星空みゆき「とうおるるるる……るんるん♪」 (818)

【警告】
これより先は、読んではいけない

※プリキュアxジョジョ

※キャラ崩壊注意

※狂気5割増し

※髪を下ろしたみゆきちゃんとボスって似てね?(錯乱)


読者は殺された
成長した??に殺された


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るるるるるる……
るるるるる……ガチャ

やあ、私のかわいいみゆき。元気かな?

突然の電話でびっくりしただろうが、おまえの急な転校に関して少しな……

ああ、ああ、そんなに謝ることはない……何も『怒っている』わけじゃあないんだ……素直に『おめでとう』とだけ言っておこう

ただ、これだけは『理解』してほしい……

私の『幸福』……『永遠の絶頂』を守るために、私の『秘密』は決して知られてはならないということを……わかるな私の言ってることが

『秘密を守る』ためにおまえが何を努力するべきなのか……そして万が一でも『秘密を知ろうと』するものが現れたら……

……ああ、そうか、いいこだみゆき。おまえは本当に『信頼』できる……褒美におまえの『幸福』のためになるアドバイスを授けよう

……
…………
………………

……どんな人間だろうと……一生のうちには
「浮き沈み」があるものだ 

『成功したり』『失敗したり』……

だが……未来という目の前に………
ポッカリ開いた「落とし穴」を見つけ!

それに落ちる事がなければ人生は決して『沈む』事がない『絶頂』のままでいられる

……そうじゃあないか? え?

みゆき「うん、そうだねボス! ボスの言う通りだよ」



みゆき「落とし穴に落ちるってわかっていれば、落ちずにケガをしなくてウルトラハッピー」ハッピー

みゆき「……うん、うん、そうだね! やっぱり幸福が一番だよ」ハッピー

みゆき「わたし、がんばる! ボスのハッピーはわたしが守ってみせるよ! ……うん、それじゃ、またね!」

みゆき「ガチャ。……ふう、ありがとう! 電話を貸してくれて」

キャンディ「や、やっと放してくれたクル……」


みゆき「ごめんね、近くにいい電話がなかったから、あなたから借りちゃった。あなたの電話、モフッとしててとっても気持ちよかったよ」

キャンディ「キャンディは電話じゃないクル! これでもれっきとした妖精クル」

みゆき「……妖精さん?」

キャンディ「そうクル。キャンディは絵本の国、メルヘンランドの妖精クル!」

みゆき「……わぁ~! ホンモノの妖精さん!? わたしはじめて見たよ!」

キャンディ「キャンディも人間さんと話すのははじめてクル」

みゆき「これってもしかして、絵本が好きなわたしにやってきた素敵な出会い?」ハッピー!

みゆき「今度ボスから電話があったら真っ先に教えてあげよっと!」ハッピー!!

キャンディ「あ、こうしちゃいられないクル!早くいかないと……」ピューン


みゆき「ねえねえキャンディちゃん、わたしとおともだちに……ってあれ?」

みゆき「いないや。……夢だったのかなあ? はっぷっぷー……」アンハッピー

みゆき「あれ、これって……? 絵本? もしかして、さっきの子の……」スッ

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

みゆき「……やっぱり、夢じゃなかったんだ! わーい!」ハッピー


キィーン コォーン カァーン コォーン


みゆき「あっ……いけない! 学校に遅刻しちゃう~!」タタタ




みゆき「(なんだろう、これからとびきり)」

『ハッピー』なことが……『始まる』気がする……

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨




【Di Molto Felice】……イタリア語で『ウルトラハッピー』を意味する


わたし、星空みゆき! 絵本大好き中学二年生。
今日は転向初日なんだけど、いきなり遅刻で大ピンチ。

でも、空はとってもいい天気だし、私は元気だし、ウルトラハッピーな事が起こるかも~!

先生「では、転校生を紹介します。自己紹介してください」

みゆき「はっはいっ!」ビクゥーン

みゆき「(うわあ緊張してきた。自己紹介! あんなに練習したんだからだいじょうぶ……がんばれわたし……うう、やっぱむり!)」ガタガタ

あかね「まだァ~?」

みゆき「」ビクゥーン

あかね「自己紹介~!」ブンブン

みゆき「……」


みゆき「(そ……そうだ、まずはあいさつだ……落ち着かなくっちゃ……心を平静にして考えるんだ……2……3……5……)」

みゆき「(落ち着くんだ……素数を数えて落ち着くんだ……7……11、13……)」

みゆき「(素数は1と自分の数でしか割ることのできない孤独な数字……わたしに勇気を与えてくれる……17……)」

みゆき「じゅうきゅう!!」くわっ

あかね「へ? なんなん?」

みゆき「え……えっとォー、わたし、星空みゆきです!えっと、わたしちょちょ……とにかくよろしくおねがいします!」ペコォーーーーッ

あかね「……それで終わり? あかん、オチないやん!」ガタ

みゆき「」ビクゥーン


あかね「うちが代わりに自己紹介したる! そやな~……」ジロジロ

みゆき「え、えぇ~?」

あかね「見た感じおっちょこちょいでスットロそうやけど芯はしっかりしとる。ほんで~星を見るのが大好きな……」

みゆき「……!」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

みゆき「(この人、わたしのことを知っているような口振りをッッ! わたしのことを調べている……?)」

みゆき「(まさか……『秘密』を探っているんじゃあないよね)」ゴクリ

ナマエハソヤナー
ホシゾラ ミタロウ

ワハハハハハ……

みゆき「(秘密に近づく者は誰であろうと『……』しなければならないッ!)」


みゆき「(だけどこの人がそうだとは言い切れない……うぅ、どうしよう……)」

ホシゾラサンコマッテルデショ
ソウデスヨ,ソレニアイサツハジブンデシナイト

みゆき「(どうしよう……どうしよう……どうしッッ!?)」ビクゥーン

みゆき「とぅるるるるるるるるるる!!」

全員「!?」

みゆき「とぅるるるるるるるるるる……るるるるるるるる……!」

あかね「な、なに? 自分いきなりどうしたん?」

みゆき「た、たいへん! ボスから電話がとぅるるるるるるるるるる……こんな時にとぅるるるるるるるるるる……」

あかね「電話って」


みゆき「聞こえないの!? 近くで鳴ってるじゃない! えーと電話、電話……」キョロキョロ

みゆき「ッッ! あったッッ!! あったよォ~!」ズサァー

先生「それって……」

あかね「黒板消しやん……」

バフバフッ モクモク……

なお「迷わず顔に当てた」

みゆき「はイィ~もしもし……はい、みゆきです」

みゆき「ボスゥ~……学校で電話かけてきちゃダメだよォ~。学校には電話持ち込んじゃだめなんだよ?」

やよい「話してる……」


みゆき「えっ、落ち着けってえっえっ、でも、ボスの正体がバレちゃうかも……え、わたしのかんちがい? ……なーんだそっか~!」

みゆき「ボス! どこかから見ていてくれたんだね。ほんとうにありがとう!」

みゆき「そしてごめんなさい。ボスに迷惑かけちゃって……え? 気にしてないの? やったあ!」ペコペコォ~!

れいか「……」

みゆき「それじゃあまた後でね! ガチャ」バフッ

みゆき「先生ありがとうございます。ここの備えつきの電話、軽くて使いやすいですね」

先生「……」

みゆき「どうかしましたか?」キョトン

あかね「(あかん、どこから突っ込んでええんかわからん)」


全員「……」

みゆき「たいへんお騒がせしましたッ! もうだいじょうぶです! ……ごほんごほん」

みゆき「改めまして、星空みゆきです。私は絵本が大好きで小さい頃から沢山呼んでいます」

みゆき「絵本のお話って必ずハッピーエンドになるのが素敵だな~って思ってて私も毎日そんなハッピーを探しています」

あかね「……はっ!」

あかね「(あかんあかん! さっきのはボケや! フリや! ここでつっこまな何時つっこむねん!)」


あかね「ハ……ハッピーってどんななん?」

あかね「(とりあえず流れを戻さへんと!)」

みゆき「永遠の絶頂です」キッパリィイーン

あかね「!?」※まさかのカウンター

れいか「絶頂……」ポッ

みゆき「うまくは説明できませんが……『人間が生きる理由』って、幸福の絶頂に立つことなんじゃあないかって思うんです……」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

