※アニメ知識のみです
キョン「なんだって?」
ハルヒ「>>2よ!」
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お菓子作り
キョン「……なんだって?」
ハルヒ「何度も言わせないで。そうと決まれば材料を集めなきゃね。場所はあたしが何とかするとして」
キョン「待て待て! お前はいつも唐突なんだよ。お菓子作りをしたい理由を言ってくれ」
ハルヒ「>>4」
「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない」という言葉を知ってる?
ハルヒ「『パンがなければお菓子を食べればいいじゃない』って言葉を知ってる?」
キョン「聞いたことはあるな」
古泉「マリーアントワネットの発言ですね。傲慢で贅沢三昧な王妃の無教養ぶりを露呈するネガティブな名言」
古泉「とされていますが、それは間違った捉え方のようです。その実、(高い)パンを買うなら(安い)パンを買えばいいという意味が……」
ハルヒ「正解よ古泉くん。さすが副団長ね、キョンとは格が違うわ」
キョン(長くなりそうだと察したか)
キョン「悪かったな格が低くて。で、そのマリーアントワネットの名言がどうしたんだ」
ハルヒ「最近SOS団の部室に用意されてる、お腹を満たすためのお菓子が減ってることに気づいてる?」
キョン「言われてみればお茶請けがいつもより早く消えるな」
ハルヒ「これは由々しき問題よ。お菓子が少ないと満足な活動ができなくなるわ」
ハルヒ「そこでよ! 買うと高いお菓子を用意するくらいなら自分たちでお菓子を作って出費を抑えればいいじゃない、って考えたの!」
キョン「自分たちで作ると金がかからなくなるのか?」
ハルヒ「ということだから、みんなはそれぞれ自分が作りたいお菓子の材料を調達してきて! まあ基本は小麦粉とかホットケーキミックスでいいと思うわ」
ハルヒ「ちなみに、この企画ではそれぞれの生み出したお菓子に点数をつけるから張り切りなさい! 以上!」
キョン「おい待てハルヒ! ……行っちまった」
古泉「これは面白いことになりましたね」
キョン「そうか? 俺からすれば不思議探索よりダルく感じる」
みくる「お菓子作り……」
キョン(しかし朝比奈さんの手作りお菓子が食べられるかもしれないとなると、別の意味で気力が湧くな)
キョン「そういやこの部室のお茶請けって誰が用意してるんだ」
古泉「僕です。機関が出してくれているお金を使って仕入れていたのですが……何故少なくなるんでしょうね」
キョン「は?」
古泉「僕はいつも同じ量のお菓子を用意しているんですよ。でもどういうわけか減ってしまう。少し目を離した隙に」
キョン「お前が勝手に食べたのを隠してるだけじゃないのか」
古泉「はは、そんなに食い意地は張っていませんよ」
みくる「あの、お菓子って何を作ればいいんでしょう」
キョン「ハルヒ曰く『自分が作りたいお菓子』らしいので自由でいいと思います」
みくる「うーん」
キョン「ちなみに朝比奈さん、お菓子作りの経験は?」
みくる「あまり無いの」
キョン「意外ですね」
古泉「ちなみに僕もあまり経験がありません」
キョン「お前は聞いてない」
古泉「まあこの情報社会、ネットで検索して出てきた説明の通りに作ればまず失敗はしないでしょう」
古泉「涼宮さん曰く『それぞれが生み出したお菓子に点数をつける』らしいですからね。どうせやるなら高得点を狙いたい」
キョン「勝手にしろ、俺は適当にやる」
長門「……」パタン
キョン(そういえば長門はお菓子作りの経験は……無いだろうな。知識としては知ってそうだが)
古泉「では、そろそろ街へ繰り出すとしましょう。行き先はデパートで構いませんね」
キョン「一緒に行動するのか?」
古泉「武器を揃える場所は皆同じでは?」
キョン「……確かにな」
キョン(あそこに行けば大抵の物は買えるだろうし。というか材料を買う金は自分で出すんだよな……余計な出費だ)
~~~~~~
(デパート)
キョン「……」
古泉「考え事ですか?」
キョン「ああ、どうしてお茶請けが消えるんだろうってな」
キョン「ひょっとしてハルヒの仕業かと思ったけど、あいつがそんな小さなことするわけないし。仮にそうだったとしても原因が分からん」
古泉「ふふ」
キョン「なんだその気持ち悪い笑みは」
古泉「そんな笑顔でしたか、失礼。僕はあっちへ行きますよ。各自買い終えたら集合しましょう」
立てておいてすぐですが中断します
続きは明日中に始めます
みくる「えっと、じゃあわたしはこっちに」
キョン「ええ。また後で」
長門「……」
キョン「お前は何を買うんだ? もう作るもの決めたのか?」
長門「……」フルフル
キョン「そうか」
キョン(テーマは『低コストで量があって美味しいお菓子』ってところか。生地をこねて揚げるだけでいいんじゃないか)
長門「……」スタスタ
キョン(長門も動き出した。とりあえずホットケーキミックスを探そう)
~~~~~
キョン(クッキーを作ろうかと思ったけど、一度作ったらどれだけ日持ちするんだろうか)
キョン(できれば日持ちしそうなものがいいよな。日ごとにいちいち作る手間はかけたくない)
キョン(そう考えると結局、普通に菓子を買うのが最適なんじゃないか? 美味いし手軽に食べられるし)
キョン(まあそれができないからこうして買ってるわけで……ん?)
