女騎士「優しくしないでくれ」(9)

女騎士「私にそんな資格はない」

~とある村、酒場~

勇者「どうしたんだいきなり…酔うにはまだ早いんじゃないか?」

僧侶「そうですよぉ~、まだジョッキ10杯じゃないれすかぁ~全然飲み足りないぃ~」

魔法使い「…貴女は飲み過ぎ」

女騎士「あ、いや…すまない。せっかく皆気分良く飲んでいたのにな」

勇者「何か、悩んでいるのかい?相談なら乗るよ?」

女騎士「いや、本当になんでもないんだ…ははは、すまんな…少し夜風に当たってくる」

ガタリ テクテク…

勇者「どうしたんだろ女騎士」

魔法使い「…元気、無い」

僧侶「えぇ~そうですかぁ?いつもあんな感じじゃないれすかぁ~えへへ~」

勇者「酔いすぎだろ…」

魔法使い「…そして笑い上戸。正直鬱陶しい」

僧侶「あぁ~酷いれすぅ魔法使いさぁ~ん」

勇者「君はもうお酒ストップ!祝勝会だからといって僕らの冒険はまだまだ続くんだからね」

僧侶「うへ~い」

ガフガブ

勇者「あっ、また飲んだ!」

魔法使い「…こうなったら駄目。もう止まらない」

勇者「とほほ…明日は回復魔法に期待できないな…」

僧侶「それにしてみょ、今回ばかりはもう駄目だと思いましゅたよね~」

ガフガブ

勇者「あぁ、さすが四天王といったところだね」

魔法使い「…魔王軍ナンバー2といわれる『虫使いのフォルス』…女騎士の機転が無ければ、私達は全滅していた」

勇者「あぁ、あのフォルス…まさかカブトムシをあんな風につかうなんてな」

僧侶「はぃ、カブトムシが私の…あれを…ツノが…そこにメスのカブトムシが…しかも…たくましさ…あぁ!思い出しただけでゾッとしますぅ~!」

勇者「そのカブトムシ地獄を、あんなやり方で突破するなんてね。女騎士はやはり戦いの天才だよ」

僧侶「それにしても、どうしてあんなやり方を知っていたんですかね~?初見で出来るとは思えませんん~」

勇者「それは…」

チラッ

魔法使い「…」

フルフル

勇者「…」

勇者「や、やっぱり女騎士は戦いの天才ってことさ。ささ、飲んで飲んで!浴びるほどビール飲んで!」

バシャー

僧侶「浴びてるぅ~」

・・・・・

僧侶「ぶへぁ…」

勇者「ようやく酔いつぶれたか」

魔法使い「…やりすぎ」

勇者「僧侶は地雷を踏む名人だからね…下手な事を言う前に酔い潰したかったんだ」

魔法使い「…女騎士のとこ。早く行く」

勇者「あぁ、僧侶を頼んだよ」

ガタリ テクテク

魔法使い「…優しいひと。ばか」

・・・・・

~酒場の外~

女騎士「…」

ガサッ

勇者「…」

女騎士「勇者か…私の事など気にしなくていいのに…」

勇者「そういう態度、よくないよ。抱え込んで拒絶して辛くなって…それで潰れるんだ」

女騎士「ははっ、潰れないさ。私はそんな弱い人間に見えるか?」

勇者「…弱いさ。君も僕も…だからみんな一緒に冒険しているんだろう?」

女騎士「…」

勇者「困るととたんに黙り込むんだ。よく知ってるからね、君の事は」

女騎士「…」ボソッ

勇者「ん?」

女騎士「いじ…わる…」

勇者「ふふっ。そうだよ、僕が君に優しかった事なんて一度だってあったかい?」

女騎士「…」

トンッ

女騎士「そういう言い方も…やっぱり、ずるい」

勇者「…そうだね」

ギュッ

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