あかね「(なんやこのプレッシャー)」

なお「(普通じゃない)」

やよい「(こわい)」

みゆき「わたしも……『人生』の行く先でそんな幸福の絶頂に辿り着きたいなァ~。手にいれたいなああああああ。幸せになりたいなああああああ」

みゆき「……って思うんですゥ~」

あかね「……なんや、ようわからんけど」

れいか「でも、なんだかわかる気がします」

れいか「(この人も己の進むべく道を探して……)」

みゆき「そんなわけでよろしくお願いします」ペコォーーーーッ


なお「なんかいい話で終わろうとしてるけど」

やよい「チョークの粉で真っ白だよ~……」

みゆき「えへへ」ニッコォオオオオリ

先生「そ、それじゃ、星空さんの席は……」

先生「日野さんの隣がちょうど空いてるわね」

あかね「ほへ?」

あかね「う、うちのとなりですか!? この電波ちゃんがァアーーーー!?」ガビン

みゆき「えへへ、よろしくね日野さん♪」ハッピー

あかね「……あ、あははー。こっちこそヨロシクゥ~……」


-ホームルーム-


エー,ポスターノシメキリガチカイノデー

みゆき「(ハァ~緊張したなァ~。ボスが電話してくれなかったらどうなってたか)」グッタリ

クルゥウウウ……

みゆき「クルゥウ~?」ムクゥリィ

みゆき「!」

みゆき「キャンディイーーーーッッ!?」ガタッ

あかね「こ、今度はなんやー!?」ビクゥーン

みゆき「キャンディだよホラァアーーー!! あそこだよォおーーーーッッ!!」

あかね「キャンディって……」

みゆき「妖精さんだよ~♪」キラリーン

あかね「……」


あかね「グレート。このこやっぱ頭の中がグレートにヤバいねん」

あかね「見えたらあかんモンまで見えとるんや……若いのに難儀やなあぁ~……」ホロリ

みゆき「もう! ほんとにいたんだよ?」はっぷっぷー

先生「星空さん、静かに!」

みゆき「はう、すみません……」

みゆき「絶対間違いないのにな~」


放課後


みゆき「日野さん、今日はありがとね♪ また明日~!」ヒラヒラ~

あかね「ああ、ええんよ……転校したてで舞い上がっとるんよな……そういうことにしとくわ。ほな、また明日な」

みゆき「うん、じゃあねー♪」

みゆき「さぁーてキャンディを探しに行こー!」


化学室


みゆき「うーんここにはいないかー」


音楽室


みゆき「わーおっきいピアノ! うーん、でもここにも……」


男子生徒W「……」ドドドドドドドドド
女子生徒?A「……」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


みゆき「外国人!?」


図書室


みゆき「最後はここだけど……誰もいない図書室ってなんだか不思議な感じ……」

みゆき「へぇえ~この絵本ははじめて見るな~。だいぶ昔の本みたい……」ゴソゴソ

ピカァー

みゆき「んん?」

みゆき「こっ……これは!? ………!!」

ピカピカァー

みゆき「『本棚』が光っているッ! いや! 本そのものが光っているーーーーッ!」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨


みゆき「この不思議な光はッ!? まるで暖かさと安らぎを同時に放つ感覚ッ。まさに光のプリフィケーション!!」

ささっ……カチリ

みゆき「触れたら音がなった……?」

ピカカカァーーー

みゆき「ひっ光が強く!? だけど相変わらず不安は感じない……」

みゆき「むしろ安らぎが増していくよッ!」

カチカチカチィッ

みゆき「そっか、この本棚はパズルの台のようなもので、本自体がパズル……鍵の役割をしていると見たよ!」

カチチィイーーーーン

みゆき「こっこれは光の扉がーーーーッ!?」

みゆき「吸い込まれるゥウウ~~~~!?」


プリキュア~!
プリキュア~!

キャンディ「プリキュア~! どこにいるクル~!?」

キャンディ「はあ、はあ、どこにもいないクル……」ハッ

キャンディ「あ、あいつは……!」

ウルフルン「……」

キャンディ「オオカミがきたクル~……」



不思議図書館


みゆき「な、なにここ~? 周り全部が本、本、本……本だらけだ~!」

みゆき「あれ、この本……さっきの……」

みゆき「『ふしぎな扉』……ッ間違いないッ! ここに来た時に光っていた本と同じもの!」

ピカァ

みゆき「また光った!」

クルゥゥゥウウウウ!!

みゆき「この声は……」

キャンディ「オオカミがきたクル~!」

みゆき「キャンディッッ!!」


みゆき「この先の景色、見たことがある! 確か商店街の景色!」

みゆき「もしかして、この『ふしぎな扉』の本を横にずらせば……」ズズズ

パァアアーーーーッッ

みゆき「やっぱり! 『向こう側』に繋がったっ!」


商店街


キャンディ「オオカミがきたクル~!」ピョンピョン



キャンディ「オオカミが、オオカミがぁあ~!」

ツルゥリィッ

キャンディ「クルゥアアアア!? すべっちゃったクルゥウウ~!?」

みゆき「キャッチィイイ~!!」ガシィィ

キャンディ「あっ……! チ、チミは……」

みゆき「よかったぁ~間に合ったよ!」

みゆき「なにかあったのキャンディちゃん?」

キャンディ「オ、オオカミが……空にでたクル~!」ユビサシィ

みゆき「オオカミ? 空にオオカミ? やだなあ~! そんなの来るわけないじゃな~
い」クルゥリィ


ウルフルン「早速この町からおっぱじめてやる」ウルッフッフッフ


みゆき「ほんとにいたぁーーーーッッ!?」


ウルフルン「世界よ! 最悪の結末、バッドエンドに染まれ!」ベッチャァーーーーン

ウルフルン「『白紙』の『未来』を黒く塗りつぶすのだッ!」ベタァアーーーー

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

みゆき「これはッ!? 空が黒く染まっていくよ!」

キャンディ「ウルフルンが世界をバッドエンドにしようとしてるクル!」

みゆき「バッドエンド!? っって一体なに?」

キャンディ「悪い未来のことクル~!」

みゆき「悪い未来……! こ、これはッ!?」

みゆき「周りにいた人たちがまるで生気を失った腐りかけの死人のように倒れ伏しているッ!」

キャンディ「バッドエナジーがあふれてるクル~!」

みゆき「バッドエナジー?」

ウルフルン「人間どもの発したバッドエナジーが悪の皇帝ピエーロ様を蘇らせていくのだ!」ウルッフッフッフ


キャンディ「やめるクル~!」

ウルフルン「ああん? おまえは……」

キャンディ「世界をバッドエンドにしちゃダメクル~!」

みゆき「ちょ、ちょっとキャンディ~?」

ウルフルン「おまえもこっちに来ていたのかぁあ~~~~?」

ウルフルン「『未来』は全てバッドエンドになる。頑張っても無駄なだけだぜ!」

キャンディ「そんなことないクル! 無駄なんて絶対無い。頑張ったらきっと『ハッピー』になれるクル~!」

みゆき「……『ハッピー』……!」

ウルフルン「ケッ、ほざいてろ」スタスタ……

みゆき「待って!」

ウルフルン「ああ~~~~ん? なんだァおめーは~~~~?」

みゆき「キャンディの言うとおりだよ。私だって今日自己紹介上手くいかなかったけど、めげずに頑張ったらボスが助けてくれて何とかできた」


みゆき「どんな事も最後まで頑張りぬくの。そしたら、何時か絶対『ハッピー』になれるんだから!」


ウルフルン「何だお前? ぐだぐだ言ってないでそいつを寄越せ! 喰ってやる」

みゆき「ぜったいにやだ! わたさない!」ギュッ

キャンディ「チミ……」

ウルフルン「おまえ、おれが怖くないのか?」

みゆき「ぜんぜん怖くないよ」

みゆき「わたしがこわいのはたった一つ」


みゆき「『絶頂』から転げ落ちることッ!」バァアーーーーン


みゆき「だからここは逃げるッ! 戦略的撤退を『選択』するよ!」ガシィィ

キャンディ「クリュッ」キュッ

ウルフルン「……気にいらネェエーーーーなああーーーーッッ!? だったらおまえから食ってやるぅうあああああああ!!」グワァアーーーーッ

みゆき「うわぁあああ来たァああーーーーッッ!?」スタコラ


キャンディ「このままじゃチミまで食べられちゃうクル~!」

みゆき「でもでも決めたんだもん! あたし頑張る! あたしもキャンディの言った事正しいと思うから~!」

ウルフルン「ひゃはは逃げろ逃げろォオーーーーッ! 食っちまうぞ!」

みゆき「わたしは『あきらめない』ッ!ボスと約束したから。『やると決めたことはあきらめずに最後までやる』って!」

みゆき「それがわたしの『幸福への道標!』『黄金の未来』への道のりだからーーーーッ!」


ビッカァアアーーーーーーーーーッッッッ!!



みゆき「キャァアアーーーーーッッッ!?」


ウルフルン「な、なんだぁーーーー!?」


みゆき「光が!? 上空からーーーーッッ!?」

キャンディ「こりはまさか……」

キャンディ「スマイルパクトクル~!」

みゆき「な、何が起こったの?」

キャンディ「チミは『伝説』の戦士『プリキュア』なんだクル~!」

みゆき「プ、プリキュアァア~~~?」

キャンディ「キュアデコルをスマイルパクトにセットしてプリキュアスマイルチャージって叫ぶクル~!」


みゆき「な、なんだかよくわかんないけど……」

みゆき「やってみる……ッッ!?」ビクゥーン

キャンディ「クル?」

みゆき「……」ウツムキィー

ウルフルン「なんだぁー?あいつ、急に『静かになりやがった』ぞ……」

みゆき「……るる」

ウルフルン「あん?」



みゆき「……とうおるるるるるるるるるる……」グリン



キャンディ「クル~!?」

ウルフルン「あ、ああ~?」


みゆき「とぅるるるるるるるるるる……ちょっ、こんな時に電話るるるるるるるる今忙しるるるるるるるる……」

キャンディ「どうしちゃったクル~!? はやく変身するクル~!」

みゆき「ま、まってるるるるるるるるボス!るるるるるるるる!!」

みゆき「とぅるるるるるるるるるる……」

みゆき「」スゥウウーーーー………

キャンディ「クル? パクトを上に持ってどうするクル?」

みゆき「」ドッッグオオオーーーーン!!

