艦これSS、二次・三次創作、エログロ、駄文、安価、
及び人によっては受け入れられない展開注意です
このスレは
『ヲ級「くっ……コロセ……!!」 提督「……」』
(ヲ級「くっ……コロセ……!!」 提督「……」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1486651164/))
(テスト「……」ニコッ 提督「テスト……」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1493826735/))
『長門「ふにゃぁ~……」グデー 提督「……本当に下戸なんだな」』
(長門「ふにゃぁ~……」グデー 提督「……本当に下戸なんだな」 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1507975466/))
の続きとなっております
良ければ読んでいってください
どうぞよろしくお願いします
黒潮「か、加賀さん……」
浦風「い、いや、これは……」
加賀「そこは提督の部屋よ。そんなところで言い合いしていたら提督にご迷惑でしょう?」
「「はい……すいません……」」
加賀「分かったのなら部屋へ戻りなさい。いいわね?」
「「っ……はい……」」
加賀「……」スッ
黒潮「……って待たんかい!!」
浦風「何しとん加賀さん!?」
加賀「……提督に御用があるんです」
黒潮「はあ!?あ、分かったそう言うことやな!?ならうちらだってそうや!!女としてここで引き下がられへん!!」
浦風「加賀さんもなん!?っ……あの人はもう……まあええわ!!けど提督さん今日は予定なしなはずじゃ!!加賀さんも奇襲なんじゃね!?」
加賀「……いいからあなた達は帰りなさい。これからは大人の時間よ」
黒潮&浦風「「絶対嫌や(じゃ)!!」」
加賀「っ……!!もういいわ……そこを退きなさい……!!」
黒潮「いやぁああああ!!嫌や嫌や!!ウチは負けへん!!女の意地や!!」
浦風「うちは絶対退かん!!じゃけぇ加賀さんが帰っちゃってください!!」
提督「!?」
提督(引継ぎの準備やらなんやらがやっと終わって部屋へ戻ってきたら、何事か起きていた。俺の部屋の前で言い争っているのは加賀と黒潮と浦風か)
提督「何をしているんだ?」
「「「っ!!提督(司令はん)!!」」」
提督(俺が呼びかけると三人が俺の方を向いた。そして我先にと迫りくる。まるで襲いかからんばかりに)
提督「っ!?」
加賀「提督!!私、提督が行ってしまうと考えるだけで……今日は他の子のところなんて行かないで……!!どうか私と居てください……私に戦う勇気を……お願いです……!!」バッ ダキッ
提督(一番俺に近かった上に体も駆逐艦娘に比べて成長している加賀がまず最初に俺の胸に飛び込んできた。そして保護欲をそそる表情で俺を見上げ、そう訴えてくる)
浦風「提督!!だめじゃ!!加賀さんじゃなくてうちを……うちと居て!!この中で一番提督を愛しているのは間違いなくこの浦風じゃ!!」ダキッ ギュッ
提督(次に浦風が俺の首に腕をまわして抱きついてくる。切なそうに眉尻を下げ、目に涙をためていた)
黒潮「あかんで司令!!ウチの方が司令のこと思っとる!!それに、その二人は絶対無茶するで!!今日はウチが司令のこと優しく労わるから……ウチと居よ……?」スッ ピトッ
提督(最後に黒潮が空いている俺の背後に回ると背中に優しく抱きついてくる。俺の背中に顔を埋め、密着してきた。ぞくぞくするウィスパーボイスで囁かれる)
提督(俺を巡って三人が争っていた。それが、隠していたが、大きな失敗をして左遷されて挫折感に苛まれて傷ついていた自尊心を慰める)
提督(加賀のような美人や黒潮と浦風のような美少女が俺を取り合っている。他の奴らに見せつけてやりたい光景だ)
提督(この子たちは最上級の女だ。その容姿端麗さはイメージが重要な軍の広報に彼女たちが使われ、絶大な実績を上げている程ことからも分かる)
提督(それに加えて性格も良いのだ。戦争に涙する優しさ。そして立ち上がり戦場で戦う強さ。さらにその地獄のような戦乱の中で道理を失わない正しさを持っている)
提督(もちろん、人間だ。完璧ではない。感情に引っ張られて間違いを犯したり暴走したりもする。しかし、現実的に望みうる中で最高だろう)
提督(美しい魂はやはり美しい体に宿るのかもしれない。天は二物を与えずとは誰が言った?ここに奇跡が居ると教えてやろうではないか)
提督(そんな、一つ間違えれば触れ難い存在になってしまいそうな彼女たちに人間らしさや親しみを与えているのが彼女たちの個性だ)
提督(加賀の不器用なところはとてもいじらしい。気さくな黒潮とはどれだけ一緒に居ても疲れることは無い)
提督(快活な浦風には何度心が救われたことか。名女優やトップアイドル並みに人気があるのがよくわかる)
提督(男ならば一度は夢見るものだ。そんな誰もがうらやむような女に愛されることを。そして隣に侍らせ、他の男に見せつけてやることを)
提督(だが悪いな、世の男性諸君。そんな奇跡の賜物たるこの子たちは皆俺のモノだ。絶対に手放さない。……もし彼らが知ったらどう思うのだろうか?)
提督(憧れの艦娘たちが俺の前では娼婦に堕ちることを知ったら……こうして俺の愛を求めて争う様を知ったら)
提督(本来なら一人一人が普通に恋愛し、結婚していただろう。だが、俺のモノにしてしまった。純粋だったこの子たちを染めてしまった)
提督(もうあり得た未来の旦那のモノになることは永遠にない。なんたる背徳感!!気分は聖書に出てくるアダムとイブを誘惑した蛇だ)
加賀「て、提督……?」
浦風「ど、どしたん……?」
黒潮「だ、大丈夫……?」
提督「っ!!あ、ああ、大丈夫だ」
提督(不安そうな三人の声。それで我に返った。いけない……よくないことを考えていた……自制しなくては……さもなくば、越えてはいけない一線を越えてしまう)
提督「実は明日、朝は遅いんだ。明日の分も今日のうちにそこそこ片づけてしまったからな。だから時間はたっぷりある。三人でゆっくりしないか」
加賀「さ、三人でですか……?」チラッ
浦風「っ……」チラッ
黒潮「うーん……」チラッ
提督(俺の提案に最初、三人とも微妙な反応を見せた。加賀がちらりと浦風に視線をやり、思案している)
提督(浦風も加賀と俺の背中にくっついている黒潮を伺った。きっと黒潮も浦風の様子を確認しているのだろう)
黒潮「……まあ、ええんちゃう?」
浦風「そうじゃね。仕方ないけぇ、それで我慢じゃ」
加賀「……わかりました」
提督(だが、このままではどうしようもないことを悟ったのだろう。まず比較的寛容な黒潮が妥協を示した)
提督(その結果、他との関係をあまりよく思っていない浦風と加賀も不満気ながら妥協する。よかった。では俺もやるべきことをやろう)
提督(彼女たちに後悔させないと誓った。俺には三人を満足させる責任がある。あとは有言実行あるのみだ)
~
提督(その後、俺たちは軽く夕食をとりつつ酒を嗜む。酔いは心の壁を取り払ってくれる。そして身内の話で盛り上がった)
提督(こういう時、共通の話題があることは助かる。特に加賀と駆逐艦娘の二人は趣味嗜好が全く違うからな)
提督(最初は互いに牽制し合って硬かった場の雰囲気もだいぶ和んだ。もともと、加賀と黒潮、浦風は同じ艦隊になることも結構あったからな)
提督(仲が悪いわけではないのだ。ただ、俺をめぐってシュラバヤ沖で一触即発の事態になっていただけで……)
提督「ん、酔いが回ってきたようだ……っ……あぁ、気持ちいい……」グググ
加賀「疲れているのね、提督」
提督「ああ。最近は引継ぎで忙しくてな……ずっと机仕事だ」
浦風「うちが肩でももんであげよか、提督?」
黒潮「っ!!せや、ならウチらで良いことしたげよ。頑張ってる司令にご褒美や!!」
提督「ご褒美?」
~
提督「おぅ……いやぁこれは……素晴らしい……」
提督(黒潮の言うご褒美とは温度を調節したサウナで全身をマッサージすることだった。ご丁寧にベッドまで持ち込んで)
提督(もちろん、誰も入ってこないように清掃中の札をかけるのも忘れずに。まあ、この時間にサウナを使いに来る人はいないだろうが)
加賀「そうですか。ならよかったです」モミモミ
提督「クセになりそうだ……これからもちょくちょく頼もうかな」
黒潮「司令、ほんまええ体やなぁ……男の体って感じやわぁ」
提督「空いた時間でそれなりに努力しているからな。君たちに釣り合うように頑張っているのさ」
浦風「提督……傷だらけじゃねぇ……」モミモミ
提督「ああ……まあ、男の勲章だ。少なくとも、もう誰にも自分は安全な後方で指揮だけ執っているとは言わせないぞ」
加賀「本来ならそうあるべきです。そんな誹りを気にしないでください。もし提督に万が一があったら……私は……」
黒潮「せやで。加賀さんの言う通りや。司令はんはもう取らなあかん責任がぎょうさんあるやろ?」
浦風「もし勝手に死んだりしよったらあの世まで追いかけてぶちまわしたるけぇ、よーく覚悟しときぃよ?」
提督「大丈夫だ。俺だって君たちを残して死ぬつもりはないよ」
提督(うつ伏せに寝そべる俺の左の肩回りを黒潮が。右の肩回りを加賀が。腰を浦風が揉んでくれる。あぁ、いい……!!)
提督「熊野が通い詰めるのも納得だなぁ……極楽極楽……」
提督(心地よい暖かさとマッサージのじんわりとした気持ち良さに眠くなってくる。微睡ながらマッサージを堪能した)
提督「……っ」
提督(っていかんいかん。眠ってしまったらダメだ。きっともう起きれないぞ。それに、このまま寝てしまうのは勿体ない)
提督「……」チラッ
加賀「……?」モミモミ
提督(やはり年長者だけあって加賀が一番官能的な体をしている。どっしりとした大きな胸、いい感じに締まった腹回りに肉付きの良い腰回り)
提督(ノースリーブで裾の短い白の湯着を着ているが、とても色っぽい。湿度の高いサウナに居るために汗でそれが素肌に張り付いているのだ)
提督(透けて肌が見えている。さらに、きつそうに押し広げられた胸元からは零れんばかりの巨乳の谷間が丸見えだ)
提督(そして太腿までしかない裾からは体勢によっては加賀の秘所を覆う白い薄布がちらりと誘うように視界に映る)
提督「……」ムクムクムク
加賀「……///」テレッ
提督(俺に見つめられた加賀は照れて頬を赤く染めた。目を伏せてマッサージを続ける。体が動くたびに揺れる胸)
提督(スイッチが入れ替わった。眠気が跡形もなく消え去り、性欲が首をもたげる。ああ、けどマッサージも気持ちいい)
提督(このままマッサージされながら誰かに抜いてほしいな。仰向けにれば察してくれるだろうか……)
黒潮「もう……加賀さんだけやなくてウチのことも見て」
提督「!!」
提督(拗ねたような声。衝撃が走る。俺の中で閃くものがあった。俺はゆっくりとそちらの方へ向く)
黒潮「えへ……」ニコッ
提督(すると嬉しそうにはにかむ黒潮が視界に入る。黒潮もまた肌に張り付いた湯着が透けていて欲情を掻き立てる姿だった)
提督(き、気のせいか……?いや、待て。俺は目を閉じる。そしてそれを確かめるべく口を開いた)
提督「黒潮」
黒潮「どしたん?司令はん」
提督「……!!」
提督(……っ!!たぶんそうだ。だが口調が……しかし、もしそうなら……俺はもう一度加賀を見る)
提督「……」チラッ
加賀「……?」
黒潮「司令はん?もう、なんやの……?」
浦風「提督、まさかうちのこと忘れとらんよね……?」グイッ
提督「っ!?」ビクッ
提督(黒潮と浦風が不満気な声をあげる。特に浦風は痛いくらいにツボを押してきた。つい声が出そうになる)
加賀「提督……?」
提督(だがきょとんとした様子の加賀を見るとこれからしようとしていることにわくわくが止まらなかった)
提督(感情表現が苦手とはいえ、さすがに大きな感情は顔にも大きくでる。このすまし顔がどうなるのか見ものだな……!!)
提督「ありがとう、皆。もう大丈夫だ。そして悪いが黒潮、浦風、来てくれ。加賀はここで待っていてくれ。すぐ戻る」
加賀「そうですか、分かりました」
黒潮「了解や。どうやった、司令はん?おぉ……!!」
浦風「その顔、何か悪いことたくらんどるじゃろ」
提督(俺の言葉に加賀が少し残念そうにそう答える。体を起こし、立ち上がると黒潮が無遠慮に俺のモノを凝視する)
提督(そして浦風がまるでいたずらっ子を見るお姉ちゃんといったような表情で俺を見つめてきた)
~
提督「黒潮。君、標準語でも喋れるだろう?」
浦風「標準語?」
黒潮「なんやの急に?」
提督(加賀に声が聞こえないようにいったん脱衣所に出た俺たち。俺の質問に二人が意味が分からないというように眉をひそめて俺を見つめている)
提督「どうなんだ、黒潮?」
黒潮「まあ喋られへんことないけど……」
提督「よし!!じゃあ黒潮」スッ
黒潮「?」
浦風「……」
提督(俺は黒潮の耳に口を寄せる。黒潮もまた俺に耳を寄せた。そんな俺たちに面白くなさそうな顔をする浦風)
提督「赤城のモノマネをしてみてくれないか?」
黒潮「あ、赤城はん?えっ、なんで?」
提督「いいからいいから。頼む、黒潮」
黒潮「ん~……まあええけど……」
提督(いきなりの赤城のモノマネをしろとの頼みに困惑する黒潮。しかしそこは関西人。拒否することは無かった)
提督「よし。浦風。採点頼むぞ」
浦風「えっ?何の?」
黒潮「ん、ん~。あ~。こほんこほん。よっしゃいくで」
提督(戸惑う浦風をよそに黒潮が喉の調子を整える。どうだろうか?きっと上手い……いや、そっくりだと思うのだが)
提督(赤城と黒潮は声質が似ている。だがさすがに赤城の方が落ち着いた声をしているし、黒潮の方が子供らしい高い声だ)
提督(しかし先程の黒潮の囁きはいつもの黒潮と違い大人びた声で……つい赤城かと思うほどだった)
提督(思い返せばたまに赤城が出す高めの声。あの声は黒潮に似ている。だがそう思うのは俺だけかもしれない)
黒潮「この勝利に慢心しては駄目。索敵や先制を大事にしないと……って、頭の中で何かが……」
浦風「!?」
提督「やっぱり……!!」
提督(少し大げさというか何というかという感じだが、赤城だった。浦風が目を見開いてびっくりする)
黒潮「烈風?いえ、知らない子ですね。流星?九七艦攻とは違うのですか?」
浦風「あ、赤城さんじゃ……!!えっ、ばり上手い!!黒潮、そないな特技持ってたん!?」
黒潮「えっ?ほんま?そない似てるん?」
提督「ああ、完璧だ。ふふ……いいことを思いついたんだ、二人とも。協力してくれ」
~
提督「どうだ、加賀?」モミモミ
加賀「んっ……ふぅ……はい……気持ちいいです……お上手なんですね……提督」
提督「ああ、まあな」
提督(その後、サウナに戻った俺たちは加賀を言いくるめてマッサージを受けさせていた。最初遠慮していた加賀も一度受け始めればすぐに虜になってしまう)
提督(しばらく普通マッサージを続ける。気持ちよさに微睡んでしまう加賀。そろそろか。俺は加賀の腰をマッサージしていた手を尻まで這わせる)
加賀「!!」ピクッ
提督(指が沈み込む柔らかさ。堪能する。加賀の体がピクリと反応した。そしてちらりと左右の黒潮と浦風を窺う)
提督(二人はそれに気が付いていないふりをしていた。加賀はもぞりと体を動かす。それは抗議や拒否の意味だったのだろうか)
提督(羞恥心も人一倍の加賀だ。二人の前でなど耐え難いだろうな。だが俺は気にせず湯着の下に手を入れると尻を揉みしだく)
加賀「……!!」カァッ
提督(二人が居るために満足な抵抗もできず、拒否を伝えることもできない加賀。どうやら必死で耐えているようだ)
提督(俺はそのまま手で薄布を撫でる。固しっとりと湿ったそれは汗の為か、それとも……確認せざるを得ない)
提督「……」スッ ツプッ
加賀「っ……」ピクッ
提督(俺は加賀のショーツをずらすと秘所へ指を埋める。きゅんと締まったそこはしかし、ぬるりと濡れていた)
提督「……」クチュクチュ クリッ
加賀「っ!!」ビクッ
提督(それは汗では考えられないような粘性を持った体液だった。俺は手淫を続ける。硬い突起に触れた瞬間、加賀の体が跳ねた)
黒潮「加賀さん?どうしはったんですか?」
浦風「痛かったですか?ごめんなさい……」
加賀「い、いえ、違うわ。ありがとう。十分に堪能させてもらいました」
提督「まあそう遠慮するな。もう少しゆっくりしてくれ」
加賀「て、提督……!!」
黒潮「そうですよ。いつも頑張ってはるんですからこういう時ぐらいゆっくりと休んでください」
浦風「どうですか、加賀さん?うち、昔はよく祖父母や両親にしてましたけぇ結構自信あるんですよ」
加賀「い、いえ……もうこれ以上は……っ!!」グッ ビクン
提督(マッサージを止めない俺たちに加賀は強引に立ち上がろうとした。そこで俺は加賀の急所に鋭い一撃を入れる)
提督(それに対して加賀は何とか声を上げずに耐えきった。まあ、ぎりぎり耐えきれるよう加減したのだが)
提督「ほら、二人もそう言ってくれてるぞ?」
加賀「わ、分かりました……」
提督(立ち上がるのをやめた加賀はおとなしくマッサージを受け続ける。俺はじわりじわりと快楽を与えていく)
加賀「っ……ぁ……!!」
黒潮「気持ちええですか、加賀さん?」
加賀「え、ええ……んっ……!!」
黒潮「ほんまですか?よかったです」ニコッ
浦風「こことかどうですか、加賀さん?」グイッ
提督「……」キュッ
加賀「ぁん!?っ!!す、少し優しくしてくれるとありがたいわ……」
浦風「あ、ごめんささい、加賀さん……」シュン
加賀「い、いえ、でも本当気持ちよかったわ。少し刺激が強かっただけで……気にしないで」
提督(溢れる愛液。加賀は必死で耐えていた。それでも漏れる喘ぎを震える声で必死に取り繕う加賀)
提督(ぞくぞくした。さて、そろそろだ。すっかりできあがっている加賀の体。俺は止めを刺すために責めを激しくする)
提督「……」ヌプン グイッ
加賀「っ!?」ビクン
提督「……」クチュクチュ クリクリ
加賀「ぁ……あぁっ!!提督!?や、待って……!!あん!!」ゾクゾクゾク
黒潮「大丈夫ですか、加賀さん?」
浦風「そんなに気持ちいいですか、加賀さん?」
提督(体が快楽に跳ね、喘ぎどころか嬌声をあげてしまった加賀。その隠しようのない痴態にそれでも加賀がなんとか取り繕おうと二人を見上げた)
加賀「んはぁっ!!ま、待って!!こ、これは違ぁっ!!ち、違うのよ、二人とも……」ビクッ ビクッ
黒潮「何が違うんですか、加賀さん」ニタァ
浦風「気持ちよくないんですか、加賀さん」ニタァ
加賀「……!?あ、貴方たち……!!はぁっ!!あぁああ!!」サァッ ビクン
提督(そして気が付く。その二人が妖艶な笑みを浮かべて自分を見下ろしていることに。瞬間、加賀が全てを悟って絶望の表情を浮かべる)
提督(自分の痴態がその二人に全て晒されてしまうのだということを理解したのだろう。だが、次の瞬間には耐えようのない快楽に蕩けてしまう)
黒潮「加賀さんってほんまに胸、大きいですよね?ウチもこうなりたいんですけど何かアドバイスしてくれます?」グイッ モミモミ
加賀「や、止めなさい!!お願い、止めて!!あぁん!!はぁっ、あぁ!!」 グググググ
浦風「こことかどうですか?うちも提督さんにすっかり女にされたけぇ、どこがいいのか分かるんですよ、加賀さん」ギュッ クリクリクリ
加賀「ダメッ!!そこはぁ!!っ……お願い……もう赦して……!!あっ!!ああああっ!!」 ビクン
提督(なんとか逃げようとする加賀を押さえつける黒潮と浦風。そして加賀の胸を責める。俺が調教したように胸を揉みしだき、その先端の突起を弄る)
提督(同じ女としてどのように責められたら耐えられないのか身をもってよく知っているのだろう。加賀が哀れに赦しを懇願した)
提督「駄目だ。我慢するな、加賀。イけ。快楽に身を任せろ」ジュプジュプジュプ
加賀「いやっ!!止めて提督!!てっ、あぁああああああああああっ!!」ビクンビクンビクン
「「……!!」」ゾクゾクゾク
提督(俺が止めと言わんばかりに指でGスポットを強襲する。ついに加賀が淫らに体を張って嬌声をあげた。絶頂してしまったのがまるわかりだ)
提督(その様を駆逐艦娘二人が息を呑んで見守っていた。本来、自分が守るべき空母を自らの手で快楽の海に沈めてしまったのだ)
提督(二人の顔にはサディスティックな笑みが浮かんでいた。ああ、そうだろうな。大型艦を撃沈するのは駆逐艦娘にとって最上の譽だ)
提督(もう加賀は二人にとって守るべき護衛対象ではなく極上の獲物となっていた。なんせあの一航戦の加賀だ。これほどのモノはなかなか食えないだろう)
加賀「はぁ……はぁ……はぁ……」ハイライトオフ
提督(加賀はぐったりとしていた。その表情には快楽と絶望が混じり合っており、目には光が無い。まるでレイプされたあとのようだ)
提督「黒潮、浦風。加賀に目隠しを。そしてもっとマッサージをしてやれ」
黒潮「了解や、司令はん。失礼しますね、加賀さん」
浦風「まかしとき♪もっとよくしちゃるけぇ、堪能しちゃってぇな、加賀さん」
加賀「い、嫌……!!」
~
加賀「もう赦して!!赦してぇ!!あぁ~~~~~~~~~~~~っ!!」ビクンビクン
黒潮「あっは……!!」ニタァ
浦風「ええ顔じゃねぇ、加賀さん♪」 ニタァ
提督(再び絶頂を迎えた加賀。開いた口からは涎が垂れていた。一方、駆逐艦娘の本能が存分に満たされている二人は獰猛な笑みを浮かべている)
提督(黒潮と浦風に責められる加賀というのも素晴らしい光景だったが、加賀の心が完全に折れてしまう前にやらなくてはならないことがある)
提督「黒潮」
黒潮「ん、了解や。ほな、また後でな、加賀さん」
加賀「……」
提督(俺の呼びかけに黒潮が応える。そしてサウナを出ていった。俺は加賀に歩み寄る。その気配を感じ取ったのだろう。加賀が反応した)
加賀「提督……なぜ……なぜこんなことをするのですか……?」
提督「それは君のためだ、加賀。浦風」
浦風「まかせんさい♪」スッ モミモミ クチュクチュ
加賀「あっ……だめ……提督……もう赦してください……!!」
提督(俺の一声で浦風が再び加賀を責め始める。背中から胸と秘所に手を伸ばし、容赦なく揉みしだき、弄ぶ)
提督(加賀が弱々しくそう呟く。しかし加賀の想いとは裏腹に体は素直に反応してしまっていた。暫し、美少女が美人を責める様を楽しむ)
ガチャリ
提督「!!」
提督(そしてついにこの時が来た。黒潮が戻ってきた。無言でサウナ扉を開ける。悪戯っぽい笑みを浮かべていた)
黒潮「か、加賀……?」
提督(そして赤城の声真似をしながらまるで目の前の光景が理解できないというように震えた声で加賀を呼ぶ)
加賀「っ……!!」ピクッ
提督(本来なら、加賀なら聞き分けたのかもしれない。しかし容赦ない辱めを受けていた加賀にそんな余裕はないだろう。一連の凌辱で反応が鈍くなっていた加賀が、明確に反応した)
↓×1~3 赤城に自分が無様に辱めを受けているところを見られたと思った加賀の反応
加賀「ぁ……赤城さん……!?」サァッ
提督(加賀の顔から血の気が引く。かすれた声で赤城の名前を呼ぶ加賀。よし、加賀は完全に黒潮を赤城と信じ込んでいる)
黒潮「何をしているの、加賀……!?」
加賀「あぁ……こ、これは……そんな……っ……」フルフルフル ガクン
「「「!?」」」
提督(力なく首を振りながらうわごとのようにそう呟く加賀。いきなりがくりと首を垂れる。まるで糸が切れた操り人形のように)
加賀「……ふふふ。見てください、赤城さん……私……もうすっかり提督に女にされてしまいました……女の悦びを徹底的に教えられて、虜になってしまったの……」
提督(そして笑った。顔をあげた加賀は黒潮の方へ顔を向ける。そして変に高揚した声音でそう告白した)
加賀「キスを交わして……胸を揉まれて……お尻を撫でられて……そして、ここに提督を受け入れて……提督の立派なのに一番奥を責められる悦び、知ってしまったんです……」
加賀「もう二度と忘れられません……あの幸せ……ああ、私はこの人のモノになるために生きていたんだと悟りました……」
加賀「それまで嫌いだった男性の欲情ばかり煽ってしまうこの体も、今は好きです……だって、提督が悦んでくれるから……」
加賀「この胸で挟んであげるんです……提督のがとても愛おしくて、尊くて……気持ちよくしてあげたくなるの……」
加賀「腰が浮いてきて、提督が切なそうにするのが可愛いんですよ……?とっても熱くて濃いのをたくさん出してくれるんです……」
加賀「他にも手や口を使ったり……男の人の悦ばせ方も調教されました……今ではもう提督のことを想うだけで体の奥が疼いてしまって……」
加賀「赤城さん……私……提督を愛しているんです……提督の為なら、私は何でもできる……」
加賀「失望しましたか……?でも、ごめんなさい……これが私なの……一航戦の加賀である前に、私は提督の女なの……!!」ゾクゾクゾク
提督(蒼白だった顔にはもう血の気が戻ってきていた。それどころか頬を赤くしている。加賀の告白に俺はたまらなくなった)
提督「加賀……!!お前の思いは確かに聞いたぞ……!!それに応えてやる!!」バッ スッ ピトッ
加賀「あ……提督……///来てください……!!お願い、赤城さん……私を見ていて……私が、愛されるところ……!!」
提督「っ……加賀……!!」ズププププ ドチュン
加賀「あぁ!!は、入ってきてる!!提督のが……大きいのが私の中に……あぁ!!深い……一番奥まで届いてるのぉ!!」
提督「動くぞ……!!」パンパンパン
加賀「あぁん!!突かれてる!!一番奥!!赤城さん!!見て!!私!!今!!提督に!!愛されてるわ!!」ズチュンズチュンズチュン
加賀「はぁっ!!提督!!愛してます!!ふぁ!!気持ちいいの!!赤城さん見て!!私、提督に!!っぁ!!おかしくなる!!提督!!もっと突いてください!!」
提督「この欲しがりめ!!たっぷりくれてやるから安心しろ!!」
加賀「あぁああ!!赤城さん!!これ凄いの!!見て!!提督の!!こんなのダメ!!おかしくなっちゃう!!見て赤城さん!!」
提督「加賀!!お前は俺のモノだ!!一生離さない!!」
加賀「はい!!そう!!そうです!!私は提督専用です!!お慕いしてます!!だからお願い!!ずっと愛して!!」
提督(容赦なく腰を振る俺に、足を組み付かせて自らも腰を振る加賀。いつもの加賀からは想像できないような淫らな絶叫)
提督(生々しい実況中継だった。浦風が息を呑んで乱れる加賀と俺の結合部を見つめている。ぺたりという足音は黒潮が後退ったのか)
提督(二人とも目の前で繰り広げられる淫らな狂宴に圧倒されているようだ。そうか。なんだかんだで二人とも初めての複数人プレイか)
提督(そんな黒潮と浦風に見せつけるなんて興奮してしまうではないか……!!俺はさらに激しく腰を振って加賀の秘所を突く)
加賀「おく!!おくが!!みて!!すごい!!いちばんおくっ!!つぶされちゃう!!つかれるたびっ!!でんきみたいっ!!しんじゃうぅ!!あかぎさん!!」ビクビクビク
提督(加賀の手が俺の体に回された。俺もそろそろ限界だった。本能のままに種付けプレスの体勢になって加賀を上から突き下ろす)
提督「加賀!!出すぞ!!お前の中に全部!!受け取れ!!っぁ……!!」バチュン ビュルルルルルル
加賀「あぁああああああああああああ!!お、おく……あかぎさん……わたしのなか……あついのが……そそがれてる……!!」ビクンビクンビクン
提督(俺が腰を押し付け加賀の一番奥、子宮口に直接注ぎ込むように果てる。ビクビクと痙攣していた加賀の足がぴんと張った)
提督(蕩けきってだらしなく開かれた口からは唾液が垂れている。目隠しの為に目が見えないがおそらく下品なアへ顔を晒しているのだろう)
提督「っ……」ズルリ
加賀「あへぇ……」ヌポッ ブプッ
浦風「……」
黒潮「……ごくっ」
提督(ぐったりと脱力した加賀。俺がモノを引き抜くとぴくんと反応する。その秘所からは白濁液が噴き出た)
提督(浦風が俺の加賀の愛液にまみれてテカっているモノを無言でじっと見つめている。後ろで黒潮が息を呑んだ)
提督「ふぅ……ほら、加賀。笑うんだ。ピースしろ、両手でな。赤城に見てもらえ。ちゃんと報告するんだ」
加賀「ぅ……」
提督(俺の言葉に加賀がふらふらと両手をあげて顔の隣でピースする。そしてだらしないアへ顔のまま報告を始める)
加賀「あ……あかぎさん……わたし……ていとくのおんなになりました……ていとくにだかれて……しってしまったの……ほんとうのしあわせを……」
加賀「もう……もどれない……ていとくなしじゃいきていけないわ……あかぎさん……わたし……かえられちゃったの……」
加賀「みだらなことなんて……きらいだったのに……だいすきになってしまったの……ていとくのりっぱなのにいっぱいつかれて……かえられてしまったの……」
加賀「ごめんなさい……いっこうせんのかがなのに……こんなにいんらんで……ごめんなさい……」
加賀「おちんぽだいすきでごめんなさい……せっくすだいすきでごめんなさい……あかぎさん……ごめんなさい……」
提督(加賀の口からその単語が出るとは……いつもは恥ずかしがって頑なに口にしないのに。それだけ今の加賀はタガが外れているという訳か)
提督(俺はあまり下品すぎるのは好きではない。戯れに言わせてみたりもするが、基本的に言葉責めや淫らなセリフにも優雅さや上品さを求めてしまう性質なのだ)
提督(だが、股を開き白濁液を垂れ流す秘所やアへ顔ダブルピースを晒し、蕩けきった声音でそう言う加賀を見て俺のモノはさらに怒張したように感じる)
提督(どう気取って取り繕おうと結局は俺も女に下品なことを言わせたりさせたりすることも好きということか)
提督「大丈夫だ、加賀。それでいい。それでいいんだ」
加賀「えっ……?」
提督(俺は赤城に向かって快楽堕ちしたことを譫言のように謝る加賀にそう声をかける。加賀がぴくりと反応した)
提督「どんな君でも恥じることは無いさ。君は君だ」
加賀「っ……!!で、でも……わたし……こんなぶざまで……それに……それに……あんなしっぱいまで……」
加賀「そのせいでていとくに……たいへんなめいわくを……そんなわたしに……なんのかちもない……」
提督(……何というか、赤城を前にしてのあの乱れっぷりは自暴自棄から来たのか。今の加賀は自分を取り繕う余裕はない)
提督(これが加賀の本心だろう。どうしてそんな風に考えてしまうんだ……俺は加賀を抱きしめると耳元で囁く)
提督「加賀、君は俺が君が優秀だから愛していると思っているのか?それは違うぞ。俺は君が君だから愛しているんだ」
加賀「!!」
提督「俺は君を尊敬しているんだ。その生き様、そして物事の考え方に。それが君に興味を持ったきっかけだ」
提督「そして君が完璧であろうとひたむきに努力しているところに惹かれた。感情豊かなのに不器用なところもとても可愛い。他にもいろいろあるぞ」
提督「クールで大人っぽいのに駆逐艦娘たちみたいにアイスが大好きだったり、幸せそうにご飯をたくさん食べていたり。挙げきれないぐらいだ!!」
提督「だから俺は君が好きになったんだ。そして愛しているんだ。決して君が栄えある一航戦の加賀だからではない」
加賀「ていとく……!!」
提督「完璧じゃなくてもいい。失敗なんて気にするな。失敗しない奴なんていない。大事なのはそれを恐れないこと」
提督「そしてもし失敗してもまた立ち上がることだ。それに、何があっても俺がついてる。だかr」
加賀「んっ……ちゅっ……」ダキッ ギュッ
提督「っ!!」
提督(加賀が俺を強く抱きしめ、キスしてくる。ただ唇を強く押し付けるだけの簡単なものだ。だからこそ純粋だ)
提督(そこには情欲は何もなかった。ただただ加賀の俺への思いが込められている。暫くして、加賀がゆっくりと口を離す)
加賀「愛しています、提督」
提督「俺もだ。愛している、加賀」
提督(再び唇を交わす。今度は濃厚なやつだ。あふれ出てきた情動を抑えきれないというように舌が入れられ、絡ませられる)
加賀「はっ……お願い……来て……」
提督「ああ、もちろん」
提督(熱っぽい加賀の声。今まで以上の愛と信頼を感じた。俺は準備万端になっているそれを加賀の秘所へとあてがい、挿入した)
~
提督「ふぅ……」
加賀「……」グッタリ
提督(俺はモノを引き抜く。加賀はぐったりと脱力しきっていた。つい求められるがままに激しくしすぎたようだ)
提督「黒潮、加賀を頼む。外で涼ませてあげてくれ」
黒潮「わ、分かったわ。まかせとき」
提督(それをずっと見せつけられていた黒潮は、助かったという安心感と自分じゃないのかという失望が入り混じった複雑な表情を浮かべながら加賀に肩を貸してサウナを出ていく)
提督「……浦風。綺麗にしてくれ」スッ
提督(そして残った浦風に声をかける。浦風はびくりとすると恨めしそうに俺を上目遣いで睨んでくる)
浦風「加賀さんのでべたべたなのをウチに綺麗にさせよるなんて……げに酷い人じゃね……鬼畜じゃ……」
提督「ほぅ……」
提督(俺は浦風に歩み寄る。浦風はそっぽを向いてしまう。俺はそんな浦風を抱きしめた。モノが浦風の腹部に当たる)
浦風「っ……!!」ゾクゾク ジュン
提督「頼むよ浦風」
浦風「い、嫌じゃ!!」
提督(俺に抱かれたまま逃げるようにゆっくり後ずさる浦風。しかしここは広めとはいえサウナだ。すぐに壁が浦風を阻む)
提督「そう言わずに。君にしてもらいたいんだ」スッ クチッ
浦風「あっ、だ、ダメじゃって……!!んふっ!!そこはいろうたらいけんよ……!!提督……!!」ビクビク
提督(手を伸ばして浦風のそこを撫でる。浦風が色っぽく喘ぎながら拒否してきた。だが口だけで体はされるがままだ)
提督「ふむ、君の下着はすでにびしょびしょだな」
浦風「そ、それは……あぁ!!っ……汗じゃ……やぁ……!!」
提督「本当か?どれ、確かめてみよう」ズイッ
浦風「ち、ちょっと!!提督!!止めんさい!!」カァッ グイッ
提督(俺はその場でしゃがむ。そうすると浦風のショーツが目の前に来た。浦風が顔を真っ赤にして俺の頭を押しのけようとする)
提督(しかし力が全然入っていない。俺はそのまま浦風のそこに顔を埋めた。汗と発情した女の匂いが鼻腔を満たす)
提督「……」クンクン
浦風「やめぇ言うとるじゃろあんた……!!匂い嗅いだらいけん……!!」
提督「いい匂いだ……だが汗の匂いだけじゃないな……浦風、正直に言いなさい」
浦風「っ!!知らん!!あんたの勘違いじゃ!!ええからやめんさい!!」
提督「ふむ。確かにそうだな。ではもっとちゃんと確認してみるか」ズルッ
浦風「やぁああああ!!何しよっとんじゃわれぇ!!」
提督(顔を離して浦風のかわいらしいショーツに手をかけるとそのままズリ下ろす。糸をひいていた)
提督(浦風の淡い陰毛に彩られた秘所が露になる。綺麗だ。桜色のそこはまるで処女のように見える。浦風が悲鳴をあげて足を閉じようとした)
提督「おや?おかしいな。糸をひいているぞ」
浦風「っ!!ぶちまわしたる!!提督のことぶちまわしたるけぇ覚悟せぇや!!」キッ
提督「どれ、味はどうかな?」
浦風「なっ!?あっ、ダメじゃ提督!!っぁ!!ふぁああああっ!!あんっ!!そんなはげしぃっ!?」
提督(俺の指摘に歯を食いしばって睨みつけてきていた浦風は、しかし構わず俺はその秘所に口付けし、口淫を始める俺に体を震わせて嬌声をあげた)
浦風「提督……そこは汚いけぇやめんさいよ……あぁ!!や、いけんて……っ……ふぅ……!!」
提督(ワレメに舌を這わせる。突起を舌先で弄ぶたびに秘所から蜜が溢れ、浦風が喘ぎを漏らして体を震わせた)
提督「……」ハム
浦風「ひゃんっ!!あふっ……えっ……ま、まさか……提督……」
提督(充血したそこに口付けし、間を置く。束の間の休息で浦風はその後何が起こるのかを察したようだ。震えた声で俺を呼ぶ)
提督「……」ジュルルルル
浦風「あぁああああ~~~~~~~~~~~~!!吸うたらいけん!!吸うたらいけんて!!」
提督(音を立ててそこを吸う。浦風が嬌声をあげた。膝ががくがくと震え、そのまま座り込んでしまう)
提督(だが俺は口淫を止めない。そのままイかせる為にむしろ激しくしていく。浦風は太腿で俺の頭を強く挟んできた)
提督(逃げようと腰をもぞもぞと捩っている。だが逃げ場はない。浦風はもう絶頂寸前だ。俺は浦風のそこを痛くないよう気を付けながら甘噛みした)
提督「……」カリッ
浦風「っぁああああああああああ!!やぁああああああ!!ああああああああああ!!」ビクンビクン
提督(その瞬間、浦風が達する。腰を浮かせた。そのせいで俺の口に浦風のそこが押し付けられるようになる)
提督(びくびくと痙攣していた。俺はそこから口を離す。M字に開脚した浦風は蕩けた顔をして虚空を見つめていた)
浦風「はぁ……はぁ……はぁ……」
提督(半開きの口からは唾液が垂れている。荒い息をしていた。誘うように上下している胸。俺は立ち上がるとモノを浦風の前に差し出す)
提督「浦風、綺麗にしてくれ」
浦風「……。っ!!」スッ フイッ
提督(俺の頼みに浦風は口を開きながらモノに顔を近づけ、咥えようとした。だが、その寸前で浦風が止まった)
提督(どうやら快楽に蕩けきっていた思考が戻ったらしい。浦風はそっぽを向くことで再び拒否する。俺は構わずモノをそっぽを向いた浦風の柔らかい頬に触れさせた)
提督「浦風。頼むよ」ヌリヌリ
浦風「……」ギロリ
提督(そして頬に先端をこすりつける。浦風の頬が濡れてテカった。だが浦風は頑なに口を閉じてそっぽを向いている。横目で睨まれた)
浦風「……提督。あんたはうちのどこが好きなん?」
提督(そしてぶっきらぼうにそう聞いてくる。なるほど。先程の加賀への囁きを聞いていたんだな)
提督(そこに込められていたのは嫉妬だ。加賀への愛の言葉を聞いて浦風は嫉妬していた。俺は再び屈むと浦風の目を真っすぐ見つめる)
提督「君といると安心するんだ。いつも言ってくれるだろ?心配いらない。うちがついてるから大丈夫じゃって」
提督「こんな事、君たちに話さない方がいいのだが……俺だって不安になったり怖いと思うことはある」
提督「そんな時、どれだけ君に救われたか。君ほど一緒に居てくれると心強く安心できる子はそうそういない」
浦風「……」
提督「それに、何というか……君には包容力を感じる。まるで年下には思えないときがあるんだ。こう……つい甘えたくなる」
提督「なのに、かと思えば年相応な可愛いところがあったりして……惹きこまれる。思いっきり抱きしめてあげたくなるんだ。あと」
浦風「も、もうええよ!!聞いとると恥ずかしいわ……」カァッ
提督「そ、そうか……」
提督(顔を赤くして俺の言葉を遮る浦風。そう言われるとこちらの方も恥ずかしくなってしまう)
浦風「ほら、立ちんさい。口でして欲しいんじゃろ?」ジッ
提督「っ!!ああ……!!」スクッ
提督(浦風がじっと俺を見つめながらそう言う。それだけで俺のモノがさらにいきり立った。立ち上がる)
浦風「しかたない人じゃけぇ、今回はしちゃるわ。んっ……あむ……」ポッ
提督「っ……!!」ビクッ
提督(浦風が俺のモノを見て頬を染めながらも仕方ないというような表情を浮かべる。そして俺のモノを咥え、フェラを始めた)
~
加賀「……」
提督「……」ガチャッ
黒潮「あ、司令はん。っ……!!」
浦風「はぁ……はぁ……ぅん……はぁ……はぁ……」ピクピク ドロリ
提督「とりあえず浦風は休ませておこう。加賀……は寝てしまったか。いろいろ疲れていただろうからな。……待たせたな、黒潮」ギンギン
黒潮「っ……///」カァッ コクコク
~
黒潮「……///」ドキドキ
提督「……」ナデナデ
提督(俺は黒潮の体を洗っていた。ボディーソープを泡立たせ、手で体を撫でるように擦る。黒潮が恥ずかしそうにしていた)
提督「こんなか弱い体で過酷な戦闘をこなしているとは信じがたいな……」
黒潮「ま、まあ艦娘やからね……」
提督(黒潮の体は年齢相応だった。確かに訓練のおかげで筋肉もついている。だが、普通のスポーツ少女程度でしかない)
提督(艦娘はみんなそうだった。おそらく艦娘だからこそ肉体の強化はそこまで重要ではないのだろうな)
提督(俺は黒潮の腕から指の先までを洗い終わる。いよいよ背中だ。肩甲骨に触れると黒潮の体がピクリと反応した)
黒潮「っ……」ピクッ
提督(肩から首元のところまでを手で撫でていく。スポンジを使っていないために泡立ちはよくない)
提督(だからこそ素肌がよく見える。俺は黒潮の背中に手を這わせながら腰のあたりまで下ろす。スレンダーな体を堪能した)
提督(いつも元気な黒潮らしくなく借りてきた猫のように大人しかった。これはこれで悪くないな。よし、これで背中も完了だ)
黒潮「んっ……」モジッ
提督(俺は黒潮のわき腹に手をまわし、そこを優しく撫でる。だがやはりくすぐったいのか黒潮が体を少し捩った)
提督「くすぐったいか?」
黒潮「うん……ま、前もやるん……?」
提督「ああ、もちろん」
提督(俺はお腹の方へ手をまわす。黒潮が息を吐いた。こうしてみるとやはり少女だ。これほど細いとは)
提督(我ながら驚かされる。この体でよくもまあ大人のモノを受け入れることができるなと。俺は黒潮の下腹部をねっとりと撫でまわした)
黒潮「あぁ……し、司令……」キュンキュン
提督(黒潮が色っぽい声を出す。この下にあるのだ。子宮が。そしてこの辺りには膣がある。まだ子供だというのにその体はしっかりと女だ)
提督(名残惜しいが俺は手をそこから転進させる。そのままお腹を撫で上げ、その双丘へと向かった)
提督「君はなんだかんだで大きいよな。手で揉むのにちょうどいい大きさだ」モミモミ
黒潮「ふぁ……ちょ、司令はん……体洗うんじゃなかったん……?」
提督「ああ。だからこうして洗ってるじゃないか」
提督(黒潮の胸を揉みしだく。うん、本当にちょうどいい大きさだ。俺はその柔らかさとハリを楽しみつつその先端を摘まんだ)
黒潮「あぁん!!」ビクッ
提督「だというのに君は全く……こんなに硬くしてしまって……そういうことしか考えられないのか?」
黒潮「っ……!!司令はんだっておっきくなっとるやん……!!」
提督「ほぅ……上官に口答えか。なら罰を与えなくてはな」クリクリクリ
黒潮「ふあぁああっ!!や、あかんて司令!!堪忍して!!」ビクン
提督(俺は先端のそこを指でつまみ、弄り、激しく責め立てる。黒潮が体を丸めて逃げようとした)
提督(だが逃がしはしない。ビクビクと震える黒潮の体と手に押し付けられる胸の柔らかさを楽しみつつ俺はそこを指で扱いた)
黒潮「あぁ!!ふぅ……あぁん!!司令はん!!司令!!そこはそない乱暴にせんといてぇな!!変になってまう!!」
提督「全くけしからんな、黒潮。その年齢でもう既に色を知ったか。こんなにいやらしく乱れるとは」
黒潮「それを教えたんは司令はんやろっぅぁああ!!はぁん!!」
提督(しばらく快楽に悶える黒潮を楽しむ。ようやく俺がそこから手を離したころには黒潮は荒い息を吐きながら脱力していた)
提督「さて、続きだ」グイッ
黒潮「ぅ……」ヘタリ
提督(黒潮の体を抱えて状態を起こさせる。脱力した黒潮はそのまま俺の体にもたれかかってきた)
提督(俺は黒潮の鎖骨や首、脇の下を洗いつつ少し休憩させる。そしてそこへと手を伸ばした)
黒潮「ぁ……司令……」ピクン
提督(黒潮の鼠径部を指でなぞる。黒潮が切なそうに俺を呼んだ。俺はそのまま足の付け根を洗いつつ腰の外側へと手を這わせた)
提督(あえてそこを後回しにする。自然と黒潮の股が開き気味になっていた。頃合いだ。俺は黒潮の恥丘に触れる)
黒潮「んっ……」ドキドキ
提督(黒潮が息を漏らす。そのまま手で撫でまわした。そして愛液滴り、硬く自己主張するそれがあるそこへ手を這わせる)
提督「……」クチュクチュクチュ
黒潮「あんっ……やっ……はぁっ……あぁん……!!」
提督「おや……?」
黒潮「……?」
提督「何だこれは?」スッ ネトォ
黒潮「っ!!」カァッ
提督(黒潮の目の前で愛液に濡れた指を見せつける。指を閉じて開いて見せるとねっとりとしたそれが糸をひいた。黒潮が顔を真っ赤に染める)
提督「ここから溢れてくるぞ。ちゃんと綺麗にしなくてはな」クチュクチュクチュ
黒潮「あぁああああっ!!ちょ、司令!!待って!!そない激しくせんといて!!やぁっ!!はぁああああん!!」ビクッ ビクッ ビクッ
提督(泡を中に入れるのは良くないからな。ひたすらクリを責め続ける。快楽を得るためだけにあるらしいそこは俺のテクを余すことなく黒潮へ伝えてくれたようだ)
提督(黒潮が体をピンと張って悶える。俺は黒潮が椅子から落ちないようにがっちりと拘束しつつ手マンを続けた)
黒潮「あかん!!いってまう!!いってまういうとるやろしれい!!っぁああああああああああ!!」ビクンビクンビクン
提督(もはや拷問に近かった。絶頂を迎える黒潮、秘所からは愛液が垂れ流しになっている。だが俺は手を止めない)
提督「次から次へと溢れてきて……これは大変そうだな……!!」ゾクゾクゾク ネチョネチョネチョ
黒潮「やめてぇええええええええ!!まって!!いったばっかはあかん!!あかんて!!しぬ!!しぬぅううううううっ!!」ジタバタ
提督(黒潮が暴れ、絶叫が響く。腕の中で黒潮が何度も絶頂を迎えて痙攣するのが俺の嗜虐心を擽った)
提督(もはや黒潮は言葉を話していなかった。獣のような声をあげて悦がり狂っている。が、だんだんと抵抗が弱くなってきた。おっと、やりすぎたか)
提督「大丈夫か、黒潮?」
黒潮「ぜー……はー……あひっ……ぜー……はー……」ピクッ ピクッ
提督(黒潮は全力疾走直後のように息が切れていた。俺の言葉は聞こえていないようだ。その顔はひどい事になっていた)
提督(途中から快楽の嵐に耐えるためなのか突き出していた舌がだらしなく垂れている。口からこぼれた唾液が頬を伝っていた)
提督(目からは正気の光が喪われており、涙が流れていた。だというのに表情は快楽に蕩けきっているために下品ながらもなかなかそそる表情をしている)
提督「……!!悪いが黒潮、洗ったのだが次から次へと溢れてきて終わりがない。とりあえずここは後回しだ」ゾクッ
提督(俺は労わる様に黒潮の下半身を丁寧に洗う。柔らかなお尻に指を埋め、女らしい柔肉を纏った太腿に手を這わせながら。そしてシャワーで体を流す)
提督「さて、では次から次へと溢れてくるここには俺が栓をしてやろう」スッ
黒潮「ぅぁ……」
提督(俺は未だに意識朦朧としている黒潮を椅子の上に腹ばいにさせて四つん這いのような体勢をとらせる)
提督「っ……くぅ……」ピトッ ズププププ
黒潮「っぁ……!!」ヌププププ
提督(そしてバックから挿入した。我慢できなかったのだ。きゅんと締まるそこは俺のモノに吸い付いてきている。媚肉が情けを求めて絡みついてきた)
提督「ふっ……はっ……」パンパンパン
黒潮「あうっ!!うひっ!!あぁ……はぁん!!」ビクッ ビクッ
提督(腰を振ると黒潮がビクビクと反応しながら喘ぎ、嬌声を漏らす。だが、されるがままだった)
提督(その後、俺は黒潮を肉オナホのように使うという背徳的なプレイを楽しみ、全てが終わった後少し休んでから改めて体を流し、四人で部屋へと戻って同じ布団で寝たのだった)
~
提督(今日、俺はここを離れる。皆は急なことで壮行会が開けないからとせめてそのひが休みの子たちは俺のことを見送りたがった)
提督(だがすべて断った。もし時間があっても壮行会を断っていただろう。そんな気分ではなかったし、それよりも皆はしっかりと休むべきだった)
提督(現在、敵はアフリカからの撤退を進めている。ドイツやイタリアはアフリカの保持をあきらめ、来るべきヨーロッパでの戦いに備えようとしている)
提督(我々は可能な限りそれを阻止しなくてはならないのだ。艦隊は敵の輸送船団攻撃の為に総動員されている)
提督「では、あとは頼む」
帝国海軍士官「任せてください」
提督(引継ぎを終わらせ、挨拶を済ませた俺は一式陸攻へ乗り込むと拠点を後にした。きっともうアフリカに戻ることは無いだろう)
提督(スエズ、エジプト、そして仏領北西アフリカ。いろいろとあったが、それも全て終わりか)
提督(最後がこんな形になるとは想像していなかった。できれば最後まで見届けたかったが……しかしどうしようもない)
提督(気持ちを切り替えよう。船団護衛とはつまり補給線と資源の確保ということだ。軍事どころか国家運営にとって非常に重要なことは明白だ)
提督(最盛期ほどではないが未だにドイツの群狼作戦は脅威となっている。これにどう対処するか。専門ではないが腕の見せ所ではないか)
~
帝国海軍士官「……やれやれ。あの英雄、提督殿もやっとしくじったか。このまま戦争が終わったらどうしようかと思ったが、とうとう俺の時代が来たようだな」ニヤッ
~
ドイツ海軍元帥「Ja, 遊撃です。直掩ではなく敵艦隊に対する遊撃こそが最大の船団護衛へと繋がります」
ドイツ海軍元帥「彼我の戦力差が圧倒的な現状において直掩はもはや不可能です。なぜなら攻撃の為に敵艦隊が集結し、連携するからです」
ドイツ海軍元帥「そうなれば護衛艦隊はなすすべもありません。ただ蹴散らされるのみです。現に多くの艦娘が大破し、通常艦艇は撃沈されています」
ドイツ海軍元帥「Mein Führer(我が総統), どうか艦隊に遊撃の許可を与えてください。海軍は必ずや成果をあげて見せます」
総統閣下「いいだろう、元帥。貴方に地中海における艦隊指揮の権限を与えよう。その代わり失敗は赦されないということを肝に銘じろ」
~
テスト「Merde……どうしてドイツ艦隊がこんな所に……!?大破しました……無線もダメそうです……」ボロッ
リシュリュー「こちらは小破ね。奴ら、戦法を変えたみたい。悔しいけど有効だわ。撃退したけど、すぐ敵の航空隊が来るでしょうね」
テスト「早くここから退避しないと……っ!!そんな……機関浸水……!?くっ……リシュリュー、申し訳ありませんが曳航してください」
リシュリュー「……」ジッ
テスト「……リシュリュー?」
戦闘中にはぐれた為に今テストとリシュリューは二人きりだった。そしてテストは動けず連絡も取れない
すぐに敵の航空隊がやってくるだろう。もしこのままテストを放置したら間違いなく彼女は敵の航空隊に撃沈されて戦死することになる
リシュリューは自分の中に渦巻く黒い感情がある考えを提示してきたのを認識した
↓×1~3 リシュリューの行動
この士官って長良とくっついた奴?
リシュリュー「……」
テスト「……!!」ゾワッ
テスト(リシュリューは無言で私を見つめている。その行動の意味が理解できなかった。けれど、その可能性に思い至って背筋が凍る。まさか……!!)
テスト(リシュリューの無機質な眼差しは仲間に向けるものではなかった。今、私たちは他の仲間たちとははぐれてしまっている)
テスト(二人きりだった。もしリシュリューが私を殺そうとしたら、私に勝ち目はない……なすすべもなく殺されてしまう……!!)
テスト(直接手を下されなくても、置いていかれるだけで自力で動けない私はドイツ人から逃げられない……簡単に撃沈されてしまうのは明白だった)
リシュリュー「……テスト」
テスト「っ……リシュリュー……!!」ビクッ
テスト(リシュリューが無感情な声で私を呼ぶ。思わず肩を震わせてしまった……口の中がカラカラだった)
リシュリュー「私、覚えているわ。あの時のこと」
テスト「あ、あの時……?」
リシュリュー「私たちがあなた達のと合流した時、貴女だけは私を庇ってくれたのよね?」スッ ポイッ
テスト「!!」パシッ
テスト(リシュリューが曳航用のロープを投げてくる。反射的に受け取った。手元のロープからリシュリューへ目を戻す)
リシュリュー「だから、今回だけは助けてあげる」
テスト「……!!」ゾワリ
テスト(そう言うとリシュリューは曳航を始めた。けれど、私はお礼を言えなかった。生きた心地がしない)
テスト(確信した。リシュリューは今、私を殺そうかどうか迷っていた!!今回だけは。その言葉が冷たいナイフのように心に突き刺さっている)
テスト(もしあの時リシュリューを庇っていなかったら……!!次同じようなことがあったら……!!私の中でリシュリューに対する信頼が跡形もなく崩れ去る)
リシュリュー「……」
テスト「……」
テスト(その後、私たちは無事に帰還することができた。でも、撤退中に一言も言葉を交わさなかった)
~
皐月「んっ……ふぅ……あぁ……」クニクニ
提督『皐月、愛しているよ。大好きだ』ダキッ
皐月『司令官!!ボクもだよ!!ボクも大好き!!』ギュッ
提督『皐月……!!もうだめだ。我慢できない。君が欲しい』グイッ
皐月『ぁ……司令官……ボク……いいよ……?』
皐月「あっ……はぁ……んぅ……!!」クチュクチュ
提督『皐月……どうだ……気持ちいいか……?』パンパンパン
皐月『気持ちいい!!気持ちいいよ司令官!!』キュンキュン
提督『俺も……君の中……最高だ……!!』パンパンパン
皐月『ほ、本当!?ボク、嬉しいよ司令官!!来て!!』ギュッ
提督『皐月……!!出るぞ……うっ……!!』ビュルルル
皐月『あぁああああっ!!し、司令官の……ボクの中で……!!』ビクンビクン
皐月「っふぅううううううっ!!っ……はぁ……はぁ……ぅ……しれいかん……あいたいよ……」ビクンビクン スッ ネトォ
~
皐月「えっ!?司令官がこの艦隊に来るの!?」
↓×1~3 司令官が着任すると聞いた皐月の反応
※>>27 別人です
~
如月「……」クニクニ
提督『如月、愛しているよ。大好きだ』
如月『司令官……!!私も……私も貴方のことを愛しているわ~……!!』
提督『嬉しいよ、如月……!!君が欲しい……』ダキッ
如月『あん……如月はいつでも大丈夫ですわ……♪』ギュッ
如月「っ……。……」クニクニ
提督『愛しているよ、大好きだ』
『私も愛しているわ。さあ、二人で情熱的な夜を過ごしましょう?』ダキッ
提督『ああ……!!』ギュッ グイッ
『んっ……焦らないで。優しく、ね?』ニコッ
提督『す、すまない……』
『ふふっ……脱がしてくださる?』
提督『勿論だ……!!』
如月『司令官……!!』コソッ ガーン
如月「っ~~~!!」ゾクゾクゾク ジュン
提督『あぁ……凄い……最高だ……!!』パンパンパン
『あんっ!!貴方も……最高よ……!!』
提督『駆逐艦娘みたいな子供はやっぱりダメだ!!君のような大人の女性が一番だ!!』
如月『……!!』コソッ
如月「あっ……しれいかん……そんな……!!」クチュクチュクチュ
『あはっ……私、もうそろそろ……お願い……中に頂戴……!!』
提督『言われなくても……!!あ、イく……イくぞ……あぁ!!』ビュルルルル
『っはぁああああああっ!!な、中に……たくさん……っ……勿論……責任取ってくださるのよね……?』
提督『っ……ああ、結婚しよう。っ』チュッ
『嬉しい……お慕いしておりますわ///んっ……ちゅぅ……』
如月『あぁ……司令官がぁ……私が止めていればぁ……どうして動かなかったの……私……!?』ガクガクガク ポロポロ
如月「あ、あぁ……!!ふぁああああ……!!あはぁ……!!んあぁ……!!はふぅ……」ビクビクビク ビクンビクン プシッ ゾクゾク
提督『結婚することになった』ニコッ
『初めまして。妻ですわ。夫のこと、よろしくお願いいたしますね』ニコッ
如月『おめでとうございます』ハイライトオフ
如月「あぁ……司令官……司令官……!!ぐすっ……」ネトォ ジワァ ポロポロ
~
如月「えっ……司令官が……この艦隊に……?」
↓×1~3 性癖が歪んでしまった如月の反応
~
提督「ふぅ……もう戻ることはないと思っていたが……」
提督(アゾレス諸島についたのは真夜中だった。少し前までここに居たのにずっと前のことのように感じる)
提督「変わらないな……まあ、当たり前か……っ!?あれは……!!」
提督(俺は巡洋艦の上から港に立つ人影に気が付く。照明を背にしており、逆光のためにすらりとしたスタイルの良いシルエットしか見えない)
提督(だが特徴的な帽子、緩いウェーブのツインテール、そして広報の際に民間への威圧感を和らげるためという理由で袖にフリルのついた制服。誰かは明白だった)
鹿島「提督」
提督(巡洋艦から港へ降りた俺を迎えたのは鹿島だった。嬉しそうな笑顔を浮かべてこちらへ歩いてくる)
提督「鹿島!!待っていたのか!?こんな遅くまで……」
鹿島「到着予定時刻は聞いていましたから。それに、明日は非番なんです」
提督「そうなのか。ありがとう、嬉しいよ。久しぶり……と言うほどでもないか」
提督(俺の言葉に鹿島は不満げに頬を膨らませ、目を細めた。無言のジト目で俺を見つめた後、口を開く)
鹿島「むぅ……久しぶりですよ、提督。また提督に会える日を一日千秋の思いで待っていたんですからね」
提督「そうだな、悪かったよ。俺も君に会えなくて寂しかった」
鹿島「本当ですか?どうせアフリカでも他の子とよろしくしていたんですよね?」
提督(疑いの目を向けてくる鹿島。受け入れてくれはしたが、やはり鹿島にとってそれは受け入れがたいことなのだろう。嫉妬と悲しみが込められている)
提督「否定はしない。だが、それでも君とは会いたくても会えなかった。恋しかったよ」
鹿島「本当にそう思っていたんですか?会うまで私の事なんて忘れていたり……」
提督「これでも信じられないか?ずっと我慢していたんだ。加減できないぞ」ダキッ ギュッ
提督(周りの目もある。したくても遠慮していたのだが、信じてもらうためにはこうするしかないだろう。俺は鹿島を強く抱きしめる)
鹿島「あっ……んっ……提督……」ドキッ ギュッ
提督(俺の行動に驚いた鹿島はしかし、自分も俺の体に手を回すと強く抱き返してくる。頭を肩に乗せられた。甘い香り。これだ。鹿島の匂いだ)
鹿島「よろしい。信じてあげます。……っ!!さ、さあ、拠点へ戻りましょう、提督!!」カァツ
提督(周りの視線に気が付いた鹿島が顔を真っ赤にして離れる。そしてそう言うと俺の手をひいて拠点へと向かい始めた)
提督「ああ、そうだな」
提督(拠点への道を歩く。この辺りまで来ると夜の為に人は誰もいない。煌々とした照明に照らされている軍港から少し離れるだけで辺りは真っ暗だ。月が綺麗だった)
提督「月が綺麗だな、鹿島」
鹿島「そうですね。今日は満月……っ!!」ハッ チラッ
提督(普通に返した鹿島はしかし、気が付くと俺の方を窺う。そして俺が見ているのは月ではないことに気が付く)
鹿島「……!!わ、私も……今日の月は特別に綺麗だと思います……」カァッ モジモジ
提督(そして前を向くと俯きながらもじもじとそう消えそうな声で呟いた。暫し、静寂が続く)
鹿島「提督さん……夜は食べましたか?」
提督「ああ、軽くな。……もしかして何か作ってくれているのか?」
鹿島「まあ、そうですよね……実は、おにぎりを作ってあるんです。夜遅いですし、お腹すいてるかなって思って。おにぎりならお夜食にもちょうどいいですから」
提督「さすが鹿島だな。ありがとう。ぜひ頂くよ。実はお腹ペコペコなんだ」
鹿島「そうですか!もしよければ、軽く他にも何か作りましょうか?」
提督「いいのか?」
鹿島「はい、もちろんです♪」
~
提督「っ……朝か……」
鹿島「んっ……」モゾモゾ
提督(朝、少し早く目が覚める。俺はお湯を沸かすとコーヒーを淹れた。ちょうどその時、鹿島が起きてきた)
鹿島「おはようございます、提督。いい匂いですね」
提督「まあな。ほら、君のだ」
鹿島「ありがとうございます。……おいし」
提督「……君の奴の方がいいな。あの絶妙な甘さはうまく真似できない」
鹿島「そうですか?ふふ、言ってくれればいつでも淹れてあげますよ」
提督(裸ワイシャツでコーヒーを飲む鹿島に俺のモノが反応してしまう。裾からその奥がチラリと見えてしまった)
提督「……」ギンギン
鹿島「っ!!そういえば提督さん」
提督「っ!?な、なんだ?」
鹿島「ずっと聞こう聞こうと思っていて聞けていなかったんですけど……皐月ちゃんとはどうなっているんですか?」
提督(予想外の鹿島の質問。そう言えば鹿島は皐月とのことを知っているのだったか。隠す必要はない。俺は正直に答える)
提督「あれは第一次スエズ占領作戦の成功祝賀会が終わった後だった。皐月が酔い潰れてしまってな」
提督(包み隠さずあの時の事を話す。あの頃が懐かしい。早く戦争なんて終わらせなくてはと思いそのための努力をしていたが、結局まだ続いている……)
鹿島「そうだったんですか……じゃあ、如月ちゃんとは何かありましたか?どうやらだいぶ提督さんのことで思い悩んでいるみたいなんですけど……」
提督「ああ、如月か……」
提督(あの時、目を潤ませて今にも泣きそうな顔をして去っていった如月が思い出される。心が痛んだ)
提督「前日、ウォースパイトに歯形をつけられたんだが、それを見られてしまってな……」
鹿島「……ん?えっ……は、歯形……?」
提督(あの時の事を話す。来るものは拒まないが、だからといってこちらから引き込んだりはしない)
提督(だから俺は如月と関係を持つことはしなかった。彼女がそれを望んでいたことは知っていても、選ばなかったのだから)
鹿島「……そういう風にすることもあるんですね」
提督「口先だけで実はとでも思っていたか?」
鹿島「そうじゃないって完璧に信じたかったけれど……少し疑っていました……ごめんなさい、提督さん……」
提督「いや、気にしないでくれ。当然のことだ。それより、どうしてこのことを聞いてきたんだ?」
鹿島「っ!ああ、それはあの二人の様子がずっとおかしかったからです。実はあの二人のことはハワイ決戦後の駆逐艦娘と私たち香取型だけの宴会の時から気にかけていて」
鹿島「皐月ちゃんも如月ちゃんも本当に辛そうです。提督、あの二人をケアしてあげてくれませんか?」
鹿島「もちろん、そういう関係になって欲しいという訳ではありません。というかそれはなるべく避けてほしいです……」
鹿島「でも、これ以上あの二人を放っておくのは可哀想です。だから、お願いします。きっと提督にしかできません。私や香取姉には無理でしたから……」
↓×1~3 提督の行動
提督(さすが鹿島だな。駆逐艦娘たちのことをよく見ている。そうだな……二人に会って直接話をしてみるか)
提督「分かった。任せてくれ」
鹿島「ありがとうございます、提督。よろしくお願いしますね」
~
提督(鹿島の部屋でシャワーを浴び、朝食を済ませてから一度自分の部屋へ戻って身支度を整える。そして拠点へ向かった)
香取「気を付け!!敬礼!!」ザッ ビシッ
「「「「!!」」」」ザッ ビシッ
提督(整列し、敬礼で俺を迎えてくれる部下たち。といっても半分以上が出撃中で居なかった。大西洋だけとはいえ船団護衛にかかる時間は週単位だからな)
提督「おはよう、諸君。本日からこの拠点に着任することになった提督だ。よろしく頼む」ビシッ
提督(俺も敬礼を返して着任の挨拶をする。それを終え、部下たちを解散させてから前任者と会う。彼から引継ぎを受けた。船団護衛はいわば鉄道のようなものだ)
提督(前線では物資や人員を。内地では資源や食料を常に必要としている。輸送船団は何があろうともそれらを必要とされている時にその場所へ届けなくてはならない)
提督(そのために綿密に計算された計画に従って膨大な数の輸送船団が航行している。我々は限られた艦娘や艦艇で船団の安全を確保しなくてはならないのだ)
提督(さもなくば前線では物資や兵力が不足し戦えなくなり、本土では国家を支える国民たちが餓え、経済が停滞する)
提督(そうなればもう戦えない。待っているのは敗戦だ。こうして船団護衛の担当になってみるとよく分かる)
提督(いかにそれが難しいのか。そして海運が必須な相手に対する通商破壊がいかに有効かということに。我が国はイギリスと違い本土が脅かされてはいない)
提督(だが前線の部隊には補給物資や増援が必要だった。それに加えイギリスへの支援物資も送らなくてはならない)
提督(また、大西洋には多くのイギリスやアメリカなどの連合国の輸送船団が航行している。それらの船団の護衛の為に大量の戦力が拘束されていた)
提督(そもそも、その戦力も必要量に対して全く足りていない。しかしだからといって前線からこれ以上戦力を引き抜く訳にはいかない)
提督(護衛艦隊にかかる負担も大きかった。敵はいつでも好きな時に好きな場所で我々を襲える)
提督(だが、護衛艦隊側はいつ来るかわからない襲撃に対して常時警戒していなくてはならないのだから)
提督「っ……さて、どうするか……」」
~
秋津洲「提督!!久しぶりかも!!」
提督(引継ぎが終わり、本国へ戻ることになっている少将を見送った後、俺は執務室へ戻る。そこには秋津洲が待っていた。満面の笑みを浮かべて迎えてくれる)
提督(偶然非番だった秋津洲が秘書艦にと名乗り出てくれたのだ。ちゃんと休養を取ってもらいたいとも思ったが、俺は船団護衛に詳しくない)
提督(船団護衛を始めとした後方支援が得意で経験も多い秋津洲は秘書艦として最適の人選だろう)
提督「本当に久しぶりだな、秋津洲!!前に会ったのは二年ぐらい前か?」
秋津洲「一年半くらいかも!!最後に会ったのは戦争が始まる前だもん……」
提督(俺の言葉に秋津洲の笑顔が寂しげな微笑へと変わってしまう。少し俯き加減になっていた)
提督「そうだな。君の指揮を執るのは対深海棲艦戦争以来か。君の得意分野は後方支援だからな」
提督「俺は今回の戦争では敵地での攻勢作戦や最前線での防衛戦の指揮ばかり執っている」
提督「艦娘の指揮を執れる士官も増えたし、だから君は俺の指揮下には配備されなかったのだろうな」
提督(時間の流れを感じた。光陰矢の如しだ。俺もついもう戻らない過去を思い返して感傷に浸ってしまう)
秋津洲「あたしは攻撃は得意じゃないし、防御力は低いし、前線とか苦手だから仕方ないかも。でもやっぱり悔しいし寂しかった……」
提督「俺もだ。開戦以来あっという間な気がするが、それでも君や速吸、神威たちのことを懐かしく思ったことは何度もある」
秋津洲「本当?」
提督「勿論だ。特にソ連に居た頃は何度も思い出したな……」
提督(敵の歩兵と白兵戦を繰り広げたことのある海軍提督はそうそう居るまい。毎晩寝る前に走馬燈のようにいろいろと思い出してしまったのだ)
秋津洲「っ!!そうかも!!ソ連!!もう皆に言われたと思うけど一度提督が戦死したって事になったんだよ!!知ってるよね!?」
提督(そんな俺に対して秋津洲が何かを思い出したようにハッとすると怒ったようにそう鋭く言い放つと眉間に皺を寄せて俺を睨みつけてくる)
提督「あ、ああ、まあな」
秋津洲「命令されたのに大鳳たちと帰らなかったって聞いたかも!!どうしてそんな危ないことするの!?」
提督(秋津洲は本気で怒っていた。それだけ俺のことを心配してくれていたのだろう。だが、俺は今でも全くあれが間違いだったとは思っていない)
提督「残らなくちゃいけなかったんだ。あそこで戦う勇敢な子たちの為に。そして我が国の勝利と安全の為に」ジッ
秋津洲「っ……!!」
提督(俺はそんな想いを込めてじっと秋津洲の目を見てそう言う。そんな俺に秋津洲が絶句して怯んだ)
秋津洲「……。提督の言うことも分かるけど……秋津洲は提督が死んじゃったら泣いちゃうよ……」ジワッ
提督「!!」
提督(俯きそう呟く秋津洲。目に涙を一杯に貯めていた。あの事でこうなるのは何回目だろうか?何度経験しても慣れないな……)
提督「……ありがとう。そう言ってくれて」
秋津洲「……」ジッ
提督(本心からそう言う。秋津洲が俺を上目遣いで見つめてきた。まるで縋るようだった。これ以上危ないことをしないでと)
提督「さて、では早速本題に取り掛かろうか。どうやら少将は可能な限り輸送船を集めて大船団を作って護衛対象の数を減らそうと努力していたみたいだな」
秋津洲「そうかも。護衛艦の数が少なすぎるといざ敵の襲撃があっても何もできないことがあるから、航行の速度が落ちて見つかりやすくなってでも大船団を組むことにしたんだって」
提督(俺は会話の流れを変えるために真面目な話題を振った。秋津洲はそれに乗ってくれた。なるほど、そうだったのか)
提督「ふむ。確かに、敵の潜水艦が数を減らしているのもあるだろうが実際のところ被害は減っている。とりあえずのところは現行の計画を続行だな」
秋津洲「それがいいかも」
提督「しかし現状、何をするにしてもまだ情報が圧倒的に足りていない。よってまずは情報収集だ」
秋津洲「情報収集?」
提督「とりあえず開戦から今までの間にドイツ・イタリア海軍に撃沈された輸送船の座標とその日時を海図に書き込んでいこう」
提督「それと、逆に撃沈あるいは拿捕されたドイツ・イタリアの潜水艦の座標とその日時もだ」
秋津洲「うっ……それってすごく大変かも……けど、確かに何か分かるかも!!手分けしてやってみよう!!」
提督「よし、ではとりあえず君は開戦した年の分をやってくれ。俺は次の年をやってみる」
秋津洲「おっけでーす!!早速始めるかも!!」
~
コンコン
提督「ん?どうぞ」
皐月「失礼します!!司令官、ボクだよ!!皐月だよ!!久しぶり!!」ガチャッ
提督「っ!!皐月、戻ったか!!久しぶりだな!!」
提督(着任した三日後、その日は船団護衛から皐月が帰還する予定だった。今日、部屋を訪ねて行って話をしようと思ったが、むこうから来たか)
皐月「えへへ///」ダキッ スリスリ
秋津洲「!?」
提督「さ、皐月……!?」
提督(部屋に入ってきた皐月は俺に抱きつくと甘えたように頬を俺の胸に擦り付けてくる。秘書艦として俺の執務を手伝っていた秋津洲が動きを止めた)
皐月「司令官の匂い……ホント久しぶりだな……ねえ、司令官。ボク、話したいことがあるんだ。聞いてくれるよね……?」ジッ
秋津洲「……!!」
提督(皐月が俺をじっと見つめる。醸し出す雰囲気は妖艶で、年齢に不相応な女の色香を纏っていた。そうだな。これ以上待たせるわけにはいかないか)
提督「わかった。俺も話したいと思っていたんだ。秋津洲、少し早いが今日はこのぐらいにしておこう」
秋津洲「ぇっ!?」
提督(俺の言葉に秋津洲が驚いたように目を見開き、どうしてと言わんばかりに俺を見つめる。俺はその目をじっと見返した。話さなくてはいけないことがあるという思いを込めて)
秋津洲「……分かったかも。……じゃあまた明日、提督。お疲れ様かも。……」ゴソゴソ スタスタ ジッ
提督「ああ、また明日。お疲れ様」
提督(そんな思いが通じたのか、秋津洲が折れてくれた。そう言うと荷物をまとめて部屋を出ていく。が、出る直前に俺のことを複雑な表情で一瞥してきた。が、俺が何か言う前に行ってしまった)
~
秋津洲「……」スタスタスタ
提督と皐月の親密そうなやり取りを見せつけられた。挙句の果てに二人で何か話し合うのにどうやら自分は邪魔だったらしい
↓×1~3 一人で部屋へと歩いていく秋津洲の心情
秋津洲(提督と皐月一体何の話だったんだろ……?何かあたしが居たら話せないことなのかな……)
秋津洲「せっかく秘書艦になってしばらくは提督のそばにいられると思ったのに……仲間外れにされた気分かも……」ボソリ
秋津洲(でも指揮官のあの表情……大切な話だったっぽいし、秋津洲が邪魔しちゃダメだよね)
秋津洲「秋津洲は秘密が赦せないような心の狭い女じゃないかも!!提督とはまた明日会えるもん」
~
皐月「司令官、ボク、もう待てないよ……」
提督「!!」
皐月「どうして戦争が終わるまで待たなくちゃいけないの?こんなに好きなのに……ねえ、司令官。ボク、知ってるよ」
皐月「好きな人とはキスだけじゃなくて、もっとすごいこともするんだって……司令官とならボク……してみたいな……」
提督(まだようやく恋を知り始めるような年頃なのに……皐月は発情したように頬を赤らめ、潤んだ瞳で俺を見ている)
提督(女だった……俺の前に居るこの子は見た目通りの子供ではない……!!俺が、この子を性に目覚めさせてしまったのだ)
提督「皐月、君に話さなくてはいけないことがある」
皐月「話さなくてはいけないこと?」
提督の話は、少なくとも皐月にとってどんな理由があろうとも他の子とは関係を持ったのに自分だけは後回しにされたということだった
↓×1~3 皐月の反応
~
皐月「……!!」ガーン
提督「これが、俺が君に話さなくてはいけないことだ。だがもし君がそれでも俺を」
皐月(そ、そんな……信じられないよ……涙で視界がぼやけちゃう……司令官がまだ何か言っているけど、ぜんぜん耳に入ってこなかった)ジワァ
皐月「……」フッ ハイライトオフ
皐月(絶対ウソだ……なんでそんなウソ言って……司令官はボクのことを嫌いになっちゃったの……?ううん、きっと司令官は疲れてるだけだよね!!)
皐月(だからボクが司令官を労わってあげないと!!大丈夫、これは男の人にとって凄く気持ちがいいことらしいから……きっと喜んでくれるよね?)
皐月「……」スッ シュルシュル
~
提督「っ!?」
提督(俯いていた皐月がいきなり上着を脱ぎ始める。白いセーラー服姿になった。そのまま金色のスカーフを解くと、セーラー服に手をかける)
提督「な、何をしているんだ、皐月!?待ちなさい!!」バッ
皐月「ふふっ……!!」サッ グイッ
提督「!?」グルッ
提督(慌ててやめさせようとする俺は、気がついたら皐月に捕まっていた。不用意に近寄った俺は皐月の奇襲を受けてしまったのだ)
提督(艦娘の力にまったく抵抗できなかった。それに加えて鮮やかな技前だ。抱きつかれ、足をかけられ、引き倒された)
提督(しかも、体を打たないようにしっかりと皐月に抱きかかえられながら。あっという間だった。皐月はそのまま間髪入れずに俺の腕を上着で縛って拘束する)
提督「さ、皐月!?」
皐月「ごめんね、司令官。ちょっとだけ静かにしててね?」グイッ スッ
提督「まっ!!ん~~~!!」
提督(皐月が俺の口にハンカチを詰め込むと、スカーフで縛る。口を塞がれてしまった!!なんてことだ!!)
提督(俺はもう何もできなかった。声が出せず、手も動かせない。足は自由だが逃げようとしても簡単に拘束されてしまうだろう)
提督(皐月を蹴り飛ばすことはできるが、俺にそんなことはできない。それを分かっているからこそ皐月も俺の足を縛らないのだろう)
皐月「司令官、皆とそういう関係なんだってそんなウソ言って……もしかしてボクのこと嫌いになっちゃったのかと勘違いしちゃうよ」
皐月「でも、僕は全部わかってるよ。疲れてるんだよね、司令官?だからボクが癒してあげる。楽にしてて。大丈夫、やり方はわかってるから」ニタァ ハイライトオフ シュルシュル
提督「……!!」
提督(皐月の目は光を失い、ねっとりとした何かが宿っていた。妖艶な笑みを浮かべつつセーラー服を脱ぎ捨てる)
提督(その下のタンクトップのインナーが露になる。なんてことだ……ブラじゃないなんて!!)
提督(相手が子供なのだと強く認識させられる。そんな子に拘束されて、目の前でストリップを見せつけられているとは……)
提督(皐月の手がニーソにかけられ、そのままそれをズリ下ろす。いつも思うが、足を出していない子が生足を出すのは破壊力がある)
皐月「♪」
提督(つい見惚れてしまう俺を見て満足そうな笑みを浮かべる皐月。両足共に眩しいくらいの肌色を晒すと、いよいよその手がスカートにかかる)
皐月「かわいいね、司令官……♪」シュル
提督「!!」
提督(躊躇うことなくスカートが下ろされる。露になったのは白いシンプルな下着だ。なのにデザインが子供っぽくない)
提督(どうしてこんなに横の部分が細いんだ!?まるで紐だ!!しかも結構なローライズじゃないか!!なんてけしからん代物なんだ!!)
