みほ「華さん、どこいくの?」 (47)


教室


華「………」スタスタ

みほ「華さん、どこいくの?」

華「あら、みほさん。少し用を足しに行ってまいります。よろしければ、みほさんもいかがですか?」

みほ「ううん、わたしはいいや」

華「そうですか。では――」

みほ「華さん」

華「はい?」

みほ「次の時間、授業ってなんだっけ?」

華「たしか、体育だったと思いますよ」

みほ「じゃあ、早く着替えなくっちゃね」

華「ええ。……では、私は行ってきます」

みほ「え? 華さんは着替えないの?」

華「私はその前に、ちょっと用を足しに……」

みほ「用? 着替えてからでもいいんじゃないかな。華さんさえよければ、わたし一緒に行くよ」

華「そうですか? では、先に着替えてしまいましょうか」


〇――――〇――――〇――――〇――――〇――――〇――――〇



〇――――〇――――〇――――〇――――〇――――〇――――〇


みほ「――スピードってそっちのスピードじゃないよ、華さん。映画じゃなくって歌手のほうの――」


キーンコーンカーンコーン…


みほ「あ、予鈴鳴った! 急がなきゃ! 集合って校庭じゃなくて体育館だっけ?」タタタ

華「ええ、たしかそうだったと思います」タタタ

沙織「あっ! ちょっと二人ともおいてかないでよー! クツがまだ履けてな――」

みほ「……」タタタ

沙織「待ってってば!!」

華「うふふ、沙織さん、そんなに焦らなくても大丈夫ですよ」

沙織「嘘!! 今本気で私のこと置いてけぼりにしようとしたでしょ!」

華「私は違いますよ。でもみほさんは…」チラッ


みほ「はーやーくー!!!」オーイ


沙織「遠!? ちょ、みぽりん待ってってばー! 友達置いてっちゃうなんてヤダー!!」タタタ

華「うふふ」タタタ

みほ「先にいっちゃうよーー!!」

沙織「わかったって!!」タタタ

沙織「…………はあ、はあ、ふう追いついた。ちょっともう、みぽりん私のコト置いていくなんてひどいんじゃないの!?」

みほ「ごめんね。でも沙織さんの座右の銘って、『追いつき追い越せ』だと思ってたから…」

沙織「いつ言ったっけ!? それに追い越しちゃったらダメでしょ、この場合!」

みほ「あはは、そうだね。」

華「話を遮って申し訳ありませんが、急がないと遅れてしまいますよ?」

沙織「あ!? そうじゃん! 急げーー!!!」タタタ…

みほ「あー! 沙織さん、わたしを置いてっちゃうのー?」

沙織「……」

沙織「……えーい、じれったい! ほら、みぽりん手ェ繋いで! 一緒に走るよ!」ギュ

みほ「おお」ギュ

沙織「ほら華も!」ギュ

華「はい♪」ギュ

沙織「急げーーーーー!!!」スタタタ…



体育館


沙織「はい! パスいくよ! ほら! あ、全然違うとこ投げちゃった! え? あれ、そもそもA子は敵だっけ? やだあ!! 先に言ってよもーー!!」


ワイワイガヤガヤ…


みほ「沙織さん、頑張ってるね」

華「はい。球技大会でバスケットボールの代表に選ばれたみたいで、いつもより気合が入ってますね」

みほ「そうなんだ。……わたしなんかサッカーで補欠だよ。11人も出れるのにわたしは補欠なの」

華「うふふ。みほさんは作戦を立てるのがお上手ですから、それで試合には出ないで、外から状況を見極められる監督の立ち位置に回されたのですね」

みほ「えへへ、そうかな。そういう考え方もできるかな」

華「ええ! うふふ」


みほ「………あ、そういえば華さん、さっき用事がどうとか言ってたね。行くの忘れちゃったけど、大丈夫だった?」

華「用事……? あ、ああ、さっきの休み時間のことですね。ええ、大丈夫ですよ。この授業が終わったら行ってきます。」

みほ「そう…。なんかごめんね。わたしが引き留めちゃったから……」

華「いえいえ、いいんです。それよりも、歌手のスピード、ですか? 勉強になりました。私はそういう方面に疎いものですから」

みほ「うん、昔のアーティストなんだけどね、歌ったり踊ったりカッコよくって――」

沙織「ほら! そこの二人! いつまでもそこで休んでないで、試合やるよ! 今日はとことん付き合ってもらうんだからね!」

みほ「――じゃあ、沙織さんも呼んでるし、また次の休み時間にね」

華「ええ、楽しみにしてます♪」


昼休み


沙織「はあー、お昼だ! ちゃんとバスケしたからお腹すいたーー! ね、着替えてから食べに行く? それともこのまま直で行っちゃう?」

みほ「どうしようね」

華「教室に戻るより学食のほうが近いので、そのまま行っちゃいましょうか。沙織さんもそのほうがいいんじゃないですか?」

沙織「うん、もうこのまま行こ! 気持ち読んでくれる華、大好き!!」

華「うふふ。沙織さん、わかりやすいですから」

沙織「ええ!? 私の気持ちって筒抜け!? やだ気をつけないと……」メニュージー

沙織「……」ジー チラ ブンブン ジー

みほ「……」クスッ

沙織「……焼き魚定食に決めた!」

みほ「…沙織さん、ほんとはミックスフライ定食が食べたいんでしょ?」

沙織「…え! なんでわかったの!?」

みほ「えへへ、沙織さんってわかりやすいから」

沙織「うそー……」


華「………」


みほ「……」ジー

華「……………」

みほ「華さんは……」

華「!」

華「はい?」

みほ「何か考え事してる?」

華「いえ、そんなことは…………あ、そ、そうなんです。実は今日家でちょっと……」

みほ「なにか悩み事があったらいつでも相談してね。わたしじゃあんまり役に立てないかもしれないけど……」

華「いえいえ、みほさんだったら百人力です。ありがとうございます。困ったらいつでもいつでも相談しますね?」

沙織「んー、やっぱり私、ミックスフライ定食にする! ……って、今なんか話してた?」

みほ「いや、なんにも」

沙織「なによもーー! 私にも教えてーー!!」

華「うふふ」


華「……………」


みほ「……」ジー


廊下


沙織「――で、屋上でアーメンソーメンやってる子のお面取ったら……なんと顔だけ大人だったの!!」

華「まあ。顔だけ早く成長してしまったのでしょうか」

みほ「でも、それでもし脳も大きくなるんだったら、学校の成績は良くなるんじゃないかな」

華「そうですね」

沙織「もう! これはそういう利害の問題じゃなくって、単純に気持ち悪いって驚くところなの!! まったく、あなたたちにこういう話しても……手ごたえが……ないっていうか―――ってあれ!? 財布がない!!!」

華「まあ」

みほ「さっきの学食に忘れてきちゃったんじゃない?」

沙織「うわあそうだ……。じゃあ、二人とも先に教室戻ってて! 私取りに戻るから!」タタタ…

華・みほ「………」

華「行ってしまいましたね」

みほ「うん……じゃあ、わたしたちも教室戻ろっか」

華「ええ……と、その前に、私ちょっと用を足してきますね。みほさんはお先に戻っていてください」

みほ「うん!」

華「では、失礼します」テクテク


みほ「………」


みほ「……! あれ、華さん」

華「はい?」クルッ

みほ「ちょっと後ろ回って見せて?」

華「え、ええ」クル

みほ「あ、やっぱり体操着のココ、ほつれてるよ」

華「あら、本当ですか?」

みほ「ほら、ズボンの後ろのところ。でも着てたら見えないかも」

華「そうですか。ご親切にありがとうございます。帰ったら直しておきますね」

みほ「うーん…」

華「みほさん?」

みほ「わたし、今やってあげるよ!」

華「ええ?」

みほ「うちって昔からこういうことでお母さんに相談できなくって、小学生の頃から自分でやってたの。しばらくは上手くできなくって、お姉ちゃんにやってもらってたんだけど……。でも、もう出来るから! 今も裁縫セット持ってるし、やってあげる!!」

華「あらあら、そうですか。ではお言葉に甘えて、やってもらいましょうか」

みほ「うん、まかせて! じゃあ、教室戻ろっか?」

華「あ、あの、でも私……」

みほ「ほら、行こ?」ギュ

華「は、はい」ギュ タタタ…



教室


みほ「………もうちょっと待ってね……すぐ終わるから…………」チクチク

華「ええ、ありがとうございます」

沙織「へェ~、みぽりん裁縫も出来るんだ。器用なんだね」

みほ「ううん、全然器用じゃないの。でも、家ではやらなきゃいけなかったから、いつの間にかできるようになってたの」

沙織「ふうん…。そういうもんかー。私は料理趣味で始めたけど、他の家事はまるでダメだからなあ……。勉強しないと!」

みほ「あはは」


華「…………」アシフラフラ


沙織「……華?」

華「! はい、なんでしょうか?」

沙織「いや、なんかぼーっとしてたから、なんかあったのかなーって」

華「あ、ああ、いえ、そんなことはありませんよ?」ソワソワ

沙織「そ? ならいいけど。なんかあったら、大事になる前に早めに言いなよ? 沙織ちゃんが早期に解決しちゃうから!」

華「うふふ、ありがとうございます」フラフラ


みほ「――よっし出来た!」

華「あ、出来ましたか? みほさん、ありがとうございました。家に帰ってからの一仕事が減って大変助かりました」

華「あの、では、ちょっと私―――」


麻子「おうい、来たぞー」ガラガラ


沙織「麻子? どうしてここに?」

麻子「どうしてとは挨拶だな。昼休みに他のクラスへ行っちゃいけない決まりなんてないだろう」

沙織「それもそうね。…………で、どうして?」

麻子「はあ……。いや、五十鈴さんに、英語の辞書を渡しに」

華「私……ですか?」

麻子「うん。今日西住さんに会ったときに、五十鈴さんが辞書忘れて困っていたことを聞いたから、貸しに来た」

華「まあ、そうだったんですか。麻子さん、ありがとうございます。では、遠慮なくお借りしますね」スッ

麻子「おうよ」

華「では、今日のうちにお返ししますね。戦車道の練習にて会ったときでよろしいですか?」

麻子「おうよ」

華「では、そのときに持っていきますね」

麻子「うん。……じゃあ、私はこれで」

沙織「えー、いーじゃーん、麻子ぉ。もっとゆっくりしていきなよーー」

麻子「いや、もう予鈴鳴り終わってるし」

沙織「え゛っ、うそ!? 全然気づかなかった! じゃあまたあとでね!!」

麻子「慌ただしいやつだな」ガラガラ


華「あの、みほさんもありがとうございました」

みほ「うん?」

華「あの、麻子さんに伝えていただいて……」

みほ「ああ、ううん。いいのいいの」

華「では―――」スッ


教師「よーし、みんな席につけー」ガラガラ

華「………………」スタスタ


ガヤガヤ…


華「……………」モゾモゾ

みほ「…………」



四時間目

教師「―――えー、であるからして、エカテリーナ2世は18世紀のロシアを………」

華「……」カリカリ

みほ「……」

華「………」カリカリ

みほ「………」

華「……!」モジモジ

みほ「………………」

華「――っ……」キュウッ

みほ「…………………」

華「―――………っ、はあ…」

みほ「…………………」

華「………」カリカリ


みほ(……辛いんだろうなあ、華さん)

みほ(ほんとにこんなことしちゃうなんて、わたし、悪い子だ…………)

みほ(でも……)


華「…………っ」


みほ(ああ、ごめんね。華さん)

みほ(華さんは、わたしの大事な友達なのに……)

みほ(ごめんね華さん、あんなに辛そうにしてるあなたを見て、わたし、ドキドキしてるよ………)



華「……………」カリカリ


みほ(普段からきちっと揃えて閉じてある綺麗な足が、今はいつにないくらいにきつく閉じあわされている)

みほ(時折俯いて、悩ましく溜息を漏らす姿が、いつもの微笑を絶やさないあなたの姿と相まって、その辛さを裏書きしているようで、わたし、ぞくぞくするよ)

みほ(さて、その長く伸びたまつげの下に薄く開く虚ろな目は、一体何を見ているのかな?)


教師「――じゃあ、今日は10日だから………10番の青木、ここ答えてごらん」

青木「は、はいっ!!」ガタッ

教師「別に立たなくてもいいからな?」

青木「あ、は、はい!」ガタッ

ワハハハハハ…

青木「えーっと、そこの答えは………」

プガチョフデス! ソウ、セイカイダ……


華「…………」カリカリ

みほ「…………」

華「……ん」ソワソワ

みほ「…………………」

華「っ…………」キュウッ


みほ(今、波が来てるのかな?)

みほ(さっきまで右にきっちり揃えられていた足が、膝を軸に左足だけ左に移動して、両足の形が、スキーで止まるときの恰好みたいに、ハの字になってる)

みほ(普段姿勢もしっかり保っていて麗しく、足の先まで気を張っている華さん、そんな恰好じゃあコギャルみたいだよ?)

みほ(目は黒板を捉えて、板書を一生懸命写そうとしてるみたいだけど、ああ華さん、その泳いだ目じゃ、全然ごまかせてないよ)

みほ(前のめりになって、背中も丸まってさ)

みほ(体全体の力を使って、「出口」を押さえようとしてるんだね…)

みほ(バレバレだよ………華さん?)


華「………………はあ」

みほ「……………」

華「…………」カリカリ

みほ「……………………」


みほ(一度大波が来ると、その後はもう引き潮になるようで、以降その授業内で華さんが大きく取り乱すことはなかった)



キーンコーンカーンコーン…

教師「よし、じゃあこれにて、今日はおしまいにする。次までに課題をやっておくように」ガラガラ ピシャ

ウワア、ツギ ショウテスト アルミタイダヨ… アノセンセイ テストオオスギ… ナンニモ キイテナカッタンダケド……


華「………」ガタッ

華「………」スタスタ

華「………」ガラガラ ピシャッ

みほ「…………………」



廊下


華「………」テクテク

みほ「華さん」

華「………はい?」クル

みほ「どこ行くの?」

華「……あの、少し用を足しに参ります」

みほ「用……? ああ、そういえば、今日ずっと言ってたもんね」

華「いえ、ずっとというわけでは……」

みほ「用ってひょっとして生徒会関係? もしそうだったら――」

華「い、いえ、そうではなくて…」

華「…………」


みほ(流石に良家の令嬢であるだけあって、こうして真向かいに話し合っていると、「その」素振りを全く見せない)

みほ(背筋は真っすぐに伸びて、ぱんぱんに張っているだろう下腹部のことをまるで感じさせず、足もすらっと直線に揃って、「我慢」の仕草を見せずに、落ち着き払っている)

みほ(華さん、わたしにも「我慢」してること、必死になって隠してるんだ……)

みほ(やっと休み時間になって、お手洗いに行けると思って、一度緩んだその心と膀胱、今わたしに引き止められて、きっと大暴れに暴れていると思うんだけど、それでも、わたしにはそれがバレないように、一生懸命取り繕ってるんだね)

みほ(ああ、愛しいよ華さん。ようく見ると、直立しながら小刻みに震えているその身体、おもいっきり抱きしめたいよ)


みほ「わたしも一緒に行くよ。華さんには今日たくさん迷惑かけちゃったし、もし怒られるなら、わたしのほうだもん。だから、一緒にいく」

華「い、いえ、用事とはそういった類のものではなくて――」

みほ「じゃあ、行こうか?」ギュ

華「あ、あのっ……」

みほ「あ、ごめん。その前にちょっと自動販売機寄っていい? 水筒無くなっちゃって…。あ、水筒が無くなったんじゃなくて、水筒の中身が、ね?」

華「え、ええ、どうぞみほさん」


みほ「ごめんね。…………う~ん、どうしようかなあ。お茶にしようか、ジュースにしようか。……でもジュースだったら美味しくてすぐ飲み切っちゃうから、やっぱりお茶かなあ。」フラフラ

華「………」ソワソワ

みほ「うーん、お茶はお茶でも、紅茶とかほうじ茶とかいろいろあるもんなあ。どうしようかなあ……。やっぱり紅茶かなあ」フラフラ

華「………………」モジモジ


華「あ、あのっ…!」


みほ「! ……うん?」クルリ

華「あの、紅茶になされてはいかがですか?」

みほ「え?」

華「あ、み、みほさん、紅茶好きだったではありませんか。ほら、いつかダージリンさんに貰って以降から……」

みほ「うーん、それはそうなんだけどね……」フラフラ


みほ(華さんがついにしびれを切らした……)

みほ(いつもは後ろでにこにこしながら、他の人の決断を待って尊重するあの華さんが、わたしの優柔不断な態度に痺れを切らして、釘を刺した)

みほ(最早、真っすぐの姿勢を保っていても手のほうは静止を許さないようで、その空いた両の手はそれぞれスカートのしわを伸ばしたり、ほこりを払うふりしたりして、落着きがない)

みほ(ときに、スカートのひだをなぞるようにしてゆっくりと下へ降りる華さんの細い指は、その奥に潜む一本の線をもなぞるよう…)

みほ(いくら手が「そこ」に触れようとも、一向我慢の辛さには関りがないように思うんだけど、でも外からの刺激に「そこ」がいくらか反応して、一瞬間楽にでもなるのかな)


みほ「…じゃあ、紅茶にするよ。これにしよ! ……えーっと、お金お金……」ゴソゴソ

みほ「あ!」

華「!?」ビクッ

みほ「あちゃー、この財布、お札用の財布だったよ。ごめんね、華さん、この財布持っててもらっていい? わたし、教室戻ってがまぐち持ってくるから!」

華「え、ええ……?」

みほ「ごめんねー!!」タタタ ガラッ タタタ…

華「……………」


〇――――〇――――〇――――〇――――〇――――〇――――〇



〇――――〇――――〇――――〇――――〇――――〇――――〇


華「…………………………」


華(ああ、みほさん、遅い!)

華(これ程遅いとわかっていたならば、この間にお手洗いへ行ったのに……)

華(……しかし、他人の、いえ、親友のみほさんの財布をこの手に持ちながら、この場を離れるというのは、親しき仲だからこそ許されざる行為……)

華(そんなことをしてしまっては、これからの絆にもヒビが入りかねません)

華(……ああ、それにしても遅い!!)

華(も、もう今一瞬で行ってしまいましょうか…?)

華(今行けばきっと間に合うはず…)

華(………)

華(……いやしかし、みほさんが戻ってきたとき、私がこの場に居ないで、ましてや用を足しに行ったなどということがわかったら、果たしてみほさん、どう思うでしょうか)

華(……みほさん………)


華「っ………!」ギュウッ!


華(ん、んんんっ!? や、やっぱり今行かなければ…!)タタタッ

華(みほさん、ごめんなさい!!)ガラッ!


みほ「わあっ!? 華さん!?」

華「きゃあっ!! み、みほさん!?」

みほ「ど、どうしたの? そんなに険しい顔して……?」

華「あ、い、いいえ、なんでもないんです。ちょっと、みほさんが時間かかってらしたようなので………あ、それよりも、あの、私、少しお手洗いに―――」

みほ「あ、華さん、財布ごめんね?」スッ

華「―――あ、は、はい…」

みほ「じゃあ、もう買っちゃうね? あ、華さんなんか要る? 時間取らせちゃったし、何かおごるよ?」

華「いいえ、私は大丈夫ですよ、みほさん。」

みほ「そ? じゃあわたしは―――」


キーンコーンカーンコーン…


華「!」

みほ「―――あ、授業始まっちゃう! もうコレでいいや!」ピッ ガコン

みほ「じゃ華さん行こっか!」

華「あ、あの! ですが私……!」

みほ「んもう、早く行かないと遅れちゃうよ!」ギュッ

華「あ! ………み、みほさん、お願いだから走らないでッ………!」タタタ



五時間目


教師「――はい、じゃあ今日は前回に続いて完了形についてやっていきますよ。皆さん、テキストの48ページを開いてください――」

華「……」ペラ…ペラ…

華「あっ………!」ギュウッ!

華「…………っ……ふ、……」ギュウギュウ

華「っ………はあ、ふう……」


みほ「………」

みほ(ああ、華さん、もう授業に身が入ってないみたいだね)

みほ(右手には筆を持って、いかにも授業を聞いているようだけれど、何も持っていない左手のほうは、しきりに太股を触って、落着きがない)

みほ(小波が来て思わず「そこ」へ行ってしまいそうになる手をなんとか律して、お腹の辺りを代わりにさすったり、ああ、磁石のように「そこ」へ向かう手は、反って「そこ」以外の周辺へ漂って、もう宙に手塚ゾーンのような円を描いているよ)

みほ(ああ、可愛い華さん。わたしが代わりに、今にも決壊しそうな「そこ」を押さえてあげたいよ………)


華「んっ……!!」ビクッ


みほ(華さんの背筋がすっと伸びて、そのまま静止した)

みほ(華さん、もうダメなのかな?)

みほ(…そりゃあ、二時間目から行きたかったんだもんね、仕方ないか)

みほ(華さんの目はぱっちり見開かれて、前を見通すその眼力の強さに、先生も後頭に視線を感じ取ったらしく、振り返って目を合わせたくらい)

みほ(華さんはそれでも理性を取り戻し、起き抜けのふりをして小さく欠伸を溢したり、椅子を引いたりして、なんとかごまかす)

みほ(だけど、深く腰掛けたお尻に対し、前方へ弧を描いて伸びきる背筋は、横から見ると閉じカッコのような形になっていて、その腰の扇情的なカーブは周囲に艶を振りまいている)

みほ(四時間目と同じように八の字の足は、右股が組まない程度に、左股に重なり合わされており、どうやら両股の合わさる圧で「そこ」を押さえているらしい)

みほ(……華さん、まだだよ。こんなみんなの前でやっちゃダメだよ)

みほ(華さんの恥ずかしい姿は、わたしだけのためにあるんだから………)


教師「――じゃあ、五十鈴、ここ読んでみて」

みほ「!」

華「――あ、は、はいっ」ガタッ

華「えーっ、と……」パラパラ

華「…………」モジモジ


みほ「………」

みほ(急に指名されて、大慌てに慌てたその心は、ページを探すことに全て向けられて、最も気を向けて隠さなければならないその我慢に悶える仕草は、それと火を見るより明らかとなった)


華「イット、シームス、アイ、ハフ、トゥ……」


みほ(読み慣れない英語を前にして、全神経がそっちに捧げられた今、華さんの右足はふらふら右へ左へ行ったり来たり……)

みほ(……止まったかと思えば、足はきつく交差され、それに伴って華さんの姿勢は徐々に前傾していく)


華「……イエス、ユー、アー、ライト……」


みほ(……華さん、そんな姿をさらしちゃあ、おしっこを我慢しているんだって、クラスのみんなにバレちゃうよ?)

みほ(周りのみんなはまだ気がついていないみたいだけど、これ以上そんなあからさまな仕草を続けていたら、じきに気がつく人も出てくるんじゃないかな)


華「――アイ、ハフ、メイド、ア、ミステイク……」


みほ(――そう、華さんは間違いを犯した)

みほ(あなたはあまりにわたしのことを信頼し過ぎて、わたしの本質を見抜くのを怠った)

みほ(ごめんね、華さん)

みほ(実はわたし――変態だったの)

みほ(親友の華さんが苦悶する姿を見て、わたし今興奮してるんだよ?)

みほ(華さん、もっと……もっと、わたしを興奮させてよ………?)


教師「――よし、もういいだろう。じゃあ次、岸田!」


ハ、ハイッ! ココ、ヨンデミロ ハイ! ユーアー……


華「ふ………うん…………っ……………はあ……」ガタッ


みほ(もう恥も外聞もなく、仕草を外に見せるようになった)

みほ(その艶めかしい声が聞こえるのは、きっと華さんの席のすぐ周りの人たちだけだろうけれど、わたしには、しっかりとその荒れた息遣いから、力んで口の端から漏れた声まで、華さんの恥ずかしいとこが全部聞こえるよ)

みほ(……うう、はあ……)

みほ(あんな姿見せられたらわたし、もう華さんのことすっかり許して、早くトイレに行かせてあげたくなっちゃうよ)

みほ(………でも、華さん、ごめんね。わたしまだ、満足できないの)

みほ(わたしみたいな変態に目をつけられて可哀想だけど、でも華さん、ごめんね。わたしのために、もう少しだけ、苦悶に踊ってもらうよ?―――)


キーンコーンカーンコーン…

教師「はい、じゃあみなさん、次は全校集会がありますから、速やかに体育館へ移動してくださいね」ガラガラ

沙織「次、集会だって! まったく、こんな寒いのに体育館だなんて――」

華「………ッ」タタタタ! ガラッ!

沙織「――って、華!? そんなに急いでどこ行くのよーー!」

沙織「ねえ~!! ………ってあれ、みぽりんは? ねえねえ、みぽりん知らない?」

B子「え? なんか授業終わったらすぐ教室出て行っちゃったよ?」

沙織「そうなの? もう! なんなのよ二人して!! なにも置いてかなくったっていいじゃない……!」


廊下


華「………」タタタタッ

?「あれ?」

華「!」クルッ!

?「そこに居るの、五十鈴ちゃんじゃない?」

華「え……? あッ」

華「会長!!」

杏「いやっほー。奇遇だねえこんなところで。なにしてんの?」

華「い、いえ、別に、その――」

杏「ふうん。……ね、それで、どう? 最近は。順調?」

華「ええ、お、おかげさまで、順調に、やっていますよ?」

杏「本当~? なんか言葉が詰まったのが気になったなあ。………ま、いいや。あんまり詮索し過ぎてもあれだし。会長っていうのは、問題を新しく見つけては対処しなきゃいけない立場の仕事だからね。ちょっとくらい手こずってるほうが、よっぽどいい会長だよ」

華「ふ、ええ、ありがとうございます」

杏「あれ、そういえば――」

華「?」


杏「西住ちゃーん!!」 


華「!」

杏「…西住ちゃん? どうしたの、そんなとこに隠れて……」

みほ「え、えへへへへ……」ヒョコ


みほ「ちょっと会長同士一対一で話したいかと…」

杏「別にいいよ、そんなに気を遣わなくったってー」

華「……」

華「……みほさん、いらしてたんですね」

みほ「うん。ちょっと、戦車道のことで会長と話があって」

杏「元、ね」

華「そうだったんですか。邪魔してしまったのは、私のほうでしたね……」ソワソワ

みほ「いやいや……」

華「…………」

みほ「…………」


みほ(華さんのわたしを見るあの目。きっともう華さんはわたしのしていることに気がついているんだろう)

みほ(わたしの目から逃れるために、普段使われることのない北校舎まで来たりして……)

みほ(……でも、わたしから逃げられるわけないよ、華さん)

みほ(だって、わたし、今の華さんに釘付けなんだもん)

みほ(こんなに可愛い華さんから、目なんか離せるわけないよ――)


華「………」


みほ(普段は凛としていて、他人に弱みなんか決して見せない華さんが、今は憤りのほかに、怯え切った瞳をわたしに向けている)

みほ(……もしわたしが変態だって知ったら、華さんは、わたしを見捨てて、わたしたち友達じゃなくなっちゃうのかな……?)

みほ(ああ、考えたって悲しいよ、華さん…………)

みほ(…………)

みほ(……会長と喋ってた華さん、楽しそうだったな……)

みほ(華さんは本当のわたしを知ったら、きっとわたしなんかよりも、会長と友達同士になっちゃうんだろうなあ……)

みほ(うう、華さん………)

みほ(……寂しいよ、華さん……………寂しいよ………)


みほ(……………………………)


みほ「――ねえ、華さん」

華「ン……は、はい?」モジモジ

杏「……?」

みほ「華さん、聞いてる?」

華「え、ええ、聞いてますよ………っ………」フラフラ

杏「………」

みほ「華さん、止まって、ちゃんと聞いてよ!」

華「!」ビクッ

華「う………く………は、はい。すいません、みほさん」ソワソワ

杏「………」

杏「西住ちゃん、一体何を――」

みほ「華さん」

華「――はい、っ」モジモジ

みほ「ねえ、華さん……」


みほ「――これから何があっても、わたしと友達でいてくれる……?」



杏「!」

華「み、みほさん……?」

みほ「ねえ、ちゃんと答えてよ。華さん」

みほ「わたしと友達でいてくれるの?」

杏「………」

華「………」


華「……ええ、もちろんですよ、みほさん?」ニコッ

みほ「……ほんとうに? ほんっとに友達でいてくれる?」

華「ええ」ニッコリ

みほ「…………………」


杏「―――じゃ、じゃあ、体育館行こうか! ね! 永遠の友情も確かめられたし、よかった、よかった!!」

華「ええ♪」

みほ「…………………」

杏「……」

華「……」

杏「(また問題がひとつ、増えちゃったね、五十鈴ちゃん……)」ゴニョゴニョ

華「………………」


杏「じゃあ、わたし、先に行ってるからーー!! ふたりとも遅刻しちゃだめだぞーー!!」タタタッ

華「………」

みほ「…………………………」

華「……じゃあ、あの、私―――」

みほ「華さん、手」スッ

華「え、ええ……」ギュッ

みほ「………………」テクテク

華「!」

華「あ、あの、みほさん。私、少しお手洗いに……!」

みほ「……」クルッ

華「!」

みほ「……華さんはもうわたしのものだよ。もう、誰にも渡さないの」

華「え………」

みほ「行くよ」スタスタ…

華「あ、あの……っ……! みほさ……!」スタ、スタ……――



六時間目・体育館


沙織「――あ、いた! んもう、ふたりともさっきどこ行ってたのよ! 私ずいぶん探したんだからね、ふたりのこと!」

みほ「ごめんね、沙織さん」

華「ごめんなさい、沙織さん」

沙織「う……なんかそう素直に謝られるとこっちが困るっていうか……。そ、そうだ! この全校集会っていったい何するんだろうねー! なんだか最近こういうの無かったから、わくわくしちゃう。ね?」

みほ「うん、そうだね」

華「ええ……」

沙織「……………」

沙織「な、なーんかテンション低くない? なんかあった…?」

みほ「え~? そんなコトないよー」

華「ええ……」

沙織「……………」

沙織「…あ、そ、そうそう、時間だ! 私、自分の並び場所戻るね!」

みほ「うん」

華「ええ」

沙織「…………」

沙織「……なーんか調子狂う」スタスタ



みほ「………」

華「………」

華「……あの、それでは私も戻りますね?」

みほ「うん」

華「……」

華「あ、あの、手を離していただいても……」

みほ「…………………」ギュウッ

華「あ、あの……?」

みほ「……ううん、なんでもないの。じゃあね、華さん」パッ

華「………え、ええ」

華「………」スタスタ

みほ「…………」


教師「ではこれより全校集会を始めます。まずはじめに、校長先生の話を――」


華「………」ソワソワ

みほ「…………」


みほ(………)

みほ(……あーあ、この全校集会、クラスごとの出席番号順で縦並びだから、華さんのことぜーんぜん見れないや)

みほ(…………)

みほ(………華さん、わたしのこと嫌いになったかな……)

みほ(わたし、さんざん華さんにわがまま言っちゃたし、それに普段お世話になってるのにもかかわらず、こんな仕打ちをしたりして)

みほ(…………)

みほ(『あの、手を離していただいても…』だって。)

みほ(やっぱりわたしのこと気持ち悪くて、嫌になっちゃったんだろうなあ…)

みほ(…………)


華「………」スッ


みほ(……あ、華さん足クロスしてる)

みほ(他にも何人かしてる人いるからあんまり目立ってはないけど、でもやっぱり普段しっかり両足揃えて姿勢正しく立ってる華さんのことだから、目には珍しく映って、留まりやすい)

みほ(……ああ華さん、相当きついんだろうなあ)

みほ(右足に左足に、重心を交互に変えてるみたいで、前に少しだけ見える華さんの頭がひっきりなしに揺れている)

みほ(………もうたぶん、六時間目が限界だね)

みほ(もういっそ、みんなの前で盛大におもらししちゃってよ、華さん)

みほ(そうしたら、みんなの笑いものになって恥辱に苛む華さんを、わたしひとりだけでいっぱい慰めて、いーっぱい、愛してあげるよ………)



教師「――では、VTRを観ますから、みなさん座ってください。もし観にくい人がいたら、見やすい位置に移動していいからねー」

ウエー、ユカツメタイッテイウノニ… ホラ、ツベコベイワズ ハヤクスワル!  ザワザワ…


みほ「!」

みほ「…………」


A組教師「ほら、みんな座ってってば! 床は冬だからつめたいの! そういうもんだから我慢して座りなさい! ほら――」

みほ「あの、先生」

A組教師「――座っ……。……はい? なんですか、西住さん?」

みほ「あの、今日眼鏡忘れちゃって。見えないので、前のほうに行っても大丈夫ですか?」

A組教師「ええ、大丈夫ですよ」

みほ「ありがとうございます」

みほ「………」スタスタ

A組教師「………」(西住さんは普段眼鏡してたかな……)


華「…………」

みほ「――華さん」ヒョコ

華「!」

華「……み、みほさん?」

みほ「うん。来ちゃった」

華「あの、どうされたんですか?」

みほ「うん? いや、目が見えないって言って、前に来させてもらったの。いいでしょ、横座っても」

華「あ………え、ええ…どうぞ」

みほ「うん、ごめんね」スッ

華「……………」


VTR「――アルコール依存とは、ひとりの力で解決することの難しい病気であって、一度かかると――」


華「……ん……んぅ……ッ…!」

華「っ………………っは、はあ、はあ、はあ、……く………」

みほ「…………」


みほ(うわあ、もう余裕なしだ…)

みほ(人前の華さんからこんなに艶めかしい声が漏れるなんて…)

みほ(――みんながあぐらとかお姉さん座りで座るなか、華さんだけは硬い床の上にきちんと正座で座っている)

みほ(そりゃあ、子供の頃から正座で座るよう教育されてきた五十鈴家令嬢のことだから、別段そのこと自体は珍しくないんだけど……)

みほ(ほら、よく見ると、今の華さんのは完全な正座というよりは、右足を少し右に開いて、定位置に来たかかとで、上手に「そこ」を押さえている――)

みほ(………華さんのそんな姿を見てるとわたし……)

みほ(………………)


華「!」ビクンッ

華「あっ……はっ……ん………くぅ…」

華「ふぅっ……あ、はあ、はあ、はあ…」

みほ「……………」


VTR「――依存の経験を持つEさん。『やっぱり大変ですよ。その当時はときに水筒にもウイスキーを入れて職場に行ったり』――」


華「んん……はあ、はあ、」

みほ「……………」


VTR「――『ええ、年単位で。費用もかさみますし、自分が情けなかったですね』――」


華「はあ………っ!………………ふっ、はあ、はあ、はあ、」

みほ「……………」


VTR「――『心ではわかってるんですけど、やっぱりどうしても我慢が出来なくって』――」


華「!」ビクンッ!

みほ「!」


みほ(華さんの背筋が急にスッと伸びて、そのまま硬直した)

みほ(目はぱっちり開かれて、特にどこを見ているわけではないらしく、焦点が合っていない)

みほ(それまでアソコにぎゅうぎゅう押さえつけていた右足をそのままに、だんだん上半身がぐぐぐ…と前傾していく…)

みほ(華さんの右手は、もう恥じらいも無く股間にあてがわれていて、それでも、人前で思い切り掴むようにして押さえるのは憚られたのか、手の付け根あたりでぐいぐいとソコを押さえつけている)


華「……っ……くぅっ……!…………んんんっ……!」

みほ「……………」


みほ(………ああ、可哀想だな、華さん。こんなに苦しそうで…)

みほ(周りの人も華さんの異常に気がついて、時々こっちを盗み見ているみたい……)

みほ(…………………)

みほ(……わたしだけの、華さん………)

みほ(……………)

みほ(………………よし)


みほ「……ねえ、華さん?」

華「!」ビクッ

華「は、はい……? なんでしょうか、みほさん…?」ギュウギュウ

みほ「ねえ、なんか具合悪そうだよ? 具合悪いならあんまり無理しないで先生に言ってさ、ちょっと保健室行かしてもらおう?」

華「あ! ……あの、あのう、別に、そんな……う、だ、大丈夫なんです。別に、具合が悪いとか、その、そういうことではないので……。あの、……………あっ! んんっ……!」ギュウギュウ

みほ「ほら、やっぱい具合悪いんだよ。わたしが付き添ってあげるから、一緒に保健室行こう? ね?」

華「う、うう……はい。お、お願いします……………」

みほ「うん! ――あ、あの、すいません、先生? …………先生。五十鈴さんがちょっと具合悪いようなので、二人で保健室へ行ってもいいですか?」

教師「ほう、五十鈴さんが……。じゃ、わかった。先生が保健室まで送るから、西住さんはここに居なさい」

みほ「…………え? あの、先生。…五十鈴さんは女の子ですよ? あなたみたいな男の人にあれやこれや正直に言えるわけないじゃありませんか。そうではなくて、気心の知れたわたしが、付き添います」

教師「なら、誰か女の先生を――」

みほ「わたしが行くんです」

教師「…………そうか。じゃあ頼んだよ。保健の先生に引き渡したら、すぐに帰ってくるように」

みほ「はい。もちろんです。」

みほ「……じゃ、華さん、行こう?」

華「…は、はい…………」


みほ・華「…………」スタスタ…

教師「…………」

沙織「あれ、みぽりん? 華? …………ふたりしてどこ行くのよー……?」

みほ・華「…………」スタスタ…



廊下


みほ「――じゃあ華さん、保健室行こうか。ちゃんと歩ける? もし具合が悪かったら、わたしの肩につかまってもいいからね?」

華「…はい………」

みほ「…保健室ってここから遠いんだよなあ。階段もあるし、華さん大丈夫?」

華「え、ええ…」

みほ「――ほら、ここから階段だから気をつけてね…」

華「ええ……あ、あの、みほさん、もう少しゆっくり……!」

みほ「えっ………あ、ご、ごめんね、華さん。気が回らなくって……」

華「あの、いいえ、あ、あの、そんな私のほうこそ………………あッ!」

みほ「え?」

華「あ、あのッ、いえ、別段……いえ、あの…なんでもないんです…。……ほら、そのう………い、行きましょうか…?」ソワソワ

みほ「? うん、行こうか…」

華「…はあ、はあ……」

みほ「……………」


保健室


みほ「――着いたけど……保健の先生居ないみたいだね?」

華「はい……………。今の時間だと――あ、あの、どこかにいらしてるんですかね……?」

みほ「うん……。まあ、鍵は開いてるし、入っちゃおうか。失礼しまーす」ガラガラ

華「し、失礼します……」

みほ「……じゃ、ホラ、あそこのベッド使えそうだから、華さん、あそこに寝て楽にしてて」

華「は、はい。…あの、みほさんは……?」

みほ「わたし? わたし先生探してくるよ。もしかしたら体育館にいるかもしれないから、走って戻ってみる。華さんはここで安静にしてるんだよ?」

華「あの、べつに、その、あの、大したことではないので、べつに先生を呼ぶ必要は――」

みほ「ほら、何言ってるの。具合悪くない人がそんなに落ち着きないわけないよ。ほら、ちゃんと横になって……」グイッ

華「あ! あの、みほさん! 私自分で横になれますから…ッ、あの、引っ張らないでッ……!」

みほ「あっ! ご、ごめん。つい……」

華「はあ、はあ………っ……はあ……」

みほ「――じゃ、掛布団かけるから…」ファサ

華「あ、ありがとうございます…」

華「………んっ…………ふう………」ギュウッ

みほ「!」


みほ(華さん、ソコ押さえてる……)

みほ(掛け布団の下だから気づかれないと思ったのかもしれないけど、でも、手の形がくっきりと足の付け根に浮かび上がってるよ………)


みほ「……じゃあ、わたし行ってくるから。華さん、わたしが来るまで安静にしてるんだよ?」

華「は、はい…。――あ、あの、みほさん…? あの、体育館に戻ったらその……そ、そのままそこに残ってもらっていいので、あの、また放課後に……」

みほ「またそんな気を遣って……。うん、じゃ、放課後にね?」

華「はい……!」

みほ「じゃあね――」ガラガラピシャ


タッタッタッタッタ……


華「!」ガバッ!

華(はあっ、はあ、……んッ! ……今のうちに、今のうちに行かなければ……! きっとじきに先生が来て……機会を逃してしまう……ッ!)

華(うっ………ああ、本っ当にまずい……)

華(今日は朝起きて後に一回お手洗いに行ったきり、それ以降は何の因果か、一度も行けていない)

華(親切にしてくれたみほさんには悪いけれど、今、いまお手洗いに行かなければ……)

華(わたしは、おもらしを――)ガラッ!


みほ「華さん、ダメだよ、寝てなくちゃあ」


華「きゃあっ!?」


ジュウッ!


華「は!? ……う………くッ………うううううっ…!」ギュウウウウ

みほ「!」

みほ(ついに押さえた!)

みほ(ついにわたしの前でソコを押さえた……)

みほ(それに今の音………)

みほ(………華さん、ちびったな……?)

みほ(……………)

みほ(…………ようし)


みほ「は、華さん大丈夫!? ほら、しっかりして!!」ユサユサ

華「あ、あ………」

ジュウッ…ジュウウウ……

華「あっ!? あ、あ!! はあッ………く…………んんんっ…! だ、ダメっ!!」ギュウウウウ!!

みほ「華さん、ねえ、どこが痛いの!? ねえ、華さん!!」ユサユサ

華「う、ううううっ……! み、みほさんっ!! お願いだからッ! お願いだから揺らさないでッッ!!!」ギュウウウッ!

みほ「あ! ご、ごめんっ!」パッ

華「っ、はあっ、はああッ………!」

みほ「………ねえ、華さん、大丈夫なの…?」

華「っ……! お、お手洗いに……!」

みほ「え!? は、華さん、寝てた方がいいよ!! ほら、無理に移動しないで、ベッドで安静にしてたほうが――」ガシッ

華「い、いやッ!!離して!! 今行かないといけないんですっ!!!」タタタッ!

みほ「あっ!? は、華さん待って!?」

華「…はあっ、はあっ……」ガラガラッ


華「あっ!」ピタッ


ジュウッ…ジュイイイイ………パタパタッ…


華「う、ううううっ、……くっ……」ギュウ


みほ「…………」


みほ「…………」

みほ(トイレへと駆けだした華さんを襲う尿意の猛威は衰えることを知らず、今では最早波のように断続的に押し寄せるのではなく、滝のように休む暇なく彼女のことを責めつづけているらしい)

みほ(今まで長時間使い続けてきた尿道括約筋が麻痺してふと緩んだその一瞬間に、お腹が張り出すほど膀胱に貯めこまれたおしっこが、少しずつ、少しずつ溢れ出す)

みほ(最早ちびったで収まらないほど、華さんは廊下に滴を垂らし続けていた)

みほ(おしっこがジュウッっという音を立てて股間から溢れ出すたびに立ち止まって、苦悶に身をくねらせてせき止めようとする華さんの姿は、みじめというよりもむしろ、崇高にわたしの目に映った……)


みほ「は、華さん……?」

華「う……あっ! あ、あの、違うんです! これは、その、違うんです…! あ、あの……う、うううううっ……!」

ジュイイイッ……

華「ううっ……あ、あんっ……くうッ………ううううう」ギュウウウウ

みほ「ほら華さん、つかまって。一緒にトイレ、行こう?」スッ

華「う、ううううっ……す、すいません……みほさん、すいません………」

みほ「ううん。いいの、華さん。ね、ゆっくり歩いて……ね?」

華「すいません、すいません………」



みほ「――ほら、そこがトイレだから。もうちょっとだよ、華さん」

華「は、はい………っ」

みほ「ほら、遠慮なんかしないで、肩につかまって、ね?」

華「え、ええ………。……あ、あの、みほさん?」

みほ「うん?」

華「…あの、も、もうここで結構、その、本当に大丈夫なので、あの、体育館に戻ってもらって……」

みほ「いや、華さん。そんなコト言わないで、最後まで手伝わせてよ。どうせ体育館に戻ったって、つまんないビデオ見せられるだけなんだから」

華「い、いえ、その、本当に大丈夫なので……!」

みほ「……う~ん」

華「あ、あの! お、お願いします……!」

みほ「……そこまで言うなら、じゃあわかった。わたし、早く行って保健の先生呼んでくるから。それまで無理しちゃダメだよ、華さん?」

華「……。は、はい……」

みほ「あと、辛いようなら、今日は放課後練習来ないで、そのまま帰っちゃっていいから。わたし、みんなに言っとくよ」

華「は、はい……!…………っ」ギュウッ

みほ「……じゃ、行ってくるから………」タタタ…

華「…………」



華「っ」

華「――っ、はあ、はあっ、はあ……!」ダダダダ!

華「と、トイレ!! こっち!?」ダダダダ!

華「あ、あった!!」ダダダ!


華「うっ!」ピタッ


華「………っ………くううう……」ギュウウウウ

華「んっ……んううううっ…………だ、ダメッ……!」クネクネ

華「……っ! はあっ、はあっ……」ダダダ!

華「……はあ、はあっ!……つ、ついた!!」ダダダ!

ギィ! バタンッ!!

華「……!」

華「…あ……! パ、パンツが、下がらないっ……!」ヌギヌギ


ジュウウウウ!


華「あっ、あっ、まだ、まだ待って……!」ギュウウウ アシブミアシブミ

華「ふうっ、よし下りた! これで――」




バタァァァン!!!


華「きゃあ!!!?」


みほ「――華さん、間に合った……?」ニッコリ


華「………え?」

華「あ、え、え? あ、あの、みほさん?」クネクネ

みほ「そんな、華さん。一度下ろした下着をまた上げなおすことないじゃん。ほら、もう一度下ろしてよ」

華「え……? は、み、みほさん……? あの…? …………っ!! あっ、あっ……! どうしよう…!! あ、ちょっと……ど、どうしよう………!」クネクネ


ジュイイイイイイ…!!!


華「あっ!?」ガバッ! ギュウウウウ!!!


ジュイッ……ジュウウウウ……


華「くッ………ふ………んんんんッ……! あ、だ、ダメ…!!」ギュウウウ クネクネ


ジィィィィィィィ……!!!


華「アッ!!! ああ、ああ、あの、やだっ!? ……くっ……ううううッ……!! も、もうっ…!! ん、んんんんッ…………!! み、見ないで! 見ないで!!」ギュウウウウ

みほ「トイレに無事入って、一度間に合ったと思って、すっかり緩んだその膀胱を再び抑えつけるのは難しいよね、華さん? さあ、もう無理しないで、わたしに全部見せてよ? もう負け戦を戦うのはやめてさ、素直にわたしに恥ずかしいトコ、全部見せてよ?」

華「い、いやッ!! み、みほさん、お、お願いだから、出てって!! お願いだから、出て行って!!!」

みほ「五十鈴家の令嬢がこんなに取り乱すとは、さすがのわたしも予想外だったね。………いやだよ、華さん。わたし、華さんの全部が知りたいの。わたし、華さんが好きだから、華さんから出た恥ずかしいおしっこも、その限界に悶える姿も、ぜーんぶ知りたいの。………ねえ、わたし、あとは華さんが普段、どういうふうにおしっこしてるのか、知りたいなあ……?」



ジュウウウウ……


華「!?」

華「あ、ああ、ああ…………いや……」

みほ「ホラ…………」


ジュウイイイイ……!


華「あ、あ、あ、…………もう…………もう…………………」

みほ「…………」ゴクリ


華「もう、我慢できないッ!!!」


ガバッ!! ストッ!!


みほ「!?」



ジィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!!!!!!!



みほ「お、おお……!」

華「ふう、はあ、はあーーっ……」


ジュィィィィィィィィ……!!!


華「ああ、はあ、はあ…………」

みほ「………」


みほ「………」

みほ「……………」スッ

華「あ、み、みほさん!!? そんなところに、そんな、足の間に手を………!!」

華「ふッ……!! う、うう………くッ…………!!!」プルプル


ピタ……


みほ「……ちょっと華さん。止めないで、ちゃんと出して。ほら、そんなに無理しちゃあ身体に悪いって」

華「……だ、だって、だッて、みほさんが………! 汚いですって……!!」プルプル

華「――あッ!!」


ピュッ……ピューー……!!


華「う………くううううっ………!!!」プルプル

みほ「…………………」

みほ「………はあ」


ギュッ


ギュッ


華「!?」

みほ「……華さん、もう、いいんだよ?」

みほ「華さん、もういいの。華さん、いいところの家だから、今までいろんなこと隠して生きてきたんでしょう? ……もう、恥ずかしがんなくったっていいの。わたしは、例え華さんが本当はどうであっても、全部受け止めるから。わたしは、華さんの全てが好きなの。華さんのするコトなら、なんだって好きなの。……だから、もう、ほら、力抜いて……」

華「で、でも………っ」

みほ「――ねえ、華さんはわたしのコト、嫌い? こんな気持ち悪いことするわたしのことなんか嫌いになった? ……この際だから言うけど、実は今華さんがこうして苦しんでるのも、全部わたしのせいなんだよ? ぜんぶわたしが仕組んだこと……」

華「え………?」

みほ「華さんも気づいてたんじゃない? わたしが休み時間のたびに華さんを追いかけ回して、トイレに行けないようにしてたこと。………わたし、華さんがおしっこ我慢して苦しんでるトコ見たくて、ずーっと一日中そんなコトしてたんだよ? ねえ、こんなことするわたしのコト、嫌いになった?」

華「あの、………いや…………ううっ………!!」ギュウッ!!

みほ「……ほら、もうこんな手離して……」スッ

華「あっ、やっ……!!」ジタバタ

みほ「……ねえ。もうお願いだから素直になって。華さん、わたし、華さんがどんなにわたしのコト嫌いになっても、華さんの全部を知りたいの。だから、お願い、華さん」


みほ「――わたしに、恥ずかしいトコ、ぜんぶ見せてよ―――」




華「ふっ………くッ………!!」ジタバタ


チュッ


華「――――」

華「――は…………?」ヘナヘナ ストン



ポタ………ポタ………


ジュ、ジュウウウ……


……ジ……ジィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!!!!!!



華「あっ、あッ………! はあ、ああ………」ジィィィィ…

みほ「ふふ、華さん、すごい勢い。そんなに我慢してたんだ…」

華「う、うう………」ジィィィィ…

みほ「…………」スッ

華「……あっ!? み、みほさん、そんな……!!」ジュィィィィ…

みほ「ぺろっ」

華「あ、ああ………」シュウウウウ…

みほ「………………」

みほ「………うん、こうぃっちゃなんだけど、こうちゃの味がするね」

華「……………………」

華「…………はあ、みほさん…………」


…シュィィィィィィィィィィィィィィィィィィ…………


みほ(この後、華さんのおしっこは二分近く続いた………)


翌日


沙織「おっはよー!!」

みほ・華「おはよう(ございます)、沙織さん」

沙織「お、なんだふたりとも、早いねえ。感心、感心!! ……なんか昨日二人とも放課後練習しないで、そろって先に帰っちゃったから、心配してたんだよ? ゆかりんもすごい心配してたんだから」

みほ「えへへ、ごめんね。ちょっとね………」チラッ

華「ええ、うふふ。少し………」チラッ


みほ・華「……………」


沙織「…………なに、この感じ。………まあいいや。今日の一時間目ってなんだっけ?」

華「ええと、たしか国語だった気が――」

みほ「国語だよ」

沙織「あ、そう? じゃ教室はここね。…………にしても、今日冷えるよね~!」

みほ「そうだね」

華「確か、今日はこの冬の最低気温だったと思いますよ?」

沙織「うへぇ~、じゃあ寒いはずだ……」


沙織「……」ブルッ


沙織「……私ちょっとお花摘みに行ってくるね」ガタッ


みほ「……お花?」

華「沙織さん、お花を摘みに行かれるんですか?」


沙織「え……? うん。って、乙女に二回も言わせないでよ!!」

みほ「わたしも行っていい?」

沙織「え?――」

華「私もいいでしょうか?」

沙織「え?……うん、いいけど。なんなのよ、ふたりして」

みほ「うわーい、やったー!! わたし、いっぱい摘むからね! 沙織さん、負けないよ!!」

沙織「………はあ?」

華「私も、華道を嗜むものとして負けてはいられませんよ」

沙織「……? 何言ってんの、あなたたち………?」

みほ「じゃ行こうか……っと、その前に――」


みほ「ちょっと寄りたいとこあるんだけど、寄っていい? 沙織さん♪」






おまけ


五時間目前・休み時間


みほ「あちゃー、この財布、お札用の財布だったよ。ごめんね、華さん、この財布持っててもらっていい? わたし、教室戻ってがまぐち持ってくるから!」

華「え、ええ……?」

みほ「ごめんねー!!」タタタ ガラッ タタタ…

華「……………」




廊下


みほ「はあー、いそげいそげ…」タタタ


みほ(……ああ、華さんをトイレに行かせないようにしてたら、わたしもすっかり行きそびれてたよ)

みほ(わたし今日寝坊しちゃって、起きてから十分で家出たから、今日はまだ一回もトイレ行ってないや)

みほ(……このタイミングを作れなかったら、わたしも危なかったな……)



みほ「ふうっ、ついた!!」

みほ「――って、あれ!?」


ガヤガヤ…


みほ「す、すごい混んでる……」

みほ「……………」

みほ「……………」アシクロス


みほ(……あー、これは予想外だった)

みほ(っていうかこの階は六組が共同で使ってるから、毎時間それなりに混んでるんだよなあ……)

みほ(……こんなに待たされたら、ひょっとして華さん、どこかの空いてるトイレに行っちゃうかな……?)

みほ(!! うっ、ま、まずい。人の心配よりまずは自分の心配を……)クネクネ


チャーー……


みほ「あっ!!!!」ガバッ!!


みほ(う、うそ!! 足を組みなおして一瞬緩んだ瞬間にちょっと出ちゃった!!)

みほ(ふ………ッ!! く、うううううっ……)グリグリ

みほ(あ、こ、これ、やばい――)



?「あの、西住さん?」


みほ「はえ!!? え!?」クルッ

麻子「そんなところでしゃがんで、何やってるんだ……?」

みほ「あ、あの! これは、別になんでもないの!! ただ、ちょっと、その、さ、別にやばくないよ!! ほら! なんてことないんだけど――」ギュウウウ

麻子「あ、ほら、向こう空いたぞ。なんか大変そうだから、先に入れてあげよう」

みほ「!!」

みほ「――あ、ま、麻子さん、ありがとう!! 別にやばくなんてないけど、先に行かせてもらうね! 別にだいじょぶなんだけど――」

麻子「あー、わかった、わかったから、早く」

みほ「あ、う、うん!!」ダダダ!


ギィ! バタンッ!!


みほ「ふうっ、なんとか間に合った……!」

みほ「――って、和式!?」

みほ「あー、あんまり和式って慣れてないんだけど……」ジタバタ

みほ「――って、そんな好き嫌い言ってる場合じゃない!! ……あっ、あっ、やばいやばい!!」クネクネ

みほ「ほっ、脱げた!!」スッ


シィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!!!


みほ「ふううーーっ、はあああああーー……」シュアアアアアアア…

みほ(あー、よかった、ちゃんと間に合ったよ……)

みほ(それにしても、トイレに入った瞬間一気に尿意が増すのは一体どうしてなのかな………)

みほ(今のわたしも結構我慢してたけど、でも華さんはきっとこれ以上か……)

みほ(……………………)

みほ(………あ、やっぱりパンツちょっと濡れてる)



ザアアアアア…ギイ バタン


みほ「ふうー、すっきりした」

麻子「おう」

みほ「あ、麻子さん。ごめんね、さっき。順番譲ってもらっちゃって」

麻子「あ、ああ、いいんだ。それに…………すごい我慢してたみたいだったし」

みほ「へ?」

麻子「音。………響き渡ってたぞ」

みほ「へ…………?」


みほ「お、音消しすんの、忘れてたーー!!!」


本当に完


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