初SSでもあり、初2ch。
正直怖い。
・疫病神?と人間たちのコメディ。
・所々地の文あり。
・序盤は少しシリアスかも?
はじめるのじゃ。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1448977242
〈注意〉
特定の物事に関する解釈はすべて筆者の独断と偏見+創作です。多分。
(あと、オリキャラ注意)
…朝、いつものようにドタドタと走る妹の足音で目が覚める。
カーテンの隙間から日差しが刺し、眩しさを感じる。
…私は赤松紗希、21歳の大学生。
朝が早い高2の妹、華はいつも朝食を作っていてくれる。
華「あ、おはよう、おねえちゃん。」
紗希「…おはよう」ポリポリ
妹はすでに朝食の卵焼きを作り終え、出かける準備をしていた。
華「んじゃ、朝練あるから、行ってくるねー♪」バタン
高2になってより一層卓球の練習に励むようになった妹。
私にも、あんな時代があったのかなぁ…。
青春なんてこれからあるさ!と考えていた時期もあった。
大学に入ってからは、毎日毎日、本とpcにひっつく生活をしている。
嫌ではないが、他に楽しめることはないのかと、思いふける。
そそくさと朝食を終え、私は家を出た。
通りの奥にある神社が朝日に照らされ、神々しく見える。
隣の家の庭では、民俗学者の久城実が花に水をあげていた。
紗希「実さん、おっはー!」
実「おっはー♪」
紗希「キモッ」
実「えぇ!?」ガビーン
彼は日本神話の研究をしている民俗学者。
大学院を出てからはそこらの神社に出かけてはいるが基本引き篭もって日々研究しいるらしい。
久城「今日も気をつけてなー」
紗希「行ってくるねー」
久城『そんで、山幸彦は海幸彦に…』
彼はかなりの神話オタク。
彼のお父さんは遠いところの大学で神話の研究をしているらしい。
私も、子供の頃から彼からいろんな神話を聞かされて、神話を勉強するようになった。
志望大学には入ったものの、いまいち夢は考えられなかった。
私は電車に揺られ、いつもの通学時間を過ごしていた。
〈大学〉
香菜「んで、言ってやったんだよ、『一生ママのオッパイしゃぶってろ!』てね!」
紗希「女の子がそんなこと言っちゃダメだよ!」
彼女は私の大学での唯一の友人。
可愛くてとてもモテるけれど、何かと喧嘩っ早い。
近づいてくる男を追っ払っていく。
気性が荒いのだ。
香菜「もう~つれないなぁ~サーちゃんは~」
紗希「人がたくさんいる食堂で言うのもどうかと」
周りの人たちは聞きなれたことだから、
驚くこともなくなったけど
香菜「いや~私のとこに来るチンピラをサーちゃんにあげたい」
紗希「いや何でだよ」
香菜「彼氏つくれるかもしれないじゃん?」
紗希「なんでチンピラなんかと」
香菜「だってサーちゃん実さんとくっつかないんだもの」
紗希「くっつかないよ!」
香菜がニヤニヤしながら聞いてくる。
香菜「好きなんじゃないの~?」ニヤニヤ
紗希「そんなんじゃないよー!」
香菜「いつも実さんの話ししてくるくせに」
紗希「他にネタが無いんだもの」
香菜「サーちゃんはそのまま独り身でいるつもりなの?」
香菜「なんで?」
紗希「…へ?」
香菜「…」ニヤニヤ
紗希「」
私が実さんにその気があるかは自分でもわからない。
ただ怖い。それけだ。
紗希「…わかんないや」
香菜「じゃあ実さんは私が貰っちゃうよ~?」
紗希「それは嫌だ!」
(最後の三行はミス)
>>6
香菜「サーちゃんはそのまま独り身でいるつもりなの?」
紗希「…わかんないや」
香菜「じゃあ私がもらってもいいの?」
紗希「それは嫌だ!」
香菜「なんで?」
紗希「…へ?」
香菜「…」ニヤニヤ
紗希「」
私が実さんにその気があるかは自分でもわからない。
ただ怖い。それけだ。
私は疫病神と呼ばれていた。
私が高2の時、両親が交通事故で死んでしまった。
私は悲しみの溝に落ちたが、
実さんの支えも有り、そして妹のため
強く生きていくと決めた。
…決めたはずだった。
その年の修学旅行、
学年の大半の人が死んだ。
クラス別に乗っていたバスが連鎖的に崖から転落した。