皐月「司令官、覚えてる?初めてキスした日のこと」
提督「!!」
皐月「ボクは今でも昨日のことのように覚えているよ。あの日、司令官がボクをベッドに寝かせて行っちゃった後、ボク、気づいたんだ」
皐月「ボクのココが、硬くなってて……それで、パジャマに擦れるとぞくぞくするんだ。気持ち良くて、つい触っちゃって……」スッ モミモミ
提督「っ……」
提督(まるで胸を強調するように揉み始める皐月。そしてインナー越しでも分かるぐらいに固くなっているその先端)
皐月「指でつまんで、こうすると……んっ……ふぅ……ああ、凄い……気持ちいいんだ……」クリクリ
提督(皐月がそこを指でつまむ。頬を染め、吐息漏らしていた。閉じた足が震えていた。皐月は俺の目の前見せつけるように自慰をしている)
皐月「いけないことだと思ったんだけど……止められなくて……はぁ……それでね……提督……」スッ
皐月「気持ち良くなると……女の子はこうなっちゃうんだよね……ボク……知らなかったからすごく驚いたよ……」クチュクチュ
提督(皐月の手が、そこへ伸びる。見てわかるほどに濡れてシミを作っていた。そこを自らの指で撫で、スジをなぞる)
皐月「あぁ……ふぁ……!!指で触って……知っちゃんだ……んふっ……ここが凄いんだって……声が……我慢できないくらい……っ……」ピクンピクン クチュクチュ
提督(皐月が喘ぎ声を漏らす。蕩けた顔で俺を切なそうに見つめていた。指が下着の中へもぐりこむ。皐月がビクンと震えた)
皐月「気持ち良くなると……こうなっちゃうんだ……ぬるぬるしたの……たくさんでちゃう……司令官っ……!!」
皐月「ボク、怖かったんだ……でも、それを知りたくて……知らなくちゃいけないって思って……それで……あぁ、司令官……!!」
提督(皐月が自分を慰めながらそう独白する。立っているのが辛そうだった。前かがみ気味の姿勢で下半身が生まれたての小鹿のようにガクガクとしている)
皐月「あっ、ダメ……イっちゃう……司令官……ボク、もう……イっちゃう……!!司令官……司令官!!」
提督(皐月の指が激しく動いていた。俯いてしまったかと思えば、顔をあげて蕩けた表情で俺を見つめる。少し涎が垂れていた)
皐月「あ、凄い!!凄いのが来る!!司令官、ボク我慢できないよ!!あぁ!!司令官!!大好き!!あぁああああああ!!」ビクンビクン
提督「……!!」
提督(皐月が達した。嬌声をあげながらその場に蹲ってしまう。体がビクビクと痙攣していた。荒い息をしている)
皐月「はぁ……はぁ……ボク……エッチな子だよね……こんなことしてるなんて恥ずかしくて言えないよ……」
皐月「でも、僕をこうしたのは司令官なんだからね……?司令官のせいで僕はエッチな子になっちゃったんだ……」
提督(皐月がこちらへ這い寄ってきた。濃厚な雌の匂いを漂わせ、顔を赤くして熱っぽい吐息を漏らしながら。しかし、責めるような目で皐月に見つめられる)
皐月「あはっ……司令官……おっきくなってるね……」ニタァ
提督「っ!!」
提督(皐月が俺のズボンの膨らみを見て嬉しそうに妖しい笑みを浮かべた。皐月の言う通り、俺のモノはすっかり大きくなってしまっている)ベルトに手をかける)
提督(ベルトに手をかけられ、バックルが外される。引き抜かれた。ホックを外され、チャックを下ろされ、簡単にズリ下ろされてしまった。俺のそこを隠しているのはあとは下着だけだ)
皐月「……!!ごくっ」
提督(なすすべもなかった。俺は皐月に怒張したそれを晒してしまう。今まで多くの最上級の美女美少女を頂いてきたそれはとてもグルメになっている)
提督(だが皐月は十分すぎるほどにお眼鏡に適ったようだ。待ちきれないというようにビクビクと震え、鈴口から涎を垂らしている)
皐月「こんなにおっきいのがボクの中に入るんだよね……うん、ボク、頑張るよ」スッ
提督「!!」
提督(圧倒されていた皐月はしかし、気を取り直すとそう言ってぐっしょりと濡れた下着を脱ぐ)
提督(つるつるのそこが丸見えになった。こんなに小さいのにそれでも皐月の秘所は問題なく俺のモノを飲み込むのだろう)
提督(暁や響、マックスで俺はそのことを知っていた。……雷のようになるかもしれないが、あれはどちらかというと心因性のものだ)
皐月「ちょっと怖いね。でも、あの日からずっと待ってたんだよ?この日を。戦争はまだ終わってないけど、でもいいよね?だってこれだけ長く我慢してたもんね」スッ
提督「んんん……!!」
提督(皐月が俺の体を跨いで膝立ちになる。内股が愛液に濡れてテカっていた。皐月が下向く。自然と俺に寄りかかるような体勢になった)
提督(皐月のさわやかな匂いが漂ってくる。その手が俺のモノに触れた。体の位置を微調整、そしてためらうことなく腰を下ろした)
~
如月(一目、司令官を見たかっただけだった。これ以上嫉妬深いところを見せて拒絶されたらという恐怖)
如月(そして変な妄想に司令官を使ってしまう後ろめたさ。そのせいで私は司令官と会えなくなってしまっていたから)
如月(皆が寮へ帰る中、私はこっそり執務室へ向かった。もう帰っちゃったかしらとも思ったけど、司令官はそこにいた)
皐月「ぁっ!!」ブツン ビクッ
提督「んん~~~!!」ヌププププ
如月「!!」コソッ ゾクゾクゾク ジュン
如月(皐月ちゃんに縛られて。私はずっと見ていた。止めなくちゃ!!助けなくちゃ!!何度もそう思った)
如月(だけど、動けなかった。私の目の前で、司令官と皐月ちゃんが一つになってしまった。そんなの嫌なのに、私は何もできなかった……)
如月「っ!!」ハッ クチュッ ネトォ
如月(私はそれだけで自分が溢れさせてしまっていることに気が付いた。ああ、そう……私、何もできなかったんじゃない……しなかったんだ……)
如月(止めようと思えば止められたのに。助けようと思えば助けられたのに。私は動かなかった。その結果がこれ)
如月(私の目の前で司令官が皐月ちゃんに取られてしまった……最低最悪な気分。なのにどんどん溢れてきちゃう……体ができあがっちゃう)
如月「……♪」ジワァ ポロポロ ハイライトオフ ニタァ
如月(そうか、私……とっくに壊れちゃってたんだ……ずっと認めたくなかったけど、もうダメ……嫌でも自覚しちゃう)
如月(手がスカートの中に伸びちゃう。胸を揉んじゃう。ああ、こんな廊下で……誰が見ているのかわからないのに……!!)
如月「んっ……ふぅ……はぁ……!!」モミモミ クチュクチュ クリクリ
皐月「司令官……司令官……好き……好きだよ……大好き……!!」ズッチュ ズッチュ ズッチュ
提督「……!!っ!!」グイッ パンパンパン
皐月「あんっ!!し、司令官!?あはっ……司令官!!大好き!!大好き!!」
如月「っふぅ……!!」キュンキュン
如月(それまでされるがままだった司令官が動き始める。皐月を突き上げるように腰を振り始めた)
皐月「つぅ……んはっ……ふぁ!!司令官……!!」スッ シュル
如月(皐月ちゃんが司令官の口を塞いでいたスカーフを解いてハンカチを取り出した。司令官が口を開く)
提督「っは!!皐月、俺は、君のことを嫌いになってなんかない!!ずっと君とこうなりたかった……だが……っ!?」
皐月「んちゅっ……はっ……信じてたよ、司令官……!!」トロン キュンキュン
如月(その言葉を聞いてもう我慢できないと言うように皐月ちゃんが司令官にキスをする。そして熱っぽくそう囁いた)
提督「っ……!!皐月!!」バチュンバチュンバチュン
皐月「はぁっ!!司令官!!激しいよ!!」ビクッ ビクッ
如月(皐月ちゃんが何とか司令官の手を解くと、司令官が皐月ちゃんを抱きしめる。皐月ちゃんも司令官の胸に顔を埋めた)
如月(執務室の中では司令官と皐月ちゃんが愛し合っているのに、私はそれを盗み見て廊下で一人……惨めだった……)
如月「あぁ……ふぁあ……!!」ビクッ ビクッ プシッ
如月(なのにこんなに気持ちいいなんて……!!頭が溶けちゃいそう……!!ああ、おかしくなっちゃう!!)
提督「皐月……君の中、よく締まって……気持ちいい……!!」パンパンパン
皐月「ぼ、ボクも一番奥っ!!司令官のが当たって……凄いよ……!!」ギュゥゥゥゥ
提督「皐月……中に出すぞ……!!」
如月「!?」ビクン
皐月「うん、いいよ!!」
如月「……!!」ドクン ドクン
提督「っ……皐月ぃ……!!」バチュン ビュルルルルルル
皐月「あぁああああああああっ!!し、司令官の、ボクの中でびくびくしてる……!!はぁ……はぁ……」
如月「っ~~~~~~~~~~~~!!」ビクンビクン
~
皐月「司令官……」ダキッ ギュッ
提督「ふぅ……っ!?」ハッ
如月「はぁ……はぁ……っ!?」ビクッ スッ
提督「!!」
如月「!!」ドクン
ドアの隙間から如月と目が合った。相手が誰か分からない提督は背筋が凍る
気がつかれた如月は頭が真っ白になって無意識に後ずさるが、その際ドアを少し押してしまう
音が鳴りはしないがドアは提督が如月の姿を確認するのには十分な程開いた
如月の着衣は乱れており、顔を赤らめ手は何かに濡れてテカっている
↓×1~3 提督と如月の反応
提督(ドアの向こうからこちらを盗み見ていたのは如月だった。顔を真っ赤にして目を見開いて俺を凝視している)
提督(その表情はまるで耐え難い羞恥心を感じているようだった。それに加えて乱れた着衣、何かに濡れている指先)
提督(全てを察した。おそらく如月は俺と皐月の交わりを見て……それが表情に出たのだろう。如月が泣きそうな顔をした)
如月「っ……!!」ズリズリ
提督(こちらを見たまま後退った如月はすぐに立ち上がって逃げようとする。しかし体に力が入っていない)
提督(俺に背を向けるとそのまま四つん這いで這って逃げようとした。文字通り這う這うの体だ)
提督(その体勢でミニスカートだからこそ見える内腿。そこもまた何かに濡れてテカっている。確信した)
提督「皐月、ちょっと待っていてくれ」スッ
皐月「えっ……?うん……」
提督(俺は膝の上の皐月に退いてもらうと、とりあえず下半身を拭いて下着とズボンを穿く。そのぐらいの余裕は十分あった。そして如月を追いかける)
提督「……」スタスタ
如月「っ!!やぁ……!!」
提督(ドアを開けて俺が出てきたのを肩越しに振り返って確認した如月が必死の形相を浮かべて逃げようとする)
提督(だが体はついてこないようだった。少し早くなった程度で、ハイハイで逃げる如月には歩きで容易く追いつける)
提督「如月」グイッ
如月「いやぁ……!!お願い……離して……!!」フルフルフル
提督(如月を抱き上げる。年不相応の柔らかさだ。如月は力なく暴れながら首を横に振って涙を流していた。その様子に申し訳なくなる)
提督(だが、このまま行かせるわけにはいかない。如月とも話をしなくてはと思っていたのもあるが、如月は見てしまった。俺と皐月の情事を)
提督(もしかしたらその前の例の話も聞いていたかもしれない。秘密の一端を知ってしまった。残念ながら如月ももう無関係ではないのだ)
提督「君とも話をしなくてはいけないと思っていたんだ」
如月「わ、私は話すことなんてないわ……だから離して……!!」
提督「俺にはある。頼む。聞いてくれ」
如月「っ……」
提督(俺の頼みに如月は抵抗を止めた。いや、諦めたのか。力なく俯いてしまっている。俺は如月を抱いたまま執務室へと戻った)
皐月「えっ、如月……!?」ビクッ
如月「っ……」ビクッ
提督(戻ってきた俺の腕に抱かれている如月を見て皐月が驚愕する。如月が唇を噛んで肩を震わせた)
提督「皐月、君にももう一度ちゃんと聞いてもらいたい。いいかい?これから話すのは全部本当のことだ」
↓×1~3 例の話に対する如月と皐月の反応
※雷電姉妹も流れによっては。この拠点に居るのは神風型と睦月型、天龍型、一部軽空母、海防艦、水上機母艦、補給艦であとは休養で他の艦娘が来ることもあります
「「……」」ジトォ
提督「っ」
提督(俺の話を聞いた二人は無言で俺を見つめていた。いろいろと思うことはあるがとりあえずドン引きといった感じか。まあ、そうなるな……)
如月「……なんだか、いろいろと悩んでいたのがバカらしくなるわ。」
皐月「とりあえず、無理やりしちゃってごめんね、司令官。でも、司令官も罪作りなヒトってやつだよね……」
提督「そうだな……否定のしようがない……」
如月「でも、私は受け入れるわ、司令官。だってずっと好きだったから」スッ シュル
提督(しかしそう言うと如月は手をセーラー服の中に突っ込んで胸当ての布を取り払った。胸元が大胆に見えるようになる)
皐月「!!」
提督「如月……!!」
如月「司令官、私、歪んじゃったの。あの時、司令官がもう他の子とそういう関係になっちゃったって思ってから私……」グイッ
如月「司令官が他の子とそう言うことをしてると考えるだけで……とっても辛くて……体が熱くなっちゃうの……」ウルッ
提督(襟を引っ張って年不相応な大きさの胸、それを隠すかわいらしくも大人っぽいデザインのブラや谷間を露にする)
提督(そして潤んだ瞳で俺を見つめてきた。信じられないくらいの妖艶さだった。確かに、俺の影響でそういう妖艶さを持った子は少なくない)
提督(だが、如月のそれは元来の性質だ。もともとこの子が持っていたのだ。本当に子供か……?)
如月「いけない子よね、私……だから司令官……お願い、私のいけないところ、全部糺して……?」
提督「いいだろう、如月……君のいけないところを全部暴いてやる。そして裁いてやろう。淫らな妄想に取り付かれた悪い子にはお仕置きだ」
如月「はい……!!」ゾクゾク
~
如月「ま、待ってぇ!!お願い!!そんなにされたら壊れちゃう!!」ビクビクビク
提督(正常位で突かれ、胸を揉まれる如月は俺の激しい腰使いに嬌声をあげながら悦がり狂っていた)
提督「ダメだ!!これはいけない妄想で発情する悪い子へのお仕置きだぞ!?ほら、どうだ如月!?」
提督「俺が他の子としているのを妄想して自分で慰めるのと、こうして俺に抱かれるの、どちらがいい!?」
如月「こっち!!こっちです!!司令官にしてもらう方が全然いい!!だからお願い!!少し待って!!本当に壊れちゃう!!」
提督(両手で頭を抱える如月。頭をのけぞらせていた。俺も、ねじ切られそうなほどに強く締まる如月の中にそろそろ限界だ)
提督「ダメだと言っている!!ほら、もう二度といけない妄想に取りつかれないようにしっかりと注いでやるからな!!感謝しろ!!」
如月「っ!?い、今注がれたら私……提督の……忘れられなくなっちゃう……!!もう二度とそれ以外じゃダメになっちゃう!!」
提督「なれ!!如月!!責任はとる!!だから……もう二度と寝取られ妄想じゃイけなくなってしまえっ!!」バチュン ビュルルルルルル
如月「あ!!あぁ!!あぁああああああああああ!!あついの……たくさん……わたしのなかに……」
提督(腰を如月に押し付ける。一番奥、子宮口を貫くように強く突いた俺のモノが歓喜に震え、精をぶちまける)
如月「なっちゃった……わたし……しれいかんのじゃないと……しれいかんにあいされないと……だめになっちゃった……」
提督(如月は手で顔を覆っているために口元しか見えない。だが、その口元はだらしなく開き、半笑いを浮かべている)
提督「っ……」ズルリ
如月「あん……」
提督(如月からモノを引き抜く。今だ夢見心地の如月を見て心地よい満足感を覚えた。そんな俺を皐月がじっと見つめている)
提督「!!」
皐月「……なんというか、すごいね。外から見ると」
提督(皐月は見せつけられた性行為の圧倒されたようだった。だが、それにより欲情を掻き立てられ、恐怖よりも性欲が上回ったらしい)
皐月「ボク、まだまだ全然足りないよ、司令官。だから……いいよね……?」スッ
提督(そう言うと切なそうな表情を浮かべて俺ににじり寄ってくる。そして俺に口付けし、貪るように舌を絡ませてくる)
提督(まったく……そんな風にされたらつい食べたくなってしまうぞ。俺は負けずと皐月の咥内を蹂躙する。獣のようなキスだった)
皐月「はっ……司令官……♪」キュン
提督「皐月、覚悟しろよ?俺は今自由だ。さっきよりもずっと凄いぞ」
~
アメリカ海軍提督「オレンジ・プランの発動が決定された。各員、準備を進めるように」
「「……!!」」
↓×1~3 再訓練が終わった後、いつ欧州へ派遣されるのかと思ったら対日戦の準備を命じられたアイオワとサラトガの反応
※二人とも提督を愛しているが、それ以前にアメリカ人であることを踏まえて
アメリカ海軍艦娘「Yes!!Now, It`s time to revenge!!(やった!!今こそ復讐の時よ!!)」
アメリカ海軍艦娘「Remember Pearl Harbor!!あの騙し討ちで私たちがどれだけ屈辱を絶望を味わったか……!!」
アメリカ海軍艦娘「ジャップどもに思い知らせてやる!!奴らを一人も残さず海の藻屑にしてやるまで我々は止まらない!!」
アイオワ(オレンジ・プラン。合衆国海軍の艦娘ならそれが大日本帝国に対する戦争計画であることを誰もが知っている)
サラトガ(いずれそうなるだろうとは思っていた。受けた被害や不当に占領されているハワイやフィリピン、そしてグアムなどのアメリカ領土や植民地)
アイオワ(そして何より奴らの攻撃で殺された人々。合衆国がそれを赦す訳がない。大日本帝国の目が欧州での戦いに向けられている今が好機というのは誰でも分かる)
サラトガ(それでも、できれば平和的に話し合いで解決して欲しかった。けどそれが難しいことは分かっている。あの国が簡単に占領した領土を返すはずがないのだから)
アイオワ(私はオレンジ・プランの発動を聞いてそれを予想よりもすんなりと受け入れてている自分に気が付いた)
サラトガ(サラは提督を愛しているし、日本の戦友たちのことも大好き。だけど大日本帝国は大っ嫌い。戦えと言う命令なら勇気ある合衆国海軍の艦娘として義務を果たしてみせる)
アイオワ(あの日、目の前で何人もの戦友を失った。今でも鮮明に覚えている……身を切られるような悲しみと血が沸騰しそうな程の怒り、そして目がくらむような絶望を……!!)
サラトガ(一人のアメリカ人として大日本帝国の侵略は絶対に赦さない。きっと提督も分かってくれる)
アイオワ(ただ、Admiralのことが心配でならない!!もし、彼の身に何かあったら……私は……!!)
サラトガ(私にできるのはただ祈ることだけだった。どうか提督が無事でありますように……)
~
提督「ふむ……」
秋津洲「何か分かったかも?」
提督(できあがった資料を見て考え込む俺に秋津洲が声をかけてくる。俺は一口お茶を飲むと秋津洲に俺の疑問を説明した)
提督「結論から言うとだな、おかしいことがある」
秋津洲「おかしいこと?」
提督「ああ。南大西洋に何かいる」
秋津洲「えっなにそれこわいかも。敵じゃないの?」
提督「敵であることは間違いない。こちらの輸送船が沈められているからな。だがどうも不気味だ」
提督「まずはこれを見てくれ。船団の被害と敵の潜水艦と潜水艦娘の被害の数を比較してみたのだがな……」
提督「やけに南大西洋におけるその差が大きい。北大西洋に比べて輸送船の被害が敵の潜水艦の被害に対して有意に多すぎるんだ」
秋津洲「確かにそうかも。でも南太平洋に居る子たちが他の海域の子たちより優秀なだけじゃないの?」
提督「戦略上、アメリカと欧州を結ぶ北大西洋の方が重要だ。南大西洋に優秀な子を集中投入するとは考えにくい」
提督「それに、どれだけ技量が優れていようとも一隻あたりの潜水艦があげられる戦果は持てる魚雷の数の関係上、ある程度上限がある」
提督「しかし南大西洋では我が軍があげた戦果や諜報部が得た潜水艦の活動情報から出した存在しうる敵の数の予想で平均を出してみると一隻当たりの戦果が明らかに多すぎる」
秋津洲「……確かに少しおかしいかも」
提督「そうだろう?次はこっちを見てくれ。こっちは各海域における船団の被害と全海域での敵潜水艦一隻あたりがあげる平均戦果から予測した存在しうる敵の数だ」
秋津洲「さっきの戦果や活動情報で出した予想数との差が他と比べて南大西洋で大きすぎるかも!!」
提督「そうなんだ。つまり、南大西洋には何か居る。本当に精鋭部隊を投入しているのか、あるいは新型の潜水艦が居るのか……」
秋津洲「これはちゃんと調査した方がいいかも?」
提督「ああ。実は選抜した子たちで潜水艦狩り艦隊編成しようと思っていてな。船団に随伴して護衛するのではなく。遊撃して潜水艦を狩るんだ」
提督「ちょうどおあつらえ向きの状況だ。その艦隊を南大西洋に送って調査してもらおうと思っている」
~
帝国海軍士官「ドイツ人どもめ、読み通りだ!!哨戒中のイギリス艦隊が襲われている!!すぐに迎撃に向かって奴らにありったけ叩き込んでやれ!!」
大和「了解しました」
大和(中将の連絡を受けてドイツ艦隊の襲撃を受けた友軍艦隊の支援へ向かう。私の登場に敵艦隊は驚愕した)
ドイツ海軍艦娘「ヤ、ヤマト……!?っ!!Zurück!!Los los los!!(後退しろ!!早く早く早く!!)」
大和「味方艦隊の支援を開始!!戦艦大和、突撃します!!続いてください!!」
「「「「了解!!」」」」
大和(私を発見したドイツ軍の艦娘たちが焦りながらも秩序立って後退を始める。だけど遅い。すでにあなた達は射程内よ!!)
大和「目標、敵旗艦!!砲撃開始!!撃て!!」ドゴォン
~
帝国海軍士官「よくやった、大和!!素晴らしい戦果だ!!これで敵ドイツ艦隊はもう撤退を支援できないだろう」
大和「ありがとうございます、中将。提督の読み通りでしたね」
帝国海軍士官「はっ提督!!あの人、運はいいが所詮友軍との連携も満足にできない程度の人だ」
帝国海軍士官「戦力的に劣る敵艦隊がこういう戦法をとってくることなど誰でも簡単に分かる。読めて当然だ!!」
帝国海軍士官「だが俺は敵艦隊の戦力と我が方の各艦隊の編成を確認してあのイギリス艦隊を狙ってくることまで読み切ってみせた」
帝国海軍士官「あの人とは違うのさ。実力もないのに偶然成功しただけで上に立っている人間はそれだけで害だ。本来上に立つべき人間の邪魔になる」
帝国海軍下士官「さ、さすがに言葉が過ぎるのではありませんか?」
帝国海軍士官「事実を言ったまでだ。運がいいのは認めるが指揮官としては最悪だ。例えばあのスエズ降下作戦」
帝国海軍士官「成功したからよかったものの、もし失敗したら我が軍は長門を始めとした多くの優秀な艦娘を失っていたぞ?」
帝国海軍士官「あんなもの作戦とは言わん。あれはただの博打だ。俺は反対したんだ。危険すぎるってな」
帝国海軍士官「なのに奴は強行した!!あいつは帝国の運命を勝手に賭けて博打をうったんだよ」
帝国海軍士官「もし負けていたらと考えると背筋がゾッとする。あいつが致命的な失敗を犯す前に失脚してくれてよかった」
↓×1~3 目の前で提督を貶され、侮辱された大和の反応
大和「……今の言葉、提督を信じ作戦を遂行した全艦娘への侮辱と捉えてもよろしいのですか?」ギロリ┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
「「!?」」
大和(ふざけた中将と偶然伝令に来ていた下士官が口を閉じて私を見る。私は、危なかった。衝動を何とか止められた)
「「「「……!!」」」」
大和(中将を睨んでしまっている自分に気が付く。いけないわ、大和。上官を睨みつけるなんてしてはいけない)
大和(私は軍人だ。自制して殺意を覚えた上官に笑顔を向けるぐらい、簡単にできる。命令だってちゃんと聞く)
大和「……」ニコッ
バリンバリンバリン
帝国海軍士官「……!!」
帝国海軍下士官「」フラッ ドサリ
大和「あらまあ、大変。いきなりガラスが割れるなんて。一体どうしたのでしょうか?とりあえず軍曹を医務室へ運ばなくてはなりませんね」
大和「では私は彼を運んでそのままご指示の通り入渠します。小破ともいえないような損傷ですので、すぐ出られるでしょう。失礼します、中将」
帝国海軍士官「っ……」
~
提督「ではよろしく頼む」
秋津洲「任せて!!きっと南大西洋に何がいるのか確認して見せるかも!!」
提督(旗艦の秋津洲がそう言って胸を張っている。彼女と二式大艇なら広大な捜索範囲でもきっと成果をあげてくれるだろう)
天龍「潜水艦相手っつうのが気にくわねぇけどよ、南大西洋に潜む何かを調査し正体を確認せよってなかなか面白そうじゃねぇか。なあ、龍田?」
龍田「全然面白そうじゃないわ……私は潜水艦がちょっと鬼門なのに~……怨みますよ、提督……」ジッ
提督(感性が少年っぽい天龍は今回の作戦目標にロマンを感じているようだ。一方、かつて敵潜水艦に戦友と自身を殺されかけた龍田は恨めしそうな視線で俺を見つめている)
提督「っ……す、すまないがこれも君たちの実績と経験を信頼してのことだ。どうかよろしく頼む」
龍田「むぅ……わかりました~……」
提督「ありがとう、龍田。第三十駆逐隊はすでに集合地点で待機中だ。南大西洋では速吸が活動中だ。必要があれば合流して補給してもらうように。では行きたまえ」
秋津洲「了解!!特務艦隊、出撃するかも!!じゃなくて出撃します!!」
提督(秋津洲、天龍、龍田が退出していく。俺は彼女たちを見送り終わると隣に立っている神威に向き直った)
提督「すまないな、神威。帰還そうそう秘書艦をしてもらってしまって」
神威「いえ、私が志願したことですからお気になさらないでください」
提督「そう言ってもらえるとありがたい。イヤイライケレ」
神威「……!!エー♪」パァッ ニコッ
提督(日本の言葉だというのに、俺は外国語よりアイヌ語の方が疎い。だが神威が教えてくれたこともあり、単語程度なら話せる。発音は良くないだろうが)
提督(神威は俺のつたないアイヌ語を聞いて嬉しそうにはにかむと、アイヌ語でどういたしましてと返してくれた)
提督(久しぶりの再会だし、今日は執務が終わったら食事にでも誘ってみるか。補給艦の子たちは頑張ってくれている。こういう時に労わってあげられるだけ労わってあげたい)
~
神威(久しぶりに会った提督は昔のままだった。純粋ではないけれど、アイヌである私に対して同じ日本人として接してくれる)
神威(アイヌについても興味を持って私の話を面白そうに聞いてくれたあの提督だ。こうしてアイヌ語を使ってくれる将官は他に居ない)
神威(もし。もし日本の人が皆こうだったら。そうだったら私は……でも、現実は違う。彼らシサムにとって、アイヌは同じ日本人じゃない)
神威(アイヌは差別されていた。それを普通だと思っている。深海棲艦との戦いが終わった後、故郷の小樽に戻った時にそれに気づいた)
神威(アイヌだからという理由で進学できなかった。恋人に捨てられた。就職できなかった。そんな話がありふれていた。昔は幼すぎて理解できなかったことが理解できてしまった)
帝国海軍士官『ここは陛下の海軍だ!!アイヌ語など話さずに日本語を使え!!これ以降アイヌ語の使用は禁止だ!!』
神威『そ、そんな……っ……アイヌだって日本人です!!アイヌ語だって日本の言葉ではないのですか!?』
帝国海軍士官『貴様、上官に口答えするのか!?アイヌ語など日本の言葉ではない!!分かったらもう二度と使うんじゃないぞ!!』
神威『っ……』ジワァ
帝国海軍士官『返事はどうした!?』
神威『……わかりました』
帝国海軍士官『返事が遅い!!ふん、これだからメノコは。しかも貴様、米国の血が混じっているそうだな?そんなのが我が軍の華、艦娘とはな』
神威『!!』ゾクン
神威(そしてあの時、私の中で何かが壊れた。憎かった、日本人が。日本が。私は……私たちは日本の為にこの身を捧げているのに!!だから私は……)
神威「……」カシャッ カシャッ
神威(提督の目を盗んで資料の写真をとる。部隊の配置図、物資の備蓄、各方面の作戦計画と目標、その他もろもろ)
神威(自然に機密情報に近づくのに一番いいのは秘書艦になることだった。これまでのように危険を冒す必要はない)
神威(私は補給艦だし、任務が忙しかったのもあるけれど、アイヌでアメリカ人の血が流れている私を秘書艦にしてくれる司令官はいなかった。提督だけが、私を秘書艦にしてくれた)
神威(写真を撮り終え、元通りに資料をしまう。提督がお手洗いから戻ってきた。何事もなかったかのように秘書艦の業務を続ける)
神威(今日はエージェントと会う日だった。執務が終わった後、私はいつも通り混みあったレストランに入る。そこでいつもの席に座り、情報を入れたカバンを席の隣に置いた)
神威(それを隣の席に座ったOSSのエージェントがさりげなく同じカバンとすり替える。彼女は無言で去っていく。私はそのまま出された食事を食べ終え、会計を済ませてレストランをでた)
提督「……お、神威じゃないか」
神威(拠点まで戻る途中、偶然紙袋を持った提督に会ってしまった。提督や戦友にだけは私は罪悪感を覚えてしまう。それを顔に出さず自然に微笑みかけた)
神威「こんばんは、提督。買い物ですか?」
提督「ああ。酒を切らせてしまったんだ。君は?」
神威「食事に行っていたんです。たまには外で食べようかと思って」
提督「そうだったのか。確かに、食堂の食事は悪くないがせっかくアゾレス諸島にいるのだから現地の食事を食べたくなる時がある」
神威「提督なら分かってくれると思っていました」
提督「まあな。歩きで来たのか?」
神威「はい。そう遠くありませんから」
提督「そうか。だがもう暗い。俺は車で来てるんだが、君さえよければ送っていこうか?」
神威「いいんですか?」
提督「ああ、もちろんだ」
神威「イヤイライケレ、提督」 ニコッ
提督「エー。では行こうか。向うに止めてあるんだ」
神威「はい♪……」
↓×1~3 提督に対する神威の心情
提督「……」
神威「……」
神威(運転する提督の横顔を見る。シサムを憎んでいる。でもこの人と戦友たちは別だった。特に提督は……)
神威「……///」
神威(この人惹かれている自分が居る。この恋心を自覚したのはいつからだろう?いつか成就する日がくるのかな?くるといいな)
神威「っ……」
神威(……なんて。スパイのくせに私は何を言っているんだろう。私が流した情報で提督に危険が迫るかもしれないというのに)
神威「いっそ、二人でどこかへ逃げられればいいのに……」ボソリ
提督「うん?何か言ったか?」
神威「っ!?い、いえ、何でもありません。ただの独り言です、ごめんなさい……」
提督「そうか?ならいいが……」
~
天龍「寒ぃ!!風強ぇ!!本当に何か居たのかよ!?そもそも補給艦とか潜水母艦もいないのにUボートがこんなところまで来られるのか?」
秋津洲「本当に潜水艦娘が居たかも!!大艇ちゃんが見たんだから!!」
龍田「そうは言っても確かにこんなところまで来られるかなぁ~?もう喜望峰から離れて吠える40度だよ?」
秋津洲「っ……でも、本当に見たかも……」
天龍「そもそも開戦当初はインド洋まで来てたらしいけどよ、イギリスのドイツ艦狩り以降はこの辺りで輸送艦の被害が出てねぇだろ?」
龍田「そうよねぇ~……例の海域も確かに南大西洋だけど、どっちかというと中部大西洋だし……だいぶ離れてるわ~」
秋津洲「確かにそうだけど、それでも絶対潜水艦が居るかも!!」
天龍「だといいけどよ……もうそろ日没だ一度戻って……っ!?なんだあいつら!?ってか深海棲艦じゃねぇか!!」
龍田「いつの間に……電探が無いから目視するまで気が付かなかったわ~」
秋津洲「ど、どうしてこんなところに……?あの子たちは今、インド洋と太平洋にしかいないはずなのに……」
ドゴン ドゴン ドゴン
天龍「はぁ!?クソッ!!奴ら撃ってきやがったぞ!!」ギョッ
龍田「撃ってきたのはネ級みたい。あとはツ級、ナ級……っ!!あ、アレは……!!」ビクッ
レ級「キヒッ!!キガツイタか……ミナゴロシだ!!」ニタァ
睦月「レ、レ級!!レ級がいるよ!!」ビクッ
如月「なんで攻撃してくるのあの子たち!?」キッ
弥生「明らかに敵意がある……誤射とかそう言うのじゃない……!!」ギリッ
望月「ど、どうすんのさ……勝ち目ないどころか、逃げられるかも怪しいよ……!?」サァッ
秋津洲「あ、足の遅い私が囮になるかも……だからみんなは早く撤退して……!!」マッサオ
天龍「バカ言ってんじゃねぇ!!お前は貴重な飛行艇母艦だろうが!!オレが時間を稼ぐ!!その間にお前たちは撤退しろ!!ほら、グズグズすんな!!問答してる時間はねぇぞ!!」ドン キッ
龍田「っ!?」ビクッ
秋津洲「っ……わかった……ごめん、ありがとう……皆、反転180度!!全速力でこの海域から撤退するかも!!」ギリッ……
「「「「り、了解……!!」」」」
龍田「て、天龍ちゃ」
天龍「何やってやがる龍田!!旗艦の命令が聞こえねぇのか!?さっさと離脱しろ!!」
龍田「で、でも天龍ちゃんが……私も」
天龍「ふざけんな!!このぐらいオレ一人で十分だ!!いいからお前は行け、龍田!!」
龍田「天龍ちゃん……!!」マッサオ
天龍「こういう日が来るかもって覚悟してただろ!?話す時間も惜しいんだからから早く行け!!お前が居ねぇと離脱中に別の奴らに襲われたら誰が時間を稼ぐんだ!?」
龍田「っ!!」ビクッ
天龍「あばよ、龍田。いつか彼岸でまた会おうぜ。それまでは、お別れだ。元気でな。ほら、行け!!」ニコッ
龍田「……!!っ……じ、じゃあね、天龍ちゃん……」ジワァ ポロポロ ブルブル
天龍「……っ。っ!!」ジワァ ブンブン キッ
レ級「アハッ!!ヒトリでアシドメ?デキルかな?デモスキダよ、ソウイウノ!!」ニタニタ
天龍「硝煙の匂いが最高だなぁオイ!!かかってきやがれ!!オレは天龍!!帝国海軍最強の天龍様だ!!」ニタァ
~
秋津洲「あ、新手かも……!!」
龍田「……次は私の番だね。皆、行って。あとは頼んだよ」
睦月「た、龍田さん……」ポロポロ
如月「っ……」ジワァ
弥生「……」ツゥー
望月「なんだよ……これ……」マッサオ
秋津洲「っ……任せて……」コクリ
「「「「っ……」」」」サッ
龍田(敵に向かって転進する私を皆が敬礼で送ってくれた。私は追撃してきた深海棲艦と対峙する)
タ級「フン、ケイジュンヨウカン一隻ゴトキでナニガデキル?ウミノモクズにシテヤレ!!」ドゴォン
龍田(有視界からの敵の攻撃は、単純。構えてから少し射線を外すだけで簡単に避けられる。夜に戦艦が軽巡に不用意に近づくなんて、死にたいのかしら)
タ級「っ!?」
龍田「……」バシュバシュバシュ ドプンドプンドプン シャリシャリシャリ
ネ級「ライゲキ!!ライゲキ!!」
龍田(回避運動に入る敵。私は発射した魚雷の後を追うように突進する。距離が離れていて、夜の闇の中。そんな状況でおまけに回避しつつの敵の攻撃なんて当たらない)
タ級「アタラナイ!?クルゾ!!」
ツ級「センカンはサガレ!!ヨルのタタカイじゃジャマダ!!」
提督(ツ級が駆逐艦を連れて前に出てくる。爆音、魚雷が何本か当たった。駆逐艦と巡洋艦を何隻か沈めたけど、戦艦は無事。でもそれでいい)
龍田「うふふふ……」ドン
ツ級「シネ!!」ドン
龍田(牽制の砲撃をしつつ左にフェイントを入れつつ右へ回避。相手の砲撃を避ける。敵の水雷戦隊と同航戦)
ツ級「クソッ!!ギョライをツカエ!!」バシュバシュバシュ ドプンドプンドプン シャリシャリシャリ
龍田「あはははは!!」バシュッバシュッ ドプンドプン シャリシャリシャリ
龍田(夜戦で一人で相手が多数だからこそできる戦い方だった。統制を保とうとする敵に対して誤射を気にせず存分に暴れられる)
龍田(この距離なら改良や新開発で魚雷の速度が多少違っても関係ない。あらかじめ装填しておいた時限信管の榴弾を海に打ち込む。ちょうど魚雷が通る深度で爆発するように)
龍田(こもった爆音。直撃コースの魚雷は榴弾の爆発が発生させた水圧で早爆する。水柱が立った。それで姿を隠しながら取り舵、敵へ突っ込む)
龍田(ちょうど私の発射した魚雷の命中した音が響く。耳障りな駆逐艦の断末魔の叫び。水しぶきと硝煙の中を突っ切って、敵に肉薄)
ツ級「ヒッ!?イヤァアアアアッ!!」
龍田「あはぁ!!」ブン ザク
ツ級「」バシュッ
龍田(深海棲艦が可哀そうだった。艦娘と違って簡単に切れる。ツ級の首を刎ねて、そのまま駆逐艦へ砲撃)
龍田(直撃弾を受けたナ級、この距離なら容易く装甲を貫ける。口を開けてとびかかってきた一隻を避けつつすれ違いざまに真っ二つに)
龍田(残りの反撃はもう簡単に避けられる。射線に捉えられなければ当たらない。そして再装填よりも前に接近、切り伏せる)
ネ級「モラッタ!!」ドゴン
龍田(誤射する心配がなくなった重巡が発砲した。けど、その射線も駆逐艦を切り伏せてる間に確認済み。回避する)
ネ級「……!!」タラリ
龍田「お前たちは絶対に赦さないから~……死にたい船からかかってきてね?」ニタァ ハイライトオフ
~
龍田「っ……」ボロッ
タ級「ハァ……ハァ……バケモノメ……コレデオワリダ!!」ボロッ ニタァ ジャキン
龍田「うふふ……天龍ちゃん……」キュッ
タ級「シn」ドガァン
龍田「っ!?……えっ」
愛宕「ふぅ……ブランクがあったけれど、まだ腕が錆びついてはなかったみたいね。無事でよかったわ、龍田。聞こえる?」
龍田「……!!っ……」フラッ バシャン
愛宕「ちょっ!?み、皆、行くわよ!!龍田を助けなくちゃ!!」
「「「「了解!!」」」」
~
龍田「っ……生きてる……」パチッ
秋津洲「た、龍田!!気が付いたかも!!」
龍田「……天龍ちゃん。天龍ちゃんは?」
秋津洲「っ……」
↓×1~3 天龍は行方不明。おそらくあの状況では……と言うことを聞いた龍田の反応
龍田「……天龍ちゃんならきっと大丈夫~。簡単にくたばるようなタマじゃないわ~。そのうちひょっこり帰ってくるから」ニコッ
秋津洲「っ!!きっとそうかも!!あの天龍がそう簡単にやられるはずないもん!!すぐ帰ってきてまた世界水準軽く超えてるからなって自慢してくるかも!!」
龍田「でしょ~?天龍ちゃんはいつもそうだもの。一人で無理して心配かけて……でも今回は私も天龍ちゃんのこと言えないかな~……ごめんね、少し寝てもいい?」
秋津洲「もちろん。ゆっくり休んでほしいかも。また後でね、龍田。お休みなさい」
龍田「ありがとうね~お休みなさい~。……。っ……天龍ちゃん……」ジワァ クシャリ ポロポロ
~
欧州水鬼「ザンネンながらテキにハッケンされ、シトメソコネタわ。もうコレイジョウのセンプクはムリよ。イマコソケッキノトキだわ」
中枢棲姫「モトモト、ソロソロウゴコウトシテイタ。むしろコンカイノケンがイイキッカケにナッテクレタナ」
欧州水鬼「エエ。ザンネンだけどワタシタチのセンリョクはジュウブンにカイフクシテイルとはイイガタイわ。ケド、コレイジョウはマテナイ」
中枢棲姫「アア。ヤツラのドウシウチがオワッテシマウ。カツテのツヨサがナイワレワレハはヤツラゼンインをイチドにマトメテアイテにスルのはキケンだ……」
欧州水鬼「ケド、イマならフタツにワカレテいるヤツラをヒトツずつツブせるモノね。オマケにヤツラはナガくツヅくナイランでショウモウしてくれてイルワ」
中枢棲姫「アア。アナタはタイヘイヨウで。ワタシはタイセイヨウで。ヤツラにあのノロワレタようなオモイをアジアワセテやろう!!」
欧州水鬼「モチロンよ!!オタガイにコウウンを。ツギアウトキはカッタアトか、あるいはウミノソコね」
~
天龍「っ……!!」ヨロヨロ
天龍『ちぃっ……ここまでかよ……龍田……悪ぃ……先逝くぜ……』ボロッ
レ級『マサカアタシがイナガラケイジュン一隻ニカンタイのハンブンがシズメラレルナンテネ。ショウジキ、ヨソウしてナカッタ!!オマエ、オモシロイな!?』ニタニタ
天龍『けっ……お前らにそう言われてもうれしくねぇよ……』ギロリ
レ級『イイネそのメ!!マダ死んでナイ!!ケドオマエはもうタタカエナイ!!アシもシニカケ!!ナニもデキナイ!!』
レ級『ダカラトドメはササナイ!!ココでアタシタチがニゲタ奴らをコロシに行くのをユビくわえてミテナ!!』
天龍『っ!!チッ……黙って行かせるかよ!!っ!!クソッ!!おい!!なんでだ!?なんで壊れるんだよ!?』ジャキッ スカスカ ギリッ
天龍『クソがっ……!!オレはまだ生きてるのに!!なんで戦えないんだよ!?なんで死ぬまで戦わせないんだよ!?』ジワァ ブチッ タラリ クシャリ ポロポロ
レ級『アレェ~?タマでてナイミタイダケドォ?ダイジョウブカナァ~?キヒヒヒヒッ!!ソノ顔がミタカッタンダ!!』
レ級『ココロがオレルソノ顔ガナ!!アンシンシロヨ!!ソンナザマデココラのアレタウミをコウコウできるワケナイ!!」
レ級『ドウセ沈没シテ死ヌヨ!!スグウミノソコで会えるサ!!オマエとアイツラ、ドッチがサキにシズムカナ!?バイバ~イ!!』
天龍『ちっくしょおぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!』
天龍(あれからオレはひたすら北へ……陸地目指して壊れかけの機関と艤装でのろのろと進んでいた。きっと龍田たちは無事だ。オレも絶対に諦めねぇ……!!)
天龍(確かに吠える40度の海は荒れまくってたが、こちとら台風上等の帝国海軍なんだよ!!被害甚大でもこれぐらいで沈没してたまるか!!)
天龍(文字通りの疾風怒濤をいなしながらひたすら進む。一瞬たりとも気が抜けなかった。集中できなきゃ、海の藻屑になるだけだ)
天龍「どんな形であれ、せっかく生き延びたんだ……こんな所で終われるかよ……!!」キッ
~
ザザーン ザザーン
汚っさん「……ん?」
天龍「……」
汚っさん「ひ、人か!?おい、大丈夫か!?」
天龍「……」
汚っさん「生きてはいるみたいだが……東洋人か。しかも子供だがすげぇ美人じゃねえか。おまけにいい体してやがるぜ」
汚っさん「こんな所に放置しておくわけにはいかねぇしな。これは家へ連れて行って看病してやらねぇと」ニヤリ
~
天龍「っ……な、なんだ?何か濡れたのが顔を……ん?犬か?」
ペロペロペロ
天龍「うおっ、ちょっ、止めろって!!口は舐めるな!!止めろ!!んっ!?んん~~~!!」
レロレロ レロレロ
天龍「んん……んふ……んぐ……っは!!テメェ!!何しやがんだ!!口の中まで舐めやがって!!」ギロリ
ツンツン グリグリ
天龍「っ……そんな目で見んなよ……調子狂うな……お、なんだ?撫でて欲しいのか?そんなに胸に鼻押し付けてきやがって。やらしい奴だな。よしよし」ナデナデ
ペロペロ チュウチュウ
天龍「ってこら、舐めるなって。あっ、そこは駄目だ!!バカ!!吸うんじゃない!!あぁ!!止めろぉ!!」ビクッビクッ
グイグイ グイグイ
天龍「っ……まだ出ないっつの、まったく……あぁ?っ……谷間とかお前……とんだエロ犬だな。そんなとこまで鼻を突っ込むな。調子に乗りすぎだぞ、犬っころめ」
天龍「……って何で俺、水着なんだ?……まあいいか。ほら、もう満足しただろ?あっち行けって。しっしっ」
グイグイ
天龍「んっ、あむあむ……っ!?何だこれ!?生臭っ!!クソまじぃぞこの恵方巻!?ちょ、止めろ龍田!!んぐっ!!んん!!」
天龍「んぐっ……んん!!はへほっへいっへうはほはふは!!んあっ!!ん、んん!!じゅるっ……じゅるじゅる……っ!!この……何しやがる!?」
天龍「おいこら龍田ァ!!何とか言えよ!!なに笑ってんだ!!っていうかコレ絶対腐ってるだろ!?すげぇ生臭かったぞ!!おまけに変な汁まで垂れてくるし……ちょっと飲んじまったじゃねぇか!!」
グイグイグイ
天龍「だぁ!!もうお前はおとなしくしてろ、ワン公!!変なとこにじゃれついてくんじゃねぇ!!あっ!?ちょ、待て!!そこは止めろ!!」ビクン
クニクニクニ クチュクチュクチュ
天龍「っ!?え、て、提督……!?あ、や、ちょ、ま、待ってくれよ!!そういうのは手順があるだろ!?んっ……ふぅ……あぁ!!」ピクピクピク
クチュクチュクチュ クリクリクリ
天龍「ま、待ってくれって……あん!!バカ、提督……お前、こんな事してちゃんと責任取るんだろうな……!?はぁ!!っ……オレ、初めてなんだぞ……!!」ビクッビクッビクッ キュンキュン
ペロペロペロ レロレロレロ ジュルルルル
天龍「い、嫌、別に嫌だってわけじゃ……お、オレはその……提督のこと……っぁ!!あぁ!!や、待って!!っぁああああああああああ!!」ビクンビクン
モミモミ クチュクチュ チュッ レロレロレロ クリクリクリ
天龍「はぁ……はぁ……あぁ!!うぅ……あっ、んぁ!!や、提督……!!んっ……ふぅ……んちゅっ……じゅるじゅる……れろれろ……っはぁ……て、提督……オレ……提督のこと……好きだ……」キュンキュン
天龍「ずっと前から好きだったんだ……こんなこと初めてで……よくわからねぇんだけど……でも、オレ……提督ともっとずっと一緒にいたい……」トロン
ピトッ ズリズリ
天龍「っ!!て、提督……オレ……ああ、クソッ……顔、にやけちまう……見ないでくれ……っ!!……オレ……提督なら、いいぜ……?」ドキドキドキ
~
天龍「っ……ん……?」
汚っさん「おっ?起きちまったか」
どんな夢を見ていたのか忘れたが、幸せな夢だった気がする。が、今目の前にいるのは頭頂部の禿げた風呂に入っているとは思えない程汚らしくて臭い汚っさんだった。
自分は全裸な上に、体や口周りが謎の臭い透明な液体や白濁液で汚れているし、何より足を開かされて汚っさんの勃起したグロテスクなそれに自らの秘所を撫でられていて、今まさに正常位で貫かれそうになっている
↓×1~3 天龍の反応
同じ艦娘は存在しない設定ですか?
天龍『えっ……?』ビクッ サァッ
汚っさん『まあいいか』グッ ズププププン
天龍『っ……はっ……!?ぁ……私の中……入ってる……の……!?いやぁ!!』ビクン ジワァ
汚っさん(ってしちまえば後はもう楽しむだけ楽しむだけよ。女ってのはそうするために居るんだからな。こいつもヒイヒイ言わせて癖にしてやるぜ)
天龍「おらぁ!!」ドゴッ
汚っさん「うげぇっ!?」ドサッ
天龍「このクソ野郎!!何してやがる!?俺が気絶してる間に何しやがった!?」キッ ドガッ バギッ ボゴッ
汚っさん「ぐはっ!!ぐへっ!!ぐふっ!!ひぃっ……お、俺はただビーチで気絶してたあんたを助けただけで……!!」
天龍「へぇ、助けてくれたのか。それはどうも、ありがとよ」ギロリ スッ ドゴォ
汚っさん「ひでぶっ!!」ベタン
~
汚っさん「……」ピクッ ピクッ
天龍「……。……っ」
それは気絶していた
天龍は自分の体を確認する。服はすべて剥がれてしまったのか全裸だった。邪魔だと思って疎んでいたが、恋を知ってからはむしろ喜んでいた大きな胸
そして女として一番大切な秘所や、その周りの下腹部、太腿にどろりとした粘っこい白濁液が大量にこびりついていた
顔についた何かをぬぐってみる。不快な臭いを放つそれもまた胸や下腹部に付着したものと同様の白濁液。どうやら髪にも絡みついているようだ
唾液らしいものに汚れた口周り。そして口の中に残る今まで味わったことのない不快な味。嫌でも察してしまう。キスどころかおそらく寝ている間にフェラさせられている
絶望を覚悟して天龍は一度も自分の指以外の異物を受け入れたことのないはずのそこに付着した汚物を拭うと、自分を慰めるときのように指を中に入れた。そして心から安堵する
そこは未だに何にも犯されていなかった。天龍は改めて床に転がるそれに目を向ける。こんなものに純潔を奪われるくらいなら死んだ方がマシだと思うような不潔でハゲてるくせに体は毛深いデブだ
だが、自分はすでにこれに想い人へ捧げるつもりだったファーストキスを奪われ、体を弄ばれ、穢され、咥内を犯されている。殺意が理性を焼き切りそうだった
しかしひとまず思うがままにぶちのめした結果、天龍は落ち着きを取り戻していた。考える余裕ができている
殺してしまっていいのだろうか?無論、個人的には殺してしまいたい。しかし、いくら襲われたからとはいえ、それは殺人だ……
↓×1~3 天龍の行動
※>>95 そうです。陽炎、抜錨しますのような感じです。艦娘は適正のある人間で一つの艦の艦娘は同時に一人しか存在できません
滅多に戦死することはありませんが大破進撃のような無理をさせたり、あるいは地上で攻撃されたりして戦死した場合には他の適正ある人間が新たにその艦娘になります
しかし訓練には年単位で時間がかかるので戦死してしまうと艦娘が支配者たる海の戦いにおいて致命的な事態となってしまうでしょう
天龍「ちっ……ぶっ殺してやりてぇとこだけど、オレは軍人だ。敵を殺しはするが、殺人は犯さねぇ。命拾いしたな」
天龍(散らかり放題の部屋の中からとりあえず手足を縛るのに十分な汚れたタオルを見繕ってそれを拘束した)
天龍(我を忘れて思いっきりぶちのめしちまったが、まあこの程度なら死なねぇだろ。とりあえず、体を洗いたい)
天龍(……と思ったがここ、水道ねぇじゃん!!クソッ……それならアレがあるはずだ。俺は小屋から出てアレを探しに行く。夜か……あれからどのくらいたったんだ?)
天龍「おっ!!あったあった!!」
天龍(月明かりのおかげでそこそこ明るい。俺は見つけた貯水槽から水を汲んで浴びる。石鹼が欲しいとこだが、当たり前のようにありやがらねぇ)
天龍「くぅ……!!冷てぇ……!!」ザパァ ゴシゴシ
天龍(何度も何度も水を浴びて髪と体を洗う。……まあ、これぐらいでいいだろ。さて、どこだよここ。海沿いみたいだが……町や村どころか見渡す限り人家が見当たらねぇじゃん……)
天龍(記憶が朧げだが陸までは辿り着いた気がする。おそらくなんとか浜辺に上陸したあたりで気絶してアレに拾われたんだろうな)
天龍「ん~……」
天龍(天測しようにも道具も失くしちまったみてぇだし……見える星からして南アフリカのどこかだとは思うんだけどな……)
天龍(そもそも、あの状態じゃ間違っても南米までたどり着けるわけがねぇしな。ちっ……気が乗らねぇが、アレが目を覚ましたら聞いてみるしかねぇか)
天龍(拝借した一番マシなタオルで頭と体を拭いて小屋の中に戻る。……まだ気絶してるか。とりあえず見つけておいた下着を身に着けた)
天龍(本当は洗いたいとこだが、替えがねぇから我慢するしかない。見た目は汚れてないし、穢された匂いもしねぇしな)
天龍(制服は、まあぼろぼろだ。大破したから仕方がないとはいえ、これで市井を出歩くのは恥ずかしすぎる)
天龍(かといってこの洗ってねぇ洗濯物の山から何か適当なのを拝借するのは嫌すぎる。サイズもぜんぜん合ってねぇし。どうするかな……ん?これは……)
天龍「コートか」
天龍(ぼろぼろのクローゼットの中はほとんどがガラクタだったが、フード付きのコートが入っていた。南半球じゃもうすぐ夏だけど、制服の上にこれを着るのが一番よさげだ)
天龍「俺の体を楽しんだんだ。これぐらい安いもんだろ、お前も。ったく、いつまで寝てるつもりだ?水でもぶっかけるか」
ドガァン ドガァン ドゴォン ドゴォン
天龍「!!」
天龍(北の方から爆発音が響く。遅れて北西の方、遠雷のように遠く轟いてくる砲声は明らかに戦艦の主砲だ)
ウゥーン ウゥーン
ドガァンドガァンドガァン ドゴォン ドゴォン ドゴォン
天龍(鳴り始めたサイレンの音をかき消すように再び爆音が響き、砲声が轟いてくる!!明らかに多数の戦艦がどこかを攻撃してやがる!!)
天龍「クソッ!!」ダッ
天龍(小屋から飛び出して音のする方を見ると、海岸沿いをずっと北の方へ行ったところで地平線の向こうの空が赤く燃え始めていた)
天龍(明るくなっては消えるのを繰り返している。間違いない、味方が攻撃を受けてやがる!!おそらく深海棲艦の艦隊に!!)
天龍(俺はできうる限りの速さで桶に水を汲んで小屋に戻る。それに水をぶっかけた。びくりとして目を覚ましたらしいそれは俺にぶちのめされたのが効いてるのか呻きながら悪態をついていた)
汚っさん「っ……クソッたれ……あのアマ絶対ぶっ殺してやる……Fuck!!あいつ縛りやがったな!?」
天龍「やれるもんならやってみやがれ!!そんなことより、ここがどこだか教えろ!!」
汚っさん「お前!!ふざけんなメスガキが!!解きやがれ!!」
天龍「こっちのセリフだRaper!!黙れ!!聞け!!」
汚っさん「っ!!」
ウゥーン ウゥーン ドガァンドガァン ドゴォン ドゴォン
汚っさん「……!?」
天龍「分かったか!?敵の攻撃を受けてんだ!!深海棲艦だ!!脳ミソ無さそうなお前でも知ってるだろ!?」
汚っさん「マジかよ……」
天龍「ここから北に行ったところだ!!ここはどこであそこはどこだ!?教えろ!!」
汚っさん「こ、ここはケープタウンの郊外だ。南に少し行ったところで、ちょうどLlandudno とケープタウンの中間地点ぐらいの場所だ……」
天龍「ってことは奴らケープタウンを攻撃してるのか……っ、ラジオか何かないのか!?こんな攻撃されてんなら何か放送されてんだろ!!」
汚っさん「あんた一体何者なんだ……!?」
天龍「知る必要はねぇよ!!いいから早くラジオをつけろ!!」
汚っさん「ち、ちょっと待て……!!」
天龍(のろのろと起き上がったそれはガラクタの山からラジオを取り出すとスイッチを入れた。予想通り、警報が流れ始める)
『……されました。非常事態宣言が発令されました。国民の皆様は至急、海岸から離れて内陸へ避難してください。現在、我々は深海棲艦の攻撃を受けています』
『西ケープ州は全域に避難命令が出されています。シモンズタウン海軍基地、ケープタウンは放棄されました。繰り返します。繰り返します。非常事態宣言が発令されました。非常事態宣言が~』
天龍「いつから非常事態宣言が出てんだ!?何で気が付かなかったんだよテメェは!!」
汚っさん「し、知らねぇよ!!少なくとも昼頃はこんな放送流れてなかった!!お前を拾った後は万が一にも起きないようにラジオは消してたから分からねぇ!!」
天龍「っ……!!」
天龍(ともかくシモンズタウンの拠点はもう放棄されたみてぇだし、ケープタウンだってあの様だ)
天龍(となればさっさとこんなとこから逃げるしかねぇ。表に車もあったしな。とりあえず内陸に逃げれば陸路でマッサワの拠点まで行けるはずだ)
汚っさん「お、おい!!早く解いてくれ!!まさかお前、俺を置いていくつもりじゃないだろうな!?」
天龍「解く訳ねぇだろ!!だがまあ、安心しろよ。俺は民間人を見殺しにはしねぇ。テメェは憲兵か警察に突き出してやる!!」
~
駆逐古姫「……行方不明だった同胞たちから連絡があった。皆、何処へ消えたのかと思っておったが南極に潜んでいたらしい」
「「「「っ!!」」」」
駆逐古姫「皆は今まで力を蓄えておったそうじゃ。海難事故を装って輸送船や商船を沈め、厚い氷に覆われた大陸を海から掘り進んで資源を集めながら」
中間棲姫「そうですか……それで、内容は?」
~
空母棲姫「彼女たちがそれぞれ太平洋と大西洋で奇襲をしかけるから我々にも同時に蜂起して欲しいとのことよ」
戦艦水鬼「なるほどね……ここでもし我々が蜂起すれば確かに勝てるかもしれない。皮肉な事に、同じ側に立って『艦娘』のこともよく理解できた」
軽巡棲姫「もう『艦娘』はあの時のように恐ろしい不死身の化け物ではありません。やりようはいくらでもあります」
~
南方棲戦姫「……今こそ、本来の目的を果たす時なのかもね。私たちは好きでこうしてるわけじゃないわ」
空母水鬼「確かに。最期まで戦って滅びるか、敗北を受け入れて生き延びるかと問われて仕方なく敗北を受け入れた」
~
戦艦棲姫「た、確かに望んだ結果じゃないかもしれないけれど、悪くない!!いいえ、私たちが求めていたのは勝利じゃなくてこれじゃないの!?」
防空棲姫「嫌なことをしてくる人もいるけど、でも日本の人たちは私たちを信じて受け入れてくれたよ……!?なのに裏切るつもり……!?」
~
駆逐古姫「どちらにせよ、決断しなくてはなるまい。同胞たちに応えて立ち上がり、為すべきことを為すために肩を並べて戦うのか」
~
空母棲姫「それとも、同胞たちを見捨てて砲をむけ、私たちの新しい居場所を守るために立ちふさがって戦うのか」
↓×1~3 南極に潜んでいた深海棲艦の参戦要請に対する日本に帰化していた深海棲艦たちの反応を太平洋とインド洋でそれぞれ
※太平洋の深海棲艦勢の旗艦は駆逐古姫で、インド洋は空母棲姫
~
ドイツ高官「Mein Führer, 新しい情報が入りました。連合国軍に対して深海棲艦が南極から大規模な攻撃を開始したとのことです」
総統閣下「何だって?それは確かなのか?」
ドイツ高官「間違いありません。連合国軍は現在危機に陥っている模様です。その影響でソ連も動きが鈍りました」
総統閣下「素晴らしい!!我がドイツにとってこれほどの好機はないだろう!!すぐにアフリカ軍団の撤退を強行するのだ!!」
総統閣下「彼らが戻れば東部戦線を立て直すことができる!!そして再び攻勢へと移れるだろう!!東部戦線の主導権を共産主義者どもから奪い返すのだ!!」
ドイツ高官「恐れながら申し上げますが、これは全人類の危機です。この機会に停戦を呼び掛けてはいかがでしょうか?」
ドイツ高官「連合国やソ連と協力して深海棲艦を撃退するのです。そうすれば彼らの我が国への印象が改善されるでしょう。和平交渉の余地が生まれるはずです」
総統閣下「Nein!!イギリスはともかくソ連や日本と交渉など考えられん!!私は命令を下した!!今すぐ実行せよ!!」ダンッ
~
ソ連軍司令官「わ、私は……無能な指揮官で……多くの同志を稚拙な作戦で失いました……司令官としてふさわしくありませんでした……」ボロッ タラリ
ソ連軍司令官「また……ファシストのスパイでもあり……ドイツの諜報機関と結託し……スパイ活動をしていました……」
政治将校「このように将軍は自白した。さらに将軍は先のクリミアの戦いで海軍が危険をものともせず敵海軍を撃退して潤沢な火力支援を提供したにも関わらず敗北した。同志、証言を」
タシュケント「はい、同志。彼は我々が反撃にあいながらも制海権を確保し、ドイツ軍陣地に砲撃を加えて支援したにもかかわらず前進しませんでした」
タシュケント「意図的であったとしか思えません。その結果、我々は無視できない損害を受けたにもかかわらず陸では何の成果も得ることができませんでした」
ソ連軍司令官「っ!?っ……」ギリッ
政治将校「ありがとう、同志。その結果、南部方面軍の進撃は阻止されてしまった。中央や北方では前進を続けているというのに」
政治将校「偉大なる祖国はこの事態を深刻に考えている。貴方が祖国にもたらした重大な危機と敗北を重くとらえ、粛清を決定した」
ソ連軍司令官「なっ!?や、約束だったはずだ……命は助けると……!!」
政治将校「早急にこの男を銃殺刑にしろ。連れていけ」
ソ連軍司令官「自白すれば命は助けると約束したはずだ!!」
ソ連兵「黙れ!!来い!!」ドガッ グイッ
ソ連軍司令官「っ……敵の防衛陣地は堅牢で……あの程度の砲撃ではびくともしなかった……あそこで攻勢をかけたら夥しい死傷者が出ていた……!!」ドサッ ズルズル
ソ連軍司令官「君も見たはずだ!!敵の阻止砲火が我々の陣地を襲っているところを!!私は決して祖国に背いてはいない!!祖国の為にやれるだけのことをした!!」
タシュケント「……」チラリ
政治将校『奴の粛清は党からの命令だ。奴は無能で、深刻な裏切りがあった。君は奴が攻撃を受けていたことを決して証言せず、奴が無能だったと証言しろ』
タシュケント『わかりました、同志。すべて祖国の為です。同志たちのためにあたしにできることならどんなことでもしてみせます。まかせてください』
タシュケント「いや、見てないな。貴方は錯乱しているよ、将軍」プイッ
ソ連軍司令官「嘘だ!!私は君と無線で通信もしたはずだ!!君に火力支援を要請した時に阻止砲火が酷く前進できないと言ったはずだ!!」
ソ連軍将校「……それは本当か、同志?」
タシュケント「全く覚えがありません。彼は明らかに責任転嫁を図っています」
ソ連軍司令官「嘘をついている!!お前は嘘をついている!!」
政治将校「黙らせろ」
ソ連兵「口を閉じてろ!!裏切り者、反逆者め!!」ドガッ バギッ ドガッ
ソ連軍司令官「っ……なぜだ……私は……祖国の為に……」ガクッ
政治将校「後任については連絡通り少将が指揮を引き継ぐことになっている。では解散にしよう。……ああ、同志タシュケント。君は待ってくれ」
タシュケント「どうかしましたか、同志?」
政治将校「君には新たな命令がある。大西洋へ向かってもらうことになった」
タシュケント「大西洋ですか?」
政治将校「そうだ。大西洋で連合国が危機に陥っているらしい。敵は深海棲艦だ。南極に敵対的な残党が潜んでいたそうだ」
政治将校「その影響で祖国への支援物資の輸送が止まっている。一大事だ。早急に事を解決しなくてはならない」
政治将校「また、それに祖国が貢献したことを示す必要もある。君にはすでに派遣している同志ガングートと合流し、彼らの作戦に協力せよ」
タシュケント「了解しました、同志。大西洋へ向かいます。必ずや祖国の期待に応えて見せます!!」
~
スウェーデン海軍士官「君は義勇軍としてアゾレス諸島へ派遣されることとなった。ただし、相手は深海棲艦だけだ。枢軸国との戦闘は禁じる」
ゴトランド「了解。派遣先は王立海軍?」
スウェーデン海軍士官「その予定だったのだが、イギリスはアゾレスから撤退した。派遣先は大日本帝国海軍となる」
スウェーデン海軍士官「彼らはアゾレスで深海棲艦を食い止めるために決戦を行うらしい。君もその決戦に義勇軍として参加するんだ」
ゴトランド「決戦、ね……大丈夫かしら……でもまあ、あのツシマ海戦で有名な帝国海軍と肩を並べて戦うことができるのなら、それはそれで勉強になるかもね」
~
提督(秋津洲たちが発見してくれた敵対的な深海棲艦は南極を拠点に潜伏しつつ戦力を再編、拡張しながら機を待っていたようだ)
提督(奇襲される前に発見できたことで全世界へ警告を発することはできた。しかし奴らも愚かではないようだ)
提督(こちらの態勢が整う前に侵攻を開始してしまった。深刻な事態だ。主に太平洋が酷い。ニュージーランドとは連絡が取れない)
提督(オーストラリアももうだめだろう。現在、敵は大日本帝国領南洋諸島に侵出してくる勢いだ)
提督(我々はイギリスや撤退してきたオーストラリア、ニュージーランドの海軍と協力して深海棲艦をそこで迎え撃つ構えだ)
提督(また、アメリカが支配する太平洋と大西洋をつなぐパナマ運河に対しても太平洋と大西洋の両側から深海棲艦は攻撃を仕掛けた)
提督(貧弱な現地の防衛軍は壊滅し、これにより我々は太平洋と大西洋を繋ぐ海路をすべて失うこととなってしまった)
提督(現在、アメリカ軍は本土で待機していた全艦隊をもってパナマを取り戻すべく激しい戦闘を繰り広げている。そして一方、大西洋では……)
神威「て、敵は大規模な侵攻を継続しています。その目標は間違いなくここ、アゾレス諸島です!!」
神威「敵にとってここは欧州への侵攻にも北米への侵攻にも使える橋頭堡となる拠点です。そして何より行く手を遮る場所にあります。是が非でも落とそうとするでしょう」
神威「私たちの戦力は多くありません……しかもそのほとんどが駆逐艦で、あとは海防艦と軽空母、水上機母艦と練習巡洋艦が少し」
神威「重巡と軽巡に至ってはそれぞれ愛宕さんと龍田さんしかいません……増援を要請しようにも、太平洋での深海棲艦の活動により日本本土が危機に陥っています」
神威「本土防衛に戦力を回さなくてはならない為、戦力に余裕が無くてこちらへ増援は出せないそうです……」
神威「……さらにイギリス軍は敵の規模が大きく、また現在枢軸国の活動も激化しているいためにアゾレス諸島を放棄して撤退することを決定しました」
神威「彼らは艦隊を本土へ引き上げたのち、枢軸国を抑えてからアメリカと連携して北大西洋で深海棲艦を迎え撃つそうです」ジッ
提督(秘書艦をしてくれている神威が現在の状況を説明してくれる。だがその声は震え、不安そうに俺を見つめていた)
提督(状況は限りなく悪かった。欧州水鬼率いる大艦隊がアゾレス諸島攻略を目指して侵攻してきている。彼我の戦力差は圧倒的だ)
提督(おまけに神威は知らないが味方の深海棲艦たちに不穏な動きがある。彼女たちは同胞である深海棲艦の決起に触発されて反旗を翻そうとしているようだ)
提督(彼女たちの旗艦である駆逐古姫や空母棲姫がそれに反対して何とか押しとどめようとしているらしいが、抑えきれないようだ)
提督(あの子や戦艦棲姫、防空棲姫を始めとして俺に忠実な子は何人か居る。空母棲姫や駆逐古姫のようにこちら側の子も少なくはない。しかし、全体的に考えて少数派でしかない)
提督(彼女たちが武装蜂起して我々と戦闘状態に入るのも時間の問題だろう。もしそうなってしまったら……考えたくもない)
提督(彼女たちを併合するきっかけとなったのは俺自身だ。責任がある。それに何より彼女たちが反乱を起こしたら、あの子たちの命が危ない)
提督(俺はそうなる前に何とかしなくてはならない。しかし、だからと言ってここにいる神威や鹿島、皐月や如月たちを犠牲にするわけには絶対にいかない)
提督「彼らの慎重さは充分理解できる。ここで大英帝国の運命を賭けてまで決戦するべきではないと判断したのだろう」
帝国海軍士官「申し訳ありませんが、提督。大本営は早急な回答を必要としています。場合によっては大西洋どころか欧州からの一時的な総撤退も視野に入れているのです」
帝国海軍士官「貴方が使える戦力は現有のもので全てです。その戦力でアゾレス諸島を防衛できますか?」
提督「勿論だ」キリッ
~
提督「さて諸君、戦況は圧倒的に不利だ!!決戦など挑んでも勝ち目があるとは思えない!!……誰もがそう思うかもしれない」
提督「だが、勝ち目はある。むしろ勝率は高いぞ?敵は長く戦闘を経験していない。その練度はそこまで高くないはずだ」
提督「そして何より今回の決戦は文字通りの純粋な艦隊決戦となる。敵には何隻もの戦艦が居る。巡洋艦も駆逐艦もだ。だが、空母は少ない」
提督「砲雷撃戦で雌雄を決することになるだろう!!そしてここにいる諸君らの本分はその艦隊決戦だと信ずるが……どうだ、神風?睦月?」
神風「もちろんよ。もうとっくに準備はできてるわ、司令官」ゾクゾク キリ
睦月「負ける気がしないのね!!てへっ♪」ニタァ
提督(そう頼もしい返事をしてくれる二人だけでなく、睦月型や神風型の子たち全員の目が爛々と輝いていた。それは紛れもなく駆逐艦娘の目だ)
提督(この日を待っていたと心から喜び震えている。船団護衛でなく、艦隊決戦を。敵を屠ってやろう、戦艦を喰らってやろうと昂っていた)
提督「よろしい、ならば決戦だ。安心してくれ。何も水雷戦隊だけで無謀な突撃をさせようとしているわけではない。強力な援軍がすぐに到着する」
~
提督「Bienvenue aux Açores(ようこそ、アゾレス諸島へ), リシュリュー。この間ぶりだな」
リシュリュー「Merci, Amiral. Commentallez-vous(ご機嫌いかがかしら)?」
提督(俺が決戦を決意した約束の援軍が到着した。元ヴィシー・フランス海軍の子たちだ。あの騒ぎの時、自由フランスの指導者たる少将と繋がりが持ててよかった)
提督(元ヴィシー組と純粋な自由フランス組の関係が良くないことはテストからの話で知っていた)
提督(そのせいで自由フランス海軍の司令官が元ヴィシー組を持て余していたことも。戦力が足りないなら、集めればいい)
提督(上を通している暇はなかった。俺は個人的に少将に連絡をとり、彼女たちを遠征軍として派遣してくれるよう要請したのだ)
提督(少将も俺の実績は高く評価してくれていた。そしてアゾレスの決戦でフランス艦隊が活躍することを強く望んでいた)
提督(その結果がこれだ。艦隊決戦における最高戦力が重巡だった我が艦隊に最新鋭の戦艦が加わった。リシュリューと挨拶を交わす)
提督「君がこの戦いにおける文字通りの要となるだろう。頼りにさせてもらうぞ」
リシュリュー「ええ、任せて頂戴。……けれど、私たちが来てもまだ戦力差は圧倒的だとおもうけれど」ジロリ
提督(リシュリューはじっと俺の目を見つめていた。そこには不信が込められていた。戦って死ねと言うつもりかと疑っているのだ)
提督「安心してくれ。勝ち目のない戦いはしない。俺の一番大事な役目は戦闘前にどれだけ勝てる要素を集められるかだ。そしてそれはまだ終わっていない」
リシュリュー「そう……」
提督(俺はまっすぐとリシュリューの目を見てそう答えた。が、リシュリューの不信はなおも消えないようだった)
提督(初めは信用されていないのかと思った。しかし気が付く。どうやらリシュリューは疑心暗鬼になっているようだ)
提督(運命のいたずらに弄ばれて酷く傷つき、弱っているのだ。ただ純粋に目の前の女の子にできる限りのことをしてあげたいと思った)
提督「……リシュリュー。俺は君の能力を高く評価している。戦艦娘としての戦闘力はもちろんだが、何よりその人となりをだ」ジッ
リシュリュー「……」
提督「そんな君が理不尽な世の中に翻弄されてこのようなことになってしまっているのは心が痛む」
リシュリュー「っ……貴方に何が分かるのかしら、Amiral……私と違って華々しく活躍している貴方に、私の何が理解できるというの……!?」ピクッ ギロリ
提督(俺を鋭く睨みつけたリシュリューが押し殺した声でそう呟く。俺はそんなリシュリューの視線を正面から受け止めながら言葉を続ける)
提督「理解できるとは思っていない。だが、してあげられることはある。リシュリュー、君に必ずや勝利と名誉を捧げてみせる」
~
リシュリュー(私は、腐っていた。海での戦いはもう決着したも同然だった。私の出番はなかった)
リシュリュー(ヴィシーの時にはヤマトを大破させたりとそれなりの戦果を挙げていたけれど、今やそれは無かったことになっている)
リシュリュー(私は戦艦娘だから、必要とする物資の量も多かった。それに加えてヴィシーから合流した私たちと元から自由フランスにいた子たちとの対立)
リシュリュー(今や私は何もすることが無い。出撃することすらなくなった。自分の運命を呪わずにはいられなかった)
リシュリュー(私は自分に自信を持っている。ヤマト?アイオワ?それともキング・ジョージ5世?あるいはリットリオかビスマルク?いいや、違う。最強の戦艦は私だ)
リシュリュー(軍人としても私は正しくあったと誰にでも誇れる。なのに不条理の挙句の果てに私は……)
リシュリュー(このまま自分の能力を十分に発揮することもできずに、こうして何も為さずに消えていくしかない……そう思っていた)
提督「理解できるとは思っていない。だが、してあげられることはある。リシュリュー、君に必ずや勝利と名誉を捧げてみせる」
リシュリュー「……!!」ドクン
リシュリュー(私は……ずっと誰かにそう言ってもらいたかった……その言葉が矢となって私の胸を貫くのが見えた気がした)
リシュリュー(残酷だった。今、私の心を奪ったこの人はもう既に他の女の……テストの……私は何とか感情の嵐を抑え込んで自分を取り繕う)
リシュリュー「……なら、捧げて見せて頂戴」ジッ
~
ガングート「紹介する。彼女は同志タシュケントだ。黒海艦隊の所属で赤色海軍が誇る優秀な艦娘だ」
タシュケント「Здравствуйте(こんにちは)!!嚮導駆逐艦、タシュケント、はるばる来てみたよ。よろしくお願いするね、提督!!」ニコッ
提督「Добро пожаловать на Азорские острова(アゾレス諸島へようこそ).ソビエトからの援軍に感謝する」ニコッ
提督(俺の目の前で人懐っこそうに微笑む少女はソ連から新たに送られてきた遠征軍だ。もこもことした黒いУшанкаを被り、空色のケープを羽織っている)
提督「私は大日本帝国海軍の提督だ。今回の戦いの指揮を執ることになっている。よろしく頼む」
タシュケント「貴方の活躍はよく聞いているよ。アルハンゲリスクの英雄なんだって?そんな凄い人の指揮下で戦えるなんて光栄だな!!」
提督「君の期待を裏切らないように頑張らなくてはな。さて、では早速だが状況を説明しよう」
~
ガングート「ああ、同志タシュケント。私は彼に話があるんだ。先に部屋へ行っていてくれ」
タシュケント「そうなんだ?了解。先行ってるよ、同志ガングート」
提督(説明が終わって神威に二人の部屋まで案内してもらおうとしたら、ガングートがそんなことを言う)
神威「では行きましょうか、タシュケントさん」
タシュケント「うん、お願いね」
提督(二人が部屋を出ていく。その瞬間、ガングートは音がしないように鍵を閉めるとそのまま静かに俺の胸に飛び込んできた)
ガングート「あぁ……これだ……貴様の匂い……貴様の温もり……ここが私の居場所だ……」
提督「すぐに会えてよかった」
ガングート「何度命令を無視して貴様についていこうかと思った事か……」
提督(左遷された俺にガングートはついてきたがった。しかし地中海の戦いが佳境だったためにソ連はガングートにそこで戦果をあげさせたがったのだ)
ガングート「……」ジッ
提督(ねだるような視線、俺はガングートの顎に手を添えて上げさせる。ガングートが目を閉じた。唇を奪う)
提督「……っ。少しなら時間をとれる」スッ
ガングート「んっ……///来てくれ、提督」キュンキュン
~
提督「っ……ふっ……!!」パンパンパンパン
ガングート「あぁ~~~~~~~~~っ!!激しい!!激しすぎるぅ!!」ビクビクビク
提督(決戦を前にして俺も昂っていたらしい。獣性に任せて立ちバックで乱暴にガングートへ腰を打ちつける)
提督(我ながら雑だった。ガングートの下着の中に手を入れてそのまま秘所を弄りガングートの体をできあがらせる)
提督(そして切なげに喘ぎを漏らし、甘えて体を摺り寄せてくるガングートに手を机につかせて腰を突き出す様に命じた)
提督(独りよがりなかなりひどい扱いだったが、ガングートは俺を見つめると文句も言わずに素直に従った)
提督(そんな彼女に俺はスカートをめくり下着を太腿までズリ下ろすと本能のままにぶち込んでいたのだ。自己嫌悪するが、それ以上の満足感を覚える)
提督「ほら、お前にくれてやるぞ、ガングート……!!もっといい声でないてみろ!!」
ガングート「あんっ!!んぁっ!!あぁっ!!!!お、おくっ!!おくこわれちゃうっ!!ていとくっ!!もうゆるしてくれぇ!!」キュンキュン
提督(ガングートの頭を掴んで机に押し付ける。まるでレイプしている気分だった。俺はガングートの体にのしかかるとフィニッシュをきめる」
提督「ほら……受け取れっ!!」ドチュン ビュルルルルルル
ガングート「くぅうううううううううう!!わたしのおく……あついのたくさん……もうとっくにあなたのものになってるのに……もっと染められる……」ビクンビクン
提督(心地よい射精感。俺の体の下でびくびくと震える女体。俺は心から満足した。が、押さえつけられて跡が残ったガングートの頬を見て我に返る)
ガングート「はぁ……はぁ……」
提督「っ……すまない、ガングート……」
提督(すぐに消えるだろうが、それほど強い力で硬い机に押し付けたのだ。こんな女の子を。激しい後悔に襲われる)
ガングート「い、いいんだ……決戦を控えて貴方は荒ぶっているのだろう?ならそれを沈めるのが女の役目だ」ニコッ
提督「そう言って慈母のように微笑むガングート。たまらなく愛おしくなる。俺はモノを引き抜くと、ガングートをこちらに向かせる)
提督「そうだな……君のような美しい乙女の役目だ。っ……」
ガングート「んっ……ちゅ……れろえろ……」
提督(そして唇を交わして濃厚に舌を絡ませ合う。そしてそのまま二回戦へともつれ込んだのだった)
~
提督「Välkommen till azorerna(ようこそアゾレス諸島へ)!!……Maybe it`s wrong pronounce(もしかしたら発音が間違っているかもしれないが)」
ゴトランド「Ja!!Tack så mycket!!(そんなことないわ、どうもありがとう!!)スウェーデン語を話せるのね?」ニコッ
提督「付け焼き刃だよ。挨拶ぐらいしか話せないし、聞き取るのも苦手だ」
ゴトランド「それでも十分よ!!スウェーデン語で話そうとしてくれてとてもうれしいわ!!アリガト!!……あってる?」
提督「ああ、上手いものだよ。こちらこそありがとう、日本語で話してくれて」ニコッ
提督(よし、掴みはなかなかいいのではないか?お互いに自己紹介を始める。彼女はゴトランド。スウェーデンからの義勇軍だ)
提督(深海棲艦の侵略に対して各国が義勇軍を送ってくる動きがある。彼女はそうして送られてきた義勇軍第一号だ)
提督(そしてアゾレスの決戦に唯一間に合いそうな義勇軍だった。ふむ、航空巡洋艦か。水上機持ちが少ない今回の戦いでは貴重な偵察要員になってくれるだろう)
提督「では戦況の説明をさせてもらう」
ゴトランド「よろしくお願いします」ニコッ
~
提督(出撃予定日の一日前。俺は決戦を中止しようかと思っていた。俺が決戦を決意した二つの増援のうち、片方が到着していなかったからだ)
提督(今考えれば我ながら緊急事態にかまけてだいぶ無茶なことをしていた。後々問題にされるかもしれない)
提督(だが、躊躇いはなかった。この一戦に全てがかかっていると言っても過言ではないのだ)
提督(少なくとも、アゾレスで敵を食い止められなかったら深海棲艦との内乱が起きるのを止められないのは確実だ)
提督(しかし、だからと言ってここにいる勇敢な子たちに向かって食い止められれば何とかなる。だから死んでこいなどとは命令できない)
提督(想定していた戦力を確保できなかった以上、作戦は中止するべきだった。そう、この瞬間までは)
提督「Benvenute!!よく来てくれた!!本当に間に合ってよかった!!」
ザラ「Scusa, sono in ritardo(遅れてごめんなさい)……出るときいろいろ問題があって……出発した後も飛行機が故障したりするし……」シュン
ローマ「まあ、間に合ったのだからいいでしょう?イタリア女が時間に遅れてくるのは当然だもの」キロリ
提督(La Regia Marinaの捕虜たちの中から志願者を募って編成した義勇軍だった。相手が深海棲艦であることもあり、捕虜の半数が志願してくれたのだ)
提督(せめてザラとポーラ、イタリアとローマが来てくれればと思っていたが、予想以上の志願者が集まることとなってくれた)
提督「気にしないでくれ。もともとかなり際どい計画だったし、ローマの言う通り間に合ったのだからあとはどうとでもなる」
ポーラ「そう言ってくれるとありがたいですぅ。とりあえず再会祝いに呑みましょうかぁ?いいワインがあるんですよぉ」ニコッ スッ
ザラ「ちょっとポーラ!?」キッ
提督「そうだな。24時間後には出撃になるが、少し飲むくらいなら大丈夫だろう。飲みすぎて出れないというのは困るが。だがその前に状況の説明をさせてもらいたい」ニコッ
イタリア「……」ジッ
~
イタリア『そんな事、どうでもいいです。私は貴方に愛してもらえればそれで満足ですから///』
提督『……!!……すまない』カチャカチャ スクッ
イタリア『ぁ……提督?』
提督『……』スタスタスタ
イタリア『提督!?っ!?ま、待ってください!!』グググッ ズルズル
提督『その気持ちは……君の本心じゃなかったかもしれない……本当にすまない。ではな』
イタリア『提督!!』
ガチャン
イタリア『……!!ど、どうして……』ガーン ジワァ
かつてイタリアは国を売った。戦友たちを売った。勿論、葛藤があった。時間が無かったとはいえ、悩みぬいたうえでの決断だった
イタリアは母国がドイツと同調して日本と戦争を始めたことをよく思っていなかった。ドイツが日本へ新型爆弾を投下して多くの民間人に被害がでたと聞いて心が痛んだ
イタリアは日本との戦争に疑問を持っていたのだった。迷いがあった。どうして日本と戦わなくてはならないのだろうと
スエズでの戦いに負けたイタリアは捕虜にされた。そんなイタリアを尋問したのは提督だった。彼女の想い人だったのだ。殺してしまったと思った。どれほど絶望したか……
その彼が生きていた。どれほど喜んだか言葉にはできない。尋問において、イタリアは提督に対して殺しかけてしまった弱味があった
その上、想い人からあんなことをされて……あんな風に愛を囁かれて……耐えられなかったのだ
もし仮に疑問を持っていなかったら。日本との戦争に納得できる理由があったら。いくら提督相手で、なおかつああいう状況だったとしても話さなかった
もし仮に相手が提督ではなかったら。自分の想い人でなかったら。日本との戦争に疑問を持っていても、絶対に口を割りはしなかった
日本に対する戦争への疑問と提督に対する想い。その二つの要因が重なってしまったからこそ、イタリアは裏切り者になってしまったのだ
しかし、そんな彼女に対して提督は誤解されかれないセリフを言い残して背を向け行ってしまった
提督はあの話をして受け入れてもらえるまで手を出さないという自分の中の掟を破った上に、イタリアを快楽堕ちさせてしまったと自己嫌悪していた
そのためにあのような態度をとってしまった。イタリアに対する失望や嫌悪は全くなかった。だが、そんなことをイタリアが知る由もなかった
養豚場のブタでもみるかのように冷たい目で私を一瞥した後、行かないでほしくて提督の名を呼んだが、それに構わず提督は行ってしまったそうとしか思えなかった
仲間を売った自分に対して失望したから行ってしまったのだとしか思えなかったのだ。提督の為だったのに……提督が自分を醜い裏切り者にしたのだというのに……
↓×1~3 今、提督が私の目の前に……イタリアの心情と行動
※大事な作戦が24時間後に控えていることを踏まえて
~
ザラ「……提督の作戦にはいつも驚かされます。まさかそんな方法で……この作戦なら、戦力差があろうと十分戦える!!」
ローマ「……正直、提督のことが怖いと感じるときがあるわ。貴方を敵に回した時点で私たちに勝ち目はなかったのかもね」
提督「誉め言葉と受け取っておこう、ローマ。さて、君たちの練度なら心配していないが、ぶっつけ本番というのも不安ではある。演習を行おう」
ポーラ「えぇ?演習ですかぁ~?その後に宴会の時間はちゃんとありますよねぇ?ポーラは飲まないと実力出せません~」
ザラ「ポーラ!!」
イタリア「まあまあ。時間はあるし、適度なお酒は緊張を解してくれるわ。演習を行って問題ないようならむしろ宴会を開いた方がいいでしょう。ですよね、提督?」
提督「ああ、もちろんだ」
ポーラ「さすがイタリアさん、わかってるぅ~!!」
ポーラ「っ……提督とイタリアさんがそう言うのなら……でも飲みすぎは厳禁よ、ポーラ!!ちゃんと見てるからね」
ポーラ「えぇ~やだぁ~」
ローマ「ほら、バカやってないでさっさと演習を終わらせるわよ。飲む時間が短くなるわ。行きましょ」
~
ガングート「Расцветали яблони и груши♪」
タシュケント「Поплыли туманы над рекой♪」
「「Выходила на берег Катюша♪На высокий берег, на крутой♪」」
占守「……」ウズウズ
ポーラ「やぁ~!!これはポーラのです~取らないで~!!」ギュッ
ザラ「ダメ!!飲みすぎよポーラ!!服をちゃんと着なさい!!」ググググ
如月「こっちは如月のよぉ!!とっちゃダメなんだからぁ!!」ギュッ
睦月「だめにゃしぃ!!これ以上は飲ませないよ!!」グイグイ
朝風「どう考えてもキリンでしょ!!この深いコクとキレのある味わい!!他のビールじゃ絶対に味わえないもの!!ヱビスなんて飲めたもんじゃないわ!!」キッ
松風「どう考えてもヱビスだね!!本物のコクを知らないからそんなことが言えるんだ!!そしてこのまろやかさ!!キリンなんかとは比べ物にならないね!!」キッ
春風「まあまあ、どちらもそれぞれのおいしさがあるじゃないですか。どちらがより優れているかというのは決められませんよ」オロオロ
リシュリュー「……騒がしいわね。せっかくのフランスワインが不味くなるわ」
ローマ「なにそんな二流品飲んでるのよ。こっちの一流品のイタリアワインを分けてあげるわ。感謝しなさい」
リシュリュー「はっ?」ギロリ
ローマ「な、何よ……!?人がせっかく分けてあげるって言ってるのに!!やるつもり!?」
イタリア「……」キョロキョロ
イタリア(……提督が居ない!!な、何で……っ!!まさか提督……私たちには時間を作っておいて自分はまだ執務中なんじゃ……いえ、きっとそうだわ!!)
