育「桃子ちゃん、知らないの?」
桃子「なんとなくは知ってるけど、ちゃんと聞いたことないと思うんだよね」
大神環「たまきも、かぐや姫ってどんな話か知らないぞ」
育「環ちゃんも!?」
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桃子「桃子は昔からお仕事がいそがしかったし、そういうの誰からも読んで聞かせてもらってなくて……」
育「あ……」
環「たまきも、ばあちゃんが昔話とかはしてくれたけど、かぐや姫って聞いたことないぞ」
育「じゃあ、どんな昔話を聞いてたの?」
環「たまきが好きだったのは、墓堀りじじいと冥土ウナギって話だぞ」
桃子「なにそれ。聞いたことない」
育「わかった! じゃあわたしが、2人にかぐや姫のお話をおしえてあげるね!!」
桃子「うん」
環「やったー!」
育「むかしむかしあるところに、おじいさんとおばあさんがすんでいました……」
環「くふふ。きょうもたーくさん竹をとっておしごとしちゃうぞ」
桃子「待って」
育「? なに? 桃子ちゃん」
桃子「なんで環がおじいさんのイメージなの?」
育「知らないおじいさんより、知ってる人のほうがイメージしやすいでしょ?」
桃子「それはそうかも知れないけど……」
環「なあなあ、いく。おしごとで竹をとるってどういうことなんだ?」
育「え?」
環「竹をとってどうするんだ?」
育「言われてみると、竹をとってきてどうお金にするんだろう……?」
桃子「あれじゃないかな? この間、このみさんと風花さんが持ってたんだけど」
育「竹を?」
桃子「踏むと美容と健康にいいんだ、って言ってた。あと、竹から抽出したエキスとかの入浴剤もあるんだって」
環「そうか。そういうものにして売って、生活してるってことなんだな」
育「じゃあもう一回、最初からやるね」
環「くふふ。今日もがんばって竹をとって、びよう関連きぎょうにばいきゃくしてひともうけするぞ……んん? なんだ!? あれ!!」
育「おじいさん環ちゃんは、竹林の中で光る竹を見つけました」
桃子「待って」
育「? 今度はなに? 桃子ちゃん」
桃子「そのあたりは桃子も聞いたことある気がするけど、そもそもなんで竹が光ってるの?」
育「いいところに気がつきましたね、桃子ちゃん」
桃子「? なんで急に池上彰さんみたいな口調に?」
育「この間、教育番組できょうえんしたんだ。それで、その時の番組って昔のえらい人のお話だったんだんだけどね」
環「それでそれで?」
育「エジソンって昔のえらーい人が電球をはつめいしたんだけど、そのざいりょうが竹だったんだって!」
桃子「あ、聞いたことある。電球の光る部分は、最初は竹だったんだよね」
環「そうだったのか!? たまき、知らなかったぞ!!」
育「だからね、このかぐや姫のお話で竹が光っているのも、エジソンさんへのリスペクトをこめたオマージュなんじゃないかな!?」
桃子「なるほど、そっか」
環「りすぺくと……? おまーじゅ……?」
育「ようするに、竹と光からエジソンの電球の発明をイメージするから、ってことなんですねえ」
環「だから、竹が光ってるんだ!」
育「じゃあそれでもういっかい、はじめからね」
環「くふふ。きょうもがんばって竹をとって、びよう関連きぎょうにばいきゃくしてひともうけするぞ……んん? なんだ!? あれ!!」
育「おじいさん環ちゃんは、竹林の中で光る竹を見つけました」
環「竹が光ってるぞ! これは電球のオマージュだな。エジソンはえらい人だって、たまきも知ってるぞ。そんなのじょーしきー♪」タッタタラリラ
キートン山田「環よ、そんなオマージュは常識ではない」
桃子「? 今のだれ?」
育「? とにかくおじいさん環は、その光る竹をもってかえることにしました」
環「持って帰ったら、おばあさんもきっとビックリするぞ。えっと……このへんを切ろうかな」コンコン
桃子「痛い!」
環「え?」
桃子「もっと下! そんなとこ切ったら、桃……かぐやの足、けがしちゃうじゃない」
環「ご、ごめん」
桃子「気をつけてよね!」
