キミとアタシのパラドクス (56)
星と翼のパラドクスの二次創作SSです。
地の文おもっくそアリ。亀さん更新予定ですが、ちゃんと完走できるよう心がけます。
http://starwing.jp/
ゲーセンで好評稼働中!キミもアズワンと空を飛ぼうぜ!!
なんかRに飛ばされちゃったみたいですがそのまま続けます。
緩やかな水の流れの中で、波に体を揺さぶられる様な感覚に囚われる。
気がつけば俺は暗闇の中に居た。確かに瞼を開いているはずなのに、一向として外の景色は見えてこない。
それに酷く体が重い。まるで全身の血が鉛に変わってしまっのたかと思える位に。
「...き...、しっか...」
先程から、何処からともなく声が聞こえる。まだ未熟な、とても張りのある元気な声だ。
返答したいのだが、どうにも体が動かない。冬の寝起き5分間の様に、頭では分かっていても体が反応しないのだ。
「起きなさいッ、この寝坊助ヤロウ!!!」
「ぶっ」
その言葉と共に、頬に衝撃が走る。無理やり意識を引きずり出された俺は、ようやく本当の意味で瞼を開く事に成功する。
目を開けると、少しくすんだピンク色の髪を携えた、背の小さな少女。
そしてその背後には、少女に寄り添うように傅く巨大な銀色の機体が鎮座していた。
「ちょ...え?ここ、何処?」
それが口を開けて、搾り出した我が第一声である。ここが自分にとって全く身に覚えのない場所だからだ。
とりあえずここに至るまでの経緯を思い出そう。そう、アレは確か...
「...俺は誰だ?」
困った事に全く思い出せない。それどころか自分の名前すら分からないじゃないか。
まるでお決まりの様な言葉を彼女に話すと、有無も言わさず脇に肩を回された。
「え?え?」
「いいからお前は今黙ってて!それ所じゃないの、見たら分かるべ!?」
OP『シャーリー、迷彩稼働時間の余裕があまり無いわ』
「チッ...時間が惜しい」
彼女は忙しなく端末を操作しながら、インカムでオペレーターとやり取りをしている。
そして、彼女に担がれながら機体へ近づいた途端。
ドンッ!!!
「うおっ」
「きゃあ!」
突如として爆音が鳴り響き、砂煙が視界を遮る。あまりの衝撃に俺と彼女はその場に倒れこんでしまった。
『シャーリー!?大丈夫、応答して!...デルタ班、指定ポイントに至急援...』
砂埃が収まり、俺は改めて周りを見渡す。
「なんだよ、これ...」
気がつけば俺達の周りには彼女の機体と同じような物が、空中に周囲に無数に漂っていたのだ。
「うっ...いった...」
「おい、大丈夫か!?キミ、血が」
足元に蹲る彼女を見ると、右手が血にまみれていた。どうやら衝撃と共に飛んできた岩か何かにやられたみたいだ。
「はぁ...はぁ...。シルバーウォーリアー、コックピットのハッチを開けて」
彼女の声に呼応すると、人型の機体はおもむろに搭乗席を開き、俺達の目の前に右手を差し出す。
「お前、自分で歩ける?」
「もう大丈夫」
「さっさと乗るわよ」
「...ああ」
本当は彼女には聞きたい事が山ほどあるが、今はそんな状況ではない事は明白だ。
言われるがまま、俺は彼女と供に機体の右手に乗ると、そのまま狭いコックピットへと迎え入れられた。
「狭くて悪いわね、元々一人用なの」
「いや、大丈夫。うん」
現在、俺は彼女を膝の上に載せている状態である。
その彼女はなにやら画面を操作している。
しかし顔色はあまりよくなく、怪我をしていない左手を動かすので精一杯のようだ。
「なあ、キミ、シャーリー?だっけ。怪我は大丈夫なのか」
シャーリー「...ごめん、今あんまり余裕ないの。後にしてくれる」
「わかった」
彼女に制され、俺はお口チャックをした。
暫くの間、静寂が流れると作業が一段楽したのか彼女は肩の力を抜く。
「終わった?」
シャーリー「取り合えず、はね。...あまり状況は芳しくないけど」
「なあ、一体どんな状況なんだ?俺達、周りの奴らから狙われてるんだよな?」
シャーリー「まあ、そんな所」
「...結構ピンチ?」
彼女は俺のその言葉に自称気味に笑うと、
シャーリー「今すぐ死ぬわけじゃないけど、このまま行ったら二人ともここでお釈迦ね」
「マジか」
シャーリー「悪いけど気休めを言う余裕も、冗談も言う余裕も無いわ」
「...なあ、俺の事知ってたりする?」
シャーリー「...どうやらお前には冗談を言う余裕はあるみたいね」
「冗談なんかじゃないって!本当に自分が誰なのか分かんないんだよ」
シャーリー「取り合えず、ここから抜け出せてから考えなさい」
「はぁ」
そう告げると彼女は再び画面を弄り始めた。どうやら外部との通信を試みているらしい。
「これからどうするんだ?」
シャーリー「そうね、今私達は光学迷彩で姿をくらましてるの。周りにいる敵の自律ARからは気づかれて無いわ」
「じゃあひとまずは安全、と」
シャーリー「でもこの光学迷彩、あんまり燃費が良くないの」
「ということは」
シャーリー「いずれバレるわ。あと、この迷彩はレーダー上でしか意味がないから、有人AR...ARってわかる?」
「なんとなく。要するにこのロボットの事だろ?」
シャーリー「...取り合えず目視されたら普通にバレる」
「打開策は?」
シャーリー「味方の救援を待つしかないわ。最悪迷彩が切れても、シールドがあるから少しの時間は持つけど」
シャーリー「あんまり期待しないほうがいいわね」
意外にも早くその時は来た。来てしまった、というのが正しいのかもしれないが。
ヴゥン
シャーリー「迷彩が切れたわ。衝撃に備えて!!」
「ッ!!!」
途端に回りに漂っていた自律ARがこちらに銃口を向けると、一斉に攻撃を始める。
外部から襲われる衝撃とともに、煩いブザー音が鳴り響き、画面いっぱいに真っ赤な文字のAlertが映し出された。
シャーリー「これはちょっと洒落になんないわね...」
「このARを動かして脱出できないのか!?」
シャーリー「やれるならやりたいけど、何故かARのアズワンシステムが反応しないの!ワタシのコードと!」
「そんな...」
俺達はこのまま死ぬしかないという事か。
味方の救援とやらも何時くるか分からない。ここからなすべき手立ては残されていないのか。
シャーリー「...んっ」
膝元で彼女が震える。どうやら涙がこらえられなくなったみたいだ。
よく見れば俺よりも幼いであろう彼女が、死に直面しているのに恐怖を感じ無い訳がないのだ。
こんな状況で自分の事ばかりを考えていた己に辟易する。
何か俺にやれる事はないのか。
彼女の後ろから手を回し、無意識のうちに操縦舵を握る。
それは何故かしっくりくる、体に馴染んだ動作だった。
シルバー・ウォーリアー『シルバー・ウォーリアー、システムを起動します。登録アズワン、翔、認証完了しました』
「え?」
その機械音声とともに、銀色のAR、シルバーウォーリアーが機体の姿勢を変える。
シルバー・ウォーリアー『シールド被害甚大、早急な回避行動を』
「ちょちょ、シャーリちゃん、なんかやばい所触っちゃったみたいなんだが」
シャーリー「なんで、どうなってんだべ!?」
驚く彼女を他所に、俺は左レバーのボタンと右ペダルを同時に踏み込む。
シルバー・ウォーリアー『フルドライブに移行します。アズワン、シートベルトを』
「あ、はい」
落ち着いてシャーリーの上からシートベルトをかける。それは酷く間抜けな風景に見えたかもしれない。
そして間髪いれずに、周りの景色が一変した。全てを置き去りにする形で、風景がじぶんの視界から流れていく。
座席に縛り付けられるような重力から、このARがとんでもない速度で突き進んでいる事が分かった。
「うおおおお!?シャーリー、やばい、こrえ、どうすればいいの!?」
シャーリー「...」
目の前に座る彼女に話しかけるも、反応がない。どうやら気を失っているみたいだ。
「取り合えずさっさと逃げなきゃな...」
急激な加速で敵を置き去りにする。操縦舵を握りながら、俺は徐々に高度を上げることにした。
OP『シャーリー!!ARの起動に成功したのね!?』
彼女の耳元のインカムから声が聞こえる。おそらく仲間からの通信だろう。
指示を仰ぐために、俺は出来るだけ大きめな声で返答をした。
「えっと、あの!シャーリーに助けられた者ですが!いま、敵のARから逃げてて、そんでシャーリーが気絶してて」
OP『ちょっと落ち着いて!と言うか、どうしてシャーリー以外のアズワンがARを操作できるの!?』
「これからどうすれば...」
再びけたたましいアラートが鳴り響き、画面にROCKONと映し出される。
「くそッ。しつこいなぁ!」
OP『おちついて!操縦舵の左ボタンで回避を...』
オペレーターに言われる前に、体が勝手に動いていた。
ARをバレルロールの様に反転させながら、後続の敵自立ARに対面する。
『多連装誘弾 大蛇 スタンバイ』
シルバー・ウォーリアー『「ROCK ON!!!」』
右トリガーを思い切り引くと、ドドドドという連続の低重音とともに無数のミサイルが吐き出された。
こちらの攻撃を見るが否や、敵ARは散り散りに回避行動を行う。
しかしこちらを追撃中の高速移動では急激に方向は変えられず、敵の自律型ARは空に這う蛇のようなロケットにかみ殺されて爆散していった。
「はぁ...」
OP『ちょっと、本当に全部撃墜するなんて...キミ、一体何者?』
俺も良くわかんないんですよ、それ。
そう口に出そうとするも、緊張からか喉がカラカラで旨く話すことが出来ない。
自分が無駄口も叩けないほどに疲弊している事に気づいた。
一先ずの危機は去った所為か、強張っていた肩の力がゆっくりと抜けていく。
後はこのオペレーターの指示に従って移動をすれば...。
しかし俺の思考を見透かすかの様に、あの不快なアラート音が再び耳に鳴り響いた。
もう聞きたくないと思ってたんだけどなあ...。
シルバー・ウォーリアー『敵AR接近 型式番号XKT-015』
OP『そんな、何でこんな時に...』
「まだ何か来るんですか!?」
OP『...さっきとは比べものにならない位の奴よ。』
OP『カーディナル。帝国のアズワンが乗った有人ARだわ』
一先ず終了。また書き溜めます
画面左下に映し出されているレーダーに、赤い点が一つ現れる。
急に出現したそれは、恐るべき速さでこちらに急接近している事が分かった。
OP『フルドライブでそこから離脱して、早く!』
オペレーターの助言どおり、俺は先程と同じ操作でARをフルドライブに移行させようとする。
しかしこの敵ARのスピード、恐らくこのARよりも...
シャーリー「駄目よ。ここまで近づかれたら、シルバーウォーリアーじゃカーディナルは振り切れない」
「シャーリー!」
膝元の彼女が目を覚ます。
息も絶え絶えと言った感じで彼女から出されたのは、
シャーリー「いい?よく聞きなさい。おそらく奴らの狙いはお前よ。だから、おとなしく向こうに投降すれば直ぐに命までは取られないはず」
降伏の提案であった。
「...投降したとして、シャーリーの命に保障はあるのか?」
シャーリー「それは...」
例え俺が助かったとしても、明確に敵対する彼女を、奴らはみすみす見逃してくれるのだろうか。
数秒、暗黙の空間がコックピットに広がる。
『投降するのをお勧めしますよ』
「!?」
突如、新しい声が会話に加わった。
それは明るい青年の声だったが、出来るだけ声の抑揚を抑え、冷静に振舞おうという意図を感じる。
「カーディナルのパイロットか」
ナギ『イ・リアスタ帝国所属のナギです。どうぞお見知りおきを』
対面する向こう側から、一機の赤いARがこちらへ飛んでくる姿が見える。
あのスピードでは彼女の言うとおり、遅かれ早かれ追いつかれていただろう。
「...女子会の盗み聞きとは感心しないな?」
ナギ『ああ、これは失礼しました。声を聞く限り、男性だと思いましたが』
「うるせえ、男は誰しも心の中にかわいい少女が住んでるもんなんだよ」
ナギ『それは知りませんでしたね。ぜひ帝国に帰ってから教えていただきたいものです』
「...」
腹の足しにもならない糞みたいな会話を繰り広げながらも、俺は次に何をすべきかを考える。
一番の問題はシャーリーの容態だ。先程から肩で息をしている状態で、右腕にかけての裂傷も酷い。
このままでは、彼女は出血多量で死んでしまうだろう。
最善の手を考えなければ...。
気がつけば、カーディナルはもう目の前にいた。これでもう逃げると言う選択肢は潰えた訳だ。
「なあ、もし俺が投降したら、こっちのもう一人のARパイロットは見逃してくれるのか?」
彼女に危害さえ加えないと約束できたら、投降するのも吝かではないという意思を告げる。
ARの操作が出来なくても、後から救援に来る味方が彼女を助けてくれるだろう。
これがシャーリーが助かる、一番確実な方法ではないだろうか。
画面の向こう側にいるナギは、そうですねえ、と気の抜けた返事をすると、
『まあ、僕が"今回"頼まれた仕事は正体不明のアズワンであるあなたを帝国に連れて行くことだけですので』
『そちらのもう一人のアズワンについては与り知らぬ事です』
「!!それじゃあ」
『ただ、僕らも一応帝国軍所属のアズワンですから、帝国に歯向かうアズワンをみすみす見逃す事は難しいですね。』
「...」
見逃す気はない、と言う事か。
こいつ、てっきり好青年だと思ったら、おもッ糞性格悪いじゃないか...。
少し希望を持たせた分、余計に腹立たしく感じてしまう。
シャーリー「ちょっとお前、一体何を...」
シャーリーが心配げにこちらを見つめる。彼女の目にはもう出会った頃の破棄は宿っていなかった。
こんなところで死なせてたまるか。そもそも、彼女が怪我をしたのは俺を助けたからじゃないか。
「決めたよ」
ナギ『そうですか。それでは、こちらのARへの追従を...!!』
ドンッ!!!
ナギが話し終わる前に、挨拶代わりに拳銃をお見舞いしてやった。
口径の小さな豆鉄砲ではあったが、この至近距離ならそれなりの衝撃があちらに伝わっただろう。
「お前をさっさとぶっ倒して、シャーリーちゃんと一緒にお家に帰らせてもらうぜ」
ナギ『…だから馬鹿は嫌いなんだ』
銃口から放たれた硝煙が周りから風に流されると、少し体勢を崩したカーディナルが姿を現わした。
インカムから聞こえるナギの声が荒々しくなる。そこには隠しきれない憤りが確かに有った。
どうやら先程の急な攻撃は、余程彼の気に障ったらしい。
「悪いな。これでも聞き分けはいい方だと自負してるんだが」
ナギ『その減らず口を閉じて貰えますか。不愉快にも程がある』
「そんなに怒るなよ。アレか?不意の攻撃は騎士道精神に反するとかか?」
ナギ『…』
「んなもん、そこら辺の犬にでも食わせとけよ」
ナギ『知った風な口を聞くなあああああ!!!』
「!!」
もう我慢ならないとばかりにナギが雄叫びを上げると、カーディナルは腰に刺した一対の刀を両手で構える。
ナギ『我が国の誇りを馬鹿にした事、あの世で後悔するが良い!』
ナギ『唸れ、ジップブレード!』
カーディナルは紅い光を身に纏いながら、恐るべき速度でシルバー・ウォーリアーに喰らいつく。
(ここまで早いのか…!)
視界に捉えられたのは空に描かれた一線の弧だけで、気づけば俺たちの乗ったARは宙高く打ち上げられていた。
シャーリー「きゃあああ!!」
「クソっ、全く見えなかったぞ!?」
シルバーウォーリアー『被害甚大。戦場からの離脱を推奨』
空中で錐揉み回転しながら、何とかAR体制を立て直す。次の来たるべき攻撃に備えるためだ。
しかし周囲を見渡すも、そこに広がるのは青い空であり、どこにもカーディナルの姿は見当たらなかった。
慌ててレーダーを表示させると、カーディナルの識別マーカーはこちらから随分離れた所にある。
「どうなってんだ?」
シャーリー「直ぐに次が来るわ!構えて!!」
「次って言ったって、アイツそのまま通り過ぎて言ったぞ!?」
シャーリー「挙動の早いウィングの得意な戦法よ。ヒットアンドアウェーで私達に反撃させずに磨り潰すつもりだわ」
「ちょこまかと…!」
彼女の予測通り、カーディナルはその後も一撃入れて離脱するの繰り返しをしてきた。
シルバーウォーリアーの周りを高速で移動しながら、纏わり着くような攻撃を繰り出す。
こちらも誘導弾で反撃はするものの、まるで赤子の手を捻るように回避されてしまう。
次第にこちらのARの装甲が剥げていき、メインモニターには埋め尽くされるようなCAUTIONが表示され始めた。
『星血エネルギー供給システム破損。機体制御の低下、フルドライブシステム稼動に深刻なerror―』
「このままじゃ…」
シャーリー「お前はAR操作に集中して!!機体のエラー処理は私が受け持つわ!!」
「…了解!」
『どう足掻こうが無駄ですよ。これであなた達に引導を渡します』
再び急接近したカーディナルは刀を逆手に持つと、前傾姿勢でこちらに突っ込んでくる。
此方にトドメを刺しにくるつもりだろう。
(どうする?こっちの攻撃は全く当たらない。向こうの攻撃を避けるのは恐らく不可能に近い)
(…)
「シャーリー、このARに近接武器って乗ってるのか?」
シャーリー「一応ブラックスミスっていう鈍槌は搭載されているけど…まさか、アイツと格闘でやり合うつもり?無茶よ」
シャーリー「ブラックスミスは重いから動作が鈍るし、何より相手が速すぎるわ」
「でもコレしか方法が思いつかないんだ。それに」
シャーリー「?」
「…なんかいけそうな気がする」
彼女は俺の曖昧な言葉に呆れたのか、口を少し開けて呆然とするも、ニヤリの口の端を歪める。
シャーリー「馬鹿ね…。でもそういうの、嫌いじゃないわ」
そう言うと彼女は流れるような手付きで画面を操作し、シルバーウォーリアーに命令を下す。
『武装展開、ブラックスミス スタンバイ』
シャーリー「ARのアクチュエーター制御操作をマニュアルに移行、空いた演算リソースを敵の行動予測に全部回して。フルドライブのリソースも使って良いわ」
『了解』
「シャーリー」
シャーリー「一か八かの賭けよ。全力でアンタをサポートするから、次で決めなさい」
「…ああ!!」
相手がこちらに斬りかかるということは、必ず二つのARが接触する瞬間がある。
その一瞬に、格闘武器を打ちこむことが出来れば
ナギ『はあああ!!!』
互いの距離が縮まる。
目と鼻の先にカーディナルが近づき、二本の刀を振り上げて…
シャーリー「今よ!!」
「うおおおおおお!!!」
ナギ『!?』
ブーストを思いっきり横に吹かせながら、ブラックスミスを振りかぶる。
「見えた!!!」
遠心力を利用したその一撃はカーディナルの手にあたり、ブレードジップを弾き飛ばした。
ナギ『馬鹿な!?この一瞬のタイミングを狙っていたと言うのか!?』
「今までのお返しだ!!」
ナギ『があッ!!』
体勢を大きく崩したカーディナルに、一回転分の遠心力を加えた追撃が火を噴く。
シャーリー・翔「「ぶっ飛べえええええええ!!!」」
今度は胴体部へとまともに衝撃をくらい、堪らずカーディナルは一枚のボロ切れのように墜落していった。
一旦終了。
なんかブレードシップ産廃武器って噂を聞いたんだけど、嘘だよな?
そもそもヴァンガード乗らないからわからない
ところで星翼ってフツーに『せいよく』?それとも『ほしつば』?
ほしつば
ブレードジップはただでさえ趣味枠の格闘で両手潰すから産廃と言われてる
性能そのものが悪いわけではない
test
>>31 頭がいいアズワンはほしつば 悪いアズワンはせいよくって呼ぶ
俺はスケベだから性欲派
>>32 マジか、絶対カデ翼と組んで悪さすると思ったんだけどな。まあそもそもブレードジップどころか新武器すらでねーからどうしようもないんだがな
続き
それから暫くの間、俺はカーディナルが墜落した方を見て放心していた。
本当にやったのか?俺達は助かったのか、これで死ななくてもいいのか?
「はぁ...はぁ...」
シャーリー「...ったべ」
「あぁ...何だって?」
息遣いしか聞こえない中、シャーリーが何かを呟く。
シャーリー「かっちゃった!!私達、帝国のAR打ちかましちゃったべ!?」
そのシャーリーとの会話で、俺は改めて危機を乗り越えたことを実感した。
「...勝ったのか。はは、そっか...。勝ったんだな!?俺達!!」
シャーリー「すごいすごーい!!」
喜びのあまり、大量の冷や汗をかいている事もお構い無しにシャーリーに抱きつくと、彼女も血塗れになった腕を回してくる。
お互い血と汗にまみれて何がなんだか分からなかったが、取り合えず生きているという事実を確認したかったのだ。
シャーリー「やるじゃないお前!!」
「まあそれほどでも...あるかな?」
シャーリー「...カーディナルに見つかった時、正直もう諦めてたべ。ここで夢も果たせずに死んじゃうんだなって」
「でもまさか倒しちゃうなんて!!一体お前、何者ゴフッ」
シャーリー「シャーリー!?」
深手を負った状態ではしゃいだ所為か、シャーリーが口から血の溜りを吐き出す。
こんな所で祝勝会を開いている場合ではなかったのだ。早く彼女を安全な場所へ連れて行かなければ。
OP『アズワン君聞こえる?今味方が向かってるから、もう少しだけ辛抱して!』
「お願いします、シャーリーが危ないんです!!」
オペレーターの言葉を聴き、今度こそ本当に助かったと言う実感を握り締める。
通信から間もなくして、味方の援軍が到着し、シャーリー達は彼らに先導されるがまま戦場を後にしたのであった。
そして帰りの道すがら、記憶喪失である彼はARを走らせながら、ある一つの疑問を抱く。
何故自分は、この機械<AR>の動かし方を知っていたのだろう、と。
俺は一体、何者なのだろうか。
先導されて二、三十分は経っただろうか、ようやく彼らの拠点に着くようだ。
下を見渡す限り緑が広がり、とてもそこに拠点があるとは思えないのだが...。
シャーリーは彼らと合流してすぐに、準備していた医療班らしき人たちに引き渡した。
当然俺は彼女の付き添いを申し出たのだが、ARを操作できるのが君しかいないと言われ、仕方無しに一旦分かれる形になったのだ。
OP『現地の医療班、整備班共に受け入れ準備できています。...シールドウォーリアーのアズワン、指定されたポイントへARを進めてください。...はい、そのまま真っ直ぐです』
オペレーターの指示の元、シルバーウォーリアーをMAPにポイントされた場所へ動かすと、地面に生えた木々が揺れ始め、野生の鳥達が慌しく飛び立つ。
秘密基地よろしく開かれた地表の穴の中には、外の自然とは全く馴染まない、機械工廠が広がっていた。
シルバーウォーリアー『ARを格納庫へ接続中。...接続完了しました。出撃、お疲れ様でした』
「ふう...」
仕事が一段落し、一つ伸びをする。
あまりの緊張の所為か体中の至る所が硬くなっており、軽い筋肉通のような症状を訴えていた。
コックピットの搭乗ハッチが開かれ、外に出ると、薄暗い格納庫の中を所狭しと沢山の人が動いているのが分かった。
その中にはストレッチャーに乗せられたシャーリーとそれに付き添う医療班の姿もあった。
慌てて機体から駆け下り、彼女に近づこうとすると、がたいの良い数人の男達に行く手を阻まれる。
「えーっと、通してもらえると嬉しいんですけど」
「...」
こちらの言葉を耳にしても彼らは微塵も反応せず、仁王立ちの姿勢を崩す事はなかった。
それに加えて、彼らが俺に向ける視線には敵意を孕んでいるように感じる。
「...もういいよ。そこ、通させてもらうから」
特段恨みを買う事をした覚えはないので、彼らの非常な態度にあきれた俺は、これ以上構っていられないとばかりに体を押し通そうとする。
「待て」
「待つわけないだろ。いいからさっさと」
そこまで言いかけた途端、通り抜けようとした俺を彼らは腰に携えていた銃器で押し戻してきた。
続いて先頭にいた男が手を挙げると、後ろにいた男達が銃口をこちらへ向ける。
「...何すんだよ、洒落になってないぞ!!」
「貴様には悪いが、これもリスクマネジメントの一環なんだ。こちらの指示に従ってくれ」
「はあ?なにがリスクマネジメントだ、こちとら死ぬ気であんたらの仲間を...」
助けたんだぞ、と続くはずだったのだが、その言葉は俺の口から紡がれる事はなかった。
気づいた時には男達に組み伏せられ、とどめとばかりに一発、頭に銃器で殴打を加えられる。
なんで俺がこんな目に...。
工廠の冷たい床を味わいながら、俺は意識を手放す事となった。
鳥忘れ取ったわ...
鳥って8文字までじゃないのか
>>35 訂正
シャーリー「やるじゃないお前!!」
「まあそれほどでも...あるかな?」
シャーリー「...カーディナルに見つかった時、正直もう諦めてたべ。ここで夢も果たせずに死んじゃうんだなって」
シャーリー「でもまさか倒しちゃうなんて!!一体お前、何者ゴフッ」
「シャーリー!?」
深手を負った状態ではしゃいだ所為か、シャーリーが口から血の溜りを吐き出す。
こんな所で祝勝会を開いている場合ではなかったのだ。早く彼女を安全な場所へ連れて行かなければ。
OP『アズワン君聞こえる?今味方が向かってるから、もう少しだけ辛抱して!』
「お願いします、シャーリーが危ないんです!!」
オペレーターの言葉を聴き、今度こそ本当に助かったと言う実感を握り締める。
通信から間もなくして、味方の援軍が到着し、シャーリー達は彼らに先導されるがまま戦場を後にしたのであった。
そして帰りの道すがら、記憶喪失である彼はARを走らせながら、ある一つの疑問を抱く。
何故自分は、この機械<AR>の動かし方を知っていたのだろう、と。
俺は一体、何者なのだろうか。
「...いってぇー」
あまりの寝心地の悪さに目を覚ますと、俺は独房のような部屋に着の身着のままの状態で床に放り出されていた。
口の中には鉄の様な不快な味が広がる。どうやらさっき殴られた時に口の中をきったらしい。
「はー。ったく、ここの連中はジュネーヴ条約を知らんのかねぇ」
ひとまず体中についた埃をはたき起こすと、おあつらえ向きにおかれた椅子に腰をかける。
「おーい。どうせどっかから見てんだろ?動物園の見せもんじゃねーんだからさっさと話聞きに来いよー」
「あんまり来るの遅いとしまいには歌い始めるぞっと」
それ以降、ブツクサと独り言を話し続けるも、この部屋に現れる者は誰もいなかった。
「え、これマジでカメラで監視とかされてないのか?」
「うわめっちゃ恥ずかしい奴じゃんこれ」
内心顔から火が吹き出そうだったが、ここで挙動不審に陥ると余計に恥ずかしくなるので俺は
「とりあえず、歌うか」
構わず歌う事にした。
「But all I wants is easy action, baby~ Heh heh heh!!」
「...煩いぞ」
3曲目の終わり頃に、ようやく尋ね人が現れた。
そいつは俺を銃器で殴った張本人でもある、男達を束ねていたリーダーであった。
道行く人に彼の写真を見せてこの人の職業を当ててくださいと尋ねたら、百人中百十人ぐらいがソッチの道の人と答えるだろう。
こいつに殴られて、よく口の中の切り傷とたんこぶで済んだなと自分自信に感心してしまう。
「お客さん第一号が厳ついおっさんかよ。もっとかわいこちゃんが良かったな」
男は俺の戯言に耳を傾けず、机の目の前にデバイスを放り投げる。
薄っぺらい液晶には、見るからに人相の悪い男が映し出されていた。
「こいつに見覚えはあるか?」
「...いや全く知らん。あんたの生き別れた兄弟か?」
先程の冗談同様、スルーされるかと思ったのだが、男は僅かに眉間に皺を寄せると腰に挿していた警棒のようなものに手をかける。
流石にもう一度痛い思いをするのは嫌なので、慌てて真面目に返答をした。
「ちょ、冗談冗談!...知らねーよこんなオッサン、誰だ?」
「本当にか?」
「本当と書いてマジ。ってか正直な話、自分の事すらよく分かんないんだよ。多分記憶喪失じゃないかなって思うんだけど」
「...歌は覚えているのにか?」
「そういえばそうだな...。ってか、ちゃっかり聞いてんじゃねーか。どうだった?俺の歌」
「次、無駄な事を話したらお前をコイツで殴る」
「ハイワカリマシタ」
「...お前の着ている服と,胸に着けているバッヂ、見てみろ」
はあ、と彼に言われるがまま視線を自分の体に向ける。
服装の方は全体的に黒で統一されていて、襟や裾に紅色のラインが走っている。
一言で表せば、学生服のような、それとも軍服のような、といった感じであろうか。
そしてバッジのエンブレムには、三本の剣が地面にそれぞれ交差するように突き刺さっており、その上から真ん中の剣に垂直に交わるように御旗が描かれている。
正直エンブレムに関しては、作った奴のセンスが悪いとさえ思う。
多感な時期の厨坊が考えそうなデザインだな。
「で、俺が身に着けている服とバッヂがどうしたんだ?」
「これを見てみろ」
そういって彼は手元の端末を操作すると、液晶に新たな画像が映る。
それは確かに俺にとって見覚えのあるものであった。
「これってナギって奴が身に着けてた」
「イ・リアスタ帝国の奴らの軍服だ」
彼の言うとおり、先程戦ったナギが着ている服である。
そして改めて見返すと、軍服のデザインは配色こそ違うものの、俺の着ている服にそっくりであるし、エンブレムも御旗がない状態の物であった。
「もしかして俺、帝国側の人間として疑われているのか?」
それならば彼らの態度にも納得がいく。
敵である可能性が高い人間を自分達の基地に招きいれるなんて気が気ではなかっただろう。
「...今の所、その線が高いとこちらは踏んでいる。」
「冗談じゃない!たしかに身元不明の怪しい人間で記憶も吹っ飛んじまってるけど、帝国の奴らとさっきまで戦ってたんだぞ!?」
「そうやって恍けて、こちらに潜入する作戦かもしれないだろうが」
「そんな事言われたって、俺には自分を証明するものが無いんだ。大体シャーリーを助けた事はどう説明をつけるつもりだ?」
「殺そうと思えば、俺は自然な形で彼女を殺せたぞ」
「...後の判断は上と決める。もう少しで来る予定だからそれまで待ってろ」
「マジかよ...魔女裁判に掛けられている気分だぜ」
まさか敵ARを退ける大金星を飾ったはずが、一転して死刑宣告を食らうとは。
上と一緒に決めるといったが、こんな奴の親玉なんてもっとやばい奴が出てくるのがオチだ。
それから数分の間、俺は生きた心地がしなかった。
どうせならシャーリーと抱き合った時、どさくさに紛れておっぱいでも揉んどきゃよかったな...。
>どさくさに紛れておっぱいでも揉んどきゃよかったな...。
揉むほどあるか・・・?
「やあ、待たせたね。シャーリーちゃんの容態が気掛かりだったもんで」
これからの先行きに頭を抱えていると、部屋の外から声が聞こえてきた。
ガチャリと音を立てて、味けない鉄扉が開かれると、男が飄々とした歩みで中に入ってくる。
アルビノのような色素の薄い髪を生やした彼は、よっこいしょと向かい側の椅子に腰をかけた。
この男がさっき言っていた上の人物なのか?
こちらの勝手な思い込みだが、更に堅物がやって来ると思っていたので拍子抜けだ。
まあ、思っていたより話が通じそうで何よりなのだが。
「ダリルさん、ちゃんと彼にお持て成ししてくれた?大事な客人なんだから」
どうやら厳つい男の名はダリル、と言うらしい。
ダリルは彼にそう言われると、俺の聞き間違えだろうか、胸を張りながら
ダリル「ええ、イサカさん。言われた通りしっかり”お持て成し”をしました」
と自信げに答えた。
「おい待て。ここのお持て成しとやらは、頭を銃で殴りつけて軟禁する事を指すのか?」
イサカ「えっ。ちょっとダリルさん、話が違うんだけど」
ダリル「違うのですか?」
イサカ「あー。…すまない翔君。僕らの手違いで君にはひどい事をしたみたいだ。申し訳ない」
「はあ」
イサカ「まあ、こんな情勢だから殺気立つのも仕方がないんだ。彼にも悪気は無いし、どうか許してやってくれ」
ダリル「すまん」
「はあ…」
空いた口が塞がらない、とはこう言う事を指すのだろうか。
とりあえず彼らに敵意がない事が確認できた俺は、どうでも良くなってしまった。
それよりも彼に問いたい事が一つある。
イサカ「で、どこから話そうか。多分、聞きたい事が山ほどあるでしょ」
「…アンタ、俺の事を知っているのか?さっき、俺の事を”翔”って呼んだよな」
先ほどの会話で、彼は確かに俺の事を”翔”と呼んだはずだ。
何故名前を知っているのか?ひょっとしたら、俺の事を知っているんじゃないのか?
イサカ「ああ、名前についてはシルバーウォーリアーにそう登録されていたからね。違うのかい?」
「…いや、そう言う事か」
イサカ「君については知らないなあ、悪いね。まあ名前も覚えていないのなら、これからは翔って名乗ればいいじゃないか」
残念ながら俺に関しての情報は持っていないみたいだ。ただ、名前がないのは不便なので、彼の提案を飲むことにしよう。
翔「じゃあそうさせて貰う。…後は、何から聞けば良いのやら」
分からない、と両手を軽く上げ、ワザとらしく首を振ると、イサカは苦笑いしながらも言葉を続ける。
イサカ「そりゃそうか。そうだな、何処から話そうか。…この星はキザナっていう星なんだ。」
イサカ「この星には星血と呼ばれるエネルギーみたいなのが沢山あってね。それを使って結構文明が発達してるんだ。例えばそのテキストデバイスだって、星血エネルギーで動いてる」
イサカ「まあ小競り合いこそあれど、資源問題には縁がない世界だから結構平和”だった”んだ」
翔「”だった”?」
イサカ「そう、”だった”。ほんの数年前にある国でクーデターが起きてね。国がある勢力に乗っ取られたんだ。それからというもの、その国は他国が占有する星血を求めて、戦争をふっかけ始めた」
翔「その国ってのが」
ダリル「イ・リアスタ帝国だ」
イサカ「イ・リアスタ帝国は、それはもう凄まじい速さで勢力を拡大して行った」
翔「他の国は黙ってそれを見てたのか?」
イサカ「いいや、勿論抵抗したさ。それでも帝国は国々を易々と打ち倒し、占領していった。特に立地に恵まれている訳もないのに、だ」
翔「…ARか?」
イサカ「冴えてるね。そう、ARの存在が大きかった。今まで大規模な戦争が無かったから、他国はARなんて兵器を作る必要がなかった」
イサカ「開戦当時は帝国がARの圧倒的な戦力で国々を蹂躙していった。それはもはや戦争とは呼べない、一方的な虐殺だったよ」
イサカ「時が経って、ようやくこちら側にもARとそのパイロットのアズワンが揃い始めて、同じ土俵に立てたんだ。だけど如何せん遅すぎた。その頃には帝国は、もはや他国とは比較にならないの程の戦力と領土を持っていた」
イサカ「反抗勢力は僕たちみたいな反乱軍がポツポツと沸く位で、他の国は帝国に従属するか、中立な立場を装っている」
翔「…」
イサカの話を聞けば聞くほど、この星の現在の情勢が如何に悲惨である事がわかる。
悲痛な面持ちで黙っていると、ダリルが口を開いた。
ダリル「このままじゃいけない」
イサカ「ああ、そうだ。彼のいう通り、これ以上帝国の好き勝手にさせてはいけないし、させないためにも僕たちがいる」
ダリル「…ここにいる皆は、戦火に追われて逃れてきたものだったり、身寄りを失った人が大半を占めているんだ。誰もがこの悲惨な戦争を食い止めたいんだよ」
イサカは机の上で握りしめた両手に更に力を入れながら、こちらに力説する。
その彼の目には、確固たる信念が宿っているように受け取れた。
翔「…大体の話はわかったよ。で、その話を聞かせて、俺をどうするつもりだ?」
イサカ「別にどうもしないさ…と言いたいところなんだけど。君、ARに乗れるよね」
彼の言う通り、俺はシルバーウォーリアーに乗って帝国の奴らと戦った。
この話の流れから、彼らの言いたい事に見当がつく訳だが。
イサカ「実は誰もがARに乗れるって訳じゃないんだ。色々条件が必要でね」
イサカ「ARに乗れるアズワンは本当に少ない。我が反乱軍でも僕を入れて3人しかいないんだ」
イサカ「だから提案なんだけど、翔君、うちの軍に協力してくれないかな?」
イサカ「勿論タダとは言わない。最低限の衣食住は保証するよ。…どうせこれから行く当てないんだし、悪くない提案だと思うけど」
予想通りだ。貴重な戦力であるアズワンをみすみす手放すわけが無いのだ。
そして彼の言う通り、悪く無い提案だ。どうせこのまま外へ出ても3日も経たずに野垂れ死ぬのが目に見えている。
だが言われた通りにするのも癪なので、少しだけ冗談を挟むことにしよう。
翔「いや、悪いが俺には夢があってね。この美声でのし上がって、この星のスターになるつもりだ」
イサカ「アハハ!面白いことを言うね、翔君。で、スターになってどうするつもりだい?」
翔「戦争をやめさせてやるぜ。俺の歌を聞けえぇぇぇ!ってな」
イサカ「それなら仕方ないか。ダリル君、彼を外まで送ってやってくれ。そうだな、手ぶらでお見送りするのも申し訳ないから、食料を幾らかと、扱いやすい小型のサブマシンガンでも…」
イサカ「ああ、因みにここら辺、夜になると野生の猛獣がウヨウヨ出るからね」
翔「冗談だから!!…えっと、イサカさん、だっけ。これからよろしく頼むよ」
危うく放り出される所で、俺はイサカの話を遮る。これだから冗談の通じない奴は…。
イサカ「ああ、こちらからも宜しく」
差し出された右手と固く握手を交わす。
こうして翔はイサカ率いる反乱軍に身を連ねる形となったのだ。
イサカ「まあ翔君の歌声で世界を救うよりかは、ウチでARに乗って世界を救う方が現実的だよねぇ」
翔「アンタも聞いてたのか」
イサカ「あれ、基地内放送で皆に丸聞こえだったからね」
翔「エッ、じゃあ俺の独り言もか?」
イサカ「うん」
翔「あああああああああああああ!!!」
ダリル「…俺は悪く無いと思うぞ、お前の歌」
翔「うるせえ!フォロー下手かお前は!!!」
>>46 この世界のシャーリーちゃんはおっぱいあるかも知れないだろ!!
まあ無いんだけどな。
あとブレードジップ出たんだけど、とんでもない勢いでRPが溶けたわ。楽しいけど
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