~車内~
ブロロロロ……
P「──摩美々。もうそろそろ着くぞ」
摩美々「はぁい……あ、うみー」
P「見えてきたな。今日の撮影場所はあの辺だよ」
摩美々「冬の海ですかぁ。まぁ、静かでいいかもしれないですねー」
P「寒くないようにだけ、気を付けといてくれ」
摩美々「はーい」
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P「……」チラッ
摩美々「? 何探してるんですかー」
P「あぁ、いや。どこかスマホを充電出来るような所はないかと思って」
摩美々「わき見運転はダメですよー、ふふー」
P「そうだな。すまん」ハハ
摩美々「……切れそうなんですか、充電?」
P「会社貸出の仕事用の方が、な──もう結構古い型だし、バッテリー切れるの早いんだよ」
摩美々「ふぅん」
P「……仕方ないか。今から言う番号を摩美々のスマホにも登録しておいてくれ」
摩美々「? あ、はいー」ゴソゴソ
P「いいか? 090-3592──」
摩美々「何の番号ですか、これー?」
P「えっと……俺のスマホの電話番号だ。私用のな」
摩美々「へぇ」
P「万が一だけど仕事用のが切れたら、こっちに連絡してくれ」
摩美々「……」
P「──摩美々? 聞いてるか?」
摩美々「図らずもぉ、プロデューサーの電話番号ゲットですー♪」ニヤァ
P「あ、悪用しないでくれよっ!?」
摩美々「どうですかねぇ、ふふー」
~夕方~
P「お疲れさまでした」
摩美々「お疲れさまでーす」
ガチャッ、バタン
P「しっかりシートベルト締めるんだぞ」
摩美々「はいー」
P「──いやぁ、それにしても。何とか電池も保ったな。偉いぞ、俺のスマホ」ナデナデ
摩美々「まみみ的にはー、イタズラ電話出来なくて残念ですぅ」
P「いや悪用するなって言っただろ……?」
摩美々「えー。『押すなよ、押すなよ』ってやつじゃーないんですかぁ?」クスクス
P「そんな、芸人さんじゃないんだから」フフ
ブロロロロロ……
摩美々「──プロデューサーってぇ、普段何時頃に寝てるんですかー」
P「ん? なんだよ急に?」
摩美々「……別に、意味なんかないですケド」
P「んー、どうだろう。一時頃には寝ることが多いかなあ」
摩美々「ふーん。そうですかぁ」
P「え……それだけ?」
摩美々「それだけですよー、ふふー」モフモフ
P「……?」
ブロロロロロ……
~夜・P宅~
P「ふぅ……摩美々も送り届けた」
P「洗濯も、明日の準備もオッケー。そろそろ寝るかな」
prrrrr……
P「ん、電話?」
P「……知らない番号だ」
P(誰だろう──とりあえず出てみるか)
ピッ
P「はい、もしもし?」
???「もしもーし」
P「あの、どちらさm」
???「こちらさまでーす」
P「……」
???「……」
P「あっ! この声、摩美々かっ!?」
摩美々「はいー。まみみですよぉ、ふふー」
P「あれ。なんで摩美々こっちの番号知って──あ! 教えたんだった!!」
摩美々「ふふふふ……えー、忘れてたんですかぁ?」
P「ほら、結局使わずじまいだったから……完全に油断してた」
摩美々「ふふー。プロデューサーってば、隙だらけですねー」
P「それで、どうしたんだ一体」
摩美々「えー」
P「……え?」
摩美々「どうしたって、何がですかぁ?」
P「何か用事があるんじゃないのか」
摩美々「いいえー、特に用事はないですよぉ」
P「えぇっ、何でかけてきたの!?」
摩美々「ふふー。プロデューサーの番号、悪用してるだけですー♪」
P「ま、摩美々ーーっ!!」
~数日後・夜~
P「ふぅ……今日も忙しかったな」
P「テレビでも見たら、さっさと寝るか」
prrrrrr……
P「あ。」
P「はい、もしもし」
摩美々「もしもーし。まみみでぇす」
P「おー、お疲れ様。どうした?」
摩美々「どうもしてないですよー。悪用してる所でーす」フフー
P「まったくもう」フフフ
P「そういえば今日、灯織とかとご飯行ったんだって?」
摩美々「そうなんですよー。灯織と甘奈と三人でぇ」
P「また珍しい組み合わせだな」
摩美々「たまたまお互い暇だっただけですからねー」
P「楽しかった?」
摩美々「え……まぁ、それなりにー」
P「ふふ、そっか」
摩美々「……もー。なんですかぁ?」
P「ん?」
