サシャ「怖い話をしましょう!」(38)

※短いし、そんなに怖くないので期待しすぎたら駄目

サシャ「と、言うわけで皆さんを集めました!」

サシャ「噂に聞くと今回集まっていただいた皆さんは、104期七不思議とも呼べる素敵な怖い話を持っているとの事!」

サシャ「これは名探偵アルミン・アルレルトの名が疼きますね! ね!」

アルミン「いや、名探偵って……というかなんなの、これ」

サシャ「何って怖い話ですよ! しかも最近皆さんの身近に起こった獲れたてほやほやの怪談話ばかり!」

サシャ「アルミン・アルレルトの名に賭けて解かずにはいられませんはずです!」

アルミン「大分テンションおかしいけど、どうしたの?」

サシャ「だって怖いじゃないですかあああああああ! 解決してくれないとあたし静かに過ごせないよおおおおおおおお!」

アルミン「ああ、成る程……」

サシャ「さて、アルミン・アルレルトがやる気になってくれたところで最初の人!」

ジャン「うっせえな、芋女……っと、アルミン。お前も災難だな」

アルミン「あはは……まあちょっと興味もあるしね」

ジャン「ああ、好きそうだもんな。まあいい。あんまハードル上がっちまう前に話しちまおうか」

ジャン「あれは一ヶ月も経ってない頃の夜中だった。俺は夜中に便所に行きたくなって、蝋燭持って部屋を出たんだ」

ジャン「特に暑苦しくもないし、寒いってわけでもないが、まあなんか変な風みたいなのは吹いてたな」

ジャン「あと臭いだな。どっかで嗅いだ覚えはあるが……イマイチどこか覚えてねえ。結構頻繁に嗅いでるとは思うんだが」

ジャン「まあ何となく嫌な感じがしてたんだ。とっとと用済まして寝ちまおうと思って、俺は便所に急いだ」

ジャン「便所には何事もなく到着したんだが、用を足してる最中に事は起こった」

ジャン「いきなり蝋燭の火が消えたんだ」

ジャン「正直かなりびびったぜ。建物の中じゃ月明かりなんかも期待出来ないからな」

ジャン「ほぼ完全に真っ暗になったとき、また風が吹いた。そして声が、その風に乗って俺の耳に届いてきたんだ」

ジャン「『アナタチガウ』……ってな」

サシャ「ひいいいいいいいいいいいいいい!」

アルミン「」ビクッ

ジャン「」ビクッ

サシャ「人間技じゃないいいいいいいいいいい! こわいいいいいいいいいいいいい!」

ジャン「うるせーっつーの! ビビらせんじゃねぇよ!」

アルミン「さ、サシャってこんなに怖がりだったんだね……」

ジャン「ああ、みたいだな」

アルミン「え? みたい、って、サシャにはもう話してるんじゃないの?」

ジャン「ん? 俺は初めて芋女に話したぞ」

アルミン「あれ? じゃあなんでこんなに驚くんだろう……」

ジャン「俺が怖い話をしてたって噂を聞いただけで、内容までは知らなかったんじゃねえか?」

アルミン「そっか。多分そうだろうね」

ジャン「ったく、怖いならこんな会開くんじゃねえよ。やり方も面接っぽくサシで話すってのもわけわからねえぞ」

アルミン「怖い話って、怖がりな人ほど結構好きだよね」

サシャ「そんなことより! アルミン・アルレルト殿! 早く解決してくだされ!」

アルミン「殿って……とりあえず僕が言えるのは、情報が少な過ぎてわからない、ってだけだよ」

アルミン「その風と臭いが何なのかわかれば、もうちょっと考え様もあるんだけど」

ジャン「必ずどっかで嗅いでるとは思うんだが、イマイチピンとこねえんだよな」

アルミン「当事者ジャンがわからないんだったら、僕にもちょっとね」

サシャ「えぇい! 気を取り直して次です、次!」

コニー「次は俺か。まあ俺のは怖いっつーか、わけわからん話なんだけどよ」

コニー「洗濯当番あるだろ? 夕方、みんなの洗濯物集めて洗濯場に運ぶ奴」

コニー「丁度俺が当番だったんだけど忘れててよ。暗くなってから慌てて持って行ったんだ」

コニー「その途中で、トントンって指一つで肩を叩かれたんだよ」

コニー「急いでるのに誰だよーって感じで振り返ったんだが、誰もいなかった」

コニー「んだよ、って思って振り返るとさ、手に持ってた洗濯カゴがなくなってるんだ」

コニー「あれ!? って思って慌ててあたりを見たらさ、ちょっと離れたところの窓が開いてたんだ」

コニー「そっから窓の外を覗いたら、芝生の上に洗濯カゴがぶちまけられてたんだ!」

サシャ「きゃあああああああああああああああ!」

コニー「うっせーな、洗濯カゴが飛んでいっちまっただけだろ」

アルミン「……コニー、それ本気で言ってる?」

コニー「? おう」

アルミン「そ、そっか。ならいいんだ。不思議なこともあるんだね」

サシャ「ちょっとおおおおおおおおおおお! それで済ましちゃだめええええええええええええ!」

アルミン「と言われても、悪戯目的で誰かが素早く洗濯カゴを奪って窓の外に投げただけかもしれないし」

アルミン「ありえないとは思うけど、振り返った拍子にコニーが窓の外に投げちゃったのかもしれない」

アルミン「ジャンの時も言ったけど、情報が少な過ぎるよ」

コニー「おぉ! そんなに色々考えれるなんてアルミンすげーな!」

アルミン「えぇー……(適当に言ってるだけなんだけど)」

サシャ「アルミン・アルレルトが予想以上に使い物にならない……!」

アルミン「ひどいね。というか、なんでさっきからフルネーム?」

サシャ「次! おさげの人来て!」

ミーナ「ミーナだよ! 覚えてないの!?」

アルミン「ちょ、ちょっと気が動転してるだけだよ、多分」

ミーナ「そ、そうよね。よっぽど怖いのかな?」

サシャ「こうなったらアルミン・アルレルトが解決できるほどの情報量を得るしか残された道はないんですよ!」

ミーナ「じゃあ話すね。ちょっと前に遠征訓練で登山したときあったでしょ? その時のことなんだけど」

サシャ「あ、じゃあいらないです」

ミーナ「えっ」

アルミン「えっ」

サシャ「えーじゃあ次の……」

ミーナ「ちょ、サシャ! 聞いてよ!」

サシャ「時間がないんですよ! 早く解決してもらわないと困るの! だから関係ないことはいい!」

アルミン「いや、関係はあるかもしれないよ? ジャンとコニーの話もわりと最近だし、何か情報があるかも」

サシャ「山の出来事ならあたしには関係ないんですが……」

ミーナ「ねえサシャ、何かおかしくない?」

サシャ「どこがですか! あたしはおかしくなんかないよ!」

アルミン「ま、まあまあ。とりあえず聞こうよ。最近連続して起きてるなら、何か繋がりがあるかも知れないでしょ?」

サシャ「うーん、アルミン・アルレルトが言うなら仕方ないですね。手短にお願い」

ミーナ「なんか私の扱い雑じゃない……?」

アルミン「だから何でフルネーム……」

ミーナ「えー、コホン。じゃあ気を取り直して。この前の登山訓練のときは班行動だったよね?」

ミーナ「私とエレンとアルミンと……まあ、以下省略ね。で、夜に夜営してたときなんだけど」

ミーナ「実は私、見張り番のときにちょっと居眠りしちゃったんだ」

ミーナ「目が覚めて、慌てて周囲を確認したけど、幸い特に異常はなかった」

ミーナ「最初は、そう思って胸を撫で下ろしたんだ。で、慌ててたのがちょっとずつ落ち着いて、ん? って思ったの」

ミーナ「寝袋の数が、一つ多いの」

ミーナ「何回か数えても、明らかに寝袋の数が多い」

ミーナ「まだ寝ぼけてるのかな? って思って、目を擦って、もう一回確認しようとしたら」








ミーナ「目の前に寝袋が立ってたの」

アルミン「……っ。なかなか怖いね。それで?」

ミーナ「わからない。私気絶しちゃって、もう一回目を覚ましたら寝袋はちゃんと正しい数あったんだ」

ミーナ「あんまりにも怖かったから、エレンを起こして確認してもらったけど、班員は全員揃ってたよ」

アルミン「寝袋に入った誰かの悪戯、かな? それとも……」

ミーナ「や、やめてよ、幽霊とか言わないでよ!」

サシャ「……終わりました?」

ミーナ「え? う、うん」

サシャ「じゃあ次の人ー」

ミーナ「えぇ!?」

アルミン(自由だなぁ……)

ライナー「……正直な話、アルミンにはマジで解決して欲しい。頼むぞ」

アルミン「ライナー? すごく深刻そうな顔してるけど、何があったの?」

ライナー「俺は一回や二回の体験じゃない。もう五回くらいになるな。現在進行形で、その脅威に晒され続けている」

ライナー「正直、夜寝るのが怖くなってきてんだ」

アルミン「そ、そんなに……わかったよ、僕に出来ることなら全力で手助けする」

ライナー「……助かる。はは、何が兄貴だ、情けねえ」

アルミン「普段ライナーには色々助けて貰ってるからね。恩返しが出来るなら僕も嬉しいよ」

ライナー「はは、ありがとな……だが、冷静に考えたら俺がお前に伝えれる情報は少ないんだ」

ライナー「寝ているとき、突然浮遊感に襲われたかと思うと、次に目を開けたとき、芝生に転がっている」

ライナー「これだけだ」

アルミン「え!?」

サシャ「」白目

ライナー「本当に、わけがわからねえだろ? 俺にも何が起きてるのかさっぱりわからん」

アルミン「それ以上の情報は本当にないのかい?」

ライナー「ああ。全部寝てるとき、一瞬の出来事だ」

ライナー「気配とか何も感じん。だが、俺は部屋のベッドから部屋の外まで一瞬で移動している」

サシャ「」白目

アルミン「何が起きてるか確認しようとしたことは?」

ライナー「もちろんある。が、さっきも言ったように、必ず俺が寝てるときしか起こらない」

ライナー「いや、違うな。隣のベルトルトに一度頼んだことがあるんだ。寝ないで俺を見張っていてくれってな。そのときも何も起こらなかった」

ライナー「あとアルミン、お前が夜遅くまで本を読んだりしてる日も起こったことはない」

ライナー「つまり、部屋の人間が全員寝てる状況じゃない限り、起きたことはないんだ」

アルミン「得体が知れないね……ベッドの位置を変えるとかは? 例えば今日、僕が変わってみようか?」

ライナー「いや、それは駄目だ。何せ芝生で目を覚ますときは結構な衝撃だからな」

ライナー「頑丈な俺だから何とかなっているようなもんだ。お前と変わるわけにはいかん」

アルミン「……可能性があるとすれば、誰かがライナーを外まで運んで落としているか」

アルミン「ライナーが、ひょっとして夢遊病なのかもしれない」

ライナー「夢遊病?」

アルミン「正しくは睡眠時遊行症って言うんだけどね。無意識の状態で歩いたり、何かしちゃう病気なんだ」

アルミン「原因としては興奮状態のまま眠りに付いたり、精神のストレスによるものが多いらしい」

ライナー「……ストレス、か」

アルミン「可能性の段階だけどね。心当たりがあるなら、一度医者にかかったほうがいいかもしれない」

アルミン「僕はライナーがそんなことになってるとは思えないけど……」

ライナー「買い被りすぎだ。俺だってストレスやらを感じることはある。ありがとよ、アルミン。少し気持ちが軽くなった気がするぜ」

アルミン「ううん。今度から僕も、ちょっと注意してみるね」

ライナー「ああ、助かる」

サシャ「夢遊病ですね!? やった、アルミン・アルレルト! 一つ解決できたね!」

アルミン「……サシャ、空気は読もうね」

サシャ「さー、このままサクサク解決です! 次のお方ー!」

エレン「やっと俺の出番だな! へへへ、こんな日の為に取っておいたすっげえ怖い体験があるんだ!」

アルミン「エレン……? すごく嬉しそうだね」

エレン「ああ! 本当に怖かったからな!」

アルミン(話したいのを必死に我慢して、怖い話のときに話そうと思ってたんだろうね……)

エレン「俺が体験したのは、三日前」

アルミン(あ、そんなに必死ってわけでもなかった)

エレン「夜中にトイレに行って、帰ってきたときだ」

アルミン「まさか『アナタチガウ』って奴?」

エレン「ん? なんだそれ?」

アルミン「あ、違うんだ……ごめんね、続けて」

エレン「おう。部屋に戻って、ベッドに潜り込んだらさ、感触が全然違ったんだ」

エレン「ベッドって木だし、布団も薄いし、硬いのが普通だろ? だけどやたらと暖かくて、ちょっと弾力があった」

エレン「変に思ってちょっと顔を上げて、じっと布団を見てみたんだ」

エレン「そしたらよ、ミテルミテルワタシヲミテルって布団から声が聞こえてきて」

エレン「そんで段々と布団が人の顔になってきたんだ!」

エレン「しかも俺を抱きこむように、布団が腕の形になってきた!」

エレン「俺は慌てて跳ね起きて、ベッドから距離を取って逃げたよ」

エレン「そしたら布団が起き上がって、ずるずるとベッドから降りてきたんだ!」

サシャ「くぁwせdrftgyふじこlp」

エレン「俺は慌てて部屋から飛び出して逃げた。そうしたらその布団も俺の名前を叫びながら後を追っかけてきて」

エレン「三十分くらいかな? ずっと追い掛け回されたんだが、そのうち布団の姿が見えなくなったんだ」

エレン「でもさすがに部屋に変えるのは怖いし、馬舎で夜を明かしたんだけどな」

エレン「どうだ、アルミン! 怖いだろ!」

アルミン「確かに怖いね。みんなに聞かせたらビックリするよ、きっと」

エレン「やった、アルミンのお墨付き! 早速みんなに話してくるぜ!」ダッ

アルミン「……さて、次は?」

サシャ「今の人で最後ですよ!」

アルミン「そっか。じゃあサシャ、もう怖いことは起こらないから心配しないでいいよ」

サシャ「え!? ほんと!?」

アルミン「ああ。全部わかった気がする。それで今から解決してくるよ。だからサシャは安心してね」

サシャ「本当ですね、アルミン・アルレルト! 嘘ついたら呪いますよ!」

アルミン「呪うって大袈裟な……」

サシャ「はー、これでゆっくり寝られる! じゃあね!」

アルミン「……最後まで変なサシャだったなぁ」

アルミン(話を総合すると、この怪奇現象? の根源って……あの人しかいないよね)

アルミン(犯人が知れたらさすがに不味いから適当にとぼけてたけど、このまま放置するわけにはいかないし)

アルミン「話したら、わかってくれるよね」

ミカサ「アルミン、どうしたの?」

アルミン「今、時間ある?」

ミカサ「エレンがみんなを集めて怖い話をするらしい。あまり時間はない」

アルミン「そっか。じゃあ手短に言うよ。建物の中で立体機動装置使っちゃ危ないだろ?」

ミカサ「ワイヤーの長さを調整して使っていた。それに私の技量なら問題ない」

アルミン「でもよく見つからなかったね。ガスの臭いとか、ワイヤー巻き取る音で気付かれそうなものだけど」

ミカサ「眼鏡の調査兵団の人に消音型装置を試供してくれと頼まれたので」

アルミン「そんなの開発してるんだ、初耳だよ。ああ、あとコニーに迷惑かけちゃ駄目だよ?」

ミカサ「エレンの洗濯物があると思ったら、つい」

アルミン「窓の外に投げて、どうしたの?」

ミカサ「投げたのではない。抱えて窓の外に跳んで出た。そして空中で即座にエレンの衣類を判別し、用済みのカゴは捨て、私は茂みに隠れた」

アルミン「さすがだね、もはや人間業じゃないよ……」

ミカサ「それほどでも」

アルミン「いや、褒めてはないよ。それに登山訓練のとき、勝手に夜中抜け出したんだって?」

ミカサ「私は昔、ずっとエレンと一緒に寝ていたのに最近は寝れていない」

ミカサ「ので、エレン分を補給しなければならないので、仕方なかった。ミーナを驚かせてしまったことは申し訳ないと思っている」

ミカサ「が、あの家畜以下はエレンを起こし、あまつさえ一晩側に居てもらうという、うらやまけしからん状況にあった。いずれ天誅を下す予定」

アルミン「駄目だよ。そもそもの原因はミカサじゃないか。じゃあライナーは一体何だったの?」

ミカサ「登山訓練でもやはりエレン分の補充は満足行くものではなかった。ので、夜中男子寮に潜入することにした」

ミカサ「最初はエレンにルパンダイブをしてしまいそうな欲求を抑える為に、ライナーを外に投げ飛ばした」

アルミン「特に理由はないのに不眠症まで追い込まれそうだったのか、ライナー……」

ミカサ「しかしあのゴリラ、何回か投げ飛ばしてるうちに夜間起きたままだったり、べ……ベルトーヴェンに一日中見張るように命令したりして、私の妨害を行なうようになってきた」

アルミン「それで、今度はエレンの布団の中に入り込んだの? 敷布団と掛け布団の間じゃなくて、敷布団の中に。あとベルトルトね」

ミカサ「誰にも見つからず、穏便に行く最善の策だと思ったのだけど、エレンの温もりが近過ぎて、欲求を抑えられなくなった」

ミカサ「しかし布団は機動力が著しく低下する。お陰でエレンを逃がしてしまった。のでもう少し改良の余地がある」

アルミン「……ミカサ、エレンのことが好きなのはわかるけど、そんなストーカーまがいのことはやめるんだ」

ミカサ「……そう、アルミンも、私の邪魔をするのね」

アルミン「そ、そうじゃないよ! でも、エレンだって怖がるし、何よりみんなにも迷惑をかけてる! 方法を変えるべきだ!」

ミカサ「アルミン、私もひとつ、怖い話を思い出した」

アルミン「えっ」

ミカサ「お母さんが言っていた」

ミカサ「幽霊と言うのは、この世に未練があったり、後悔があったり、それで成仏できない可哀想な存在なのだと」

ミカサ「中には私怨に近いものもいるけれど、全てがそうじゃない。決して怖がってはならない、それは幽霊に対して失礼だ」

ミカサ「例えばそれが、残した子供を見守りたいと思っているのだったら、誰も咎めることはできないのだから」

ミカサ「彼らは人間に危害を加えることは出来ない。だから恐れてはいけない」

ミカサ「それにこの世界には幽霊なんかより、よっぽど怖いものがある」

ミカサ「巨人と」




ミカサ「こころのこわれたニンゲン」


.

サシャ「ふっふーん♪ 今日も大漁です♪ おや? みなさん集まって何してるんですか?」

エレン「おう、サシャ。さっき面接みたいに一人ずつだっただろ? だから今度はみんなでやろうぜ」

サシャ「さっき? 面接? 何をやってたんですか?」

クリスタ「さっきアルミンとサシャが怖い話を解決するんだって集まってたんじゃないの?」

サシャ「え? 私、そんなことやってませんけど?」

ジャン「はぁ!? やってただろ! 耳元でぎゃーぎゃー騒ぎやがって!」

サシャ「してませんってば! そもそも私、怖い話で声とか上げませんし!」

ミーナ「そうだよね、私の時は全然興味なさそうだったし……」

サシャ「いえ、怖い話に興味はありますよ? ミーナはどんな話をしたんですか?」

コニー「なあ、サシャが何いってんのかわからねーのは」

ライナー「ああ、お前が馬鹿だからじゃないぞ」

アニ「……そういえば、聞いたことがあるね」

ユミル「何をだ?」

アニ「ある日、突然、一人の訓練兵が変なことを言い出したんだってさ」

アニ「真面目で物静かな奴が、突然大声出したり、よくわからないことやりだしたり」

アニ「そしてそいつがどこかに行った後、再びみんなの前に現れたとき、普段どおりの性格に戻ってた」

アニ「心配した同期はさっきは何だったのか尋ねると、そいつは『自分はさっきまで用事があって、そもそもここに戻ってきていない』って言うんだ」

アニ「確認すると、確かにそいつは教官に仕事を頼まれて、変な状態の時には他の人と仕事してたんだってさ」

アニ「で、あんたはさっきまで何をしてたんだい?」

サシャ「……私ですか?」ニヤッ

サシャ「見てください! このお芋の数! 今日搬入日でゴタゴタするので取り放題だったんですよ♪ お昼食べてからずっと張り付いてた戦果です♪」

エレン「えっ」

ジャン「えっ」

コニー「えっ」

ミーナ「えっ」

クリスタ「えっ」

ライナー「えっ」

ユミル「えっ」

アニ「……大当たりって奴?」

サシャ?「さすがアルミン・アルレルト! 全て解いてくれるとは!」

サシャ?「ついでに訓練兵驚かすノルマもクリアしたし、これで今年はゆっくり寝れるなー」

サシャ?「あたしじゃないし、他に霊なんかいないのに、怪奇現象なんか起こるからびっくりしちゃったよー」

訓練兵の霊「……しっかし、同期に驚かされた拍子に転んで頭打って死ぬなんて思わなかったな」

訓練兵の霊「しかも驚かされた仕返しをしたいって、ちょーっと思ったのが原因で自縛霊になっちゃうし、一年に一回誰か驚かさないと存在が消えてしまう決まりがあるから大変だわー」

訓練兵の霊「ま、あとは気楽に寝てすごそーっと……おや?」

訓練兵の霊「へい! そこの君! 存在感の薄い君だよ! アナタもひょっとして事故で死んじゃったクチ?」

ベルトルト「……え?」

訓練兵の霊「……え? ひっひいいいいいいいいいい! 生きてるのに死んでるくらい存在感薄いいいいいいいいいいいい!」

ベルトルト「え!?」

おわり


ミカサにテヘペロさせて終わらせようかと思ったけどドンドン病んでいったのでベルナンデスさんに白羽の矢が立ちました

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