【アイマス 】P「インフルエンザになってしまった…」 (119)

春香「…ってプロデューサーさんから連絡があったんだけど…」

伊織「…奇遇ね、律子からも全く同じ電話があったわ」

美希「今日事務所に来たら小鳥から連絡があってインフルエンザだって…」

社長「ふむ…」


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雪歩「どどどどどうしよう!?真ちゃん!?」

真「まぁまぁ、雪歩落ち着きなよ」

響「そうだぞ、そもそも自分たちの仕事はプロデューサーが最後の力を振り絞って、一週間分調整してくれてるから大丈夫だぞ」

伊織「丁度三人の外出が可能になる時期ね…」

やよい「プロデューサー…大丈夫なんでしょうか…」

貴音「それでも、車移動など必要な場合もあると思いますが…」

あずさ「そこは社長さんがやってくださるらしいわ~」

千早「え?社長自らですか?」

やよい「うぅ…いいんでしょうか?」

伊織「なんだかんだ張り切ってたからいいんじゃない?『ははは!これでも昔は敏腕プロデューサーだったんだ!久しぶりに腕を振るわせてもらうとするよ!』だって…」

真「へぇ…社長のプロデュースかぁ…」

響「新鮮だな!自分なんかワクワクしてきたぞ!」

伊織「…それにしても、亜美真美は遅いわね…何してるのよ…」

ガチャッ

亜美真美「「…」」

伊織「暗っ!?」

春香「ど、どうしたの?亜美?真美?」

雪歩「いつも賑やかな2人が…」

亜美「いや、それがさ…」

真美「真美たちの家って病院じゃん?」

亜美「なんか、兄ちゃんたちがインフルエンザになったからって言って…」

真美「社長が迎えに来てくれたらしいんだけど…」

亜美「なんかその場で急に倒れちゃって…」

やよい「ま、まさか…」

真美「パパが急遽診察したら…」

亜美「インフルエンザだって…」

全員「…」

真美「昨日も体調悪かったけど、無理してたんだって…」

伊織「感染源そこじゃない!?何やってんのよ!?」

あずさ「あら?おかしいわね~?」

真「何がおかしいんですか?」

あずさ「だって、亜美ちゃんと真美ちゃんは社長の車に乗ってくる予定だったんでしょう?だけど、社長は倒れてしまった…」

伊織「そうよ!あんたたち、どうやってここまで来たの!?」

亜美「そ、それがさ…」

真美「社長が『しょうがない、こうなったらアイツに頼る他ないか…』って言って電話したんだ…」

貴音「はて?アイツとは?」

響「こんな時に頼るくらいだから、相当の実力者だぞ…」

春香「プロデューサーさんや律子さんくらいのプロデュース能力はあるってこと?」

千早「それって相当すごいんじゃ…」

貴音「はて?そのような人物、私たちが知らないはずは…」

亜美「お姫ちんは知ってるよ…」

真美「…というかみんな知ってる」

響「そんなやついたか?」

美希「ハニーと同じくらいのプロデューサーなんていないって思うな!」

伊織「勿体ぶらずに教えなさいよ、代わりのプロデューサーって誰なのか…」

亜美「それは…」

ガチャ

黒井「私だ」

全員「え?」

全員「えぇぇぇぇぇぇえ!?」

伊織「ちょ、ちょっと!?何を企んでるのよ!?」

黒井「企むも何も私は高木から貴様らのプロデュースを頼まれただけだ」

千早「…そんなことを言われて信じられるとでも?」

黒井「ふん、信じないと言うのならば好きにすればいい…ただし…」

春香「ただし?」

黒井「ここに高木と交わした契約書がある。これがある限り貴様らは信じようが信じまいが私のプロデュースにしたがってもらう」

真「え!?」

雪歩「け、契約書!?」

私、高木順二朗は黒井崇男に765プロダクション全アイドルのプロデュースを一週間一任いたします。

伊織「何考えてんのよ!?あのバカ社長!」

黒井「まぁそういうことだ。安心しろ、私も三流プロダクションのへっぽこアイドルどもと仲良しこよしのおままごとをしに来たわけではないのでな…信頼など無くて結構だ…」

響「そ、そんなこと言って、また自分たちに嫌がらせをするんだろ!?」

黒井「普段であればそうするのもアリだが…今回はビジネスだ。こちらも契約した以上はキチンとやらせてもらうさ…」

響「ほ、本当かぁ?」

黒井「どれ、ポンコツプロデューサーが残したスケジュールを見せてみろ」

雪歩「こ、これですけど…」

黒井「ふむふむ…うーむ…うんうん…よし!オールキャンセルだ!」

全員「えぇぇぇえ!?」

伊織「ちょっとあんた!?やっぱり嫌がらせしに来たんじゃない!」

黒井「勘違いするなよ、小娘。プロデュースするとは言ったがあくまで私流だ。高木には決して真似できないセレブのプロデュースを見せてやる」

亜美「一体…」

真美「どうなるんだろう…」

マッスル番付

亜美「気になるから着いてきたYO!」

黒井「ふん!邪魔をするなよ?」

真美「でもさぁ、黒ちゃん…」

雪歩「無理無理無理無理!?無理ですぅ!」

真美「雪ぴょんにこのお仕事は無理なんじゃない?」

亜美「そうだYO!この仕事元々まこちんの仕事だったじゃん!?」

黒井「あぁ、そうだ。元は菊地がキャスティングされていた。キャンセルは出来なかったので代わりに萩原雪歩をキャスティングしたのだ」

