【ミリマス×龍が如くSS】桐生は即席ナイト様 (25)



神室町の一角にて



??「ひ、ひいいぃぃぃ!」

??「ばば、バケモンだあああぁぁ…ゲフッ!」





一馬「…ん?」


一馬(路地の奥で男の叫び声が聞こえる…)


一馬(眠らない街、新宿神室町…)

一馬(この町じゃ、遊びの過ぎたチンピラが筋モンに『教育』されるって光景は日常茶飯事だが)

一馬(それにしては何か…尋常ではないものを見たって感じの悲鳴だったな)

一馬(行ってみるか…?)









No.XX 桐生は即席ナイト様 [NEW]




SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1593348255



神室町 千両通り 裏路地



謎の女「早く教えてくださいなのです」

謎の女「プロデューサーさんは、いったいどこに連れ去られたのですか」


傷だらけの男「し、しらねぇよ…俺たちはただ、あ、あのときァ見張りを頼まれてただけで…」




一馬「…女?」

一馬(路地の奥は、想像していたよりずっとヘンテコな状況のようだった)

一馬(地面に伏してる男の数、十人。その上に、まだ意識のあるらしい男から何かを聞き出している女が一人…)

一馬(ひと昔前のロリータファッションのような恰好をした緑髪の女)

一馬(こいつ、まさか一人でこれだけの男を?)




傷だらけの男「…あ?」




一馬(しかもこの倒れている男ども…明らかに堅気じゃねぇ)

一馬(いったいどうなってやがるんだ…?)




傷だらけの男「き、桐生…!!」




謎の女「!」


一馬「…なんだと?」






傷だらけの男「いや、もうこの際誰でもいい…た、助けてくれ…桐生…この女を止めてくれ…でないと俺まで…殺ら…」

傷だらけの男「」

ガクッ…



謎の女「…」


一馬「…どういうことだ?」



謎の女「…」


一馬「…」



謎の女「あなたもこの男の人たちの仲間なのです?」


一馬「…ん?」

一馬「い、いや、俺は…」


シュッ!



一馬「ぬぅっ!?」


謎の女「!!」



一馬(間一髪で避けることができた。な、何者だこの女…)

一馬(恐ろしく疾く、そして精密に俺の下顎を捉えていたアッパーカットだった…!!)



謎の女「…」








警官「通報があった場所はどこですか?」


民間人「そこです!そこの路地を奥に行った…」



謎の女「!」


一馬「!」





一馬(なにやらとんでもないことに巻き込まれつつあるようだ)

一馬(これ以上面倒なことになる前に、さっさとここを離れなければ…!)


謎の女「…っ」


一馬(女は焦ってあたりを見回している…この辺りの土地勘がないのか?)

一馬(これ以上の面倒ごとは…確かに御免なのだが…)

一馬(…)







