城ヶ崎莉嘉「夏休みだーっ!」秋山隼人「虫捕りに行こう!」 (245)


315プロ


ミーンミーンミーン ジーワジーワ…





四季「   夏   休   み   っ   す   よ   ー   っ   !  !  !  」



次郎「うおっ!? いせや、事務所に来るなりなにさ」

春名「だから夏休みが始まったんだよー。山下先生」

次郎「夏休み……ああ、もうそんな時期なのね」

春名「何度も経験してるけど、やっぱいいもんすよね! Let's enjoy the Summer vacation!!」

次郎「いいね若者は。夏休みなんか休めた記憶あんまないよ。講習やら研修やら校内清掃やら成績入力やら……模擬授業やら意見交換会やら……忙殺されてる間に新学期の準備もしなきゃいけないし。これで生徒の補習や部活動の顧問の仕事まで入ってたらもう私生活なんて……」

四季「次郎っち~!? どうしたんすか、なんかブラックなオーラ湧いてるっすよ!?」

次郎「あ~わるい。前職を思いだしちゃった。というか……わかざと、君さ、よく期末テストクリアできたもんだね」

春名「ハハハ……まー、ナツキから秘密のノートを借りたり、ジュンのスパルタ教育を受けたりしてなんとか」

次郎「おじさん、はざまさんほど厳しく言う熱意はないけどさ。ちゃんと宿題もやりなよ」

春名「うす。了解……でも、ま、2学期始まってからでも十分いけるんですけどねー!!」


旬「春名さん……!! 僕7月中に終わらせてしまいましょうって言いましたよね? みのりさんにまた怒ってもらいますか?」

隼人「ま、ま! ジュン! ハルナもこれからがんばるって! 俺たちのアイドル活動も弾みがついてきたとこだしな!」

夏来「仕事、これからもっと入るよね……俺も、がんばる」



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High×Joker
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山下次郎
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――「うしっ! 休憩だーっ!!」

――「ま、まだ2ページしか進んでないよ?」



隼人「ん?」


志狼「あ、はやと達も来たのか! 夏休みだぜ! 夏休み! 遊んでくれよな!」

春名「おー志狼! そうか、小学生も休みに突入か!」

直央「だ、だめだよしろうくん。宿題ほっぽかしたら。早く終わらせたいって言うからいっしょにやろうって……」

志狼「うっ……。し、シンパイすんなって! やるから! でも今はなんか気分がノらねーの! ほら! まだ始まったばっかりだしよ!」


橘志狼
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岡村直央
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旬「君も四季くん春名さんサイドですか」

四季「今しかできないコトがあるんすよ! 瞬間瞬間をゼンリョクで生きたいって思って悪いっすか!?」

旬「8月31日だけに全力出して宿題って終わるんですか?」

四季「ハイパー全力でやれば、やってやれないことはないっす!!」

隼人「でも小学生の夏休みの宿題って、結構難しかった記憶があるよ。読書感想文とか、自由研究とか……」

志狼「うっ! 宿題の話はもういいだろー!? 読書感想文なんて、だれがハツメイしたんだよ……ったく。おかしーだろ。なんでこんなモンがずっと続いてんだよ」

次郎「教育界に憤りを覚えるにゃまだ早いよ。闇はこんなもんじゃないんだから」

夏来「えっと……山下先生……あんまり、そういうこと聞かせない方がいいと思う……」

次郎「わるいわるい。ごめんなさい」



志狼「自由研究もなー。前、ゲームのテクまとめたのキャッカされちまったからなー」ゴロッ

四季「ウツワが小さい先生に当たるとテンションダダ下がりするよなー」

志狼「アメリカは宿題ねーんだろ? ニッポンおかしいって~~……」

次郎「あらら、だらしなくソファに寝そべっちゃって。もう疲れたのかい」

志狼「アタマ休ませねーとな。遊ぶ計画もたてなきゃだし」

夏来「遊び……」

志狼「海行きたいし、山も行ってみたいし、どっか海外に旅行もしてーなー。後、釣りと、プールと、虫捕りと……」

隼人「おっ、虫捕り好きなのか! いっしょにやろうか?」

志狼「えっ、いっしょにやんの? へっへー、そんならどっちがセミ多く取れるか勝負しよーぜ!」

隼人「セミ取り勝負かー。兄貴と一回やったことあるけど、その時は負けたんだよな俺。よっし! 勝利で俺の歴史を塗り替えるか!」

志狼「カブトムシもとろーぜ!」

隼人「おお! もちろん!」


四季「ハヤトッちまた虫捕りっすか~? メガ冴えないってー」

隼人「さ、冴えないゆーなって! そうだシキも来いよ! 虫取りの楽しさに目覚めさせてやる!」

四季「うぇっ!? お断りお断り! ゼンリョクで遠慮するっす!」


隼人「プロデューサーが夏休み何日か空けてくれたから、時間はあるだろ? 早速明日行こう」

四季「えー、明日?」

旬「その休みは、ちゃんと宿題をこなせるよう配慮してのことですよ。学業に支障を出さないためです。春名さんもわかってますね?」

春名「うわー釘刺されたー。だいじょーぶだって。もー!! ちゃんとやるから! あんまバイト入れすぎないようにするし」

夏来「……この辺りにカブトムシっているの?」

隼人「お! ナツキは興味あるのか?」

夏来「……カブトムシがいるような森なら……行ってみたいかも」

直央「森……」

四季「都内に森なんてカイムっすよー、ナツキっち。ここはメガコンクリートジャングルで! ギガヒートアイランド! フモーの大地ってやつっす!」

夏来「無いんだ……少し、残念だね」


四季「でもでも遊べるスポットは大量にあるっすよ! そうだ! テレビで夏休みに出かけるオススメのスポットを紹介してたはず!!」ポチッ

隼人「おい、シキー。都内にだって自然はあるぞ!」

四季「ハヤトッちは、もっとテンションあがるトコ行ってみた方がゼーッタイいいっす! ほら、テレビ見て! もっとイケてる場所が!」




――『森! 川! 池! みんなー! この大自然! どこだと思う~!? なんとっ東京にあるんだぞー!!』

――『たまき、都会って同じようなビルばっかりだと思ってて探検できないなーって思ってたけど! くふふっ! ここならいーっぱい探検できるぞっ!』

――『あっ!! ダンゴムシ見ーっけ! 後でみんなにあげよっと! ――えーっと! この公園にはたくさんの動物と植物がいるんだよっ!』

――『ウサギもいるしー! 花もいっぱい咲いててー! 虫は……えっと、日本にいる虫のイチワリくらいの種類が居るんだってさ! セミも! カブトムシも! ひょっとしたらオオクワガタもいるかもね!』

――『夏休みはここで思いっきり遊ぶと楽しいよ! みんなも来てみてね! それじゃ、この公園の奥に向かって出発だーっ!!』



ワー!! コンナニ コンチュウガ イッパイ!! カワデ サカナトリタイナー!!

エ、コノ コウエンノ ナマエ? ショーカイスルノ ワスレテタゾー! エットネー! …



四季「……げ」

隼人「おおおお!」

志狼「あるじゃんかー大自然! ウソつくなよ、しき!!」

四季「タイミングメガバーッド!! 番組構成空気読んでくれよー!!」


志狼「明日ここ行こーぜっ!」

直央「え、でも遊ぶ前に宿題……」

志狼「あ~~宿題? そーだっ! 自由研究にすりゃいいじゃん! 虫コレクションしてさ! それならいいだろー?」

直央「あ、そっか。自由研究にできるんだ。それなら……うん。いいかも」

志狼「なおもすませちゃえよ!」

直央「うん、考えてみるよ……ボク、虫はちょっとニガテだから……」


隼人「朝早くから行った方がいいぞー。起きられる?」

志狼「ヨユウ!」

隼人「ナツキも大丈夫だよな。暑さ対策はしっかりしてな」

夏来「うん……気をつける」

隼人「ジュンは心配いらないし、ハルナも……オーケーだな。シキ! ちゃんと遅れずに来いよ!」

四季「ぎゃーす!? やっぱナチュラルに行くことになってるーっ!? ハヤトッち~、カラオケにしません?」

志狼「しきは来てくんねーの~? カラオケはいいじゃん。いっつもレッスンで歌ってんじゃん」

四季「カラオケは別腹なの!」

志狼「ベツバラってなんだよー! きれいになれるおまじないか? もう、しょうがねーな! じゃーダンスで勝負だ! オレが勝ったらしきも来いよ!」

旬「え。勝負って……そんな話でしたか?」


四季「ふ、ふっふっふ……!!」

春名「お、どうしたシキ?」

四季「やる? 勝負オレとやっちゃう系? いいのかな~? オレら歌って踊れるバンドアイドルHigh×Jokerだぜ?」

旬「ちょっと。小学生に乗せられてどうするんですか」

春名「まー、シキからその場のノリを無くすのは不可能だって」


志狼「小学生だってあまく見んなよー! オレは未来の大スターシロー様だ!!」

四季「HIPHOPもこなせるハイパーボーカルのオレ様を姿を見せてやる! ヘイ! みんなー! 審査員よろしくーっ!!」


朱雀「おおっ!? なんだァ?」

玄武「男と男の真剣勝負……か?」

悠介「ダンスでバトル! おもしろそうな1on1してるじゃん!」

享介「オーディションバトルの練習かな? よし、俺らが審判やるよ! ゼンリョク見せてくれよ!」

巻緒「なになに、ケーキの話!?」



紅井朱雀
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黒野玄武
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蒼井悠介
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蒼井享介
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卯月巻緒
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次郎「あー、勢いだねぇ。若いねー。でも外でやりなよ。ホコリたつから」






――アゲテ イクッスヨー!!!

――スペシャル シロー ダーンス!!



――

――――

――――――



みりあ「わーっ! 自然がいーっぱい!! みりあもこういうトコロ探検してみたーいっ!」

ありす「えっ? テレビですか」

みりあ「うん! ほら!」




――『夏休みはここで思いっきり遊ぶと楽しいよ! みんなも来てみてね! それじゃ、この公園の奥に向かって出発だーっ!!』


薫「わぁ、すごい……!」

莉嘉「みんなここ行こーっ!! アタシここでカブトムシ捕りたい!!」

ありす「……あの、夏休みの予定を立てようっていうのは、宿題を終わらせるためのスケジュールを決めようって話で……」

莉嘉「宿題は後! まだ休みいっぱいあるんだしここは思いっきり遊ばないとー!」

晴「だよなー! ありすはいいよな。夏祭り行って楽しんだんだろ?」

ありす「あれはお仕事でしたからっ。人が多いところはあんまり好きじゃなかったし……まぁ、楽しめましたけど」

莉嘉「じゃーさじゃーさ! このシンピの森に行くのはバッチリオーケーってことだねっ☆」

ありす「え。いや、そういうことではなく……!」



城ヶ崎莉嘉
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赤城みりあ
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龍崎薫
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橘ありす
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結城晴
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仁奈「みんなで出かけやがるのですか? 楽しそうでごぜーますね!」

薫「あ、仁奈ちゃん! 仁奈ちゃんもいっしょに行く? 行こうよ!」

仁奈「仁奈も行ってもいいのでありますか!? わーいっ!! 思いっきり遊ぶですよー!」

みりあ「うん! みんなでいーっぱい遊ぼうね!」

仁奈「うれしーです。パパ、夏休みの間もなかなか帰ってこれねーのです……だから仁奈、休みの時は家でずっと……」


ありす「……仁奈さん」

ありす(親といっしょに思いっきり遊んだのっていつだったかな……)

梨沙「パパ、ね。仁奈。いいじゃない。今回はアタシ達といっしょに遊びましょ。子どもっぽく大自然の中でさ。付きあったげるわ」

仁奈「ありがとーごぜーます!」

晴「お、なんだよ梨沙。めずらしくこういうのにノリ気じゃん」

梨沙「なによ、アタシがこんなこと言うのなにかおかしいワケ!?」

みりあ「えっへっへー! みんなで探検だーっ!」

ありす「まぁ、自然公園の観察とかしたら自由研究に役立つかもしれませんね…………たまには、いいかな」

莉嘉「やったー! ありすちゃんもナットクしたよーっ! 梨沙ちゃん! 虫捕りの仕方教えたげるねー☆」

梨沙「む、虫はいいわよ! ってかさ、莉嘉。ホントにアタシらだけで行くツモリ? アタシらみたいな夏休み中のJSとかJCって、ロリコンに狙われてんのよ」


市原仁奈
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的場梨沙
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莉嘉「ええー! 莉嘉たち狙われちゃってるの!? ショーキンクビ!?」

みりあ「ろりこんって?」

梨沙「ヘンタイなオトナのことよ。こっちも誰かオトナに引率ってのやってもらいなさいよ」

ありす「そうですね。賛成です。どうしましょうか、プロデューサーは仕事がありますし……」

薫「せんせぇは行けないね」

晴「ネネは……あー、ダメだ。撮影入ってるって聞いた」


みりあ「きらりちゃん!」


ありす「え?」

みりあ「きらりちゃんに来てもらえばいーよっ! 明日休みだって言ってたし!」

莉嘉「あー! それスッゴイいいアイディア! きらりちゃんに肩車してもらえば虫捕りも…へへっ☆」

ありす「きらりさん、ですか」


きらり「おっすおっすー! みんなぁ、もしかしてぇ、きらりのお話してたぁー?」


みりあ「あーっ! きらりちゃーんっ! あのねあのねー!」



諸星きらり
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――

―――――


莉嘉「ねーねーお姉ちゃん! このコーデ似合ってるかなっ!?」

美嘉「んー? なーに、莉嘉また新しい服見せびらしてんの? ……って、なにそれ」

莉嘉「似合う? 探検家ファッション! 梨沙ちゃんオーストラリアに行った時こんなカッコウしたんだって!! ワイルドでしょ~?」

美嘉「アクティブな感じは良いけど……それ、街中で着るツモリじゃないよね?」

莉嘉「ううんっ! 森に行くためのソービ☆」

美嘉「森? なに、どこ行くツモリなの?」

莉嘉「あのねー! みんなでねー ――――」


城ヶ崎美嘉
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……




美嘉「――――しょうがない。しょーがないな、これはもう、どーしよーもないね。アタシも付き添いするわ」

莉嘉「えー! お姉ちゃんも来てくれるのっ?」

美嘉「行ったげる★」

莉嘉「やったーやったー!! お姉ちゃん大好き!!」

美嘉「アンタたちみたいな子どもだけで行かせるのは危ないじゃない! 子どもの安全、このカリスマJKのアタシじゃないとカンペキに守れないでしょ」

莉嘉「あ、それ梨沙ちゃんも言ってたー! アタシ達ヘンタイさんに狙われてるんだって!」

美嘉「そーよ、気をつけなさいよ。エロい目つきで小さな女の子狙ってるヤツが近くにいるかもしれないんだからねっ」

莉嘉「う~……、わかった」

美嘉「…………フ」


莉嘉「でもいいの? 明日予定あるって言ってたよね?」

美嘉「ああ予定って言っても、みんなで宿題をやろうっていう勉強会兼JKトーク会みたいなヤツだし」

莉嘉「JKトーク……! すごそう! やっぱりオトナな恋愛の体験談とか! そーゆーの話すの!?」

美嘉「ま、まーね」

美嘉(主においしかったスイーツ店の話ぐらいしかしてないけど……)


美嘉「みんなに連絡入れとかなきゃね」











……





未央「――ん、美嘉ねぇから? あ、明日のスイーツ格付け会欠席なのかー残念無念! 莉嘉ちゃんと出掛けるんだ」

未央「『ちなみにどこに出陣されるのでありますか?』っと」ポチポチ



未央「お、返信。『自然公園に行きたいって聞かないから、付き合うんだー。 JKが森の中って! 外しスギだってのね! まー自然の中もキライじゃないからたまにはいいかな☆』」

未央「ほほう。森とは、意外ですなぁ」

未央「美嘉ねぇ、アウトドアスタイル………………あはっ! よぉーし! どうせ美嘉ねぇが来ないなら、みんなを誘って――」

とりあえず導入だけ。勢いで書き始めた。

いや、アイマスすごい動きましたね。
10thおおいに盛り上がったそうで…行きたかった
SideMも総選挙、シンデレラもアニメ二期が盛り上がってきてます
両方ともCDがMステに出てなんか同じ世界で張り合ってるんだなぁと感動しました

クロスを書くのには最適な時期ですな!

大変お待たせして申し訳ない
すいません書く時間が取れなかったり、書き溜めが全部消滅したりで遅くなりました
投下していきます


――

――――

―――――


自然公園



巻緒「着きましたね! 自然がいっぱいです! かのんくん、どう?」

かのん「すごいね、ここ! こんなところに広い森があったんだねぇ~。うさぎさんいるかなぁ~?」


姫野かのん
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春名「くわー、朝早く来たのになんかもうあちーなー!」

夏来「公園の中は……涼しいんじゃないかな……」


志狼「なーなー、すざくのあにき! セミ取り競争しよーぜー!」

朱雀「オォン!? オレと勝負するってかぁ? いいぜ、受けてやるぜ!」

志狼「やった! へっへ~ん、オレ1000匹は取るぜ!」

朱雀「なにィ!? んじゃあ、アレだ! オレはイチマン匹捕ってやるぜぇぇ!!」

にゃん喜威「にゃー!」

朱雀「おっ、にゃこ、オマエもセミ取りすんのか! いいぜヨウシャはしねえからなっ!」


悠介「芝生の広場もあるんだったよな?」

享介「ああ。ははっ、どーせサッカーしなきゃ収まらないんだろ? お前は」

悠介「そーゆうこと!」

直央「サッカー……ボクもやってみようかな……」

悠介「お! サッカーに興味ある? じゃあやろうやろう! なんならオレがパス出しもするよ!」

直央「あ、ありがとうございます!」



旬「あそこまで自信満々に勝負しておいて、完敗ってどういうことですか……もう。しかも小学生相手に」

四季「うぅー。まさかの! ブレイクダンスがサプライズで飛び出して! 死角からのアタックにオレもうハイパーパニクっちゃったんすよ~~!!」

隼人「マネして首で回ろうとして、そのまま“コキャッ”ってなってダウンだもんな……四季あの時相当焦ってたよ」

四季「名医桜庭薫教授が手当てしてくれてホントマジ助かったっす!! キュウシにネコ噛みってカンジ?」

旬「九死に一生ですね。薫さん、あの時すごい冷ややかな目で四季くんを診てましたよ」

四季「まー! オレら! ピチピチのDKっすから!! こういうバカもやるのが青春っすよ!! ……はー、でも虫捕りかー」

隼人「なんだよ! 虫捕りでロコツにテンション下げるなよー! ほら、ここ! セミの鳴き声からして野太くて! アブラゼミだけじゃなくクマゼミもミンミンゼミも大量にいるぞ!!」

四季「おおハヤトッちの目が輝いてるっす。ホント好きなんすねー、虫」


次郎「あのさ……どうして俺ここにいるのかな。明け方に部屋を強襲されて、そのまま連れてこられたんだけどさ。なに、拉致? 身代金なら俺が欲しいよ?」

玄武「引率が必要だったもんで。成人してねぇ若造たちにゃ指導者の目が必要だろう?」

次郎「えぇ~。勘弁してよ。今日もピーカンだってのに。俺木陰でラジオ聞いてるから無茶しないでな」

玄武(山下……か。あの成績のことで突っかかってきたアイツとは随分性格が違うもんだ)


志狼「おーい! みんなー! 行くぞー!」

朱雀「玄武も何してんだよ! セミは待っちゃくんねーぞっ! 燃えろよッ!」


玄武「ああ、わかった。男玄武、この真夏の日差しよりも熱く魂を燃やし! 虫捕りに全身全霊を賭けると誓うぜ!」

巻緒「わあ、やる気あるね!」

悠介「あっついなぁ~!」



――

――――

――――――



みりあ「とーちゃーくっ!! みんなー! ほら早く入ろー! はやくはやくーっ!!」


ありす「え、ちょ、ちょっと待ってください」

梨沙「公園に着いた途端、犬みたいにはしゃいじゃって」

莉嘉「みりわんわんだねっ! あははっ!」

晴「公園の中の方が涼しそうだな。うっし! 早く行こうぜ!」


美嘉「ちょっと待ちなさいアンタたち! 遊ぶ前に、ちゃんと準備できたか確認して!」

薫「ああ、準備がいるんだったよね!」

美嘉「そうそう。夏場は危険が多いんだからちゃんとしなって」


仁奈「着ぐるみは準備オッケーですよ!」モッフモフー!

美嘉「うっ! この夏場にそんなモコモコな……! うっ、でもカワイイ……!」

みりあ「もふもふぱわーまーっくす! だね!」

仁奈「まーっくす! でごぜーます!」


凛「あのさ、美嘉。準備って着ぐるみのことじゃないでしょ」

加蓮「そうそう。みんな日焼け止め塗ったー? モデルの仕事できなくなっちゃうよ」

奈緒「後、水分補給は忘れるなよ。熱中症怖いからな」

卯月「気分が悪くなったらすぐ言ってくださいね! 私たち、お姉さんがついてますから!」

未央「お、しまむー。お姉さんらしいとこ見せよーと気合い入ってますなぁ」


梨沙「ハイ、日焼け止め」

莉嘉「ぬりぬり~♪」

きらり「みりあちゃん、かたっぽ塗れてないよぉ? ほぉら、貸して☆ こーやって広げながら塗るの!」ヌリヌリ

みりあ「わぁー! なんかマッサージみたーいっ!」

晴「なんかペットボトル持ち運ぶのかさばんな。サッカーのピッチみたいに水をあちこちに置いとけばいいのに!」

ありす「そんな水誰が配置するんですか」

晴「冗談だって。言ってみただけ!」


美嘉「ふふ。ほら、後は虫除けスプレーね!」

薫「えー! 虫避けスプレーするのー!?」

仁奈「美嘉おねーさんはなにを言ってやがるです?」

美嘉「え? なんかおかしなこと言った? 虫にさされるのいやでしょ! デキモノできたらどうすんの」

みりあ「でも虫捕りに来たのに虫除けスプレーしたら、虫がかわいそうだよ!」

美嘉「……虫捕り?」

莉嘉「スプレーなんかしたら捕まえたいカブトムシまで逃げちゃうじゃん! お姉ちゃんも虫捕りに関してはアマチュアだねっ☆」

美嘉「え、自然公園で遊ぶって聞いてたんだけど、あんたら虫捕りするわけ?」

莉嘉「うんっ!!」


ありす「私は別に虫捕りとか興味ないんですけど、自由研究に使えそうなものがここにあるかなって」

梨沙「莉嘉、アンタ伝えてなかったの?」

莉嘉「あれ? 虫捕りって言ったっけ……?」

晴「忘れたんだな」

莉嘉「でもでも! こーんな森に来たならカブトムシをハンティングするに決まってるよ! すぐわかるじゃん! ね! お姉ちゃん!」

みりあ「虫捕り手伝ってくれるんだよね! えへへっ! うれしいなうれしいなーっ」


美嘉「…………」


凛「美嘉大丈夫? 表情、強張ってるけど」

美嘉「いや……うん、OK。ちょっとみんなこっち」









卯月「虫捕りするんですか?」

美嘉「うん、なんかそうみたい……なんなの! 聞いてないし!!」

凛「知らなかったんだ……」



美嘉「ちょい困った状況だねー……」

奈緒「虫捕りか……うぅー、あたしあんま得意じゃないや」

美嘉「でしょ? でしょ? はーい、虫得意な人ー?」

加蓮「どちらかというと苦手。足が多いやつは無理かな」

凛「花についてる小さいのなら取ったりするけど……」

未央「虫捕りなら弟に付きあってしたげたことありますぜ!」

卯月「得意じゃ、ないです……けど! 期待されてるならがんばります!」

きらり「莉嘉ちゃんもみりあちゃんも、とーっても楽しみにしてるみたいだからぁ、ばっーちし! お手伝いしてあげよぉ☆」

美嘉「……しょーがないか。でも! 虫除けスプレーはさせるからっ!」








きらり「みんなーっ! お待たせしたにぃ☆ 虫さんどしどし捕まえよー☆ はいはいすたんばーっ!」

みりあ「おー!!」

晴「虫捕り網みんな持ったかー?」

卯月「持ちましたっ!」

莉嘉「お姉ちゃん! また二人羽織してねっ☆」

美嘉「はいはい」

凛「虫捕り網……持つのすごい久しぶり……」

未央「あははっ! アイドルのJKが虫捕り網持って集合してるなんて、シュールな画だね!」

奈緒「シュール……分かってるからそういうのは言わないで……」


莉嘉「じゃーみんなーしゅぱーっつ!! アタシに続けーっ!」

薫「つづくーっ!!」

ありす「みなさんの虫捕りを記録すれば、自然研究ってことになるかな……」


美嘉「あ、ちょっと! 勝手に行かない!」

未央「遊びたくて仕方ないんだね。こんなユーダイな大自然見てガマンしろってほうが酷だよ」

卯月「ついていきましょう!」

奈緒「加蓮、辛くなったらすぐに言えよ?」

加蓮「もう。過保護!」




「ふわぁぁ……――え、なにここ」



未央「あ、きらりん背中! 起きたみたいだよ?」

きらり「うきゃー! 起きた起きたーっ! おはよう、杏ちゃんっ☆」


杏「きらりぃ……なんで私おんぶされてるわけ?」

きらり「昨日遊びに行こー☆ って言ったでしょぉ?」

杏「ああ……」

きらり「でもでもー、杏ちゃん朝迎えに行った時すやすやーって眠っててー」

未央「起こすのも忍びないから寝させたままここに運んできたんだよっ!」

杏「えぇー……。強制連行しないでよ。双葉杏の身柄、即時返還を求めるよ!」


双葉杏
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きらり「むぇー! せっかくいっしょに遊べると思ったのにー!」

杏「ってかさー、遊ぶってこの自然公園で遊ぶわけ? そりゃないんじゃない?」

未央「たはは、やっぱそこツッコむよねー。でも、あれだよ杏ちゃん! ノリがいい友達と遊べばそういうのは気にならない!」

杏「内輪で騒ぐ人たちの論理だよね、それ。というか団扇欲しい。もうなんか暑い。エアコンもアイスも所望したい!」

きらり「杏ちゃーん。遊ぶの嫌なのかにぃ……?」

杏「遊ぶよりだらだらしてたいよ。涼しい部屋で」

きらり「むぇ~……」ガクッ

杏「わあっ! ちょっとーきらりぃ落ちるとこだったじゃん。がっくーんってするのやめてよ」

きらり「でもでもぉ……」

杏「そんながっかりしないでいいじゃん……私はこーゆースタンス取るってわかってるでしょ」

未央「んー、アウトドア派じゃないとはわかってたけどさ……」


杏(アウトドアか……こーゆう自然がいっぱいなとこ、前も莉嘉たちと来たことあったな)

杏(あの時、きらりを連れてきたら楽しかったかなーとか考えたんだっけ……)


杏「はぁー、付き合うけどぉ、おんぶしててよね」

きらり「え、杏ちゃん……!! うんっ!! りょーかいっ!!」

未央「おお! 流石はズッ友!」

きらり「いっしょにハピハピ☆しようねぇ! うっきゃーっ☆」ドドドドッ!!

