俺「エイリアン?」ナメクジ『エイリアン!』(50)

このSSをかつての友人に捧げます


需要があればエロもやりますが、どないしましょ

ガーガガー……

ザー……

キャスター『ザザッ……』

キャスター『えー、続いてのニュースです』

キャスター『今日未明、関東地方一帯に墜落した隕石ですが、墜落地点では未だに撤去作業が続いています』

軽傷 約20名
重症 8名
死亡 0名

キャスター『専門家によると、衛星軌道上からの「宇宙ゴミ」の可能性が高いと……』

キャスター『ブチッ』

空「」ゴロゴロ……

ピカーン

扉「」ガチャ

バタム

俺「ただいまー」

俺「いやー、酷い嵐だったよ……。おかげでずぶ濡れだ……」

俺「……って、誰もいないけどね。あはは」

シーン……

俺「さ、着替えて飯食って寝るかなー。明日も朝早いし」

ガシャーン

俺「!?」

俺「なんだ、窓が割れた音……!?」

俺「部屋の奥から……」

俺「……うう……」

俺「泥棒とかだったらヤだな……」

ガラッ

俺「………!?」

俺「な、な……!」

ナメクジ「Q……」シナッ

俺「ナメクジ……!?」

ザーッ

ナメクジ「…………」

ナメクジ『………………』

ナメクジ『フッ』

ナメクジ(なんてザマだ……ボク)

ナメクジ(どうしてこんな嵐の日に宇宙スクーターで飛び出したかな……。ホントバカだ)

ナメクジ(……ああ……なんだろ、だんだん体が痺れて……眠くなって、きたぞ……)

ナメクジ(花畑が……見……え…………)

ナメクジ(…………あ…………ふぅ…………)

翌日

ナメクジ『はっ』

ガバッ

ナメクジ『はうう』

ナメクジ(うぐ……頭が、痛い……混乱する……)

ナメクジ(え、ええと……ボクは、ボクは……)

ナメクジ(…………)

ナメクジ『……し、知らない天井……?』

ナメクジ『そっ、そうだ! 思い出した!』

ナメクジ(ボクは昨日の夜、宇宙スクーターで事故を起こして……

ナメクジ(……死)

ナメクジ『……』ゾクゾク

ナメクジ(な、なんだぁ……ボク、生きてるのか……?)

俺「お! 起きたかーナメ助」

ヌッ

ナメクジ(なっ、地球人!)

ナメクジ(しまった! ここは檻の中か!)

俺「いやぁ、ウチにまだ水槽があって助かったよ。ちょっと手狭だけど我慢しておくれ」

ナメクジ『くそー! ここから出せー!』

ナメクジ『……っ……!』ズキッ

俺「ああ、まだ動かない方がいいよ。だいぶ酷い怪我だったから……」

ナメクジ『ぐぬぬ……!』

俺「あ、そうだ! ちょっと待ってろよー」

ナメクジ(台所に……。何を持ってくる気だ……?)

ナメクジ『はっ』

ナメクジ(ま、まさか……塩……!?)

ナメクジ(やばい! ボクはナメクジじゃないけど、アレを貰ったら確実に死ぬ!)

ナメクジ(ナメクジじゃないけど!)

俺「ほい」パラパラ

ナメクジ『うわあああああああ』

ナメクジ『わああ…………?』

ナメクジ『…………なにこれ』

俺「今ちょっと金欠でさ……ニンジンの皮くらいしかあげられないや」ゴソゴソ

俺「食べやすいように細かくしといたからさ。ごめんなーホント」パラパラ

ナメクジ『…………?』

ナメクジ『』グー

ナメクジ『…………』

ナメクジ『……意外といける』モシャモシャ

俺「わー、よかった。食べてるたべてる」

俺「……じゃ、おれは大学行ってくるから」

ナメクジ『え?』

ガチャ

俺「さっきも言ったけど、あんまり動くと傷が開くからなー」

バタム

ナメクジ『…………』

ナメクジ『い、いってらっしゃい……』

ナメクジ『……なんて無用心な。他人に留守番を任せるなんて』

ナメクジ『…………』

ナメクジ『この場合はボクがナメクジにしか見えないからか……』

ナメクジ『いや、寧ろ好都合! 今のうちに何とかして脱出してやるぞ!』

ナメクジ『…………』キョロキョロ

ナメクジ(ここが地球人の家……思ったより狭くてジメジメしたところだな)

ナメクジ(もっと明るい部屋を想像してたんだけど。イメージと違うなぁ)

ナメクジ(ん?)

水槽の底「」ジメッ

ナメクジ(これ……ティッシュペーパーってやつ? 足元から適度な湿気が……)

ナメクジ(…………結構快適だな)

ナメクジ『じゃなくて!』

ナメクジ『とにかく、どうやってここから出るか考えないと……』

ナメクジ『……考えないと……』ウトウト

ナメクジ(あっ……食べたら眠くなってきた)

ナメクジ『…………?』

ナメクジ『ティッシュが積み上がってる……。ベッドのつもりかこれ』

ナメクジ『…………』

ナメクジ『よいしょっと』

ナメクジ(なんか……湿度といい気温といい、実家の布団を思い出すなぁ……)

ナメクジ(アウェーのハズなんだけど……気のおけない感じ)

ナメクジ『………………』

コテッ

ナメクジ(……いいや。ちょっとだけ寝よう。脱出はそれからでも遅くない……)

ナメクジ(…………睡眠欲に負けたんじゃない……)

ナメクジ(強者の……余裕……)

ナメクジ『……すぅ……』zzz……

大学

俺「よーし。今日も四限終わりっ」

友「お疲れさん。ほいコーヒー」

俺「お、あんがと」

カシャッ

俺「ああ^ー生き返るわー」

友「120円な」

俺「いや金はとるんかい」

友「これも健全な人間関係のためだよ」

チャリーン

友「しかしお前、今日も四限フルだろ? 春先から飛ばしすぎじゃね?」

俺「年の後半は楽したいからねー」

友「放課後もバイト漬けだし」

俺「いざ買いたいものができたとき困るでしょ?」

友「はっ。お前はいつもそうやって……」

友「遊びもサークルも無しで。そんなんだから友達もカノジョもできないんだぞ?」

俺「はいはい、ありがとさん。おおきなお世話ですよー」

俺「じゃ、おれはドロンしますよ。バイトの時間なんで」

友「無理すんなよー」

友「ま、クソまじめもお前のいいトコだけど」

俺「」ヒラヒラ

スタスタスタ

友「…………」

友『………………』

ナメクジ『…………スピ……』zzz……

ガサッ

ガサガサッ

ナメクジ『……んむ…………』

ナメクジ『何の音だろ……』ムクッ

レジ袋「」ガサガサッ

俺「お、起きたかー」

ナメクジ『…………』

ナメクジ『はっ』パチッ

ナメクジ『あっ暗い、外が暗い』

ナメクジ『やばい……完全に寝過ごしてしまった……』

俺「もう夜の11時だぞ? ナメ助はお寝坊さんだなー」

ナメクジ『うわぁ、そんなに……』ナンテコッタイ

ナメクジ『ボクとしたことが、不覚……!』

俺「さて、そんなお寝坊さんにはこれをあげよう」

レジ袋「」ガサッ

ナメクジ『くっ……地球人、今度は何を出す気だ……?』

俺「ほいこれ!」ポイッ

ポトッ

ナメクジ『…………?』

ナメクジ(なんだこれ、赤い……肉?)

俺「ふっふっふ、これはなー……」

俺「じゃーん、ネコ缶です」

缶「」ニャーン

ナメクジ『』

ナメクジ『えぇ……』

俺「まだキズが治りきってないだろ? タンパク質は必要だなーと思って」

俺「ささ、遠慮なくどうぞ」

ナメクジ(ネコ缶……確か、飼いネコ用の高級なエサじゃなかったか)

ナメクジ(ボクのこの見た目でネコ缶だと……?)

ナメクジ(いやナメクジでもないけど)

俺「…………」ジッ……

ナメクジ(あっ……でも凄い美味しそう……お腹空いてるから余計に……)

ナメクジ(いや、でもネコ缶だし……これ以上餌付けされるわけには……)

ナメクジ(ぐぬぬぬぬぬ)

俺「あれ、どうしたナメ助。食べないの?」

俺「そっかぁ、肉は好きじゃなかったかぁ……」

ススス……

ナメクジ(はっ! 持っていかれる!)

ナメクジ(……いや……でも…………くっ……)

ナメクジ(くっ…………!)

ナメクジ『……』ガシッ

俺「お?」

ナメクジ『…………』ムシャムシャ

俺「あはは。なーんだ、ちゃんと食べんじゃんか」

ナメクジ(肉厚ジューシー……美味しい、美味しいけど)

俺「」ニコニコ

ナメクジ(うぅ……これは負けじゃない…………明日への進軍……)

俺「さ、おれは着替えてもう寝るかなー」

ナメクジ(覚えてろよ地球人……! 明日こそ脱出だ!)

翌朝

ガチャ

俺「じゃ、留守番任せたぞー」ヒラヒラ

バタム

ナメクジ『……よし』

ナメクジ(ボクの粘液とネコ缶のおかげか、だいぶカラダが回復したようだ)

ナメクジ(ふっふっふ……悪く思うなよ地球人)

ナメクジ(夜、アイツが帰ってくるまでに抜け出してやる!)

ナメクジ『…………』キョロキョロ

ナメクジ『…………』

ナメクジ(昨日から思ってたことなんだけど……)

ナメクジ(この檻……いや、水槽だっけか。よく見たら)

ナメクジ(フタがついてないぞ)

ナメクジ(まさか、このまま登っていけば出られるのか……?)

ズッ……ズッ……

スルッ

ナメクジ(あっ、出られた)

ナメクジ(おろかなり地球人! まんまと第一関門は突破だ!)