一馬「おい、こっちだ。逃げるぞ」


謎の女「!」




神室町 第三公園



一馬「ふぅ…ここまでくれば、ひとまずは安心だろう」


謎の女「…」


一馬「…あんたが誰なのかは知らない」

一馬「だが、今度からは慣れねぇ場所での喧嘩には注意することだな」


謎の女「…キリューさん」


一馬「…ん?」


謎の女「って、男の人は貴方を呼んでました。知り合いなんですか?」


一馬「…俺はあいつを知らん。だが奴が俺を知っていてもおかしくはないだろうな」


謎の女「どういうことなのですか?」


一馬「俺は元ヤクザだ。東城会って組織のな。組の代紋を背負っていたこともある」

一馬「だが今は堅気だ。さっきも言ったが、あんたがヤクザ連中に何をしようと俺にはもう関係ない」

一馬「そういうことだ。じゃあな。なにやらあんたも訳アリの様子だが、今の俺にはやらなきゃいけないことがある」


一馬「セレナに行く…という、とても重大な用事がな」


謎の女「…」


一馬「…?」


謎の女「桐生さん」


一馬「ん?」


謎の女「姫、決めたのです!桐生さんを今から、姫の即席ナイト様に任命するのですよ!」


桐生「…どういうことだ?」





一馬「…なるほど、あんたは…いや、徳川まつりと言ったか」

一馬「もともとは港区あたりに構えてる劇場で活動しているアイドルだったのか」

一馬「だが、他所でアイドルやってる女がなんでまたこっちのヤクザとトラブってるんだ?」


まつり「まつり姫と呼んでくださいなのです」


一馬「…ん?」

一馬「俺があんたをどう呼ぼうが勝手だろう。こっちの質問に答えてくれないか」


まつり「まつり姫と呼んでくださいなのですー!」

まつり「ナイト様は姫のことをまつり姫と呼ぶことが古来からの慣わしなのですよー!」

まつり「ね?」


一馬「まつり姫というのがよくわからんのだが」

一馬「というかそもそも俺はその、ないと様とやらになった覚えはないしだな」


まつり「…ね?」


一馬「…だから、俺は」


まつり「ね?」


一馬「…いったいなぜまつり姫がこっちのヤクザとトラブってるんだ?」


まつり「ああっ聞いてくださるのですか…姫の身に起こってしまったあんびりばぼーな悲劇のことを…」


一馬(やりづれぇ)




一馬「ふむ、つまりこういうことか」

一馬「徳川まつりの…まつり姫の所属している事務所は長年961プロとかいうライバル事務所とシノギを削ってきたと」

一馬「そこの黒井とかいう社長の陰謀によって色々あって、あんたと、あんたのところのプロデューサーが神室町に迷い込んでしまったと」


まつり「お仕事の打合せをする会社の住所を、この町のあやしい事務所にすり替えられてたみたいで…」

まつり「姫たちは…聞くも涙、語るも涙な悲劇に見舞われてしまったのです…」


一馬「そりゃあ災難だったな」

一馬「この町で聞くアイドルって言葉は、大概が女を金ヅルにするためだけの方便だからな」

一馬「話の食い違いに気付いた時にはすでに連中のナワバリの中。もう遅かったんだろうぜ」


まつり「ええ…プロデューサーさんはどこかに連れ去られてしまいました」

まつり「そして、このか弱い姫もまた、悪い男の人たちの毒牙にかかってしまいそうになった時に…」

まつり「わんだほー!突然桐生さんが現れて、男の人をバッタバッタとなぎ倒してくれたのです!!」


一馬「男を裏路地に誘い込んでリンチしてたのはまつり姫だっただろうが」


まつり「ほ?なにを言っているのです?」

まつり「姫はか弱いのです。ね?」


一馬「いや、あの修羅場を作ってたのは紛れもなく…」


まつり「とにかく桐生さん、どうかこのか弱い姫を助けてください!」

まつり「あなたはこの姫のために妖精さんが使わしてくれた即席ナイト様なのです!」

まつり「こんなに危険な街に、ナイト様のいない姫が一人で歩くのはとっても危険なのですよー!」

まつり「それに、一刻も早くプロデューサーさんを助けなくちゃ、いったいどんな目にあわされているか…」


一馬「…」

一馬(ナイト様になる…というのは、おそらく用心棒になってほしいということなのだろうが…)

一馬(口ぶり的にはこの女のプロデューサーになるということと同義であるようにも思える)

一馬(このまま、まつり姫の即席ナイト様とやらになるのは激しく気が乗らない)

一馬(とはいえ、いくら腕っぷしが強いといえど、困ってる女を放っておくのも癪だな…)






一馬「わかった。力を貸そう」


まつり「はいほー!」

まつり「桐生さんならそういっていただけると信じていたのですー!」






まつり「この先なのです!」


一馬(…中道通りか)