真美「なんでわざわざ代える必要が…」

黒井「菊地は男扱いされるのが嫌だったのではないのか?」

亜美「いや、そりゃそうだけど…それにしても雪ぴょんって…ひびきんとかじゃダメなの?」

雪歩「そうですよ!な、なんで私なんですか!?」

黒井「ほぅ…貴様らの絆とはその程度のものだったのか…」

雪歩「は?」カチンッ

亜美「ゆ、雪ぴょん?」

真美「口調が…」

黒井「菊地と萩原は大の親友だと私はライバルながら認識していたが…所詮は弱小プロダクションの三流アイドルか…親友だと言う相手の嫌なことを平気で押し付けるのだな…」

雪歩「そ、そんなつもりは…」

黒井「よくよく見れば貴様の言う通りちんちくりんの貴様の親友だと言う菊地もボーイッシュなどではないな。ただの男か女かわからぬ男女だ」

雪歩「や、やめてください…」

黒井「運動神経くらいしか取り柄がないのだから、こんな仕事しか来なくてもしょうがな…」

雪歩「やめてください!」ドンッ

亜美真美「「!?」」

雪歩「私のことはいいです!私はちんちくりんの三流アイドルで構いません!でも…でも!真ちゃんは!カッコよくって…優しくて…とっても可愛いんです!真ちゃんより可愛い女の子なんていません!」

黒井「ならばそんなあやつの親友だと胸を張れるように、貴様も頑張らんか!」

雪歩「わ、私も?」

黒井「そうだ!菊地真の親友だと、世界一可愛い女の子の親友なのだと、胸を張って言えるように、目の前の仕事から逃げるな!」

雪歩「…わかりました。それで認めてくれるなら…」

亜美「い、いいの?雪ぴょん?」

真美「なんなら真美たちが代わるよ?」

雪歩「いいの、亜美ちゃん、真美ちゃん…これは私の仕事だから…」

そして本番…

アナウンサー「第一種目は50m走…第一組がスタート!」

雪歩「はぁぁぁぁ!」

アナウンサー「おぉっと!?意外や意外!萩原選手が一着ぅ!」

亜美「すごいすごい!」

真美「すごいや雪ぴょん!」

黒井「…あやつは自分では気付いていないが、確固たる芯の強さを持っている。そもそも男が苦手なのを克服するためにアイドルになるなどと正気の沙汰ではない。荒療治にもほどがある…」

亜美「え?」

黒井「更に火事場の馬鹿力とはいえ、人が1人入るだけの穴を瞬時に掘ってしまう身体能力…本来はそこまで運動が苦手なわけではないのだ…」

真美「ま、まさか黒ちゃん…そこまで理解して…」

黒井「ふん!どうだろうな?さぁ、次の仕事だ!」

パーフェクトコミュニケーション

モニターリング!
~もしも、上流階級のパーティに人気アイドルが潜入したら?~

伊織「…で、これは私たち2人なの?」

やよい「うぅ…緊張しますぅ…」

黒井「貴様ら2人は仲が良いと聞く。それに水瀬は腐っても財閥の令嬢だろう?マナーは…」

伊織「家の話はしないで!」ギロッ

黒井「な、なんだ…」

亜美「黒ちゃぁん…」ヒソヒソ

真美「いおりんはお家の話されるのが大嫌いなんだYO!」ヒソヒソ

黒井「はぁ?何故だ?」ヒソヒソ

亜美「当たり前じゃん!家の力じゃなくて、自分の力で成功するためにこの世界に入ってきたんだからぁ!」ヒソヒソ

黒井「ほぅ…」

伊織「…その二人の言う通り、こんなパーティも本当は大っ嫌いよ。もしもプロデューサーが取ってきたんならぶん殴ってるところよ…」

黒井「そうか、だが今お前がこの仕事を断ると…」

やよい「ぅぅ…」

伊織「…わかってるわよ…やよいは私が守るんだから…」

本番

やよい「ごめんね…伊織ちゃん…私のせいで…」

伊織「いいのよ、やよい。こんな仕事取ってきたアイツが悪いんだから」

やよい「でも…」

伊織「ほら、せっかくのパーティなんだから楽しみましょ?」

やよい「う、うん…」

伊織「ほらほら、これなんか美味しそ…」

令嬢「あら、これはこれは水瀬様ではありませんか?」

伊織「あ、あら?お久しぶりですわ…」
伊織(げっ!?こいつ…前に家のパーティで会ったことがある…水瀬に近づこうって魂胆が見え見えなのよねぇ…)

令嬢「相変わらずお美しい…お手入れの秘訣などありますの?」

伊織「いえいえ、特別なことは何も…」
伊織(白々しい…陰で悪口言ってんの知ってるんだからね…)

伊織「ほらほら、これなんか美味しそ…」

令嬢「あら、これはこれは水瀬様ではありませんか?」

伊織「あ、あら?お久しぶりですわ…」
伊織(げっ!?こいつ…前に家のパーティで会ったことがある…水瀬に近づこうって魂胆が見え見えなのよねぇ…)

令嬢「相変わらずお美しい…お手入れの秘訣などありますの?」

伊織「いえいえ、特別なことは何も…」
伊織(白々しい…陰で悪口言ってんの知ってるんだからね…)

令嬢「それはそうと…」

伊織(まぁいいわ…ちょっと我慢すればいいだけの…)

やよい「あ、あの…」

令嬢「はい?」

やよい「伊織ちゃんと仲良しなんですね!私、高槻やよいって…」

令嬢「ごめんなさい、私水瀬さんとお話しているの」

伊織(こいつ…)

やよい「え?いや、でも、だから私も…」

令嬢「私も?まさか貴女、水瀬さんとお友達のつもり?」

やよい「え?つもりって…」

伊織(我慢よ…我慢するのよ…テレビだから…)

