とある暗部の御坂美琴 (7)
大切なモノを護るために、あなたは何処どこまで捨てられますか?
大切な人を助けるために、あなたは己の命身体を棄すてられますか?
自分の魂魄凡てを捧げても喪うしないたくないモノ、ありますか?
無明の闇に堕おちていけ。罪に穢けがれし気高き魂よ、汝なんじが生に幾多の禍難かなんが在あらんことを希こいねがって。
※亀の歩みよりも展開が遅いです。スピーディーな展開を求める人には確実に合いません
※多数の視点で物語が進むため展開が非常に遅いです。
※この小説は本編最新刊はもとより超電磁砲最新話、マンガ一方通行最新話、超電磁砲PSP、蛇足またはとある事件の終幕 、クロスオーバー小説、偽典・超電磁砲 、アニメ超電磁砲一期二期オリジナルエピソード、エンデュミオン、頂点決戦、群奏活劇、バーチャロン、とある魔術の禁書目録SP、一番くじ限定電撃鎌池和馬10周年文庫、学芸都市SS、能力実演旅行SS、とある魔術の禁書目録PSP、画集小説、下敷き小説、コールドゲーム、アストラル・バディの設定が入り混じっています。
※『白衣の男』と御坂美琴⑪ 脅迫までは一話2500文字それ以降は一話5000文字になっております。
※あらすじがver5になりました。前のあらすじが見たい人は活動報告の方へどうぞ。
※題名を『とある闇の中の超能力者』から『とある暗部の御坂美琴』に変更しました。
※ネット小説だからこそ出来るギミックを各所に取り込んでいます。
※前書きとあとがきには重要な伏線を仕込んでいます。必ず表示させてください。
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第一部 第一章 第一節 絶対能力進化実験中止計画~裏で蠢く複数の悪~
御坂美琴① 絶望の初まり
絶対能力進化実験レべル6シフトと呼ばれる計画がある。
学園都市第一位の超能力者レベル5である一方通行アクセラレータに学園都市第三位の超能力者レベル5である超電磁砲レールガンの御坂美琴の劣化クローンである妹達シスターズを2万体殺させることによって、一方通行アクセラレータを絶対能力者レベル6に進化させようという計画だ。
もちろん、クローンの製造は国際法で禁止されている。
それどころか、例えクローンといえども生命体を2万も[ピーーー]ような実験を国際社会が許すはずがない。
その実験の結果によって莫大な利益がもたらされるとしても、だ。
常識的に考えれば間違いなく狂っている実験。
どうしようもなく、狂っている実験。
だが、学園都市という閉鎖された世界の中でこの計画はすでに実行されている。
そして、実験の内第10031次実験まではすでに終了している。
それは、
つまり、
10031人体もの妹達シスターズがすでに死亡しているということだ。
10031。
これは、途方もない数字だ。とても大きな数字だ。
これだけの数の妹達シスターズが死んでいながら世界は、学園都市の住人はそれを認知しておらず、学園都市上層部はこれを黙認している。
つまり、このままでは20000人体もの妹達シスターズが殺されてしまうということだ。
そんなことは、認められない。
彼女は絶対にそれを認められない。
認められるはずもない。
認めない。
だから、御坂美琴は決めた。決心していた。
彼女たちを、
妹達シスターズを
自らを実験動物モルモットと呼び、その死を当たり前のモノと認知している愚か者達を、
愛しい愛しい妹達を
この手で、救ってみせると。
決意した。
8月21日午後6時52分
学園都市第三位の超能力者レベル5にして、常盤台のエース、超電磁砲レールガンなど様々な異名を持つ少女、御坂美琴は絶望していた。
たちの悪い冗談だと思った。
たちの悪い冗談であって欲しいと思った。
御坂は幼少期、完全な善意からある研究者に自らのDNAマップを提供した。筋ジストロフィー。未だに治療法の見つからない遺伝性筋疾患。その患者達を救うために差し出したDNAマップは御坂のクローンを作られることに使われ、しかもそのクローンたちは一方通行アクセラレータが絶対能力者レベル6に進化するための計画で一方通行アクセラレータに殺されることを決定付けられていた。
そんなのは、あんまりだと思った。
妹達シスターズと呼ばれている自分のクローン達にもっとまともな人生を歩ませてあげたいと思った。
偽善かもしれない。
怨まれるかもしれない。
余計なお世話かもしれない。
彼女たちは一方通行アクセラレータに殺されることを望んでいるのかもしれない。それが、彼女たちの幸せなのかもしれない。
だけど、それでもよかった。
彼女たちを救えるならよかった。
独り善がりでも、自分本位の考えでも。
自分のせいで最悪の道のりを歩ませてしまうことになった彼女たちを救えるのなら、悪党にでもなってやろうと思った。
だから御坂は、実験をとめるために絶対能力者進化実験レベル6シフトの演算を担当している世界最高のスーパーコンピューター、樹形図の設計者ツリーダイアグラムを壊すことに決めた。
樹形図の設計者ツリーダイアグラムは学園都市の頭脳とも呼ぶべきスーパーコンピューターだ。樹形図の設計者ツリーダイアグラムはカオス理論やバタフライ理論などが絡むせいで本来ならば予測することしかできない天気情報を予知のレベルまで押し上げてしまう圧倒的な計算能力を持っている。
その計算能力をもってして絶対能力者進化実験レベル6シフトは計画された。
なら樹形図の設計者ツリーダイアグラムに偽の実験中止命令を出させたうえで樹形図の設計者ツリーダイアグラムを破壊してしまえば、もう絶対能力者進化実験レベル6シフトは続けられないはずだ。
もう妹達シスターズは殺されずに済むはずだ。
なのに、
なのに、
それなのにっ!
(こんなのもう、どうすればいいのよ………………)
樹形図の設計者ツリーダイアグラムがすでに破壊されていたことですべてが狂ってしまった。
(私にはもうあの子達を救う手段は残ってないの……?)
嫌だ。
そんなの認めたくない。
これで終わりだなんて。
妹達シスターズが生まれたのは御坂のせいで、
御坂のせいで妹達シスターズは殺されることになった。
だから何とかしないといけない。
そう、御坂は強烈に思っていた。
自分が、何とかしなければならない、と。
何とか妹達シスターズを救わなければならない、と。
強烈に。
何とかしなければならない。
何とかしなければならない。
何とかしなければならない。
何・と・か・し・な・い・と・ッッッ!!!!!
(でも、どうやって……どうやって助ければいいんだろう…………)
実験を受け継いだ研究所は現段階でも100以上あるのだ。今までと同じようにチマチマと研究所を潰していたら、間違いなく、また妹達シスターズは何百人も殺されてしまう。
(それは……………………絶対に嫌だっ!)
もう、これ以上妹達シスターズが殺される姿なんて見たくない。
もう、これ以上妹達シスターズが殺される事なんて認めたくない。
もう…………これ以上あの子達を殺したくないッッッ!!!
(……………………とりあえずここから離れよう……何かするにしても警備員アンチスキルにでも見つかったらもともこもないし…………)
絶望した表情のままもたれかかっていたフェンスから背を離す御坂。
彼女の記憶にこびりついて離れないのはミサカ9982号の砕け散った胴体と千切れた左足。脳裏に刻まれたその光景がよりいっそう御坂の精神を責め立て、苛さいなめる。
そんな彼女の瞳が『××××××研究所』の文字を捉えた。
(実験を引き継いだ研究所…………こんなところにもあったんだ…………)
あるいは、
あるいは、
あるいは、
「………………………………………………………………アハッ」
それが、御坂の人生の転換点だったのかもしれない。
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