イタリア「っ……い、今からでも秘書艦に……」
Z3「んっ……ドイツのが一番だわ。ビールもワインも」
ゴトランド「ワインはドイツのが好きだけれどビールはスウェーデンのが一番よ」
イタリア「っ!?」
イタリア(英語だった。でも、聞き覚えのある声。そちらを見る。そこに居たのは服こそ帝国海軍の制服で、瓶底眼鏡をかけ、大きな白いサージカルマスクをしている少女)
イタリア(まるで明らかにコーカソイドである顔立ちを隠すように。赤銅色だったはずの髪も黒い。染めたのか、あるいは鬘か)
イタリア(予想通りの、ここに居るはずのない戦友がそこに居た。どうしてドイツに居るはずのこの子が……私は思わず声をかける)
イタリア「あ、貴女……マックス……?マックス・シュルツよね……?どうしてここにいるの?」
Z3「っ!?」ビクッ
ゴトランド「マックス?」
Z3「……誰と間違えているのか知らないけれど、私は大日本帝国海軍所属、橄欖型駆逐艦の一番艦、橄欖よ」
イタリア「えっ……?か、カンラン……?」
ゴトランド「?」キョトン
Z3「っ……!!ごめんなさい、ちょっと失礼するわ。来て……!!」スクッ グイッ
イタリア(戸惑う私を不思議そうに見ているスウェーデン海軍の、確かゴトランドさん。マックスが焦った様子で立ち上がるとそう言って私を引っ張っていく)
ゴトランド「え、ええ」
イタリア「ちょ、ちょっと、どうしたの……?」
Z3「……聞いて」
イタリア(廊下まで連れてこられる。人気のないそこでマックスが眼鏡を外すと至近距離で私を見上げながら囁いてくる)
イタリアはZ3から処刑されそうな提督の命を守るために脱走して、現在は提督と共にいるという今までの経緯(さすがに性的関係のことは言っていない)
そして今は戦力が一人でも欲しい緊急事態の為にドイツ系日本人の艦娘で、大日本帝国海軍の橄欖型駆逐艦、一番艦、橄欖を名乗ってこの決戦に参加するということを説明される
……いくら提督の命を守ったとはいえ、こちらも提督の為に国を売った。なのにZ3と自分とで扱いが 違 い す ぎ ないカシラ……?
↓×1~3 イタリアの反応
イタリア「……ぐすっ」ジワァ
Z3「!?」
イタリア「ど、どうして……ひっく……どうして私のことは……うぅ……」ダキッ ギュッ
Z3「っ!!……何があったのか分からないけど、きっと大丈夫よ。少なくとも提督がらみのことなら、悪いことにはきっとならない」ギュッ ナデナデ
~
提督(敵は我が方の4倍だった。それを、戦力的な優勢を確保しつつも密集のし過ぎで個々が最大能力を発揮することができなくなることを防ぐために二つに分けている)
提督(そしてお互いに連携できる程度の距離を保ちながらそれぞれがアゾレスに向かって分散合撃を狙って侵攻してきた)
提督(もしアゾレス到着前に我々が全戦力を以てして片方の敵艦隊を攻撃しても、相手は自軍の二倍だ)
提督(それでも一見、四倍の敵相手に戦うよりはましに見えるかもしれない。だが、実はそうとは言えない。敵艦隊は連携できる距離を保っているからだ)
提督(片方に集中攻撃を加えたとしても、もう片方の艦隊が援軍に駆けつけてくるまでに撃滅することは難しい)
提督(その場合、敵の援軍は戦闘を続ける我が艦隊に対して有利な位置をとりつつ戦うことが可能となる)
提督(つまり最初こそ二倍の敵との戦闘だが時間が経てば不利な状況で四倍の敵を相手に戦わなくてはならなくなるのだ。が、実はそれ以前の問題だ)
提督(敵の目的は艦隊の撃破ではなくアゾレスの攻略である。もし片方に戦力を集中した場合、もう片方がアゾレスへの侵攻を継続したら?)
提督(戦艦の主砲クラスの対艦砲を持たない我々は抵抗のしようがない。把握している敵の戦力から考えてその場合には少なくとも五隻以上の戦艦が襲い掛かってくる計算だ)
提督(我が艦隊に所属する子は皆優秀だ。二倍の相手に対して勝つことも可能だろう。が、戦艦五隻はその間にアゾレスの拠点を撃滅するのには十分な数だ)
提督(軽空母たちの航空隊と基地航空隊もそれほどの大艦隊に対して有効な攻撃をするのに必要な数の半分も無かった)
提督(つまり片方の敵艦隊へ集中攻撃を加えることは不可能なのだ。我々は不利を承知で艦隊を分けて侵攻する敵の二個艦隊をそれぞれを同時に撃退する必要がある)
提督(四倍の戦力差は実に圧倒的だ。いくら皆が優秀とはいえ、四倍の数を相手に勝利することはできない。……普通なら)
提督(しかし普通でなかったら?もし相手に目隠しして戦うことができたら?その場合、戦力差は関係ない)
提督(敵は有効な反撃すらできず四分の一程度の相手に一人ずつ沈められることになるだろう。そう、だから我々は敵に目隠しをする)
提督「Z旗を掲げろ!!『人類ノ興廃此ノ一戦ニ在リ、各員一層奮励努力セヨ!!』艦隊、出撃!!」
~
欧州水鬼「……オカシイ。ナゼ奴ラハ航空コウゲキをシカケテこない?ワレワレのコウクウタイをゲイゲキしてばかりデハないか」
駆逐水鬼「航空センリョクがナインジャないの?」
欧州水鬼「ソレデモ、カイムではないハズダ……少シでも戦力差ヲウメタイはず……コウゲキしてこないリユウガ分からない……」
駆逐水鬼「確カニ……でも、ワルイコトジャないでしょ?だって敵の機動ブタイは無力化デキタシ」
欧州水鬼「ソウではアルガ、そのダイショウにこちらのコウクウタイもジンダイなヒガイを……っ!!ソウカ!!」
駆逐水鬼「?」
欧州水鬼「確カ敵ニハ軽空母シカいなかったハズ……それにシテはセントウキのカズがオオスギたデハないか!!」
駆逐水鬼「……ツマリ、テキはコウゲキタイをトウサイせずにスベテセントウキタイにしている……ネライはこちらのコウクウタイ?」
欧州水鬼「ソウダ。どうやらテキはカンタイケッセンをネラッテいるようだ!!フフッ、いいダロウ……ウケテタッテやる!!」
~
提督(敵の航空隊は撃滅できた。作戦通りだった。軽空母たちは装備をすべて戦闘機として、自らを餌として敵の航空攻撃を誘致)
提督(襲来してきた敵航空隊を戦闘機隊で撃滅する。完璧に決まった。軽空母たちの被害は大きいが、敵の航空隊はもう壊滅状態だろう)
提督(これで敵の航空隊を警戒する必要はもうない。彼女たちは普通に夜間攻撃してくるからな。夜目がきくのだ。フラッグシップともなればそれぐらい余裕でやってのける)
提督(そう、我々の狙いは夜戦だった。敵に夜戦を挑むのだ。駆逐艦の数が多いこちらにとって、それ以外の選択肢はない)
提督(だが、いくら夜戦とはいえ接近する前に戦艦から攻撃を受ければ勝ち目はない。敵にたどり着く前に大破してしまうだろう。そう。だから敵の視界を奪うのだ)
~
戦艦仏棲姫「っ……奴ラが撒イテルアルミ片のセイでレーダーが死ンデイル!!」
重巡棲姫「小癪ナ……!!」ギリッ
ゴトランド「ふふっ、眩しいでしょう?まだまだあるのよ!!」
戦艦仏棲姫「ッ……マタ照明弾か……!!タイクウホウカ!!」ドンドンドン
重巡棲姫「ヤツラ照明弾ダケ投下シ続ケテ!!何ノツモリだ!?」ドンドンドン
戦艦仏棲姫「我々ヲ休マセズ警戒サセテ消耗サセヨウとシテイルにチガイナイ!!ソレニ加えてイツ敵がライシュウスルのかワカラナクしている……!!」
重巡棲姫「っ!!忌マワシイ奴ラめ!!」キッ
~
提督(暗順応……それは可視光量の多い環境から少ない環境へ急激に変化した場合に、時間経過とともに徐々に視力が確保される、動物の自律機能)
提督(そう、時間がかかるのだ。暗闇に目が慣れるのには。人間では暗順応に十五分から三十分ほどかかるらしい)
提督(そして深海棲艦たちもだいたい同じぐらいの時間がかかる。徐々に見えるようになっていくために、完全にではないがその間、奴らは盲目になると言っていい)
提督(それだけの時間があれば、距離を詰めて蹂躙するのには十分だ。潜水艦娘からの情報もあり、水上機たちは無事に敵艦隊を発見することができた)
提督(現在、絶え間なく照明弾を投下している。報告によると敵は対空砲を撃ってきているとのことだ。完璧に光を見ている。眩く輝く照明弾を。勝ったな)ニヤッ
~
択捉「最後の照明弾が海に落ちました!!皆さん、目隠しをとってください!!」
リシュリュー(先導してくれていた海防艦の声、私は目隠しをとる。やはり見えるというのは安心するわね)
択捉「どうですか?見えますか?」
リシュリュー「ええ。完璧よ」
択捉「了解です!!このまま前進すれば敵が視認できるはずです。では私はこれで離脱します。武運を!!」
リシュリュー「Merci beaucoup. 任せて頂戴……」ブルッ
リシュリュー(武者震いが止まらない。栄光が今、目の前にある。あとはそれに手を伸ばして掴むだけ)
リシュリュー「勇敢に進みましょう。そうすれば全てはうまくいくそうよ。Richelieuに付いてきなさい。Venez avec moi!!」
~
提督(暗闇に目が慣れた後、艦隊全員に目隠しをして航行させる。そしてそれを海防艦が先導しながら敵へと向かうのだ)
提督(そして接敵直前、照明弾の投下を止めさせ、暗くなったところで目隠しをとらせる。敵はすっかり暗順応を失っているが、こちらの艦娘たちは暗闇に目が慣れたままだ)
提督(気が付かない敵に接近できるだけ接近する。高い練度が必要だ。敵は彼女たちの方を見るだろう)
提督(だが、見えていない。しかし見られたかもという恐怖は耐え難いものだ。命がかかっているのだから。つい発砲したくなるだろう)
提督(それでも彼女たちの練度であれば、それに耐えられる。恐怖を支配してひたすら敵に向かって静かに忍び寄ることができる)
~
イタリア(戦果を挙げればきっと提督は私をちゃんと見てくれるはずよ……だからこの決戦で活躍して見せる……!!)
タ級「っ!?敵艦隊ハッケン!!セッキンチュウ!!」
「「「「!?」」」」
ローマ「気が付かれた!!撃ちましょう!!」
イタリア「Sì!!夜の戦いは負けないわ!!主砲、狙え……今よ!!撃て!!」ドゴォン
ドゴォン ドゴォン ドンドンドン
~
提督(そして本当に敵がこちらへ気が付いた時、攻撃を始めるのだ。敵に気が付かれたのを察知することも簡単ではないが、彼女たちならできる)
提督(敵は驚き、混乱に陥るだろう。しかし練度が低いわけではない。必ず態勢を整えて反撃してくる。おそらくその時点で水雷戦の距離までもう少し。戦艦が盾になる)
~
ガングート「ぐっ……!!」ドガァン
タシュケント「同志!!」
リシュリュー「あともう少しよ。耐えなさい」
ガングート「言われなくても!!この私が、この程度で沈むと思うな……!!あったまってきたぞ」ギロリ
~
提督(敵は未だに目が暗闇に慣れていない。それでも被弾は免れないだろう。だが、戦艦の堅牢さは伊達ではない。もはや突撃を阻止することはできない)
提督(普通に考えれば敵は火力を集中するために横を向けているだろう。T字不利となっているはずだ。だが、我々は十分に接近している)
提督(その横っ腹を食い破るのは容易い。1805年10月21日トラファルガーの海戦。あの戦いのネルソン・タッチと全く同じ状況だ)
提督(歴史に学ぼうではないか。あの時のフランス艦隊の末路を。戦力差はトラファルガーよりも遥かに大きいが、相手は奇襲を受けて混乱している)
提督(その上、まだ目が暗闇に慣れていない。そして我が方の駆逐艦は皆、手柄に餓えている。敵にとっては地獄だろうな)
~
神風「大物狩りの時間よ!!さあ、追い込むわ!!てぇ!!」ドン バシュバシュ
睦月「主砲も魚雷もあるんだよっ!!やっちゃえみんな!!」ドン バシュバシュ
~
提督「勝ったな」
帝国海軍士官「信じられません……奇跡です……!!」
提督(偵察機から入ってくる報告は司令部を沸き立たせていた。夜だが燃え上がる炎が確認するのに十分な程あたりを照らしていたのだ)
提督(一方的な戦いだった。現時点で敵艦隊は半減していた。俺は待機しているであろう潜水艦娘たちに連絡する)
提督「さて諸君、獲物は間もなく君たちの狩場に逃げ込んでくるだろう。存分に楽しんでくれたまえ」
伊168「ふふっ、夜は私たちの世界よ。仕留めるわ!!」
伊19「いひひっ!!提督!!アイツら倒したら、ご褒美ほしいの!!」
U-511「わかった。頑張るね、Admiral」
伊8「戦闘は……あまり好きじゃないけど、仕方ない。やるからには徹底的に」
~
欧州水鬼「バカナ……コンナハズでは……!!っ!!総員、テッタイせよ!!ミナミへノガレロ!!ワタシがアシドメする!!」
駆逐水鬼「っ!!ソレナラワタシガ!!っ!?」ブオン ビクッ
リシュリュー「お前が旗艦ね?逃がさないわ」ギロリ
駆逐水鬼「……!!」
欧州水鬼「アレをトメラレルのはワタシしかイナイ。アトはヨロシクタノむ。アイツにスマナイとツタエテくれ」ニコッ
駆逐水鬼「っ……リョウカイ……!!」ジワァ
欧州水鬼「……ワレワレのホコリとメイヨのタメに!!チッテいったセンユウたちのココロのヤスラギのタメに……!!コノワタシがセメテイッシムクイテやる!!」 キッ
~
戦艦仏棲姫「ウソデショ……コンナトコロで……もうオワリ……?」
ローマ「沈め!!っ!?」ドガン
重巡棲姫「ヤラセルカッ!!」 キッ
イタリア「ローマ!?」
ローマ「や、やられた……!?ちっくしょう、今に見てなさいよ……!!」ボロッ
戦艦仏棲姫「マタ……ワタシ……ナニモ……ナニモ……!!」カタカタカタ
重巡棲姫「イキテイレバ!!ナントカなる!!」グイッ
戦艦仏棲姫「っ!!イ……イキテイレバ……」ハッ
重巡棲姫「ソウダ!!だからイキノコリを連れてテッタイしろ!!イイナ!?」
戦艦仏棲姫「ア、アナタは……っ……ワカッタ……テッタイする……」コクコク
重巡棲姫「イケ!!……コレイジョウはヤラセナイ!!ヤラセナイゾ!!」ギロリ
イタリア「ローマ、これ以上は危険よ!!撤退しなさい!!」
ローマ「っ……あとはお願い、姉さん……」
イタリア「任せて!!よくも妹をやってくれたわね、深海棲艦!!」キッ
~
ネ級「シ、シニタクナイ!!コロサナイデクレ!!」
タ級「コ、コウフクする!!コウフクするカラ……ドウカイノチダケハ……!!」
もう勝利は確実だった。今は潰走する深海棲艦に対して戦果拡大の為に追撃を仕掛けている
その最中、深海棲艦が命乞いをしてきた。戦艦と重巡だ。捕虜にしても大戦果であることは間違いない
しかし、そうすればもうこれ以上の戦果拡大は望めなくなってしまう。他の子はこのあとも追撃を続けて戦果を拡大するだろう
不本意ながら船団護衛が主任務である自分たちに再びこれほどの戦果を挙げる好機が来るかどうかは怪しかった
そして深海棲艦相手に戦時国際法は適用されないだろう。殺してしまっても全く問題なかった
↓×1~3 神風型か睦月型の駆逐艦娘1~2人とその行動
例)
卯月 こんな大戦果見逃す手はないぴょんと駆逐艦の本能に任せて撃沈する
朝風と松風 流石に降伏した相手を殺すのは気が引けるので不承不承ながら戦果をあきらめて捕虜にする
神風(……手柄が減ってしまうのは残念だけど、深海棲艦とはいえ戦意のない敵を殺す必要はないわね)
神風(むしろ捕虜にすることで深海棲艦側も投降しやすくなるかもしれない。そうすれば無駄な戦闘を避けられてこちらの被害も抑えられる)
神風「いいでしょう、投降を受け入れます」
神風(深海棲艦は私の言葉を聞いて安心したようだった。でもその時、声が聞こえた。いつも通りなのに、でもいつも以上の恐ろしさだった)
龍田「あら~だめじゃない、神風ちゃん~。そんなことしちゃ」スッ
ネ級「っ」ゴプッ
神風「っ!!」ビクッ
神風(ネ級の胸から何かが出てきた。血に濡れた赤い刀身のそれは龍田さんが装備している薙刀みたいな武器だ)
神風(ネ級が口から血を吐いた。何が起きているのか分からないと言った表情を浮かべている。そして胸の傷からも血が噴き出た)
神風「うわっ!?」バシャ
龍田「相手は深海棲艦、捕虜をとる必要はないわ~」グイッ ブシュッッ ジャキッ
ネ級「」ドサッ
神風(ネ級の胸から噴き出た血液を浴びて、つい声が出てしまった。ネ級がその場に前のめりに倒れる)
神風(ネ級を蹴り倒して薙刀を引き抜いたのは龍田さんだった。もう既に返り血を浴びて真っ赤に染まっている)
タ級「ッウァアアアア!?」
神風(タ級が悲鳴をあげて逃げようとする。その背中から龍田さんが薙刀を袈裟懸けに切りつけた。タ級の体が真っ二つになる)
タ級「」バシャン
龍田「あはははははは!!……絶対逃がさないから」ハイライトオフ
神風「ひっ……!!」
龍田「ごめんね~横取りしちゃって~。この二匹は神風ちゃんの戦果で良いから~」ブン ピッ
神風(それ以上直視できなかった。顔を背けてしまう。薙刀が空を切る音、血をはらったんだ)
龍田「……」スィー
神風「……!!」サァッ
神風(近づいてくる……!!血の気が引いた。体が震えそうだった。あの目は違う……ちらりと見えた龍田さんの目……あれはまともじゃない……!!)
龍田「でも~」スッ クイッ
神風「!!」ゾクン
神風(血に濡れた手で頬を挟まれて、顔をあげさせられる。あの目を至近距離で真っすぐと見てしまった。私も狂ってしまいそうだった)
龍田「ダメでしょ~あんなことしちゃ~?ちゃんと皆殺しにしなくちゃいけないのに~。うふふっ……もうやらないでね?」
↓×1~3 神風の反応
神風「っ……!!もういいじゃないですか!!もう十分でしょう!!これ以上殺して何の得があるんですか!!」ジワァ フルフルフル
龍田「……」
神風「っ!!」
神風(言ってしまった。衝動的だった。悲しすぎて、赦せなくて……体の震えが止まらない。殺されちゃうかも。龍田さんが無言で、何も映していないような瞳で私を見ている)
龍田「……」スッ
神風「っ……!!」ギュッ フルフルフル
神風(龍田さんが顔を寄せてくる。反射的に目を瞑って歯を食いしばってしまう。龍田さんが私の耳元に口を寄せた。吐きそうなぐらいの血の匂い)
龍田「神風ちゃんの甘さが、神風ちゃんの大切な妹さんたちを殺さないといいわね」ボソリ
神風「っ!!」ゾクッ
龍田「……」スッ
神風(龍田さんが私に興味をなくしたというように背を向けて去っていく。きっと深海棲艦を殺すために。私はその背中を無言で見送ることしかできなかった)
~
リシュリュー「はぁ……はぁ……ふふふ……勝った……私は、勝った!!あはははははは!!」ボロッ
欧州水鬼「ッ……」ボロッ
リシュリュー「私を虐げてきた連中がこれを知ったらどんな顔をするかしら……!?ふふふ……さあ、とどめよ……!!」ジッ
欧州水鬼「クッ……コロセ……」ギリッ
リシュリュー「はっ?」ピクッ
欧州水鬼「マケテオメオメとイキハジをサラシはシナイ……コロスがイイ……コロセ……!!ワタシをコロシテみろ!!」キッ
リシュリュー「……」
『恥知らずがよくもここに居られたものだ』『どの面下げてVive La Franceなんて言えるのかしら』『あれほどフランスらしくない艦娘も他に居るまい』『ドイツへ帰った方がいいんじゃないの?』
リシュリュー『っ……』ズキン
リシュリュー「……気が変わったわ」ドゴォ
欧州水鬼「ッハ……!?」
リシュリュー「貴方は生きて捕虜にしてあげる。せいぜい生き恥とやらを晒して、もだえ苦しみなさい」
欧州水鬼「ッ……!!ッ……」ガクッ
~
重巡棲姫「ゴフッ……マ……マダダ……マダオワッテない……!!」ボロッ ガクガクガク
イタリア「っ……もう勝負はついたわ!!降伏しなさい!!」
重巡棲姫「コトワルッ!!ミンナのタメに……ワタシは……っ!!」バシャン
イタリア「っ!!」
イタリア(満身創痍で、どうして浮いているのか分からないぐらいだった重巡棲姫が崩れ落ちた。ついにゆっくりと沈み始める)
重巡棲姫「っ!!イ、イヤダ……!!まだワタシはタタカエル!!ジャナイとミンナが……ミンナ……ミンナァ……」ジワァ ポロポロ
イタリア「……」
重巡棲姫「ワタシは……もっとミンナと……イッショに……んぐっ……」ブクブクブク
イタリア(悲痛な声、答える者はいない。虚空に差し出された手、誰にも掴まれることはない。彼女は一人だった)
イタリア「っ!!」
イタリア(気がついたら体が動いていた。そんなの悲しすぎる。嫌だった。私は沈んでいく重巡棲姫を引っ張り上げる)
重巡棲姫「カハッ……ゲホッ……ゲホッ……ッ……」ガクリ
イタリア(息はしていた。けど、意識を失ってしまった。重傷を負っている。助かるかどうかは分からない)
イタリア(あたりを見渡す。遠くでまだ砲声や爆音が響いてきていた。でも、もうすぐ戦いは終わるはずだった)
~
提督(決戦は我が軍の完勝だった。大破は何人も出たが、さすが艦娘。戦死者は一人も出なかった)
提督(結果を固唾をのんで見守っていた各国や報道陣はその発表を受けて驚喜した。特に我が大日本帝国と自由フランス、ソビエト連邦の喜びようは凄まじいものがある)
提督(自国の艦娘が活躍したのだから当然か。送った義勇軍が活躍したスウェーデンでも国王が直々に祝辞を述べられたほどだ)
提督(一方、深海棲艦たちは戦力の八割を失って南へ撤退した。報告によれば艦隊を率いていた欧州水鬼と重巡棲姫をとらえることに成功したらしい)
提督(また、他にも数名の捕虜が居る。だが戦果の殆どは撃沈だった。仕方がない。戦争だ。それでも心が痛む。深海棲艦も人だ。生きて、考え、感じているのだ)
ワーワーワー
提督「!!」
提督(歓声が聞こえてくる。どうやら艦隊が帰還したようだな。吹奏楽まで聞こえてきた。だが俺は出迎えに行く余裕はない)
提督(潜水艦娘たちがまだ作戦中だからだ。まあ、俺の代わりに各国の報道陣やアゾレスに居た各国軍の軍人たち、一般市民が皆を歓迎してくれるだろう)
~
龍田「……」バンッ
「「「「!?」」」」
提督(艦隊の旗艦の直後、指令室の扉が乱暴に開かれる。驚き、そちらを見た司令部要員たちは絶句した)
提督「龍田……!!」
提督(そこに立っていたのは龍田だった。返り血を浴びたのか、血塗れだ。むせかえりそうなほどの鉄の匂い)
龍田「……」カツカツカツカツ
提督(龍田は自分に集中する周囲の視線を全く意に介さず、俺を見つけると真っすぐとこちらへ歩いてくる)
提督「っ……」
提督(その目は俺をとらえて離さなかった。誰も龍田を止められなかった。武装を解除していないというのに。いや、だからか)
提督(龍田は天龍が行方不明となってシモンズタウンへ撤退した後、そこから沿岸沿いを航行してカサブランカへ移動していた)
提督(そして今回の決戦でもカサブランカから出撃して、海上でアゾレスから出撃した艦隊と合流したのだ。……つまり、天龍を失って以来初めて会う)
龍田「……」カツカツカツ ピタッ ジッ
提督(龍田が俺の目の前で立ち止まる。無表情だった。その瞳からは龍田の中に渦巻く感情を読み取ることはできない。ただ、俺を見つめていた)
↓×1~3 提督と龍田の天龍行方不明に対する想いと行動
例)
提督は戦力をもっと増強するべきだったと後悔していて、ただすまないと謝ることしかできない。
龍田はどうして提督がもっと強力な編成で送り出してくれていたらと考えてしまうことを止められず、提督の首に刃を当ててしまう
龍田「……天龍ちゃんが、居なくなっちゃったの。きっとあいつらに……でも、何人殺しても何人殺しても全然この心の穴は埋まらない……」ギラッ ブン ピタリ
提督「っ」
「「「「!!」」」」
提督(龍田が流れるような薙刀さばきで俺の首を切り落と……さなかった。ぴたりと俺の首に刃を当てている)
帝国海軍士官「やめろ龍田!!」
帝国海軍士官「早まるな!!」
衛兵「今すぐ武器を下ろせ!!」チャキッ
提督「やめろ!!俺は大丈夫だ!!……銃を下ろしてくれ、軍曹」
提督(顔を青くして色めき立つ周囲の司令部要員や衛兵。軍曹が歩兵銃を構えたが、俺は鋭くそう言い放った)
龍田「どうして……どうしてあの規模の艦隊で……もし提督がもっと強力な艦隊を編成していてくれれば……!!」クシャリ ジワァ ポロポロ
提督(震える声、やり場のない悲しみと怒りの為に。無表情だった龍田の顔が歪められた。見る見るうちに目から涙が溢れ、頬を伝ってとめどなく流れる)
提督(龍田の言う通りだった。もっと強力な艦隊を編成するべきだった……せめて、重巡を誰か強引に手配していれば……!!)
天龍『お前が提督か。オレの名は天龍。フフフ、怖いか?まあ、よろしく頼むぜ』
提督(天龍との思い出が脳裏に浮かぶ。あの日、天龍行方不明の知らせが入った時、俺は実感がなかった)
提督(天龍が死んだなんて思えなかった。全世界に敵対的な深海棲艦の存在を警告して、他のやるべきことをやる)
提督(そのために考える時間が無かったというのもある。だが、真夜中に何とか早急にやるべきことを終わらせた後だった)
提督(現実感がないふわふわとした気分でシャワーを浴びてベッドに入った。疲れていたのか、すぐに意識を手放せた)
天龍『……』
提督『……!!っ!?っ!!っ!!っ!!!!』
提督(夢を見た。天龍が立っていた。俺は、なぜか身動きが取れず、声も出せず、ただそこに立っていることしかできなかった)
提督(天龍も何も言わず、ただ俺を見ているだけだった。どんな顔をしていたのかよく思い出せない)
提督(少し寂しそうに微笑んでいたような気もする。あいつ、黙っていればかっこいい系の美人なんだ)
提督(朝、嫌に早い時間に目が覚めた時、俺は自分が泣いていたことに気が付いた。そして、受け入れざるを得なかった)
提督(天龍は戦死したのだと。深海棲艦との戦いの初期、本土空襲を防ぐために大破進撃してでも勝たねばならなかった時以来)
提督(……そして第二次世界大戦というべきこの戦争における初めての大日本帝国海軍における艦娘の戦死だった)
提督「……すまない」ギリッ
提督(龍田の様子をみて天龍を失ったときのことを鮮明に思い出し、自分の中で荒れ狂う感情の嵐を抑えるのに必死だった。ただ、押し殺した声でそうと答えることしかできなかった)
龍田「……!!うぅ……天龍ちゃん……天龍ちゃん……!!」カラン ペタン フルフルフル
提督(龍田が薙刀を取り落とす。そしてその場に崩れ落ちると両手で顔を覆ってしまう。姉を失った龍田の悲痛な声が心に突き刺さっていた)
~
提督(決戦に海戦史上稀に見るレベルで完勝した結果、今や敵は南アフリカまで撤退し、少なくとも北大西洋の安全は確保されていた。枢軸国のウルフパックに目をつぶればだが)
提督(そして今、俺は各国の政府関係者や将校、報道陣が見守る中、今回の戦いで活躍した艦娘たちの叙勲を行っていた)
提督(連合国やソビエト連邦はもちろん、中立国であっても深海棲艦の脅威にさらされていた各国がそれぞれの国の勲章を授与するために代表を送ってきていた)
提督(長い式になる。一番最初に受勲を行うのは我が大日本帝国だ。そしてフランス、ソビエト、スウェーデン、イギリス、アメリカ、その他たくさんと続く)
提督(我が大日本帝国からは参加した全員が勲章をもらったが、中でもよく活躍した子たちには追加でさらに高位の勲章も授与される)
提督(そして欧州水鬼と重巡棲姫を捕虜にするという特筆すべき活躍をした二名には最上位の勲章が授与されることとなった)
提督(その二名とはイタリアとリシュリューだった。最初はリシュリューだ。俺はリシュリューの目の前に立つと敬礼を返し、勲章を手渡しする)
提督(艦娘は女の子たちだ。男の俺が直接制服の胸につけるわけにはいかないからな。そしてリシュリューが控えていた軍属の女性へ)
リシュリュー「貴方が直接つけてくださるかしら?」
提督(……渡して、その人につけて貰うはずだったのだが、そう言うリシュリューはじっと俺の目を見つめながら受け取った勲章をそのまま俺に差し出してくる)
提督(軍属の女性が困ったように俺を見ている。周囲からはまるでリシュリューが勲章を突き返したように見えるようだ)
提督(ざわめきだしてしまう。ためらう時間はない。俺は大げさに頷くと勲章をリシュリューの制服につける。豊かなふくらみを必要以上に触らないように苦慮しながら)
提督「フランスの戦艦娘、リシュリューの活躍を称賛して」
リシュリュー「Merci beaucoup, Amiral」
提督(妖艶に微笑むリシュリューと握手と敬礼を交わして隣に立つイタリアの前へ。イタリアが敬礼しながらじっと俺を見つめている)
提督(その目を真っすぐと見つめながら敬礼を返す。そして勲章を手渡しした……が、イタリアも勲章を俺に返してくる)
イタリア「わ、私も提督に直接つけて欲しいです……」ジッ
提督(俺は再び大げさに頷くと勲章をイタリアの制服につける。軍属の女性が居心地悪そうにしていた。本当、すいません……)
提督「イタリアの戦艦娘、イタリアの活躍を称賛して」
イタリア「Grazie mille……!!提督!!」
提督(イタリアが本当に嬉しそうにはにかむ。握手と敬礼を交わして次のガングートへ。敬礼するガングートは目で語ってきていた。分かっているな?と。本当、長い式になりそうだ)
~
リシュリュー(私に後ろ指を指していた奴が掌を返して私を称賛して、陰口をたたいていた口で褒め称える)
リシュリュー(私は、ずっと求めていた物を手に入れることができた。栄光、名誉、でもそれは、手にした瞬間から色褪せてしまう。けど、そんなことより……)
提督『理解できるとは思っていない。だが、してあげられることはある。リシュリュー、君に必ずや勝利と名誉を捧げてみせる』
リシュリュー「こんなの……堕ちちゃうしかないじゃない……!!」キュンキュン
リシュリュー(ええ、そうよ。分かってる。もう完全に虜にされたわ。だから何?というかこんな事されて堕ちない女なんているの?)
リシュリュー(いるとしたらそれは絶対女じゃないわ。決めました。私、あの人を手に入れます)
リシュリュー(テストの男?知らないわそんなこと。私、悪くないもん。あの子への黒い感情から彼を寝取ってしまおうかと思っていたけど、もう違う)
リシュリュー(私は心からあの人の愛が欲しかった。それは絶対に色褪せたりしないと確信が持てるから)
リシュリュー「Amiral……Amiralに会いたい……Amiralのところへ行ってみましょう。お昼でも誘って、あの方忙しいでしょうけど、今度ディナーに行く約束ができれば上出来よね」
~
帝国海軍士官「提督ならインド洋へ転属されましたよ」
つい昨日彼から勲章を受け取ったばかりなのに……!?というか転属するのに私に何も言ってくれないの?
↓×1~3 リシュリューの反応
リシュリュー「……。ふーん……」
リシュリュー(何も言ってくれないんだ……そう……けどまあ、恋愛に障害は付き物よね?彼の無関心も、元カノの存在も)
リシュリュー(むしろその方が燃え上がるものだわ!!この心も、体も。とりあえず何とかして彼に会わなくちゃ)
リシュリュー「……ん?」
イタリア「うふふ……そうですか……そっちがその気なら……私にだって考えがありますよ……?うふふふふ……」ハイライトオフ
リシュリュー「……」
リシュリュー(……え、何あの子?なんかすごく怖いんだけど……あんなところで何やってるの?ストーカー?)
リシュリュー「あの子も提督狙いだったりして。まあ、パスタ女なんかには負けないけれどね」
~
戦艦水鬼「どうして立ち上がらないの!?まさかあなたは同胞たちを見捨てるつもりなの!?」
空母棲姫「っ……」
軽巡棲姫「貴女の日和見主義にはさすがにそろそろ我慢の限界です。貴女にもあの子たちと同じ目にあってもらいますよ?」
戦艦棲姫「んん~~~~~~~~~!!んんんん~~~~~~~~~!!」キッ モゾモゾ
防空棲姫「ぐすっ……ひっく……んん……んんんん……」」ポロポロ モゾモゾ
空母棲姫「……分かった。私たちは」
提督「ほう……何が分かったんだ?」ガチャッ ドドドドドド
「「「!?」」」ビクッ
「「んんんん!!」」 パァッ
空母棲姫「て、提督……!!」サァッ
戦艦水鬼「っ……」ジロリ
軽巡棲姫「まさか……なぜ貴方がここに……?」フルフルフル
提督「君たちのことが心配になってな……どうだ?壮健か?」ジッ
相手は帝国海軍の提督とは言え、ただの人間のはずだった。しかし空母棲姫たちはまるで蛇に睨まれた蛙となってしまっていた
彼女たちは提督が発する威圧感に圧倒されている。相手が普通の人間だとは思えなかった。……この人が数々の艦娘を従え、自分たちを服従させている首魁か
↓×1~3 深海棲艦たちの反応
空母棲姫「は、はい……おかげさまで……」ビクビク
提督「そうか。戦艦棲姫、防空棲姫、君たちは大丈夫じゃなさそうだな。どうして拘束されているんだ?」
「「んんんん!!」」
戦艦水鬼(畜生……!!どうしてこのタイミングでこいつが……!!大西洋にいたんじゃないの……!?)
軽巡棲姫(っ……!!た、ただの人間程度、いっそこの場で……!!いえ、けれども護衛の艦娘がいないはずはありません……)
提督「さて、空母棲姫。教えてくれ。どうしてあの二人は拘束されているんだ?」スタスタスタ ピタ
空母棲姫「ひっ……!?て、提督……あ……あぁ……その……」
提督「……」スッ クイッ スッ
空母棲姫「っ!?……!!」ビクッ カァッ
提督「教えてくれ。君たちは何を企んでいるんだ?」ボソボソ
空母棲姫「っ~~~!!ち、違うわ!!今のは違うの!!この子たちに言わされただけで……私は武装蜂起なんてするつもりは……」ドキドキドキ
「「っ!?!?」ゾクッ
提督「ほぅ……武装蜂起……」
空母棲姫「あっ……」サァッ
軽巡棲姫(ま、まさかわざと……!!いえ、違う……そうでした……この人、パニックになるとポンコツなんでした……)
戦艦水鬼(……。こいつ……あとで殺す……)
提督「武装蜂起、か……」ジロリ
空母棲姫「……!!」ガクガクガク
↓×1~3 提督の決断
提督「……大丈夫か、二人とも?」スタスタスタ
「「んん~~~!!」」
提督「今解いてやるからな」シュルシュル
戦艦水鬼「……」ギロリ
軽巡棲姫「……」チラッ
空母棲姫「っ……」シュン
防空棲姫「ぷは!!来てくれるって信じてたよ!!」バッ ダキッ
戦艦棲姫「っは!!お待ちしておりっ……待っていたわ、提督!!」ウズッ
提督「よく頑張ったな。……さて、こんな事、望んでいなかった。だが、始めたのは君たちだ。忘れるなよ。……戦艦棲姫、防空棲姫、反逆者たちを逮捕しろ」
「「了解!!」」
戦艦水鬼「っ!!」スッ
提督「抵抗するつもりか、戦艦水鬼君?ならこちらも君を殺すつもりでかかる。覚悟してもらおうか」
戦艦水鬼「くっ……」ギリッ
提督「安心しろ。君たちは我々を殺そうとしたが、それでも我々は君たちが抵抗しない限りは命の安全を保障してやろう」
戦艦水鬼「……わかったわ。抵抗しない」ガクリ
~
戦艦水鬼「……」ジャラッ
提督「さて……もうずいぶん前の話になってしまったな。かつて我々は君たちに降伏を促し、君たちはそれを受け入れた」カツカツカツ
~
軽巡棲姫「……」ジャラッ
提督「我々はそれに対して誠意を尽くしたと思っていた……君たちには平和に暮らせる場所と日本国民としての庇護を与えた」カツカツカツ
~
空母棲姫「……」ジャラッ
提督「すべては君たちと分かり合うためだった。流血の歴史を赦し合い、これからは共に手をとり合って生きていこうと……それが我々の望みだった」カツカツカツ
~
提督「君たちもきっとそうだと信じていた。だが……違ったのだな。君たちは、恩を仇で返すというのだろう?何故だ。何故こんな事をした」ピタッ ギロリ
↓×1~3 戦艦水鬼、軽巡棲姫、空母棲姫の反応
~
戦艦水鬼「……同胞の為よ。立ち上がった彼女たちを見殺しにすることなんてできなかったわ……今までどんな気持ちで潜んでいたのか……」
~
軽巡棲姫「どんな気持ちで私たちに助力を乞うたのか……でも、それももう終わりです。貴方にはかなわない……思い知らされました……」
~
空母棲姫「……見苦しく言い訳をするつもりはないわ。今となっては私がするべきことも、したい事をする権利もない……」
~
提督(戦艦水鬼と軽巡水鬼は負けを認めて諦めたようだった。空母棲姫は他の二人とは少し違うようだが。しかし諦めているのは違いない)
提督(三人の俺を見る目は心の折れた人間のそれだった。自分の気持ちを吐露すると、力なくうなだれてしまう。抵抗の素振りもない)
提督(戦艦水鬼と軽巡棲姫が敵対的な深海棲艦たちと呼応して武装蜂起しようとする可能性は無いに等しいだろう)
提督(空母棲姫は我々側のようだ。何か考えがあって武装蜂起に同意したのだろう。彼女のことを信じてあげたかった)
提督(……だが、戦艦水鬼や軽巡棲姫が気を取り直すことがないと言えるだろうか?空母棲姫が心変わりすることがないと誰が保証できる?)
提督(そもそも俺が勘違いしているだけで空母棲姫は武装蜂起に対して肯定的なのかもしれない。我々の敵なのかもしれないのだ)
提督(状況は限りなく厳しい。多少マシになったとはいえ余裕がなかった。どんな手段を使ってでも確実にインド洋の反乱を未然に防がなくてはならないのだ)
提督(だが万が一にも軍規に従って反乱を試みた彼女たちを処刑したりすれば、他の深海棲艦たちの敵意や怒りの火に油を注ぐことになってしまう)
提督(俺自身もそんなことをしたくなかった。よって、深海棲艦たちのリーダーである彼女たちが反乱を抑制するようにしなくてはならない)
提督(そのためには彼女たちを支配しなくてはならなかった。どんな手を使ってでも。……俺は、覚悟を決めた)
提督「本来なら君たちは処刑される。だが、このことは俺しか知らない。君たちの事情も分かる。だから上へは連絡しないし、処刑もしない」
提督「だが、一度裏切った君たちをまたそう簡単に信用するわけにはいかない。君たちには他の罰を受けてもらう」
提督「これは男が女を支配するうえで最上の方法だ。これで君たちに教え込むとしよう。君たちの主は誰か。誰に仕えるのかを。もう二度と裏切らないように」
~
戦艦水鬼「はぁ……はぁ……はぁ……」ピクンピクン ドロリ
~
軽巡棲姫「っ……ふぅ……あふっ……」グッタリ ドロリ
~
空母棲姫「うっ……っ……あぁ……」キュンキュン ドロリ
~
提督「こうして肌を重ねた相手ならばまた信用することができる。それほど深い関係だということだからな」
自分の秘所からは何度も注がれた熱い提督の精液が溢れているのを実感していた。一番奥が疼いている。幾たびもの絶頂のせいで理性は蕩け、体力を消耗してしまっていた。息も絶え絶えだ
しかし、疲労感以上に甘く心地よい絶頂の余韻に包まれている。そうか、これが男女の営みなのか。彼女たちは女として満たされていた
提督は罰として彼女たちを抱いた。レイプと言われても仕方がないほど強引に。彼女たちの貞操は提督に蹂躙された
唇を奪われ、体を弄ばれ、処女を散らされたのだ。提督の罰を与える宣言の後、自分を押し倒す提督に対して自分がどんな反応をしたのかすっかり覚えていなかった
快楽の津波に理性が押し流されて締まったからだ。気がついたらことは終わっていて、自分はベッドの上で提督の精液を秘所から溢れさせながら荒い息を吐いていた
だが、手で、舌で、そして何より大きく反り立った黒光りする男の象徴で 容赦なく快楽と男を教え込まれ、女にされたこと。怒張するそれに本能的な畏敬の念を覚えてしまったこと
そして行為の間、自分がはしたなく身を捩り、嬌声をあげてベッドのシーツを汚してしまったことは覚えている。いま、ベッドに横たわる自分のまえ、手の届きそうなところには端に腰かける提督の背中が見えていた
↓×1~3 戦艦水鬼、軽巡棲姫、空母棲姫の心情と行動
※尋問は一人ずつ隔離して行ったので抱いたのも一人ずつ。二人っきりでだった。他の2人が何をされたか、あるいは何をされるかは、想像することはできるが現時点では知らない
~
戦艦水鬼「ふふ……そう……これが目的だったわけね……けど、それが分かっているのに抵抗できないわ……」スッ ナデナデ
提督(戦艦水鬼がそっと俺の背中に触れてくる。そして優しく媚びるように撫でてきた。その口調に先程の敵意は全く残っていない)
戦艦水鬼「私の心も体も貴方に抱かれて完全に屈服して満たされてしまった……こんなに男が愛おしく、愛されたいって思うなんてね」
提督「そうか」
戦艦水鬼「でも、きっとそうでない仲間達がまだ多くいるわ。できるのかしら?貴方に。あの子たち皆を心も体も支配することが?」
提督「何が言いたいんだ?」
戦艦水鬼「全てを委ねるから、どうかあなたを信じさせて。貴方があの子たちをも支配できるって。同胞を見捨ててでも仕えるべき主だって」クイッ
提督(手を引かれ、そちらを見る。戦艦水鬼が発情しきった表情で俺を見ていた。何を求めているのかは一目瞭然だ)
提督「いいだろう」
提督(俺は戦艦水鬼を仰向けにさせる。抵抗することなくされるがままに戦艦水鬼は仰向けになった)
提督(そして自ら足をM字に開く。正常位で挿入しようとする俺を迎え入れるように両手を伸ばした。雌の顔を浮かべている)
戦艦水鬼「来て、提督……!!」
提督「あれだけ注いでやったのにまだ欲しがるとはけしからん。さっきまで処女だったとは思えないな。いいだろう、くれてやる」
~
軽巡棲姫「あなたは悪魔や魔王に違いありません……!!そんなあなたに心奪われ、仲間を見捨てる私も地獄へ行くでしょう……!!」キロッ
提督「そんなザマでそう言われてもなぁ……」
軽巡棲姫「っ……」
提督(軽巡棲姫は快楽に蕩けた顔を何とか引き締めて俺を睨んでいた。だが頬は染まり、口元はだらしなく緩んでいる)
提督(上下する胸は誘うように揺れており、秘所から白濁液を垂らしていた。俺の指摘に軽巡棲姫は顔を反らす。暫しの間、軽巡棲姫が体を起こした)
軽巡棲姫「……全ての罰を私が受けます。だから他の皆に金輪際酷いことはしないでください。んっ……ぺろぺろ」ダキッ ムニュムニュ
提督(そして俺に這いよると背中から抱きついてきた。胸が背中に押し付けられる。首を舐め始めた。明らかに誘っている)
提督「……君が最初ではないよ」
軽巡棲姫「っ!?」ピクッ
提督(軽巡棲姫が硬直する。俺は立ち上がって軽巡棲姫を引きはがし、振り向いて軽巡棲姫の顔を見下ろした)
提督「数時間前に戦艦水鬼に同じことをしてきたばかりだ。彼女はとても満足してくれて、喜んで俺に従ってくれた」
軽巡棲姫「あ、あの方が……!!」ギリッ
提督(俺の言葉に軽巡棲姫は嫉妬に顔を歪めて呻くようにそう呟く。そう、嫉妬だ。そこに居たのは俺に凌辱された仲間を思いやる子ではなかった)
提督(自分の想う男が他の女を抱いたと聞いてどろどろとした嫉妬に身を焦がす女だった。歯を食いしばって虚空を見つめている)
提督(きっと戦艦水鬼を思い浮かべているのだろう。どうしてやろうかと嫉妬と怒りのままに彼女に対する敵意を募らせているようだ)
提督「嫉妬か」
軽巡棲姫「っ!!」ビクッ ハッ
提督「全ての罰を私が受けます。だから他の皆に金輪際酷いことはしないでください。だったか?違うな」
提督「全ての寵愛は私が受けます。だから他の女に金輪際情けを与えることはしないでください。そう言いたかったのだろう?」
軽巡棲姫「ち、違います!!私は……」
提督「どう取り繕っても他ならぬ自分自身が理解しているだろう。今、君は戦艦水鬼に嫉妬した」
軽巡棲姫「っ……!!」
提督「まあ、安心しろ。あの子だけじゃない。君の竿姉妹は大勢いる」
軽巡棲姫「!?」ゾクン
提督「いろいろあってな。何があったかは今度話してやろう。だが、まあ安心してくれ。責任はちゃんととるからな」
軽巡棲姫「っ……女の敵……殺してやる……!!」ギロリ
提督「ほう……」グイッ
軽巡棲姫「ぁっ……!!」トサッ
提督(今度こそ俺を鋭く睨みつけた軽巡棲姫だったが、俺が軽く押し倒すと抵抗することなくされるがままにベッドに仰向けに倒れた)
提督「どうした?このままじゃまた犯されてしまうぞ?」
軽巡棲姫「……!!や、止めてください……!!」キュンキュン キッ
提督(俺の言葉に軽巡棲姫がハートが浮かんだ瞳で睨みつけてくる。無意識なのか足を開いていた。俺を受け入れるように)
提督「ほら、もう先端が触れてしまったぞ?早く抵抗しろ」ピトッ
軽巡棲姫「っ!!うるさい!!してます!!退きなさい!!っぁ……!!」キッ ヌプッ
提督(先端が待っていましたと言わんばかりにそこに飲み込まれる。未だに乾かぬそこは容易く俺を受け入れた)
提督「っ……入っていく……もう半分まで入った……全部入れられてしまうぞ?」ズププププ
軽巡棲姫「あぁ……や、止めて……抜いて……!!」ゾクゾクゾク ダキッ
提督(そう言いながらも顔を蕩けさせる軽巡棲姫。手が俺の体に回された。ゆっくりゆっくり焦らす様に奥まで入れる)
提督「っ……」コツン
軽巡棲姫「っ!!」ビクン
提督(先端がコリっとした子宮口まで到達した。軽巡棲姫の体が跳ねる。俺はそのままそこをつぶす様に強引に根元まで入れた)
提督「一番奥まで……入ったな……いい締まりだ……」
軽巡棲姫「き、鬼畜……!!」ガシッ ギュッ
提督「その割には君だって俺に手も足もくみつかせてきているじゃないか。むしろ望んでいたのではないか?」
軽巡棲姫「ち、違います!!そんなことありません……!!」 トロン キュンキュン
提督(軽巡棲姫は言動がまったく一致していない。否定の言葉を口にしながらも俺の体を抱きしめ、恋慕と愛欲に塗れた表情で俺を見つめてくる)
提督「まあいい。素直になるまでたっぷり愛してやる。喜べ」
軽巡棲姫「あぁ!!止めてください!!動かないで!!抜いて!!はぁっ!!」ビクン ドキドキ
~
空母棲姫「っ……ぐすっ……ひっく……うぅ」ポロポロ
提督「っ」
提督(少しして、空母棲姫が涙を流し始める。性的な暴行を受けたりしたらそうなってしまってもおかしくはないだろう。動揺する)
提督(だが、そうだ。覚悟の上だろう?俺は泣きじゃくる空母棲姫が落ち着くまでしばらく待つ。しばらくして少し落ち着いてきた空母棲姫がかすれた声を漏らした)
空母棲姫「どうして……こんな……無理矢理みたいに……」グスグス
提督(悲しそうな声。しかし謝るわけにはいかない。これは罰だ。できれば篭絡してしまいたかったが、快楽以外にも相手を支配する方法はある)
提督(その一つが恐怖だ。空母棲姫は無理やり犯した俺に対して本能的な恐怖を覚えているだろう。その恐怖を利用する)
提督(それで空母棲姫にもう二度と俺に逆らおうという気が起きないように調教するのだ。俺は立ち上がり、空母棲姫に迫る)
提督「怖いか?」
空母棲姫「違う……悲しいだけ……私は、こんな風にじゃなくてもっと幸せにしてほしかった……」フルフルフル
提督「っ!?」
提督(空母棲姫が震えながらそう答える。敵意は全く見いだせなかった。ただ、悲しみだけに満ちている)
空母棲姫「どこかに二人で出かけて……楽しいことして……夕方になったら浜辺で綺麗な夕焼けを見て……暗くなるまで二人で静かに過ごして……」
空母棲姫「そんなデートをした後、シャワーで体を清めてからふわふわなベッドで優しく……そんな風にして欲しかった……」
提督「っ……!!」
提督(もう二度と手に入らないものを想った虚しい声。死にたくなるほどの罪悪感に襲われる)
提督(そうか……この子は、俺のことを好いていてくれたのか……そんな子に俺は……なんてことを……)
提督「すまない……」
提督(つい、そう言ってしまっていた。謝罪の言葉を口にしてしまっていた。いけないのに。空母棲姫が俺に目を向ける。少しの間静寂が続いた)
提督(空母棲姫がゆっくりと起き上がって俺に近寄る。そして俺に抱きついて胸に顔を埋めた。空母棲姫が想いを吐露する)
空母棲姫「貴方が好きだった……前の戦争の時、敵であった私たちに手を差し伸べてくれた……私たちの為に全力を尽くしてくれた……」
空母棲姫「あの時から私は貴方が好きだった……けど、その思いを口にすることはできなくて……」
空母棲姫「なんとかしたいと思っても何もできずにいる間にいろいろあってあんな事になって……皆の気持ちも分かる……」
空母棲姫「私だって立ち上がった同胞を見捨てたくなかった……でも、貴方を裏切りたくなかった……恩に報いたかった……」
空母棲姫「だから私は、皆を抑えようとした……でも大西洋で貴方が同胞を打ち負かして、皆の我慢が限界になって……」
空母棲姫「あれ以上皆を抑えられなかった……あそこで私が拒否して他の誰かが旗艦になっていたら、コントロールできなくなってしまう……」
空母棲姫「だから私は蜂起するしかなかった……私が旗艦なら、少しでも隙があればすぐに皆を説得して降伏することができたから……」
提督「っ……。そうだったのか……」
提督(そしてどうしてあんなことを言ったのかを言ってくれた。空母棲姫は俺のことを好いていてくれただけではない……彼女は間違いなく俺の為に動いていたのだ……!!)
提督(どうしてそれをこんな事をしてしまう前に言ってくれなかった……いや、言えなかったのだろう……もしそう言ってしまえば彼女は戦艦水鬼たちを見捨てることになる)
提督(そんなことが仲間想いな彼女にできるわけがないのだ。そして何より彼女のプライドがそれを赦せなかったのだろう)
提督(しかし、その結果がこれだ……空母棲姫が望んでいた幸せな初体験は永遠に失われてしまった……俺が穢してしまったのだ……)
提督「すまない……俺は……君を信じられなかった……君に取り返しのつかない酷いことをしてしまった……」ギリッ
空母棲姫「……仕方がない。貴方はたくさんのものを背負っている。それを全部賭けて私を信じるのは難しい。逆の立場なら私も信じられない」
空母棲姫「けど……一つだけ聞かせて。私は貴方が好き。貴方は私の事をどう思っているの……?」
提督「好きだ。だが、俺は君に話さなくてはならないことがある……」
提督(俺は例の話をする。空母棲姫はそれを黙って最後まで聞いていた。すべて話し終えた後、空母棲姫は俺の唇に自らの唇を重ねる)
空母棲姫「んっ……っ。もう一度……恋人同士として抱いて欲しい……」ギュッ
提督(そして唇を離すと甘えた声でそう言って俺に身を委ねてくれる。俺はそんな彼女と精根尽き果てるまで愛し合った)
空母棲姫「……♪」ギュッ スリスリ
提督(全てが終わった後、俺は俺の腕を枕にし、甘えるように抱きついて体を摺り寄せてくる彼女と共に眠ったのだった)
~
駆逐古姫「っ……できぬ……武装蜂起など……妾はあの方にご恩が……」
南方棲戦姫「……悪いけれど、これ以上貴女に従ってはいられないわ」ガシッ ググググ
駆逐古姫「な、何をする!?いくらそなたであろうとも無礼であるぞ!!んぐっ!?」
空母水鬼「申し訳ありませんが、隠居して頂きます。あとのことは我々にお任せください」
駆逐古姫「っ……!!っ……」ガクッ
~
深雪「何笑えない冗談やってんだよ……!?撤退だぞ!!おい!!立てって!!」グイッ
吹雪「深雪ちゃん!?どうし……っ……!!」サァッ
白雪「えっ……」
磯波「嘘……」ゾクッ
伊勢「ちょっと皆!?何やってるの!!早く撤退しないと……あぁ……まさか……!!」サァッ
浦波「……!!」ギリッ
初雪「ぁ……うぁ……!!」ジワァ ガタガタガタ
帝国海軍士官『何をしている!?撤退しろと言ったはずだ!!敵はすぐ戻ってくるぞ!!聞いているのか!?状況を報告しろ!!』
日向「……一名戦死だ」
「「「「!!」」」」ビクッ
帝国海軍士官『っ!?っ……クソッ……了解した……すぐに撤退せよ!!』ギリッ
日向「了解……そういうこともある。覚悟していたはずだ。撤退しよう」
深雪「……ま、待ってくれよ……そんなはずねぇって……だって……」
日向「もう楽にさせてやれ」
深雪「……!!」
浦波「せ、せめて連れ帰ってあげられませんか……!?曳航して……」
日向「そんな時間はない」
初雪「い、嫌……!!こんなところにひとりぼっちで置いていくなんて絶対にいやぁ!!」ポロポロ
日向「っ……勘弁してくれ……頼むからそんなこと言わないでくれ……」ジワァ
伊勢「……行くよ、皆。状況考えて。これ以上誰も失いたくないでしょ」
白雪「そ、そんな……」フルフルフル
磯波「ぐすっ……ひっく……」ポロポロ
深雪「どうして……どうしてそんな風に言えるんだよぉぉぉぉ!!お前それでも人間かよぉぉぉぉ!!」キッ
伊勢「っ……!!」ズキン ジワァ
吹雪「もう止めて!!」
「「「「っ!!」」」」
吹雪「ごめんね、連れていけなくて……ごめんね……皆、伊勢さんの言う通りだよ……行こう……!!」ポロポロ ジッ
「「「「っ……」」」」コクリ
深雪「畜生……ちくしょうっ!!」
↓×1~3
死んだ姉妹を一人戦場に残して撤退しなくてはいけなかった吹雪型と、戦死した年下の駆逐艦娘を一人戦場に残して撤退しなくてはいけなかった伊勢型姉妹の心情
そして敵対的な深海棲艦たちとそれに呼応して裏切った深海棲艦たちへの感情
~
伊勢「……とりあえず安全なところまで撤退できたね。このままパラオ泊地まで無事辿り着ければいいけど……」チラッ
「「「「……」」」」
吹雪(戦争だもん……こういうことがあるって……覚悟してた……してたつもりなのに……)ジワァ
白雪(……そうですよ。これは悪い夢です……だって……こんなこと……こんな酷いこと……あり得ません……)ハイライトオフ
磯波「っ……」クラッ
深雪「磯波!?」ガシッ
「「「「っ!?」」」」
磯波「ぁ……ご、ごめんね……ありがとう……」
深雪「お、驚かせんなよ……磯波までいなくなったらあたし……」ギュッ
磯波「っ!!わ、私は大丈夫!!大丈夫だから……心配しないで……」
深雪「ああ……」
磯波(っ……こんなのやだよ……!!もう戦争なんていや……私はただみんなと普通に暮らせればそれで幸せなのに……)ジワァ
深雪(深海棲艦なんか信用するんじゃなかった……!!あいつらのせいで……あいつらさえいなければ……!!)ギリッ
浦波(こんな卑劣な裏切り……決して忘れない……必ず報復する……報いを受けさせてやるんだ……!!)ギリッ
初雪(赦さない……絶対に赦さない……あいつら、皆殺しにしてやる……!!)ハイライトオフ
伊勢「……何度経験してもこれだけは、ね」
日向「駆逐艦娘たちは幼いし、仕方がない。まあ深海棲艦の奴らの気持ちも分かりはする。だから仕方ないとは決して思わないがな」
伊勢「うん。仇は討つよ。それが手向け」
~
提督(ムラクモは黒い髪を左右で三つ編みにした少女だった。吹雪型らしく真面目で面倒見のいい子だった)
提督(対深海棲艦戦争の初期からずっと第一線で活躍していた。……そのころからずっと一緒に戦っていた)
提督(彼女が南洋諸島で戦死したのは俺がトラックへ移動している時だった。同時に届く深海棲艦の離反とトラックの失陥)
提督(気が遠くなる想いだった。いっそのこと、本当に気絶してしまえれば……痛恨の極みという言葉も生ぬるい)
提督『っ……ムラクモ……すまない……!!』ギリッ ブツッ タラリ
提督(どうやって吹雪型姉妹たちに償えばいいのか分からなかった。しかし状況が俺に悔恨する時間をくれなかった)
提督(今や最前線はパラオだ。行き先を変更してそこへ向かおうとした俺に届く本国召還の命令。責任を追及されることになるだろう。処罰を覚悟した)
提督(だが、そうはならなかった。出頭した俺に下された命令は太平洋の戦いの指揮を執ることと、新造艦の育成だった。新兵を可能な限り早く使い物になるようにしろとのことだ)
叢雲「特型駆逐艦、5番艦の叢雲よ。あんたが司令官ね。ま、せいぜい頑張りなさい」
提督「……」
提督(俺の目の前に立っているのは薄い勿忘草色の長い髪を前髪ぱっつんのストレートにして、まるで巫女のようにもみあげを赤い紐で結っている少女)
提督(新しい吹雪型五番艦の駆逐艦娘、叢雲だった。先代と違うのは容姿だけでなく性格もらしい。勝ち気で高飛車そうな子だ)
↓×1~3新しい叢雲に対する提督の心情と対応と、提督に対する叢雲の心象
提督「どうもありがとう。いかにも私が君の司令官になる提督だ。吹雪型5番艦、叢雲、君の着任を歓迎しよう」
叢雲「ん、ありがと」
提督「君は私直属の部下として配属された。その目的は君の早急な戦力化だ。今、日本は大きな困難に直面している」
提督「世界大戦に加えて今回の深海棲艦の侵略だ。厳しい戦いになるだろう。しかし、我々なら必ずや勝利を手にできる」
提督「君のことも厳しく指導するつもりだ。だが、きっと乗り越えて我が帝国海軍が誇る駆逐艦娘になってくれると確信している。よろしく頼むぞ」
叢雲「ええ、もちろんよ!!任せなさい!!」
提督(俺の目の前で得意げに胸を張る叢雲。なんて初々しく素直な少女なのだろうか。もうこれ以上誰も死なせない。勿論この子のことも。場合によっては、この命に替えても……!!)ジッ
叢雲「!!……あんた、死のうとしてる人の顔をしているわ」
提督「っ!?」
提督(心を読まれたかと思った。見た目通り本当に巫女なのか、この子……!?予期せぬ一撃につい表情に出してしまう)
叢雲「うーん……こんな司令官で大丈夫かしら?けどまあ、何があったのか話ぐらい聞いてあげるけど?」
提督「……ははっ。ピカピカの装備をした駆逐艦娘にそう言われてしまうとはな」
叢雲「自覚したのなら改めるよう頑張りなさい。話に聞く限りじゃ貴方が帝国海軍で一番の司令官らしいんだから。そんなんじゃ困るわ。……で、何があったのよ」
提督(つい自嘲的な笑みを浮かべてそう呟いてしまった俺を真っすぐと見つめるその瞳は、まるで日の出直後の太陽のようで……眩しかった)
提督「……君も知っているだろうが、つい最近、我々は2名の艦娘を失った。天龍とムラクモだ」
提督「俺が死なせたようなものだ……二人とも、深海棲艦の攻撃で。しかも天龍は俺の指揮下だった」
叢雲「……私は速成の座学過程しか修了していないけど、でもその時の貴方の指揮は間違っていたとは思わないわ」
叢雲「だって想定されていた敵は枢軸国の潜水艦だけで、敵対的な深海棲艦が潜んでいるなんて予測のしようがないもの」
叢雲「深海棲艦の裏切りだって予測できるわけないわ。そもそも、どうしてあんたの指揮下にない前のムラクモの戦死があんたの責任なわけ?」
提督「……俺は前の深海棲艦との戦争で深海棲艦との停戦と講和を推し進めたんだ。あれが間違いだったとは思わない」
提督「だが、万が一の事態を想定するべきだった……彼女たちの裏切りの可能性を考えておくべきだった」
叢雲「そう……とりあえず、あんたが責任感の強い人間だって言うことは分かったわ。けど、そもそもそれはあんたの領分なの?」
提督「領分?」
叢雲「あんたの仕事は自分の艦隊を指揮することでしょ?状況から判断してどこにどの程度の戦力を配備するとかそういうのは軍令部とか大本営とかの仕事よ」
叢雲「あの時、深海棲艦と講和して、併合するっていう決定を下したのもあんたの訳ないわ。そんなのいくら帝国海軍の提督でもできるわけない」
叢雲「政府のもっとえらい人がすることだもの。あんたはきっと何でもかんでもいろいろ考えすぎて背負いすぎなのよ」
叢雲「それはたぶん優秀だからなんでしょうね。けどね、一つ言っておくわ。自分を過信しないで。あんたはあくまで一個人でしかないの」
叢雲「何でもかんでもあんた一人でできるって勘違いはただの独り善がりな傲慢よ。驕る平家は久しからずって言うでしょ?まあ、あんたの驕りは平家とは種類が違うでしょうけど」
提督(衝撃だった。これは諫言だ。まさか駆逐艦娘に……こんな小さな子に諭されるとは……これほど恥ずかしいことは無い。だが、それは俺にとって救いだった)
提督「っ……ありがとう。目が覚める思いだ。難儀なものなのだが、戦果を挙げて昇進するにつれそういう事を言ってくれる人はいなくなってしまってな。軍隊の悪いところだ」
叢雲「そう。軍隊って思ったよりいい場所じゃないわね。はぁ……ほんっと仕方ない。これからは私があんたを見てあげるわ。感謝しなさい?」
提督「ああ、感謝するよ。ありがとう。……叢雲。きっと戦争は君の想像以上に残酷で、救いようがなくて、悍ましくて、惨憺たるものだ」
提督「艦娘とはいえ、常に死と隣り合わせだ。特に君は新兵だからな。ある陸軍の知り合いが言っていた。新兵の顔と名前を覚える前に死んでいくと。……死なないでくれよ」
叢雲「そうでしょうね。けど大丈夫。私は死なないわ。だって、あんたが死なないように私を教育してくれるんでしょ?だからそんな顔しないの」ダキッ ギュッ
提督(叢雲が俺を優しく抱きしめる。温かかった。見下ろすと叢雲が顔をあげてじっと俺を見つめている)
提督「ああ、そうだな。絶対に死なせない。絶対に」ナデナデ
~
伊勢「発見!!偵察機が発見したわ!!深海棲艦よ!!真っすぐパラオ泊地に向けて突進してくる!!けど、規模が小さい……威力偵察かしら?」
日向「まずいな。こちらの態勢が整っていないことを悟られたら最悪、ここも陥落するぞ」
伊勢「そうね……っ!?あいつら、白旗を掲げているわ!!どういうつもり!?」
日向「白旗?なるほど……連中も一枚岩じゃないようだな。いわば日本派が投降してきたんじゃないか?」
初雪「投降……?あんなことしておいて……!?」
深雪「ふざけんじゃねぇ!!そんなの受け入れられるか!!」ダッ
初雪「同感……皆殺しにする……!!」ダッ
吹雪「深雪ちゃん!?初雪ちゃん!?ダメ!!待って!!」
~
駆逐棲姫「見えた!!艦娘だ!!」
深海双子棲姫・黒「なんとかここまで来れたね……」
駆逐棲姫「聞こえますか?私たちに敵対する意思はありません!!投降します!!」
深雪「ふざけんな!!今更何言ってやがる!!」ドン
初雪「沈める……一人も残さずに!!」バシュッ バシュッ
「「「「!?」」」」
↓×1~3 攻撃を受けたことに対する駆逐棲姫たちの反応
深海双子棲姫・黒「う、撃ってきた……!!っ……反撃するしか……」ギリッ ジャキッ
駆逐棲姫「だめっ!!面舵!!回避!!魚雷に気を付けて!!ここで反撃したら戦闘になっちゃう!!」
深海双子棲姫・黒「っ!!だったらどうする……!?」
駆逐棲姫「突出してきたのは駆逐艦娘二人だけ!!きっと暴走してるんだ……!!」
深海双子棲姫・黒「た、たしかに。そうか、距離をとって回避に専念して他が事態を収拾するまで耐えるってわけだね。駆逐艦程度の攻撃、近づかれなきゃ大したことないし」
駆逐棲姫「そうだよ。けど最悪の場合はここで投降するのを諦めなくちゃ……呼びかけてみる!!」
深海双子棲姫・黒「お願い」
駆逐棲姫「うん、任せて。……攻撃を止めてください!!私たちに敵対の意思はありません!!投降しに来たんです!!」
深雪「何度も言わせるな!!今更そんな虫のいいこと言ってんじゃねぇ!!」
初雪「お前たちが殺したんだ……!!絶対赦さない!!」
駆逐棲姫「っ……もし攻撃がやまない場合、私たちはここでの投降を諦めて離脱する!!お願い……攻撃を止めてよ!!」
伊勢「……」ドゴォン
ブオン バシャン
深雪「なっ!?」ビクッ
初雪「うわぁ!?」ビクッ
伊勢「……誰が発砲していいって言ったかしら?命令違反したらどうなるか忘れた?今すぐ攻撃を中止しなさい」ギロリ
日向「悪いが、従わないのであれば次は当てる。分かったら旗艦の命令に従え」ジャキン
「「……!!」」
吹雪「二人ともすぐ命令に従って!!攻撃を中止して!!伊勢さん、日向さん、本当に申し訳ありません!!」サァッ
白雪「どうか……どうか寛大な処置を……!!お願いします……!!深雪ちゃんも初雪ちゃんもあんなことがあって混乱しちゃってるだけなんです……!!」ペコペコ
深雪「っ……ごめん……なさい……!!」ジワァ ツゥー
初雪「ぐすっ……うぅ……うわぁぁぁぁん!!」ポロポロポロ
駆逐棲姫「……なんとかなったみたい?」
深海双子棲姫・黒「そうみたいだけど……」
伊勢「っ……聞こえるかしら?こちら帝国海軍の戦艦娘、伊勢。先程の攻撃を謝罪します。我々にこれ以上の攻撃の意思はありません。投降を受け入れます」
↓×1~3 攻撃を受けたことを踏まえて深海棲艦たちの反応
駆逐棲姫「聞こえます。私はクチクセイキ。受け入れ感謝します。……ふぅ、よかった」
深海双子棲姫・黒「撃ってきたときは驚いたけど、相手にも冷静な奴がいてよかった。……お前たちが殺したんだ、か。あの子たちも誰か大切な人を殺されたんだね……」
伊勢「こちらこそありがとう。じゃあ悪いけど機関を停止して武装解除してくれる?曳航するから」
駆逐棲姫「了解。各員、機関停止して武装解除」
吹雪「あの、本当にすいませんでした……!!投降してくれていたのに攻撃を加えてしまって……」
白雪「だ、大丈夫でしたか……?あぁ、いったいどう償えばいいのか……罰なら全て私が代わりに受けます。ですからどうかお赦しください……」
駆逐棲姫「……赦す。私たちも同じ痛みを知っているから」
深海双子棲姫・黒「自分だけが被害者ではないし、自分もまた誰かへの加害者……可能な限りこれ以上私たちのような人間を増やしたくない……」
磯波「……!!」
浦波「っ……ご立派な考えです……私たちよりも、ずっと正しい……尊敬します」
深海双子棲姫・黒「いや。私もこう言われたんだ、提督に……そう、あの時……あの人に……」
日向「……よし、準備ができたな?では行こう。この間にも敵が動き始めるかもしれない」
~
「「「「お久しぶりです、司令官(提督)!!」」」」ビシッ
提督(ようやくパラオに到着した俺を出迎えてくれたのは吹雪型の子たちだった。整列し、敬礼している)
提督(いつ到着するのかは知らなかったはずだが、どうやら飛行機が着いたのを見て時間のある子たちが駆けつけてくれたようだ)
提督「久しぶりだな、皆。出迎えありがとう。楽にしてくれ」
叢雲「ふぅ……やっとついたわね」
「「「「!!」」」」
提督「紹介する。彼女は吹雪型五番艦の叢雲だ」
叢雲「初めまして、叢雲よ。この名前に相応しい駆逐艦娘になれるよう全力を尽くすわ。どうぞよろしくね」
↓×1~3
吹雪型の提督に対する感情と
前任のムラクモの死が提督に責任があると思っているかどうか
そして前任のムラクモの存在も踏まえてこの見慣れない余所者の新しい叢雲に対する対応
吹雪「初めまして!!私は吹雪。吹雪型の一番艦です。よろしくね、叢雲ちゃん!!」
白雪「二番艦の白雪です。よろしくお願いしますね、叢雲ちゃん。何でも気軽に相談してください」
叢雲「ええ、ぜひお願いね」ニコッ
深雪「けっ!!何だよ吹雪も白雪も……深雪様は認めねーからな」
初雪「貴女は……ムラクモじゃない……」
叢雲「むっ……」キロリ
提督(吹雪と白雪の友好的な態度に笑みを見せていた叢雲だったが、深雪と初雪の拒絶に顔をしかめると睨みつける)
提督(深雪と初雪も叢雲のことを鋭く睨んでいた。結構好戦的な性格のようだな、叢雲は。というか熟練の駆逐艦娘二人に物怖じしないのか……)
浦波「み、深雪姉さん!!初雪姉さん!!止めなよ!!そんなこと言ったらダメじゃん!!」
磯波「ごめんね、叢雲ちゃん……その……二人とも、いつもはこんな事言う子じゃないんだけど……」
深雪「ちっ……お前らもかよ」ジロリ
初雪「……」ムスッ
叢雲「……姉妹艦を失ったばかりで、その姉妹艦の後任に見ず知らずの私がなるのは面白くないってのは分かる」
叢雲「でもだからといって露骨にそういう態度を取られるのは面白くないわ。正直、失望した。帝国海軍の華、艦娘ってのはこの程度なのね」
深雪「何だって……!?もう一回言ってみやがれ!!」
初雪「侮辱したこと……後悔させる……!!」
提督「止めろ!!」
提督(叢雲の言葉についに手が出そうになる深雪と初雪。他の吹雪型姉妹が止めようと動く前に俺が鋭くそう言い放つ)
「「「「っ」」」」
提督(全員の目が俺に集中した。皆一様に畏れを感じているようだ。俺は動揺した様子で俺を見ている深雪と初雪に目を向ける)
提督「残念ながら、深雪、初雪。叢雲の言う通りだ。君たちの心情も分かる。だが、ここにいる叢雲はあたらしい姉妹だぞ?」
提督「それも、一度も戦場に出たことない新兵だ。君たちにもあっただろう?初めて戦場に出た時が。覚えているだろう?その時の恐怖や不安を」
提督「それは今まさにこの子が感じていることだ。そのせいで少し攻撃的になってしまっているようなんだが、どうかそれを分かってあげてほしい」
深雪「っ……」ギリッ
初雪「……」ギュッ
提督(俯き、手が白くなるまで握りしめる深雪。同じく俯き、右手で左袖を掴む初雪。俺は他の子たちも見渡し、その目を見て語る)
提督「君たちに頼みたいことがある。この子のことを気にかけてやって欲しい。俺がどんなに手を尽くしても、戦場では何もできない」
提督「この子の命は君たちにかかっているんだ。本当の意味では君たちしか戦い方をこの子に教えてあげられない」
提督「もしかしたら数週間後……下手したら明日にはこの子は戦死してまた新しい五番艦が着任することになるかもしれないんだ」
提督「そんなことは、もう絶対に嫌だ。きっと君たちも同じ気持ちだと確信している。君たちでこの子を一人前の駆逐艦娘に育ててやってくれ。よろしく頼む」
吹雪「お任せください、司令官。吹雪型一同、もう二度と姉妹を失わないと心に決めています!!」
浦風「必ずや叢雲姉さんを立派な吹雪型の駆逐艦娘にしてみせます!!他の型の子たちに絶対負けないくらいに!!」
磯風「し、新兵よりあとに死んだりは決してしません……何があっても叢雲ちゃんだけは、こ、この命に替えても生きて帰せるよう頑張ります……!!」
白雪「そうですよね、初雪ちゃん、深雪ちゃん?初雪ちゃんと深雪ちゃんも叢雲ちゃんのこと、気にかけてくれますよね?」
深雪「っ……分かったよ……」
初雪「ん……分かった……」
提督「ありがとう。君たちにそう言って貰えれば、安心だ。頼りにしているよ。……そして叢雲」
叢雲「……何よ?」
提督(俺の視線を受けてちらりとこちらに目を向ける叢雲。いい気分ではなさそうなのは確かだな。その目を真っすぐと見つめ返す)
提督「君の不満はもっともだ。しかし、君の方も彼女たちに配慮してあげて欲しい。彼女たちは確かに帝国海軍の華、艦娘だ。帝国軍人だ」
提督「だが、それ以前に君と同年代の少女であることも忘れないで欲しい。そしてあの対深海棲艦戦争のころからずっと一緒に戦っていた戦友を喪ったばかりだということも」
叢雲「……そうね。分かったわよ」
提督「ありがとう、叢雲。……悪いが先に行っていてくれるか?少し彼女たちと話したいことがあるんだ」
叢雲「了解、司令官。あんたのシツムシツとやらへ行けばいいのね?」
提督「ああ、そうだ。また後で」
提督(ひらひらと手を振って歩いていく叢雲。叢雲にああ言って貰えて救われたが、しかしやはり俺にも責任がある。彼女たちに謝らなくてはいけない義理も義務もあるだろう)
提督(俺は吹雪型の子たちに向き直る。彼女たちもこれからかしこまった話があると察したのだろう。姿勢を正し、俺を見つめて話を聞こうとしてくれる)
提督「ムラクモのこと、残念だった……彼女の戦死は俺にも責任がある……本当に申し訳ない……」スッ
吹雪「そ、そんな事ありません!!顔をあげてください!!」
深雪「そうだぜ!!司令官のせいじゃないって!!」
初雪「悪いのは……全部深海棲艦だから……!!」
白雪「あの子は艦娘として最期まで立派に戦いました……」
浦波「どうか誇りに思ってやってください!!」
磯波「その方が、きっと喜びますから……」
提督(頭を下げて謝罪する俺に対して口々にそう言ってくれる吹雪型の子たち。その表情は俺のことを思いやってくれていることが明らかで……救われた)
提督「っ……ありがとう」
~
提督「以上で今日は終わりだ。お疲れ様。部屋の場所は分かるか?」
叢雲「案内図あれば分かるわ」
提督「そうか。ではまた後で。疲れているだろうが寝過ごさないでくれよ?主役が居なくては始まらない」
叢雲「1830に集合場所へ行けばいいんでしょ?こんな時に歓迎会なんてしなくていいのに」
提督「こんな時だからだ。ではな」
叢雲「ん、じゃあお先に失礼するわ。お仕事頑張りなさい」
提督「ありがとう、頑張るよ」
叢雲「よろしい。じゃあね。……ん」
吹雪「終わった?お疲れ様、叢雲ちゃん」
叢雲「あなた達は……吹雪と白雪?」
吹雪「覚えてくれてたんだね、ありがとう!!」
白雪「叢雲ちゃんはここ、初めてですよね?ぜひ案内させてください」
叢雲「そう……じゃあ、お願いするわ。……ありがとう」テレッ
~
提督(叢雲への説明やら何やらを終わらせ、引継ぎも完了した。俺の次の仕事はパラオまで離脱してきたこちら側の深海棲艦へ遣地中海艦隊への配属を伝えることだ)
提督(現在の情勢は未だ緊迫しており、大本営は大規模な戦力の再配置を実行しようとしていた)
提督(今まで、枢軸国との戦争にほとんどの戦力を投入しており、インド洋や太平洋は休養の為に引き上げてきた艦娘か深海棲艦が配備されていた)
提督(しかし敵対的な深海棲艦による侵攻が始まったために、そちらに艦娘を向かわせなければならなくなった)
提督(それと同時に、味方の深海棲艦に対する扱いが問題になってきたのだ。主に太平洋の深海棲艦が一部を除いて離反したのが痛かった)
提督(これ以上裏切られたらたまったものではないと一時は深海棲艦を強制収容所へ収容することが決定されたほどだ。が、戦力の不足は深刻だった)
提督(この機を逃さず枢軸国軍はアフリカからの総撤退を進めており、支援物資の不足から進撃を停止したソ連への反攻も始まった)
提督(大西洋の援ソ船団は連合国の領分だが、アフリカからの撤退を妨害することは任せきりにはできない)
提督(しかし日本にとって現在一番の脅威は遠いヨーロッパの枢軸国よりも、今も本土へ迫ってきている深海棲艦だ)
提督(艦娘の数は圧倒的に足りていない。そう、深海棲艦の出番だった。大本営はこちら側の深海棲艦を地中海に投入しようとしていた)
提督(深海棲艦との戦いの最前線から遠ざけることができ、なおかつ枢軸国のアフリカ撤退を妨害できる。合理的な判断だ)
提督『厳しい戦いとなるだろう。枢軸国は自分たち以外の世界中をほとんど敵に回してなお、対抗して見せるほどだ』
空母棲姫『なら私たちがかつて世界中を敵に回してなお、ほとんどの海を支配してみせたこと』
戦艦棲姫『そして艦娘が台頭した後もなお、対抗して見せたことを枢軸国の連中に思い出させてやるわ』
提督(赤く輝く瞳に見据えられる。そのことを伝えた時、俺は目の前の子たちが一度は人類に滅亡という二文字を想起させた存在だと言うことを改めて思い出した)
提督(我々は深海棲艦相手に最終的に勝利することはできた。しかしそれは、血で血を洗い、海を赤く染めてしまうような凄惨な戦いの果て)
提督(邪道な謀略を用いた上に、深海棲艦たちにできた何としてでも滅びを避けようとする隙を突いてようやく手にしたものだ)
提督(彼女たちは我々と同じだ。死を恐れる。可能な限り避けようとする。だが、必要ならば命を賭して戦う)
提督(勿論、艦娘と違って死が近い彼女たちに戦わせたくないという思いもある。しかし、俺は上官として彼女たちを戦場へと送り出す。彼女たちが軍人で、それが命令だからだ)
提督(まるで子供のように保護するのはむしろ彼女たちを軽んじていることになる。俺にできるのは無事を祈り、帝国海軍の提督としてできうる限りのことをすることだ)
提督「……ん?あの子は……深海双子棲姫か」
↓×1~3 兄が戦死したという話が嘘であることを知っているかどうかとそれを踏まえて提督に対する深海双子棲姫・黒の想いと行動
例)
嘘をついたことはもう知っている。ここへは報いを受けさせるために来た。暗殺しようとする
知らない。ただ純粋に尊敬を抱いている。提督に挨拶し、可能な限り裏切った子たちへ慈悲を与えることをお願いする
深海双子棲姫・黒「……こんにちは、提督。久しぶりだね」
提督「ああ、久しぶりだな。こんにちは。ちょうどいいところに居てくれた。すまないが皆を集めてもらえるか?」
深海双子棲姫・黒「皆を?分かった。……僕たちはどうなるんだい?」
提督「君たちには地中海に行って貰う」
深海双子棲姫・黒「地中海?なるほど。そこで枢軸国と戦うんだね?」
提督「ああ、そうだ」
深海双子棲姫・黒「信用してくれて嬉しいよ、提督。任せて。必ず期待に応えて見せるから」
提督「勿論だ。頼むぞ」
深海双子棲姫・黒「うん。じゃあ行ってくるよ。……」
深海双子棲姫・黒(……あの人が僕に兄が戦死したといったことは、嘘だ。僕は確信に近い疑惑を持っている)ギリッ
深海双子棲姫・黒(僕に嘘をついて、情に付け込んで、騙した。絶対に赦さない。僕の大切な姉妹の死を利用して、穢したんだ……!!)
