穂乃香「しそカレー?酸っぱそうなカレーですね」
奈緒「違うよ!しのかれ!忍と加蓮!」
穂乃香「忍ちゃんと加蓮ちゃんがどうしたのですか?」
奈緒「おーい、昨日話しただろ?」
穂乃香「すみません、奈緒さんのカバンのチャックにこそっとぴにゃこら太キーホルダーをつけることに夢中になっていて、あまりお話を聞いていませんでした」
奈緒「はぁ!?あれつけたの穂乃香だったの!?全然買った覚えがないブサイクがついててめちゃくちゃ驚いたんだからな!」
穂乃香「は?」
奈緒「あ...いえ...アタシが買った覚えのない可愛いキャラがついてたから、とても驚きましたのことよおほほほほ」
穂乃香「そんな恐縮です。今絶賛普及活動中なので遠慮しなくていいですよ」
奈緒「あ...うん...ありがと...な...」
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穂乃香「それで、その大作戦の概要を教えていただいてもよいですか?」
奈緒「あぁ単純だよ、忍と加蓮がデートするみたいだから、尾行しようって話」
穂乃香「ええっ!?2人はお付き合いをしていたのですか!?」
奈緒「あぁ、違う違う。ものの例えだよ、例え」
穂乃香「忍ちゃん!私というものがありながら!」
奈緒「はぁ!?穂乃香と忍ってそんな関係だったのか!?」
穂乃香「なーんて、冗談です。てへぺろ☆」
奈緒「穂乃香ってそんなキャラだったっけ?」
穂乃香「いえ、少しテンションが上がってしまっただけなので、気にしないでください」
奈緒「はぁ...頼むよホントに...」
穂乃香「それで、なぜこのような大作戦を?」
奈緒「あぁ、ウチの加蓮は気難しいからな。忍に迷惑かけてないか心配なんだよ」
穂乃香「奈緒さんは加蓮さんが大好きなんですね」
奈緒「はぁ!?!?!?どうして、そうなるんだよ!?!?!?」
穂乃香「いえ、たまにしかないお休みを加蓮さんをストーカーするために使うだなんて、なかなかできないと思いまして」
奈緒「ちちちち違うって、単にいつも加蓮にいじられるから、いじり返すネタが欲しかっただけだって。それにストーカーじゃねぇ!」
穂乃香「ふふふ、慌てる奈緒さん可愛いです」
奈緒「なんか、あの緑のやつを考えると、穂乃香に可愛いって言われるの複雑だな...」
穂乃香「えぇー」
奈緒「よし、じゃあ尾行に戻ろう。といっても、まだ忍しかいないな」
穂乃香「えっと、待ち合わせの時間は15分ほど過ぎているでしょうか?」
奈緒「加蓮のやつ、デートの相手を待たせるなんて減点だな。好感度マイナス30だ」
穂乃香「加蓮さん大丈夫でしょうか?」
奈緒「加蓮は低血圧だから、起きてから出かけるまでに結構時間かかるんだよ。仕事なら無理やりめちゃくちゃに頑張って時間内に仕上げてくるけど、休みの日はまぁこんなもんかな」
奈緒「あーとはいえ、なんか忍に悪いな。待たされてイライラしてないといいけど」
穂乃香「大丈夫だと思いますよ」
奈緒「そうなのか?」
穂乃香「はい。フリルドスクエアで遊びにいく時、柚ちゃんはお家が遠くにあるので、電車の都合などで遅れる時が結構あるんです」
奈緒「あー埼玉からだと結構かかるもんな」
穂乃香「はい。その柚ちゃんを待ってる時間、忍ちゃんは周りの人たちをじーっと真剣に見てるんです」
奈緒「真剣に?」
穂乃香「私が何をしているか尋ねると『東京はオシャレな人が多いからね。勉強しなきゃ!』って言ってました」
奈緒「おぉ、さすがは努力のアイドルだな」
穂乃香「本人は『田舎者丸出しで、カッコ悪いけどね』と言ってましたが、私はそんな忍ちゃんはカッコいいなって思います」
奈緒「穂乃香も忍が大好きなんだな」
穂乃香「はい。こっちに来てから初めてできた親友ですから」
奈緒「おっ...おぅ...。なんかどストレートすぎて、アタシの方が恥ずかしくなるな」
穂乃香「???」
穂乃香「さて、忍ちゃんはお店のウインドウをじっと見ていますね」
奈緒「なんか欲しいものでもあるのか...って、見てるのはメンズの服?」
穂乃香「誰かにプレゼントを考えているのでしょうか?」
奈緒「あ...まさか...プププププロデューサーさん?」
穂乃香「いえ、プロデューサーさんにプレゼントするには、見ている服が上の年代をターゲットとした...奈緒さんどうしました?顔が赤いですよ?」
奈緒「ななななんでもないよ!」
穂乃香「あっ!忍ちゃんが頭をかきむしり始めました。どうしたのでしょう?」
奈緒「あー...」
穂乃香「奈緒さん、何か思い当たることでもあるのですか?」
奈緒「いや...何というか似てると思ってな...」
穂乃香「何にです?」