…私が乗っていた、私のクラスのバスだけが落ちなかった。
…生きていたことも喜べない、複雑な気持ちだった。
そして、高校で自殺が相次いだ。
大体が先日の事故によるPTSDだと
判断された。
…だが、遺書も何も残さず死んでいった。
事故で死んだ人が私達を呪っているんじゃないか、と噂され
「呪いの学校」と呼ばた。
そして、私と妹を引き取っていた叔父夫婦が死んだ。
子どもに恵まれなかった叔父夫婦は
我が子のように私達に接し、育ててくれた。
…だが、叔父夫婦が営んでいた居酒屋で
爆発が起き、死んでしまった。たくさんのお客さんとともに。
…身近な人たちが死んでいくたびに、
あぁ、またかと、
何も思えなくなっていった。
周りで起こる事件や事故、死んだ人に私は関わっていた。
私が行った場所行った場所で度々不審な事件や事故が起きた。
自分のせいで、と考えるのが嫌で私は現実から逃げた。
よく話す友人やご老人たち、よく行っていた高校の近くの公園やお店
…何もかもが、なくなっていった。
近所の神社でお祓いを受けてもどうにもならなかった。
私はいつしか疫病神と呼ばれるようになった。
周りがそう考えるのも、無理はない。
もともと私は運が悪い。
それ以上に、周りに災いを呼んでいるのかもしれなかった。
一人になりたかった。
だが、近所の人たちはこんな私を励ましてくれた。
…妹や近所の人たちにはなぜか、
何も起きなかった。皆が普通に過ごしていた。
神主のおじちゃんが言うには、
八幡神のご加護、らしい。
両親は事故にあった日、いつも持っていたお守りを忘れてでかけていた。
叔父夫婦もお守りは持っていなかった。
それが偶然なのか、必然なのかわからなかった。
落ち込んでいた私を、いろんな人が支えてくれた。
高校では表面的ないじめはなかったが、
皆が陰口を言っているのはわかった。
そのたび、香菜がふっ飛ばしていた。
担任の先生は私の事を心配してくれた。
私が先生に相談をしたとき、先生は言った。
「力になれなくて、ごめんな」
先生のせいじゃないよ、先生は頑張っているよ、と私は答えた。
それが最後だった。
…一時して、先生が自宅で死んでいるのが見つかった。脳溢血だった。
実「悩みがあるならいつでも言えよ?」
大学生だった実さん。
実さんは高校まで隣の家に住んでいたが、
大学に入ると隣の県に引っ越していた。
なのに、わざわざ帰ってきて、
両親と、叔父夫婦を失った私達を支えてくれた。
華「私は!元気だから!」
…華だって辛いはずなのに、いつも明るい笑顔を見せる。
私は姉だから、しっかりしないといけない。
いつまでも華に気を遣わせる訳にはいかない。
高校の友達に気味悪がられても、
私は高校を卒業することができた。
無事に志望の大学へ進学できた。
妹へのイジメも心配だったが、
学校で女神と呼ばれるくらい、幸せを振りまいていた。
私との対比らしいが。
それでも、不運なこと、不幸なことは多いまま。
色んな事件や事故を目の当たりにすることは多い。
誰かと友人以上の関係になるのが怖い。前の彼氏がそうだったから。
私の事情を知っている香菜は、なんとか私に壁を乗り越えさせようとしてくれる。
自分でも、壁を越えないと行けないと思っている。
だけど、実さんの身に何かあったら…。
私は勇気が出なかった。
帰り道、いつもの駅で降りて私は歩いた。
駅からいっとき歩くと、住宅地から林に入る。
林を抜けると、また住宅地があり、
その林と住宅地との間に、私の家がある。
そこまで、たどり着くだけだった…。
…目の前に、おぞましい物体が見える。
こちらにヒタヒタと歩いてくる。
とてつもない寒さを感じ、背筋が固まる。
おそらく、見てはいけないものだ。
これは、これは…
よくテレビとか本とかで見る、そう…
幽霊なのだろう…
私は動けなかった。
というか自分に霊感があったことに少し感動していた。
そんな場合じゃないのだ、自分。
その物体に足があるのかわからない。
だがヒタヒタと音を立て、禍々しい空気を運び、こちらに向かってくる。
…これは、私が今まで振りまいた災いが帰ってきたの?