令嬢「失礼ですけど…見たところ水瀬さんと貴女とでは釣り合っていないように見えますけれど…」

やよい「釣り合う?それってどういう…」

伊織(ダメよ…我慢…テレビだから…後でスマートに受け流せば…)

令嬢「あら?だってそうでしょう?知ってますわよ、高槻やよいさん。貴女のお家って、本当にびんぼ…」

伊織 ビシャッ

令嬢「きゃぁあ!?な、何ですの!?」

やよい「伊織ちゃん!?」

伊織「あんた今なんて言おうとした…?」

令嬢「お洋服が…水瀬さん、お戯れがすぎ…」

伊織「今、なんて言いおうとしたのかって言ってんのよ!」バンッ

令嬢「ひぃ!?」

やよい「お、落ち着いて!伊織ちゃん!」

伊織「これが落ち着いてられる!?テレビだから我慢してたけどもう無理!」

令嬢「は?テレビ?何の話!?」

伊織「いい?この際だからはっきり言ってあげる、この場に私の友達は高槻やよいただ一人よ!」

やよい「伊織ちゃん…」

令嬢「ご冗談を…だってあまりにも…」

伊織「…あんた、今の顔鏡で見てみなさいよ。酷い顔よ」

令嬢「なっ!?」

伊織「そうやって身分とかお金に囚われた貴女よりも、私にとってはやよいの方が失いたくない友達なの」

令嬢「…私の方こそ失望しましたわ。水瀬財閥の令嬢がこのように無作法だったとは…」

伊織「あら、そう?マナーを守って友達を守れないよりはよっぽどいいと思うけど…まぁそうね…」

令嬢「?」

伊織「守りたい友達がいないならわからないかもしれないわね?」

令嬢「な!?」

やよい「伊織ちゃん…ごめ…」

伊織「『ごめんね』はいらないわよ?」

やよい「…ありがとう」

伊織「…どういたしまして。にひひ♪」

楽屋

伊織「ほら見なさいよ!こんなことになったでしょ!」

黒井「こんなことにしたのは貴様だろう…」

やよい「うぅ…黒井社長ごめんなさい…」

黒井「何を謝る必要がある?」

やよい「え?だって番組が台無しに…」

黒井「なっていない。この様子はこのまま放送する」

亜美「えぇぇぇえ!?」

真美「大丈夫なの!?」

伊織「頭おかしいんじゃないの!?」

黒井「心配ない、夜のOAを楽しみにしていろ!」

その日の夜

伊織「…本当にそのまま放送してる…」

やよい「苦情とか来ないんでしょうか…?」

黒井「そんなに心配ならネットを見てみるがいい」

亜美「どれどれ…」

真美「『いおりんよくやった!』『スカッとする!』『やっちゃえいおりん!』『友達のことで怒れるいおりん…マジ友情の化身!』『くぎゅぅぅぅぅう!』」

伊織「は?苦情ないの?」

黒井「全く無いわけではないが、ごく一部だ。普段の仕事と変わらない」

伊織「ど、どうして…」

黒井「まだわからんのか?みんな貴様と同じ思いなのだ。表面上のルールやマナーに囚われて本質を見失わない、貴様の気高い精神が評価されただけのことだ…」

伊織「精神って…」

黒井「なぁに、セレブと言うのはそう言うものだ。スーパーセレブの私が言うのだから間違いない…さぁ、次の仕事だ!」

パーフェクトコミュニケーション

赤坂フレンドパーク

春香「ここで私ですか!?」

黒井「何か問題でも?」

亜美「はるるんは絶対コケちゃうYO!」

真美「こういうスポーツ系はひびきんに…」

黒井「それで問題ない」

春香「い、いいんですか!?」

黒井「天海春香、貴様の良いところは常にいかなる時も全力を出せるところだ。一生懸命な人間が多少転んだところで笑う人間などいない。胸を張って行ってこい!」

春香「…はい!」

亜美「大丈夫かなぁ…」

本番

春香「行きまーす…どわぁ!?」ドンガラガッシャン

春香「えへへへ…き、気を取り直して…ってわぁ!?」ドンガラガッシャン

春香「あれ?おかしいですね…よいしょっと…っと…っととととぉ!?」ドンガラガッシャン

亜美「まさかの三連続ドンガラ!?」

真美「最後に至ってはどうやって転んだの!?」

観客 アハハハハハ

亜美「ちょっと黒ちゃん!?」

真美「めっちゃ笑ってんじゃん!?一生懸命笑う人たちばっかりじゃん!」

黒井「まぁ見ていろ…」

観客 ハルルンガンバレ-
観客 モウスコシダゾ-
観客 イケル!イケル!