奈緒「そうだなぁ。机の奥にしまってずっと忘れていた黒歴史ノートを掘り起こしてしまった感じに見えるよ...例えばの話だけどな...」
穂乃香「そんな!?だとすると、忍ちゃんは今日かぶってる帽子が上京したての時に被ってた帽子と似ているなーって気がついて、東京に負けないとイキりんごだった時期がフラッシュバックして悶絶してるのでしょうか!?」
奈緒「あー、これは工藤忍検定1球の答えだ、スゲェな。あと、イキりんごってちょっと可愛いな」
奈緒「あー、よく見るとあの交差点の向こうに加蓮いない?」
穂乃香「あ、本当ですね。加蓮さんです」
奈緒「うわ...」
穂乃香「どうかしました?ジトーっとした目をしていますが?」
奈緒「いやー、加蓮がスッゲェ悪い顔で笑ってるなーって。これはいじりがいのあるターゲットを捕捉した笑顔だな」
穂乃香「つまり、いつも奈緒さんが見ている笑顔ですね」
奈緒「アタシを何だと思ってんだよ!?いつもじゃない!いつもの半分くらいだ、半分くらい!」
穂乃香「あっ、信号が青に変わりました」
奈緒「忍のとこまで真っ直ぐ歩かずに、ぐるーっと回ってるな。ぐるーっと、ぐるーっと」
穂乃香「ぐるー、ぐるーですね」
奈緒「そんで後ろに回り込んでー、そろーり、そろーり」
穂乃香「そろーり、そろーりです」
奈緒「忍の真後ろまで来て、あっ肩をツンツンした」
穂乃香「忍ちゃんが振り返って、あぁしゃがみ込んでしまいました」
奈緒「うわー、腹抱えて笑ってるよ。楽しそうだなー加蓮」
穂乃香「忍ちゃんは耳まで真っ赤にして恥ずかしそうです」
奈緒「さて、ターゲットはアパレルショップに入ったな」
穂乃香「少し大人目の落ち着いたお洋服が多めのお店ですね」
奈緒「あぁ。美優さんが着てるような清楚な感じの服だな。普段の加蓮はあんまり着ないタイプの服だ」
穂乃香「忍ちゃんもあまり着ないタイプの服ですね」
奈緒「どっちかといえば、穂乃香が着てそうだな」
穂乃香「大人っぽいと言ってしまったので恐縮してしまいますが、こういうお洋服私は大好きです」
奈緒「普段は着ない洋服にチャレンジ、赤信号も2人で渡れば怖くないって感じだな」
奈緒「おっ、ターゲットが試着室に入ったぞ。まずは加蓮からだ」
穂乃香「忍ちゃん、頭を少しかきながら試着室の前で待っていますね」
奈緒「落ち着かないって感じだな。あっ、店員に話しかけられたぞ」
穂乃香「あらら、手をぶんぶん振って慌てていますね」
奈緒「忍、アタシはわかるよその気持ち。こういう店の店員さんって、キラキラオーラすごくて緊張しちゃうよな」
穂乃香「えっと、『友達を待ってるだけなので、大丈夫です』って言っているみたいですね」
奈緒「そうだな、そう顔に書いてあるよ...おっと、店員さんが離れてく。なんとかなったみたいだな」
穂乃香「肩で息していますね、よほど緊張したのでしょう」
穂乃香「あっ、カーテンが開きました」
奈緒「おぉ、すげぇ大人っぽいな。さすが加蓮、こういうコーディネートもばっちしだ」
穂乃香「加蓮さんは普段から大人っぽいですけれど、こういうお洋服を着ると一段と大人に見えますね」
奈緒「そうだな、もっとこういう格好もすればいいのに。これはモデルの仕事とかもバンバンとれるんじゃないか?」
穂乃香「わぁ、忍ちゃんもキラキラした目でみていますね。憧れの目です」
奈緒「あー、忍の目線に気を良くしたのか、加蓮すっげぇドヤ顔決めてるな」
穂乃香「でも、絵になりますね。スゴイです」
奈緒「悔しいけど、同意だな」
奈緒「さて、加蓮が今日着てきた服に着替え終わって...あっ、さっきの服カゴに入れた。気に入ったんだな」
穂乃香「そして、次は忍ちゃんの番でしょうか?」
奈緒「どうやら加蓮が忍の服を選んでやるみたいだな。忍の腕ぐいぐい引っ張ってるし...おー次から次に候補を持ってくること持ってくること」
穂乃香「加蓮さん、すっごく楽しそうですね」
奈緒「あぁ、アイツなんだかんだ言ってめちゃめちゃ世話焼きだしな。それにファッションも好きだから、コーディネート選んでやるのが嬉しくて仕方ないんだろう」
奈緒「アタシも凛もシンプルな服が好きだし、一緒に洋服買いに行っても直感ですぐ選んじゃうからな。何回か加蓮に『奈緒も凛もいっつも同じ感じの私服、私にコーディネートさせろー』って言われたことあるよ」
穂乃香「こんなに楽しそうにしていることですし、一度受けてあげたらどうですか?」
奈緒「そうだな、アイツほんと楽しそうだし。考えとくよ」
奈緒「さて、昼飯はカフェに入ったな」
穂乃香「えぇ、カフェに入りましたね」
奈緒「アタシらも入ったらバレるよなぁ」
穂乃香「そうですね、小さなカフェなのでバレてしまいますね」
奈緒「あー、腹減った」
穂乃香「お腹空きましたが、我慢ですね」