それとも、今までに死んだ友達の誰か?
私は、そんなことを考えていた。
…側から見れば当然の報いなのかな。
その霊は私に飛びかかってきた
はずだった。
幽霊「アガガグァ、ガグァ…」ピクピク
紗希「…へ?」キョトン
なんか着物をきた若い男の人が幽霊の首を絞めている。
幽霊に物理攻撃が効くのか…?
いや、そうじゃない。わけがわからない。
???「ダメじゃないか~?無差別に人を攻撃しちゃぁ~」クビシメ
幽霊「タ、タスケテ…」ピクピケ
紗希「え、えぇ…?」
幽霊に助けを求められるようなことがあるのか。
どうしよう、ワケワカンナイ。
???「君は地縛霊でしょ?さっさと持ち場に戻るんだよ~」
幽霊「スンマセンデジタ」トボトボ
紗希「は、はい…」
頭が追いつかない。追いつけない。
なんなのこれ。ある意味災いなの?
???「いや~君は大丈夫かい?ボーッとしてるけど」
紗希「は、はい!大丈夫でしゅ!」
なぜ私はここで噛んだのか
???「…ここで噛むなんて女子力高いね!」
彼なりのフォローのつもりなのだろうか。嬉しくない。
紗希「…助けていただきありがとうございます。命拾いしました。」
???「なんのなんの、どーってことないって!」テヘッ
紗希「…あなたは誰ですか?」
幽霊に攻撃できるなんて何者なのだろう。
???「僕ねぇ~名前ないんだよ」
紗希「…へ?」
???「まぁ君たちの使う言葉だと、
疫病神っていうのかな~」
紗希「…へ?」
私は耳を疑った。こんなところに神様?
さらには疫病神?
あれ、結局ヤバイ…?
紗希「や、疫病神…?」
疫病神?「…」ニッコリ
ヤバイ。なんか笑ってる。
え、やっぱり死ぬの?
疫病神?「まぁ疫病神といってもねぇ、少し違うんだよ」
戸惑う私をよそに疫病神は話を進める。
疫病神?「普通厄除けの神様とかいるじゃん?八幡さんとか、門戸さんとか。
僕も本来ならそのファミリーに入れるはずだったんだけど、
僕は変異種だったんだよ。
なんか疫病神の血が混ざったみたいで、厄を祓うんじゃなくてもってくる方になっちゃったんだよ。」
疫病神?「んで、本来なら僕は浮浪者扱いなんだけど、
そこの神社に空きが出たらしくて、そこの神様になったんだよ。」
わけがわからない
紗希「え、でも疫病神じゃないの?」
疫病神?「だから言ったでしょ、僕は変異種。災いを持ってくるけど、吸い取ることもできるんだ。」
紗希「吸い取る…?」
疫病神?「ここにひょうたんがあるだろう?この中に詰めるんだ。」カポッ
彼が腰に下げているとひょうたんの中から、
なんかこの世のものとは思えぬ物を感じる。
厄神「まぁ厄神とでも呼んでくれ」
紗希「でも、結局災いを起こすの…?」
厄神「まぁそうだね♪」ピコーン
紗希「…へ?」
紗希「…手の甲が!手の甲が痒い!」
厄神「このひょうたんは許容量があるからね、溜め込んだら使わないといけないんだよ!」
厄神「いや~でも君凄いね!さっきまで空っぽだったとっくりがもう満パンだよ!」
紗希「凄くないよ!痒いよ!地味に嫌すぎるよ!」ポリポリ
厄神「まぁ止めてあげるよ!」ピチューン
紗希「…な、治った…」
厄神「いや~良い収穫だよ~」
紗希「…ねぇ」
厄神「なんだいお嬢ちゃん?」
紗希「神様って見えるものなの?」
