アイリス「ねぇ、ノラ。今日が何の日だか……知ってる?」
アイリス「勿論知ってるわよね!? だって、当然大切な日だし! 一年に一度きりだし! 恋人のノラが忘れる訳ないわよね!?」
アイリス「あははっ。私ったら、彼氏を疑うなんて悪い彼女さん♪」
アイリス「ね、ノラ♡」
ノラ「えー? 何ー? 聞こえなーい!(焼きそば作ってる)」
ノラ「もっと大きな声で言ってー!!」
アイリス「なんで私の部屋で焼きそば作ってるのー!?」
ノラ「なんでってー! 今日一緒にご飯食べたいって言ったのアイリスだろー!?」
アイリス「誰も焼きそば作ってなんて言ってないじゃーん!」
ノラ「えぇ……(火を止める)」
ノラ「でも、俺が作れるのなんて焼きそばくらいだしなぁ。それに美味いっていってくれてたじゃん」
アイリス「それは、美味しいけど……。でもでも! 今日は特別な日なのよ? 特別な日に焼きそばはないと思わない?」
ノラ「うちの母さん、特別な日はいつも焼きそば作ってくれてたんだよなぁ。恋の味がするーとか言って泣きながら作ってた。何度目の恋かしらないけど」
アイリス「あーはいはい。あなたのお母さんの特殊な恋愛話とかいいから」
ノラ「特殊なのかな」
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アイリス「そうじゃなくって!! ね? 今日は特別な日でしょ!」
ノラ「特別な日?」
アイリス「そう! 一年に一度の!! 大事な大事な日!!」
ノラ「あー……」
アイリス「がんばって! がんばって思いだして! ほらほら!」
ノラ「あっ!」
アイリス「思いだした!?」
ノラ「思いだした思いだした!」
アイリス「やったぁ! もー! しょーがないんだからー。でも、早く思いだしてくれたから、あーたん許しちゃう♪」
アイリス「で?」
ノラ「マゾボさんの誕生日!」
アイリス「誰それ」
ノラ「知らない? 明日原が働いてる猫喫茶のおばあちゃん猫」
ノラ「あの猫の誕生日でさー。そういや前に誕生日プレゼント渡す約束してたの忘れてた」
アイリス「猫にプレゼント」
ノラ「思いださせてくれてありがとうな、アイリス」
アイリス「バッッッカじゃないの!? ネコにプレゼントとか!! 彼女のことほったらかして! ネコとデートでもするつもり!?」
ノラ「いや、これでもマゾボさんにはお世話になってるからさ。礼はしないとなって。やっぱり男としてさ」
アイリス「相手ネコじゃーん! 男ってネコとしてかーい!」
ノラ「これでも元はネコだし」
アイリス「知ってるわよ! 私がどれだけ苦労して涙流したと思ってるのよ! っていうか元って違うでしょ! 元は人間でしょ!!」
ノラ「あ、そうか。なんかネコ生活長かったからよく分からなくなっちゃった」
アイリス「ネコだから!? ネコだから今日が何の日か忘れちゃったの!?」
ノラ「アイリス……」
ノラ「勿論、憶えてるよ」
アイリス「えっ」
ノラ「バカだなぁ。俺がこんな特別な日を忘れる訳無いだろ。彼女なんだからさ」
アイリス「え……あ、あはは♪ やだぁ、もう……。そうやって面と言われると、あーたん恥ずかしい……(照れ)」
ノラ「作ってたのは焼きそばだけじゃないんだ。ちゃんと用意してあるよ」
アイリス「え、なになに? ノラ、何を作っちゃったのー? サプライズー♪ 的な感じで作っちゃったのー?」
ノラ「うん」
アイリス「楽しみー! 早く見せて見せて!」
ドン!!
