【ノラとと】ネコのお考え「おっぱい星人」【ノラと皇女と野良猫ハート2】 (20)

 

ナレーション「それは、とある日のこと――」


ノラ「ただいまー」

シャチ「お帰りなさいノラさん。今日はノブチとデートだったのですか?」

ノラ「え、ああ……うん。いや、うーん」

シャチ「?」

ノラ「デート、かぁ」

シャチ「……」

 

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ナレーション「そして、とあるワイドショーを見ていた時のこと――」



キムタケ「いやぁ、最近彼女の束縛が厳しすぎてですねぇ……」

司会者「キムタケさんぐらいイケメンだとモテモテでしょうからねぇ! キツめに束縛しないと浮気しちゃうと思われちゃってるんじゃないですかぁ!?」

キムタケ「いえいえ! ボクは一途な人間なんですよ! 彼女一筋ですから!!」

ミツ「それじゃあワタシがアタックしても、全然振り向いてくれないんですかぁ?(媚び)」

男性芸能人「ミツさんじゃあ仕方ないですかねぇ」


アハハハ…!


 

 

ノラ「束縛かぁ」

シャチ「ノラさん?」

ノラ「やっぱり、女性って男を束縛したがるもんなのかな」

シャチ「そうですね。女性は自分のことだけを見て貰いたいという願望が、男性より強いかも知れません」

シャチ「その感情が行き過ぎた結果、お相手の男性を束縛してしまう可能性はあるかと」

ノラ「なるほどな」

ノラ「それじゃあ、ノブチナはあんまり俺のことが好きじゃないのかなぁ」

シャチ「何故そう思うのですか?」

ノラ「あんまり束縛してこないからさ。付き合ってるはずなんだけど、いつも通りっていうか」

シャチ「ノブチの性格上、あまり束縛しそうなタイプだとは思いませんが……。だからといって、嫌いと言うことにはならないと思いますよ」

ノラ「そうか?」

シャチ「はい。浮気さえしなければ大丈夫ですよ」

ノラ「それなら大丈夫だよ。俺は浮気だけは絶対しないからさ。浮気なんて男として、いや、人として最低だよな。あはは」

シャチ「ふむ」


シャチ「……録音完了(小声で)」

ノラ「え? 何か言った?」



………
……



 

 

ノラ『……~~浮気だけは絶対しないからさ。浮気なんて男として、いや、人として最低だよな。あはは』



明日原「典型的な浮気性の発言ですね。してます。絶対。あたしが言うんだから間違いありません」

シャチ「やはり……」

黒木「あの、シャチさん? これってその、盗聴というやつなんじゃ……」

ノエル「大丈夫です。この録音機材はアンクライ皇国製ですから」

黒木「何が大丈夫か全然分からないんですけど」

井田「つーか、んな大事なもん人に貸すなよ。しかもくだらねーもん録音してんじゃねーし」

明日原「下らなくなんかないっすよヤンキー! 友達が浮気発言してんすよ!」

田中ちゃん「で、でも、反田さんは浮気してるなんて一言も言ってないですよ……?」

シャチ「いえ、この発言だけなら私もまだ疑ったりはしません」

明日原「まだ」

シャチ「しかし最近のノラさんの行動や発言が、余りにも怪しかったもので」

明日原「それでアタシに、ノラパイが浮気してるかどうかの素行調査を依頼しにきてくれたんすよね」

ノエル「その際に、私が録音機材を提供致しました」

井田「機材はいらねーだろ」

 

 

井田「つーか、浮気の素行調査ならノブチナの姉貴に頼めばいいじゃねーの。弁護とかやってんだし、色々詳しいだろ」

明日原「あムリムリ。お姉さんに頼んだら――」


ノブチカ「依頼費、調査料込みで100万」


黒木「たっか!!」

井田「家族のよしみとかそういうのねーのかよ!!」

シャチ「家族のごたごただからこそ、仕事として請け負わないように断ったとも取れますが……」

明日原「お姉さんガチでノブチに厳しいからどーかなー」

黒木「家族ならせめて直接声かけてあげるとか、ないんですかね……」

明日原「きっと殺し合いになりますよ。仁義なき決闘ってやつです」

井田「笑えねーよ」

 

 

田中ちゃん「家族ですし、もっと仲良くすることはできないんでしょうか……?」

シャチ「それには、ノラさんの浮気を白日の下に晒さなければなりません」

黒木「確定、なんですか」

明日原「確定、っすね」

シャチ「確信、したくありませんでしたが」

井田「角材とか持ってこなきゃいいけどよ」

 

 

ナレーション「更に、数日後のこと――」



ノブチナ「ノラ、携帯を貸せ」

ノラ「え、いいけど」

ノブチナ「ふむ」



………
……




ノラ「もういいか?」

ノブチナ「ああ」

ノラ「なにしたんだ?」

ノブチナ「私以外の女の連絡先全消去しておいた」

ノラ「は?」

ノブチナ「それと女との出会いに関係しそうなアプリも全部消しておいた」

ノラ「ちょ」

ノブチナ「ついでに携帯にロックもしておいた。これで私の許可無く携帯を使うことはできんぞ」

ノラ「……」

 

 

ナレーション「ノラは思いました」


ナレーション「あ、これ束縛だ――!」

ナレーション「俺、今彼女に携帯管理されてる! めっちゃ束縛されてる! と」



ノラ「いよっしゃぁぁぁぁぁぁ!! 束縛だぁぁぁぁぁ!!」



ナレーション「ノラは歓喜しました」

ナレーション「俺、やっぱりノブチナに好かれてんじゃん! 彼女じゃん! デートじゃん!」

ナレーション「――しかし、そう思ったのも束の間」



ノラ「……何してんの(真顔)」

ノラ「さすがにそれはやりすぎじゃない?」

 

 

ノブチナ「うるさいな。彼女なんだからこれぐらい当たり前だろう」

ノラ「いやいやいや。当たり前じゃないし。それにほら、シャチとも連絡取れなくなったら色々困るだろ」

ノブチナ「なるほど。シャチと浮気していたということか。この色魔!」

ノラ「浮気!? 誰が!?」

ノブチナ「お前じゃぁぁ!!(殴る)」

ノラ「(避けて)あっぶね! いきなり何するんだよ!」

ノブチナ「私というものがありながら、同居人の幼馴染みに手を出そうとするとはいい度胸だ」

ノラ「手出してねーし! え、なんで急にそんな話になんの? 展開が見えない!」

ノブチナ「友人の調査報告結果を考慮しての判断だ。やむを得まい」

ノラ「意味分かんない!」

ノラ「第一、シャチは兄妹みたいなもんだからそんな目で見れねーって!」

ノブチナ「男はみんなそういう言い訳をすると明日原に教えて貰ったぞ」

ノラ「しないしない! みんなそんなピンポイントな言い訳しない!」

ノブチナ「どうせお前はおっぱいがいいんだろ! 所詮は男はおっぱいの大きさしか見てないんだな! このおっぱい星人め! 一生おっぱい目指して宇宙旅行してろ!」

ノラ「そりゃおっぱいは大きい方がいいに決まってんじゃん! 当たり前だろ! そんな星行きてぇよ! でもそうじゃないだろ! おっぱいとノブチナは違うだろ! ノブチナはおっぱいじゃないだろ!」

ノブチナ「ああ私はおっぱいじゃないさ! シャチのおっぱいに比べたら私のおっぱいなんて鉛のようなもんだ! どうせシャチのマシュマロのような柔らかいおっぱいが恋しくなったんだろ! おっぱいホームシックになったんだろ!」

ノラ「なんだよおっぱいホームシックって! シャチのおっぱいの柔らかさなんて知らねーし! 昔に揉んだことあるらしいけど憶えてねーし! おっぱいホームシックになりてぇよ!」

 

 



シャチ「……(照れてる)」

明日原「なんでこの二人はシャチパイのおっぱいで盛り上がってるんすかね……」

黒木「ですから! これ盗聴ですよね!? 現在進行形で! 犯罪ですよ!」

ノエル「さすがアンクライ皇国製。音質が滑らかです」

黒木「全然どうだっていいですよそんなこと!! ああ! 文法がおかしい!!」

田中ちゃん「なんだかおっぱいって言葉がだんだん可愛い言葉に聞こえてきました……」

井田「おい田中! しっかりしろ!!」



 

 

ノラ「(落ち着いて)なぁ、急にどうしたんだよ? ノブチナらしくないじゃんか」

ノブチナ「私だってな……女なんだぞ。男の怪しい行動を見ていたら不安の一つも憶えるんだ」

ノラ「怪しい行動って……」

ノブチナ「だからたまには彼氏であるノラを束縛したっていいじゃないか」

ノラ「そういうもん、なのか?」

ノブチナ「女は男を束縛するものだ。と、恋愛博士が言っていた」

ノラ「誰だよそいつ」

ノブチナ「黒木だ」

ノラ「絶対参考にしちゃ行けないやつ!!」


 

 


黒木「ひっどっ! 絶対って反田君ひどすぎませんか!?」

明日原「未知パイもしっかり聴いてるじゃないですかぁ。ほらほら、一緒に楽しみましょ」

井田「楽しんでんじゃねーか」


 

 

ノラ「ノブチナ。束縛して貰えるのは、彼氏としたらそれはそれで嬉しいんだけどさ」

ノブチナ「嬉しいのか!? マジで言ってるのか!?」

ノラ「ああ。思わず叫んじゃったし」

ノブチナ「机上の空論も時には役立つと言うことか……」

ノラ「でもさ。あんまり度が過ぎると、他の人にも迷惑かけちゃうしさ」

ノブチナ「ほらみろ。私なんかより他の女が大事なんじゃないか」

ノラ「だからちげーって。俺は浮気なんかしないって」

ノブチナ「……本当か? 私の目を見て言えるか?」

ノラ「ああ」



ナレーション「10秒…20秒…30秒」

ナレーション「お互いに見つめ合うなんて普段はしない二人なので、顔を真っ赤に染め上げてしまうのでした」


 

 

ノブチナ「は、恥ずかしいな……さすがに」

ノラ「そうだな……」

ノブチナ「……浮気は、してないのか?」

ノラ「むしろなんでそう思ったんだ?」

ノブチナ「いや。付き合ってからというもの、余りにも変わらず普通過ぎたと思ってな」

ノブチナ「本当にこいつは私のことを好きなのか? と疑ってしまったんだ」

ノブチナ「それで、シャチと明日原に探偵を依頼したんだが……」

ノラ「えぇ……」

ノブチナ「やっぱり、そんなこと止めとけば良かったかもな」

ノラ「そうなのか?」

ノブチナ「回りくどいやり方は好かない」

ノラ「そっか」

ノブチナ「浮気、してないんだろ」

ノラ「ああ」

ノブチナ「なら、それでいい」

ノブチナ「ノラが言うんならな」

ノラ「……ああ」

 

 


ナレーション「――そして、ノブチナさんは軽く背伸びをして、ノラの唇を奪うのでした」




ポン!



ノラ(にゃあ)



 

 

ノブチナ「お前を束縛するなら、こういう方法もあるしな」

ノラ(いい加減ネコにならない身体に戻りてーわ)


ノブチナ「好きだぞ。ノラ――」

ノラ(……ああ)


ノラ(俺も好きだよ、ノブチナ)



ナレーション「そんなノラの想いは言葉にならず、誰の耳にも届く筈はありませんでしたが」

ナレーション「ノブチナさんにだけは届いている。そんな気がしたのでした――」


 

 



 ***


ノブチナ「ノラと皇女と野良猫ハート、2」


 ***



 

 

1月30日はノブチナの誕生日ということで。
誕生日関係ない話ではありますが、またネコのお考えを書かせて頂きました。
少しでも楽しんで頂けたら幸いです。


その他のノラとと作品もどうぞよろしくおねがいします。

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