亜美「あれ?めっちゃ応援されてる?」

真美「な、なんで!?」

黒井「スポーツの試合ではないのだ。勝つこと、良い成績を残すことが全てではない」

真美「それにしたって…」

黒井「天海春香の一番の武器はその親しみやすさだ。失敗が成功に変わるのはあやつくらいのものだ」

亜美「失敗が成功って…」

真美「無敵じゃん!?」

黒井「あぁ、そうだあやつは無敵のアイドルだよ…」

本番後

春香「あはは…一生懸命やったんですけど、成績は…」

真美「金貨三枚を全てたわしに変えただと…!?」

亜美「こいつ…わかってやがるぜ…!?」

黒井「それでいい、天海春香…」

春香「はい?」

黒井「一生懸命は…届いただろう?」

春香「…はい!」

黒井「うむ、それでいい!では次の仕事だ!」

パーフェクトコミュニケーション

東京ガーリィコレクション

真「本当に僕でいいんですか!?」

黒井「あぁ、一向に構わん!」

亜美真美「「ちょっと!ちょっとちょっと!」」

黒井「なんなのださっきから…」

亜美「黒ちゃぁん、悪いことは言わないからミキミキか雪ぴょんにしときなYO!」ヒソヒソ

真美「そうだYO!最悪真美が行くよ?」ヒソヒソ

黒井「何を言っている。このようなファッションショーの客の大半はティーンの女子。菊地のファン層ともろかぶりしている」

亜美「そうだけどさ…」

真美「こういうファッションショーで着る服ってガーリィ系っしょ?そうなると…」

亜美「『違う!違うよ真ちゃん!そんなの誰も望んでない!誰も得しないよ!』って雪ぴょん系女子の声が聞こえてくるYO!」

黒井「何を言っている…ほら、見てみろ菊地が着替えてきたぞ」

真「きゃっぴぴぴぴーん!みんなのアイドル、菊地真ちゃんなりよ~!まっこまこりーん!」

亜美真美「「おぉふ…」」

真「どうですか?」

黒井「よし、完璧だ、行ってこい」

亜美「えぇぇぇえ!?」

真「はい!行ってきます!」

真美「だ、大丈夫なの?」

黒井「まぁ見ていろ」

ステージ

アナウンサー「続いては765プロダクションより、菊地真!」

観客A「え!?」

観客B「ま、真様が!?」

ドヨドヨ

真美「早速どよめいてる…」

亜美「そりゃぁね、イメージとは正反対だろうし…」

真「きゃるる~ん!みんなのアイドル、菊地真ちゃんなりよ~!まっこまこりーん!」

シ-ン

亜美「そうなるよね…」

真「♪~♪」スタスタ

真美「この静寂の中を堂々と歩いている…」

亜美「なんならノリノリだと…!?やつのメンタルはどうなっているぅ!?」

黒井「やかましい!黙ってみていろ…」

観客A「…あれ?…可愛くない?」

観客B「え?真様はカッコいいでしょ?」

観客A「いや、そうなんだけどさ…」

観客C「今までのイメージにはなかったけど…これはこれでアリじゃない?」

観客A「そうなのよ、ちゃんと可愛いの!」

観客B「言われてみれば…」

…キャァァァア

亜美「何やら困惑を含んだ歓声が…」

黒井「ふん、最初はこんなものか…しかし、次の服はどうだ?」

真「まっこまっこりーん!」

キャァァァァア

観客A「可愛いぃぃ!」

観客B「こっち向いてぇぇ!」

観客C「真様ぁぁぁあ!」

真美「ど、どうなってんの…?」

黒井「だから言っているではないか、菊地真は『可愛い』のだ」

亜美「いや、そりゃまこちんはイケイケだよ?」

真美「でもそれは『かっこいい』っしょ?」

黒井「美しさの本質は同じだ。女性でボーイッシュということは中性的と言うこと。中性的というのは男女問わず美しいと感じる顔立ち…最強の容姿だ」

亜美「でも、生っすかでは失敗したのに…」

黒井「テレビ番組はチャンネルを指先一つで変えられてしまう。菊地のファンにとってはファンシーな菊地など受け入れられないものだろう。しかし、ファッションショーに来た者たちはおいそれと帰らない…それ故に長く、じっくり菊地を見ることができる。否応なしにな」

真美「そうか!それで観客の姉ちゃんたちはまこちんの可愛さに気づいたんだ!」

黒井「そういうことだ…あまりにも強烈な『王子様』の印象が邪魔をしていたのだ…」

亜美「なるほどぉ…武器だと思っていた王子様らしさが、風邪になってたんだね!」

黒井「それを言うなら枷だろう…まぁ、何にせよ『ジャージの王子様』は卒業してもらうぞ?」

キャァァァア
マコトサマァァァ

真「ど、どうでした?黒井社長!」

黒井「あぁ、今の貴様は誰よりも『可愛い』よ」

真「!?…へへっ…やりぃ!」

黒井「…さて、次の仕事だ」

パーフェクトコミュニケーション

グラビア撮影

千早「…」

亜美「いやいやいやいや…」

真美「怖い怖い!もう怖い通り越して寒い!」

千早「…」

亜美「出てる…出てるYO…冷気にも似た殺気が…」

黒井「うむ、いける!」

真美「えぇぇぇえ!?」

千早「…黒井社長、私こんな仕事は…」

黒井「はぁ?こんな仕事ぉ?いつから貴様は仕事を選べるほど偉くなったのだぁん?」

真美「うわぁ…」

亜美「めっちゃ煽ってる…」

千早「くっ…し、しかし…私は歌を…」

黒井「ほぉ、三流プロダクションは仕事に貴賤をつけるのか…流石は高木だ、素晴らしい教育と言わざるをえない」

千早「そんなことは…」

黒井「いやいや、恐れ入ったよ、そこまで強気の姿勢だとは…765プロは仕事を選ぶ素晴らしい事務所なのだなぁ」

千早「だからそんなことは…」

黒井「しかし、そうなると仕事は自然と減っていくことになるだろうなぁ…いやいや、ライフワークバランスが叫ばれている昨今それはいいことだろう…高槻やよいにとってもな…」