深海双子棲姫・黒(けど、あの人が今までの歩みや成果には底知れさを感じる。実際、あれで本当に戦争は終わって、僕たち深海棲艦は曲がりなりにも平和を手に入れられた)
深海双子棲姫・黒(武装解除した瞬間虐殺が始まったりするかもというような皆が恐れていたことは何一つ起きなかった)
深海双子棲姫・黒(そしてあの方たちが裏切った今でも、僕たちは一緒くたに扱われて殺されたり、監禁されたりということはされていない)
深海双子棲姫・黒(あの人は僕たちを対等な相手として見てくれている。分からない……真に何を図ろうとしているのか……)
深海双子棲姫・黒(それを見極めてやる……!!そして、その上であの人の運命を決めるんだ……この手で殺してやるか、生かすか……)
~
深海双子棲姫・黒「……って、あの人が指揮を執るんじゃないのかっ!!」
タ級「そ、そうみたいですね……」
深海双子棲姫・黒(っ……なんてことだ……やっとあの人の近くで見極められる時が来たと思ったのに……)
深海双子棲姫・黒「くっ……と、とりあえず部屋に戻るか……あれ?あの子はどこに行ったんだ?」
~
卯月「あー!!うーちゃんたちの大事な大事な間宮羊羹が無くなってるぴょん!!食べたの誰ぴょん!?」
文月「えぇーっ!?そんな……ぐすっ……うわぁ~ん!!」ポロポロポロ
水無月「酷い……あんまりだ……これが人間のやることかよぉぉぉぉぉ!!」
菊月「……犯人を殺す」
朝霜「んー……あそこに入ってたのってアタイらのだよな?」
浜波「えっ……!?ち、違うよ……あたしたちのは……むこうのに入ってるんだよ……」
長波「はぁ!?じゃあ今あたしらが食べてんの睦月型の間宮羊羹じゃんか!?」
巻雲「はわわわわ……と、とりあえず事情を説明して謝らなくちゃ……」
朝霜「やっちまった……謝ってくるわ……」
風雲「まあ私たちも食べちゃったし、一緒に行くわ」
浜波「そうね。朝ちゃん一人だけで行かせたりはしない」
早霜「睦月型の子たちが怒らないといいけど……」
朝霜「皆……!!ありがとな!!おーい、卯月!!」
卯月「何ぴょん!?今うーちゃんたちは羊羹泥棒の犯人捜しで忙しいぴょん!!というか何か知らないぴょん?」
朝霜「悪い、実はアタイが間違えてそこに入ってるの出しちまってさ。本当、ゴメン!!」
「「「「!!」」」」
清霜「怒ってるよね……代わりに向こうのに入ってる私たちのをあげるから、それで赦してくれると嬉しいな」
弥生「怒ってなんかないよ。でも、それは私たちのこの前の決戦での労を労って司令官から直々に頂いたもので、ただの間宮羊羹じゃない」
長月「私は怒り心頭に発するが、しかしもう食べてしまったものは仕方がない。その代わり、二倍にして返してもらおうか」
「「「「!?」」」」
沖波「ち、ちょっと待ってください!!確かに沖波たちに非がありますが、さすがにそれは多すぎるのではないでしょうか!?」
皐月「それを決めるのは君たちじゃなくてボクたちだろ?ボクたちがどれだけその間宮羊羹を楽しみにしていたと思ってるんだい?」
高波「っ……そ、そう言われても……そんなたくさんの間宮羊羹……用意できないかも……」
弥生「はぁ……これだけのことをしておいてその言い草……本当に申し訳ないと思っているの?」
朝霜「っ……!!確かにアタイらが悪いけどよ、だからってそこまで吹っ掛けられて黙ってはいねぇぞ!!」
長月「ふん、戦果も挙げずに食べる間宮羊羹の味はさぞおいしいに違いないな」
長波「何っ!?何つった今!?」
卯月「うーちゃんたちはこの前の決戦で大勝利したぴょん!!あれが睦月型の真の力でっす!!それで、最新鋭の夕雲型の皆さんはどんな戦果を挙げてるぴょん?」ニタニタ
「「「「!!」」」」
↓×1~3
残念ながら睦月型の侮蔑交じりの煽りのような指摘は否定できない。しかし誇り高き駆逐艦娘であることを踏まえて侮辱された夕雲型の反応
※お互いの一番艦でまとめ役の睦月と夕雲は共に不在である
朝霜「……そこまで言うんならやってやんよ!!睦月型サマの実力、見せてもらおうか!!」ギロリ
長波「てめぇらぶちのめしてやる!!覚悟しやがれ!!後で後悔しても遅ぇからな!!」ギロリ
風雲「ダメ!!」ガシッ
早霜「抑えなさい……!!」ガシッ
朝霜「何すんだよ!!止めるなって!!」キッ
長波「放せよ!!このまま言われっぱなしで良いのか!?」キッ
巻雲「本当にごめんなさい……必ず二倍の間宮羊羹を返します……けど、すぐには用意できないんです……」ペコッ
早霜「用意できる限りの間宮羊羹を用意します……だから残りはもう少し待ってください……」ペコッ
菊月「ふん……それが貴様らのモノを頼む態度か?だとしたら話にならんな」
藤波「っ……!!」ギリッ
三日月「さ、さすがに言いすぎだよ!!確かに酷いけど、ここまでしなくてもいいよ!!止めようよ!!」
長月「いや、言い過ぎではない。こいつらは知らないんだ。私たちにとって司令官からの贈り物がどれだけ重要か」
水無月「いいよね、夕雲型は。司令官の指揮下でいろんな作戦に参加できて。水無月たちは船団護衛に回されるからもう滅多に司令官と会えないのに」
「「「「!!」」」」
弥生「この前の決戦で司令官の指揮下で戦えたのは弥生たちの誇り……その時貰った間宮羊羹がどれだけ弥生たちにとって大切か絶対に分からない」
卯月「その大切な司令官からの贈り物をよりによって夕雲型の巻雲たちに食べられたのは我慢ならないぴょん」
「「「「……!!」」」」
巻雲「……どうかこれで赦してください」スッ ペタン
長波「ま、巻雲姉……」
朝霜「っ……土下座するならアタイが……」
睦月「何をしてるの?」
「「「「!!」」」」
夕雲「これは……」
如月「あら……」
岸波「一体何が……」
睦月「何をしてるの、皆?」
弥生「これは……その……」
夕雲「何があったのか説明してくれるかしら?」
長波「……」
↓×1~3 事の次第を聞いた睦月と夕雲の反応
睦月「……うん、話は分かったよ」
夕雲「……成程、事の次第は把握したわ」
睦月「巻雲ちゃん、土下座なんてしなくて大丈夫だよ。ごめんね……そんなことまでさせちゃって」シュン
巻雲「い、いえ!!あやまらないでください!!悪いのは巻雲たちですから……」
睦月「ううん、あやまらせてほしいな。間違って食べちゃっただけで土下座までさせるなんておかしいもん……長月」ジッ
長月「っ」ビクッ
睦月「こっち来て」
長月「……わかった」オドオド
睦月「……ふんっ!!」ボコッ
長月「っ~~~~~~!!……っ」ズキン ジワァ
睦月「流石に言い過ぎ!!そしてふっかけ過ぎ!!他のみんなも冷静になって!!羊羹はまた貰えばいいよ!!」キッ
睦月「それなのに仲間を強請って貶した挙句、巻雲ちゃんにこんな事までさせて……睦月型の名前が泣くよ!?」
睦月「このことを提督が知ったらどう思うと思ってるの!?胸を張って私たちが帝国海軍の睦月型ですって言える!?どう!?卯月!?」
卯月「ぐすっ……い、言えないぴょ……言えないです……ひっく……」ポロポロ
睦月「でしょ!?そんな今の睦月達に提督からもらった羊羹を食べる資格ないよ!!」
「「「「……」」」」コクリ
夕雲「朝霜さん……長波さん……こちらが悪いのに逆ギレして、その上巻雲さんにこんな真似させて」
「「っ……」」オドオド
夕雲「……」パァン パァン
長波「いっ!!つぅ……」シュン
朝霜「うっ!!っ……」ジワァ
夕雲「こういうときまで考えるよりも先に行動に出てしまいがちなのはあなた達二人の悪い癖よ。よく考えなさい。逆の立場だったらどうかを」
「「……」」コクリ
夕雲「睦月型の皆さん、妹たちの非礼お詫びいたします。羊羹もご要望どおり準備します。ですので、どうか許して頂けませんか?」ペコリ
朝霜「……ごめんなさい」ペコリ
長波「悪かったよ……ごめん……」ペコリ
睦月「こちらこそ私の妹たちがご迷惑をおかけしました。ごめんなさい。羊羹は返してくれなくて大丈夫です。その羊羹もあげます。だから、どうか妹たちの無礼を許してください」ペコリ
長月「す、すまなかった……ぐすっ……」ポロポロ ペコリ
皐月「ごめん……」ペコリ
卯月「ご、ご、ごめんなさい……赦して欲しいぴょ……です……」ポロポロ ペコリ
弥生「……悪かったです。謝罪します」ペコリ
水無月「……ごめんね」ペコリ
菊月「その……すまなかった……」ペコリ
早波「いいんですか?ありがとうございます!!」スタスタスタ
望月「やったーかっこいいーごちそうさまでーす」スタスタスタ
五十鈴「たくさんあるしね。独り占めしたら後ろから撃たれちゃうわ。……って何かあったの?」スタスタスタ ピタッ
「「「「!!」」」」
~
五十鈴「話は分かったわ。まあ、とりあえず仲直りはしたみたいだしいいでしょう。……ほら、これあげるわ。皆で分けなさい。はい、これにて一件落着」ドサッ
「「「「間宮羊羹!!」」」」
夕雲「こんなにたくさん……!!」
睦月「一体どうしたんですか!?」
五十鈴「ああ、まあ、貰ったのよ。うちの名誉戦隊司令官に」
文月「あぁ、あのおじいちゃんですよね!?」
五十鈴「ええ。私は孫くらいの年齢らしくて、いろいろと良くしてくれるのよ。……いろいろとね」ボソリ
如月「!!」ハッ
夕雲「……」ピクッ
~
駆逐棲姫「会いたかった!!会いたかった!!会いたかった!!ずっと会いたかった!!寂しかった!!」ズッチュズッチュズッチュ
提督「すまない……戦時だから、耐えてもらうしかない……赦してくれ……!!」パンパンパン
深海双子棲姫・黒「……!!」
↓×1~3 駆逐棲姫を探しに来たらお互いを貪り合う提督と駆逐棲姫を発見してしまった深海双子棲姫の反応
深海双子棲姫・黒「あ、あの二人……そういう関係だったのか……!!」カァッ
深海双子棲姫・黒(初めて目にした裸で絡みあう男女の睦言につい赤面してしまう。しかも男女とも良く知る人物だ……)
深海双子棲姫・黒(こんな盗み見みたいなこと……するべきじゃない。立ち去るべきだ。……なのに、僕は目の前のソレから目が離せない)
深海双子棲姫・黒「……すごっ」ドキドキドキ
深海双子棲姫・黒(提督とあの子の体格差は大人と子供といっていい。それはもちろん、そういうことだ)
深海双子棲姫・黒(遠くからこっそり見ていても分かる。提督のアレはそんなに大きいんだと思うくらいにでっかくて……あの子を壊してしまいそうだ)
深海双子棲姫・黒(だというのにあの子は痛がるどころかむしろ悦んでいた。甘く蕩けた声で喘いでいる)
駆逐棲姫「あっ!!あぅっ!!あぁん!!」ゾクゾク
深海双子棲姫・黒「……///」ジュン
深海双子棲姫・黒(下腹部が疼く。自覚する。ムラムラしていた。乳首が勃ってしまっている)
深海双子棲姫・黒「……っ!!」クチクチ ハッ
深海双子棲姫・黒(無意識に手を自分のソコへ伸ばして、撫でてしまっていた。自分がしている事に気が付いた僕はたまらなくなる)
深海双子棲姫・黒「っ……」スッ
深海双子棲姫・黒(静かに、気が付かれないようにその場を離れると自分の部屋に戻って下着だけになるとベッドに潜り込んだ)
~
駆逐棲姫「すぅ……すぅ……」
提督「……」ナデナデ
提督(駆逐棲姫の頭を撫でる。この子はあの時からずっと俺を想ってくれていた。あの、深海棲艦戦争末期の停戦状態の時から)
提督(正直に言うとこの子のことを気にかけていたといえば嘘になる。他の子のように大切にしていなかった)
提督(どんなに残酷なだったのだろうか?平和の為だったと言い訳しても、結局この子にとってはヤリ捨てされたようなものだったのに)
提督(深海棲艦戦争の終戦以降、結局世界は平和にならなかった。世界情勢に振り回されていた俺は忙しかった)
提督(時間を作れてももっと親しい子たちの為に使い、この子とは手紙のやり取りだけだった。なのにこの子は思い続けてくれていた)
提督(裏切ったのは深海棲艦たちのほうだ。だが、奴らからしてみれば日本側へ戻ったこの子が裏切り者となるだろう)
提督(裏切った同胞を裏切って日本側につく。とても簡単に決断できることでないことは明らかだった。辛い思いをさせてしまった。だが、この子の想いに必ず報いて見せる)
~
イギリス海軍提督「現在の東太平洋における戦線は大まかにシンガポール・マニラ・パラオ・マリアナを繋いだ線がそうであるといえる」
オランダ海軍提督「敵が優先しているのは軍事拠点の攻略と海軍戦力の撃破だ。海の怪物らしく資源地帯や重要な地点以外の陸に興味が無いようだな」
オーストラリア海軍士官「それが敵の驚異的な侵攻速度をもたらしているという訳ですか……不幸中の幸いは民間人の犠牲は少ないことですな」
提督「我々が得た情報によると現時点での敵の攻略目標はシンガポールとのことだ。マラッカ海峡は何が何でも死守しなくては」
オーストラリア海軍士官「なるほど、同類のことは良く知っているという訳で?」ジロリ
オランダ海軍提督「ふっ」クスッ
提督「……」
イギリス海軍提督「ともかく、提督が言った通りだ。マラッカ海峡は我々のものでなくてはならない」
イギリス海軍提督「我が方の主力は現在大西洋から急行している。さすが艦娘だ。飛行機を乗り継いで向かってきている為、一週間もせずに到着するとのことだ」
オランダ海軍提督「それまでシンガポールを死守しなくてはならないということか。限られた戦力で」
イギリス海軍提督「主力は航空戦艦娘二隻を有し、数も一番多い帝国海軍だ。艦隊の司令官はぜひ貴方にお願いしたい、提督」
提督「謹んでお受けする、大将」
オーストラリア海軍士官「っ!!我々の艦娘たちもJapの指揮下に入れと言うのですか!?」
イギリス海軍提督「 Too many cooks spoil the broth(船頭多くして船山に上る). 指揮系統を統一することはこのような場合、最優先するべき事項だ」
オランダ海軍提督「現状、日本が主力であり、彼自身の実績も問題ない。気持ちは分かるがここは提督が指揮を執るべきだ」
オーストラリア海軍士官「っ……了解しました」
イギリス海軍提督「それではよろしくお願いする、提督。日本はアジアにおける英国最大の敵であったが、今や我々は良き友人だ。そうでしょう?」
提督「ドイツの奇襲攻撃で我が国が甚大な被害を受けた時、英国が救いの手を差し伸べてくれたことを日本国民は決して忘れません。お任せください、大将」
~
パース(かつてのドイツ帝国やオスマン帝国。そして今現在のナチス・ドイツやイタリア王国は、遠い海の向こうの話でしかなかった)
パース(もちろん、多くのオーストラリア人が世界大戦で戦死した。私が海軍で艦娘になったのもそんな勇気ある先人たちの影響が大きい)
パース(そして第二次世界大戦ともいえる今回の戦争でも北アフリカでイタリア軍やドイツ・アフリカ軍団との戦いで何人もの勇敢なオーストラリア人たちが砂漠に散っていった)
パース(オーストラリア中の人々が悲しんだ。でも、だれもここまでの恐怖を感じた人はいなかった)
パース(大日本帝国。……その不気味な国家は深海棲艦という怪物を別として歴史上初めてオーストラリアに国家としての敗戦、滅亡といった深刻な危機感を覚えさせた)
パース(ドイツ帝国もオスマン帝国も、ナチスもイタリアも、オーストラリアを直接攻撃することは不可能だと誰もが知っていた。でも、大日本帝国は違う)
パース(真珠湾でアメリカ太平洋艦隊が、次いでマレー沖で東洋艦隊が海の藻屑となって、直接砲火を交えた東南アジアでの戦いでは一方的と言っていい程打ち負かされた)
パース(多くのオーストラリア人が戦死した。親しい戦友たちも……私は命からがら逃げのびることができた。本当に、運が良かったとしかいえない)
パース(東南アジアでの戦いは私たちの完敗だった。英仏蘭米のアジアにおける植民地は占領された)
パース(日本軍が連合国軍の捕虜を虐殺したというニュースはオーストラリア中を駆け巡った)
パース(すぐ近く、オランダ領東インドで民間のオランダ人女性が強姦されたり強制的に売春させられたりしているという話は誰でも知っている)
パース(もし日本軍にオーストラリアが占領されたら同じことが起きるであろうことは明白だった。迫りくる大日本帝国はオーストラリアに住む人々にとって恐怖だった)
パース(そして、私にとっても……奴らに対する怒りや憎しみは私自身も焼き尽くしてしまうほどだった)
パース(でも、それと同じぐらいの恐怖を感じた。東南アジアでの敗北の記憶。歯が立たたず、もう少しで殺されていた……)
パース(次は殺されるかもしれない。もし助かったとしても……野蛮な猿なんかに犯されるなんて絶対に嫌……!!そう思いながら枕を涙で濡らしていた)
パース(とうとう、日本軍はオーストラリアにやってきた。パプアのポートモレスビー。オーストラリアの玄関口、その門に日本軍は手をかけた)
パース(激しい攻防だった。ついには本土まで空襲された。今まで、本土が攻撃されるなんて想像したこともなかった)
パース(私は奇しくも艦娘としての名前と同じパースの出身だ。今のところ私の家族は安全と言える)
パース(でも、ダーウィンで親が空襲で亡くなったという連絡を受け取って泣き叫ぶ戦友を見て……震えが止まらなかった)
パース(それでも私は……戦う。あの悪魔……日本軍と。家族や友人たちの安全の為に。オーストラリアの誇りの為に)
パース(散っていった皆の想いの為に。そして共に戦う戦友たちの命を守るために。期待に応えるために。ともに勝利の喜びを得るために!!)
パース「……」コンコン
パース(でも……それも過去の話となってしまった。事実は小説よりも奇なりとはよく言う。笑えない冗談だった……)
パース(日本軍と……あの野蛮な猿と一緒に戦う事になるなんて……あまつさえ、奴らの指揮下に入って!!)
パース(屈辱!!恥辱!!汚辱!!心のどこかで助かったと思ってしまう自分がいることに狂いそうだった)
提督「どうぞ」
~
パース「How do you do?大日本帝国海軍提督閣下。私はPerth。HMAS Perth」
提督(入ってきたのはあどけなさを残しつつもきりっとした顔立ちと明るい金髪の美少女だった。アメシストのような瞳で俺を見つめてくる。かなり硬い表情だ)
提督「How do you do? HMAS Perth. Welcome to the ABDJ fleet. 私がこの艦隊の指揮を執る提督だ。よろしくお願いする」
↓×1~3 パースの心情と反応
パース「……!!」
提督(パースと名乗ったオーストラリア海軍の少女は驚いたように目を見開く。どうしたのだろうか?)
提督「何か?」
パース「っ!!いえ、何でもありません」
提督(そう言うと目を逸らすパース。明らかに壁を作っていた。……日本が激しくオーストラリアを攻撃していたことを考えれば仕方がないだろう)
提督「そうか」
提督(しかし、これから一緒に戦う仲間なのだ。お互いの関係が良くないと必ず艦隊に悪い影響がでるだろう。俺はなんとか打ち解けようと努力する)
提督「よければ席に座ってくれ。そろそろ来る頃だと思って紅茶を淹れてみたんだ。どうだろうか?気に入ってもらえればいいのだが」
パース「……では、いただきます」
提督(努力の甲斐あって俺はウォースパイトも満足してくれるほど美味しい紅茶を淹れられるようになっていた。きっとこの子も満足してくれるはずだ)
提督「どうぞ」
パース「頂きます。……!?おいし……っ!!」ハッ サッ
提督(紅茶を飲んだパースは再び驚きに目を見開き、視線を落としてカップを見る。つい本音が口を出たという感じで感想を述べる)
提督(そしてやってしまったとでも言うようにサッと空いている方の手で口を押え、ちらりと上目遣いで俺を窺う。俺は微笑んでその視線に応える)
提督「喜んでもらえたのなら何よりだ」ニコリ
パース「っ……本題に入らせて頂きます、提督。本来ならオーストラリアかキャンベラがお伺いするべきでしたが、撤退戦で負傷してしまったので私が参りました」
提督「ああ、聞いているよ。戦死者がでなかったことは幸いだった。よく頑張ったな。療養に専念するように伝えてくれ」
パース「っ!!……ありがとうございます。提督、私たちオーストラリア海軍所属の艦娘はこれよりABDJ艦隊へ合流し、提督の指揮下に入ります」
提督「了解した。カラブリア沖やスパダ岬においてのオーストラリア海軍の活躍は聞いている。貴官らの合流、大変心強く思う」
パース「あの提督にそう言って頂けるとは光栄です。それでは撤退戦の報告を始めさせていただいてもよろしいでしょうか?」
提督「お願いしよう」
~
パース(新聞の風刺漫画やポスターに描かれていたような口ひげを生やした肌が黄疸のように黄色いチビで、異常なまでの出っ歯な眼鏡をかけた野蛮な猿のような人間)
パース(それが私の日本人に対するイメージだった。目の前に立ち現在の戦況やこれからの計画について説明する男はそのイメージから遠くかけ離れている)
パース(口ひげなんて生やしていない、清潔感のある見た目。肌の色も普通で、歯並びも綺麗だ)
パース(背が特別高いとは思わないけど、これでチビなら世界はチビだらけになってしまうだろう。眼鏡もかけていなかった。そして……顔立ちも整っている)
パース(しかも驚くべきことに流暢な英語を話していた。美しい発音のイギリス英語だった。たまにアメリカっぽい表現や発音が混ざるけど)
パース(出された紅茶も正直とても美味しかった。提督の言うことを信じるのなら、彼が自分で淹れたらしい)
パース(そして何よりその物腰は紳士的で、野蛮さのかけらも感じられない。好印象を持ってしまっている自分に気が付いて愕然とした)
パース(私は自分に言い聞かせる。こいつは、日本人なんだと。こいつらがしたことを忘れるなと。こいつらは野蛮な猿だ)
パース(死んでいった戦友たちを思い出す。皆を殺したのはこいつらだ!!日本人は私たちの敵だ!!……絶対に気を許してなるものか!!)
~
パース「他に質問が無いのであればこれで報告を終了させていただきます」
提督「ああ、大丈夫だ。ありがとう、パース」
パース「どういたしまして、提督。……」
提督(パースは紅茶を飲み干すと少し残念そうにカップを見下ろした。俺は微笑みを浮かべて声をかける)
提督「よければもう一杯どうだ?」
パース「っ!!……結構です。ではこれ以上何もなければこれで失礼します」スクッ ジロリ
提督「そ、そうか、分かった。ではまた今度、パース」
パース「ええ、また今度。失礼します、提督」
提督(立ち上がり冷たい表情を浮かべ、敵意を込めた視線で俺を見下ろしたパースは俺の言葉に足早に部屋を退出していった)
提督(話している最中はそんなことなかったのだが……どうやら、彼女たちと我々の間にできた溝はそう簡単には埋まらないようだ)
~
叢雲「……」
吹雪『斬りこむよ!!面舵!!突撃!!』グイッ
叢雲『えっ!?』モタッ
深雪『馬鹿!!何やってんだ!?』
白雪『私が付きます!!行ってください!!』
吹雪『お願い!!』
叢雲『ご、ごめんなさ』
白雪『離れずついてきてください!!』
叢雲『っ……わかったわ……』
叢雲「っ……」
叢雲『駆逐イ級ね……沈みなさい!!』ドンッ
イ級『……』ヒョイッ ギラリ
叢雲『!?』ゾクッ
叢雲《よ、避けっ!?やられる!!》サァッ
浦波『危ない!!』グイッ ドンッ
叢雲『うっ』
イ級『っ!!』ドンッ
浦波『くぅっ!!』ドゴンッ ボロッ
イ級『っーーーーーー!!……』ドゴンッ ボガァン ドボン ブクブクブク
叢雲『ぁ……』マッサオ
浦波『つぅ……大丈夫……!?』グラリ
叢雲『わ、私は大丈夫だけど……浦波が……!!』ブルブル
浦波『私も大丈夫……へっちゃらだよ……』ニコリ
磯波『浦波ちゃん、叢雲ちゃん、大丈夫ですか!?』
叢雲『い、磯波……!!私のせいで浦波が……!!』
伊勢『っ!!浦波、撤退して!!磯波と叢雲は浦波の護衛!!一緒に下がって!!』
磯波『了解です!!』
浦波『了解……』
叢雲『り、了解……』
叢雲「……ぐすっ」ポロポロ
↓×1~3
経験と訓練の差から仲間の足を引っ張り、それまで失敗も挫折も経験しなかった為に築き上げてきた自分が優秀だという自信もプライドもボロボロに崩れ去った
そして残酷な戦争の現実を知り、心も体も追い詰められ、実戦前に胸に抱いていた崇高な思いも忘れ去り、死と隣り合わせの地獄でただ今日を生き延びることに必死な叢雲の心情と行動
叢雲「絶対に……絶対に死んでなんてやるもんか……!!」ギリッ
叢雲(なりふり構っていられる状況じゃないもの。生き残るなら何だってしてやるわ)
~
叢雲「ただでさえ休む暇が無くて疲れているのに、こんな事頼まれても迷惑だと思うわ……けど、このままじゃ私……お願い、吹雪……私を鍛えて……!!」ポロポロ ペコリ
吹雪(そう言って頭を下げる叢雲ちゃんは目を真っ赤に泣きはらしていて……涙が頬を伝って地面に垂れていた)
吹雪「勿論だよ、叢雲ちゃん!!だから泣かないで?」
叢雲「っ……!!ありがとう……!!」スッ ペタリ
吹雪「む、叢雲ちゃん!!」バッ
吹雪(顔を手で覆ってその場に座り込んでしまった叢雲ちゃんに駆け寄る。叢雲ちゃんの体は震えていて……私は叢雲ちゃんを抱きしめた)
吹雪「大丈夫、叢雲ちゃんはよくやってるよ」
叢雲「ごめんなさい……でも、もし気休めなら……お願い、そんなこと言わないで」ギリッ
吹雪(私の慰めに体を強張らせると押し殺した声で囁く叢雲ちゃん。凄いな……私なんかよりずっと心が強い)
吹雪「……気休めじゃないよ。もしよくやれてなかったら、生きていないと思う」
叢雲「っ!!」ビクッ
吹雪「こんな酷い戦い久しぶりなんだ。私たち艦娘は、簡単には死なない。でも不死身じゃない」
吹雪(あの時のことを思い出す……こんな日が来るなんて。あの絶望の日々を……地獄のような戦いのことを思い出す日が)
吹雪「もうずっと前のことになっちゃったけど、対深海棲艦戦争の初めのころ……あの時、硫黄島まで深海棲艦が来ててね」
吹雪「もし硫黄島に深海棲艦の拠点ができたら、そこからの攻撃で本土が壊滅的な被害を受けるから……だから、皆死に物狂いで戦った」
吹雪「余裕が無かったから……大破しても、もう下がる場所なんてなかったから……仲の良かった子も、話したことが無かった子も、たくさん……死んじゃった……」ウルッ
吹雪(涙が込み上げてくる。もう、思い出の一つだった。でも、今でもはっきりと思い出せる。絶対に忘れられない、あの時の事は。永遠に脳裏に刻み付けられている)
叢雲「……硫黄島の戦い。艦娘の初陣の戦い」
吹雪「そうだよ。流石叢雲ちゃんだね。本当に……一番酷い戦いだった……ムラクモちゃんとも、あの時からずっと一緒だった」
叢雲「っ」
吹雪「今回の戦い、あの時と似てるんだ。こちらの態勢は整ってなくて、敵の方が圧倒的に多くて……大事な戦友が、逝っちゃって……」
叢雲「……」
吹雪「でも、叢雲ちゃんは生きてる。本当によくやってるよ。速成訓練しか修了してないなんて信じられないくらいに」
吹雪「才能があるんだと思う。だから、きっと大丈夫。叢雲ちゃんは死なない。私が保証するよ」
叢雲「……ありがとう」
~
吹雪「取舵!!前進一杯!!」
叢雲「了解!!」グイッ
吹雪「……原速!!少し遅れてる!!旗艦の指示に遅れないよう頑張って!!」
叢雲「っ……分かった……!!」ギリッ
吹雪「けど上達してきてるよ!!続ければすぐにできるようになるよ!!……あっ」
叢雲「っ!!……何の用」ジロリ
深雪「……そんな顔するなよ。この前は深雪さまが悪かったからさ。謝るよ」
初雪「……ごめんなさい」
叢雲「っ」
白雪「水臭いですよ、吹雪ちゃん、叢雲ちゃん。二人だけで特訓なんて」
磯波「ぜひご一緒させてください。人数がいた方がより実戦的ですし、敵役もできます」
浦波「東雲たちは哨戒で来られないけど。とっても残念がってたよ」
叢雲「……!!あ、ありがとう……ぐすっ」ジワリ ポロポロ
~
提督(太平洋へ戻って来た当初俺の指揮下に入った伊勢型と吹雪型の艦隊は現在、パラオの守りを航空隊と通常艦艇に任せて俺と共にシンガポールへと移動していた)
提督(そしてABDJ艦隊の編成前から敵のシンガポールへの威力偵察の迎撃や撤退する友軍の支援などで活躍してくれている)
提督(つまり、あれ以来多くの激戦を経験しているのだ。本来なら速成訓練しか修了していない新兵にそんな事をさせるわけがない)
提督(いくら可能な限り早く使い物になるようにしろと言われていてもだ。しかし、戦況がそれを許さなかった。戦力が致命的に不足している中、悩みに悩んだが俺は叢雲を艦隊に編成した)
提督(勿論、戦闘になっても死ぬだけというような状態では編成しなかった。叢雲の訓練における成績やパラオでの実地試験の結果、大丈夫だと判断したからだ)
提督(そして実際に叢雲は俺の期待に存分に応えてくれた。だが、状況が変わり王立海軍やオーストラリア海軍、オランダ海軍の艦娘たちが指揮下に入った)
提督(それでも戦力が不足しているのだが、少なくとも叢雲を無理に戦わせなくてはいけないほど余裕が無いわけではなくなった)
提督(俺は十分に務めを果たしてくれた叢雲を後方へ下げようとした。しかし、叢雲がそれを受け入れなかった)
提督「本当に大丈夫なんだな?」
叢雲「大丈夫よ」
提督(俺の確認に叢雲は真っすぐと俺の目を見て答える。無理をしていないとは言えないが、自暴自棄や状況を理解できていないという訳ではないようだ)
提督「……吹雪、君から見ても大丈夫だと思うか?」
吹雪「……下がれるのなら安全な後方へ下がって欲しいとは思います。ですが、個人的な感情を排除して考えると叢雲ちゃんはもう十分前線での勤務に耐え得ると自信を持って言えます」
提督「そうか……なら、君を後方へ下げることは止めておこう。引き続き前線で任務に就いてもらう」
叢雲「ええ、そうして頂戴」
提督(真っすぐと俺の目を見つめる叢雲には覚悟と信念がある。そこに居たのは新兵ではなかった。立派な一人前の駆逐艦娘だ)
提督「死ぬなよ、叢雲」
叢雲「言われなくても」
提督「ふっ、大丈夫そうだな」
叢雲「当たり前でしょ。私を誰だと思っているの?特型駆逐艦、5番艦の叢雲よ!!」
~
帝国海軍中将「大和や赤城たちの代わりがお前たちか……」ジロリ
↓×1~3 明らかに差別的な目で見られた戦艦棲姫や空母棲姫たちの心情と反応
防空棲姫「……」ジッ
戦艦棲姫「ええ。私たちですわ、中将」イラッ ニコリ
空母棲姫「特一艦隊ただいま到着しました。これより貴方の指揮下に入ります、中将」
帝国海軍中将「了解した。……しかし諸君らの強さは良く知っている。ここでもその力を発揮してほしいものだな」
戦艦水鬼「お任せください、中将。我々の強さを嫌でも思い出させて差し上げますわ」ニコリ
~
ドイツ軍パイロット「Entdecke(発見)!!こちらRot-3!!敵が見えた!!一時の方向!!……なんだあれは?」
ドイツ軍パイロット「見たことない形だ……Neues Modell(新型か)?」
ドイツ軍パイロット「……っ!!あれは……深海棲艦の機体だ!!」
空母棲姫「 Eisernes Kreuz(鉄十字)……ドイツ軍、か。さて、お手並み拝見といきましょう」
~
ドイツ軍艦娘「Luftstützpunk(航空基地)が深海棲艦の空襲を受けたって……」
ドイツ軍艦娘「まさか……アレとまた戦うんですか……?もう少しで撤退作戦が完了するのにこのタイミングで……どうして……!!」
ドイツ軍艦娘「やはり総統閣下は間違っていなかった。日本はユダヤ人や共産主義者と一緒だ」
ドイツ軍艦娘「……っ!!深海棲艦!!会敵!!深海棲艦だ!!こっちへ向かってくる!!」ハッ
ドイツ軍艦娘「Achtung!!戦闘態勢に入れ!!ここで食い止めろ!!輸送船を守るんだ!!」
ドイツ軍艦娘「本当にアレが出てくるなんて……なんてこと……」
ドイツ軍艦娘「化け物どもめ……深海にかえりなさいよ!!」
戦艦棲姫「ふふふ……ご主人様の為に。悪いけれど、海の支配者がやって来たわよ」ニタァッ
戦艦水鬼「悪く思わないで頂戴ね?これはあなた達が始めた戦争なのでしょう?」スッ
~
防空棲姫(敵の艦娘は勇敢に戦ってた。でも、多勢に無勢だった。ボロボロになるまで戦ったあの子たちは撤退していった)
防空棲姫(猟犬たちに被害がでたけど、あの子たちは私たちを止めることはできなかった。すぐに敵の船団を捉えた)
防空棲姫(鉄のクジラみたいな軍艦や輸送船は私たちの敵じゃない。攻撃の後、燃え盛りながら海に沈んでいく敵の船団を眺める)
軽巡棲姫「さすが艦娘ですね。少々手こずりましたが、しかし輸送船団には十分な被害を与えられました」
防空棲姫「……終わったね。戻ろう」
~
ドイツ軍将校「っ……Ungeheuer der See(海の化け物どもめ)……!!」ボロッ タラリ ギロッ
特務機関将校「そいつは用済みだ。処刑しろ」
↓×1~3
ドイツ軍将校の処刑を命令された深海棲艦たちの反応
※深海棲艦たちはドイツ語が理解できない
空母棲姫「……悪いけれど、私たちは殺戮や処刑のためにここへ来たのではない。その命令は断らせてもらう」
特務機関将校「……なんだと?」
戦艦棲姫「これを殺したところで何かいいことがあるのなら教えていただけるかしら?生かしておいた場合のいいことはすぐ思いつくのだけれど」
特務機関将校「っ!!ああ、あるとも!!こいつに食わせるものは帝国臣民の血税によって賄われている!!日本を焼いた鬼畜にどうしてこれ以上費やせようか!?」
戦艦棲姫「……そう。そうね、確かにそうかもしれないわ。けれどそれは、この戦いを戦争以下の血みどろの殺し合いに変えることと天秤にかけて釣り合うとは思えないけれど」
軽巡棲姫「大日本帝国が捕虜を殺すと知れ渡れば敵は降伏せず死に物狂いで抵抗するようになるでしょう。考えれば簡単に分かることではありませんか」
特務機関将校「口ばかり達者な化け物め……!!ドイツの総統は日本との戦争は絶滅戦争だと明言している!!本土空襲で民間人が何人死んだと思っている!?」
特務機関将校「この戦いはすでに戦争ではない!!お前の言った血みどろの殺し合いなのだ!!我々じゃない!!ドイツ人がそうした!!」
軽巡棲姫「っ」
戦艦棲姫「……そう」チラッ
ドイツ軍将校「Seht mich nicht an(こっちを見るな)!!悍ましい……」ギロリ
戦艦棲姫「なんて言っているのか分からないけれど、何となくわかるわ。きっと私たちの事を化け物とか思っているのでしょう?大佐のように」ジロリ
特務機関将校「っ……」
防空棲姫「私たちからしてみれば、戦争じゃなくて血みどろの殺し合いをしているあなた達のほうがよっぽど化け物」
特務機関将校「……」ギリッ
空母棲姫「ともかく、国際法でも捕虜の虐待や処刑は認められていない。我々は海軍の軍人であって特務機関の人間ではない」
空母棲姫「提督から国際法を順守するように厳命されている。捕虜の処刑は断固拒否する。どうしてもというのであれば提督からの命令を用意するか……」
空母棲姫「あるいは力尽くでやらせて見るといいわ。あなた達が化け物と恐れる私たちの実力を理解した上でできるのならば」ニタリ
特務機関将校「ぅっ……!!」ゾクリ
戦艦水鬼「まあそんなことしている暇があるのなら、この殺し合いを早く終わらせる方法を考えた方が有意義だと思うけれどね」ニタリ
特務機関将校「くっ……分かった。ならもうこれ以上用はない。戻れ」
~
第一海軍卿『南極から深海棲艦が侵攻を開始したことで南大西洋に新たな艦隊を編成したばかりだ。北大西洋、北海、北極海でもドイツ海軍が活動を活発化させているというのに』
第一海軍卿『無論、船団護衛も強化せねばならなかった。今まで安全だったインド洋ももはや深海棲艦の脅威にさらされているのだから』
第一海軍卿『その上今度は極東でも深海棲艦。まったくもって目を覆いたくなるような惨状だ。戦力が足りていない』
第一海軍卿『だがそれでも我々は大英帝国の威信と王立海軍の名誉にかけてシンガポールの東洋艦隊を再編しなくてはならない』
第一海軍卿『今やあの艦隊には通常艦艇が数隻しかいないのだからな。さて、どうしたものか……』
ウォースパイト『っ!!第一海軍卿、それならば私が東洋艦隊を率いましょう。大丈夫、戦いは大日本帝国に任せれば問題ないわ』
ウォースパイト『卿は面目が立つ最低限度の規模の艦隊を編成して送ってください。私は先にシンガポールへ向かいます』
ウォースパイト『アゾレス近海での艦隊決戦においてAdmiralが指揮を執る帝国海軍が勝利した結果、撤退した我が海軍は面目丸つぶれでした。同じ失敗を繰り返してはならない』
ウォースパイト『Admiralならシンガポールでも必ず同じことをするでしょう。そしてそれは近日中に行われる』
ウォースパイト『英国のためにも私は絶対に間に合って勝利に貢献しなくてはなりません。艦隊の編成が終わるのを待っていたら絶対に間に合わないわ』
~
ウォースパイト「Admiral!!」パァッ
↓×1~3 ウォースパイトが来たことに対する提督の心情と反応
提督「ウォースパイト!!よく来てくれた。本当にありがとう」ダキッ ギュッ
提督(ウォースパイトを抱きしめる。ウォースパイトもまた俺を強く抱きしめてきた。至近距離で見つめ合い、唇を交わす)
ウォースパイト「……んっ。会いたかったわ、私の騎士、愛しい人。頭を撫でてくれるかしら?」
提督(甘えるウォースパイト。俺はウォースパイトの望み通り彼女の頭を撫でる。さらさらとした亜麻色の髪の質感を堪能させてもらいながら)
ウォースパイト「あぁ……気持ちいい……こうして貴方の温かさを感じることができるだけで幸せだわ」
提督「俺もだ、ウォースパイト。この困難な時に君が来てくれて、この腕の中に抱いている。これほど幸せなことはない」
ウォースパイト「貴方がいる。それだけで私は悪魔とだって戦って勝つことができるわ。その勇気が湧いてくる」
提督「そう言ってくれて嬉しいよ。……本当は君を戦場に、それもあのパッシェンデールのようになるだろう所へ行かせるのは嫌だ」
ウォースパイト「大丈夫よ、Admiral. 私は絶対に死なない。こんなに素敵な恋人がいるのに死んでやるものですか」
ウォースパイト「誰も私たちの仲を引き裂いたり、私たちの前に立ちふさがることなんてできないわ。私が決して赦さないもの」
提督(俺から離れたウォースパイトは堂々とした態度でそう宣言する。仲を引き裂いたりのところでどこか恐ろし気なオーラを纏ったが、愛ゆえにだと思えばむしろ愛おしい)
ウォースパイト「Admiral, 王立海軍の戦艦娘、ウォースパイトはABDJ艦隊へ合流、貴方の指揮下に入ります」スッ
ウォースパイト「敵は徹底的に打ち負かせて見せましょう。だからどうか私を導いてください、Admiral, 私の主」
提督(優雅にカーテシーするウォースパイト。これはウォースパイトが指揮下に入り、かつフォーマルな時だけする振る舞いだ)
提督(英国の貴族の家系であるウォースパイトは帝国海軍の提督であろうとも平民である俺とは本来、身分差がある)
提督(だが、もはやウォースパイトは俺を下に見ない。対等な関係だと扱ってくれている。しかし他の子と違って決して上に見ることも無い)
提督(そんな高貴な振る舞いを絶対に崩さないウォースパイトが唯一、例外的に俺を上に見るときがある。それが今のように俺の指揮下に入った時だ)
提督(自分より身分が上である存在、しかも美しい女性を下に扱うことのなんと背徳的で甘美な事か!!そんな興奮を理性で制御する)
提督「了解した。では早速だが状況説明に入らせてもらう」
~
ウォースパイト「美味しい。流石ですね、Admiral」ニコッ
提督(部屋へ移動し、席に着いたウォースパイトに紅茶を振舞う。一口じっくりと味わったウォースパイトは笑顔を浮かべてそう言ってくれた)
提督「ありがとう、ウォースパイト。紅茶の淹れ方は君に教えてもらったからな。パースにも喜んでもらえたよ」
ウォースパイト「ああ、あのオーストラリアの子?地中海で一緒に戦いました。悪くない実力の持ち主よ」
提督「君がそう評価するのならあの子は強いのだろうな。……しかしオーストラリアやオランダの子たちと我々日本人の間には無視できない軋轢がある」
ウォースパイト「そうでしょうね……仕方のないことです。オーストラリアの子たちにとっての日本は、私たちにとってのドイツと同じだろうから」
ウォースパイト「そしてオランダの方々も、ただでさえ本国がドイツに占領されていて心に余裕が無いところに直接戦火を交えたのだから、とても悪く思っているでしょうね」
ウォースパイト「でも安心して、Admiral. 私があの子たちを率いましょう。Admiralの命令を私からの命令にすれば状況は改善するわ」
提督「そうしてくれると助かる。ありがとう、ウォースパイト」
ウォースパイト「どういたしまして」
提督「君のおかげで後顧の憂いを断つことができた。本題に入ろう。正直、現状の戦力では正攻法でシンガポールを防衛することは不可能だ」
ウォースパイト「……状況は悪いようね」
提督「敵の北西方面艦隊の攻略目標はシンガポールだが、北方面艦隊は我が国の絶対国防圏のひとつであるマリアナ諸島の攻略を目的として大規模な攻撃を仕掛けてきている」
提督「マリアナ諸島はシンガポールと違って大海原の中にあるただの島だ。シンガポール要塞のような沿岸要塞はないし、大規模な基地航空隊もいない」
提督「そして申し訳ないが日本としてはシンガポールを失ってもまだ後があるが、マリアナ諸島を失ったら情報を得た深海棲艦の新型爆撃機の航続距離内に本土が捉えられる」
提督「欧州各拠点からばらばらに戻ってきた艦隊をマリアナへ逐次投入せざるを得ず戦力の集中運用ができなかったこともあり、戦況に余裕がないのだ。……援軍は来ない」
提督「しかも敵はシンガポール攻略の前準備であろう航空基地やシンガポールへの空襲を続けながらもとうとう侵攻を開始するらしい。明日にでも戦闘になるかもしれない」
ウォースパイト「基地航空隊は壊滅したわけではないわ。航空攻撃で敵に損害を与えることはできるでしょうけど……それでも戦力差は圧倒的というわけね」
提督「そうだ。しかしシンガポールを失う訳にはいかない。現有の戦力で何としてでも敵を撃退しなくてはならないのだ」
提督「よって我々は敵を包囲し、混乱させて袋叩きにする。作戦を説明しよう。まず伊勢を旗艦とした我々日本艦隊が敵を迎え撃つ」
提督「当然勝てないだろう。罠と気が付かれないよう死に物狂いで十分に戦い、しかし重大な損害が出る前に艦隊は北へ撤退する」
提督「ここでたくさん敵を引き付けられればいいのだが、敵の目標はシンガポールだ。追撃してこないか、してきても少数だろう」
提督「シンガポール要塞の主力要塞砲は15インチ砲が五門だ。対して敵の戦艦級の砲は我々でいうところの16インチ砲に近い。こちらの要塞砲はアウトレンジから撃破される」
提督「よってすべての要塞砲は付近に点在する偽装した陣地へ移動させた。防御力皆無の露天砲台陣地となるが、問題ないだろう」
提督「当たらなければどうということはないのだから。もちろんもとの砲台にはハリボテの偽物を用意して気取られないようにする」
提督「発砲できないことがばれたら見破られるが、砲の射程に入る前に破壊されるのだからこちらも問題ない」
提督「敵がシンガポール攻略の為に接近したところで付近に潜んでいた君が率いるイギリス、オランダ、オーストラリア艦隊が背後から急襲する」
提督「シンガポール付近は入り組んでいるし艦娘が潜むのは簡単だろう。もちろん、失敗しないようにレーダーを妨害することは大前提だ」
提督「しかし奇襲が成功したところで戦力差は圧倒的だ。そのままでは勝てない。そこで砲撃陣地からの攻撃も開始する」
提督「第一次世界大戦の時のように15インチ砲から26ポンド砲、75ミリ砲まで含めた使える全ての砲を以てして攻撃を加える」
提督「おそらく75ミリ砲が命中したところで効果は薄いだろう。だが、損害を与えることはできる。砲塔を損傷させたり炎上させることができれば理想的だ」
提督「そしてなにより撃たれているという敵に与える心理的効果は大口径砲と変わらない。それに加えて帝国海軍の艦隊も反転し、攻撃に加わる」
提督「 さらにシンガポールの西方面へ退避させていた通常艦艇も攻撃に参加させる。四方八方から撃たれた敵は混乱するだろう」
提督「ダメ押しに生き残った航空隊も出撃させる。おそらく夜間だろうが、それでも攻撃によって発生した炎に加えて照明弾があれば攻撃するのに十分明るくなるはずだ」
提督「これだけしても勝てるかどうかは分からない。だが、勝ち目のない戦いではないはずだ。どうだろうか、ウォースパイト」
ウォースパイト「……My Admiral, 私が知る限り最高の海軍軍人、I love you. 私の全てを捧げることが惜しくない人は他にいないでしょう」
ウォースパイト「本当に素晴らしい作戦。誓いましょう、必ずや勝利を得ると。貴方に証明するわ、Admiral」
提督(感激しきった様子目を輝かせ、うっとりとした表情を浮かべて俺を見つめていたウォースパイトは俺に愛を伝え、決意を口にする)
ウォースパイト「私こそが最も貴方の隣に立つのにふさわしいということを。……あのフランス女やイタリア女ではなくて」スッ ボソリ
提督「!!」ビクッ
提督(そして机に身を乗り出し、向かいに座っていた俺の耳元に口を寄せる。つい胸元に目が行ってしまった俺に、ウォースパイトはどこか妖しい魅力を孕んだ危うげな声音でそう囁いた)
↓×1~3 提督の反応
提督(ウォースパイトは明らかにイタリアとリシュリューのことを強く意識していた。この前の艦隊決戦のときのことだろう)
提督(以前ウォースパイトに例のことを話そうとしたら、聞くのを断られてしまった。知らない方がいいこともある)
提督(俺がウォースパイトのことをちゃんと思っているのであれば、大切に、幸せにしてくれるのであればそれでいい、と)
提督(きっとある程度察しているのだろうと思う。その上でウォースパイトは俺のことを赦してくれている。心から想ってくれている。愛してくれている)
提督(あの時のザラとポーラのことは多くの戦友を殺されたがための行動であって、本来のウォースパイトは度量の広い人間なのだ)
提督(しかしその上でやはり嫉妬深かったりするところもあるのだろう。度量が広くても人間、嫉妬のような悪感情を持たないということは絶対にない)
提督(そういった悪感情を持ったうえで理性的な振る舞いを維持でき、寛容であれる人間が度量の広い人間だ)
提督(……そんなウォースパイトに、俺は酷いことをする。一番であることを望む彼女に、一番を選べないなどと……最低なことだ……)
提督(普通なら、一番だけを選ぶべきなのだ。しかし、俺のしていることは、普通でない。だから普通の常識は通用しない)
提督(俺のことを想ってくれる子たちに順位をつけるなんてことは、してはいけないことだ。ごめんな、ウォースパイト……俺は、ただ微笑むことしかできない)
提督「……」ニコッ
ウォースパイト「っ!!」ハッ ガーン
~
ウォースパイト「……」スタスタスタ
ウォースパイト(割り当てられた部屋へ向かって廊下を歩く。Admiralは……私の言葉に何も言ってくれなかった……)
↓×1~3 ウォースパイトの心情
ウォースパイト(私は誰よりもあの人を想っているのに。大切な家族や友人たち。誉れある王家や偉大な大英帝国でさえもあの人と天秤にかけたらどちらへ傾くか分からない程なのに)
ウォースパイト(あの人はあのカエル女やパスタ女程度と私を天秤にかけても私の方へ傾くとは限らないというの……?)
ウォースパイト(私はあの人に身も心も捧げたのに……あの二人よりもずっと深い関係を築き上げていたはずなのに……)
ウォースパイト(いくら歴史に残るような輝かしいものだとしても、たった一度の勝利で全て儚く崩れ去ってしまう程度だったというの……?)
ウォースパイト(なんて酷い……Admiral……裏切り者……いえ、違う。あの人はまだ私を愛してくれている。ただ……あの二人よりも下に見られているだけ)
ウォースパイト(だからAdmiralは私を選んでくれないに違いないわ……なんて屈辱!!この私があの二人に劣ってる!?あり得ない!!)
ウォースパイト(リシュリューなんてヴィシーについてドイツと戦う事を拒んだ腰抜けよ!?イタリアだって地中海では逃げ回ってばかりだった!!)
ウォースパイト(私は大西洋で、地中海で、インド洋で、勇敢に戦い続けてた!!もし私があの時アゾレスに居たら、絶対にあの二人よりも活躍していたのに……!!)
ウォースパイト「見てなさいよ、Admiral……私が誰で、誰が貴方の一番に相応しいのか教えてあげるわ……!!」ギリッ
~
パース(イギリス本土の人間に対する私たちオーストラリア人の感情は複雑だ。私たちは自分たちが本土の人間に劣っているとは少しも思っていない。むしろ逆だと信じている)
パース(本土の人間に対抗意識を持っていた。私たちは誇り高いオーストラリア人だ。軟弱なイギリス人なんかには負けないと)
パース(けれど、やはり本土の人間は垢抜けた都会人で……自分たちはド田舎の人間だというように感じてしまうのだ)
ウォースパイト『ではそのようにお願いするわ。よろしくね、皆さん』ニコッ
パース(援軍としていらっしゃったウォースパイト様は地中海で初めて会ったときと変わりなかった)
パース(優雅で気品に溢れ、そして絶対強者の貫禄を備えている。正に世界に冠たる王立海軍の戦艦娘という感じだ)
パース(貴族だというのだから納得だ。私のような田舎娘が勝てる相手じゃない。そう思ってしまう)
パース(それがたまらなく悔しい。けどそれ以上にとても心強かった。深海棲艦にオーストラリア本土を追われ、シンガポールまで逃げてきた)
パース(そしてついこの間オーストラリアを焼いた日本人なんかの指揮下に入れられてしまった)
パース(屈辱と恐怖、不安に押しつぶされそうだった私たちにとってどれほど心強い援軍だったか)
ウォースパイト「……」スッ
パース「……」スッ
パース(昼休み、そんなウォースパイト様と私は一緒に紅茶を飲んでいる。本当に偶然だった)
パース(昼の休みを秘密の場所……なんとなく歩いていたら広い庭の端で偶然見つけた小さなガゼボですごそうとしたら、ウォースパイト様がいた)
パース(戻ろうとした私をウォースパイト様がお茶に誘ってくれたのでお言葉に甘えさせてもらったのだ。聞きたいこともあったし)
ウォースパイト「Are you enjoying it(どうかしら)?」
パース「Yes, it tastes great(美味しいです), ウォースパイト様」
ウォースパイト「それはよかったわ」ニコッ
パース(そう言って微笑むウォースパイト様。このお方もABDJ艦隊に配属されている。つまり、あの日本人の指揮下に入ったということだ)
パース(そう言えばウォースパイト様は対深海棲艦戦争の時に日本へ派遣されていたらしい。この方が猿なんかに指揮されて戦っていたなんて信じられない)
パース「あの、ウォースパイト様」
ウォースパイト「何かしら?」
パース「どうしてABDJ艦隊の司令官は王立海軍の提督閣下でなく日本軍の提督なのですか?」
ウォースパイト「それは一番適任なのが彼だったからよ。ABDJ艦隊の主力は日本軍だし、なにより彼は優秀な提督ですもの」
パース「っ……彼の活躍は話には聞いています。ですが彼は日本人、yellow monkeyですよ?野蛮な猿なんかに指揮されて平気なのですか?」
十五世紀の大航海時代の到来から始まった西洋の白人国家による南北アメリカやアフリカ、アジア、オセアニアの征服、植民地化は彼らに自分たちが優れているという自意識をもたらした
事実、いくつかの例外を別としてほとんどすべての有色人種の国は白人たちの侵略に対抗することができず、次々と敗北して白人に支配されることとなった
そして二十世紀の半ば頃に公民権運動などの人種差別に反対する運動が活発になるまで一部の例外を除いて多くの白人たちが人種主義を信奉していた
程度の差こそあれ、白人たちは空は青いということと同じように、ただ悪意なく無邪気に有色人種は劣っている。同じ人間ではないと考えていた。それが常識だった
パースは故郷を攻撃した日本を憎んでおり、提督が日本人だという事に対して悪意を持って攻撃するつもりで発言している
しかし悪意を込めて人種差別をしているのではなくただ悪意なく無邪気に人種主義という常識にのっとった発言をしているだけ
そしてウォースパイトもまた白人であることをふまえて
↓×1~3 パースの発言に対するウォースパイトの心情と反応
ウォースパイト「取り消しなさい」ブワッ
パース「っ!?」ビクッ
パース(一瞬で空気が変わる。生きた心地がしなかった。ウォースパイト様が私を鋭い視線で睨みつけている。発される威圧感は戦場で感じる殺気に引けを取らない程濃厚で……)
ウォースパイト「私の騎士への侮辱を取り消しなさい、パース」
パース「す、すいませんでした、ウォースパイト様……謝罪いたします……!!」
ウォースパイト「……」スッ
パース(その手が動いただけで肩がびくりとしてしまった。ウォースパイト様が紅茶を飲む。無言の時間が流れた)
ウォースパイト「……紅茶、淹れ直しましょうか。いかがかしら」
パース「いただきます……」オズオズ
ウォースパイト「……どうぞ」
パース「ありがとうございます、ウォースパイト様」
ウォースパイト「どういたしまして」
パース(温かい紅茶を飲む。あんなにおいしいと思ったのに今は味がしなかった。手が震えそうになるのを必死で耐える)
ウォースパイト「……先程は乱暴な物言いになってしまってごめんなさい。貴女の気持ちも分かるわ」
パース(ウォースパイト様が口を開く。申し訳なさそうに軽く俯いていた。そのまま言葉を続ける)
ウォースパイト「もし私がドイツ人の指揮下に入ることになったらと思うと……想像するのも嫌ね」
ウォースパイト「それに日本へ行くまでは私もアジア人を私たち白人より劣った存在だと思っていたわ」
パース「い、いえ、そんな……私こそ申し訳ありませんでした……ウォースパイト様の戦友を貶す発言を……」
ウォースパイト「……彼と会って話をしたのでしょう?どうだったかしら。貴方の言うような野蛮な猿だったかしら?」
パース「っ……それは……」
パース(あの人は……とても紳士的で……理知的で……容貌もエキゾチックなハンサムで……そして紅茶を淹れるのが上手で……話に聞いてたyellow monkeyとは全く違って……)
ウォースパイト「……どちらにせよ、日本人の指揮下に入れられたという目の前の受け入れ難い現実ばかりにとらわれてその先の勝利を逃すようではだめよ」
パース「……はい」
ウォースパイト「パース。日本人が皆戦争を望んでいたわけではないわ。戦いが始まるまでに帝国海軍の提督ではなくて彼個人の事をよく知って見極めてみなさいな」
~
帝国海軍士官『敵が動いた。すぐに出撃だ。……各員、遺書を用意しておくように』
叢雲「……っ」フルフルフル
叢雲(死と隣り合わせだった。でも、意識していなかった。なのに遺書を書くことで意識してしまった。手が震えて手紙が書けない。押しつぶされてしまいそうだった)
叢雲「ぐすっ……お母さん……お父さん……」ウルッ
提督「叢雲?こんな所にいたのか」
叢雲「っ!?な、何!?」ビクッ ゴシゴシ
叢雲(誰も来ないような使っていない部屋を勝手に使っていたのに、見つかってしまった。無様に泣いて震えているところを……慌てて涙を拭う)
提督「いや……大丈夫かと思ってな」
叢雲「大丈夫よ!!」
提督「そうか」スタスタスタ
叢雲「っ!!く、来るんじゃないわよ!!今、い、遺書を書いてるの!!プライバシー侵害よ!!」
叢雲(近寄ってくる提督に泣いているところを見られないように背を向ける。大声をだして拒絶する)
~
提督(叢雲は涙声だった。泣いていたのだ。体が震えていた。怖かったのだ。感覚がマヒしていた。そうだ、これが普通の反応だ)
提督(こんな小さな子供に戦場へ行け、命を懸けて戦ってこいと言うことのどれほど残酷な事か。そうせざるをえないことに血液が沸騰してしまいそうだった)
提督「……」ダキッ
叢雲「っ!!」ビクッ
提督(震えている叢雲の小さな体を背中から抱きしめた。息を呑む叢雲。俺は勇気ある少女を胸に抱いたまま口を開く)
提督「死ぬな。生きて帰って来い」
↓×1~3 叢雲の心情と反応
叢雲「っ……うぅ……うぅううううっ……!!」ギュッ ブルブルブル
提督(こちらを向いて抱きついてきた叢雲は俺の胸に顔を埋めると声を押し殺して泣いた。腕に力が込められる)
提督「……」ナデナデ
提督(俺は震える体を改めて抱きしめなおすと叢雲の頭を撫でた。心の中で祈る。どうかこの子が生きて帰ってきますように、と)
~
叢雲「……ありがと」
提督「気にするな」
叢雲(子供っぽく泣いてしまった。気恥ずかしいったらありはしない。ぶっきらぼうにそう呟いた私に司令官はただそれだけ言う。余計な事を言わないでくれて助かった)
叢雲「ねえ、司令官。……勝てるの?」
提督「勿論だ。勝てると確信している」
叢雲「私、生き残れるかしら」
提督「君なら大丈夫だ。もう一人前の駆逐艦娘だよ」
叢雲「ほんとう?」
提督「もし生き残れないと思っていたら、君を行かせはしないさ」
叢雲(迷うことなくそう言う司令官はとても頼もしくて……かっこよかった。顔が熱くなってしまうのを自覚する。私は司令官にもたれかかる)
叢雲「じゃあ……遺書なんて書くのは止めにするわ。お願い……ぎりぎりまでこうしていて……」
提督「もちろんだ」
~
磯波(叢雲ちゃんどこへ行っちゃったんだろう……心配だな……あれ、提督さん?こんな所で何を……っ!)
