フレデリカ「こちら、新しいアイドルのネギちゃん!」

凪「こんにちは、ネギです。主な出勤先は寮の台所。昨日は畑で今日は食卓。ああノスタルジー」

フレデリカ「ってなんでやねーん!」

凪「気づきましたか? ここまではブラフで伏線でミスリード。しかして凪はネギではなく、凪なのです」

ありす「め、めまいが……」


フレデリカ「ネギちゃんね、すっごくおもしろいんだよ!」

ありす「この数分でそれは痛いほどわかります……」

凪「褒められるのはむずがゆいですね。ムヒの用意はありますか?」

ありす「いちいち突っ込まなきゃいけないのかが問題なんですが……」

凪「のーせんきゅーです。はーちゃんもゆーこちゃんもスルーするーのがどんどん上手くなって凪は萎れたネギになってしまいました。お気持ちだけ」

フレデリカ「わかるよ……! フレちゃんもそろそろみんなに慣れられちゃった! どうしよっか? まあいっか!」

凪「それでも芸能界を生き抜いてきたふれでででさんの目は輝いていた……!」

フレデリカ「1文字ずつ覚えていくカンジなんだね!」

ありす「そもそもネギじゃなくて人じゃないですか!」

フレデリカ「つ、ツッコミが遅い!!!」


ありす「く……、すみません、私には捌けそうもなく……」

フレデリカ「だいじょーぶ! フレちゃんはネギちゃんと互角の勝負! ありすちゃんはそこで見てて!」

凪「おやおや、ありすちゃんさんを守りながらこの凪を倒そうと? 不甲斐なくばふれれれれさんに格下げですが」

ありす「た、たちばなです」

凪「おや……すみません、橘ちゃんさん。これは配慮不足。これもまた反省事項」

フレデリカ(そういえばフレちゃんは言われたことない! ト・ク・ベ・ツ!?)キャー

ありす「フレデリカさんは諦めてるだけですからね」

フレデリカ「口に出してないのに!?」

凪「これはまさか、コズミック☆テレパシーというやつですか。奥が深すぎて凪の所在地はブラジルなう」

ありす「テレパシーではないですしコズミックって何ですか」

凪「『ありフレは宇宙』これは徳島県に伝わっていない格言ではありません」

フレデリカ「あれ? 伝わってないカクゲンじゃないってことは、反対に言えば伝わってるカクゲン? あれれ? それとも徳島にだけ伝わってないカクゲン? 徳島に他の伝わってないカクゲンがあって? ないのにアル?」グルグル

凪「しめた。ふふふふふさんはスタン状態。まずはもみあげの部位破壊です。タチバナさんの武器は切断ですか。それとも打撃? まさか『この可愛さが武器です』など、いえ、実際に可愛いから何も言えません。アイドル、恐るべし」

ありす「ち、ちょっとペースダウンしてくれませんか!?」


ありす「ええと、凪さん……ということは、新人アイドルの久川凪さん……ですか?」

凪「あなたがそう言うならそうなのでしょう。しかし、凪は何をもって凪と証明できるのか。アイデンティティの確立は簡単ではないぞ」

ありす「ひ、一言が長い……」

凪「りょ」

ありす「そこまで簡略化したやりとりを望んでいるわけでは……」

凪「ぺ」

ありす「何を略した結果の『ぺ』の出力ですか!?」


凪「これまでのあらすじ:今日の凪は早起き」

ありす「なるほど……いつもより早く起きてしまい、やることがないから早めに事務所に向かったところフレデリカさんがいたため少し交流をしていたと……」

フレデリカ「すごーい!」

凪「これからのあらすじ:タチバナさんとも仲良くなった」

ありす「まぁ……アイドルの仲間である以上、別に敵対するつもりはありませんが……」

凪「デレましたね。凪の勝ち。どうして負けたのか、明日までに考えましょう」

ありす「で、デレてません! フレデリカさんも何か言ってあげてください!」

フレデリカ「ありすちゃんがデレるのはフレちゃんにだけだよ!」

ありす「やっぱり黙っててください!!!」

フレデリカ「ひどい!!!」ガーン

凪「流れるようなありフレ……やはり宇宙……これは高知県にも伝わっていない格言です」

ありす「逆にどこに伝わっているんですか?」


ありす「……あれ、フレデリカさんはもう凪さんとはお知り合いなんですか?」

フレデリカ「ふふふ……ネギちゃんとフレちゃんは……」

凪「既に心を通わせた存在……」

フレデリカ「言うならば!」

凪「そう」

フレデリカ「ズッ友!」ビシッ
凪「旅は道連れ世は情け」ビシッ

ありす「認識バッラバラですけど」


フレデリカ「そっちかー!」
凪「そっちかー」

ありす「いや、あと100回やっても意見が合致する気配はなかったです」

フレデリカ「この前、暇そうにしてたネギちゃんとチャーハンちゃんをフレちゃんの撮影現場に連れて行ってあげたのです! フレちゃんってばヤサシイ先輩!」

ありす「あ、そうだったんですね(チャーハン?)」

凪「はい。そしてその日から凪はふれでりりさんのトリコとなったのです。あらすじでした。あらすじだけで放送の半分を使うアニメ、何がしたいんだ?」

ありす「知りませんが……」


フレデリカ「でもでも、あれからあんまり会えてなかったもんねー? 元気そうでフレちゃんひとあんしん!」

凪「気を遣わせているようですね。いや、これが先輩アイドルの余裕なのか? 凪もちょうど、フレちゃんさんに会いたかったところです。波長が合うからな」

フレデリカ「シキちゃん以外に初めて言われた~! ごめんシキちゃんにも言われたことなかった~!」ギューッ

ありす「!」

凪「まっしょうめんからギュー……これがアイドルのスキンシップ……急いでデータを更新しなけれれれれれれれれ」ガタガタ

フレデリカ「ネギちゃんがバグった!」ギューッ

凪「ニンゲンの暖かみに触れたのはいつ以来でしょうか。いや、昨日はーちゃんとハグしたな」ギューッ

フレデリカ「フレちゃんアロマで塗り替えちゃうぞー!」ギューッ

凪「このままではナギデリカになってしましま……」ギューッ

ありす「い、いつまで抱き合ってるんですか!!!!!」バッ


フレデリカ「あれあれ~? ありすちゃん、ジェラシーかな? かな?」

ありす「み、見ていて暑苦しいからというだけです!!!」

凪「宇宙」

ありす「うるさいな!」


凪「時にテャティヴァーナさん」

ありす「橘です。急に発音キモくなりましたね」

凪「先ほどから折に触れては出て来る「はーちゃん」「チャーハン」という単語、気になっているのでは?」

ありす「……確かに、気になってはいます。同じく新人アイドルの方ですか?」

フレデリカ「イエス!」

ありす「ええと……名簿で当てはまりそうなのは……あ、はやて……この”久川颯”という方でしょうか? ……久川?」

凪「気が付いてしまいましたね。この世界の真実に」

ありす「そんな大規模なものは掘り当てていませんが」

フレデリカ「凪ちゃんと颯ちゃんは、なんと双子の姉妹なんだよ!」

ありす「こ、この人の双子……!?」

凪「ぴーす。たばこではない」ピース

ありす「す、すみませんが急用が!!!」

フレデリカ「真側面からどーん!!!」ドーン

ありす「悪質なタックル!!!」グハァ


凪「タチバナさんは何をそこまで恐れているのでしょうか?」

ありす「これ以上の惨劇ですよ!!!」

フレデリカ「だいじょうぶ! はやてちゃんはいい子だから!」

凪「その言い方だと凪は悪い子のようですね。それが逆に凪の妹の姉の逆鱗に触れた」

ありす「し、信用なりません!!! 私は帰りま」

ガチャ!!!

久川颯「あ!! なーいた!!! もう! 先に出るなら言ってよー!!」

ありす「間に合わなかった……」ガクッ


颯「って、あ、フレデリカちゃん! おはようございまーす!」ペコリ

フレデリカ「うむ! くるしゅーない!」

颯「あー!!!」

ありす「な、なんですか」ビクッ

颯「た、橘ありすちゃんだ!!! うわー、かわいい! お人形さんみたい! あのあの! ヴァルキュリアのとか、かっこよくて! この前の無人島のも、ありすちゃんこういうこともできるんだって! すごかったです!」

ありす「あ、ありがとうございます……」

颯「うわー、本物のありすちゃんだ……あっ名乗ってなかった……えっと、新人アイドル、久川颯です! なーがお世話になった……のかな? よろしくお願いします!」ペコリ

ありす「こちらこそ……あと、橘です」

颯「あっ、ご、ごごごめんなさい! もー、こういうの、はーの悪いクセだなー!」ペコペコ

凪「問題ありません。誰しもが通る道です。凪も先ほど、初めてを」

颯「えー? なー、迷惑かけてない!? 大丈夫ですか!?」

ありす「……………………大丈夫です」

颯「表情がぜんぜん大丈夫そうじゃない!!!」ガーン


颯「ダメじゃん! 迷惑かけちゃ!」

凪「いいえ、凪はここでフレデリカ語の通信教育を受けていたに過ぎません」

颯「なにそれ!? フレデリカちゃん、独自言語なの!?」

凪「既に準一級を手にしました」

颯「上級者じゃん! 早っ!!!」

フレデリカ「おやおや? はーちゃんも受ける?」

颯「お、お願いします!」

凪「まずは二十五級からスタートです」

颯「階層多っ!? なー、どうやって準一級取ったの!?」

フレデリカ「フレちゃん語は奥が深いからね……」

凪「まあそんな言語ありませんけどね」

颯「ないんかい!!!」

凪「はい、みろわー」

颯「いやダメだよ! オチが付いたとこで名前言うのはアイドルユニットのムーブとして間違ってるよ!!!」

フレデリカ「みろわーる♡」

颯「フレデリカちゃんが言っちゃうの!?」

ありす「……」


凪「まったく……この程度も看破できないとは、久川家の名が泣いています。ゆーこちゃんもそろそろ寂しくて泣いて……いないでしょうね」

颯「もう! なーはすぐテキトーなこと言うんだからー!」

フレデリカ「フレちゃんの方がテキトーですけどー!!!」ズイッ

颯「いやそこ張り合うの!?」

凪「む。受けて立ちましょう。こちとら徳島の覇者ですが何か?」

颯「制覇してないしてない」ブンブン

フレデリカ「じゃあどっちがテキトーなこと言えるか勝負だ!」

凪「受けて立ちましょう。こちとら四国の覇者ですが何か?」

颯「今の一瞬で他の3県も制圧したの!? 信長の野望でももうちょいかかるよ!?」


フレデリカ「先攻はフレちゃん!」

凪「刮目」

フレデリカ「……」

フレデリカ「……」

フレデリカ「……」

颯「……あれ? 何も言わないよ?」

フレデリカ「あ、ごめんごめん☆ 何か言うのすら忘れてた♪」

颯「て、テキトーだ!!!」

凪「相手にとって不足なし。関西の凪、参る」

颯「侵略が早すぎるよー!」

凪「すみません、私は誰ですか?」

颯「いやそれもうテキトーというか痴呆だよ!!!」

凪「はい、みろわー」

颯「ダメだってば!!!」

ありす「……」


颯「ってかなー、いつもよりテンション高くない……?」

凪「なんと。内なる凪が目を覚ましたのかもしれません。凪はもうダメです。早く逃げて」

颯「熱い展開とかいらないから!」

凪「先輩アイドルとの交流で張り切ってしまったのかもしれません。健気なので」

颯「そういうの自分で言っちゃダメなやつだしー!」

フレデリカ「フレちゃんもテンション上がって、いつもより金髪が輝いてるんだよ!」

颯「髪の明度ってテンションで変わるの!?」

フレデリカ「ほらこれ比較画像! 昨日のフレちゃん!」

颯「どれどれー?」

フレデリカ「……が食べたマカロンの写真☆」

颯「フレデリカちゃん映ってないじゃん!!!」ズコー

ありす「……」


颯「もー、ふたりしてテキトーなんだから! ありすちゃ……じゃなかった、タチバナちゃんも、なーがごめんね!」

ありす「颯さん」

颯「え? どうしたの?」

ありす「ぜひ、仲良くしましょう。これからはありすと呼んでください。これ、私の連絡先です。今度お食事でも」ズイズイッ

颯「急に近づいた!?」

凪「おやおや、いつの間に親愛度を荒稼ぎですか。チートコードですか。そんな子に育てた覚えはありませんが」

颯「なーに育てられてないし! はーもよくわかんないんだけど……」

ありす「私は颯さんのことを誤解していました……」

フレデリカ「その調子でフレちゃんにもデレよう!」

ありす「まだこの国にいたんですか?」

フレデリカ「国家単位で!?」


ありす「私はあなたのような方を待っていたんです……!」

凪「RPG終盤の祠に封印された精霊が訪れた勇者にかけた一言目かーい」ビシッ

颯「ツッコミわかりにくっ!!!」

ありす「きっと、真面目な颯さんにとっては辛いこともあるでしょう……ですが、我々は手を取り合うことができます。見せつけてあげましょう。常識人のチカラを!」

颯「ここアイドル事務所だよね!?」


フレデリカ「そうして、ありすちゃんは久川シスターズに取られてしまったのでした……およよ……」シクシク

ありす「別に取られたとかではありませんが……」

フレデリカ「じゃあありすちゃん、道でフレちゃんとはーちゃんが困ってたらどっちを」

ありす「颯さんですね」

凪「食い気味に。これは良い技を見た」

颯(い、いつの間にこんなに心を開いてくれたんだろ!?)

フレデリカ「やっぱりフレちゃんのことなんてどうでもいいんだー! うわーん!」

ありす「ど、どうでもいいとまでは言ってません!」

フレデリカ「最近フレちゃんからの電話もすぐ出てくれないし!」

ありす「忙しいんです! 折り返してるからいいでしょう!」

フレデリカ「ご飯も食べに行ってくれない!」

ありす「先週行ったばかりでしょう! 週一なら多い方です!」

フレデリカ「クレープだって交換してくれない!!」

ありす「そう思うなら別の味を選んでください!!!」

凪「……」

颯「……」

ありす「な、なんですかその目は!」

凪「宇宙」

フレデリカ「宇宙!」

颯「宇宙!」←よくわかってない

ありす「うるさい!!!!!」



おわり





ありがとうございました


直近の過去作


渋谷凛「オリンピックを」本田未央「成功させたい?」

【アイマスSS】森久保乃々「はじめての……」大崎甜花「おつかい……?」

鷹富士茄子「どうしてほたるちゃんは私とデュエットしてくれないんですか!?」


などもよろしくお願いします


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