結衣「お、おい京子･･･何だそれ」

京子「･･･」

結衣「それ、ナマハゲのお面か？なんで、そんなの被って･･･」

京子「･･･」

京子「･･･がー」

結衣「ん？」

京子「悪い子は･･･がー」

結衣「な、何だ？」

京子「悪い子は･･･」


京子「悪い子は、手うがー！」

結衣「は･･･？」

京子「うがー！悪い子は、手うがー！」

結衣「あー･･･。あれか。手洗いうがいを略して手うがね」

京子「うがー！」

結衣「前に京子が一生懸命流行らそうとして、いま一つ流行らなかった･･･」

京子「･･･」ﾋﾟｸ

結衣「そもそも、語呂が悪い。手うがって」

京子「･･･」

結衣「それに、手洗いうがいをわざわざ略さなくたって」

京子「う、うがー！うがー！」

結衣「それで、何だ？そのナマハゲの恰好は」

京子「うがうがー。うがー」

結衣「普通に喋れ」

京子「具合の悪い子は･･･」


京子「具合の悪い子は、手うがー！」

結衣「うん･･･」

結衣「･･･あれか。ナマハゲの悪い子はいねがーと」

結衣「具合の悪い子は手うがって」

結衣「何となく、似てると思ったんだな。こう、雰囲気的な感じで･･･」

京子「うがうがー」

結衣「けどな、京子。思いついた勢いで何でもやればいいってもんじゃ」

京子「･･･」

結衣「それにもしかして、そろそろ自分でもあんまり面白くないと気づき始めて」

京子「具合の悪い子は、手うがー！」

結衣「あっ、どこ行くんだ京子？」

（校舎廊下）


綾乃「えーと、これでプリントは全部揃ったわね･･･って何！？」

千歳「あら歳納さん。それ、ナマハゲのお面？」


京子「悪い子は、手うがー！」

綾乃「手うが･･･？ああ、手洗いうがい略して手うがね」

綾乃「あんたが前言ってて、あんまり流行らなかった･･･」

京子「うがー！」

綾乃「な、何なのよ。そんな怒らなくっても」

千歳「手洗いうがいなぁ。そうやねえ、きちんとやらななぁ」

綾乃「それで、その手うががどうし･･･ってちょっとアンタどこ行くのよ」

京子「具合の悪い子は、手うがー！」

綾乃「あんまりその恰好で校内をうろつくんじゃないわよ？」

京子「うがー！」

櫻子「わっ、な、何だ！？歳納先輩？」

向日葵「な、何なんですのその恰好･･･」

京子「具合の悪い子は、手うがー！」

櫻子「手うが･･･？手うがって何ですか？向日葵聞いたことある？」

向日葵「え、いえ･･･」

京子「･･･」


京子「･･･」

櫻子「あ、どこ行くんですか歳納先輩？」

向日葵「あ、お、思い出しましたわ、手洗いうがいの略ですよね歳納先輩？」

京子「･･･うがー」

あかり「京子ちゃん！？何なの！？」

ちなつ「な、何で恰好してるんですか京子センパイは」

京子「･･･具合の悪い子は、手うがー」

ちなつ「ちょ、ちょっとどうしてナマハゲの恰好してそんなにしょげ返ってるんですか。一体何が･･･」

京子「･･･うが」

あかり「あー、手うがねー。あかり、いつもやってるよぉー」

京子「うが･･･？」

あかり「外から帰ったら、手うがだよねー」

京子「う、うがー！うがうがー！」

ちなつ「嬉しそうですね京子センパイ」

京子「具合の悪い子は･･･」


京子「具合の悪い子は、手うがー！」

あかり「手うがー！うふふ」

ちなつ「あ、あの京子センパイ、あかりちゃん、周りが見てるから･･･」

（手洗い場）


綾乃「はぁ、手うがね･･･」ｼﾞｬｰ

千歳「なんや綾乃ちゃん、素直にやってるやないの」

綾乃「う、うるさいわね。ほら千歳もやりなさいよ」



櫻子「えー、手洗いうがいなんてやらなくってもいいじゃん面倒くさいー」

向日葵「櫻子が病気になっても面倒見ませんわよ」ｼﾞｬｰ

櫻子「もー、向日葵は心配性なんだからー」



あかり「手うが、手うがっと」ｼﾞｬｰ

ちなつ「あかりちゃんって素直ねー。じゃ私も手うがっと」ｼﾞｬｰ



京子「うが、うが」

（部室）


京子「どーだー結衣！みんなやってたぞー、手うがを！」

結衣「いやみんな普通に手洗いしてるだけだろ」

京子「じゃ結衣も一緒に。せーの」


京子「悪い子は、手うがー！」

結衣「やらんから」


終わり