↓×1~3 提督と提督にもたれかかる叢雲を発見した磯波の心情と行動
提督「……」ナデナデ
叢雲「……♪」
磯波(空き部屋の中で提督さんと叢雲ちゃんはまるで……恋人同士のように寄り添いあっていました)
磯波(優しい表情で叢雲ちゃんの頭を撫でる提督と安心しきった表情で提督にもたれかかっている叢雲ちゃんを見ると……心がきゅうと締め付けられたように痛みます)
磯波(あの二人は……いえ、そんなはずありません。だって出会ってまだ一月ほどのはず……そんな短期間で、そんな事……)
磯波「……!!」ハッ
磯波(よく見ると叢雲ちゃんの目は泣いていたように赤くて……理解しました。提督さんは叢雲ちゃんを慰めているんだ)
磯波(ずっと戦ってきた私たちですら辛い状況だもの……ついこの前初めて出撃したばかりの叢雲ちゃんには過酷に違いありません……)
磯波(でも叢雲ちゃんの性格ならきっと誰にも弱っているところを見せたがらない。だから一人になりたくてここに来た)
磯波(そこに提督さんが叢雲ちゃんを探して来たのだと思います。提督さんは新兵である叢雲ちゃんをずっと気にかけていたから)
磯波(出撃前に叢雲ちゃんを心配して様子を見ようとするに違いありません。それで一人で泣いていた叢雲ちゃんをこの部屋で見つけた。きっとそうでしょう)
磯波「……」ズキン ズキン
磯波(だから決して提督と叢雲ちゃんがそういう関係という訳じゃないと分かっているのに……胸の痛みが治まりませんでした)
磯波「……失礼します」
叢雲「っ!!」ガタッ
提督「っ……磯波か」
磯波(声をかけると叢雲ちゃんが反発する磁石みたいに提督さんから離れました。提督さんが少し驚いたように私を見ます)
磯波「はい、磯波です。お疲れ様です、提督。お取込み中に申し訳ありません。ですが出撃の時間が迫ってきていまして……」ペコリ
磯波「そろそろ準備を整えなくてはいけませんよね……?だから私、叢雲ちゃんを探しに来て……」オズオズ
~
叢雲「……あのね、磯波。アレは違うのよ」スタスタスタ
磯波「……何がですか?」スタスタスタ
叢雲「さっきのアレよ。アレは別に司令官に……その……」
磯波「ああ……提督さんに慰めて貰っていたんですよね?」
叢雲「っ……」カァッ
磯波「……出撃前なのに今更怖じ気つかれてしまっても困ります」ボソリ
叢雲「えっ」ガーン ピタリ
磯波「っ!!あ、いえ、その……違うんです……!!」サァッ
叢雲「……!!」ジワァ
磯波「……!!ご、ごめ」マッサオ
叢雲「謝んないで!!あんたの言う通りよ……悪かったわね、怖じ気ついて……!!見てなさい、あんたよりも勇敢に戦ってやるわ!!」キッ
磯波「っ……」
~
タ級「テキカンタイ補足」
泊地棲姫「了解……さて、やるとするか」
装甲空母姫「いい気分じゃないけどさ、仕方ないよな」
深海雨雲姫「あなたタチ……本当ニ訛ッタわね……」
泊地棲姫「そうだな……竜宮言葉の陸訛がなおるのにも、時間がかかりそうだ」
北端上陸姫「ドウデモいいカラハヤク北へカエリタイ……こんぶガ恋シイ……」
~
提督「You don`t need to be here, Admiral(あなたまでここにいる必要はありません、大将). 危険です」
イギリス海軍提督「提督、このシンガポール要塞は英国のものだ。私は陛下にここを任された。最後までここに残る義務がある。……そろそろ時間か」
提督「っ……わかりました。ええ、もう始まるでしょう」
~
日向「っ……伊勢、もういいだろう」ボロッ
伊勢「分かった……撤退するよ、皆!!」ボロッ
「「「「了解……!!」」」」
~
装甲空母姫「退くか!!どうする!?」
泊地棲姫「まだ仕留めるのは難しいだろう。捨て置いてシンガポールを攻める。いいな?」
深海雨雲姫「支持スルわ。おーすとらりあヤおらんだノ連中ヲ見テいないモノ。センリョクは分ケない方がイイ」
装甲空母姫「よし、シンガポールの要塞砲はアウトレンジでやれるし後は残りの敵艦隊だけだな!!」
泊地棲姫「さて、いつ仕掛けてくるか……我々がシンガポールを砲撃している最中が一番ねらい目だろうとは思うが……」
北端上陸姫「モウ諦メテ撤退してイルんじゃナイ?センリョク差がアットウテキなんだから」
~
ドゴォォォン ドゴォォォン
提督(地下で聞く敵の砲撃が着弾する爆音、感じる揺れや衝撃。ソ連を思い出す。あらゆる面でアルハンゲリスクの方が遥かに酷かった)
提督(しかし事これだけに限ったらこっちの方が酷い。せいぜいが170ミリだったドイツ軍の重砲よりも16インチ砲の艦砲射撃の方が圧倒的に重い)
提督(だがここはシンガポール要塞の地下司令部だ。さすが大英帝国がその威信をかけて造っただけあり、びくともしない。……直撃を受けたら分からないが)
イギリス海軍提督「っ……随分と落ち着いているのだな、提督」
提督(青い顔をした大将がかすれた声をだす。あの頃、急ごしらえの地下司令部で自分があんな顔をしていたのだろうなと思うと感慨深かった)
提督「初めてではないのでね」
イギリス海軍提督「ほう、どこでやられたのかね?」
提督「ソ連で。アルハンゲリスクでドイツ軍に滅多撃ちにされた」
イギリス海軍提督「……!!そう言えば、君はそうだったな。どうだった、ソ連は?」
提督「正直、ソ連は好きではない。でもロシア人は悪い奴ではなかった。好きになれない奴もいたが、気の良い連中もたくさんいた」
提督(俺は戦況に注視しながらも大将にソ連での思い出話をする。彼の気を紛らわせるのにちょうどいい。多くの兵士が発狂してしまうような環境にいるのだから)
提督「本当に、つい昨日のことのように思い出せる。ワロージャ、ミーシャ、イゴリョーク、イリューシェチカ……みんな無事だといいのだが……」
~
北端上陸姫「猟犬タチの上陸ヲ始メルわ。時間がカカルからエンゴして」
泊地棲姫「任せろ。周囲の警戒を密に。さて、どうする……仕掛けてくるか……?」
~
ウォースパイト「……It`s The Time to do our duties(今こそ各員の義務を尽くす時よ). さあ行きましょう」
「「「「Y...Yes, Lady Warspite(分かりました、ウォースパイト様)......!!」」」」
ウォースパイト「っ……お前たち、戦う前からもう弱気なのかしら?負けたら英国中がお前たちを笑うでしょうね。所詮オーストラリア人、Ex-cons(犯罪者の子孫)だと!!」
「「「「っ!!」」」」
ウォースパイト「それが嫌なら命を賭して戦いなさい!!勝利してみなさい!!王立海軍に見せつけてみなさい!!お前たちの実力を!!どうなの、パース!?」
パース「もちろんやってやりますとも!!私たちをEx-consって呼ぶなんて絶対に赦せません!!そうよね、皆!?」
「「「「Defo!!」」」」
「「「「……」」」」
デ・ロイテル「……Brit(イギリス人)はやばいわねー。それに比べてうちはちょっとダメかも?」
「「「「っ」」」」
デ・ロイテル「でもまあ敵は凄いたくさんいるしこっちは戦艦娘一人しかいないし怖いよね?わかるわかる」
デ・ロイテル「でもこういう時に気持ちで負けちゃーダメなのよ。まあ今回は事が事だし、ここは前東インド植民地艦隊旗艦の私が出しゃばらせてもらうねー」
デ・ロイテル「どこもかしこも私たちの国を軽んじてる。深海棲艦との戦いが終わってやーっと平和になったと思ったら今度は人間同士の戦争」
デ・ロイテル「私たちは巻き込まれたくなかったのに結局巻き込まれた。しかもーその理由はドイツがグレートブリテン島へ攻撃する時の基地の確保」
デ・ロイテル「そして連合国からの攻撃に対する緩衝地帯の確保のためとか……嘘かもしれないけど英仏もドイツへ進攻する時にオランダの中立を侵そうとしてたらしいしー」
デ・ロイテル「おまけに日本まで東インドを侵略してきた。石油のためにーってさ……私たちの国は基地だとか石油だとかそんなもののために蹂躙されたんだ!!」
デ・ロイテル「それでドイツと日本が戦争になったらー今度は日本と仲直りして一緒にドイツと戦えーって。日本は東インドでたくさん略奪とか暴行したのを赦せーって」
デ・ロイテル「そう言うのがイギリスだから、連合国の盟主だから、大局的観点からそれが一番いいからーって。オランダ人を殺して犯して土地を奪った事を赦して握手しろーって」
デ・ロイテル「でも仕方ないよねー。だってオランダは弱いから。オランダだけじゃドイツに勝てないしー、日本にも勝てなかったから」
デ・ロイテル「イギリスの言いなりになってー、オランダ人の血に染まった手を差し出してきた日本人と握手しなくちゃいけないんだ。笑顔で」
デ・ロイテル「ほんとー……ふざけんなーーーーーーーー!!!!なんで私たちがこんな目に合わなきゃいけないんだーーーーーーーー!!」
「「「「っ!!」」」」ビクッ
パース「い、いきなりオランダ語で話し始めたかと思ったら大声を出して……!!」サァッ バッ
ウォースパイト「待ちなさい。気にしなくていいわ。砲撃の音で聞こえはしないもの。もう少し様子を見ましょう」スッ
パース「っ!?わ、わかりました……」
デ・ロイテル「はぁ……はぁ……できることならオランダの為にドイツも日本もイギリスもぼこぼこにして目にもの見せてやりたい」
「「「「……!!」」」」
デ・ロイテル「でもそれはできない。現実を見ないで望みだけ持っていてもダメなんだ。 De rook kan het hangerijzer niet deren(煙は鉄の釣鈎を傷めることはできない)」
デ・ロイテル「できることをしなくちゃ。私たちが活躍すれば、それはかならーずオランダのためになる!!」
デ・ロイテル「勝って大活躍して世界中に知らしめてやろー!!オランダも戦ってるーって!!私たちで世界に教えてやろー!!オランダは怒ってるーって!!」
「「「「Hoera!!!!」」」」
デ・ロイテル「Hoera!!……Sorry for waiting(待たせてごめんなさい)」
ウォースパイト「気にしないわ。いけるわね、オランダの皆さん」
デ・ロイテル「ありがとう。もちろんいけるわ」
~
ル級「敵艦隊ハッケン!!ハッポウされマシタ!!トツゲキしてキマス!!」
「「「「!!」」」」
深海雨雲姫「ナニッ!?ヤツラ本気カ!?」
ヒューン バシャン
泊地棲姫「っ!!逃げるつもりはないということか……いいだろう。ならば相手になってやる」
北端上陸姫「チョット……大丈夫ナンデショウネ?」
装甲空母姫「任せろ!!っておあ!?何だこれ!?どっから撃ってきた!?」ヒューン バシャン ビクッ
「「「「!?」」」」
~
提督(攻撃の開始はウォースパイトに任せていた。ウォースパイトは俺の期待通り最高のタイミングで口火を切ってくれた)
提督(この地下司令部は外の砲台陣地や監視所、通信施設などと有線で繋がっている。監視所から目視で攻撃開始を確認したとの連絡を受けた俺は早速砲兵に命令する。撃て!!と)
提督(それと同時に通信施設を介して西へ退避していた通常艦隊に作戦開始を連絡する。あらゆる手段を以てして敵を攻撃せよと命令を下した)
提督(そして北へ撤退したように見せかけた伊勢たちに作戦通り突入するよう命令した。レーダー妨害が始まった時点で伊勢たちもこちらへ引き返させていたのだ。そんなに時間はかからない)
提督(基地航空隊にダメ押しの航空攻撃の命令も出す。相手がドイツ軍なら誤射の心配があったが、深海棲艦ならまったく問題ない。一目瞭然だからだ)
提督(北からは砲台陣地、南からはウォースパイトたちが攻撃している。すぐに西から通常艦隊が、東から伊勢たちが攻撃に参加するだろう)
提督(予想外の事態に敵は混乱しているはずだ。それに加えてさらに敵増援が襲来して自分たちが包囲されたと悟ったらさらに慌てふためくに違いない。あとは部下たちを信じるのみだ)
ドゴォォォン ゴゴゴゴゴゴ
「「「「!?」」」」
~
イ級「っ~~~~~~!!」ドガァン ブクブクブク
リ級「ウッ!?」ドガァン
ル級「畜生……!!」ボロッ
北端上陸姫「ドウイウ事よ!?滅多撃チにサレテルジャナイ!!」
泊地棲姫「バカな……どこにこんな戦力隠していたというのだ……!?」
深海雨雲姫「っ!!敵機シュウライ!!マズイワ、航空機ガ狙イをツケルのに十分アカルイ!!」
装甲空母姫「最悪だ!!何より敵の要塞砲がマズすぎる!!何でもかんでもバカスカ撃ってきやがって発火炎が多すぎる」
装甲空母姫「偵察機使っても戦艦の主砲クラスの要塞砲がどこから撃ってきてるのか全く分からない!!一つ二つはつぶしたはずだけどさ!!これもう無理だろ!?」
泊地棲姫「っ……撤退だ!!撤退する!!要塞砲は後回しにして敵艦隊を攻撃するべきだった……そうすれば敵の数を効率的に減らせた……!!」ワナワナワナ
~
ウォースパイト「……!!撤退し始めたわね」
パース「最高の気分です!!まさか逃がしはしませんよね、ウォースパイト様」ニタァ
ウォースパイト「当たり前でしょう。あなた達も行けるわね?」
デ・ロイテル「もちろーん!!こんな一方的でいいのかしらってくらいやばいわね!!」ゾクゾク
~
日向「仕方ないとはいえ、判断が遅かったな」
伊勢「勝ったね、これ。目的はシンガポールの防衛だからこのまま行かせてもいいけど……」
深雪「ムラクモの弔い合戦だ!!皆殺しにしてやる!!」
初雪「絶対に……赦さない……!!」
吹雪「私たちはまだやれます!!ここで敵の戦力を減らせるだけ減らすべきかと!!」
伊勢「よし、じゃあやりますか。あいつらが誰を敵に回したのか分からせてやらなきゃね!!」
日向「瑞雲の再補給も済んだ。もうひと暴れさせてもらおうか」
叢雲「やってやる……私だって帝国海軍の駆逐艦娘なのよ……!!」ギリッ
磯波「っ……」
~
深海雨雲姫「ナニ馬鹿なコトを言ッテいるノ!?目ノ前ニイルノハさっき散々に打ちノメシテヤッタぼろぼろノ艦隊ジャナイ!!イイカラ突ッ切ルのよ!!」キッ
泊地棲姫「あいつらに近づきすぎるのは自殺行為だ!!少し迂回した方がいい!!」
深海雨雲姫「ソンナ事シタラ後ろカラ追ッテクル艦隊に補足サレテル時間が長クナルでしょ!!戦艦がイルのよ!?」
装甲空母姫「あいつらと一緒に居たから分かるんだって!!こんな潰走状態で距離詰めたら」
深海雨雲姫「黙リナサイ裏切者!!このまま突ッ切ルノ!!」キッ
装甲空母姫「っ……」ビクッ
泊地棲姫「……我々は止めたからな」ギリッ
~
ネ級「足が……!!ま、待って!!」
深雪「うるさい!!ムラクモの仇だ!!沈め!!」ドンッ
ネ級「」シュボッ バシャン
チ級「ウワァアアアアアア!!」
初雪「死ね……!!」ドンッ
チ級「」ドガァン
浦波「十隻目!!そっちはどう、白雪姉さん!?」
白雪「そんなのいちいち数えていられません!!」
叢雲「はぁ……はぁ……っ!!」ハッ
リ級「クソッ……」ボロッ バッ
磯波「叢雲ちゃん!!」ゾクッ
リ級「シズメェ!!」ドゴォン
叢雲「っぁああああああ!!」バッ グイッ ドンッ
リ級「」シュボッ ドパッ
叢雲「うっ」ビシャッ
磯波「む、叢雲ちゃん、大丈夫……ひっ!?」
叢雲「っ……ああ、磯波……あなた何人殺したの?私は今のが何とか三人目よ……きっとあなたの方が多いんだろうけど」ベッタリ ゴシゴシ キロリ ハイライトオフ
磯波「っ……お願い、もうそんな戦い方しないで……叢雲ちゃんの方が勇敢に戦ってるよ……!!」
叢雲「そう……そうだといいけど……」スイー
磯波「っ!!ま、待って叢雲ちゃん!!」
↓×1~3 敵の血で真っ赤に染まった叢雲は暗い目で磯波を睨んでいた。自分の嫉妬のせいで叢雲を歪めてしまったと思った磯波の心情と行動
叢雲「……」
磯波「行かないでください!!」ガシッ グイッ
叢雲「っ!?放して!!」グイッ キッ
磯波「絶対に放しません!!」ギリッ
叢雲「っ!?くっ……私はまだ戦える!!」
磯波「もう十分戦いました!!今の叢雲ちゃんは絶対大丈夫じゃありません!!」
叢雲「大丈夫よ!!」
磯波「死んじゃってもいいんですか!?」
叢雲「死っ……!!」ドクン
提督『死ぬな。生きて帰って来い』ギュッ
叢雲「ぁ……司令官……」ジワァ
母『生きて帰ってきなさい……必ず……』ダキッ ポロポロ
父『お前はできのいい子だ。きっと生き残れる』ナデナデ
叢雲「お母さん……お父さん……」ホロリ
磯波「私のせいで追い込んでしまって本当にごめんなさい……本当に叢雲ちゃんは勇敢戦いました。もう十分です。だから……帰りましょう……」
叢雲「……」コクリ
吹雪「叢雲ちゃん、磯波ちゃん、どうしたの!?っ!!やられた!?」ゾクッ
磯波「吹雪ちゃん!!大丈夫、これは返り血です。けど叢雲ちゃんはもう限界だから私が随伴して離脱しますね」
吹雪「そうなんだ、良かった……!!分かったよ。お願いね、磯波ちゃん!!」ホッ
~
深海雨雲姫「ウソヨ……コンナのウソ……コレはワルイユメ……!!」マッサオ
北端上陸姫「イヤァ……コンナ所でしにたくナイ……」ブルブルブル
泊地棲姫「だから言った……!!っ……聞こえるか?」
装甲空母姫『何……今戦艦二人相手にしてて……くっ!!こいつらは足止めするから行って!!』
泊地棲姫「っ……!!ぐすっ……すまない……ありがとう……しっかりしろ!!撤退する……ぞ……」ジワァ サァッ
ウォースパイト「Good evening. 降伏するチャンスをあげましょうか」ニコリ
ネ級「カンタイ指揮官をマモッ」ドンッ バシュッ バシャン
リ級「うっ!?」ドガァン
ナ級「っ~~~~~~!!」ドガァン ブクブクブク
二級「」シュボッ
ホ級「っーーーーーー!!」バスバス ドガァン
パース「やらせない!!」シュゥゥ
デ・ロイテル「やっばーい」シュゥゥ
深海雨雲姫「イヤァアアアアアア!!」バッ
装甲空母姫「いつの間に……!!迎え撃て!!」ドゴォォン
ウォースパイト「そう、残念だわ」ヒョイッ ドゴォォン
北端上陸姫「ウグゥッ!!……」バシャン プカプカ
装甲空母姫「っ!!おのれ!!せめて一矢報いてやる!!」
「「「「カ、カンタイ指揮官ニ続ケ!!」」」」
パース「みんな続いて!!行くわ!!」
「「「「了解!!」」」」
ウォースパイト「デ・ロイテル、あの逃げたのは譲るわ。簡単に仕留められるでしょう?生かしてとらえれば評価があがるわよ。オランダの為にも、Sterkte(頑張ってね)」クスリ
デ・ロイテル「っ!!……Thank you. はは、やっばーい」ゾクッ
~
装甲空母姫「っ……ここまで、か……」ボロッ
伊勢「……降伏しなさいな」ギロリ
装甲空母姫「私は裏切者よ、殺さないの?」
日向「可能なら殺すな。投降するなら受け入れろ。そう命令されている。提督に」ジッ
装甲空母姫「そっか……わかった、降伏するわ……」
~
ウォースパイト「……」ガシッ グイッ
泊地棲姫「っ……うぅ……」グッタリ
ウォースパイト「ふふっ、もう抵抗できないみたいね」
泊地棲姫「くっ……ころせ……」
ウォースパイト「私ね、感謝しているのよ、お前たちに」
泊地棲姫「な、何……!?」
ウォースパイト「最高の勝利をありがとう!!これで私はAdmiralに私の強さを証明できたわ。きっと認めてくれる」パァッ
ウォースパイト「私の戦果になってくれて、全員に感謝してるわ。生きてる子は早く良くなるといいわね。死んでしまった子は……ご冥福をお祈りするわ」ニコリ
泊地棲姫「っ!?あ、悪魔め……!!」ギロリ
ウォースパイト「殺したくなかったから降伏勧告したのに、受け入れなかったのはお前たちでしょう?死んだ責任は上官にあるわ。……もしかしたら、お前かもね?」ニタァッ
泊地棲姫「っ!!わ、私の……せいで……」ゾクン
ウォースパイト「あら、本当にお前だったの?私たちと違って無能な上官に率いられた部下たちに同情するわ」
泊地棲姫「うぅ……うぅうう……!!」ボロボロボロ
パース「ウォースパイト様、生存者を回収しました。北端上陸姫も生きています」
北端上陸姫「……」
ウォースパイト「まあ本当?運が悪かったら死んでるかもと思っていたけれど、よかったわ。ご苦労様でした、皆さん。帰りましょう」ニコリ
~
デ・ロイテル「やったー大戦果だー!!みんなよく頑張ったね!!帰ったらオランダと勝利に乾杯しよー!!」
深海雨雲姫「コレはユメ……コレはユメ……コレはユメ……」ボロッ グッタリ
デ・ロイテル「わかるわかる。夢みたいだよねー。出撃前はもうダメかもーって思ってたのにさ。Wat lief!!」
~
イギリス軍兵士「ダメです、完全に崩落していて……内部からは脱出できません。外からの助けを待つしかないでしょう」
日本軍兵士「有線電話もダメです……どこかでケーブルが切れたんでしょう。外部との通信手段は完全に失われました……」
イギリス海軍提督「そうか……我々が勝っていて助けがくればいいがな……地下に閉じ込められた経験はあるかね、提督?」
提督「いや、初めての経験だよ、大将。幸い、小さな隙間で地上までつながっているようで酸素は気にしなくてよさそうだ」
イギリス海軍提督「雨が降るとこの部屋が水没する可能性があるな。戦場で死ぬ覚悟はできているがこんな所で溺死するのは御免だ。そうならないように主へ祈っておこう」
~
日本海軍士官「敵戦艦の砲弾が直撃してしまったのだろう……地上の建造物は崩壊、地下の司令部がどうなっているのかは不明だ」
イギリス海軍士官「電話も通じないんです。ケーブルが切れただけなのか、あるいは地下も崩れてしまったのか……」
イギリス海軍士官「もちろん生きていること前提で救助活動を続けていますがね……もし司令部が無事でも完全な密閉空間となってしまっていたら、酸欠で窒息してしまうでしょう」
日本海軍士官「だが地上と繋がっていたとしても、季節的にもういつ雨が降ってもおかしくない。そうなると司令部は水没してしまう……」
オーストラリア陸軍将校「全力を尽くしていますが、何分瓦礫の量が量ですから……救出作業にはまだ時間がかかります」
オランダ海軍士官「覚悟しておいたほうがいいでしょうな。残念なことだ……」
↓×1~3
勝利を報告しに帰還したら要塞が敵の攻撃で崩壊しており、提督の生死が不明で望みも薄いという現実に直面したウォースパイトと日本の艦娘たちの反応
※特にウォースパイトは提督を深く愛しており、叢雲は過酷な戦場で気にかけてくれる大人である提督の存在が心の支えとなっていたことを踏まえて
ウォースパイト「……」
叢雲「な……なによそれ……私に死ぬなって……生きて帰って来いって言ったくせに……っ!!司令官!!」ダッ
磯波「む、叢雲ちゃん!!」ダッ
吹雪「……まだ死んじゃったって決まったわけじゃない!!行くよ、皆!!」ダッ
伊勢「あ、あなたたち……っ……日向、私たちも」
日向「もちろんだ。艦娘の力をみせてやろう」ダッ
デ・ロイテル「……やばげかも。ここら辺の天気は本当に独特なんだよね。特にスマトラ・スコールっていって朝ぐらいからいきなり大雨になるのが有名なんだ」
デ・ロイテル「もしアレが来たら司令部のぐらいの体積じゃ、たぶん一時間もしないうちに完全に水没しちゃうかも。助けるなら休んでる暇はないよ」
ウォースパイト「……重傷者以外はついてきなさい」
「「「「了解!!」」」」
~
イギリス軍兵士「……!!」ハッ
イギリス軍兵士「どうしたんだ?」
イギリス軍兵士「シーッ!!」
イギリス軍兵士「なんだよ……」
イギリス軍兵士「……やっぱり聞こえるぞ!!音が聞こえる!!助けが来たんだ!!」
「「「「!!」」」」
提督(彼の声に皆が黙る。集中して耳をすませた。確かに、聞こえた。遠く微かにだが、まるで瓦礫を退かしているかのような重い物音が)
提督「我々の位置を知らせなくては!!こちらからも継続的に音を出すんだ!!」
~
……ーン ……-ン ……-ン
「「「「!!」」」」
伊勢(艦娘の力の強さに目を丸くする工兵の助けを得ながらようやく一階部分まで掘り進めたところで全員が息をひそめる)
ウォースパイト「Admiral……!!」パァッ
深雪「聞いたか今の!!」
初雪「もちろん……!!」
伊勢「生きてるのね、提督……!!」ホロリ
ポツ
「「「「!?」」」」ゾクッ
伊勢(頬に感じたそれが高揚した気分に冷や水を浴びせる。空を見上げた。どうか気のせいでありますようにという願いは届かなかったみたい)
ポツ ポツ ポツ
デ・ロイテル「マジでやばいよ!!降ってきた!!すぐに土砂降りになる!!」
~
日本海軍下士官「ええい!!もっとちゃんと押さえろ!!何とかならんのか!?」
日本軍海兵「亀裂が大きすぎてこれ以上は無理です!!人手が足りなすぎます!!」
提督「くっ……!!」
提督(恐れていた事態が起きてしまった。外が大雨になってしまったようだ。司令部の天井や壁にできた亀裂から水が流れ込んできた)
提督(潜水艦が沈没する時はこんな風になるのだろうか?改めて、そして今まで以上に潜水艦乗りに畏敬の念を抱く)
提督(恐怖……いや、絶望かもしれない。俺は必死に壁の亀裂を押さえる。効果があるのか分からない。水はもう膝まできた。俺は……こんな所で死ぬわけには……!!)
提督「止まれ……止まってくれ……!!」
イギリス海軍提督「……諸君、今のうちに服装を整えておけ」
提督「!?」
提督(言っていることの意味が分からなかった。そちらを振り返ると制服をきちんと整えた大将が堂々と立っていた。官帽の顎紐までつけて)
提督(怒りを覚える。状況が分かっていないのか!?そんな事をしている暇があれば生き残るための努力をしろ!!そう言おうとした瞬間、大将が再び口を開く)
イギリス海軍提督「残念ながら、もはや我々にできることは水没までの時間をなんとか伸ばしながら主に奇跡を祈るだけだ」
イギリス海軍提督「死を覚悟しなくてはならない。そして不運にも我々の命尽きた時、戦友たちは我々の亡骸と対面することになるだろう」
イギリス海軍提督「その時、無様な姿をさらす訳にはいかん。我々がその最期まで規律を守り、高貴であったと示さねばならぬのだ」
イギリス海軍提督「死ぬのなら、誇り高く死んでいこう。それがきっと、我々からあとに残る者たちへの一番いい最期の贈り物になる」
「「「「……」」」」
イギリス海軍提督「もちろん、生きることを諦めてはならない。自暴自棄にはなるな。だが、死に備えることは必要だということだ」
イギリス海軍提督「なに、服装を整えることなんてすぐ終わる。水没するまで数分も変わらないだろう。さあ、上着を着て帽子を被りたまえ」ニコリ
提督(大将は爽やかな微笑みで話を締めくくる。そして壁に向かうと再び亀裂を押さえた。ここにいる誰もが大将を見ていた)
提督(その数分が命を分けるかもしれないのだ。無駄にはできない。……とは誰も言わないし、きっと思ってもいまい)
提督(努めて考えないようにしていたが、分かっていた。きっと誰もが分かっていた。そう簡単にここまで掘り進んでは来られない)
提督(常識的に考えて救助まで数日から数週間はかかるだろう。もはや地面が割れて水が流れていくというような奇跡が起きでもしない限り助からないのだ)
提督(なんて偉大な人なのだろう。俺は大将に純粋な称賛と尊敬、憧れの気持ちを抱いていた。これが、英国紳士か。王立海軍か)
提督(砲撃されていた時、大将は顔を青くはしていたが冷静さを保っていた。そして、死がすぐそこへ迫っている今も。……自分が恥ずかしかった)
提督(人は追い詰められた時こそその本性が出るという。俺は完全に余裕を失い、無様に狼狽えていた。現実から……死から目を逸らしていた)
提督(だが大将は違った。死から目を逸らさず、真っすぐと見つめていた。俺の手本とするべき人リストに新たな名前が一つ加わる。皆が服装を整え始めた)
イギリス海軍士官「貴方を喪うことになってしまったら、英国にとって大きな痛手となるでしょう。主よ、どうかそうなさらないでください……」
イギリス海軍下士官士官「大将、共に戦えて光栄でした」
イギリス軍兵士「助かっても、そうでなくてもいい自慢話ができましたよ。俺はあの大将と一緒に戦ったんだと」
提督(俺も机へ走る。ジャケットを脱いだり前を開けたりしてはいなかった。置いてあった官帽を急いでかぶり、顎紐をすると再び走って亀裂を押さえる)
提督(死に対して儚い抵抗をつづけながら家族や友人たち、そして何より俺を愛してくれる子たちの事を思い浮かべる。また会いたかったが、どうやらここまでのようだ)
提督(先に逝ってしまって申し訳ない……赦してくれ……そして、どうか幸せに長生きしてほしい。皆のこれからの人生が素晴らしいものでありますように)
~
彼女たちは人力じゃ動かせないはずの瓦礫を苦労しながらも驚異的な速度で排除していく。司令部に到達するまであと少しだった
ただでさえ大きな戦いの直後だったのだ。疲労困憊なはずだ。しかし誰もその手を休めることは無い
だが哀れな少女たちは悟っていた。土砂降りの雨が降り始めてから一時間は経ってしまっている。間に合わなかったのだと。地下から救いを求めていた音は、今はもう聞こえない
↓×1~3 艦娘たちの様子
伊勢「……!!」ピクッ
伊勢(そこにあったのは敵砲弾の破片だった。ここまできてたんだ。司令部の深さから考えて、もう少しで分厚いコンクリートの装甲を貫通していたかも)
伊勢(もしこれが貫通していたら、提督たちは即死していたでしょうね。けど……その方が良かった)
伊勢(地下に閉じ込められて、徐々に部屋が水没していって、最期は溺死なんて……どれほどの恐怖だったのか想像もできない)
伊勢(そんな目に遭うぐらいならいっそ、何も感じる間もなく死ねた方がずっと良かったに違いないもの……そんなことを考えてしまったことに気が付いて、激情に駆られる)
伊勢「なに諦めてんのよ、私……!!」キッ
伊勢(遺体を見つけたわけじゃないんだから……提督はきっとまだ生きてる!!だから……あきらめちゃいけないのに……!!)
伊勢「っ……うわぁああああああああああ!!」ダンッ
ガラガラガラ
伊勢(我慢できなかった。私は叫びながら瓦礫を砕くためスレッジハンマーを振り下ろす。と同時にそこを中心に底が抜けたように瓦礫が崩れ落ちた。その上に立っていた私も落ちる)
伊勢「えっ、うわぁああああああ!?」ドボン
日向「伊勢!?」
~
ガラガラガラ ドポン ドポン ドポン ドポン
「「「「!!」」」」
伊勢「わぷっ!?ぷはっ!!な、なになになに!?」バシャッ
提督(足はとうに床につかなくなっていた。水面から天井まで30センチを切っている。もはや助かるまい。死を確信した俺たちは全員で蛍の光を歌っていた)
提督(誰もが知ってる唱歌だが、もともとスコットランドの民謡だ。日本人は日本語で。イギリス人は英語で。言語も歌詞の意味も違えども、同じメロディーの歌だ。一緒に歌うことは容易い)
提督(そんな時だった。いきなり部屋の真ん中の天井が崩れ、瓦礫と共に伊勢が落ちてきたのは。幸い、全員ずっと壁の亀裂を押さえていたために巻き込まれたものはいない)
提督「い、伊勢!?」
伊勢「っ!!て、提督……!!」ハッ ウルッ
提督(全員の目がきょろきょろとあたりを見渡す伊勢に集中した。俺の呼びかけに伊勢は俺の方を向く。そして驚愕の表情を浮かべると今にも泣きそうになる)
日向「伊勢!!大丈夫か!?」
提督(天井の穴から日向の声が響いてきた。その場の全員が状況を把握する。助かったのだと。割れんばかりの歓声があがった)
日本軍海兵「やったーーーーーーーーーー!!」
イギリス海軍下士官「Oh my God!! It`s divine!!」
日本海軍士官「万歳!!助かったぞ!!万歳!!万歳!!万歳!!」
イギリス軍兵士「Hurrah!!We are saved!!I cannot believe!this!!」
~
日向(土砂降りだったが普段よりは雨量が少なかったのか、提督たちの生きるための努力が実ったのか、あるいはその両方か。私たちは司令部が水没する前にたどり着くことができた)
日向(穴から次々と閉じ込められていた人たちが上がってくる。しかし、私たちの意識は彼らに向かなかった)
日向(待ち望んでいた彼があがってこない。何故だ……何故上がってこない……!?ふと、思いついてしまう)
日向(どうして私たちは司令部に被害が無かったと思い込んでいるんだ?要塞が崩壊してしまうほどの攻撃を受けたのに)
日向(地下室が完全に崩壊しなくても、一部が崩れているかもしれないじゃないか。……それに提督が巻き込まれていないとどうして言える?)
日向「……」ドクン ドクン ドクン
伊勢「よっと」
日向「!!」
~
イギリス海軍提督「先にあがりたまえ、提督。ゲストは優先されるべきだ。私の顔を立てると思って。さあ」
提督(先に上がることを促した俺に、大将はそう返答した。さすが英国紳士だ。ここはお言葉に甘えさせてもらうか)
提督「……わかった。ありがとう、大将。お先に失礼する。伊勢、先に行ってくれ」
伊勢「袴の中見ないでくださいよ?」ニヤッ
提督(そう悪戯っぽく流し目を送りながらささやく伊勢はさっきまで俺に抱きついて泣いていたのが嘘のような変わり身の早さだった)
提督「っ……もちろんだ」
伊勢「ふふっ。よっと。さあ、提督!!」ザバッ ニコッ スッ
提督(伊勢が満面の笑みで手を差し出してくれる。俺はその手をとると伊勢に引き上げられた。そうだ、これが艦娘の力だったな)
提督「ありがとう、伊勢。大将、手を」スッ グイッ
イギリス海軍提督「っ……ありがとう、提督。少々失礼する」ザバッ
提督(俺の手を掴んだ大将を引き上げる。礼を言った大将は断りを入れると振り返ってその場で屈み、副官を引き上げてから俺に向き直った)
イギリス海軍提督「どうやら奇跡が起きたな。それに戦いも我々の勝利で終わったようだ。君の功績だ。おめでとう、提督」
提督「いや、大将。我々の功績だ。あなた方がいなくては勝てなかった」
イギリス海軍提督「ふっ……共に戦えた事、光栄に思う」スッ
提督(大将が微笑みを浮かべると手を差し出してきた。俺はその手を握る。固い握手を交わした。そして握手を終えるとずっと俺を待っていてくれたらしい彼女たちの方を向く)
↓×1~3
日本の艦娘たちとウォースパイトの心情と行動
※ウォースパイトは立場的にまずイギリス海軍提督に挨拶しなくてはならないことを踏まえて。パースとデ・ロイテルは安価下
提督「伊勢から聞いた。みんな……良くやってくれたな」ニコッ
叢雲「っ……!!よくもそんな平然としてられるわね!?私がどんな思いで……私に死ぬなって言ったのにアンタが死ぬところだったじゃない!!」キッ
提督「っ……ああ。すまなかった……」
叢雲「ぐすっ……うわぁああああああん!!」バッ ダキッ ギュッ ボロボロ
提督(怒り交じりの今にも泣きそうな顔で俺に激情をぶつけていた叢雲は、俺の謝罪にとうとう涙を零してしまう。俺の胸に飛び込んでくると、強く俺を抱きしめる。号泣してしまっていた)
「「「「……!!司令官(提督)!!」」」」ジワァ バッ ダキッ
提督(それをきっかけに吹雪たちが俺のもとに駆け寄ってきた。皆一様に涙を流し、自らの想いを吐露している。俺はこの健気な少女たちにどれほど辛い想いをさせてしまったのか……)
提督「みんな……すまなかった……」
~
ウォースパイト「ご無事で何よりです、大将」
イギリス海軍提督「貴女にそう言って頂けるとは名誉なことです、ウォースパイト嬢」
ウォースパイト「貴方の勇気に惜しみない称賛を送ります。陛下もきっとお喜びになるでしょう」
イギリス海軍提督「今回、私は何もしてないのですよ。全ては彼のおかげです。なるほど、貴女の心を奪う訳だ」
ウォースパイト「っ……ええ、そうなの」カァッ
イギリス海軍提督「日本人なのが惜しい人物です。せめて同じ白人ならば、貴女のご両親は彼との関係をお認めになるでしょうに」
ウォースパイト「……我々は見識を新たにしなくてはならないわ、大将。白人でないから劣っているという考えは近い未来に過去のこととなるでしょう」キロリ
イギリス海軍提督「かもしれませんね。いずれにせよ、彼は英国の恩人です。よろしければウォースパイト嬢からも彼に王立海軍の艦娘として挨拶してはいただけませんか?」
ウォースパイト「っ!!ええ、もちろんです。王立海軍のウォースパイトとして挨拶しましょう」
イギリス海軍提督「感謝いたします。では、私はこの要塞を任されたものとしてやらなくてはいけないことがありますので」
イギリス海軍提督「まったく、陸の人間も相手が深海棲艦だからと厄介な事を押し付けてきたものです。それではこれで失礼させていただきます。ごきげんよう、ウォースパイト嬢」
ウォースパイト「ごきげんよう、大将。……Admiral」
~
デ・ロイテル(まるで獣みたいに階級も何も関係なしに我先にと上がってきていた日本人に対してイギリス人はかーんぺきに統制を保ってた)
デ・ロイテル(一番最初に大将。そして高級将校、下士官兵、最後に青年士官。うんうん、これこそ人間よねー)
デ・ロイテル(やっぱ日本人は動物だ。白人とは……人間とは違うんだ。だからあんな蛮族みたいなことができるんだ)
デ・ロイテル(殺された戦友たちや犯された友達の事を想う。耐えられないぐらいの悲しみと怒りが混ざり合って……やばかった)
~
記者「艦娘たちも普通の女の子と何ら変わらないのだな……あの光景はきっと一生忘れられない。恥ずかしながら思わずもらい泣きしてしまったよ」
記者「君だけじゃなかったさ。映画やドラマのような創作とは比べ物にならない。あれが本物だ。我々の使命はこれをできる限り多くの人間に伝えることだ」
記者「そうだな。しかしつい早まって提督死亡と記事にしてしまったが大丈夫だろうか?今は制限されていて電報も電話も無線も使えないからあの記事の号外が出るのは止められない」
記者「なに、お詫びと訂正をしておけば大丈夫さ。むしろそのおかげで提督奇跡の生還の記事は大反響になるだろう。……などと俗な事を考えてしまうのが記者の辛いところだ」
~
朝日新聞『壮烈、提督シンガポールに散る。奇跡の価値は』
シンガポールで奇跡的な勝利を得た代わりに指揮を執っていた提督が深海棲艦の攻撃で戦死したという新聞が届いた
しかも要塞が崩壊して地下の司令部に生き埋めになり、東南アジア特有の大雨で徐々に部屋が水没していき、とうとう溺死してしまったという残酷な死に方だと書いてある
↓×1~3 読んだ子たちの反応。特に強調したい子がいれば名前をあげて
※ 扶桑型と当事者と未登場の海外艦は安価下
~
ガングート「……」グシャグシャグシャ ポイッ
ガングート(私は新聞を丸く押しつぶして暖炉に投げ込む。……シンガポールであいつが死んだ?笑えない冗談だ)
ガングート「……。……ふぅ」ゴソッ シュッ
ガングート(パイプに火を点け一服する。……あいつが死んだなんて嘘だ。そんな事、ありえん。あのアルハンゲリスクでも生き残った男だぞ?)
ガングート「誤報に違いない……まったく、日本の新聞報道の未来が思いやられるな……」カタカタカタ
ガングート(そうだ、誤報だとも……手が震えるのも気のせいに違いない。窓から空を見上げる。大西洋の空は今日も曇りだった)
~
鈴谷「はぁ……はぁ……っ……」
熊野「……少々はしたない真似をしてしまいましたわ」
鈴谷(私たちの足元にはびりびりに破り捨てられた新聞が散乱していた。もちろん私たちがやった。だって……酷いんだもん)
鈴谷「提督が死んだなんてありえない……だって提督だもん。何度も死んだって言われても生きてたんだよ……!?」
熊野「ええ、そうですわ。あの方は最前線での激戦に巻き込まれても、乗機が撃墜されても、暗殺者に襲われても、乗艦が撃沈されても死ななかったのですから」
鈴谷「だよね!?絶対そうだよ……そうに決まってる……!!ホント、どうしてこんな記事書いちゃったんだろ」
熊野「我が国の報道業界の未来が思いやられますわね。……鈴谷」ダキッ ギュッ
鈴谷(くまのんが鈴谷に抱きついてくる。強く抱きしめられた。くまのんの体は震えていて……耳元で、涙声で囁かれる)
熊野「嘘よね……?提督が……こんな酷い亡くなり方したなんて……あの人はまだ生きているでしょう……?」ウルウル
鈴谷「っ……当たり前じゃん……絶対に生きてるよ……提督は……!!」ダキッ ギュッ ジワァ
鈴谷(私は熊野の体を抱きしめる。目頭が熱くなった。どうか提督が生きていますように……心の中で何度も何度もそう祈る)
~
大和「私もでるわ」ハイライトオフ
武蔵(無感情な声でそう言って部屋を出ていこうとする大和の前に立ちふさがる。大和が私を見た。昏く虚ろな目だった)
武蔵「大和……ダメだ。お前には休息が必要だ」
大和「いいの、大丈夫。そんなことより一人でも多く深海棲艦を殺すことの方が重要だもの」
武蔵(表情と言うものが無かった。ようやく結ばれた想い人の死は、大和の感情を殺してしまった。あいつが生き返りでもしない限り、もう大和は元に戻らないだろう)
武蔵「……ああ、そうだな」
大和「でしょう?分かってくれるのね、武蔵。嬉しいわ」
武蔵「分かるとも。だから言っているんだ。休め、大和」
大和「……」スゥッ
武蔵(邪魔するなら赦さない。言葉にせずとも分かる。これだけの研ぎ澄まされた感情を向けられれば。しかし私は退かない。むしろ前に出る)
武蔵「勘違いするな。私はお前が逃げようとしているから怒っているんだ。自己満足の為に戦って復讐を果たさずに死ぬことは絶対に赦さない」ギロリ
武蔵(あえて理性を手放し感情をむき出しにする。提督は唯一私に私が女であることを嫌でも自覚させられてしまう人だった。この身を灼く殺意は大和にも負けない)
武蔵「提督の為に奴らを一人残らず皆殺しにしてやれ。それまで私たちは死んではならないのだ。そのためにも、今は寝ろ。明日もっとたくさん殺す為に。いいな?」
武蔵(そんな私に、しかし大和は全く動じない。意に介していなかった。だが、私の言った事はどうやら大和の中で一理あると結論付けられたようだ)
大和「……わかった。寝るわ」
武蔵(くるりと反転してベッドに向かうと、装備を外しただけで着替えもせずに布団にくるまる)
大和「……お休み、武蔵」
武蔵(まるで機械のようだったが、布団の中からかけられたその声には少しだけ感情が含まれていた)
武蔵「ああ。お休み、大和。……っ」ウルッ
武蔵(泣いてしまいそうになったのを必死で耐える。しっかりせねばならない。きっと艦隊中が衝撃を受けているだろうから。深海棲艦は間違いなく深刻な一撃を我々に加えた)
~
陸奥「っ……うぅ……」ポロポロ
長門(陸奥は床に座り込み声を押し殺して泣いていた。私はどこか現実感がなく、まるで夢の中にいるように感じていた)
長門「大丈夫か、陸奥」ダキッ ギュッ ナデナデ
長門(私は屈むと陸奥を抱きしめて背中を撫でてやる。陸奥が私を強く抱き返した。かすれた声で囁く)
陸奥「ごめんなさい……ぐすっ……すぐにしっかりするから……」
長門「……」ナデナデ
長門(私は無言で陸奥を撫で続ける。陸奥のようになってしまいそうな私個人を無理やり封印した。頭の中で強引にスイッチを入れる。私は誉れある帝国海軍の戦艦娘、長門だ)
長門(この事はすでに艦隊中に広まっているだろう。大変な事になる。しかし絶対に負けるわけにはいかないのだ。旗艦である私がなんとかしなくては)
~
瑞鶴「えっ……」
翔鶴(深刻な顔をした看護師さんが持ってきてくれた新聞を扉のところで受け取った瑞鶴がこちらに戻ってくる途中にフリーズしてしまった)
翔鶴「どうしたの、瑞鶴?」
瑞鶴「……」
翔鶴「瑞鶴?大丈夫?……瑞鶴?」
翔鶴(呼びかけに無反応な瑞鶴に私は席を立って瑞鶴のところへ行く。そしてずっと読んでいる新聞に目を向けた)
翔鶴「一体どうした……の……」
翔鶴(『壮烈、提督シンガポールに散る』。最初、その文を読んでもなかなか意味が理解できなかった)
葛城「瑞鶴先輩、翔鶴さん?どうしたんですか」
翔鶴(葛城さんの声も耳に入ってこない。誰よりも早くマリアナにたどり着いた秋月型の子たちと私たちは迫りくる深海棲艦と死闘を繰り広げた)
翔鶴(もう少し他の皆さんが到着するのが遅かったら、負けていたところだった。限界を超えて戦った私たちはなんとか撃退した時にはもうぼろぼろで……)
翔鶴(入渠の為に横須賀へ帰還することを命令された。そこで私たちはこれ幸いと雲龍型の皆さんのお見舞いに来たところだった)
翔鶴(私は、雲龍さんと葛城さんとの間で一悶着あったから……謝罪の手紙は送ったけれど、直接会って謝りたかった。けどそれができないまま雲龍型の皆さんがあんなことに……)
翔鶴(後悔した。もっと早く、何とかして謝りに行っていればと。でも幸いなことに三人とも一命を取り留めてくれた)
翔鶴(けど本土で入院している彼女たちのお見舞いに行くのは難しくて。だから今回の束の間の帰還は本当にいい機会だった)
翔鶴(直接謝ることができて、雲龍さんも葛城さんも私を赦してくれて、久しぶりにとてもいい日だと思ったのに……こんな……これが現実だとは思えなかった)
翔鶴「……!!」サァッ
雲龍「……見せて頂戴、瑞鶴さん」
瑞鶴「……」
翔鶴「っ!!」ハッ
翔鶴(何かを察した雲龍さんが新聞を持っている瑞鶴に手を差し出す。ハッとした。雲龍型の皆さんは全快にむかいつつあるとはいえ、まだベッドから動けないような状態だ)
翔鶴(そんな時にこんな事を知ったら……考えるまでもなかった。この子たちにこのことを知られるわけにはいかない)
瑞鶴「……」ジッ
翔鶴(瑞鶴が顔をあげて私を見た。その表情は呆然としていて……私のように現実感が無いのだと思う)
雲龍「……翔鶴さん。お願い、見せて」
翔鶴(瑞鶴が反応しないからか雲龍さんが私に対して静かに催促してくる。葛城さんも天城さんも不安そうに私たちを見ていた)
翔鶴「な、何でもないですよ。気にしないで」ニコッ
翔鶴(私は動揺する自分を強引に律してなんとか微笑んで見せる。そんな私を雲龍さんが以前のような敵意を込めた目で鋭く見つめた)
雲龍「何でもないのなら、構わないでしょう?」キロリ
翔鶴「っ」
看護師「失礼します、雲龍さん、天城さん、葛城さん。可愛らしい子たちがお見舞いに来てくれましたよ~」コンコン ガラッ
秋月「失礼します。あれ、翔鶴さんと瑞鶴さんも来ていらしたのですね」
翔鶴(先程新聞を持ってきてくれた看護師とは別の人が秋月さんと照月さん、涼月さん、初月さんを連れて来る)
翔鶴「あ、あら皆さん。ええ、そうなの。ね、瑞鶴?」
瑞鶴「……」
翔鶴「……っ!!」
翔鶴(つい瑞鶴に話を振ってしまう。瑞鶴はまた新聞に目を落としていた。秋月型の子たちの目が瑞鶴に向いて、反応しない瑞鶴を心配する)
照月「どうしたんですか、瑞鶴さん?何を読ん……で……」ドクン
翔鶴「ま、待って!!」バッ
初月「っ!!う、嘘だ……嘘だ嘘だ嘘だ!!」バッ
翔鶴「ダメ!!待って!!」ガシッ
初月「放して!!」グイッ
看護師「こ、こら!!病院で騒ぐんじゃありません!!」
涼月「……ぇ?」
秋月「し、司令が……?」
雲龍「っ……お願いだからそれを読ませて!!」
天城「お、落ち着いてください、皆さん!!」
葛城「な、何があったの……?」
翔鶴(……その後、騒ぎを聞きつけた他の看護師や警備員まで駆けつけてくるほどの騒ぎとなってしまった。あまりの事態に私も自分が思っている以上に動揺していたみたい)
翔鶴(冷静に考えれば隠すことなんて意味がなかったのに。勿論あの場にいる全員が提督の死のことを知ってしまった)
~
提督(シンガポールでの戦いは我々の勝利で終わった。敵艦隊は大損害を受けて撤退した。しかし、結局のところ今回は凌げたというだけだ)
提督(これで終わりではない。大事なのはこの後どうするかだ。そしてそれを考えるうえで一番大切なのは情報だった)
提督「……」ガチャッ
深海雨雲姫「ッ……!!」ビクッ
提督「……はじめまして。私は大日本帝国海軍提督だ。会えて光栄だよ。君にはいろいろと聞きたいことがある」
↓×1~3 深海雨雲姫の反応
深海雨雲姫「テイトク!?ソウカ……キサマがアノテイトクカ……!!」ハッ
提督「ほう、私の事を知っているのか?」
深海雨雲姫「エエ、オマエがワタシたちノドウホウを毒牙にカケテ凌辱し、洗脳してミニクイ裏切者にカエテしまうアクマノオトコとイウコトをね!!」ギロリ
提督「っ……そ、そうなのか……」ガーン
提督(深海雨雲姫の話にショックを受ける。まあ……事実……か……いや、でも……と気落ちしている場合ではない。俺は話を続ける)
提督「まあ、そんなことはどうでもいい」
深海雨雲姫「ハァ!?イイワケなイでショ!?ワ、ワタシはソンナふうにナリタクなイワ!!オマエに犯サレテ変えラレルなんてゼッタイにイヤ!!」
深海雨雲姫「キモチワルイ!!ムリ!!生理的ニウケイレラレなイ!!モシそんなコトにナッタラ……ソレハもうワタシじゃなイ!!」
深海雨雲姫「ワタシの皮ヲ被ッタバケモノよ!!オマエにスコシでも慈悲ガあるのナラ!!命ヲカケテ戦ウ者に対して敬意ガあるノナラ!!ワタシのままコロシテ!!コロシテよ!!」
提督「っ……!!」ドクン
提督(深海雨雲姫の言葉は……胸に刺さった。犯されて変えられる……私の皮を被った化け物……)
提督(古いトラウマがフラッシュバックする。……かつて俺は、付き合っていた彼女に浮気された。あの女を本気で愛していた。結婚すると信じていた)
提督(だが……酷い別れ方をしたのだ……毒牙にかけて凌辱し、洗脳して醜い裏切者に変えてしまう悪魔の男……それは俺が浮気相手の男に思っていた事)
提督(そして犯されて変えられる、本人の皮を被った化け物……それはあの女に感じていた事。その時の俺の心情と深海雨雲姫の言葉がシンクロした)
提督「……っ!!」ギリッ
深海雨雲姫「っ……!!」ビクッ
提督(だがしかし!!それとこれとは話が全く別だ!!浮気なんかと戦争にかかわることを同列にされてたまるものか!!)
提督(それに俺は、彼氏や夫がいるような女性に手を出したことも、出そうと思ったこともない!!あんなのと同じにされてたまるものか!!)
提督(俺が情報を吐かせた子たちも、浮気するような最低最悪女とは違う!!好き好んでそうしたのではない!!命の懸かった極限状態で仕方なくだ!!)
提督「……何も話すつもりはないと?」
深海雨雲姫「アタリマエでしょ!?ワタシはゼッタイに同胞をウラギラなイ!!ソウスルぐらいナラシンダホウがマシよ!!」キッ
提督「……わかった。もういい、安心しろ。捕虜を殺すことは国際法違反だ。君たちは適応外だが、国際法に準じて扱われることを約束する」
深海雨雲姫「……ハァ?」
提督「我々は君を殺さないし、私も君が言うようなことをするつもりはない。安心しろ。戦争が終われば帰れるだろう」
深海雨雲姫「……!?」ジッ
提督(警戒と困惑の入り混じった表情で俺を見る深海雨雲姫を部屋に残して出ていく。最悪の気分だったが、決して個人的感情のために止めたのではない)
提督(あれだけ警戒されていたらいつもの手段で情報を得ることは難しい。それこそ、薬物を使用して廃人にしてしまうようなことをしなくてはならないだろう)
提督(それはできれば取りたくない最終手段だ。もちろん、必要となれば躊躇わずにやる。だが、まだその時ではない)
~
提督「君とは面識があったな、泊地棲姫」
↓×1~3 泊地棲姫の反応
泊地棲姫「……!!」ビクッ サァッ ハイライトオフ
提督(泊地棲姫は俺が部屋に入ってきた瞬間、恐怖の表情を浮かべて俺を見る。その目に光は無く、完全に心の折れた人間の目をしていた)
提督「こうして君に会いに来たのは聞きたいことがあったからだ。敵の戦力、配置、作戦計画。知っていることをすべて話してもらいたい」
泊地棲姫「っ……!!うぅ……ぐすっ……ひっく……!!」ブルブルブル ボロボロボロ
提督「……」
提督(震えながら涙を流す泊地棲姫。どうやら恐怖やら何やらで話もできないようだ。完全に弱り切っている)
提督(あの艦隊の旗艦はこの子だったと言うからな。勝てるはずの戦いで大敗し、多くの部下を戦死させた挙句自らも捕虜になったのだから、仕方がないだろう)
提督(今のこの子に優しくすれば、もしかしたらこの子の心を手に入れることができるかもしれない)
提督(弱り切ったこの子は俺に依存するようになるだろう。そうすれば情報も得ることができるはずだ)
提督(しかし時間がかかるかもしれない。深海雨雲姫にああ言われた直後でアレだが、体を使えばその時間を短縮することができるだろう)
提督(だがその分依存度は深くなり、その後の俺の対応によってはまずいことになる可能性がある)
提督(責任をとる必要もあるし、心が回復した時に完璧に元には戻らないかもしれない。あいつが言ったように、この子を変えてしまうだろう……)
提督(っ……いや、違う……これは寝取りのような、侵してはならない尊いものを穢す悍ましいものではないはずだ……!!)
提督(失恋したり、なにかよくないことがあったりして弱っているところに付け込んで落とす普通の恋愛テクと似たようなことだ……!!)
提督(っ!!ダメだ!!考えるな!!意味のないことだ!!……誰が何と言おうと、俺の中ではちゃんと線引きができている。なら、それでいい)
提督(本題に戻ろう。さて、この子から情報を得るために優しくして篭絡する。しかし時間がかかるかもしれないのがネックだ)
提督(では拷問にかけてみるか?弱り切ったこの子にさらに苦痛と恐怖を与え、それから逃れる術を提示すればそれに縋るはずだ)
提督(これ以上酷い目に遭いたくなければ知っていることをすべて話せ!!そう言えば簡単に吐くかもしれない。さて、どうする……?)
↓×1~3 提督の行動と泊地棲姫の反応
提督「……」スタスタスタ ダキッ
泊地棲姫「ひっ……!?あぁっ……あぁ……?」ビクン
提督(歩み寄る俺に泊地棲姫は短い悲鳴を上げた。だが俺が抱きしめた瞬間、恐怖の声は困惑のそれに変わる)
提督「大丈夫だ。これ以上君を傷つけはしないさ」ナデナデ
泊地棲姫「……!!」ドクン
提督(深海雨雲姫に乱された心を落ち着かせることができた俺は、相手の事を考える余裕ができた)
提督(目の前にいたのは極限まで追い詰められ、恐怖に震えている女の子だった。これ以上酷い目に遭わせることなんてできなかった。労わってあげたかった)
提督「分かる。君は立ち上がった同胞を捨て置けなかったのだろう?裏切りたくて我々を裏切った訳ではない。違うか?」
泊地棲姫「っ……私は……」
提督(俺の言葉に泊地棲姫が掠れた声を出す。情報を手に入れることは後回しになってしまうが、仕方ない。これは戦争だ。殺し合いではない。可能な限り道徳や人道を尊ばなくてはならない)
提督「逆の立場だったら、俺もそうしていただろう。もういい。終わったんだ。後のことは任せろ。俺が君を守ろう」
~
泊地棲姫「て、提督……うぅ……」
泊地棲姫(私を抱きしめて撫でてくれるこの人は、私の事を完璧に理解してくれていた。そう、やりたくてやった訳じゃない。でもやるしかなった。しかたなかった)
泊地棲姫(優しい言葉と温かい体温は私の身も心も温めてくれた。私は提督の背中に手を回して抱きしめようとする。その時、声が聞こえた
泊地棲姫 また裏切るのか……
泊地棲姫「!?」
泊地棲姫(そこにいたのは私だった。提督の後ろ、私の目の前に立っている。私を失望と怒りに溢れた表情で見下ろしている)
泊地棲姫 お前はまた裏切るのだな……同胞を……何度目の裏切りだ……?同胞を裏切り……日本を裏切り……そしてまた同胞を……
泊地棲姫(その私が言っていることは冷たい氷の矢のように私の心を貫くと凍らせてくる……そうだ……私の言う通りだ……)
泊地棲姫「わ、私は……」マッサオ カタカタカタ
提督「泊地棲姫?」
泊地棲姫 何故まだ生きている……どうして死なない……同胞たちの死体の山を築いておいて……自分だけ……聞こえないのか……この声が……
泊地棲姫「……ひっ!?」ゾクッ
泊地棲姫(聞こえた。はっきりと。聞き覚えのある声が。もう二度と聞けなくなったはずの声が。死んだはずの私の部下たちの声だ)
リ級 ウラギリモノ……オマエのセイで……ワタシハ……ワタシたちハ……アンナところデ死ぬタメにイキテいたワケじゃナイ……
タ級 死にたくなかった……どうして日本を裏切ったの……勝てないって……分かってたはずなのに……
チ級 私たちは裏切りたくなかったのに……貴女たちが……上がそう決めたから……だから私たちは……殺された……
ネ級 ワタシたちヲ死ニ追いヤッテおいて……オマエだけタスカルなんてオカシイ……!!ウランデヤル……コロシテヤル……!! ドチャッ ズルズルズル
泊地棲姫(どこからか、腹部を砲弾に貫かれて真っ二つになってしまったはずのあの子が……上半身だけで落ちてきた。目と口から血を流しながら、私の方へ這ってくる)
泊地棲姫「ぁ……!!」
提督「どうしたんだ?大丈夫か?」
タ級 殺してやる……!! フラフラフラ
リ級 殺してやる……!! ヨロヨロヨロ
タ級 コロシテヤル……!! ズリズリズリ
チ級 コロシテヤル……!! ベチャベチャベチャ
泊地棲姫(頭部が無くなってしまったあの子が、右半身を持っていかれたあの子が、足が取れてしまったあの子が、バラバラになったはずのあの子が、私の方へ……呪いながら……怨みながら……!!)
泊地棲姫「うわぁああああああああああ!!!!」
提督「っ!?」ビクッ
~
泊地棲姫「く、くるなぁああああああああああ!!!!」ドンッ
提督「うっ!?ぐはっ!!」ドバン ズルズル
提督(突き飛ばされた俺は壁に背中から激突した……尋常じゃなく痛い……咄嗟に受け身の要領で頭を打たないようにはしたが……背骨は無事か……息ができない……)
提督「……」グッタリ
~
大鳳(思った通り提督は生きていた。あの人は不死身だから。そして運のない私としては珍しく、幸運にも空母娘が居なかった提督の艦隊へ送る増援として選ばれた)
大鳳(すぐさま提督のもとへ向かい、シンガポールについた私は司令部で提督が深海棲艦への尋問という極秘任務をしていることを知った)
大鳳(私は提督に一刻も早く会いたかった。司令部から捕虜収容所として使われているラッフルズ・ホテルへ移動して特務機関が厳重に隔離している区画へ)
大鳳(そして今まさに取り調べが行われている部屋の前まで来た。護衛の潜水艦娘、イムヤちゃんが驚いて私を見ている)
伊168「あれ、大鳳さん?こんにちは。どうしてここに?」
大鳳「こんにちは、イムヤちゃん。増援で来たんだ。提督は中?」
伊168「なるほどね。そうだよ、まだ泊地棲姫の尋問中」
泊地棲姫「~~~~~~~~~~!!!!」
提督「っ!?っ!?」
「「!?」」
大鳳(突然、部屋の中で泊地棲姫が大声で叫び始めた。提督が何か言っているのが聞こえる。何て言ってるのかまでは分からないけれど)
泊地棲姫「~~~~~~~~~~!!!!」
提督「っ!!」ドバン
大鳳(壁に全力でタックルでもしたかのような大きな物音。イムヤちゃんが扉を開けて部屋に突入する。もちろん私も後に続いた。目に入ってきたのはまず錯乱した様子の泊地棲姫。そして……)
提督「……」グッタリ
大鳳(ドアのすぐ横の壁に背中を預けるようにして倒れている提督だった。ぐったりとしていて、まるで死んでいるように見えた)
↓×1~3 大鳳と伊168の反応
※深海棲艦に本気で突き飛ばされたら、それは車にはねられたようなもので人なんて簡単に死ぬことは明らかな事を踏まえて
読んでいただいてありがとうございます
間が空いてしまい申し訳ありませんでした……
大鳳の件はこちらのミスです……すいません……どうかご容赦ください
よろしければこれからもよろしくお願いします
伊168「……殺すね?」キッ ニタァッ
大鳳「待って」ガシッ
伊168「っ!?……なんで?」
大鳳(壮絶な笑みを浮かべて泊地棲姫へ跳びかかろうとしたイムヤちゃんを止める。イムヤちゃんは驚くと底冷えするような声でそう聞いてきた)
大鳳「ソ連で見た。たぶんあれは錯乱してるんだ。わざとじゃない。それでも赦し難いけど、殺したら取り返しがつかない」
大鳳「私がやるからイムヤちゃんは提督をお願い。なるべく人の目につかないようにすぐ救護室へ連れて行ってあげて。優しくね」ザッ
大鳳(私は提督の盾になるように泊地棲姫の前に立ちふさがりながらイムヤちゃんにそう頼む。そんな私にイムヤちゃんも従ってくれた)
伊168「そう、わかった。……司令官、良かった、生きてる!!護衛なのに守れなくてごめんなさい……今救護室に連れてってあげるからね」スッ
大鳳(司令官を労わるようにそう囁くイムヤちゃんが提督を連れていく気配を感じながら私は泊地棲姫との距離を詰める)
泊地棲姫「ごめんなさい……ごめんなさい……おねがい、ゆるして……おねがいだから……!!」ズリズリズリ
大鳳「……目を覚ましなさい」ドスッ
泊地棲姫「うぐっ!?おえぇぇ……!!げほっげほっ」ゲボッ
大鳳(腰が抜けたようになりながらも手と足で後退っていた泊地棲姫の腹に足で一撃入れる。泊地棲姫がくぐもった声を出し、蹲って嘔吐した。激しく咳き込む)
泊地棲姫「はぁ……はぁ……あっ……えっ……?」
大鳳(荒い息を吐きながらも正気に戻ったらしい泊地棲姫が呆然とした表情で辺りを見渡して私を見上げた。私は自分を落ち着かせる為に深呼吸する)
大鳳「すぅー……はぁー……私が分かる?」
泊地棲姫「……」コクコク
大鳳「じゃあお前が提督を突き飛ばして殺しかけたことは?」
泊地棲姫「ぇ……ぁ……そ、そんな……あの人は……私を抱きしめてくれて……それで……」サァッ マッサオ カタカタカタ
大鳳(何があったかを理解したらしい泊地棲姫の顔から血の気が引く。体が震え始めた。目を見開いている)
大鳳「とりあえずお前は拘束する。……もし提督の身に何かあったら、絶対に赦さないから」ギロリ
泊地棲姫「…………」ハイライトオフ
大鳳(私の言葉に泊地棲姫は顔を俯ける。目が死んでいた。どうやら提督に優しくしてもらったみたいだけど、その提督を自分が殺しかけた)
大鳳(その事実が泊地棲姫の心を完全に殺したみたいだった。私は部屋にあったテーブルクロスやカーテンで泊地棲姫を拘束する。首を絞めてしまいそうになる衝動と必死に戦いながら)
~
ウォースパイト「なんですって……本当なの、大将……?」ゾクッ
イギリス海軍提督「ええ、残念ながら。提督は事故に遭って重傷を負ったとのことです。ですがご安心ください。命に別状はないと聞きました」
ウォースパイト「……ごめんなさい、少々失礼するわ」クルッ スタスタスタ
イギリス海軍提督「車を表に待たせてあります。お使いください」
ウォースパイト「ありがとう、大将」
~
提督(入院する破目になったが、幸いにも俺は後遺症が残るようなことにはならなかった。艦隊の指揮は王立海軍の大将が引き継いでくれた)
提督(俺は交通事故に遭ったことになっている。そうすることができたのもイムヤと大鳳の機転のおかげだ。あの二人がなるべく人に知られないようにしてくれたからなんとかなった)
提督「っ……」ゾクゾクゾク
大鳳「れろれろ、じゅるじゅる」
提督(そんな優秀な部下のうちの一人である大鳳は今、上裸でベッドの上に乗って雌豹のように四つん這いになりながら俺の股間に顔を埋めている。素晴らしい光景だった)
提督(普通に見舞いに来てくれたのだが、キスをして抱き合っているうちに気が付いたらこうなっていたのだ。まったく不思議な事だ)
提督(大鳳の舌がモノを這いまわり、激しく吸われ、喉奥で亀頭を扱かれる。俺の求めるままに快楽を与えてきていた)
提督(俺は大鳳の体のことならなんでも知っている自信があるが、大鳳もまた俺の体のことをなんでもしっているようだな)
提督(それほどまでにすでに俺は大鳳を調教しつくしていた。目の前の少女はすでに俺専用の娼婦になり果てているのだ。男としての本能が満たされる)
提督「上手いぞ。いい子だな、大鳳」ナデナデ
大鳳「んふっ……///」
提督(大鳳の頭を撫でると喜んで体をくねらした。俺はそのまま大鳳の背中に手を這わせ、突き上げられた尻に触れる)
提督(こんなに小さいのに、それでも雌なのだと認識させられる。安産型のそれは子供を孕み産むのに適しているのだと雄にアピールしてきていた)
提督(しかし、小さいのだ。小ぶりなのだ。興奮する。俺は大鳳のミニ袴をめくった。丸見えになったスパッツとそれを透けて見える際どいローライズのショーツ。堪能する)
提督「訂正しよう。こんな下着を穿いて男を誘惑するなんて悪い子だ。お仕置きが必要だな……」ナデナデ
大鳳「んんっ……///」フリフリ
子供「……あれ?」ガチャッ
「「っ!?」」ビクッ
提督(心臓が止まるかと思った。ノックもなしに病室のドアを開けたのは現地の子供だった。きっと家族のお見舞いに来たのだろう)
提督(この病院は軍の専用という訳ではないからな。そして間違ってここのドアを開けたのだ。その子供は俺と大鳳を見ると困ったような顔をした)
子供「ここじゃない……」
提督(そしてドアを開けっぱなしで行ってしまう。一瞬の出来事だった。俺と大鳳が絶句している間に終わった)
提督(部屋を間違えて知らない人がいたからとりあえず逃げる。なんとも幼い子供らしい行動だが……とりあえずドアを閉めなくては)
看護師「That room(あの病室ですよ)」
ウォースパイト「あそこにAdmiralがいるの?」
看護師「はい、そうです」
ウォースパイト「わかったわ、ありがとう」
「「!!」」バサッ
提督(ウォースパイトの余裕のない切羽詰まった声が聞こえた。最悪のタイミングだ!!一瞬でスイッチが切りかわる)
提督(お互いに完璧に分かり合っていた。ドアが開いたままなのだ。大鳳が服を着る時間は無い)
提督(そして他に逃げ場はなかった。大鳳が俺の下半身に抱きつくようにして、俺がはだけていた布団をかける。その直後、病室の入り口にウォースパイトが現れた)
ウォースパイト「Admiral!!」
提督「ウォースパイト、来てくれたのか」
ウォースパイト「当たり前でしょ!?怪我は大丈夫なの!?」
提督「ああ、もちろんだよ。後遺症も残らない。すぐ良くなる」
ウォースパイト「あぁ、良かった……Admiral……本当に良かったわ……!!」ダキッ ギュッ
提督「ありがとう、ウォースパイト。心配をかけてすまない」ギュッ ナデナデ
~
提督(病室にはお互いを想い合う若い男女をそういう雰囲気にする妖しい力があるのかもしれない)
ウォースパイト「んふっ……はむっ……」ギュッ
提督「んっ……」ギュッ
提督(俺を強く抱きしめていたウォースパイトは落ち着くと開けっぱなしだった病室のドアを閉めて花瓶に持ってきてくれた花を生けた)
提督(もともと大鳳が持ってきてくれたものが生けてあったが、花瓶がとても大きかったこともありウォースパイトが持ってきてくれたものも一緒に生けることができた)
提督(そして事故についての話をしたり作ってきてくれたクッキーと紅茶を頂いたりしているうちに、気が付いたらこうなっていたのだ)
ウォースパイト「れろれろ……んちゅっ……」ムニムニ
提督「っ……」ギンギン
提督(俺はウォースパイトと抱き合いながら濃厚に舌を絡ませていた。甘いジャムの味。ウォースパイトがその美しい双峰を押し付けてくる)
提督(ウォースパイトが全身全霊で俺への愛を表現してくれていた。夢見心地だ。しかし、忘れてはいけない。俺の足元にはずっと大鳳が隠れている。ずっとその体温と息遣いを感じていた)
提督(本来、こうしている場合ではない。だが抗えなかった。ここまで俺を想って心配してくれたウォースパイトにキスを求められて、断れるわけがなかったのだ)
↓×1~3 もちろん提督とウォースパイトの行動を完全に把握している大鳳の心情と行動
~
大鳳「……」
大鳳(……せっかくお見舞いに来てくれたウォースパイトさんを無下に扱えないのはわかる。私も別にさっさと追い返して欲しいとは言わないし、そもそも思っていない)
大鳳(ウォースパイトさんは大事な戦友だし。でも……これは酷いと思う。提督は私の事を忘れてしまったんじゃないかと思うくらい放置されていた)
大鳳(提督がウォースパイトさんに押し倒されたような体勢で抱き合いながらディープキスしているのは布団の中からでも気配で分かる。すっかり二人の世界だ)
大鳳(こんな酷い扱いに加えて、私の顔のすぐ近くにある暴力的なまでに雄々しい偉容を誇るソレと、ソレからただよってくる濃厚な雄の匂い。もう我慢できなかった。私はそれに触れる)
大鳳「……」スッ ピトッ
提督「!!」ビクッ
大鳳「……」ナデナデ ネトォ
提督「……!!」ゾクゾク
大鳳(提督が体を反応させた。私は構わずびくつくそれを撫でる。その先端からはとろりとした粘液が新たに染み出ていた。提督、ウォースパイトさんとして興奮してるんだ)
大鳳「……」モゾモゾ
大鳳(私は体を少し起こす。バレてもいい。コレは私のモノだ。ウォースパイトさんに譲るつもりはない。再びソレを咥えた)
大鳳「あむ」
提督「っ!?」ビクン
大鳳(提督が私の行動に気が付き、腰を捩る。さりげなく私の頭を手で押さえてきた。でも止めない。むしろウォースパイトさんに体をすり寄せられて反応するソレ合わせて口淫を激しくする)
大鳳(提督の欲情を煽るために。提督がその気になればウォースパイトさんをイかせて私の相手をしてくれるだろう)
大鳳(最悪、ウォースパイトさんと一緒でもいい。久しぶりだもの。この機会を逃すつもりは無かった)
~
提督(もはや大鳳はバレるかもしれないことなどお構いなしに俺のモノをしゃぶっていた。もしウォースパイトが布団が盛り上がっていることに気が付いたら終わりだ)
提督「っ……!!んっ……」ギュッ
提督(俺はウォースパイトが気が付かないように抱きしめ、ただただ唇を貪る。ウォースパイトはすっかり発情していた)
ウォースパイト「A, Admiral……!!はふっ……んちゅっ……」スリスリ
提督(俺に覆い被さり、甘い声音で俺を呼びながらひたすらに舌をからませてきていた。胸が俺の体に押し付けられてつぶれている)
提督(なんというシチュエーションだろう!!ウォースパイトとキスし、その柔らかい双峰を存分に堪能しながら隠れている大鳳にフェラされている)
提督(背徳的な快楽が甘く脳を蕩かせてきた。まるでウォースパイトと大鳳をそれぞれ裏切っているようで……)
提督(もちろん大鳳は例の話を知っているし、ウォースパイトにも話そうとした。断られたが、きっと察しているのだろう。しかし知る機会を与えた。隠してはいない)
提督(二人ともその上で俺を愛してくれていた。想ってくれていた。だからこれは他人が何と言おうと裏切りでは……浮気ではない)
提督(しかし、自分が絶対に赦せないことに近いことをしているという自己嫌悪と赦されない快楽が混じって……麻薬のようだった)
~
ウォースパイト「……!!」
ウォースパイト(ふと、視界に入ったそれに気が付く。白い袖の裾の方が布団から飛び出ていた。Admiralのにしてはサイズが小さすぎる。そして謎の白い布も。どこかで見覚えがあった)
↓×1~3 提督と大鳳がベッドの上で男女の営みをしていた時に大鳳が脱いでそのままベッドの上に置いておいた上着と腹掛けを見つけたウォースパイトの反応
~
ウォースパイト「……」ニコッ ズルッ
提督「っ!?」
提督(ウォースパイトが微笑みながら何かを布団の中から引きずりだした。俺はそれを見て心臓が止まりそうになる)
提督(それは大鳳の着ていた服だ。艦娘の服は独特なものが多い。何か意味があるらしいが、専門ではないので詳しくは知らなかった)
提督(それもその一つだった。腹掛けに似た形状のそれは大鳳のような美少女が素肌に着ると非常に官能的だった。特に惜しみなく晒された脇や横乳が)
提督(それが、ウォースパイトに見つかった。ウォースパイトが視線を俺の下半身の方へ向ける。もはや止められない)
提督(先程までと違い大鳳は俺のモノを咥えているために誰かが中にいることが一目瞭然な膨らみができてしまっていた。それを一瞥するウォースパイト)
ウォースパイト「……」ジッ
提督(そして俺に視線を戻すと感情の読めない瞳でじっと見つめてきた。そのまま俺の耳に口を寄せると囁いてくる)
ウォースパイト「Admiral……私は貴方を信じていいのよね?」
提督(努めて平静を保っているが、それでも微かに震えている声。ウォースパイトにとって俺が他の女性とこういうことをしている所に遭遇するのは初めてだ)
提督(なんとなく察しているのと実際に目の当たりにするのは全く違う。迷いや不安を抱くのも当然だろう。俺はウォースパイトを引き倒す)
ウォースパイト「っ」トサリ
提督「……もし君が俺の元を去るというのなら、無理に引き留めてはいけないと思っている。だが君のいない人生なんて考えたくもない」ダキッ
提督「ずっと君と一緒に居たい。俺は君が幸せになってくれるよう全力を尽くす。幸せにしてみせる。だから、信じてくれ。いや、俺を信じろ、ウォースパイト」ギュッ
ウォースパイト「……!!んっ」ゾクゾク キュン
提督(ウォースパイトを抱き締めながら俺の想いを伝える。ウォースパイトは返答の代わりに俺に口付けしてきた)
ウォースパイト「んちゅっ……れろれろ……」ダキッ ギュッ
提督(俺の首元に手を回し強く抱きしめると俺の舌へ自らの舌を絡ませてくる。それはつまり受け入れてくれたということで……深い安心感と極上の喜びが心の奥底から湯水のごとく湧き上がってくる)
ウォースパイト「っは……Admiral, 貴方が義務を果たすと信じているわ。私に後悔させないで。貴方を愛したことを。信じたことを。私の全てを捧げたことを」
提督(ウォースパイトがキスを中断して俺の耳元に口を寄せると震える声でそう囁いてくる。それは明確に俺が他の子とも関係を持つことを認め……)
提督(そしてその上でウォースパイトの全てを俺に捧げてくれるという発言だった。あのウォースパイトが)
提督(プライドが高く負けず嫌いで、英国人らしく容赦のないところもある高貴で美しい女性がここまでするほどに身も心も俺のモノとなっているという事実に絶頂してしまいそうだ……!!)
提督「誓う。決して君を後悔させない」
ウォースパイト「……んっ」コクリ
提督(俺は信念を込めて返答する。ウォースパイトが頷いた。キスを再開する。俺はウォースパイトのスカートの中に手を入れた)
提督(緻密な装飾を施された最高級品のショーツの手触りを堪能しながらヒップを揉み、秘所の柔肉をこねくり回す。薄布越しに感じるウォースパイトの体温)
提督「……」スッ ツゥー
ウォースパイト「んぅん……!!はむ……れろれろれろ」ビクッ
提督(割れ目を指でなぞるとウォースパイトの腰が跳ね、色っぽい吐息を漏れる。ショーツがしっとりと濡れた。俺は本能のままにウォースパイトの愛撫を続ける)
提督(それと同時に大鳳をフォローすることを忘れない。純粋な放置プレイや最初からそのつもりで大鳳の前で他の子と肌を重ねて嫉妬を煽るプレイなら問題ない)
提督(しかし今はそうではない。大鳳としていたのに後から来た他の女にかかりきりになってしまうというのは大鳳からすると自分より他の女を優先したように感じて面白くないだろう)
提督(最悪、大鳳の心は俺から離れてしまう。俺が大鳳のことをただ想っているだけではいけない)
提督(大鳳に俺がちゃんと大鳳を見ているということを認識してもらわなくてはならないのだ。俺はウォースパイトへの愛撫を続けつつ片手を布団の中に入れ、大鳳の頭を撫でる)
~
提督「……」ナデナデ
大鳳「!!」ピクッ
大鳳(提督の手が布団の中に入ってきて、私の頭を撫でる。提督はちゃんと奉公する私を忘れていない。気にかけてくれてる)
大鳳(それだけですっかり私は幸せになってしまった。我ながらちょろい女だと思う。でもいいんだ)
大鳳(提督は私がちょろいからってぞんざいな扱いをしたりしないから。むしろ提督が私を大切にしてくれるから私はちょろくなっちゃったんだ。責任をとってもらわなくちゃ)
大鳳「にゅるにゅるにゅる……れろ……はむはむ」ダキッ ギュッ スリスリスリ
提督「……」ピトッ ナデナデナデ
大鳳(私は口に提督のを咥えながらその下半身を強く抱きしめる。太腿に頬を擦り付けた。反対側の頬を提督の手が撫でてくれる。ただただ提督のことが愛おしかった)
~
提督「っ……」
大鳳「んぐっ……!!おごっ……!!んちゅっ……じゅるるっ……」ゾクゾクゾク
ウォースパイト「No, いや、ダメ……!!そんな、胸と同時なんて……!!さきっぽ摘ままないで……!!あぁっ!!声でちゃうからソコはそんな強くしちゃダメ……!!」キュンキュン
提督(横になりながらウォースパイトを後ろから抱くようにしつつ服をずらして露にさせた胸を揉みしだき、その先端を虐める)
提督(そして下着の中に手を入れ、蜜が溢れてくるそこを撫で、割れ目を指でなぞり、硬くなったソレを責め、中に指を挿入する。ウォースパイトは必死に耐えていた)
提督(それと同時に快楽のままに腰を突き上げ、大鳳の咥内を犯す。苦しそうにしながらも喉奥でモノの先端を締め上げ、快楽を奉げてくる大鳳)
提督(後でたくさんご褒美をあげなくてはな……っ、そろそろ限界だ……!!俺はギリギリまで快楽に耐えるためウォースパイトへの手淫を激しくする……)
提督(とばっちりを受けることとなったウォースパイトが悲痛な嬌声をあげながら体を捩らせた……くぁっ……!!もう出る……!!たまっていた分、たっぷりと……!!耐えられない!!)
~
ウォースパイト「っ~~~~~~~~~~!!」ビクビクビク
提督「くぁっ……!!」ビュルルルルルルルルルル
大鳳「んぶっ……!!」ビクン
大鳳(提督の腰が震えながら突き出されたことで限界を察した私はウォースパイトさんの押し殺した嬌声を聞きながら濃厚な精液を口で受ける)
大鳳(喉奥に熱いそれがぶちまけられた。最初はうっとなってしまったそのにおいと味も今や麻薬のように私の脳髄を甘く蕩かす)
大鳳「ごくん……じゅるるるる……んくんく……」
大鳳(喉に絡みつくそれを飲み込む。愛する人のモノが喉を通る感覚に陶酔する。そして尿道に残ったものも吸い出し、一滴も余さず堪能した。ごちそうさまでした)
~
ウォースパイト(快楽に理性も思考もかき消されてしまった。絶頂で病院中に響くような嬌声をあげてしまいそうなのを手を咥えることでなんとか耐えきった)
ウォースパイト「はぁ……はぁ……っ……♡」ギリッ キュンキュン
ウォースパイト(少し後、ようやく理性と思考が戻った私は余韻に浸りつつも屈辱感に苛まれていた。愛撫だけで……絶頂させられてしまうなんて……)
ウォースパイト(けれど、それと同時にもうこの人に支配されたいという欲求に駆られる。Admiralのような最高の男性に引き倒されて、男らしく引き締まった筋肉質な体に抱きしめられて)
ウォースパイト(そして耳元でああ囁かれて、強い口調で命令されて……女の本能がこの人を主と……自分より上だと認めて受け入れてしまっていた)
ウォースパイト(心に生まれた不安と迷いはとっくに消え去っている。しかし自尊心が傷つけられてしまった)
ウォースパイト(この私を、英国中がオールド・レディと尊敬する私を半端な扱いで満足させようとしている)
ウォースパイト(Admiralの隣に立つにふさわしいと実績を挙げて証明した私にそんなことをしようとしていることが赦せなかった……後悔させてやる……!!)
~
大鳳(結局、私は布団の中に隠れていたのをウォースパイトさんに見つかった。あんなことしてバレていない方がおかしいけど)
大鳳(その後、いろいろあってじゃんけんに私らしく不運にも敗北した結果、提督とウォースパイトさんの情事を見せつけられることになってしまった。まあ、それはそれで興奮するけど)
大鳳(提督に自分のしたことを分からせると言ったウォースパイトさんは手で扱き、口で咥え。胸で挟んで提督を責め、絶頂させようとした。それに対して提督ももちろん反撃した)
ウォースパイト「ごめんなさい、Admiral……もう分からせようとしないから……!!私が分からせられたから……!!だからお願いします……イかせてください……私を無茶苦茶にして!!」
大鳳「……」
大鳳(その結果がこれだった。胸を揉みしだかれ、勃起してしまったそこを抓られ、秘所をかき回されていた。提督の性技の前にもはや完全に屈服させられてしまい、お情けを求めて媚びている)
提督「いいだろう、ウォースパイト。お前の望み通りにしてやる」
大鳳(それから始まったのは蹂躙だった。ウォースパイトさんは提督に口を塞がれて、手で激しく責め立てられている)
大鳳(淫らな水音とくぐもった嬌声が部屋を満たしていた。ウォースパイトさんが絶頂しても提督は全く手を止めない)
ウォースパイト「っ~~~~~~!!~~~~~~!!~~~~~~~~~!!」ギュゥゥ ビーン
大鳳(ウォースパイトさんがシーツを掴んで体をピンと張っていた。恐怖を感じる光景だ。なのに、どこかでそうされてみたいという破滅願望のような欲求が心を擽る)
大鳳「はぁ……はぁ……」クチュクチュ
~
大鳳「っ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!」ビーン ビクビクビク ギュゥゥ
提督(俺の腕の中で大鳳が何度目かの絶頂を迎えた。腰が突き出され、潮を吹く。俺の腕を掴む手に力が込められた。目が完全にイってしまっている)
提督(涙を流しながら見開かれており、正気の光が完全に失われており焦点があっていなかった)
提督「まだまだ終わらないぞ?ご褒美にウォースパイトにしたのと同じことをして欲しいと言ったのは君だからな?」ズッチュズッチュズッチュ
大鳳「~~~~~~!!~~~~~~!!~~~~~~!!」
提督(俺の言葉も今の大鳳には届いていない。しかし大鳳のような小柄な子の口を押えて激しく責め立てているとまるで犯罪だな……ぞくぞくする。犯罪者になった気分で大鳳を凌辱し続けた)
~
帝国海軍中将「先の作戦はよくやってくれた。諸君らが到着して以降にアフリカを発った敵船団の八割以上を補足、撃破することができた」
帝国海軍中将「枢軸国は経験豊富なアフリカ軍団のおよそ二割を喪うこととなった。このことは来るべき欧州における戦いにおいて必ずや生きてくれるだろう」
帝国海軍中将「これもすべて君たちが身の危険を顧みず勇敢に戦った結果だ。その戦い様は前帝国海軍の模範となるべきものであった」
帝国海軍中将「諸君らはその奮戦に対して相応しい栄誉を受けることになるだろう。私の方からも推薦する。……諸君らを深海棲艦と侮り蔑んだこと、謝罪する。本当に申し訳なかった」
↓×1~3 彼が自らの差別的な振舞いを後悔し、心から申し訳なく思っていることは確かに感じられた空母棲姫たちの反応
※彼が提督を良く思っていないことを深海棲艦たちは知らず、嫌な目で見てきたこと以外に特に差別的な事はされていなくて、実際に指揮されて彼が優秀であることを認めていることを踏まえて
空母棲姫「我々は気にしていませんから中将もお気になさらず」
帝国海軍中将「そうか……そう言ってくれるとありがたい。では本題に入ろう。我々はナポリの軍港とLa Regia Marina 主力へ攻撃を仕掛ける」
帝国海軍中将「その目的は二つある。一つ目は南極から侵攻してくる敵に対処しなくてはならない状況でイタリア軍が何か余計な事をする余力を奪うこと」
帝国海軍中将「そして二つ目は地中海の制海権を確固たるものとして地中海を航行する輸送船団の安全をより強固なものとすることだ」
帝国海軍中将「休む間もなく次の戦いとなってしまい申し訳ない。だが、やらなくてはならないのだ。そして君たちならできると思っている」
戦艦棲姫「ええ、もちろん。おまかせください、中将。この程度、あの頃と比べたらどうってことありませんわ」
戦艦水鬼「海が誰のものなのか教育して、イタリア人が二度と海に出てこられなくなるようなトラウマを植え付けてあげましょう」
~
イタリア「……ここにいたのね」
ポーラ「あ、イタリアさん、ローマさん、 Buon Giorno~」
ザラ「 Buon Giorno!!どうしたんですか?」
イタリア「 Buon Giorno. 話さなくてはいけないことがあるの……」
「「?」」
ローマ「……ポーラ。貴女、ナポリ出身だったわよね?」
ポーラ「は~い、そうですよぉ~イタリアで一番美しいところですぅ。 ” vedi Napoli e poi muori(ナポリを見てから死ね)” っていうでしょう?」
ローマ「っ……」
イタリア「……あのね、ポーラ。落ち着いて聞いて……」
大日本帝国海軍の深海棲艦がナポリに攻撃をしかけた。攻撃を受けたナポリの軍港は壊滅し、民間人やナポリの歴史的な街並みにも被害が出てしまった
しかし民間人と街の被害の規模から考えて空母棲姫たちは可能な限り民間人を巻き込まないように配慮したのだろう
それに、こういう場合は誰であっても民間人や街への被害を皆無に抑えることはできないことは分かっている
それでも、あまりにも衝撃的な出来事だった。残酷な現実と向き合うときが来てしまった。アフリカの戦いは終わり、次の戦場はイタリアだ。自分たちの故郷で悲惨な戦闘が行われるのだ
↓×1~3 イタリア、ローマ、ザラ、ポーラの反応
※特にポーラはナポリ出身で家族や友人たちの安否を確かめることも難しいということを踏まえて
ザラ「そ、そんな……」
ポーラ「……。ナポリが…… Papà…… Mamma……」
ザラ「ポ、ポーラ……きっと大丈夫よ」
ポーラ「そ、そうですよね。大丈夫……きっと大丈夫……だからポーラも~大丈夫ですよ、ザラ姉さま。……あ、あれ?なんでぇ……」ツゥー ポロポロポロ
ザラ「っ……ポーラ……」ダキッ ギュッ
ポーラ「ザラ姉さま……本当に、大丈夫ですからぁ」カタカタカタ
イタリア「……戦争ってどういうことなのか、いつの間にか忘れてたみたい」
ローマ「……私たちの故郷が今まさに敵に滅ぼされそうになってる。こんな所でこんな事していていいはずないわ。戻って戦わなくちゃ」
ローマ「私たちはイタリアの為に戦ってる。ここで連合国と一緒に深海棲艦と戦ってるのもイタリアの為」
ローマ「私たちが活躍すれば、連合国のイタリアへの態度が軟化して講和できる。そう信じていたわ」
ローマ「なのにその連合国がイタリアを攻撃するなら……やるしかないじゃない……たとえあの人を敵に回すことになっても……」
イタリア「……」
~
『夫婦は食人鬼どもが暴虐の限りを尽くしたスエズ・アレクサンドリアの戦いで最愛の一人娘が行方不明になって以降、造船所に顔をだしていた
しかし今度は食人鬼のしもべとなった深海棲艦がナポリを破壊し尽くし、夫婦もその犠牲となった。このような悲劇を赦していいのだろうか?これこそがイタリアが戦う理由である!!』
ポーラ「……」
ポーラ(それはファシスト党が発行したプロバガンダの記事でした。添えてある写真は私が日本からイタリアに帰った時に撮ったもの)
ポーラ(マンマがポーラを抱きしめて、パパがマンマとポーラを抱きしめている。写真の中の両親とポーラは幸せそうで……)
ポーラ「……っ」ジワァ ツゥー
ポーラ(『夫婦もその犠牲となった』……頭の中が真っ白になって、心臓と背骨が冷たく恐ろしいものに握られる感覚)
ポーラ「ぅ……ぁ……あぁ……」ポロポロポロ
ポーラ(信じられませんでした。もう二度とパパとマンマに会えないなんて……そんなこと……あっていいはずない……!!)