長門「……」
キョン(長門のやつどこに行く気だ。ここで買い物しないのか)
~~~~~~
古泉「どうも」
キョン「早いな」
古泉「あなたもね」
みくる「長門さんは?」
キョン「買い物せずふらふら歩いて行くのを見かけました。一体何を考えているんだが」
みくる「あっ」
長門「……」
キョン「戻ってきた」
古泉「どうやら買い物を終えたようですね」
キョン「どこ行ってたんだ? 材料は手に入ったのか?」
長門「入手した」
キョン「ここじゃ買えなかったのか」
長門「そう」
古泉「興味深いですね。何でも揃っていそうなこの場所では買えないもの、ですか」
キョン(白のレジ袋に包まれてて中が見えない)
キョン「もしよければ教えてくれよ。何を買ったんだ」
長門「……」ガサッ
みくる「これって……」
古泉「なるほど、そういうことですか」
キョン「この手があったな」
古泉「しかし勝負は分かりませんよ。涼宮さんの口に合わなければ点数は低くなりますから」
キョン「勝負が目的じゃないだろ。腹が満たされればそれでいいさ」
~~~~~~
ハルヒ「遅い! 準備はとっくにできてるのに!」
キョン「これでも早い方だろ」
みくる「家庭科室って、料理研究部が活動をしているはずじゃないんですか?」
ハルヒ「たまたま空いてたのよ」
キョン(本当だろうな)
ハルヒ「さて、それじゃあ早速お菓子作りを始めてちょうだい! 調理器具は用意されてるからじゃんじゃん使って!」
キョン「お前は作らないのか?」
ハルヒ「作るに決まってるじゃない」
キョン(じゃあ何でエプロンも付けずにテストの監視役みたいな雰囲気を醸し出してるんだよ)
ハルヒ「キョン、人のことより自分のことに集中しなさい。他のみんなは手をつけ始めてるわよ」
キョン「分かってるよ」
(十分後)
キョン(説明通りにやってるんだがこれで合ってるんだろうか。生地がネチャネチャしてる)
キョン(お、いい感じに固まってきたぞ。まるでパンの生地みたいだ。パン生地触ったことないけどな)
キョン(……手が疲れるな。休憩がてら、他の奴らの作業を確認してみるか)
長門「……」
キョン(あいつオーブンの前から微動だにしない。もう焼く作業に入ったらしい。てっきり揚げるかと思ってたけど)
古泉「……」
キョン(古泉は俺と同じで生地を作ってる段階だな。意外と力のいる作業なんだよな)
みくる「ふぅ」
キョン(朝比奈さんも混ぜる作業らしい。あの人は何をしていても可愛くて目の保養になる)
キョン(そしてハルヒは……)
ハルヒ「……」
キョン(ばっちり目が合った。見事なまでのしかめっ面だ。人を見ず調理しろってか)
キョン(そうだな……そろそろ再開しよう。もう少し練ったら後は焼くだけだ)
~~~~~~
(一時間後)
古泉「お待たせしてしまいましたね」
キョン「俺もさっき出来たばっかだし大体こんなもんだろ」
ハルヒ「それじゃあ早速食べましょうか!」
キョン「点数をつけるとか言ってたけど誰がつけるんだ?」
ハルヒ「ここにいる全員が全員のお菓子を評価するのよ。話し合って決めるの」
キョン(どれだけ話し合いしたって最終的にはハルヒの一声で決定しそうだが)
ハルヒ「まずはキョン、あんたの作ったお菓子を紹介しなさい」
キョン「俺から?」
ハルヒ「嫌なの?」
キョン「いや……分かった」
みくる「キョンくんが作ったのはクッキー?」
キョン「いえ、スコーンです。見た目は不格好ですけどね」
古泉「とても美味しそうですよ」
キョン「ありがとよ」
古泉「皮肉ではないです、本当に」
ハルヒ「まあ料理経験が無いことを考えたら頑張った方じゃないの。味はどうかしらね」
みくる「ひとついただきます」
キョン「どうぞ」
古泉「僕もいただきますね」
長門「……」
モグモグ
キョン(すごく緊張している俺がいる。味見したら美味かったから大丈夫だとは思う)
みくる「美味しい」
キョン「!」
古泉「ええ、美味しいですよ」
長門「……」
キョン「そ、そうか……よかった」
キョン(本当によかった。安心感と喜びが同時に……)
ハルヒ「……」
キョン(待て、ハルヒがまだ感想を言っていない。こいつの事だからマズイと思ったら容赦なく……)
ハルヒ「いいんじゃない?」
キョン「え?」
ハルヒ「美味しいわよこれ」
キョン「……サンキュー」
キョン(衝撃的だ。キツい言葉をかけられるかと身構えていたらまさかの褒め言葉)
ハルヒ「でも当然よね。これってホットケーキミックスから作ったんでしょ?」
キョン「うっ……ま、まあな」
ハルヒ「ちゃんと作れたら美味しいに決まってるじゃない」
キョン「……」
古泉「落胆することはないですよ。つまりちゃんと作れている、ということですからね」ヒソヒソ
キョン「耳元で囁くな、ぞわぞわする」
ハルヒ「点数は全員のを食べてから決めることにしましょう。次は古泉くんの番よ!」
古泉「僕ですか。皆さんのお口に合うと良いのですが」
キョン「クッキーか」
古泉「はい、クッキーです。ガナッシュを挟んだクッキーサンドもあるのでぜひどうぞ」
ハルヒ「見た目いいわね、食欲をそそるわ」
キョン(どうせ俺のは不味そうだよ)
みくる「いただきます」
長門「……」
キョン(悔しいけど本当に美味そうなんだよな、ってなんで悔しがってるんだ俺。これは勝負でも何でもないんだぞ)
モグモグ
古泉「いかがでしょうか」
ハルヒ「うん、美味しいわ! 上手く焼きあがってる!」
みくる「サクサクですね」
キョン(確かに美味い。それにこっちのチョコを挟んだやつも)
古泉「ああ、よかった。内心ドキドキしていました」
みくる「このチョコを挟んだサンドも美味しいです」
古泉「ありがとうございます」
ハルヒ「ちょっと塩気もあるのよね。それが甘さを引き立ててるわ」
みくる「紅茶と合いそうですね」
古泉「あまり褒められると照れ臭くなりますね」
キョン「……」
古泉「おや、どうされました? もしやお口に……」
キョン「合うよ。美味い」
古泉「よかったです」
中断します
ハルヒ「これってホットケーキミックス使ってないわよね」
古泉「ええ、薄力粉を使用しています。ホットケーキミックスと迷ったのですが、皆さんと被ってしまうのではないかと危惧しまして」
ハルヒ「素晴らしいわ。高得点を狙う気持ちが伝わってくる」
キョン(たったそれだけでか)
ハルヒ「古泉くんのクッキー、これは強敵よ。みんなもヤバいと思ってるんじゃない?」
キョン(少しも思ってねえよ)
ハルヒ「この後に出すのは苦しいかもしれないけど……みくるちゃん、お願い」
みくる「は、はい! わたしはマフィンを作りました」
古泉「可愛らしいサイズですね。見た目も匂いも完璧です」
キョン(古泉に同意だ。朝比奈さんの手作りお菓子が食べられるなんて、生きててよかった)
ハルヒ「ふぅん、いいじゃない? でも肝心なのは味よ味」
キョン(狐みたいに唇を尖らせてやがる)
ハルヒ「……美味しいわね」
長門「……」
古泉「ですね」
みくる「ほ、本当ですか?」
キョン「すごく美味いですよ。お世辞抜きで」
みくる「よかったぁ……」
ハルヒ「まあ欲を言えば、ドジっ娘らしく形がヘンテコだったら良かったわね」
キョン「」
ハルヒ「次にいきましょう。有希、お菓子を出して」
長門「……」
ハルヒ「何これ?」
長門「ラスク」
ハルヒ「へぇ、パンの耳を切って焼いてるのね」
古泉「パンの耳は無料でもらえますから、コストも低くて手軽に作れます。ナイスアイディアですよ」
みくる「いい香り。ハーブを使ってるんだ」
キョン(それにチーズの匂いも漂ってくる。俺たちみたいな甘い菓子じゃなさそうだ)
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