【ミリマス】エドガー「鏡の中のシャーロット」【MTG5&14】 (62)

※MTG5、MTG14のドラマパートのネタバレがあります
※ドラマパートの内容に対しての独自解釈があります

以上のことが許せる方はどうぞ

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クリス「エドガー?本当にこの道で会ってるのですか?」

エドガー「ああ、このまま行けば森を出られるはずだ」

クリス「それ、さっきも同じことを言ってましたよね?」


エドガー「大丈夫だって、地図にも書いてあるんだしさ」

クリス「…エドガー。その地図、逆さまですが…」

エドガー「えっ!?…ええええーっとこれは…うん、あれだあれ。こっちの方見やすかったんだ!進行方向はこっちであってる……はず」

クリス「……はぁ」

エドガー「と、とにかく!このまま進めば森を出て、次の街につくはずだ!」

クリス「そうだといいけど……あら?」

エドガー「ん?どうしたクリス」

クリス「エドガー、あの木は確か…」

エドガー「ん、ああ!さっき休憩した大きな木だな!大きかったから背もたれにちょうどよく…て………」

クリス「…………エドガー、どうしてさっき通った場所に戻ってくるんですか……」


エドガー「え、えーっと、さっきの場所に戻ってきたってことは今はここだから…あれ?いまどっちに向いてるんだ?」

クリス「エドガ~~~?」

エドガー「あ、あはははははは……ゴメン!迷った!」


クリス「……はぁ、どうするんですか?今日中に森を出ないと私たちは行き倒れですよ?」

エドガー「うっ…」

クリス「いくら私たちヴァンパイアが強靭な体を持ってるといえど、飢えに勝てません」

エドガー「ううっ…」

クリス「ましてやこの辺りに鳥たちがいる気配もないですし…」

エドガー「ち、近くの家に入れてもらうとか…」

クリス「どこを見渡しても一軒の影もありませんよ……」

エドガー「うううー……」

クリス「仮に家を見つけたとしても私たちは外見だけは年端もいかない少年少女。確実に怪しまれます。もし私たちがヴァンパイアだと知られたら……」


エドガー「……あああああああ!どうすんだよもう!」

クリス「……とにかく、これ以上やみくもに歩き回っていても余計に体力を消費するだけです。一度休みましょう」

エドガー「はああー……ん?クリス、あそこなんだか明るくないか?」

クリス「えっ?あら、本当ですね」

エドガー「もしかしたら出口かもしれない。いってみよう!」

クリス「あっ!ちょっとエドガー!」




~~~~~~~~~~~~~




エドガー「はあ…はあ…もう少しで……っ!」

クリス「待ってくださいエドガー!」

エドガー「着いた……って何だこれ?大きな屋敷みたいだな」

クリス「はあ……はあ……ここは、何かの敷地みたいですね。やけに広いですが……」

エドガー「森の中にこんなのがあるなんてな」


クリス「エドガー、中に誰か住んでいるかもしれません」

エドガー「じゃあ出口を聞いてみようぜ」

クリス「待ってエドガー。忘れましたか?こんな森の中に子どもが二人。怪しまれるに決まっています。いそいでここから去ったほうが――」


「そこに誰かいるの?」

エドクリ「!?」

「誰かしら……あら?」

エドガー「あっはははー……こんにちはー…」

「あなたたちは誰?」

エドガー「俺はエドガー。実は俺たち旅をしてるんだけど森のなかで道に迷っちゃってさ、歩き回ってたらここに辿り着いたんだ」

「まあ、大変!こっちにきて!」


クリス「エドガー」

エドガー「わかってるって。大丈夫だよ、優しそうな女の子じゃん」

「少しここで待ってて。窓を開けてくるから」

エドガー「ま、窓?」

「本当は生徒以外中に入ってはいけないのだけど、困ってる人を放っておけないもの」

エドガー「あ、ありがとう」

シャルロット「うふふ。ちょっと待ってて!」

エドガー「よかった。いい子みたいだ」

クリス「ですがエドガー。他のひとに見つかるかもしれません。あまり長居しないほうがいいでしょう」

「開けたわ。入って」


エドガー「おっ、開いたみたいだな。よっと……クリス、いけるか?」

クリス「え、ええ……きゃっ」

エドガー「わわっ!大丈夫かクリス?……それっ!」

