モバP「喜多見柚がアイドルである理由」 (29)
P「はい。…はい。承知しました。メール、確認しますね。ありがとうございます」
P「失礼します」
P「…ふぅ」
ちひろ「お疲れさまです。順調そうですね」
P「あ…コーヒー、ありがとうございます。…おかげさまで、また忙しくなりそうです」
ちひろ「今度のバラエティ番組の件ですよね?すっかり人気アイドルですね、柚ちゃん」
P「本当に」
P「…来月はバースデーライブもあるし、本当はあまり無理はさせたくないんですけど」
ちひろ「……」
ちひろ「私たちがフォローしてあげないとですね」
P「ええ」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1573223040
ちひろ「ただ…まあ、それはプロデューサーさんも同じです」
P「え?」
ちひろ「最近、ひときわ忙しいのはプロデューサーさんも同じですから」
ちひろ「ちゃんと、自分のことも気にかけてあげてください」
P「…不思議な言い方ですね、なんだか」ハハ
ちひろ「そんなことないですよ。まず自分があって、です」
P「……そう言われると」
P「なかなか、プロデューサー業ってのは難儀なもので」
ちひろ「だから私がこうやって言うんですよ」
P「…。そうですね。ありがとうございます」
ちひろ「いえ」
期待
P「さて。それじゃあもうひとふんばり…」
ちひろ「夕食、なにか買ってきましょうか」
P「ああ。その、お構いなく。ちひろさんは先に終わってください。どうせまだかかりますし」
P「えっと、ほら。ライブの件と、さっきの電話の件もありますし、それだけでも」
ちひろ「……」
ちひろ「…まあ、」
ちひろ「こっそり家に持って帰るよりはいいと思うことにします」ハァ
P「助かります」
ちひろ「それでは、お言葉に甘えて」
P「はい。お疲れさまです」
ちひろ「お疲れさまです」
ちひろ「明日、今日何時までいたのか聞きますから正直に答えてくださいねー」
P「お、お手柔らかに…。おやすみなさい」
P「……、ふぁ…。さて」
P「っと、メールメール…。事前の番組アンケートか…」
P「印刷して、と…。…カロリーメイトでもつまみながら見るか…」
P「……」モグモグ
P「…アイドルになった理由…。…将来の夢」
P(けっこう突っ込んだ質問も聞くんだなあ…)
P「じゃあ、これは明日柚に書いてもらうとして…」
P「……。柚がアイドルになった理由、か……。」
柚「それはまあPサンにスカウトされたからだよねー」
P「まあ、そうだよな」
柚「うん」
P「…………」
柚「?」ニパニパ
P「……びっくりして突っ込むの忘れちゃったよ」
柚「おつかれだね!」
柚「へへっ」
柚「お疲れさまです!」
P「はいお疲れさま。幻覚?」
柚「ホンモノだよ。さわってみる?柚と握手!」
P「わー本物だ」
柚「わーい」
P「わーいじゃないが」
柚「あれ?」
P「なんで」
柚「ノックはしたんだけどね?」
P「ああ、ボーッとしてたかもしれない」
柚「いいよ!」
P「すいません」
P「じゃなくて、なんでこんな時間に」
柚「柚出鬼没がモットーだよ」
P「いいにくい」
柚「ゆずしゅちゅ」
P「いえてない」
柚「部活の帰りなんだー。だれかいるかなーってなんとなく!」
P「なんとなくか」
P「あんまりよくないよ。もうけっこう遅くだし」
柚「うん。ごめんなさいっ」
P「いい返事」
柚「へへっごめんなさい♪」
P「いい笑顔」
P「…まあ、来ちゃったもんはしょうがないけど…」
P「外、寒かっただろ。何か温かいものでも飲むか?」
柚「ううん。仕事の邪魔しに来たわけじゃないから気にしないで。自分でなにかいれる」
柚「となりで宿題、やっていってもいいカナ?」
P「うん。どうぞ」
P「あとで送るよ」
柚「…、へへっ。アリガト」
P「いいえ」
P「…本当は家だと集中できないから、自習室代わりにしに来たんだろ」
柚「へへーどうだろねー」
柚「さてっやるぞー」
P「はい頑張って。…俺も資料の続き、読もう」
柚「……」カリカリ
P「……」パラ
柚「……」ウーン
柚「……」…??