一馬「ところで…」


まつり「ほ?」



一馬「その黒井社長とかいう奴は、いったいどんな奴なんだ?」

一馬「商売敵をこの町に放り込んで餌食にしようだなんて、まともな奴のすることじゃねぇ」


まつり「ええ。黒井社長は…姫たちの根も葉もないゴシップを広めたり、嫌がらせなんかは当たり前にやってきて…」

まつり「姫の仲間が山に置き去りにされてしまったこともあったそうです」


一馬「山に置き去りとは…ヤクザ顔負けだな」

一馬(俺も親友相手に似たようなことをやったことがある…ってことは言わないほうがいいか)


まつり「姫たちも負けじと、妨害しに来た黒井社長を海に投げ込んだり、対抗してはいるのですが…」


一馬「なに!?」


まつり「ほ?」


一馬「海に投げ込まれたのに生きているのか?」


まつり「…ほ?」


一馬(海に沈められても生き延びていけるほどの人間でもなけりゃ社長が勤まらねぇとは…)

一馬「なるほど…噂には聞いていたが、芸能界ってのはとんでもない魔窟みたいだな」


一馬(ならばアイドルも相応の武の心得を持っていないとやっていけないということか…)

一馬(まつりのデタラメな強さにも納得がいく…)



まつり「???」



神室町 天下一通り 事務所前


一馬「あそこか?間違えて入っちまったっていう事務所は」

一馬「事情を知っていそうな周りの奴から聞き出すしかないな」

一馬「じゃああんたはどこか隠れられる場所を見つけて…」


まつり「がんばってください桐生さん!」

まつり「もし怖い人が出てきても、桐生さんなら安心なのです!」

まつり「姫はすぐ後ろで桐生さんのことをずっと応援しているのですよー!!」


一馬「…」


まつり「ね?」



ヤクザ「くそっ、遅ぇな」

ヤクザ「使えねー奴等だ。メス一人捕まえてくるのにどれだけかかってやがる!」


一馬「おい」


ヤクザ「…ん?」


一馬「あんたに聞きたいことがあるんだが…」


ヤクザ「げぇっ!!き、桐生!?」

ヤクザ「な、なんでおまえがその女と一緒にいるんだ!?」

ヤクザ「いったいどうなって…ぐべへぇっ!?」ドッゴォ

ドッシャァァ!



一馬「ちょ、ちょっと待て」


まつり「ほ?」


一馬「あんたは後ろで応援してるんじゃなかったのか?」


まつり「姫はきちんと後ろで応援していたのですよ?」


一馬「さっきの男は明らかにあんたの掌底で吹き飛んで行っちまったんだが」


まつり「いったいなんのことです?」

まつり「きっと見えない妖精さんがなんとかしてくれたのですよ!わんだほー!」


一馬「早すぎて拳が見えなかったことは認めるが…」


まつり「あ、桐生さん!騒ぎを聞きつけた悪い男の人がたくさん建物から出てきたのです!」

まつり「プロデューサーさんの居場所を聞き出す絶好のチャンスなのですー!!」


一馬「だから穏便に聞き出そうとしたときに…いや、もういい」

一馬「まずはこいつらにプロデューサーの居場所を吐かせてからだ」



[△極]<ガチーン!




まつり「どこに連れ去られたかわかったのですね?」


一馬「…」


まつり「なら桐生さん!早くプロデューサーさんを助けに行ってあげてくださいなのです!」


一馬「…その前に」

一馬「あんたとの間に一つハッキリさせなきゃいけないことがあるようだな」


まつり「…ほ?」


一馬「まつり姫…いや、徳川まつり」

一馬「随分話が違うと思わないか?あんたは一体何がしてぇんだ?」

一馬「武人としてプロデューサーを助けたいのか?それとも姫として俺に守られていたいのか?」

一馬「どっちなんだ?」


まつり「…どういう、意味なのです?」



一馬「俺にはわかる。あんたは強い。その辺のチンピラなんてメじゃねぇほど強い」

一馬「それほどの強さをなぜ隠すのか?それは、あんたがアイドルとして生きている事と関係しているのか?」

一馬「そんなことは、俺にはどうでもいい」

一馬「だがな、そこまで自分を姫だと、俺のことをナイト様だと言い張るのなら、せめて俺の前では姫らしくしていてくれないか」

一馬「か弱い自分を守ってほしい。一応そういう思いがあって俺に助けを求めたんじゃないのか?」


まつり「…」


一馬「俺にだって、男としての意地ってもんがある」

一馬「行きがかり上とはいえ、一度守ると決めた女は最後まで背中で守り通すと俺は心に決めている」

一馬「それでも俺の、この男としての意地をないがしろにして、鉄火場であんたが俺の背中から出ようとするのなら…」

一馬「もうこれ以上付き合ってはやれねぇ。俺は今すぐナイト様から降りる」


まつり「…」


一馬「連れ去られた大切な人を守りたい。それで冷静さを欠き、前のめりになっちまう気持ちは痛いほどわかる」

一馬「だが今はそれをこらえて、俺にすべてを任せるのがナイトに守られた姫としてのスジってもんじゃないのか」


まつり「…」


一馬「安心しろ。あんたが俺をナイト様に選んだ…その武人としての観察眼が節穴じゃないってことを俺は証明して見せる」


まつり「…わかりました!」

まつり「お願いします!桐生さん!」




まつり「姫のお願いを叶えてくださいなのです!!」

まつり「でも姫はか弱いのですからね!ね!!」




地下駐車場にて


P「ぐああっ!!」


どんがらがっしゃーん!


ヤクザ「おいおい、いい大人が駐車場のど真ん中に寝っ転がっちゃだめでしょうがァ」

ヤクザ「車が通ったら邪魔だしさァ、泥だらけになったスーツ掴むこっちの身にもなって欲しいんだよねェ」


P「うぐぐ…」


ヤクザ「ここにサインするだけで丸く収まるっつってんのに、なーんで首タテに振ってくれないのかなァ」


P「当たり前だ…誰がまつりを…お前たちなんかに渡すか…!」


ヤクザ「…ちゃんと書類読んでよ。俺たちじゃないよ。あんだけの上玉なら相当高いランクのオジサマにお買い上げいただけるって書いてあるじゃん」

ヤクザ「まー向こうに卸す前にちょっとはこっちで味見させてもらうかもしれないけど」


P「ふざけるなっ!!お前ら女の子をモノみたいに…」


どんがらがっしゃーん!


P「うわあああっ!!」


ヤクザ「…いきなり何カッコつけちゃってんの」

ヤクザ「アンタだっていたいけな女共にエロいカッコさせて男の前で踊らせてんじゃん?やってることはおんなじでしょーが」

ヤクザ「めんどくせぇなァ。腰の上で踊らせた方がこーんなに稼げるっつってんのに」


P「…はは」


ヤクザ「…」


P「やってることが同じ?…全然違うね…お前たちと俺とは」

P「確かにアイドルには…そういう側面もあるかもしれない。異性を悦ばせるだとか…媚びを売るだとか…でも違うんだ」

P「アイドルは、自分が与えてばかりの職業じゃないんだよ」

P「ファンの人を勇気づけて、逆に勇気づけられて、夢を与えて、夢をもらって、お互いに与えあって大きくなっていくものだ」

P「女の子から一方的に奪って、干からびたら捨てるようなお前達なんかと一緒にするなっ!!」


ヤクザ「ほーう」

ヤクザ「そんなに夢見たいなら見ちゃう?一発キッツいやつ」


ドガッ!


P「うわあああ!」


ガシッ





P「…あれ?」


一馬「…」




ヤクザ「あんた…確か、桐生…?」


一馬「随分景気の良い話をしているじゃないか」


P(だ…誰だ…?)