環「じゃあこのへん……かな?」コンコン
桃子「そうそう、そのへんでお願い」
環「ももこ……じゃなくて、この竹はちょっとわがままだぞ。じゃあ……えいっ!」
ジャジャジャジャーン♪
桃子「竹から出してくれてありがとう。かぐや、おじいさんの家の子になってあげてもいいよ」
環「え? た、竹から小さな女の子が出てきたぞ!」
桃子「小さな、は余計だよ! さ、行こう。おじいさんの家へ」
環「ええー……い、いいのかな……」
育「おじいさん環ちゃんは、竹からうまれたかぐや姫を、家につれてかえりました」
環「ただいまだぞ」
百瀬莉緒「お帰りなさい、あなた! もう、寂しかったわよ!!」
桃子「待って」
育「どうしたの? 桃子ちゃん」
桃子「おばあさん役、莉緒さんなの?」
環「おばあさんなのは、りおも怒るんじゃないか?」
育「でも、莉緒さんって美人で大人だし、奥さん役がにあうんじゃないかな」
桃子「うーん、確かに莉緒さんが奥さんってピッタリかも知れないね」
環「おばあさんはともかく、おくさんならりおも喜ぶかも知れないぞ」
育「じゃあ続けるね」
莉緒「あなたー!!! え? 誰? その子? まさか……」
環「この子はかぐや、っていって……」
莉緒「うわあああんんん!!!」
環「ど、どうしたんだ、りおばあさん!?」
莉緒「お仕事に行ったと思ってたのに、そんな若い子と出かけてたなんて……しかも家まで連れて帰るなんてえええ!!!」
環「ち、ちがうぞ。この子は……」
莉緒「もう私のこと、愛してないんだわあああ!!!」
環「だからちがうって……」
莉緒「ひどい! ひどいわあああ!!! もう私のこと、愛してないんだわあああ!!!!!!」
環「そ、そんなことないぞ」
莉緒「ほんと?」
環「ほ、ほんとだぞ。ほんとに」
莉緒「じゃあキスして」
環「きす、ってちゅーのことか? う、うーん……」
莉緒「やっぱりもう私のことなんて、愛してないんだわあああ!!!」
環「わ、わかったから……え、えーっと……」チュッ
桃子「もう終わった? かぐや、今日からここの子になるけどいいよね?」
莉緒「ううーんあなたったらやっぱり私のこと愛して……え? 子ってことは私たちの子供ってこと?」
桃子「そう。いいよね?」
莉緒「なーんだ。私ったら、てっきりおじいさんの浮気相手かと……ええ! 可愛い子だし、私も大事に育ててあげちゃうわね」
桃子「よろしくね、りおばあさん」
育「こうしておじいさんとおばあさんに育てられたかぐや姫は、あっという間にすくすくとせいちょうし、3日もすると……」
伊吹翼「ねえねえおじいさん、おじいさ~ん!」
桃子「待って」
育「うんうん、どうしたの桃子ちゃん」
桃子「桃子が、かぐや姫役じゃなかったの!?」
育「それがね、かぐや姫はきょういてきなスピードでドンドン成長しちゃうんだよ」
環「ももこが成長してつばさになるのか?」
育「桃子ちゃんも、翼さんみたいな中学生になれたらうれしいでしょ?」
桃子「それは翼さんは、可愛くて魅力的だし、あんな中学生に成長できたらまあ、嬉しいけど……」ナデナデ
育「じゃあいいよね。続けるよ」
環「どうしたんだ? かぐや」
翼「見て見て。やっぱり私には、リキッドアイライナーよりもペンシルアイライナーの方が向いてると思いませんか~? ねえねえ、どうどう~?」
環「かぐや、りおばあさんのコスメや鏡台をかってに使ったりして……怒られるぞ」
翼「え~? でもでも、私だってキレイになりたいなりた~い」
環「いいからはやくかたづけないと、りおばあさんに見つかったら……」
莉緒「ちょっと! かぐやちゃん!! あなた……!!!」
環「うわっ!!!」ビクッ
莉緒「それを渡しなさい!」バッ
環「り、りおばあさん、お、おちついて……」ビクビク
莉緒「かぐやちゃんの場合アイラインはね、こう黒目の上部分を太く強調すると、縦幅が大きく見えてスッキリ&パッチリした印象になるのよ。こう……こう、ね。それにリキッドアイライナー以外にも、こっちの密着力が高く落ちにくいジェルアイライナーもおすすめなのよ!!」キャッキャッ
翼「うわ~本当だ!!! さすがりおばあさん、すごいすご~い!!!」キャッキャッ
環「……まあ、なかがいいなら嬉しいぞ」
翼「ねえねえおじいさ~ん。私、都で最新のコンシーラーが欲しい~」
莉緒「私もパウダーブラッシュのコンパクトが欲しいのよね」
環「そ、そんなお金はないぞ」
翼「大丈夫ですよ~。私が入っていた、あの光る竹を売ったらお金になりますから~」
環「そんなわけあるはずないぞ……」
ロコ「こんなニューウエーブを感じるファンキーでラクジュアリーなバンブーは、初めてルックしました。億でも兆でも捨てるようにpayしますから、どうかロコに売ってください!」
環「そんなわけあったぞ……」
環「いっぱいお金がもらえたから、お菓子がいっぱい買えたぞ。くふふ」
莉緒「最新コスメもいっぱい買えたのね!」
翼「わ~い。これで私も、身分のいい人五人ぐらいにいっぺんにプロポーズされたりしちゃうかな~♪」
莉緒「かぐやちゃん。モテへの道は、険しいのよ。そう簡単にはいかないものよ」
翼「そうなのかな~? 私も都へ行ってみたいな~」
莉緒「あ、それはいいわね。私も久々に行ってみたいし」
環「じゃあ、さっそくみやこへくり出すぞ」
翼「うわ~人がいっぱい」
都人1「!」
都人2「お、おい」
都人3「な、なんて綺麗な女性なんだ!」
莉緒「うふふ。感じる……感じるわ! 街ゆく男の子たちの、熱い視線を!!」
都人4「あ、あの! そこの綺麗な人!!」
莉緒「はあい、どうしたのかしら? お姉さんの美しさに、つい声をかけてしまったのかしら?」
環「りおばあさんは、きこんしゃだぞ」
都人4「いえ、あなたじゃなくて。そっちのあなた、お名前は?」
翼「え~? 私~? は~い。私、かぐやで~す!」
都人5「可愛い……それになんて魅力的な名前だ……」
都人6「かぐや……」
都人7「かぐやちゃん……」
都人8「かぐやたん……すき……」ハァハァ
莉緒「……まあ、私にはもうおじいさんがいるからね♪ 一途な女は可愛いって週間絵巻物にも書いてあったし♪」
環「それはいいけど。いつの間にか、ものすごくたくさん人が集まってきちゃったぞ!」
都人8823「目線、こっちにお願いしまーす!」
都人9907「ファンのみなさんに、なにか一言!!」
都人9981「恐縮でーす!!! かぐやさんの魅力は、中宮候補筆頭である篠宮の姫に勝るとも劣らないと話題ですが、そのことについてなにかコメントを」
翼「ん~よくわかんないけど、嬉しいで~す♪」
育「うわさはたちまち都の街中に広まり、中でも特に熱心だった5人の高貴な方々を中心とした、かぐや姫をめぐるしれつな恋のデッドヒートがくりひろげられることになりました」
福田のり子「全求婚者入場です!!!!」
オーーーーーーーーーーーーーーー!!!!
のり子「女殺しは生きていた!! 更なる研鑽を積みオペラセリアが蘇った!!! もう時間がないんです!! 石作皇子(いしづくりのみこ)こと北沢志保だァーーーー!!!」
ワーーーーーーーーーーーーーーー!!!!
のり子「大和撫子はこの女が完成させた!! 大英帝国の切り札!! 車持皇子(くらもちのみこ)ことエミリーだァーーーー!!!」
キャーーーーーーーーーーーーーーー!!!!
のり子「看護師の仕事はどーしたッ。胸囲の成長、未だ止まらずッ!! 衣装のサイズを直すのも日常茶飯事!! 右大臣阿部御主人(うだいじんむねがめうし)こと豊川風花だ!!!」
オーーーーーーーーーーーーーーー!!!!
のり子「特に理由はないッ。中華料理が美味いのは当たりまえ!! 実家にはないしょだ!!! 佐竹飯店の看板娘! 中納言石上麻呂(ちゅうかりょうりいそいでかっこもう)こと佐竹美奈子がきてくれたーーー!!!」
ワーーーーーーーーーーーーーーー!!!!
のり子「若ァァァァァいッ説明不要!! 10歳にしてバスト72cm!!! 平均的10歳女子のバストサイズは67cm!!! 大納言大伴御幸(だいなごんおおとものみゆき)こと中谷育だ!!!」
キャーーーーーーーーーーーーーーー!!!!
のり子「……ッッ どーやらもう一名は到着が遅れている様ですが、到着次第ッ皆様にご紹介致しますッッ」
のり子「地上最強のプロポーズを見たいかーーーーッ」
オーーーーーーーーーーーーーーー!!!!
のり子「アタシもだよ、アタシもだよみんな!!」
桃子「待って」
育「えっ!? どうしたの桃子ちゃん?」
桃子「なんでビックリしてるのか逆に疑問なんだけど、そもそも育は語り部じゃなかったの? なんで求婚者役で出てくるの?」
育「だって、環ちゃんも桃子ちゃんも出てるのに……私だって出たかったから……」プクー
桃子「ああもう、ふくれっ面の育も可愛いなあ。わかったから、それは。だけどね」
育「うん?」
桃子「かぐや姫って、こんなお話だっけ?」
育「かぐや姫のお話の成立年代はね、10世紀ごろって言われてるんだけど、今は21世紀でしょ?」
桃子「え、う、うん」
育「古典的な題材でも時代に合った解釈や新情報は入れておくべきじゃないか、っていつもプロデューサーさんが言ってるから」
桃子「お兄ちゃんの言葉は、こういうことを言ってるんじゃない気がするけど……」
育「でもこのあいだ、小鳥さんが劇場の15歳組のみんなの勉強会に来てたんだけどね」
環「たまきがみんなに、遊ぼうって言ったら『しけん前だから今度ね』って言われた時のだな」
育「そう。その時にね……」
音無小鳥「え!? 今って鎌倉幕府の成立年って1192年じゃないの!? いいくにつくろう鎌倉幕府でしょ!?」
永吉昴「鎌倉幕府開府の覚え方は、いいはこつくろう、だろ? 1185年だから」
小鳥「日本最古の硬貨は和同開珎よね!」
七尾百合子「富本銭ですよね?」
小鳥「……大化の改新は645年よね? ね!?」
ロコ「ビッグ・トゥ・レボリューションは646年ですよ?」
小鳥「……文部省のばかあーーー!!!」
天空橋朋花「今は文部省ではなくて、文部科学省ですね~」
育「ってことがあったんだ」
桃子「あー……新しい情報や定説で、教科書の内容も変わったりするんだよね」
育「だからね、わたしたちも時代に乗り遅れないように、新しい視点でのかぐや姫をやった方がいいんじゃないかな」
環「わかるぞ、いく!」
桃子「環は賛成なの?」
環「仮面ライダーも戦隊ヒーローも、毎年同じフォーマットをとうしゅうしながら、色んなようそを変えたり新しくして面白くし続けてる、っておやぶんが言ってたぞ」
桃子「環は特撮派だっけ。確かにブリキュアシリーズもそうだよね。そっか、そういう考え方もあるんだ」
※ブリキュアシリーズとは
出世魚である鰤(ブリ)をモチーフとし、主人公である2人が次々とフォームチェンジ(出世)していく第1作目の『ふたりはブリキュア』を起点とする、一連の変身女児アニメシリーズ。
シリーズ作品ではあるが、基本的に作品同士の世界観に関連性はない[注 1]。またシリーズが続くに従って、当初のシンボル的なモチーフであった鰤をはじめとする魚介類は姿を消していき、近年は最先端再生医療や化学反応における核スピン保存則、国際的な金融危機とそれに対するIMFの介入や国家のデフォルトを題材とした作品群も、女児からの熱烈な支持を得ている[注 2]。
また1作目が『ふたりはブリキュア』であったことからもわかるように、当初は主人公は2人であったが、シリーズが続くにつれ多人数化の傾向が見られ、近年は40人を標準とする編制になっている[注 3][注 4]。
ブーブーエス系列(フルネット24局全局)での放送で、いわゆる『ニッチアサキッズタイム』と呼ばれる子供向け番組(ニッチな朝のアニメやニッチな特撮のヒーローもの)の放送枠であり、略して「ニッチアサ」とも呼ばれている。
注釈
1.^例外的に第1作目の『ふたりはブリキュア』と第2作目となる『ふたりはブリキュア フレックスタイムパート』は同じ世界観における続編となっている。 また第10作目『タ~イム☆スリッブリキュア』はタイムリープを題材としており、それに加え10周年記念作品として過去9作品はそれぞれの「時代」と定義されており、その「時代」へタイムリープする事で過去のブリキュア達と共演を果たした。
2.^核の問題を題材とした第13作目『アYeah×イーYeahブリキュア(あいえーいーいえーぶりきゅあ)』は、デリケートな題材故に制作側の強い意欲に対し当初はブーブーエスも難色を示したが、国際原子力機関の職員が同シリーズの大ファンであり積極的な支持を約束したことからゴーサインが出た。そしていざ放映されると、主人公の美浜ラジヲと彼女が変身するキュアスリーマイルはシリーズ屈指の人気キャラとなった。
3.^第20作目となる『スクール☆ウオーズ ブリキュア』が学園モノ(荒廃した学園で不良少女やおちこぼれが、担任教師のブリキュアによって更正し1人ずつブリキュアとなっていくストーリーだった)であったことから、クラス全員がブリキュアというコンセプトが40人というブリキュアを生み出すこととなった。
4.^これに対しシリーズ総監督を務めるドミノ由悠季は、インタビューで「今、小学校のひとクラスって40人なんですよね。だから40人ぐらいは全員、名前はもちろん、どんなやつかっていうのを覚えられるようになって欲しいな、って思いましてね」と述べている。
育「わたしもそれが言いたかったんだ。じゃあ、続けるね」
桃子「今ひとつ釈然としないけど、わかった」
環「それじゃあ、話をもどして」
キートン山田「後半へ続く」
桃子「? 今のだれ?」
育「? だれだっけ?」
環「Pひゃら♪ Pひゃら♪ ぱっぱぱらぱ♪」
のり子「それでは、求婚者のみなさんにインタビューしてみましょう! あなたにとってプロポーズとは――?」
エミリー「……これは戦争です」
風花「私1人で、4人に求婚してもいいんですよ?」
美奈子「欧米人に比べ、日本人は胃の大きさで不利です。だけど、気合いでは負けていませんからね!」
育「時は来た、それだけだよ」
志保「もう時間がないんです!」
のり子「それでは、求婚者のみなさん。かぐや姫に贈答品の授与をお願いします!」
宮尾美也「お~? なにかこの、かぐやにいただけるのですかな? 嬉しいですね~」
桃子「待って」
育「なあに? ここからがいいところなんだけど」
桃子「かぐや姫役は、さっきまで翼さんだったじゃない?」
育「あのね、実はかぐや姫はきょういてきなスピードでドンドン成長しちゃうんだよ」
桃子「いやそれはさっきも聞いたけど、これ同じシーンの中での話でしょ? 急に成長し過ぎてない?」
環「でもでも。ももこは、みやのこと大好きだから成長した姿がみやなら、嬉しいんじゃないか?」
桃子「え?」
環「やさしくて、サンドイッチを作るのも上手で、あこがれてるんだよね?」
桃子「それはまあ……あんな雰囲気の人になれたらなあ、とは思うけど」
育「だからいいよね」
桃子「う、うん……イヤじゃないけど」
環「じゃあ、いく続きをたのむぞ」
志保「私からは、仏の御石の鉢というタイトルの絵本を……どうぞ」
美也「お~これは可愛い猫ちゃんの表紙の絵本ですな~」
エミリー「私からは、蓬莱というお店の薄焼き小麦粉焼き抹茶氷菓包み、商品名は玉枝を」
美也「抹茶アイスのクレープ、とっても美味しそうです~」
風花「私からは火鼠の裘という猫カフェの、入店チケットを」
美也「猫カフェなのに、ネズミさんがモチーフとはなかなか面白い趣向ですな~」
美奈子「お待たせしましたー! 龍の首の珠の炒め物、龍首珠炒(ロンシュオポーチャー)になります。お熱いうちにどうぞ!!」
美也「スパイスの香りと、パチパチと弾けるような音が美味しそうですね~」
育「わたしからは、はい! 子安貝の産んだ燕だよ」
詩歌「パパ!」
美也「これはまたお父さんとは似ても似つかない、可愛い燕さんですね~」
のり子「いかがでしたか、求婚者からの贈答品は」
美也「そうですね。一言でいえば……いい感じ♪ いい感じ♪ 蝶々蝶々いい感じ♪ ですね~」
のり子「それでは、かぐや姫は5人の中から1人を選んで……」
徳川まつり「ちょっと待つのです!」
のり子「おおーっと! ここで誰かが乱入してきたーーっ!! ああ、なんとあなたは!!!」
まつり「姫が誰であるかはどうでもいいのです。それよりも姫は、大事な参加者を連れてきたのです」
環「え? きゅうこんしゃは、5人のきじんじゃなかったのか?」
のり子「ほら、アタシがさっき言ってたじゃない」
のり子「……ッッ どーやらもう一名は到着が遅れている様ですが、到着次第ッ皆様にご紹介致しますッッ」
のり子「ね?」
莉緒「確かにそう言ってたわね。忘れてたわ。でも、5人の貴人だけじゃなくて、まだ求婚者がいるってことなの?」
松田亜利沙「むほーーーっっっ!!! 噂に違わぬ美しさ、ありさ感激ですーーー!!! ううう美しいいいいぃぃぃーーーっっっ!!!」
環「ずいぶんとにぎやかな人だけど、あれはいったい誰なんだ?」
莉緒「まあ、知らないの? あれは確か、帝よ」
環「ふうん。みかど……みかど? みかどって帝のことか?」
莉緒「そうよ。あれこそは今上の帝であらせられるのよ」
亜利沙「そうなんですよ! ありさ、帝なんですけど、あああ、あなたも美しいーーー!!! なんて美しい方なんでしょうか、ありさ幸せですうううぅぅぅーーーうううぅぅぅっっっ!!!」
莉緒「まあ、正直な帝ね」
環「帝って、この国で一番えらいひとのはずだけど、この国だいじょうぶかな」
亜利沙「まあまあ、確かにありさは帝ですけど、堅苦しいことは言いっこなしですから。ありさのことは気軽に『陛下』って呼んでくれればそれでオッケーですからね!」
天空橋朋花「全然オッケーじゃありませんよ~?」
亜利沙「ギックうーっ! こ、国母の朋花ちゃん様……」
朋花「あらあら~人前では国母じゃなくて、聖母って呼ぶように言いましたよね~?」
亜利沙「ご、ごめんなさいごめんなさい!!!」
環「え? こくぼ? こくぼってことは……帝の……お母さんなのか?」
朋花「私は聖母ですよ~」
まつり「そうなのです! 朋花ちゃんは、国の母つまり帝のお母さんなのです」
朋花「……あらあら~そういうあなたは、太皇太后様ではありませんか~?」
まつり「と、朋花ちゃん! それは」
環「たいこうたいごう……またむずかしい言葉が出てきたぞ。たいこうたいごう、ってなんだ?」
朋花「太皇太后とは、先々代の帝の正妻……つまり、帝の祖母のことですね~」
莉緒「帝……」
亜利沙「はい!」
環「のお母さんが、ともかで」
朋花「……ええ」
美也「なんと! そのお母さんですか~!?」
まつり「……太皇太后とか関係なく、姫は姫なのです!」
朋花「それはどうでしょうか~?」
まつり「そうなのです!」
亜利沙「ま、まあウチの家庭の事情は置いておいて、かぐや姫ちゃん! ありさと結婚を前提としたおつき合いを……!」
美也「あの~?」
亜利沙「なんですか!? おつき合いしていただける? やったー! じゃあじゃあさっそくありさとデー……」
美也「あちらの物陰からジっとこちらを見ているあの方は……」
亜利沙「え? あ! し、篠宮のひ、姫……」
篠宮可憐「……」ジー
環「篠宮の姫、って誰だったっけ?」
莉緒「どこかで聞いたような……」
美也「ほら、あの都人さんが確か~……」
都人9981「恐縮でーす!!! かぐやさんの魅力は、中宮候補筆頭である篠宮の姫に勝るとも劣らないと話題ですが、そのことについてなにかコメントを」
環「あ!」
莉緒「そうよ、あの都人が言っていた中宮候補筆頭とかの」
美也「えっと~中宮候補筆頭ということは~……つまり、帝さんの……今カノ? ですかな~?」
亜利沙「い、いや! 今カノというかカノジョとかそういうのじゃなくてですね!! 彼女はありさの」
可憐「……」ジッ!
亜利沙「ヒッ! か、彼女……でした……」
可憐「……」ギロ!
亜利沙「いや、あの……彼女……です」
可憐「帝さん////」ニコニコ
美也「カノジョがいるなら、帝さんは私のお相手からは身を引かれるわけですな~?」
亜利沙「え!? そ、そんな……!!」
可憐「……」ジッ!!
亜利沙「身を引きます……」
可憐「帝さん。そ、それじゃあ帰りましょう……」ニコニコ
亜利沙「は、はい……」シブシブ
可憐「あの……わ、私を自宅まで送っていってくださいますか?」ニコニコ
亜利沙「は、はい……」シブシブ
可憐「あ、あの、帰ったらLINEしてくださいますか……?」ニコニコ
亜利沙「は、はい……」シブシブ
可憐「わ、私……待ってます」ニコニコ
亜利沙「は、はい……」シブシブ
可憐「待って……ますから……」ニコニコ
亜利沙「は、はい……」シブシブ
可憐「一晩中でも寝ないで待ってますから」ギロッ!!!
亜利沙「は、はいい!!!」
美也「なんともお似合いな2人でしたな~」
環「そうか?」
莉緒「女の子はあれぐらい積極的じゃなきゃダメよ。えーっと、それじゃあ5人の貴人から……う、わああああっ!?」
のり子「な、なにあれ!?」
育「その時、空から不思議な光がおりてきたのです」
環「あ、あれは誰だー! 誰だー! 誰なんだー!」
北上麗花「あ、どうもみなさん初めまして。私、宇宙から来ました」
莉緒「う、宇宙から?」
麗花「そうですよ。具体的には、あっちです」
環「え? 空からじゃないのか?」
麗花「こっちだったかな?」
のり子「どっちなの!?」
麗花「ともかく、かぐやちゃんを迎えに来ました」
美也「え~? 私ですか~?」
麗花「美也ちゃんは私たちと同じ、M765星雲人なんだよ? そして私は、かぐやちゃんのお姉さんです」
美也「お姉さんですか~!?」
麗花「名前は、シュシュニコワ・クランスヤドフツカヤって言いま~す!」
環「しゅしゅ……なんだって?」
麗花「……シュシュニワワ・クランスマドフスカヤです」
莉緒「なんかさっきと名前、違ってない?」
麗花「だ、だだだ、大丈夫ですよ!? とにかく、かぐやちゃん。帰りましょう、プレゼンターのもとへ」
美也「プレゼン太……お、思い出しました~。そうでした、私は地球の文化レベルと民度を調査する為に来たんでした~」
環「え?」
美也「プレゼン太さんに言われたんです。地球がどんな星か、身を以て知ってこい……って。私、わかりましたよ~この星のこと……」
麗花「それで? かぐやちゃん、この星は……」
美也「この星は……」
環「?」
莉緒「?」
美也「合格で~す」
麗花「は~い。花丸満点いただきましたー! じゃあそういうことで」
環「ま、待ってほしいぞ。なんだかぜんぜんわからないぞ」
美也「もしも、この星が悪い人たちの集まりだったとしたら……」
麗花「その時は……私たちは……」
のり子「も、もしかして、滅ぼす為に攻めてきたり! とか?」
麗花「この星には近づかないようにしようね、ってみんなで相談してて」
環「え? 近づかないだけか?」
麗花「だって、悪い人たちだったらりした恐いですもの。それで数日で調査できるよう、かぐやちゃんにこの星の人になってもらって調査をしました」
美也「身寄りのない私を、おじさいさんもおぎあさんも育ててくれましたし、仲間外れにもしないでプロポーズまでしてくれました~」
莉緒「待って! それで帰っちゃう……って?」
麗花「このままだと美也ちゃんは、成長が止まらなくて、数日で寿命が来ちゃうから帰って成長を止めないと」
莉緒「また……来てくれるの?」
美也「この星が、いつまでも今のまま優しい星でいてくれたら……きっといつかは……」
麗花「この星には近づかないようにしようね、ってみんなで相談してて」
環「え? 近づかないだけか?」
麗花「だって、悪い人たちだったらりした恐いですもの。それで数日で調査できるよう、かぐやちゃんにこの星の人になってもらって調査をしました」
美也「身寄りのない私を、おじさいさんもおぎあさんも育ててくれましたし、仲間外れにもしないでプロポーズまでしてくれました~」
莉緒「待って! それで帰っちゃう……って?」
麗花「このままだと美也ちゃんは、成長が止まらなくて、数日で寿命が来ちゃうから帰って成長を止めないと」
莉緒「また……来てくれるの?」
美也「この星が、いつまでも今のまま優しい星でいてくれたら……きっといつかは……」
>>58はミスです。重複しています。
申し訳ありません。
環「わかった! たまき、まってるぞ!! ずっとずっとまってるぞ!!!」
莉緒「私もよ!!! アンチエイジングしながら、待ってるからね」
麗花「ではみなさん……さようなら……」
美也「おじいさ~ん! りおばあさ~ん! きっとまた……かぐやは……」
環・莉緒「かぐやーーー!!!」
育「こうして、かぐや姫は宇宙へと帰っていきました。またいつか、帰ってくる約束をして……おしまい」
環「最後の方、たまきちょっと泣きそうになったぞ」
桃子「うん。いいお話だったね、最後は」
育「2人にそう言ってもらえて、わたしも嬉しい」
環「ところで、いく?」
育「なあに?」
環「たまき、桃太郎ってお話も聞かせて欲しいぞ」
育「環ちゃん、桃太郎も知らなかったの?」
桃子「実は……桃子も」
育「そうなんだ……わかった。じゃあ今度は、桃太郎ね」
環「待ってました!」
桃子「がんばって、育」
育「むかしむかしあるところに、おじいさんとおばさんが住んでいました……」
お し ま い
以上で終わりです。おつき合いいただきまして、ありがとうございました
平和なかぐや姫だったな
乙です
>>1
かぐや姫(幼少時)役 周防桃子(11) Vi/Fa
http://i.imgur.com/mD49oQu.png
http://i.imgur.com/PJz1M2r.jpg
語り部/大納言大伴御幸役 中谷育(10) Vi/Pr
http://i.imgur.com/cu8eEUV.png
http://i.imgur.com/URuX0bd.png
おじいさん役 大神環(12) Da/An
http://i.imgur.com/TpBrO8W.png
http://i.imgur.com/rHcd1Jd.png
>>11
おばあさん役 百瀬莉緒(23) Da/Fa
http://i.imgur.com/a9NV3by.png
http://i.imgur.com/NsPPtF8.jpg
>>15
かぐや姫(成長時)役 伊吹翼(14) Vi/An
http://i.imgur.com/0Y1g0qH.jpg
http://i.imgur.com/n8iYmOV.png
>>19
買い手役 ロコ(15) Vi/Fa
http://i.imgur.com/ZAGDmkj.png
http://i.imgur.com/dYCWQfB.png
>>25
アナウンサー役 福田のり子(18) Da/Pr
http://i.imgur.com/3l1jJ2n.jpg
http://i.imgur.com/Esdk7wR.jpg
>>33
音無小鳥(2X) Ex
http://i.imgur.com/ZBxZZAR.jpg
http://i.imgur.com/ElSKgHB.jpg
七尾百合子(15) Vi/Pr
http://i.imgur.com/9WRpMxA.png
http://i.imgur.com/zdoxXRJ.jpg
永吉昴(15) Da/Fa
http://i.imgur.com/wAhFJrA.png
http://i.imgur.com/zjaRrbK.png
聖母役 天空橋朋花(15) Vo/Fa
http://i.imgur.com/YJy11lT.png
http://i.imgur.com/S3Hqluj.png
>>38
車持皇子役 エミリー(13) Da/Pr
http://i.imgur.com/qncJj2m.png
http://i.imgur.com/7lwX6xf.png
石作皇子役 北沢志保(14) Vi/Fa
http://i.imgur.com/COwNwV1.png
http://i.imgur.com/5Ap4Ktp.png
右大臣阿部御主人役 豊川風花(23) Vi/An
http://i.imgur.com/rIAz7dB.png
http://i.imgur.com/KXOtPjt.png
中納言石上麻呂役 佐竹美奈子(18) Da/Pr
http://i.imgur.com/CrYg6Pn.jpg
http://i.imgur.com/3jWPs9K.jpg
かぐや姫(求婚時)役 宮尾美也(17) Vi/An
http://i.imgur.com/Ue3kK2I.png
http://i.imgur.com/brsqSHM.png
>>41
子安貝の産んだ燕役 詩花(17) Ex
http://i.imgur.com/Rsxyycf.png
http://i.imgur.com/AS54q4w.png
>>42
太皇太后役 徳川まつり(19) Vi/Pr
http://i.imgur.com/o2QUZEz.jpg
http://i.imgur.com/s3X9XYA.png
>>43
帝役 松田亜利沙(16) Vo/Pr
http://i.imgur.com/8GCoHrt.png
http://i.imgur.com/PaT9h7n.png
>>48
中宮候補筆頭役 篠宮可憐(16) Vi/An
http://i.imgur.com/Nus0x0F.png
http://i.imgur.com/CwlEpE6.jpg
>>53
かぐや姫の姉役 北上麗花(20) Da/An
http://i.imgur.com/7Iss1XJ.png
http://i.imgur.com/LIMNteE.png
>桃子「実は……桃子も」
おい、桃太郎役.....
http://i.imgur.com/JCsMHd2.jpg
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