智絵里「それで、なんの話をしてたの？」

加蓮「うん。智絵里ってさ、天使だよね？」

智絵里「えっ？」

加蓮「だーかーら♪天使♪エンジェル♪」

智絵里「ファンの皆さんからはそう言われることもありますけれど……」

ありす「でも、本当に天使というわけでは？」

智絵里「ないですよ……当たり前じゃないですか……」

加蓮「ええっ？！」

ありす「ほら、言ったじゃないですか。智絵里さんは天使ではありません」

加蓮「嘘でしょ？もうニューエンジェルズのメンバーに登録してるよ？」

ありす「なんですかそれは」

加蓮「Stage bye Stageの時に結成したの♪私と美穂と藍子で♪」

智絵里「私歌ってないけど……」

加蓮「そのうちライブとかイベントとかで歌うかもしれないでしょ？」

ありす「それにしてもプロデューサーさんもすごい名前を付けましたね……」

加蓮「あっ、付けたの私♪」

ありす「えっ？」

加蓮「メンバー選んだのも私♪」

智絵里「えっ？」

ありす「つまり加蓮さん、自分で自分のことを……？」

加蓮「ん～？何か言いたいの？」

ありす「あっ、いや、別に……」

智絵里「でも、私もだけど、美穂ちゃんも藍子ちゃんも、たぶん天使じゃなくて普通の人間だよ……？」

加蓮「いや～？分かんないよ？あの二人、って言うか智絵里もだけど、見た目も中身も天使じゃん」

ありす「いや人間ですよ。天使なんて本当にいるわけないじゃないですか」

智絵里「そうだよ加蓮ちゃん……」

加蓮「そんなこと言うけどありすも大概じゃない？」

ありす「加蓮さんと一緒にしないでください。私は事実を述べているだけです」

加蓮「じゃあ智絵里に聞きなよ？」

ありす「まあ聞くまでもないですけど、念のために確認します」

智絵里「えっと……どうしたの？」

ありす「智絵里さんは妖精ですよね？」

智絵里「えっ？」

ありす「ほら、聞きましたか？『ええ』って答えましたよ」

加蓮「いや、今のは聞き返しただけでしょ」

智絵里「えっと……ありすちゃん。私、妖精でもないよ……？」

ありす「えっ？？？？」

ありす「いや、おかしいですよ。一緒にフェアリーフィーストやってるじゃないですか」

加蓮「何？ありすちゃんも勝手に妖精ユニット作ってるの？」

ありす「こっちはプロデューサーさん公認ですよ。確かに私は人間ですけど、智絵里さんは四つ葉の妖精、雪美さんはイチゴの妖精です」

智絵里「えっと……たぶん雪美ちゃんも人間だと思うけど……」

ありす「ええっ？！」

加蓮「そうなのっ？！」

智絵里「なんで加蓮ちゃんも驚くの？」

加蓮「いや、だって雪美ちゃん、神出鬼没だし、いるだけでなんかその場が和むし、たぶん妖精なんだろうなあ、って思ってたから……」

ありす「分かります。智絵里さんも雪美さんも、そこにいるだけで幸せな気分になるんですよ」

智絵里「そうかな……？」

加蓮「そうでしょ。見る人みんな幸せにできる、アイドルとしても天使としても超一流じゃん」

智絵里「えっと、私なんてまだまだ半人前だと思うけど……」

ありす「っ！分かりました！そういうことですか！！」

加蓮「えっ？何が分かったの？」

ありす「加蓮さん、今の言葉がヒントだったんですよ！」

智絵里「えっ？ヒント？」

加蓮「『私なんてまだまだ半人前』って言ってたけど？」

ありす「天使として半人前！つまり智絵里さんは天使と妖精のハーフなんですよ！」

智絵里「えっ？」

加蓮「そういうことかー！」

ありす「これなら私が妖精だと思い、加蓮さんが天使だと思うことも説明がつきます！」

加蓮「ほんとだ！私たちどっちも間違ってなかったんだ！」

智絵里「二人とも間違ってるよ？！」

加蓮「ねえねえ♪智絵里的には天使って呼んでほしいの？それとも妖精？」

智絵里「えっ、いや私はにんげ

ありす「違いますよ加蓮さん、そもそも天使でも妖精でもないんですから違う呼び名があるにきまってます」

加蓮「あっ、そっか！ごめんね智絵里、私妖精関係に詳しくなくて……」

智絵里「私も詳しくないよ？？」

ありす「それで、なんて言うんですか？智絵里さんが天使でもあると言うなら私も天使の勉強します！」

智絵里「あのっ、だから、私は天使でも妖精でもなくてっ、人間だからっ」

加蓮「またそんなこと言っちゃってー♪」

智絵里「ほ、ほんとに、私、ただの人間だから……！」

ありす「いいんですよ、そんなハーフだから天使と名乗るのにも妖精と名乗るのにも引け目を感じたりしなくても」

加蓮「そうそう♪私たちなんて100％人間なんだからさ」

智絵里「だ、だからっ、私だって100％人間でっ……！」

ありす「うーん、頑なですね……本当に天使でも妖精でも、ハーフでもないんですか？」

智絵里「そうだよ、人間だよ……」

加蓮「……あっ、そういうこと？」

智絵里「えっと……分かってくれた？」

加蓮「うんうん、分かった分かった。でも、私はどんなことがあっても智絵里の味方だからね」

ありす「急にどうしたんですか？」

加蓮「ありすちゃん、冷静に考えてみようよ」

ありす「はい……？」

加蓮「もしさ、天使が普通にテレビに出てるって世間が知ったらどうなると思う？」

ありす「……！そういうことですか！」

智絵里「えっ、なにが……？」

加蓮「あれでしょ？大騒ぎになるから、表向きは人間ってことにしてるだけなんでしょ♪」

智絵里「えっ？」

ありす「もう少し私たちのことを信頼してもいいんですよ？絶対に誰にも漏らしたりしませんから」

智絵里「えっ、だから私は人間で

加蓮「大丈夫大丈夫♪そういう体で話合わせればいいんでしょ♪」

ありす「任せてください。私も加蓮さんも、智絵里さんのためなら協力しますからね」

智絵里「それなら私が人間だってことに納得してほしいな……」

加蓮「で、やっぱりプロデューサーとかちひろさんには正体明かしてるの？」

ありす「他のアイドルの皆さんには言ったんですか？」

加蓮「あっ！それとも美穂や藍子も表向き人間ってこと？」

ありす「そういうことですか！」

智絵里「違うよ？」

ありす「天界にお伺いを立てないと勝手に正体を明かすことはできませんよね」

加蓮「でも大丈夫、辛いことや大変なことがあったら私たちに言ってくれていいからさ？」

ありす「お力になれるかは分かりませんが、聞き役くらいにはなれると思います」

智絵里「えっと、じゃあ、私が人間だって話をちゃんと聞いてほしいかな……」

加蓮「でさ？智絵里は表向き人間だけど、本当は天使なんでしょ？」

ありす「違いますよ、人間ってことにはなってますけど妖精さんなんですよ」

加蓮「天使だってば」

ありす「妖精さんです」

加蓮「天使！」

ありす「妖精さんです！」

智絵里「あわわ……ふ、二人ともやめてってば……！」

ｶﾞﾁｬ

Ｐ「ただいま戻りましたー」

智絵里「プロデューサーさん！」

Ｐ「おう、みんなおはよ

加蓮「天使！」

ありす「妖精さんです！」

Ｐ「おう、どうした二人とも喧嘩なんかして。智絵里が困ってるだろ」

加蓮「Ｐさん、ありすちゃんがね？智絵里は妖精だって言って聞かないんだよ？」

ありす「加蓮さんこそ智絵里さんが天使だって言い張ってるじゃないですか」

智絵里「どっちでもないって言っても二人とも取り合ってくれなくて……」

Ｐ「まったく……智絵里は天使でも妖精でもない。確かにそういう仕事を振ったことはあるけど、あくまでも仕事の話だ」

智絵里「プロデューサーさん……！」

Ｐ「だって智絵里は女神だもんな？」

智絵里「えっ？」