ポーラ「あぁああああああああああ!!わぁああああああああああん!!」
ポーラ(感情のままに泣き叫ぶ。家に帰りたい。パパとマンマに会いたい。ただそれだけでした)
ポーラ(なのに、それはもう二度と叶わない……ポーラは永遠に一人ぼっちになってしまいました……どうして……なんでポーラのパパとマンマは……殺されたの……?)
ポーラ「ひっく……ひっく……っ……!!」ギリッ
ポーラ(それは日本がナポリを攻撃したから……なんで……それは日本が地中海まで侵攻してきたから……提督が、あの日スエズを陥落させたから……!!)
ポーラ「て……いとくぅ……!!」ブツ タラリ
ポーラ(憎い……憎い……日本が……提督が……ポーラのパパとマンマを殺した敵が……!!)
ポーラ「だいすきだったのに……あいしていたのに……絶対に赦さない……!!私と同じ気持ちを味合わせてやる!!」キッ
~
港湾夏姫「サクセン終了ね。テキはホトンド警戒してイナカッタみたい。テイコウらしいテイコウもナカッタわ」
港湾夏姫「ココをキョテンにインド洋でツウショウ破壊サクセンがオコナワレル。敵ノ継戦ノウリョクをソグ為に。まだショウブは決まってイナイわ」
空母水鬼「……」
港湾夏姫「……ソンナしけた顔シテナイデ楽しみマショウよ。ミテ、なんていいテンキ!!キオンもチョウドイイ暑サ♪夏ヨ!!」
港湾夏姫「シバラクは敵も攻めてコナイデショウ。何カ動キがアルまでノンビリマッタリとスゴセルわ。アナタも疲レテいるデショ?」
港湾夏姫「まりあな諸島ノタタカイでの奮戦ぶりハ聞イテイルわ。シッカリと休養ヲトッテ次ノ戦イに備エマショウ」
空母水鬼「……そんな気分になれません。むしろどうして貴女はそんなに能天気になれるんですか……私たちは全力でマリアナ諸島を攻めたのに、落とせなかったんですよ?」
空母水鬼「つまり敵艦娘の船渠を破壊する手段は完全に失われたということです。作戦計画は破綻しました」
空母水鬼「後はあの時のようにゾンビの如く撃破しても撃破しても治療と修理を終わらせて戻ってくる敵と絶望的な戦いを続ける羽目になる……」
空母水鬼(そうです……もう勝ち目はありません……私は勝ち目があるから頑張ったんですよ……そもそも、もともと乗り気じゃなかったんです……なのに周りに流されて……)
空母水鬼(その結果がこれです……あとは奇跡を祈って死ぬまで戦う?そんなの御免です。そのための誇りも何もかもかつて降伏を受け入れたあの時、ゴミ箱にダンクシュートしました)
空母水鬼(私は死にたくない。ただそれだけです。ごめんなさい。私が馬鹿でした。ちょっと雰囲気に流さちゃっただけなんです。ほんと、あの時の私はどうかしていました)
空母水鬼(もう二度としません。日本最高!!融和万歳!!ヨーロッパで戦わされるのもこれに比べたらマシです。喜んでいってきますとも)
空母水鬼(でも、今更そんなこと言って降伏しようとしても受け入れてもらえるかどうか……不幸にも私たちは東南アジアで一人殺っちゃってますし……)
港湾夏姫「ダイジョウブよ。コンカイは攻メキレなかったケド、ツギがアルわ。ソレニ、まりあなジャナクテも他にもイクツカ候補地があるモノ」
空母水鬼「へぇ……じゃあ候補地のどれか一つでも攻め落とす算段はあるんですか?もう奇襲攻撃はできないし敵の戦力も万全の態勢になっちゃってますけど」
港湾夏姫「ッ……諦メナケレバ必ずカチメはアルわ。テキノ船渠ヲセンリャク爆撃機のコウゾク距離内に捉えサエスレバ、私タチのホウがツヨイのダカラ勝テルモノ……」
空母水鬼「そうですか」
空母水鬼(その敵の船渠を戦略爆撃機の航続距離内に捉えることが無理ゲーなんですけどね。……決めました。降伏します。相手の靴を舐めてでも生き残ってやります)
空母水鬼(今、この戦線にはあの人が……提督がいる。考えうる限り最高の状況です。あの人を頼ればきっと命だけは助かるはず)
空母水鬼(あの人、ちょっと怖い顔してるくせに降伏さえすれば命は助けるとかいう甘々の甘ちゃんですから、何とでもなるでしょう)
空母水鬼(といってもさすがに今回は提督以外がちょっと赦してくれないかもしれないので、私に用意できるだけの手土産を用意しなくちゃいけませんね……)
空母水鬼(そうです、このパースがいいでしょう。ここを無血で明け渡せば流石に提督以外も私の命まではとろうとしないはず。それどころかなかなかいい待遇も期待できますね♪)
空母水鬼(それでも万が一ダメそうな場合は……この体を使ってでも生き残ってやりますとも。提督はあの人……確かセンカンセイキって呼んでましたっけ?)
空母水鬼(あの人を抱いたっぽいし、シンカイセイカンだって気にせずイける質の人なんでしょう。あの人、美人ですし。英雄色を好むとも言います)
空母水鬼(それなら、私はこんなに可愛いから絶対大丈夫です。それにあの人かっこいいし、私的にもOKです。あの人と体の関係を持てば多少無茶をしてでも私を守ってくれるはず)
空母水鬼(すくなくとも、このまま絶望的な戦いを続けるより遥かに生き残れる可能性が高いです。……となると、この人……邪魔ですね)
空母水鬼「……♪」ニコッ
港湾夏姫「?」ニコッ
~
オーストラリア海軍士官「Bloody hell(なんてことだ)……パースが深海棲艦に占領された……奴らめ、いままで放置していたのに方針を変えたようだ」
パース「……えっ」ドクン
オーストラリア海軍士官「短期決戦に失敗して持久戦に切り替えたのだろう。奴らはあそこからインド洋の船団を狙っているに違いない」
オーストラリア海軍士官「幸か不幸か戦力不足のためほぼ無防備だったことで街はほとんど被害を受けていなかった。しかし、住人は街に監禁されているらしい」
オーストラリア海軍士官「今はもう沈黙しているが、当初は街の無線通信施設が生きていたんだ。助けを求める連絡があった……」
オーストラリア海軍士官「猟犬と呼ばれている奴らの陸上型生物兵器が、攻撃こそしてこないらしいが街を包囲していて内陸に脱出できないらしい」
オーストラリア海軍士官「攻撃以前までに住人の半分は内陸に疎開していたが、残り半分は留まっていた。我々はその半分を人質に取られた」
パース「ぁ……そ、そんな……」サァッ
パース(わ、私の両親も……残っていた……疎開してと言っても、父は警察官として街に残る義務があると……母も父を置いてはいけないと……)
オーストラリア海軍士官「大将はパースを攻撃するつもりだ。王立海軍の東洋艦隊の主力も既に到着している」
オーストラリア海軍士官「しかしパースには陸上型深海棲艦の港湾夏姫が居座っていて、拠点化されている……」
オーストラリア海軍士官「攻撃するとなれば、おそらくパース市街も壊滅的な被害を受けることになるだろう……」
パース「……!!」カタカタカタ
~
ウォースパイト「……残念だけれど、他に手はないわ。パースの敵を放置することはできないもの」
パース「っ……」
ウォースパイト「インド洋の船団が危険にさらされれば戦況はより厳しくなる。我々は大西洋と太平洋でなんとか深海棲艦の攻勢を食い止めたわ」
ウォースパイト「けれど、こちら側の被害も大きい。態勢を立て直すのに莫大な量の物資が必要よ。その物資が不足すれば、態勢を整えるのに時間がかかる」
ウォースパイト「その前に敵が態勢を整えて再び攻撃を開始したら、今度こそ負けてしまうかもしれない。そうなればどんなに酷いことになるか言わなくても分かるでしょう?」
ウォースパイト「パース。あえて言っておくけれど、我々イギリス人は決してパースの人々をオーストラリア人だからと軽んじている訳では絶対にないわ」
ウォースパイト「できれば助けたい。無傷でパースを解放したい。当然よ。でも……無理なものは無理なの」
ウォースパイト「時にはより多くを救うために、救うことを諦めなくてはいけないこともある……どんなに辛く苦しく悲しくとも」
パース「……。ど、どうしようも……ないのですか……?あそこには……私の両親もいるんです……!!両親のい、命を……諦めるなんて……できません……!!」ジワァ ポロポロ
ウォースパイト「……悲しけれど、これが戦争なの。パース、何があっても貴女はひとりぼっちにはならないわ。私もいる。それだけは忘れないで」ダキッ ギュッ ナデナデ
↓×1~3 生まれ育った故郷が、そして大切な両親の命が風前の灯であるのにもはや何もできないパースの心情と行動
パース「っ……なにがひとりぼっちにはならないですか……私もいるですか……貴女なんかにそんなこと決めつけられたくない!!」バッ キッ
ウォースパイト「っ!?パ、パース……」タジッ
パース「父と母だけなんです、私の家族は!!兄は戦死しました、前の対深海棲艦戦争で!!祖父母ももういません!!」
パース「私の肉親は父と母だけなんです……父と母が居なくなったら……私は、天涯孤独の身になってしまう……」
パース「両親はまだ生きています……なのに、助けられないと……これが戦争だ、仕方のない犠牲だと……よくもそんなことが言えますね!?」
ウォースパイト「っ……」
パース「貴方なんかに私の気持ちを少しだって理解できない!!英国貴族様なんかに分かってたまりますか!!」
パース「貴女のご両親は何処にいるのですか!?深刻な命の危険にさらされていますか!?ロイヤル・ファミリーは!?他の英国貴族の方々は!?」
パース「ああ、まだグレートブリテン島に残っているそうですね!?ご立派な事です!!庶民を捨て置いてカナダに疎開なんてできないと!?」
パース「そんなのドイツ軍がドーバーを越えてくることなんて不可能だって分かっているからでしょう!!」
ウォースパイト「っ」ズキン
パース「仮にあそこで包囲されているのが陛下だったとしたら!?あるいは貴女のご両親だったら!?構わず攻撃するのですか!?いいや、絶対にしない!!」
パース「もし私たち一家が貴女のご実家のような由緒正しい英国貴族の家系だったなら……父と母を助ける為になんでもできるのに……」
パース「攻撃を中止させて別の方法を考えさせることだってできるのに……!!オーストラリアなんて片田舎の庶民の娘には……両親を犠牲にされても何もできやしないんだ!!」ダッ
ウォースパイト「……」
~
ウォースパイト『だって……せっかく久しぶりに会えたのよ?もちろん、大怪我しているから入れてもらうのは無理だと思っていたけど……』
ウォースパイト『でも、愛撫だけですまされてしまうのはあんまりでしょう?口でしてもらうのも嫌いじゃないし、せめてもう少し時間をかけて欲しかったの……』
大鳳『目の前であんなによがり狂わされている様を見せつけられたら、そんなに凄いんだって気になりますよ……』
大鳳『ああいう風にされてみたいって思っちゃったんです……ほんと、クセになったらどうしてくれるんですか……』
提督(そう言って拗ねたウォースパイトと恨めし気な大鳳との情事の跡を看護師に怒られないように悪いとは思いながらもウイスキーをベッドに零すことで誤魔化した日からひと月が経った)
提督(十分に回復した俺は軍務に復帰することになった。ABDJ司令部に向かって道を歩く。とある非常に興味深い情報について考えながら)
パース「Oh!?」ドン
提督「うっ!?っ!!ぐっ……!!」ダキッ ギュッ ドサリッ
提督(すると突然曲がり角を飛び出してきた少女が俺にタックルするようにぶつかってきた。勢いがつきすぎていた為にそのまま二人で倒れてしまうのは避けられない)
提督(咄嗟にそう判断した俺は少女を庇うように抱きしめながら倒れる。息が詰まり、鈍い痛みが襲ってきた)
提督「つぅ……だ、大丈夫か……?」
パース「っ!!て、提督……申し訳ありません……!!」ハッ サァッ ポロポロ
提督(その少女はパースだった。目を見開き、とんでもないことをしてしまったというような表情をする。だが、そんなことはどうでもいい)
提督「どうしたんだ、パース?何故泣いているんだ」
↓×1~3 図らずも抱きしめられる形となった上に提督にそう心配されたパースの反応
パース『ぐすっ……ひっく……』ポロポロ
兄『どうしたんだい?何で泣いてるのかな』ダキッ ナデナデ
パース「……!!」
パース(なんでだろう……思い出した。遠い昔、まだ私が幼いころの兄との思い出……友達が引っ越しちゃって泣いていた時、こうやって抱きしめて慰めてくれた……温かい……)
パース「うぅ……うぅうううう……うぅううううううううう……!!」ダキッ ギュッ ポロポロポロ
提督「っ……だ、大丈夫か……?」オロオロ
パース「パ、パパとママが……死んじゃうんです……!!パース市で敵に包囲されてて……大将はあそこを攻撃するって……そんなことしたら、街は壊滅するのに……みんな死んじゃうのに!!」
提督「!!」
パース「おじいちゃんとおばあちゃんたちはとっくに死んじゃいました……お兄ちゃんも対深海棲艦戦争で……帰ってこなかった……!!」
パース「私の家族はもうパパとママだけなんです……!!でも、もう助けられないって……まだ生きてるのに……!!」
パース「なのに私には何もできない!!どうして!?なんで!?なんで助けられないんですか!?嫌だ……嫌だよぅ……!!助けて……お願いだから……パパとママを助けて……」
~
提督「……」ナデナデ
パース「うぅ……ぐすっ……うぅうう……ひっく……」ギュッ
提督(俺はパースの頭を撫でる。パースは俺の胸に縋る様に上着を強く握りながら嗚咽を漏らしていた。自分の力じゃどうしようもできない残酷な運命に悲嘆し、絶望している)
提督(残念ながら、世の中にはどうしようもないことは存在する。嫌でもそうするしか方法はないというのは珍しくない)
提督(特に、我々のような戦争で指揮を執る立場の人間には。大将の決断は間違っていない。パースの敵は早急に撃破しなくてはならない)
提督(たとえ包囲されている民間人に大きな被害が……死者が大勢出ようとも……勝利の為に、より多くを救う為に)
提督(この哀れな少女にできることは、慰め、時が傷を癒すまで寄り添い、見守ることだけだ……本来なら。だが、今回に限ってはそうではない)
提督「パース……任せろ。私が君の両親を救ってみせる」
パース「……っ!?」ハッ
提督(俺のその言葉に一拍遅れて驚愕の表情で俺の顔を見上げるパース。縋るような目で俺を見つめてくる。俺はある機密情報をパースに話した)
提督(それはパース市を攻撃した深海棲艦の一人、空母水鬼が彼女の艦載機を利用し、俺個人に連絡を取ってきたことについてだ)
提督(空母水鬼は降伏したいということだった。彼女は降伏の障害となるパース市にいたもう一人の鬼・姫級である港湾夏姫を粛清したらしい)
提督(だからこのことが敵性深海棲艦側にバレる前にパース市まで艦隊を率いて来て欲しい。そうすれば戦わず降伏するからということだった)
提督(もしこれが本当なら、パース市は無傷で解放できる。パースのご両親も助かるだろう。しかし、もし罠だったら……)
提督(例えば話し合いの為に敵の懐に入ったところで一斉攻撃されでもしたら、致命的だ。そうなれば全体の戦況に深刻な影響を及ぼすだろう)
提督(だがあえてそのことは話さない。その必要はない。この話に乗ることはほとんど決まっていた。そして今この瞬間に確定したのだ)
パース「ほ、本当ですか……?本当に私のパパとママを助けてくれるのですか?」
提督「もちろんだ。任せてくれ」
パース「……!!んちゅっ」ダキッ
提督「!?」
提督(俺の返答に感極まったように顔を綻ばせたパースが、なんと口付けしてきた。俺の首に腕を回し、強く抱きつきながらそのぷるんとした瑞々しい唇を惜しみなく押し付けてくる)
提督(パースの爽やかな匂いが鼻腔を満たす。初々しいプレッシャーキスをつい堪能してしまった)
パース「んふっ……んん……っ!!っは……っ……」バッ カァッ キロリ
提督(暫くして我に返ったらしいパースがはじかれた様に唇を離す。顔を真っ赤にして俺を恨めし気に睨んでいた)
パース「言った事は取り消せませんよ……!!パースを解放して、私の両親を助けなさい!!そうすれば貴方を認めます。いいですね!?」キッ
提督「武士に二言は無い。素敵なお礼も前払いで頂いてしまったからな」ニコッ
~
提督(俺は司令部につくと早速、緊急作戦会議の招集をかけた。そして空母水鬼のことを報告し、各国の代表と議論する。勿論、簡単にまとまるような話ではない)
提督(しかし事態は急を要する。俺は自国民を守るためなら藁にも縋りたいオーストラリア代表の士官を味方につけ、王立海軍の大将とオランダの提督をなんとか説得する)
提督(その結果、空母水鬼の提案を受け入れることが決定された。しかしこれが罠だった場合のことを考え艦隊は沖合で待機し、万が一の場合でも先制奇襲攻撃を受けることが無いようにする)
提督(そしてパース市へは今回の件の責任者であり、空母水鬼のご指名でもある俺が一人でむかうことにした。話をつけ、敵を武装解除させるために)
提督(もしこれが罠だったら俺は確実に捕まるか、あるいは殺されることになるだろう。この話をした伊勢や吹雪、ウォースパイトたちも強く反対してきた。しかし、その可能性は限りなく低い)
提督(空母水鬼は理由がどうあれ、日本が対深海棲艦戦争の終わりの時、降伏した深海棲艦を報復を望む他国の干渉から手厚く保護したことを良く知っている)
提督(そしてそれは、主にほぼ唯一といっていい親深海棲艦派の俺の努力の結果であったという事も。そんな俺を騙して捉えたり、殺したりすればどうなるのかよく分かっているはずだ)
帝国海軍士官「提督、時間です」
提督「ん、ありがとう。さて、行くとするか」
~
空母水鬼(提督から私の話に乗るという連絡があってすぐに、邪魔な反対派を粛清しました。あいつがいなくなったと騒ぎ始めていましたからね)
空母水鬼(そうなるだろうとは思っていたのですが、あいつと二人きりになれるチャンスはほぼないのであそこでやらざるを得なかったんですよ)
空母水鬼(ほんと、間に合って良かったです♪罪悪感なんて全然ありません。私が良ければすべて良し、です♪)
空母水鬼「♪」スイー
空母水鬼(そして今、私は提督の要求に応えてまさか反対派が粛清されたとは思ってもいない賛成派をパースに待機させて提督を迎えに単身、非武装で合流地点へ向かっていました)
空母水鬼「ふふっ♪」ニコリ
空母水鬼(笑いが止まりません♪全部うまくいきました!!こんな幸せな気持ちになるのは久しぶりです♪私は生き残ったんだ!!)
空母水鬼(あれもこれも全部提督のせいですけど、提督のおかげです。あいつが居なければそもそもこんな目に遭っていなかったかもしれません)
空母水鬼(でもあいつのおかげで殺されずに済む!!もうほんと大好きです、提督♡特にその甘々でちょろすぎるところが♪)
空母水鬼「お、見えてきましたね」
~
空母水鬼「お久しぶりです、提督」ニコリ
提督(装載艇に一人で乗り込み合流地点で待っていると、時間通りに空母水鬼が現れた。装載艇の前まできて、甲板に立つ俺に対して微笑みながら挨拶してくる)
↓×1~3 提督の反応
提督「久しぶりだな、空母水鬼。早速で悪いがパースへ向かいたい。いいか?」
空母水鬼「もちろんです、提督♪エスコートしますね」
提督(俺の言葉に空母水鬼が満面の笑みを浮かべた。俺は空母水鬼にエスコートされながらパース市へと向かう)
空母水鬼「今のパースはちょうどいい感じですよ♪ジメジメしてなくて程よい暑さです。海水浴とかどうですか?」
提督「海水浴か……カディス以来だな。是非ともと言いたいところだが、しかし今は他にやるべきことがある。全て終わったらの楽しみにしておこう」
提督(その間、空母水鬼は積極的に俺に話しかけてきた。内容も、まるで戦争なんてしていないかのような平和で普通な事柄だ。俺は努めて胸の内を隠し、話をする)
提督(いつの間にか空母水鬼の口調がどこかくだけた感じのある敬語になっていたせいで……まるで学校で後輩と話しているかのような印象をうけるな)
空母水鬼「その心構えは凄いと思いますけど、ちゃんと休んで気分転換しなくちゃ擦り切れちゃいますよ?たまにはやりたいことやってリフレッシュしなくちゃだめです」
提督「そうだな……確かに君の言う通りだ」
空母水鬼「ですよね?一段落したら少し泳いじゃいましょうよ♪少しなら大丈夫です!一緒に行きましょう?」
提督「わかった。前向きに検討しよう」
提督(こうして話していると、やはりこの子は表面上は社交的で人懐っこく、それこそ可愛い後輩といった感じだ)
提督(しかし俺は知っているぞ、お前の本性を。それを知ることができたのは、駆逐古姫のおかげだ)
提督(彼女は状況がきな臭くなってきたときから鬼・姫級のことを密かに警戒し、監視していたのだ。例えば部屋はもちろん装備や艦載機にまで細工をし、盗聴器を仕掛けるなどの方法で)
提督(そしてそれで得た情報は駆逐古姫から俺にも回されていた。目の前で笑う空母水鬼の本性は、極めて利己主義的なのだ)
提督(自分の目的を達成するためにあらゆることをこなす器量の良さと行動力がある。それがたとえ多くの人が罪悪感抱いたり、躊躇したり、できなかったりすることでも)
提督(必要であれば息をするように嘘を吐くことができるし、相手を謀略に嵌めたり、実際にして見せたように共に戦った仲間を粛清することだってできる)
提督(そんな本性を隠して、普段は俺がそう感じたように魅力的に振舞うことができるのだ。まるでサイコパスだ)
提督(しかし、彼女はそれに近いものはあっても世間一般的に定義されているサイコパスではないだろう)
提督(空母水鬼は決して良心や慈悲心、共感力を持ち合わせておらず、罪悪感がないわけではない)
提督(ただ、覚悟があるのだ。罪悪感を抱いても、躊躇っても、やりたくなくても、目的の為に必要ならやるという覚悟が)
提督(今回の場合は降伏して生きるために、同胞を裏切った。罠など何も無い。空母水鬼は死にたくない。本当に、ただそれだけだったのだ。”あの子”からそう聞いた)
提督「……」ジッ
空母水鬼「♪」
提督(俺は前を行く空母水鬼の後姿を見つめる。いかにも上機嫌で……計画がうまくいったと喜んでいるのだろう。生き残れたと)
提督「っ……」ギリッ ギロリ
提督(つい俺は怒りと殺意を込めてその背中を睨みつけてしまう。感情を殺しきれなかった。それが……それが我々を裏切り南洋諸島でムラクモを死に追いやっておいて……)
提督(戦況が悪化して勝てそうにないから『死にたくないのでやっぱり止めます。ごめんなさい赦してください。命だけはどうかお助けを』と頼むときの態度か……!?)
提督(もちろん、殺したくて殺したわけではないことは分かっている。空母水鬼は同胞の為に立ち上がって戦ったのだろう。それは理解できる)
提督(俺も自分の中に渦巻く激情を抑えなくてはならない。だが抑えきれない。覚悟していたはずだ。殺すのなら殺される覚悟を)
提督(泊地棲姫や装甲空母姫のように尽くすべき所で尽くした上で捕虜となった相手であれば、裏切者だろうとはいえ敬意を持てるし、前向きに情状酌量することもできる)
提督(だがこいつは戦況が悪くなったら死にたくない、生きたいと……あんなことしておいて、よくもぬけぬけと……しかもまた卑劣な裏切り行為を犯してまで!!)
提督(……しかし、感情は赦したがらないが理性では理解できる。同じ状況に置かれたら誰だって死にたくないと思うだろう。浅ましくも慈悲を乞いたくなる気持ちも分かる)
提督(こちら側も人道的、道徳的、倫理的に考えてそれを受け入れなくてはならないだろう。これは戦争なのだから)
提督(だが、だ。自らの行為を後悔し、申し訳なさそうに俯き、涙を流しながらというのなら分かる。だが、助かったと満面の笑顔を浮かべ、喜びを隠さずにいるのはどういうことだ?)
提督(何人も死に追いやっておいてその態度は赦し難かった……こいつならそういった事に頭が回りそうだが、今はそういった配慮ができないくらい余裕が無いのだろう)
提督(それでも、赦さなくてはならない。かつて、俺はウォースパイトにこれが戦争である限り、降伏した相手に復讐するようなことはしてはいけないといった。その言葉をひるがえしはしない)
提督「ふっ」ニタァ
提督(しかし、あの時と根本的に違うことがある。こいつは叛乱罪を犯した卑劣な裏切り者だ。法律に則った正当な処罰をする必要がある。ゾクゾクした。俺は残酷な気持ちで微笑む)
提督(こいつのこの笑顔がどうなるのか楽しみで仕方がない。これだけ生に執着しているのだ。きっと素晴らしい反応を見せてくれるに違いないだろう)
~
ヲ級「んーーーー!!んんーーーーーーーー!!」ドサリ ジタバタ
「「「「!!」」」」
空母水鬼「ほら、ちゃんと生きていたでしょう?安心してください、殺すつもりは本当にないです。ただ、日本軍に引き渡すだけですよ」
空母水鬼(パースに到着し、武装解除して降伏の手続きをする直前になって騒ぎ出した愚か者を拘束して反対派たちのように地下牢に閉じ込めます)
空母水鬼(あの子、反対派の……南極の子たちを殺したと疑っていましたけど、あいつ以外は殺してないです)
空母水鬼(生き残るためとはいえ、同胞を殺したいわけないじゃないですか。あいつのことだって殺したくありませんでした。でも、仕方なかったんです)
空母水鬼(日本人たちが駆逐棲姫と深海双子棲姫と呼ぶ子たちが脱走して以来、南極の子たちは一度日本に降伏した私たちを信頼しつつも警戒するようになってしまいましたから)
空母水鬼(あいつも私の動向を気にかけていたんです。秘密裡に事を進める訳にはいきませんでした)
空母水鬼(かといって他の子たちにしたように呼び出して拘束監禁してしまうとあいつは指揮官だから必ず誰かが行動を把握しているでしょう)
空母水鬼(私に呼び出された後に行方不明になれば私が疑われます。あの時点では日本が降伏を受け入れてくれなかった場合の事を考えなくてはなりませんでした)
空母水鬼(それに加えて日本と連合国の攻撃前に事を為さなくてはいけないという時間的制約。突然のチャンスになんの備えもなかった私はあいつを殺してしまうしかなかったんです)
「「「「んんーーーーーーーーーー!!」」」」ギロリ
空母水鬼(監禁している子たちが一斉に騒ぎ始めました。口を塞がれているから何と言っているかは分からないです。まあ、何となく予想はできますけど)
空母水鬼(それにしても一番長い子でもう一週間監禁されてますが、元気なものですね。水は毎日飲ませていますが、食べ物はあげていないのに)
空母水鬼「今はみんな私の事を憎い、殺してやると思っているでしょう。ですが、いつか必ず私に感謝するようになりますよ。私のおかげで死なずに済んだと。では、また後で」ニコリ
~
提督(空母水鬼との形式的な会談の後、俺はABDJ司令部を代表してパースの深海棲艦の降伏を受け入れた。パース市の行政当局に非公式に接触し、そのことを説明して後のことを任せる)
提督(そしてパースにいた降伏に賛成していた深海棲艦たちを武装解除した上で共に沖合で待機しているABDJ艦隊のもとへ向かい、合流する)
提督(その中の、オーストラリア海軍の通常艦の旗艦の上で改めて空母水鬼と各国の代表との間で正式に会談が行われ、降伏が受け入れられた)
提督(深海棲艦たちは抑留されるために艦隊の一部と共にシンガポールへ向かい、残りのABDJ艦隊は解放の為にパース市へ向かう)
提督(そして今まさにパース市へ到着したところだ。この時にはすでに市民たちは事態を把握していた)
提督(数えきれないほどのパース市民が港に来て艦隊を大歓迎している。歓声が響き、音楽が演奏されていた)
提督(政治的な理由からオーストラリア艦隊が先頭だった。艦娘がそのまま上陸し、軍艦からはオーストラリア軍の高官たちが降り立ち、続いて兵士たちも続々と上陸していく)
提督(そしてイギリス、オランダ、日本と続いた。もっとも、これまた政治的な理由から日本から送られたのは巡洋艦が一隻のみで、上陸したのはごく一部の高官だけだったが)
提督(武装した艦娘の部隊が空母水鬼が監禁していた反対派を逮捕しに向かっていく。オーストラリア人たちは互いに抱き合って喜んでいた。パース市は無事に解放されたのだ)
~
帝国海軍提督「少しぐらい出席してもよろしいのではありませんか、提督?」
提督「私もそうしたいところだが、例のことでやるべきこともあるのだ、少将。後のことは頼んだぞ」
帝国海軍提督「わかりました。お任せください」
提督(パース解放翌日に行われた式典に出席した後、パーティーには欠席し俺はシンガポールへむけて出発する)
提督(空母水鬼の件でやらなくてはいけないことがあるからだ。本当なら深海棲艦が抑留されるためにシンガポールへ向かったときに同行したかった)
提督(しかし立場上、降伏文書に署名したり式典に参加したりしなくてはならなかったのだ。それらが終わり、俺は後のことを通常艦隊の司令官である少将に任せ港へ向かう)
提督「……!!」
提督(我々日本に割り当てられた一流ホテルのロビーに降りると一人の少女が立っていた。明るい金髪の前髪の一房を三つ編みにして、後ろ髪をシニヨンにしている)
提督(きつく口を結び、眉をつり上げているために若干気難しそうな印象を受けもするが、昨日泣きながら両親と抱き合っていた時のような年相応の顔を見た後では大人ぶっている子供のようでかわいいものだ)
パース「!!」
提督(そのアメシストのような瞳が俺を捉える。そこに居たのはパースだった。パースがロビーで立っていた)
↓×1~3
提督が有言実行とはなんたるかを存分に示したことを踏まえてパースの心情と行動
※提督がすぐに行かなくてはいけないことは把握しているが、少しなら時間を取れるはずとも思っている
パース「提督!!」パァッ ダッ
提督「やあ、パース。どうしたんだ、こんな所で?」
パース「んっ……ふぅ……」バッ ダキッ チュッ
提督(満面の笑みを浮かべたパースは人目もはばからず俺に抱きつき、首に回した手を後頭部に添え、優しく、しかし素早く俺に下を向かせて唇を奪ってきた)
提督「んっ!?」
提督(完全な不意打ちだった。強く抱きしめられ、その発育途中なはずなのに十分に女らしい柔らかな体が押し付けられる)
提督(前から思っていたが、特にその胸はこの子が成人していないとは信じられない程に豊かだ。将来が楽しみすぎる)
パース「っ……ぺろ……」ギュッ ムニムニ
提督(パースが微かに口を僅かに開いた。熱い舌がおっかなびっくりと俺の唇を這う。パースの髪からは爽やかな女の子の匂いがした)
提督「……!!」
提督(俺は、つい何もできなかった。暫くしてパースがようやく口を離す。至近距離で見つめあっていた。真っ赤に染まった顔、潤んだ瞳、まるで恋する少女だ)
パース「……パーティーに出ないと伺いました。シンガポールへ向かわれると。本当ですか?」
提督「ああ、そうだ」
パース「っ……何故そんなに急いでここを発つ必要があるのですか?もう一日ぐらい時間をとることはできないのですか?」
提督「パース市は無事解放することができたが、戦いはまだ続いている。帝国海軍の提督としてやらなくてはならないことがあるんだ。申し訳ない」
提督(庇護欲を掻き立てるような表情を浮かべ、懇願するように囁いてきたパースにそう返答した。パースは目を見開くと顔を伏せてしまう)
パース「っ!!……さすが提督です。パース市解放の立役者は貴方だというのに、決して偉ぶりもせずその先の事を見据えて行動する様は正に軍人の鏡です」
パース「それに比べて私は浮かれて……パーティーに貴方が来ない、どうか来て欲しいという事だけを考えていました……ダメですね……」
提督「そんなことを言わないでくれ。パーティーだって大切なことだ。何かを成し遂げた時にそれを祝うのは重要な事だし、張りつめたままだと切れてしまう」
提督「そして何より君はダメなんかじゃない。立派な艦娘だ。シンガポールでの戦いぶりは素晴らしかった。君は間違いなく超一流の実力の持ち主だ」
パース「……!!あ、ありがとうございます……!!提督にそう言って貰えるなんて……私……嬉しい……っ!?」ツゥー ポロポロポロ フイッ
提督(パースが顔をあげ、俺を見る。喜びに表情を綻ばせた。目いっぱいに溜まっていた涙がついに溢れてしまう。パースはそんな自分に驚き、顔を背けると手で目元を拭う)
提督「っ!?だ、大丈夫か!?」
パース「すいません……大丈夫です、気にしないでください……っ……」
提督「これを使ってくれ。一度も使っていない綺麗なやつだ」ゴソッ スッ
パース「っ!?そんな、ほ、本当に大丈夫です!!提督のハンカチを汚すわけには……」
提督「女の子の涙をそのままにしてはおけない。特に、君のような素敵な子なら尚更だ、パース」
パース「提督……すいません。ちゃんと綺麗にしてお返しします」
提督(初めは遠慮していたパースだったが、俺の言葉に申し訳なさそうに差し出されたハンカチを受け取った)
提督「気にしないでくれ。君にプレゼントするよ。いらなければ捨ててくれて構わない」
パース「えっ……!?頂いてしまって本当によろしいのですか?」
提督「もちろんだ」
パース「……!!ありがとうございます、大切にします……!!不思議な柄ですね」
提督(まるで宝物のように俺から受け取ったハンカチを握りしめ、じっと見つめるパース。ふとそう呟いた)
提督「和柄……日本の伝統的な模様なんだ。気に入ってくれるといいのだが」
パース「とても綺麗です。……私は日本人を憎んでいました。日本が嫌いでした。でも、提督のような人もいると知って……好きになれるかもと思うことができました」
提督「っ!!……ありがとう。とても嬉しいよ、パース」
パース「……提督、I love you」スッ ジッ
提督「!?」
提督(再び奇襲を受ける。ハンカチでサッと涙を拭いたパースが必死な表情で顔をあげると俺を見つめた)
パース「残酷な運命に絶望していた私に提督は私の両親を助けると言ってくれて、そして本当に私の故郷と家族を……私の全てを救ってくれました」
パース「もう私には提督以外考えられない……!!あの日、提督は言いましたよね?つい、キ、キスしてしまった私に、素敵なお礼も前払いで頂いてしまったと」
パース「でもキスだけでは提督が私にしてくれたことに対して全く釣り合いがとれていません!!だから……」
パース「ど、どうか……どうか私の全てを受け取ってください。私はこの身も心も提督に捧げます」
提督「パ、パース……!!」ドキドキ
パース「両親も分かってくれました。私の、提督への想いと恩を私の全てを捧げて返したいというこの決意を」
パース「ウォースパイト様とのことももちろん存じ上げております。私は、そういう関係でなくてもいいんです」
パース「ただ、お側に居させて頂ければ……提督のお役に立てれば……それで幸せなんです。きっとウォースパイト様にだって負けないくらい、提督のお力になって見せます」
パース「オーストラリア育ちの力は伊達じゃない!!あらゆるものから貴方を守るナイトとなります!!ですから、どうかお願いします……!!」
提督(顔を真っ赤にし、声を震わせながらもそう言い切ってみせたパース。確固たる意志を感じた。覚悟していた。応えないわけにはいかなかった)
提督「……そこまで思ってくれて本当にうれしいよ、パース。ありがとう。君の気持ちに応えたいと思う。だが、一つだけ条件がある」
パース「っ!!何なりとお申し付けください。必ずその条件を満たして見せます」
提督「畏まらず、ありのままの君を見せてくれ」
パース「畏まらず、ありのままの私……ですか」
提督「ああ、そうだ。もはや君と私の間にはとても強固で深い信頼関係がある。なのにいつまでたっても他人行儀では寂しいだろう?」
パース「っ!!もちろんです。わかりまし、……分かったわ、提督。ちょっとまだ慣れ……ないけれど、努力します」
↓×1~3 ウォースパイトと提督の関係は北アフリカでの一件以来、イギリスの艦娘の間では公然の秘密だった。風のうわさで提督がパースと浮気していると聞いたイギリス艦娘からそのことを伝えられたウォースパイトの反応
~
ウォースパイト「……そう。分かったわ、ありがとう」
ウォースパイト(取り繕っているけれど、私の中では感情の嵐が吹き荒れていた。あの日以来、私はパースと顔を合わせられていなかった。いろいろと思うことがある)
ウォースパイト(あの時、私はパースの事を思いやっていた。自信をもってそう言える。でも、私には彼女のご両親を助けることはできなかった)
ウォースパイト「……」ギリッ
ウォースパイト(その当てつけが、これだというの……?なんて酷い……私はできる限りのことをしてあげようとしたのに……)
ウォースパイト(あの子のご両親を助けられないことを心から悔しく、申し訳なく思っていた……決して望んであの子のご両親を犠牲にしようとしたわけじゃない……)
ウォースパイト(冷静に考えれば分かるはずなのに……なのにあの子はまったくそんなこと考えもせずにこんな噂を……今や私は恋人に捨てられた哀れな女と思われている……)
ウォースパイト(屈辱だった。Admiralのしていることは理解しているし、受け入れている。それでも、あの人ももう少し配慮してくれていいのに……)
ウォースパイト(そして何よりあの子が……パースが憎かった。いつの間にAdmiralとそんな関係を構築していたなんて……泥棒ネコめ……赦せない……!!)
↓×1~3 パースのこの件に関する心情と行動
例)
冷静に考える余裕ができたことでウォースパイトの事情を理解し、あの時の自分の行動を申し訳なく思っている。提督の事を想ってはいるがウォースパイトから提督を略奪するつもりは毛頭なく、ただ自分はあの人にナイトとして仕えるだけで、それを認めて欲しいと頼み、自分の軽率な行動で流れてしまった噂を否定し、ウォースパイトの名誉回復に努める
あの時、大切な家族の命を見捨てられたことで感じた悪感情を決して忘れない。ウォースパイトに敵意を抱いている。そして英国の血が騒ぎ、恋愛と戦争では手段を選ばないとばかりに提督とのことを既成事実化し、ウォースパイトから略奪しようと画策している
~
パース(衝動のままに私がホテルのロビーで提督に抱きついてキスしたことで、意図せず私と提督との関係についてあることないことが噂になってしまった)
パース(そしてそれがウォースパイト様の名誉を酷く傷つけている。それについて申し訳なく思っていない訳じゃない。でも……)
パース「……!!」ゾクゾクゾク ギュッ ブルル
パース(それが私の心の中に棲むコンプレックスの怪物を悦ばせる。私は自分の体を強く抱きしめた。あの日以来、私はウォースパイト様に敵意を持ってしまっている)
パース(両親を見捨てられたことが赦せなかったから。自分が感情的になっている。ウォースパイト様は悪くない。そう分かっていても、心の暴走を理性が抑えられなかった)
パース(全てを持っているような英国貴族のウォースパイト様にとって、私のような取るに足らない庶民に最愛の恋人を寝取られたというのはいったいどれほどの屈辱かしら?)
パース(いい気味だった。もちろん、実際に寝取るとこまでいっていないし、流石にそのつもりも今のところない)
パース(けど、提督は私を受け入れてくれた。ウォースパイト様というものがありながら。それは事実だ。女としての優越感に浸る)
パース(……いずれウォースパイト様にはちゃんと謝らなくてはならない。けど、もう少しだけ噂を放置してあの方……いえ、あの女が苦しむのを見るくらいなら構わないでしょう?)
パース「……ふふ」ニタリ
~
憲兵下士官「貴様らを逮捕する!!抵抗する者には容赦しない!!」
「「「「!!」」」」
空母水鬼(シンガポールに着いた私たちを待っていたのは憲兵隊でした。下士官が私たちを睨みつけながらそう怒鳴ります。皆がざわめき、動揺しました)
空母水鬼(こうなるかもということは覚悟していましたが、気分の良いものではありませんね……けどまあ殺されることはあり得ませんから大丈夫です)
憲兵「暴れるなよ?大人しくしていろ」
空母水鬼「ええ、分かっていますよ。もちろん抵抗するつもりはありません」
空母水鬼(他の子のように私も憲兵の一人にシンカイセイカン用の頑丈な手錠と足枷をはめられます。ホントうんざりでした。早く解放されたいですね……)
憲兵下士官「お前たちは取り扱いが決定されるまで勾留されることになる!!さあ歩け!!」
空母水鬼「はぁ……歩きにくい……」スタスタスタ
憲兵将校「待て。お前は別だ」
空母水鬼「?」
~
空母水鬼「だから知っていることはすべて話しましたってば!!ハワイの事なんて知りません!!」
憲兵下士官「嘘を吐け!!ハワイ周辺で深海棲艦が活動しているのは把握しているのだ!!深海棲艦の中でも高位な存在のお前が何故知らない!?」
空母水鬼「はぁ!?何故って言われても困るわ!!知らないものは知らないんです!!私が知らないところで話が進んでいたんじゃないですか!?」
空母水鬼「それか私たち竜宮のものじゃなくて大西洋の……あとらんてぃすの子たちが主導してるとか!!とにかく私は知りません!!知らない知らない知らない!!」
憲兵下士官「この……!!」
憲兵将校「……空母水鬼。悪いが、こちらも国を背負っている。大日本帝国に住む人々の安全保障の為、前線で戦う戦友たちの命の為、ここではい、そうですかという訳にはいかん」
空母水鬼「だから言ってるのに……知らないって……もう話すだけ無駄です……」
憲兵将校「ああ、そうだ。その点について我々の意見は一致しているな。話すだけ無駄だ。……上等兵、棍棒を持ってこい」
憲兵「分かりました、大佐殿」
空母水鬼「えっ……?な、何をする気ですか……?」ピクッ
憲兵将校「きっとお前が想像している通りの事だろうよ」
空母水鬼「……!!ほ、捕虜虐待や拷問は国際法違反じゃ……」サァッ
憲兵将校「お前は捕虜じゃない。叛乱罪で逮捕された裏切り者だ。そもそも、深海棲艦に国際法は適応されない」
空母水鬼(こ、こいつ……本気だ……!!本気で私を拷問するつもりだ……!!そんなの絶対に嫌です……!!)
空母水鬼(こうなったらデタラメでいいから自白して、すぐに来るって言ってた提督が来るまでやり過ごすのが一番です……!!)
空母水鬼「わ、分かりました……話します。話しますから止めてください」
憲兵将校「そうか。だが残念だったな。もう遅い。とりあえず今回は諦めて次の機会で馬鹿な真似はしないように肝に銘じろ」
憲兵将校「その時はちゃんと本当の事を話すように。もし嘘だと分かったらもっと酷いことになる」
空母水鬼「っ!?そ、そんな……!!もしこれを提督が知ったら大変なことになりますよ!?いいんですか!?」
憲兵「持ってきました、大佐殿」
憲兵将校「よし。ではやれ」
憲兵「了解です」
空母水鬼「あ、待って!!ごめんなさい!!お願いです!!待って!!止めて!!言う!!言うから!!」
空母水鬼「陽動の為にハワイにちょっかい出してるんです!!お願い待って!!いやぁああああああああああ!!」
~
憲兵下士官「吐けぇ!!」ビュン バシン
空母水鬼「あぁああああああああああ!!痛い!!痛いです!!血がぁ!?背中切れてますぅ!!お願い止めて!!嘘じゃありません!!本当に知らないんです!!」ズキン
憲兵下士官「嘘を言ってごまかそうとしたことを忘れたのか!?信じないぞ!!本当は知っているんだろう!?吐け!!」ビュン バシン
空母水鬼「痛いぃいいいいいいいいいい!!うぅうううううううううう!!うわぁああああああああああん!!」ボロボロボロ
憲兵下士官「泣いて哀れみを誘おうとでも!?トラックでは多くの俺の戦友たちが貴様らに殺された!!あんな事、これ以上はもうたくさんだ!!容赦など期待するだけ無駄だぞ!!」
空母水鬼「誰か助けてぇ!!提督!!提督ぅ!!ぐすっ……ひっく……助けてぇ……お願い……!!」
~
提督(シンガポールに到着した俺は幼馴染でもある憲兵大佐と会って例の件について話をした。本来、深海棲艦の取り扱いは海軍と特務機関に一任されている)
提督(しかし今回は事が事だった為に憲兵による取り調べが行われたのだ。といっても空母水鬼に対してだけだったが)
提督(そしてこれ以降はまた海軍と特務機関に任されることになる。要は政治的な理由で憲兵が動いたという事実が必要だったのだ)
憲兵将校「実際の所、奴らの言うことを全部否定するつもりはない。大陸で我々が取り調べた匪賊の中に無実の人間が一人もいないとは言わないさ」
提督(そして話が終わった今、俺は彼の愚痴を聞いていた。憲兵はその性質上、風評被害や批判にさらされやすい。精神的に疲れ切っている様はとても不憫で、義憤に駆られた)
憲兵将校「しかし無実だと思う奴を逮捕するなんてバカみたいなことしてるわけないだろう。怪しいから逮捕しているんだ」
憲兵将校「確かに拷問したし、それで死んだ人間もいる。けど連中が言うように好きでやってるというわけではない。やらなくてはならないからしょうがなくやっている」
憲兵将校「騒ぎ立てている連中にぜひ聞いてみたいものだ。敵は彼らの言う無実の哀れな人間に紛れて非正規戦をしている国際法違反の犯罪者たちだが、それはどうなんだと」
憲兵将校「パルチザンの暗躍を赦せば我々の戦友はもちろん、民間人や現地の一般人までもが危険に晒され、最悪殺される。そのこと、連中はちゃんと考えているのだろうか」
提督「気にするな。騒ぎ立てているのはごく一部の連中さ。それに良く言っている人もいる。そもそも、良くも悪くも大多数の人間にとって憲兵はただの憲兵だ」
提督「連中の言うような憲兵は悪鬼だなんて事、気にしてすらいない。まあ当たり前の話だがな」
提督「取り調べは憲兵の数ある仕事のうちの一つでしかないし、なにより憲兵を街で見かけることはあっても関わり合いになる人間なんて殆どいないんだから」
憲兵将校「そうだな……気にしても無駄だな……」
提督「貴様は良くやっているよ。同郷の幼馴染として鼻が高い」
憲兵将校「帝国海軍の提督様に比べれば憲兵の将校なんてどうってことないさ。やはり敬語を使った方がいいかな」
提督「よしてくれ。それだけ手柄をあげる機会があったというだけさ。正直、誇らしく思っていないと言えば嘘になる。だが、戦争が無い方が……誰も死なないですむ方がずっといい」
憲兵将校「違いない。ところで東京出身でも同郷と言うのは何か違和感が無いか?郷とつくからには地方のイメージが強い」
提督「……確かに。しかし他に何と言えばいいのだろうか?思いつかないな。まあ、俺たちの街は東京といってもほぼ千葉だが」
憲兵将校「そのおかげでドイツの攻撃を受けなかったんだ。運が良かった。そうだ、貴様知っているか?ヤマの奴、結婚するらしいぞ」
提督「あいつがか!?うわぁ、懐かしいな!!良かった良かった!!覚えているか?空き地でサッカーした時、ボール浮かすなって言ったのにあいつ浮かして窓ガラス割っただろ?」
提督(昔に戻ったようだった。つい駄弁ってしまう。久しぶりの再会だったのだ。暫しの間共通の友人たちの近況や懐かしい思い出話、最近の流行りについてとりとめのない会話を楽しんだ)
~
空母水鬼「っ!!て、提督!!ああ、よかった……!!やっと来てくれたんですね!?提督!!助けてください!!憲兵が私を拷問したんです!!」
空母水鬼「ハワイでシンカイセイカンが活動しているって……それについて知っていることを吐けって……私、本当に何も知らないのに……!!」
空母水鬼「なのにあいつら……本当の事を言っているのに嘘を吐くなって……本当の事を言えって……私を棍棒で殴って……鞭打ちまでしてきて……ぐすっ……ひっく……」
提督「……」
空母水鬼「……提督?ど、どうして何も言ってくれないんですか……?こっち向いてくださいよ……ねぇ……提督……!?ていとく!!」
帝国海軍士官「黙らんか!!」
空母水鬼「っ……!!」ビクッ
帝国海軍提督「……これより、太平洋海軍軍法会議を始める」
~
帝国海軍提督「主文。首魁、元海軍特別艦娘大佐、空母水鬼。勅命に抗したるに依り、叛乱罪として死刑に処す」
↓×1~3
命は助かると信じていたのに死刑判決をくらった空母水鬼の心情と反応
空母水鬼「ぇ……い、今なんて言いました……?」
帝国海軍提督「以上で太平洋海軍軍法会議を終了する」
空母水鬼「待ってくださいよ……嘘ですよね……?だって私……パースを抵抗せず明け渡したんですよ?反対派を粛清してまで……あいつを殺してまで……」カタカタカタ
伊勢「……行くよ」スッ
空母水鬼「っ!!触るな!!」バキン ドンッ
伊勢「うっ!?あぁっ!!くぅ……」ドバン
「「「「!!」」」」
日向「やったな……!?」キッ バッ
空母水鬼「っ……!!はぁっ!!」ガシッ ググググ ゴンッ
日向「っ!?くっ……頭突きだと……」クラッ
提督「伊勢!!日向!!」
空母水鬼「つぅ……!!っ!!死んでたまるか!!お前らごときが私に勝てるとでも思っているんですか!?無理に決まってるでしょ!!だって私はこんなにも強い!!」
憲兵「動くな!!」ジャキン
憲兵「無駄な抵抗は止めろ!!」ジャキン
空母水鬼「はっ!!私には銃砲の攻撃に対する加護があるんですよ!!そんな豆鉄砲ごとき痛くも痒くもないです!!お前たちは私にとってただの有象無象でしかない!!」キッ
「「「「っ……!!」」」」
日向「……お返しだ!!」ゴンッ
空母水鬼「うぐっ!?あぁ……」クラッ
伊勢「大人しくしなさいな!!」 バッ ガシッ
空母水鬼「っ!?い、いやぁああああああああああ!!放してください!!いやです!いやぁ!!誰か助けて!!」ドサッ ジタバタ
日向「この……暴れるな!!」ググググ
伊勢「往生際が悪いよ!!」ググググ
空母水鬼「お前らなんて私の足元にも及ばないくせに!!もしお前ら艦娘にすぐには死なないとかいう得体の知れない力が無ければ絶対に負けないのに!!」
日向「伊勢……!!」
伊勢「分かってる、落とすよ……!!」ギュッ
空母水鬼「うっ……!?ぐぅ……!!」
~
提督(伊勢と日向に組み敷かれ、首を絞められている空母水鬼。その目が俺を捉える。死に対する恐怖と悲しみ、そして何より俺に対する怒りと憎しみに滾っていた)
空母水鬼「っ……!!うぐぅ……提督……!!これが……これが貴方の為に尽くした私に対する仕打ちですか……!?こんなのって……こんなのってないですぅーーー!!」ポロポロポロ
空母水鬼「仲間を裏切ってまで……あの子を殺してまで提督の為に働いたのに……私は何の為に……こんな事なら裏切るんじゃなかった……!!」
提督(俺の無情に絶望し、自らの行いに後悔の言葉を漏らす空母水鬼の姿はなんとも哀れで、見ていて痛々しかった。しかし、それ以上に愉悦を覚える。全て自分の思い通りになると思ったか?いや、Noだ!!)
空母水鬼「赦さない……赦さないぃ……!!怨んでやる……怨んでやるぅ……!!死んでしまえ……お前らみんな……死んでしまえ……!!っ……」ガクッ
~
空母水鬼「……っは!?こ、ここは……?」
空母水鬼(目が覚めるとそこは知らない、まさに地下牢というような感じの場所でした。まだ生きてる。でも手足が鎖につながれていて動けません)
港湾夏姫「メが醒めたカシラ?」
空母水鬼「っ!?!?」
空母水鬼(その声で気が付きました……私の後ろに誰かいる……心臓が止まりそうになりました……だってその声は……もう二度と聞けないはずなのに……!!)
港湾夏姫「ドウシタの?ソンナにオドロいて」
空母水鬼「ど、どうして……!?」カタカタカタ
港湾夏姫「イキテいるノカって?フフッ……ワタシはオマエにコロサレタわ。デモネ、ヨミガエったノ……オマエに復讐するタメにね!!」ニタァ
↓×1~3 結果的に死んでいなかったとはいえ空母水鬼が港湾夏姫を暗殺したことを踏まえて空母水鬼の反応と港湾夏姫の心情と行動
※殺すや逃がすは安価下
~
伊168「♡」スリスリ
提督「……」ナデナデ
提督(今夜の見張り役だったイムヤが甘えて体を摺り寄せてくる。このことはごく一部の関係者以外知るべきではないからな)
提督(俺の権限でイムヤを任命したのだ。俺は頭を撫でながら密かに設置した監視用のカメラの映像を見る)
提督(そこには半ば鎖で吊るされるような体勢で拘束された空母水鬼と彼女に後ろからしなだれかかる港湾夏姫が映っていた)
提督(そう、港湾夏姫だ。空母水鬼がその手にかけたはずの彼女は奇跡的に生きていた。空母水鬼の一撃は彼女の息の根を止めるまでは至らなかったのだ)
提督(その理由は港湾夏姫の特殊体質によるものだ。彼女は世にも珍しい内蔵逆位だった)
提督(空母水鬼は彼女の背後から右胴体を、肋骨を避けるように下から斜め上へ向けて刃物で刺した。本来、その一撃は肝臓を貫き致命的な一撃を港湾夏姫へ与えるはずだった)
提督(しかし彼女の肝臓は左半身にあったのだ。それでも、空母水鬼の一撃は十分に港湾夏姫を殺しうる一撃だった)
提督(だが運よく手遅れになる前にパースの沖合で海流に流されながら生死の境を彷徨っていたところをハチに発見され、応急処置を施されたのだ)
提督(俺がそのことをハチの艦載機による連絡で知ったのは空母水鬼から降伏したいという連絡があった直後だった)
提督(敵が活動していないことは空母水鬼からの連絡で分かっていた。俺はすぐさま航空隊を送り、港湾夏姫を保護し、病院で治療を受けさせた)
提督(おそらく普通の人間なら死んでいただろう。しかし流石深海棲艦というべきか、港湾夏姫は生き残った)
提督(数日後、病院で意識が戻った港湾夏姫は最初、激しく混乱していた。だが徐々に落ち着いていき、何があったのかを思い出したようだった)
提督(この時点で空母水鬼の提案が罠でないことがほぼ確定した。大鳳やウォースパイトが俺が単独でパースに向かうことを認めてくれたのはこの事が占める割合が大きい)
提督(事態を把握した港湾夏姫はもはや虜囚の身となった自分にできることは何も無く、パースの深海棲艦は戦わずして敗北するであろう事を悟り、再び狂乱した。そして……)
港湾夏姫『モハヤキセキがオキルノゾミはツイエタわ……ワタシはオマエに協力スル……!!ダカラカツテお前がソウシタように可能なカギリ同胞タチをコロサズ、チャント保護スルとチカッテ……!!』
港湾夏姫『ソシテアノオンナに復讐スルキカイを頂戴!!アノ同胞タチをイケニエに捧ゲタウラギリモノが、スベテ上手くイッタとホクソエミながらノウノウと生キテイク事ダケは絶対にユルセナイ!!』
提督(壮絶な表情でそう懇願してきた港湾夏姫。俺は可能な限り殺さず、保護することを誓った。もとよりそのつもりだ)
提督(しかし復讐する機会については与えられないと拒否した。最初、燃え盛るような憤激に顔を歪ませつつも港湾夏姫は同意した)
提督(空母水鬼に対する報復という個人的な望みは叶わなくとも、戦いに敗れ去るであろう同胞たちがその時に頼れる保護を引き出すことができたからだろう)
提督(流石上に立つ者だけあり、これだけ興奮していても冷静に物事を推し量り、決断を下すことはできるようだった。しかし……)
港湾夏姫『ネエ、テイトク……ワタシ……クルシイの……コノ胸ノ中に滾ル憎悪ガ溢レテ……溺レテしまいソウ……』ダキッ
提督(彼女の言う通り、その胸中に蠢く復讐の念はもはや抑えようがなかったらしい。会話の終わり、背を向けた俺になんと港湾夏姫が抱きついてきて、耳元で囁いた)
提督(豊満な胸が惜しげなく押し付けられていた。まだ動くだけで激痛に襲われてもおかしくないのに。艦娘程ではないが、きっと何かしらかあるのだろう)
港湾夏姫『オネガイ……アノ女ニ復讐シナイとワタシ……オカシクなっちゃう……アノ女をワタシに頂戴……?ソノカワリ……私をアナタにアゲルから……』ツン クリクリ
提督(数日前まで死にかけていたとは思えなかった。港湾夏姫は耳元で蠱惑的に囁きながらその指を俺の胸に添えるといじらしく円を描くように俺の胸を這わせる)
提督『……わかった。そこまで言うのなら、いいだろう』ダキッ モミモミ
提督(そう言いつつ俺は港湾夏姫の体に手を回すと抱き寄せた。その大きな胸を無造作につかみ揉みしだく。俺のモノだというように)
港湾夏姫『……♡』ジッ ニコリ
提督(それに対して港湾夏姫は蠱惑的な笑みを浮かべてその爛々と紅く輝く瞳で俺を見つめた。俺は港湾夏姫の誘いに乗った)
提督(だが、決して性欲に負けたからではない。港湾夏姫の執念の深さは、ここで何とかしなくては必ず後々問題を起こすと確信したからだ)
提督(その情動を抑圧することが不可能ならばいっそ、手綱を締めながら発散させるべきだろう。もちろん、容易な事ではない)
提督(それほどに港湾夏姫のその漆黒の意志は強い。だが、目的を達成する手段に体を使ったことが港湾夏姫の敗因だ)
提督(確かに、男女の仲で無理を押し通すのにそれは最も効果があるだろう。しかし諸刃の剣であることを港湾夏姫は分かっていなかったようだ)
港湾夏姫『アァ!!テイトク!!コンナ……コンナのシラナイ!!ダメ!!トケちゃう!!』キュン キュン
提督『なら溶けろ!!溶けてしまえ!!』パンパンパン
港湾夏姫『アァダメェ!!イヤァ!!トケちゃう!!トケちゃうわ!!トケちゃうううううううううう!!』ビクンビクン
提督『っ!!くっ……はぁ……!!』バチュン ビュルルルルルル
提督(体をのけ反らして絶頂に耐える港湾夏姫の最奥で俺は限界を迎えた。最高の放出感だった。俺は港湾夏姫にのしかかる様に、しかし痛くないように手をベッドにつきながら倒れこんだ)
提督(豊満な女体が俺を迎える。荒い息を吐いていた港湾夏姫の手が俺の背中に回された。そして強く抱きしめられる)
港湾夏姫『……♡』スリスリ
提督(まるで恋人にするように甘えて頬を摺り寄せてくる港湾夏姫。もはや完全に俺の虜となっていた)
提督(きっと港湾夏姫はちょっとした火遊びのように考えていたに違いない。しかし、実際は大やけどすることになった)
提督(もともと、港湾夏姫にとって俺はその命を助けることを命令した命の恩人だった。港湾夏姫もそのことを理解していたのだろう)
提督(そして俺が港湾夏姫の同胞を守ると誓ったことは、極限状態であったことも手伝って港湾夏姫の俺に対する心証をかなり良好なものにしていた)
提督(そんな俺の甘い言葉は心の壁を容易に潜り抜けて港湾夏姫の心に届き、与える快楽をむしろ進んで自らの脳髄や下腹部の最奥に染み渡らせた)
提督(誰にも心奪われていない状態でそんなことをされれば、誰だって港湾夏姫のように簡単にその心を差し出してくるだろう。俺は港湾夏姫の耳元に口を寄せると囁く)
提督『復讐するのは認める。多少痛めつけるのも赦そう。ただし、絶対に殺さず、後遺症が残るようなことをするな。そうだな……あとで良いものをあげよう』
提督『それであの子を犯してしまえ。同意なしに相手を犯すことは殺すことの次に、もしかしたら殺すこと以上に相手を征服することだろう。いいな?』
港湾夏姫『……んっ、ちゅぅ……れろれろ……』ダキッ ギュッ
提督(俺の言葉に港湾夏姫はまず濃厚なディープキスで答えた。舌が俺の舌に絡まり、その親愛の情を伝えてくる)
港湾夏姫『はっ……モシそうシタラ……アナタのココロにスコシダケでもワタシの居場所ヲツクッテくれる?』ジッ
提督(至近距離で見つめられる。どこか不安そうで、縋るような表情を浮かべて。俺は微笑んで見せると愛情をこめて優しくその頭を撫でた)
提督『何を言うかと思えば。それは今君が作ったばかりじゃないか。言った通りにしてくれるね?』ニコリ ナデナデ
港湾夏姫『……!!アァ、ダイスキ……♡テイトクの言ウ通リにスルわ。んっ……はむ……』キュン トロン
提督(幸せに表情を蕩けさせそう答えた港湾夏姫は再び濃厚な口付けを求めてきた。体に回された手にさらに力が込められる)
提督(胸が俺の胸板に押し付けられ、女性らしい柔らかさをこれでもかと伝えてきた。俺も港湾夏姫に応えるようにして舌を絡ませた)
提督(こうして、復讐の鬼と成り果てていた港湾夏姫は容易く空母水鬼を殺すことを止めた。しかしそのことを知る由もない空母水鬼の悲痛な声を盗聴器が拾う)
~
空母水鬼「ひっ!?ご、ごめんなさい!!お願い……赦して……!!あれは違うんです……私、貴女を殺したくて殺した訳じゃないんです……!!」
港湾夏姫「……ソウ。じゃあキカセテ?どうしてワタシをコロシタノ?ドウホウたちヲウラギッタノ?……オシエてクレルわよネ?」
空母水鬼「そ、それは……っ……し、死にたくなかったから……あのまま戦っても……勝ち目は無かった……」
空母水鬼「私、死にたくなくて……あの日、日本に降伏することを受け入れざるを得なかったあの時、私は誇りも気位も全部失いました……」
空母水鬼「私はそれまで世界は自分の想い通りになると、私が主人公だと信じていました。でも、違った……不貞腐れました。もう何もかもどうでもよくなりました」
空母水鬼「死のうと思ったんです。でも、死ねなかった。それで、気が付きました。何もかも滅茶苦茶になっちゃったけど、それでも私は死にたくない」
空母水鬼「それ以来、私にとって一番大事なものは自分の命になって……でも、あなた達が南極で立ち上がった」
空母水鬼「勝ち目がありました。絶好の雪辱のチャンスでした。そして何よりなんとかできるかもしれないのに同胞を放っておけなかったんです」
空母水鬼「だから、もう一度だけ頑張ろうと思いました。でも、ダメだった……作戦は失敗して奇跡を願って前の戦争の時みたいに絶望的な戦いを死ぬまで続けるしかなくなって……」
空母水鬼「完全に心が折れたんです……何をしてでも生き残りたくて……一度日本を裏切った私は、パースを明け渡すくらいしておかないと降伏しても殺されるかもしれなくて……」
空母水鬼「貴方は絶対降伏なんてしないって分かってた……だから私は……貴女を……うぅ……殺したくなかったけど、仕方なかったんです……ごめんなさい……赦して……!!」
港湾夏姫「……ソウ。ワタシはソンナ身勝手なリユウでコロサレタのね。イタカッタ。クルシカッタ。コワカッタ。……赦せるト、思うカシラ?」
空母水鬼「……!!ごめんなさい……命だけはどうか……!!っ!!そうです、私を助けてください!!私たち二人ならきっとここから脱出できます!!」
空母水鬼「降伏しても無駄だと痛感しました!!もう二度と裏切りません!!死刑にされるくらいなら奇跡を願って絶望的な戦いを続ける方がまだましです!!」
空母水鬼「ですからお願い、助けてください!!この手錠と足枷を外してください!!一緒に逃げて戦列に戻りましょう……!?」
港湾夏姫「……フフッ……ウフフフフ……アッハッハッハッハッ!!イッショにニゲテ戦列にモドリマしょう?ナニをイウカとオモエバ……」
空母水鬼「て、敵だって未だ状況は厳しいはずです……まだ勝ち目はあります……!!諦めなければなんとか……」
港湾夏姫「アノネ、ワタシにトッテソンナことはモウドウデモイイの。イマのワタシにトッテタイセツなのはオマエに復讐スルコトダケよ」スッ ナデナデ
空母水鬼「っ!!」ビクッ
~
港湾夏姫『フフ、ヒドイキズね。ムチでウタレタのカシラ?イイザマだわ。トテモ醜クテ、オマエにぴったり』グッ ガリガリガリ
空母水鬼『い、痛い!!痛い!!痛いです!!お願いです、止めてください!!』ズキン ズキン
提督(港湾夏姫が空母水鬼の服とブラを切り裂いて脱がし、露出した背中の鞭で打たれた傷を爪で引掻く。傷を抉られる痛みに空母水鬼が悲鳴をあげた)
港湾夏姫『アア、ナンテ赤くテ暖かイ……!!イイニオイだわ。ンッ……ぺろぺろ……ウフフ、コレが復讐のアジナノネ?ナンテ甘美ナノカシラ!!』
空母水鬼『お願いです……赦してください……!!』ポロポロ
提督(空母水鬼の美しい白い肌を鮮血が伝う。痛みに身を捩り、顔を歪めて涙を流す様に背筋がゾクゾクする。俺の中の嗜虐心がそそられた)
港湾夏姫『モット飲ミタクナッテしまうワ。コンナンジャ足りないモノ。モット、ソウ、浴びるヨウニ』ツゥー ニタリ
空母水鬼『!!』ゾワッ
提督(港湾夏姫の手が空母水鬼の首筋を這う。空母水鬼が一層怯えた表情を浮かべ、港湾夏姫が獰猛に笑う)
港湾夏姫『カンジルワ、オマエの脈ヲ。オマエの心臓がケナゲにそのカラダに血をメグラセテイルのを。ぺろっ……モシココをカミチギッタラ、キットワタシの望みハ叶うノデショウ。かぷっ』
空母水鬼「いやぁ……!!いやぁああああ!!や、止めて!!お願いです!!止めてください!!殺さないで!!やだぁああああああああああ!!」ボロボロボロ
提督(港湾夏姫が空母水鬼の首筋、薄皮一枚を隔てて頸動脈のある場所を舐め、歯をたてる。空母水鬼の必死の命乞いが響いた)
港湾夏姫『っは、アハハハハ!!ナンテ無様なのカシラ!?ミットモナク泣きワメイテ恥も外聞もナイ!!』
空母水鬼『ひっ……はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……お願いです……何でもしますから命だけは……』ブルブルブル
提督(港湾夏姫は空母水鬼の尊厳を踏みにじり、嬲ることを愉しんでいた。空母水鬼の体は見ていて哀れな程に震えている)
港湾夏姫『助ケテ欲シイとでも?オマエがワタシにシタ仕打チを考エレばワタシがドウ答エルか分カルと思うケレド』
空母水鬼『うぅ……ぐすっ……ひっく……しにたくない……しにたくないですぅ……うぅうううう……!!』
港湾夏姫『アァ……イイワ、そのヒョウジョウ……!!モットミタイ……!!オマエの動脈をキリサイて意識アルママ死ンデイクのを見てミタイ!!』
空母水鬼『やだぁ……やですぅ……!!』
港湾夏姫『デモ……デキナイの。アノヒトがコロスナって言うカラ』
空母水鬼『……えっ?』ピクッ
港湾夏姫『いろいろアッテね。ワタシに復讐のちゃんすをクレル代ワリにコロサナイってアノヒトと約束シタノ』
空母水鬼『……!!』
港湾夏姫『マア、コレカラ死刑にスルのダカラ勝手にコロサレタラ困ルッテトコロかしら。ダカラワタシはオマエを凌辱スルワ。尊厳を穢シ尽くしてヤル。ソレガワタシのオマエへの復讐』
空母水鬼『っ!!……り、凌辱?』
提督(港湾夏姫の言葉に一縷の希望を見出したように笑みを浮かべた空母水鬼。しかしすぐにその表情は絶望に変わる)
提督(震える声で港湾夏姫の言葉を繰り返す。港湾夏姫が昨日渡したソレを取り出し、空母水鬼に見せつけた)
港湾夏姫『見て、コレ。凄いデショ?』スッ
空母水鬼『……!!』ゾワッ
提督(それはいわゆるペニバンと呼ばれるものだ。普通のと違いV字型にディルドが付いており、装着者の秘所にも挿入されるようになっている)
提督(しかも人体の構造的に男と女がする様にした場合、装着者側のディルドが抜ける方向に力がかかってしまうが、これはそれとは逆方向に力がかかる様に工夫された構造をしている)
提督(それによって装着者が相手を突けば突くほど装着者自身もディルドに自らの秘所を突かれることとなるのだ。まったく、よくもまあこんなものを開発するものだと感心する)
港湾夏姫『タダのマガイモノだけど、マガイモノなりにイイトコロがアルノ。ミテ、コノいぼいぼ。コンナの挿レタラ、キット凄いデショウね♡』
空母水鬼『ごくっ……!!』
提督(女を啼かせるためだけにデザインされた凶悪な形状のソレを目を見開いて見つめる空母水鬼。そんな彼女に見せつけるように港湾夏姫が自らの秘所にディルドを挿入していく)
港湾夏姫『ンッ……アァ……フゥ……フフッ……垂れチャウ……スコシ入りキラナイクライが丁度イイノよ……ソノホウが強引にカラダの奥をツラヌカレルアノ感じを愉シメルから……』ヌププププ ゾクゾク ニタァ
空母水鬼『ま、まさか……』ゾワワ
港湾夏姫『コレでオマエを犯すワ。ドレドレ?……スコシ濡れてるケド、ハジメテにはフジュウブン。イタイでしょうネェ……?』スッ クチュクチュ
空母水鬼『あぁ……いやぁ……!!』ビクッ フルフルフル
提督(港湾夏姫が空母水鬼の秘所に手を伸ばし、手淫する。空母水鬼が腰を引いた。嫌がる様に首を振る)
港湾夏姫『ドウ?タイセツなハジメテをケガサレるキブンは。オマエは犯サレテ処女をチラス。シカモ相手はワタシ……オンナで、オマエのココを征服スルのはムキブツよ』
空母水鬼『や、やめて……!!』
港湾夏姫『アァ、イイ声、イイ表情……!!オトコのキモチが理解デキルわ。コンナノ、ガマンできるわけナイ……!!ンッ……アハァ……!!』ピトッ ググググ
提督(モノが固く怒張してしまっていた。俺は二人を前から移すカメラの映像に集中する。空母水鬼の秘所に、ディルドが宛がわれた。柔肉が押し開かれていく)
空母水鬼『や、やめてください……!!やぁ、いたい!!いたいです!!うぅ……あぁああああああ!!いたいいたい!!』ガシャガシャ ズキズキ ブツン
港湾夏姫『アァン!!スゴイ……感ジタわ、オマエの処女膜がコンナ無機物にムザンにツラヌカレル瞬間ヲ……!!』グププププ
提督(空母水鬼が痛みに体をのけ反らした。目を見開いて悲鳴をあげる。その秘所にディルドが挿入されていく)
提督(処女だった証である紅い鮮血が空母水鬼の内股を伝った。破瓜の際の出血量には個人差があるとは聞いているが、空母水鬼は結構多いようだ)
空母水鬼『いやぁああああ!!いたいぃ……!!う、動かないでください……!!』ズキンズキン タラリ
港湾夏姫『ソンナノ無理にキマッテルじゃなイ!?ダッテ、コンナ気持ちイイ……!!アァ!!コレ、スゴイワ!!オクがぐりぐりされて、気持ちイイ!!』グリグリグリ
空母水鬼『ひぎぃいい!!いたいよぉ!!お願い赦して!!もう止めてぇええええ!!』ビクビク ポロポロ
港湾夏姫『アハハハハ!!まだまだコレカラよ!?コンナのジョノクチだわ!!アノカラダの一番オクを激シクツカレテ征服サレルヨウナ激シイぴすとんをオマエにもオシえてアゲル!!』パンパンパンパン
空母水鬼『やだぁああああああああああ!!血が!!血が出てますぅ!!抜いて抜いて抜いてぇええええええええええ!!』グップグップ ズキンズキン ダラダラ
港湾夏姫『アァ!!気持ちイイ!!トケちゃいそうだわ!!モットイイ声で啼イテ見せナサイ!!』
空母水鬼『っ……!!うぐぅ……!!あぁ!!やめてぇ!!ぬいてぇ!!やだやだやだぁ!!いたいいたい!!』
提督(内股になって必死に自らの秘所の異物感と痛みに耐える空母水鬼を嘲笑いながら自らの快楽の為に腰をふる港湾夏姫。空母水鬼が悲鳴をあげて嫌がっている。たまらなかった)
伊168「……♡」クイクイ
提督「!!」
提督(いままで大人しく俺に甘えながらその光景を見ていたイムヤが俺の袖を引っ張る。そちらに目を向けると妖しく微笑みながらスク水の自らの秘所を覆う部分をずらして見せた)
提督(そこは既にとろとろに出来上がっている。俺はズボンと下着を脱ぎ、はち切れそうなものを露出させるとイムヤに俺を跨らせた)
提督「……!!」グイッ ヌプッ
伊168「っ~~~~~~~~~~!!」ズププププ
提督(そしてためらうことなく挿入させる。イムヤが必死に嬌声を我慢していた。しかし俺の意識は港湾夏姫と空母水鬼に夢中だ)
提督(港湾夏姫が空母水鬼の後ろから立ちバック体勢で激しく腰を打ち付けている。その手は空母水鬼の双峰を乱暴に揉みしだいていた)
提督(そんな官能的な映像を楽しみながらイムヤをまるでオナホのように扱う。なんという贅沢だろうか!!俺の中の獣性が満たされる)
港湾夏姫『イイ!!イイ感じよ!!モット!!モットツヨク!!アァ!!クル……クルわ!!クルゥ!!アァ!!アァアアアアアアアアアア!!』ゾクゾクゾク ビクンビクンビクン
空母水鬼『うぅうううう……!!ぐすっ……ひっく……えぐっ……えぐっ……』グッタリ
提督「っ……くぁ……!!」バチュン ビュルルルルルル
伊168「くふっ!!っ~~~~~~~~~~!!っ……はぁ……はぁ……」ビクンビクンビクン ダキッ ギュッ
提督(暫くして、絶頂を迎えた港湾夏姫の嬌声が響き、体が跳ね、その巨乳が暴れた。空母水鬼が悲痛な喘ぎと呻きが混ざったような声を漏らす)
提督(俺もイムヤの秘所をひときわ強く突き、本能のままにぶちまけた。イムヤが息を漏らし、押し殺した嬌声をあげる。その体がビクビクと痙攣する)
~
空母水鬼「……」
空母水鬼(もう心身ともにダメでした。強引に犯された下腹部と乱暴に揉みしだかれた胸に感じる鈍痛も、どうでも良かったです)
港湾夏姫「アァ……はぁ……はぁ……スッゴクヨカッタワ……でもマダマダ足りナイ……ナノニオマエはモウ犯サレルコトに慣レテシマッタ」
港湾夏姫「ココを抉ル異物のソンザイをウケイレテしまった……マア、アタリマエね。ソウイウフウにデキテイルのダカラ。でもワタシ、マダオマエの悲鳴ガキキタリナイの。ダカラ……」ゴソゴソ スッ
空母水鬼「ぁ……いやぁ……!!」
空母水鬼(なのに、それを見て死んでいた心が恐怖で甦ってしまいました。毒々しい赤色の太く長い大きな蝋燭。どう使うつもりなのか、嫌でも理解してしまいます)
港湾夏姫「オオキイでしょ?たっぷり愉シメルわ。ソウゾウするだけでイってシマイソウ……!!コノ背中のキズにトケタ蝋がタレタらオマエはドンナ声で啼いてクレルのカシラ?」ニタリ
港湾夏姫「ドンナ風にミを悶えサセテクレルのカシラ?アァ、コレホド男性がウラヤマシク思うコトはナイワ。オマエのナカが締まるカイカンを感ジルコトができないナンテ!!」ゾクゾクゾク
空母水鬼(目の前の悪魔に本能的な恐怖を感じます。こいつは私を虐め、嬲り、穢し、辱めることを愉しんでいる……!!)
港湾夏姫「コレダケじゃない、ホカにもタクサンあるノヨ?ミテ、イケナイ玩具がコンナにイッパイ!!ジカンはたっぷりアルわ。愉シミマショウ?」バッ
空母水鬼(悪魔が床に鞄の中身をぶちまけました。中身が散乱します。鞭に、実物を初めて見るアナルビーズやもうどう使うのか分からない何かまで……!!もういやぁ!!)
空母水鬼「お願い赦して……やだぁ……だ、だれか助けて……!!いや、やめて!!やめてぇええええええええええ!!」
~
提督(港湾夏姫による空母水鬼の長い長い凌辱が終わった後、イムヤは警備に戻り俺は部屋で一人、港湾夏姫が戻ってくるのを待つ)
港湾夏姫「……」コンコン
提督「どうぞ」
港湾夏姫「……」ガチャリ
提督「港湾夏姫。戻ったか」
港湾夏姫「……ロウヤのトビラのマエであのケイビの潜水艦ムスメに会ッタわ。勝チ誇ッタ表情デワタシを見テタ」ジッ
提督(そう呟き、じっと俺を見つめる港湾夏姫。その表情は嫉妬の色がありありと見える。それに加えて発情しきっていた。頬は紅く染まり、目は潤んでいる)
提督「……そうか」
港湾夏姫「ネエ、テイトク。ワタシのカラダのネツ、マダ冷メないミタイなの。オネガイ……どうにかシテ」ハラリ
提督「!!」
提督(港湾夏姫が、体に纏っていたローブをその場に脱ぎ捨てる。その下は全裸だった。豊満な胸の先端は硬く自己主張しており、秘所は愛液に濡れている)
提督「いいだろう……来い、港湾夏姫」
港湾夏姫「♡」パァッ ダキッ ギュッ
提督(俺の言葉に港湾夏姫は妖しい笑みを浮かべると胸に飛び込んでくる。そして強く抱きしめてきた。どうやらまだ夜は終わらないようだ)
~
提督「おはよう、空母水鬼」
空母水鬼「……」ハイライトオフ ギロリ
提督(牢の前に立ち、挨拶する俺に空母水鬼がゆっくりと顔をあげる。そして表情を歪ませ、虚ろな、しかし確かな怨みを込めた目で俺を睨みつけた。憔悴しきっている)
提督「君の処分が決まった。来るんだ」
空母水鬼「……」
提督(俺の言葉に空母水鬼が僅かに怯えた様子を見せる。しかしすぐに怯えは消え、ただただ恨めし気な表情を浮かべ、怨念の込められた視線で俺を睨みつけてくる)
提督(俺の言葉は空母水鬼からしてみれば死刑が執行されるということに聞こえるはずだ。もっと激しい反応をするかと思ったのだが……)
提督(あれほど死を忌避していた空母水鬼とは思えない。もはや空母水鬼は死を受け入れているようだった。どうやら港湾夏姫の凌辱は空母水鬼によく効いたらしい)
伊勢&日向「「……」」ガチャン カチャカチャ ガチャッ
空母水鬼「……」ノソノソ
提督(俺の護衛兼空母水鬼の監視役の伊勢と日向が無言で空母水鬼の拘束を外した。手錠と足枷だけになった空母水鬼が牢から緩慢な動作で出てくる)
空母水鬼「……」ギロリ
提督「……」ジッ
提督(よほど俺を怨んでいるのだろうな。空母水鬼はずっと俺を睨んでいた。俺はその視線を真っすぐ見つめ返す)
提督「……ついて来い」フイッ スタスタ
空母水鬼「……」スタスタ
~
政府高官「これが深海棲艦ですか……」
空母水鬼(どこか、処刑場に連れていかれるものだと思っていました。でも提督に連れてこられたのは瀟洒な応接間です)
空母水鬼(そこには軍服ではなく正装に身を包んだ民間人、おそらく日本政府の高官が居ました。まるで珍獣でも見るかのようにじろじろと無遠慮に見てきます)
空母水鬼「……」ギロリ
政府高官「っ……」
空母水鬼(どうせ殺されます。殺意を込めて睨み返してやりました。相手もそれなりの立場の人間だけあり露骨に狼狽えたりはしませんでしたが、硬い表情で目を逸らします)
政府高官「本当に信頼できるのできるのか疑問です。もし同じことが起きた場合、強固に寛大な処置を訴えた貴方の責任問題となりまよ。今ならまだ間に合いますが、本当にいいのですね?」
提督「もちろんです」
政府高官「分かりました。元海軍特別艦娘大佐、空母水鬼。畏くも天皇陛下はお前たち逆賊が降伏した場合、その罪をお赦しになられるとご聖断あそばされました」
空母水鬼「……えっ」
~
空母水鬼「えっと……」
提督(おそらく予想だにしなかったのだろう。空母水鬼は政府高官が去った後も呆然自失として未だに事態を把握できていないようだった)
提督(俺は隣に立っていた空母水鬼に向き直る。空母水鬼が俺を見た。その紅く輝く瞳にはただただ困惑の色のみが浮かんでいる)
提督「君の死刑は取り消された。療養の後に帝国海軍籍の特別艦娘に復帰してもらう。我々が君にした仕打ちに対して思うことはあるだろう」
提督「しかし君たちの行いに対して致し方無いことであったことをどうか理解してほしい。我々の誰も望んで行ったことではない」
提督「昨晩の港湾夏姫の件に関しても同様だ。彼女の協力を取り付けるためには仕方がなかった。君を殺したがる彼女を何とか説得するのは大変だったぞ」
空母水鬼「……!!」
提督(俺の言葉を聞いてようやく事態を飲み込むことができたのだろう。信じられないというような表情で目を見開く空母水鬼)
提督「私は決して利用するだけ利用した後に捨てるような真似はしない。必ず報いる。まあ君は私の事を信じず罵詈雑言を浴びせてくれたがな」
↓×1~3
提督は自らの立場を賭けてまで自分を信用してくれ、命を助けてくれた。それに対して自分は提督を疑い、自分を裏切って切り捨てたのだと確信して罵詈雑言を浴びせたことを踏まえて空母水鬼の反応
空母水鬼「……!!」
提督(それは、言葉で形容できない表情だった。自らの行いと、その結果払う事になった大きな代償に対する後悔や罪悪感、怒り、悲しみ、苦しみなどの感情の嵐)
提督(俺に対する拷問や凌辱から空母水鬼を守らなかったことに対する激情。身を挺して命を助けたことに対する感謝。信じず、罵詈雑言を浴びせたことに対する引け目)
提督(そして命が助かったことに対する歓喜。それらすべてが複雑に混ざり合った果てに浮かんだ表情だった)
空母水鬼「……」スッ ペタン
提督(ふと、暫く俺を見つめていた空母水鬼がその場に正座する。そしてそのまま頭を下げて土下座した)
空母水鬼「あ……ぐすっ……ありがとう……ございまし……た……!!うぅ……ひっく……」ブルブル ポロポロ
提督(そして俺に泣きじゃくりながら感謝する。その体は怒りか、あるいは恐怖か、はたまたもっと別の感情の為にか、可哀想になるぐらい震えていた)
提督「……!!」ゾクゾクゾク
提督(そんな空母水鬼の様に俺の中の残酷な嗜虐心が満たされる。あの空母水鬼が)。その優秀さに裏打ちされた自尊心の持ち主が)
提督(上に立つことを当たり前のように考えており、何もかもすべてが思い通りになると信じて疑わなかったこの女が)
提督(さんざんに打ちのめされ、完全に屈服し、哀れに震え、泣きじゃくりながら俺に対する悪感情を押し殺しながらひれ伏し、感謝している……!!背筋がゾクゾクする……!!)
提督(それに加えてここで堕とすべきだという冷徹な考えが頭をよぎり、正当性を得た欲望がこの子の身も心も堕として身も心も我が物にせんと逸っていた)
提督(……だがしかし、それと同じくらいか、あるいはそれ以上にこの子を思いやる気持ちも湧き出てきていた)
提督(数多くの勇敢な軍人たち、そして何よりムラクモの死を招く一因となったこの女にたいしてついこの間まで何もかも焼き尽くさんばかりの怒りと殺意を向けていたというのに)
提督(それなのにこの子を憎み切れなかったのは、この子がただのゲスという訳ではなかったからだろう。俺は……)
~
空母水鬼(あの後、提督はまるで思いやる様に私の頭を撫で、優しい言葉をかけてくれました)
空母水鬼(そして今、私は提督の部屋で提督と二人っきりで暖かい飲み物を飲みながら自分の想いを吐露してしまっていました)
空母水鬼(内容はあの日私を拷問するあの人に言ったのとそうかわりません。そして自分を卑下した私に提督は、そんなことない。私を信じると、これからは自分が私を守ると言いました)
空母水鬼「本当ですか……?私は……醜い裏切者で、そのくせ貴方が裏切ったと思い込んで……自分の事を棚に上げて口汚く罵ったんですよ……?」
空母水鬼「私が貴方なら、こんな女信用できません……!!信じる、守るだなんて……あり得ません……」ギュッ フルフルフル
提督「……」スクッ
空母水鬼(無様にも手を強く握りしめ、震えながらそう呟いた私に提督は向かいのソファーから立ち上がると私の隣に座り、私の肩を抱いて頭を撫ではじめます)
空母水鬼(その力加減とかが凄く優しくて……私を思いやっての行動なのは明らかでした。提督は包容力があって、暖かくて……安心します)
提督「いや、信じる。君を信じる事に何ら躊躇いは無い。君が日本を裏切って同胞の為に戦ったことは、確かに我々から見てみれば好ましくない」
提督「しかしそれは間違いなく君が同胞の為に戦うという気高く貴い、いわば黄金の精神の持ち主であるという事の確かな証左だ」
提督「そして俺は、それなのに今回このような事になってしまったのは仕方のない理由があったからだとわかっている」
提督「前の戦争で敗戦したという大きな挫折に君の心はひどく……それこそ、致命的なまでに傷つき、弱ってしまった」
提督「立場的に他に頼ることもできず、君はその傷を癒すこともできていなかった。だからこそこのような事になってしまったのだろう」
提督「しかし、もう大丈夫だ。俺が君の頼るべき者となろう。君を守ると誓う。いつか君の心の傷が癒えるまで」
提督「だからどうか俺に協力してほしい。少なくとも、もうこれ以上君たちと我々がお互いを理解していないことが理由で殺し合わずにすむ世界を創るために」
空母水鬼「……!!」
空母水鬼(あぁ……今、理解しました。死にぞこなった私が今回のような生き恥曝してまでも今まで生き延びてきたのは、きっと私はこの人の為に生きる為だったのだと)
空母水鬼(民族の尊厳と海の支配者としてのプライド、そして積み上げてきた自尊心という捧げるべき主を失って彷徨い、腐っていた私の魂)
空母水鬼(その新たな主がこの人であると今、確信しました。提督の為ならこの命ですらもう惜しくない。ですがこのことは決して言葉にしません。言葉にできるような軽いものではないんです)
空母水鬼「っ……!!んちゅ……んふ……」ダキッ ギュッ
空母水鬼(衝動のままに提督に抱きついて口付けします。凌辱され尽くしてしまった私にたった一つだけ残されていた初めてでした)
空母水鬼(それを、この人に捧げることができた……この感情はもう言葉にすることは不可能でした。提督が私を抱きしめ返してくれます)
空母水鬼(心臓が跳ねました。未だかつてこれほどまでの幸せを感じたことはありませんでした)
~
空母水鬼「むぐむぐ……じゅるじゅる……れろれろれろ……」ドロリ
提督(空母水鬼がその秘所から白濁液を垂らしながら俺の股間に口を埋めている。俺は空母水鬼の頭を撫でる)
提督「っ……空母水鬼……もう大丈夫だ……」ナデナデ
空母水鬼「……じゅる」ダキッ ギュッ
提督「!?」
提督(俺の言葉にむしろ空母水鬼は俺の腰に強く抱きつき口淫を続ける。俺は、あえて放置した。最初、一回港湾夏姫の口に出した)
提督(凌辱された空母水鬼はこういう行為に恐怖心を植え付けられていた為に、ワンクッションおいたのだ。フェラを調教しつつその口を征服した。もっとも、最初から初めてとは思えないテクニックだったが)
提督(そういった事に興味津々でいろいろ予習していたのだろう。その後、空母水鬼がシャワーを浴びたいと懇願してきたのでその間、俺はベッドで待った)
提督(いつもなら気にせずそのまま押し倒すのだが、空母水鬼の目に何か強い意志が込められていた為にあえてそうしたのだ)
提督(少ししてシャワーから戻って来た空母水鬼。背中の傷を見られたくないと着衣での行為を望んでいたが、それは断る)
提督(俺に何か悪い感情を持たれないかどうかを気にしていたからだ。背中に痛々しい傷があろうと俺は気にしない)
提督(強引に服を剥ぎ、お前の全てを受け入れ、愛し、信じ、守ると耳元で囁き誓う。涙を流して喜んだ空母水鬼を優しく丹念な前戯で愛のある快楽に蕩けさせ、恐怖心を塗りつぶした)
提督(そして正常位で挿入する。こんな上物の初めてをあんなガラクタに奪わせてしまったことを後悔した。最上級の快楽を捧げてくる空母水鬼の蜜壺は俺に一発で終わらせることを赦してはくれなかった)
提督(連戦を経た俺のモノはさすがにアレだったが、空母水鬼の口淫が与えてくる快楽にこの熱心な雌に褒美を与えんと再び固く怒張していく)
提督「……」ギンギン
空母水鬼「っ……」ジッ
提督(俺のモノが完全に臨戦態勢に戻ると空母水鬼が口を離す。そして俺を見上げた。ゆっくりと口を開く)
空母水鬼「あ……あの人にこっちでもできるようにされちゃったんです……さっき綺麗にしました……してくれませんか?後ろから」
提督「!!」
提督(そういう空母水鬼は自らの、雄に本能的な欲情を掻き立てさせる臀部に手を添える。恐る恐ると言った感じで俺を窺いながら)
空母水鬼「後ろからするのは怖いですけど、全部提督に上書きして欲しいんです。嫌なら、全然いいんですけど……」
提督「そんなわけないだろう。後で怖気づいてももう止まらないぞ。自分から男を誘ったのだ。覚悟できているな」
提督(淫らな懇願をする空母水鬼に興奮する。俺は空母水鬼を四つん這いにさせた。そしてはち切れんばかりのモノをそこに宛がう)
提督(港湾夏姫にバックで凌辱されたことがフラッシュバックしたのか、体が震えていた。空母水鬼の背中は深海棲艦特有の、文字通り美しい雪のような肌が無残に傷つけられていた)
提督(痛ましいことこの上ない。だが、どこか倒錯的な美しさがある。俺は後ろから空母水鬼にのしかかり、柔らかい体を愛撫し、頭を撫で、頬に触れながらその耳元に口を寄せ、甘い声で囁いた)
提督「安心しろ、空母水鬼。すぐにお前からこうして欲しいと懇願してくるようになる」
~
空母水鬼「謝るべきではないかもしれません。時にはそれが冒涜となることも理解しています。ですが、あえて言わせてください。本当に……申し訳ありませんでした」
提督に肯定されたことで空母水鬼は卑屈になって同胞たちの為に戦ったことまで否定したりはしなかったが、ムラクモを死に追いやってしまったことについて謝罪した
↓×1~3 吹雪型と伊勢型の反応
深雪「今更なんなんだよ。お前の自己満足の為に謝られてもこっちは迷惑だ」ジロリ
初雪「ムラクモはもう……帰ってこない……それが全てでしょ……」ジロリ
「「「「……」」」」ジロリ
提督(空母水鬼の謝罪に対して深雪と初雪が突き放すような言葉をかける。その眼差しにはかつての燃え盛るような怒りはもう見当たらない)
提督(それは底冷えするような静かな、しかしとても深いものへと性質を変えていた。姉妹によって個人差があれど、その多くが同じ静かで深い怒りの眼差しを空母水鬼へと向けていた)
空母水鬼「っ……」タジッ
提督(それを受けて空母水鬼がたじろぐ。ムラクモの死を招いたことに対して彼女の姉妹や戦友たちに謝罪したい)
提督(そんな空母水鬼の希望を尊重してその機会を作りはしたのだが……正しかったのか分からない。いや……きっとこういったことに正解は存在しないのだろう)
提督(重い空気の中、沈黙が続き、ある程度こうなるだろうと予測していた俺が、無粋だろうが一声かけようとした正にその時、吹雪が口を開いた)
吹雪「……みんな。これは、戦争だから……空母水鬼……さんも、そうしようと思ってやったわけじゃないよ」
「「「「!!」」」」
提督(深雪たちの驚愕の視線が吹雪に集中する。俺も驚いてしまった。日ごろからしっかりしていると思っていたが、なんと成熟した精神の持ち主なのだろう)
提督(四捨五入したら十歳の子供の言葉とは思えなかった。同じ境遇でそう言える人間は大人の中でも少ないだろう)
磯波「そうです。それに、こうして謝りに来てくれました。その気持ちを汲んであげてもいいんじゃないでしょうか?」
「「「「っ……」」」」
提督(磯波がそう続く。言葉にせずとも数人が言外に同意を示していた。他の姉妹たちが動揺する)
提督(怒りを滲ませていた子たちも悪い子たちではない。きっと吹雪と磯波が言ったことも分かっているのだろう)
提督(だが、姉妹が殺されたということは吹雪型の子たちにとってどれほどの衝撃的だったのか計り知れない。赦せなくて当然だ)
提督(他の子たちが狭量なのではない。むしろ吹雪と磯波たちが、赦すことができる子たちの方が特異なのだ)
叢雲「そうよ。感情的に殺し合うようになってしまったらそれはもう戦争じゃないわ。ただの殺し合いよ」
提督(そして、叢雲もまた子供らしからぬ思考をする特異な精神の持ち主だった。しかし子供らしい情動の持ち主でもあり、気高く勝ち気で高飛車な性格をしている)
提督(それが今回凶とでてしまった。叢雲は深雪や初雪たちが大事な姉妹が殺されていることに配慮せず、どこか上から目線で諭すようにそう言ってしまったのだ)
「「「「!!」」」」ゾクン
深雪「お前に……お前なんかに分かるか……分かってたまるか……あたしの気持ちが……ムラクモを殺されたこの想いが……!!」ワナワナワナ
初雪「っ……!!」ジワァ ツゥー ギロリ
叢雲「っ!?な、何よ……!?私、何か間違った事言った!?」ビクッ キッ
提督(向けられた大切な姉妹を失った駆逐艦娘たちの感情の嵐が込められたプレッシャーに、自覚なしに地雷を踏みぬいた叢雲が動揺しつつさらに火に油を注ぐような事を言ってしまう)
伊勢「そこまで!!」
「「「「っ!!」」」」ビクッ
提督(事態を収拾しようと口を開こうとした瞬間、伊勢の一喝が部屋に響いた。駆逐艦娘たちは皆一様にびくりと肩を震わせると恐る恐る伊勢を窺う)
提督(伊勢はそんな駆逐艦娘たちを見回すと無言で空母水鬼の方を向いた。二人の視線が絡み合う。暫し、無言の時間。伊勢が口を開いた)
伊勢「誠意は行動で見せなよ」
提督(ただ一言だけ空母水鬼にそう言うと、もう空母水鬼のことなど眼中にないと言わんばかりに俺に向き直る)
伊勢「提督、駆逐艦娘たちの事は私に任せてはもらえませんか?」
提督「わかった、任せよう。君なら心配ない。頼んだぞ」
伊勢「ありがとうございます。お任せください、提督。という訳だから、行くよ、皆」
「「「「了解……」」」」
提督(駆逐艦娘を引き連れて部屋を出ていく伊勢。それまでずっと壁に寄りかかり、腕を組んで目を瞑っていた日向が目を開けた。空母水鬼を横目に見て口を開く)
日向「お前の行動次第で、きっと見る目も変わるだろう」
提督(それだけ言って背を向け部屋を出ていく日向。空母水鬼は俯いてしまっていた。俺は空母水鬼の隣に寄り添うとその肩を抱く。そんな俺に空母水鬼は寄りかかる様にして体を預けてきた)
~
神鷹「お願いです、提督!!私を信じてください!!」
提督(あれから数日、緊急で東京に呼び戻された俺は時間を見つけて神鷹に会っていた。彼女が会って話をしたいと懇願してきたからだ)
提督(日本に帰化し、ドイツ系日本人となっていた彼女はドイツ側につかなかったし、ドイツ側も彼女を引き入れようと何か干渉してくることもなかった)
提督(しかしドイツ系である彼女を信用しない人間は多く、神鷹自身もドイツの奇襲攻撃に酷く動揺していたが、ドイツと戦う事を望まなかった)
提督(その結果、神鷹は逮捕、投獄されていたのだ。ドイツへの憎悪から彼女に死刑にしようとする動きもあった)
提督(しかし大多数の人間が対深海棲艦戦争や連合国との戦いで活躍していた彼女を殺すことを望まなかったのだ)
提督「シャルンホルスト……」
神鷹「神鷹と呼んでください、提督!!お願いです……私は、確かにヨーロッパでドイツを侵略する為に戦うことはできませんでした……」
神鷹「それでも、日本は私の母国で、私は日本人です……たとえ生まれはドイツで、日本の血が流れていないとしても……!!」
神鷹「そして今、日本は危機を迎えています!!なのにこんな所でじっとしてはいられません!!」
神鷹「捨て駒でも結構です!!その覚悟があります!!ですから……私にも戦わせてください……!!」
↓×1~3 提督の反応
提督(俺にシャルンホルストと呼ばれて悲痛な表情を浮かべ神鷹と呼んで欲しいと訴えた時の悲痛な表情は、神鷹が日本人であることの何よりの証明だ)
提督(そして捨て駒にされてもいいから戦わせて欲しいという覚悟は並大抵のものではない。この子を信じ、想いに応えられなくては提督失格だろう)
提督「分かった、神鷹。君が帝国海軍の軽空母娘として復帰できるように取り計らおう」
神鷹「……!!提督……Danke schön!!」パァッ
~
大本営統帥部長「ハワイは日本にとって重要な拠点だが南極の深海棲艦にとっては戦略的価値の低い拠点のはずだった。しかし最近、敵の活動が確認されている」
大本営統帥部長「現地には規模は大きいが通常戦力しか配備されていない。敵の大規模な攻撃があった場合、ハワイは陥落する可能性がある」
大本営統帥部長「艦娘の艦隊を編成してハワイに送る必要があるだろう。その艦隊の編成と指揮を君に任せる。しかし現在の戦況は予断を許さない」
大本営統帥部長「よってハワイに派遣する艦隊の規模は必要最小限に抑えておきたい。そこで君にはまずハワイへ行って現地で敵の活動状況の調査と防衛態勢の確認をしてもらいたい」
提督「分かりました、お任せください」
~
ヒューストン「Colorado, The Devil`s Fleet clears for action.(コロラド、悪魔の艦隊は戦闘準備完了しました)」
コロラド「OK. Thank you Houston. It seemed an eternity.(OK、ありがとう、ヒューストン。一日千秋の思いだったわ)」
ヒューストン「はい、今日という日を待ちわびていました。あの日の屈辱を忘れたことはありません」
コロラド「復讐の時間よ。卑怯者どもに騙し討ちの代償を奴らの命で支払わせてやるわ。第一特殊任務艦隊、出撃!!」
~
帝国海軍提督「バカな……こんな事あり得ない……!!」
提督「っ……!!」タラリ
提督(司令部の窓から燃え盛る真珠湾を見る。その上空には黒い塗装で機体の一部が緑や赤、青色に発光している航空機が飛んでいた)
提督(ハワイに到着してホノルルの司令官に挨拶している時だった、それが始まったのは。かつて我が帝国海軍が行ったような見事な奇襲攻撃だ。戦艦や空母が炎上し、沈んでいく)
帝国陸軍将軍「深海棲艦め……!!」ギリッ
提督「いや、違う……!!」
帝国陸軍将軍「なん……だと……!?どういう意味だ、提督!?」キッ
提督「あれは深海棲艦の航空隊ではない……!!塗装や装飾で上手く偽装してそれらしく見せてはいるが、そもそも深海棲艦の航空隊はああいう飛行機ではない……!!」
帝国陸軍将軍「ではあれはなんだというのだ!?」
帝国海軍提督「あれは……アメリカ軍だ!!」
~
帝国陸軍将軍「何をしているんだ!?早く本土へこのことを連絡しろ!!」
帝国陸軍通信兵「やってます!!ですが通じないんです!!通信妨害が酷くて……有線も死んでいます!!おそらく海底ケーブルを切断されたのかと……!!」
帝国陸軍将軍「っ……!!こんな事が……!!」ブツッ タラリ
~
ヒューストン「敵艦はすべて沈み、砲台陣地も沈黙しています!!空を飛んでいるのは友軍機のみ!!敵戦力はすべて撃破しました!!我々の勝利です!!」
コロラド「素晴らしいわ!!祝砲が必要ね?だからもっと撃ちなさい!!もっとよ!!Japどもを皆殺しにするの!!」ニタァ
ハワイは合衆国にとって屈辱の象徴である上に、位置的に喉元につきつけられた短剣でもあった。放置することなど考えられない
かつての眠れる巨人は完全に覚醒し、今や怒れる巨人となっている。武力でハワイを取り戻すことは合衆国にとって容易いことだった
しかし国内、国際の情勢がハワイを武力で解放することを許してくれなかった。だが、状況は変わった。アメリカが日本から武力で奪還することは問題になる
では、深海棲艦からなら?深海棲艦が日本からハワイを奪い、そしてその深海棲艦から合衆国がハワイを奪還する。それなら問題ないではないか
日本はハワイを返せと言ってくるかもしれない。しかしかつて日本がしたように相手の言葉に耳を傾けず、無視すればいい
日本が怒って戦争を仕掛けてくればそれはむしろ好機だ。合衆国は被害者として振舞いながら日本を完膚なきまでに撃破し、あの極東の地はすべて合衆国のものとなるだろう
しかし現実はそううまくいかない。深海棲艦がハワイを攻撃、占領することはまずないだろう。奴らにとってハワイを占領する理由がない
そんなときにどうすればいいのかはジャップが中国で、そしてナチがポーランドでやって見せてくれたではないか
この作戦は深海棲艦を装ってハワイを奪還するという参加者の他は少数の人間しか知らない不正規な作戦だった
事実が露見することを防ぐためにハワイに居る日本人は軍人も民間人も皆殺しにするという残酷な作戦だ
↓×1~3 日本人は皆殺しにする作戦であると知っていたことをふまえて作戦開始直前にハワイに提督が着任していたことを知ったアイオワとサラトガの心情
※ニ人とも愛国心のあるアメリカ人であり、提督のことを愛しているが大日本帝国を嫌っていて作戦成功を聞いた時に大喜びしたことをふまえて
アイオワ「A……Admiralが……ホノルルに……?」
アメリカ軍情報将校「ええ。どうやら提督は攻撃の直前にホノルルへ着任していたようです。偶然にも厄介な人物を葬り去ることができました」
アイオワ「っ!!!!……。葬り……去る……」ゾクン サァッ
アメリカ軍情報将校「何か言いましたか?……アイオワ?大丈夫ですか?」
アイオワ「……」フラフラフラ
~
サラトガ(提督が……あの人があの作戦に巻き込まれたなんて……!!作戦が成功したってことは……もう提督は……)
『Fire!!』
ダンダンダンダン
提督『』グッタリ ドクドクドク
サラトガ「いやぁああああああああああ!!!!嘘よ!!嘘嘘!!あり得ない!!そんな事あっていいわけない!!嘘よそんなことぉ……!!」ボロボロボロ
サラトガ(M1ライフルの.30-06スプリングフィールド弾が提督の体を貫き、肉片や骨片、血液が飛び散る光景が……提督を即死させる様が嫌でも脳裏に浮かんでしまう)
サラトガ「うぅううう……うぁああああああああああ!!あぁああああああああああ!!ぐすっ……ひっく……」
サラトガ(分かっていた……ハワイの日本人を皆殺しにするというこの作戦がいけないことだという事ぐらい……そんな作戦を実行してしまったことに対する罰がこれだというの……!?)
サラトガ「なんて酷い……!!私たちだって好きでやった訳じゃないのに……!!最初に始めたのは日本なのに……!!」
サラトガ(自分の言い分がとても自分勝手で醜いものだって分かってる……それでも、止められなかった)
サラトガ「日本があんな事するから!!だから私たちもやるしかなかった!!悪いのは日本じゃないですか!?なのにこんな……あんまりです、主よ……!!」
~
アイオワ「ごめんなさい……ごめんなさい……私は決してしてはいけないことをしてしまいました……虐殺に加担してしまいました……」ハイライトオフ ブルブルブル
アイオワ「謝ります……私にできることは何でもして償います……だからどうか……Admiralを……私の最愛の人を返してください……お願いします……どうかお慈悲を……主よ……」ポロポロポロ
~
コロラド「……」
ヒューストン「……」
コロラドやヒューストンたちの目の前には大量の日本人の死体が積み上げられてできた山があった
撃ち殺された者もいれば、黒焦げになっている者もいる。この中の多くが艦砲射撃で死んだことは明らかだった
それはつまり自分たちが殺したという事だ。軍人はおろか民間人、それもお年寄りや赤子までこの手にかけたのだという事を踏まえて
↓×1~3 コロラドとヒューストンの反応
コロラド(私たちは雪辱を果たした。かつて騙し討ちで真珠湾を攻撃し、多くの戦友を殺した日本人に復讐してやった。最高の気分だった。ついさっきまでは)
コロラド(上陸した私たちが見たのは、山のように高く無造作に積み上げられた日本人の死体だった。その中には軍人だけでなく、民間人……老人や赤ん坊までいた)
コロラド(これを私たちがやったのだと思うと、息が詰まる。気分が悪くなる。背筋がぞっとする)
コロラド(こいつらは敵だ。卑劣な騙し討ちでアメリカ人を沢山殺した。民間人であろうと不当にハワイを占領して居座っていた。こいつらはみんな悪い奴らだ)
コロラド(だからこうなって当然だ。それは、間違いないはずなのに……私たちが間違っているように感じた)
コロラド(……いや、きっと私たちが間違っているんだ。私たちは戦争を変えてしまった。軍人だけでなく、民間人まで殺すような悍ましいものに)
コロラド(私たちは分かっていなかった。大日本帝国に対する憎悪に昂るままに日本人を皆殺しにしてやれと歓喜しながらさんざん砲撃してやった。それが、どういうことかという事を)
コロラド「……!!」ハッ
コロラド(ふと、その中に見つけてしまった。それは黒焦げになりつつも母親とその子供だろうと分かった。その腕に我が子を守ろうと抱きしめていたに違いない)
コロラド(ちょうど出撃前に会った大親友の赤ん坊を抱っこした時のことを思い出す。赤ん坊というのはとても尊い存在だと感じた)
コロラド(無意識のうちに自分がその子に歩み寄っていたことに、その傍らに膝をついた時に気が付いた。至近距離で黒焦げになった赤ん坊の死体を見る……背筋を恐怖が這いまわった)
コロラド「っ……!!」ゾワリ ジワァ
コロラド(してはいけないことをしてしまった。私は戦争を変えてしまったんだ。このことが敵に知られたら、敵もまた同じことをするようになる)
コロラド(目の前の死体が、大親友とその赤ん坊と重なった。自分の家族や友人たちがこの中に紛れ込んでいるような錯覚、罪悪感とその恐怖に耐えられなかった)
コロラド「うぅ……ぐすっ……ひっく……!!」ポロポロ ガタガタ
ヒューストン「……」ダキッ ギュッ
コロラド(つい項垂れて嗚咽を漏らしてしまっていると、抱きしめられる。ヒューストンだった)
コロラド(ヒューストンもまた沈痛な表情を浮かべている。年下にこうされて恥ずかしいと感じる余裕は無かった)
~
カツ カツ カツ
提督「Who(誰だ)?」
アトランタ「USS Atlanta. Or, maybe it`s better to introduce myself Ōtori(USS アトランタ。それか、鳳って言った方がいいかもね). Nice to meet you」ハイライトオフ
提督「鳳……!?そうか、君が……初めまして。私は大日本帝国海軍の提督だ」
アトランタ「この攻撃は出撃直前に説明されたの。だから警告できなかった。ゴメンね。さあ行きましょう、提督さん。貴方を逃がすわ」
提督「いや、いい……私にはやらなくてはいけないことがある」
アトランタ「はぁ、何言ってるの?貴方は情報を引き出す為に生かされているの。用が済んだら必ず殺されるわよ」
アトランタ「もうすでに貴方以外の日本人は皆殺しにされたわ。貴方の命令を聞いて投降した兵士たちもね」
提督「っ……ああ、聞いた。痛恨の極みだ。アメリカが口封じのためにハワイの人間を皆殺しにするとは思っていなかった。せいぜい、一生収容所暮らしにする程度だと思っていた」
提督「忘れていたよ……戦争は変わった。世界大戦の後、誰かが戦争は英雄譚で謳われたような美学も何もないただ苦痛と絶望と死が溢れる地獄になったと言ったと聞いた」
提督「だが、それすらもまだ今回の戦争にくらべればマシだろう。戦争は軍人だけでなく民間人までもを狙って殺すような悪夢に成り果ててしまった」
提督「死んだ人々には謝っても謝り切れない……しかし、生き恥を曝してでも俺は生きて、この日米開戦の危機を何とかしなくてはならない」
提督「それは日本で生きる人々の為であり、アメリカの人々の為でもある。そして何よりここで殺された人々へ私ができる最大の償いだと確信している」
カツカツカツ
「「!!」」
コロラド「誰かいると思ったら貴女だったの、アトランタ。何をしているの?こんな所で」
アトランタ「それはこっちのセリフ、コロラド。何しに来たの?」
コロラド「……そいつに言わなくちゃいけないことがあるの。それで、貴女は?」
アトランタ「私も貴女と同じ。まあ、もう終わったけどね。失礼するわ。Bye」
コロラド「Bye. ……お前があのAdmiralか。聞いたわ、お前の提案。恥ずかしいと思わないの?大勢死に追いやっておいて、自分は醜く命乞い?」
提督「……恥ずかしいと思うし、何より申し訳ないと思っている。しかし、死が死んでいった人々への償いになるとはかけらも思わない」
コロラド「……へぇ。じゃあどう償うつもりなの?」
提督「これ以上の悲劇を起こさせないことでだ」
コロラド「!!」
提督「現在、我が日本とアメリカは戦争の危機に陥っている。俺は何をしてでも日本とアメリカの戦争を避けなくてはならない」
提督「もしアメリカと戦争になればいままでと比べ物にならない程の人が死ぬことになる。絶対にそんな悪夢を現実のものとしてはいけない」
提督「だから私は証言する。ハワイは深海棲艦の攻撃を受けて私以外は民間人まで全滅したと。そして偶然近くに存在した君たちアメリカ軍が深海棲艦からハワイを解放したのだと」
↓×1~3 アトランタとコロラドの反応
※アトランタはまだ日本が枢軸国と同盟して連合国と戦っていたころにソロモンで捕虜になり、
その際に提督が深海棲艦にしたような方法で日本のスパイへと洗脳されていることとコロラドと提督の会話まで盗み聞きしていたこと
そしてコロラドは提督とアトランタの会話を聞いていないことを踏まえて
コロラド「……!!」
コロラド(こいつ……なんて目をしてるのよ……!!どうしてそんな自信満々でいられるわけ……!?)
コロラド(でもその強い自信と意志に漲った眼光を見ていると……この男ならやってくれるかもしれないという気持ちになってくる)
コロラド『あんな赤ん坊まで殺してしまった!!人の道から外れるような事をしてしまった!!お前たちのせいで!!』
コロラド(そう爆発してしまいそうな感情の奔流をこの大日本帝国海軍の高官にぶつけてやるためにここに来た)
コロラド(だって、間違いなくこの男にも責任の一端はあるもの。じゃないとおかしくなってしまいそうだった)
コロラド(でも、Admiralのその言葉に私は何も言えなくなってしまった。考えさせられる。私だって、悲惨な戦いを望んでいるわけじゃないわ)
コロラド(もしこの男の提案に乗ることで戦争の危機を回避することができるのならそれもありね)
~
コロラド「戦争を避けるために、お前は日本の不利益になるような嘘を吐くというの?お前たちが大きな犠牲を払ってまで守り通そうとしたハワイを手放すことになるのに」
提督「……ああ、そうだ。我々がハワイを保持することにこだわったのは国防のためだ。戦争にならないのなら、ハワイを占領する意義はなくなる」
提督「いろいろ確執ができてしまったが、対話で解決できると信じている。我々は戦争を……凄惨な殺し合いを望んでいるわけではない。そしてそれは君たちも一緒だと確信している」
アトランタ「……」
アトランタ(提督さんとコロラドさんが真剣に話し合っている。でも、全部どうでも良かった。私にとって唯一大切なのはあの人だ。私はあの人のために生きている)
アトランタ(アメリカも、日本も、戦争も心底どうでもいい。ただ、あの人に喜んでもらいたいだけ)
アトランタ(そして……ほんの少しで良いから私を見て欲しい。愛して欲しい。そのためにもここで提督さんに死なれたら困る)
アトランタ(だってもし提督さんを私が助けたってあの人が知ったら、きっとすごく喜んでもらえるはずだから。まあ、そうでもなきゃ提督さんがどうなろうと知ったことじゃないけど)
ドドォーン
アトランタ「!?」
~
コロラド「爆発!?っ……」ギロリ
提督(突然の爆発音にびくりと反応したコロラドは爆発音が続き、明らかに敵の攻撃だと理解すると俺を睨みつける。これが日本軍の攻撃だと思っているのだろう)
提督「もしこれが我々の攻撃だとしたら、我々は君たちの攻撃があることを攻撃前に知っていた事になる」
コロラド「っ……うるさい、そんなの分かってるわ!!これは深海棲艦の攻撃よ!!」
提督(俺の言葉にコロラドは牙を剥くと噛みつくようにそう怒鳴る。そうだろう。もともとハワイ近海で深海棲艦の活動は確認されていたのだ。しかし、今とは……)
提督「そうなるな。彼女たちの陽動作戦に違いない。なんてタイミングの悪い……君がここに居るということは、あまり状況は良くなさそうだな」
コロラド「あまり良くないどころじゃないわ!!最悪よ!!完全に奇襲されてる!!」
ジリリリリリリリリリリ
「「!!」」
提督(けたたましいベルの音が響く。敵の攻撃で火災が発生したのだろう。コロラドが俺を見る。泣きそうな顔をしていた)
コロラド「あっち向いてなさい!!見たら殺す!!」キッ
提督「っ!!わかった」サッ
コロラド「はぁっ!!っ……私の信頼を裏切ったら、死ぬほど後悔することになるわよ!!ついて来なさい」バギン
提督「もちろんだ。信頼には必ず応える。ありがとう、コロラド」
提督(コロラドが牢屋の扉を蹴り破ってくれる。小さくともさすが戦艦娘だな。俺は急いで牢屋から出つつコロラドにそう応えつつ、礼を言った)
提督(そして俺たちは並んで階段へと小走りで向かう。そこで上から降りてくるアトランタと看守の伍長と鉢合わせした)
アトランタ「っ、コロラド、提督さん」
コロラド「アトランタ、伍長!!大丈夫、牢屋は蹴り破ったわ!!逃げましょう!!」
アメリカ陸軍下士官「了解!!火は燃え広がりつつありますがエントランスはまだ大丈夫です!!」
コロラド「分かったわ!!」
提督(四人で廊下を走る。伍長が先導し、俺の左右をコロラドとアトランタが挟むようにして。いきなり廊下の明かりが消えた。電源が死んだのだろうか)
提督(もう夜だった。しかし外の明かりや炎のおかげで暗いが十分に視界が確保されている。エントランスに着き、刑務所から出ようとしたその時だった)
ヒューン
提督「っ!!伏せろ!!」バッ
アトランタ「うっ!?」ドサッ
コロラド「きゃっ!?」ドサッ
ドゴォン
提督(あの音が聞こえた。俺は両脇の二人を抱いて強引に倒れこむ。直後、爆発。少しして自分がまだ生きていることに気が付く)
アメリカ陸軍下士官「」
提督(顔をあげると前を走っていたはずの伍長が肉塊と変わり果てている様が視界に飛び込んでくる)
~
アトランタ「……!!」ゾクッ
アトランタ(もし提督さんに伏せさせられなかったら、あたしも伍長みたいになっていたかもしれなかった。提督さん、あたしの事を助けてくれたんだ)
アトランタ(提督さんの手が肩に回されて、強く抱きしめられている。とても力強くて安心した。提督さんの体温を感じる)
アトランタ(あの人にこうされたのはもうずっと前だった。ふと、思ってしまう。私はずっとあの人の言葉を信じてあの人の為に頑張っているのに……)
アトランタ(なのにあの人はあたしを抱きしめてすらくれないんだ……本当にあの人はあたしの事を想っているの……?)
アトランタ(あたしはこのままあの人を信じていいの……?不安になる……疑ってしまう……あの人を疑ってはいけないのに……っ……頭が……痛い……)ズキンズキン
~
提督「二人とも、大丈夫か!?」
アトランタ「っ……大丈夫」コクリ
コロラド「……!!」コクコク
提督(手で頭を押さえ、顔をしかめつつもこくりと頷いてそう言ったアトランタに対してコロラドは声もでない様子だ)
提督(いっぱいいっぱいといった表情で壊れた玩具のように何度も首を縦にふる。艦娘らしくこういうことに慣れていないのだろうな。海での戦いしか経験していないに違いない)
提督「よし、では行こう。さあ立って」
アトランタ「……」スクッ
コロラド「っ……ぁ、あれ……!?な、なんで……!!」ブルブルブル
提督(問題なく立ち上がるアトランタ。彼女は大丈夫そうだ。しかしコロラドは駄目だった。立ち上がろうするが、立ち上がれない。体がぶるぶる震えている)
提督「っ……コロラド、背負うぞ。いいな?」グイッ
コロラド「ご、ごめんなさい……」
ヒューストン「コロラド!!アトランタ!!」
「「「!!」」」
提督(腰が抜けたコロラドを担いで運ぶために背負おうとしていたところで声が聞こえてくる。そちらを見ると小集団がこちらに向かって走ってきていた)
コロラド「ひ、ヒューストン!!みんな!!」
提督「っ!!集まりすぎるな!!外で集団になるんじゃない!!散開しろ!!艦隊での対空戦闘とは違う!!」
ゥーン ダダダダダダダダダダ
コロラド「っ!!!!」
提督(俺が警告した直後だった。機関銃の音、そして土煙と血煙。一瞬の出来事だった。少ししてその惨状が露になる。立っている者は誰もいない。いや、たった一人だけ体を起こした)
ヒューストン「……」ベッタリ
提督(先程まで一緒に走っていた戦友の血や肉片を全身に浴び、呆然とした表情を浮かべている。どうも無傷のようだった。なんて運のいい子だ。しかし彼女は動けない。助けに行かなくては)
提督「っ!!」ダッ
コロラド「っ!!Admiral……!!おねがい……ヒューストンをたすけて……!!」ポロポロポロ
アトランタ「……」ジッ
~
中間棲姫「っ!?くっ!!」ハッ
中間棲姫(それは提督だった。私は反射的に射撃を中止してしまう。再度機銃掃射を加えようと機体を旋回させると、一人だけ体を起こしている奴が見えた)
中間棲姫(そして愚かにもそいつを助けようとしたらしい奴が建物から飛び出してきた。呆然自失とした様子の生き残りに向かって駆けていく)
中間棲姫(そいつらを二人纏めて葬り去ってやろうと射撃を開始した瞬間だった。偶然、何かが燃え上がり明るくなり、奇跡的に生き残りを伏せさせるために飛び掛かった愚者の顔が見えた)
中間棲姫(それは、提督だった。慌てて再突入を試みつつ付近の別の機体を同じ地点へ向かわせる。一分もかかってない。けれどそこにはもう提督も生き残りもいなかった)
中間棲姫「……!!う、撃てなかった……もう敵同士なのに……絶対にここで殺しておくべきだったのに……!!」タラリ
~
コロラド「ヒューストン!!ヒューストン!!」ダキッ ギュゥゥゥ
ヒューストン「コロラド……」
アトランタ「良く死ななかったと思う」
提督「はぁ……はぁ……運が良かった……弾切れか、あるいは何らかのトラブルか、明らかに敵の掃射が短かった」
提督「ともかく、私はまだ生きている。そして君たちも。じきに敵の空襲も終わるだろう。今はただ生き残ることに集中しよう」
↓×1~3
一連の出来事を踏まえてコロラド、ヒューストン、アトランタの心情と行動
及び中間棲姫の心情
ヒューストン「……っ!!あ、あぁ……そんな……そんな……!!はぁ……はぁ……うっ、げほっ!!げほっ!!げほっ!!うぐっ、はぁ、はぁ、はっ、はっ」マッサオ ガタガタガタ
提督「っ!!」
コロラド「ヒューストン!?どうしたのヒューストン!?ヒューストン!!」ゾワッ
提督(コロラドにヒューストンと呼ばれている彼女はその青ざめた端正な顔を恐怖に歪める。そして激しく咳き込むと過呼吸の症状を見せた)
コロラド「しっかりしてヒューストン!!ヒューストン!!」フルフルフル
提督(そんなヒューストンにコロラドは悲痛な声で呼びかける。ヒューストンの頭を撫でる手は震えており、コロラドもまた恐怖と不安に冷静さを欠いていた。過呼吸を発症した相手にこれではまずい)
提督「大丈夫だ、コロラド。私に任せてくれ」ポン
コロラド「A, Admiral……わ、分かった……」コクコク
提督(地べたに座り込みながら抱き合う二人のすぐ横に膝を付き、コロラドの肩に手を置いてまっすぐ目を見つめながらそう伝える。コロラドは何度もうなずきながらヒューストンの体を委ねてきた)
提督(ヒューストンはコロラドに力なくしがみ付いていたが、それをゆっくりと引き剥がして正面から抱きしめる。血の匂い。血塗れだが柔らかく温かく震えている体)
提督「ヒューストン。大丈夫だ。もう何も心配ない。私が君を守る。ゆっくり深呼吸するんだ」ギュッ ナデナデ
ヒューストン「はっ、はっ、はっ、はっ、げほっ!!げほっ!!ふっ、ふっ、ふっ」ギュゥウ
提督(ヒューストンが痛いぐらいに体を抱きしめてくる。俺はヒューストンの背中と後頭部にそれぞれ手を回し、優しくなでる。その耳元で歌を歌った)
提督(以前聴いたジョニーが凱旋する時のフォークソングアレンジだ。原曲よりもゆったりとしていて落ち着ける曲だと思う。それ以外にアメリカ人ならだれもが知ってそうな落ち着ける曲を知らないしな……)
~
提督「When Johnny comes marching home again…… Hurrah…… Hurrah……♪ We`ll give him a hearty welcome then…… Hurrah…… Hurrah……♪」ナデナデ
コロラド(Admiralはヒューストンを抱きしめて優しく撫でながらまるで子守歌のようにジョニーが凱旋する時を歌う。ヒューストンの呼吸がだんだんとゆっくり、落ち着いてきた)
コロラド「……」ジッ
コロラド(私はAdmiralの横顔を見つめる。この人はさっき私とアトランタの命を助けてくれた。そして、自分の命も危なかったのにヒューストンのことも)
コロラド「……」キュン
コロラド(私の一番奥のところが、きゅっとした。この人に……Admiralにぜんぶぜんぶ委ねてしまいたくなる。この人にならぜんぶ任せられると思った)
コロラド「……っ!!」ハッ
コロラド(ってなんてこと思ってるのよ私!!違う違う!!ああもう!!おかしくなりそう!!今の私、正気じゃない……そうよ……これも……今感じてしまったこの気持ちも……全部違う……そう……吊り橋効果よ……)
~
提督「大丈夫かな?」
ヒューストン「ええ……大丈夫よ……」
提督「それを聞いて安心したよ」
提督(俺はヒューストンの頭と背中に回してい手を戻す。ヒューストンもまた俺の背に回していた手をするりと解いた。ヒューストンがどうすればいいのかわからないといった表情で俺を見つめている)
提督「よし、では次の行動にかかるとしよう」スクッ
コロラド「次の行動って……どうするつもりよ?」キロリ
提督(立ち上がった俺にコロラドが強い口調で問い掛けてきた。コロラドに目を向けると一瞬だけ動揺したように表情が揺らぐ。向けてくる敵意は不自然で……無理矢理そう振舞っているように感じた)
提督「現状把握だ」
コロラド「逃げるのならこれ以上ないチャンスだと思うけど?」
提督「そんなつもりはないよ」
コロラド「……そう。とりあえず旧太平洋艦隊司令部の建物へ向かいましょう。あそこが司令部として使われる予定だった。司令官たちはまだ通常艦隊の旗艦から移動してなかったけど……」
ヒューストン「そうですね。生き残りもきっと集合してくるはずです。情報も集まるでしょう。そう遠くないですし、走れば十分ほどで着くかと」
提督「わかった、そうしよう」
提督(不気味な空襲警報のサイレンが響いているが、いつの間にか上空から敵機の姿が消えていた。高射砲の音も止んでいる。聞こえるのは炎が燃え盛る音、何かが誘爆したのか遠くから響いてくる爆発音)
提督(攻撃の第一波は終わったようだ。……遠からず第二波が来るだろう。コロラドとヒューストン、アトランタと共に上空を警戒しつつも急ぎながら港へ向かう)
アトランタ「……」グイッ
提督「っ!?」
提督(途中、急に腰に手を回され強引に引き寄せられる。驚き、その手の主を確認するとアトランタだった。アトランタがそっと耳元に口を寄せ、ウィスパーボイスで囁く)
アトランタ「提督さん、あたしから離れないで。絶対に。じゃないと提督さんを守れない」
提督「アトランタ……ありがとう。だが、私よりも自分自身を優先してくれ。私も自分の身ぐらい自分で守れる」
提督(そう返した俺にアトランタはジッと俺の目をのぞき込む。その幻想的な感じのする仄暗い霧のようなグレーの、しかしどこか昏い瞳の奥底を見透かすことはできない。アトランタが立ち止まる。俺も立ち止まった)
アトランタ「……ちゅっ」
提督「!?」ビクッ
提督(いきなり、キスされた。こんな時に場違いな柔らかい唇の感触。アトランタの甘い女の子の香り。つい動揺してしまう。アトランタは口を離すと俺の腰に回していた手で俺の手を握る)
アトランタ「手、離さないでね」
提督「あ、ああ……」
提督(アトランタが再び足を進める。小走りに。俺はアトランタに手をとられたまま港への道を進んでいった。一瞬の出来事で、今のが本当にあったことなのか分からない。だが、強く握られた手がさっきの出来事が現実だと示していた)
~
中間棲姫(ハワイへの進出。そしてそこを拠点としての実施されるサンフランシスコとサンディエゴの海軍基地への強襲は、アメリカ西海岸における戦いの決定打となるはずだった。あそこの『船渠』を破壊する)
中間棲姫(艦娘たちの恐るべき継戦能力の源である船渠は特定の場所にしか建設できない。北米大陸の西海岸にあるその二ヵ所だけ。それを失えば太平洋艦隊は継戦能力を失う)
中間棲姫(太平洋艦隊の艦娘たちも甚大な被害を受けるだろう。けど彼女たちが鉄道で東海岸へと撤退することを阻止するのは不可能。でも東海岸の船渠で入渠してアメリカがその被害を立て直すのには時間がかかる)
中間棲姫(アメリカ人たちが態勢を立て直す前に今度は東海岸で大西洋艦隊に決戦を挑む。私たちのほうが戦闘力自体は高い。少なくとも緒戦は我々が優勢となることは今までの経験から間違いない)
中間棲姫(大西洋艦隊を撃破してノーフォークやブルックリン、そしてカナダのハリフォックスの海軍基地を撃破すれば、敵は北米大陸における船渠をすべて失うこととなる)
中間棲姫(そうなればアメリカは降伏するしかなくなる。新大陸の全てが我々のものになる。陸における私たちの私たちによる私たちのための『国家』ができる)
中間棲姫(陸の世界へ堂々と足を踏み入れることができるはずだった。そう、我々の目的はアメリカ大陸の支配だ。全戦力の七割を対アメリカ合衆国戦に割いていた)
中間棲姫(残りの三割の戦力をもってして大日本帝国の海軍戦力が我々のアメリカ大陸侵略を妨害できないようにするために動いている)
中間棲姫(船団護衛や対枢軸国との戦闘に戦力を割かなくてはいけない連合国に対しては対米戦のついでで十分。アゾレス諸島を拠点化しての牽制だけで十分。余裕のない彼らは主体的に何かをしてくる可能性は限りなく低い)
中間棲姫(そして周辺に脅威が存在せず、間違いなく我々の前に立ちふさがるであろう大日本帝国に対しては奇襲攻撃から新型戦略爆撃機の発進基地の確保。そして爆撃によって船渠を破壊)
中間棲姫(それにより敵艦娘の継戦能力を奪う。それが同胞たちの描いていた青写真だった。アジア方面を担当する同胞たちは大日本帝国の本土へ侵攻し、降伏させる気満々だったけれど)
中間棲姫(けどそれは、アゾレス諸島沖海戦とシンガポール沖海戦で彼に阻止された。敵として彼と対峙していた時、彼は我々にとって正に悪夢だった)
中間棲姫(そして味方となった後、悪夢は守護者へと変わった。そして今、彼はまた悪夢となった。裏切りに手を染めた私たちに残されたのは勝利か、さもなくば死だ)
中間棲姫(あの時を、走る彼を仕留めるチャンスだったあの時を思い出す。勝つためにもあそこで彼を亡き者としなくてはならなかった。なのに、できなかった。撃てなかった)
中間棲姫(そのことに安堵してしまっている自分が腹立たしい。どちらの側に立っているの?中途半端な愚か者ね……何を今更そんなことを?醜い裏切り者が……そう自分に唾棄する)
防空理護姫「うそデショ……あァ……ソンナ……!!あじあニイルんじゃナカッタノ……!?」マッサオ フルフル
中間棲姫「……私も、見間違いであって欲しい」
防空理護姫「忌々シイきつね憑キ……滅ブべきフジョウリ……あぽめーかねーすておす……!!アノ男コソが終わりのハジマリだった!!かんむすめジャナイ!!」
防空理護姫「ウタレヅヨイ程度ならドウとでもナッタ……スクナクトモともあんなヒドイマケカタはしていなカッタ……アレさえ居なケレバ!!アノトキもアンナ……アンナことにナラナカッタノニ……」
防空理護姫「勝てるノニ!!ハワイからさんふらんしすこトさんでぃえごの船渠をハカイできればあめりかに勝てるノニ!!ナンデいるノヨォ……!!」
中間棲姫「……」
中間棲姫(彼がハワイにいる。それを知った彼女は激しく動揺して狼狽えていた。警戒についている他の部下たちがこの姿を見られずに済んでよかった。見られたら士気に悪い影響がある)
防空理護姫「コンドはナニヲするツモリ……!?ゼンブうまくイッテルはずナノニ!!ナンノ心配もナイはずナノニ!!全部アレのテノヒラの上でオドラサレテイルみたいにカンジル……」
防空理護姫「何かがオカシイ……ソウヨ……はわいは日本がセンリョウしているハズ……なのにナンデあめりか軍がイタ……!?しかもアンナ……日本のグンカンが湾内で沈ンデいて……」
中間棲姫(彼女は手で口を押えながら血の気のない顔で考えている。その疑問は私も持っていた。彼がなぜあそこでアメリカ人と一緒に……あれは明らかにハワイの日本軍をアメリカ軍が攻撃して全滅させている)
中間棲姫(まさか、アメリカに寝返った……?そうとしか思えない。でも、あり得ないと感じる。不測の事態だった。彼は何を考えている?あそこで何をしていた?嫌な汗が背筋を伝う。彼女の気持ちが痛いほどわかった)
中間棲姫(けれど不測の事態はあったものの奇襲攻撃は成功した。彼我の戦力差は圧倒的。作戦は順調どころか理想の展開だった。いくら彼でもどうしようもない。負けるはずがなかった)
中間棲姫「どちらにせよ、現在の状況は理想的な展開。敵の残存戦力は少ないし周辺に他の敵戦力は見当たらない。戦力差は圧倒的。負ける要素がない。彼にも不可能はある」
防空理護姫「っ!!ソ、ソウ……ネ……ソウヨネ……いくらアレでもこのアットウテキ戦力差をどうこうスルのはフカノウ。負けるはハズが……ナイ……」
~
提督(アメリカ旧太平洋艦隊司令部、そして大日本帝国海軍ハワイ警備府司令部が設置されていた建物には特殊作戦のため秘密裡に編成された第一特殊任務部隊)
提督("The Devil`s Fleet(悪魔の艦隊)"の生き残りが集結しつつあった。そこで情報を収集する。日本人である俺に対し嫌悪感を露わにし、情報を共有することを渋る者も多かった)
提督(しかしその場で最先任かつ最も階級の高いコロラドが俺の同席を認め情報共有を命令したことでなんとか情報を得ることができた。現状は、悪かった)
提督(分かっていたことだが、第一特殊任務部隊の通常艦隊はそのことごとくが撃沈されていた。現在、飛行艇や小型艦艇による生き残りの捜索救助が行われているとのことだ)
提督(司令官や参謀たちは戦死したらしい。よって、コロラドが第一特殊任務部隊における最上級者となったことが明らかになった)
提督(また、現在の第一特殊任務部隊に残された戦力は大きく低下していた。通常艦は湾内に居た輸送船と駆逐艦をいくつか残して全滅)
提督(艦娘たちも半数が死傷し、生き残りも我々大日本帝国に対する奇襲攻撃と深海棲艦の奇襲に対する応戦で消耗している)
提督(航空戦力はほぼ全滅。生き残りは飛行場へ移動していた通常艦隊空母の艦載機が少しと空母娘の航空隊、そして数機の飛行艇)
提督(陸上戦力は未だ確認中だが完了を待っている時間はもうないだろう。攻撃が終わってから一時間近く経っている。いつ第二波攻撃が来てもおかしくない)
提督(我々は司令部を良い目標となるそこから適当な建物に移動した。万が一敵の攻撃があっても目標とならないような、しかし付近へ散開した残存戦力がそれぞれ連絡を維持しやすい場所の建物へと)
提督(現状、コロラドがここにいる全部隊の司令官となっている。しかし、艦隊戦闘においてプロフェッショナルであろう彼女も戦域レベルでの状況判断と決断は荷が重いようだった)
提督(そういう教育を受けていないし経験を積んだこともないのだから当たり前だ。俺はコロラドに監禁場所へ連れていくという名目で廊下を歩かされる。隣にはアトランタがいた。監視のためと俺にずっとついてくるのだ)
コロラド「……」ジッ
提督(個室へと入り、振り向いたコロラドが縋るように俺を見る。この戦域において戦域レベルでの状況判断と決断ができる唯一の人物である俺の助けを求めていた)
提督「深海棲艦はハワイの占領を目的としているだろう。そして現有の戦力でそれを阻止するのは不可能だ。おそらく君たちにはハワイを本格的に確保するための後詰が控えているのだろう」
提督「しかしそれなりの大規模な部隊を深海棲艦に襲われる危険があるのに海上で待機させるわけがない。サンディエゴかサンフランシスコで待機しているはずだ」
コロラド「……」コクリ
提督「君たちが我々への奇襲攻撃を成功させた時点でその後詰を呼んでいたとしても、これから行われるであろう深海棲艦たちのハワイ占領を目的とした侵攻には間に合わない。撤退するしかないだろう」
コロラド「っ……そう……ね……本国からも撤退の許可が出た……でも撤退の準備に時間がかかるわ。敵は近い。準備中や撤退中に敵の追撃を受けたら……」
提督「被害は拡大するだろう。最悪、輸送船は全滅するかもしれないし、君たちも無事では済まないかもしれない」
提督「しかし……君たち行動可能な艦娘たちだけで今すぐ撤退を開始すればおそらく追撃を受けることなく無事に撤退できる」
コロラド「っ!!」キッ
提督(俺の言葉にコロラドが目を見開き口を開くが言葉は出てこない。この戦い初めて経験したであろう凄惨な戦場の真実がコロラドの心を蝕んでいるのだ)
提督「……」ジッ
コロラド「!!」ピクッ
提督(恐怖に怯え揺らぐコロラドの目をじっと見つめる。互いの視線が交差した。瞬間、コロラドがの表情が何か別の感情で歪む。体を震わせながらも鋭い眼光で俺を睨んだ)
コロラド「っ……仲間を見捨てるなんて……あり得ないわ……」フルフルフル キロリ
提督「ああ、そうだ。それだよ、コロラド」
コロラド「……?」
提督(俺の言葉にコロラドが困惑したように眉根を寄せる。あの頃、どんなに厳しく絶望的な状況であろうとも戦うことができるのなら。彼女たちの瞳からこの崇高な光が消えることは無かった)
提督「アメリカンスピリッツだ。我々の大和魂とは別の、しかし勝るとも劣らないものだ。かつてこの上なく心強い仲間であり、今や我々にとって一番恐ろしい敵となってしまった」
提督「しかし、こうしてまた頼もしく思うことがあるとは。あの頃に戻ったかのようだよ。懐かしい……」ニコリ
コロラド「……。私たちを貴方たちの敵にしたのは、他の誰でもない貴方たちよ……」
提督(コロラドが複雑な表情で目をそらしながらそう呟く。俺の心にも、時代のうねりに翻弄されたやるせない、叫びたくなる感情の嵐が吹き荒れた。それを無理矢理押さえつける)
提督「……しかし、今この時だけ。我々はあの頃のように戻れるはずだ。コロラド、I have "The Ruse"(私に"良い考え"がある)」
コロラド「"The Ruse(良い考え)"……」
~
ヒューストン「Ten-hut(気を付け)!」
コロラド「At ease(楽にして). これからの方針を伝えるわ。私たちは味方撤退の時間を稼ぐために打って出る」
「「「「!!」」」」
コロラド(私の言葉に場の空気が張り詰める。皆が真剣な表情で私に注目していた。頼もしい仲間たち。今から私は、私を含めたこの場の全員の命をベットして勝負しなくちゃいけない)
コロラド(Admiralの提案した作戦は無謀ではない。それでもハイリスクだった。けれど、ハイリターンが望める。上手くいってもリターンがない可能性もあるけど)
コロラド(それでも、するだけの価値があると思った。この"TARFU"な状況を何とかすることができる。分の悪い賭けじゃない。それに……あのAdmiralの作戦だ)
コロラド(噂は聞いてる。嘘みたいな活躍。特に追い詰められた時や圧倒的不利な状況で奇跡的な勝利を何度もその手にしてきた)
コロラド(あのウォースパイトもAdmiralに一目置いているらしい。さすがに恋仲ってのは尾鰭が付いているだけだろうけど。私はAdmiralの作戦をみんなに伝える。発案者が彼であることを伏せて)
コロラド「空襲してきた敵機の中に陸上機がいたわ。つまり陸上機の航続距離内に陸上型深海棲艦が存在する。そしてその候補地はただ一つ。ジョンストン岩礁よ」
コロラド「私たちは唯一場所が分かっているジョンストン岩礁の敵を攻撃するわ。この海図を見て。艦隊はこのドロップポイントまでPBMに搭乗して飛んでいく」
コロラド「敵に遭遇しないよう北へ迂回しつつ、レーダーに映らない低空飛行でね。夜だけど今日は満月で明るいし波も高くない。合衆国海軍のパイロットの練度は世界一よ。余裕だわ」
コロラド「ドロップポイントに到着したら降機してジョンストン岩礁の敵を強襲する。やつらに思いっきり”かまして”やりなさい!!」
コロラド「暴れまくってあいつらをわからせてやったらすぐにこのランディングポイントまで移動。待機しているPBMに搭乗してヤバくなる前に帰る。いいわね?」
「「「「Yes, Ma`am!!」」」」
~
提督「通信部隊や航空隊は大丈夫そうか?」
コロラド「ええ、もちろんよ。準備は完璧。あとは、やるだけ。蹴散らしてやるわ」
提督(出撃前の最後の挨拶に来たコロラド。ついさっきまで居た怯えて震えるか弱い女の子はもういない。そこに居たのは我々帝国海軍の最も恐るべき敵。合衆国海軍の戦艦娘だった)
コロラド「じゃ、行くわね。勝ってくるわ」
提督「幸運を」
提督(歩いていくコロラドは振り返ることなく手を上げて応えた。部屋のドアが閉まる。俺は一応捕虜という扱いのため、部屋から出ることは許されていない。飛び立つ飛行艇を見送ることすらできないのだ……)
~
中間棲姫(暫く静かだったハワイの敵が発信した謎のモールス信号。私はすぐにそれが和文モールスであることに気が付いた。今までのアメリカ軍の通信ではない。日本軍だ)
中間棲姫「っ!!!!」ゾクッ
中間棲姫(そう意識して解読した瞬間、心臓が止まりそうになった。ある一文とそれに続く四桁の数字。知っている。私はこれを知っている。この暗号の意味することを……!!)
中間棲姫「ニ、ニイタカヤマノボレ……!?」タラリ
防空理護姫「ニイタカやまノボレ……?龍宮コトバというコトハ……ニホン……っ……ナニかしらカノ暗号デショウネ」
中間棲姫「そう……これは暗号……以前、一度だけ使われた……」
防空理護姫「ド、ドウイウイミなの……?」
中間棲姫「……攻撃実施は本日とするって」
防空理護姫「コウゲキ……!!」サァッ
中間棲姫「けれど帝国海軍に動きがあれば必ず我々の哨戒線に引っかかるはず……それに昔使用した暗号をもう一度使うなんておかしい」
防空理護姫「ソウヨ……テイコク海軍はゼッタイにウゴいてナイ……!!」
中間棲姫(喉がカラカラだった。何かが起きている。それが何なのか把握できていない。まるで深い霧の中、崖に向かって歩いているような……)
中間棲姫(そんな……そんな何の根拠もないはずなのに背筋が凍るような恐怖をどうしようもなく頼りないように感じる論理で強引に押さえつけるしかなかった)
~
コロラド「Let`s Rock'n'Roll(お楽しみの時間よ)!!蹴散らせ!!」
「「「「Hoo-yah!!」」」」
コロラド(敵の数は多い。けれど私たちの逆襲に混乱を通り越して恐慌状態に陥っていた。練度が低い。ひよっこたちね。奴らも限界を迎えつつあると思うと安心できた)
ネ級「Φασκέλωμα(呪われろ)!!ヤツラ何処から湧いてキタ!?」
リ級「カッテいたんジャないノカ!?ドウシテここが攻撃サレテル!?」
コロラド(血と炎と砲火。敵のほうが多い。でも私たちが圧倒している。最高の気分だった。爆音、爆発、独立記念日の花火大会みたい。敵艦隊の旗艦を捉える。姫級、『防空理護姫』。"ごちそう"だわ……!!)
コロラド「Target in sight!!姫級よ!!プランB!!艦隊を分けるわ、ヒューストン!!あなたの指揮であいつを月まで吹っ飛ばしてやりなさい!!」
ヒューストン「Yes ma`am!!聞いたわね皆!?艦隊、前へ!!」
コロラド(作戦計画では敵旗艦が鬼か姫級であった場合は戦力を割いて攻撃することになっていた。私は引き続きジョンストン岩礁へ向けて突撃を続ける)
コロラド「そろそろ敵艦隊を突破するわ!!敵機が来る!!任せたわよ、アトランタ!!」
アトランタ「Wilco(了解)」
~
南方戦艦新棲姫「攻撃サレタ……!?」
南太平洋空母棲姫「!!」
防空理護姫『ソウヨ……デモ戦死はスクナイしマダ戦える。トモカク、現在のジョウキョウは意味フメイ!!少なくともこのセンイキにはあめりか軍とニホン軍が存在シテイル!!』
防空理護姫『ヤツラがお互いにテキタイしているのキョウトウしているのかスラ我々は分かってイナイ……
防空理護姫『タシカなのはキョウリョクな敵カンタイがフキンに存在シテイル可能性がタカイというコト!!ソコラジュウからヤツラのデンパを受信シテイルでショ!?』
南方戦艦新棲姫「タ、タシカニ西カラ東ニかけて広範囲カラもーるす信号ヲ受信してイル」
防空理護姫『それは帝国カイグンのモノで『トツレ』が『突撃準備隊形ヲ作レ』、『ト』レンソウで『全軍突撃』、ソシテ『トラ』レンソウで『我奇襲ニ成功セリ』をイミするラシイ!!』
南方戦艦新棲姫「ツマリあの信号ハ哨戒中のセンスイカンやショウカイキのものでなく、敵カンタイやコウクウタイがハッシンしているモノで、ヤケニ多いノハ位置がバクロするのをフセグための偽装というコトカ」
南太平洋空母棲姫「ハワイの敵センリョクは壊滅シテイルけど敵カンタイの規模はフメイ……敵カンタイの捜索ゲキハの方が重要。トイウヨリ……」タラリ
南方戦艦新棲姫「今このシュンカン敵のコウゲキを受けてもオカシクナイ……!!各員にツウタツ!!我々は敵に位置をホソクされている可能性がタカイ!!直ちにゲンザイイチを離れ敵カンタイの捜索にアタル!!」
~
提督(俺の謀略はコロラド達による反撃と生き残りの航空隊に帝国海軍の暗号を使用した情報戦によって敵に間違った判断をさせ、時間を稼ぐことだ)
提督(我々の思わぬ反撃に加えてあたかも付近に帝国海軍の部隊が存在し、今まさに更なる攻撃を開始せんとしているかのような通信を実施することで奴らは存在しない敵の存在を確信するはずだった)
提督(そんな俺の謀略に見事に嵌った敵深海棲艦は、我々の予想以上の時間を存在しない帝国海軍の捜索に費やした。夜が明けると飛び立つ大量の偵察機)
提督(当然、彼女たちが探すものが見つかるはずもなく時間は無為に過ぎていく。昼過ぎ、”騎兵隊”が到着した。アメリカ合衆国海軍の艦隊がハワイ付近に展開したのだ)
提督(昨晩、コロラドからの緊急通信で状況を把握したアメリカ軍は素早く動いたようだった。俺がそうしたように、艦娘たちを航空機でハワイ付近まで空輸してきたのだ)
提督(あの攻撃の後、通信でそのことを知ったコロラドは通常戦力等を撤退させたが、自分たちはホノルルに残ることを決断した。その時は深海棲艦がいつ捜索を打ち切りハワイへの侵攻を再開するかわからなかった)
提督(しかし、おそらく日の出の後、偵察機による捜索がある程度行われるまでは捜索が行われると考えたためだ。その場合、少しだけ時間を稼ぐことができれば援軍が到着する。その時間稼ぎができると判断したのだ)
提督(俺も撤退する部隊と一緒にアメリカ本土へ送られそうになったが、コロラドたちを説得してここに残ることができた。もっとも、説得は非常に簡単だったが)
提督(コロラドたちは俺を確実に確保するため安全な所へ送らなくてはならないという事は分かっていたが、厳しい状況に強い不安を感じていたのだろう。本心では俺に一緒に残って貰いたいと思っていたようだった)
コロラド『……分かったわ。Admiral……ここに残ることを許可します……』ギュッ
提督(自分が明らかに間違った判断をしている。自分の心の弱さに負けて。それをコロラド自身も理解しているのだろう。俯き、苦虫を嚙み潰したような表情で手を固く握りしめながらそう言ったコロラド)
提督(その表情はどこか背筋をゾクゾクとさせ、嗜虐心が擽られた。っ……話が脱線したな。ともかく、俺はホノルルに残りコロラド達は時間稼ぎのための過酷な戦いをすることもなく援軍が到着した)
提督(それを知った深海棲艦たちはハワイ占領を諦め撤退していった。そして今、安全を確保した援軍たちが哨戒に就く子たち以外が真珠湾に入港してきているようだった)
~
コロラド「ワシントン!!サウスダコタ!!」バッ ダキッ
ワシントン「コロラドさん、無事でよかったわ」ギュッ
サウスダコタ「こうして、生きてまた会えただけで嬉しい」ギュッ
コロラド「っ……戦死者がでたわ……たくさん……」ジワッ ポロポロ
ワシントン「……それは、仕方ないわ。コロラドさん。戦争だもの……」ウルッ
サウスダコタ「……想定外の事態だった。厳しい状況の中、生き残れた者も多い。誇るべきだよ、コロラド」
コロラド「ぐすっ……あ、あとね……私……み、民間人を……たくさん殺しちゃった……皆にも……させちゃった……うぅ……あ、赤ちゃんだって……殺しちゃった……!!」ブルブル ボロボロ
「「っ……」」
ワシントン「……コロラドさん。死闘で、侵略者があらゆる人間的な感情を踏みにじってくるのに、抵抗する人々がボロボロになった倫理や道徳にいつまでも縛られていたら……正義は無くなってしまうわ……」
サウスダコタ「始めたのは、奴らだ。悪事を犯した奴らが酷い報いを受けただけだよ。……コロラド、あの提督を捕虜にしたのだろう?今、どこにいる」
~
バンッ
提督「!!」
提督(ドアが乱暴に開かれる。そこに立っていたのは二人の若い女性だった。一人は眩いロングの銀髪。頭頂部あたりでぴょんと一房跳ねている。所謂、アホ毛というやつだ。水銀のような美しい銀の瞳)
提督(もう一人はとても不思議な、光が当たっていいる外側は青く、しかし光の当たらない内側は赤く、ところどころひとすじだけ白く見える髪をロングにしており、メッシュを入れるように一部を染めているのか右側頭部あたりに白い星が浮かんでいる)
提督(言葉にすると異様なそれはしかし、彼女を実際に見てみると芸術品として完成されていた。ブラックダイヤモンドのような煌めく暗い灰色の瞳)
提督(彼女たちはその整った顔に嫌悪と怒りに満ちた表情を浮かべ俺を睨みつけていた。俺は立ち上がり、正対する。ずかずかと入り込んでくる二人)
コロラド「ワシントン!?サウスダコタ!?」
アトランタ「お待たせ。なんかあった?」ガチャッ
サウスダコタ「……You scum, bastard, fuckin' JAP(この最低最悪のクソジャップめ)!!」グッ ドゴォ
提督「ぐっ!?っ……」ドサッ
ワシントンが提督の顔面に右ストレートを叩き込む。首がもげていないという事は艦娘の力を発揮してはいないのだろうが、人間としては全力だろう
あまりにも突然のことで提督はもろにそれを喰らって床に倒れこんだ。脳が揺らされ意識が朦朧としている。咥内を切ったのか口から血が流れた。
ワシントンとサウスダコタの剣呑な雰囲気に危機感を覚え何とか宥めようと無駄な努力をしながら付いてきていたコロラドとコーヒーを二人分淹れてキッチンの扉を開けたアトランタは
サウスダコタの右ストレートが提督を打ち抜きその場に倒れこむ光景を目の前で目撃することとなった
また、詳しくは知らないハワイ関連のおそらく不正規戦闘に従事して、自身も評価していた合衆国海軍の提督や同じ艦娘の戦友たちを含む大勢の死傷者が発生するような激しい戦闘を戦ったコロラドと無事再会し、
想像を絶するような過酷な戦闘で消耗しきり、悍ましい闇を背負わされ、精神がすり切れそうな彼女を前にして珍しくサウスダコタとの確執を忘れていたワシントン
その言葉にできない激情をすべての元凶である大日本帝国、その中でもアメリカにとって特に悪名高い帝国海軍の提督にぶつけてやろうとしていたが、サウスダコタに目の前で獲物をとられた
↓×3 アトランタとコロラド、ワシントンの反応
コロラド「……ぇ?ぁ……!!」サァッ
アトランタ「っ!!」ギラリ バシャッ ドンッ
サウスダコタ「熱っ!?なにしやがうぐっ!!」ドサッ
ワシントン「えっ!?アトランタ……!?」
コロラド「いやぁああああああああああ!!Admiral!!」バッ
アトランタ「死ねアバズレ……死ね……!!!!」グッ ドゴッ ドゴッ
サウスダコタ「ぶっ!?ぐっ……!!」タラリ
ワシントン「り、理解が追い付かないけど……良い画だわ」
サウスダコタ「あぁああああ!!」グイッ
アトランタ「うわっ!?」ドサッ
提督「っ……」グッタリ タラリ
コロラド「Admiral!!Admiral!!しっかりして!!っ!!血、血が……!!」ダキッ ユサユサ ビクッ サァッ
提督(何が起きたのかよくわからなかった。何かがおかしい。口の中が生暖かく、鉄の味がしていることに気が付く。涙を零しながら目の前でコロラドが何か言っているようだ)
提督(なんて言っているんだ……?うっ……揺らさないでくれ……猛烈な気持ち悪さだった。視界の端で誰かに馬乗りになって殴りつけていたアトランタが背中から倒れる)
提督(マウントポジションをとられていた子が強引に体を起こしたようだった。あの子……そうだ……俺はあの子に……コロラドが俺を強く抱きしめてくる)
コロラド「Admiral……!!Admiral……!!」ダキッ ギュゥゥゥゥ ポロポロ
サウスダコタ「やめろバカ!!気でも狂ったか!?」タラリ フラフラ ギロッ
アトランタ「死ね!!おっ死ね!!」ドガッ ドガッ
サウスダコタ「いっ!?ぎぃ!!チッ!!」ビキッ ブチッ
ワシントン「わお、いいのが入ったわね」
アトランタ「おっ死ねアバズレ!!」グッ
サウスダコタ「てめぇが死ねアトランタ!!」ガシッ ブンッ
アトランタ「うっ……!?がっはぁ……!!」バンッ ドサッ
提督「!!」
提督(背中から倒れた姿勢のまま俺を殴った子に強烈な蹴りを入れていたアトランタは、三度目の蹴りを入れた瞬間その足を掴まれる)
提督(そしてそのまま壁に向けて投げ飛ばされた。壁に激突し、床に叩きつけられるアトランタ。壁のアトランタが叩きつけられた所はクレーターのように陥没している)
提督(普通の人間なら死んでいてもおかしくない。艦娘といえど無事ではすまないような事態だ。何とかアトランタのもとへ向かいたい。しかし俺の体は言う事をきいてくれない)
提督「ア……トラ……ンタ……!!」
ワシントン「ち、ちょっと待ちなさいサウスダコタ!!今のはシャレにならないわよ!?」
サウスダコタ「あぁ!?てめぇの目は節穴かワシントン!?あいつの方がシャレになってなかっただろうが!!殺す気で来てたぞ!!」ギロリ
ワシントン「っ」タジッ
サウスダコタ「うぐっ……クソ、脳を揺らされた……血が……鼻、折れてないだろうな……?」フラフラ ドクドク
ワシントン「ど、どうしようコロラドさん……コロラドさん?」
コロラド「Admiral……お願い……死なないで……!!」ブルブルブル ハイライトオフ
ワシントン「っ!?大丈夫ですかコロラドさん!?」
ウゥーーーーン
ワシントン「なっ!?」
サウスダコタ「空襲警報……!?」
~
真珠湾がアメリカ軍に奇襲された日の昼ごろには日本はハワイとの通信が途絶したことを把握していた
帝国海軍軍令部は至急艦隊を編成しミッドウェーまで航空機で移動させてからハワイへ向かわせる方針を決定するとともに、
艦隊がハワイへ着く前に潜水艦娘の中でも偵察能力に長ける潜水空母娘にハワイの状況を調べさせる事を決定した
それを受けた艦娘艦隊司令長官は比較的ハワイに近い海域で活動していた何名かの潜水空母娘にハワイへの急行と水偵を用いた偵察を行う事を命令した
その中の一人である彼女は命令を受け取ってすぐに全速力でハワイ近海へと向かい、一日後、作戦海域に到着した
彼女は水偵を発艦させ、レーダーに捉えられないように低空飛行で真珠湾へと向かわせる。そして到着直前で偵察に適した高度へと上昇させた
見たのは戦艦や空母を主力とした通常艦隊が真珠湾で無残に撃沈されている様とその周辺に停泊したり航行したりしている合衆国海軍の艦娘たち
そして爆撃や砲撃を受けたように廃墟と化したホノルル市街と司令部前の旗ポールに掲揚された風にたなびく星条旗だった。眼下の街で空襲警報のサイレンが鳴り始める
彼の地で何が起きたのかはもうわかった。見える限りの敵戦力も把握した。高射砲の射程に入ったり敵の戦闘機が上がってきたりする前に偵察機を引き返させる
↓×1~3 潜水空母娘一人と提督に対する思い。そしてそこに居た提督も無事ではないことは確実で、最悪……いや、おそらく死亡しているという事実に対する心情
伊58(どうしてこんな酷いことが起きるの……世界は平和になったんじゃなかったんでちか……?いや……きっと平和なんてないんだ。小さい頃は戦争なんてなくて……平和だって思ってた……)
伊58(……でも、幼すぎて知らなかっただけでち。きっとあの頃からずっと、本当に平和だった時なんてないんだ。大化の改新だって、平家物語だって、戦国時代だって)
伊58(新撰組だって、日本海海戦だって、何か良い事みたいに扱われてるけど、全部血の流れた戦いだったでち。あと何回こんなことが繰り返されれば……世界は平和になるのかな……)
伊58「……」ハイライトオフ
伊58(それを見て何があったのかを察したでち。ハワイには軍民合わせて三万人の人がいた。拠点の規模に対して比較的少ないのはここが最前線だから。人がいる区画は限られてる)
伊58(その区画を囲うように黒い線が……火災が起きた跡がある。っていう事は、逃げられないように焼夷弾で炎の壁を作ったんだ。皆殺しにするために……入念に計画された明らかにそれを目的とした攻撃)
伊58(攻撃されたのは通信が途絶えたあの日に違いないでち……ちょうど提督がハワイに着く予定だった日。提督も音信不通ってことは、攻撃に巻き込まれたってこと。こんな手際の良いやつらが提督をみすみす逃がす訳ない)
伊58「っ……」ジワァ
伊58(この気持ちを自覚したのはつい最近でち。きっかけはあの日。提督とユーを二人きりにしちゃったあの日に、ゴーヤは気づいちゃった……)
伊58『……さーて。今日はもう疲れたでち。早く部屋に戻って寝たい気分。だからお先に失礼するよ。お休み、二人共』
U-511『っ!!G……Gute nacht, でっち!!』
提督『っ!あ、ああ。お休み、ゴーヤ』
伊58『っ……?』スタスタスタ ズキン
伊58(心に感じる痛み。何か取り返しのつかない過ちを犯してしまったような感覚。二人のことが気になって気になって仕方がなかった。それで気づいちゃったでち。ゴーヤは……提督が好きなんだって。結局、寝れなかった)
伊58『……そ、そういえばユー』
U-551『?』
伊58『提督とは、うまくいったでちか?』
U-511『……Ja///』カァッ コクン
伊58(顔を赤くして恥ずかしそうに俯いたユーは、小さな声で、でも確かにJa(うん)って言った……あの時、平静を装っていたけど……本当はその場で轟沈しそうになってたでち)
伊58『そ、その……した……の……?』ドクン ドクン
U-511『///』コクン
伊58『……どうだった?』ハイライトオフ
U-511『うぅ……その、ね……すごくよかった///』モジモジ
伊58(幸せそうな顔。そのあと、部屋で寝込んだでち。始まる前に終わってしまった、いや、自分で終わらせてしまったゴーヤの恋。でも、そうじゃないって知った。あの日、偶然イムヤとイクの話を聞いたから)
伊58『……』スタスタスタ
伊168『うわ、なにこの水着。紐じゃん』
伊19『スリングショットなの。提督もきっと喜ぶのね』
伊168『えー水着姿とか裸なんていつも見せてるんだから逆に綺麗な服とか可愛い服着た方が喜ぶんじゃない?』
伊58『!?』ピクッ ピタリ
伊19『今度の休みにグラサンとかしてバレないようにしてこれ着てビーチとかプールで提督と並んで歩くのね』
伊19『提督はイクみたいな可愛いくてえっちな体した子にこんな格好させて歩かせてるってこととそれを周りに見せつけてるってことに興奮して夜はケモノになるの』
伊58『ぇ……』ドクン
伊58(イムヤとイクの話は提督とそういう関係だって言ってるようなもので……ユーが居るのに……いや、もしかしてユーの方があとかも……というか、あの二人は提督が他の子ともそういう関係でもいいでちか……?)
伊58『ユー。提督とはうまくいってるでちか?』
U-511『Ja. もちろん』
伊58『それならよかった。……でも、ユーもたいへんでちね』
U-511『えっ?』
伊58『てーとく、人気あるから。きっと大変。もしかしたら略奪愛とか狙ってる子もいるかも』
U-511『ふっ。それは絶対大丈夫』クスリ
伊58『そ、そうでちか。それならよかったでち』
U-511『……まあでも、Admiralならうわきも赦しちゃうかな』
伊58『!!』ドクン
伊58(うわきも……ゆるしちゃう……なら、いいよね……?ユーがそういうなら……イムヤもイクもしてるんだし……ゴーヤがしたって……いいでちよね……?そんな昏い炎がゴーヤの中で燃え上がった。だからゴーヤは……)
伊58(今回この任務に割り当てられたのはゴーヤにとって絶好のチャンスだと思ったでち。提督のピンチに颯爽と現れるゴーヤ。そうすればきっと提督もゴーヤのことを意識してくれるはず。……そう思っていたのに)
伊58「っ」キッ
伊58(いや、違う。まだあきらめちゃだめだ。提督は、どんな時だって一度も諦めたりしなかった。どんな時も、思いもしなかったような解決策を閃いて何とかしちゃう。そんな人でち)
伊58(ソビエトでも北アフリカでも大西洋でもシンガポールでもそうだった。今回もきっとそうでち。提督は、きっといきてる。また奇跡を起こしているに違いないよ。なら、ゴーヤは……)
伊58「待っててね、てーとく。今ゴーヤが行くよ」
伊58(電信で偵察結果を報告する。個人的感想を排除して、ただ見たありのままの状況を。報告を終わらせて、ゴーヤはそのままハワイへ向かうでち。自分の直感を信じて)
↓×1~3 先ほどの右ストレート事件の騒動を踏まえて、これからの対応を協議しなくてはならないコロラドの精神状態
コンマ00は秒が偶数なら100、奇数なら00で、コンマと秒数が同じ場合、レスが後の方を採用という事でお願いします
~
ウゥーーーーン
ワシントン「っ……と、とりあえずすぐに防空壕へ行かないと!!コロラドさん、っ!?」ゾクッ
コロラド「……」ギロリ ゴゴゴゴゴゴ
ワシントン(コロラドさんはまるで仇を見るような目で私を睨み付けていた。チャーミングな童顔を怒りに歪ませて。たじろいでしまう。殺意を向けられているのが分かった。空気が鉛のように重い。背筋に冷たいものが走る)
提督「っ……コロラド……」モゾリ
コロラド「っ!!」ハッ
ワシントン「っ……」ストン
ワシントン(コロラドさんが腕に抱く帝国海軍の提督がかすれた声をだした。コロラドさんが視線をその男に向ける。プレッシャーが途切れた。その場に座り込んでしまう。息をするのを忘れていたことに気が付いて、大きく息を吸った)
ワシントン「はぁ……はぁ……」
ウゥーーーーン
提督「……」ジッ
コロラド「……」ギュッ
ワシントン(空襲警報のサイレンがどこか遠くに聞こえた。日本人とコロラドさんが見つめあう。どうしてそんな慮って慈しむような顔で……そのJAPをみるんですか、コロラドさん……?)
コロラド「……避難しましょう。サウスダコタ、自分で歩けるわね?」
サウスダコタ「は、はい……」ビクッ
コロラド「ワシントン」グッ スクッ
ワシントン「っ」ビクッ
ワシントン(日本人を、まるでハリウッドスターがヒロインにするように横抱きにして立ち上がったコロラドさん。私を見るその眼差しはさっきのが見間違いのように平静なものに戻っていた)
コロラド「アトランタを運んで。行くわよ」
~
合衆国政府高官『いいだろう。君の言う通りこれはGodsend(棚から牡丹餅)だ。やってみてくれ』
コロラド「ありがとうございます、閣下」
合衆国政府高官『すべてがうまくいくことを祈ろう。幸運を、コロラド嬢。See you soon』
コロラド「See you soon」
コロラド(提督の提案に乗る許可を政府高官から取り付けた私は交信を終了すると、後ろで待機していた皆を振り返る。今の更新はスピーカーにしていた。皆もその内容を聞いている)
コロラド「聞いたわね?許可が下りたわ。我々はAdmiralの提案に乗って日本と交渉する」
コロラド(私の言葉に、改めて皆は動揺を露わにした。互いに目配せを交わし、落ち着きなさげにそわそわとしている。不安が艦隊の雰囲気に悪い影響を及ぼしていた。私は皆に語りかける)
コロラド「……ごめん。これには緘口令が敷かれてるし、こんなこと戦友に知られたくないって子も多いはずだわ。でも、言わなくちゃいけないと思う。仲間たちに同じ罪を背負わせてしまう前に……」
コロラド「物事が行くとこまで行ってしまって、ナチスとコミュニストみたいになる前に。手遅れになる前に。恨んでくれてかまわない。緘口令違反で告発したかったらして頂戴。でも、お願い。これが終わるまで待って」
コロラド(みんなの視線が私に注目している。じっと、静かに集中して私の話を聞いてくれていた。私は、自分の心の中のこの思いをなんとか言語化して皆に伝える)
コロラド「私たち"The Devil`s Fleet"は、皆も察してると思うけど、ハワイでの不正規戦闘に従事したわ。ハワイの日本人を皆殺しにした。それを深海棲艦がしたことにして、奴らから私たちがハワイを解放したことにする」
コロラド「私は、艦隊の皆に民間人の虐殺を命令したわ。最悪の国際法違反。死刑間違いなしよ。責任は、全部私にある。皆には自分を責めないで。全部、私のせいだもの」
ヒューストン「ち、違います!!貴女のせいではありません!!」
コロラド(そう言った瞬間、ヒューストンが悲鳴のような声をあげる。それをきっかけにして第一特殊任務部隊の皆が口々にヒューストンに同意してくれた。それだけで、心が救われた。私は手で皆を制して、お礼を述べてから話を続ける)
コロラド「正直、最初は最高の気分だった。パールハーバーの復讐をしてやった。JAPどもに報いを受けさせてやった。そう思ったわ。でも、上陸して自分が何をしたのかを直接見て、背筋が凍ったわ」
コロラド「死体の山だった。私がそれを作っただなんて認めたくなかった。老人や……っ……赤ちゃんまで……私の手は、取り返しがつかないぐらいに汚れちゃった。あの子はパールハーバーに……戦争に何の関係もない……!!」ジワァ ポロポロ
コロラド(目から熱いものが零れてしまう。視界がゆがんだ。皆が沈痛な面持ちで顔を俯ける。私は少し、話せなかった。何とか気持ちを落ち着かせて言葉を続ける)
コロラド「戦争になったら、酷いことになる。でも、今、私たちはAdmiralという鍵を持ってる。彼は帝国海軍の提督で、因縁の相手よ。でも、彼は合衆国と日本の戦争を望んでいない。平和的な解決を望んでいる」
コロラド「援軍到着までの時間を稼ぐのにも協力してくれた。ハワイで起きた事についても口裏を合わせると言ってくれてる。書類にサインもするって。何故なら、彼は日本が合衆国と戦争になったら勝てないと考えているから」
コロラド「胡散臭い戯言じゃない。日本の利益のため。何よりも信用できるでしょ?……もしうまくいけば、無血で全部解決できるかもしれない。私は、もう無理だけど……全部終わったら胸を張って故郷に帰りたかった」
コロラド「私は正しいことをしたって。今、私にできる事で戦争を防ぐことより正しいことはない。そう確信しているわ。もしかしたら、後々戦争になることは避けられないのかもしれない。でも、諦めるのは今じゃない」
コロラド「私たちにはアメリカンスピリッツがある。それは自由を愛してそれを脅かすものと戦う勇気と不可能を可能にするフロンティア精神、そしてルーツの全く違う人々が互いに協力し合う融和の心だわ」
コロラド「フロンティア精神と融和の心をもって臨みましょう。大日本帝国との和解という奇跡を現実のものとするために。もし、努力したうえで戦争が避けられないのなら、その時は私たちの勇気が大日本帝国の野望を打ち砕く」
~
コロラド「っ……」ペタリ
コロラド(個室に戻った瞬間、私はドアに背を預け、そのままずりずりと座り込んだ。私の話は皆の心に届いてくれたんだと思う。不安を完全に消すことはできなかったけど、反対する子は出てこなかった)
コロラド「うぅ……」フルフルフル
コロラド(賽は、投げられた。あとはもう結果が出るのを待つだけだ。怖い。怖くて怖くてたまらない。Admiralのことは信じてる。でも……もし日本人が聞く耳を持たなかったら……?奴らが構わず攻撃してきたら?)
コロラド(想像するだけで恐怖におぼれそう……絶体絶命の危機になる。私を信じたせいで、たくさんの仲間が死ぬことになる……私のせいで……そんなことになったら……耐えられない……)
コロラド「Admiral……Admiralに……会いたい……」
コロラド(感情のままに暴言を吐いた私の命を助けてくれた。それだけじゃなくてヒューストンとアトランタも。自らの命を顧みずに。いえ、それだけじゃない)
コロラド(彼の協力のおかげで多くの陸軍部隊と私たち第一特殊任務部隊が死線を潜り抜けることができた。彼に支えてほしい。抱きしめてほしい。彼の胸で泣きたかった)
~
アメリカがやった
敵討ちの時間だ
↓×1~3 旗艦(空母または戦艦一名)と彼女を含めた帝国海軍の艦娘たちの心情。特に強調したい場合は指名可(提督Loveの場合はそのことも踏まえて)
陸奥(ずっと酷い対応をしていた。あの日、提督からその爛れた女性関係について聞かされてから、私の中の恋心は何か悍ましいものへと変質させれらてしまったから)
陸奥(嫌悪して、憎んでいた。そのくせ、提督が気になって仕方がなかった。いつでも提督のことを考えていたし、彼が私を見ていないとき、私は彼をずっと見ていた)
陸奥(感情に振り回されて、制御不能なこの衝動を提督にぶつけていた。必要最低限のやり取りでさえ、まるで反抗期の不良少女みたいにケンカ腰で疎ましそうに対応していたと自分でも思う)
陸奥(女性要員と雑談中、たまたま近くに居た提督に聞こえるように「火遊びしない一途で誠実な人がいいわ。いろんな子と関係を持ったりするような軽薄な男は絶対ムリね」と言ってやったこともある)
陸奥(もちろん、提督はそうされても仕方がない事をしていると思ってる。それは、きっと正しい。でも、たとえそうでももし自分が提督なら、そんな対応されたら相容れないと割り切ってさっさと縁を切っている)
陸奥(けど、提督は変わらず私を気にかけてくれていた。トブルクを巡る陸海空の激しい戦いが繰り広げられる中、イタリアの艦娘に手ひどくやられて大破して、重傷を負って後送されることになった私を見舞いに来てくれた)
陸奥(忙しい中時間を見つけて。ぐちゃぐちゃな、私自身も理解できない私の心。私は長門に目配せして寝たふりをする。嘆息した長門は部屋の外にいる提督に声をかけた)
長門「寝てしまっているようだ」
提督「そうか。とにかく、大事ないようでよかった」
長門「陸奥は艦娘だ。撃沈されない限り大事になることはないだろう。それより、そんなところで立っていないで入って来たらどうだ?」
提督「寝ているところを見られるのを嫌がる子は多いからな」
長門「ああ……」
提督「さて、では私は行くとするよ。これは君からという事にして陸奥に渡してあげてくれ」
長門「……断る。自分でおいていってくれ」
提督「長門?」
長門「忙しい中、昼休みを潰して来たのだ。顔を少し見ていくくらい罰はあたらないだろう」
提督「……わかった。そうしよう」
陸奥(長門……なんてことを……余計なことをしでかした姉妹に対する殺意を抱きながら寝たふりを続ける。近づいてくる足音がベッドの傍で止まった。無言の時間が流れる)
長門「っ……提督、そんな顔をしないでくれ。陸奥は大丈夫だ。入渠すれば傷一つなくなる」
提督「あ、あぁ……そうだな……」
陸奥(苦渋に満ちた声。それほどまでに提督は私のことを……心臓が鷲掴みにされたような感覚がした)
~
長門(持ってきた物を机に置いた提督が悲痛な表情で陸奥を見る。手が陸奥の方へ動くがすぐに躊躇うように止まってしまった。一瞬の逡巡。正直、嫌だと思うところがある)
長門(ただでさえ数多くのライバルがいるのだ。そこに陸奥も加わることになるかもしれない。だが、私はこれ以上陸奥が苦しむところを見たくない。提督に声をかける)
長門「きっと喜ぶ。してあげてくれ」
提督「……」コクリ
長門(私の言葉に提督は頷くと再びゆっくりと手を陸奥の頭へのばす。提督と陸奥の関係がこじれる前、陸奥は提督に頭を撫でられるのが好きだった。どうも提督と飲みに行ったときしてもらって癖になったらしい)
長門(きっと父性を感じたのだろう。周りは年下ばかりだからな。アルコールが得意でない私からしてみれば酔った勢いで甘えることができるのは死ぬほど羨ましいし、ずるいと思っていたが)
提督「……」ソッ ナデナデ
長門(提督は恐る恐るという感じで陸奥の頭に触れた。そのまま優しく何度か撫でる。顔に浮かべているのは悔恨の表情だ。提督が口を開く)
提督「……本当に、無事でよかった。よくやってくれたな、陸奥。ゆっくり休んでくれ」
~
長門「ただいま。提督は帰ったよ、陸奥」
陸奥「ぐすっ……長門……私……私ね……ひっく……やっぱりあの人のこと……えぐっ……好きなんだわ……」ポロポロ
~
長門(陸奥が提督へ想いを告げる事を決意したあの日からこのハワイでの事件まで、我々は二回提督の訃報を知らされた。一度目は大西洋でドイツ軍に襲撃され、乗艦が撃沈され行方不明となり公式に戦死とされた)
長門(その時は葬式まで行われた。そして二度目はシンガポール沖の決戦の後、新聞で提督の死が報じられた。それは結局誤報だったが、行方不明ではなく明確に死亡とされていた上に混乱のために生還の公式発表が遅れた)
長門(その二回とも、陸奥は酷い状態になった。その度に私は陸奥に胸を貸したものだった。そして今、我々は三度目に直面している。伊58からの報告によりハワイ警備府は壊滅していることが判明した)
長門(巻き込まれたであろう提督も行方不明だ。知らせを聞いた直後こそ折れそうになった。しかし、折れなかった、ハワイへ派遣される艦隊の旗艦となった陸奥は毅然と振舞っていた)
長門(提督との関係が拗れた日以来、陸奥の調子は悪かった。思いを告げることを決意した後も、全盛期には及ばなかった。しかし今の陸奥はかつての全盛期以上の気迫に満ちている)
陸奥「皆、そろそろハワイ近海に到着するわ。アメリカ軍が出てくる。……奴らに誰を怒らせたのか教えてやりなさい!!」
「「「「了解!!」」」」
長門(数々の試練が陸奥の精神を強くしたのだ。姉妹艦の成長ぶりに胸が熱くなる。陸奥の鼓舞に艦隊が大きな声で応えた。我々の士気は旺盛だ。成すべきを成すことができる。そう確信した)
~
コロラド『さすが艦娘ね。MARVELのコミックみたいになってたけど軽傷よ。でも、戦闘は避けるべきだわ。だから貴女にAdmiralの事を任せる。他の子たちは日本人の事を好ましく思っていないから』
コロラド『彼の提案に乗ることが決定されたから何もないとは思うけど、万が一の可能性もある。それに、貴女の言う通り彼の監視役も必要だしね。護衛兼監視よ。頼むわね、アトランタ』
提督「……」グッスリ
アトランタ「……」
部屋で提督と二人っきりだ。提督は先ほどのダメージと疲労で眠っている。命に別状はないし絶対安静というわけでもない。時間はたっぷりあるし、邪魔する者は誰もいない
↓×1~3 アトランタの心情と行動
アトランタ(鈍い頭の痛み。あたしは帽子を投げ捨てるとゆっくりと彼のベッドへ歩いていく。肩のサスペンダーに手を掛けた。もうわかってるでしょとあたしを見るあたし自身が居る。サスペンダーを外してスカートのウエスト部分へ)
アトランタ(それを理解してしまったら、もう終わりだから。あたしはあたしを無視する。ボタンとホックを外すと、スカートはぱさりと床へ落ちる。あたしの全てを捧げたあの人が頭をよぎった。痛む心。きっと血が流れてる)
アトランタ(ブラウスのボタンを外していく。一つずつ、一つずつ。考えたくない。考えられない。まるで悪い夢を見てるみたい。でも、ひとつだけわかったことがある。目の前で眠るこの人は……)
アトランタ(提督さんは自らの命を賭してあたしを助けてくれた。助ける必要のなかったあたしを。アメリカと日本の戦争を避けるという崇高な意志さえ危険に晒して。そこにあるのは純粋なあたしへの無償の愛)
アトランタ(あの時感じた胸のあたたかさ。そして提督さんにキスしたときに感じたあの昂ぶり。それはとても大切なものだと直感した。ブラウスのボタンをすべて外し終わる)
アトランタ(ブラウスを脱ぎ捨てた。ガーターベルトを外してショーツを下ろす。ブラを外して全部床に床に放った。ソックスだけの姿で提督さんの眠るベッドの傍に立つ。あの女に殴られた所が傷ましい痕になっちゃってる)
アトランタ(異国情緒漂う整った顔立ちが台無し。あたしはブーツを脱いでベッドに上がるとソックスを脱ぎ捨てた。一糸まとわぬ姿になる。そのまま提督さんの隣に潜り込む。抱き着いて腕を絡ませた)
アトランタ(暖かい。提督さんの体温を全身で感じる。ジャケットを脱がされただけの白いシャツに紺のpants(ズボン)姿。comforter(掛け布団)の中は提督さんの匂いでいっぱいだった。フェロモン溢れる男の人の匂い)
アトランタ(快楽に溺れて頭の中が真っ白になるんじゃなくて心からリラックスできたのはいつぶりだろう?きっと戦争が始まってから初めて。夢見心地。このまま眠ってしまいたい。でも、それはすぐに台無しになる)
アトランタ「っ……」ムラムラ
アトランタ(疼く下腹部。あの人に散々抱かれて快楽漬けにされたあたしはすっかりセックスの……女の悦びの虜になっていた。あたしの心と体が制御できない性欲に侵されていく。提督さんが欲しくて堪らなくなる)
アトランタ(ついさっきまで胸に抱いていた何か尊いものが穢れた汚い獣欲に塗りつぶされていく。それにあたしは抗えない。手が下の方へ伸びてしまう。触れたそこは既に濡れていて……指で自分を慰める)
アトランタ(提督さんが隣で寝ているのにあたしは淫らな密事に耽っている。それがゾクゾクとした、いつもと比べ物にならない快楽を伝えてきた。夢中でそれを貪る。高まる体と心)
アトランタ(それに向けてより激しく自分を責め立てる。到来した快楽の暴力に絶叫しそうになった。歯を食いしばって抑えようとしたけど、意味があったのかわからない。涙が出て唾液が垂れた)
アトランタ(がくがくと痙攣する腰。余韻に浸る。あたしはぼんやりとした頭で提督さんを確認した。静かに眠ってる。提督さんの横顔に、あたしの中のタガが外れた。あたしは体を起こすと提督さんに馬乗りになる)
アトランタ(垂れたのが内股を伝う感覚。提督さんの胸に顔を埋めて、濃厚なフェロモンたっぷりの匂いで鼻腔を満たす。そのまま鎖骨から首筋、そして顔へ。興奮で体が熱い。高鳴る胸。唇を重ねる)
アトランタ(舌で舌を絡めとって嬲る。心と頭が蕩けた。下腹部が耐えられないくらい疼く。利き手をそこへ伸ばして激しくかき回した。固く充血したそこを弄り、抓る。淫らな水音。指に力がこもる。二回目の絶頂)
アトランタ(提督さんの上にのしかかるように崩れ落ちる。獣のように荒い息。提督さんはまだ目を覚まさない。少し落ち着いてから体を起こす。提督さんの足の方へずり下がった。パンツに手をかける)
アトランタ(ボタンとホックを外してゆっくりと太ももまで脱がせた。男らしい引き締まった腰回りと太もも。そして下着越しでもわかるソレ。うっとりする。一通り撫でまわしてから下着も同じようにずり下した。露わになる提督さんのソレ)
アトランタ(手で触れ、優しく握った。手でのやり方もしっかりと教え込まされた。緩急をつけて、カリや裏筋を刺激するように扱く。空いている手で自分の胸や下の方を慰めながらむくむくと大きくなっていくソレを責めた)
アトランタ「ごくっ」ジッ ドキドキ
アトランタ(惚れ惚れするほど立派に大きく固く張り詰めたソレについ息を呑んでしまう。目が離せなかった。びくんびくんと脈動している。先端から透明なのが垂れ始めていた。むせ返りそうなオスの匂い)
アトランタ「はぁ……はぁ……っ……ぺろ」ピトリ
アトランタ(顔を近づけすぎて鼻が先端に触れた。舌を伸ばしてカリを舐める。先端を口に含んで雫を嘗めとった。味覚と嗅覚が雄に蹂躙される。あたしは、どんどん提督さんのを飲み込んでいく)
アトランタ(ようやく根元まで飲み込んだ時には喉奥までソレに犯されていた。でも、何度も苦しい思いをして、もうえずいたりしなくなった。喉で締め上げるのもお手のもの。あの人にもすごく褒められ)
アトランタ(提督さんも悦んでくれるといいな、あたしのディープスロート。提督さんのを口淫しながら自分を慰める。胸を揉みしだいて先端を弄り回したり、スジを撫でて中に指を入れて、勃ってるそこを抓んだり)
提督「ぅ……っ……」ビクビク モゾモゾ
アトランタ(夢中でしゃぶりながら自慰していると、提督さんが喘いで体を捩り始めた。出しちゃいそうなんだ。全部零さず飲んであげたい衝動に駆られるけど、一番最初は一番大事な所に欲しい)
アトランタ(あたしは口を離す。そしてずりずりとちょうどいいところまで移動して、膝立ちになった。提督さんのソレに触れると微調整。あたしのそこに充てがう。そこはもうびしょびしょで、とっくに準備はできてた)
アトランタ「んっ……ふぁ……!!」ズププププ
アトランタ(腰を下ろすとぬるりと提督さんのがあたしのそこを押し開いて中へ中へと入ってくる。すごく熱い。伝わる快感に頭が焼き切れそう。そのまま、根元まで挿れた。一番奥まで貫かれる。満たされた感覚。多幸感)
アトランタ「あっ……ふぅ……」グッチュ グッチュ
アトランタ(ゆっくりと腰を前後にグラインドする。一番奥がえぐられた。雌として雄に奉公しつつご褒美を頂くんだ。教えられた通りに。快楽に導かれるままに腰の振りを激しくしていく)
提督「ぁ……ぅ……」ビクビク
アトランタ「あっ、イイ!!イイよ提督さん!!Shit!!Fuckin' good(クソ気持ちイイ)!!」グッチュグッチュ
アトランタ(提督さんがまだ寝てるかどうかなんてもうどうでもよかった。声を我慢するのも忘れてたけどどうでもいい。激しく腰を前後する。この後待ってるご褒美のことしか考えられなかった)
アトランタ「はぁ、はぁ、あぁ、Coming(来る)!!I`m gonna come(来ちゃう)!!提督さん、あたし、あぁ、くる!!くるくる……I`m comiiiiiiiiiing(来ちゃってるぅぅぅぅ)!!」ビクンビクン キュゥゥゥゥン
提督「ぅぁ……!!」グイッ ビュルルルルルル
アトランタ(弾ける快楽。背筋から脳髄まで快楽の電撃が神経を迸った。腰を突き出して提督さんを潰しちゃいそうなくらい押し付ける。中で提督さんのがはち切れそうなくらい大きくなっていく感覚)
アトランタ(提督さんも腰を突き上げてきた。びくびくとあたしの中で提督さんのが痙攣する。熱いものが注がれる感覚。あたしはまた提督さんにのしかかるように崩れ落ちる。お互い、荒く熱っぽい息遣い)
アトランタ「はぁ……はぁ……はぁ……」
提督「っ……はっ……」
アトランタ「っ……提督さん」
アトランタ(あたしの呼びかけに、提督さんは答えない。まだ起きてない?こんなに激しくセックスしてるのに?あたしはもう一度提督さんに声をかける)
アトランタ「ねえ。本当に起きてないの?」
提督「……」
アトランタ(返事はない。あたしは提督さんの頬を摘まむと軽く引っ張る。嫌そうに眉間に皺を寄せて少し顔を背けるけど、それだけ。本当に目が覚めていないみたい。けどまあ当然か)
アトランタ「大変な目にあったもんね……提督さん……」ナデナデ
アトランタ(提督さんが愛おしくてたまらなかった。頭を撫でる。また唇を重ねて、少し体を動かしたときに感じる甘い快楽。それで気が付いた。提督さんのがまだ臨戦態勢にあることに)
アトランタ「!!」ビクン
アトランタ(中を満たす熱いものが提督の精液であることは間違いなかった。それは、提督さんとの結合部を確認してどろりとした白濁液があふれてきていることからも確実。提督は射精しているのに全然萎えない。絶倫ってやつだ)
アトランタ「……!!」ゾクゾクゾク キュンキュン
アトランタ(そう理解した瞬間、下腹部の奥底が震えた。再び性欲が激しく燃え上がって湧いてきた慈愛の感情を焼き尽くした。あたしは提督さんの唇を奪うと舌を絡ませる)
アトランタ(そして今度は激しくピストンするように腰を振る。きすはめってやつだっけ?もしかしたらたねづけプレスってやつだったかもしれない)
アトランタ(まあ、どっちでもいいか。あたしは体に感じる提督さんの体温に、心の片隅に情欲以外のものを感じながらも獣のように快楽を貪った)
~
提督「っ……」
提督(何か、すごく淫らな夢を見ていた気がする。知らない天井だった。目が覚めて暫し、呆ける。そして思い出した。今の状況を。俺はサウスダコタと呼ばれた子に不意打ちでいい右ストレートをもらってしまった)
提督(それまでの疲労もあって俺は今まで意識を失っていたのだろう。今どうなっている?状況を確認しなくては。起き上がろうとして俺にのしかかる存在に気が付く。それはアトランタだった)
アトランタ「すぅ……すぅ……」
提督(髪も解かず俺の上で覆いかぶさるように寝ているアトランタ。柔らかく暖かい体が重力によって押し付けられている。もちろんその見事な二つの巨峰も惜しげなく。何故か全裸だった。しかも俺もズボンと下着が半脱げになっている)
↓×1~3提督の反応とアトランタに対して起こして何かアクションを取るのであればその反応
提督「……!?」ポカン
提督(目の前の光景を理解できなかった。一体何が……?考えても頭の動きが鈍い。それを何とか自覚することができた。俺は脱力して深呼吸する。アトランタの柔らかくて暖かい体は心地よい重量感で、落ち着いた)
提督(一度、深呼吸。考える。今の状況について。俺から主体的にできる事は……もうない。日本政府へ連絡するという唯一かつ必須の行動は既に終了している。電報を打った。「布哇ハ敵深海棲艦ノ奇襲攻撃ヲ受ク」)
提督(「猶モ帝国陸海軍将兵皆士気旺盛ナレド敢闘虚シク、又非戦闘員ニ於イテハ良ク軍ニ協力スルモ遂ニ報ワレル事ナク、此ノ最終局面ニ至リテ其ノ悉クガ戦死或イハ自決セリ」)
提督(「本職唯一人死ニ損ナリシ事ハ慙愧ニ堪エザルモ、付近デ作戦行動中ト思ワシキ米海軍来援ノ次第ヲ伝エ、此ノ命続限リ御国ヘ奉公セント生キ恥ヲ晒サントス」、と……アメリカ経由のため少し時間がかかるだろうが)
提督(後は政府の領分だ。政権を取り、彼らなりの考えがあったのだろうとはいえ戦争への道へ進んでいた一派はドイツの攻撃で死んだ。現政権なら穏健派や国際協調を是とする人々の意見を弾圧したりはしないだろう)
提督(きっとうまくいく。そう信じて待つしかない。もし俺からの連絡が届く前に上が動いていたら、もう一仕事する必要があるかもしれないが……)
提督「っ……」ギリ
提督(あの文章を作成した時の事を思い出して酷い気分になる。それが正しいと信じている。だが……殺された人々の無念は如何ほどか計り知れない。あの人たちに俺は顔向けできない)
提督(自暴自棄な気分になった。心身ともに酷い状態だし、耐えがたいほどだるい。俺はそのまま、アトランタの存在にどこか救いを見出しながら二度寝することにした)
~
伊58(誰にもバレずに無事オアフ島に上陸できた。提督が生きているとしたら、一番あり得そうなのは捕虜として捕らえられている事。高台から真珠湾の基地とホノルル市街の様子を偵察する)
伊58(水偵を通して見た時に真珠湾に居たアメリカ海軍の艦娘は居なくなってた。司令部の建物にも人影が見当たらない。ホノルル市街の方にも何人か居たはずだけどそれも見つけられなかった)
伊58(出航したでちか?注意深く観察する。ようやく一人、いや二人見つけた。綺麗に整えられた敷地の中に家が建てられてるところに居る。多分駆逐艦娘。あの敷地を警備してるのかな?そこを目指して出発する)
伊58(過ぎ去る町並みは攻撃を受けてない区画だから何事もなかったみたいに綺麗で……だからこそ人が居ないのが不気味でち。目的地に到着。攻撃を受けないために何の変哲もない住宅地に見えるこの敷地を拠点にしてるんだ)
伊58(警備についてるアメリカの艦娘が手に持ってるのはライフル銃。ゴーヤのFNブローニングが頼りなく感じるでち。でも、見つからなければ問題ないよね。ここなら潜入できる)
伊58(家が綺麗に並んでいるんじゃなくてデザイナーがデザインしたみたいな庭の所々に家が建ってるお洒落な感じの敷地は、そこを飾る生垣に隠れながら見つからずに移動できる)
伊58(警備に立つ子も侵入者が来るなんて夢にも思ってないみたいでち。周囲に気を払う事もしないでお喋りしてる。油断しきってるでち。潜入前にじっくり観察。どの家に人がいるのかな)
合衆国海軍駆逐艦娘「But is Atlanta OK(それにしてもアトランタは大丈夫かしら)? 二人っきりでジャップと同じ建物にいて。心配だわ」
合衆国海軍駆逐艦娘「まああの日本の提督も負傷してるし、普通の人が私たち艦娘に敵うわけないよ。それよりもコロラドさんが私たちを信用してくれなかった事の方が悲しいな」
合衆国海軍駆逐艦娘「サウスダコタがやっちゃったからね……あのジャップに何かあったら不味いことになるんだし、アトランタ以外はあいつが居る家に入るの禁止ってのも仕方ないわよ」
伊58「……!!」
伊58(それを聞いて飛び跳ねて喜びたい気分になったでち。提督が生きてる!!しかも監視についてるのは一人だけ!!うまくやれば誰にもバレずに提督を助けられる!!……でも、失敗したら取り返しのつかない事になる)
伊58(逸る心を落ち着けるでち。周囲を警戒しつつ偵察を続ける。ずっと、静かに。数時間かけて情報を収集する。どこに何人警備がいるのか。何時間で交代するのか。控えはどの家にいるのか。提督がいるのはどの家か)
伊58(日が西に傾いてきた。大体分かったでち。完璧に把握できたわけじゃないけど警備は間違いなく手薄。交代の周期は分かったし、控えがいる家も提督がいそうな家も目星が付いた)
伊58(この絶好のチャンスを逃しちゃいけない。どっか行ってる他の敵が戻ってくる前にやらなくちゃ。潜入を始める。姿勢を低く、静かに。生垣に身を隠しながら入念に検討したルートで目的の家に到達)
伊58(警備の子たちを確認する。大丈夫。あの子たちから死角になってる窓へ近づく。換気のためか少し空いていた。ラッキーでち!!静かに忍び寄る。音を立てないように匕首を抜いて、こっそり中を確認する)
↓×1~3 提督の上に全裸のアトランタが向かい合うようにして身を委ねているのを見たゴーヤの反応
伊58(中の部屋には誰もいないでち。手鏡を取り出して中に差し入れる。窓に罠が仕掛けられていないことを確認して手鏡を仕舞うと静かに開けた。匕首を口にくわえて静かに侵入する)
伊58(音を立てずに窓を閉めた。屋内に入ったことで音で中の状況が分かるようになる。二人分の安らかな寝息が聞こえたでち。匕首を握りなおしてそれが聞こえる部屋へと向かう)
伊58(その部屋のドアには簡易な鍵がかかっていた。硬貨とかでマイナスドライバーみたいにすれば簡単に開くやつ。ガチャリと音が鳴らないように気を付けながら開錠した)
伊58(ドアノブに手をかけてゆっくりと捻って警戒しながらドアを開くでち。何か仕掛けられてるわけでもなさそう。部屋の中は暗い。カーテンが閉め切られてる。窓も閉まってるみたいでち)
伊58(何かのにおいがした。何のにおいなんだろ?中を確認すると、部屋の真ん中に置かれたベッドの上に提督がいた。知らない、たぶんアメリカの艦娘と一緒に)
伊58(その子は提督の上に乗っかって寝ていた。正面から抱き合うように。しかも服を着ていない。全裸でち。床に服と大人なパンツとブラジャーが散乱していた)
伊58「っ~~~~!!」ブチッ
伊58(頭が沸騰する。こんな大変な時にてーとくはなにしてるでちか!?いったい何人とシたら気が済むの!?しかも敵のアメリカ人となんて!!見境なしの種馬でち!!部屋の中に踏み入れて提督のもとへ向かう)
提督「……」グッスリ
伊58「っ」
伊58(でも提督さんの顔を見た瞬間に怒りが嘘みたいに消えた。顔を殴られた痕。それでも、安らかな寝顔。ちゃんと息をしてる。生きてるでち。力が抜けてその場に座り込みそうになった)
伊58「……」ジワァ ポロポロ
伊58(生きててくれた。良かった。本当に良かった。ちょっと、涙が止まらないでち。泣いてる場合じゃないのに。目を拭って肩にかけていたロープを手に取る。まずこのアメリカ人を何とかしないと)
過酷な状況に晒され続けて張り詰め、研ぎ澄まされていたアトランタは自らの安寧を脅かす存在に気が付き為すべきことを為すかもしれないし、久しぶりの平穏に緊張の糸が途切れていて気が付かないかもしれない
また、何か事が起きるのならば提督もまた目を覚ますかもしれない
↓×1~3 ゴーヤの行動に対するアトランタの反応
~
伊58「っ……」ゴシゴシ
アトランタ「!!」ゾクッ
アトランタ(誰かの震える吐息に目が覚めた。一気に意識が覚醒する。背筋がぞくりとした。居る。すぐ傍に。泣いてる?そいつが動いた。あたしはベッドの端に追いやられていた掛け布団をそいつめがけて投げつける)
アトランタ(ヒュッっと息を呑む音。布団が侵入者の頭から被さる。その寸前に見えたギラリと光る刃。跳ねるように体を起こす。侵入者は後退って距離を取りながら布団を剥ぎ取ろうと藻掻いている)
アトランタ(ベッド近くのテーブルに置かれた装備に飛びつく。ホルスターからガバメントを引き抜いて構えると同時に侵入者が布団を剥ぎ取った。目が合う)
伊58「……!!」ゾワッ
アトランタ「……」ジッ
アトランタ(相手はアジア人の少女だった。服装や装備からして日本の艦娘、潜水艦娘だ。手にジャパニーズカタナを持っている。涙に濡れる赤くなった目を見開いてかわいらしい顔に絶望をありありと浮かべていた)
アトランタ「……あんたは提督さんの味方なの?」
伊58「ぇ……?」
アトランタ「答えて。あんたは提督さんの味方?」
伊58「……そ、そうでち」
アトランタ「そう……なら、あたしはあんたの味方よ。あたしは鳳。日本のスパイ」スッ
アトランタ(銃を下ろしてそう伝えたあたしに潜水艦娘は茫然としていた。暫くしてようやく事態を飲み込めたらしい彼女はほっとしたように太い息をもらす。警戒心を解きはしないけど手に持っていたカタナを鞘にしまった)
伊58「伊58でち。帝国海軍所属の潜水艦娘。あなたはアメリカの艦娘なの?」
アトランタ「USSアトランタよ。ソロモンで日本の捕虜になって、そこで……っ……まあ、それはどうでもいいでしょ。貴女はここで何してるわけ?伊58」ズキン
伊58「……情報収集と生存者の捜索でち。人が居たこの辺りを調べているときにてーとくが掴ってる事を知って、助けに来たの」
アトランタ「そう……貴女の事情は分かった。悪いけど、今提督さんは脱出できないの。いろいろ事情があってね……とりあえず、彼の身の安全は保障するわ」
伊58「ど、どういう事……?」
アトランタ「あたしからは話せない」
伊58「そう……じゃあ提督さんと話をさせてもらうよ。でも、その前に服着たらどうでちか?」
アトランタ「……ん。そうね」
アトランタ(伊58の敵意が込められたその言葉に、裸なのはお前がいきなり侵入してきただろうがってイラっとしたけど我慢。相手はガキだし、何よりあたしを見る伊58の恨めしそうな視線が気持ちよかったから)
アトランタ(あたしはガバメントをホルスターにしまうと床に散らばる服を集めてテーブルに置く。シャワーを浴びたいけど後回し。ブラを着けながら伊58に質問する)
アトランタ「提督さんの事、好きなの?」
伊58「えっ!?」ビクッ
アトランタ(伊58はすごく動揺していた。肩越し振り返って顔を見ると驚愕の表情を浮かべて真っ赤にしていた。優越感。ブラを着け終わるとショーツを手に取る。乾いてるし、まあいいか)
アトランタ「ふっ。初心なんだ。かわい」
伊58「……!!」
アトランタ(ブラウスに袖を通してボタンを閉じていく。背中にひしひしと感じるプレッシャー。ぞくぞくした。スカートを穿いて乱れた髪を解いて結びなおす)
アトランタ「お待たせ。じゃあ提督さん起こそうか」
アトランタ(敗北感と屈辱、嫉妬にまみれた表情で睨んでくる伊58の前であたしは提督さんの耳元に口を寄せる。そして優しく提督さんを起こしてあげた)
~
コロラド『付近の日本艦隊へ連絡するわ。私は合衆国海軍戦艦娘、BB-45 "コロラド"よ。私たちは戦闘の意思はない。話がしたいの。聞こえていたら返事して。お願いよ……』
陸奥(ハワイ近海へ到着して、さあ艦隊決戦だと意気込んでいたところで受信した国際緊急周波数での通信。それはアメリカ軍からの呼びかけだった)
陸奥(コロラドと名乗る声は何度も繰り返し自分たちに戦闘の意志がないことと話がしたいということを訴えていた。私は長門を見る。長門は真っすぐと私の目を見ながら口を開いた)
長門「提督なら間違いなくこの呼びかけに答えるだろう」
陸奥「……電波を発したらこちらの位置が暴露するわ」
長門「ああ。だから艦隊を分けるんだ。本隊と通信に答える艦隊に」
陸奥「おそらく敵の方が数が多いのに艦隊を分けるのは各個撃破されるリスクが高くなるんじゃない?」
長門「そうだな。だがもし敵がこちらの発する電波を逆探知して襲ってきたら、本隊は一方的に敵の規模や位置を知ることができる。陸奥、この長門が行こう。命令してくれ」
↓×1~3 陸奥の決断
陸奥「っ……」フイッ
陸奥(長門の真っ直ぐな眼差し。覚悟している顔だった。私は顔を背ける。こんな表情、見せられないもの。長門を送り出したら、これが敵の罠だった場合敵の集中攻撃を受けることになる)
陸奥(生きては帰れない。これが、今生の別れになるかもしれない。私の判断が長門の死を招くかもしれない。全滅させられていたハワイの友軍とそこに翻っていた星条旗)
陸奥(アメリカ人たちは宣戦布告も何もなしに停戦を破ってハワイを奇襲攻撃したとしか思えない状況。奴らの言う事は信用に値しない。これも罠に違いない)
陸奥(でも、コロラドと名乗ったこの声の持ち主は必死さを醸し出している。それに、万が一何か私たちの思いもよらないような事が起きていてアメリカ人が私たちの敵じゃなかった場合)
陸奥(ここで戦火を交えることは取り返しのつかない事態を引き起こしかねない。怪しいアメリカ人の要請に応えるしかない。できれば自分で行きたかった。でも、私は艦隊の旗艦だ)
陸奥(指揮を執らなくてはいけない。私たち艦娘には制約がある。艦隊の一部を分離してその指揮を誰かに任せることはできるけど、出撃してから帰還するまで旗艦を代わることができない。だから……)
陸奥「長門……お願い」
長門「任せろ」
陸奥(長門に頼むしかなかった。消え入りそうな私の声に長門が力強く応える。不敵な笑みを浮かべていた。この笑みを見るのはもう最後になるかもしれない。心がどこまでも落ちていきそうな感覚)
陸奥(信じられない。絶対イヤ。怖い。泣いてしまいそう。でも、私は旗艦で、皆が私たちを見ている。泣くのだけは絶対にダメ。歯を食いしばって堪える)
↓×1~3 所属艦が全て実装されてる駆逐隊一つ
暁「戦艦単艦で行かせられないでしょ?随伴する駆逐艦が必要なのです。第六駆逐隊が志願します」
陸奥「!!」
長門(暁の声に陸奥が硬直する。本当は一人で行きたいのだが暁の言う事は最もだった。間髪入れずに他の駆逐隊の面々も第六駆逐隊に続く)
朝潮「第八駆逐隊が行きます。どうか、私たちに行かせてください」
浦風「いや、うちら第十七駆逐隊に任せちゃって」
野分「旗艦、是非とも第四駆逐隊にご命令ください」
長門(駆逐艦たちは全員が自ら進んでこの危険な役目を務めようとしていた。しかし、その役目に割り当てるのは一個駆逐隊が妥当だろう)
長門(だからこそ駆逐艦たちは陸奥に詰め寄るようにして自分たちこそが相応しいと訴えかけている)
陸奥「……!!」ギュッ
長門(そんな駆逐艦たちの行動は、生きては帰れないかもしれない事に自分より年下の子たちを自ら選んで送り出さなくてはならないという残酷な刃となって陸奥の心を切り裂いている)
長門(ふと、第六駆逐隊の面々が私を見ていることに気が付いた。良い目をしている。暁たちが頷いた。私も頷くと、陸奥の名前を呼ぶ)
長門「陸奥。特三型はこの中で一番戦歴が長くて経験豊富だ。そんな第六駆逐隊を引き抜くのは疾痛惨憺だが、私ももしもの時にむざむざやられるつもりは到底ない。暁たちを貰えるか?」
~
長門「This is IJN Nagato(こちらは帝国海軍の長門だ)。USSコロラド、聞こえるか?」
コロラド『っ!!聞こえるわミス・ナガト!!Loud and clear!!応答してくれてありがとう!!よければ日本語で話しましょうか?』
長門「いや、英語で結構。見事な日本語だった、コロラド嬢。それで、話したいこととは?」
コロラド『分かったわ。話したい事は、ハワイで何が起きたのかについてよ。まず初めに伝えるわね。私たちは、やってない。こちらで帝国海軍の提督を保護しているわ』
「「「「!!」」」」ドクン
長門(衝撃が走る。提督が生きてる。良かったと心底安心した。正直、気が抜けてしまう。しかし第六駆逐隊の手前、それを表に出す訳にはいかない。努めて変わりないように装う)
コロラド『私たちと一緒に来て彼に会ってほしいの。大日本帝国と合衆国の関係は今拗れてる。ここで私たちから話を聞くより提督も交えて話す方がきっと貴女たちにとってもいいでしょ?』
長門(そう言って自分たちの座標とそこで待っている旨を続けるコロラド。他に選択肢はない。私は彼女に了承の意を伝えた)
指定された座標で彼女たちは対面することとなった
↓×1~3提督の件もまだ完全には信用してないし、何より多くの日本軍の血がアメリカ人によって流されている。姉妹艦や仲の良い子たちが大破させられもしている。という事を踏まえて長門と六駆の面々の心情と自らの大きすぎる十字架にさらに嘘という罪を加えてしまったコロラドの心情
~
暁(勘違いしてた。暁たちにとって戦争は辛いものだったけど。死にそうな思いを何度もしたけど。数えきれないくらいの死を見てきて、想像もできないくらいの死を聞いてきたけど。でも、いつからか)
暁(こんな酷い戦争でも、暁たち艦娘は、死んじゃうようなことは無いんだって。けど、天龍さんがいなくなって、ムラクモも……遠い昔の、思い出したくない悪夢。硫黄島の戦い)
暁(あの頃、暁たちは怯えていた。次々いなくなっていく仲間たち。次は誰がって。出撃が怖かった。全部思い出した。戦争は殺し合いなんだ。私たちは命を賭けて戦ってるんだ。あの子たちは、アメリカ人は敵よ。それを忘れちゃダメ)
~
コロラド(私は赦されない罪を犯した。告解しなくてはならない。けど、できない。しない。それどころか嘘を吐いて隠し通そうとしてる。冒涜した魂をさらに犯す行為。もし私が被害者だったら絶対赦さない)
コロラド(泣きたかった。どうすればいいのか分からない。どうしようもない。私は、永遠に自ら主と聖人たちから決定的に離れ去ってしまった。もう私は救われない)
コロラド「!!」ピクッ
コロラド(日本艦隊が現れた。険しい眼差し。私の罪が見透かされてるよう。雲の切れ目から差し込む日の光が彼女たちを照らしていた。皆、見目麗しい事もあって天使が私を裁きに来たように錯覚する)
コロラド「……」ドクン ドクン フルフルフル
コロラド(動悸が酷い。足が震える。ふと、手が握られた。いつの間にかヒューストンが隣に来ていた。暖かい。私は、ヒューストンを見上げる。ヒューストンは真剣な表情で私をじっと見つめている)
ヒューストン「皆、貴女と共にあります」
コロラド「!!」
コロラド(そう言われて皆を見る。皆、心配そうな表情で私を見ていた。私のせいで罪を犯してしまったのに、私のことを恨みもしないで……私は決意を抱く)
コロラド(もう、この呪われた運命を受け入れるしかない。でも、私たちがやってしまった事に、せめて何か良い意味もあったという事を証明しなくちゃいけない)
コロラド「……ごめんね、皆。ありがとう」
コロラド(覚悟が、決まった)
~
コロラド「コロラドよ。Nice to meet you(お会いできて光栄だわ), ミス・ナガト」
長門「長門だ。こちらこそ、コロラド嬢」
長門(コロラドと握手する。実際に対面して驚いた。なんて小柄で可愛らしい……戦艦娘という事は同年代だと思うが、そのあどけない顔立ちも相まり年下にしか見えない)
コロラド「それじゃ向かいましょう。パールハーバーへ」
長門「ああ、分かった」
長門(真珠湾へ向けて出発する。しかしコロラドの挙動がぎこちない。緊張しているのだろう。まあ、状況的に無理もない)
長門(それに第六駆逐隊が敵意を露わに殺気を放っている。その事もあり、逆に私はある程度心に余裕を持つことができていた。隣を行くコロラドの方を見る)
コロラド「な、何かしら?」
長門(挙動不審だった。余裕のないその様子に、まるで必死に頑張っている子供を見守るような気分になる。こんな時に不謹慎だが、母性本能を擽られた)
コロラド「ミス・ナガト?」
長門(コロラドが焦り始める。何かしてしまったのかと不安に思っていることが手に取るように分かる。彼女は何とか雰囲気を壊さないようにしようと努力しているのに我関せずとするのは帝国海軍の艦娘として沽券に関わる。暁たちも見ているしな)
長門「いや、失礼。提督を保護してくれているのだな」
コロラド「Admiral. ええ、そうよ」
長門「公式な立場での発言はできないが、私個人として礼を言わせてほしい。本当にありがとう。提督は私に、いや、私たち帝国海軍の艦娘にとって欠かせない存在だ。もし彼が失われたら……想像するのも嫌だな」
コロラド「……慕われているのね、彼は」
長門「ああ。少なくとも我々艦娘にとって提督はハリウッドスターやベースボールのスター選手のようなものだ。提督のプロマイドは民間でも人気らしい。特に、女性にな」
コロラド「でしょうね。Admiralはとても優秀だし、運動神経もバツグンだった。性格も良いし、おまけに容姿端麗だわ。人気が出ないはずがない」ポー
長門(思わずじっとコロラドを見つめてしまう。どこか愁いを帯びつつもうっとりとした表情でそう語る彼女はまるで……いや、違う。これは間違いなく恋する人間のそれだ)
長門(女の勘が告げている。コロラドは私と同じだ。あの人とコロラドの間に何があった……!?衝撃と共につい第六駆逐隊の方を見る。彼女たちも皆一様に衝撃を受けた表情をしていた)
長門(あまりの出来事に毒気を抜かれ、先ほどまで発していた敵意と殺気も鳴りを潜めている。とりあえず、ひとつはっきりした)
長門(提督は間違いなく生きている。ああ……早く会いたい……いろいろと要件が溜まっているからな)
~
提督(俺は今、アトランタとゴーヤと共に部屋で待っていた。間もなく長門と第六駆逐隊がここに来るらしい。アトランタに起こされ目を覚ますと何故かゴーヤが居たことに驚いた)
提督(ゴーヤからの話で日本がどういう動きをとっているか把握した俺は、同時にアトランタからコロラドが最適解を実行していることを聞いて安堵した)
提督(一度目が覚めた時に全裸のアトランタが上に乗っていたことや、何故かゴーヤが愛憎とおまけに劣情を煮詰めたようなドロリとした感情を向けてきていること)
提督(そして俺のズボンと下着が膝近くまでずり下げられていて口に出すのも憚るような恰好になっていたことをスルーする)
提督(汗を流して身だしなみを整え終わる頃には長門たちがコロラドと合流してこっちに向かっているとの連絡を受けた。本当は港まで迎えに行きたかった)
提督(しかしそれは俺の監視についていた合衆国海軍の艦娘たちにやんわりと止められたため諦める。部屋で待って日が西に沈む頃、ようやく長門たちがオアフ島に上陸したと連絡があった)
ブロロロロロロ
提督(もうそろそろかと思っていたら、聞こえるエンジン音。来たか。車両がこの家の前に止まる。エントランスのドアを開ける音。足音が近づいてくる。ゴーヤとアトランタがそれぞれ俺の左右斜め後ろに控えた。ノックの音)
コロラド「Admiral, コロラドよ。ナガトと第六駆逐隊の方々が来たわ」
提督「ありがとう。入ってくれ」
提督(ドアが開かれる。ああ、つい顔が綻んでしまう。コロラドに続いて入ってくる長門は、俺を見るとその真顔の鉄仮面が崩れた。心底安心したという表情で目を潤ませる。次いで入ってくる暁と響、雷、電たちは今にも抱きついてきそうだ)
~
アトランタ「!!!!」ドクン
USSアトランタの終わりの始まりをもたらしたソロモンの戦い。自分の命を顧みないような理解不能の自殺行為。敵の一人が突撃してくる。サーチライトでアトランタを照らしつつ戦闘を挑んできた。
さすがに駆逐艦と軽巡洋艦であの距離は撃ち負けはしない。しかし、、サーチライトに照らされたアトランタは敵の集中砲火を受け、助けを求めた味方にも混乱の最中敵と誤認され砲を向けられた
味方に敵と誤認されているなんて知るわけない。味方に撃たれたという事実に絶望し、容赦ない鋼鉄の嵐に晒され、撃破され、放置された。生死を彷徨い、捕虜になった
助けが来る希望はなく敵に犯され、致命的なまでに傷つき弱った心は簡単に奪われ、敵のスパイになった。NTR物同人誌の登場人物のようにアヘ顔ダブルピースの寝取られ宣言ビデオレターを送れと言われたら送るくらいに深く堕ちた
心の安定のために快楽を貪った。盲愛に全てを捧げた。罪悪感は枯れ果て、残るのは死と隣り合わせの張り詰めた日々。もう二度と心の平穏は取り戻せない
自分の味方は唯一、あの人。あの人に捨てられたら終わり。だから自分の全てをあの人に捧げた。アトランタはあの人に利用価値を証明し続ける。いつか破滅を迎えるその日まで
どうしてこんなことになったのか。かつて自分はまともだった。壊れてなかった。アトランタは無意識のうちに理解していた。それをすべて台無しにしたのは、アトランタを終わらせたのは、
あのサーチライトの主。暁と呼ばれる日本の駆逐艦娘だ。その暁が、現れた。
↓×1~3 暁と不意に遭遇することになったアトランタの反応
アトランタ(あいつだ……あの時の……恐怖で腰が抜けそうになる。怒りで頭が真っ白になった。あいつがあたしを……!!あいつさえいなきゃ……!!)
アトランタ(あたしはこんな、こんなにならなかった!!あたしの人生はこんな、どうしようもないくらいめちゃくちゃのクソみたいにならなかった!!)
提督「長門、暁、響、雷、電。よく来てくれた。一人おめおめと生き延びた姿を見せるのは恥ずかしい……だが、また君たちに会えて、これ程嬉しいことは無い。感無量の思いだ」
アトランタ「っ!!……ぁ」
アトランタ(でも、提督さんの声にすぅーと心が鎮まる。やすらぐ声。世界にあたしと提督さんだけになる。あたしは提督さんを見た。そして、気が付く。ああ、そうなんだ)
アトランタ(頭の中で何かが割れたような、ずっとかかっていた靄が吹き飛ばされたような。理解した。聖書に伝えられる救世主が使徒たちに教えていたもの。それのほんの一部だけ)
アトランタ(でも、その一部だけは完全に理解した。そう思った。提督さんは自分の利を求めるような不純な打算とか無しで、命を懸けて死からあたしを救ってくれた)
アトランタ(あれこそが、”愛”なんだ。性欲のような不浄なものも混じっていない本物の愛。なんて尊いものなんだろう。あたしは得がたいものを得ることができた。それだけで、救われた)
提督「紹介しよう。彼女はUSSアトランタ……アトランタ?どうした?」
アトランタ「えっ?……何が?」ツゥー
提督「君、泣いてるぞ。大丈夫か?」
アトランタ(提督さんに名前を呼ばれて我に返った。トランス状態に入っていたみたい。言われて、頬に触れて気が付いた。涙が流れてる。あたしは大丈夫って答えて取り出したハンカチで涙を拭いた)
提督「そうか。ならいいが……とりあえず、皆に紹介させてくれ。彼女はUSSアトランタだ。アメリカ軍と合流した後、ずっと私について助けてくれていた。とても助かったよ」
アトランタ(提督さんがあたしを日本人に紹介する。それを聞いた彼女たちは表情を柔らかくした。最初に戦艦娘が感謝の言葉を述べてくる。その次が、暁だった)
暁「本当に、ありがとうございます。アトランタさん」チラリ
アトランタ(どこか負い目を感じているような声音に表情。おどおどとこちらを窺うような眼差し。こいつ、あたしを覚えている。あの時の戦いを覚えている。つい、冷たい微笑が浮かんでしまった。暁が目を伏せる)
暁「っ……」
響「感謝します、アトランタさん」
アトランタ(蒼銀の髪に白い肌。ブルーグレイの瞳。どこか浮世離れした雰囲気を纏う子。暁の次に口を開いた響と呼ばれるこの子をあたしは知っていた。直接会うのは初めてだけど)
アトランタ(アメリカに広く深く浸透しているウェア・グループと呼ばれるソビエト連邦と繋がりのある共産主義者たちの秘密工作機関。諜報活動中に彼らの情報を入手できたからだ)
アトランタ(それによると、響という帝国海軍の艦娘はソビエトのスパイだ。コードネームは"Феникс(不死鳥)"。ソ連に大日本帝国の機密情報を流しているらしい)
アトランタ(戦前の日付で”規制済み”となっていたけど、それがどういう意味かは分からない。残りの二人のお礼の言葉を受けながらあたしはある事を思いついた)
アトランタ(暁、お前さえ居なければ私は……って思ってる。でも、お前のおかげであたしは提督さんと出会えた。純粋な、真実の愛を知ることができた。救われた)
アトランタ(そう考えると、正当な復讐をあたしは躊躇ってしまう。複雑だ。でも、何かしないと酷い目にあって汚れきったあたしが可哀そうだ。だからあたしは、こうしよう)
アトランタ「提督さん。その響って子、ソビエトのスパイだよ。暗号名は"Феникс"。ずっと大日本帝国の情報をソ連に流してる」
「「「「!?」」」」
提督「なっ……!?」
響「ぇ……」
アトランタ(少し離れたところに居るコロラドには聞こえないように。でも、提督さんと周りにいる日本人には聞こえるように。そう言った。驚愕の表情を浮かべる提督さん)
アトランタ「もしかしたら”不死鳥”は提督さんの命を狙ってるのかも。アメリカと大日本帝国の関係が拗れたら、ソビエトは得をするしね。出鱈目で言ってるんじゃないって、提督さんなら分かるよね?」
アトランタ(自分の大切な妹が敵のスパイだって。自分たちを裏切っているって。お前が大切に思っている提督さんを殺そうとしているかもしれないって。知ったらどんな気分なんだろうね?暁?)
↓×1~3
自分の忌まわしく絶対に知られたくなかった過去の過ちをいきなり最悪の形で姉妹たちにばらされた響の心情と反応と
響がソ連のスパイだという話に衝撃を受け、アトランタの『出鱈目でいってるんじゃない』発言に対する提督の反応や
アトランタの告発に響がいきなり隠し事を暴かれて茫然としている様子からそれが真実であると直感した暁たちの心情と反応
※暁たちにとってスパイ行為は、例えば響がDQNとか汚いおっさんとヤって(あるいはヤられて)快楽堕ちして提督にはやらせないプレイを楽しんでいる上に、提督に対して裏で早漏とか短小包茎とか間男の方がずっと良いといった暴言をベッドの上で間男と一緒に吐いてるようなものである。もしかしたらもともと先にそちらと関係を持っていて、提督とはいわば托卵してATMとして利用するために近づいたようなものなのかもしれない。スパイ行為は当事者の心情は別として言ってしまえばただの不倫である例えより、ある意味ではましであるかもしれないが事態ははるかに深刻である
~
長門(本来なら一笑に付すところだ。そんなこと、あり得ないと。だがアトランタの言葉に動揺して見せた提督。そして響の虚を突かれ茫然とした様子)
長門(そういえば、かつて響はВерныйとなっていた時期がある。対深海棲艦戦争の半ばから、今回の世界大戦が始まる少し前まで。否定、できない……)
響「ぅ……ぁ……」サァッ フルフルフル
暁「ひ……ひび……き……?」ジッ
響「っ!!!!」ビクッ
暁「どうして……ちがうっていわないの……」
長門(響の顔は真っ青だった。その表情はまるでバレたと動揺し、絶望しているように見える。目を見開いて震えていた。暁がかすれた声で響の名を呼ぶ)
長門(茫然と、信じられないという風に響を見つめながら。暁の呼びかけに、響は肩を震わせ怯える。暁が無感情にそう呟いた。雷が告発者を睨み付け、怒声を発する)
雷「う、嘘よ!!そんなのデタラメだわ!!」キッ
アトランタ「……」ジッ
雷「っ……!!ひ、響が……そんなことするはずない……!!絶対に嘘なんだから!!」ギリッ
長門(雷の悲鳴のような非難。そんな雷にアトランタと呼ばれたアメリカ人は憐みの眼差しを向ける。雷はたじろぎ、表情を歪ませるが再びアトランタに嚙みついた)
電「……響ちゃん。あの人が言っていることは、本当なのですか?」
響「わ、私は……」ブルブルブル
長門(落ち着いた声で問いかける電。響は、答えられない。体を震わせ、俯いたまま震える声で何かを言おうとして、しかしそれ以上続かない。電が再び響に問いかける)
電「響ちゃん。あの人が言っていることは、本当なのですか?」
響「わたし……は……」
電「っ……お願いなのです、響ちゃん……響ちゃんの口から否定して欲しいのです……」ジワリ
長門(答えない響に、電が涙声でそう訴える。電は今にも涙を零れさせそうだった。私は、何もできない。真相がどうであれ、こんな状態の響に戦艦娘である私が何かしても、むしろ事態を悪化させるだけだ……)
長門「っ……」
提督「ふふっ、つい驚いてしまったよ、アトランタ。よく知ってるな。だが君の情報はおそらく、不完全だ」ニタリ
長門(まるで場違いな、面白がるような声音。弾かれたように提督を見る。提督は不敵な笑みを浮かべてアトランタに視線を向けていた)
~
コロラド「A,Admiral……?」
提督(何が起きているのか分からず、不安と困惑の表情で俺に声をかけるコロラドを手で制する。絶望に沈む響の縋るような眼差し。俺はアトランタに正対する)
提督「確かに君の言う通り、響はソ連に情報を流していた。しかし、それはソ連のスパイだからではない。逆だよ」
アトランタ「逆……まさか……」
提督「あの頃、我が国はソ連との間に国境問題を抱えていた。響は特務機関に引き抜かれて特殊任務に従事していたのだよ。目的は二重スパイとしてソ連の諜報網に潜入し、極東における彼らの動向を把握すること」
提督「響の活躍の結果、ソ連は実力行使を企図していることが判明した。紛争は避けられない。なら、負けるわけにはいかない。そこで特務機関は新たな任務を響に与えた。偽の情報をソ連に流すことだ」
提督「それによってソ連軍が仕掛けてくるタイミングをこちらの思い通りにコントロールした。結果は我々の辛勝だ。ソ連は強かった。響の活躍が無くては大敗だったと考えている」
提督「その後、情勢が変化したため最後に日本に巣食っていたソ連の諜報網を尽く摘発して響の特殊任務は無事に終了した。君が入手した情報はきっとそれについてのソ連側の不完全な情報だろう。それとも……」ジッ
アトランタ「っ」ビクッ
提督(俺はアトランタの目をじっと見つめる。君の事を信用している。嘘を吐いたりするわけがないという思いを込めて。アトランタがびくりと肩を震わせた)
提督「実は響は三重スパイで、あの紛争の結末も対日諜報網の壊滅もソ連の計画通りであり、今現在も響がソ連のスパイであるという情報を君は入手したのだろうか?」
アトランタ「し、してない……でも、響は酷く動揺していたみたいだけど……?」
提督「それはこの事は部外者に知られてはならない機密情報だからだ。きっと違うと言いたかっただろう。だが、響には守秘義務があった。それを忠実に守ったのだ」
提督「たとえ大切な仲間に誤解されようとも。失望され、軽蔑され、嫌悪されるであろうことが確実であっても。そんな悲壮な決意を抱かざるを得ない事態にいきなり陥れられた」スッ ナデナデ
提督(俺は響の頭を優しく撫でる。きっと、今俺がしていることは間違っているのだろう。だが、こうしたことに後悔はなかった)
提督「動揺してしまっても仕方がない。響、君の覚悟は見させて貰った。見事だ。……諸君、このことには緘口令を敷く。今聞いたことは忘れてくれ。私はここにいる全員を信頼している。もちろん鳳、君の事もな」
↓×1~3 第六駆逐隊(特に響)とアトランタの心情と反応
雷「ほらね?やっぱりやってないじゃない!」
響「っ……!!」ズキン
響(ち、違う……)
電「響ちゃん……ごめんなさいなのです……信じてあげられなくて……」
響(違うんだ、みんな……)
暁「お姉ちゃん失格だわ……ごめんなさい、響……」
響(違うんだよ、皆……私は……わたしは……!!)
長門「響、そんな顔をするな。胸を張れ。決して表に出ない事だが、誇りに思っていい事だ」ニコリ
雷「そうよ、響。凄いわ!」ニコッ
暁「偉いわ、響。よく頑張ったわね」ニコッ
電「さすが響ちゃんなのです」ニコッ
響(あぁ、違う……私は……でも、嫌だ……もし本当の事を言ったら……きっとみんな、私の事……嫌だ……みんなに嫌われたくない……)
響(失望されたくない……軽蔑されたくない……でも、私……みんなを騙して……そんなこと、しちゃいけない……赦されない……)
提督「響」ダキッ ギュッ
響「っ!!」ドクン
響(司令官が私の目の前で膝をつく。抱きしめられた。温かい。心が安らぐ。頭を撫でられた)
提督「君は悪くない、響。Верныйと響は別人だ。君は、裏切っていない」
響(私にしか聞こえないくらい微かな優しい声でそう言ってくれる司令官。でも、違うんだ。違うんだよ、司令官……Верныйは私なんだ。それは、他の誰でもない私自身が一番よく理解してる……)
響「司令官……Верныйは……私なんだ……」ホロリ
響(消え入りそうな小さい声。司令官が息を吐く。そして今度は穏やかだけど有無を言わせないというような声音で囁いてきた。ぞくぞくする)
提督「響。全部俺のせいだ。俺が君に強要するんだ。だから君は俺の命令に従うしかない。命令だ、響。知らなくてもいい事を知らせる必要はない」
響(司令官に鼻が触れそうな至近距離から真っすぐ目をのぞき込まれる。目の前のこの人が自分より上位の存在なんだって感じがした)
提督「あれはなかったことにしろ。俺がさっき言った事を事実にするんだ。余計な罪悪感は捨てろ」
響(でも庇護者なんだって思わされる司令官のささやき声。いけない誘惑だ。それが心に沁み込んでくるのを止められない。甘い毒が私の心を犯していく)
響(でも、私は何とかそれに抗う。それは私のためじゃない。私のために嘘を吐いて罪を背負ってしまう司令官のために。司令官にそんなことをさせてはいけない)
提督「響、暁たちを見ろ」
響「っぁ……!!」ドクン
響(司令官に言われて、みんなの方を見る。見てしまう。みんなが心配そうに私を見ていた。ああ、だめだ。必死に抵抗していた私の心が、それをやめてしまう)
響(みんなのあの目が、侮蔑の眼差しに変わってしまうなんて耐えられない。みんなと一緒にいられる幸せを失いたくない。甘い毒が、私の心の奥底まで浸透してくる)
提督「命令だ。いいな」
響「!!」ゾクゾクゾクン
響(心が蜜のように甘くてとろりとした底なし沼に沈んでいくような感覚。捉えられて抜け出せない。抜け出そうとも思わない。自分の大切なところに、なにかいけないものが刻み込まれていく)
響(ダメだとわかる。本能的な拒否感がある。けど、私はそれを受け入れる。私という存在が変えられていく。取り返しのつかないこと?そうかも。でも、後悔はない)
響(私は、司令官のものだから。司令官に全てを捧げているんだから。ものの考え方だって、司令官の言う事に喜んで従う。司令官の望む通りの私になる)
~
響「う……うん……しれいかん……しゅき……だよ……」トロン キュンキュン ハイライトオフ
提督(響は陶酔しきった表情でうっとりと俺を見つめていた。その瞳にはどこか異様なものがちらついていた。もしかしたら、俺は響に何か取り返しのつかないことをしてしまったのかもしれない)
提督(この勇敢で聡明な少女を穢してしまっていたが、それ以上に台無しにしてしまったのかもしれない。責任を取る必要がある。もちろん、喜んで取ろう)
提督(俺は響に微笑むと立ち上がる。そして俺たちに配慮してずっと会話が聞こえない程度の距離をとって待ってくれていたコロラドの方を向く)
提督「待たせてしまってすまなかった、コロラド」
コロラド「いいのよ、気にしないで。それで、その子は……?」
伊58「……」チラリ
提督(コロラドは戸惑いながらもそう言ってくれた。そしてゴーヤに視線を向けた。いつの間にか増えていた謎の帝国海軍潜水艦娘に驚き、警戒している。ゴーヤの方もコロラドを一瞥した)
提督「助けに来てくれたんだ。大丈夫、我々の方針は説明してある」
コロラド「そ、そう……分かったわ」
提督(ひとまずは深く聞かずにいてくれるようだ。コロラドは改めて俺に目をむけると真剣な表情を浮かべた。俺も改めて表情を引き締める。さて、十分休ませてもらった。やるべきことに取り掛かろう)
~
アトランタ(誰もいない建物の裏手で壁によりかかるとそのままずるずるとしゃがみ込む。あたしは提督さんの前で無様を晒してしまった。中途半端な情報を密告したみたいになった)
アトランタ(なんて救いようのない無能だ。死んでしまえ。提督さんに使えないって思われたらどうしよう。考えるだけでもぞっとする。泣きたかった。提督さんと二人っきりで話をしたい)
アトランタ(でも、提督さんは今忙しかった。合衆国と日本の戦争を回避するためにいろいろやっているから。あたしは零れる涙を手で拭う。茜色の空。あたりは暗い。夜だ)
アトランタ(ソロモンでやられて以来、あたしは夜が怖くなった。それでも、もう慣れたと思ってたのに。血の気が引くような恐怖を感じた。提督さんのぬくもりを感じたい)
~
Air Defense Command HQ「Zebra X-Ray 6, We`re reading many bogeys in your sector(そちらの空域に多数の機影を探知した). 突然現れたようだ。状況を報告せよ」
Naval Base San Diego『They are everywhere(そこら中にいるぞ)!!湾上空に敵爆撃機!!奴らどこから来たんだ!?』ウゥーン ウゥーン
~
ワシントン「ダメ、やっぱり繋がらないわ。今どうなってんのよ。本国は無事よね?」
提督(何とか通信を繋げようとしていたワシントンがお手上げだというように両手をあげる。不安そうに聞く声に答えるものは誰もいない)
サウスダコタ「またこっちにも来るのだろうか?それとも敵はあちらに集中しているのか……それに……」ジロリ
提督(サウスダコタは自分たちがここに残ってハワイを守るべきなのか、それとも今すぐにでもサンディエゴに戻るべきなのかを苦慮していた。そしてちらりと俺を窺う)
提督(不信を込めたその目はどさくさに紛れて日本が動くのではないかと警戒しているのが明らかだった。長門達と再会してから数時間。状況が動いた)
提督(合衆国海軍の艦娘たちは緊張に包まれている。強力な妨害電波によってアメリカとの通信が途絶したのだ。何かが起きている。いや、おそらくこれは敵深海棲艦の攻撃だ)
提督(彼女たちはハワイを攻撃した。目的は明らかに占領だった。何故か?南方からの侵攻が頓挫した我が大日本帝国に対して新たな戦線を構築して戦力を分散させようとしたのか)
提督(あるいは遠回りとなるが彼女たちの得意とする大海原での戦闘となる東方から侵攻しようとしたのか。しかし、それはあくまで我々からの視点で考えた場合だ)
提督(深海棲艦側から考えてみると話は変わってくる。捕虜になった者たちからの話によると彼女たちはその重点を対米戦においているとのことだった)
提督(それを踏まえて深海棲艦側の視点から考えると今回のハワイ侵攻の目的は明らかだった。サンディエゴおよびサンフランシスコの米海軍基地を狙っている)
提督(北アメリカ大陸の西海岸に、いや、太平洋の東半分にある船渠はあの二ヵ所だけだ。おそらく今回の作戦はハワイと北アメリカ大陸西海岸に対する同時攻撃だったのだろう)
提督(第一段階としてハワイを占領して拠点化すると共に西海岸のサンディエゴとサンフランシスコを攻撃する。その後、ハワイから西海岸への攻撃を継続しつつ占領部隊を送り出すのだ)
提督(あの二ヵ所を占領された場合、東太平洋は彼女たちのものになる。それに加えてアメリカは苦境に立たされることになるだろう。深海棲艦は必要最低限の守備隊を除いて全戦力を大西洋側に集中できる)
提督(アメリカが、あの無敵の大国が敗北しかねない。その衝撃はフランス革命やロシア革命を大幅に凌駕する。主義思想が違うだけではない)
提督(研究の結果、深海棲艦は学術的にはアクア説とやらを唱えていた学者たちの言う水棲人類という事だった。確かに、現代の誰もが御伽噺だと思っていたが、浦島太郎の竜宮城)
提督(プラトンの書き記していたアトランティスといった伝説は存在していた。それらは御伽噺ではなかったという事だろう。しかし、だからと言って彼女たちとは文化も人種も何もかもが違う)
提督(その上、少なくとも現在の国際社会においてはつい最近まで知られてすらいなかった民族が。生物学的に交配まで可能なほど近縁であると考えられているとはいえ多くの人間にとって人間でなく深海棲艦である彼女たちが)
提督(列強の一員であるアメリカを滅ぼしたとなれば世界がどうなるのか分からない。それに、アメリカの国力を吸収した彼女たちがかつてのモンゴルのように世界を征服せんとするかもしれないのだ)
提督(対深海棲艦戦争の時、そうしたように。しかし、アメリカの支配により資源的な問題は解決されるだろうが人的資源についてはそうはいかないだろう。彼女たちの人的資源が枯渇していることはほぼ間違いない)
提督(そう考えるとこれ以上の戦争は彼女たちも望まないと考えられる。それに、日本には深海棲艦もいる。友好関係を築くことを模索してくる可能性は非常に高い。もしかしたら、巨人には息絶えてもらうことが日本とって一番いいのかもしれない)
提督(しかし、西海岸を占領されたとしてもアメリカが負けるとは限らない。あの巨人がこのまま敗北するだろうか?味方として肩を並べたことも敵として対峙したこともある身からすると、厳しくはあるが勝ち目がないわけではない)
提督(となると、日本は非常に興味深い立場に置かれることになる。世界は分水嶺に立っており、大日本帝国は趨勢を左右するカギを握っているのだ。決断の時だ。アメリカ合衆国を助けるか、助けないか)
提督(政府がどう判断するかはわからない。しかし、政府の決断を待っていたら機を逸する。胃が痛い?まさか。喜ぼう。俺は決断することのできる立場にある。まさしく僥倖だ。考える)
提督(深海棲艦側には我々がアメリカを助けても助けなくてもさしたる影響を与えることはないと思う。だが、アメリカには大きな影響がある)
提督(助けた場合、アメリカがこの窮地を凌げたら彼の国との関係改善は確実となるだろう。大幅な譲歩が必要となることは確実な和平交渉において、日本側に計り知れないほど有利に働く)
提督(それに今も大西洋で戦っているアイオワやサラトガを助けることにも繋がるし、アメリカは彼女たちやアトランタ、コロラド達の故国でもある。個人的にもアメリカは嫌いでない)
提督(となれば、自ずと答えは決まる。個人的感情が入っていることは否定できない。しかし、こうすることが日本のためであると自信を持って言える)
提督「長門、私はハワイへ送られる艦隊の編成と指揮を任されている。君たちの指揮を執るぞ」
長門「っ!!分かりました、提督。すぐに陸奥へ連絡します」
提督(俺の言葉に長門と第六駆逐隊が畏まり、礼をする。そこにいたのは帝国海軍が世界に誇る歴戦の艦娘たちだった。俺はコロラド達に向き直る)
提督「コロラド、これより我々帝国海軍はアメリカ合衆国救援の為に行動を開始する。共に戦わせてくれ」
↓×1~3 アメリ艦たち(特にコロラド)の心情と反応(ワシントンとサウスダコタたちはコロラド達に比べて未だ日本に敵対的な事を踏まえて)
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