杏「わわわっ! 安全運転でいってよね!」


――……


莉嘉「カブトムシどこだーっ! でてこーいっ!」

晴「でっかいヤツ絶対いそうな感じだけどな」

みりあ「どこにいるのかなー。どーやって見つけよう?」

仁奈「カブトムシの気持ちになるですよ!」

薫「カブトムシは~~~……甘いものが好きっ!!」

莉嘉「その通り! みんな樹液がでてるとこ探そーっ!」



ありす「虫捕りってだけであんなにはしゃいで……」

梨沙「まったく子どもよね。男子みたい」

ありす「そうですね。子どもっぽい男子そっくりです。もう少しみんな落ち着いてもいいですよね」

ありす「志狼くんとかあんな風にはしゃぎそう……」

奈緒「ん、しろうくんって315プロの橘志狼のことか」

ありす「はい……って、奈緒さん!? いや、私が志狼くんを今思いだしたのは晴さん達が男子みたいだと思って、そこからえっと……連想しただけで……ボーイフレンドを思いだしたとかそういう誤解は」

奈緒「い、いやいや! そんな追求してないから!」

梨沙「何度か志狼と収録とかいっしょになってるんだっけ?」

加蓮「ああ、橘コンビとか言われてるの見たことある。ケンカみたいなトーク楽しいよね」

ありす「あれは半分本気で……もう、志狼くんの話はいいでしょう。虫捕りしましょう! そのためにここに来たんですから」



奈緒「あ、ああ……そうだな。でも、虫かぁ……」

加蓮「セミでも捕ってみる? カブトムシ見つけるよりは簡単そうだし」

奈緒「ええ。セミ~? セミってほら、オシッコ引っ掛けてくるじゃん。あれほとんど水らしいけどなんかヤだ」

梨沙「なによ。虫捕りいっしょにやってくれるんじゃないの?」

加蓮「そうよ、奈緒。覚悟決めなさいって。ほらほら、網を構えて!」

奈緒「でもオシッコ……ううぅ、加蓮もやれよぉ……?」

ありす「すぐ見つかりますよ。セミなんてあふれるほどいるんですから」

奈緒「見つかっても捕れるかどうかは別問題だけどな……」

未央「後から来るっていうあの子も虫捕りとか苦手そうだしねぇ」

美嘉(アタシも正直気乗りはしない)



卯月「んー……あれ?」

凛「どうかした? 卯月」

卯月「なにかおかしくありませんか?」

美嘉「え、オカシイってなにが?」

卯月「耳をすませてみてください」

きらり「むぇー?」



…………



………………。





杏「――――なにこれ。岩に沁みいってんの?」

奈緒「え? 岩に?」

美嘉「沁み入る…………蝉の声」

卯月「はい、そうなんです! 蝉の鳴き声が!」

凛「全然聞こえないね。こんな木がいっぱいな所なのに」

ありす「えっ蝉がいないってことですか? そんなのありえないと思いますけど」

梨沙「でも、実際鳴き声全然聞こえてないしおかしいでしょ。なによコレ?」

未央「うーむミステリーだね」

加蓮「この自然公園、ヤバい状況になってるとか……そういうのはないよね?」




莉嘉「あれーっ!? セミがいなーい! なにこれー!?」

薫「引っ越ししたのかなっ?」

晴「そんなワケねーと思うけど」

仁奈「これは……不思議でごぜーます。おかしいですよ」


美嘉「チビッ子連中も動揺してる」

卯月「そうですよね。なんか不気味な静かさですもんね……恐がっても無理もな」




みりあ「よーし! みりあ達で“げーいんきゅーめい”してあげよっ!!」

莉嘉「賛成ーっ! 奥まで行けばなんか分かるかもっ!! 行こ!」

晴「へへっ、乗った! この超常現象をオレらで解明してやろうぜ!!」

薫「セミさーんっ!! どこですかー! 元気ですかーっ!!」




奈緒「テンションマックスーっ!?」

美嘉「どうしてそうなんのよ!」

杏「子どもは好奇心だけで動けるんだね」

凛「先に行っちゃったよ、追いかけないと!」

ありす「自然公園から蝉が忽然と姿を消した謎……自由研究に使わせてもらいましょうか。記録をつけます」

きらり「みんなーっ! 待って待ってー!!」


タタタタタ―


奈緒「こらこら! 走って行くことないだろ! 調べるにしてもゆっくり調べたほうがいいって!」

凛「加蓮、大丈夫?」

加蓮「平気。走れるって。流石に子どもに置いていかれることはないから」


晴「蝉の声まだ聞こえねーな」

仁奈「いなくなった蝉の気持ちはわからねーです……どうしていなくなりやがったんです?」

みりあ「んー、モードクが発生して生き物ぜんぶ死んじゃったとか?」

奈緒「いっ! 猛毒!?」

梨沙「ちょっと! 世紀末的な恐いコト言わないでよね! それじゃアタシ達までヤバイじゃない!」

未央「加蓮本当に大丈夫かね!?」

加蓮「もう! 大丈夫だから! でも鉱山のカナリア扱いは気分悪い!」

きらり「ぽいずーん……!? ひゃあああ!!」

杏「言いたいことも言えないこんな世の中じゃ……ってきらり! 揺らしすぎぃ~! こわがんなくていいよ、もしホントに空気中に毒があったらミニマムサイズの私の方にまず影響が出て分かるからさ」

きらり「えええぇぇ! 杏ちゃん! 死んじゃやだよぉーっ!!」

杏「だから死ぬとかそういう話じゃ……もー!」

卯月「え!? 私たち死んじゃうんですか!?」

凛「卯月は落ち着いて……!」


ありす「……」ポチポチ



原因究明のため自然公園の奥に進攻する私たち。そこに唐突に死の恐怖が投げかけられました。

赤城みりあさんが立てた、猛毒が発生したという大胆な仮説。しかし私たちは依然として情報不足でありそれを否定する材料を持たなかったのです――

私たちメンバーは懸命に互いに励まし合いながら、人間の尊厳を奮い立たせ、この危険な探索を続けたのでした。  


――――【橘ありすによる東京自然公園蝉消失事件捜査録:Part1】


そして、結城晴さんが何かに気が付いたかのように声を上げました。


晴「…………お、蝉の声が聞こえるな」

梨沙「え、マジ?」


ミーンミーン……


みりあ「あー! ほら! みーんみーんって!」

美嘉「あ、セミいたの?」

卯月「でも……木にはやっぱりいないみたいです」キョロキョロ

杏「聞こえたんなら毒はないってことでしょ。ひとまず安心していいんじゃん?」


―ミーンミーン、ミーンミーン、ミーンミー

―ジーワジーワ、ジジジジジシ


梨沙「あっちから聞こえてくるみたいよ。行ってみましょ」

奈緒「なんかちょっと怖いな……」

ありす「慎重に行きましょう」


鳴き声を頼りに、私たちは進行方向を定めさらに奥へと進んでいきました。

突然聞こえ始めた蝉の声。

メンバーたちの面持ちは蝉の声が聞こえなかったその時より、さらに固い表情。

この状況に対し訝しさだけが募っていっている様子でした――




加蓮「あっ!」

未央「え、なにっ」

加蓮「あそこ、さっき人影がよぎったような」

凛「蝉の声が聞こえてくるのと同じ方向……」

莉嘉「いそごっ!! きっと何か知ってる人だよ!!」

未央「重要参考人だね!」

みりあ「待て待てーっ!」


ありす(どんどん蝉の声が大きくなって……これは)




駆けだすメンバー。

うるさいほどに音量を上げていく蝉の声。


足を止め、そこで私たちがみたものは――――



 ジィジィジィー ジワワワワワ ミ"-ン ミ"ーン ミ"ーン ミ"-ン ミ"ーン ミ"ーン    シャワシャワシャワ
隼人「どーだっ! こんなにとったぞー!!」 ミンミンミ"ー!!  ジワジワジワ
ジージージー    ヴヴィヴィヴィヴィ   ジジジジジ ミ"-ン ミ"ーン ミ"ーン シャシャシャシャ   ジワジワジワ
朱雀「ハッ!! オレの方が多いぜ!! 見やがれこの量をよぉ!!」 スィースィー ミミミミ
     カナカナカナカナ   ミーンミーンミーン      シャシャシャシャシャシャ  ツクツクフォーツクツクフォー   ミ"-ン ミ"ーン ミ"ーン
玄武「カゴが全然足りねぇもんだから、木の枝と草でこしらえたぜ」 ヴィヴィヴィ ジジジジジ ミミミミ
 ミミミミミミ"  シャワシャワシャワ    スィースィー センセンセンセン シャシャシャシャ   ジワジワジワ    ヴィワヴィワヴィワ          ジージージー
春名「うわー、すっげーなぁ! 俺も童心に帰ってめっちゃ捕ったつもりだったんだけどなー」 ミンミンミ"ー!! ヴィワヴィワ!  ヴヴィヴィ
ヴィワヴィワヴィワ    ジィジィジィーミンミンミン   ウサミンミン    ジワジワジジジ ミ"-ン ミ"ーン ミ"ーン ミンミンミ"ー!
悠介「でもオレらは種類多いもんね!! 見ろよこれ!」 カナカナカナ    ツクツクツク   ジィジィジィー シャシャシャシャ   
    ミンミンミンミーン!! ミミミ゛    ヴィワヴィワヴィワ!  ヴヴィヴィヴィヴィ シャワシャワシャワ       ジージージー
享介「アブラゼミ・クマゼミ・ミンミンゼミ・ニイニイゼミ・ツクツクボウシ! それ以外のレアなヤツも捕ってるからな!」 カナカナカナカナ
センセンセンセン ミンミンミ"ー!!  ミ"-ン ミ"ーン ミ"ーン     ジーワジーワジーワ ツクツクツクフォー  シャシャシャシャシャシャ ヴィワヴィワヴィワ





美嘉「」

奈緒「」

凛「」


未央「こらーっ!!! 男子達セミを捕りつくすなーっ!!!」


蝉が居なくなった理由。

それは先にこの自然公園に入っていた方たちが捕りつくしていたからでした。


――――【橘ありすによる東京自然公園蝉消失事件捜査録:PartFinal】

ひとまず投下終わりです

続き投下します

島村卯月・本田未央・渋谷凛・北条加蓮・神谷奈緒
http://i.imgur.com/5a5dkGF.jpg?1



…………

……………………

ミ"-ン ミ"ーン ミ"ーンミ"-ン ミ"ーン ミ"ーン!!ジージージージー!! カナカナカナカカナミ"-ミ"-ミー!!!!ヴィヴィヴィヴィー!!
ミ"-ン ミ"ーン ミ"ーンジーワジーワジーワシャワシャワシャワシャワミーミーミーミー!!ヴヴィヴィヴィヴィミーンミーンミーンジィジィジィ-!!
ジワジワジジジミ"-ン ミ"ーン ミ"ーン ミンミンミ"ー!ジージージージーミーンミーンミーンギッ!! シャワシャワシャワジジジジジジミーミーミー!!
卯月「へえ~、High×Jokerさんも小学生のみんなといっしょに遊んであげてるんですね!」

春名「うんまぁ、そうそう。ハヤトも乗り気だったから」

悠介「オレらも話聞いて着いてきちゃった♪」

晴「蒼井兄弟もかよ!! うらやましいなー!」

享介「そっちもアイドル達が集まってるんだろ。みんな優しいんだな」

仁奈「はい! おねーさん達、みーんな優しーのでごぜーますよ!!」


きらり「あーっ! 玄武くんはーっけんっ♪ えっへへ、相変わらずおっき~い! 」

玄武「諸星きらりさんかい。ふっ、この黒野玄武、技の冴え―ー天玄氷刃波の威力も衰えちゃいねえぜ」

隼人「あっ……!! カリスマJKアイドルの! 城ヶ崎美嘉さん!?」

美嘉「え、あ、うん。どーも」

隼人「は、はじめまして! 俺、High×Jokerの秋山隼人です! バンドやってます!! バンドやってる男子です!!」

美嘉「ひっ!? ちょっ! 待って! 蝉が迫って来てるから!!」
センセンセンセンシャシャシャジーワジーワジーワミ"-ン ミ"ーン ミ"ーンジワジワジジジミ"-ン ミ"ーン ミ"ーン ミンミンミ"ー!!スィースィースィー
カナカナカナカナミーンミーンミーンヴィヴィヴィヴィヴィツクツクフォーツクツクフォーカナカナカナミ"-ン ミ"ーン ミ"ーンミ"-ン ミ"ーン ミ"ーン!
ミーミーミーミー!!! ジジジジジジスィースィーシャワシャワシャワシャワシャワヴィワヴィワヴィワヴィワジージージージー!!カナカナカナカナ!


奈緒「というかうるさぁーいっ!!!! 蝉どっかにやってくれよー!!!」


莉嘉「うわー、蝉もあんなに集まっちゃうと流石にちょっとキモい」

朱雀(……やべぇぜぇ!! 女子が来やがった!!! どうすりゃいいんだァ!?)



ダンシー ニガシテアゲナヨー カワイソウデショー

エエー!! ナンデダヨー!!



梨沙「まさか、315プロの連中も来てるとはねー」

ありす「シンクロシニティって言うんでしたっけこういうの」

薫「むこうの事務所もたのしそーっ!」

ありす「お兄さんたちが子供じみてる気もしますが――――あっ。小学生につきあってここに来たなら……」


ありす「え……っと」キョロキョロ


みりあ「? なに探してるのー?」


ありす(来てるんですね。この公園に……)

晴「志狼のヤツも来てんだな!! うらやましいぜ、あいつ蒼井兄弟といっしょに遊んでんのかよー」

梨沙「もふもふえんもここにいるのね」

仁奈「もふもふえんですか!? ソウルフレンドのかのんくんもいやがりますか!?」

ありす「……そうです。いるはずです」キョロキョロ

みりあ「わー!! 会おう会おう!! いっしょに遊べば楽しいかも! あっ、そっかありすちゃん、今もふもふえん探してるんだねっ!」

ありす「あ、いや」

晴「……志狼のヤツが気になんのか?」

ありす「ち、違いますっ! ただ、志狼くんに会う時はいつもびっくりさせられてるような気がするから……今回は先に見つけて、精神の安寧を保っておこうと。それだけです」


トリスギデショ、セミ

セミノ イノチハ ミジカインダヨ

ソウカ? ショーガナイナ…



みりあ「じゃーみりあもさがすーっ!! 志狼くーん志狼く―ん! どこー!? ありすちゃんがさがしてるよー!?」

ありす「え!? 声を上げて探さなくてもいいですからっ。見つからなくてもお兄さん達に聞けばすぐにわかることなので」


ありす「……というか、聞かなくてもあんな単純な人の行動パターンなんて簡単に分析できます」

薫「ぶんせきー? すごいっ!」

ありす「志狼くんがこんな自然公園に来たら大体犬みたいに走りまわってるか、お弁当でも意地汚く先に勝手に食べてるか……」

梨沙「犬みたいとか意地汚いとか、エンリョないわねー」

ありす「率直な評価ですよ。後は、そうですね……虫捕りをしに来ているなら」


 こんっ


ありす「え? なにか今頭に当たりましたか?」

晴「上から木くずが落ちてきたみたいだな」

薫「うえー? ……あーっ!!!」

梨沙「え、なによ薫」

薫「木の上見てー!」

ありす「あっ」



志狼「はっはっはー! オレはここだっての!」

みりあ「あーっ! 志狼くんみーっけ!」

晴「よー志狼! やっぱ来てたんだな!」

志狼「よー晴! おまえらも遊びに来たのか! オレらの計画パクんなよ~?」

ありす「パクってませんよ。それにしても……やはり木の上ですか。何とかと煙は高いところが好きということが立証されましたね」

志狼「あ? なんとかと煙ィ? …なにそれ? まーオレ、高いとこ好きだけどよ」

梨沙「こんなとこで会うとはねー。変なの。ってか志狼、アンタ他の二人は?」

志狼「かのんは、まきおたちといっしょにいるぜ」

仁奈「そーですか! ごあいさつにうかがわねきゃいけねーですねっ!!」

志狼「なおのやつは、虫苦手とか情けねーこと言ってよー。しょーがねーからオレだけ兄ちゃん達と虫捕りしてんだ」

みりあ「直央くん虫苦手なんだー」

志狼「そうなんだよ。でもこのカミキリ、背中にくっつけてやるもんねー! へっへっへ!」キチチ

薫「あー、そんないたずらしちゃいけないんだーっ」

ありす「そんな幼稚なイタズラよくやる気になれますね。直央さんがかわいそうじゃないですか。幼稚な人に言っても無駄かもしれないですけど」

志狼「よ、幼稚幼稚言いやがって! ショックりょーほーってヤツだよ! そんなこと言うありすにはテンバツを食らわせてやるぞー!」ググッ

ありす「え、なんですか!? もしかしてその手に持ったカミキリ落としてくるつもりですか!?」

梨沙「ちょっと!? 虫落とすんじゃないわよ!!」


志狼「大丈夫! “がいこっかく”の虫は高いとこから落ちても死なないってげんぶのあにきが言ってたし!」

ありす「虫の心配はしてません!」

みりあ「してあげようよー!」

ありす「えっ」

仁奈「しろー、しろーおにーさん。虫の気持ちになるですよ……」

志狼「……虫の気持ち?」


志狼「…………うーん」


梨沙「なんか真剣に考え始めた」

志狼「やめとくか。カミキリかわいそうだし。オレのコレクションだしな……」スッ

晴「あ、やめた」

みりあ「志狼くんえっらーい!」

ありす「どうしてそれで説得されるんですか……」


梨沙「ってか、アンタいいかげん木の上から降りてきなさいよ。首上げるの疲れたわ」

志狼「あのよ梨沙、オレここ気にいってんの」

仁奈「おさるさんみてーでごぜーますね」

志狼「ニンゲン… カエレ…」

晴「野生に還ってんじゃねーよ!」

みりあ「あはははははっ! はははっ!」


隼人「いいなぁ。小学生は。気軽に女の子と話せて……」

春名「どしたハヤト? 蝉逃がすことになって落ち込んでんのかー?」

隼人「あ、いや」

享介「まー、蝉だけで虫カゴいっぱいにしても変わり映えがしないか」

悠介「カブトムシとかも捕りたいもんね!」

莉嘉「あ!カブトムシならアタシも捕りたーいっ!」

美嘉「ちょっと莉嘉!」

隼人「えっ!! カブトムシ捕りたいの! すごい!! さすがカリスマ! 理解があるなぁ! シキのやつにも聞かせてやりたいよ!」

莉嘉「えっへん。カブトムシにはアタシもちょっとうるさいよ~!」

美嘉「アタシは別に……」

春名「お。じゃあ巻緒が木に罠を仕掛けてるからいっしょに見に行ってみる?」

莉嘉「ワナ~?」

春名「そ。あま~い罠。バナナトラップって言ったかな? それ仕掛けとくとカブトムシいっぱい集まってくるんだって。そろそろ引っ掛かってるかも」

莉嘉「ホント!? 行く行くっ」


未央「わー、莉嘉ちゃんがさらわれるー!」

凛「ちょっと未央……」

隼人「え!? 違うよ! これはカブトムシをいっしょに見に行こうって誘っただけだって!?」

春名「ナハハ。だーかーら、動揺すんなってリーダー。不審者に見えるから」


美嘉「莉嘉、カブトムシに釣られてついていくんじゃないの!」

莉嘉「え~~アタシここにカブトムシ捕りに来たのに~!」

加蓮「でも、もうちょっと警戒はした方がいいかな。このままだといつかカブトムシ好きな少女を食い物にする悪いオトナに騙されちゃうかもだから」

奈緒「カブトムシ好きな少女ってやけに限定されんな……」

莉嘉「む~~……!」



卯月「でもすごいですねー。こんなに蝉を捕まえるなんて」

悠介「享介と二人だったからね! オレ達の連携プレーは最強だから!」

享介「悠介はやみくもに突っ込みすぎなんだよ。もうちょっと捕りやすい位置取りとか考えろって」

悠介「そーゆうのは享介ががんばって! アシストしてくれればオレは確実にゴール決めるからさ!」

享介「たしかにネットに入れてはいるか……まったく、しょうがないヤツ」

悠介「感謝してるって。享介がいるからオレらはアイドル界最強の兄弟になれるんだよ。これからもヨロシク!」



莉嘉「……! お姉ちゃん!!」

美嘉「え、なによ」

莉嘉「お姉ちゃんもついてきてよ! それなら危なくないでしょ! お姉ちゃんならオトコのあしらい方、詳しいし!!」

美嘉「あ、あしらい方? ……いや詳しいけど、一番いいのはまず関わらないようにすることだから……」

隼人「詳しいんだ……流石だなぁ。城ヶ崎美嘉さんは男に関しては百戦錬磨なんだ……」

美嘉(さっきからこの男子の無垢な憧れの視線が辛い!!)


莉嘉「アタシ、お姉ちゃんといっしょにカブトムシ捕りたい! それで証明したいの!」

美嘉「何を証明すんの」

莉嘉「アイドル界最強の姉妹(きょうだい)は、この城ヶ崎美嘉と城ヶ崎莉嘉ってコト!!」

美嘉「さ、最強の姉妹……」

未央「おおー! 莉嘉ちゃんの情熱がほとばしっている! 美嘉ねえ! 本当にいい妹を持ったね!」

美嘉「いや、でもそれカブトムシ捕りで証明することじゃないでしょ」

莉嘉「お姉ちゃんおねが~い!」

美嘉「うっ、莉嘉……」


美嘉(男子といっしょにカブトムシ捕りって……アタシ的にどうなの。危険な感じするんだけど)


志狼「なに揉めてんだー」(木から降りた)

仁奈「いっしょに虫捕りするとか聞いたですがー」

梨沙「今悩んでる感じ?」


莉嘉「あ、みんな! お姉ちゃんのセットク手伝って~!! アタシお姉ちゃんといっしょに芸能界のトップに立ちたいの!」

美嘉「いや、カブトムシの話でしょ!?」

志狼「なにっ!? トップ!? おまえトップに立つのはオレだぞ!」

莉嘉「アタシ達だもんっ!」

ありす「志狼くん、黙ってあげましょう……話がややこしくなります」


みりあ「……莉嘉ちゃん。お姉ちゃんはお姉ちゃんの考えがあるのかも。なんでも言うこと聞けないことも、あるよ?」

美嘉「みりあちゃん! そんな重い感じじゃないんだって! ホントに!」

仁奈「でも家族の気持ちが、自分の気持ちといっしょじゃねー時もあるです……」

梨沙「仁奈……! 大丈夫よっ! それでも好きだって気持ちは伝わってるはずよ!」

莉嘉「うん! そうっ! アタシお姉ちゃん大好き! それは伝わってるよね!?」

美嘉「伝わってるけども! 伝わってるけども! なんかノリがおかしいから今!」

きらり「みんな、ちょっと落ちつこーぅ? ね?」


玄武「家族のすれ違い……か」

春名「すげー深い話してるなー」

悠介「最強のきょうだいかー! ライバル登場だ!」

享介「俺達の話聞かれてたみたいだな」

杏「変な風に影響与えあってカオスになっちゃってるよ」


志狼「よくわかんねーけど、トップに立つためにねーちゃんとカブトムシ捕まえてーのか。ねーちゃん、やってやれよー!」

美嘉「え? え……っと志狼くん?」

晴「お、志狼。説得手伝うのかよ」

志狼「ま、トップに立ちてーってキモチはわかるからな」

莉嘉「あ、ありがと!」

晴「じゃあ、オレも。……美嘉ねえ! オレらからもお願いする! いっしょにカブトムシ捕ってくれ!」


美嘉「晴ちゃんまで!」


みりあ「美嘉ちゃん! もしイヤじゃないなら莉嘉ちゃんといっしょに行ったげてー!」

仁奈「おねげーです! 家族は仲いいのがいいですよ!」

梨沙「お願いするわ! 仁奈の言う通りよ!」

薫「薫、よくわかんないけど……おなーしゃーっす!!」

莉嘉「みんな……っ!」

ありす「え、なんですかこのノリ」

志狼「ほら! ありす! おまえも!」

ありす「え……あ、その。お願いします」ペコッ


オネガーイ オネガイシマース オネガイデスー


美嘉「…………!」

奈緒「うわ、すっげー状況」

凛「美嘉…」


美嘉(なにコレ……アタシにどうしろっていうの!)

美嘉(カブトムシ捕まえるのってそんな重要なコト? 意味分かんないし!)

美嘉(と、とにかく落ち着かせて話さないと。こんな子供たちの勢いで押し切られるのはダメ!)


美嘉(―― 子供、たち)


莉嘉「ひぐ、ぐす……! おねえちゃん、いっしょに行こ……」

梨沙「いいでしょ? 行ってあげても……」

仁奈「いっしょに遊びてーです」

晴「おねがいします」

ありす「……お願いします」

志狼「おねがいしまっーす!」

薫「みんなでいけば恐くないよ!」


美嘉「みんな――――」


莉嘉「えっ?」




美嘉「いいよ♪ 今日はいっしょに遊ぼっか!」




莉嘉「え! やったー! お姉ちゃん大好き!」

志狼「おーっ! やったー!」ハイターッチ

晴「やったな!」イェイ!


ワーイワーイ!! ヤッター!!!


玄武「一念、岩をも通すか」

未央「うんうんっ! いい友情劇場を見せてもらったー……!」


凛「美嘉、いいの?」

美嘉「あそこまでお願いされちゃあね。子どもの想いを裏切るなんて、城ヶ崎美嘉のイメージにそぐわないし!」

隼人「えーっと、じゃあ、オレ達といっしょに虫捕りするってことでいいんですか?」

美嘉「うん、そーいうことになったから。ま。テキトーによろしくね」

隼人「はい!」

美嘉「あ、あと敬語はやめて。もうちょっとフランクにいこ? 違う事務所だけどアイドルやってる同年代の仲間なんだしさ!」

隼人「はい! ……あ、いや、うんっ!!」

美嘉(あんまり意識しすぎず、いつも撮影とかでやってるように……。こんなカンジでいいよね)

春名「んじゃ、これ。おすそわけのドーナツ」

美嘉「え! ドーナツ!? この暑いのに!?」

卯月「法子ちゃんみたいですね」



奈緒「というかこれ、アタシ達まで男子達といっしょに虫捕りしなきゃいけない流れか……」

未央「前にもこういうことあったよね。楽しいからいいとしようっ」


朱雀「……」

玄武「おい、朱雀。さっきからなに黙りこんでんだ」

朱雀「お、オォ!? ちっとどうやって女子と話すか考えててよ……」

玄武「相変わらずだな。堂々巡りに入ってやがる。気概の問題だ、こんなのはな」



にゃん喜威「にゃー」

薫「ねこさんだっ!」

みりあ「かわいーっ! よしよしっ!」


朱雀「気概か……よし! にゃこを見習って! 女子と立派に交流してやるぜ!」

玄武「その意気だ相棒」



悠介「おーいっ、一回みんなのとこ戻るんだってさー! 行こう!」

――

――――


ゾロゾロ…


晴「あのさ! 虫捕りもいいけど、やっぱオレとしてはサッカーもしたくてさ」

悠介「いいよっ! オレ達もサッカーやろうと思ってたから、いっしょにやろう!」

晴「やった!」

隼人「駅前にでっかい広告ポスター貼ってあったね」

卯月「はいっ、見てくれましたか? あれ、駅ごとに貼ってある人が違うんです! 私は有楽町と目白で」

春名「凛ちゃんは渋谷?」

凛「うんそうだけど……笑わないでよ」

未央「オリコンランキング見たよー。High×Jokerもいい感じじゃん!」

隼人「ありがとう! 次の週にはそっちのCDもランクインしてたよね!」

加蓮「ふふ、いつか、いっしょにゲストに呼ばれるかもね」



巻緒「あ、みんな! こっちこっち」


春名「巻緒! おお、いい日陰にシート敷いたな!」

夏来「ハルナ、ハヤト……おかえり……」

旬「連絡貰った時はびっくりしましたよ。346プロダクションの人たちと合流したなんて」

未央「おー! なつきんにふゆみん! おはよー!」

美嘉「よろしく頼んどくね」


加蓮「シート敷いてくれてるんなら、気分悪くなったらここで休めば平気だね」

奈緒「お、おい加蓮」

加蓮「奈緒と凛がいっつも心配するから、先回りしてみた」

凛「もう……あんまり心配しすぎないようにするって」



かのん「になちゃーん! 来てたのホントだったんだ! おはようございまーす!」

仁奈「そう、仁奈は来てたのですよーっ! おはよーごぜーますっ!」

かのん「わぁ、もふもふっ! でも軽くて、通気性もよくて……とってもいい服だねぇ~!」キャッキャッ

仁奈「さすがは見る目がありやがりますです!! ふふふー、もっと触っていいですよ!」キャッキャッ


志狼「なおー! おまえもなんか虫捕ったかよ?」

奈緒「え、あたしか?」

みりあ「ちがうよー、なおくんのほう!」

直央「あっ、ぼ、ボクです! ……すいません、まぎらわしくて」

奈緒「あ、岡村直央君の方か! いやいや謝らないで謝らないでっ! えっと、その……」


奈緒(どうしよ。『アニメ映画で声優やってたよね!』から映画のストーリーの感想言うの……ちょっとオタクっぽいか?)

奈緒「うーんうーん……」

梨沙「急に黙り込んでどうしたのよ」


朱雀「わ、話題を探してるのかもしれねぇだろ!? オォン!? 黙って待っててやるんだよそういう時はよォ!!」

梨沙「ひゃっ!?」

玄武「オイコラ朱雀、ちったぁ音量と口調に気を配りな。びびらせちまうだろうが。あー、すまなかったな驚かせて」

梨沙「いいけど……ってか、びびってないからね!」

朱雀「もっと慣れねェと……」


直央「あ、あのねゴメン。虫はその、てんとう虫しかとれてないんだ」

志狼「なんだよー、もっとでっかいの捕れよなー」

みりあ「あ、でもてんとう虫かわいい! かしてかしてー!」

直央「え、あっ、うん」

みりあ「ありがとーなおくんっ」

奈緒(あ、考えてるうちに話が流れちまった)



次郎「……なにこれ。なんでこんな大所帯になってるのさ。引率の責任さらに倍じゃないの」

ありす「あ、あなたは……イチゴ大使をしてた山下次郎さん」

次郎「イチゴ? ああ。やったけど……あれ、おじさんのこと知ってるの?」

ありす「ちょっとだけ調べたんです。先生だったんですよね」

次郎「そ。元高校教師。まー、今、何の因果かまた10代の監督責任背負わされてるけど」


ありす「私は橘ありすといいます。えっと、先生を辞めてアイドルって……無謀と言うか……すごい決断ですね」

次郎「決断ねー。たくさんお金が入ってくるかなって思ったからアイドルになったんだけどね」

ありす「お金……!? 先生の方がしっかりした職業だと思うんですけど」

次郎「まぁ、そうだったかもね。でも結構あっさり辞めちゃった」

ありす「生徒が嫌いだったんですか?」

次郎「生徒と接するのは大変だったけどねー、でもま、嫌いじゃあなかったか。ケースバイケースだけど」

ありす「ケースバイケース……面倒くさい生徒もいたんですよね?」

次郎「いたね」

ありす「もしかしてそういう生徒がいたから、辞めたほうがいいと思ったんですか?」

次郎「んー、生徒は関係ないよ」

ありす「か、関係無いって……。じゃあ本当にお金のためだけに先生辞めちゃったんですか。なんですかそれ、無責任です」

次郎「たはは、そう言われるとおじさん言い返せない。はざまさんなら熱く理由語るんだろうけど」

次郎「でもどしたの? もしかして君、先生に面倒くさいとか言われちゃったりした? そんなの聞くなんて」

ありす「……っ! 確かに言われたことありますけどっ! 私は別に悩んでなんかないですから」

次郎「あーそうなの?」

ありす「山下さん。もう少し生徒のことの考えてあげた方が良かったんじゃないですか? それが先生の仕事で、義務なんですから……生徒を見放さないようにすべきでした」

次郎「あちゃあ、怒られちゃったね。おじさん反省」

ありす(な、なんてゆるい人……! こんな人が先生だったなんて)




次郎「でもね、たちばな。真面目もいいけど、自分に優しくすることもダイジなんだよ? そこは分かっといてね」

ありす「自分に……?」

杏「先生だって疲れることあるよね~、わかるよ~」グデー

次郎「そそ。アメとムチはアメがないとやってけない」グデー

杏「お~、わかってるね先生」

次郎「キミはいっしょに遊ばないの~?」

杏「ん~杏は、監督役だから。安楽椅子で寝てるポジションだから」

次郎「なんじゃそりゃ。若いのに」

杏「先生だって若いじゃん~」

次郎「でも気持ちはすでに枯れ気味なのよ」

杏「それじゃ杏も枯れ気味ってことで~。北海道にいた時冬の寒さに負けてすでに枯れちゃいました~」

次郎「あー、北海道出身なのね。じゃあこの暑さきついか」

杏「うん、だからここの木陰で休んどく」



ありす「え……」

春名「ぐだってるなー。山下先生! オレらカブトムシ捕まえてくるんで!」

次郎「そう。気をつけなよ、わかざと」

みりあ「ありすちゃんもいこーよっ!」

ありす「あ、はい」


四季「おおーっ!! なんすかなんすか!? このパーティー! ワイワイ感とキラキラ感がハイパーメガMAX!! って感じっすね!」

未央「お、しきわーん!」

奈緒「四季か。前TV局で会った時も思ったけど騒がしいヤツだな……」

四季「美嘉っちときらりっちまでいるじゃん! ヘイ! オレ、伊瀬谷四季!! ヨロシクぅ!」

きらり「うっきゃー! 元気ばりばりぃ☆ 楽すぃー子! えへへへっ、よろしくお願いしまーっ!」

美嘉「よろしくー」

四季「で、このメンツで何するスケジュール!? カラオケ!?」

隼人「だからカブトムシ捕りにいくんだって!」

四季「えー! このメンバーで!? こんなアイドルコンプしといて!? ゼッテー間違ってるってー!」

凛「だよね……それについては同意するよ」

旬「おかしいですよね」

夏来「虫捕りも……楽しい。みんなでやれば……」

隼人「お! ナツキ! だよな! ひと夏のアバンチュールってのが魅力的なんだよな!」

莉嘉「そうそう! カブトムシ捕まえるのって1年の内ちょっとしかできないからね!」


隼人「でもイヤなら四季はここに残っても」

四季「もー! ハヤトッちー!! 行かないとは言ってないっすよー!! 捨てないでくれっす!!」ガバッ

隼人「わっ! 分かったから抱きつくなって! 暑いよ!」

夏来「……よかった、シキも来るんだ……」

卯月「仲いいんですね!」


奈緒「なんか男同士の絡みっていいな……」

加蓮「え、奈緒何言ってんの……? 目覚めた?」

奈緒「えっいや!! 目覚めてない! 気の迷い! 男同士の関係気にするとかそういう趣味はあたしには無いから!」



――――かんけいきにする

      かん ケーキ にする




巻緒「―――― 今ケーキの話しました!?」グイッ!!!


奈緒「うわっ!? してないよっ!?」

春名「巻緒はケーキに反応早すぎな」

巻緒「えへへ。ごめんなさい」



卯月「あ、名字が卯月なんですね! 私の名前といっしょですね!」

巻緒「うんっ。卯月ちゃんのことは知ってる! TVで良く見るから。ややこしかったら巻緒って呼んでね」

卯月「はいっ。私もややこしかったらえっと……しまむーって呼んでくれていいです!」


悠介「リフティングしながら行こっと」ポーンポーン

晴「わっ、すげ! オレにもやらせて!」

志狼「ダメだぜ晴! オレが先!」


みりあ「えーい! 仁奈ちゃんでかのんくんにもふもふもふーっ!」モフモフモフー

かのん「わーっ! もふもふすぎて目が回っちゃう~!」モフモフモフモフ

仁奈「もふもふがハイパーメガマックスでやがりますよ!」モフモフモフ



美嘉(改めてなんなのこのメンバー)

玄武「百花繚乱の呉越同舟……と言ったところか」



隼人「バナナトラップはこっちだよー」

莉嘉「お姉ちゃん早く早くっ!」

投下終わりです
要点だけ書くか。それとも思いついたネタを全部入れるかちょっと悩んでます

というか今回の志狼くんすごくいいですね!
http://i.imgur.com/GkLL644.jpg

怪盗リサも躍動感あって好きです

投下開始します


――……



巻緒「この木です。バナナを発酵させて袋に詰めて仕掛けてみました」

卯月「ロールさんが作ったんですか?」

巻緒「うん! ケーキ作りの要領でできたよ!」

旬「ケーキ作り……朝にいきなりバナナケーキを振舞われたのはびっくりしましたが」

春名「巻緒ー、さてはケーキの誘惑に勝てなかったな?」

巻緒「えへへ。バナナ切ってたらケーキに合うかなーって思って……つい荘一郎さんに聞いて作っちゃったんだ」

凛「そんなケーキ好きなんだ。ケーキばっかり食べてたら栄養のバランス悪くない?」

巻緒「えー、美味しいから大丈夫だよ!」

未央「あははっ、聞きおぼえがあるセリフ!」

巻緒「あ、クーラーボックスに冷やしケーキを保存してるんだけど食べる?」

奈緒「いっ、今はいいよ」

志狼「え、ケーキくれ―!」

ありす「志狼くん、今はがまんしないとダメですよ。虫捕りに来てるんですから」

志狼「なんだよ! 忘れてねーっての!」


隼人「で、虫だけど……お、コクワガタとちっさいノコギリクワガタと、メスのカブトムシがいる! そんなに仕掛けてから時間経ってないのにすごいな!」

梨沙「ここ虫たくさんいるのね」

志狼「んじゃ捕獲だー!」ヒョイヒョイ

隼人「おう、捕まえとこう! あ、メスは残しておいてくれ! フェロモンでオスをおびき寄せるから!」ヒョイヒョイ

直央「手づかみですごい……」


薫「虫だ虫だーっ!!」

志狼「ほら、ありす! 触ってみるか?」

ノコギリクワガタ「ギチギチ」

ありす「きゃあっ! い、いいです! 近づけないでくださいっ気持ち悪い!」

志狼「気持ち悪いってなんだよ! ほら! よく見ろよ! かっこいーフォルムしてるだろ?」ズイッ

ノコギリクワガタ「ギチチチ」

ありす「ひゃああ……! う、裏面がっ! 顔にっ! やめてくださいっ!!」

かのん「あー、しろうくんいけないんだー! 女の子いやがるコトしちゃダメなのにー」

凛「だね。裏面はキツいよね……。志狼、やめたげて」

志狼「えっ、なんだよねーちゃんまで! オレは親切で見せてやったのに! そんなに虫がこわいかよ」

直央「そういう子もいるんだよ……ボクもちょっと苦手だし」

みりあ「えー、でもでも! ちょっとかわいくない!? ほらクワガター!」

クワガタ「キチギチィ」

直央「わあっ!?」

志狼「お、みりあも平気なのか!」ギチギチ

みりあ「そんなにこわくないもーん!」ギチギチ

晴「志狼! オレもこういうヤツらなら素手でさわれるぜ!」ギチギチ

ありす「わ、私は……写真で記録をつける派なんです」

梨沙「志狼、みりあ、晴。後で手を洗ってよ」



夏来「結構……捕れたね……」

莉嘉「でもでもー! オスのカブトムシがいなーいっ! ねーお姉ちゃん見てよこのカナブン~カッコよくないよねー!」

美嘉「な、なら手に取ることないでしょ」

隼人「カブトムシ好きなんだね!」

莉嘉「うんっ!! 大好きだよ~!」

隼人「よし! わかった! こうなったら捕れるようとことん協力するよ!」

莉嘉「わぁっ! 隼人君アリガト☆」

隼人「任せて!! 絶対捕らせるから!」



四季「おおーハヤトッちが燃えてるっす! でも莉嘉っちJCっすよ? 守備範囲なんすか?」

未央「まぁ、美嘉ねぇの妹だけあってフェロモンばりばりだからね。オスはフェロモンに引き寄せられるものだししょうがない」

奈緒「うぇっ、色気があれば年齢なんかどうでもいいのかよ。やっぱ男子は……」

隼人「ちょっと!? 違うからっ!! 違うからっ!! ただ女の子がカブトムシを好きでいてくれて感動しただけだって!! 同志を見つけて嬉しいってそーいう純粋な感情だからー!!」

享介「あはは、テンパるなって! より怪しく見えちゃうぜ」

加蓮「だね。もう少し余裕持つといいよ。そうしたら男ぶり、上がるんじゃない?」

隼人「男ぶりが上がる……? ――――いや、オレ落ち着いてるよ。うん。みんな体調は大丈夫か? 森の中って言っても日中は暑くなるからな。水分補給はマメにするんだぞ。なにかあったらオレに言って。オレは落ち着いてるからさ」

悠介「おおー、なんかいきなりキャプテンシーを発揮し始めた」

旬「ハヤト……もう」

加蓮(やっぱ隼人くんおもしろいなー)


玄武「おい、盛り上がってるとこ水を差すようで悪いが少しいいか?」

きらり「んんんー? 玄武くんどうかしたのかにぃ?」


玄武「こっちのクヌギの木を見てくれ」

朱雀「み、見やがれコラァ!!」

梨沙「ひっ! なによもう!」

薫「こわーい……」

晴「どうしたどうした」

玄武「ほら、見な。この上のあたりにオスのカブトムシいるぜ……高ぇトコにいるが捕りてぇんなら狙ったらどうだい」

莉嘉「いるの!? ――――えーっと……上の……あーっ!! ホントだっ!! カブトムシはっけーん!!」

朱雀「狙ったらどうだぁっ!!! オラアァァァッ!!」

卯月「ひゃああっ!?」

凛「あのさ、朱雀。恐いから怒鳴って反復しないでくれる。卯月が驚いちゃったじゃない」

朱雀「うっ、す、すまねぇ!?」

卯月「凛ちゃん、ありがとう……」

夏来「凛は……優しくて、度胸があるんだね……」

卯月「はい。凛ちゃんはすごく優しくてかっこいい女の子なんです!!」

凛「ちょっと!? やめてそういうの! 恥ずかしいから……!」


玄武「だから力入れすぎなんだよ朱雀」

朱雀「わりぃ。ばあちゃんとかだったら平気なんだけどよ……つい気合い入れすぎちまう」


美嘉「上の……あ、あそこの枝だね。ケッコウ大きいカブトムシじゃん。でもちょっと高すぎるんじゃない?」

未央「んーっ!! んー!! ダメだーっ! 報告します! ここから虫捕り網伸ばしてもゼンゼン届きません!」

志狼「よし! よじ登って捕まえてやる!」

ありす「えっ、流石に高すぎるんじゃ……」

志狼「オレ落ちねーもん!」

ありす「そういうこと言う人に限って落ちますよ。登るのはやめた方がいいと思います。枝が折れて、落ちて……死んじゃったらどうするんですか」

志狼「なんだ、ありす? オレのこと心配してんのか」

ありす「し、心配なんてっ! ただ目の前でバカな事をやられるのがイヤなだけです」



次郎「あーそうだね。流石に高すぎるねこれ。危ないことはよしてね。おじさんの監督責任もなっちゃうし」

巻緒「山下先生!」

ありす「あっ、次郎さん……来たんですか」

次郎「まぁ、様子見に来ただけだよ」

直央「しろうくん。これはやめとこうよ」

志狼「ちぇっ……しょーがねーな」

卯月「別の方法で捕まえましょう!」


享介「別の方法かぁ」

悠介「そだ! 享介肩車してよ!! それなら網、きっと届くよ!」

莉嘉「あーずるい! 負けないからねっ!! お姉ちゃん! 城ヶ崎シスターズのパーフェクトコンビネーションバージョンBの準備して!!」

美嘉「バージョンB? そんなの知らないけど」

莉嘉「肩車だよー!」

美嘉「私までやれって言うの!? それちょーっと私のイメージと違うんじゃない?」

莉嘉「えぇ~……! やってくれないんだ。それじゃあ隼人くんに頼もうかな……お姉ちゃんと身長いっしょぐらいだし」

隼人「え、俺!?」

四季「スーパー大役っすね! ハヤトッち!!」

美嘉「いや! 待って待って! 莉嘉はあげないから!」

隼人「取らないです取らないです!」


享介「んー……悠介。あのカブトムシ捕まえるの子どもに譲ってあげない?」

悠介「譲る? んー……賛成! 次世代の育成ってゆーのもダイジだよな!」

晴「おー、すげーな。プロ選手の意見だ」

未央「きらりんとか玄武くんに肩車してもらったら世界が変わるだろうね~!」

玄武「そうか……おい、俺の上に行く気があるんなら肩車してやるが……どうする?」

直央「え、ぼ、ボクですか?」

志狼「あ、なお、げんぶのあにきに肩車してもらえるのかよ! やったじゃん!」

直央「え、え?」


――……


薫「わぁ! すごくおっきー!」

直央「うわぁ……高い……!!」

玄武「怖ぇかい? 無理だっていうんなら下ろすが」

直央「い、いえ! 怖いけど……がんばってみます! ぼ、ボクも……自分で虫捕れるようになりたいから」

玄武「ふっ……根性あるじゃねえか、流石だな」

みりあ「なおくん肩車いいなー!! みりあもやーる!! きらりちゃんお願いしていーい?」

きらり「いーよぉ☆ きらりにぃ、おまかせー!! ちぇーいっ☆」グワッ

みりあ「わー! あははは高い高い! なおくんこんにちはー! 目が同じ高さだね!」

直央「う、うん」

かのん「みりあちゃん楽しそう~! なおくん! もっとリラックス! 笑って~!」

加蓮「写メ撮っとこうかな」

悠介「やっぱ身長あるといいなー。ポストプレイに向いてるし」



莉嘉「みりあちゃん……なおくん……!! そっか。莉嘉はオトナだから肩車してもらうわけにはいかないんだ……」

梨沙「なに落ち込んでんのよ」


仁奈「仁奈もずっと前にパパに肩車してもらってから、ずいぶんしてもらってねーです……一人じゃねーですよ」

莉嘉「仁奈ちゃん……うん、ごめんわがままだった」

志狼「なんだよ! やってもらいたいことは言わなきゃ伝わんねーだろ! そんなにしてもらいたいんならオレがやってやるよ!」

莉嘉「あはは、志狼くんじゃできないでしょ~」

志狼「んだよ! できるよ!」

莉嘉「気持ちだけもらっとく……ありがと」

薫「元気だしてー」

かのん「オトナになるのはイヤなことだけど、ふぁいと、だよっ!」

莉嘉「うん。がんばる……」


美嘉「ちょっと待って。だから待って。純粋な子ども達による胸に刺さる寸劇はやめてってば!!」

凛「これ結局やる流れだね……」

春名「カリスマJKファイトーっ!」

巻緒「ケーキ食べる? 元気になるよ」ムグムグ

夏来「妹がいると……大変な時も、あるよね」


美嘉「…………男子集合!!」



四季「どしたんすか美嘉っち?」

悠介「なんかの作戦指示~?」

美嘉「違う。あのね、今から私莉嘉に肩車するけど、普段からやってるわけじゃないからね。私たち普段はケータイデコったり、もうちょっと女子力高いことやってるから。一部分だけ見て誤解しないよーに」

旬「なんの念押しですか……」

春名「男の目を気にしてるんだよ。ジュンもまだまだ勉強不足だな!」

旬「……春名さんに勉強不足と言われる日が来るとは思いませんでした」

四季「ダイジョーッブッすよ! 美嘉っち!! バラエティもいけるってのはすげーいいじゃないっすか!!

隼人「うんうん。バラエティは根性いるよな」

美嘉「バラエティ……!! いや好きだけど! 好きだけど! やっぱわかってないよねアンタたち!?」



莉嘉「お姉ちゃん早くー!」

美嘉「よし……こうなったら莉嘉。カリスマオーラ全開でこなそ。――肩車を!」

莉嘉「お姉ちゃん……! おっけー☆」

凛「美嘉……」

享介「おっ、パフォーマンスで黙らせるのか! ファイト!」


莉嘉「……」スッ

美嘉「……」サッ


春名「おおっ! 莉嘉ちゃんが美嘉ちゃんに艶めかしく絡みついて……っ!!」

旬(蟲惑的なしなを作りながら、美嘉さんは体を地に沈めていく……)

夏来(莉嘉の方は下がった美嘉の肩にゆっくりと手を置いて……)


莉嘉・美嘉「――!」バッ


凛(女豹を手懐けているような一瞬を切り取ったかのようなスタイリッシュな決めポーズ!)

玄武(そして鋭さを持った動作でもって、瞬時に肩車の姿勢へと移行し――)



美嘉「……!」

莉嘉「……?」



卯月「あれ?」




美嘉「ふ、ぬぬぬ……っ!!」

莉嘉「……がんばってお姉ちゃん!」



ありす「持ちあがりませんでしたね」

悠介「あらら」


美嘉「せ、成長期だね、美嘉。アタシうれしいよ……!!」

莉嘉「お姉ちゃん……!」


隼人「が、がんばれー!」

きらり「い、一気に立ちあがるとうまくいくと思うにぃ!」

朱雀「ほ、ほっせえ腰だからだよォ!! もうちょっと肉つけとけばよかったんだよ!」

加蓮「あのね、朱雀。美嘉のスタイルの良さは売りの一つなんだよ」

志狼「ねーちゃん根性だ! 根性!」


ガンバレー デキルデキルー!


卯月「みんな、応援してくれてます……!!」

奈緒(なんだよこの状況)



美嘉「ふんぬりゃあああああっ!!!」グワアァッ!!

莉嘉「ひゃわっ!?」


かのん「わぁー!! 上がった!!」

莉嘉「わー!! お姉ちゃん……!! やったね!! どーよこれがカリスマJKの実力だよ!」ドヤァ




玄武「おういい気合いだった。女の情念ってのがこもってた気さえするぜ」

美嘉「まーね★ 美嘉おねーさんの底力ナメんなってっカンジ? ふぅ……はぁ……」


莉嘉「みりあちゃん! 直央くん! アタシも同じステージに来れたよ!」

みりあ「莉嘉ちゃん! よーこそー!」

直央「いいお姉さんなんですね……」


志狼「なお! ほら虫捕り網! 捕ってみろよ!」

直央「う、うん!」

莉嘉「カブトムシー! この網のエジキにしたげる!」ブンブン

美嘉「わわっ、莉嘉! もうちょいバランス考えて網振って!」


晴「オレらも兄ちゃん姉ちゃんに肩車してもらうか?」

梨沙「アタシはパス。パパにしかやらせたくないし……全然セクシーな絵にならないじゃない」

ありす「私もいいです……恥ずかしい」

薫「かおるは肩車されるの好きだけどなー」


――ブゥゥゥン


隼人「えっ! 今のは! えっ!? まさか」

凛「隼人どうかした?」

隼人「あ、いや、あの枝にさっき」

凛「枝? どこ? なにかあった?」ズイッ

隼人「うん、実はその、り、凛ちゃん。あの……」

四季「ハヤトっち、女子が至近距離になってもテンパっちゃダメっすよー! ほら、オレの目を見て!! レッツトーク!」

隼人「うん、あのさ……」


春名「ははっ、流石に総選挙1位になったことがある凛ちゃんが近いと圧倒されちゃうか」

奈緒「あれ? 隼人も1位になってたんじゃ……」

旬「ハヤトはああなんです」


四季「――えーマジっすか!! ハイパーパネェ!!」

隼人「流石にシキでもすごいって思うか」

凛「だから何の話?」

巻緒「ケーキの話ですか!?」

隼人「違います!」


四季「さっきあっちの枝にオオクワガタが飛んできたらしいんすよ!!」


薫「オオクワガター!?」

次郎「あの黒いダイヤの異名をとる高価なプラチナインセクト!?」

ありす「先生……オオクワガタと聞いて食いつくのはそこなんですか」


莉嘉「ええええ! ホントに!! 捕まえたーいっ!! カブトムシ派だけどオオクワガタは無視できなーい!」ギチギチ

美嘉「莉嘉、アタシのカブトムシ額に当たってる!」

未央「どこっ!? どこに留まったの!?」

隼人「あそこの枝。葉っぱが多くてどこにいるのか正確な場所はわかんないや」

志狼「なお! ちょっと枝を網で押して揺らしてみてくれ!」

直央「うんわかった!」

玄武(オオクワガタか……確か近親の個体から離れるために、長距離を飛行するんだったか。それでもオスが飛ぶところはめったに見られねぇらしいが。珍しい所に立ち会ったらしい)

みりあ「てやー! でてこーいっ」ガサガサ

朱雀「木ごと揺らしてやらぁ!」ユサユサ


   ……。


卯月「でてきませんね」

巻緒「もっと揺らさないとダメみたい」


朱雀「チッ、こうなったらタックルかましてやるか」

夏来「危ないよ……ケガしたら……」

梨沙「木のぼりして直接揺らすのもねー、高いとこの枝だし」

仁奈「それじゃ、どーやってオオクワガタをひっぱりだすのでごぜーますか?」


悠介「みんなーちょっと離れて、蹴りにくいから」


未央「えっ?」

志狼「ゆうすけ、何する気なんだ?」


悠介「ひっさーつ、シュートォっ!!!!」ドカァッッッ!!!!


ドコッ!!! ユサユサユサ


きらり「わっ――すごいにぃ!! ボールを枝にぶつけてゆさゆさゆさー!」

晴「威力も精度もすっげぇなぁ!! さすが双子のファンタジスタ!」



――ブゥゥゥン



梨沙「あっ! 出た!! 出たわよ!! 黒いの!!」

隼人「うわっ!! やっぱりオオクワガタだ! 80mmはある!! すごいぞ!!」

次郎「捕まえよ? そうしよ? ね?」

中断してました。再開します


莉嘉「言われなくても捕まえるよー! お姉ちゃん追って!」

美嘉「莉嘉、あのね……! 一旦下りて自分で走りな」

薫「待て待てー!!! たいほだーっ!」

ありす(……オオクワガタを追い、私たちは森の中を一団となって駆けていきました……と)ポチポチ





――

――――



隼人「どこいった?」

玄武「でけえ虫はそんなに長距離は飛べねえハズだが」

夏来「確かこっちの方向に……」

晴「あの茂みのあたりじゃね?」


志狼「オレが捕まえてやる!」ガサガサ

莉嘉「アタシだって捕まえるのは!」ガサガサ


卯月「き、気をつけてくださいね!」


志狼「どこだーくそぅ、草が背ー高くて前が見えねー!」

莉嘉「JKレベルの背だよ~、負けたー」

志狼「いや、でも下の方に潜ってるかもしれねーしな! 下探そうぜ下!」サッ

莉嘉「あ、よつんばい?」

志狼「ちっちっち! これはめひょーのポーズってゆうんだぜー。かっこいいだろ! にーちゃんから教えてもらったんだ」

莉嘉「へー! 女豹! そっちのお兄ちゃんもセクシーさわかってるんだ! よし、じゃあアタシはライオンモードでいこっと☆ がおーっ!」


ガサガサ ガサガサ……


莉嘉「草の匂いすごーい」

志狼「うちの事務所でぜってー飼ってやる!」


ミーンミーン ジーワジーワ


莉嘉「なんか暑くなってきたね」

志狼「もうすぐ昼だしなー」


ムニョン


――「きゃあっ!」


志狼「うわっ! 茂みの向こうになんかいた!?」


まゆ「――なんですかぁ? あなた。驚いちゃいましたよぉ……あら? 莉嘉ちゃん?」

莉嘉「あれーまゆちゃん!? どーしてこんなとこにいるのー!?」

志狼「え、知り合いかよ?」


佐久間まゆ
http://i.imgur.com/iBQ4uWP.jpg



――

――――

――――――




凛「まさか茂みの中にまゆがいるなんて」

美嘉「予想外だよねー」

ありす「まゆさんまで来ることになってたんですね」

未央「そー。スイーツ格付け会の出席者だったから今日自然公園に行くって通達したのだ」

まゆ「それでご一緒しようとしたんですよぉ」

旬「そちらの事務所……もしかしてヒマなんですか?」

奈緒「アレだよ、夏休み初期だけの空き時間だよ。ってかそれブーメランなセリフだぞ」


凛「来たんなら早いとこ合流してくれればよかったのに」

まゆ「んー……個人的にやることがありまして、それにみなさんの手をわずらわせちゃいけないって思ったんですよぉ……でも」


隼人「わぁぁまゆちゃんだ……! ちっさい、かわいい……!! オーラある……! 流石アイドル!」

梨沙「アンタもアイドルでしょ。圧倒されすぎ」

きらり「仲間が増えて、うれすぃ~ねっ☆」

巻緒「スイーツ格付け会ってなんですか!? うちの甘党同盟と情報交換しませんか!?」



まゆ「どうして男の子たちといっしょにいるんですかぁ? 仕事の集まりじゃあないですよね?」

凛「えっ、それはカブトムシを」

まゆ「カブトムシ?」

凛「カブトムシを捕りたくて……あ、子どもたちがだからね! 私たちはそれを手伝おうってなって……で、ちょうどいいところに男子達もカブトムシ捕るって言ってて……」

凛(なんかすごい説明するの恥ずかしい!)


まゆ「……みなさんいいお姉ちゃんお兄ちゃんだということはわかりましたぁ」


仁奈「まゆおねーさんは、草むらでなにをしてやがったんです? 鈴虫ごっこ?」

まゆ「ちがいますよぉ。あのね、私はキノコを探してたの」

薫「きのこー?」

美嘉「き、キノコ? ああー、もしかしてオ……」

美嘉「……」

みりあ「あれ? 美嘉ちゃんなぁに?」


美嘉(ここで、颯爽と『キノコってオトコの下の方についてるヤツ?』ってゆうセクシャルなジョークをかませばギャルとしてカッコウがつくかと思ったけど……い、言えない! ハズい!)

美嘉「なんでもなーいっ」

みりあ「そうなの?」

美嘉(まぁ、ね! 隼人とかウブ過ぎるから引くだろうし、ここはやめといてあげるかー! オジさんくさいジョークだし! やらない方がいいよね、うん!)

隼人「え、なに? 美嘉ちゃん俺の顔に何か付いてる?」

美嘉「いや、あはは」



まゆ「実は、この前お友達が育てているキノコをプロデューサーさんへのお弁当の材料にしちゃいまして」

四季「友達ってそれもしかして輝子ちゃん!? あのすっげーテンションで歌うハイテンションキノコメタルガール!! いやー、オレ一度カラオケで勝負したいと思ってるんだよね!!」

まゆ「は、はい。そうです輝子ちゃんです」

まゆ(何この人……騒がしい)


まゆ「えっと、それで『使ったことはいい、友達だから』って言ってくれたんですけれど、やっぱりキノコ無くなってさびしそうにしちゃってるのは、見てられなくて……」

未央「代わりのキノコを採ろうと思ったんだ。いいねぇー、良い友情!」

まゆ「でもあんまりおっきいキノコ見つからないんですよぉ」

玄武「草むら探してもしょうがねえぞ嬢ちゃん。根が張り巡らされてる所はキノコが生えることができねぇんだ」

まゆ「む……嬢ちゃんじゃないですよぉ。でもキノコは草が生えているところはダメなんですね」

卯月「あの、手伝いましょうか」

悠介「こんな広い公園探すの女の子一人じゃ大変じゃん? 日差しも強くなってきたし」

まゆ「いいんですかぁ? 助かります」

直央「キノコ狩りかぁ、ボクはもしかしたらそっちの方が向いてるかも……お手伝いさせてください!」


次郎「キミ達本当に優しい子らだねぇ……この暑い中まだ動こうっていうのがすごいよ」

旬「先生はもうちょっとしゃきっとしてください」

次郎「たはは、ごめんね」

ありす「動くのが面倒なら休んでいたらいいと思います」

志狼「なんか先生にきついなありす」

晴「おまえに名前似てるからじゃねーの? “しろう”と“じろう”で」

志狼「えーただそれだけでかよー! むちゃくちゃだな」

ありす「そんなわけありませんっ」


ありす「もう。晴さんと志狼くんは本当に……」



春名「そんじゃオオクワガタ探しを含めた虫捕りは一旦中断だな」

奈緒「キノコ探しの方を先にしなきゃだしな」

美嘉(正直助かった……虫好きじゃないし、日差し強くなってくる中でこれ以上虫捕りなんかしたくない。ごめんね、莉嘉)



ありす「え、待ってください。オオクワガタ探さないんですか」

隼人「うんっ、すっご~~~っく未練あるんだけどね。これからもっと暑くなってくるし……このまま探し続けるのも考えた方がいいって女子から意見が出てさ」

四季「オレは賛成っすよ! なんならこれからプール行ってもゼンゼンOKっす!」

きらり「だめだよぉ、キノコ探しするんだから☆ ぎんぎらり~んなお日様に当たるとこにいかなくていいからちょっと楽になるしガンバガンバ~☆」

美嘉「みんなゴメンね★ でも虫捕りで遊ぶ前に仲間のこと考えないとダメっしょ?」

ありす「あの困るんですけど」

巻緒「困る? どうして?」

ありす「もう自由研究の題材にしようって思ってるんです」

美嘉「えっ」

ありす「オオクワガタを追う記録、もう書き始めてますし。ほらこれ」スッ

凛「タブレット?」



【橘ありすによる東京自然公園オオクワガタ追跡録:Part1】

・・・
蝉の声。草いきれ。夏の昼前のささやかな風。
カブトムシを求めて辿りついた私たちの視線を奪ったのは、一つの小さな黒い影でした。
いや小さなといっても……それは人間の視点に過ぎません。
彼のものはその種の中では特段に大きく、その巨躯のゆえに名を与えられた生物――オオクワガタであったのですから。

オオクワガタ。黒いダイヤ。その稀少性と価値は飼育方法が確立された今ずいぶん落ち付いたそうですが――
それでも外国産ではない純度国産100%、天然もののオスのオオクワガタが私たちに与えた影響ははかりしれないものでした。
魅せられ、その後を否応なしに追わされることになったのですから。

そう。見た瞬間からこの追跡することは決定しており、オオクワガタを追い、私たちは森の中を一団となって駆けていきました。

まるで誘蛾灯に群がる虫のように……
・・・



凛(なんで最後不吉な表現なの……)

朱雀「難しい文章だな……ちんぷんかんぷんだぜ」

享介「そう?」

ありす「このまま続けてください。あ、できればエピソードとして書きやすい行動を挟んでくれたら助かります」

旬「あなた、結構ズケズケものを言いますね……」

未央「どーする? オオクワガタ探しの助けも必要みたい」

美嘉「やー、でもねー」


「オオクワガタ諦めんのかよっ! それでもアイドルかよっ!」

きらり「むぇっ!?」

美嘉「え、なに」


志狼「諦めんなよ! 加勢するぜありす!!」ザッ!!

ありす「え、志狼くん……!」

晴「おまえだけにはいいカッコさせねーって!」ザザッ!!

ありす「晴さん!」

莉嘉「オオクワガタ、アタシだって目を付けたんだから! このまま中断なんてありえなーいっ!」

薫「なーいっ!」

梨沙「まぁ、パパに写メ撮って送ってあげたいって思ったし」

仁奈「みんなでさがすですよ!」

かのん「それで事務所で飼おうね~!」

直央「え、みんな……え?」

ありす「みなさん……ありがとうございます……!」



まゆ「わあ、仲いいんですね。あの、キノコ探し手伝ってくれるのはうれしいです。けれど……さきにそちらの用件を済ませてもらってもいいですよ? うふふ」

美嘉「…………」

凛(“子ども対美嘉”何ラウンド目だろ。……今回はどうなるかな)

美嘉「――しょーがないねっ! やっぱオオクワガタは見逃せないよねー★ 一度見た夢を諦めるのはアイドルじゃないしっ!」

凛(やっぱり負けた。ちょっと子どもに甘いような……どうしてだろ)


隼人「虫捕り続行!? やった! さすがだなぁ……さすがだよ。この辺がカリスマって言われるゆえんだよなぁ……」

美嘉(か、勝手に納得してくれてる……)

まゆ「それじゃあシキさんにも連絡しておかないといけませんね……」

四季「ん~オレに連絡? なになに? 今ここで言えばいいじゃないっすか!! ヘイ、カモン!!」

まゆ「え、え? あ、あなたじゃ……」

加蓮「多分シキっていってもこっちのシキだよ! 一ノ瀬志希!」

四季「ああーっ、志希にゃん!! 知ってるっす! あのテンションハイパートリッパーなケミカル系!!」

次郎「あのトばしてる子ね……」

まゆ「はい。あのトばしてる方の……あっトばしてるのは両方ですね……。トばしてる、女の子の方のシキさんです」

四季「あれぇ~!? オレまでトばしてるってされちゃった!!」

夏来「シキは……十分トばしてる……」

旬「トバしてますね」

春名「トばしてるな、うん」

加蓮「トばしすぎだよね」

未央「むしろトばしてない時がないっ!」

四季「うおおおぉぉっっ!? ちょっとオレに向けて一斉砲火はカンベンっす~~!! いいじゃないっすかテンションアゲアゲの方が人生楽しいっすよ~~~……」


美嘉「で、志希も来てるって?」

まゆ「はい。朝に一度事務所に顔を出した時、着いてきてくれたんです。たまにはフィールドワークしてみたいって……」



未央「ふぅん。じゃあ志希にゃんも今キノコ探してるんだ」

まゆ「はい。この自然公園で採取したいという植物もあると言っていたので、別行動にしたんです」

次郎「なにそれ不穏な響き。いちのせ、コルチヒンとかプロトベラトリンとか採取するつもりじゃないだろーね」

奈緒「なんなんですか、それ?」

玄武「毒成分だ。コルチヒンはキツネユリから、プロトベラトリンはバイケイソウなんかから採れる。どっちも痺れや臓器の機能不全を引き起こすな」

次郎「そうそう。いやー、くろのがいると楽でいいね」

凛「キツネユリ……知ってる。グロリオサのことだよね。よく自生してる。毒成分の名前までは覚えてなかったけど。――玄武は勉強できるんだ、やるね」

玄武「よしてくれ。たまたま仕入れてた知識にあっただけだ。まぁ、勉強は苦手ではねえが」




悠介「ほらーまたカブトムシゲットー!」

莉嘉「アタシも捕まえたけどこれメスだよー! やっぱりカッコイイ方がいい! オオクワガタも絶対見つけたいし」

朱雀「これくらいの細え木なら! オラアアっ!!」ユサユサユサユサ

薫「むしがボトボトーっておちてくるーっ! すごいすごい!」

四季「スザクッちフィーバーモードっすね! 入れ食い状態!」

晴「よし! 志狼捕ろうぜ!」

志狼「おー! ほら、かのんもこいよ!!」

かのん「もうテントウ虫さんとってまーす」

仁奈「きぐるみの“あくせんと”につかいてーですよ! このテントウ虫!」

春名「ほい! ありすちゃんもチョウチョなら大丈夫だろ?」

ありす「わっ、アゲハ蝶ですね、これ! ありがとうございます……」


奈緒「男子4名ほど話が難しくなって子どもと虫捕りする方に流れてるぞ」



四季「難しい話よりもまだ虫捕りの方が好きっす!」

隼人「こらシキ! 虫捕りをそんな気持ちでするんじゃない!」

四季「えっ! ツッコミそこっすか!?」

旬「ハヤト、四季くん……はぁ、もうあなたたちは」


美嘉「――じゃあ、志希と合流しよっか」

まゆ「はい。お電話入れますね」

晴「……あれ? 梨沙どこいった」

志狼「花詰みに行くっていってたぞ。虫より花の方がいいってわかってないよなー」

ありす「志狼くん。花を摘みに行くって言うのは……いえ、いいです。もう少しオトナになればわかるでしょう」

志狼「なんだよ?」






・・・



梨沙「――ふー、そこそこキレイなトイレで助かったわ」

梨沙(水分補給しすぎたかしら。でも志狼とか晴みたいに虫捕りに動きまわって汗かくのレディーの行動じゃないし)

梨沙(それにやっぱりアタシ虫より動物の方が好きなのよね)



ガサッ


仔ウサギ「……」

梨沙「え?」


ガサッ


梨沙「え、今の茂みに跳ねてったの……ウサギ?」

梨沙「そういえばテレビでここウサギがいるって……」

梨沙「…………野生のウサギ……」


梨沙「ちょっとだけ撫でるくらい、大丈夫よね?」

梨沙「待ってっ、アタシはこわくないわよ!」


ガサガサ


梨沙「くっ! なんて高い草なの! 髪が乱れちゃうじゃない」

梨沙(撫でられたら、パパへの土産話なるわよね)

梨沙「ちっちゃい子だったわね……。アタシもまだ子どもよ。仲間だから恐がらずに出てきなさーいっ」


梨沙「んーどこにいるのかしら。この木に登って上から探す……?」

梨沙(あれ、なんか草をかき分けてくる音が)


ザザザッ


――「おい、そこから離れろ」

梨沙「へっ?」


梨沙(だ、誰? 男? なに、何で近づいてくるのよ)


――「離れろっ!! 早くっ!!」

梨沙「ヒッ!? なんなのよ!?」


――「チッ!!」ガササッ!!


梨沙(こっちに飛び出してくるっ!?)

梨沙「きゃ、きゃあああっ!?」


梨沙の前に飛び出した男は、拳を構え――そして瞬時にそれを打ち出した。


梨沙(殴られ……ッ!?)


ガッ!!



梨沙「えっ?」


拳が止まったのは梨沙の頭上。

その手は長く艶やかなものを掴んでいた。


ヘビ「シューシュー…!」

梨沙「ヘビ!?」

――「アンタの頭の上の枝から落ちてくるとこだったんだ。――って、なんだアオダイショウかよ……あんまり危ない蛇じゃないな」


梨沙「え? え? えっと……」

――「ああ……恐がらせちまったか。オレは……」


「おいチビ!! 逃げてんじゃねぇぞ!! 水寄こせ!」


タケル「……うるさいヤツが追いついてきちまったな」

漣「クソが、なんだこの草、ウゼェ!!」シュババババ!!!

志希「おー! キックで草をなぎ倒してく~! もっとやれやれ~!」


梨沙「あれっ、志希っ? なんで……」

志希「んー、このスイートハニーなボイスは~……梨沙ちゃん! やっほー! 奇遇だねぇ~」


大河タケル
http://i.imgur.com/QqvrqH8.jpg

牙崎漣
http://i.imgur.com/IChx7yq.jpg

一ノ瀬志希
http://i.imgur.com/zK9tkps.jpg

一旦中断です。多分登場人物は後一人だけ増えるだけ
話を進めたいのに、みんな好き勝手喋る感覚にとまどう

すいません。ここんとこ書けずにいました
続き投下していきます


――

――――



四季「あれーっ!? タケルっち! 来てくれたんすか!」

タケル「……よう。ランニングでここまで来てよ……顔を出してみるかって思って」

悠介「ランニングでここまで来たの! さっすが虎牙道! やるなぁ、今度マラソン勝負しようぜ!」

タケル「ちょうど体重しぼろうと思ってたところだったから。……円城寺さんも遊んで来いって言って……いや、これは聞かせることでもないな」


漣「おいっ!! 水寄こせ水! いやセイリョウインリョースイってのよこせ! うまいヤツ!!」

玄武「なんだ、自分の持ってねえのかい」

志狼「みんな持ってんのにー。あーうまいぜっ!」チューチュー

漣「ハァァ~? なんでオレ様がわざわざ持たねえといけねーんだよバァカ!」

志狼「ばかじゃねーしっ! 自分の水持って来てねーれんのがばかだろ!」


四季「漣っちまで来てくれたんすね!」

タケル「嫌ならくんなって言ったんだがな。ランニングについてきやがった」

漣「チビよぉ、なんでオレがテメーの言うこと聞かなきゃいけねーんだ? ったく、このクソ暑い中オレ様にランニングなんかさせやがって。どう落とし前つけんだコラ」

タケル「意味が分からねえ。勝手についてきたのはオマエだろうが。なんでオレに文句言うんだ」

漣「オレ様を走らせたからに決まってんだろボケ! ってか水!! 水寄こせ!!」

巻緒「漣くん。ノド乾いてイライラしてるんだね。じゃあこのクーラーボックスの……」

漣「おう」

巻緒「冷やしケーキをどうぞ! 早めに食べてね!」


漣「水分よこせっつってんだろうがアアアァァァー――ッッッ!!!!!!!!!!」


加蓮「なにあれコント?」

梨沙「わかんない。牙崎漣ってのずっとあんな風だった」

まゆ「志希さん」

志希「にゃはは~♪ かぐわしきも爽やかなる10代のスメルが溢れてるね~。まるで学校の中みたい~?」

凛「志希はどうしてあの二人といっしょだったの?」

志希「ん~出会いはある意味タキシスの帰結~? 自生植物のフレグランスを辿っていたら、花を摘んで吸おうとしてる漣くんを発見したのだ~♪」

ありす「花の蜜吸おうとしてたんですか」

志希「そう。でもそれびっくりバイケイソウ! だからアタシ下手に舐めたり体にインしちゃうとプロトベラトリンがキミの体をジェノサイドー! って教えてあげたんだね!」

凛「あ、さっき山下先生と玄武が言ってた……」

みりあ「じゃあじゃあ志希ちゃん! あのお兄ちゃんのイノチの恩人だ!」

志希「んー、でもねー、漣くん『やっぱそうか、ヤなオーラが出てるわけだぜ』とか言って、舐めたりするの自分でもやめようとしてたみたいだから、志希ちゃんイノチの恩人には残念ながらなれなかったぽいね~」

梨沙「オーラって……なによそれ。ユッコみたいにサイキックパワーとか言いださないでしょうねアイツ」

志希「現時点では判断できな~い♪ これは要観察~?」


漣「なんだ……ウメェじゃねえかこのケーキ。おい、おかわり寄こせ! ドリンクも追加だ!!」ガツガツ ゴクゴク

巻緒「うん、いいよ! おいしいよねこのケーキ!」

次郎「もー、きざき。持ってきた予備のドリンク全部飲んじゃうつもり?」

タケル「何しに来たんだよオマエ……」


美嘉「……男子だね。うん、男子だ」




莉嘉「メンバー揃ったし! それじゃあみんなっ! いっくよー☆オオクワガタ探し!」

隼人「おーっ!!」

卯月「おー!」

きらり「れっつごーうっ☆」


タケル「同年代の遊びってのがわかんなかったけど……虫捕りするんだな。女子もするってのは意外だが」

奈緒「いや! 今回のはホント色々流れがあってこうなっちゃってるだけだから!」

美嘉「誤解しないよーにっ!」


漣「なんだァ、カンサツ? くはははっ! 凡人にこの大天才が理解できんのかァ?」

志希「アタシはアブノーマルだから心配ご無用! 天才かぁ~色んなタイプがいるねぇ~、自分以外のサンプルは興味深い♪ ね、じろーセンセ、観察手伝って~」

次郎「いちのせ、自由研究は自分の力でやり切るのが大事だと俺は思うよ」

四季「えーっ!! なんすかそれ! いざとなったら生徒に救いの手をバシッっと差し伸べるのが先生ってもんすよ!!」

次郎「いせや、もしかして……宿題手伝わせるツモリ?」

志希「お、しきわーん! ここは協力して次郎先生をオとそーではないか!」

四季「がってんしょうちっす! しきにゃん!」

次郎「ちょっ、ホントやめて! しきしきコンビ!」


まゆ(志希さん馴染んでいますねぇ……でもわたしは男の子とは近づき過ぎないようにしましょう。だってまゆには……心に決めた殿方が……いるから)



ミーンミーン ジーワジーワ…


卯月「うー、暑くなってきましたね」

直央「そうですね……今日も真夏日だって天気予報で見ました」

美嘉(さっさとオオクワガタ捕まえて、キノコ探しの方にいきたい……)


ありす「オオクワガタどこに行ったんでしょうか」

莉嘉「一回見失っちゃったからね~また探さないと」

志狼「くっそー! 最初見つけた時どうにかして捕獲しとけばなー!」

志希「焦っちゃダメダメ。ミスが多くなるだけだし。ほらほら~テルペンハスハスしてリラックス~♪」

志狼「へっ? てるぺんってなんだよ?」

玄武「あー。森のな、木とか植物が出す揮発性物質――空気になる成分のことだがこれをフィトンチッドつってな。簡単に言うとこれは森のいい香りの元なんだ。テルペンっていうのはそのフィトンチッドの主な成分だな」

ありす「へえ……勉強になります。そっか、この香りがフィトンチッドなんだ……」

志狼「ふぃとんちっど……が森の香り……よし覚えた! レベルアップ!」

志希「おっ、解説サンキュー! もしかしてキミ、化学系に興味ある系アルケミスト男子~?」

玄武「はっ、高校生程度の若輩の知識でアルケミストになれたら苦労はねえな」

志希「キョーミあると勉強ははかどるー。3分くらいしかアタシ関心持たないけど、実験と匂いをかぐのが大好きで思うままやってたら大学から誘いがきたし! 少年よ好きになるコトが成績アップのヒケツなのだーっ!」

玄武「感恩戴徳だ。参考にさせてもらおう」

次郎(あれ、くろのって確か統一模試の成績……)


漣「おいコラ! あっちいぞ!! 森に入れば涼しいつったんじゃねーのかチビ!!」

タケル「うるせえな……まだ涼しいほうだろ。街中に比べたら」

漣「オマエ感覚狂ってんじゃねーのか。こんなの涼しいとは言わねーんだよ!」

未央「んー、まぁそうだよね。別にひやーってしてるワケじゃないもん」

美嘉「熱中症になったら大変だからさ、早いとこ捕るもの捕らないと」

奈緒「暑いもんな……ねえ、かれ」

加蓮「えっ、もしかしてまたアタシの心配? 全然大丈夫だよ!?」

奈緒「う……えっと、――夏来は具合悪くない?」

夏来「大丈夫……………具合悪いの? ってよく聞かれる……けど、なんでかな。全然平気、だから」

加蓮「アタシもアタシも」

享介「二人ともなんか儚げだからじゃない? ……ケガしたってのにいっつも元気なヤツもいるけどさ」

悠介「ん、享介なにその目ー?」


隼人「早いとこ捕まえる、か」

莉嘉「それには動くしかないよー! オオクワガタ、見失ったヤツを見つけるにしても。新しいの探すにしても! みんながんばろーっ!」

きらり「おーっ!」

朱雀「よっしゃあ!」

まゆ「ふふ、わかりますよぉ……意中の人を捕まえるまで、私たちができることは歩みを止めないことですよね……」

――

――――



30分後――


美嘉「あっつ……」

ありす「見つかりませんね……」

四季「うぇ~~流石のオレもこう暑くちゃテンションがローに入るっす~~……」

莉嘉「ホント……アタシもあれからカブトムシ2匹しか捕れてないよー……」ギチギチ

美嘉「オオクワガタ探してるのにカブトムシ捕ってないでよ」


春名「巻緒、クーラーボックスからドーナツ出してくれる? みんなに振舞う!」

巻緒「いいですね!」

奈緒「余計のど乾くからいいよっ」

卯月「え、えっとえっと、みなさんっ! がんばりましょう!!」

四季「卯月っち……そっすね! テンション下げちゃダメっすね!! アイドルたるもの常にイケイケで!! パワーギガマックスでいかなきゃっすよね!!」

志希「にゃっはー! おー四季わん、アドレナリン湧かしはじめてる~?」

四季「ヘイ! 子猫ちゃんに野郎ども! どうせなら歌っていこうぜ!」

旬「はい? 歌ってここで歌う気ですか?」

四季「そうっす! そうすりゃパワーもギュンギュン高まるコト間違いなし!!」

隼人「歌って。なに言って……」

凛「確かに、歌うと……力が入るよね」

隼人「え、凛ちゃんまさかの賛成!?」


四季「そんじゃ、我らがリーダーハヤトッちから歌ってもらいましょう!!!」

隼人「えっ!? オレ!?」

加蓮「ねえ、これ私たちも順番で歌うってこと……?」

隼人「え、と、よし!  ずっとずっとその先へ ―――― ♪」

志狼「せーかいはうごーきだーすっ!」

かのん「今 始まる ストーリー♪」

四季「  S   i   d   e     M  !!! イェーッ!!!」

悠介「あはっ! ちょっとハズいけど、みんなで歌う?」


梨沙「マジで歌ってるし……」

みりあ「さいどえむっ! えへへへっ! なんか楽しーね!」

奈緒「そ、そうか?」

莉嘉「私たちはどーする!? 『Star!!』? 『Shine!!』? あ、やっぱ『お願い! シンデレラ』?」

美嘉「やっぱ歌うんだ……て言ってもさ、対抗しなくてもいいんじゃない?」

未央「いやいやーここは、事務所のメンツってのがかかってるからねー」

加蓮「かかってるんだ……。アイドルがアカペラ……うーん、たまにはあり? かなぁ」

奈緒「え、あり!? ありにしちゃうのか!?」

加蓮「だってほら、青春ぽいじゃん」



ありす(先が見えない捜索に疲弊を感じた私たちが縋ったのは、歌の力―― 気持ちを奮い立たせるその不思議なパワーでした)ポチポチ

ありす(ファンのみなさんに元気を与えるその力。歌が持つ神秘は今私たちに元気を与えるためにこそ使われたのです)ポチポチ





ありす(……しかし、その効果があったかと言うと)



ミ"ーンミ"ーンミ"ー シャワシャワシャワシャワ




加蓮「かみさまがくれたじかんは……こぼれる……あとどれくらいかな ……」

きらり「加蓮ちゃん! 無理はダメだよぉ~!」

奈緒「ほら! こんな炎天下の中で歌うから!!」

美嘉(なにやってんだろ、ホント……チビッ子の引率だけすればいいって思ってたのに。う……汗が)



ジリジリ ジリジリ



次郎「たはー、どんどん暑くなってきたねぇ」

美嘉「体が溶けそう……」

莉嘉「とーろとろとろ トロピカル?」

みりあ「ぎーらぎらたいように~! ♪」

美嘉「アツアツのすなはーま……砂浜じゃないよっっ!! 森じゃん!!! 太陽はぎらぎらなのにっ!! うっすらメイクしてたのに台無しっ!!」

春名「うおっ、美嘉ちゃんがキレた!?」

玄武「メイクか。女は大変だな」

隼人「えっとえっと! そ、そのままの、キミでいてっ!?」

美嘉「あのね、アタシはバッチリ決めてようやくアタシなの! ――っと、ゴメン……ちょっとイライラしちゃって……」



薫「お、おちついてくださーい」

かのん「ほらー、笑お? こう! ハピハピっ!」

美嘉「うん、ごめんね、――ごめんね★ お姉ちゃんはまた頼れる美嘉お姉さんに戻ったからね」

卯月「クヨクヨに今サヨナラ……ですね!」

美嘉「うんそうそう。そんなカンジ」



凛「美嘉、朝から予想外のことばっかりでちょっと疲れてるんだ。あんまり刺激しないでね」

巻緒「予想外? 俺たちと会ったことかな?」

凛「うーん、それもあるかな。男が前にいると……まぁ、色々ね。女同士なら気にしないことにも気を回さなきゃいけないしさ」

朱雀「アイドルだもんなぁ、わかるぜ! ヒーローってのはいつも熱い気概を持ってなきゃいけねえもんな!」

凛「うん、まぁ……女には色々あるってことだけ分かっててくれたらいいよ」

隼人「女の子……あー! はいはい! わかった! あれね! あれね!」

凛「わかってくれたならいいけど……」


隼人(ちょっとみんなこっち)

四季(お、なんすか?)

隼人(美嘉ちゃんさ、今日、月に一度のイライラする日みたいなんだ)

享介(え、ホント。大変だね)

悠介(月に一度? なにそれ?)

四季(あー、あの日っすかー。姉ちゃんもその日は近寄りがたくなるっす)

隼人(そう。優しくしてあげような)

玄武(委細承知だ)

朱雀(あの日って何だ?)

巻緒(女の子は定期的にお腹の下の方が痛くなったり、頭痛がしたりするんだ。咲ちゃんも……あ、咲ちゃんはないや)

漣(よくわかんねェぞオイ!)



奈緒「なんだ、男子集まって」

美嘉「なんだろ……とてつもなく心外なコトを話されてる気がするんだけど」

夏来「あの、みんな……いたけど」


ありす「……ふう」

みりあ「ロマンティック イッツ 魔法の言葉♪  スキップスキップ ドキドキするわ ―― ♪♪」

かのん「わー! かわいい歌だね~! かのんこの曲好き!」

みりあ「えへへへへっ! そーでしょー! “らっぷ”も聞いてっ!」

直央「ラップもあるんだ」

みりあ「誘うの男子♪ あの眼鏡男子♪ しばし監視♪ 寝ぐせさえファンシー♪ ……あっ」

直央「え?」

みりあ「あー、直央くんってば、眼鏡かけてる!」

直央「え、え?」

晴「今更だなオイ」

みりあ「めがねだんしーっ! あははははっ! 寝ぐせファンシーな直央くん……きゃはははっ! なにそれー!!」

直央「あ、赤城さん……あの……」

みりあ「ねっ、誘っていーい? 監視していーいっ? あははは! あはははははっ!!」

梨沙「なんかツボ入ってるし」

志狼「なお、眼鏡取らなきゃ笑われっぱなしだぞ」ヒョイ

直央「あ、しろうくん眼鏡とらないで……っ!」

みりあ「あはははっ、めがねとっちゃ――――あっ」

直央「え?」


みりあ「……直央くん、眼鏡取ってもかわいいんだー」

直央「へぇっ!?」

みりあ「んー、テレビだとこっちの顔が多いよね? ヒツジの衣装で!」

仁奈「もふもふキングダムでごぜーますね! あの番組は中々やりやがるですよ! あなどれねーです」

みりあ「ふーん? ふーん?」ジ-

直央「あの、じっと見つめられると恥ずかしい……! し、しろうくんっ眼鏡返してっ!」

志狼「なんだよ、照れんなよ! いっつもなおは恥ずかしがるよなー」


みりあ「ねぇねぇ直央くん、それと志狼くん、かのんくん。とときら学園にキョーミなーい? いっしょに出演したらきっとおもしろいと思う!」

かのん「あ、それ見てまーす! みんなお揃いの衣装で楽しそうだよねぇ~! かのんは出てみたいよ?」

志狼「えー! あの衣装はオレちょっとヤだぞっ! おまえらがこっちに来いよっ!」

みりあ「えー! そっちが来てよーっ! あ、でもでも! カワイイ動物コスプレショーみたいでそっちの番組もおもしろそうだね!」

仁奈「仁奈もでてーですっ!」

直央「あ、あはは、そうですね。プロデューサーさんに話してみたらお仕事御一緒できるかもしれませんね……」



志狼「もふもふキングダム、晴も来れんじゃね? 前ウサギのカッコしてたし」

晴「え、オレ!? オレはカッコイイ系の仕事をやりたいからなー」

かのん「えー、いっしょにウサギさんのカッコしようよっ! 晴ちゃんはカワイイからきっと似合うよ?」

晴「か、カワイイゆーなっ! オレはパス!」

薫「じゃあ“すもっく”に着るんだねっ!」

晴「それどっちかに決めなきゃいけねーのか!?」

梨沙「仕事を選べる立場じゃないでしょーよアタシ達は。晴、覚悟を決めときなさいよ、アイドルならっ! きゃははっ♪」

ありす「……は……っ」


未央「チビッ子はまだまだ元気だね」

次郎「若いっていいね」

夏来「あの……いたよ……?」

加蓮「……でも、今は楽しいから疲れを感じていないだけかもしれない。気をつけて見てよう。私たちお姉さんだし!」

凛(加蓮、気を張っちゃって……)



きらり「みんなはムリしてないかにぃ?」

晴「余裕だぜー」

朱雀「元気はまだ有り余ってるぜェッ!!!」

悠介「90分走り続けるのに比べたら、このぐらいなんてことないね」

旬「無理してないかは子どもとか女子に聞いてるんだと思いますよ」


薫「かおるはまだまだ元気だよ!」

ありす「……はい、私も大丈夫、です」

次郎「…………?」

夏来「どうしよう……ねえ、聞いて……」

漣「オイ! この花はウマいやつか?」

凛「え、花の蜜吸うの? ――えっとコレはダメ。ツツジは毒あるのあるけど、こっちなら……大丈夫」

漣「お、中々ウマぇじゃねえか。もっと教えろ!」チューチュー

凛「別にいいけど。もうちょっときれいだとかそういうのないの…………まぁ、甘くておいしいってのはわかるけどさ。……私もちょっと吸ってみようかな」

漣「あ、オマエ、オレ様の分を残しとけよ!」

未央「あはは、みんなちょっと水分補給タイム取ろうか!」



まゆ(凛ちゃんまで、男子の子どもっぽい行動にあてられて……。まゆはそんな風に心を揺らされたりしませんよぉ)

まゆ(プロデューサーさんが見ていないところでもちゃあんと、慎み深くて素敵な女子を貫ぬいていないと……)

まゆ「――?」クラッ


まゆ(…………あ、れ? 頭がぼうっと)

春名「おっとと! まゆちゃんー、フラついてるじゃん! 大丈夫か?」ガシッ

まゆ「っ!? え、あ……っ」

春名「鉄分足りてないんじゃないか? あ、そだ、このバイタルゼリーあげるよー。これで回復する!」

まゆ「…………えっと、ありがとうございます……」

春名「暑いとなー、ぼうっとする時あるよな。俺も前ドーナツの幻覚見たことある」


まゆ(フラついちゃうなんて、朝からずっと歩きまわってたからかしら……気をつけないと。男子に触られちゃった……)

まゆ「あれ? このゼリー……」

春名「あ、まだ全然飲んでないヤツだから。全部あげるー。ドーナツも食う?」

まゆ(フタが開いて――――)


まゆ「か、間接キスじゃないですかぁ!? いりませんいりません! 受け取れませんっ!」

春名「えっ?」

未央「間接キス? あー、それ気にしちゃうんだ」

四季「あははっ! まゆっち! そんなの気になっちゃう系女子なんすね! かわいいっす!」

まゆ「……気になるの、おかしいですかぁ」

春名「まてまて。アイドルだからこーゆーのにも気をつけてるんだろ。ここは真面目にいくぜ。まゆちゃん、ごめんな」

まゆ「え、はい……」



春名「巻緒ー、クーラーボックスからゼリー出してくれる?」

巻緒「わかりましたっ! はい、どうぞ! まゆちゃん」

まゆ「あ……」

春名「それ、新品。これならOK?」

まゆ「……はい。これなら。ありがとうございます」

春名「うしっ、めでたしめでたし。また気分悪くなったら言えよー。オレ、バカだけど体力だけはあるからさ」パチッ

まゆ(……う、ウィンクされちゃった……!)


まゆ(まゆは揺らされませんよぉ……!!)

まゆ(まゆはプロデューサーさんが好きなんです。ほんのちょっと気さくで、顔がよくて、優しいぐらいで……!!)


夏来「…………みんな、あの……」

次郎「うづき、あのさ」

卯月「はいっ! なんですか山下先生!?」

次郎「や、キミの方じゃなくて」

卯月「あ、ロールさんの方ですか?」

次郎「うん。そっち」

巻緒「お呼びですか? 山下先生!」

次郎「うん。俺も……あーもう、いいか」

巻緒「?」

卯月「?」



玄武「嬢ちゃん、こっちの木陰に来てくれるか」

ありす「……なん、ですか?」

玄武「――――やはりな。顔が火照っているし呼吸も早い……ほら、こっちのドリンクを飲みな」

ありす「え……」

玄武「熱中症の2歩手前ぐらいにいるんだよ嬢ちゃんは。少し休んでな」

志希「おー、カリウムにナトリウム入り飲料だね~♪ 細胞外にも細胞内にもエネルギーチャージっ! イノチの雫は電解質~♪」

玄武「おお。妄言のように見えて的確なことを……アンタは暑さで頭をやられてるわけじゃねえんだな」

志希「志希ちゃんは頭がナチュラルラディカルホットなオンナノコ~♪ なんてねっ! ホラホラありすちゃん、それレッツ経口摂取っ! 失われたNaClを取り戻せー!」

ありす「……の、飲めばいいんですか?」

玄武「ああ。それで少し休んでな」

ありす「…………はい」


志狼「なんだよ。ありす水飲んでなかったのかよ?」

ありす「ちゃんと飲んでましたっ」

玄武「水だけじゃ駄目ってこった」

志狼「ふーん。じゃ、オレのバイタルゼリーやる」

ありす「え? ……ありがとうござ――って! これもう半分以上飲んじゃってるじゃないですか! いりませんよこんなの! そ、それに間接キ……! とにかくいりませんっ!」

志狼「んだよっ! 親切でオレのゼリーを分けてやったのに!」

次郎「“マイ”バイタルゼリーは贈り物不可ってことだね」

ありす「あ、先生……」

次郎「大丈夫、たちばな?」

志狼「えっ、オレは別にありすに親切にキョヒられたぐらいなんてことねーけどっ!?」

次郎「うん、そう。でもキミじゃなくて……ああ、もう。うづきに続いてまたかい。ややこしい。えっとありすちゃん?」

ありす「名前で呼ばないでくださいっ」

次郎「もう~~、今はしろうの方と混ざるからこう呼ばせてよ。便宜上、ね」

ありす「仕方無いですね」

次郎「それで、気分は悪くない?」

ありす「……今は、楽になってきてます」

次郎「そう。良かった」

ありす「先生はちゃんと見てるんですか」

次郎「うん?」

ありす「処置は玄武さんと……それと志希さんがしてくれました。別に先生を責めるわけじゃありませんけど、もう少し……」

次郎「あーごめんね。気付かなくて本当ごめんなさい」

ありす「……別にいいです。先生は仕事でしていただけですもんね」

次郎「たはは……きついね、ありすは」



志狼「ありす、何じろうを責めてんだよ。大丈夫ってウソついたのはおまえじゃん。強がりはやめろよな!」

ありす「うっ、それは……私にも非がありました。けどっ、強がりとかあなたには絶対言われたくありませんっ」

志狼「なに~!?」

晴(ありす元気じゃん)


夏来「……ジュン。ハヤト」


旬「追跡録を自由研究にするなら、その時の情報を控えておいた方がいいでしょうね。時刻ごとの気温とか」

隼人「おー。それいいかも! さっすがジュン」


夏来「ハルナ……シキ……」


春名「ほらー、水分補給ついでにドーナツも食べたまえ! 少年少女諸君!」

薫「ごくごく……! もぐもぐ……!」

みりあ「みりあドーナツ大好きーっ!」

かのん「甘いのはいいよねっ!」

四季「アメちゃんもナメる?」


夏来「…………」オロオロ









美嘉「暑くなってきたしそろそろ見つけないとだねー」

莉嘉「アタシ達が見つけて、最強の姉妹(きょうだい)はこっちだって証明しようねっ!」

悠介「お、挑戦状? こっちも負けないぜ!」

美嘉「あーはいはい」



美嘉「――ふう」

夏来「………………美嘉」ポンッ

美嘉「ひゃぁああああああぁっっ!!? びっくりしたっ!! 気配消して背後に立たないでよっ!?」


夏来「驚かせた……? ごめん……。後ろに男がいたら……びっくりするよね」

美嘉「いや、ベツに、男には慣れてるからいいんだけどね? びっくりしたのは急に現れたからってだけで――まあいいや、なんなの?」

夏来「うん……リーダーの美嘉に伝えることが……」

美嘉「は!? アタシリーダーなの!?」

夏来「え……そうじゃないの……カリスマだってみんな言うから、てっきり……」

美嘉「あー……うん。もういいやリーダーで。美嘉おねーさんが背負ったげるよ……それで? なに、伝えたいことって。告白なら事務所を通してね」

夏来「告白じゃないよ……?」

美嘉「いや、それはわかってるから。純真なキミに冗談言ったアタシが悪かったよ」

夏来「うん」

美嘉「それでなに?」

夏来「オオクワガタ見つけた」

美嘉「そう」





美嘉「――――ってえええっっ!? マジ!?」



――

――――


莉嘉「えー見つけたんなら早く言ってよーっ! もーっ!」

夏来「何度も言おうとしたんだけど……」

漣「気配消してたってかァ?」

旬「ナツキ。そういう時は大声あげるとか、手を叩くとか方法あるだろ」

夏来「次からそうする……」

奈緒「で、どこにいるのさ」


夏来「この木の……」

隼人「うん」


夏来「ずー――――」

春名「?」



夏来「ぅ―――――」

加蓮「?」



夏来「――――――――っと上のあそこ。見える?」

凛「えっ」

未央「どこよ!?」

タケル「…………見えた。あそこか。20……25mぐらい上」

玄武「さっきのカブトムシよりもさらに高いとこにいやがるな」

梨沙「ってか高すぎじゃない!」


夏来「見つけた時はもっと低いところにいたんだけど。…………どんどんよじ登っていっちゃって」

享介「いや、そういう時は言おうよ。ホント」

四季「まーみんな好き勝手カオス気味に話してたからしょうがないっすよ。ナツキっちを責めちゃダメっしょ」

凛「で、どうするの?」

美嘉「肩車はもうしないからね。二番煎じなんかグダるだけなんだから」

加蓮「もうすでにグダってる気がするけどね」

春名「ははは、いいじゃん、グダっていこうぜ青春だ!」

次郎「わかざとはもうグダらずに進級しなね」

旬「そうですよ」

春名「あれー? オレの留年の話だっけ!?」

タケル「おい……こう話してる間にもオオクワガタ上によじ登ってるぞ」

卯月「わぁっ! 早く捕まえないとですね!」

奈緒(男女集まって高いとこを見つめるのってなんか、雪美ちゃんのペロ助けた時のことを思い出すな……)


梨沙「で、どうすんのよ?」

志狼「よし、オレが登って捕まえてやる!」

直央「しろうくんっ!? やめといた方が!」

莉嘉「いーや! アタシが!」

みりあ「ええっ! 莉嘉ちゃん行くの!?」

にゃん喜威「にゃー」

仁奈「おおっ! ネコさんが行きやがるので……あれれ?」


朱雀「待ちな。この状況をなんとかすんのは……ヒーローのオレの役目だぜっ!!」ザッ!


玄武「朱雀――っ!」

志狼「おお! すざくのあにき! 行くのかよ!?」

朱雀「任せな!! 天空朱雀落としのために高いとこに登んのは慣れてるからよっっ!!」


漣(ほォ。中々熱いオーラ放ってやがんじゃねーか、この赤ヤンキー)

きらり「玄武くん。天空朱雀落としってなぁに?」

玄武「相棒の必殺技さ。――――相棒!」

朱雀「オウ! 玄武!」

玄武「しっかりやれ。その勇姿、俺の目に留め置く。落ちた時は受け止めてやるし、玉砕した時には……骨を拾ってやる。存分にやってこい」

朱雀「へっ! ありがとよ玄武!! お前が見てるってだけでオレはどこまでも強くなれるぜ! うおおおおっ!! バーニンッ!!!」


享介「気合い入ってるなー!」

未央「茜ちんとどっこいどっこいかな。……信じて待つのも友情だよね!」

梨沙「ヒーローね。いい年して光みたいなこと言っちゃって」


朱雀「よっしゃあ!! そんじゃ、オオクワガタとっ捕まえてくるぜ!!」

卯月「はいがんばってください!」

奈緒「まぁ……大勢で登ることもないよな」

薫「がんばーっ!」


――

――――




朱雀「うらあああぁっっ!!!」ガシガシガシガシッ!


タケル「おお、ぐいぐい登っていくな」

美嘉(なんとかと煙は高いところが……)

志狼「すげーなっ。おい、ありす! ちゃんと記録しとけよな!」

ありす「わ、わかってますっ!」




炎が燃え上がっていくように、彼は太い幹を素早く勇猛に“踏破”していきました。

昼間なのに活発な動きを見せ、私たちの目をくらませ逃げ続けたオオクワガタでしたが、ついに無慈悲な檻の中へ入れられる時が来たのです。



莉嘉「いやー、ここまで来るの苦労したねー☆ でもアタシ達からは逃げらんないっ!」ドヤァ

享介「あー、なにそのドヤ顔!」

次郎「しっかし……あかい、命綱とかつけた方が……危なくないの?」

玄武「相棒はこんなとこで死ぬタマじゃねえさ」

次郎「うーん……そういう信頼も、良いとは思うけどね? でもやっぱしさー」


薫「あ! オオクワガタに届いたー!!」

次郎「え?」





朱雀「おらああっ! 捕まえたぜーっ!!」

オオクワガタ「ギ・・・ギギ!!」




みりあ「わーっ!! やったー!! オオクワガタゲットーッ!!」

直央「すごいなぁ……!」

莉嘉「早く下りてきて!! 写メ撮るからーッ☆」

美嘉「ふー、ようやくだね」

次郎「んー……心配いらなかったかな」

ありす(捜索の末、ついに私たちはその黒真珠の輝きを手の内へと……うーん、過剰に書き過ぎるのもダメかな)ポチポチ




朱雀「おおぉ、間近で見るとでかさもひとしおだぜ……っ!! よっしゃ、カゴに入れて下に戻るか!!」


きらり「気をつけてねーっ☆」

玄武「油断すんじゃねえぞ。勝って兜の緒を締めな」



朱雀「わぁーってるっ!! ……しっかしよぉ、後は手足を滑らせなきゃいいだけだろぉ?」


…ブーン


朱雀「あん?」



     ピトッ



朱雀「――!!!」


朱雀「は、……は!!」

朱雀(――蜂だとぉぉぉっぉおおおおお!!!???)




奈緒「いっ!? オイあれ……!?」

四季「うっぎゃー!? 蜂がスザクッちの顔にィー――――ッッ!!!」

悠介「でかいぞあの蜂!」

晴「ここで、こんなハプニングかよ……!!」

玄武「落ち着け相棒! 下手に刺激すると刺されるぞ!!」

卯月「ゆっくり離れていった方がいいらしいですよ! ……あ、今の状況じゃもしかして無理ですか……?」

四季「わー!! わー!! 蜂が朱雀ッちの額にィー――――ッッ!!! 眉間にィー――――ッッ!!!」

仁奈「ひゃー!」

かのん「あぶなーい!」

旬「四季君、静かに……! 恐怖が周りに伝播してしまうでしょう!」




梨沙「みりあ! 猛毒説はもうやめなさいっ!! 朱雀パニクってるでしょ!」

隼人「余裕を持つのがいい男……よし! みんな凛ちゃんの言うようにまずクールに!」

志希「ちなみに~体内の毒量が一番多いのはスズメバチでー、成分にヒスタミン・セロトニン・ノルアドレナリンとか、アミン類が多いからー刺されるともうチョー痛いんだね~。その場合毒液が目に入っちゃうと失明だから気をつけて~。こーしょんこーしょん!」

四季「うわああああ!!! マジッすかそれー!! うわあああっ!! ってか蜂が朱雀っちのまぶたにィぃぃぃー――――っっ!!!!」



朱雀「うぉぉぉぉおい………ッッ!!? なんだそりゃあァァ……――――!?」



凛「志希!」

隼人「シキ!!」

次郎「いちのせ、いせや、二人ともちょっと静粛にしてなさいね」

奈緒(なんだよこのカオス……)

ありす(ど、どうしましょう!? え、えっとえっと……!! とりあえず追跡録、蜂の登場前に『そこで予想外の出来事が』って煽りを入れておかないと……!!)ポチポチポチポチ

巻緒「みなさん、とりあえずケーキ食べませんか?」

卯月「えええ、それは……悠長なような気も……もぐもぐ」

タケル「食ってんじゃねえか」

卯月「あっ! えへへ、かな子ちゃんで慣れちゃってたからつい」

玄武「……頼むから総員平静になってくれ」



晴「難しい話じゃないだろ! もう頭ブンブン振って払いのけろよ!」

志狼「そんでソッコーで下りてくればいいって! すざくのあにき!」

加蓮「シンプルイズベスト……かな」



朱雀「よしッ! うらああっっ!!!」ブンブンブンブン!!


    ―ブーン!


奈緒「お、離れた!」

隼人「ナイスヘッドバンキング!」



朱雀「速攻で降りるぜ!! ――ッと!! オオクワガタはカゴに入れとかねぇと……!!」

オオクワガタ「…!」ガチッ

朱雀「あん?」



直央「あっ」

みりあ「あっ」



朱雀「――――い…………痛ってぇェェー――――っ!!!!?」



莉嘉「あーっ! はさまれたっ!!」

旬「蜂に気を取られ過ぎて、警戒すべき顎への注意を怠りましたね……!」


ありす(人間の業への復讐か、自然界の怒りは容赦なく捜索隊に牙を剥き……)ポチポチ

梨沙「アンタもう、ちょっと書くのやめなさいよ……」

タケル「拳は大丈夫か」

玄武「相棒の拳は鍛えられてる。屈しやしねえさ。だが、こりゃあ……」



朱雀「痛ぇ! くそ!! 気合い入ったサブミッション極めやがって……!! 負けねぇぞ!!!」ブワッ! ブンッ!

オオクワガタ「ギギギ」

朱雀「ちっくしょう!! 根性見せんなコイツよォ!!!」

朱雀(流石に腕が疲れてきやがった……!!)



―ブーン!!



仁奈「あ! さっきの蜂がぶーんって戻ってきやがりましたっ」

美嘉「えっ」



ハチ「――」ピトッ(右手に着陸)



朱雀「がァッ!?」



四季「うぇえええ!? よりによってオオクワガタに絶賛挟まれ中の右手にィー――――っっ!!!」

薫「みぎてにぃーっ!!」

旬「四季くん!! だからもうその“にィー!!”っていうのやめてください!!」


朱雀「くそ……! ふーっ!! ぶふーっ!!」

オオクワガタ「―」(微動だに)

ハチ「―」(せんっ!!)



きらり「わわわぁ!? どーしよーっ!? きんきゅーっ! れすきゅーっ!」

奈緒「うわぁ……!! すげぇな……こんな危険なグダグダ見たことない」

未央「ちょっと男子どうすんの?」

隼人「えっ、どうしよ……誰か、なんとか、できる人ー?」

旬「ここで募るんですか」

玄武「ただ者じゃねぇ男もいるようだが……」

タケル「やめとけよ。コイツはなにもしないから」

漣「はァ!? オイ! そりゃオレ様のコト言ってんのか!? なにもしねェコトもねェしー!!」

タケル「じゃあ、この状況なんとかできるのかよ」

漣「あァん? オレ様を使おうってかァ!? チョーシのんなバァカ!」

加蓮「わぁ、すごいダブルスタンダード~」

次郎「“天才”は使えるのか使えないのかよくわかんないよね」

志希「えー? じろうセンセ、アタシを取り扱いたいの~? ふふふ! それならまずはアメを所望しよう!」

次郎「いや、もうその……いいや。悠長に話してる場合じゃないみたいだし」


晴「こうなったら、さっきみたいに……蒼井兄弟に!」



享介「ボールは……この位置からの方が枝に邪魔されないな。やれるか悠介?」

悠介「任せてよ! 一発で決めるからさ!」



直央「あ! もう蹴る準備をして……!」

まゆ「わぁ……。動くのが早いんですね」

未央「流石! チームの役割を理解してらっしゃる!」

莉嘉「うぅ!? また活躍されちゃう……! お姉ちゃん! アタシたちもなんか蹴ろう!」

美嘉「えっ、蹴るって……」

春名「お、美嘉ちゃんもなにか蹴るの?」

加蓮「オンナの情念シュート?」

美嘉「蹴らない蹴らない! こんな緊急事態で遊んでる場合じゃないっての! ――あっ! 言いよってくる男の誘いは蹴るけどね!?」

凛「なにそれ……」

隼人「うわぁぁ……! 男の誘いを蹴るなんて……! 流石カリスマだ……!」

加蓮「隼人くん、それ素? あー……いい人なんだね、キミ」



晴「オレも蹴りたいけど、ここは元プロに頼む!」

卯月「がんばってください!」

悠介「おっけー! 狙いは……右手だけ……!!」

享介「手を伸ばして! 弾き飛ばすから!!」



朱雀「お、オウ!?」スッ



享介「あんま強いの当てちゃうと、木から落ちるかもだから……」

悠介「ペナルティエリア外からのフリーキック……いや、コーナーキックでゴール前に放るレベル?」

享介「それぐらいだ」

玄武「……相棒を救ってやってくれ」

悠介「請け負った! オレ達の仲間だもんね!」

玄武「仲間、か。……いいもんだな」

タケル「ああ……」

玄武「そうだ。おい、ちょいと備えを頼めるかい?」

タケル「おう?」


悠介「享介! いいよっパス出して!」

享介「よし!」ビッ!!


ありす(鋭いパスを跳ね返して――!)


悠介「せやっ!!」



  ドォンッッ!!!



凛(速い!)

旬(高い……!)

志狼(でもコースは――――)

晴(正確っ!!)



   バシィ!!



朱雀「オォウ!?」

ハチ「!!」

オオクワガタ「!!」



かのん「わー! 当たった!!」

ありす「蜂が……離れたっ?」



オオクワガタ「――!」ブーン!



梨沙「あっ! でも! 衝撃でオオクワガタまで宙に!」

直央「また飛んで……!」

莉嘉「えーっ!! また逃がしちゃうのー!」



朱雀「くそ……ッ!! しまったぜェ! ――あ?」

にゃん喜威「にゃっ!」ビョンッ!

朱雀「にゃこっ!?」



仁奈「おお! 背中にずっとはりついてた猫さんが!!」

ありす(オオクワガタへと跳んだ!)



にゃん喜威「かぷ!」

オオクワガタ「―!」



志狼「空中で捕まえた!! すっげー!!」



にゃん喜威「~っ!」ヒューン



旬「でも猫ちゃんが落ちて――!!」

卯月「受け止めてあげなきゃ!!」

漣「チッ!」バッ!

タケル「どいてくれっ!!」ダダダッ!!

漣「あン!?」



――ガシィッ!!



タケル「ふぅ……!」

にゃん喜威「にゃー!」

奈緒「おおおっ! ナイスキャッチ!!」

梨沙「すごい……。さっきのヘビの時もそうだったけど……動きが鋭い……!」

タケル「猫が落ちた時にはフォロー……言われた通りにやったぜ。読み通りだったな」

玄武「ああ。居安思危、用心堅固――予測はしとくもんだな。恩に着るぜ。……俺はにゃこについちゃ存在全てがダメでな」

漣(チィ……チビとデカヤンキ―が準備してやがったか)

莉嘉「ねー! ねー! 早く見せてよ! 写メ取るからっ☆」

享介「写メ? あ、そうか!」


オオクワガタ「ギチギチ」


次郎「キミ達はオオクワガタを捕まえたんだ」


志狼「あ! 触らせてくれよー!!」

みりあ「みりあもみりあもーっ!!」

美嘉「あはは、みんなお疲れーっ。ようやくだね」

ありす(任務完了ですか……中々劇的になりました)

凛「朱雀が下りてきたら、ちょっと休憩しようか」


―バキ


薫「あれ? 変なおと?」


―バリ


悠介「あーみんな、お知らせが!」

きらり「え? なぁに?」

悠介「ボールさ、手に当たって跳ね返ってさ……その先にさ……」

巻緒「なにがあったの?」


―ベキキ…


悠介「えっと…………………………蜂の巣があってそれで」






    ぼとっ!





悠介「今それ崩れて落ちてきそうなんだ」



凛「……」

隼人「……」

まゆ「……」

玄武「……」



【蜂の巣】



みりあ「あ、もう落ちてきた」

奈緒「は……」

美嘉「は……!」





「「「   早   く   言   え   ー   ――――   ッ   ッ   !   !   !   !   」」」






ブーン!! ブーン!! ブーンブーン!! ブーン! ブーン!!ブーンブーン!!ブーン!!ブーン!!ブーンブーン!!ブーン!!ブーンブーン!
ブーン!! ブーン!! ブーンブーン!! ブーン! ブーン!!ブーンブーン!!ブーン!!ブーン!!ブーンブーン ブーン!!ブーン!!ブーンブーン!
ブーン!! ブーン!! ブーンブーン!! ブーン! ブーン!!ブーンブーン!!ブーン!!ブーン!!ブーンブーン!!ブーン!!ブーンブーン!
ブーン!! ブーン!! ブーンブーン!! ブーン! ブーン!!ブーンブーン!!ブーン!!ブーン!!ブーンブーン ブーン!!ブーン!!ブーンブーン!
ブーン!! ブーン!! ブーンブーン!! ブーン! ブーン!!ブーンブーン!!ブーン!!ブーン!!ブーンブーン!!ブーン!!ブーンブーン!
ブーン!! ブーン!! ブーンブーン!! ブーン! ブーン!!ブーンブーン!!ブーン!!ブーン!!ブーンブーン ブーン!!ブーン!!ブーンブーン!




隼人「逃げろぉぉーッッ!!!」



ダダダダダダダダダダッッッ!!!!




美嘉「あーもー!! なんでこうなるの! 最悪!! 最悪! サイアキスト!!!」

加蓮「大量に来てるっ!!」

享介「わかんなかったのか! 蜂の巣があるって!?」

悠介「そこまでは見えなかったんだよ!!! 不可抗力!!」

凛「蜂、怒ってるね……」

卯月「ごめんなさぁーい!! わざとじゃないんです!!」

タケル「言っても通じるかよ……」

玄武「く……っ!!」ヒョイ!!

みりあ「わーっ!? なに抱っこ!?」

玄武「黒髪のヤツは追われるぞ! 嬢ちゃん達を守れ!」

梨沙「え?」

直央「あ、ボクも……!!」


ありす「……髪……えっ……」

志狼「あ、ありす……うわーおまえ髪黒いな!」

ありす「わかってますよ! ど、どうしよぅ」

次郎「あー……」

志狼「先行くぞ! ほら!!」ガシッ!

ありす「わっ!?」




きらり「梨沙ちゃん! 捕まって~!!」ヒョイ!

梨沙「わっ!?」

享介「ほら! 抱えたげるっ!!」グイッ!

直央「わぁ!?」

美嘉「あ、ちっちゃくてカワイイ子も抱えないとね! 歩幅もちっちゃくてカワイイもんね!?」フヒョイ!

かのん「あ! かのんより先に仁奈ちゃんとか薫ちゃんを先に助けてあげてっ!」

巻緒「任せてかのんくん!」ヒョイ!

悠介「オレのせいだもんね!」グイッ!

薫「わーだっこだー! 速ーい!」

仁奈「だっこ……久しぶりです……」


ダダダダダ――――


ブーン! ブーン!!ブーンブーン!!ブーン!!ブーン!!ブーンブーン ブーン!!


未央「でも! 追いつかれてきてるーっ!! 男子! なんとかしてー!」

春名「なんともなんないって!!」

四季「ってかさっきからオレらばっかり体張ってるっすよ!! 女子の方もなんかカード切って欲しいっす!!」

まゆ「私たち……!?」

加蓮「ぜ……は……っ!! カードって?」

四季「ウワサで聞いたことあるっすよ! サイキッカーとか! 幸運の女神とか! ウサミン星人とか! 時を止める能力者が346には居るって!! そのハイパーパワーでここは一つなんとかしてくれよーっ!!」

奈緒「一人を除いて全部ウソだよ!! あ、いや!! ウソじゃないけど!!」

未央「もう……しょーがないねっ! 志希にゃん!! お願いっ!!!」


志希「お、アタシをご指名~? おっけー♪ 志希ちゃんヒゾウのコロンを使ったげよー!」

旬「コロン? そんなのでなんとかできるんですか!?」

志希「ばっちし♪ これ試作品だけどピレスロイド系のナ・ニ・カ! が入ってるキョーリョクな携帯虫除けバリアだし! 原液浴びせて追っぱらおー!」

隼人「すごいの持ってるね……!?」

志希「でも効果的に飛び散らせないとねー。へーい、漣くーん!」

漣「あァ?」

志希「アタシがビンごとポイッて投げるから割っちゃってー!」

漣「ハァ? オレ様に割らせんのかァ? なんでだよ」



志希「漣くんなら空中で割れるでしょ? 天才だからー」

漣「あ?」

巻緒「漣くん! できるんならお願い! 甘い香りに蜂が惹きつけられてきてるんだ!」

漣「なんで……オレ様が」

タケル「できねェならオレがやる」

漣「オレ様がやる!! チビは引っ込んでろっ!!!」

凛「なんでもいいから速くしてっ!!」



志希「うりゃー! 志希ちゃんナパームをくらえーっ!」ポーイッ


奈緒(ビンが蜂の群れに――どうやって割るんだ)


漣「オラァッ!!」バシィ!!


玄武(『指弾』!! 石を弾いて!)

奈緒(なんでこんな達人多いんだよ)






――――ばっりぃん!!!




――

――――

――――――



夏来「はぁ……はぁ……」

未央「あー走ったー!! 茜ちんの特訓に付きあってて良かったよー!」

巻緒「みんな無事だね?」

凛「うん……大丈夫だよ」

加蓮「すごい威力だったね……」

まゆ「あのコロンを浴びたら一気に飛ぶ力を失って……ぽとりぽとりと……」

志希「殺傷能力は剥ぎとっといたから心配無用ー。アレあくまで追っぱらう用だしー。志希ちゃんは自然とともに生きるアルケミストー♪」

次郎「明らかに合成化学の品を作っといてそう言えるのはすごいよ」

志希「効果のほどを観察したから、フィードバックさせないとだね~」

漣「ハッ! 今度は爆発するビンも作っとけよ!」

志希「おお! おもしろい! スプレー部分の強化は考えてたけど、ビンが爆発するってやり方もデンジャラスでステキ!」

次郎「やめときなさい」

奈緒「まったくドタバタ青春アニメかよ……」

四季「死にそうになったけど生きてるって感じだったっすね!」


杏「みんな大変だったんだねー。杏行かなくてやっぱ正解だったよ」



晴「走った走った……ふひゅー」

ありす「はぁはぁ……!!」

志狼「刺されなくてよかったなありす」

ありす「ええ……ホントに――――って! あの……手を……!」

志狼「あん?」

ありす「もう、いいですから、繋いだ手……放して」

志狼「うおっ!?」バシッ


ありす「……」

志狼「……」


志狼「あー……わりぃ。でも別に手を繋ぎたかったわけじゃねーからな!」

ありす「わかってますっ……!!」

志狼「じゃあそのこわい目すんのやめろよ! 怒んなよ!」

ありす「怒ってませんよ……!!」

志狼「じゃあニラむなよ!」

晴「なにやってんだよ、橘二人」


ありす「……ふぅ」

ありす(もう……他のみなさんみたいに年上の人たちに抱えてもらってれば……こんな風にならなかったのに……)




次郎「ありすー、熱中症は悪化してないみたいだね」

ありす「あ……っ」

次郎「ん?」

ありす「遅いです、先生」

次郎「あら? 遅かった」

ありす「抱えてくれてれば……いえ、言いませんけど」

次郎「ああ? ありすを抱っこして走った方がよかったよねやっぱり」

ありす「抱っこなんていりません!」


ありす「先生は……本当に、先生の仕事をしてません……」

次郎「……そっか。ごめんね」

一旦投下終わりです
次辺りで終わらせます。長くなったなぁ…

蝉から鈴虫の鳴き声に変わり、秋が深まってきた今日この頃みなさんはいかがお過ごしでしょうか
いや本当9月下旬までひっぱって申し訳ない。今回の投下で終わりです

あ、その前に抜けがあったので修正
↓を>>150>>151に入れてください


凛「こういう時は冷静に対処しないと……みんなクールになって」

漣「そォだ、ボケども。こんなもん修羅場のうちにも入んねーだろ。どんだけ平和ボケしてやがんだ」



朱雀「お、オレは、どうすりゃ……いいんだ……ァ……!?」



直央「じっとして、飛んでいってもらうのを待った方がいいのかな……?」

梨沙「手でササッと払いのけるのはダメなの? 木登りしてるとこだからオオクワガタ持ってる方の手しか使えないけど……」

きらり「えっと、えっとぉ!! 息をふぅーーーっ!! っと吐いて飛ばしちゃうのはどうかにぃ!?」



朱雀「お、おお!? なんだよ結局なにやりゃいいんだ……っ!?」



みりあ「刺されたら死んじゃうの?」

美嘉「えっ!? みりあちゃん……!? いや、それはないでしょ~」

みりあ「でもこっからじゃ、どんな蜂さんかよくわかんないよ? 死んじゃうようなモードクを持ってたらどうするのー?」

薫「ど、毒!? こわい!!」



朱雀「お、お、お、おおおオイィッ!? 死ぬのか!? コレ死ぬヤツか!?」

投下開始



杏(んー…山下先生……)

きらり「杏ちゃん?」

杏「ああ……なんでもないよきらり。オオクワガタ捕れたんだってね。おつかれー」

きらり「うんっ! みーんなのっこらぼれーしょんぱわー☆ すごかったんだよぉ~?」

杏「コラボね。相乗りは楽でいいよねー」

きらり「もーぅ! そうじゃないよぉ!」



朱雀「お前ら無事だったんだな! うれしぃぜぇぇ!!」

タケル「お、下りてきたのか」

朱雀「おうよ! 蜂に追われてんの見てよぉ……!! 気が気じゃなかったぜ! しっかし、あそこから超天空朱雀落とししようにも蜂相手じゃよォ……!!」

玄武「こっちはこっちでなんとかしたから平気だ、相棒」

漣「オレ様がなんとかしてやったんだ。そこんとこカンシャしろよテメーら!」

凛「ん、ありがとう漣」

漣「おォ! もっと言え!」

美嘉「志希のコロンのおかげでしょ。こっちも言ったら? 志希」

志希「んー? どーでもいいかなー。そんなことよりキノコ獲りにいくんだよね~? 早く行こーよ!」

四季「おお! 志希にゃん流石! 自分のコーセキは誇らないんすね! 聖人っす! 聖人!」

志希「にゃはは~♪ 照れるっ!」


漣「んだよ、オレ様をヒハンしてんのか? オイ」

まゆ「志希さんはただもうキノコの方に興味を移してるだけだと思いますよぉ」

奈緒「ああ、そうだ。次はキノコか。でもちょっと休憩しようぜ」

まゆ「そうですね。…………汗、かいちゃいましたし――――」


―ブーン


まゆ(え、羽音?)

漣「っ! オイ!」グイッ!!

まゆ「きゃっ……!?」

まゆ(引っ張られ――)



バシッ!!



ハチ「―!」ポトッ

まゆ「あ……っ」

隼人「おぉ、ハイキック!」

漣「チッ、蜂の気配ぐらいテメエで気付けよ……!」

美嘉「蜂……まだついてきたヤツがいたんだ。危ないトコだったね……まゆちゃん」


まゆ「私、刺されるところだったんですか……? あ、ありがとうござ」

漣「そんな甘ったりぃ匂いさせてっから狙われんだよバァカ。オマエも花の蜜吸ったのか?」

まゆ「ば、ばかって……! これは香水ですよぉ……! 女の子の嗜みです……! 常にプロデューサーさんに会ってもいいようにしておくために……」


まゆ(なんですかぁ……もう! たった一度助けられたぐらいじゃ、間違ってもまゆは運命なんて感じませんよぉ……! まゆにはプロデューサーさんがいるんです)

まゆ(そうです。心変わりすると思ったら大間違いです……! こんな人に揺らされません……! 自信に満ちてて、実際に強くて、いざとなったら人を助けるやさしさを持ってるぐらいで……っ!)


莉嘉「まゆちゃんアタマぶんぶん振っちゃってどーしたの?」

まゆ「うふふ……まゆの瞳に闖入してきた方を追っぱらってるんですよぉ……でていけー……でていけー……」

莉嘉「よ、よくわかんないけど、がんばってね?」

四季「まゆっち! 早いとこキノコ採っちゃおーぜっ!!」

まゆ「え? ああ……そうでした。早く採ってしまいましょう。――――いつまでも男子といっしょにいることないですもんね」

四季「ん、なんて?」

まゆ「なんでもないですよぉ……うふふ」

みりあ「キノコってやっぱり食べられるのを探すのー?」

まゆ「はい。私が使っちゃった輝子ちゃんのトモダチの埋め合わせですから」

旬「食べられるかどうかの判別はできるんですか?」

まゆ「………シイタケとかなら分かります」


奈緒「おいおい!? はっきり分かんないのか? キノコは食べたらヤバイのあるんだろ?」

まゆ「そうですね……シイタケとかエノキとかマツタケが生えてたら採ろうと思ってここに来ましたので……」

梨沙「なによそれ。シイタケとかだったらスーパーで買って帰ればいいじゃない」

まゆ「いえ、それじゃあダメなの。かけた手間が愛情の……いえ、友情の深さだもの。私が採ったものは、私が贖わなくちゃいけないの。トモダチを食材にしてしまった私の、それが贖罪」

梨沙「え。わからなくもないけどさ。その友情も重くない?」

まゆ「重いかしら?」

隼人「うん。でもオレそういうのいいと思うよ。その人に対しては、ちゃんと一生懸命でありたいっていうか……うん、わかる」

未央「あきやん~、友情番長の素質あるんじゃない? うん、私もわかるよー! 自分で採ったのを返してこそ意味があるんだよね!」

まゆ「はい……そうなんです」


巻緒「でも食べられるのを探すんだよね? どうやって見分けていくの?」

ありす「タブレットで調べれば。あ……すいません、捜索録を書いてたら充電がもうあんまりないです……」

加蓮「スマホで逐一調べてく? 手間がかかりそうだけど」

凛「輝子に聞いてみたらいいんじゃない?」

まゆ「輝子ちゃんは夜型で……こんな日中に私のことで起こしちゃうのも……」

未央「そっか。う~~~ん悩ましいねぇ」

志希「アタシのキノコ知識も、イマはフィールドワークの段階だしね~」


きらり「玄武クン! いろぉんなコト知ってる玄武クンならキノコの種類もわからないかなっ?」

玄武「わからねえでもねえがな。ただ、俺よか秀でた人がいるんでその人に任せてみちゃあどうだい。適材適所だ」

朱雀「お? 玄武よか詳しい人?」

きらり「えぇ~っ! ダレ? ダレ?」

夏来「……あ。わかった。F-lagsの」

四季「…………あ! あ~!!! そうっす!! いたっすね!! 食べられるキノコを見分ける特技を持った、我らが九十九っちが!!」

ありす「九十九……一希さんですか?」

四季「そうそう!」

漣「ア~~~! 宇宙人メガネがカキコーシューで国語教師やらせるとか言ってたアイツかァ!」

次郎「はざまさん、牙崎の因数分解だけじゃなく現国までフォローしようとしてんだね」

漣「やめろって言っとけよ!! よけいなオセワなんだよ!!」

タケル「俺は……やめてほしくないな。勉強もしなきゃいけねえと思ったし」

春名「……あはははははは」


美嘉「なんかあっちも学業との両立タイヘンみたいだね」

凛「えっと……それで、九十九さんに連絡つくの?」



四季「九十九っち朝方みんなで事務所に集まった時いたっすよね」

巻緒「うん。それで言ってたね」

加蓮「なんて?」


巻緒「『後からおれも行く。ちょうどキャンプをしたいと思っていたところだ』って」


卯月「キャンプ?」

仁奈「え! キャンプですか! 仁奈もキャンプ好きですよ!! みんなと夜まで遊ぶんだーっ!」

梨沙「ちょっと仁奈、いきなりテンション上げないでよ!?」

かのん「になちゃん、キャンプ好きなんだね」

四季「朝のあのセリフからすると九十九っちももうここに来てるはず! 連絡とってキノコ狩り部隊の隊長にシューニンさせるっす!! ケータイ取り出しポパピプぺっ!」

春名「ああ、助けてもらおうぜ! 宿題とかも助けてもらおうぜ!」

旬「春名さん、どさくさに紛れてなに言ってるんですか……!」



みりあ「ねぇ、直央くん。315プロってさ」

直央「?」

みりあ「色んな人がいるんだね! なんかわちゃわちゃーってしてて楽しそう!」

直央「え!? そ、そうですね……本当に色んな人が」

梨沙「イロモノが多いって言った方が正しくない?」

志狼「あーっ! 346プロがそれ言えんのかよー!」


――――…………


九十九一希
http://i.imgur.com/yiaYvvu.jpg





九十九'sテント


一希「なるほど……だいたいわかった。本もキリのいいところまで読了したことだし、協力……するよ」パタン

四季「イェ―ッ! さっすが九十九っち!」

まゆ「ありがとうございます」


志狼「おーっ! テントだテントだ!」

仁奈「あのあの、テントに入ってもよろしーでごぜーますか?」

一希「ああ……かまわない。キャンプ用具と本しか置いていないが……入りたければ、どうぞ」

薫「一人でテントたてたのーっ?」

一希「ああ。キャンプはよくするんだ……自然が好きだから。この自然公園にもよく訪れる。風があって木々があって……己の内面と向き合うにはうってつけだ」

薫「ふぅん?」

杏「杏、寝袋使用許可もとめまーす」

きらり「杏ちゃん! ダメだよぉ~っ!」

一希「かまわないが……適正な範囲内でたのもうか」


加蓮(なんかどことなーく、小梅ちゃんに似てるねこの人)


ありす「……鷺沢さんが」

玄武「うん?」

ありす「文香さんが言ってました。テレビで映った九十九さんに『この九十九一希という方は……書の世界に身を置いている人ですね』って。そんなのどうして察することができるのか分かりませんでしたけど」

玄武「流石は文香さんだな。そうか……あの人も嗅ぎ取ったか。はははっ!」

ありす「え?」

玄武「いや。いつか文香さんも九十九の兄さんも、アイドルで読書家の連中をみんな集めて、なんかの本の論評するのもおもしろそうだって思ってな」

ありす「論評ですか。あの、論評なら私もできますよ?」

玄武「そうか。そりゃいい。そんときゃ嬢ちゃんも来てくれ」

ありす「はい、いいですよ」



一希「それよりもキノコ探し……自然公園を歩きまわるが、大丈夫か」

美嘉「そだね……もうセミ捕ったりカブトムシ捕ったりオオクワガタ捕ったりで結構体力使ってる感あるし。休んだ方がいい子は」

莉嘉「アタシはまだまだいけるよーっ!!」

志狼「オレだってまだまだホンキは見せてないぜ!」

悠介「だってさ!」

美嘉「そ、そっか……えっと、直央くんは平気?」

直央「はい。お手伝いします!」



加蓮「おおー、直央くんがんばり屋だね。うちの奈緒もいい子だけど、ちょっと素直じゃないからなぁ」

奈緒「な、なんだよ加蓮! なんで親目線なセリフを……!」

凛「でも加蓮。奈緒はその強がりがかわいいんだよ」

加蓮「だね!」

奈緒「凛までっ! だーかーらっ! そういう風にアタシを扱うのやめろぉ!」



享介「じゃあ、全員で行くわけ?」

杏「杏はテント警備員を務めるよ」

きらり「もー! 休んでばっかりぃ~!」

次郎「あー、……ありすも休んでた方がいいね」

ありす「えっ」

次郎「元気出てるみたいだけどね、まだちょっと息荒いし。大事を取るべきでしょ。かなり暑くなってきたしさ」

ありす「子ども扱いしないでください! 平気です!」

卯月「ありすちゃん……あの、がんばりすぎるのも。その……」

ありす「なんですか? 私は大丈夫ですよ。気を使っていただかなくてもいいです」

晴「確かにここまで言い返してるんだから元気だな」

ありす「そうです――」


悠介「ボール? いいよ貸すよ」

志狼「サンキュ――――おい、ありす!」

ありす「え?」

志狼「フトモモで受け止めろっ!」ポーン


ありす「なっ――!」


ポコンッ!



ありす「……!」

かのん「あ、受け止められなかったね……」

ありす「いきなりなにするんですか」

志狼「ありす、おまえ体ゼンゼン動いてねーじゃん。てゆーかよー、さっきの蜂の時のダッシュの後から動きノロいぜ? 口以外」

ありす「……! そ、そんなことっ!」

次郎「……あのさ」



杏「ありすちゃん。いっしょにぐでーってしない?」



ありす「杏さん……!」

杏「話し相手ほしくなっちゃってさー、お願いだよー」

ありす「……で、でも」



杏「……お願いします」

ありす「…………」

きらり(あんずちゃん……)

晴「付きあってあげろよ」

未央「ありすちゃん! 杏ちゃんの監視、大役だけど任せていいかなっ?」

杏「えー……監視ー……?」

ありす「…………みなさん」


ありす(なんですか、もう……)

ありす(でも頼まれたからには――)


ありす「しょうが、ない、です……ね……」







――

――――

――――――


杏「みんな行ったねー。暑い中ホントよくやるよね」

ありす「……私だって行けましたけど」ポチポチ

杏「そーだね。お願い聞いてくれてありがとね。そんじゃー……アメでも食べる?」

ありす「いりません」

杏「あ、そ」



ありす「……」ポチポチ

杏「……」グテー



ありす「……」チラ

杏「んー?」

ありす「杏さん、17歳なんですよね」

杏「そーだよ。きらりとか卯月ちゃんと同い年」

ありす「玄武さんも17歳だって……」

杏「あー、あの人も17歳の中じゃすごいよね、身長とかいろいろ」

ありす「色んな人がいるというのが……今日改めて実感として持てました」

杏「カオス気味にアイドル達が集まっちゃったからねー」

ありす「はい」


杏「でもありすちゃん、志狼くんって子との繋がりで315プロの人とよく会うらしいじゃん?」

ありす「し、志狼くんとの繋がり……!?」

杏「え、なーんでそこで動揺するの?」

ありす「繋がりと言っても違うんです。たまたま、何度か会ってしまうってだけで……!」

杏「何度か会っただけでありすちゃんの体調を察せられるよーになったワケ?」

ありす「……! …………えっと、その! あれは、志狼くんは……目ざといんです!」

杏「へー、目ざといんだ」

ありす「そうです。志狼くん、かのんくんに聞いたところによれば、結婚式場で食べてもいいケーキを目ざとく見つけて食べてたみたいですし」

杏「詳しいねー」

ありす「……それに、私の体調の事に関しては……志希さんとか玄武さんとかの方が先に気づいたんですよ」

杏「そーなんだ。山下先生より?」

ありす「そうです。……山下さん、大人の役割をもっと果たしてもらわなきゃ困ります」

杏「ん? 役割ってなーに」

ありす「……」



ありす「大人には大人の義務があります。例えば子どもだと思っても一人の人間として向き合うとか……そういうのが大人の役割だと思います」

ありす「今日の姿を見るかぎり山下さんは適当で……無責任に感じます」

杏「んー……」

ありす「お金のためにアイドルを始めるくらいですから、最初からそんな人なのかもしれませんね」

杏「そーかなー?」



――

――――



一希「そこの枯れ木の根元……調べてみるといい……」

直央「えっと……あっ、丸いゼリーみたいなのがいっぱい」

梨沙「いっ……!! なんかブニブニしてる!!」

一希「タマキクラゲだ。食べられる。味は無いから……醤油をつけるなり、スープに入れるなり……お好みの食べ方で、どうぞ」

春名「おっ! こっちにいっぱい付いてる枝あるぞ!!」ブニブニー

凛「ひゃっ!? ちょ、ちょっと気持ち悪い……!」

一希「こっちの……タマゴタケの方がいいか」

未央「おー、鮮やかな赤! 丸っこくてかわいいじゃん!」

まゆ「これも食べられるんですかぁ?」

一希「ああ。旨みが強い……」


莉嘉「アタシたちもタマゴタケ見つけたー!」

みりあ「この赤ーいやつでしょー!」


一希「似ているが……それはベニテングダケだ。中毒を起こすぞ」

みりあ「えっ! 毒キノコなのー!?」

一希「……食べる方法もあるにはあるが」

旬「え、食べられるんですか」

志希「毒成分のイボテン酸は、旨み成分でもあるゆえにー! にゃはは、悩ましきアンビバレンツ~♪」

次郎「食べると幻覚見えるけどね。……そういや、これを乾燥させて粉末にしたドラッグっぽいの、『セブンスへブン』とかいう商品名で売られてたね」

志希「おお~!? 次郎センセ、志希ちゃんの夏の味わいを御所望かね! 水着になってセブンスへブン志希ちゃんをおヒロメしよーかー?」

次郎「なに言ってるかわかんないよいちのせ……。君、普段からトリップしてない?」

隼人「み、水着……! 水着か……みんなの水着……」

卯月「隼人くん、どうしたんですか? 顔赤いですけど」

隼人「あ、ああっ!? なん、でも、ない!」



かのん「キノコのこと詳しいんだねー」

一希「……気晴らしに採っていたからな。執筆が行き詰ったときなんかに」

玄武「執筆……か。相応の修羅場もあったんだろうな」

一希「……ああ、あった」



一希「精神的に辛かったのは……8月中に終わらせようとした作品が遅れに遅れたことだな」

一希「多数の登場人物の描写にかけなければいけない予想以上の文量。2回にわたるプロット含むデータの全損。新情報目まぐるしい資料を追う作業、それに合わせてのプロットの路線変更……」

一希「様々な要因があったと思うが、書く時間そのものの不足が痛かった……」


一希「8月1日に夏を想い、創り始めた物語は……9月になり、その中旬さえ過ぎ、自分の中ではいつしか夏の幻影を追う話になってしまった」

一希「夏休みだという設定は、二重の意味で寒くなったのさ……」

一希「発表する適切な時期を逸したことで、……作品は容易に価値や意味合いが変わってしまう」

一希「ふ、気楽に書こうとした話だったのにどこでボタンを掛けちがえたんだろうな……」

一希「いっそのこと、冬休み開始時まで完成を伸ばしてシャレを効かせようかと…………そんな堕落した考えまで持ってしまって――――」






志狼「おーい! 戻ってこーいっ!?」

晴「なに遠い目してんだよっ?」

一希「ああ……すまない。遥か遠い世界の話だから気にしないでくれ……」






……



春名「よーし。こんなもんだろ!」

玄武「キクラゲに、オオゴムタケ、イヌセンボンタケ、ツルタケ……その他もろもろ」

朱雀「へへっ! ずいぶん採ったな! オイ!」

未央「きっと輝子ちゃん大喜びだね!」


美嘉「ケッコウ歩き回っちゃったね」

まゆ「ふぅ……ええ」

まゆ(あ、また汗が……はしたないです。ハンカチもっと持ってきておけばよかった)

夏来「タオル、使う……?」

まゆ「え?」

夏来「多めに持ってきたから……良かったら……」

まゆ「あ……ありがとうございます……」


まゆ「うぅ~……また、男子に……!」

薫「ど、どーしたの? なんで悔しそうな顔してるの」

まゆ「忍ぶ心は……下心を刃の意志で押さえなければいけないんですよぉ……」

薫「しのぶ? わかんない」

まゆ「まだ薫ちゃんにはまだ早いでしょうね……。でも心を土足で踏みいってくる男性から、自分と自分の憧れを守らなければいけないんだとは……知っておいてくださいね」


夏来「あの……迷惑だった……かな」

まゆ「あ、いえ。そんなことはありませんよぉ」

夏来「そう、良かった……役に立ててうれしい」

まゆ「う――っ!」


まゆ(誘っているつもりですか……これしきのことでまゆは一寸たりとも揺らされませんよぉ……!!)

まゆ(まゆはプロデューサーさんが好きなんです。たとえ、美形で、影があって、落ち着いてて、どこか子どもっぽくてほっとけない感じがするくらいで……!!)


凛「なんかまゆ今日おかしくない?」

未央「男の子たちと遊ぶのが久しぶりなんじゃない? ファンとかお仕事関係以外で男の子と絡むの慣れてないんだよ、きっと」

美嘉「あー、身構えちゃってんだ。自然体でいけばいいだけなのにね」

加蓮「え……?」

美嘉「な、なによ加蓮!? その目!」


享介「ねー! 採り終わったんならぼちぼち戻ろうよ」

タケル「なんだかんだ動いているうちに、結構日が傾いてきてるぞ」


卯月「あ、はい!」

まゆ「ふぅ……跳ねのけました……三連勝です……ふふ……♪」



直央「キノコたくさん採れましたね!」

梨沙「この自然公園、流石ってとこかしら。虫だけじゃなくキノコもたくさん種類あって」

一希「……人が多く訪れるからだな」

晴「え? どっちかっていうとキノコにとっちゃ人間があんま来ない方がいいんじゃねーのか? 採られるワケだしよ」

一希「もちろん採られすぎれば問題だ……負の面は確かにある。しかし、人が訪れることは悪いことばかりじゃない……」

莉嘉「どういうこと?」

一希「この自然公園に多様なキノコや植物が生えるのは……人々がいろいろな菌や種子を運んでくるからだと言われているんだ」

みりあ「へー! 人が増えたおかげなのー?」

一希「そうだ……閉じた世界で安穏とした世界が……賑やかで流動性のある世界に変わったのは……次から次へと新しい存在を受け止めていったからだ」

直央「そうなんですね……」

志狼「なんかアイドルのギョーカイと似てんなー」

仁奈「似てやがりますか? ――ああ! 似てやがりますですよこれ!」

梨沙「えー?」


一希「新しい存在を次から次へと受け止めていく……か。確かに、新たな可能性を受け入れ、目まぐるしく変わっていくこのアイドル界と似ているのかもな……」

晴「あー、そういうことか。確かにオレらんトコどんどん増えてってすごかったからなー」

かのん「えへへ、きっと315プロも新人さんもっと増えていくよ!」

みりあ「みりあたち楽しい世界にいるよね! ごーいんごーいんとまれなーいっ♪」


一希「だが……良いことばかりでもないと覚えておいてくれ」

志狼「ん、なんか悪いことあんの?」

一希「言っただろう。負の面も見方を変えれば……ある」


一希「例えば――この自然公園には川がある。あそこだ。見えるか?」

晴「おう」

一希「上流に行ったところに……以前は蛍がいたんだ」

仁奈「蛍ですか!? 見てーです!」

かのん「かのんもー! きらきらーってしてるのかわいいよねぇ~!」

一希「以前は、と言っただろう。何度か来て確かめたが……今はもういない」

莉嘉「ええ~~っ! ざんねーんっ!」

梨沙「……人が多く来るようになっちゃったから消えたってワケ?」

一希「直接の因果関係はわからないが……川にゴミは以前よりも多く見られるようになった」

一希「今はこの自然公園は東京における手軽なレジャースポットとしてTVでも紹介されるまでになっているからな……必然な帰結かもしれない」

晴「こっちの“ホタル”は本当に不幸だったんだな」

志狼「ゴミ捨てるヤツに、ゴミ捨てんなーって言えばいいじゃん」

一希「正論だと思う……しかし、人が多すぎると零れ落ちる者はどうしたって出てくるんだ」

みりあ「ふぅ~~ん……」


一希「人が増えるのはいいことだ。しかし……先にこの公園に住んでいた達への敬意を忘れないようにしないとな……」

志狼「ケーイってなんだ?」

一希「ああ。難しかったか……すまない。言い換えようか……ここでしか生きられないものたちへやさしさを持ってくれ」

直央「やさしさ……」

志狼「……うん、わかった」

仁奈「蛍がいなくなるよーなコトは無くなってほしーですよ……」

梨沙「なによもー、この教育番組っぽいテンションは! アタシこーゆーのニガテ! ……ま、了解しといてあげるけどさ」











志狼「なーみんな」

晴「……おう」

莉嘉「そーだね」

みりあ「うん……」


――

――――


ありす「ひとまずこんなところかな……」ポチポチ

杏「宿題やってたんだ。こんな所まで来てやることないのに」

ありす「自由研究のために、私はここに来ましたから」

杏「真面目だねぇ。学校の宿題なんていくらでも楽する方法あるのに」

ありす「自分の力でやらないと、認められないじゃないですか」

杏「認められない~……?」

杏(自分が? それとも別の人から?)



杏「……ああ」

ありす「どうしたんですか」

杏「ねー、ありすちゃんさー」

ありす「はい」


杏「そんな学校の先生相手にムキにならなくてもいいじゃん」


ありす「……っ!」





ありす(ムキになんて……)


だって。

――――先生ならちゃんと向き合うのが義務です。




杏「先生から、なんか気になること言われちゃった感じ?」

ありす「……」

杏「んー……」






きらり「杏ちゃーん! ありすちゃーん! ただいまーっ☆」

晴「コンディションは戻ったかよー?」





杏「あ、みんな帰ってきた」



――――


享介「あー、ミッション終了!」

四季「いやー! 今日はすげー駆けずり回ったっすねー!!」

美嘉「ホントにね……。こんなガッツリ自然に触れ合うとは思わなかった」

春名「まあまあいいじゃん! これでまゆちゃんもトモダチにキノコ送れるわけだし!」

凛「ありすも自由研究もできたしね」

旬「そのために蜂を追われたりしましたけれど……」

未央「まーそこは、いい思い出にしちゃおうよ! ね!」

漣「おォ、蜂からオマエらを救ってやったオレ様に一生カンシャしろ! クハハハッ!」

タケル「まだ言ってんのか……」


タケル「……だが、まぁ、齢が近いヤツらといっしょになんかやるってのは……中々悪くない経験だったな」

加蓮「あれ? 大河くんもそうだったんだ。私もさ……クラスのイベントとか、体調崩して参加できなかったこと多かったから……こうゆうの、やっぱ新鮮に感じる」

タケル「オレは体だけは強かったんだけどな。ただ付き合い方がわかんなくて……えっと……北条……さんはオレとは違うだろ」

加蓮「いや、私もネガティブになっちゃってたころはホント付き合いづらい子だったと……ってか北条さんか……うーん、北条さん……」

タケル「な、なんだ」

加蓮「よし! 加蓮でいーよ! 私もタケルでいく!」

タケル「なにっ?」

加蓮「辛気臭い話も無しで! 青春取り戻していこうよ。ねっ?」


奈緒「加蓮……ははっ、強くなったな」

凛「うん。今日一日しっかりついてきてたし……。奈緒も男子への苦手意識、克服していかないとね」

奈緒「なぁっ!? なんだよそれ!? 苦手意識なんて無いし!」






杏「――苦手意識あるから、山下先生にきつく当たってるワケじゃないんでしょー?」

ありす「きつくなんて……私はただ大人なのに適当な感じがおかしいって思っただけです」

杏「んーそれなら、私の方が適当だけどねー。あ、こんなちっこいから大人扱いされてないのかな」

ありす「それは……」




莉嘉「ねーセンセ! オオクワガタとみんなで集合写真撮るから、カメラおねが―いっ☆」

次郎「あーはいはい。修学旅行を思い出すね」

志狼「バッチリ撮ってくれよー!」



ありす「……」


杏「山下先生、本当に無責任だったら帰って競馬でも見てると思うんだよねー」

杏「でも先生残ってるじゃん。放任気味だけど、今日一日付きあってくれたじゃん。私は虫捕りもキノコ狩りもサボったけどさ」

ありす「……それは」

杏「なにも考えてないわけじゃないと思うなー。辞めたとしても、教師になろうとしたのは事実なんだし」

ありす「でも、今は辞めて……アイドルをしてるんですよ? 面倒なことから逃げたんじゃ」

杏「でもアイドルだって面倒じゃん?」

ありす「面倒って!」

杏「面倒でしょ。ボーカルレッスン、ダンスレッスン、無茶ぶり気味なお仕事もいっぱいあるし、疲れるよ」

杏「でもそれでもがんばり続けられるのって、お金のためだけじゃない気持ちも心にあるからじゃないの? そうじゃなきゃこんなキツいの続けられないね。仲間がいるからとか……アイドルが楽しいからとか」

ありす「……」

きらり「きゅふふ~♪ 杏ちゃん杏ちゃぁん?」

杏「なに、きらり? 変な笑い声出して」

きらり「それって杏ちゃんのコトかにぃ? 仲間とか~アイドルたのすぃからとか!」

杏「えっ! 違うよ、杏はただ一生分のがんばりを使ってるだけだから!」

きらり「もーぅ☆ もーぅ☆ 素直じゃないんだからぁ☆ えーい!」ツンツン

杏「うあ~~~! ほっぺをつつくんじゃない~~~……!」



ありす「だけど……子どもと向き合わない先生なんて。私が熱中症になりかけだって、山下さんは気付きませんでした」

巻緒「いや、山下先生気付いてたみたいだよ?」

ありす「気付い……えっ?」

卯月「ロールさんに声かけてましたもんね!」

巻緒「うん。クーラーボックスからナトリウム入ったドリンクを出してほしかったみたい。山下先生、ありすちゃんのことちゃんと気付いてたんだよ」

ありす「そ、そうなんですか?」

卯月「はい! ……でもロールさんに呼びかけたのに私が返事しちゃったりして、手間取らせちゃって……その間に玄武くんと志希さんが先にありすちゃんのところに行ったんです」

ありす「…………」


ありす「……」


ありす「山下さんに確かめてきます」

巻緒「うん。いっておいで!」




ありす(音楽の時間……作詞をしてみた)

ありす(今思えば社会問題を歌ったその歌詞は、理詰めで、堅苦しかった)

ありす(それでも……私は、書き終わったあの時は)



ちゃんと見てくれれば褒められるものだと思ってた。


受け止めてもらえるんだと思ってた。




でも先生が言ったのは



――『お前は面倒くさい子だな、橘』



というそんな言葉で。




私は思ったんだ。


面倒くさいのは……悪いことですか?

先生にとっては、面倒くさい子はダメなんですか。そんなのっておかしいじゃないですか――――



晴「先生、サンキュー!」

次郎「はいはい」



次郎「ふーっ、やれやれだこりゃ」

ありす「山下さん」

次郎「お、ありすも写真?」

ありす「違います」

次郎「そう?」

ありす「あの、その……」

次郎「んー…………なんか話す?」

ありす「……そうですね。質問したいことあります」

次郎「質問? あー……一応言っとくと、先生だったからってなんでも答えられるわけじゃないからね」

ありす「それはわかってます……」

次郎「うん。じゃあどーぞ?」



ありす「……あの、面倒くさい子がいた時って山下さんはどんなことを考えましたか」


次郎「面倒……? どんなの? 一人一人違うからね」

ありす「えっと……例えば……大人ぶってて、難しいことを言って、先生を呆れさせる様な……そんな子です」

次郎「そうさね、まず面倒だなって思って、対応法を見つけなきゃなと思って……」

次郎「それでクラスで浮かないようにしないとって思って、あまりにこじれてるようなら家庭環境のこととかも調べないとって思って……それで、んー」

ありす「それで……?」


次郎「若者はいいなぁって思うかな」


ありす「……! いい、ですか」

次郎「先生の立場だったら、色々義務とか事務とか発生するから困りはするんだけどさ、それでも心のどっかの無責任な部分でこういう面倒なヤツはいてほしいって思ってるかなー」

ありす「そうなんですか」

次郎「羨ましいって感じちゃうのよね。我を張って思うままに生きるのって子供でも難しいんだよ。だから無責任に発言できるなら褒めたい時もあるよ」

ありす「……いなくなってほしいとかは」

次郎「心労が祟って参っちゃてても生徒に向かってそう思うんなら、その時はもう辞め時なんじゃない? アイドルにも向かないね」

ありす「山下……山下先生は思ったことは無いんですね」

次郎「いや! 自信ないけどね!? ただ……あれかな、俺は学校を出たけど、生徒を学校から追いだしたことは無いよ」

ありす「……意外といい先生だったんですね」

次郎「お、ありがと。ま、無責任と言われてもしょうがないとは思うけどねー。ただ、生徒を導くのはアイドルでもできるからね」



ありす「アイドルで?」

次郎「同じユニットのはざまさんはすごいよー。若者を導くためにアイドルするんだもん」

ありす「じゃあ……山下先生もがんばらないとだめですね」

次郎「あーうん、おじさんはボチボチがんばってるよ?」

ありす「ボチボチじゃだめです。めんどくさがらないでください」

次郎「あはは……わかったよ、ありす先生。がんばります」

ありす「はい……ふふっ」

次郎「どうしたの?」

ありす「成長できたなって思って。今なら私先生にも少しやさしくできますね」

次郎「なんじゃそら」





杏「やれやれー……」

きらり「杏ちゃん、ヤッパリやさすぃーねっ☆ ありすちゃんのためにあんなに喋ってあげてー!」

杏「んーまぁ、山下先生からはどことなーく、同類のニオイがしたから。我々の名誉のためにうんぬんかんぬん」

きらり「杏ちゃんはいい子だにぃー☆ わしわしーっ! はぐはぐーっ☆」

杏「わわっ! きらりー! だから過度なスキンシップは禁止だってばーっ!! はぐはぐはキツい……!!」


志狼「お、ありす! 先生に叱られてんのか?」

ありす「し、叱られてるわけじゃないですよ! 私は私のままで良かったんです!」

志狼「私のまま? 意味わかんねー! っつーかなんでじろうにきつかったんだ?」

ありす「……色々あるんです」

志狼「んだよそれ! なーわかるか?」

一希「……そうだな。この少女は……」

ありす「え、九十九さん……?」


一希「苺大使を取られたライバル意識……そして、“先生”という存在自体への微かな不信が前提にあり……その上で大人っぽいとは言えない山下次郎氏への適当さを目の当たりにして苛立ちを」

ありす「ちょ、ちょっとやめてくださいよっ!?」

一希「……というのはあくまでおれの創作だが……合っているのか?」

ありす「合ってません合ってません!」

志狼「ならいいじゃん! かずき、もっと言えー!」

九十九「いいのか……?」

ありす「ダメですルール違反です! 橘志狼! 退場を命じます!!」

志狼「た、退場!?」



直央「しろうくん……」

志狼「くそー、なんだよ退場って……」

梨沙「志狼はちょっと下がってて。ちゃんと伝えることあるうちは話がこじれるから」

ありす「伝えること? 私にですか?」

莉嘉「うんっ! あの時虫捕りのお願いしてくれたありすちゃんには決定を伝えとかないとね!」

かのん「あのね……」








……


…………






次郎「えええ~~っ!!! オオクワガタ逃がすの~!?」



志狼「おう! 逃がす! っつーか、捕った虫ぜーんぶ逃がすっ!!」

みりあ「ここにしか住めない子達にはやさしくしたげないと!」



次郎「そんなぁ、せっかく捕まえたんだよ。ブラックダイヤモンドをさ~~」

春名「まぁまぁ山下先生」

玄武「今じゃ、オオクワガタの相場は落ち着いてるぜ。売れたとしてもそこまで大金にはならねぇ……いくら活きのいい国産天然ものでもな。先生、納得してやってくれ」

次郎「んー、でも惜しいよ……」

ありす「もう。ちょっと見直したと思ったら。私たちの意志を尊重してくださいよ」

旬「でもいいんですか? 自由研究にするっていうから苦労して……」

ありす「大丈夫です。資料はカメラに収めました」

莉嘉「記念写真もね☆ ほらー! オオクワガタとのツーショット! いいっしょー!」

隼人「うわーいいなぁ!」

莉嘉「んふふ! 隼人くんにも送ったげる~☆ 莉嘉&オオクワガタを待ち受けにしちゃってー!」

隼人「え! いいの!?」

美嘉「ちょっと莉嘉! 男子にそんな写真……そんな写真……うーん、いいのかな?」

次郎「さっき撮らせた写真、実物を手放すための準備だったわけね……まいったよ」



一希「純心というのは……まぶしいな」

志希「あたしの自然とともに生きる姿勢が伝播しちゃったかな~?」



加蓮「ま、自然は大切にしなきゃいけないよね」

奈緒「蜂の巣も壊しちゃったし、自然破壊は反省しないとな」

悠介「不可抗力だったんだって~……蜂にもごめんなさいするよ」

仁奈「自然の気持ちになるですよ……」


ありす「では行きましょうか」

凛「え、行くって……虫、逃がすんじゃないの?」

莉嘉「そーだよ!」

志狼「ちゃんと捕ったところに逃がしてやるんだ!」

まゆ「捕ったところって……」

四季「えーっ!! そこらへんにリリースしてやりゃいいじゃーん!」

ありす「ダメです。捜索録のラストとして、後処理を細かく書こうと思ってるんです。そうしてこそ自然との共生がテーマとして色濃く立ち上がってくるんです」

美嘉「え、もう帰る気マンマンだったんだけど」

次郎「……また、歩き回るわけ……」

みりあ「うんっ!!」

晴「キノコは戻すわけにはいかねーから、せめて虫はちゃんと返してやろうぜー」

志狼「ほら! 早く行こうぜ! 日が暮れちまうぜ!!」



「「「………………」」」



凛「……やるしか」

タケル「ない」

未央「みたい」

夏来「だね…………」



――

――――


ジージージー    ヴヴィヴィヴィヴィ  ミーンミーンミーン   ジィジィジィー

シャシャシャシャシャシャ スィースィー セセセセセセン ヴィワヴィワヴィワ

ミ"-ン ミ"ーン ミ"ーン ミンミンミ"ー!!   カナカナカナカナ――




日が暮れていく。

赤い日差しに蝉の鳴き声が溶け込んで、夏の夕景が形作られる。


少年たちは歩みを止めない。

少女たちは想いを折らない。


夏の一瞬に、おぼろげな情熱が刻まれる。


この紅さこそ、そのまま彼らの心の色調――




一希「……少し叙情的に脚色しすぎか……?」


 ワー!!  ギャー!!


四季「もーいいじゃないっすかー!」

莉嘉「だーめ! このカブトムシはあっちの木!!」ギチギチ

漣「ノド乾いたぞ! オイ!!」

タケル「我慢しろよ……、情けねぇな」

みりあ「みんなー! 後半分くらいだからがんばろーっ!」

次郎「うぇ~、まだ半分も……」


隼人「ヒラタはこっちの木だったな。それでウスイロトラカミキリはあっちの茂みで……えっと……ヨツボシケシキスイはどこで捕れたっけ」

夏来「美嘉……わかる?」

美嘉「わかんないっての! アタシにヨツボシケシキスイのコト聞かないでっ!」

奈緒「だいたい男子虫捕りすぎなんだよ……」

次郎「身体能力が備わったころに童心に帰るとやばいってことね」

朱雀「じゃあな……元気にやれよぉ!!」

ミヤマカミキリ「ギィーギィー」

一希「さよならを言うことはほんの少しだけ死ぬこと……か」

凛「がんばろ、みんな。……ありすの自由研究のために」

旬「やれやれです…。子どもの学業のためなら仕方がありませんね」



美嘉「もう……コンクリートじゃない方のジャングルはちょっとおなかいっぱいかな……」

四季「次は森じゃなくて、他の所行こうぜ!」

加蓮「他の所って……山?」

奈緒「なんでだよっ!? 海だろ、海!」

加蓮「あー、奈緒、男子達と海行きたいのー?」

奈緒「なっ!? 違っ!! ひっかけやがったな加蓮!?」

隼人「みんなが……海で水着に……! うっ!」

梨沙「わっかりやすい反応するわね……この高校生たちは」


志狼「海かー! 海外の海もおもしろいけど、海水浴場で思いっきり遊ぶのもいいよな!」

晴「ああ! ビーチサッカーとかしてみてーよ」

志狼「へっへ! いつか海行って勝負するか? 晴!」

晴「おう!」

ありす「晴さん、男子といっしょに海なんて……ちょっとどうかと思います」

晴「んだよ、今日一日いっしょに遊んどいていまさらだな。海行って遊ぶだけだろ」

ありす「頓着が無さすぎですよ。……もう少し女性らしくしてみてもいいと思いますよ」

晴「あん、オンナらしく? ……いやー、オレは似合わねーって! なぁ、志狼?」

志狼「おう、似合わねーなっ!」

晴「っ!」ズキッ

ありす「志狼くん、あなたと言う人は……!」

晴「――言ったな、志狼……! そりゃオレも似合わねーって思うけど……お前に言われるとなんか腹立ったぞ!!」

志狼「んだよそれ!? カッコイイ衣装のが好きだって言ってただろ!? だから似合わないって言ってやったのにー!」

ありす「見返しますか? 晴さん。この子どもっぽい男子を」

晴「……考えとくか」


美嘉「でもさ、オトコのアイドルといっしょに海って言うのもね、ファンがなんか勘ぐっちゃうかもしれないしさ。危ないんじゃないかな、色々とさ」

四季「えー! ハヤトッちの夢なのにー!」

隼人「夢じゃないよ! なに言ってんだよシキ!!」


未央「海はNGなのかー。アイドルとは業が深いものよなぁ」

莉嘉「じゃーさ、じゃーさっ☆ 海がダメなら――空だねっ!」

タケル「空?」

莉嘉「空の上でならみんないっしょに遊べるかもよー!」

春名「空ね。ははっ! なんかロマンチックなこと言うなー」

四季「んじゃ! こう言っとくっす! ヘイ、子猫ちゃん達! いつか空の上で会おうぜー!!」

卯月「あはは! はい!」

美嘉「男性アイドルと空の上……あれ? なんか本当にできそう……?」




漣「どうでもいいから早いとこ終わらせろ!! ハラ減ったぞ!!」

巻緒「まぁまぁ、漣くん。お腹すいたんならこの後、俺達の店に来るといいよ! アスランさんの料理も東雲さんのスイーツもすっごくおいしいから!」

みりあ「え、なにそれー! みりあも行きたい行きたいっ!」

巻緒「みんなも来ます?」

未央「お、店にご招待? そりゃ魅力的な提案だねロール君!」

悠介「打ち上げかーいいね! 試合が終わったんならぱーっと騒ぎたいよね!」

ありす「え、いっしょに行くんですか?」

巻緒「来るんなら歓迎するよ! 東雲さん、最近苺のスイーツに力を入れててね! 新作が最近できたからみんなにもぜひ味わってもらいたいな」

ありす「――! そうです、ね。みんなで打ち上げをして親睦を深めるのもいいかもしれません」

晴「ありすお前、さっきと言ってること違ってねーか?」



杏「まだまだにぎやかなの、続きそう……」


杏「まぁこういうのも――――嫌いじゃないけどね」








少年達の声が空に吸い込まれていく。

少女達の声が夏の宵を連れてくる。


喧騒の潮が引いていき、後に残ったのは淡い疾走感の記憶。



――夏休みの一日が終わる。













――



――――



――――――



TV局








四季「   夏   休   み   っ   す   よ   ー   っ   !  !  !  」




旬「…………」

夏来「シキ…………」

春名「今日のスタジオ入り何時からだっけ?」

隼人「まだ4時から。まだ余裕あるよ」


四季「ちょいちょいちょい!! 先輩方スルーっすか! メガさびしーっす!」

旬「四季君。これもう26回言いましたけど夏休みはもう終わったんです。現実を直視しなさい」

春名「まー、シキの気持ちめっちゃわかるぜ。悲しいよなー夏休みが終わるのは」

隼人「でもシキはもう持ちネタとしてそれ言ってるだろー」

四季「ぶーっ! なんすかもう、何度でもこの悲しさを共有して欲しいんすよー!」


隼人「そりゃ悲しいけどさ」

四季「宿題辛かったっす。読書感想文は九十九っちの教えが無かったら乗り越えられたかわかんないっす……」

春名「ああ、あれも結構苦労したよな。でも、その甲斐あっていいのが作れた気がするよ! なっ?」

旬「……あの読書感想文については、ノーコメントで」

隼人「でもまぁ、この夏はCDも出せたし充実してただろ? ライブも決定したしさ」

夏来「色々……やったよね」

四季「大変なことも多かったすけど、メガ充実してたっす! だからこそ夏休み終わったのが悲しいんすよ~……楽しかった時間が過ぎちゃった感じで」

春名「熱い青春ができたんだから満足しとけって。思い出を振り返るのは卒業の時にやりゃいいよ」

隼人「ハルナが言うと重いセリフになるな……でも! そう! 俺たちはもっともっと突っぱしっていかなきゃいけないんだ。経験は経験として大事にして前を向こう!」

旬「そういうことですね、リーダー」

夏来「うん……これからもっと色んな経験をしていかなきゃ……」

四季「そっすね。楽しかった経験を思い出して、元気をチャージして……前を向くっす!」

隼人「おお、いいぞシキ!」


四季「……あ、虫捕りに自然公園に行ったこと思い出したっす……」

春名「ああ、あれか。女の子達といっしょにかけずり回ったヤツ」

旬「あれですか……。色々ありましたが最後も大変でしたね……捕った虫を全部元の場所に返して」

四季「アレ虫と暑さっていう精神攻撃もあって、最後はもうオレ気力だけで動いてたっす……」



夏来「そうなの……? テンション高かったように見えたけど……」

四季「そうだったんすよ! みんなが周りにいてテンションだけが高かったけど、実はバテバテだったんす! その上でケナーゲにオレ働いてたんす!」

旬「なんですかそれ……外面だけ取り繕ってたんですか」

春名「シキはノリで生きてるからなー。まぁアレ、オオクワガタ探しに蜂からの逃亡、キノコ探しを真夏の日中にぶっつづけでやったから体力は要ったな」

四季「もう虫捕りはカンベンっすよ、ハヤトッち!」

隼人「な、なんだよ、いいじゃんか。虫捕りはロマンだぞ! それにあれは……ほら、小さい子のためだったしさ。やる意義はあったって」

旬「そうであればいいんですけどね。学業をやるためのオフの日を虫捕りにあててしまったわけですし……と、あれは」




志狼「ほらー、晴! みりあも! お土産やるぜっ! へっへーん、オレら、カ・イ・ガ・イ! に行ってきたからな!」

晴「おう。サンキュー! CMも見たぜ!」

直央「こっちはお菓子の詰め合わせだから……みんなで食べてね」

みりあ「わーっ! 直央くんありがとーっ! おみやだおみやだーっ! ――あれ、かのんくんそれなぁに?」

かのん「このぬいぐるみは、仁奈ちゃんへのおみやげなんだー。 仁奈ちゃんならこのもふもふもふっ!っとしたところとか、ふわふわふわっ!っとしたところの良さわかると思って!」

みりあ「わぁ! いいね!」

ありす「……」

志狼「おーい、ありすも欲しいかー? んー? しょーがねーなー、お願いするんだったらあげても」

ありす「いりませんっ! ソロ曲の歌詞を覚えなきゃいけないんです! お土産なんかに心奪われてるヒマ、無いんです私」



春名「お、チビッ子たちー、お土産交換か?」

隼人「な、なるほど……お土産を渡すってことで自然に女子に話しかけるのか……勉強になる」


かのん「あ、はやとくんたち!」

晴「ちーっす」

直央「もう、しろうくん。ケンカしちゃダメだよ。お土産渡そう?」

志狼「ちぇっ、スナオにお願いしてくりゃ気持ちよくやったのに」

ありす「なんで私だけお願いが必要なんですか」

志狼「それはな……あれ? なんでだっけ?」

ありす「ほら! 理由ないじゃないですか。論理的思考ができない人はこれだから」

志狼「なにー!? オレはオマエのお願いする姿が見たかったの! モンクあるか!」

ありす「な、な、なんですかそれは!」


莉嘉「なになにー! なに騒いでんのーっ!?」

美嘉「アンタ達、男子とケンカしちゃダメって……あ、High×Joker」

隼人「あ、……み、美嘉ちゃん!? え、っと……今日もカリスマオーラ日和だね!?」

四季「なんすかそれ? ハヤトッち、アイサツ段階でテンパリすぎ」

美嘉「う、うん!? まー、オーラ日和って感じかなっ★」

莉嘉「おねえちゃんも返すんだ……」


夏来「ほら……おみやげ、あげよう」

志狼「分かってるって。海外経験でビッグなオトコに一つ近づいたオレはウツワがでっけ―からな!」

ありす「ウツワが大きい人は夏休みの宿題を残すこともなにも思わないんですね」

志狼「しゅ、宿題はカンケーねーだろ!? ちゃんとやったし!」

ありす「直央くん以外にもかのんくんにまで協力を要請したそうですね。それがビッグな人とは思えません」

志狼「な、なんでそれ知ってんだオマエ!?」

ありす「直央くんから千枝さんに、かのんくんから仁奈さんに情報が入るので筒抜けです」

志狼「こらーっ! なお! かのん! テキに情報をロウエイさせたなーっ!」

かのん「ひゃあっ! ごめんっ!」

直央「で、でもテキじゃないよね?」

みりあ「直央くん、千枝ちゃんと話すんだ」

直央「収録でいっしょになることがあるから……」

みりあ「ふーん……」


志狼「ってかありすはどうなんだよ!? 宿題ちゃんと終わらせたのかよ!?」

晴「おい志狼、その質問は」

ありす「終わらせました。というか……私、自由研究で賞をもらいましたし」

志狼「いいっ!!?」




旬「賞を獲ったんですか! それはすごいですね」

美嘉「自由研究ってあれ? あの夏休みの――」

ありす「はい。あの夏休みの経験が活きました」

隼人「そうなんだ! すっごいみんながんばったもんね! ほらっ四季! どーだ! 虫捕りするのはいいコトだろ! 見直してよっ!!」

四季「うー、言い返せないっ!! 賞獲るのはすげーっす……」

美嘉(良かった……なんか報われた。虫苦手で……あんなに苦労したんだもん。これぐらいの満足感はなきゃね……)

春名「いやー駆けずり回って良かったな! 命の危機もあったけど!」

ありす「賞状かばんに入れてるので見ますか」

四季「おう、見せて見せてっ!」



ありす「はい」スッ


隼人「これが賞状か。いやー……苦労が形になるのっていうのはやっぱいいもんだな……」

春名「どれどれ~」








【賞状 優賞 橘ありす 研究題 『苺料理と苺ケーキの食べ合わせに関する研究』  あなたは本年度科学研究物展示会で審査の結果優秀な成績でありましたのでここに表彰いたします】




美嘉「……ん?」

夏来「あれ……?」







『苺料理と苺ケーキの食べ合わせに関する研究』 








春名「あっれええええええええええええええぇぇっっ!!!??」


四季「テーマが違うんだけどおおぉぉぉぉっっ!!??」


莉嘉「え、どーゆーことどーゆーことっ!?」

ありす「あの日最後にCafe Paradeで食べた苺の味が忘れられなくて我を通してこっちの研究を提出しました」

晴「お前、そりゃねーだろ!?」

志狼「ちくしょー! オレもケーキの研究にすりゃ良かった!!」

直央「悔しがるとこそこなんだ……」

美嘉「なんだったの! もうなんだったの!! ケーキって!!」

旬「はぁ。……リーダー、今回の件の総括をお願いします」

莉嘉「お姉ちゃん! ガックリしないで! カリスマ溢れるセリフでばしっと締めていい思い出にしよっ!」



隼人「え、えっと……青春はカゲロウみたいなものだ?」

美嘉「アタシ達は瞬間の輝きだけがすべて……」

夏来「……」

旬「まぁ、そんなところですかね……」




巻緒「今ケーキの話しました!!?」グワッッ!!!

春名「うおっ!? 巻緒急に現れるなよ!!?」




完!

ようやくお終いです。書いてて楽しい話だった
ひたすら掛け合いを作りたいと思って書きはじめたらこんなに長く……書き終わるまで時間もこんなに長く
色々反省。


クロス系過去作

橘志狼「よーしっ公園で自主練だ!」橘ありす「私たちが使う予定なんですけど」
橘志狼「顔面セーフっ!!」橘ありす「アイドル的にはアウトですよ」
橘志狼「ありすっライブのチケットくれ!」橘ありす「なんの冗談ですか」
橘志狼「早押しは得意だぜっ!」橘ありす「正解しないと意味ないですよ」
橘志狼「チョコ貰ったかって?」橘ありす「昨日の私はまさか渡していませんよね?」

村上巴「駒落ちは無し」岡村直央「真剣勝負……です」


櫻井桃華「あら、あなた忘れ物をしておりますわよ?」 都築圭「ごめん、静かにして」

榊夏来「……猫?」佐城雪美「うん……ねこ」


塩見周子「誕生日に」東雲荘一郎「想を練る」

塩見周子「荘一郎さーん、約束のケーキっ!」東雲荘一郎「わかってますよ」


渡辺みのり「シンデレラガール総選挙だよっみんな投票してッッ!!」



シンデレラもアニメも佳境。CD第8弾、デレステの開始で情報量すごい多いです
SideMもW、S.E.MのCD決定、新アイドル追加の話と色々進んで楽しい

太鼓の達人コラボで、SR悠介が莉嘉やまつり姫とお揃いになるし、
まさかのMマスグラブルコラボで、モバマスと並べられるようになるし、
こちら側に向かって風が吹いてて戸惑います…! 

315プロnightの公録も盛り上がったようでなにより。アイマスが広がっていってるのを感じて最近すごい嬉しいですね!


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