P「……」
柚「…………」ムム…
P「…」
柚「…!」ペカー
P(解けたんだな)ワカリヤスイ
柚「♪」
P「…」パラ
柚「…」
柚「…」
柚「ねえPサン」
P「うん」
柚「さっきの質問、いま答えてもいいカナ?」
P「ん?」
柚「アタシがアイドルになった理由」
P「…ああ、これ」
P「いいよ。明日はちゃんと仕事で来てくれるスケジュールになってるだろ?そのときで大丈夫」
柚「でもほら、ライブも近いし、レッスンに時間とれた方がいいし」
P「…。まあ、柚がそう言うなら」
P「…宿題に飽きただけじゃないよな?」
柚「ぎく」
P「…………まあ」
P「気分転換ってことにしておこう」
柚「わーい」
柚「まあさっき答えたままなんだけどね」
P「俺が声をかけたから?」
柚「うん」
P「…、それはまあ、なんというか……」
P「……うまい具合に書いておこう」
柚「情熱的に口説かれましたと」
P「ばっ、よかったシャーペン。こら」
柚「ふに」
柚「じ、冗談だよ」
P「……まあそこまで含めて柚らしい回答、…か?」
柚「でしょ?」
P「……」
柚「ゴメンナサイ!」
P「いい返事」
柚「ごめんなさい♪てへぺろ♪」
P「かわいい」
柚「へへっ。照れるっ」
柚「じょうだんはさておきー」
P「はい」
柚「まあホントなんだよねー。Pサンにスカウトされてなかったら、なってないし。アイドル。たぶん」
P「そうなのか」
柚「そうなのだ」
P「そっか」
P「……。じゃあ、将来の夢は?」
柚「おっむずかしい質問だねーえっとねー」
柚「アイドルかな!」
P「えっ君いまアイドルじゃないの?」
柚「あっアイドルだアタシっ」
柚「えっと、うん。そう。じゃなくて」
柚「アイドルで、あることっ。それがいまのアタシの夢かな」
P「それは…えっと」
P「もう、叶ってるってことか?アイドルになる前は、アイドルになるなんて思ってなかったのに?」
柚「ちょっと違う」
柚「知らなかったんだー。アイドルになるまえ、アイドルがこんなに素敵なことだって」
柚「毎日楽しいことばかりで、新しいオシゴトさせてもらって、いろんな友達ができて」
柚「面白いことばっかり。だから要するに」
柚「たぶん、いまのアタシが面白いこと、なにかないカナーってこれからも自然に生きてたら、アタシはこれからもアイドルなのかなーって思う」
P「…………ああ…うん…」
柚「それで、これはきっとPサンに見つけてもらってなかったら気づかなかったことなんだよねー」
P「…………」
柚「Pサンに出会うまえの、普通の女の子の柚はこんな素敵なこと気づかなかったよ。知らなかったよ」
柚「だから、うんっ。アリガトっPサン!」
P「……うん」
P「ところで話変わってないか、それ」
柚「あれ?」
柚「あれ??ホントだ」
P「……」
P(それは、なんというか、……すごくいい理由じゃないか)
P「……そっか。柚がアイドルになった理由も、続けている理由も」
P「…柚がアイドルである理由は…それにいまは将来の夢だって。アイドルが目的なんじゃなくて、」
柚「?」
柚「あ、あれ、Pサン…」
P「ただただ楽しいことをずっと探して、続けてるから、…か」
柚「な、泣いてる?」
P「泣いてないよ」
柚「うそだー」
P「泣いてない」
P(それじゃあまるっきり)
柚「?」
P「お礼を言うのは俺の方だ」
柚「ン?」
P「ありがとう」
P「俺は、柚のプロデューサーで、本当によかった。こんなに素敵なアイドルに」
P「柚に出会えて本当によかったよ」
柚「…へ、へへ」
柚「へへっ。て、てれるなー。アタシはほらっ軽く言っただけなのに。なんでそんなしんみりしてるのー」
P「鼻水出てるぞ」
柚「アイドル柚チャンははなみず出ないタイプだよ!」
P「はいちーん」
柚「ぐぬう」チーン
P「あー…。頑張ろう。頑張るよ、俺ももっと」
柚「ン」
柚「まあまあっ。そんなにこんつめることはないと思うナっ」
柚「気楽に楽しく面白く♪ねっ」
P「ん」
P「ああ。そうだな。ありがとう」
柚「うんっ。いいえっ」
P「よし。じゃあもうひとふんばり、やるぞー」
柚「うんっ。よーし柚もしゅくだいもうひとふんばりー」
P「いやそのまえにもう帰りなさい。送るから」
柚「ぶー。じゃあほら、Pサンも一緒に帰る!」
P「……。」
P「了解。今日はもう帰ります」
柚「それがいいよ。そうしよー」
P「ありがとう」
柚「どういたしまして!」ペカー
P「…」
P(もしかして柚は最初から俺に気を遣って来てくれたのかな)
柚「?」
柚「どうしたのー。ほらっ行こう」
P「ああ。うん」
P「…なあ、柚」
柚「ン?」
P「……」
P「いや、なんでもない」
柚「えっなにそれ気になる」
柚「なになになにー」
P「ぐぅ。くるしい」
P「いや、ほら…。明日も…楽しい一日になるといいな」
柚「ううん。明日も楽しい一日にするっ。だよ!」
P「あ」
P「…うん。そうだな。そうしよう」
柚「そうしよー。へへ」
・・・・おしまい
おわりん
>>3 ありがとう
喜多見さんは本当に素敵なアイドル
お読みいただきありがとうございました
>>1おつ
この前の時子サマのときも思ったがトリに見覚えがある…
昔楓さんとか荒木先生も一緒に書いてなかった?
>>28 おつあり
そうだよ今もたまに書くよ。時子様のも読んでくれてありがとう。最近だとその前に社長とあきらちゃん出したのも書いたからよかったら
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません