岡部「紅莉栖が本当にビッチかも知れない…」 (16)

岡部「教えてくれ、ダル…俺はどうすればよかったと思う…?」

ダル「まず何故そう考えるに至ったのかの前提がわからんのだが」

岡部「一昨日の完徹後に解散して、俺はラボでそのまま寝てたんだ」

岡部「目が覚めたのは昨日の夕方頃だろうか。奥からシャワーの音がしていて、寝起きで意識がハッキリしていなかった俺は誰かが水を止め忘れたものと思いこんで止めに行ったんだ」

ダル「そしたら牧瀬氏がいたと?」

岡部「ああ…。やってしまったと把握するのに時間が………いや、違うな。寝ぼけてたんだ。俺はそれが夢か何かだと思ってぼうっとその光景を眺めていた」

岡部「そうしたらアイツ、何て言ったと思う?」

紅莉栖『何?一緒に入りたいの?』

岡部「俺の夢に出てくる紅莉栖がそんな事を言うハズがない!!そこで俺はこれが夢じゃないと気付いた!」

岡部「…と、スマン。ダルには些か刺激的過ぎる話だったか」

ダル「いや、ボクこの前行った由季タンとの旅行で脱童貞してるんで大丈夫だお」

岡部「……?」

ダル「ボク、非、童貞。OK?」

岡部「日本語でおk」

ダル「それで?オカリンはその牧瀬氏のお誘いにビビって逃げ出した訳?」

岡部「びびびビビってなどないわ!…ちょっと動揺しただけだ」

ダル「ビビってんじゃねーか」

岡部「シャラップ!とにかく、俺は身の危険を感じて冷静にその場から撤退したのだ」

ダル「裸見られて誘いも断られて、牧瀬氏可哀想すぐるだろJK」

岡部「………やっぱ謝りに行った方がいいよな?」

ダル「え?何?昨日の話なのにその後まだ何の弁明もしとらんの?」

岡部「……してない」

ダル「マジかよ小心者ってレベルじゃねーぞオカリン」

ダル「とにかく今すぐ会えないか連絡取るなり行動すべきっしょ。ボクも可能ならフォローするし」

岡部「うぅ、スマン、ダル!恩に着る…!」

ダル「ま、これも先にオトコになった者として当然の義務っていうか?ちなみにオトコは漢字の漢って書いてオトコね」

岡部「プラチナむかつくな今のお前」

ダル「テヘペロッ☆」

翌日、ニャンニャンにて

岡部「わからん……わからんッ!」

ダル「さっきからそればっかでコッチが訳わからん状態なのだが」

ダル「とりあえず昨日牧瀬氏に連絡つけて、ホテルに直接謝罪しに行ったとこまではボクも知ってるけど、結局その後どうなったん?」

岡部「とりあえず、裸を見てしまった事と動揺して逃げ出してしまった事は土平に謝った」

ダル「ほうほう、許してくれたん?」


紅莉栖『別にいいわよ。半分からかって言った事だし』


ダル「器広すぎだろ牧瀬氏」

岡部「問題はその後なのだ…」


紅莉栖『それで、私の裸見てどうだった?』

岡部『どう、とは…』

紅莉栖『勃起した?』

岡部『は、はぁ!?お前、何言って…』

紅莉栖『正直に答えなさい』

岡部『それは、その、あの時は驚きの方が強くて、よくわからなかったというか…』

岡部『いや、お前に魅力がないとかそういう話ではなくてだな』

紅莉栖『ふぅん、それじゃあ再検証が必要よね』


岡部「そう言ってアイツ、突然脱ぎだしたんだ…!」

岡部「しかもやけに軽装だと思っていたらYシャツ一枚とショーツだけだった!」

ダル「オカリン声デカいって。ここ、一応公共の場だお」

岡部「ぁ……スマン、取り乱した」

フェイリス「んー?お客様ぁ~、どうか致しましたかニャン?」

ダル「フェイリスタンごめんお~!今日もフェイリスタンが神々し過ぎてちょっと興奮しちゃっただけたお~!」

フェイリス「ニャフフ、ダルニャンは相変わらずおだてるのが上手だニャ。フェイリスの愛情たっぷりキャンディーをオマケしちゃうニャ!」

ダル「うおぉーー!フェイリスタンマジ天使!ありがとうございまっス!!」

岡部「………ただののど飴ではないか」

フェイリス「それで?キョーマはその後どうしたのニャ?」

岡部「お前、聞いてたのか…!?」

フェイリス「フェイリスイヤーは地獄耳なのニャ」

フェイリス「さぁさぁ、フェイリスアイの破壊光線を受けたくなくば、神妙に続きを聞かせるニャ」

岡部「………他には絶対に言うなよ」

フェイリス「天地開闢の祖グレートエイプリルに誓って、フェイリスは他言しないニャ」

岡部(グレートエイプリルって何者だよ…)


紅莉栖『ちょっと、目を瞑ってたら検証出来ないじゃない』

岡部『ば、バカか!?裸を見た事を謝りに来た相手に自分から裸を見せてどうする!!?』

紅莉栖『別に裸を見られて怒ってた訳じゃないし、それより今必要なのは私の裸でアンタが勃起するかでしょーが』

岡部『おま、お前っ、自分が何言ってるかわかって…』

紅莉栖『ていっ』

岡部『ぬわっ!』

紅莉栖『うーん、少し盛り上がってるようには見えるけど、服の上からじゃイマイチわからないわね』

紅莉栖『直接見てみましょう』


岡部「そうしてアイツは淡々と俺の衣服に手をかけていったのだ…」

ダル「竿役が目の前のオカリンって事を除けばご褒美展開じゃねーかおktkr」

フェイリス「大胆だニャ」

ダル「てか一方的にヤられ過ぎだろオカリン。実はマゾだったり?」

フェイリス「キョーマは迫るより迫られる方がいいニャ?」

岡部「ば、バカモン!日本男児たる者、毅然と男らしくある方が良いに決まっておろう!」

ダル「今のところオカリンの話から毅然とした男らしさなんて微塵も感じない訳だが」

岡部「そ、それは……謝りに行っただろう!男らしく!」

ダル「はいはい。それより続きはよ」

フェイリス「そうニャ。本当にマゾヒストキョーマじゃないならここから逆転するはずニャ」

ダル「次回!マゾリン、死す!」

フェイリス「そ、そんニャァ!キョォーマァ~!」

岡部「お前らは……まったく……」


岡部『ま、待て助手よ!本気で待たんか!!』

紅莉栖『助手ってゆーな。何?自分から脱いでくれるの?』

岡部『違うわっ!そもそも、何故こんな事をするのだ!』

紅莉栖『そんなの、私にアンタが劣情を抱くかどうかの確認に決まってるじゃない』

岡部『だぁから何故そんな事をする必要があるっ!?それを確認してどうしようというのだ!』

紅莉栖『別にどうもしないわよ』

紅莉栖『単純に、私が処女を捧げた相手が私に欲情してくれるのかが知りたいの。知的好奇心よ』

岡部『………ハァ!?』

紅莉栖『やっぱり完全に寝てたんだ』

紅莉栖『この前あんたが私のシャワーを覗いた日』

紅莉栖『疲れマラ?それとも朝勃ちって言うんだっけ?とにかく、寝ながら勃起してたアンタの男性器で、私はロストヴァージンしたの』

紅莉栖『その後シャワーを浴びてた所にアンタが来たから、二回戦でも始めるのかと思ってドキドキしてたってのに』


ダル「急展開過ぎるだろJK。既に事後かよ」

フェイリス「………ふーん」

岡部「その話を頭で理解は出来ても心がついていけなかった俺は、とにかく時間をくれと言って慌てて逃げ………戦略的撤退をしたのだ」

岡部「わかるか?我が右腕にして真の漢たるダルよ」

岡部「俺には未だにわからんのだ……。どう答えるべきだったのか、次にどうするべきなのか……」

ダル「いやボクでも流石にそれはわからんわ。エロゲでもなかなか見かけないって、預かり知らぬ所で勝手に自分で処女喪失されるとか」

岡部「だろ!?わからんのだ!俺はどうすればいい!?シュタインズゲートは何も教えてくれない!」

岡部「やはり責任を取るべきなのだろうか……」

ダル「うーん……牧瀬氏が本当にそうい事したのかって確証はない訳っしょ?」

岡部「ない…。少なくとも俺の方には」

ダル「牧瀬氏にそういうデリケートな質問をするのも憚られるし、マジ時間くれ案件だわ、今ン所」

フェイリス「フェイリスは責任なんて取る必要ないと思うニャン」

ダル「フェイリスタンマジ?」

フェイリス「だってキョーマは裸見せられて襲われただけで、クリスティーニャンとそういう事した記憶は一切ないニャ?」

フェイリス「もしかしたら初めての相手は全く別の男で、キョーマに罪の意識を負わせる為にそういう話をでっち上げてる可能性もあるニャ」

ダル「えぇ……でも牧瀬氏がそういう事するとは思えないけど。なぁオカリン?」

岡部「うむ……。少なくとも俺はそんな話は信じたくはない」

フェイリス「じゃあ一度抱いてみればいいニャ」

岡部「だっ、抱くっ?」

ダル「おほぉ…!普段なら興奮を禁じ得ないフェイリスタンからの危険発言!………だけど今は素直に喜べない僕ガイル」

フェイリス「もしかしたら、処女喪失の話自体がフェイクかも知れないニャン」

フェイリス「仮にそうでなかったとして、そういう行為をする仲に進展するチャンスかも知れないニャ?」

フェイリス「万が一、さっき言ったような悪いケースだった時の確認にはならないけど、その後のクリスティーニャンの反応次第で、彼女がどこまで本気なのか推して知る1ステップになるニャ」

フェイリス「何であれ行動しないと答えが見えないとフェイリスは思うニャン」

岡部「……むぅ」

ダル「フェイリスタン考え方が男らし過ぎんだろ。マジカッケーッス」

フェイリス「ニャフフ。フェイリスのペルソナ、嘲笑う猫“ラフィングキャット”がそう囁くのニャ…!」

─────
────
───

岡部「それで、二人だけでしたい話とは何なのだ?」

フェイリス「ふふん、女の子に二人きりでと呼び出されたら何が起こるかなんてわかりきってるニャ?」

岡部「ま、まさかフェイリス、やはりお前は機関のエィジェント……!」

フェイリス「そう。フェイリスこそヨハネの四天より遣わされし永遠の春を告げる存在───」

フェイリス「って、今は真面目な用件なんだからふざけないで欲しいニャン!」

岡部「あぁ、そうだったのか…」

フェイリス「全く、キョーマは人のテンポを乱す天才だニャ」

フェイリス「とにかく、これからクリスティーニャンの件について秘密の作戦会議だニャ」

岡部「紅莉栖の件で会議?それならダルも呼び戻した方が…」

フェイリス「ダメニャ。これは緊急を要する上に内容を知る者は可能な限り少ない方がいいニャ」

岡部「わかった。場所はここでいいのか?」

フェイリス「フェイリスの家に行くニャ。話はそれからニャン♪」

フェイリス宅

岡部(相変わらず住む世界が違うといった景観だな…)

フェイリス「今日は黒木はお休みだから、ゆったりくつろいでくれていいニャよ」

フェイリス「飲み物はぁ…ドクペはちょぉっと切らしてるみたいで、コーヒーか紅茶でいいかニャ?」

岡部「あぁ、それじゃあコーヒーで頼む」

フェイリス「いいのかニャ?夜眠れなくなっちゃうかも」

岡部「秘密の作戦会議なんだろ?なら、頭をスッキリさせるにもそっちの方がいい」

フェイリス「ニャニャ。それじゃあブラックがいいかニャ」

岡部「あぁ、それで頼むよ」

フェイリス「お任せニャ~ン」

岡部「……変わった苦みのあるコーヒーだな」

フェイリス「最近品種改良で新しく作られたコーヒー豆らしいニャ」

フェイリス「フェイリスは苦手な香りだったからまだ飲んだ事はないけど、黒木が言うには『世の紳士達が待ち望んだ傑作!』らしいニャよ」

岡部「ほぉ。黒木さんが褒めるからには間違いないんだろうな」

フェイリス「さて、それじゃあ秘密の作戦会議の為に、最初にキョーマにいくつか質問があるニャ」

岡部「むっ、尋問には屈さんぞ」

フェイリス「嘘をついても意味はないニャ…。フェイリスの能力、チェシャーブレイクの前には嘘なんて微塵も効果を為さないのニャ…」

岡部「わかってる、わかってるから顔を離せ」

フェイリス「ふふーん。それじゃあ第一問ニャ」

フェイリス「キョーマは童貞かニャ?」

岡部「………?」

フェイリス「とぼけたって無駄ニャ。さぁ、答えるニャ」

岡部「………あっ」

岡部「どどどどどど、童貞な訳がなかろうっ!」

フェイリス「フェイリスはそんなベタな反応は求めてないし、台詞の前に思い出したような声が入ってるのも評価だだ下がりだニャ………」

岡部「すまん…。咄嗟に思い出せなくてな…」

フェイリス「っていうか、フェイリスはギャグでこんな質問してないのニャ。シリアス、真剣、だぁーいじな質問なのニャ」

岡部「そう言われてもな…」

フェイリス「クリスティーニャンから真実を引き出す上で必要な事項と言っても答えられないのニャ?」

岡部「………わかった、白状しよう」

岡部「確かに俺は童貞かも知れない!」

フェイリス「………若干自尊心が残ってる気のする告白に引っかかる所はあるけど、まぁ今はいいニャ」

岡部「いや待て、もしも紅莉栖の例の発言が真実だとしたら、俺は無意識のまま脱童貞している事になるだろう?」

フェイリス「ニャ。まぁ状況的には確かにそうニャけど」 

岡部「つまり、今の俺はシュレディンガーの童貞という訳だ」

フェイリス「シュレディンガーが聞いたら悲しむ例えだニャ……」

フェイリス「ひとまず、ここからはキョーマがDTさんという事で話を進めるニャ」

岡部「DT(仮)だ」

フェイリス「それで、DTのキョーマに次なる質問ニャ」

岡部「おい大事なカッコカリさんを抜くんじゃない」

フェイリス「今日フェイリスが話した方針を取る場合、一つ確かにしておきたい事があるニャン?」

岡部「あぁ、その、紅莉栖を抱くというヤツか?」

フェイリス「そう、そこにはクリスティーニャンが実は処女であるのか、或いは経験豊富であるのかを見極めるキョーマの経験値が必要だニャ」

岡部「け、経験豊富……」

フェイリス「もしも処女の演技をしてる経験豊富な女性だった場合、素人童貞なキョーマが見抜けるとはとぉてぇ思えないニャ」

岡部「ウェイウェイwait!処女じゃなければ破瓜だってしないし血が出ないだろう!それなら流石に童貞の俺でもわかる!」

フェイリス「はぁ、これだから童貞は……世の中を知らなすぎるニャ」

岡部「カッチーン!ときた!」

フェイリス「キョーマ…処女物AVが本当に処女の女性だと信じてるのかニャ?」

フェイリス「ましてや!真正生中射精しと銘打っている物全てが本当に射精しているとでも!?」

岡部「なっ……おい、まさか……」

フェイリス「そう!全てフェイク!それっぽく見せる小細工をしているに過ぎないのニャ!」

岡部「クッ!なんて事を……!世の童貞達の希望を弄ぶとは……!!」

フェイリス「と、これでフェイリスの二つ目の質問はするまでもなく終わったニャン」

岡部「……?一体どこが質問の答えだったのだ……?」

フェイリス「キョーマが処女の演技や偽物の破瓜の血を見極められるのか。やっぱりキョーマには無理そうだニャ」

岡部「………何も反論が浮かばん」

フェイリス「では、ここからが秘密の作戦会議だニャ」

日付も変わったので今日はおわり

フェイリス「秘密の作戦、名付けて“オペレーション・アフロディーテ”ニャ」

岡部「おぉ…!」

フェイリス「この作戦でキョーマには処女の女の子を抱いて貰って、その反応を学習してもらうニャン」

岡部「なるほど……何だって?」

岡部「おいフェイリス、いきなり何を言ってるんだお前は」

フェイリス「至って真面目な作戦ニャ」

岡部「ここまでの話からお前が言いたい事はなんとなくわかるが…。そもそも、こんな事に協力してくれる女などいないだろう?」

フェイリス「いるニャン?ここに一人」

岡部「………冗談なら笑えないぞ」

フェイリス「それじゃあフェイリスが本気だという事を証明してあげないとだニャン」

フェイリス「まず、ネコ耳を外します」

留未穂「次に下着を脱ぐね」

岡部「ま、ま、待て、フェイリス…!それ以上は冗談じゃ済まなくなるぞ!」

留未穂「もう。今はフェイリスじゃなくて留未穂って呼んで欲しいんだけどな」

留未穂「あ、男の人って下着にも興味あるんだっけ。ショーツは流石に恥ずかしいけど、こっちの……はい、ブラならあげるよ?キョーマ」

岡部「な……な……」

留未穂「最後に、メイド服も脱いで、と」

留未穂「……えへっ、どうかな?」

岡部「………」

留未穂「あは、今なら牧瀬さんの気持ちもわかるかも。キョーマって素直じゃないから、本当に興奮してくれてるのか、オチンチンを判断基準にしたくなるね」

留未穂「ね、実際興奮するかな?私の裸。身長じゃ負けてるけど、胸は牧瀬さんより大きいんだよ?」

留未穂「さ、触ってみたりとか、する?」

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