会社「この国は滅びぬ! 何度でも甦るさ!!」派遣・社畜「コロナ」 (17)

会社「終点が戦後最長の好景気だとは上出来じゃないか。ここへ来い!」


社畜「戦後最長の好景気ですって?! ここは終わりの始まりよ。あなたとあたしの」

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社畜「中間層が滅びたのに、経営者だけ生きてるなんてこっけいだわ。あなたに生産性は渡さない。あなたは働き手を得ることもできずに、私と死ぬの!」


社畜「いまは、モノづくり国家がなぜ滅びたのか、あたしよく分かる。東洋経済の記事にあるもの」


社畜「『内需に根をおろし、賃金上昇率と共に生きよう。下請けと共に冬を越え、労働組合と共に春(メーデー)をうたおう』」


社畜「どんなにやりがいを搾取をしても、たくさんの形だけ導入したAIを操っても、需給バランスから離れては生きられないのよ!!」


バーン!(裁量労働制が導入された音)


会社「モノづくり国家は滅びぬ! 何度でも甦るさ!! 技術立国こそ、国民の夢だからだ!!」


カチャリ(法案が審議に入った音)


会社「次は解雇規制だ。ひざまづけ! 命ごいをしろ! 経済大国を支える意志を取り返せ!!」


派遣「待てーーーっっ!!」


派遣「出生率は隠した! 社畜さんを撃ってみろ。少子化のグラフは戻らないぞ!!」


社畜「派遣さん、来ちゃだめ! 会社はどうせあたし達を使い潰す気よ!」


会社「下層め。社畜の命と引き替えだ! NISAに入れてない預金のありかを言え! それとも、その労働基準砲で、私と勝負するかね?」


派遣「社畜さんと、二人っきりで話がしたい」


社畜「来ちゃだめぇ! 移住して逃げてぇ」


会社「……3年間待ってやる」(消費税10%導入まで)


社畜「派遣さん!」


派遣「社畜さん。落ち着いてよく聞くんだ。あの言葉を教えて。ぼくも一緒に言う」


社畜「えっ……」


派遣「ぼくの左手に、手を乗せて.」


派遣「外国人技能実習生たちの縄は、切ったよ」


会社「(打刻)時間だ! 答えを聞こう!」


会社「ん?」


派遣・社畜「コロナ!!」


ピカーン‼


会社「うわあああああーーーーっ!! があっっ!! ごほっ、ごほっ」


会社「へぁぁ……はぁぁ、株価がぁ! 株価がぁーーぁぁぁぁあああ!!」


会社「あぁ、ああ……資金繰りが、あああぁぁぁぁあーー!」



ベト「ママ、崩れるよ!(GDP成長率が)」

チャイ「しかたない、脱出! 急ぎな!」

フィリ「はやくぅ!」

バン「ママ、見て! 人口ピラミッドの底が抜ける……!!」


バラバラバラ (団塊の世代の膨らんだ部分が崩れ落ちる音)


フィリ「社畜ちゃん……俺たちにも優しい子だったのに」

チャイ「……滅びの言葉を使ったんだ。あの子たちは、バカどもから美しい国を守ったんだよ」


サラ、サラサラサラ……(人口ピラミッドが適切な形に戻る音)


フィリ「ああ?」


ベト「んん?! 崩れが止まった」


フィリ「職人の技術だ! とびっきり繊細で真似できないやつだよ!」


技能実習生たち「ん、昇っていく……?」


チャイ「心だぁ! 和を尊ぶ国民性がみんなもってっちまう! 追うんだあーー!」


チャイ「重ーい!! みんな帰国しな!!」


ベト「そんなムチャな!(日本からの移動制限中)」




派遣「社畜さん……」


社畜「派遣さん……まぁ!」


派遣「この国の四季と文化が、ぼくたちを守ってくれたんだ」


キュッ……キュッ……(観光と文化での立国を改めて整える音)


派遣「中抜きを抜けば大丈夫だ」


派遣「……行くよ! えいっ!」




チャイ「えぇーい、いけいけいけぇぃ!!」


チャイ「何してるんだい、ちっともコピーできないじゃないか!!」


バン「無理だよー、こんなに手が込んでるだものぉ。おっと」


チャイ「……うぇ?」


フィリ「社畜さんだぁ!!」


技術実習生たち「社畜さんだぁ!!」


ベト「生きてらぁ!!」



イン「派遣のやつだぁ!!」


技能実習生たち「おーい、わっはは、はっはっは、わーい、やった!!」




社畜「掃除のおばさま!!」


チャイ「はぁっ……! よく生きてたねぇ……」


派遣「みんな!! 無事だった?!」


イン「無事なもんかい!! わしのかわいいボロ工場が……トホホホ……」


チャイ「メソメソするんじゃないよ!! もっといい工業団地をつくりゃいいんだ」


社畜「うっ……」


チャイ「かわいそうに、残業代なしで打刻を打たれる方がよっぽどつらいさ……」


社畜「ううっ、おばさま痛い」


チャイ「ふふ、ごめんよ」


社畜「ふぅ」


チャイ「情けないじゃないか。さんざん苦労してこれっぱかしさ」


技術実習生たち「ひひひひひひひ!」(日本から流出した技術の数々)


ベト「何しろ時間がなくてよぉ」(奴隷レベルの労働条件)


派遣「……あは、はっはっはっは」


社畜「はは、ふっふふふふふ」


技術実習生たち「あっはっはっはっはっはっは!」





あの地平線(終電のホームから見える) 輝くのは(ビルの明かり)


どこかで君が(社畜) 残っているから(サビ残)


たくさんの灯が(歓楽街の明かり) なつかしいのは(オレンジっぽい)


あのどれかひとつに(居酒屋) 君がいるから(接待飲み)



さあでかけよう(営業) ひときれの紙(契約書)


チラシ パンフ かばんにつめこんで



父さんが残した 熱い想い(自分より立派になってほしい)


母さんがくれた あのまなざし(孫はまだかしら)




地球はまわる(国際経済) 君をかくして(労働からの疎外)


輝く瞳(エナジードリンクがんギメ) きらめく灯(自粛無視)


日付はまわる(終電オーバー) 君をのせて(会社に泊まり)


いつかきっと出会う ぼくらをのせて



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