厄神「君って信仰深い?」
紗希「別に…」
厄神「じゃあなんか特殊な体質?」
紗希「…へ?」
厄神「例えば、運が悪かったり」
紗希「はい」
厄神「周りに災いをもたらしたり」
紗希「私ですね、それ」
厄神「確かねー信仰深かったり、体質が似ていたら見えるんじゃない?」
紗希「私に聞かれても…」
厄神「でも見えてるんでしょ?」
紗希「まぁ、そうだけど…」
厄神「電車の屋根に乗ったり、そこらへんのおっさんと一体化してみたり、暇そうな姉ちゃんにナンパしてみたけど、誰も気づいていないみたい」
紗希「自由か」
厄神「それに君はたくさんの災いを抱えていたみたいだしねぇ~」
厄神「僕からしたら良いお客さんだよ!」
紗希「お客さんて…」
厄神「君の家行って良いかな?」
紗希「え」
厄神「だってこんなにたくさん災いを作ってくれるんだったら僕は大満足だよ~」
紗希「えぇ…」
厄神「僕らのエネルギー源だからね!」
災いをなくしてくれるんだったらありがたいけど、結局吐き出すんだよねぇ…
厄神「まぁ断られても行くんだけど」
紗希「いや神社にいてよ」
厄神「あんなもん分霊おいときゃ良いんだよ!」
紗希「職務怠慢!」
厄神「神様は気まぐれなんだよ!」
紗希「もうやだ…」
結局厄神様を連れて帰るはめになった。
紗希「妹は見えるのかな…?」
厄神「その子次第、だね」
妹に見えては欲しくない。だけどそれはそれでややこしいことになる…
ガチャ
紗希「ただいまー」
華「おかえりーお姉ちゃん。ご飯はもう……」
華が厄神の方を見て立ち止まった。
妹にも見えていn…
華「お姉ちゃんが彼氏を連れて来たあぁぁぁぁぁぁ!?」
厄神・紗希「ええ!?」
華「お姉ちゃん…やっと…過去を乗り越えれたんだね…私嬉しいよ…!」ウルウル
紗希「落ち着いて華!落ち着いて!話を聞いて!」
カクカクシカジカ
華「よくわかんないや」
紗希「私もだから大丈夫だよ…」
華「私にはチャラいお兄さんにしか見えないや…」
厄神「おっとそのセリフは聞き捨てならないなぁーそんな罰当たりな子にはこれだー(棒読み)」ピコ-ン
華・紗希「へ?」
華「!お、お腹がああぁぁぁぁぁぁ!」ピヲギュルルルルル
紗希「華ー!?」
華「ト、トイレー!」ダッ
紗希「ねぇ!あなた華に何をしたの!?」
厄神「お通じを良くしただけだよ?」
紗希「あれもう完全に下痢でしょ!?」
厄神「便秘がなくなると思えば?」
紗希「限度があるdピンポ-ン
久城実「なんか随分と騒がしいがどうしたー?」
紗希「あ…」
厄神「誰?」
紗希「近所のお兄さん」
厄神「見えるかな?」
紗希「…さぁ」ガチャ
実「あぁ、大丈夫か?さk…
実さんが黙りこんだ。
あなたもか、あなたもなのか
実「アンウビラウンケンソワカ…」
紗希「なんか唱え始めた!?」
実「安心しろ!今すぐ祓ってやるからな!」
紗希「まさかのお祓い!?」
厄神「効かないけどね」ピコ-ン
実「!うん…?うぐっ、うぐああぁぁぁぁぁぁ!」ゲッタン
紗希「今度は何したのさ!」
厄神「あの人の黒歴史をリピートさせてる」
実「ああああぁぁぁぁぁぁ」
紗希「地味に嫌ね、それ」
華「…なんとなくわかった気がする」
紗希「…!華!大丈夫だった!?」