ナメクジ(さーて、次は……)

窓「」

ナメクジ(……は無理そうだな。なんか目張りされてるし……)

ズッ……ズッ……

ナメクジ(うーん……水道を伝って外に……なんてどうだろう)

ナメクジ(水道管はせまい。一度入ってしまえば、あの地球人も追っては来れまい)

ナメクジ(下水道はボクのホームグラウンドだ。入りさえすればどうとでもなる!)

ナメクジ(さすがボク、完璧な作戦だ)

ナメクジ(…………いや、でもトイレは嫌だな……)

ナメクジ(台所は……確かこっちの方向だったか)

ズッ……ズッ……

ガタッ

ナメクジ『ん?』

ザバァ

ナメクジ『わぷっ』ビシャッ

ナメクジ『うへぇ……なんか倒した……』

コップ「」ゴロン

ナメクジ『なんで床に水入りのコップが……地球人め……』

ナメクジ(よし、台所についたぞ)

ナメクジ(ここなら当然、水を流すところがあるはずだ)

ズッ……ズッ……

ナメクジ(床と違って障害物が無いから動きやすいな)

ナメクジ『よいしょ……っと』

ナメクジ『……ここか!』

ナメクジ『網を外して……』

カシャン

ナメクジ『割とあっけなかったな! さらば地球人!』

ツルッ

ペトッ

ナメクジ『お、ここは……あれだな、水道管が一回転してるとこ』

ナメクジ『ここを越えれば下水道に……』

G「」ヒョコ

ナメクジ『』

G「あっこんにちは」

ナメクジ『』

G「うっすうっす」

ナメクジ『』

ナメクジ『はぁ……はぁ…………』ゼェゼェ

ナメクジ『……見なかったことにしよう。うん。ボクは何も見ていない』

ナメクジ『くそ……地球人め、あんな手段で阻止してくるとは……』

ナメクジ『調べてみたけど、この部屋にはお風呂はついてないみたいだし』

ナメクジ(窓もダメ、水道もダメ。となると……)

ズッ……ズッ……

ナメクジ(穴の開いた障子を抜けて……)

扉「」

ナメクジ『うん。ここしかないな』

ヒュオオオ……

ナメクジ『……うーん……微かに風を感じる……?』

ナメクジ『………………』

ナメクジ『……あ、あったぞ!』

郵便受け「」

ナメクジ『よし、やっぱり抜け道があった! 何に使うかはわかんないけど!』

ナメクジ『この隙間から入るんだな……?』

ツルッ

十数時間後

カパッ

俺「お、やっぱりここにいたか」

ナメクジ『うぅ……ひっく……うええ……』

ナメクジ『……え?』

俺「ちょっと待ってろー」

割り箸「」スーッ

ガシッ

ナメクジ『ぎゃっ』

俺「よーしよし、もう大丈夫だからなー」

俺「やー、びっくりした。帰ってきたら水槽にいないんだもの」

ナメクジ『…………ぐずっ』

ナメクジ(だって……!)

ナメクジ(外側の穴が、外からの一方通行だとか分かるわけないじゃないか!)

ナメクジ(キズが開いたせいで内側にも戻れなくなるし……)

俺「おーよしよし」

ナメクジ『ふえぇ……ひっく……』グズグズ

俺「ごめんな、時間かかって」

俺「帰るのも遅かったし、濡れ雑巾で床こすって粘液の跡調べてたから……」

ナメクジ『おそい、おそすぎる……うぅ……』

ナメクジ『じぬかと……しぬかと思った……っ』ギュッ

俺「ナメ助が無事でホントによかった」

俺「怖かったよな。おれがしっかりしてれば……」ナデナデ

ナメクジ『ひぅ……ツノさわんな……ぁ///』

ナメクジ『……ホウレンソウ……うまい……』ムシャムシャ

俺「……なぁ」

俺「外が恋しくなったんだろ?」

ナメクジ『…………』

俺「………………」

俺「……ウチから近く、大学の向こうのほうにさ」

俺「川が流れてるんだよね。でっかい川」

ナメクジ『…………?』

俺「近くに山も公園もあったりして」

ナメクジ『……それって』

俺「あと3日で日曜日じゃん。おれもお休みだし、その頃には怪我も完璧に治るだろうし」

俺「……そしたら、さ」

俺「連れてってあげるから。……それまでは、我慢してくれよ?」

ナメクジ『…………ぁ……』ジワッ

ナメクジ『……………っ』

ナメクジ『……な、泣いてないっ! 泣いてないぞ!』ブンブン

俺「お? 何焦ってんだかわいい」チョイチョイ

ナメクジ『んーっ!//////』

そんなこんなで

半月後

ナメクジ『はぁ…………』

ナメクジ(事故を起こして……ここに転がり込んでから二週間が経とうとしてる)

ナメクジ(最初こそ逃走の意思もあったものの)

ナメクジ(フタを開けてみれば……)

ナメクジ(すっかり飼い慣らされてしまったボクがいるじゃないか……)orz

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