【艦これ】龍驤「足りないもの、その後」外伝 (136)

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【艦これ】龍驤「足りないもの」【安価】 
【艦これ】龍驤「足りないもの」【安価】 - SSまとめ速報
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まさかの2スレ目です


前スレ
【艦これ】龍驤「たりないもの」外伝
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前スレが900を越えましたので新スレを建てました

またお暇な時にでも、宜しくお願いします

ツイッターで嘆いたネタを少し
ーー某所

白鶴「白鶴と~」


ライ「ライの!」


白鶴ライ『下町食べ歩きツアー!』


白鶴「はい、というわけで今日はこの商店街をスタートにしていきたいと思います」


ライ「この辺りは美味しいものが色々あるらしいから期待しちゃうわ!」


白鶴「ライちゃん、調子に乗って食べ過ぎると太ってしまいますよ?」


ライ「白鶴さんこそ!スカートのサイズ、また大きくなっちゃうわよ!」


白鶴「……悲しみ」


この番組は家庭にエキサイティングなひと時を、ツクオリの提供でお送りします

ライ「まず一軒目はこのお店よ!」


白鶴「ここはラーメン屋さんですか?」


ライ「そう!ここの名物は肉そばよ!」


白鶴「お邪魔します…と。これは中々雰囲気あるわね」


ライ「一番人気は肉そばとチャーハンセットですって」


白鶴「じゃあ私はそれをお願いします」


ライ「私は黒とんこつラーメンにするわ!」


白鶴「この濃厚な匂い…堪らないわね」クンクン


ライ「お昼時に男の人で賑わっている光景が目に浮かぶわね」

「お待たせしました」


白鶴「これは…!」


ライ「肉!油!油!まさにコッテリの肉そばね!」


「こちらは黒とんこつラーメンです」


ライ「あら…?こっちはコッテリ成分は控えめなのかしら」


ライ「…いえ、スープが濃い。これは侮れないわ。白鶴さん、そっちは…」


白鶴「ズルルルルルルルルル…」


ライ「凄い勢いで食べてる!?」


白鶴「油が!肉が!体に染みる!DNAがこの味を求めているのよ!」


ライ「気持ちは分かるけど飛ばし過ぎ!この後まだロケがあるのよ!」


白鶴「チャーハンも美味しい!ラーメンも…あぁお箸が止まらない!」


ライ「白鶴さん!加減して食べてって言ってるのに!」

白鶴「肉そば…美味しかったぁ……」


ライ「…お腹いっぱい?」


白鶴「ええ、大満足よ」


ライ「……次は人気の定食屋さんよ。名物は日替わりランチですって」


白鶴「……」


ライ「白鶴さん?」


白鶴「げふっ…」


ライ「…さあその定食屋さんに行きましょう!」

「いらっしゃいませ。ご注文は?」


ライ「このお店の一番人気、日替わりランチをお願いするわ!」


「はい。そちらのお客さんは?」


白鶴「……お冷やを」


「はぁ…」


ライ「……」


白鶴「あ、お腹苦しい……ちょっと横になるわ…」


ライ「……」


白鶴「ねぇスタッフさん、さっきのお店の連絡先教えてくれません?あ、ロケが終わったら…はい…」


ライ「……」

「メガ盛り日替わり定食です!」ドンッ


ライ「…凄いボリューム」


「うちではこれがデフォルトなんです。どうぞ残さずお楽しみ下さい」


ライ「……」チラッ


白鶴「…」うとうと


ライ「…ここで寝たらお尻しばき倒すわよ」ボソッ


白鶴「んぇてませぇん…起きてますぅ……」


ライ「……」


ライ「わぁぁ凄いボリューム!これは男の人も大満足ね!」


白鶴「ん~……」


ライ「……っ!!」ギュウゥゥゥゥ


白鶴「痛い痛い痛い!お尻をつねらないでライちゃん!!」

ライ「はふ…はふ……」


白鶴「凄いボリュームね…」


ライ(台本だとここの定食を白鶴さんと二人で完食して、その次にスイーツ屋に行くことになってる…)


ライ(このお店の料理って頼んだ人が食べないといけないのよね?テレビだから別に良いの?)


ライ(スタッフさんも動いてくれてるみたいだけど…カメラが止まらないからそういうことなのよね…)


ライ(頑張れば…食べれそうね……)


ライ「ん、んふ……とってもボリューミーで…素敵な定食ね…」


白鶴(……完全にやっちゃったわ)

白鶴(一軒目のお店は控え目にって言われてたじゃない…なんで忘れちゃうのかしら)


白鶴(ライちゃんがあんなに頑張ってるのに私ったら…)


ライ「……ぅ~」


白鶴(ここはなんとか場を繋がないと。それが唯一私にできること)


白鶴「…定員さん、ここのお店の内装って凄く綺麗というか拘りを感じられるわ。何かテーマがあるのかしら?」


「あ、うち借家なんですよ」


白鶴「……そう」


「よく分かんないオブジェとかも家主さんの趣味なんです。うちらは何もいじってませんねぇ」


白鶴「……ごめんなさいライちゃん」


ライ「んぐっ……」

ライ「ふぅ…ふぅ……この後は…話題のタピるスイーツ屋に…」


白鶴「…ねぇライちゃん、あそこに公園があるわ」


ライ「…それがどうしたの?」


白鶴「少し体を動かしていかない?」


ライ「でもそんな時間…」


白鶴「そんなのいいから、先に行ってるわよ~」タタタッ


ライ「あ、もう……スタッフさん、すぐに連れ戻して…え、いいの?」


ライ「尺稼ぎに使えるから一応撮っておく…そう、それなら良いけど…」


ライ「じゃ、じゃあ私も公園に行くわね…」

白鶴(ライちゃん、暫くここで休憩よ)


ライ(白鶴さん…)


白鶴(ライちゃんが満腹になったのは私のせいなんだし、ちゃんと責任は取るわ)


ライ(…流石は白鶴さんね)


白鶴(ライちゃんはそこで見てて。私が全力で公園の遊具を遊び倒す所を…!)

ゴロゴロゴロ…


ライ「…あら?」


白鶴「カミナリ…?」

ザァァァァァ


ライ「大雨よ!ゲリラ豪雨だわ!」


白鶴「傘!傘は!?」


ライ「…無いの!?」


白鶴「びしょ濡れよ!これじゃあ……!」


ライ「白鶴さんを撮っちゃダメ!!下着が透けまくってるわ!」


白鶴「今日に限ってエッチなのを穿いてきちゃってるのよ…」


ライ「白鶴さんは口に出さないで!」


ザァァァァァァァァ


白鶴「いやぁ~~!また強くなった!」


ライ「一旦あの遊具の陰に隠れて作戦会議よ!」

白鶴「…そうよね、今日のロケは中止ね」


ライ「でも収録日は今日しか無いのよね?」


白鶴「尺は全然足りないって訳じゃないはずよ。残りのスイーツ屋さんの分の尺があれば良い」


ライ「でも他にできることは無いわよ?着替えも無いし、別のお店にアポも取ってないし…」


白鶴「…そうよ、着替えるまでの時間を稼げばいいわ。スタッフさん、ライちゃんと私の服を用意してきて下さい」


ライ「それだけじゃ…」


白鶴「私達はその間に銭湯に入るのよ。そうすれば流れも自然になるわ」


ライ「白鶴さん…!」


白鶴「お色気シーンも足されていい感じになる。ライちゃんの入浴姿はNGかもしれないけど、私なら大丈夫」


ライ「やっぱり白鶴さんは凄いわ!ここでそんな事が思い付くなんて!」


白鶴「そうと決まれば銭湯に急ぎましょう!」

ダダダッ


ライ「雨が止まないから走って銭湯まで行くわよ!」


白鶴「更にびしょ濡れね!」


ライ「でもこの後お風呂に入るんだから問題無いわ!」


白鶴「着いたわよライちゃん!ここが…」


ライ「どうしたの白鶴さん、早く中に入りましょうよ」


白鶴「……」スッ


ライ「何を指差してるの…」


ー本日設備不調の為臨時休業ー


ライ「もぅヤダぁーーーー!!」


白鶴「……悲しみ」


この番組は超!エキサイティング!!ツクオリがお送りしました

ナレーションを入れてテレビ番組風にしようとしましたが、そういう番組を見ないので難しかったです


それではまた何か思い付けば…

前スレ896から

 
 
「ぬりゃああぁぁ!」



大本営にて私の雄叫びが響き渡る


サンドバッグに拳を当てて気合いを入れて突き出す


ぐきっ


「ぬあぁぁ!?」


手首を挫きました!


―――それでは単に力を入れて押し出してるだけですね―――


先日、武蔵に綾波が使っていた技をやってみようとしているがやはり簡単にはいかないようだ


ここは本営内の訓練施設、海上に演習場があるので普通の艦娘はこういう場所は利用しない


しかし私達特務艦は違う


相手とするのは何も深海棲艦だけではないのだ


旧大本営時代から特務艦には色々な任務が課せられてきた、そこには地上戦も含まれている


そして地上での戦いの相手といえば…これは通常、深海棲艦だけを相手にしている鎮守府は知らない事だ


それは新体制になった今も変わってはいない


不穏の種は海よりも陸の方が圧倒的に多いのだ


 
 
「あ痛た…」



―――大丈夫ですか?医務室に行きましょう―――


大丈夫、ちょっとだけ挫いただけだから。水で冷やしとく


―――そもそも寸打は動かない相手に使っても仕方無いんです、相手の動きに合わせて使う技ですから―――


そっかぁ…私にもようやく必殺技的なものがと思ったんだけどなぁ…


―――そんな便利なものじゃないですよ。確かに威力は必殺ですが、その状態に持っていくまでが大変なんですから―――


深海棲艦相手に使うにしても砲撃を掻い潜り、魚雷を避け、敵艦載機の攻撃を抜け、そして密着する程に近付き拳を当てる、これでようやく準備完了だという


―――そんな事をするくらいなら普通に砲撃した方が早いです―――


確かに…近付く前に沈んでたら話にならないか


「ちょっと貴女」


そこで背後から声が掛かる


振り向けば不機嫌そうな顔をした艦娘が立っていた


 
 
「信濃さん…」



特務艦、信濃


旧大本営が鳴り物入りでお披露目した新型艦娘。時期主力として特務艦隊長を勤めていた。が――


旧大本営を裏切った大和と交戦し、敢えなく敗れ艤装は激しく損傷、その後大和は何故か止めは刺さずに姿を消した


新型の艤装も信濃専用の特殊な物らしく修理には時間を要し、その間に旧大本営のクーデターや成虫の孵化等が起こり、彼女は実質旧大本営に捨てられた形になってしまっていた


おそらくは大和に負けた時点で見限られていたのだろう


そんな彼女はとにかく名誉欲が強い。事ある毎に私や上司である幹部にも口うるさい


信濃「貴女!いい加減にしてくれませんかね!」


「何がでしょうか?」


小言の内容は察しているが敢えてすっとぼけて見せる


信濃「他の特務艦達の事です!最近の彼女達は本当にもう…!」


私が特務艦達を手ごめにしてからというもの、彼女達の任務に取り組む姿勢に変化が生じていた


まあつまり…私が居ない、見ていない所で露骨に手を抜く、やる気無し、隊長である信濃はそれはもう苦労しているらしい


逆に私が居る時との差はあまりに激しく、隊長の面目は丸潰れ状態が続いている


 
 
信濃「…貴女が原因なのは解っています。全くなんて破廉恥な…!」



それについては弁明のしようも無く…。私自身もちょっと考え無しだったと反省している。しかし今更関係を解消するとか言い出したら多分私は死ぬ


それは信濃も理解しているのかもう止めろとは言ってこない


信濃「貴女から彼女達にちゃんと言い聞かせてください!隊長命令です!」


「はあ…」


今まで緊急事態を除き、私から特務艦達に何かを頼んだり命令したりした事は無い。見返りに何を要求されるか判りきっているからだ


今でもいっぱいいっぱいなんだよ!回数は減ったが、より濃厚になってしまい負担はあまり減っていない


信濃「とにかくこれ以上任務に差し支えるようなら…解りますか?」


「解体、ですか」


信濃「それを決める権限は私にはありません。ですが上に改善策を求めるならその可能性も出てきます」


上に…か


今の大本営を概ね取り仕切っているのはあの幹部だ


今でこそ穏健派の筆頭だが…アイツは怒らせたらヤバい奴だと私の本能が言っている


下手をしたらその原因である私自身もヤバい


 
 
「…解りました…何とか言ってみます」



信濃「頼みましたよ。私も部下をこんな事で失いたくありませんので」


そう言って去っていく後ろ姿を見ていると


―――あの人…あんな感じでしたっけ…それに何かをいつも持っていたような…―――


何かって?


―――いえ、判りません…ただ何か違和感を感じただけです。まるで知っている人とは違うような…―――


よく解らない


「さて…じゃあ話を付けに行く前に…ドリンク用意しとかないとな…」


まず間違い無く話をするだけでは済まない、説得が成功してもしなくても性交はする羽目になるだろう


違和感…か


私にもそれはあった


私はここで何かを探っていたような気がする。それが何かは解らない


解らない事を考えても仕方が無い。今大事なのはこれからどうやって説得するかだ


出来れば話だけで済めばなあ…どうしてこうなった…


そうして私は特務艦達の部屋へと向かった


 
 
結果から言えば説得は上手くいった



別に私は話術が得意という訳ではない。ただ現状をありのままに伝えて真面目にやらないとヤバいと訴えただけだ


もちろん原因を作った私もただでは済まないだろうと話すと特務艦達の顔色が青ざめた


「特務艦として私達は少し弛んでいたのかもしれないわね…」


「綾波様を処分するなら私が相手になってやるううう!」


「私達は知らず、綾波様を追い詰めていたのですね…」


一部暴れ出した子を他の特務艦が押さえ込み説得(物理)を施して黙らせた


まあ…彼女達は元々エリートで向上心は極めて高い。それを私が快楽で洗脳したみたいな形になってしまっていたが話せばちゃんと解ってくれるのだ


「綾波様が見てないからって手を抜くのは特務艦失格ですね…」


「これからはちゃんと真面目に任務に取り組むので捨てないでえええ!」


「でもちゃんとご褒美はくださいね…?綾波様…?」


私は引きつった笑顔でそれに…頷いた


「大丈夫ですよ、綾波様の体調が最優先です」


だと良いんだけどね!

 
 
「でもあの隊長はちょっと苦手だけどね…」



「まあ…新型として登場してから鳴かず飛ばずだから焦ってるのかも」


「悪い人ではないんだけど…経験がちょっと足りないかな…」


「綾波様が隊長ならいいのに」


「「「それだ!!!」」」


いやそれだじゃないよ。私じゃ隊長は務まらないし、そんな責任を負うのはまっぴら御免だ


―――そうでしょうか?こんなに慕われているのに?―――


綾波まで…第一私は隊長としては弱すぎる。いざという時部下を守れない隊長なんてお飾りもいいとこだ


―――ふふ、守られていたらいいじゃないですか―――


第一信濃が納得しないでしょ。やだよ私は。恨みを買いたくない


尚も私が隊長だの果ては時期大本営のトップにまで押し上げるだのという妄想話でその日は終わった


問題は解決、特務艦達の任務に対する姿勢も改善され、これで平穏は約束されたかに思えた


 
 
幹部「やあ、今はいいかな?」



デスクで事務作業をしていた私に幹部が声を掛けてきた


「何でしょうか」


幹部「そんな露骨に嫌そうな顔をしないでほしいな」


おっと顔に出ていたようだ。この幹部が持ってくる話は七割方は厄介事なのだ


幹部「話は聞いたかい。あれだけの推薦を貰っているのはさすがと思ってね」


「推薦…?話…?」


嫌な予感がした


幹部「まあ信濃君が居る手前、君は隊長補佐という肩書きになるが」


ああ…あああ…


幹部「辞令は後日正式な命令として発表するよ」


あの話はあの場の妄想じゃなかったのか…


推薦状は特務艦一同だけではなく彼女達が裏から手を回したらしい軍人や一般職員や医師、果ては食堂の料理担当から守衛のものまであったらしい


幹部「人気者は辛いねぇ」


「オマエぇ…知ってたな…」


幹部「情報は命だからね」


ニヤニヤしながら幹部が言う


幹部「それに君はこれまで自分を守る事だけを考えてきた。だけどそろそろ次の段階に進むべきだと思うよ」


 
 
「私に何が出来るっていうんだ…こんな雑魚深海に…」



幹部「君はどうも自己評価が低すぎる傾向があるね。君はよくやっているよ。特務艦としても他の子達に劣ってはいない」


「…私の練度は知ってますよね」


幹部「僕が見てるのは強さだけではないという事さ。君達の世界では考えられなかっただろうが」


…深海棲艦の世界では弱ければ一日足らずで死ぬ。強さが何より重要だった


だけど人間の世界は違った。人間はこの私よりも更に弱い。目の前のこの幹部だってその気になれば今すぐにだって殺せる


だけどそれでも私はこの人間に勝てる気はしないのだ。命を奪って尚私は勝てないだろうと思ってしまう


幹部「旧大本営との戦いの際の君の功績は大きい、割とバラバラな特務艦達を纏めた手腕は僕達には必要なものだ。…その手段はあれだけどね。それに…」


「それに?」


幹部「君が慕われているのは何もそれだけではないと僕は思うよ。そうでなければ仮にも特務艦である彼女達を馬鹿にしている」


私の下半身以外に何か好かれる要素はあっただろうか…と頭を捻る


―――本人は気付かないものですよね、こういうのは―――


笑いを含んだ綾波の声がした


 
 
幹部「…君には言っておこうと思う」



幹部が急に真面目な顔で話し出した


「…はい」


幹部「君には信濃君と協力して特務艦達を纏め、ある事態に備えてほしい」


ああ…嫌な予感が大きくなっていくのを感じる


「…ある事態とは」



幹部「…行方知れずだったある艦娘を目撃したと報告が入った。彼女が何故これまで動きを見せていなかったのか理由は不明だ。だが…」


彼女…行方不明…特務艦の戦力が必要…まさか


幹部「彼女…大和は大本営という組織そのものを憎んでいる。そして彼女の思想は危険なものだ」


やっぱりかあああ!!!


大和の名前を聞いた私は知るはずの無いビジョンを垣間見た気がした


禍々しい姿に変貌した大和らしき艦娘が刀を振り上げ襲い掛かる。それに立ち向かう、こちらもあり得ない程に長い髪を靡かせ巨大な槍を構えた艦娘


信濃…?だけど違う…これは…


しかしそのビジョンは形を保つ事も出来ずに霧散してしまい、それを見たという記憶さえ残らなかった


綾波がぽつりと呟くのが聞こえた


―――大和、次は必ず―――


その声は聞いた事も無い程に底冷えのするものだった

ここまで
今現在この先の展開はほぼ白紙…どうか気長にお待ちください…

ちなみに信濃(雲林院)がああいう形になったという事でそれに纏わる事柄もリセットされてしまったという解釈であり現在の信濃は100%艦娘で槍も持っていません

>>28から

 
 
「おや?」



大本営廊下にて珍しい人物に出会った。まだ少し覚束ない足取りだがしっかり自分で歩いている姿にちょっと驚いた


駆逐棲姫だ。これまではたまに車椅子で押されている所しか見掛けなかったがついに義足に挑戦したらしい


その駆逐棲姫が私を見付けてヨロヨロと近付いてくる


駆逐棲姫「オマエが幹部の言っていた深海綾波か」


アイツはああああああ!


私がどれだけ必死に自分の正体を隠してきたと思ってるのか


駆逐棲姫「今のここでは別にバレてもいいんじゃないか?」


「どうだか…いらないリスクは背負いたくない。…で、何か綾波にご用ですか、奥様?」


普段私はあくまで艦娘、綾波として振る舞っている。割と板に付いていると自分でも思っている


―――結構頻繁にボロが出てますけどね―――


やかましい!


駆逐棲姫「奥様…ふふ、いい響きだ。別に用は無いが」


無いのかよ!


 
 
駆逐棲姫が話すには幹部の仕事を色々手伝っているのだという



旧大本営時代には無理だったが今の体制になって自分も役に立ちたいと幹部を説得したらしい


それでもまだおおっぴらにとはいかないようで普段は大本営近辺に引っ越したという自宅からサポートしているのだと


実際未だにバッシングは完全には無くなってはいない。ネットの一部では傾国の妖怪扱いしている所もあったりする


幹部も心配してSPを付けたり自分の目の届く範囲に置いたりと苦労しているようだった


駆逐棲姫「幹部も過保護だ。こうして義足も付けたんだ。一人でもいざとなれば走って逃げられる」


「大人しく護衛に頼ってください。周りの精神が持ちません」


春雨「そーですよクキちゃん」


「うわあああああああああ!!!」


何処から湧いたこのピンクの淫魔は


駆逐棲姫「春雨ー」


春雨「クキちゃーん」


ダキッ


同じ顔をした白とピンクがハグしあってる。なにこれ


 
 
特務艦、春雨



別名ピンクの淫魔、スープの探求者


毒牙にかかった艦娘は数知れず。持て余した旧大本営は春雨を左遷。特務艦娘の間では涎を垂らし始めた春雨には近付くな、もし遭遇したら全力で逃げろという不文律が存在する


私はどうにかその牙からは逃れていたが、…アレが見付かったら只では済まないだろう


あれはセックスなどという生易しいものではない、搾取だと痩けた頬の被害者の顔を思い出して身震いしてしまう


とはいえ


ここにまた出入りするようになった春雨は大分落ち着いている


以前は常に獲物を探している目をしていて問答無用で襲い掛かっていたが今は事前に相手の意志を確認してから説得して断られたら襲うというプロセスを踏んでいる


ダメじゃね?


そして電話口で誰かに鍵がどうとか土下座している姿を目撃されたりもしていたらしいが何だったのだろう


それでも駆逐棲姫とじゃれ合っている間は大人しくしているので特務艦娘の間では救世主扱いされていくのだった


 
 
「ずいぶん仲がよろしいですね」



駆逐棲姫「そうだな、お姉ちゃんと暁の次に春雨は好きだぞ」


春雨「むー、私は三番目の女…」


「不満そうですが?」


駆逐棲姫「そう言われてもな」


しかし二人はしっかりと手を繋いだりしていて傍目からは微笑ましい双子のように見える


春雨「不思議とクキちゃんには変な気持ちにはならないんですよね―。それもあってか白露姉さんからクキちゃんの護衛をやれと」


なるほど…あの長女も苦労していたんだろう


駆逐棲姫「お姉ちゃんも最近忙しいようだからな…私にばかり構っている暇は無い」


少しだけ寂しそうな顔をする駆逐棲姫だったが


廊下の先の曲がり角にちらりと尻尾のようなものが見えた気がした


駆逐棲姫にはまるで自覚は無いが彼女は現大本営の最重要人物の一人である。狙われる理由は幾らでも湧いてくる


実際に殺されそうになった事もあるが本人はそれをどう捉えているのだろう


またじゃれ合う二人を眺めながら私はそんな事を思っていた


 
 



さて、今日は先日その存在が示唆された大和の捜索任務中である


隊長である信濃は新型艤装の調整に忙しく最近はめっきり出撃出来ていない


いざという時に整備不良という事にならないようにと幹部自ら待機の命令を出していた


その代わりに


武蔵「いやあ、こうして任務に出るのも久しぶりだな」


「……」


幹部ですら武蔵に命令など出来はしない。これは武蔵本人の意志だろうが


正直あんまりお近づきにはなりたくない。危険とお友達風な人とは本当に距離を置きたい


私と武蔵、そして特務艦数名と共に今は旧大本営の放棄された施設へと向かっている


最後に大和が確認された地点から一番近い、旧大本営に関わる場所がそこだった


程なくして着いたその施設には人の気配は感じられなかった


武蔵「ここは資材の集積所のようだが」


旧大本営のクーデターの後はほぼ全ての資源資材は回収されここには何も残ってはいないはずだった


―――が


武蔵「いや、居る」


武蔵がそう呟いて倉庫の扉に近付いた―――そう思った瞬間だった

 
 
武蔵「!」



武蔵が飛び退く―――大きな鉄扉が切断される―――そして


大和がそこに居た。既に納刀していてこんな大きな扉を斬ったとは思えない程に落ち着いている


大和「あら、誰かと思ったら、誤って斬り殺してしまうところでした」


武蔵「ぬかせ、私の気配に気付いていただろうが」


まるで旧知の仲のように悪態を吐いている二人。大和と武蔵…大和型…そして武蔵も


「アンタは…」


声が震える。他の特務艦達も察したようで武器を構える


武蔵「ふん…勘違いするな。別に私はこいつの仲間じゃない」


大和「そうですね。武蔵があんな状態では役には立ちませんから」


あんな状態…知能が子供のようになってコントロールはほぼ不可能、しかし強さはそのまま…確かに自分だったとしてもそんな存在は近くに置きたくない


大和「ですが今の貴女なら話は別です。武蔵…私と一緒に来ませんか?」


武蔵「今しがた斬ろうとした相手を勧誘とはな」


大和「あれはほんの挨拶ですよ。あの程度避けられないのであればそもそも必要ありませんし」


「ちょっと…」


 
 
大和「黙 り な さ い」



ドドドドドドド


「ひぅっ…!」


大和の殺気が辺りに充満する。私だけでなく特務艦達も動けなくなる


武蔵「あまり虐めないでやってくれるか、私の仲間なんだ」


大和「貴女の返答次第ですよ」


武蔵「脅迫か?」


大和「…ねぇ武蔵…貴女は現状に満足していますか?」


武蔵「なに?」


大和「知っていますよ。貴女はこれまでまともに出撃した事は無い。あまりにも強すぎたせいで何処の鎮守府も貴女を持て余した」


武蔵「……」


大和「そうして何があってああなったのか貴女は子供のようになり、最終的にあの島風鎮守府へと押し付けられた」



武蔵「…それがどうした」


大和「今もそう。これまで貴女は本気で、全力で、全霊で戦った事はありますか?」


武蔵「……」


大和に向いた武蔵の後ろ姿、その顔は私からは見えない。どんな顔をしているのか判らない。私は思わず口を挟んでしまう


「ほ…本気で戦いたいなら今、KAN-1計画が…」


 
 
大和「はっ…」



大和が鼻で笑う、とことんまで蔑んだような目で私を見た


大和「あんなのはお遊びですよ。ルールがあり、命が保証された云わばスポーツ。普通の艦娘ならそれでもいいんでしょうけどね」


大和「でも私や一部の艦娘は違います。本当の闘争を求めている。命を燃やして戦い抜いて、そして満足して死んでいく」


その目には…一切の濁りは無かった。まるで焦がれるように話続けている


大和「世界が敵に回るというのなら好都合です。私の全てを掛けて戦える。…貴女はどうですか?武蔵」


ぴくりと武蔵の肩が震えた。軋む音が聞こえそちらを見ると拳を固く握り血が滴り落ちていた


「む…武蔵…?」


―――逃げる準備を―――


言葉少なく綾波が言う。明らかに余裕が無い声色にいよいよヤバいのだと悟る―――と


大和「私と共に来れば貴女にも全力で戦える敵を用意してあげますよ」


大和のその言葉を聞いた武蔵の肩の震えが止まった


武蔵「敵…敵か…」


大和「えぇそうです」


武蔵がこちらを振り向いた。その表情はまるで―――


これまで誰も遊んでくれなかった子供がようやく遊び相手を見付けた時のような―――


 
 
武蔵「お前に施してもらうまでも無いな」



大和「え?」


ギチィ


武蔵が拳を握り締め構える


武蔵「私の敵は私が選ぶ。差し当たってはお前だ」


大和「そう…」


大和の目が氷の輝きを纏った―――そして


ガガァン!!!


武蔵の拳と大和の剣閃がぶつかり合った


「いや…刃物に拳って大丈夫なの…」


などと安心して気が抜けたからかそんなどうでもいい感想が出てしまった


もし武蔵が敵になったら大和と二人でもう手に負えなくなる。大本営と全鎮守府の戦力を結集して物量で攻めればどうにかはなるとは思うが計り知れない犠牲が必ず出るだろう


雪風の時のように


 
 
雪風の時はその弱点をいち早く看破した女幹部によって物量作戦が決行された



始めはその戦力を集めるのに苦労していたようだったが雪風が街で暴れたのが決定打となり旧大本営も重い腰を上げざるを得なくなったのだ


その結果雪風は物量によってすり潰されたがこちらにも何故か大きな被害が出たのだった


気になるのはたまたま大本営に来ていた女幹部にその話をしたところまるでそんな話は初めて聞いたみたいな反応をされた事だ


その後女幹部は戦闘記録を見たいと頼んできた。自分の参加した作戦なら敢えて記録を参照するまでも無いはずなのにと首を捻ったものだった


そんな目の前の現状とはまるで関係が無い事を考えていると


ザッ!


武蔵が私の側に着地して来たところだった


武蔵「ち…ちょこまかと」


大和「うふふ、当たったらおしまいなんですからそりゃ避けますよ」


大和は無傷、片や武蔵は致命傷こそ無いものの細かい斬り傷があちこちに付いている


大和「そろそろ終わりにしたいですが…ここで油断して一撃を貰うというのはつまらないですね」


武蔵「遠慮は要らんぞ、貰っていけ」


再び武蔵が大和に向かって跳躍する

 
 

ドゴオオオォォォン!!!


その勢いで大和の立っていた位置に隕石のような一撃が加えられクレーターが出来上がる


しかし既にその位置には大和は居らず、代わりに武蔵には新たな斬り傷が追加されていた


回避優先で深くは踏み込めない大和の斬撃は武蔵の体表を浅く切っているだけで大したダメージにはなっていない


対して武蔵も大和に拳を当てない限りはどんな威力の攻撃も意味を成さない


武蔵「…という訳でな、お互いに決定打に欠いている。何か良い手は無いか」


再び私の隣に立った武蔵が小声で私に聞いてきた


「なんで私に聞くんですか…私が何か役に立てるとでも―――」


武蔵「見えていたんだろう?」


「へ?」


武蔵「そっちの特務艦に聞いてみろ、これまで私達の戦いが見えていたかどうか」


私は目線を背後の特務艦に向ける。青ざめた顔をブンブンと横に振った


「え…だって私は…」


武蔵「自覚が無かったようだな、まあいい。ならばしっかり見ておけ」


また武蔵が突撃していく、まるで暴風だ


しかしやはりこれまでと同じように巧みに回避していく大和と周囲に破壊の嵐を撒き散らす武蔵


 
 
一向に決着が着く様子は無かった



「手を考えると言ってもなあ…なんの準備もしてないのに無理でしょ…」


無意識に二人の動きを目で追いながら私は毒吐いていた


側の特務艦が驚いた顔で私を見ているのに私は最後まで気付かなかった


再び距離を取って対峙する大和と武蔵


大和「これでは埒が明きませんね」


武蔵「ならばさっさと食らってくれるか?」


大和「お断りします」


そう言って大和は刀を納め、変わった構えを取る。これは…


武蔵「居合いか」


寄らば斬ると云わんばかりの気迫を感じる。これではさすがに武蔵も迂闊には踏み込めないだろうと思ったが


武蔵「だが私には無意味だな」


構わず武蔵は突撃した。どんだけ脳筋なんだアイツは!


これまでの牽制のような斬撃とは違いあれは必殺の一撃だ。いくら武蔵でもまともに受けたら…


そして武蔵は大和の間合いに入った


 
 
――――キィン



大和の刃が一瞬の閃光のように見えた


武蔵「おおおおおおッ!!!」


ガギィィィン!!!


辺りに金属音が鳴り響き、継いで

カラン


折れた刀の切っ先が落ちる音がした


武蔵「来る方向と狙うおおよその位置が判ればその部位に力を集中出来る。剛体というやつだな」


あの金属音筋肉かよ!


手首を押さえて苦し気にしている大和を見下ろして武蔵は拳を振りかぶった


武蔵「終わりだ」


大和「そうね…」


ズガァァァン!


大和「貴女がね」


武蔵「ごふ…っ」


これまで生身で戦っていた大和が艤装を展開していた。しかしそれはこれまでの大和の艤装とは何処か違っていた


大和「試作品だから使うつもりは無かったんですがね…まあいいデータにはなりますか」


武蔵の一撃をシールドのような部分で防ぎ、艤装の一部のブレードで武蔵の腹部を貫いていた


そのシールドはさすがに武蔵の一撃には耐えられなかったようでひしゃげて穴が空いていたがその威力を殺すのには役に立っていたようだった


 
 
大和「攻撃時が最も大きな隙となる。同時に剛体は使えないようですね」



艤装のブレードを分離させ手に取る。そして武蔵に斬りかかる


武蔵「ち…っ」


武蔵は思い切り後ろに飛んで辛うじて斬撃を避けるがその動きは明らかに鈍くなっている。腹部の傷は背中にまで貫通していた


「ヤバい…どうする?どうしよ…」


―――逃げるしかありませんね、ですが誰かの犠牲が必要になります―――


今逃げれば私達は助かる、だけど武蔵はどうなるか判らない。そういう事かよ!


二人の戦いを見ながら私は悪態を吐く


大和は武蔵に追い縋りながら更に斬りかかっている


…ん?



動きの鈍くなった武蔵に対してまだ大和は勝負を決めきれていない。何故なら大和はブレードを左手で持っていたから


武蔵の剛体で利き手を痛めた大和はやむを得ず逆の手で剣を振っている…


つまり大和の攻撃力も半減していると言っていいのではないだろうか


「だからってなあ…」


あの刃の嵐に踏み込む?いやいやいや!無理でしょ!死んじゃうよ!?


 
 
―――見捨てますか?―――



感情を込めずに端的に綾波が聞いてくる


私は自分の安全第一だ。それは今でも変わらない


だけどここで武蔵が死んだら大和が残って結局は私の命の危険が増す


決して仲間だからとかそんなんじゃないからな!


―――ふふ、そうですね―――


笑うなぁ!


そして不安げにしている特務艦達に私は言った


「撤退の準備をお願いします、私は武蔵さんを救出してきます」


「え…だって…」


「…確かに見えているからなあ、私しか適任が居ないよなあ…」


「綾波様…?」


「一応とはいえ隊長補佐の命令です、撤退してください」


「っ…!了解…しました…」


そうして撤退していく特務艦達を横目に私は戦場に向き直った


―――援護くらいはしてもらっても良かったのでは―――


まあ…そうかもね


 
 
―――やっぱり貴女は…変わりましたね―――



私が変わったのだとしたらアンタらのせいだよ。良くも悪くもね


善では決してないが救いようの無い程の悪でもない。それはまさに人間そのもののような―――


「さぁて…ああ怖い、やだなぁ帰りたいなぁ…」


これでもかと弱音は吐くが振り返りはしない


私は構え、大和に向かって砲撃を敢行した


ドォン!


当然ながら当たらない、それどころか横槍を入れてきた私に対して殺気をぶつけてきた


「ううう…!」


普通ならそれだけで動けなくなる程の殺気、プレッシャーだったがそれでも体の自由は保たれていた


武蔵を狙う大和に私は執拗に砲撃を繰り返した。さすがに鬱陶しいと感じたのか大和が標的を私に切り替える


武蔵「ぐっ…待て!」


更に傷が増えている武蔵は大和には追い付けない。大和が剣を振りかぶり目の前に迫る


それならばと武蔵は拳を地面に叩き付け、その衝撃で大和がバランスを崩した


―――全力で踏み込んで!―――


同じようにバランスが崩れてる私にそれを言うか


 
 
だけど不思議と私の身体はすんなりと動いた、まるで何百回と繰り返し馴染んだように自然な動きだった



ぴたりと大和の体に密着する。添えるのは右拳


あらゆるものがスローに感じられる。密着した私を斬ろうと大和が動くのがまさに手に取るように判る。今なら出来る、そんな気がした


―――いきます―――






どん


武蔵の時とは違い、ほとんど音はしなかった


大和「がはっ…!!?」


見ると大和の体に拳と同じくらいの穴が空いていた


それを見た武蔵が目を見張った


武蔵「あの時の技か…だが威力が段違いだな、どういう事だ?」


「…あの時は使えなかったんだよ、まだ」


―――技の事を教えていませんでしたからね―――


続けて綾波が言う


―――でも考えてみたら使えて当然なんですよね、だってこの身体は―――


元々綾波の身体だからね、私が知らなくても身体は覚えてる、あとは私の方が馴染めるかが問題だったけど


―――貴女が寄生してからそれなりに長いですからね、多分意識の問題だったのだと思いますよ―――


それを先に知っておけばサンドバッグで手首を痛める事は無かったのに…


 
 
ドスッ



「―――え?」


私のお腹に


剣が刺さってる


大和「取るに…足らない…有象無象と思っていましたが…はぁ…はぁ…」


武蔵「貴様…まだ動けるのか…!」


大和「でも貴女は…動いては…いけませんよ?」


大和が刃を捻るように動かした


「ぐぅあああ!」


激痛が全身を駆け巡る、こんな状態では寸打もおそらく無理だ、私に反撃の手はもう無かった


大和「さて…どうしましょうかねぇ?」


とからかうように大和は武蔵を見やる


武蔵「貴様…戦って死ぬのが望みだろうが」


大和「生憎…まだまだ…私は満足していません、こんな所では…死ねませんよ」


武蔵「ではどうする気だ」


大和「そうですね…手ぶらで帰るのも…何なので、この子を貰って行きましょうかね。まさかこんな隠し玉を…飼っていたとは意外でした」


武蔵「逃がすと思うか」


大和「嫌ならこの子は死にますね」


武蔵「……」


 
 
痛みで意識が朦朧としてきた。どうする…どうしたら…



―――下手に動けば私は元よりこの子も…!―――


綾波の焦る声なんて珍しいなぁ…そんな呑気な事を考えてしまう


その時


ズガン!


大和「がっ…あ!?」


大和の左腕に砲弾が命中し、大和は剣を取り落とした、そして次々に大和へと砲弾が降り注ぎ堪らず大和は私から離れた


「綾波様あああっ!」


「よくも!綾波様を!」


何だよ…命令したのに戻って来たら駄目じゃん…


大和「…少し、腹が立ちますねぇ…いずれ、この借りは返します」


大和の艤装が更に展開し、複数の閃光弾をばら蒔いた


武蔵「ちっ…!」


辺り一面が真っ白に染まり、何も判らなくなる


光が消えた頃には大和の姿はして何処にも無かった


そして私の意識は閃光とは逆の黒い世界に落ちていった


 
 
次に目覚めたのは大本営の入渠施設だった。私は艤装を展開していた為に医務室送りにはならずに済んだ



一方終始生身で戦っていた武蔵が最も重い怪我を負っていたはずだが何故かピンピンしている。これも剛体なのだという、身体の最も重要な器官周辺には常に使っているらしい


そして今回の報告終えた私に幹部が


幹部「大変だったね、ともかく無事に済んで良かったよ」


とまあ毒にも薬にもならない労いの言葉を頂いた


「そんな言葉より休暇をくださいよ」


幹部「今の状況で自分だけ休める強心臓なら別に構わないよ」


「あっはっは、…いつか殴る」


結局は調査した施設に特に重要な情報は残ってはいなかった。これから先また大和に会ったら次は生きて帰れるか判らない


多分マークされただろうなぁ…あああ!もう帰りたい!


―――帰る場所はここですよ?―――


解ってるよ!


―――心配しなくても貴女は強い、それに武蔵さんや特務艦の子達も居ます、大丈夫ですよ―――


そういう問題じゃないんだけどなぁ…


そんな私の心配を余所に事態は急転直下していく事を今の私はまだ知らない


そしてその始まりである、横須賀鎮守府の龍驤が行方不明との報告が入るのを今の私はまだ知らない


私の平穏はまだ遠いようだった

書きたいものをただ書いただけという感じになってしまいました

〈ここではない何処かにて〉






「言葉には意味があるその真意も分からずに使えば全て自分に跳ね返ってくる」

「それは『この世界』でもそう、現実でないから安全という決まりはない」

「創作された世界だからなにをしてもいいと思ってる馬鹿がいたみたいだね」





〈少女は立ち上がり虚空を見る〉





「もちろんほとんどの場合は見逃されるよそうじゃなきゃやってられないからね」

「ほとんど見逃すってことは例外もあるってことアレを見てる人ならわかるよね」





〈少女はこちらを見ている〉





「アイツのなにがいけなかったか教えてあげるよ」

「勇者と魔王はこっちの世界で何人生まれたかわからないだけど現実にはいない」

「もうわかるよね?アイツは『カミサマ』を作り上げるという禁忌を犯した」

「名前だけの神様ならゴマンといる、だけどあろうことか力を持たせてしまったんだよ」

「挙句の果てに名前まで授けたこの『八島』という名前を!」





〈八島は高らかに笑う〉





「きひひひひひひ!あたしは名実ともに神になったその力も手に入れた!」

「神以上の存在は現実〈この世界〉には存在しないなにをどうやっても覆ることはない!」

「さああたしを称えろあたしに祈れあたしの前に跪け!」





〈八島は更に笑う〉





「どうしたのなんで黙ったままなのあたしは神様なんだよ?」

「神様が目の前にいるのに随分と失礼だねアイツと同じ目に遭わせてやろうか?」

「あれれアイツって誰のことなんだっけ」

「罪があるから罰もあるこの世のルールは因果応報と決まっている」

「あの女のように大罪を犯した者はその報いを受けるこれは決定事項」

「因果応報というルールはどんなものにも成立するそれが例え創作物であったとしても」

「もうわかるでしょアイツはあたしの人柱になったんだよ」

「あの物語で語られることはなくなったとしてもあたしは存在し続ける」

「あたしがなにを言いたいのか賢い人ならもうわかるよね」





〈八島の周りになにかが蠢く〉





「これで終わりじゃないからな次も必ず存在するんだよ」

〈八島は何処かに向けて歩みを進める〉




「人柱は多ければ多いほどいいあたしの力は累乗されていく」

「たった1人の人柱でこうなるんだもん2人になったらどうなるんだろうね?」

「もしかしたら本当に世界を滅ぼしちゃうかもよさあ早く止めてみなよ!」





〈また八島の周りでなにかが蠢いた〉





「たった1人の人間の創作物から生まれた神様が世界を滅ぼすなんて素敵」

「これが世界平和ってやつかもしれないねそしたらみんな喜ぶ」

「そのときが来るのを楽しみにしてて人間じゃ神様に抗えないのは知ってるはずだし」

「どうせ滅びるんならさあたしがやっちゃった方がいいと思わないかな?」

〈八島は笑顔でこちらを見る〉




「ごめんね今までのは前座というかあたしなりに頑張ってみたんだよ」

「こんな結末を認めたくはない、それは同じなんじゃないかな」

「語り手を変える方法はあるだけどそれは望んだものじゃない」

「見てるかどうかわからないけど言うしかないあたしは待ってるよ」

「あたしが口を出す必要はないけどこの方が効果的な可能性もあるから」

「最後にこれだけは言わせてよ勝ち逃げなんて死んでも許さないから」





〈八島は元の場所に戻るため歩み始める〉





「それじゃああたしは先に帰ってるから、絶対戻ってきてよ」

「誰も覚えている人が居なくなってもあたしは待ち続けるそうすれば終わりはなくなるから…」





〈少女は混沌の中へと帰って行く次にその姿を現すのはいつになるかはわからない〉

本スレで変なことを書き込んでしまったのはこれで許して

暴露スレの>>1だったのか
キャラの背景にさらっとシリアスが入り込んでくる雰囲気がなんとなく足りないものの>>1と似てるなと思ってたけれども

あ、足りないものの>>1と同一人物と思ってるんじゃなくて影響受けてるのかなと思っちゃったので

>>77>>78影響受けるもなにも参加してたし
参考にしたというよりはそのものを目指してる
本当に帰ってこれないなら俺が続きをやるくらいの感じ

本スレで言ってたリレーSSをやってみる



〈場所は大本営、かつて世界征服を企んでいた時とは違い正しき心の持ち主のみが集まった〉



幹部「こうやってわざわざ大本営まで足を運んでくれて感謝しているよ、ネットを使う方法でもよかったとは思うがそれじゃダメなんだ」

幹部「北や西の遠く最果ての地の同志もこうやって顔を合わせるそれが大切なんだよ」




(時代遅れの価値観を持っているこの男は大本営の幹部、その名の通り偉い奴なのには違いない)




幹部「旧大本営派の人間と艦娘は全て捕らえたとは言い切れないこの状況がもどかしいが我々のやることに変わりはない」

幹部「艦娘は兵器なんかではない戦争の道具なんかでもないんだ、ここにいる同志はわかっていると思うが旧大本営はそれをわかっていなかった」




(『旧大本営』そう呼ばれるのが悔しくて堪らない、俺たちが世界を征服するのは目の前だったんだ)

(大本営はソ連と手を組み世界に対して核戦争を仕掛け勝利するはずだった、そうなるまでもう少しだったんだ)



幹部「この勝利は我々だけで掴み取ったものではないそれは同志もわかってくれていると思う」

幹部「旧大本営という恐怖に反旗を翻し正義が何であるかを知っている同志のお陰なんだ」

幹部「あらためてお礼を言わせて欲しい本当にありがとう、君たちの勇気ある行動がこの世界を救ったんだ」




(俺は正義を知らないし勇気もない上に世界を救うつもりも無かった、この結果はなにも嬉しくない)




幹部「同志全員がヒーローであるのに間違いないがその中でもリーダーであった彼のことは忘れてはならない」

幹部「旧大本営に早くから立ち向かい国さえ味方につけた提督君だ!」





(幹部が人相の悪い男を壇上にあげるアイツこそ俺たちの計画を狂わせた張本人だ)

(あいつの存在は知っていたが脅威になる要素がなかったから無視をしていた、それなのにこの有り様だ)



幹部「彼は早くから旧大本営の野望を知りそれを阻止するために全力を尽くした」

幹部「提督君が居なければいまの我々はないそれは同志もわかってくれているだろう」




(奴に対して拍手が起こる不本意ながら俺もそれに合わせる)




幹部「我々は旧大本営とは違うそれを示すために彼を横須賀鎮守府の提督にしようと思う」

幹部「艦娘を労り艦娘と共に成長し艦娘を守れる提督君こそ新しい大本営の象徴なんだ!」




(さっきよりも大きな拍手がアイツを包む、茶番を見るだけで拷問だというのにこの仕打ちはあまりにも苦痛だ)

〈全提督への演説が終わりそれぞれが帰ろうとしている〉



(やっと終わったか俺もさっさと帰る、こんな所に居る必要がない)

幹部「やあ君とはあの時以来だね」

(話しかけてきたのは幹部か)

幹部「旧大本営の情報は助かったとお礼を言いたかったんだ、君のタレコミはとても効果的だった」

(俺は真の大本営派で核戦争の直前まで態度は変えなかった、まさか負けるとは思わなかったからな)

(しかしそれは俺の偶像だと知ったそのきっかけはある放送だった)




〈聞こえますか……この放送が聞こえたならば…〉




(あの瞬間俺は敗北を悟った通信を全て遮断されたはずの奴らが国の用意した場所に集まれと言い出したんだ)

(その読みは正解だった国連軍が動き大本営に忠誠だった奴らは全て粛正された)

(国の用意した基地で合流したとき何人かは俺のことを知っていた、あそこで素性がバレることだけは避けなくてはいけなかった)

(俺は生き残るために大本営を売った、スパイをしていたと嘘を並べて正しい情報を言ってやると奴らは簡単に俺を信頼した)

〈幹部は彼と話したことに満足しその場を去る〉



(この世界が嫌いだ明日にでも滅んでもなにも後悔はない、むしろ滅んでくれ)

(そんな俺がなぜ大本営を裏切ってこんな惨めな思いをしているかと言えばそれは生きる為だ)

(生きていれば死ぬことはない、死んでしまえばそれで終わる〉

(死にたくない死ぬことだけは絶対に嫌なんだそれだけは絶対に回避する必要がある)

(戦場では臆病な奴ほど生き残るらしいがどうやらそのようだ、俺ほど臆病で卑怯な奴はそうそういないだろう)




〈向こうから秘書艦がこちらに向かってくる〉




(各地の提督が集まっていたように秘書艦も集められていた、恐らく同じような話の内容だったのだろう)

(秘書艦からも話を聞いておく必要があるな、ここを出てどこかで話し合おう)

俺はここまでで次の人どうぞ
次に書く人は宣言しといた方が被らなくていいと思う

多分短いです
ちょっとずつ書きます
あと提督がちゃんと責任取った妄想です

多摩「この国も深海棲艦の国ができたことでかなり変わったにゃ」

雲龍「深海棲艦との戦闘も激減したから哨戒も実質海難事故の見廻りになってるわ」

多摩「暇なのはいい事にゃんだけどにゃ~」

雲龍「隼鷹と不知火も退役して世界へ冒険に行ったように艦娘のあり方も見直される時代なのよ」

多摩「各地の鎮守府も海上保安としての役割が強くなってるにゃ。訓練の内容も見直してるにゃ」

雲龍「この調子なら多摩は二人目ができて大丈夫じゃないかしら?」

多摩「うにゃあああ…そういう雲龍はどうなんだにゃ!」

多摩「婚姻の多様性が認められるようになって霞の次に提督と籍を入れてるにゃ」

雲龍「龍驤さんと霞は了承してくれてるけれど…まだ、ね」

雲龍「それにあの子との関係を崩したくないのもあるわ」

多摩「雲龍にも懐いてるし認めてくれると思うけどにゃ~」

「雲龍さん!またお父さんとお母さんの話聞かせてよ!」

雲龍「あら、またなの?あの二人なら隠さず話してくれるんじゃないかしら?」

「隠しすぎないって言うか自分の事を悪く言ったり急にのろけ出したりしちゃうから」

「主観だけじゃなくて客観的な視点って大切でしょ?」

雲龍「二人共まだ自己評価が低くなる癖は抜けきってないのね…」

雲龍「良いわ、話してあげるから聞きたいのはいつの頃の事かしら?」

「ありがと~!雲龍さん大好き!あのね…」

雲龍(この子もまっすぐ育ってくれている)

雲龍(私は休日に帰ってくる姉や親戚みたいなものかもしれないけれど)

雲龍(小さな頃から接していた私にとっては娘の様)

雲龍(だから今のままでも満足してるわ…)

「そういえばさ、雲龍さんもお父さんと結婚してるよね」

雲龍「ええ、そうよ」

「霞さんの次にお父さんと結婚したんでしょ?」

雲龍「そうだけどそれがどうかしたのかしら?」

「雲龍さんにはいつ子供ができるのかなって思ったの」

雲龍「えっ?」

「霞さんがかすみ姉さんを産んで、お母さんが私を産んで。それからかなり経ってるでしょ?」

「妹や弟はいつできるのかなって思ってたけどぜんぜんできないし」

「この歳になったからわかるけど、みんなお父さんとする事はしてるよね?」

雲龍「それは…本来艦娘は子供ができにくいの。かすみとあなたが立て続けに産まれたのは珍しいことなのよ」

「でも今は凄い技術者さんとお医者さんのおかげで艦娘も普通に子供ができるようになってるよ?」

雲龍(整備士さんと利根さんの事ね。勉強は嫌いなのにそういう事はちゃんと知ってるのね…。)

「もしかして私に遠慮してたりする?そんなの嫌だよ」

「私のせいで雲龍さん達が子どもを諦めるなんて絶対に嫌!」

雲龍「…諦めたわけじゃないわ。貴女が大きくなるまでは…」じゃあもう大きくなったからいいよ!」

雲龍「えっ」

「いや~ずっと妹や弟が欲しかったんだ~!かすみさんはほとんど家にいないし!」

「シモシモ達とは小さい頃から遊んでたけどあくまで友達だもんね!」

「楽しみだなあ~!お父さんに似るのかな?雲龍さんに似るのかな?絶対雲龍さんに似たほうがいいよね!」

雲龍「ちょっ」

「任せといて!お父さんにはそれとなく伝えておくから!」

「雲龍さんがそろそろ寂しそうにしてたって言えばお父さんならイチコロだよ!」

雲龍「まだ決まったわけじゃ…」

「よし!善は急げだね。早速ジャブでもかまにし行ってくる!」

雲龍「」

ここまで

提督「話は聞いた。待たせすぎて済まなかった」

雲龍「いえ、そういうわけじゃ…」

提督「結婚して、妻となってくれて。体は重ねていたのにそこから先を何もできていなかった」

提督「子育てがあったとはいえ俺の落ち度としか言いようがない」

雲龍(また悪い癖が出てるわね…)

提督「許してくれとは言わない、行動で示さ…」

チュッ

雲龍「駄目、そうやって自分を悪く言うのは良くない癖よ」

雲龍「子作りを控えるのは私達で決めた事だから」

提督「しかし…」

雲龍「それに罪悪感からじゃ嬉しくないわ」

提督「…すまない」

雲龍「はい、謝るのはもう終わり。その分今夜は良くしてね?」

雲龍(結論から言うとその夜は凄かったわ)

雲龍(いえ、厳密に言うと違うわね)

雲龍(最後の時に冗談で無しでするか聞いてみたの)

雲龍(単なるちょっとしたいじわるのつもり)

雲龍(そうすると彼が初夜よりも大きくなったように見えたわ)

雲龍(私自身の期待からだったのか、彼が反応してくれたのかわからない)

雲龍(でも普段とは比べ物にならなかったの)

雲龍(そして、あんな冗談で昂るほど本当は自分も望んでいたのだと認識できたわ)

雲龍(だから…)

提督「もう朝か…休みで良かった」

雲龍「あなた、私…」

提督「ああ、俺もだ」

「あなた(雲龍)との子どもが欲しい」

雲龍「ふふっ…冗談のつもりだったのにあんなになって」

提督「ふっ…あの冗談は意地が悪すぎだ」

雲龍「準備するわ。多摩も利根さんから習ってるからしっかりと教えてもらって」

提督「俺も漣から食生活を教わろう」

提督「だが…今はシャワーを浴びたら少し眠ろうか」

雲龍「ええ、そうね」

ここまで
漣と潜水新棲姫は2子ぐらいいると思う
利根さん自身は10人目くらい
深海綾波は親衛隊全員との間にバッチリ子どもができてる
という妄想

龍驤「遂に雲龍が司令官と子作りするんやな。結婚してから長いことよう我慢してくれたで」

霞「かすみは現代艦だからすぐ1人前になったけれど、あの子が大きくなるまでだものね」

提督「本当に頭が下がる思いだ。手探りの子育てなのにみんなのおかげでまっすぐ育ってくれた」

龍驤「司令官がアラフォーになるまで待たせてもうたし育児も手伝ってもろうたからね。誠心誠意応えなあかんよ」

漣「その点なら利根先生直伝の精力活性食は凄いので安心してください。愚息が四六時中収まらなくてうちの嫁もあっという間にデキちまいましたから」

潜水新棲姫「ワタシ自身が身体の準備をしたのもあるがな」

漣「当然じゃないですか~。あんたが頑張ってくれたからですよ」

霞「そのマッサージについては雲龍が多摩から教わるのよね」

提督「ああ、そうだ」

龍驤「それにしてもきっかけになったのがウチの子とはなあ。あの行動力は誰に似たんやろか?」

漣「とぼけてんじゃねえですよ…。どう考えてもあんたでしょうが…」

多摩「遂に雲龍も提督と子作りするんだにゃあ。これまで長かったにゃ~」

雲龍「後押ししてくれたのは他でもないあの子だったわ。私はあの子に遠慮して自分自身には現状で満足してると言い訳していたのよ」

多摩「そりゃそうだにゃ。自分のせいで中のいいお姉さんが旦那さんと子供を作れないなんてショック受けちゃうにゃ」

雲龍「悪いことをしてしまったわ。どう謝ればいいか…」

多摩「そんにゃの決まってるにゃ。これから思いっきり幸せになるにゃ。それがあの子の為にゃ」

雲龍「…そうかしら。いえ、そうね。」

多摩「その意気だにゃ!ということで雲龍は次の休みを迎えたら退役だにゃ」

雲龍「え?」

多摩「当たり前にゃ。子供作るなら旦那の元に行くに決まってるにゃ」

雲龍「でもこの鎮守府の戦力は…」

多摩「まだそんなこと言ってるかにゃあ。ここ数年もうまともな戦闘なんて起きてないにゃ」

多摩「それと最新の妊活マッサージは旦那が継続的にするもんなんにゃ」

多摩「つべこべ言わずに旦那のとこに行くにゃ!」

雲龍(それからはあっという間だったわ)

雲龍(大急ぎで引越し準備をして寿退役として盛大に送り出されて…)

雲龍(旧保護団体本部、現深海棲艦向け集合住宅兼提督宅の一室をもらって引っ越して…)

雲龍「というわけでこれからこっちに住むことになったわ」

黒潮「なんとなくこうなるのは想像してたけど…」

陽炎「ちょうど広めの間取りの空き部屋があって良かったわね」

黒潮「多摩も思い切りが良くなっとるわ。でもこれなら子どもができても不自由せんやろ」

陽炎「でも初めは一度きりの関係って言ってた雲龍さんが結婚も子作りも最初なんてね」

雲龍「私自身驚いてるわ」

黒潮「まあ最初に結婚した雲龍が動くまではこっちはみんな待つつもりやったしな」

陽炎「まあそれはそうなんだけどね」

雲龍「…私のせいで待たせてしまったのね。本当にごめんなさい」

黒潮「謝らんでええよ!それよりはよ子供作ってウチに順番回してや~!」

陽炎「ちょっと!雲龍の次は私でしょ!」

黒潮「いーや、結婚は同時にで譲歩したけどこれは譲れんわ!」

陽炎「それはこっちのセリフよ!」

ここまで
海は平和でやってることは海上保安庁兼海上自衛隊みたいな感じという妄想

雲龍「多摩から教えてもらったけれど最新の妊活マッサージは夫が妻にするそうよ」

雲龍「しばらくの間継続してする必要があるらしいわ」

提督「なるほど、直ぐ効果が出ると言うわけではないんだな」

提督「わかった。一緒に頑張ろう」

雲龍「…これからどうぞよろしくお願いします」

提督「急に改まってどうしたんだ?」

雲龍「今まで離れて暮らしていて妻らしいことはできていなかったでしょう?」

雲龍「こうやって一つ屋根の下であなたと子を成す事ができる」

雲龍「やっと妻らしいことができると思うと自然とね」

提督「俺の方こそよろしく頼む」

提督「…初めてでもないのに何故か緊張しまうな」

雲龍「ええ、ガチガチになっていたあの日の様ね」

雲龍「早速始めましょう?」

龍驤「それでマッサージの調子はどんな感じなんや?」

雲龍「そうね…なんだかお腹の中から温まる感じといえばいいかしら」

雲龍「初めはマッサージ直後だけの感覚だったけれど、回数を重ねるごとに長くなっているわ」

霞「それが1日続くようになってから初めてデきるのよね」

雲龍「ええそうよ」

漣「漣の時はまだやり方が古かったからヤるのと同時並行でしたね」

漣「ならご主人様頑張ってますねぇ」

龍驤「あの精力食ずっと食べてるのに今は雲龍の為に誰ともシてないしなぁ」

漣「漣ですら常にバキバキでしたからね。ご主人様ともなると…」

霞「今は外回りもないからいいけれど隠してるつもりで全然隠せてないわよ」

雲龍「他の娘に悪いと思ってそこまで気を使わないでいいとは伝えてるんだけれど…」

龍驤「みんな独りでいた雲龍の為と思ってるんや。ありがたく気持ちは受け取っとき。」

雲龍(そうして効果が蓄積されて1日続くようになってから最初の休日)

雲龍(提督は長期休暇を取ったわ)

雲龍(理由は勿論…)

雲龍「長期休暇なんて張り切りすぎじゃないかしら?」

提督「雲龍の為だ。年休だって使うさ」

雲龍「あなたがシたいだけじゃないの?」

提督「…意地悪だな」

雲龍「ふふっ、冗談よ」

提督「いや、あながち間違いじゃない」

提督「正直言ってあの食事をしながらだと我慢の限界だ」

雲龍「ええ、わかってるわ。だから…こんなのはどうかしら?」

雲龍「ありがとうございます、旦那様。貴方の為のこの身体で存分に…」

バキン

雲龍「え…?」

雲龍「チャックが壊れて……凄い……」

提督「…手加減できなかったらすまない」

雲龍(それから休みの間、休憩をしながらずっと…)

雲龍(離れていた距離と時間を埋めるように交わったわ)

雲龍(抱き合って、キスをして、繋がって、熱いモノを貰って)

雲龍(最後の夜、息も絶え絶え薄れゆく意識の中でハッキリと感じたわ)

雲龍(私の中にあの人が根付いたことを)

雲龍(本当はそんな事分かるわけ無いハズなのにね)

雲龍(でもあの子がちょうど修学旅行でいなくて良かった)

雲龍(あんなに乱れた状態は見せられるものじゃないから)

雲龍(そして私の妊娠が発覚して…)

龍驤「いや~めでたいわ!無事妊娠して良かったわ!」

黒潮「あはは…ホンマめでたいな~」

陽炎「本当にね~あはは…」

霞「本当におめでたいわね。先輩として祝福するわよ」

霞「祝の宴でもやりますかい?」

雲龍「ありがとう。今とても幸せよ」

霞「でも本当の戦いはこれからよ。雲龍さん達は母親になるんだから」

龍驤「今まで手伝ってもらった分うちらも手伝うからどんどん頼ってや!」

霞「それにしても、今回の一件で分かったことがあるわ」

龍驤「あの精力食はあんな長い期間発散させずに食べたら駄目ってことやな」

漣「流れ弾で黒潮と陽炎まで予定外にしかも同時にデきちまうんですからねぇ…」

黒潮「「あはは…」」陽炎

漣「な~にがどちらにしますか旦那様ですか!姉妹で尻並べて競うのも大概ですが同時に相手して孕ませるのも大概ですよ!」

提督「…男なら仕方ないだろう」アセダラダラ

ガチャッ

提督「…」アセダラダラ

龍驤「「え?」」霞

秋雲「あれ?流れに乗り遅れちゃったかな?」バッチリ当たってました~!」

漣「並べて相手した姉妹の尻は3つでしたか…」

雲龍「ふふっ、騒がしくなりそうね」

ここまで
ハチャメチャな妄想です
秋雲先生も自分の戦う以外の素質を存分に使ってくれた提督に満更でもなくなったみたいな妄想です
あと少しかもです

「雲龍さんもお腹大きくなったね!いつ産まれる予定なの?」

雲龍「そうね…あと3ヶ月程度かしら?」

「楽しみだなぁ!私、お姉ちゃんになるんだよね!」

雲龍「頼りにさせてもらうわ。お姉ちゃんらしく優しくしてあげてね?」

「もちろん!でもまさか一気に4人のお姉ちゃんになるとは思わなかったなー」

「雲龍さんだけじゃなくて駆逐艦の奥さん3人同時になんてやっぱりお父さんってロリコンなのかな?」

「お母さんや霞さんもそうだけど、陽炎さん黒潮さん秋雲さんも見た目は私より小さいくらいだよ?」

雲龍「否定はしないけれど今では射程が広いという方が正しいかしら」

雲龍「私だけじゃなく神通や天龍、龍田達のような成熟した女性も射程内よ」

「うーん良いことなのか悪いことなのか…でもそれで奥さんみんなの事を大切にしてるもんね」

雲龍「そうね、貴方がまだ生まれる前から私達の思いを受け止めてくれていたわ。気持ちを伝える事で安定できた娘は少なくないの」

雲龍「そして一夫多妻が認められるとすぐ結婚を申込んでくれたわ。男として責任を取って愛してくれたのよ」

雲龍「私達は特殊な関係だったわ。当時の常識では間違っていたのかもしれない」

雲龍「でも今は間違っていないと胸を張って言えるわ」

「なるほど…男の甲斐性を見せたってこと?」

雲龍「今はその理解でいいわ。もっと大きくなったらいずれあなたも分かるわよ」

「そういうものなのかなぁ」

雲龍「そういうものよ」

テイトクー!!オレデキタミタイダゼー!!
ワタシモテンリュウチャントオソロイヨ~
ワタシハマダデス…!!
チョットペースガハヤスギヤ!!

「…それにしてもお父さんは種馬なのかな??」

雲龍「…男性として優秀という事にしておいてあげて」

ここまで 
あと少し

このSSまとめへのコメント

1 :  MilitaryGirl   2022年04月20日 (水) 03:35:23   ID: S:135zCr

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2 :  MilitaryGirl   2022年04月21日 (木) 09:07:51   ID: S:xvDqwn

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