華「なんか体が軽くなった気がする」トオイメ
紗希「そ、それは良かった…?」
厄神「もうそろそろ止めてあげようかね」ピチューン
実「ハッお前は一体…?」
紗希「ええっと…」
カクカクシカジカ
実「お、俺が追い求めていたもの…なのか…?」
紗希「まぁ神様っちゃあ神様だからね」
厄神「へー僕らのこと研究してるのかー」
紗希「でもなんで見えるんだろ?」
実「…霊感?」
華「え、お化けなの?」
厄神「まぁ妖怪には近いかもね~」
紗希「へ?」
厄神「だって君らが作った概念じゃないか?」
実「それもそうか」
紗希・華「ちょっとよくわからない」
実「まぁ神様は妖怪だってことだ」
華「怒られるよ!」
厄神「大丈夫だよ、気まぐれだから」ハハハ
厄神「そんなわけで、僕ここに住むね!」
紗希「神社にいなさいよ」
厄神「でも君貴重なエネルギー源だよ?」
紗希「嬉しくないわ!」
華「いいじゃん!家族が増えるんだから!」
紗希「えぇ…」
華「よろしくー♪厄神様♪」
なんて適応力だ
実「…怖いものだな、この世の中」
…今日、神様が私の家に住み着いた。
気まぐれな神様だけど、そこまで害はないと思う…多分。
明日からはどんな日常が待っているのだろうか。
おそろしや……
〈寝室〉
厄神「…」
紗希「…そこに居られると眠れないんだけど」
厄神様は天井に張り付いている。
厄神「…」
紗希「(もしかして…寝てるの!?この体勢で!?)」
紗希「(あぁ、先が思いやられるなぁ…ハハ…)」
眠くなったから今日はここまでなのじゃ。
書き溜めがあるから更新は割と早いんじゃ。
次からは日常の話みたいなものが始まるんじゃ。
質問とかはバンバン受け付けるんじゃ。大体は。
じゃあまた明日なのじゃ。
再開するんじゃ。
次からは日常短編みたいなものじゃ。
【長生きしてよかった…?】
厄神「そういえば、あの神社って神主とかいるの?」
紗希「いるけど…」
厄神「んじゃ挨拶行こうか」
紗希「一人で行ってよそんなの」
厄神「見えないかもしれないじゃん?」
紗希「え、私通訳なの?」
厄神「てかどこにあんのか知らないし」
紗希「自分の神社ぐらい把握しときなさいよ」
紗希「この通りの奥に鳥居が見えるでしょ?あれだよ」
厄神「割と近いや」
紗希「元々八幡神社だったんだけどねぇ…どうなるんだろ」
厄神「災いを持ってくる神社か、ハハ」
カクカクシカジカ
神主「」ポカ-ン
紗希「(見えてるみたい)」
厄神「よろしくねー!」ヤクチャンスマイル
神主「は、はぁ」
説明はしたけど混乱しているご様子
厄神「ほらー神主さんしっかりしてよ~」
神主「え、えっとこの神社の御祭神が変わったということで…?」
厄神「そうだよー!」
神主「儀式とかは…?」
厄神「そのままで良いよ!」
神主「え、えぇ!?」
厄神「神様は気まぐれだからね!」
神主「」
神主さんがかわいそうだ
厄神「あ、御神体はこの石で良いよ〜」コトッ
なんてテキトーさだ。だが羨ましいところもある。
紗希「…おじちゃん、大丈夫?」
神主「よ、よくわからない」
紗希「そりゃそうだよね…」
厄神「このお供え物美味しい」ムシャムシャ
紗希「罰当たり…じゃないのか」
ご本人が食べるのか
紗希「もう帰るね、おじちゃん」
