俺「俺の『人生』もらってくれる人なんかいるのかな」 (25)

俺「いってきまーす!」

彼女「はーい、いってらっしゃい
今日も頑張ってね!」

俺「もちろん!」

バタン


@会社

俺「おはようございます!」

上司「あぁ、おはよう。
ところで、俺、ちょっといいか?」

俺「あ、はい」

俺(なんだ…?)

上司「申し訳ないが、今月いっぱいで…」

俺「えっ!?クビってことですか!?」

上司「うちの会社もキツイんだよ…すまない」

俺「そんな…」

@家

俺「ただいま」

彼女「おかえりー!」

俺「ごめん、会社クビになっちゃった」

彼女「え…?」

俺「会社…クビになった…」

彼女「なんで俺くんが?ねぇ、どうして?」

俺「知らないよ、俺が聞きたいくらいだし」

彼女「これからどうしてくつもりなの!?」

俺「なんも考えてない」

彼女「はっ!?ふざけないでよ!」

俺「」

彼女「本当に何も考えてないの?貯金もないのよ!?」

俺「えっ、貯金はしておいてって頼んだじゃないか!」

彼女「…!」

俺「もしかして…お前勝手に金使ったのか?」

彼女「ごめんなさい…」

俺「なんで…」

彼女「ごめんなさい…」

俺「ごめんなさいじゃないだろ!どうしてくれるんだよ!」

彼女「私…出て行くね…」

俺「あぁ…じゃあな…」

彼女「ごめんなさい…元気でね…」

俺(これからどうしよう、会社もクビになったし、友達もいないし…)

俺(金も…ないし…)

俺(信頼してたのに…)

俺(もうすぐ2人とも32だから結婚もしようと…)

俺(なんで…)

俺(どうしてこんなことに…)

俺(もう嫌だ…)




ーーー1週間後


俺「」

TV『今日、都内のマンションで30代の男性の遺体が発見されました』

TV『外傷はなく、首を吊っていたことから自殺だとみられます』

俺「…あれ?ここはどこだ?」

俺「首を吊って、死ねたはずじゃ…」

?「ええ、あなたは立派に死ねましたよ」

俺「だ、誰だ!」

?「私は、そうですね…天使です」

俺「天使?からかってるのか?」

天使「いいえ、大真面目です」

俺「そもそもここは何処なんだよ!」

天使「ここは、あなたのいた世界と天界の中間の場所です」

俺「なんだそれ…人は死んだら地獄か天国に行くんじゃないのか?」

俺「俺も含めてそう信じてる人も沢山いるぞ?」

天使「それはあなたたちが勝手に考えたイメージの話ではありませんか?」

天使「確かに天国も、地獄もあります」

天使「ですが、その前にやってもらうことがあるんですよ」

俺「なんだ?死んでもまだやることがあるのか?」

天使「ええ、もちろんです」

俺「何をするんだ?」

天使「あなたの人生の後始末です」

俺「人生の後始末?」

天使「はい。あなたはゲームをしたことがありますか?」

俺「小さい頃はやってたけど…」

天使「人生も、ゲームの様なものなんですよ」

天使「ある程度のルートは決まっていて、幾つかの分岐点がある」

天使「その分岐点で選んだ選択肢によりあなたの運命が決まるんです」

俺「じゃあ…俺は最後に『自殺』を選んだってことか?」

天使「はい。賢明な判断でした」

天使「ですが、あなたは最終的に『自殺』を選びましたが、選択肢によってはあの彼女さんと『結婚』するルートもあったんです」

俺「えっ…」

俺「つまり俺は選択肢を間違ったってことか!?」

天使「いいえ、間違いだなんてとんでもない」

天使「あの彼女さんと『結婚』するのも、『自殺』するのもどちらも正解なんですよ」

俺「やり直せないのか…?」

天使「残念ながらそれはできません」

俺「そうか…そうだよな…」

天使「あなたはやり直せませんが、他の人に再利用してもらうことならできます」

俺「再利用?それって『自殺』してしまうんじゃないのか?」

天使「いいえ、さっきも言った通り選択肢によっては『人生』はいくつもルートがあります」

天使「要するに、違う人があなたの歩んできた『人生』をもう一度利用しても、あなたとは違う結果になるんです」

俺「そうなのか…」

天使「後始末とはそのことです」

天使「今、あなたがいた世界から亡くなった方々がこちらに来ていますが、同時にあなたがいた世界に旅立とうとしている方もいます」

天使「その方達にあなたの『人生』を差し上げてください」

俺「それをしたら天国か地獄に行けるのか?」

天使「はい。ですが注意して下さい」

天使「今産まれようとしている方達には『人生』を選ぶ権利があります」

天使「『人生』は細かく見ることは出来ませんが、あなたが歩んだルートは見ることができます」

天使「それを踏まえて選ぶのです」

俺「気に入らない『人生』だともらってくれないってことか…」

俺「ちょっとまてよ…選ぶ権利があるってことは俺も俺が歩んできた『人生』は産まれる前に自分で選んだってことか?」

天使「はい。でも、覚えてないのも無理はありません」

天使「産まれた瞬間にここでの記憶は消えますから」

俺「そうなのか…」

これ需要ある?
心配になってきた

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