リゼ「なぜそれを……？」

チノ「ココアさんは……私の気持ちに気付いてくれないんです……思いの丈をぶつけても……あしらわれてしまうんです……」

リゼ「それって、思いの丈をぶつけるときだけ声が小さくなるからじゃないのか……？」

チノ「気づいていたんですね。でもやっぱり……恥ずかしくなるんです……」

リゼ「……素直になるコーヒーを」

チノ「それとこれとは話が別です」ｼｬｷﾝｯ

リゼ「……！！」

リゼ（こいつ、私が避けるよりも早くフォークを……！というか、どこから出したんだ……！！）

チノ「というわけでリゼさん、試飲をお願いします」

リゼ「ええ……いやあ、私は人よりは耳がいいほうだし……」

チノ「お願いします」

リゼ「押しが強い……わかった、飲んでやるよ」ｸﾞｲｯ

チノ「どうですか？」

リゼ「普通のコーヒーだな、耳が更に良くなったという感じはしない」

チノ「そうですか……」ｼｭﾝ

リゼ「…………いや、違う！効果はある！！」

チノ「リゼさん？」

リゼ「来るなッ！！くそ、自分の声が響く……！！」

チノ「…………！！ちょっと待っててください、直ぐに元に戻します！！」

チノ「大丈夫ですか……？」

リゼ「ああ……死ぬかと思った……」

チノ「聴力を上げるのではダメですね……そういえば、ココアさんは私が「お姉ちゃん」と呼ぶとどんなに小さくても反応することを思い出しました……」

リゼ「だったら尚更こんな狂った効能のやつは出さない方がいい……いくらココアでも、精神が壊れていくだろ……」

チノ「ごめんなさい……しかし、どうしましょう……」

リゼ「やっぱり素直になるコーヒーを」

チノ「そいっ」ｺｰﾋｰﾌﾞｯｶｹ

リゼ「ちょっと待て熱い熱い！！なんてことするんだ！！」

チノ「はっ、すみませんつい……」

チノ「しかし、私はこんな所で諦めるわけにはいきません……」

リゼ「頼むから諦めてくれないか？」

チノ「私は……難聴ヒロインが大っ嫌いなんです……私の手で滅ぼさなければなりません……」

リゼ「お前が言ってはいけない単語が聞こえたぞ？」

チノ「気のせいです。効能を薄めたものが出来ました」

リゼ「いちいち器用だな……ところで、ココアはどこにいるんだ？」

チノ「いま帰ってきます。扉を出て真っ直ぐ20m地点まで来ています」

リゼ「……ちょっと待て、お前まさか」

ココア「おかえり！」ﾄﾞｱﾊﾞｰﾝ

リゼ「「ただいま」じゃないのか」

ココア「分かってないなあリゼちゃん、これが私のこだわりポイントだよ！！」

リゼ「そんな下らないこだわり今すぐ捨てちまえ」

チノ「おかえりなさい、ココアさん。疲れたと思うので、心が落ち着くコーヒーを淹れました」

ココア「ありがとうチノちゃん！ハーブティーみたいだね！」

チノ「アレとは違いますよ」

ココア「ふぅ……落ち着くぅ～……」

リゼ（……今のところは、何も無いみたいだな）

～少女仕事中～

ココア「ありがとうございましたー！」

チノ「最後のお客さんも出たことですし、片付けましょう」

リゼ「ああ、そうだな」

・・・・・・・・・・・

ココア「今日はお客さんの会話がよく聞こえて凄かったよ！」

リゼ「そ、そうなのか」

リゼ（あのコーヒーのせいだろうな……たまたま凄く調子が良いだけなんだろうが）

ココア「なんだか恋バナとかも聞こえてきて凄くぽかぽかしちゃったよ！」

リゼ「だから今日はよく動けていたんだな」

ココア「普段がダメダメみたいな言い方だね！普段から動けてるよ！！」

チノ「いえ、ココアさんは普通にダメダメです」

ココア「チノちゃん！？」

チノ「もっと普段から心を暖められるように、なんなら燃やせるように頑張ってください」

ココア「うわーん、チノちゃんが相変わらず冷たいー……」

チノ「でも、そういうところも好きなんですけど」ﾎﾞｿｯ

ココア「…………！」

リゼ「……ココアが覚醒する！？」

ココア「チノちゃああああああああああああああああああああああああああああああん！！！！！！！！」ｷﾞｭｰｰｰｰｯ

チノ「ちょっ、何するんですか、苦しいです」

ココア「お姉ちゃんもチノちゃんのことだーーい好きだよっ！！！」ｷﾞｭｰｰｰｰｰｰｯ

チノ「まったく……本当にしょうがないココアさんです」ﾆｺｯ

リゼ「…………満足か？」

チノ（リゼさん）ｱｲｺﾝﾀｸﾄ

リゼ（……なんだ）ｱｲｺﾝﾀｸﾄ

チノ（計画通りです）ｱｲｺﾝﾀｸﾄ

リゼ（……見りゃわかるわっ！）ｱｲｺﾝﾀｸﾄ