千早「!?」

黒井「あやつはそもそも働きすぎだったのだ。いやいや、例え一家の収入のほとんどを彼女が負担していたとしても、彼女の健康を考えれば致し方ないことだ」

千早「くっ…あなたって人は!」

黒井「いいではないか!仕事が減って彼女の兄弟が給食費を払えずに困窮したとしても、それは貴様には何の関係もない話だ」

千早「…わかりました…受ければいいんでしょう?」

黒井「ふんっ…ようやく行ったか」

真美「ねーねー、黒ちゃん。どうして千早お姉ちゃんにグラビアなの?」

亜美「うん、本人が嫌がってるのを抜きにしてもあずさお姉ちゃんとかの方がむふふな写真が撮れたんじゃないの?」

黒井「貴様らは中年男性か…まぁいい、そこまで言うなら見ていろ」

スタジオ

パシャッパシャ

千早(受けたはいいものの…)

千早 ペタ-ン

千早「くっ…」

カメラマン「いいよ、いいよぉ!千早ちゃぁん!」

千早「…お世辞はやめてください」

カメラマン「ん?お世辞なんて言ってないけど?」

千早「お世辞でしょう…いえ、私の胸はお世辞にも…くっ!」

カメラマン「あぁ、そこやっぱ気にしてたんだねw違う違う、俺が褒めてたのは千早ちゃんの脚だよ」

千早「え?あ、脚…ですか?」

カメラマン「あぁ、これほどまでに鍛え抜かれた脚線美はキミのところの真ちゃんにも劣らないよ!」

千早(そういえば、真もグラビアの仕事をしていたわね…でも…)

千早「…私なんかでいいんですか?」

カメラマン「千早ちゃんがいいんだって!」

千早「…貧相な身体つきだし」

カメラマン「スレンダーでいいじゃない!」

千早「無愛想だし…」

カメラマン「クールビューティって感じがビンビンくるよ!」

千早「めんどくさい性格だし…」

カメラマン「…千早ちゃん、冗談だろう?君のストイックさはファンのみんなが知っている。誰も君のことをめんどくさい性格だなんて思ってないよ!」

亜美「そうだYO!」

千早「亜美!?」

真美「真美たち、千早お姉ちゃんのこと大好きだもん!」

千早「真美…そう、ありがとう…」ニコッ

パシャッ

カメラマン「…ここに来てのちーちゃんスマイル…バッチリいただきました!」

黒井「グラビアと聞くと女性はどうしてもイヤらしいと感じるかもしれない。しかし、写真とはある種の芸術なのだよ」

亜美「おっぱいだけじゃないってこと?」

真美「亜美…流石に言い方が…」

黒井「まぁ、端的に言えばそういうことだと、如月千早の身体は誰がなんと言おうと美しい…」

ガチャッ

亜美「あっ、千早お姉ちゃんが出てきたよ!」

千早「…」

黒井「ごくろう、よくやり切ったな」

千早「あ、あの…」

黒井「ん?どうした?」

千早「…こんな世界もあるなんて…知りませんでした…よく知らずに反抗して申し訳ありませんでした…」

黒井「ふむ、新しいものを知れた…か、ならばセリフが違うな如月千早」

千早「え?で、ではなんと…」

亜美「千早お姉ちゃん…それは流石に亜美たちでもわかるYO!」

真美「知らないことを教えてもらったらなんて言うの?」

千早「!?あ、ありがとうございました?」

黒井「貴様の世界が広がれば何よりだ。これで歌の表現も広がることだろう」

千早「まさか…最初からそのつもりで?」

黒井「貴様の主戦場くらい、わかっているよ…全ての道は貴様にとっては歌につながるのだ…覚えておけ」

千早「…はい!」

黒井「よし、それでは次の仕事だ!」

パーフェクトコミュニケーション

ハイハイハイ!ミュージックチャンピオン!

真美「次はフェアリーの三人だね!」

亜美「音楽番組かぁ…なんかこう、普通だね…」

黒井「そもそも私は無理難題を言っているわけではないのだがな…」

貴音「しかし、緊張いたします…」

亜美「え?そうなの?」

響「そうだぞ、なんせこの番組は初めてだからな」

真美「へぇ、そうなんだ」

美希「まぁミキには関係ないの」

響「だろうな…」

貴音「それに、私たちは黒井殿に一度ぷろでゅーすされております」

真美「あっ!」

亜美「そういえばそうだった!」

響「やり方がわかっている分、他の人よりは安心だぞ」

黒井「…」

本番

大御所芸人H「なはははw自分らエラい人気らしいな!みんな好きや言うとるわ!」

大御所芸人M「まぁ、みんなはフェアリーの三人はHのこと嫌いでしょうけどね」

大御所芸人H「なんでやねん!」

アハハハハハ

亜美「さっすが大御所コンビDTだね!」

真美「老いてなお健在だね!」

スタッフ「それでは歌の方よろしくお願いします!」

美希「はいなの~!」

大御所芸人H「ほな、頑張って…」

響「あれ?Hさんどこ行くんだ?」

大御所芸人M「あぁ、俺ら曲は見いひんねん」

響「えぇぇぇえ!?」

亜美「そ、そうだったぁ!」

真美「この2人、トークだけして帰っちゃうんだ!」

美希「ミキ的には聴いて行ってほしいの」

大御所芸人H「そんなこと言われたかて…興味ないもん」

美希 ガ-ン

興味ないもん…興味ないもん…興味ないもん…

響(ま、まずい!?)

貴音(美希にこれは…)

亜美「うあうあー!?めちゃやばだYO!黒ちゃん!」

真美「そうだYO!ミキミキがすねちゃったら…」

黒井「確かに、フェアリーの強さは美希ちゃんのテンションに大きく左右される」

真美「それがわかっててなんでハイハイハイ!にフェアリーを…」

黒井「あの2人が曲を聴かないことくらいわかっている。全て想定の範囲内だ…」

真美「うあうあー!?意味不明だYO!」

貴音(確かに妙です…以前の黒井殿ならば、美希の機嫌を損ねるようなものは極力排除していたはず…)

亜美「早くミキミキに何か手を打たないと…」

黒井「その必要はない、黙って見ていろ」

大御所芸人M「ほな」

大御所芸人H「頑張りやぁ」

美希「…」

響「あ、あの…美希?大丈夫か?」

美希「…ショックなの…ミキに…興味ない…って…」

貴音「み、美希?ですがこれも仕事…」

美希「響!貴音!」

響貴音「「え?」」

美希「ミキね、あの2人をぎゃふんと言わせたいの…だから、最高のパフォーマンス…一緒にしてくれる?」

響「…当たり前だぞ」

貴音「…ふふふ、響まで…これは私も本気で望む必要があるようですね…」

亜美「ミキミキの目が変わった…」

真美「それどころかひびきんやお姫ちんまで…」

黒井「私が生み出したプロジェクトフェアリーの唯一の弱点は美希ちゃんのテンションに左右されるということだ。それが許されるほどのカリスマ性を星井美希は14歳にして持っている」

亜美「でも、今回は…」

黒井「テンションに左右されるということは、逆に2人の力を引き上げることも可能ということだ」

ス-リルノナイアイナンテ!!

スタッフA「す、すげぇ…」

スタッフB「これスペシャルでも何でもない普通の収録だぞ…?」

スタッフC「俺は今ライブに来ているのか…?」

ザワザワ

ガチャッ

大御所芸人H「なんや騒がしいな」

大御所芸人M「どないしたんや?」

スタッフA「あ、DTさん!ちょっと見てくださいよ!」

大御所芸人H「あ?何をやね…ってこれは…」

カマゲイン!!!

大御所芸人M「ほぉ…」

響「♪~♪」

大御所芸人H「なんや、あの我那覇のダンス…」

大御所芸人M「速すぎるやろw」

貴音「ダメな恋を求めてるの♪何となく気付いてる♪」

大御所芸人M「深み出してるわぁ」

大御所芸人H「わかるんかい!いや、でもホンマ…でも何より…」

星井「Riskのない愛なんて♪刺激あるわけないじゃない♪わかんないかな♪」

大御所芸人H「おい、アイツほんまにさっきおにぎりの話しとった女か!?」

大御所芸人M「14歳ちゃうやろ!?刺激求めんな!甘いバーモントカレーみたいな恋愛しとったらええねん!」

大御所芸人H「ん?どういうこと?」

大御所芸人M「甘くて刺激があるのなんて恋愛だけで充分や」

大御所芸人H「なにいうとんねん!」バシッ

楽屋

亜美「すごいすごい!」

真美「すごいよミキミキ!ひびきん!お姫ちん!あの2人を引きずり出すなんて…」

美希「まぁミキが本気出せばこんなもんだって思うな!」

響「…よく言うぞ、曲もダンスも急にアレンジしすぎさー」

美希「それは響と貴音ならついてきてくれるって信じてたからなの」

響「!?ま、まぁ自分完璧だから…」

亜美「あ、ひびきん照れてる!」

真美「やーいやーい、ひびきんのツンデレー!」

響「うぎゃぁあ!?なんなのもおー!」

ワイワイガヤガヤ

貴音「黒井殿、一つお聞かせいただけますか?」

黒井「…なんだ?」

貴音「私たちは以前貴方のぷろでゅーすを受けたことがあります…だからこそわかるのです。以前の貴方なら、美希のやる気が無くなるものは徹底的に排除していた…私たちがこの番組に今まで出たことがなかったのがその証拠…なのになぜ今回は…」

黒井「…変わらない人間はいない。ましてや星井美希はまだ14歳だ。日を増すごとに成長しているのが目に見える」

貴音「それはそうですが…」

黒井「私は、あの幾多のトラブルを乗り越え、成長した『今の』美希ちゃんにならこの番組はカンフル剤になると思った。そしてそれが的中した。それだけの話だ」

貴音(そのトラブルのいくつかは貴方が持ってきたものですが…)

黒井「同じ人間だからと言って、同じプロデュースをするなどナンセンスだ。『上手くいったから次もそうしよう…』それは停滞に他ならない。そして、周りが常に進歩を続ける中で停滞すると言うのは、自ら後退しているに等しいのだよ」

貴音「なるほど…それでは…」

黒井「?」

貴音「次の機会には、『今の私』にあったぷろでゅーす、お待ちしてます」

黒井「ふん、言ってくれるではないか…さぁ、次の仕事だ!」

パーフェクトコミュニケーション

Pさま!プレッシャー勉学!

亜美「やだヤダヤダヤダ!」ジタバタ

真美「勉強なんてしたくないぃぃぃぃい!」ジタバタ

黒井「全く、清々しいくらいの拒否だな…今日一番だ」

真美「だって勉強嫌いなんだもん」

亜美「モノマネ番組とか出してYO!」

黒井「アイドルが出る番組ではないな…」

真美「新ネタもあるんだよ?」

亜美「2人で765プロの全員のモノマネするの!」

真美「題して2人765プロ!」

黒井「凄まじい技術だが、内輪ネタが過ぎる。却下だ」

亜美「えぇぇ!?」

真美「ブーブー!」(>з<)

黒井「なんだその顔は!?どうやっているのだ…もう、いいから行ってこい!」

真美「うわぁ!?」

亜美「みんなに比べて亜美たちの扱い雑じゃない!?」

本番

中堅芸人M「プレッシャー勉学!中学生大会!」

亜美「あ、そこは流石に配慮してくれたんだ…」

中堅芸人O「それでは、まずは歴史の問題!」

真美「はぁ…しょーがないね。わかんなくてもとりあえず埋めて…ん?」

亜美「あれ?普通に…」

真美「わかる…」

中堅芸人M「双海亜美!双海真美!両者正解!」

亜美「やったぁ!」

中堅芸人O「続いては漢字の問題!」

真美「この間りっちゃんと一緒に練習した漢字だ!」

中堅芸人M「正解!」

真美「やりぃ!」

中堅芸人O「続いては数学の…」

亜美「この問題、りっちゃんゼミで見たことある!」

中堅芸人M「正解!」

亜美真美「「やったぁ!」」

一方そのころ…

P宅

P「ゴホゴホッ!…はぁ…まさか律子も小鳥さんもインフルになるなんて…社長に申し訳ないな…」

ピコンッ

P「ん?社長からメッセージ…えっ!?社長もインフルエンザ!?じゃあどうしたら…えっ?代役を立てた…誰だ?返信して聞いてみるか…」

同時刻

秋月家

律子「ゴホゴホッ!…はぁ…まさかプロデューサー殿と小鳥さんも同時にインフルエンザだなんて…社長、大丈夫かしら?」

ピコンッ

律子「あら?社長から…って社長もインフル!?じゃあ仕事はどうやって…代役?誰ですかそれ…」

ピコンッ
ピコンッ

高木『ほら、君たちもよく知ってるだろう?黒井だよ!」

P「…」

律子「…」

P律子「「何考えてんだ(の)!?あのバカ社長!?」」

P「くそっ!もうインフルがどうとか言ってられない!」

律子「小鳥さんもプロデューサー殿もいない今、私が動かなきゃ!」

P「待っていろみんな!」

律子「すぐに助けに行くわ!」

収録後

亜美「終わってみればなんてことなかったね」

真美「うん、多少間違えたけどトップになっちゃった!」

黒井「貴様らは聞くところによれば医者の娘なのだろう?サボっているのでもなければ、頭が悪いわけがない」

亜美「へぇー、そこまで見抜いてたんだぁ」

真美「でもさ…今日黒ちゃんはみんなにわざわざ苦手な仕事をさせたよね?…結果的には成功したけど…」

亜美「そうだよ、なんでそんなことしたの?」

黒井「ふむ…『苦手』か…苦手とはなんだ、誰が決めた?」

亜美「そんなの自分でわかるっしょ?」

黒井「そうだ、『苦手』だと思っているのは他ならぬ自分だ。まぁ菊地のようなパターンもあるが…どうして貴様たちは勉強が苦手なんだ?」

亜美「そりゃ…」

真美「つまんないし…」

黒井「そう、『つまらない』からだ。必ずしも『できない』というわけではない」

亜美「あっ…」

真美「確かに…」

黒井「自分の得意分野で勝負する。いいだろう。間違ってはいない。私でもIAのような大舞台なら必ずそうするだろう」

黒井「しかし、普段からの仕事ならば『苦手』にチャレンジしても良いのではないか?もしかすると、今日のお前たちのように『得意』に変わるかもしれないぞ?」

真美「でも、失敗したら…」

黒井「そんなものは苦手なことをわかった上でやらせたこちらの責任だ。お前たちが気にする必要など微塵もない。それに失敗したところで死ぬわけでもあるまいて…」

亜美「そっか…そうだよね…」

黒井「全く…だから高木のやり方は甘いのだ」

真美「真美たち…今まで間違ってたのかなぁ…」

亜美「楽な方に流されてたのかなぁ…」

黒井「これはあくまで私のやり方だ。私はこれ以外のやり方を知らない。高木に私のやり方ができないように、私には貴様らのポンコツプロデューサーと同じ真似は絶対にできない」

亜美「どうして?」

真美「黒ちゃん意地は悪いけど敏腕なのに…」

黒井「余計な一言が聞こえたが…私と貴様らのポンコツプロデューサーとの決定的な違い…それは…」

P「真美ぃぃぃぃぃぃい!」ズドドドドド

真美「に、兄ちゃん!?」

律子「亜美ぃぃぃぃぃぃい!」ズドドドドド

亜美「うあうあー!?りっちゃんまで!?どうしたの2人とも!?」

真美「寝てなきゃダメっしょ!?」

P「そんなこと言ってる場合か!ゴホッ…!」

真美「ほら、言わんこっちゃない…」

律子「亜美…ぜぇ…真美…ぜぇ…うつるから…はぁ…離れて…なさい…」

亜美「じゃあどうして走ってきたのさ…」

P律子「「そんなの…こいつ(黒井)から守るために決まってるだろうが(でしょうが)!」」

亜美真美「「!?」」

P「事前のスケジュールから大幅に変更されていたからこんな時間になっちまったが…」ゼェゼェ

律子「もう…好きにはさせませんよ!?」ゼェゼェ

P「真美と…」

律子「亜美は…」

P律子「「死んでも俺(私)たちが守る!!」」

亜美「りっちゃん…兄ちゃん…」

真美「そんな…高熱が出てるのに、真美たちのことを…」

黒井「…よく覚えておけ、双海姉妹」

亜美真美「「?」」

黒井「これが、こいつらにあって私にないもの…貴様らへの『愛』だ」

亜美真美「「!?」」

黒井「見てみろ、この2人を。高熱で死にかけている人間とは思えん。今にも私を噛み殺しそうな面構えだ」

P律子 ギロッ

黒井「そこが、私とこいつらとの決定的な違いだよ…愛すればこそ、傷ついて欲しくない。愛すればこそ、辛い思いをさせたくない。奴らのプロデュースの原動力はそれなのだ。」

黒井(そう、辛い思いをさせたくないから無理ができない…だからこそ、私はそれを捨てたのだ…)

真美「兄ちゃん…」

亜美「りっちゃん…」

黒井「覚えておけ、これが最強のプロデュースだ。何しろ私に勝ったのはこの2人なのだからな…」スッ

P「ま、待て!どこへ行く!?」

黒井「私は暇ではないのだよ!次の仕事だ…アデュー!」

律子「待ちなさ…」ガクッ

亜美「りっちゃん!?無理だYO!これ以上無茶しないでぇ!」

真美「真美たちは大丈夫だからぁ!」

律子「ほ、本当に?」

P「無理矢理πタッチとかされてないか!?」

真美「それは兄ちゃんじゃ…」

亜美「大丈夫だよ、黒ちゃんが変なことしないように亜美たちが見張ってたんだから…」

律子「そう…なら安心ね…」ニコッ

P「安心…なのか?ダメだ…ボーッとする…」

真美「…ねぇ、兄ちゃん」

P「ん?どうした?真美?」

真美「…兄ちゃんが復活したらさ、真美たちにお勉強系のお仕事入れてよ」

P「…うん、やっぱり熱があるみたいだ…真美が『勉強』なんて単語使うわけない…」

真美「単語ごと否定された!?」

律子「そうですね…やっぱり私たち…相当酷いみたい…」

亜美「うあうあー!?りっちゃん、本当に亜美たちのこと愛ちてるのぉ!?」

ワイワイガヤガヤ

黒井「…おい、お前もインフルエンザだったんじゃないのか?」

高木「おやぁ?そうだったかなぁ…いやはや、この歳になると忘れっぽくていけないな」

黒井「とぼけるな!貴様…インフルエンザでないのならば私がやる必要など…」

高木「いやいや、必要なのだよ。私にはこのプロデュースはできないからね…」

黒井「ちっ…やはり貴様…わざと…」

高木「『苦手』とは何か、勉強になったよ」

黒井「高木…貴様…」

高木「しかし、最後だけが解せないね…」

黒井「…何だと?」

高木「…愛仕方が違うだけで、君もちゃんとアイドルを愛しているじゃないか」

黒井「くっ…くっ…くっ…くははははははは!愛している!?私が?やはり貴様の目は節穴だ!いや、ひょっとして本当にインフルエンザにかかっていたのか?私が愛だと!?バカバカしい!」

高木「ふむ…ではどうして彼女たちにわざとあんなプロデュースを?他ならぬ大嫌いな私からの頼みだ、失敗しろとは言わないが適当で良かったのではないか?」

黒井「…ふん、あの程度しか歳をとっていない小娘どもが自分の道を今から決めつけているのがムカついただけだ…」

高木(…自分たちの可能性を狭めているのを放ってはおけなかった…と言い換えたら怒るんだろうな)

高木「…全く、素直じゃないな」

黒井「それよりも、約束の件は大丈夫なんだろうな?」

高木「あぁ、うちと315プロとの合同ライブが決まったよ…お言葉だが、ジュピターならもう大丈夫ではないかね?」

黒井「ふん、うちを追い出されて困窮している様子を見たいだけだ」

高木(全く…何が私にはできないだよ…)

パーフェクトコミュニケーション

黒井「まぁ次の仕事で今日は終わりだ…」

あず散歩収録現場

あずさ「よろしくお願いします~」

スタッフA「三浦あずささん入られました~!」

スタッフB「マイク着けます!」

スタッフC「照明当てます!」

スタッフD「迷子ひも着けます!」

黒井「待て待て待て待て!何だそれは!?」

スタッフD「え?迷子ひもですけど…」

黒井「そんなもの映り込んでみろ!?なんのプレイかと思われるぞ!」

あずさ「あらあら、大丈夫ですよ。カメラには映らないようにしますから~」

黒井「余計に怪しいわ!?もういい、絶対に着けるな!」

スタッフA「し、しかし…」

黒井「いいから着けるな!成人女性に迷子ひもなど必要ないだろう!全く…」

スタッフC「た、大変です!?」

黒井「今度はどうした?」

スタッフC「あずささんが…消えました!」

黒井「は?」

スタッフA「探せぇぇぇぇえ!県…いや、せめて国を超える前に探すんだ!」

黒井「国!?何を言って…」

スタッフB「あずささんは次元を超えるレベルの方向音痴なんですよ!」

スタッフD「この間なんて迷子ひも外した隙にモスクワに居たんですから!」

黒井「逆になんで迷子ひもでどうにかなるんだそれは!?」

トゥルルル

スタッフA「電話!あずささんだ!」

スタッフB「もしもし!?あずささんですか?今何が見え…スフィンクス!?」

黒井「くっ…よし、わかった。待っていろ…」ポパピプペ

スタッフD「ど、どうしたんですか?」

黒井「今961プロのスタッフを向かわせた。これであんし…」

トゥルルルル

スタッフC「もしもし?えっ!?ビッグベンの時計塔が目の前に!?」

黒井「ちっ…移動したか…待っていろ…今別のスタッフを向かわせる!」

トゥルルルル

スタッフA「もしも…え?ガンジス川?」

黒井「インドだ!インドへも人員を送れ!」

トゥルルルル

スタッフD「もし…は?地球は青かった?いや、あずささん今どこに…」

黒井「月だ!ロケットで月へ行けぇぇぇえ!」

迷子ひもをつけなかったせいで次々にワープするあずささんを追いかけて、961プロの財源は枯渇寸前になった…

因みにあずささんは勝手に戻ってきた。

バッドコミュニケーション

終わり

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