男「上司とゾンビサバイバル」 (5)

職場、トイレ

男「あ、上司さん」

上司「お疲れ様、男君」

男「今日も暑いですね」

上司「もう七月だからねぇ。例年より暑いらしいよ?」

男「そういえば、昼どうしますかねー」

上司「あれ、今日外食? 一緒しようかなぁ」

男「そういうことじゃなくてですね」

上司「なんだい?」

男「さっきゾンビ出たんですよ、廊下に」

上司「ん? なにそれ」

男「ゾンビですよ、ゾンビ。人食って、食われた方もゾンビになるあれです」

上司「それは分かるんだけどね、廊下ってなんだい」

男「ちょっと来て下さい」グイ

上司「待って、男君! まだチャック締め切って――」

男「そーっと廊下覗いて下さい」

上司「な、なん――」ソッ

ゾンビ「オォォオ」

部下「ぎゃああああ!」

上司「ひぃぃいいいい!!」

男「ね?」

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上司「な、なにあれ!」

男「ゾンビですよ」

上司「分かってるよ!! なに、本物!?」

男「みたいですね」

上司「部下君食べられてたよ! 血、血が沢山!」

男「はい」

上司「なんでそんなに落ち着いてるの!」

男「上司さんのせいですよ! びびって催して逃げてきたら、なに穏やかに小便してるんですか! 流れ落ち着いちゃったでしょうが!」

上司「だ、だって知らなかったんだもの!」

男「知りませんよそんなの!」

上司「え、待って。なに、ゾンビなのあれ? 本当に?」

男「ゾンビ以外ないでしょあんなの!」

上司「え、え? ははは、いやいやいや。もう一回確認するよ」

ソーッ

部下「ぎゃ、たす、たす、けて……」


上司「あれゾンビだよ! 男君! ゾンビゾンビ!」

男「わかってますってば!!!」

上司「警察呼ぼう、警察!」

男「さっき掛けたら繋がらなかったです!」

上司「そんなのないよぉ……」

男「ど、どうしますか! 逃げますか! 窓、窓から逃げましょうよ!」

上司「ここ二十階だよ!? 無理だって!」

男「パラシュートとかないんですか! 防災用の!」

上司「ある訳ないでしょうが!」

カツ、カツ、カツ

男「え?」

部下「オォォオオ……」

上司「ぎゃああああ!」

男「大声出すから入ってきちゃったじゃないですか!」

上司「君だって大声出してたじゃない!」

男「上司さん、何とかして下さいよ! あれ部下でしょう!」

上司「ゾンビの部下なんてどうしようもないよ!」

男「いいから!」

上司「部下君、下がりなさい」

部下「オォオオオオ!」

上司「無理! 凄い歩いてきてる!」

男「やばいやばいやばい!」

上司「う、うわああああ!!」ドンッ

部下「オォォオ……」バタリ

上司「や、やっつけた! やっつけたよ男くーん!」

男「倒れただけですよ! 今のうちにトイレ出ましょう!」

上司「う、うん!」

タッタッタッタッ

ゾンビ「オォォオ」

ゾンビ「ウゥゥ」

ゾンビ「アァアアア」

ゾンビ「アアアー」

上司「ぎゃああああ! ゾンビで一杯だ!」

男「分かってますよ! 早く逃げましょう!」

上司「どこに!?」

男「ひ、非常階段だ! あそこの扉は分厚いから、逃げ込めば入ってこれませんよ!」

上司「よ、よし行こう!」

非常階段

ガチャ、バタン!

上司「はぁ、はぁ、はぁ」

男「やっぱり、思ったとおりだ。誰も居ない」

上司「ほ、ほんとだね。どうして分かったんだい」

男「多分、逃げようとした人は皆エレベーターに向かったんですよ。人間、咄嗟になるといつも使ってる帰り道を使っちゃうもんですから」

上司「なるほど! 流石男君!」

バン! バン! バン!

上司「ヒッ!」ズザ

男「扉は破られないとは思いますが、鍵は掛かってないんで、何かの拍子に開くかもしれません。急いで降りましょう!」

上司「わ、分かったよ!」

タッタッタッタ

男「そういえば、上司さんなにで通勤してます!?」

上司「電車だよ!」

男「俺車です! 乗っていって下さい!」

上司「助かるよぉ、ひぃ、ひぃ!」

男「汗だくじゃないですか!」

上司「40過ぎだよ!? こんなに走るのなんて何年振りか!」

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