クリス「……ふぅ。ありがとう、エドガー」

エドガー「へへ、どういたしまして」

「あなたたち、とても仲がいいのね」

エドガー「ああ。ありがとう、中に入れてくれて」

「気にしないで。困ってる人はほっとけないもの。……あっ!私の名前はシャルロットよ」

エドガー「改めまして、俺はエドガー。よろしく、シャルロット」

クリス「クリスティーナです。クリスとお呼びください」

シャルロット「うふふ、よろしく。エドガーさん、クリスさん」


エドガー「それで、シャルロット。ここはどこなんだ?」

シャルロット「ここは寄宿学校の敷地内よ」

エドガー「寄宿学校?」

クリス「全寮制の学校のことですね。ということはここは寮ですか」

シャルロット「ええ、そうよ。他の生徒もみんな、ここに住んでいるの」

エドガー「学校かあ、俺学校なんて通ったことないからなあ。読み書きは町で覚えたから一応できるけど。……それで、シャルロット。俺たち道に迷っちゃって、この森を抜けられる道が知りたいんだけど」

シャルロット「それなら、学校の正門からまっすぐ行けば町にでるわ。ところで二人とも、急いでいないのなら少し休憩していかないかしら?」

エドガー「えっ、いいのか?」


シャルロット「ええ。私もあなたたちのお話とかもっと聞きたいもの」

エドガー「それくらいならお安い御用だ!……けど、大丈夫なのか?俺たち、ここにいたらダメなんだろ?」

シャルロット「一晩くらい平気よ。見回りに来た時だけ隠れれば問題ないわ」

エドガー「そっか……それならお言葉に甘えて……いいよな、クリス?」

クリス「ええ、私も歩き疲れていますので。誰かが地図をさかさまに読んでいたおかげですね~」

エドガー「うっ……悪かったって」

シャルロット「うふふふ。それじゃあお茶を淹れてくるわ。少し待ってて」



エドガー「……うわあ。久しぶりに足を伸ばせるなあ」

クリス「このところ歩きっぱなしでしたからね~」

エドガー「よかったなー、優しい子で」

クリス「ですが、彼女には申し訳ありませんが今夜、みんなが寝静まったころにここを発ちましょう」

エドガー「え!どうしてだよ」


クリス「先程も言いましたがあまり長居しすぎては他の方に見つかってしまうかもしれません。なるべく早いうちにここを出たほうが彼女も怪しまれずにすむでしょう。それに……」

エドガー「それに?」


クリス「……最後に血を摂ってから既にかなりの時間が経っています。このままだと最悪の場合、吸血衝動に任せて彼女を襲ってしまうかもしれません」

エドガー「そんな……」

クリス「私たちヴァンパイアは、吸血衝動には絶対に抗えません。例え我慢しても永遠の苦しみを味わうだけです。一刻も早く血を摂るほかに逃れる術はありません」

エドガー「…………」

クリス「エドガー、仮にそんな事態になっても傷つくのは貴女です。私は傷つく貴女を見たくありません」

エドガー「……わかった。みんなが寝静まったころにここを出よう」


クリス「ごめんなさい、エドガー」

エドガー「なんでクリスが謝るんだよ。俺だってわかってるよ、仕方ないことだって」

クリス「終わらない苦しみを、エドガーに与えてしまったのは私ですから」

エドガー「そんなことないって!クリスに助けてもらわなかったら俺、あの時死んでたんだぜ?」



シャルロット「お待たせ。お茶が入ったわ」

エドガー「ありがと……うわあ…」

シャルロット「うふふ、どう?」

エドガー「キレイなドレスだ……まるで本物のお姫様みたいだ」

シャルロット「うふふ、このドレスは特別な日だけに着るって決めているの。さあ、お茶をどうぞ」

エドガー「それじゃあ早速。……美味い」

シャルロット「ふふ、よかった。誰かにお茶を淹れるのは久しぶりだったから」

クリス「このティーセットも、オシャレな柄ですね」

シャルロット「家の屋根裏部屋で見つけたものなの。見つけたときは欠けていたのだけれど……」

エドガー「……ん?どうかした?」

シャルロット「……ごめんなさい、なんでもないわ。それで、お母様が私が出発する日に直したものをプレゼントしてくれて―」

クリス「おやさしいお母様なのですね」

シャルロット「ええ、とっても素敵なお母様よ」


エドガー「でも、凄いなあ。こんなところで家族と離れ離れで過ごすなんて」

シャルロット「うふっ。そうでもないのよ?先生も寮長も厳しいけど、とてもやさしい方ですもの。クラスメイトもみんな素敵な方ばかりなのよ。それに―」

エドガー「それに?」

シャルロット「離れ離れでも、お父様やお母様、は私のことを愛していてくださるもの」

エドガー「…………そっか」

クリス「?どうかしましたか、エドガー?」

エドガー「ううん、なんでもない。いい人なんだな、シャルロットの両親は」

クリス「…………」


シャルロット「ところでエドガーさんとクリスさんはどうして旅を?私くらいの年の子はみんな学校に行くってお母様はおっしゃっていたのだけれど」

クリス「私たちは訳があって学校にいけないのですよ~」

エドガー「まあ、そうだよな。クリスなんてこう見えてけっこ……モガモガ」

クリス「エドガ~~~?」

エドガー「ご、ごめんごめん」

シャルロット「?どうかしたの?」

クリス「なんでもありませんよ~。それより、私たちがなぜ旅をしているのか、ですか」

エドガー「俺たちは約束の地を探しているんだ」

シャルロット「約束の地?」

エドガー「俺が生まれた町って腐っててさ。大人はみんな子どもを平気で使い捨るから、俺たち子どもはみんな一日一日生きていくのがやっとだったんだ」

シャルロット「まあ……」

エドガー「だから俺は旅に出ることにした。どこか遠い場所。悪い大人は誰もいない、みんなが平和に暮らせる約束の地があるって死んだ母さんが言ってたんだ」

シャルロット「そんな、それじゃあエドガーさんのお母様は……」

エドガー「ああ、俺がまだ小さいころに物盗りに殺されてさ」


シャルロット「ごめんなさい。私、そんな辛い話だと思ってなくて……」

エドガー「ああゴメン!それは全然気にしてないから!それで、クリスと出会っていろいろあって旅に出ることにしたんだ。ま、未だに約束の地がどこにあるかもわからないけど」

クリス「うふふ。でも、私はこの旅は嫌いではありませんよ~」

エドガー「ああ、俺もだ。そりゃあ旅は大変だけどさ、それ以上に楽しいこともいっぱいあるからな」


シャルロット「……とっても、素敵な旅なのね」

エドガー「ああ!この前寄った村なんか一面が花畑でさ―」

シャルロット「まあ!」

クリス「私たちが立ち寄った時は一面、スズランでしたね~。ちょうど春でしたから」


シャルロット「素敵な場所!私の家の近くにも花畑があったの。春には窓の外からスズランの香りが漂ってきて―」

エドガー「へえ、なんだかとってもよさそうな場所だな」

シャルロット「ええ!ここと同じくらい、静かで落ち着いた場所よ」

エドガー「その村も静かな場所でさ―そうそう、約束の地じゃ花は一年中枯れないんだってさ」

クリス「結局、その村は私たちの安息の地ではありませんでしたけどね」

エドガー「でもいいところだったよなあ。できればずっと居たいくらい」


シャルロット「よかったらもっと旅のこと聞かせてくれないかしら?」

エドガー「ああ!それじゃあ次は―」

クリス「ところでエドガー?さっきからシャルロットさんのドレスが気になるのですか?」

エドガー「んなっ……き、ききき急に何言いだすんだよクリス!」

クリス「あら?気づいていませんでしたか~?先ほどからずっとドレスをちらちらとみてますよ?」

エドガー「な、なななな何言ってんだよ!そんなわけないだろ!?」

シャルロット「まあ、どうしてエドガーさんが?」

クリス「こう見えてこの子、本当は女の子なんですよ~」

エドガー「ちょ、クリス?!」


シャルロット「まあ!そうだったの?!」

クリス「本当は、可愛いドレスも来てみたいんですよね~?」

シャルロット「それなら私の服があるわ!ちょっと待ってて!」

エドガー「あー!違う違うちーがーう!俺は可愛い服なんか着たいなんて思ってなーい!」

クリス「うふふっ。強がらなくてもいいんですよ~」


シャルロット「何着か持ってきたわ。サイズが合うといいけれど」

エドガー「うわあ、すっごく可愛いドレス…………はっ!」

クリス「うふふ。エドガ~?」

エドガー「あーもう!次!次に行った村の話するぞ!」

シャルロット「クスッ―あの子もここにいれば…………」

エドガー「ん?シャルロット、どうかした?」


シャルロット「ううん。なんでもなないの。お茶会を続けましょう」




~~~~~~~~




シャルロット「あら、もうこんな時間」

エドガー「あ、本当だ」


シャルロット「ありがとう、とても楽しいお茶会だったわ」

エドガー「こちらこそ。シャルロットのおかげで遭難しなくてすんだよ」

シャルロット「そろそろ先生が見回りに来る時間だわ。もうお開きね」

エドガー「なんかあっという間だったなー。クリス以外の人と話したのっていつぶりだっけ」

クリス「楽しい時間はそういうものですよ」

エドガー「俺、なんかまだ話したりないな」


シャルロット「私も楽しかったわ。二人の旅の話もとっても面白かったもの。エドガーさんとクリスさんは明日ここを出るのよね?」

エドガー「ああ、さっそくその町に行ってみるよ」

クリス「あまり長居しすぎて怪しまれても、シャルロットさんのご迷惑になるだけですからね」



シャルロット「ごめんなさい。本当はもう少しゆっくりしていってほしいのだけど……」

エドガー「いやいや。一晩泊めてくれるだけで十分ありがたいよ。それに俺たち、ちゃんとした屋根の下で寝るのって久しぶりだし」

クリス「名残惜しいですがそろそろ寝ましょうか。明日も早朝に発たないとほかの皆さんに見つかってしまうかもしれないので」

シャルロット「―そうね。それじゃあ、電気を消すわね。おやすみなさい」

エドガー「ああ、おやすみ」


クリス「…………エドガー、わかっていますね?」

エドガー「………………ああ、みんなが寝静まった頃にここをでよう。おやすみ、クリス」

クリス「おやすみなさい。エドガー」

クリス「おやすみなさい。エドガー」



~~~~~~~~~~~



「―て。―さん……て!」

エドガー「……ううん。あとちょっとだけ…………むにゃむにゃ」

「―きて。―ドガーさん……きて!」

エドガー「……うるさいなあ。いいだろクリス、あとちょっとだけだって……」

「―起きて!エドガーさん、起きて!」


エドガー「……ううん。なんだよもう……ってあれ?ここって……」

「よかった、やっと起きましたね」

エドガー「あれ、シャルロット?今何時?」

シャルロット?「ちょうど0時を回ったところよ」

エドガー「0時?なんでそんな夜中に…………あっ!そうだった。みんなが寝静まった頃にここを出るって……」

シャルロット?「クスッ。ようやく目覚めたみたい」

エドガー「ってあれ?なんでシャルロットが?」


シャルロット?「うふふ。クリスさんは先に起きられてましたよ」

クリス「エドガー!」

エドガー「クリス!なんでシャルロットが」

クリス「わかりません。私が起きたときには既にシャルロットさんも―」

シャルロット?「こんな時間に発たれるなら言ってくださればよかったのに。あの子が可愛そうだわ」

クリス「……?あなたは、いったい誰ですか?」

シャルロット?「私はシャルロットよ?」


クリス「……シャルロットさんはどうして私たちが夜中に発つということを?」

シャルロット?「うふふ。それより、出発される前に眠気覚ましのお茶はいかがかしら、ヴァンパイアさん?」

エドガー「!?」

クリス「……ええ。是非、いただきましょう」





~~~~~~~~~



エドガー「…………なあクリス」

クリス「…………何でしょう、エドガー」

エドガー「……どうしてシャルロットが俺たちの正体知ってるんだ?」

クリス「……わかりません。とにかく、今は様子を見ましょう」

エドガー「まあ、多分悪い子じゃないとは思うけどさ。不思議だよなー」



シャルロット?「はい、どうぞ。お口に合うといいけれど」

クリス「……?昼間にも一度頂きましたが?」

シャルロット?「あら?そうだったわね、ごめんなさい。うふふっ」

クリス「……あなたは、本当にシャルロットさんですか?」

シャルロット?「ええ。私はシャルロットよ?それよりもほら、はやくしないとお茶が冷めてしまうわ」

クリス「……いただきましょう」

シャルロット?「ええ。せっかくのあの子のお願いだもの。私もお茶会を楽しみたいわ」


エドガー「なあ、そのあの子って誰のことだ?」

シャルロット?「シャルロットのことよ」

エドガー「はあ?」

シャルロット?「あの子は私、私はあの子……。あの子がシャルロットなら私もシャルロット……。そう、鏡のように」

エドガー「どういうことだ?」

シャルロット?「くすっ。そんなに難しく考えなくてもいいわ。些細なことだもの」

クリス「…………」


シャルロット?「それにしても、まさか本当にヴァンパイアが存在するなんて。あの子と一緒に読んだ本の中だけの存在だと思ってたわ」

クリス「そうです、どうして私たちの正体を?」

シャルロット?「うふふ。なんとなく、かしら?」

エドガー「怖がらないのか?」

シャルロット「…?どうして?」

エドガー「その、ヴァンパイアってさ。ほら、人の血を吸う悪い化け物だーとか言われてるじゃん?」

シャルロット?「うふっ。あなたたちは人を襲わないんでしょ?だから怖くないわ」

エドガー「……なあ、クリス。悪い子じゃないんじゃないか?昼間のシャルロットとはなんか雰囲気違うけどさ」

クリス「……ええ、そのようですね。申し訳ありません」

シャルロット?「気にしないで。私も少し、意地悪だったわ」

エドガー「たださ、俺たちがヴァンパイアってことが知れ渡ったらまずいからさ。できれば黙っといてほしいんだけど…」

シャルロット?「ええ、もちろん。この深夜のお茶会といっしょ。私とあなたたちだけの秘密よ」

エドガー「へへっ、サンキュー」


シャルロット?「本当は、私の役目はもう終えたはずなのだけれど、きっと月の光の魔法のおかげね」

エドガー「月の光の魔法?」

シャルロット?「ほら見て、窓から月明かりが差し込んでいるでしょう?」

エドガー「本当だ。月がきれいだ」

シャルロット?「月の光には不思議な力があるのよ?」

クリス「役目は終えた、ということはどういうことでしょう」

シャルロット?「そのままの意味よ。今のあの子―シャルロットにはもう、私は必要がないのだから」


エドガー「必要ない?」

シャルロット?「ええ。あの子はもう、1人で生きていける強い子だから。お友達もたくさんできたわ。だからもう、私は必要ないの。いずれ私のことも忘れるわ。それが正しいことなのだから」

エドガー「それは違うんじゃないか?」

シャルロット?「どうして?」

エドガー「シャルロットにとってアンタは一番の友だちだったんだろ?」

シャルロット?「ええ。わたしたちは一番のおともだちよ」

エドガー「一番の友だちってやつはさ。そんな簡単に忘れられないんだぜ?たとえどんなやつになったとしてもさ」

クリス「………」

エドガー「そいつがどんなに変わろと、何年経っても絶対に忘れない。だからシャルロットも、絶対にアンタのことは忘れないとおもうぜ?」


シャルロット?「……ふふっ、ありがとう。さあ、もう時間ね」

エドガー「えっ?時間って……うわっ!窓が」

―ビュオオオオ!

クリス「すごい風ですね……」

エドガー「いきなり窓が開いたぞ」

シャルロット?「もう月の光の魔法が切れ始めているわ」

エドガー「本当だ。月が隠れ始めている」


シャルロット?「……ふふっ、ありがとう。さあ、もう時間ね」

エドガー「えっ?時間って……うわっ!窓が」

―ビュオオオオ!

クリス「すごい風ですね……」

エドガー「いきなり窓が開いたぞ」

シャルロット?「もう月の光の魔法が切れ始めているわ」

エドガー「本当だ。月が隠れ始めている」

シャルロット?「だからあなたたちとももうお別れ」


クリス「行きましょう、エドガー」

エドガー「え、行くのか?」

シャルロット?「もう眠気はなくなったかしら」

クリス「ええ、とてもおいしいお茶をありがとうございました」


シャルロット「そうそう、森を抜けた先にある町は港町よ」

エドガー「港町?」

シャルロット?「ええ。海を越えて、いろんな土地から商人がやってくるからとっても賑やかな所よ」

クリス「……もしかすると、約束の地についてなにかわかるかもしれませんね」

シャルロット?「ええ。きっとあなたたちの旅の助けにもなると思うわ」


エドガー「ううっ、やっぱり夜は冷えるなあ」

シャルロット?「短い時間だったけれどありがとう。とっても楽しかったわ。さあ、行って頂戴」

エドガー「ああ、ありがとうな……えっと、シャルロットでいいんだよな?」

シャルロット?「ええ、そうよ。でも少し紛らわしいかしら」

エドガー「うん、まあ……ごめん、ちょっとだけ」

シャルロット「ふふっ、それじゃあ―」





「シャーロット、なんてどうかしら」







~~~~~~~~~~~~




―チュンチュン…



シャルロット「……んんっ…今日もいい天気ね」

シャルロット「おはようルビア………ってルビアがここにいるわけないじゃない。少し昔のことを思い出したからかしら」


シャルロット「なぜかしら。とっても長い夢を見ていた気がするわ」

シャルロット「………?エドガーさん?クリスさん?」

シャルロット「……風?窓が開いてる。もう行ってしまわれたのかしら。起こしてくださればよかったのに……あら?」




シャルロット「私、寝る前に香水を鏡の前に置いたかしら…………?」




~~~~~~~~~~~~~~



エドガー「……なんだか不思議な時間だったなあ」

クリス「きっと、彼女はもう一人のシャルロットさんなのでしょう」

エドガー「もう一人のシャルロット?」

クリス「シャルロットさんの別人格、とでも言えばよいのでしょうか。おそらく、何らかのきっかけで本来のシャルロットさんと入れ替わりで表に出てきたのでしょう」

エドガー「もう一人の自分、か。シャルロットの中には今もシャーロットがいるんだよな」

クリス「ええ。もう二度と出てくることはないと思いますが」


エドガー「ええ、どうしてだよ?」

クリス「彼女が言っていたようにあれは月の光の魔法が起こした奇跡です。ですが彼女は、シャーロットはずっとシャルロットの心の中にはいるでしょうね……」

エドガー「でも、お互いに絶対会えない友達ってなんだか悲しいな


クリス「きっと、シャルロットさんにとってシャーロットさんは乗り越えないといけない存在なのでしょう。ところでエドガー、彼女に言ってた一番の友達ってどなたのことですか?」

エドガー「うん?ああ、ルカだよ。同じくらいの年だったけど面倒見のいい奴でさ。よく世話になってたからさ」

クリス「ルカって……ああ、私を襲った―」

エドガー「まあ、あんなことになったけどさ、憎めないやつなんだよ」

クリス「ふふっ、私じゃないんですね~?」

エドガー「いや、その……クリスはなんというか…友だちじゃないというか……」

クリス「まあ!私はエドガーとはお友達ではなかったのですね~?」

エドガー「いやいやいや!そういう意味じゃないぞ!?友だちってよりずっと一緒に旅を続ける仲間じゃん」

クリス「うふふ、そうでしたね~。私はエドガーが旅を続ける限り、一緒ですから」


エドガー「だから友だちって言い方はなんだかヘンかなって思ってさ……お、そろそろ森を抜けるぞ」

クリス「やっとですねえ。随分と時間がかかった気がします」

エドガー「俺、海見るの初めてなんだよな」

クリス「そういえばエドガーと旅を始めてからは、初めてですね」


エドガー「なあクリス」

クリス「何でしょう、エドガー?」

エドガー「海の向こうにも土地ってあるんだよな?」

クリス「ええ。そうですが」

エドガー「ほら、そのさ。あの街をでてから結構経ってさ、この辺りは旅しつくしたよな。でも約束の地は見つからなかった。だから―」

クリス「海を渡った先で約束の地を探す、ですか」


エドガー「ああ!世界はまだまだ広いんだ。きっとここよりも遠いどこかに約束の地はある気がする」

クリス「ふふっ。いいかもしれませんね~」

エドガー「だろ?」

クリス「私は、エドガーと一緒ならどこへでも行きますから」

エドガー「俺も、クリスとならどこへだって行ける気がする!とりあえず、まずは町に出ないとな」

クリス「ええ。それと、血もどうにかしなければいけませんね」

エドガー「ああ!行こう!」




~~~~~~~~~~~~



クリス「それで、海を渡ったわけですが」

エドガー「うわあ……人がいっぱいいる!」

クリス「どうやらずいぶんと栄えている街のようですね。向こうとはかなり雰囲気が違うようですが」

エドガー「だよなあ!あっちよりなんか明るい感じがする!ただ、この人込みはなんとかならないか?」

クリス「エドガー、離れないように気を付けてください。ここではぐれたら大変ですよ」


エドガー「わかってるって……いてっ!」

クリス「大丈夫ですか?」

エドガー「ってて、ぶつかっちまった。……ってあれ、これ今ぶつかった人のやつだ。おーい!なんか落としたぞー!」

クリス「……行ってしまいましたね」

エドガー「これだけうるさかったら聞こえないか。で、これなんだ?」

クリス「どうやら何かのチケットのようですね」

エドガー「えっと……なになに?」





エドクリ「「ミリオンダラー・シアター?」」




End...?

5と14の組み合わせ意外とマッチするね
http://i.imgur.com/ZZQM9hT.jpg
次は15かな?乙です

>>2
クリス役 天空橋朋花(15) Vo/Fa
http://i.imgur.com/p85lsHR.png
http://i.imgur.com/JW0SeJW.png

エドガー役 所恵美(16) Vi/Fa
http://i.imgur.com/xwbE4EW.jpg
http://i.imgur.com/jDZzObt.png

>>11
シャルロット役 徳川まつり(19) Vi/Pr
http://i.imgur.com/1weF2P5.png
http://i.imgur.com/Ny0uVL4.png

>>48
シャーロット役 エミリー(13) Da/Pr
http://i.imgur.com/yIF8MMi.png
http://i.imgur.com/WuL1BgO.png

MTGの世界がつながっていたらという幻覚をもとに書いてみました。
気が向いたら続くかもしれません。

それではお目汚し失礼しました

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