摩美々「どうしてそんなに、嬉しそうなんですかー」
P「何かさ。摩美々が皆と仲良くしてると、俺も嬉しいよ」
摩美々「…………もー、何なんですかぁ」
P「はははは!」
──
────
──────
P(それからというもの、摩美々は数日おきに電話してくるようになった)
P(学校の話や──)
摩美々『それでぇ。何か知らない後輩から、急に握手求められてー』
P『すげぇ……本当にそういう話あるんだな』
摩美々『何に感激したのか知らないけどー、急にその子泣き出しちゃって……』
P『あははは! 熱烈なファンがいるみたいで良かったじゃないか!』
摩美々『居心地悪くて、困っちゃいますよぉ……全く』フフー
P(ファッションの話──)
P『そういやこの前の撮影で使った服、また買い取ったんだって?』
摩美々『はいー。あのスタイリストさんが持ってくる衣装、結構いい感じなのが多いんですよねー』
P『そうか……あの人の連絡先貰ってるから、またどっかの撮影でお願いしようか』
摩美々『ふふー。それならぁ、ちょっとだけ頑張っても良いですよー』
P『やる気になってくれたみたいで何よりだ』ハハハ
P(摩美々が飼っているペットの話など──)
P『か、カメレオンって脱皮するのか……そりゃそうだよな、爬虫類だもんな』
摩美々『湿度とか温度とかの管理、結構大変なんですよー』
P『おぉ……何だか摩美々が、しっかり者に見える……』
摩美々『えー。まみみは普段から、しっかり者じゃないですかー?』
P『今日のレッスン来るのも時間ギリギリだっただろ!』
摩美々『えー? そうでしたっけー』フフフ
P(気だるげな声色ながら、摩美々は色んなことを話してくれた)
P(切り際には少し名残惜しそうな声すら出して──)
摩美々『えー。もう切るんですかぁ』
P(意外と摩美々は、寂しがり屋だよな)
P(そう感じると、この小さな悪魔も可愛らしく思えた)
──────
────
──
~事務所~
P「~♪」タシタシ
摩美々「おはよーございまぁす……」
P「おぉ。おはよう、摩美々」
摩美々「あれ……プロデューサー。スマホなんて触って、仕事はサボりですかぁ?」
P「いやいや! 違うから」
P「仕事用のスマホさ、新しいやつが支給されたんだよ──今は諸々の設定中」タスタス
摩美々「ふぅん」
P「ふふん、最新機種だぞ!」
摩美々「あー、それ摩美々のと同じやつですー」
P「おっ! そうなんだ」
摩美々「中々便利ですよー。よく使う連絡先ほど、自動でリストの上の方に表示されたりしてぇ」
P「へぇ。あれか、"えーあい"ってやつか?」
摩美々「ふっ……!」
P「……え? 何だよ?」
摩美々「何かぁ、言い慣れてない感が凄いですー」プルプル
P「そんなことないだろ!?」
摩美々「……や、やめてくださいよぉ。笑っちゃうじゃないですかー」
P「えーあい、えーあい、えーあい──」
摩美々「ふふ……プロデューサー、お爺ちゃんみたいですよぉ?」
P「なんだよぉ、そんなことないだろー!?」
摩美々「ふふふふ……」
P「まぁでも新しくなって、充電切れる心配なくなったのが一番助かるなぁ」
摩美々「えー。折角のイタズラ電話チャンスがぁ」ブー
P「これを機に、夜中の『イタズラ電話』もやめるか?」
摩美々「そっちはぁ、今後も継続予定でーす♪」
P「ははは。まぁ、良いけどさ」
摩美々「え……」
P「これまであんまり聞けなかった摩美々の色んな話、ああやって聞けて──」
P「最近俺も、楽しくなってきてるんだ」フフフ
摩美々「……///」
摩美々「ぅ……えっと……」
P「?」
摩美々「そ、それじゃあ。これからは、毎日かけちゃいますねー」
P「いや、程々に! 程々にしてくれよな!!」
摩美々「ふふふ……」
~数日後・事務所~
P「──申し訳ありませんでした!」
(天井)社長「全く……お前ともあろう者が、こんなミスをするとはな」
P「はい……すみません」
社長「まぁ過ぎたことは仕方ない、仕事で挽回しろ」
P「……ありがとうございます」
社長「アイドルが待っているだろう。さぁ行け」
P「はい。失礼致します……」
ガチャッ、バタン
P「はぁー……」
P(やってしまった……なんであんなミス……)
P(あー……怒られるよりよっぽど、がっかりされる方がダメージあるなぁ)
P「──いや、ダメだダメだ。切り替えてしっかり今日の仕事こなそう」
ガチャッ
摩美々「おはよーございまぁす」
P「おぉ! おはよう摩美々」
摩美々「……?」
P「今日も頑張ろうな!」
摩美々「あ……はいー。程々に頑張りまーす」
P「ははは……」
摩美々「……??」
~夜・P宅~
ガチャッ
P「はぁ……ただいま」
P(今日はなんだか、いつにも増して疲れたな)
prrrr……
P「ん……」
P「もしもし、摩美々か?」
摩美々「はいー。まみみです……イタズラ電話ですー」
P「ははは、もう夕飯は済ませたか?」
摩美々「はいー」
P「そっかそっか」
摩美々「……」
摩美々「……あのー、大丈夫ですか?」
P「ん? 何が」
摩美々「えと……今日なんか……元気なかったみたいだから」
P「!」
P「あ、はは。心配して、電話してくれたのか」
摩美々「や、その……別にそういうのじゃ、ないですケド」
P「すまん。不安にさせたよな」
摩美々「……いいえー、大丈夫です」
P「大したことじゃないんだ。仕事でしょうもないミスしちゃってさ──少し自己嫌悪してただけで」
摩美々「……そうですか」
P「けど……けどさ」
摩美々「はい」
P「ふふっ」
摩美々「……プロデューサー?」
P「うん、摩美々の声聞けたからかな。もう大丈夫だ」
摩美々「っ!」
P「摩美々に負けない位、俺も頑張らなきゃな──ありがとう」
摩美々「……ぁ……その」
摩美々「あ、ありがとうって。何言ってるんですか?」
摩美々「──まみみはぁ。プロデューサーの番号、悪用してるだけですよー」フフ
~夜・P宅~
ガチャッ
P「あ"ー……疲れた」
P(でかいイベント直前だ──仕方ないとはいえ)ノビー
P「今日は早めに寝るかな」チラッ
スマホ「……」
P(摩美々も、イベントに向けて忙しくしてるしな……)
P(最近、電話掛かってこないなぁ)
P「……」
摩美々「……」ゴロゴロ
prrrr……
摩美々「?」
摩美々「……!!!」
P「──あ、もしもし。摩美々か」
摩美々「……プロデューサー?」
P「うん。今、大丈夫だったかな」
摩美々「はいー……何かあったんですかぁ?」
P「いや」
摩美々「……?」
P「最近、あんまり電話してなかっただろ」
摩美々「ですねー。プロデューサーもまみみも、バタバタですからねー」
P「だから……その」
摩美々「?」
P「イタズラ電話、かな?」ハハハ
摩美々「っ!」
P「というか、どうしてるかなって思っただけなんだけどさ」
摩美々「……ふふ」
P「摩美々?」
摩美々「ふふふふふー♪」
P「ま、摩美々っ?」
摩美々「えー。プロデューサー、もしかして寂しかったんですかぁ?」
P「いや、そういう訳じゃ……!」
摩美々「寂しくなければー、わざわざ電話してきませんよねー」フフー
P「いや、だけど……語弊があるというか」
摩美々「プロデューサーもぉ、案外子供っぽい所あるんですねー」
P「ぐぅぅっ!!」
摩美々「ふふ、ふふふふふ♪」
P「し、仕方ないだろ……」
摩美々「えー。何か弁解があるんですかぁ?」フフフ
P「何日かおきにずっと電話してたのが、急になくなったら……」
P「そりゃ、ちょっとは気になるじゃないか」
摩美々「~♪」
P「──あぁ、チクショー。摩美々に格好のからかう材料与えちゃったよ」ハハ
摩美々「やっぱりプロデューサーをからかうのはー、楽しいですー」
P「でも摩美々こそ、やたら上機嫌じゃないか?」
摩美々「えー。そんなことぉ……あるかもですねー」フフー
──────
────
──
摩美々「──はーい。それではぁ、おやすみなさーい」
ピッ
摩美々「ふぅ…………ふふっ」
摩美々「……!」
摩美々(何度もやり取りしたあの人の番号は……)
摩美々(気付けばリストの一番上、"No.01"に表示されていた)
摩美々「……」
摩美々「ふふー……『テレフォンNo.1』」
【終わり】
ありがとうございましたー
ふくろうずの「テレフォンNo.1」がモチーフになってます、良かったら聞いてみて下さい
摩美々可愛いよ摩美々
?「ピピッ、テレフォン№といえばやはり」
?「リンリンリリンってか?パイセン、いくらなんでも古いぞ」
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