ヤクザ「何の用すか?…ってか、もうヤクザでもなんでもないんでしょ?」

ヤクザ「カタギの人間がヤクザの仕事に口出すって、どういうことか知らないわけじゃないすよねェ?」


一馬「確かに俺はもうヤクザじゃない。だからヤクザの仕事にケチをつける筋合いも無い」


ヤクザ「分かってんじゃないスか。だったら…大事な話の邪魔しないでもらえませんかねェ?」


一馬「…あんたはどうやら勘違いしているみたいだな」


ヤクザ「あ?」


一馬「徳川まつりを使いたいってんなら…」

一馬「ハナシをつけなきゃいけないプロデューサーが、てめぇの目の前にもう一人いるって言ってんだよ」


P「え…!?」


一馬「どういうわけかナイト様とかいう名目で臨時プロデューサーを務める羽目になった、桐生一馬だ。よろしく」

一馬「というわけで、だ。その書類にサインをさせたいなら、あそこのプロデューサーの前に、まずこの俺に話を通してもらおうか」


ヤクザ「…」

ヤクザ「下手に出てりゃァ…!」



ザッ…



P「き…きき、桐生さん…でしたっけ…?」


一馬「…」


P「囲まれてます…!」


一馬「知ってる」

一馬「おいあんた、オレが合図したらすぐにその場でしゃがんで、とりあえず頭は守っとけ」

一馬「すぐに片を付ける」


P「…」


ザザッ…


一馬「…今だ!」




[△極]<ガチーン!








ヤクザ集団「」







一馬「終わった。もう動いてもいいぞ」


P「はい…ありがとうございます。本当になんてお礼を言ったらいいか…うぐっ」


一馬「相当やられてるな。無理に動かさないほうがいい」


P「いえ…このくらい…いててて」


一馬「とんだ災難だったな。あんたも、徳川まつりも」


P「…そうだ、まつりは?彼女は何処ですか?」


一馬「こことは少し離れた場所…第三公園で待っていてもらっているが」


P「い、いけない!」

P「桐生さんが来る前にこいつが命令してたんです!5人ぐらいの男たちに…まつりを探すのを手伝って来いって…!」


一馬「そいつらと入れ違いになったのか?…まずい!」


P「桐生さん、お願いします!まつりを…まつりを助けてください!!」



一馬(第三公園に急がなければ…!)




第三公園





まつり「はいほー!」[△極]

まつり「わーんだほー!」[△極]

まつり「びゅーりほーっ!」[△極]








一馬「…」


まつり「あっ、桐生さん!」

まつり「姫はこのとおり、お行儀よく待っていたのですよ!ね?」


一馬「…ん、まぁ簡単にヤられるタマじゃねぇとは思ってたぜ」


まつり「ほ?なんのことです?」


一馬「…なんでもない」


まつり「そんなことより、プロデューサーさんは…!?」






一馬「ああ…連れてきた」


P「まつり!無事だったか!!」


まつり「プロデューサーさんっ!!」






P「そうでしたか…俺を助けるために、まつりが桐生さんを…」

P「本当にありがとうございますっ!桐生さん!!」


一馬「いや、礼には及ばない。とにかくアンタはすぐ医者に傷を看てもらったほうがいい」


P「はい…」


一馬「…やはり痛むみたいだな」


P「あっ…いえ、そうではなく、自分の格好悪さを痛感してしまったというか…」


一馬「ん?」


P「騙されていたとはいえ、アイドルを危険に晒すことになってしまって…」

P「俺はアイドルを守り切れなかった…プロデューサー失格です」


まつり「プロデューサーさん!そんなことは…!」


一馬「どうやらあんたはひとつ思い違いをしているようだ」

一馬「確かにあんたは腕っぷしに関しては頼りないだろう。だがそれで格好がつくか、つかねぇかってのは話が違う」

一馬「…そんなのはどこまで行ってもチカラで全てを決める、ならず者連中の理屈でしかない」


P「…え?」


一馬「チカラ自慢の極道連中だって、どいつもこいつもてめえの身一つ守るので精一杯なロクデナシばかりだ」

一馬「それに比べれば、あんたみたいに大切なモノの為に自分より強いやつに立ち向かえる…そんな奴が本物の男だと俺は思うがね」


P「…そうでしょうか」


一馬「あんたは自分の身を挺してまつりを逃がしたんだろう。それは立派にアイドルを守ったってことになるんじゃないか」

一馬「まぁ、そのアイドルが、多少、なんかアレで、コトが変な方向に行っちまったわけだが」


P「…」


一馬「ともかく、あんた等は傷の手当てをしたらすぐにでも町を出たほうがいい」

一馬「もう奴らは手出しをしてこないだろうが、メンツをつぶされているわけから、万が一ってこともある」


P「…わかりました」


一馬「今の時代、人の格好のつけ方は一つじゃない」

一馬「あんたの隣にいるアイドルが、それをよく知っているはずだ」


P「…そうだ、桐生さん、これ」


一馬「ん?」


P「今はこんなものしかお礼できるものがないですが…」

P「もしよかったら、うちの公演を見に来てください。歓迎します」


一馬「大したことはしていないんだが…ありがたく貰っておく」


公演チケットを手に入れた




一馬「それと…まつり姫」


まつり「?」


一馬「あれほどあんたを守り切ると豪語しておきながら、最後の最後にはあんたの腕っぷしを使わせることになってしまった」

一馬「俺もまだまだ、ナイト様として半人前だったようだな。すまなかった」


まつり「ほ?いったいなんのことです?」


一馬「いや、さっき第三公園で襲ってきたヤクザ5人、あんたはその拳で…」


まつり「ほ?」


一馬「…」


まつり「わるい男の人は、妖精さんがぴゅーっと吹き飛ばしてくれたのです。ね?」


一馬「…」


まつり「ね?」


一馬「最後の最後に妖精さんの手を煩わせてしまったようだからな」


まつり「そんなこと、全然気にしなくてもいいのですよ!」




まつり「桐生さんには桐生さんの、守るべき本物のお姫様がいるでしょう?」

まつり「その子のこと、ナイト様としてしっかり守ってあげてくださいね?姫からの約束なのです!」


一馬「一度拳を交えただけで、そんなことまでわかるのか」


まつり「ほ?なにをいっているのです?姫はか弱いのですよ?」

まつり「桐生さんのことは、妖精さんが何でも教えてくれるのです!」


一馬「フッ…かなわねぇな。妖精さんには」





まつり「いつか劇場に遊びに来てくださいね!とびきりわんだほーな公演を見せてあげるのですー!!」


一馬「ああ。暇が出来たら観に行こう」






一馬(765プロ所属アイドル徳川まつり…か)

一馬(あのくらいイイ女相手なら、アイドルの追っかけやってみるってのも悪くないかもしれないな…)
















No.XX 桐生は即席ナイト様 [END]




[姫の極みを会得した!][CP+1]










後日・都内某所



一馬(パンフレットによるとこの辺りの地区に徳川まつりが出演する劇場があるらしいのだが…)

一馬(それらしい建物は見当たらないな…というか、へんなところに迷い込んだ気がする)



??「あのっ、すみません!」


一馬「…ん?」


??「もしかして貴方…アイドルに興味があったりしませんか?」


一馬「…なに?」

一馬(こいつ、なぜ俺が公演を見ようとしていることを知っている?)


一馬「いかにも俺はアイドルに興味を持ってココに来ている者だが」

一馬「アンタは一体何者だ?」


??「よかった!やっぱりアイドル志望の方でしたか!時間になってもなかなか来ないから心配していたんです!」

??「早速ですが詳しい話は事務所のほうで致しましょう!」

??「わたくし315プロでプロデューサーをしている、こういった者でして…」



一馬「ん?なんだと?どういうことだ?」









No.XX 前科(マエ)あってアイドル!? [NEW]




おわり




こんな変なSSを読んでくれてありがとう

HTML依頼出した後は

もっともっと面白い話が作れるように修行してきます


『龍が如く0/誓いの場所 最終回』
▽14章「不滅の絆」15章「木漏れ陽」
16章「愛の証」最終章「白と黒」
□1988年~神室町
(18:37~)

https://twitch.tv/kato_junichi0817

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom