シンジ「流石にもう怒った」【エヴァ】 (148)

………in葛城宅

アスカ「バカシンジー、喉乾いたー」

シンジ「今掃除してるんだから、自分で取ってよ」

アスカ「アンタは私の奴隷でしょー?つべこべ言わずに、持ってくるの!」

シンジ「わ、分かったよ。全くもう……」ゴソゴソ

アスカ「氷入れてねー」

シンジ「はいはい」トポトポ

アスカ「返事は一回!!」

シンジ「はい」

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アスカ「さて………そこっ!あ、アイテムが!ぐぁっ、何でそこでサンダー!?」ガチャガチャ

シンジ「置いとくよ」コトッ

アスカ「よし!キラー引いたら巻き返せる!……って何で終わったところでスター待機してんの!?」ガチャガチャ

シンジ「…………」ガサゴソ

シンジ「次はミサトさんの部屋か…」スーッ

シンジ「うわ、酒瓶がそこらじゅうに転がってる。ビールに…これはウォッカ?そんな強い酒まで飲むのか、通りでダル絡みが最近多い訳だ」カチャカチャ

シンジ「うわっ!足下がっ!」グラッ

ガチャーーン!!

シンジ「………やってしまった」

シンジ「よりによって、中身入りの瓶を割ってしまった……」

シンジ「……雑巾が必要だな」

シンジ「アスカー、雑巾持ってきてくれなーい?」

アスカ「今忙しいー」ガチャガチャ

アスカ「っやったー!大逆転!正義は勝つ!」フー!

シンジ「………」

シンジ「……ふぅ、部屋に酒の匂いは残ってるけど何とか片付けられた」

アスカ「バカシンジー、ミサトの部屋にいるの?入るわよーって酒臭っ!」

シンジ「さっき瓶を落として中身が出ちゃって…」

アスカ「何やってんのよー!部屋の外まで酒の匂い出てきてるわよ!私の部屋まで匂ってきたらどうしてくれんのよ!」

シンジ「アスカが早く雑巾持ってきてくれたらもう少しは匂わなかったよ!」

アスカ「何!?人のせいにするわけ!?元はといえばアンタが瓶を割らなかったら済む話じゃない!!」

シンジ「…………」

アスカ「あーもう、さいっあく!バカシンジ、夕飯はアイスバインね」

シンジ「アイスバイン!?今からやってても完成しないよ!?」

アスカ「何言ってんのよ、それをどうにかすることがアンタの仕事でしょ」

アスカ「アンタはパイロットとしては三流以下なんだから、せめてこういうところでエースパイロットの世話をするのが常識ってものよ?」

シンジ「…………はい」

アスカ「わかったら材料買ってきて。夕飯時迄に出来なかったら許さないんだから」

シンジ「………………はい。行ってきます」ガチャッ

アスカ「……………」

………夕飯時

ミサト「ふぃー、ごちそーさまぁー、シンちゃんビールちょーだい」

シンジ「ミサトさん、自分の部屋もう少し綺麗にしてください。中身の残ってる酒瓶とかもう嫌ですよ」コトッ

ミサト「ごみんごみん、ちょっちサボっちゃって」カシュッ

ミサト「んっ、んっ、んっ、プハーーーっ!!このために生きてるっ!」

シンジ「…………」

アスカ「バカシンジー、お風呂沸いてるー?」

シンジ「今から洗うよ。今日は洗う暇なかったの、知ってるだろ」

アスカ「何よー!奴隷の癖に使えないわねー!」

シンジ「…………悪かったよ、今から洗えば良いだろ」

アスカ「あーもー、今すぐ入りたいのにー!ホンっトバカシンジなんだから」

シンジ「…………………」

シンジ「洗ったし沸いたよ」ガチャッ

アスカ「今ゲームいいところだから、待って」

シンジ「アスカが洗えっていうから洗ったし沸かしたんだよ?ガス代が無駄になるじゃないか」

アスカ「今オンラインなの!止めたらレートに響くの!そんなこともわかんないわけ!?」

シンジ「………僕先に入るよ」

アスカ「ダメに決まってるじゃない!アンタが入った後の風呂に私が入れって言うの!?なら今日は入らない方がマシよ!」

シンジ「」ブチッ

シンジ「ミサトさん」ガサゴソ

ミサト「なぁーにぃー、シンちゃぁーん、お酒飲みたいのぉー?」ケラケラ

シンジ「僕、この家を出ていきます」ガサゴソ

ミサト「そっかぁー、この家を出て行く…の…ね…?」

シンジ「はい。お世話になりました」スッ

ミサト「ちょ、ちょ、ちょっち待って。今のは私のアルコールのせい?なーんか聞いちゃいけない言葉を聞いた気がするんだけど」

シンジ「それが想像できる最悪の言葉なら、それで合ってます」ガサゴソ

ミサト「え、ちょ、何で?シンちゃん何で?」

シンジ「分からないならいいです」

シンジ「考えてみたら、アスカとの共同生活だって、分裂する使徒を倒すためにしていたんですし」

シンジ「ミサトさんが僕を監視するのだって、いなくなれば楽になるでしょう?アスカだけになるから」

シンジ「手荷物はもうまとめたし、部屋の荷物もそんなにないですから」スッ

ミサト「ど、どこ行くのよぉ?」

シンジ「本部で寝泊りしようかと。話せば部屋の一つくらい貸してくれるでしょう」

ミサト「ま、待って、そしたら私監督不行届きで減俸食らっちゃう…お酒が…」

シンジ「………」ウィーン

ミサト「待って待って冗談だから、お酒なんていいから」

シンジ「………その手のストロングを置いていたら、多少は説得力あったかもしれないですね」

ミサト「あ、こ、これは……ちょ、アスカー!?来てー!?」

アスカ『何、買い物でも行くのー?あ、じゃあガルガル君のなし味とシャンプー買っといてー』

ミサト「ダメだあのエースパイロット聞いちゃいない!?」

シンジ「さようなら、次のテストで会いましょう」タッ

ミサト「し、シンちゃん…………」

ウィーン……

………inネルフ 司令執務室

シンジ「………というわけなので、ネルフに泊めてください」

冬月「葛城一尉は三尉に降格後、2ヶ月は減俸だな」

ゲンドウ「………良いだろう。L-4区画の第一分析室の隣に仮眠室がある。そこを使え」

シンジ「ありがとうございます」スタスタ

冬月「……てっきり、そのまま家に帰すかと思ったがな」

ゲンドウ「初号機パイロットの精神に過剰な負荷をかけてはシンクロ率に影響する」

冬月「それが分かっているのなら、もう少し父子としての関係を築くべきだったと思うよ」

ゲンドウ「…帰す言葉もありません」

冬月「第三の少年に付けていた諜報部の監視はどうする?」

ゲンドウ「引き戻してかまわん」

冬月「……大事に至らないと良いが」

………inL-4区画、第4仮眠室

シンジ「ここか……」ウィーン

シンジ「結構綺麗だ。誰かが今まで掃除してきてたんだな」ドサッ

シンジ「うーーーーん………っと」ノビー

シンジ「………自由になったんだな…僕」

シンジ(………アスカとミサトさん、二人で大丈夫かなぁ)

シンジ「………っと、風呂にまだ入ってなかったんだ。今から入りに行こう」ウィーン

シンジ「……本当、本部って広いよなぁ」スタスタ

シンジ「大浴場を作れるだけの敷地があるだけあるよ」スタスタ

青葉「全く…ようやっと風呂に入れる…あれ、シンジ君じゃないか」スタスタ

日向「何でこんな時間にここにいるんだ?」スタスタ

シンジ「それがかくかくしかじかで」スタスタ

青葉「………マジか」スタスタ

日向「惣流は何となく分からなくはないけど、ミサトさんも家だとそんな風になってるんだ…」スタスタ

シンジ「僕も今まで頑張ってきたんですけど………もう、耐えられませんでした……」スタスタ

青葉「シンジ君は頑張った。何も悪くないぜ」スタスタ

日向「そうだよ。お疲れ様。風呂で背中流してやるよ」ポンポン

シンジ「ありがとうございます………」ウッウッ

………同時刻、in葛城宅

ミサト「………というわけで、シンジ君はもう…ここには戻ってこないかもしれないわ……」

アスカ「…………」

ミサト「…………あの、やっぱりシンちゃんにあやm」

アスカ「あー!せいせいしたー!」

ミサト「え、ちょ、アスカ?」

アスカ「だって、バカシンジ喉が乾いても飲み物出そうとしてくれないし、夕飯作るの遅いし、部屋に時々入ってくるし、風呂を覗かれる心配もしなくて良いのよ?」

アスカ「こんなにハッピーなことはないわ!部屋ももう一つ使えるようになるし!」

ミサト(……アスカの言ったことの殆どがアスカ に原因があるとは…言ったら殺されるわね……)

ミサト(はぁ………減俸は免れられないし…保護者失格…か)

アスカ「ほら、ミサト風呂入るでしょ。私はもう寝るわよ」トコトコ

ミサト「あ、ちょ、アスカ………」

スーー、トン

ミサト「…明日本部行くの億劫ね……」

とりあえずここまで。
夜に続き載せるかも。

おまたせ。
落としていく。

先に言っとくと、正直終わり方のいい構築ができなさそうだから最悪誰かに丸投げするかも。

………inネルフ大浴場

カポーーーン…………

青葉「ゲームが好きって話は聞いてたけど、まさかそこまでだったとはなぁ」ザバァー

日向「飲み物は…自分で取りに行くべきだと思うよ?」

シンジ「やっぱりそうだったんですね……僕、感覚がおかしくなってきてて…」シクシク

シンジ「アスカの言う通り、僕がジュースを持っていくものだと考え始めてて……」シクシク

青葉「随分と溜め込んでたんだな……」

日向「よし、シンジ背中を流すよ、座って」

シンジ「はい…ありがとうございます……日向さん……青葉さん………」

日向「良いってことよ」

青葉(初めて名前呼ばれた……)

ここは乗っ取り禁止だから最後まで書くんだよ!

日向「よっと………シンジ君、服着てる時は気がつかなかったけど、結構身体しまってるんだね」ゴシゴシ

青葉「本当だ。線細いと思ってたけど、細マッチョだったか」

シンジ「そ、そうですか?お二人も結構筋肉ついてるじゃないですか」

日向「ま、仕事柄動かないから、人並み以上には意識して体動かしてるからね」ゴシゴシ

青葉「俺はギターもやってるからな。腕なら自信あるぜ」ムキッ

シンジ「おおーーー……」

日向「元気、出てきたんじゃないか?」ゴシゴシ

シンジ「え?」

青葉「最近、シンジ君が笑わなくなったってスタッフの間で話上がってたんだよ」

シンジ「そ、そうだったんですか…?」

日向「やっぱり、裸の付き合いってのはある程度必要だよな」ザバァー

青葉「俺らの仕事的には、尚更な」

シンジ「……ありがとうございます、本当にありがとうございます……」

日向「何、俺らの方こそ人類を守ってもらってるんだ。感謝しないといけないのはこっちだよ」

青葉「君は大変な仕事をこなしている。自信持って、良いと思うぜ」

シンジ「ありがとうございます………!」グスッ

>>27
そうだったのか、教えてくれてありがとう。

頑張って終わらせるけど、納得のいかない終わりでも何も言わないで...

………翌日、第4仮眠室

ピピピッピピピッピピピッ

タン!

シンジ「…………知らない部屋……じゃないや、ここは……ネルフ本部の仮眠室か」

シンジ「そっか…昨日、こっちに引っ越してきたんだっけ」

シンジ「………ん?ひょっとして、朝食の準備も弁当も作らなくて良い…?」

シンジ「………いやダメだ、アスカとミサトさんはともかく、綾波には弁当を作らないと」

シンジ「カフェテリアの厨房、借りられないかなぁ……」ノソノソ

シンジ「…………よし、着替え完了。とりあえず朝食を食べに行こう。ネルフのカフェテリアの朝食って何があるんだろう」ウィーンスタスタ

………inL-1区域、カフェテリア

リツコ「………あら、噂は本当だったのね」

シンジ「リツコさん、おはようございます」スタスタ

リツコ「おはよう。昨日の夜、ミサトから電話かかってきてね」

シンジ「そうですか…ミサトさんはなんて?」

リツコ「戻ってきて欲しいとは言ってたけど、彼女には少し灸を据える必要があると思うわ」

リツコ「数日はここで生活すると良いわ」

シンジ「そうさせてもらいます。朝食のオススメ、何ですか?」

リツコ「そうねぇ……このBセットとかは結構人気よ」

シンジ「なるほど…やっぱり、日本人ですもんね。朝は米でないと」

リツコ「……家では、毎日パンかしら?」

シンジ「………朝から機嫌の悪いアスカの相手はしたくないですから」

リツコ「思ったより、ミサトの罪は重そうね」ハァ

日向「おはようございます」

青葉「おはようございます。シンジ君もおはよう」

シンジ「おはようございます!」

リツコ「貴方達は残業で泊まり?」

日向「そんなところです」

青葉「シンジ君、よく眠れたか?」

シンジ「朝食を用意しないで良い朝がこんなに素晴らしいとは思ってませんでした」キラキラ

日向「これは………」

リツコ「いたたまれないわね………」

シンジ「あ、朝食で思い出した!ここの厨房、少し借りることってできないですかね?」

青葉「何をするんだ?」

シンジ「お弁当を作るんです」

日向「お弁当…?」

冬月「おはよう諸君」ツカツカ

日向「副司令!おはようございます!」

青葉「おはようございます!」

リツコ「おはようございます」

冬月「第三の少年よ、今の話を聞いていたが、厨房を貸しても良いぞ」

シンジ「本当ですか!?」

冬月「私も副司令という権限があるからな。ただし、条件がある」

シンジ「…条件ですか?」

………in学校

シンジ「おはよう、トウジ、ケンスケ」

トウジ「あれ、今日は惣流は一緒とちゃうんか」

ケンスケ「珍しいな、日直でもない日に二人が別々に来るなんて」

シンジ「それがかくかくしかじかで」

トウジ「惣流のやつはともかく、ミサトさんまでもがそこまでぐうたらしとるっては」

ケンスケ「だから、二人は今日は別々なんだ」

綾波「おはよう」

シンジ「おはよう綾波。今日の弁当だよ」

トウジ「カーーーーっ!見せ付けおってぇ!」

綾波「…いつも、ありがとう。……あれ、このお弁当箱、普段と違う」

シンジ「色々あって、ネルフで生活することになったんだ。だから、弁当箱も材料もネルフの厨房のやつだよ」

綾波「そう」

キーンコーンカーンコーン

ケンスケ「あれ、チャイム鳴っちゃったよ」

トウジ「惣流のやつ来てへんけど」

シンジ「どうしたんだろ………」


………1限終了時刻付近、葛城宅

アスカ「………んーー……あれ……今何時………!?」ガタタッ

アスカ「ちょ、嘘でしょ!?大遅刻じゃん!!」ドタバタ

アスカ「ちょっとバカシンジ!!何で起こさないのよ!!」バン!

シーーーーン………

アスカ「…そうだったわ、バカシンジはもういないんだった」

アスカ「………ならミサトは!?」バン!

ミサト「zzzzzzzzzzzzz」

アスカ「………転がってる酒瓶を見る限り、ヤケ酒か………」

アスカ「しょうがない、学校行きますか」

アスカ「バカシンジー、朝ごはんはー?」バン

シーーーーーーーン………………

アスカ「……………何回やるのよ」

…………二限前半

アスカ「すみません!遅刻しました!」バン!

先生「来たか惣流。お前が遅刻とは珍しいな」

アスカ「すみません、色々ありまして」

先生「まあ、エヴァパイロットだからしょうがないところもあるだろ。帳簿にはワシが細工しとく。座れ」

アスカ「ありがとうございます」トコトコ

アスカ「……………」ガラッストッ

アスカ「……………………」ジィィィィィ

シンジ(めっちゃ見られてるめっちゃ見られてるめっちゃ見られてる!!)

………お昼休み

アスカ「バカシンジ、ちょっと来なさい」

トウジ「待てぃ惣流!!」

アスカ「……邪魔よ、鈴原。アンタがヒカリのソレじゃなかったら殺してるくらいに今機嫌が悪いの」

トウジ「ソレとかアレとか何の話か知らんけど、知ったことか。ワイは、日々苦しむ友達を守るんや」

アスカ「あっそ。誰が苦しんでるって?まさか、バカシンジ?」

トウジ「それ以外に誰がおるっちゅうねん」

アスカ「私よ、わ・た・し!朝はシンジが起こさないから寝坊するし、朝食だって食べてないのよ!?」

アスカ「おまけに台所には昨日の食器が積まれてる!ゴミ屋敷よあんなの!!」

シンジ「じゃあ、自分で片付けたらどうなんだよ」ガタッ

ケンスケ「碇……?」

トウジ「センセ下がっといてくれ、パイロット同士で争う必要はない」

シンジ「トウジは優しいね。でも、これは僕たちの問題なんだ、譲ってくれないかな」ピリッ

トウジ「…そ、そこまで言うなら譲ったるわい…」

ケンスケ(あんなに怒ってる碇は…二度目になる……)

ケンスケ(トウジと一緒に助けられた日…あの時と、同じ顔つきだ…)

ケンスケ(今の碇の目には、何が写ってるんだ…?)

シンジ「………アスカ」

アスカ「何よ、今更戻ろうったって遅いんだからね。私も弍号機もアンタを許さない。でもそうね、アンタが二度と逆らわないって言うなら一考の予知あr」

シンジ「僕は、怒っているんだ」

アスカ「………で?」

シンジ「今、怒りの矛先はアスカに向いてる」

アスカ「だから何?私を殴ろうっていうの?」

シンジ「その通りだよ」ヒュッ

アスカ「っ!?」ガバッ

シンジ「……………」

アスカ「……………?」チラッ

アスカ(目の前に拳が……もし引いていなかったら、鼻の頭に直撃……)

シンジ「…………弁当、ここに置いておくから。トウジ、ケンスケ、屋上に行こう」スタスタ

トウジ「お、おう」テクテク

ケンスケ「いやー、本当に殴るかと思ったよ…」テクテク

アスカ「………………何よ、もう、どうしたら良いのよ…………」

ヒカリ「………アスカ……」

………同時刻、inネルフ L-1区域、カフェテリア

日向「さて、今日の昼食は楽しみだなぁ」

青葉「なんてったって、手作り弁当だからなぁ!」

マヤ「え、誰かに作ってもらったんですか?」

日向「それが今朝副司令がな?」

冬月『シンジ君、私たちも弁当作りを手伝おう。だから、私たちの分も作ってはくれないか』

日向「って言ったんだよ」

マヤ「へぇ~、シンジ君の手作りですか!いいなぁ~、私も一口食べたいなぁ~」

青葉「全くしょうがないな、一口だけだぞ…っと」カポッ

弁当「やぁ」キラキラキラキラ

日向「………ま、」

青葉「………ま、」

マヤ「………ま、」

3人「「「眩しい…………」」」

リツコ「……………♪」モグモグ

ミサト「ヨカッタ…ミステラレテナカッタ……」モグモグ

リツコ「あ、貴女昼食後司令執務室に呼び出しよ。監督不行届きの降格と減俸、今日の午前中無断欠勤についてですって」モギュモギュ

ミサト「モウ…ヤダ……」サラサラ…

リツコ「無様ね」パクパク


………in司令執務室

冬月「ふむ……人工肉をこうも美味しく仕上げて見せるとは、噂に違わぬ腕だな」モグモグ

ゲンドウ「誰に作ってもらったのだ」モグモグ

冬月「第三の少年だよ。今朝頼んでな、これが美味い。食事にここまでの感情を抱いたのは久しぶりだな」パクパク

ゲンドウ「!?」ガタッ

冬月「お前も、『自分の口で』頼んでみてはどうかね」モグモグ

ゲンドウ「………それは…………」

冬月「お前、もし私がいなかったら司令官はおろか、まともに就職もできなかったのではないかね」モグモグ

ゲンドウ「……おっしゃる通りです」

冬月「全く………ほれ、カツを一つやろう」ヒョイ

ゲンドウ「………ありがとうございます」パク

冬月「……どうだね、息子の味は」

ゲンドウ「…ユイに……似ています………」モグ…モグ…

冬月「味覚の好みも、そっくり遺伝していたか……」

………in学校、屋上

トウジ「さっきはヒヤヒヤしたわー!まさか本気でセンセが惣流どつくとは思われへんもんなぁ!」モグモグ

シンジ「僕は本気だったよ」モグモグ

ケンスケ「…マジ?」モギュモギュ

シンジ「もしアスカが少しでも身を引こうとしていなかったら、鼻の頭に直撃だったろうね」モグモグ

トウジ「そりゃあ、避けるやろ」ムギュムギュ

シンジ「もし、アスカに罪の意識ができて、あのパンチを躱そうとしなかった時は、僕はミサトさんの家に帰るよ」モグモグ

ケンスケ「罪の意識って……お前ら、大変だな」パクパク

シンジ「ここまで面倒な同級生も、中々いないと思うよ」モグモグ

………in教室

アスカ「……………」ズーン

ヒカリ「………流石に、擁護できないよ」モグモグ

アスカ「ナンデ…ナニガイケナイッテイウノヨ……」ズーン

ヒカリ「……知りたい?」モグモグ

アスカ「…………」コクン

ヒカリ「怒らない?」モグモグ

アスカ「……ウン」コクン

ヒカリ「………」カタン

ヒカリ「アスカ、あなたにとって、碇君って何?」

アスカ「へ…?バカシンジは…バカで…スケベで…」

アスカ「料理はまあまあで、なんだかんだ気がきいて、私の言うことなんでも聞いてくれて…」

ヒカリ「うん、最後のが不味いかな」

アスカ「へ?何が悪いのよ」

ヒカリ「アスカは、心のどこかで碇君を物として見てるのよ。言い方を変えれば、家政婦か召使」

ヒカリ「さっき、碇君を奴隷って呼んでたでしょ」

アスカ「だって…バカシンジ、最初に私が何言っても言うこと聞いてくれたから…」

アスカ「聞いてくれるものだと思って………」

アスカ「それに、そういう風な呼び方をして喜ぶ人もいるって前にヒカリに借りた本にあったし…」

ヒカリ(それに関しては私が悪いのね…)

ヒカリ「アスカ、もしこのままだと羞恥心にも勝る、深い傷が心に残るよ」

アスカ「傷って何よ……」

ヒカリ「碇君がアスカに見向きもしなくなる」

アスカ「」ビクッ

ヒカリ「嫌われるんじゃないの。気にもかけてくれなくなるの」

アスカ「」ビクビクッ

ヒカリ「嫌われているうちには、碇君の心の中にアスカはいる。でも、気にかけてくれなくなったらアスカはもう心にいない」

アスカ「」ダラダラ

ヒカリ「碇君にとって、アスカがその辺を行く街の人々と同列になるのよ」

アスカ「ヤダ…ソンナノヤダ…」

アスカ「ヒカリ……私、どうしたらいいの…?」

ヒカリ「そうね…まずは、謝るところからかしら」

アスカ「謝る…って、誰に?何を?」

ヒカリ「…………これは大変ね」

………放課後

レイ「碇君。本部へいきましょう」

シンジ「あれ、今日ってテストあったっけ」

レイ「追加テストが決まったの。行きましょう」

シンジ「…テストってことは……」


………in第二実験場

シンジ(やっぱりいるよね……)スタスタ

アスカ「…………」トコトコ

レイ「碇君」テクテク

シンジ「何、綾波」スタスタ

レイ「お弁当、いつもと違う中身だったけど、美味しかったわ」テクテク

シンジ「良かった。今日は、副司令とかスタッフの皆さんも手伝ってくれたんだ。だから時間かけれるからちょっと頑張ってみたんだけど」スタスタ

シンジ「うまくいって良かったよ」スタスタ

アスカ「…………」トコトコ

アスカ(だから…今日のお弁当はいつもより美味しかったんだ…)

アスカ(やっぱり…ミサトの家より、こっちの方がいいのかな…)

青葉「お、来たなシンジ君」

日向「シンジ君、お弁当美味しかったよ!本当にありがとう!」

シンジ「い、いえ、皆さんが手伝ってくれたおかげですし」

マヤ「あれは本当に腕の良さですよねー」

リツコ「美味しかったわ、シンジ君」

リツコ「さ、実験を始めるわよ。着替えてプラグに乗って」

………inエントリープラグ内

シンジ「………」

レイ「………」

アスカ「………………………」

リツコ「どう?」

マヤ「プラグ深度は現在70%で固定、シンクロ率は…レイは71.2%です」

リツコ「調子が良いようね」

マヤ「シンジ君は……79.5%」

リツコ「…最近の42.5%とかいう数値から考えると嘘みたいね」

青葉「こっちに来たおかげなんですかね…?」

日向「そういえば、葛城…三尉は?」

リツコ「まだ司令執務室で絞られてるわ」


………in司令執務室

冬月「全く…社会人の、しかもここに集まる人材はどの分野においてもエリート集団だというのに…」

ミサト「」ダラダラ

冬月「第三の少年の監督も君から申し出てきたんだぞ…?」

ミサト「……カ、カエスコトバモアリマセン……」ダラダラ

冬月「おまけにヤケ酒からの午前いっぱい寝坊か……」

ゲンドウ「……本来ならば、故郷へ帰ってもらうところだ」

ミサト「」ビクッ

ゲンドウ「しかし、葛城三尉がこれまでネルフ に与えてきた恩恵も少なくはない」

ミサト「……ハイ」

ゲンドウ「これは最後通告だ。励めよ」

ミサト「はい!!ありがとうございます!!!」

ゲンドウ「下がれ」

ミサト「はい!!!失礼しました!!!」スタスタ

ウィーン

ゲンドウ「…時に冬月先生」

冬月「何かね」

ゲンドウ「グラタンは…美味しかったですか…」

冬月「あぁ」

ゲンドウ「くっ!!」ダン!!

………in第二実験場

リツコ「…それで、アスカのシンクロ率は?」

マヤ「……出ました、シンクロ率…6.7%…です…」

リツコ「……想定していた最悪の事態ね」

青葉「…やっぱり、そうなりますか…」

日向「予想はできたとはいえ…戦力を一人身内で削ぐのはキツいですよ…」

リツコ「アスカ、シンクロ率が起動ラインに満たないわ。集中して」

アスカ「……………………」

マヤ「ダメです、一向に上がる気配を見せません」

リツコ「………アスカを下ろして」

マヤ「先輩?」

リツコ「これ以上は何も得られないし、税金の無駄遣いだわ」

マヤ「……分かりました、弍号機パイロット、惣流・アスカ・ラングレーの実験を終了します」カタカタ

アスカ「…………」

………inリツコの研究室

リツコ「なぜ下されたかは、分かるわね」

アスカ「…何パーだったの」

リツコ「確認できたのは6.7%よ」

アスカ「そう……」

リツコ「命令よ、作戦に支障が出るから、シンジ君と仲直りしなさい」

アスカ「………何の?」

リツコ「シンジ君から聞いたわよ。貴女とミサトが理不尽な命令ばかりして、日頃ストレスが溜まっていたって」

アスカ「………もん」

アスカ「だって…何も言ってくれなかったもん………」グスッ

アスカ「バカシンジは………いっつも……私を起こしてくれて……ご飯作ってくれて………時々嫌な顔してたかもしれないけど……何も言ってくれなかったんだもん………」グスッヒック

リツコ「………それが、日本人の信条なのよ」

リツコ「言葉にしなくても相手が自分のことを考えて行動できると思っている、日本人の長所であり、短所ね」

リツコ「分かったわ。数日休んでて良いわよ。シンジ君も、きっと彼のことだから貴女に何も反論せずに飛び出してきたんでしょう」

リツコ「数日後、二人が話し合う場を設けるわ」

アスカ「…なんでそこまでしてくれるの」

リツコ「あなたたちが戦力であるエヴァパイロットだから」

アスカ「……………」

リツコ「……というのは建前で、本当は皆、あなたたちが心配なのよ」

リツコ「真っ当な人生を歩んでいない子供たちに、これ以上の負担はかけられないの」

アスカ「…………ありがと」

リツコ「さ、もう行きなさい。もうすぐ二人のテストも終わって、戻ってくるわよ」

アスカ「うん……じゃあ、またね。リツコ」

リツコ「お大事に」

ウィーン

リツコ「……本当に問題だったのは、シンジ君の方だったのね………」

………10分後

シンジ「失礼します」ウィーン

レイ「失礼します」

リツコ「座って」

リツコ「早速結果だけど、シンジ君は平均80.4%。レイは75.1%よ。二人とも調子いいじゃない」

シンジ「なんだか、心のつっかえが取れた気がするんです」

シンジ「今までに比べて、プラグ内で伸び伸び出来るというか」

シンジ「当たり障りを気にしなくていいのは、楽ですね」

リツコ「そう……レイは、どう?」

レイ「……今日のお昼ご飯が、美味しかったです」

リツコ「あれは本当に美味しかったわ。気が向いたら、またよろしくね」

シンジ「大丈夫です。4人分作るのも、9人分作るのも変わりませんから」

リツコ「次のテストは4日後、開発中の新型装備のヴァーチャルプレイのテストよ。イチナナマルマル時に第3実験場ね」

リツコ「戻っていいわよ」

レイ「失礼しました」ガタッ

シンジ「失礼しました」ガタッ

リツコ「あぁ、シンジ君は残って」

シンジ「…?はい、わかりました。綾波、先に戻ってて」

レイ「分かった」テクテクウィーン

シンジ「………それで、何ですか?」

リツコ「私が何を言おうとしているか、分かる?」

シンジ「アスカのことですよね」

リツコ「そうよ。粗方のことはアスカに聞いたわ。次はシンジ君の言い分を聞く番ね」

シンジ「言い分って……まさか、アスカは被害者ヅラしてるんですか?」

リツコ「今回の件は、両方が加害者であり、被害者よ」

シンジ「………わかりました」

シンジ「僕は、最初アスカと暮らし始めた時、もっと言えばミサトさんと生活することは反対だったんです」

シンジ「でも、作戦のため、あの分裂する使徒を倒すためだと思って暮らしてきました」

シンジ「でもいつしか、僕にとってあの家にアスカやミサトさんがいる事は当然のことなんだって、思わないところで思い始めました」

シンジ「それでも最近、ドラマなんかを見てると二人が互いに支え合って生きている描写が多いなって思ったんです」

シンジ「そこに僕とアスカやミサトさんを当てはめると……どうして僕は、全ての仕事を一人でやっているんだろうって考えるようになったんです」

シンジ「以来は、アスカやミサトさんが何か理不尽なことを言ってくる度にストレスが溜まっていく感覚がしました」

シンジ「それで、昨日の夜、僕の中で何かが切れて……」

リツコ「………ここにいるってわけね」

シンジ「そうです」

リツコ「シンジ君は、アスカやミサトともう一度生活したいとは思わない?」

シンジ「思いません。きっと、また仕事を大量に押しつけられますから」

リツコ「…………そう、分かったわ。数日間、時間をあげる。その間に、今の言葉が本当に心からの言葉なのか、気持ちを整理してね」

リツコ「数日後、考えが変わらないようなら正式にネルフでの生活を許します」

リツコ「その代わり、ミサトは監督不行届きで今降格処分を受けたけど、今度はクビね。アスカと共に」

シンジ「!?な、なんでアスカまでクビになるんですか!?」

リツコ「司令は弍号機と初号機を天秤にかけた時、おそらく初号機を優先するわ。そうなったら、初号機を運用できるあなたの精神面を優先するのは自明よ」

シンジ「そんな………」

リツコ「まぁ時間はあるわけではないけどゆっくり考えなさい。夕飯はCセットがオススメよ」

………in第4仮眠室

シンジ「………僕があの家に帰らないと、二人がクビになる……」

シンジ「でも……帰ったらまた二人の言うことを聞き続けなければいけない……」

シンジ「どうしたら………」

シンジ「………寝よう、明日の僕が考えてくれるよ」スゥ…

シンジ「………」スヤスヤ


………翌日、学校

シンジ「おはよう」

トウジ「おはよーセンセ」

ケンスケ「おはよう。今日も調子良さげだね」

シンジ「うん、夢見がいいんだよね」

シンジ(…寝つきは良かったけど、妙な時間に起きちゃったんだよね)

トウジ「今日は課題はやってきたでー、ばっちこいや!」

ケンスケ「普段からそれくらい頑張れよ…」

シンジ「ははは…」

レイ「おはよう」

シンジ「おはよう綾波、はいお弁当」

レイ「毎日、ありがとう」

シンジ「好きでやってるんだから、気にしないでよ」

ヒカリ「おはよー」

アスカ「おはよー…」

トウジ「お、惣流、今日は寝坊せんかったかー!」

アスカ「私だって、やれば起きれるのよ!」

アスカ(ヒカリにモーニングコールしてもらったのは内緒にしないと…)

アスカ「ば、バカシンジ……」

シンジ「…何、惣流」

アスカ「っ…!お、おはよう…」

シンジ「…おはよう」スタスタ

アスカ「あっ……」

ヒカリ「大丈夫。今日は満点よ。頑張った!」

アスカ「……ヤダヨゥ……ナンデ……」

シンジ「………何で、僕はアスカを避けてるんだろう……」

シンジ「別に家でうるさかっただけで、学校生活は関係ないのに……」

シンジ「………変なの」

………昼休み

日向「今日は生姜焼きかぁ!」パカッ

青葉「ホント、美味い飯はやる気出るな!」モグモグ

マヤ「これで午後からも頑張れますね!」モグモグ

リツコ「そうね。カフェテリアでこれ、作ってもらえないかしらね」モグモグ

ミサト「美味しいよぉ…シンジ君…」モソモソ

……………

ゲンドウ「冬月先生………一口……」

冬月「ダメだ。自分で頼め」モグモグ

ゲンドウ「しかし…数日はテストがないので来れないのでは……」

冬月「ここに住んでいることを忘れたのか」モグモグ

……………

シンジ「惣流、弁当置いとくから」コトッ

アスカ「あ、し、シンジ!」

シンジ「…」ピタッ

アスカ「その……お昼……いつも、ありがとう」

シンジ「………どういたしまして」スタスタ

ヒカリ「………オッケーよ!その調子!」

アスカ「…………初めて、バカシンジにお礼を言った気がするわ……」

ヒカリ「こら!戻ってる!」

アスカ「あ、し、シンジに…お礼を言った気が…するわ…」

ヒカリ「よし!」

シンジ「…………」

シンジ(何だこれ何だこれ何だこれ何だこれ!?)バクバク

トウジ「センセ、どないしてん?」

ケンスケ「顔赤いぞ。熱か?」

シンジ「う、ううん、いやー今日は暑いね!」

トウジ「そ、そうか?」

ケンスケ「例年並み…だと思うけど」

シンジ「はははは…」

………放課後

ヒカリ「アスカ、帰ろ!」

アスカ「う、うん、し、シンジ!!」

シンジ「………」

アスカ「ま、また明日ね!」トテトテ…

トウジ「珍しいな、って思ったけど、よぉ考えたら今まで一緒に帰ってたんやから聞かなんだのも当然か」

ケンスケ「だな。碇、俺らも帰ろうぜ。今日はゲーセン寄りたいんだ」

トウジ「付き合ったるわ」

シンジ「…………」

ケンスケ「…碇、大丈夫か?」

シンジ「え、あ、うん!大丈夫!早くゲームセンターに行こうよ!」スタスタ

トウジ「あ、ちょ、待てぇ!」

………in洞木宅

ヒカリ「さて、じゃあ早速やるわよ!」

アスカ「でも…私、何も分からないわよ…?」

ヒカリ「大丈夫!やることは単純だから、繰り返して身につけよ!エヴァの操縦よりはきっと簡単だから!」

アスカ「………エヴァよりも、か……」


………数十分後

アスカ「できたわ……」

ヒカリ「どれどれ……?」パクッ

ヒカリ「…………」ダラダラ

アスカ「…やっぱり、不味かった…?」

ヒカリ「こ、これから頑張ればいいよ!」

アスカ「…不味かったのね」

ヒカリ「…………ちょっとね」

アスカ「ご飯作るの……こんなに難しかったんだ……」

アスカ「これを…毎日、朝昼晩、シンジは一人で…」

ヒカリ「……大丈夫。まだ遅くないよ」

アスカ「…うん、頑張るわよ!」

………inネルフ本部

シンジ「………」スタスタ

リツコ「あら、シンジ君ちょうど良かった。呼びに行こうとしてたのよ」

シンジ「リツコさん。何ですか?」

リツコ「ドイツでアスカが使っていた戦闘シミュレーションプログラムの輸入ができたの。シンジ君に使ってもらおうと思って」

シンジ「ドイツ製戦闘シミュレーションプログラム…ですか。いいですよ、やります」

リツコ「ゲーム感覚で楽しんでくれたらいいわよ」

………第三実験場

マヤ「エントリー完了、いつでも始められますよ」

リツコ「シンジ君、目標は9体。全部一撃で行動不能にできるけど、5分以内に全て倒し切らないと全部が復活するし、こちらがやられてもやり直し。スピード勝負よ」

シンジ『分かりました』

リツコ「それじゃあ、シミュレート開始よ」

ミサト「了解、シミュレート開始します!」

シンジ「………」ヴォン

シンジ(……そっか、ミサトさん降格したから今オペレーターやってるんだ……)

シンジ「ここは……海の上?」

敵個体A「………」

敵個体B「………」

敵個体C「………」

シンジ「……何だあの白いの、気持ち悪いなぁ。それにどことなくエヴァに似てる気が…」

敵個体A「キェァァァァァ!!!」バッ

シンジ「来た!」グッ

ッパァン!!!

敵個体A「ギェァァァ!?」ズズゥゥン

シンジ「一体!」バッ

ドンドン!!ババババン!!!

敵個体B~F「「「「「「ギャァァァァァ!!!!」」」」」」ズズゥゥン……

シンジ「なんだ、リツコさんの言う通り弱いじゃないか」

敵個体G「ギャアッ!!」バッ

シンジ「っ!?いつの間に後ろに!?」

敵個体G「ギェァァァ!!!」ヒュッ

ブスッッッッ!!!!

シンジ「ぐぁっ!!!…っ、シミュレートでなかったら、絶対死んでるよ…!」

敵個体A「………」グググッ

敵個体B「………」グググッ

敵個体C「………」ゴググガッ

敵個体D「………」ググ……

敵個体E「………」グググ

敵個体F「………」グガッ

シンジ「………これは厄介だ」

………十数分後

シンジ「っはぁ、はぁ、はぁ、っはぁ」

リツコ「オーケー、データは取れたわ。戻っていいわよ」

ミサト「戦闘シミュレーションプログラム、終了します」カタカタ

ヴゥゥゥゥン………

シンジ「………やっと終わったのか……」

シンジ「これ、アスカがドイツで使ってたって………」

シンジ「………こんなのクリアできないよ」

………数分後

リツコ「お疲れ様。早速スコアを言うわね」

シンジ「はい………」ハァハァ

リツコ「結果は5-。ドイツ表記で、18段階中の下から4番目ね」

シンジ「そうですか……あれ、難しすぎないですか…?」

リツコ「まあそうかもしれないけど、アスカはドイツでこれと全く同じテストで結果は1、上から2番目の成績を取ってるわ」

シンジ「!?」

リツコ「時間は57.82秒で全機殲滅、被弾もゼロだったそうよ」

シンジ「………そうですか、流石アスカですね」

リツコ「そうね。良いデータが取れたわ。ありがとう」

シンジ「いえ………」スタスタ

リツコ「………やれることは、何でもやっとかないとね」

ミサト「マヤー……ここってどうなってるのー…?」

マヤ「それはこっちです。ああ、違います!それは隔壁を閉じるボタンです!」

リツコ「……早いところ、戻ってもらわないとこっちも辛いわね…」

………inカフェテリア

日向「」ブツブツ

青葉「」ブツブツ

マヤ「」ブツブツ

シンジ「あれ、皆さんお疲れ様です。何してるんですか?」

日向「あぁシンジ君、お疲れ様。今、第三新東京への始末書書いてるんだよ…」カリカリ

青葉「この間の使徒戦は、結構ハデに壊しちゃっただろ?N2とかポンポン投げるもんだから……」カタカタ

マヤ「今までは葛城三尉がやってたけど…一応司令部第二線で現状一番偉いの私たちになっちゃったから…」カリカリ

シンジ「しわ寄せが…来てるって事ですか」

日向「葛城三尉も、こんな量普通一人でこなせるわけないよ」カタカタ

青葉「言ってくれれば手伝うのにな」カリカリ

マヤ「根は良い人ですからね…他所の人に迷惑かけるの、結構嫌ってるじゃないですか」カタカタ

青葉「その心意気を少しは同居人にも向けてやれれば良かったのにな」カリカリ

シンジ「ははは…そうですね」

日向「シンジ君、ちょっと缶コーヒー買ってきてくれないかな」

青葉「俺にも頼む」

マヤ「私もお願いして良いかな?」

シンジ「はい、大丈夫ですよ」

日向「はい、千円。お釣りはお駄賃で取っといてよ」

シンジ「え、でも…」

青葉「いいからいいから、俺はブラックね」

マヤ「私はカフェオレでー」

日向「僕は何でも、頼んだよー」ヒラヒラ

シンジ「分かりましたー」

シンジ「…………ミサトさんが使徒戦後に帰りが遅いのは、始末書に追われていたからなのか……」

シンジ「………ミサトさん、そんな辛そうな素振りは見せた事なかったな…」

シンジ「……それが大人、なのかな…」ガコン

シンジ「よし、戻って夕飯を食べよう」

………同時刻、洞木宅

アスカ「……今度はどう?」

ヒカリ「……うん!美味しいよ!アスカも食べてみて!」

アスカ「…美味しい!良かった、出来るようになった…ってもうこんな時間!?」

ヒカリ「かなり熱中してたからね。今日はもう帰る?」

アスカ「そうするわ。ありがとヒカリ。明日もよろしくね」

ヒカリ「うん。明日は洗濯物のやり方と掃除だから、アスカの家に行けばいいのよね」

アスカ「そう。いつか何かお礼するから」

ヒカリ「いいのいいの!好きでやってるんだし」

アスカ「じゃ、また明日ねー」

ヒカリ「おやすみー」

アスカ「………チキンライス一つ作るのにここまで苦労するなんて……」テクテク

アスカ「……料理って、難しいのね」テクテク

………翌日、学校

アスカ「おはよう、シンジ」

シンジ「…おはよう、アスカ」

ヒカリ「!」

トウジ「!」

ケンスケ「!」

レイ「…………」ペラペラ

シンジ「…はい、弁当。今日はちょっと失敗したかもしれないから…不味かったら残して」

アスカ「……ううん、全部、食べるわ。シンジが…作ってくれたんだもの」

シンジ「………」スタスタ

アスカ「シンジ………」

ヒカリ「いいわよアスカ!そこまでできれば、あと少しよ!」

アスカ「だといいけど……」

シンジ「………」ギィッ

シンジ(何だよ何だよ何だよ何だよ何だよ!?)バクバク

シンジ(何で急にあんなに大人しくなったんだ!?何であんなに可愛く見えるんだ!?相手はアスカだぞ!?)バクバク

シンジ(ええい、静まってくれ僕の心臓!!)バクバク

トウジ「……なんか昨日今日、センセ笑わんくなったな」

ケンスケ「あれは………ずばり、恋だな」キラーン

トウジ「こ、こここここここ恋!?」

ケンスケ「いやーんな感じ!」

………放課後

アスカ「シンジ!」

シンジ「…何、アスカ」

アスカ「はい、お弁当箱。今日も…美味しかったわ、ありがと」

シンジ「…言っただろ、失敗したって。お世辞はいいよ、迷惑だよ」

アスカ「お世辞なんかじゃない…本心よ……」

シンジ「………ありがと。僕、テストあるから」タタッ

アスカ「…………」

レイ「私も、今日はいつも以上に美味しかったと思う」ヌッ

アスカ「!?!?!?!?」ガタタッ

レイ「何、お化けでも見たみたいな顔をして」

アスカ「≒お化けみたいなもんよ!!今の登場は!!」

レイ「お化け屋敷で…働けるわね」フフフ

レイ「…そんなことはいいの」

レイ「私も、今日のお弁当はいつも以上に美味しかったと思うの」

アスカ「………」

レイ「碇君がネルフ本部で生活し始めてから、お弁当は豪華になったし、味も美味しくなった」

レイ「でも、味の代わりに何かが欠けていた気が、今ではする」

アスカ「……アンタが私と同等の味覚を持っているとはね」

レイ「そして、今日は少し失敗したと言っていた」

レイ「でも結果的に、お弁当はさらに美味しくなった」

アスカ「だから何よ」

レイ「碇君は、きっと今日のお弁当に何かをしようとしていた」

アスカ「……そうね、私もそれには同感よ」

レイ「でも…何かは分からない……」

アスカ「私たち気が合うわね。私も分からないわ」

アスカ「……っと、今日はヒカリが来るんだ。早めに帰って片付けられるものは片付けとかなきゃ」

アスカ「じゃあね、レイ」タタッ

レイ「………レイ」

レイ「……私の、名前」

レイ「初めて、あの人に名前で呼ばれた…」

レイ「……………」

レイ「……悪い気はしない」フフッ

………inネルフ図書館

シンジ「も~しも~ねがい~ひ~と~つだけ~叶~うな~ら~♪」ガサゴソ

リツコ「あら、こんなところで会うのは初めてかしらね」

シンジ「あ、リツコさん、お疲れ様です」

リツコ「お疲れ様。何を探していたの」

シンジ「料理本です。最近、海外の料理に興味を持ちまして」

リツコ「そう…。ところで、明後日のイチナナイチマル時、テスト前にここに来れる?」

シンジ「はい、来れますけど…アスカと、話し合いの日ですか」

リツコ「ええそうよ。具体的な場所は…私の実験室でいいわ」

シンジ「………わかりました」

リツコ「…あと、ドイツ料理の本は二つ右隣の本棚の奥から3番目の下から4段目にあるわ」

シンジ「………何でドイツ料理の本を探してるってわかったんですか」

リツコ「ミサトなりに言うなら、女の勘…かしらね」

………in葛城宅

アスカ「いらっしゃい、ヒカリ」

ヒカリ「お邪魔しまーす…このマンション、他の人はほとんどいないのね…」

アスカ「このご時世だしね。しょっちゅうドンパチやるような場所には住みたくないでしょ」

ヒカリ「さて、じゃあ先に洗濯物をやろっか!」

アスカ「よろしくお願いします、ヒカリ先生」

ヒカリ「て、照れるよぉー」

アスカ「あーあ、学校の先生がヒカリなら良かったのになぁ」

ヒカリ「そぉ?そう思う?」

アスカ「うん。さて、確か…色物は分けるのよね」

ヒカリ「うん、あと形崩れしたらまずい下着とかはこういうネットに入れて…」ガサゴソ

アスカ「へぇ……このネット、そういう役割だったんだ……」ガサゴソ

ヒカリ(本当に何も知らなかったのね…)ガサゴソ

………inカフェテリア厨房

シンジ「……さて、ちょっと作りますか」

シンジ「まず、肉の塊1キロにハーブ岩塩をすり込む…」スリスリ

シンジ「……で、これを30分ほど寝かせるのか」

シンジ「その間に、玉ねぎ、にんじん、セロリを1.5センチ程に切る…」トントン

シンジ「…うー、目に染みるのは慣れないなぁ…」ウルウルトントン

シンジ「ニンニクはひとかけら分潰しておいて…ジャガイモは茹でておくのか」カチッ

シンジ「……そしたらダッチオーブンに…ダッチオーブン?」

シンジ「キャンプ料理らしいなぁ。厨房にそんなのあったかなぁ…」キョロキョロ

シンジ「………あ、フライパンでもいいのか」

シンジ「……香りが出てきたらニンニクを取り出す」スッ

シンジ「ここに肉を入れて…表面を焼く」ジュゥゥゥ

シンジ「……香りはいいんだけどなぁ…これ、豚肉じゃなくて9割人工肉だしなぁ」ジュゥゥゥ

シンジ「…焼けてきたら取り出して、このフライパンにさっき切った野菜を入れる…」ボトボトッ

シンジ「……野菜がしっとりしてきたら、もう一回肉を入れて、コンソメとビールを…ビール?」

シンジ「参ったな…ビールなんて扱ったらまずいし……」

ミサト「あ、シンジ君…」テクテク

シンジ「っ!ちょうど良かった!ミサトさん!」

ミサト「え、あ、はい!何でしょう?」

シンジ「コンビニで、できれば黒ビール、なければ普通のでいいので、500ミリ一本買ってきてください!」

ミサト「は、はい!」タッタッ…


………数分後

ミサト「…買ってきました!」ガサッ

シンジ「ありがとうございます。で、ビールを入れて…」トポポ

シンジ「あとは煮るだけか。途中で肉をひっくり返さなきゃいけないけど」カパッ

ミサト「…あの、シンジ君。何を作っているの?」

シンジ「シュバイネブラーテンですよ。ドイツ料理の」

ミサト「…何で、ドイツ料理を?」

シンジ「……まあ、何となく作りたくなったんですよ。ミサトさんも食べますか?」

ミサト「喜んで、いただきます」

日向「あれ、今日は厨房に立ってるのか」スタスタ

青葉「いいニンニクの香りがするな。何を作ってるんだ?」スタスタ

シンジ「ドイツ料理を…」

マヤ「へぇ!ドイツ料理ですか!」スタスタ

リツコ「一口いただきたいわね」

冬月「私ももらっていいかね」

ゲンドウ「………シンジ」

シンジ「は、はい!」

ゲンドウ「…私にも頼む」

ワイワイガヤガヤ

シンジ「…やっぱり、ここのカフェテリアはなんらかの改革をしないといけないよ…」

シンジ「ここまで食に飢えた人がいたなんて……」

シンジクンノリョウリダーヒトリヒトクチダカラナ!ワタシハコノマエタベラレテイナイ…ソレハオマエガワルイ

………in葛城宅

アスカ「………出来た」

ヒカリ「お疲れ様!」

アスカ「掃除も…大変ね…」

アスカ「そりゃ、こんだけの仕事がなくなったんだから、シンクロ率も爆上がりするわよね…」

ヒカリ「……アスカ」

アスカ「ありがと、ヒカリ。お礼に夕飯、オムライス作るわ」

ヒカリ「本当に!?嬉しい!」

アスカ「まだ練習中だから、うまく出来るか分からないけど…」

ヒカリ「手伝おっか?」

アスカ「ううん、これは一人でやりたいの」

ヒカリ「アスカ……」

ヒカリ(……アスカ、変わったね)

アスカ「…………」トン…トン…

………翌日、in学校

シンジ「おはよう、アスカ」

アスカ「っ!お、おはようシンジ!!」

シンジ「はい、お弁当」コトッ

アスカ「ありがと!」ニコッ

シンジ「…今日は、上手くできたと思うから」スタスタ

アスカ「………」

ヒカリ「良かったわね!やっと向こうからも話しかけられるようになったじゃない!」

アスカ「………シンジに話しかけてもらうことが、こんなに日常の一部になってたなんて思わなかった」

アスカ「…こんなに嬉しいと思ってるなんて、思わなかった……」

ヒカリ「………アスカ」

とりあえずここまで。
この後終盤まとめて、個人的に納得行ったら落としていきます。
頑張って寝るまでに終わらせます。

思っていたより早くまとまったんで投下します。

ヴーッ、ヴーッ、ヴーッ

アナウンス『第三新東京市、防災放送です。ただいま、関東東海地方に、特別非常事態宣言が発令されました。お住まいの皆様は、ガイドラインに従って避難を……』

ヒカリ「あ、アスカ、これって…」

アスカ「……使徒だわ」

レイ「…アスカ」

アスカ「っ!レイ!」

レイ「……行きましょう」タッ

アスカ「分かってるわよ!!」タタッ

ヒカリ「……頑張って、アスカ」

トウジ「委員長なにやっとんのや!はよ非難するで!!」

ヒカリ「うん!」タッ

………inネルフ 第一発令所

青葉「状況は!?」

ミサト「現在相模湾沖40キロメートル先に敵影を複数体確認。移動速度時速10.0km/h。ジオフロント頭頂までの所要予想時間、4時間27分54秒。モニター出します」カタカタ

ヴォン…

日向「あれは……」

青葉「第五の使徒にそっくりだ…」

マヤ「しかもそれが3体…?」

冬月「避難状況は?」

マヤ「第三新東京市を始め、各地で避難完了の通達が届いています」

日向「出ました!解析パターン青、使徒です!!」

冬月「この間のシンクロテストでは第二の少女は起動ラインに満たなかったと聞く。第一第三の少年少女に向かわせるのが得策と思うが」

ゲンドウ「反対する理由はない。レイとシンジが到着後、速やかに発進させろ」

ゲンドウ「アスカはプラグ内で待機だ」

ミサト「了解!」カタカタ

ミサト「シンジ君、レイ、聞こえる!?」

シンジ『はい!』

レイ『聞こえます』

ミサト「敵は相模湾沖40キロメートルにいるわ。大きさは比較的小さいけど…」

ミサト「第五の使徒にクリソツよ。んで3体いるわ」

シンジ『さ、3体!?』

レイ『…また、陽電子砲作戦ですか』

ミサト「…待って、試したい戦略があるわ」

シンジ『何ですか…それ?』

ミサト「前の第五使徒戦、覚えてる?」

シンジ『はい』

ミサト「あの時、あの使徒は周囲を焼け野原にするほどの高エネルギー砲を持っていた」

ミサト「にも関わらず、ジオフロントに侵入するときは自分で掘っていたわ」

ミサト「そして今、敵は水上にいるわ」

シンジ『………はっ、そうか!』

レイ『……魚雷があれば、いいですか』

ミサト「ホーミング式のN2のやつを手配するわ。良いですよね、司令」

ゲンドウ「かまわん。やれ」

青葉(葛城三佐が…まともな作戦を…)

マヤ(しっかりと勝機も見出せます…)

日向(あの…無謀な作戦、嘘とも思える判断ミスは…)

リツコ(溜まりに溜まった書類のせいだったとでも言うの…?)

ミサト「オーケー、エバンゲリオン、零号機、初号機、発進!」

シンジ「………」ググググッ

レイ「………」ググググッ

ガゴォォォォン………

シンジ「………敵影確認。確かに似てますね」

ミサト『F17、F18番射出します!ホーミングN2魚雷よ!』バシュッ

シンジ「っ!受け取りました!」

レイ「……行くわよ」

シンジ「うん!…っとと、流石に魚雷2本は重いなぁ…」


………in旧早川インターチェンジ付近

シンジ「…じゃあ、行きますよ」

レイ「…安全装置、解除」カチッ

シンジ「回り始めた…」ヴゥン

ミサト『弾道補正はこちらで行うわ。貴方達は、出来る限り水中の深めのところで発射して』

シンジ「はい。行きます、第一、第二魚雷発射!」バシュッ

レイ「第三魚雷、同じく発射」バシュッ

ゴゴゴゴゴ………

マヤ「魚雷、使徒からの捕捉範囲内に侵入!依然進んでいきます!」

ミサト「よし!やっぱりあの使徒は下からの攻撃は弱い!」

ザバッ!!

マヤ「直撃します!!」

カッ!!!!

ドォォォォォォォォォン!!!!!

マヤ「魚雷三発、全て各使徒に直撃!」

ミサト「爆煙でモニターできません!!」

ゲンドウ「………冬月」

冬月「何だね」

ゲンドウ「……零号機、初号機は撤退後、弍号機には今、N型装備の手配をしろ」

冬月「……あの装備が税金の無駄遣いにならなくて良かったな」

ゲンドウ「不謹慎だがな…」

ミサト「煙、晴れます!敵影………確認!」

マヤ「パターン反応、74%まで減少!いけますよ!」

ミサト「三体だから、ATフィールドも壁が薄いのね」

ゲンドウ「零号機、初号機を戻せ」

ミサト「!?ですが、今逃すと……」

ゲンドウ「魚雷は戦自のおかげで残弾がない。だが作戦がある。葛城三佐」

ミサト「………分かりました、二人とも、戻って」

シンジ『え!?わ、わかりました…』

レイ『撤退します』

………in弍号機プラグ内

アスカ「………二人は今、戦ってるのよね」

アスカ「その中、私はここで一人待ちぼうけ」

アスカ「………」

アスカ「これがエースパイロットですもの。笑い話よね」

アスカ「………はぁ」

アスカ「ここにいても、弍号機は動いてくれないのに…」

リツコ『アスカ、聞こえる?』

アスカ「……リツコ」

リツコ『シンクロチェックだけするわよ。今の貴女なら、出来るわ』

アスカ「……やるだけ無駄だと思うけど」

リツコ『無駄になるかどうかは、あなた次第よ』

アスカ「………最近、ミサトに似てきたわよ」

リツコ『…………心外ね』

アスカ「………」フフッ

マヤ「アスカ…シンクロ率…114.2%です!」

リツコ「アスカ、そのまま待機してて。一時間で装備を変えるから」

アスカ『今から?何の装備にするってのよ』

リツコ「新型のN型装備、水中運用に特化した装備よ」

リツコ「前にあなたが第六使徒との戦闘の際に水中に引き摺り込まれたらしいじゃない」

リツコ「その時から、対水中戦に適応できる装備を開発していたのよ」

アスカ『準備いいわね』

リツコ「そのための、残業よ」ニコッ

………一時間半後

リツコ『出来たわ、アスカ。初号機と零号機も出来たから、三体同時に行くわよ』

アスカ「遅いと思ったらそういうことね。まあいいけど」

ミサト『いい、3人とも。アスカとシンジ君はユニゾンでやったことあるけど、今回はそれの応用よ。3人同時攻撃でアレを仕留めて』

シンジ「N2魚雷を連発すれば、行けるんじゃないですか?」

ミサト「生憎、戦自が先月に海外での実験のために大量に持っていっちゃったの」

アスカ「あんの無能共……」

ミサト「ほんっと余計なことしてくれるわよね!!」バン

ゲンドウ「………」

ミサト「…タイミングがずれると躱されて、飛び上がったところをあの加粒子砲で一撃よ」

レイ「一撃で決着…さもなくば死…ですか」

ミサト「アレを本土上陸させたら、今度は間違いなく第三新東京を丸裸にされるわ。失敗は、許されないわよ」

シンジ「……わかりました」

アスカ「…….シンジ」

シンジ「…アスカ、終わったら話があるんだ」

アスカ「!……私もよ、シンジ」

ミサト「…行くわよ!エバンゲリオン、三体発進!!」

………in旧早川インターチェンジ付近

リツコ『水中まではケーブルを伸ばせないわ。代わりに強力なバッテリーパックが乗ってるから、7~8分は本気で戦えるわよ』

アスカ「了解。じゃ、行くわよ!」ザブン!

シンジ「うん。会敵から62秒でケリをつける!」ザブン!

レイ「…貴方達は死なないわ。私が守るもの」ザブン!

マヤ「三機、入水!」

ミサト「時速…412キロメートルで進んでいます!」

アスカ「………」

シンジ「………」

レイ「………」

マヤ「水深800メートル、使徒の真下に到着しました」

日向「ATフィールドが弱いから、プログナイフでも中和すれば突き破れるはずだ」

青葉「頼むぜ、3人とも」

ゲンドウ「……作戦、開始」

シンジ「…!」グンッ!

アスカ「行っくわよぉぉぉぉぉ!!!」グンッ!

レイ「……!」グンッ!

ミサト「水深400…200…50…水面出ます!!」

ザバァッッッッ!!!!

使徒A「!?」ラー

使徒B「!?」ラー

使徒C「!?」ラー

アスカ「どぉぉぉぉりゃぁぁぁぁ!!!!」グッ!!!

シンジ「うおぉぉぉぉぉぁぁぁぁ!!!!」グッ!!!

レイ「刺さって…!!!」グッ!!!

ガギィィィィン!!!

使徒A「!?!?!?」ギャァァァァァ!!

使徒B「!?!?」ギャァァァァァ!!

ミサト「使徒A、Bからのパターン消滅!!」

マヤ「っ!!レイが外しました!!」

ゲンドウ「何だと!?」ガタッ

レイ「……あ」

使徒C「ヒェァァァァァ!!!」カッ

マヤ「高エネルギー反応!!間に合いません!!!」

ミサト「あ…」

シンジ「こっちが!!!」ヒュゥゥゥ!!

アスカ「お留守よぉぉぉぉ!!!」ヒュゥゥゥ!!

ガギィィィィン!!!!!

マヤ「飛び上がっていた初号機と弍号機がフィールド発動しながらドロップキック!!!」

ミサト「また爆煙で見えません!!」

冬月「………」

ゲンドウ「………」ハラハラ

日向「シンジ君……」

青葉「…………!!水中に生命反応!!3人とも、無事です!!」

マヤ「パターン青、完全に消滅!!やりました!!!」

ウワァァァァァァ!!!!

ミサト「………良かった、また、勝てたのね……」フゥゥ

ゲンドウ「葛城三尉」

ミサト「へ、あ、はい!!」

ゲンドウ「この後、司令執務室へ来るように。話がある」

ミサト「…………はい」

ミサト「まってまた何かしちゃった…?これ以上の減俸は流石に生活が厳しいわよ……?」

マヤ「まあ、ほとんど独断で作戦決めたみたいなところ、ありましたから」

ミサト「」ギクッ

青葉「結構、失礼な感じであたってましたし」

ミサト「」ギクギクッ!

日向「…まあ、今回は葛城三尉が使徒は下が弱いというのを見抜けなかったら負けてたかもしれないですしね」

ミサト「!」

リツコ「それについては同感ね。初めてまともな作戦だったと思うわよ。最後の一撃決着な面以外は」

ミサト「……リツコォォォ……」

リツコ「ま、全て司令が下すわ。終わったらいってらっしゃい」

リツコ「…さて、あの子達はどうなるかしら」

………in各プラグ内

シンジ「………勝ったね」

アスカ「レイ!外すなってあんだけ言ってたのに!!」

レイ「………ごめんなさい……」

シンジ「……アスカ」

アスカ「……まあ、あの瞬間、レイに使徒の意識が完全に行ってなかったら、逆に私たちが溶かされていたかもね」

アスカ「……お疲れ様」

レイ「………ありがとう」

シンジ「………」フゥ

アスカ「あ、し、シンジ。話が…あるんだけど…」

シンジ「あ…僕からも、話があって…」

レイ「…通信、切るわね」

アスカ「あ、れ、レイ…」

シンジ「……気を使ってくれたのかな」

アスカ「そうみたいね…」

シンジ/アスカ「「………あ、あの」」

シンジ「あ、アスカからでいいよ。レディーファーストだろ?」

アスカ「今更何よ!私は…まだ、レディーには程遠い、子供よ。シンジから言いなさいよ」

シンジ「じゃあ…」

シンジ「……アスカ、この前は、何もアスカに言わずに飛び出してごめん」

シンジ「あの後、色々考えたんだ」

シンジ「僕は、急に父さんに呼び出されて、右も左もわかんないうちにエヴァに乗せられた」

シンジ「もちろん、それまではずっと、普通の人として生活していたんだ」

シンジ「家事なんてみんなが出来ることだろうって思ってた」

シンジ「でも、一昨日ドイツ製の戦闘シミュレーションシステムを使ったときに思ったんだ」

シンジ「アスカは、並大抵の努力ではここにいないって」

シンジ「僕がエヴァを知るもっともっと昔から、アスカはエヴァパイロットとして闘っていたんだって」

シンジ「アスカのスコアを聞いて愕然としたよ。あんなに難しいのに、1分かからずに殲滅するんだから」

シンジ「その裏には…ずっとずっと昔からの、努力の結晶があったんじゃないかって」

シンジ「………アスカのことを、考えてあげられなくてごめん」

アスカ「……私の方こそ」

アスカ「シンジは、今まで何も私に文句を面と向かって言わなかったわね」

アスカ「始め、それは別に嫌じゃないからって勘違いしてた」

アスカ「でも…リツコから話を聞いて、日本人の特性だって聞いて…」

アスカ「シンジの性格もそんな感じだし、面と向かって言えなかったのは当然かなって、思った」

アスカ「バカシンジとか…奴隷だとか呼んでたのも…なんか普通に呼ぶのは恥ずかしいし…別に嫌って言われないし…」

アスカ「ヒカリからもらった漫画に」

アスカ「別に呼んでいいものだと思ってた…」

シンジ「うん、それに関しては何も言わなかった僕が悪いね…」

アスカ「それで…私、ヒカリに料理とか…洗濯の方法とか…掃除とか…日本人との接し方とか…教わったの」

アスカ「…少しは…美味しいご飯が作れるようになったわ」

アスカ「でも…私は、シンジが作ったお味噌汁が飲みたい」

アスカ「……これからは、家事とか分担するから……」

アスカ「……今までごめんなさい。シンジに、私は戻ってきて欲しい」

シンジ「………アスカ」

アスカ「………シンジ、私を殴って」

シンジ「………どうして?」

アスカ「罪の意識、でしょ」ニコッ

シンジ「………分かった」グッ

ゴッ!!

アスカ「っつぅ…」

シンジ「……アスカ、僕を殴って」

アスカ「…え?何で?」

シンジ「誰にも相談しないで飛び出した、今までアスカの気持ちを考えようとしなかった、罪の意識だよ」ニコッ

アスカ「………分かったわよ」グッ

ゴッ!!

シンジ「……ただいま、アスカ」

アスカ「おかえり、シンジ」

………in第一発令所

日向「良かったなぁ…シンジ君…」

青葉「やっぱり、子供達は笑っていないとな」

マヤ「でも…シンジ君が帰ると…お弁当が…」

リツコ「………重大な問題ね」

冬月「……」

ゲンドウ「……シンジの弁当…食べられなかったな…」

冬月「………ここに、二つ弁当がある」

ゲンドウ「……!?」

冬月「今朝第三の少年から預かった。今日の昼食は、楽しみだな」

ゲンドウ「……あぁ……!」

ゲンドウ「……三人に、通信を入れろ」

マヤ「は、はい!通信回線、開きます!」カタカタ

ゲンドウ「三人とも、私だ」

シンジ『と、父さん!?』

アスカ『ど、どうしたのよ!使徒は倒したでしょ!?』

レイ『………』

ゲンドウ「よくやってくれた。半ば無謀な作戦だったかも知れんが、お前達は期待に応えてくれた」

ゲンドウ「お疲れ様だ、ありがとう」

シンジ『………はい!!』

アスカ『ふっふーん!当然よ!エースパイロットたるもの、須く人々は救うものよ!』

レイ『はい。………葛城三佐』

ミサト「はいはい、どったのよ」

レイ『あとどれくらいで…回収されますか……』

ミサト「……やっばー、忘れてた」

マヤ「いつもその指示、部長の葛城さんの仕事でしたもんね…」

………夜、in葛城宅

シンジ「……ただいま」

アスカ「ただいまー」

ミサト「たっだいまぁぁぁぁ!!!」

シンジ「うるさっ!!夜ですよ!近所迷惑になるじゃないですか!!」

ミサト「いーのよ、また昇進して、一尉まで戻れたんだから!!」

シンジ「さて、冷蔵庫に何があるのかな…って、本当に部屋が綺麗だ…」

アスカ「言ったでしょ?ヒカリにやり方を教えてもらったのよ。これからは、分担していきましょ」

シンジ「そっか…頑張ったんだね。で、問題の冷蔵庫は…」

アスカ「シンジは座ってて。私が今日は作るわ」

シンジ「僕も、アスカに食べて欲しい料理があるんだ」

ミサト「あの、しゅばいね…?ナントカってやつでしょ?」

アスカ「シュバイネブラーテン!?作れるの!?」

シンジ「向こうで作り方を学んだんだ」

アスカ「じゃあ肉が必要じゃない…あ、卵もない。あとピーマンも」

シンジ「じゃあ、買いに行こうか?」

アスカ「そうね。ミサトー、ちょっと買い物行くわー」

ミサト「あ、なら車出すわよー」

アスカ「なーによ。せっかく帰ってきたのに、また外にとんぼ返りね」

シンジ「あはは…いいじゃないか」

ミサト「下で待ってるわよー」スタコラサッサ

アスカ「…じゃあ、行きましょうか」

シンジ「うん、ところでアスカは何作ってくれるの?」ウィーン

アスカ「オムライスよ!」スタスタ

シンジ「へぇ!あれ作るの大変なんだけどな…」スタスタ


終劇

以上になります。
言いたいことはわかってる...確かに味気ないし、シンジくん簡単に心開きすぎだし...。

...まあ、元々アスカとミサトさんのことは好きだったってことで一つ。

アスカ「シンジの察しが良すぎる」【エヴァ】
アスカ「シンジの察しが良すぎる」【エヴァ】 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1590287018/)
こっちもよろしくね。

次の作品は以下のどれかにしようと思います。
また投票していってね。
ほなノシ

シンジ「流れ星を見に行こう」
アスカ「眼帯っていいわねぇ」
レイ「ハズレね」
シンジ「恋人が欲しいなぁ」アスカ/レイ/マナ「」ガタッ

レイ「ハズレね」【エヴァ】
レイ「ハズレね」【エヴァ】 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1590722952/)

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