ノラ「焼きそば型のケーキ!」
アイリス「……」
ノラ「ほらもっとよく見てくれよ! この麺の形をさぁ! 生クリームで表現するの難しかったんだ!」
アイリス「……」
ノラ「シャチと一週間くらい格闘して完成させたんだ! すごいだろ!」
アイリス「すごい」
ノラ「おかげで一週間ずっと失敗作のケーキ食べる羽目になったから少し太っちゃったよ。あっはは!」
アイリス「……」
ノラ「アイリス! メリークリスマス!!(クラッカー鳴らす)」
アイリス「……」
ノラ「恋人なんだからクリスマスイブなんていう大イベント忘れる訳ないだろ!」
ノラ「焼きそばは勿論、ターキー入りだぞ! 美味そうだろ! 一緒に食べよう?」
アイリス「……」
ノラ「アイリス?」
アイリス「……今日」
アイリス「私の誕生日なんだけど」
ノラ「……」
………
……
…
ノラ「アイリス! ハッピーバースデイ!!(クラッカー鳴らす)」
***
アイリス「うぅぅぅぅーーーーーっっつっ!!!(泣いてる)」
明日原「よーしよし、良い子良い子ー。あーぱいは悪くないよ。うん、悪くない」
ノブチナ「あむっ。……本当に焼きそば型のケーキだぞ。美味いな(食べてる)」
井田「食うなよ」
アイリス「それでぇー! ノラがぁー! わだしの誕生日わずれるわけないって言い訳しだりしでぇー! うそばっかりつくのぉ-!!」
明日原「クズ野郎っすね」
アイリス「そうなのぉー! クズ野郎なのぉーー!!」
ノブチナ「恋人の誕生日忘れる彼氏なんて捨て置け。このまま付き合っててもいいことなんてないぞ」
アイリス「でもでもぉー! 焼きそば型のケーキを一週間もかけて作るそんなノラがぁぁ! 大好きなのぉぉぉーー!!」
ノブチナ「DV受けてる彼女って、大体こんな感じなんだろうな」
井田「病みすぎだぜ」
田中ちゃん「アイリスさんの気持ち、分かります!」
明日原「田中ちゃん、分かっちゃダメ!!」
アイリス「なんでよぉぉぉ!!」
田中ちゃん「いえ、私も誕生日が一月一日のお正月なんですけど……」
ノブチナ「縁起がいい女だな」
田中ちゃん「そのせいで、新年のお祝いと誕生日のお祝いを一緒にやってしまうので、あまり誕生日という感じがしなくて……」
明日原「あーなるなる。お祝い事が重なってると親って面倒くさがってまとめて消化しがちっすよね」
ノブチナ「金のかかることは特にな」
田中ちゃん「それで、たまに誕生日を忘れられる年もあったぐらいなので……。だからアイリスさんの気持ち、分かるんです」
明日原「なんて不憫な田中ちゃん…! あたしがプレゼント買ったげる!」
田中ちゃん「いえ、大丈夫ですよ。その代わりに、毎年井田さんと井田さんのお姉さんが祝ってくれていたので」
井田「田中! てめ、余計なこと言うんじゃねーよ!」
ノブチナ「なんだ、昔からちゃっかりやってるんじゃないか井田」
井田「そんなんじゃねぇし! 姉ちゃんがやってるから俺も巻き込まれてただけだし!」
明日原「てれるなてれるなヤンキー!」
井田「てれてねーし!!」
ノブチナ「田中ちゃんももうすぐで17歳か……。時が経つのはあっという間だな」
田中ちゃん「本当だね……♪」
ミヨキチ「にゃあ」
明日原「あ、そう言えばミヨキチも誕生日らしいんですよー。ノラパイから教えてもらったんすけど」
ノブチナ「あいつどんどん人外化してくな」
明日原「折角だからまとめてパーティーしちゃいましょ! 調度ケーキもありますし!」
田中「え、そのケーキは……」
アイリス「あたしのことほったらかしにして盛り上がらないでぇぇぇぇぇ!!」
ノブチナ「あ」
明日原「忘れてた」
ノラ「アイリス!!」
明日原「あ、ノラぱい」
ノブチナ「出たなクズ男め」
ノラ「アイリス、ごめん」
アイリス「ふぇ……?」
ノラ「俺、彼氏として本当に悪いことしたなって思ってる」
ノラ「恋人の誕生日忘れるとか最低だよな」
ノラ「恋人よりクリスマス優先しちゃってさ」
ノラ「何がメリークリスマスだよな」
アイリス「ノラ……」
ノラ「俺、クリスマスには特別な思い出があってさ」
ノラ「昔から母さんとシャチと、盛大に祝うんだ」
ノラ「母さんの塾に通ってた子達もみんなみんな集めてさ」
ノラ「すっごい楽しいパーティーで。料理なんかも沢山作って」
ノラ「だから、俺の中に締めるクリスマスの優先度ってすげぇ高かったんだ」
ノラ「ごめん。頭の中クリスマスな彼氏でごめんな」
ノラ「でもこれからは、頭の中アイリスになるから」
ノラ「クリスマスは、アイリスバースデーだから」
ノラ「ハッピークリスマスだから!」
アイリス「ノラぁ……(泣いてる)」
明日原「なんか良い感じに語ってますけど、全部言い訳っすよあれ」
ノブチナ「しかも結局クリスマスが顔を出したままだぞ」
アイリス「すきぃぃぃぃーーーーーー!!!」
明日原「は?」
アイリス「一生一生、頭の中ハッピークリスマスにしてあげるぅーーー!!」
田中ちゃん「仲直りしたみたいで良かったですね♪」
ノブチナ「おめでたいな」
***
アイリス「ノラと皇女と野良猫ハート、2!」
***
24日はアイリスの誕生日ということなので、一日遅れですがネコのお考えを即興で書いてみました。
コチラもどうぞよろしくおねがいします。
【ノラとと】ノラと皇女と野良猫ハート Rainy Heart
【ノラとと】ノラと皇女と野良猫ハート Rainy Heart - SSまとめ速報
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