神主「お、おう。また来てくれ…」
厄神「なんか今日だけで随分やつれたね?」
紗希「原因はあなただけどね…」
神主「ご、御神体を変えなければ…」
神主「…御祭神が変わったということは、前の御神体はどうなったのだろうか」テクテク
神主「確か剣が入っているはずだが…」パカッ
神主「…‼」
神主「剣が…焼けている…!」
神主「剣だけが灰になっている…だと」
神主「…人生、何があるかわからぬのう…」トオイメ
【格上】
厄神「大学行ってみたいな~」
紗希「昨日はそこらへんほっつき歩いてたのに今度はなんなの」
厄神「人生で滅多にないイメチェンのチャンス…!それが大学デビューだ!」
紗希「あんた大学をなんだと思ってるの」
〈電車内〉
ガタンゴトン…
毎朝、普通列車で私は大学の最寄り駅まで通う。
ちょうど通勤・通学ラッシュ帯。スーツ姿やカツラのサラリーマン、音楽を聞いている学生など沢山の人で混む。
途中の駅でおそらく香菜が乗っているであろう快速に追い越される。
いつもと変わらぬ通学時間を迎える…はずだったんだよ…
「…」
厄神様がそこら辺をうろちょろしている。
水以外は当たり判定がないらしい。
カツラがずれているおじさんと一体化してみたり、
学生の頭に角を生やしてみたり、踊ってみたりと
なにかと私を笑わそうとしている。
だが面白くない。
厄神「次の駅でホームに身を投げようとしている人がいるね」
紗希「え」
厄神「大学デビューを邪魔されるのはゴメンだ!」ピコーン
紗希「えぇ!?」
〈駅〉
ピコーン
大学生A「ひ、人が消えた…?」
大学生B「瞬間移動…だと…?」
サラリーマン「超能力者は実在したのか…?」
駅では騒ぎが起こっている
紗希「…何したの?」
厄神「神隠しってわかる?」
紗希「うん」
厄神「それ」
紗希「…どこに行ったの?」
厄神「ふた駅ぐらい前のホーム」
紗希「あれ、それって結局…」
厄神「僕は吉を運ぶことはできないからね」
厄神「災いの転換はできるけど」
厄神「運命は変えられないからね!」
紗希「…なんか朝からつらくなるわ」
厄神「僕は運命を司る神じゃないからね」
厄神「仕方ないね」ニッコリ
紗希「…」
〈大学〉
紗希「…」スタスタ
厄神「誰かー僕のこと見える人いませんかー?」
さっきさから大声で叫んでいるようだが誰も気づいていない。
いや、もしかしたら避けられているのかもしれない。
香菜「おっはーサーちゃん!」
紗希「おはよう!」
香菜「いやー昨日は大変だったよ…」
紗希「何かあったの?」
香菜「うちの飼い猫がね、シャーッて一晩中色んなとこ向いて威嚇してたんだよ。」
紗希「えーお化け?」
香菜「私も探してみたけどなんもいなかったし、わけわからなかった」
紗希「大変だったね…」
香菜「てかサーちゃん、後ろに男連れて何してんの?」ユビサシ
紗希「へ…?」
厄神「え」
香菜「彼氏?」
厄神「ボ、ボクノコトガミエルンデスカ…?」
香菜「え」
紗希「…」ハァ…
厄神「ミエルノ…?」
香菜「お化けだああぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
香菜「悪霊退散!悪霊退散!」オフダヲフリマワス
厄神「ごめんごめん冗談だから!冗談だから!
なんかそれ僕に効いてるんだけど!ああああああ吸い込まれるぅぅぅぅぅぅぅぅ!」
紗希「厄神様ああああああ!?」
香菜「あぁぁぁ神様!どうかこの悪霊をお祓いください!」
紗希「香菜!やめて!一応その人神様だから!」
厄神「ああああああ消えてしまううううううう!」
香菜「へ?」キョトン
紗希「説明するから!」
香菜「お化けじゃないの?」
紗希「ええと、まず…」
厄神「まず君ら場所を変えようか」ゼェゼェ
香菜・紗希「へ?」
大学生A「…」ヘンシツシャヲミルメ
大学生B「…」オロオロ
大学生C「大学で心霊現象なうwwww」ツイッター
オカルト研究生「スクープだ!」
教授「あの子たちはきっと疲れているのだ」
准教「きっとそうなんだ」
香菜「…食堂に行こ!」ダッシュ
紗希「え、えぇ!?」ダッシュ
厄神「いや~面白いね~」ケラケラ
カクカクシカジカシカクイムーヴ
香菜「やっぱお化けじゃん」
厄神「神様だよ!」
香菜「じゃあ妖怪?」
厄神「違うよ!」
香菜「ぶっちゃけ疫病神じゃないの?」
紗希「災いも一応吸いとるみたいだから…」
香菜「そんな神様っていたっけ?」
厄神「僕は変異種!つまりは新型さ!」ヤクチャンスマイル
香菜「ウザイ」
厄神「あぁもう!そんな君にはこうだ!」ピコーン
香菜「…?」
厄神「…あれ?」
紗希「香菜、なんともないの?」
香菜「え、なんなの?」
厄神「ちょっとサキちゃんくらってみて」ピコーン
紗希「え」
紗希「あぁぁぁ足の甲が痒いぃぃぃぃぃ!」ポリポリ
香菜「なにしてんのサーちゃん」
厄神「これが僕の力さ!」エッヘン
紗希「地味に嫌だわ、これ…」
香菜「なんで私はなんともないのさ?」
紗希「御札の効力?」
香菜「…これかな」ピラ
厄神「げぇ!?鹿島さんじゃん!」
香菜「やっぱ強いね、タケミカヅチ」
紗希「武神には勝てないね、うん」
厄神「なんでそんなのもってるのさ?君格闘家なの?」
香菜「大学生だよ!?」
紗希「なんで香菜は見えるんだろう?」
厄神「華っちとかも見えてたけどね」
香菜「霊感はあんまないけどねー」
紗希「体質が似てるわけじゃないし…」
厄神「でも君信仰深いタイプでしょ?」
香菜「え?」
厄神「だって君、昨日神社にお参りしてたでしょ?」
香菜「なんで知ってるの!?」
厄神「えーと、なんだったけ?恋人がほしいんだったけ?」
厄神「いや~わざわざ住所だとかご身分まで言ってくれる律儀な子なんて久しぶりだったからね~」ケラケラ
香菜「…///」プルプル
紗希「…プフッ」
厄神「だからちょっといたずらしちゃった♪」テヘペロ
香菜「…◯す」ゴゴゴゴ
厄神「へ?」
香菜「お前を地獄の底に追い落としてやるううううう!」
厄神「ええええええ!?」
紗希「香菜!?それはダメだよ!?」
香菜「私にはタケミカヅチがついているんだからあああああ!」
香菜「…あれ、御札がない…」
厄神「残念だったね!御札はすでに燃やしたよ!」
紗希「燃やせるの!?」
香菜「あぁ!灰になってる!」
厄神「あとあまり騒がないほうが身のためだよ?」
ジロジロ
香菜・紗希「…」
「なんて日だ!」
紗希「いたずらしたってことは、香菜が言ってた猫の威嚇してた相手って厄神様?」
厄神「そうだよ~動物には僕の事が見えてるみたいだね」
紗希「あまり女の子の家入っちゃダメだよ?」
厄神「いかつい親父さんが僕のいない方向を向いて仁王立ちしてたよ」ケラケラ
紗希「なんか滑稽ね、それ」
厄神「まぁ皆と目線が合わないように移動するのが大変だったね!」
紗希「新手のかくれんぼじゃん」
厄神「家に結界を張ってないとは、生ぬるいね!」
紗希「あまり見たことがないけど」
厄神「いつでもどこでも、面白そうな子を見たらついていくよ♪」ヤクチャンスマイル
紗希「自由か!」
厄神「神様は気まぐれだからね!」
【お厄】
〈赤松宅〉
厄神「ねぇなんかお供え物ない?」ゴロゴロ
紗希「神社でもらってきなよ」
厄神「あのおじさんお米とお酒しかくれないんだけど」
華「なにか欲しいの?」
厄神「みかん」
紗希「食べれるの?」
厄神「供えられたら食べられるよ」
厄神「神様への気持ちなんだよ!気持ち!」
紗希「私はあなたを祀ってるわけじゃないんだけど」
華「それにみかんないし」
厄神「じゃあ買い物行こうよ!」
紗希「なんでだよ!」
厄神「新しいお厄がほしいんだよ!」
紗希「おやつみたいに言うんじゃないよ!」
華「まぁちょうど買い物行こうと思ってたところだし!」
紗希「え」
厄神「お~さすが華っち優しいね~」
〈近所のスーパー〉
厄神「あ◯きバーほしい」
華・紗希「みかんでしょ」
厄神「ちぇっ」
おばちゃん(店員)「あら紗希ちゃん、華ちゃん、お買い物?」
華「あ、おばちゃんやっほー!」
紗希「こんにちは-」
おばちゃん「隣の男の人は誰?」
紗希「え」
華「うん?」
厄神「お?」
〈スーパーの事務所兼店長宅〉
おじちゃん(店長)「巨勢(神主)さんが行ってたのはこの人だったか」
おばちゃん「人というか神様だね」
おじちゃん「実にヤングだな」
おばちゃん「イケイケだね」
紗希&華「まぁそうですね」
厄神「ははは」
おじちゃん「生きているうちに神様の顔を拝めることができるとはな…」ナミダナガシ
おばちゃん「感慨深いねぇ…」ナミダフキ
厄神「いや~拝まれるのもいい気分だねぇ~」
華「商売繁盛だったらよかったのにね」
おばちゃん「まぁ祀っといて損はないよ」
厄神「気持ちなんだよ!気持ち!」
紗希「お前が言うな」
買い物もすませ、私たちは拝まれながら帰ったのであった。
おじちゃん「…ここの土地神様は追い払われたと聞いていたが…」
おばちゃん「でもそれはただの疫病神だしねぇ…」
おじちゃん「まぁ所詮伝承ではあるがな…」
おばちゃん「私達じゃどうしようもないですしねぇ…」
【民衆を導く自由の女神!デデン】
〈駅〉
紗希「…」
お化けA「あ、ども」
お化けB「こんちゃ」
お化けC「チィーッス」
紗希「…なんなのここ?お化けのたまり場?」
厄神「ここ昔から自殺の名所なんでしょ?そりゃ自然にたまるよ」
紗希「…」
お化けたち「ソクラテスの死!」デデン!
お化けたち「最後の晩餐!」デデン!
お化けたちがセットを用意して
ポーズをとっている。
紗希「…なにこれ」
厄神「世界の名画ショーだって」
お化けたち「ナポレオンの戴冠式!」デデン
紗希「この前私を驚かしたの誰?」
お化けA「あ、私です…」
紗希「なんで驚かしたの?」
お化けA「いやぁ、たまにはお化けらしいことしないとなぁと思って…」
紗希「私それで死にかけたんだけど」
お化けA「ちょっと脅かそうと思って…」
お化けA「そこら辺ほっつき歩いてたら幸薄そうな方がいたのでつい…」
紗希「…幸、薄く見えるのか…ハハ…」トオイメ
厄神「まぁ実際そうだしね」
紗希「あんたたちは成仏しないの?」
お化けA「未練タラタラでして」
お化けB「こっちのほうが楽しくて」
お化けC「写真に映るのが楽しくて」
紗希「もう放っとここいつら」
【終わりが近い】
紗希「え?どゆこと?」
厄神「だからもう終わるんだよ?」
華「急にメタいね」
紗希「へ?」
実「いや、筆者が字数一万超えたらいいかな~って言ってるから」
紗希「ねぇ皆一体何の話してるの?」
厄神「とにかく荒いけど終わるんだよ!」
厄神「そんなわけで!」
実「また会おう!」
華「バイバーイ♪」
紗希「なんなのさー!?」
今回はこれで終わりなんじゃ。
次回はまた今度、気が向いたらスレを立てるんじゃ。
HTML化を依頼してくるんじゃ。
じゃあの。
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません