※讃甘高校出身エースで部長で真面目そうで名前がかっこよくて下睫毛がチャーミングな二刀流系なのに社会人になると普通に事務員とかやってそう美少女新免那岐さん×戒能プロという強引なカプなのでそういうのが苦手な方はブラウザバックお願いします
※レズ、エロ描写あり
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「えーそれでは…。皆さん、お疲れさまでした!乾杯!」
「かんぱーい!」
皆が合図をし、宴会場のあちこちでグラスがぶつかる音が立った。
「お疲れさまでした」
台を挟んで私の向こう側に座っていた戒能さんがグラスを差し出してきた。
隣の先輩が私の腿を小突いてきた。顔が赤らむのを感じた。私もグラスを差し出し、戒能さんのグラスに合わせた。コツンという音が小さく響き、ビールの泡が危なっかしく波打った。
グラスを傾け、戒能さんはビールを喉に流し込んでいた。首を仰け反らせ喉を丸出しにしているその光景に私は見とれた。
さっき私の腿を小突いた先輩が耳打ちしてきた。
「よかったじゃん、那岐ちゃん」
「はい…」
私は顔を俯け、耳まで火照った顔を隠した。先輩たちがくすくすと笑っているのが聞こえた。
今日は松山フロティーラの選手と関係者による慰労会が行われていた。シーズンが終わって落ち着いてきたということで、選手だけの慰労会とは別に開催されたのだ。
私はチームの本拠地・松山坊っちゃんホールのしがない用具整備の一人なのだがお呼ばれをいただき、こうして選手と顔を突き合わせている。
特に、目の前でビールを飲んでいる戒能さん——戒能良子プロは、私がこのチームで働きたいと思うきっかけになった人物で、私はこの人の大ファンだった。
地元愛媛の大生院女子高校出身で、高卒後松山フロティーラが獲得。一年目から素晴らしい活躍を見せ、圧倒的得票数でオールスターにも出場し、シーズンオフにはルーキーオブザイヤーとシルバーシューターの二つを受賞した。
今年で五年目のシーズンが終わったことになるが、その若さで既にチームの顔になっている。文句なしのスター選手だ。
「ほら、那岐ちゃんももっと飲みなって」
返事も待たずに先輩はグラスにビールを注いできた。びっくりして顔を見ると、その顔は早くも真っ赤で陽気そうな笑みが浮かんでいた。もう酔ってしまったらしい。
「ねえ、あなた」
会が始まって二時間ほど経った頃だろうか。今まで静かに飲んでいた戒能さんが突然口を開いた。
驚いて私は一瞬動けなくなってしまった。背中が強ばり、首や二の腕もまるで石になってしまったかのように固まっていた。
戒能さんの目はこちらを向いていた。私に話しかけているのだ。
「は、はい」
「名前なんて言うんですか?」
「し…新免那岐です」
今度は耳どころでなく首の辺りまで真っ赤になって、顔から火が出そうだった。
平常に話そうと思っているのにそれができない自分が恥ずかしくてしょうがなく、彼女はそんな私をどう見ているのかがとても気になった。
「シンメンさん…あんま聞かない名字ですけど、漢字はどう書くんですか?」
「あ、えっと、新しいのシンに免除のメンです。それで新免」
「ふぅん…」
明らかに興味を失ってしまったような返答をされた。私は一気に自分を恨めしく思った。高校時代、部長に選ばれたりと真面目な人物という評価を受けていたが、こういう場面でユーモアが言える人間ならよかった。思いっきり自分の頭を殴りつけたくなった。
「あぁ…思い出した」
「え?」
「新免那岐さんって…三年前のインハイに参加してましたよね」
不意を突かれた気分だった。
「は…はい。見ててくれたんですか?」
「はい…。記憶に間違いがなければ、刀とか腰に差してませんでしたっけ」
顔全体が熱くなり、まるで周囲に酸素がなくなったかのように私は声が出せなくなってしまった。
それというのも、私のそのことは掘り返されたくないものになっていたからだ。
「あ…あ、あれは実は!」
やっと声が出せた。まずは言い訳だ。頭の中に文を紡ぎながら私はまくし立てた。
「あれは!なんかチームメイトが地元のPRしようって言ってきたんです!宮本武蔵の格好することになって模造刀とか買ってきてやったらみんなが『ホントにやるとは思わなかった』とか言ってきて…つまり、その、私はハメられたんです!あれは私の趣味とかじゃ一切なく——」
私は目も見えなくなってしまっていたのだろうか。
気がつけば、戒能さんは肩を震わして笑っていた。
(…死にたい)
あの刀を帯刀していたらそれで自害できたのに。私は頭を抱えながらそんなことばっかりを考えた。
☆
時間は夜11時。
街はすっかり夜の雰囲気になり、繁華街を少し離れたところでも酒飲みたちの笑い声が聞こえていた。
一方で私は、背中に重みを感じつつ途方に暮れていた。
「戒能さんー…?」
私は小声で、私の背にもたれかかっている戒能さんに声をかけた。
彼女は眠そうな声を唇の隙間から漏らしながら「なに?」と答えた。
「これからどうしたらいいですか?」
彼女は頭を働かせたくないようで、曖昧な音を返事として出した。
「私、戒能さんの自宅知らないですし、ちゃんと言ってもらわないと。勝手にどっかのホテルにチェックインしますよ?」
「ん〜〜…」
戒能さんが考えている間に、私は自分の出した単語に後悔を覚えた。
ホテルの一言で意識するなど思春期の中学生かと呆れたが、そう言ってもいられないほど戒能さんは魅力的な人だった。
「戒能さん、しっかりしてくださいよ…。このままだと本当に帰れなくなりますよ」
「ん…」
飲み会が終わった時には、戒能さんは酔いつぶれてしまっていた。
途中からお酒に手が出せなくなるほど意気消沈していた私は、会のメンバーの中では一番意識がハッキリしていて、戒能さんを自宅に連れていく係に任命された。彼女はチームの顔だから一番しっかりしている人に運んでもらおう、などという理由で。
確かにこうして身体を密着させていることは嬉しかったが、家の所在くらい教えてから任命してくれと思わずにはいられなかった。
「戒能さん」
「バッグの中に…えっと…」
何やら思い出したようだがすぐ黙り込んでしまった。彼女の頭がある右肩あたりから微かな寝息が聞こえてきた。
(本当にどうしよう)
私も私でチームの選手に電話を掛け、彼女の家の所在を知ろうとしたが、その返事は大抵「知らない」というものであった。
(もしかしたら、戒能さんって友達少ないのかな)
思ってしまってからとっさにかぶりを振った。何も家に招くだけが友達ではない。家に上がられたくないという人もいるだろう。
「あの…しんめんさん…?」
「はっ、はいっ?」
「あそこにホテルあるから…そこにいって…お金は私の財布から…」
それほどまで辛いのだろうかと思いつつ、私は指差された方向に目を向けた。
「か、戒能さん!あれは…」
また小さな吐息が聞こえてきた。彼女の首は私の肩にもたせられ、また寝てしまったのだなと理解した。
指差された方向をもう一度見やった。派手で、外見からはホテルには見えないようなお城に似た建物。
(あれって、ラブホテル…だよな…)
私は大きくため息を吐いた。いくらなんでもそこに入るのは危険すぎると思った。戒能さんは女子プロ麻雀界のスターであり、男女問わず人気が高い選手だ。彼女への視線は当然、アイドルを見る眼差しに似たものも存在している。即ち、ゴシップとして取り上げられる可能性だってあるのだ。
(…仕方ない)
ラブホテルよりはマシだろうと思い、自分の家に連れて帰ろうと決意した。
☆
戒能さんを背負ったまま階段を登り、私はマンションのの自分の部屋へと帰ってきた。
私が住むマンションの部屋はそれほど広くはないが、狭すぎることもなく、寝室とリビングのソファがあれば二人でも夜を明かすことぐらいできるだろうと思った。
私は寝室に入り、ベッドの上に戒能さんの身体を降ろした。
「おやすみなさい」
私はそう言って寝室を出た。
(…シャワー浴びよっか)
バタンという音を背後に聞きながら、風呂場へ向かった。
脱衣所で服を脱いでいく。小振りな自分の胸を見てため息を吐いた。
(戒能さんの胸って大きいんだよなぁ)
実は負ぶっているとき、常時彼女の胸が背中に押し付けられていた。
(…大きかったな)
手で触れば、一体どんな感触がするのだろう。私は自分の胸に手を当て、そしてその丘を揉んでみた。
(絶対これ以上だろうなぁ)
自嘲めいた笑みを浮かべ、私は風呂場へ入った。
☆
シャワーを浴びた後、ドライヤーで髪を乾かしているときだった。
(あ、この音で戒能さん起きちゃうかもな)
このあと様子を見に行こうと思った。
(どんな寝顔してるんだろう)
勿論それが目的ではないけど——私はそう戒めながら彼女のことを想った。
ベッドに寝かした時もちらっと見たが、決まりが悪くてすぐ退散してしまい、じっくりと観察してはいなかった。
(戒能さんって大人っぽいけど、案外寝顔は子供っぽそうだな)
私は寝室へ向かい、音を立てないように、ドアをこっそりと開いた。
部屋の中は真っ暗で、ドアの隙間からの光でようやく見えるくらいだ。抜き足でベッドに近づき、そばのスタンドに光を点した。
「ん…?」
彼女の身体がごそっと動いた。しまったと思いつつ、私の目は、こちらに背を向けた彼女の姿に奪われた。
彼女はワイシャツにタイトスカートという出で立ちで、腰回りからお尻のラインがくっきりと現れ出ていた。
女性的で——とにかく『綺麗』という言葉が頭に浮かんだ。女性ならこういうスタイルに憧れる、それを彼女は持ち合わせていた。
息を潜めてベッドに座り込んだ。小さく軋む音がした。戒能さんは私に背中を向けたままで、顔を動かさない。
全身を観察していると、彼女のうなじが目に入った。やはり何か心惹かれるものがあるなと思った。
スカートから出てくる二本の脚は黒色のパンストに包まれており、肉感よく健康的だ。
「…綺麗だな」
そうポツンと呟いたとき、彼女が私の方へ寝返りを打ち、顔が見えるようになった。
思わず息を飲んだ。紺のネクタイが乱れている中で、すやすやと眠る彼女の顔は幼児のように可愛らしいものだった。
(やっぱかわいいんだな、戒能さんって)
はっと我に返った。私は手を伸ばして——彼女の身体に触れそうになっていた。
慌てて腕を引っ込める。無意識にこんなことをしてしまうとは。ここにいたら危ないと私は思った。
「しんめんさん…」
今にも立ち上がろうとした時、彼女の口が開いた。
思わず声が出そうになった。彼女の方に顔を向ける。
彼女の瞼は上がっていなかった。しかし、彼女は蛇のようにするするっと腕を伸ばし、私の胸に飛び込んできた。
またも私は声が出なくなる感覚に陥った。
彼女の頭は私の胸を押し付け、身体全体をベッドに抑え込んできた。
私の身体は動かない。神経を切断されたかのように、頭で思っていても身体が動かない。
彼女の腕が私の脇を抜けた。胸の横に触れ、声が出てしまう。しかし彼女はお構いなしにその腕を私の顔に伸ばした。
彼女の両手が私の頬を捕らえた。彼女の顔が近づいてくる。そんなことをしてはダメだと思うが、私の身体はピクリとも動かない。
「しんめんさん…」
彼女の目が開き、その瞳が私の瞳を覗き込んだ。瞳の中の私の像がどんどん大きくなってゆく。それが意味することも理解していた。だが、身体が動かない。
そして遂に、私の唇に柔らかい感触が押し付けられた。同時に何かが魚のように口内へ飛び込んでくる。それは口内を駆け回り、私の舌を見つけると絡み合ってきた。
眉を寄せた。もう何も考えれず、ただ舌の神経に私の全感覚は集まっていた。
息が苦しくなった。しかし私の頭はいつの間にか彼女の腕に抱きかかえられており、動けなくなっていた。鼻から息を出さざるを得ず、彼女の皮膚を跳ね返って生暖かい息が私の顔にも降りかかってきた。
「ちゅる…んっ…。ちゅぱ…」
唾液が溜まり、舌の上で音を立てていく。
「んじゅ…んっ、ん…。ちゅ、ぷはっ…」
彼女の舌は私の口内のあちこちを征服し、再び舌に張り付き、それが終わると、ようやく彼女の唇は私から離れた。
「ふは…はぁっ、はぁっ…」
彼女のキスから解放され、私は息を荒げた。
しかし彼女の身体はまだ私に張り付いていた。私の上にのし掛かる体勢で、豊満な胸を私の貧相な胸に押し付け、私の首に腕を回している。その顔はにっこりしながら私を見上げている。
「戒能さん……どうして……」
「だって、ホテルなんですから」
「は…!?」
一瞬意味が分からなかったが、すぐ理解できた。
彼女は最初に連れて行ってと言ったラブホテルに今いると思っているのだろう。ゆえに私にこんなことをしている。
だが仮に場所がラブホテルだとしても、こんなことをしていい理由にはならないだろう。私と彼女は明らかに釣り合う存在ではない。お酒の勢いでこんな展開になっているだけなのだ。
ここはちゃんと説明をして、この状態から逃げ出さなければならない。
「か、戒能さん……ここは……」
「せっかく来たんですから、しましょうよ」
「だ、だから違——」
彼女は私の言葉を遮り、私の手を掴んで胸に押し付けた。
「どうですか?」
それだけで私の思考は糸が切れた。手のひらに加えられた感触に我を忘れ、理性はすっかり脳内から消失してしまっていた。
「ん…」
手のひらに力を入れ胸を揉みしだくと、柔らかな感触が手のひらに広がった。
頭が沸騰したように熱くなった。
彼女の肩を掴み、体勢を逆転させてベットに押し倒す。彼女は小さく悲鳴を上げたが、真っ白なシーツの上で軽く笑みを浮かべた。
「いいですよ」
唾を飲み込んだ。そんな私を見て、彼女はくすっと悪戯っぽく笑った。
Yシャツのボタンに手をかける。一つ開けるごとに彼女の肌が露出していった。
すべてのボタンを開き終わると、色白なお腹と黒い下着に包んだ豊かな胸が現れた。
思わず息をのむ。震える手でブラジャーを押し上げると、乳房の全体が顕になった。
そしてそのあまりの美しさに私は呆気にとられた。
(…私のと、全然違うな)
乳房の大きさも勿論だが、形も綺麗に整っていた。肌はみずみずしく艷やかで、薄暗い部屋の中で光っているようにさえ見えた。
鼻から熱い吐息を吐き出し、私は彼女の身体に倒れこみ、その両丘にむしゃぶりついた。
「んっ…」
くすぐったかったのか、お腹の辺りに力が入ったのがわかった。
私はお構いなしに谷間に顔を埋め、両手で乳首をまさぐった。艶かしい声が耳に入ってくる。その声に私はうっとりとした。頭が蕩けるようで、現実感が遠のいていった。
「かいのーさんっ!」
乳首を口に含み、舌でちろちろと弄る。唾液が音を立て、はしたなく部屋中に響いた。
「ん…んっ…」
彼女の篭った声が帯びた熱も次第に上昇していく。私はいったん胸から口を離し、彼女の顔へ近づけていった。
「かいのーさん…」
「…しんめんさん」
お互い息を荒げながら、お互いの名前を呼びあった。
彼女が私の声を呼んでくれている。それだけで疲れなど忘れ、私は彼女の身体に飛びかかっていった。
「んあっ…!?」
首筋に舌を沿わせた。彼女の悲鳴が急に裏返る。普段クールな戒能プロのこんな声が聞けるなんて——私の興奮は更に高まっていった。
我慢ができなくなり、私の方からも彼女にキスをした。
一度唇を軽く押し付けた後、強引に唇を奪い、舌を潜入させた。
「んぁっ……は…ぁんっ…」
息が苦しくなったのか、彼女が口から息を吐き出そうとする。舌が絡み合う中での呼吸は妙な声を引き出し、このシチュエーションでのそれは、艶かしい喘ぎ声以外の何物にも聞こえはしなかった。
「んっ……!?」
私はキスをしながら彼女の胸に手をやった。両手で乳首を挟み、弄り、指で弾いた。その度に彼女の半開きの口から悲鳴のような声が上がり、私の性感を刺激していく。
「ぷは…」
私も息が苦しくなり、唇を離した。彼女の口元が涎でてらてらと光っていた。私はそこに舌を沿わせ、舐めとり、そのまま再び首筋にキスを浴びせた。
「あ、あっ…。新免さん…っ!」
語尾の声量が大きくなり、私はたじろいで動きを止めた。
戒能さんはそれを見逃さず、私の身体を抱き締めながら寝返りを打ち、再び身体の位置関係を逆転させた。
「…お仕置きですよ」
「え…」
そう言うと、彼女は私のジャージに手を突っ込ませてきた。下腹部への感触に思わず声が出てしまう。
「ひゃぁっ…!」
「んっ……!?」
私はキスをしながら彼女の胸に手をやった。両手で乳首を挟み、弄り、指で弾いた。その度に彼女の半開きの口から悲鳴のような声が上がり、私の性感を刺激していく。
「ぷは…」
私も息が苦しくなり、唇を離した。彼女の口元が涎でてらてらと光っていた。私はそこに舌を沿わせ、舐めとり、そのまま再び首筋にキスを浴びせた。
「あ、あっ…。新免さん…っ!」
語尾の声量が大きくなり、私はたじろいで動きを止めた。
戒能さんはそれを見逃さず、私の身体を抱き締めながら寝返りを打ち、再び身体の位置関係を逆転させた。
「…お仕置きですよ」
「え…」
そう言うと、彼女は私のジャージに手を突っ込ませてきた。下腹部への感触に思わず声が出てしまう。
「ひゃぁっ…!」
更に、その手は下着の中に滑り込んだ。
「ちょ…やめ…っ」
「だから、お仕置きですって」
彼女の動きは止まない。彼女の腕は蛇のように素早く動き、私の茂みを抜けて、一番敏感なところに食指を伸ばした。
「いやっ…!」
指が性器にまで到達した。私は必死で抵抗し、身体をばたつかせる。驚いたようで、彼女は一旦その動きを止めた。
「…嫌なんですか?」
「……」
「でもここ、もう十分濡れてますよ」
「ひぁ…っ」
入り口辺りを指でまさぐってくる。下半身から背筋に痺れるような感覚が走っていく。
「脱がしますよ」
そう言うと彼女は私のジャージを下着ごとずり下ろした。
外気に触れたことで私の体温の高さが分かった。そして私の性器が、熱くなりながらも愛液を滲ませていることも。
「ほら。どうしますか?やめますか?」
私の顔の横に手をつき、彼女が顔を覗き込んでくる。
私の息は過呼吸になりそうなほど速くリズムを刻んでいた。
(もう、やめないと…)
糸が切れてしまったことには心から謝ろう。私は彼女と性交できるような身分でもないし、そんな仲でもない。
戻るなら今だ。行為を中断し、彼女に謝る。そうだ。そうすればいい。
そんな言葉が沸騰した頭の中を何度も何度もリフレインした。息が苦しすぎて悶えそうだ。どうにかして呼吸を整えて、その意思を彼女に伝えないと——
「やっぱり、気持ちよくなりたいですよね?」
艶かしい視線を私に向けながら、彼女はそう言った。
(違う……そうじゃなくて……)
だが、私の身体は意思と反した。脚を絡め、曇った眼差しを彼女に向けた。
彼女の唇が私のに触れた。舌と同時に彼女の意識が私の内部に入り込んでくるようだった。
頭が蕩け、答えを保留にしてしまう。理性より快感が優先され、私も彼女の動きに合わせて舌を動かした。
「ちゅ…ん…ちゅぱ…」
「んっ、ふぁ…ん…」
幾度も舌を絡ませ、二人の唾液と吐息を混ぜ合わせた。
戒能さんの腕が背中に回り込んでくる。私もそれに応え、彼女の背中に手を回して身体を抱き締める。胸の辺りに彼女の豊かな乳房が押し潰され、その感触で私の理性もまた押し潰されてしまう。
私たちは深くキスをしながら、身体を小刻みに動かし肌を擦り合わせた。ストパンに腿を擦らせると、何だか脳が揺さぶられるような音が立った。
一人で布団と抱き合っているときとは快感は段違いだった。彼女の熱く火照った身体が押し付けられ、私はその体温を全身で感じ取っていた。
やがて私たちはキスをやめた。彼女は頭を私の顔の横に落とし、耳元でこう囁いた。
「新免さん。していいですか?」
その誘惑を断れる理性は、私の中にはもうなかった。
「…はい。お願いします…」
その返事を聞いた途端に、彼女は蛇から獣へと変貌した。
私のシャツを捲り上げ、その中に秘めていた小さな乳房に吸い付いた。
「あぁっ…!ん、んぁっ!ダ、ダメ…」
しかし彼女は私の声に聞く耳を持たず、胸の上で淫らな唾液の音を立てた。
右乳房の突起を口に含み、音を立てながら舌で弄くりまわしてくる。かと思うと唇で甘く噛みながら乳首を引っ張る。それを繰り返しながら左の乳房を手のひらの中でこねくりまわす。
その一々に私の神経は快感を覚え、高い声を口から漏らしていく。私の下半身もどんどん熱くなっていった。
「ぷはっ…。どうですか?新免さん」
「……。よかったです…」
いつの間にか目尻に涙が溜まっていた。
「じゃ、こっちもしますね」
彼女は身体をどかし、左手で私の性器に触れた。
「ひぁっ…」
「かわいいですよ。新免さん」
目を瞑った彼女の顔が近づいてきた。私も瞼を閉じ、唇に宛がわれるだろう感触に備えた。
が、その時。唇がそっとぶつかりあうと同時に、下半身に電撃的な感覚が走った。
「んむぁ…っ!?」
突然のことに驚き、背を仰け反らせながら口を開いた。その中に彼女の舌が滑り込み、主導権を奪われる。
そして続けて下半身に刺激が加わった。
「ちゅ、んんっ、んっ…!あぁっ!」
感覚の出発点は彼女の左手からだった。それは私の性器の入口の上の突起を無慈悲に弄くっていた。
そこから来る快感は今までの比でなく、もう失神してしまうと危機を感じてしまうほどだった。しかし口は塞がれているため中断の懇願もできない。
「んぁ…んっ!ひゃいのぅしゃ…」
突起を刺激する指の動きが速まった。
私は我を忘れてしまいそうな快感から逃れようと、彼女のキスを無理矢理ほどき、身体を回転させた。
しかし彼女は逃がさず私の股から手を離さなかった。むしろその動きをさらに強めていく。突起を指裏で転がし、挟み、そして上下に擦っていく。
「あぁっ!あっ!あーーーっ!!」
脚をくねらそうとする。しかし彼女の脚が覆い被さって拘束し、それを不可能にさせる。
背に胸の感触を感じた。彼女は私の背に密着し、首筋に舌を沿わせる。ぞくっとした快感が背筋に伝わっていく。
「ひゃぁぁ…あっ!あぁっ!らめ、らめっ!!」
もはや呂律も回らなくなっていた。自分で触るのとは確実に別物であり、動きに予測がつかない、自分ではないものに性感帯を支配されていることが快感を増幅させていた。
(く……る……っ)
全身に回っていた感覚が下半身に集まるのを感じた。全神経がそこに集中され、大きな波が迫ってくる。
私の耳が甘く噛まれ、更に私の脇の下を通り抜けた彼女の右手が胸をぎゅっと掴んだ。
それが合図だった。私は限界を迎え、絶頂の到来を口から漏らした。
「あ…あぁ…ぁ…っ…」
背筋がビクビクと痙攣すると、全身から力が抜けた。
身体の火照りを感じ、荒れきった呼吸を聞いていると、いつの間にか私の瞼は閉じきってしまっていた。
☆
目が覚めると、部屋の中は薄い青で占められていた。
カーテンの隙間から朝の日差しが入り込んでいるのだ。重い身体を起こし、足で布団を退けた。ひんやりした空気が服の上から突き刺さってくる。季節はもうすぐ冬だ。
ベッドから下りた私は、床に散らばる何かを発見した。拾い上げてみると、それは紺色をしたネクタイだった。
その瞬間、私はハッとした。
急いで部屋を出る。廊下に出ると、リビングの方から音がした。
「あ。グッドモーニングですー」
リビングに入ると、そこにいたのは、裸の上にYシャツを羽織っただけの戒能さんの姿だった。
髪を下ろしていたことも気になったが、大きな山を作っているYシャツの胸と外気に曝している陰部にどうしても視線が行ってしまう。
「すみません、勝手にシャワーお借りしました」
「い、いえ。構いません。おはようございます」
昨日——というより今日。そうだ。戒能さんがお酒の勢いで私なんかとあんなことやそんなことをしてしまった。
「か…戒能さん…」
「はい?」
土下座をし、震えた声で私は叫んだ。
「申し訳ございませんでした…っ!」
しかし、彼女の返答は全く考えていないものだった。
「はい?」
顔を上げると、首をかしげながらこちらを見下ろす彼女の姿があった。
「土下座なんてやめてください。何がどーしたんですか」
「き、昨日の夜…お酒の勢いで…というか私は酔ってなくて止めれる立場だったのに止めれなくて…その…」
「昨日のエッチのことですか?」
「エッ…そ、そうです」
彼女はますます意味がわからない、というような表情を見せた。
「…新免さんは私とするのは嫌でしたか?」
「えっ…」
「それなら謝るのは私の方です。まことに申しわけ——」
「ち、違います!」
思わず大声が出てしまった。
「その…私は嫌じゃないです。でも戒能さんが私なんかと…」
「…新免さん」
彼女は屈み込み、穏やかな声で言った。
「変に自分を卑下しないでください。私たちはいつもあなたたちに感謝してるんです」
「え…?」
「ほら、あなたたちは私たち選手の魂である牌や点棒、雀卓をいつも大切にしてくれてるじゃないですか。あなたたちがいるからこそ私たちも戦えてるんです」
私の頬にそっと手が触れた。
「昨日の慰労会を開いたのも、私たちがあなたたちに感謝を表してなんです。確かに昨晩の行為はアクシデントみたいなもんかもしれないですけど、その相手があなたで嫌だなんて絶対思ったりしないですよ」
「…戒能さん」
彼女は私の腕を引いて立ち上がった。
「朝食にしましょう」
「…はいっ」
〜Fin〜
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