奈緒「アイツらの昼飯はサンドウィッチか。いやー、日当たりもいいし、オシャレないい店だよなー」
穂乃香「藍子さんに教えてもらったのでしょうか?素敵なお店ですね」
奈緒「そうだな、悔しいから今度アタシたちも行こうな」
穂乃香「あら、デートに誘われてしまいました」
奈緒「ちちち違うって!」
穂乃香「さすがにお二人が何を話しているか、よく分からないですね」
穂乃香「でも、すっごく幸せそうです。まるで同じ学校だった子達が、久しぶりに会って懐かしい話をしているような」
奈緒「あぁ...そうだな...」
穂乃香「奈緒さん?どうしました?少し声色が...」
奈緒「穂乃香は知ってるか?加蓮の昔の話」
穂乃香「詳しくはないですが、大変だったってことは聞いたことがあります」
奈緒「そうだな。アタシも凛もそのくらいしか知らないよ」
穂乃香「誰にだって、話したくないことがあると思います。気にする必要は...」
奈緒「あぁ、悪い。変な空気にしちゃったな。そうじゃないんだ」
奈緒「前に加蓮が言ってたんだよ。アタシと凛とそれとプロデューサーさん、3人は未来を一緒に歩きたい人だって。だから、過去の話をするのは違うかなって」
穂乃香「そうですね。なんとなくですが、わかる気がします」
奈緒「でもさ、やっぱ過去がらみで、アイツの中で受け止めきれないことも多くって、時々すげぇ焦ったりすることがあるんだよ」
奈緒「んで、そん時はアタシや凛に絶対に弱音なんて吐かない」
穂乃香「それは、お二人が一緒に未来を歩きたい人だからなのでしょうか?」
奈緒「そうなんだと思う。でもさ、アタシは心配で仕方ないんだ。アイツのそういう話は、きっと一人じゃ乗り越えるのは難しい。誰かの助けが必要なんだ」
奈緒「でもそれはアタシや凛の役目じゃない。プロデューサーさんの役目でもない。じゃあ、加蓮がそれに苦しんでる時、手を差し伸べる先はあるのかってさ」
奈緒「でも、そうだな。今の加蓮の顔を見て安心したよ」
穂乃香「忍ちゃんも沢山の逆境と戦ってきましたから、共有できるものが多いのかもしれませんね。憧れ続けて、みんなに否定されても夢を捨てられなくて、頑なに守り続けた強い人ですから」
奈緒「だからなんだな。うん、忍がいてくれて良かったよ」
プルルルルルル
奈緒「おっ、電話だ。誰からだろ...げえっ!?」
穂乃香「どうしました?」
奈緒「加蓮からだ...もしかして尾行バレてたとか?」
穂乃香「いえ、まだそうと決まったわけではありません。とりあえず、出てみていただいていいですか?」
奈緒「オーケー、そうだよな」ポチッ
加蓮『もしもーし、ストーカーさんのお電話で間違い無いでしょうか?』
奈緒「...」
穂乃香「ああっ、加蓮ちゃんがこっちを見て手を振っています」
加蓮『とりあえず2人でこっち来なよ、こってりしぼってあげるからさ。はい、忍ちゃんからもどうぞ』
忍『2人ともお腹空いたでしょ?早くこっちに来て、ご飯食べなよ』
加蓮『だってさー、忍ちゃんは罪深き人々にも優しいんだね。私はそうはいかないからねー』
奈緒「はぁ...いつからバレてたんだろ?」
穂乃香「うぅ...まだまだ私たちにはスパイの技量が足りていないようですね」
奈緒「加蓮が狡猾すぎるってのもあると思うけど、まぁ仕方ないか。ほら、行こうぜ」
穂乃香「はい。お詫びにぴにゃこら太ストラップを渡せば許してくれるでしょうか?」
奈緒「いや...それはしまっておこう...その...穂乃香にとって大事なものだろ?」
穂乃香「そうですか。では、ぴにゃをポケットにしまって...」
奈緒「...」ぐー
穂乃香「...」ぐー
奈緒穂乃香「お腹(すいたー)(すきましたー)」
END
終わりだよ~(AA略
工藤忍さんお誕生日おめでとうございます。
工藤忍さんと北条加蓮さんのお話は、テイルズオブシンデリアをご参照ください。
参考
シンデレラガールズ劇場592話 帽子にまつわるetc.
デレステ ストーリーコミュ31話 Monochrome Memory
過去のお話
【デレマスSS】加蓮「意地とプライド」
【デレマスSS】加蓮「意地とプライド」 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/i/read/news4ssnip/1482559248/)
【デレマスss】工藤忍「親知らず」
【デレマスss】工藤忍「親知らず」 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/i/read/news4ssnip/1475417683/)
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