キャンディ「耳に叩きつけたァアーーーー!?」




┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨


みゆき「ザケてんじゃあねーぞッ!!
なんでこんな時に電話してくんだあああああああッ!!
バレちまってもいいのかあああ!!」ウバシャアアアア


キャンディ「」
ウルフルン「」


みゆき「ふ~ッ、ふ~ッ! ……え、なんですかボスゥ~? 『変身しろそれが幸福への道だ』?」

みゆき「やだなぁあ~~~~それを言ってくださいよォオ~~~~!」キャルルゥン

キャンディ「」
ウルフルン「」


みゆき「ふむふむん、これがボスの身を守ることにも繋がる? それはすごいよすごい。まさに『ウルトラハッピー』だね♪」

ウルフルン「お、おいおまえ一体誰としゃべって」

みゆき「くそやかましいぞ!! ボスと話してんだよ話しかけてんじゃあねえ─────ッ聞いてどおすんだよ あああ!!
これからおっ死ぬてめ──がよォォォォォ─────ッ」グワァアーーーー

ウルフルン「」
キャンディ「こわいクル~……」


みゆき「いつも寄ってくる……こんなアホが……」

みゆき「この世はアホだらけなのかァ~~~~~~~~~~ッ!! なんで見に寄って来るんだ……? 見なくてもいいものをッ!」ワナワナ

みゆき「わたしとボスの『絶頂』と『輝く未来』ッ!」

みゆき「それを邪魔するやつは……一人残らず『始末』するッ!」


みゆき「プリキュア・スマイルチャージッ!!!」レディ-!!

ゴーゴー!! レッツゴー ハッピー!!

ポンポンッ

キュァァンッ
ボンッ
パンッパンッパンパンパンッ
シュィィィンッシャァン
ポワァァァァッ
ポンポンポンポンポンポンッ

スタッ


┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨


ハッピー「キラキラ輝く未来の光! キュアハッピー!」 ドッッバァアーーーーン!!!!



←TO BE CONTINUED……////

今日はここまでです
こんな狂気の塊みてーなSSでも楽しんでくれたら嬉しいです

そろそろ投下します



【PASSIONE】……イタリア語で『情熱』と『受難』を意味する



┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

ウルフルン「な、何が起こりやがッたんだあ~!?」

キャンディ「プリキュア見つけたクル~……!」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

ハッピー「ハッピー……キュアハッピー……それがわたしの名前……って」

キャンディ「やったクル~! ついにプリキュア見つけたクル~!」ピョンピョン

ハッピー「……」

キャンディ「クル~?」

ハッピー「なに!? なにこれェェ─────ッッ!? とってもとってもとってもとってもとってもとってもきゃわィィイイよォォォォォォォォ!!!!」ギャルンッッ

キャンディ「クル!?」ビクゥ


ハッピー「こんなキラキラでプリチーでキュアアアーンな姿になれるなんてっ」

ハッピー「今、スゴくとってもウルトラハッピィィ─────ッッ!!」ハッピー

ウルフルン「なんだコイツ……さっきまで放っていたドス黒さを感じるほどの『スゴ味』がなくなってやがるッ」

ハッピー「ねえねえキャンディ! これ一体なんなのォォ~?」ズズイーーッ

キャンディ「クル?」


キャンディ「チ、チミは伝説の戦士プリキュアになったクル~」

ハッピー「戦士? 戦士ってことは……伝説のまほう使いや伝説のパティシエみたいな」

ハッピー「スウィートでフレッシュでハートキャッチな存在……って感じじゃあない……よね? 間違いじゃなければ」

キャンディ「吐き気を催す邪悪と戦うクル~!」

ハッピー「無理無理無理無理無理無理無理ィィ!? わたしただのちゅーがくせーだから!? 戦うなんてゼッタイ無理ィィ─────!!!!」

キャンディ「ただのちゅーがくせーがひとり電話ゴッコやってとつぜんキレたりしないクル~」

ハッピー「ボスとわたしの会話を『ゴッコ』だとォォ─────ッッ!? フザケたこと言ってンじゃあねェェ────ぞッッ!!」クワッ

キャンディ「やっぱりフツーじゃないクル~」

ウルフルン「てめーら! さっきから俺を無視してンじゃあねー!」


ハッピー「!!」

ウルフルン「そっちがやる気ってンなら上等だぜッッ! 出でよアカンベェ!!」ビュンッ

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

アカンベェ「アカンベェ~!」

ハッピー「あれは!? レンガに赤い玉のようなものがぶつかったと思ったら巨大な怪物にっ!?」

ウルフルン「コイツの名はアカンベェ。ピエーロ様の力でキュアデコルのパワーをバッドエンドに変えて生み出した怪物だ」

ウルフルン「さあ行けアカンベェ!!」

アカンベェ「アカンベェ~!」ズドドドドド

ハッピー「うわあこっちに来たァ!? どどどどうしよォォ─────ッッ!?」アタフタァ ブンブンッ



ブンッッドゴォァァ─────ッッ!!


アカンベェ「ブゲェ─────ッッ!?」メメシャァァッ

ハッピー「あれ!?」

ウルフルン「なんだと!?」

アカンベェ「オァァ─────……」ズヒューン

ハッピー「す、す、スゴいパワーッ! まるでダンプカーで全力突撃したかのような衝撃!」

キャンディ「プリキュアはちからもちクル~」

キャンディ「キュアハッピー! つぎはハッピーシャワーで浄化するクル~!」

ハッピー「ハッピーシャワー?」

キャンディ「プリキュアの必殺技クル~!」

ハッピー「ひ、必殺技って……っ。それってなんかカッコいいッ!」

ハッピー「わかったよ、やってみる!」ババッ


ウルフルン「今度は何をするつもりだ!?」

ハッピー「むむぅんいっくよ~!」


ハッピー「はっぴー、はっぴー、はっぴーしゃわぁぁ~!」シャワァ


シーン……


ハッピー「……」

ハッピー「ハ、ハッッピィィィシャワワァァ~!」シャワワァ


シィーン……


ハッピー「てめえェェ─────ッッなにも起こらねーじゃあねーかッッ!? テキトーなことほざいてンじゃねェェ─────!!」ムギュギュゥ

キャンディ「いらひいらひクル~!」ムギュギュ


ウルフルン「パワーはそれなりにあるみてーだが戦いかたは素人だなぁあ~? そんなんじゃ勝てねーぜっ」

アカンベェ「アカンベェ~!」ズドド

ハッピー「うわあまた来たよォ~!? いったん逃げ」


……きよ……


ハッピー「はっ!?」ビクゥーン


みゆきよ……わたしのかわいいみゆきよ……聞こえるか……?


ハッピー「ボス! ……まだ電話が切れていないっ! 通話中だったんだね!」ササァッ

ウルフルン「避けやがった! しかも電話をしながらだとォ!?」

キャンディ「またパクトを耳に当ててるクル……」


ハッピー「ボス! ボォスゥゥ~! どうしたらいいのっ!? いきなり戦うなんて言われてもわかんないよぉぉ~!」


みゆき……よく聞け……人間とは誰しも『幸福』のために戦わなければならない時が来るものだ……それは遅かれ早かれな

如何なる試練であろうとも……どんなに辛く、苦しい戦いになろうとも

それを乗り越えた先に『永遠の絶頂』があるならば迷わず戦いを選べッ!
迷いと恐怖は幸福を遠ざける!

人間が真の『幸福』を手に入れるためにはッ!

試練に立ち向かう『情熱』と! 『苦難』を受け入れる『覚悟』が必要なのだ!!

『覚悟』を決めろみゆき! 『覚悟』こそ幸福への近道だ!!


ハッピー「ガチャ。……ボス! ボスゥ!? もしもしボォスゥゥ!?」


ウルフルン「一人芝居はおしまいか? だったら今度こそもうくたばっちまいなッ!」

アカンベェ「アカンベェ~!」

ハッピー「うわあもうだめだァァ~!」

キャンディ「ふぁっ……思い出したクル~!」

キャンディ「必殺技を使う時は、スマイルパクトに『気合い』を入れればいいクル~!」

ハッピー「き、気合い……? 気合いって……」

覚悟を決めろみゆき……

ハッピー「気合い……覚悟があれば今度こそ『巧く』いくんだよね……? だったら……!」スゥウウウー

ハッピー「ううぅぅぅ……! 気合いだ気合いだ気合いだァァ~~!!!」キュィィィン

ハッピー「!」

キャンディ「こ、これは~! ハッピーの気合いがパクトに集まってるクル~」


ハッピー「これが……わたしの『気合い』。ボスの言っていた『覚悟』の証」

ウルフルン「いい加減茶番はおしまいだ! やっちまえアカンベェ!」

アカンベェ「アカンベェ~!!!」グォオオオ

キャンディ「ハッピー! あぶないクル~!」

パシィイイ

キャンディ「クル?」

ウルフルン「な、なにィィ─────!!? 片手で受け止めただとっ!?」


┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨


ハッピー「落ち着いて『観』れば……大ぶりな攻撃は対処できる」

アカンベェ「ア、アカッ……!?」

ハッピー「それはわたしが『覚悟』を決めたから……本気で『幸福』になることを魂に誓ったから」


ハッピー「だから観ることも出来るしこんなこともできる」スッ

パァアンッッ!

アカンベェ「アカベフッ」

ハッピー「そして『もう一度』言うよ……これが私の必殺技、『ハッピーシャワー』」

ハッピー「聞こえる……? 『ハッピーシャワー』だよ」



ハッピー「ウルトラHAPPYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYEAHHHHHHHHHHHHHHHH─────ッッ!!!」ドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴ



アカンベェ「ヤッダーバァアァァァァアアアアア!!!!」ズギューン

ポッシュゥゥン……


ウルフルン「ちっ、やられちまったか……プリキュア、そしてキュアハッピー! てめーの名前はしっかりと『記憶』したぜ!」シュンッ

ハッピー「……」

ハッピー「……っはァ~! つ、疲れた……なにこれ、スッゴい疲れたよ~」

キランッ
ヒューーストンッ

ハッピー「あれ? なにこれ」

キャンディ「これはキュアデコルクル~!」


……
………
パァアアアア─────

みゆき「町が……人がもとに戻ってく。うんうん、みんなのスマイルが戻ってよかった~」

キャンディ「クル~」

みゆき「ところでキャンディ、色々説明してほしいんだけど……」

キャンディ「プリキュアになってキュアデコルを集めるクル。そしてキャンディの世界を救ってほしいクル~!」

みゆき「キュアデコル? キャンディの世界? ……な、なんだかよくわかんないけど、おもしろそう!」

キャンディ「ほんとうクル~?」

みゆき何だろう・・・とびきりハッピーなことが始まっちゃったかも~!」ハッピー!!



←TO BE CONTINUED……////

今日はここまでです

この世界のみゆきちゃんは普段はとても『いい子』です普段は

ちょっと投下します



日没 眩い陽の光
わたしの目を通ってくる金色の輝き
だけど内側に目を向ければ見えるものは一つ
星の無い聖なる暗闇

親友からの慈愛
ひどくゆがんだスマイル
そのスマイルはわたしにとっては空虚さを示す
星の無い聖なる暗闇


【Senza Stelle】……イタリア語で『星の無い……』を意味する



……
………

みゆき「ただいまー!」ガチャ

みゆき「ねえねえおかあさん見て見て! かわいいでしょ、キャンディって言うんだよー!」

キャンディ「クル?」

みゆき「今日からわたしたちの家に住むんだよ! 素敵でしょ?」

みゆき「キャンディ、ほら、おかあさんにあいさつしてね♪」

キャンディ「クル~?」

みゆき「もう、『クル~?』じゃなくて『よろしくお願いします』だよ?」


みゆき「さ、キャンディごいっしょに……さん……し────」

みゆき「ハッピーうれピーよろピくね────!」ハッピー

キャンディ「ハッピーうれピよろピくね────! クル~♪」

みゆき「きゃァァ────ッよくできましたッ! 完璧だよキャンディ~♪」

キャンディ「クル~♪」

みゆき「じゃあ、おかあさん! わたしたちお部屋でお話があるから」

みゆき「ごはんできたら呼んでね♪ さ、行くよキャンディ~」

キャンディ「クル~♪ ごはん楽しみクル~。でもだれとお話してたクル~?」




……
………

みゆき「それじゃ、その5人のプリキュアとキュアデコルっていうのを集めればキャンディの世界は救われるンだね?」

キャンディ「そうクル。デコルを集められるのは選ばれた『5人のプリキュア』だけクル~!」

みゆき「プリキュアがわたしの他に後『4人』もいるなんて……すごーい!」

キャンディ「ハッピーだけじゃ心配だから、はやくほかのプリキュアも見つけてほしいクル~!」

みゆき「えー、でもどこにいるかわかんないんでしょ? そううまく見つかるかなあ」

キャンディ「だいじょうぶクル~! 『プリキュアどうしはひかれ合う』『運命』にあるクル。きっとハッピーの周りに自然とプリキュアが集まってくるはずクル~」

みゆき「『運命』? なんだかすてきな響き……ッ!?」ビクゥーン



みゆき「とぅるるるるるるるるるるるるるるる……」


キャンディ「また電話クル?」

みゆき「うん、ゴメンねェェ~? ちょっと待っててるるるるるるるるるるん……」つパクト

みゆき「ガチャ……はいイィ~もしもし……はい、みゆきです」

みゆきよ……わたしのかわいいみゆきよ
話は『理解』した……そのプリキュアとやらとキュアデコル、何としてでもわが手中に収めるのだ……
そのパワーはわたしたちの『幸福』につながるだろう……


まずは……『仲間』を増やせ……この帝王たる『……』の手足になり得る優秀な下ぼ……もとい、『仲間』を増やすのだ……そして奴等に対抗しろ

バッドエンド王国……その組織の力も規模もはかり知れん『なにか』を感じるが……
わが『絶頂』を脅かす者は悉く消し去れ! 『一片の澱みもなく速やかに』……だ。

期待しているぞ……わたしのみゆきよ


みゆき「はい……任せてボス。ボスの『敵』はわたしの『敵』……。『一片の澱みもなく』……遂行するよ……ガチャ」

キャンディ「終わったクル~? チミはいつも『だれ』とお話してるクル?」

みゆき「ねえキャンディ」

キャンディ「クル?」


みゆき「キャンディ、キャンディは『ピーターパン』って知ってる?」

キャンディ「クル? もちろんしってるクル~! キャンディの世界にもピーターパンのお話は大人気クル」

みゆき「そう……わたしもねェ~……ピーターパン大好きなんだ……あれほど『夢と希望』に溢れてるお話はないと思うよ」

みゆき「でもねーキャンディ。その『夢と希望』の世界にいるピーターパンはなかなか人の前に姿を現してくれないんだよ」

みゆき「会えるとしてもほんとうに、『ほんとうにまれに』。わたしのピーターパンは……」


みゆき「声だけじゃなくて、見えないところからわたし『だけ』を助けてくれる……」

みゆき「まほうをかけて、わたしを『ウルトラハッピー』にしてくれるんだよ……」

みゆき「すてきでしょ? キャンディ?」

みゆき「キャンディ?」

キャンディ「zzz……クル……」

みゆき「……」

みゆき「おやすみキャンディ」

みゆき「プリキュアがんばろうね♪」ニコ

幕間的な会話終了
つづきは今日中の予定です


翌日

ワ-ワー


あかね「よっしゃナイストス!」バッ

あかね「止められるもんなら止めてみ~! 日野ちゃ~んスペシャルアターッック!!」ドッグォォン

みゆき「……」ドドドドド

みゆき「(ボスからの指令ッ! 仲間を集めてバッドエンド王国に対抗する……。わたしと同じプリキュアを集めるに至って重要なポイントは)」ドドドドド

みゆき「(より強力な『能力』をもった人間でなければならないッ!)」


みゆき「(日野あかねさん……クラスでも指折りの体育会系……なかなかのパワーとスピードだよ。もしかしたら女子の中じゃNo.1かもしれないね)」


日野あかね

破壊力:A
スピード:B
射程距離:C
持続力:C
精密動作性:B
成長性:B

A…超スゴイ B…スゴイ C…人間並み
D…ニガテ E…超ニガテ


れいか「さすがバレー部のエースアタッカー……ですがッ!」バシッ

なお「れいかナイス!」バッ

なお「やあッッ!」バッシィィン

みゆき「(そしてこのふたり……緑川なおさんと青木れいかさん……緑川さんの有り余るパワーは日野さんに勝るとも劣ってはいない……しかも)」

みゆき「(そのパワーを最大限活かせるように、青木さんが要所要所で動いているッ! まるで小指が赤い糸で結ばれてるかのような一体感ッ!!)」


緑川なお

破壊力:A
スピード:A
射程距離:D
持続力:C
精密動作性:D
成長性:D


青木れいか

破壊力:C
スピード:C
射程距離:B
持続力:A
精密動作性:B
成長性:B


やよい「きゃっ……!?」バシッ

みゆき「(そして最後に……この黄瀬やよいさん)」

やよい「ふぇえ~……。手がヒリヒリするよ~……」ナミダメ

みゆき「(一見するとスットロくて頭脳がマヌケそうなあざとさを醸し出すスイーツに見えるけど……)」

みゆき「(動き自体はわるくないね……徹底してサポートに回るタイプ……チームにひとりは必要かな?)」


黄瀬やよい

破壊力:E
スピード:E
射程距離:B
持続力:D
精密動作性:A
成長性:A


みゆき「(だいたいめぼしいとこはこんな感じかな……だったら一番最初に『仲間』に加えるなら……ッ!)」ドドドドド

あかね「星空さーん! そっちいったでー!」

みゆき「日野あかねさんッ! あなたにきめぐぅおえふッッ!?」メメシャアッ

みゆき「アバフゥゥッッ」ズギューンッッ

やよい「ほ、星空さーん!?」

あかね「あー、アカンわ。顔面いったわー……」



……
………

あかね「おーい、生きとるかー?」

みゆき「な、なんとかー……」

あかね「それにしてもなかなかやったでー。顔面トス」ドッコイショ

あかね「やよいの半泣きレシーブもなー」

やよい「な、泣いてないもん!」

みゆき「……運動神経グンバツの日野さんとついでに黄瀬さん」

あかね「ほへ? ウチがどうかしたん?」

やよい「ついで……」

みゆき「わたしの目に狂いはなかったみたい! ぜひとも二人にはプリキュアにッッ!」

あかね「プリ?」

やよい「キュアァ~?」


休憩所


みゆき「プリキュアとはッ! 正義のヒーローでッ! ボスを守るチーム……『護衛チーム』とでも名付けようかな~?」

あかね「な~? っていきなりなんやねん! その、キラプリだかキラークイーンっちゅうの」

やよい「あかねちゃん、プリキュアだよプリキュア」

みゆき「ねェ~ん怪しいものじゃないからさぁぁ~……一緒にプリキュアやろうよォ~」スリスリ

あかね「ええいひっつくな暑苦しい! だぁからなんやねんプリキュアって!」

みゆき「おっとゴメン、ゴメンね……うれしくてついつい我を忘れちゃったよ……」


みゆき「で……プリキュアってのはね……」

キャンディ「しゃべっちゃダメクル~!」バッシィィン

みゆき「あばっきょ!?」メシャン

あかね「こんどはなんやー!?」

やよい「ひ、ヒツジィィ!?」



……
………

キャンディ「みゆきィ~、プリキュアのことはみんなにはないしょクル!」

みゆき「なんでェ~? 『プリキュアどうしはひかれ合う』んでしょ? だったらわたしから会いに行くのも」

みゆき「『運命』だと思うんだけどなぁ~……」

キャンディ「そう簡単に見つかったら苦労しないクル!」プンスカ

みゆき「……んじゃあどーいう人がなれんのさ?」

キャンディ「そりは……」ドドドドド

みゆき「そりは?」ゴク


キャンディ「そりは……!ドドドドド

みゆき「そりは……!?」ドドドドド

キャンディ「知らないクル~☆」

みゆき「なーんだそっかー☆ キャンディも知らないクル~♪」

みゆき「じゃねェェ────ぞこのハナクソがッッ!! なめてンのかコラァァァァ─────ッッ!!!」ムギュギュン

キャンディ「ギュゥゥー……!? ご、ごへんなはいクルゥゥゥ~!!」ムギュギュ

あかね「な、なんやドえらいセリフが聞こえたと思ったけどどしたん?」

みゆき「はッッッ!?」

キャンディ「ギュゥゥー……」


あかね「今、ヒツジのヌイグルミかくしたやろ~?」

やよい「それって星空さんの?」

みゆき「日野さんッッ!? 黄瀬さんん~ッッ!!? これは、そのっこれはねェェェ~!?」

キャンディ「キャンディはひつじさんじゃないクr」

みゆき「……」ドッグォォ

キャンディ「クルモグォォォォ!?」モガァー


やよい「いま……しゃべって……」

みゆき「なんでもなィィィィ─────!!! なんでもないのよォォォォ─────!!?」

やよい「で、でも」

みゆき「なんでもねぇっっつってんだろォォォォがよォォォォ─────!! 何回も同じこと言わせてんじゃあねッッッ……!?」ギャルン

あかね「」
やよい「」ガタガタガタ

みゆき「ねッッッ……ね、ねェ~♪ ふたりとも放課後は何してるの? 部活とか? わたしとっても気になるなッ!」キャルルゥン

あかね「へ、は!? ……は、はははっっ。う、ウチはこれからバレー部の試合なんや。えと、やよいはどうするん?」スーーーー

やよい「ぴ!? わ、わたしもあかねちゃんの試合見に行こーかなぁぁ~? なんて……」ススーーーー

みゆき「わたしもッッッ! わたしも見に行くからッッッ! だから距離をおかないでさっきのあやまるからァ~!!」

キャンディ「」チーン

少し投下しました
勘の良い方はわかると思うけど育代さんは……


人間の射程距離とは一体……

>>90
技の射程とかそういうアレです
投下します


放課後


みゆき「日野さぁーんがんばれェェ~!!」

あかね「でやっっ!!……とと」ズサー

みゆき「あれぇ? ……」

あかね「ハァ、ハァ……ま、まだまだっ」ハーハー

みゆき「なんか調子悪そうだなあ。どうしたんだろ?」

女子生徒A「ねぇ、今のエースって日野さん?」

女子生徒B「うーんどうだろう。わたしはユカがエースだと思うなー」

あかね「……」

みゆき「あ……」



……
………

みゆき「日野さんくやしそうだったなァ。……意外と本番で実力が出ないタイプだったり?」

みゆき「ん?」

バシッ 

みゆき「橋の下に誰か……って日野さんだ」

みゆき「橋脚にあんなに跡が……これは秘密の特訓と見たねっ」

あかね「ハァ、ハァ、……くっ」

あかね「うっ……」キラリ

みゆき「!!」

みゆき「アンハッピーな空気を感じる」

みゆき「日野さんからFUKOのエナジーが溢れてるよッ! これはほっとけない!」

みゆき「おーい日野さぁーん!!」ピョン ピョン



あかね「あれ、星空さんやん……」

みゆき「日野さん! こっちこっちー!」ピョン ピョン

ピョン グキィッ

みゆき「ペふウッッッ!? あ、足ィィィがッッッ!?」

ズザザザザァァァァ─────……

みゆき「ひょげえええええぇぇぇぇ!?」

あかね「……あ、あ……?」

みゆき「ひ、日野しゃん、だいじょうぶ? 元気出して……」ボロロォ

あかね「いや、自分こそ死にそうやん。そっちこそだいじょぶかいな」

みゆき「ひょえ? よくわかんないけど、スマイル、スマイルだよー! 泣いてるとハッピーが逃げちゃうよォォ~」ハッピー

あかね「え。……あーそういうことか。ウチ泣いてへんで!」


みゆき「えぇっ。でも今さっき地面にポタポタァって」

あかね「そ、それはー……汗や!」

みゆき「なァ~んだ汗かー! てっきり試合のことで落ち込んでるのかと思ったよー」

あかね「ウチは落ち込んだりせぇへん。でも負けっぱなしは悔しいからな。今は特訓あるのみや!」

みゆき「それならわたしも手伝うよー!」

あかね「えっ」

みゆき「えへへェ~」スマイルー

あかね「うーん……」チラリ

みゆき「えへー」ニコニコ


あかね「(……ふだんはこんなに無邪気な性格なんやなー。ようわからんもんやな。……でも)」

みゆき「えへへ」ニコニコ

あかね「いい顔で笑うやん」

みゆき「え、ええっ! どしたのいきなり?」

あかね「なんでもない。それより手伝うゆうたんならお願いしよかな?」

みゆき「ほんとう!? ちなみに何球やるの?」

あかね「1000球や!!」ドドドドド

みゆき「!?」ドドドドド


ソコチャウ ウシャッ

モットタカク ウシャアッ!

モットツヨク!! ウッシャァ!!

キャンディ「みゆきって意外とおせっかい焼きクル。やれやれクル」


……
………

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

ウルフルン『太陽が沈み、やがて真っ暗闇のバッドエンドが世界を覆う……!』ウルッフッフッフ

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨




翌日


みゆき「日野さぁーん! 今日こそがんばってェーっッッッ!!」ブンブン

あかね「おーう、まかしときー!」ガッツ

やよい「あのふたり、いつの間になかよくなったんだろ……」

あかね「でりゃあァァッッッ!!!」バッシィィン

みゆき「きゃーっ! また決まったよォォォォ~!! 日野さんスゴォォォイ!!」

あかね「へへ、まったくちっちゃい子みたいにはしゃいじゃって元気やなあ」

あかね「んじゃもう一発……ッッ!?」

ウルフルン「ふん、人間どもめ。夢や希望に燃えれば燃えるほど、絶望した時のバッドエナジーは大きくなるのだ」

あかね「な、なんやあのオオカミのコスプレは……」

みゆき「この前のオオカミさん!?」


ウルフルン「世界よ! 最悪の結末、バッドエンドに染まれ!」ベッチャァーーーーン

ウルフルン「『白紙』の『未来』を黒く塗りつぶすのだッ!」ベタァアーーーー

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

みゆき「またッッッ! この前のように謎の黒雲が空を覆ったかと思いきや人々がまるで腐りかけの屍生人のように倒れ伏してしまったよっ!」

キャンディ「わかりやすい解説ありがとうクル~」

みゆき「ということは日野さんも……ッ!?」

あかね「うぁー……」ドヨォォン

みゆき「なんてことッ!? 太陽のように光り輝いていた彼女の顔から一切の明るさが消えて、代わりにドブネズミにも劣る醜悪でドス黒い闇が溢れかえっているゥゥゥ!!」

キャンディ「みゆきっていろんなことば知ってるクル~」

みゆき「え? そ、そうかなァ~? それほどでもないヨ」テレレ

みゆき「って、そんなこと言ってる場合じゃあないよっ! 早くなんとかしないと!」


ウルッフッフッフ……

みゆき「あ、いたァァ~!」

ウルフルン「人間の絶望した顔ほど愉快なものは無い」ウルッフッフッフ

ウルフルン「見ろ、あの絶望の顔を。努力など『無駄』なだけなのにバカな奴等だ」ウルッフッフッフ

みゆき「!!!」

みゆき「ちょっと、そこのオオカミさん今『なんて言った』の……?」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

ウルフルン「ああん? なんだおまえ、おまえも努力だのがんばるだの『無駄』なことが大好きなクチか~?」

みゆき「『無駄』だのなんだの……人の頑張りを『侮辱』する言い方は……見過ごせないよ……」ドドドドド


ウルフルン「けっ! 来るかどうかもわからねぇ『先』に何を期待してがんばるってんだ!? 見返りがあるかどーかもわからねェェーのによォォ~!」

みゆき「無駄なんかじゃない。『努力』は人間が『幸福になるための手段』……目標に向かって頑張ってる日野さんの『努力』を、『侮辱する』ことは許されない……」ドドドドド

みゆき「できればわたしは戦いなんてしたくないよ。戦いは嫌いだよ。痛いし、苦しいし……でも、『侮辱する』という行為にに対しては命を賭けるッ!」ドドドドド

みゆき「あなたは私の友達を『侮辱した』。……その報いは受けてもらう!」ドドドドド




みゆき「プリキュア・スマイルチャージッ!!!」レディ-!!

ゴーゴー!! レッツゴー ハッピー!!

ポンポンッ

キュァァンッ
ボンッ
パンッパンッパンパンパンッ
シュィィィンッシャァン
ポワァァァァッ
ポンポンポンポンポンポンッ

スタッ


┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨


ハッピー「キラキラ輝く未来の光! キュアハッピー!」 ドバァアーーーーン



ウルフルン「また現れたなプリキュア! この前のよーにはいかねェェーぜっ!」つ赤っ鼻

ウルフルン「出でよアカンベェ!!」ビュンッ

アカンベェ「アカンベェ~!」

ハッピー「あれはっ!? バレーボールのアカンベェ!!」

キャンディ「ハッピー、きをつけるクル~!」

ウルフルン「おまえの戦闘スタイルは確認済みだ……! 典型的な近距離パワー型……だったらいくらでも戦りかたがあるぜッ!」

ウルフルン「やれ! アカンベェ~!」

アカンベェ「ムゥゥン!」バシュッッ

ハッピー「うひゃあっ!? こ、こいつはなんだァァ─────ッッッ!?」

キャンディ「バレーボールを超高速で発射したクル~!」

ウルフルン「遠くから狙い撃ちすりゃあいいのさッ!! オラオラどんどん行くぜ~!」


アカンベェ「ムゥゥン! ムゥゥン!」バシュッッ バシュッッ

ハッピー「わわわっ!?」ササァッ

ウルフルン「いつまで避けられるかな~!?」

ハッピー「こ、これはぜんぜん近づけないッ! このままじゃ当たるのも時間の問題ってやつだよね~!!」サササァッ


グキィッ


ハッピー「ウグゥアアアッッ!? き、きのうの足首がッッッ!!」ビキキィーン

キャンディ「ハッピー、あぶないクル~!」

ハッピー「へ? ッッボゲフッッ!!」ドゴォァァッッ

ウルフルン「っしゃああっ! 当たったぜェェ~!!」


ハッピー「あ、あば……」ピクピク

ウルフルン「所詮この程度か。泣き出すのも時間の問題だな~?」

ハッピー「な、なんのこれしき……これしきのことでェェ~!」ググ

ウルフルン「まだあきらめないのかよおまえ」

ハッピー「こ……これくらいの事で泣かないもん。ハッピーが逃げちゃう。スマイルスマイル♪」ハッピー

ウルフルン「はぁ?」

あかね「……!」

『泣いてるとハッピーが逃げちゃうよ~』

あかね「星空さん……!」ムクゥリ

あかね「えっ!? 何やコレ! ってなんやあのでっかいバレーボールは!?」

あかね「てかあのピンク色の人は星空さん? もう一体なにがどうなってんのや!?」


ハッピー「ひ、日野さんッッ! 目が覚めたんだねッ! 早く逃げてェェ~!」

あかね「星空さん?」

ウルフルン「さっきコイツを友達とか言ってたな」

あかね「うわっ! な、なんやアンタ!」

ウルフルン「下らん。友達だの、一生懸命だの、バッドエンドの世界にそんな物必要無いんだよ」

ハッピー「とっ……友達は下らなくなんかないよ!」

ウルフルン「ああん?」

ハッピー「楽しい時、嬉しい時、友達が居れば2倍も3倍もハッピーになれるし、悲しい時辛い時は傍に居てくれる。とっても大切な物なの!」

あかね「星空さん……」

ハッピー「友達とは『幸福』の『証』ッ! それを否定することは誰にも許されないッ!」


ウルフルン「つまりお前は友達が居ないと何もできない弱虫野郎ってことか」

ハッピー「なにを~ッ!!!」

ウルフルン「アカンベェ! あの弱虫にとどめをさしてやれッ!!」

アカンベェ「ムゥゥンッ! ムッ?」パコーン

ウルフルン「……なんのつもりだおまえ」

あかね「うちの『友達』に何してくれてんねん!」

ハッピー「日野さん!?」

あかね「星空さんはウチを励まして応援してくれたんや。次はウチが助ける番やぁ!」


ウルフルン「そんな弱っちぃの助けて何になるんだぁ~?」

あかね「弱っちぃやと~? ウチの大切なモン馬鹿にするんは絶対許さへんで~!」ダダダッ

ハッピー「日野さんッッ! ダメ、こっち来ちゃあダメェェ~!!

ウルフルン「人間ごときがアカンベェに勝てると思ったか?」


あかね「関係……あるかァァ────いッッ!!」


ビガガァァァ─────ッッ!!


あかね「な、なんやァァ────ッッ!?」

ハッピー「こ、この光はわたしの時と『同じ』ッ!」

ハッピー「まさか! 日野さん……ッッ! あなたが『そう』だったの!?」



あかね「こ、ここどこなん……?」

クル~!

あかね「クル?」

キャンディ「チミが二人目のプリキュアだったクル~!」

あかね「ヌイグルミが喋った~! ってか何や、そのキュアプリって星空さんが言うとったやつか」

キャンディ「プリキュアは世界を悪から守る伝説の戦士クル」

キャンディ「あかね、変身するクル!」

あかね「へ、変身って……!?」

キャンディ「スマイルパクトに(以下略」

あかね「何やよう分からんけど・・・やってみるわ!」




あかね「プリキュア・スマイルチャージッッ!!」レディ-!!

ゴーゴー!! レッツゴー サニー!!

ポンポンッ

キュァァンッ
ボンッ
パンッパンッパンパンパンッ
シュィィィンッシャァン
ポワァァァァッ
ポンポンポンポンポンポンッ

スタッ


┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨


サニー「太陽サンサン熱血パワー! キュアサニー!」ドバァァーーーーン


ちょっと休憩
専用BGMは5部のメインテーマで


ハッピー「スッ、スゴイ!! 『変身』しちゃった!」

サニー「変身~?」チラァリ

サニー「何やこれ、ホンマに変身してもうた。しかも太陽サンサン、キュアサニーってめっちゃ恥ずかしいやん!」

ハッピー「日野さぁーんッッ!」ダキツキィッ

サニー「わぷっ!? ほ、星空さん?」

ハッピー「キュアサニーすっごくカッコイイよ! 太陽サンサンも情熱たっぷりの日野さんにピッタリィィィ!」

サニー「え、ホンマ?」テレレ

サニー「そやな、確かに太陽が似合うんはこのキュアサニーかスーパーヒーローくらいのモンや!」

ウルフルン「次から次へと……なんなんだァ~てめーらはよォォ~?」


サニー「そや、なんやあのガラのわるいオオカミ!」

キャンディ「世界をバッドエンドにしようとしている、悪いオオカミさんクル」

サニー「悪いオオカミ~?」

ウルフルン「悪いオオカミでけっこう! 行け、アカンベェ!」

アカンベェ「アカンベェ~!」ピョォォーン

ハッピー「ひょええこっちに跳んできたァァ────ッッ!?」

サニー「あかん、潰されてまう~!?」

ドゴォァァッッ

ハッピー「うぅっ……あ、あれぇ~?」

サニー「なんかようわからんけど受け止めてしもた……!」グググ

ウルフルン「なにィッッ!?」


サニー「よーし、このままやったるでェェ─────ッッ!!!」グオオ

サニー「ウッシャァァァ────ッッ!!」ドヒュゥゥーーーーン

アカンベェ「ベェェ~!?」

ハッピー「サニースッゴい! パァワフルゥゥゥ~!」

サニー「ゼハァ~。ど、どや、ウチの力思い知ったか!」

キュィィィン……

サニー「いいっ!? なんや力が吸いとられとるで~?」

ハッピー「あっ……サニー! そのまま続けて続けて~!」


サニー「ようわからんけど……ウォォォォォ────ッッ!!!」

ボボゥゥウッッ

サニー「なんか火の玉が出たけど、どうせえっちゅうの!?」

ハッピー「サニー! 一緒にやった秘密の特訓だよォォ────ッッッ!!」

サニー「……それやッ!!」ダダダッ

サニー「ハァァッ!!」バッ


サニー「プリキュア! サニーファイヤーッ!!!」バッグォォン!!!!!


アカンベェ「ボゲェ─────ッッッ!!!!!」メメシャアッッ

ウルフルン「ちっくしょー味なマネをしやがって……!?」ハッ

アカンベェ「アカンベェ! 後ろだぁ!!」

アカンベェ「ベッ……!?」


┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

ハッピー「……」ガッシィィ

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

サニー「ハッピー、いつの間にあんなところに……ッ!?」

サニー「(なんや、あのドス黒さを感じるほどの圧倒的なスゴ味はッッッ!?)」

ハッピー「オオカミさん……あなた、さっきわたしのことを『友達が居ないと何もできない弱虫野郎』って言ったよね……」

ウルフルン「なにっ……!?」

ハッピー「それ、『少し』は当たってるかも……確かに『今のわたし』じゃあ一人ではなにもできないかもしれない」

ハッピー「でもッ! そんなわたしの『弱点』
を補う『仲間』がいるからわたしは今ここに立っているッ!」


ハッピー「互いの弱点を補い、力を高め合うのが『仲間』、そして『友達』!! その『引かれ合う力』を否定することは誰にもできないッ!」


ハッピー「射程距離内に……入ったよ……!」ドドドドド

ウルフルン「ア、アカンベェ! 避け」



ハッピー「ウゥルトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラ……!!」ドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴ


ハッピー「HAPPYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYEAHHHHHHHHHHHHHHHH─────ッッ!!!」ドッッグァオォォーーーーン


アカンベェ「ヤッダーバァアァァァァアアアアア!!!!」ズギューン

ポッシュゥゥン……






ハッピー「……これが……『結束の力』ッッ!!」バァァーン

サニー「……なんや想像してたんとちがう……」サニー……


ヒューーストンッ

サニー「あれ? なんやこれ」

キャンディ「それはキュアデコルクル~!」

サニー「キュアデコル~?」

ハッピー「サニィィ─────ッッ!」ドッゴォア

サニー「おふうッ!?」

ハッピー「日野さんがプリキュアになれて本当によかったよ~!」スゥリスゥリ

サニー「自分さっきとぜんぜん空気ちがうやん!? どないなっとんのや~!」グググ

ウルフルン「くっそー、二人のプリキュアだと~!? 邪魔しやがって、覚えてやがれッ!」シュンッ


パァァァア────……

あかね「空が元に……」

みゆき「うんうん、みんなが元に戻れてよかったよかった」

あかね「ほんでこれが……」つデコル

キャンディ「キュアデコルクル~」

キャンディ「キュアデコルを集めて(以下略」

あかね「何やよう分からんけど、やってみよかな! 迷える子羊はほっとかれへんからな~」

キャンディ「キャンディひつじじゃないクル~!」プンスカ

みゆき「私も、日野さんと一緒にプリキュアやれるなんてウルトラハッピーだよ~!」ハッピー

みゆき「あかねでええって! もう・・・友達やしな」

みゆき「……?」


あかね「これからよろしくな、『みゆき』」ス……


みゆき「……うん! よろしくね! 『あかね』ちゃん!」ウルトラハッピー!

ガシッ

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨




←TO BE CONTINUED……////

一旦ここまで
プリキュア全員揃うまでこんな感じ


みゆきよ……わたしのみゆきよ……

人が人を選ぶにあたって……一番『大切な』事は何だと思うか?……

それは『信頼』だ……

それに比べたら頭がいいとか才能があるなんて事は
クラッカーの歯クソほどの事もない……

『日野あかね』……なるほど素晴らしい『能力』のある人間だがなにより『信頼』できる……あのタイプの人間は人を『裏切らない』

わかるかみゆきよ……『信頼』こそ重要なのだ……
この調子で……『次』も頼むぞ……


みゆき「ガチャ。……『信頼』かァ~。難しいな~!」


【Epitaffio】……イタリア語で墓碑銘を意味する


みゆき「あかねちゃんと初登校~♪ うっれしいな~♪」ルンルン

みゆき「わたしの家からそう遠くないなら一緒に行くっきゃないよね~♪」ルンルン

みゆき「えっと……ここであってるかなぁ?」


七色ヶ丘市名所その①
『お好み焼き屋・あかね』
行き方:2次元の世界に転生する

この近辺では珍しいお好み焼き屋
本物の大阪出身の店主が開いている
長女のあかねちゃんが看板娘
オススメは豚玉
最近外国人シェフが居候しているらしい


みゆき「お好み焼き屋さんだ~! 珍し~♪」

みゆき「っとと、それよりあかねちゃんだよあかねちゃん。……おはようございまーす!」

「ハイ、いらっしゃいマセー!」ガラガラ

みゆき「えっ!?」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

「すみまセンが、まだ開店前なんデス。お待ちいただけませんカ?」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

みゆき「が、が、外国人!?」

「おや、かわいらしいお嬢さんデスネー。何か御用デスカ?」


みゆき「そそそその、わたし、あかねちゃんに……」

「あ、わかりましタヨ! あかねお嬢さんのお友達デスネ?」

あかね「トニオー、誰か来たん~?」

トニオ「おやあかねお嬢サン! お友達が迎えに来てマスヨ!」

あかね「あ、みゆきやないか~! おはよー」

みゆき「お、おはよーあかねちゃん。あの、その人って」

あかね「あーコイツな? 家に居候してるトニオ・トラサルディー。イタリア人シェフや!」

みゆき「イ、イタリア!? お好み焼き屋さんにイタリア人!?」


あかね「期待通りの反応やな~」

トニオ「はじめは、皆さんそうやって驚いてくれマス。ですがこれには深い事情があるのです」

トニオ「わたし本当はM県S市にある杜王町というところでイタリアンレストランを開くつもりで日本に渡ってきたのですガ」

トニオ「旅費が底を突いてしまったのデス! そして途方にくれているところをお嬢さんのお父様に拾われテ……」

あかね「ここに居候してるっちゅうわけや!」


トニオ「日本のお好み焼き、とっても独創的デス。ピッツァとも違う独特の味と食感……勉強させていただいてマス」

あかね「お好み焼き屋の戸を開いたらなぜかいるイタリア人シェフ……これや! ってかんじやな」

トニオ「ジャポーネオーサカスケルツォってやつデスネー! ハハハハハ!」

あかね「あはははは!」

みゆき「あは、はははー」

あかね「って笑ってる暇ないやん! はよ学校行かんと!」

みゆき「あっそうだった!? もう行かなくちゃ!」

あかね「トニオー、店の手伝い頼んだでー」

トニオ「はい、おまかせくだサーイ! お嬢さん、今度暇があればお店に遊びにきてくださいネ?」

みゆき「は、はい! おねがいします~」

続き鋭意製作中
なお作者の一生に一度は旅行に行きたい国No.1はイタリアでス

投下します


七色ヶ丘中学校ッ!


あかね「わ、この卵焼きようできとる! トニオの作るオムレツにも負けてないわ」

みゆき「えへへェ~。『お母さん』の作った卵焼きだからね♪ おいしいのはと~うぜんだよ~」

みゆき「さ・て・と……楽しいおべんとうタイムを彩るアロマは~?」

カチッ ゴーゴー! レッツゴーローズ!

ふわァァ~!

あかね「デコルを入れたら花の香りが!」

キャンディ「デコルはメルヘンランドを救う宝物クル~!」


みゆき「ふっふ~んおどろいた? あかねくゥ~ん。キュアデコルを集めるのがプリキュアの使命なのだよ。Do you understand ?」

あかね「たった1日先輩なだけで、偉そうやな~」

みゆき「えへへ、プリキュアは全部で『5人』いるんだけど、わたしたちを入れて後『3人』ッ!」

みゆき「早く見つけなくっちゃあね」

あかね「よーし、ウチにまかしとき! 『信頼』できる仲間をさがしたるわ!」

みゆき「えへ♪ ……ってンンン? あのこは……」

やよい「……」サラサラ


やよい「んん~……いつ見ても『完ぺき』じゃあないかな~……?」

やよい「この一時だけが孤独なわたしの心を癒してくれる……。『有意義』だ……実に『有意義』だよ……」サラサラ

みゆき「うわーお上手ッ!」

あかね「やよい、絵描くのめっちゃうまいやん!」

やよい「ひゃわわわァァ――――ッッ!!?」ビクゥーン


あかね「それ、自分で考えたん?」チラリ

やよい「み、見ちゃあダメッッ!」ササァッ

みゆき「黄瀬さんにこんな特技があったなんてッ!」

やよい「ほ、星空さんッ……!!」ホワンホワンホワワ~ン

トウオルルルルルルルルルルン……ハイィィ~モシモシ……
ナンデモネエッツッテンダロォォォォガヨォォーーーーッッ!!

やよい「ひィィ~……!」ガタガタ

みゆき「あ、あれェ~? なんかおびえちゃってるよう」

あかね「この前の『あれ』が効いてんやろな~。確かにキョーレツやったわ『あれ』は」

みゆき「あれって?」

あかね「自分の胸に聴いてみんか~い!」ビシ

みゆき「はうッ!!?」


やよい「あ、あかねちゃん、いつの間に星空さんと仲良くなったの……?」

あかね「んん? あー……『ちょっと色々』あってなー」

みゆき「黄瀬さんもわたしと『友達』になろーよッ!」

やよい「ふぇっ?」

みゆき「わたし、絵本大好きだし。こういう絵を描ける黄瀬さんって本当に『スゴイ』って思うんだァ。ね、どうお?」

やよい「と、もだち」

みゆき「うんうん」


やよい「……わ、わたしッ。その、もう行くねッ! その、みんなにはこのことないしょにしてね……」タタタ

みゆき「あっ……」

あかね「あらら~……」

みゆき「フラれちゃった……はっぷっぷー」


教室ッ! ホームルームッ!


ガヤガヤ……

れいか「みなさん、お静かに。校内美化週間ポスターのコンクールまで、あと僅かです。どなたか描いて下さる方居ませんか?」

エー
ダレデモインジャナイ
ナラテメーガヤレヨ

れいか「推薦でもかまいませんよ?」

みゆき「はいはーい!」ピョン


れいか「はい星空さん。どなたか心当たりでもあるのですか?」

みゆき「黄瀬さんがいいと思いまァーす」

やよい「ふぇっ!?」

あかね「あっ! ウチもそれにさんせーい!」

やよい「えっえっ」

れいか「黄瀬さん、お二人はこう仰っていますが、どうですか? 引き受けてくださいますか?」

やよい「うう……」キョロキョロォ

みゆき「えへ~♪」

やよい「あ、あの……わたしでよければ……やってみます……」

みゆき「きゃァァ―――――ッッ! やったやった~♪」

あかね「イシシ♪」

パチパチパチ……

やよい「た、たいへんなことになっちゃったよぉ……」


放課後ッ!



やよい「ふたりとも、どうしてわたしを推薦したの?」

みゆき「だって~、黄瀬さん絵が上手いじゃない」ハッピー

あかね「やよいならぜったい優勝できるッ!」

やよい「ふたりはなにも知らないからそんなこと言えるんだよ……」ハァ

やよい「この学校にはコンクールで受賞した人や、他にも上手な人がたくさんいるんだよ……?」

やよい「わたしじゃとても『無理』だよう……」

みゆき「そうかなァ~? わたし、黄瀬さんなら『いける』って確信したんだけどなァ~」

やよい「……なんで?」

みゆき「黄瀬さんの絵を『観た』とき、新刊の絵本のピカピカの表紙を『観た』あの感覚……」

みゆき「とても新鮮な『素直な感動』ってのを……感じたよ……」

やよい「素直な感動……」


みゆき「わたしの眼は節穴じゃあないよ……。だてに絵本フリークを名乗っちゃいない……良い絵本は『表紙』も良い……口では説明しづらいけど、そういう『オーラ』ってのがでてるの」

やよい「黄瀬さんの絵にはそれがあるッ! もっと自信を持ってもいいんじゃあないかなッ!」ズズイ

やよい「ひゃああっ!?」ビクゥーン

あかね「あーコラコラみゆき、あかんねんて。そんなにゴーインにせまっちゃあかん。やよいビビってるやん」

みゆき「あ……ご、ごめぇーんわたしったらつい……」

やよい「う、ううん。だいじょうぶだよ」

あかね「ふふ、でもなーやよい、みゆきは本気で言ってるんやで? こいつは軽々しくそういうことは言わない。短い付き合いやけどそう言い切れる『確証』があるんや……」

やよい「確証……? なにそれ……?」

あかね「フッフッフ~……それは~……秘密や!」

やよい「え、ええェ~? なにそれズルい!」


あかね「まーそれはともかく、『みゆきが言うんなら間違いない』ってことはわかってほしいってか、すこーしは信じてみても損はあらへんで?」

やよい「……」チラ

みゆき「えへェ~♪」ハッピー

やよい「(『無邪気』……それ以外の言葉が見つからない……本気で言ってるんだ……さっきのこと……)」

やよい「(本当に……わたしの絵に、星空さんの言うオーラが込められているなら……)」

やよい「……や……」

みゆき「んんん?」

やよい「や、やってみる……! ううん、やってみたい!」

みゆき「……!」パァァー

あかね「ほな、決まりやな~♪ そんじゃさっそく絵のネタを集めんと……」

キャンディ「はやく3人目のプリキュアをさがすクル~!」ピョーン

みゆあかやよ「!?」


キャンディ「キャンディ待ちくたびれたクル。はやくプリキュアさがさないとダメクr」

ガァシイッッ

キャンディ「クルォオオッ!?」

みゆき「てめーこら毛玉ァァ――――ッッ学校じゃ出てくンなつっただろォォォォがよォォ―――――ッッ!? 何回言わせんだボゲがァァ――――ッッ!?」ギャァァァァス

キャンディ「クギュゥゥー!?」

やよい「あひひィィ――――ッッ!?」ビクゥーン

あかね「みゆきがキレたァァ―――――ッッ!!? あかん、こーなったら手がつけれへんッ!」

ギャーギャー ウバシャアアアアッッッ

やよい「(わっ……わからないッ……!星空さんがわからないッ! さっきのマシュマロのように柔らかな雰囲気と、今の屍生人のようドブ臭い薄汚さ、一体どっちが本当の星空さんなのっ!?)」ウヒヒィィーーーー



………


そして数日後ッ!


あかね「結局キャンディのことはすんなり受け入れたけど……やよいて案外肝がすわってるっていうか……」

みゆき「やっぱりわたしの見こんだとおりだよォ~♪」

キャンディ「キャンディもいっしょに描いてもらうクル~♪」

やよい「ふたりとも、ありがとう。おかげでいい絵が描けたよ……」

やよい「こんなに『楽しい』気分で絵を描いたのははじめて……本当にありがとう。星空さんにはチョッピリおどろいちゃったけど」テヘ

みゆき「あ、あは……ごめんね? 急におどろかせちゃって……」


みゆき「わたしって、昔から不測の事態に弱いって言うかァァ~……隠しきれない感情が表に出ちゃうんだよネ……ボスにもよく注意されるんだけど」タハハ

やよい「……あの、その『ボス』さんって人って……」

みゆき「……」キロリ

やよい「ひ」ビクゥーン

あかね「……ッ!!」ビクゥーン

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

みゆき「……ごめんねェェ~? わたしから言っておいてなんだけど……ほんとうに申しわけないんだけど」……ミシ

みゆき「今言った言葉は『忘れて』くれないかな……? できれば……『今』すぐに……だけど」……メキッ

やよい「は、は、は……ハイィッ!! 忘れますッ! すぐに忘れます!?」

あかね「(こっ、これや」……!)」

あかね「(普段は決して見せない……たとえキレても表には出さないドス黒いスゴ味ッ! これがあのみゆきなんか……? こんなん……)」

あかね「(まるっきり……『別人』やんか……)」

みゆき「あかねちゃん?」

あかね「はっ!?」ビクゥーン


みゆき「どうか……したのかな……」グルンッ

ニブ ニブ ニブ ニブ ニブ ニブ ニブ ニブ ニブ ニブ ニブ ニブ ニブ 

あかね「(こ……)」

あかね「(この……『瞳』に……逆らえへん……。……この……『全てを支配せずにはいられない』金色の『瞳』にはッ……!)」

キャンディ「クル~? みんなどうしたクル?」

みゆき「……」

みゆき「……なーんてねっ! もう~ふたりともびっくりしすぎだよ~♪」ス……

やよい「ふぁっ……!?」

あかね「……ッはっ……!?」

みゆき「もうすぐコンクールだから、ちょっとした冗談で緊張をほぐしてあげようかなって思ったんだけど……」

みゆき「『やり過ぎ』ちゃったかなァ~? ちょっとね……」

やよい「星空さん……」



みゆき「大丈夫。黄瀬さんは最後まで頑張ったじゃない」

みゆき「そのがんばりは……『無駄』なんかじゃあないよ……決して」

やよい「……」ハッ

やよい「……うん……ありがとう……」ニコ

あかね「ま、これで一件落着ってやつやな~」



アカオーニ「どこかで友情の匂いがするオニ」

アカオーニ「俺様がバッドエンドに変えてやるオニ!」


コンクール当日ッ!



『2年2組、黄瀬やよい……努力賞』



みゆき「やったやった! 黄瀬さん努力賞だよ~!」


やよい「ごめんね。せっかくふたりには手伝ってもらったのに……」

あかね「いや~努力賞でもスゴいやん! それに、ウチにはやよいのポスターが一番輝いて見えるで!」

やよい「そ、そうかな~?」テヘ


モブA「へ、負け惜しみ言うなよ」

モブB「そんなふざけた絵がうちの部長に敵うわけないだろー?」

やよい「……!!」

あかね「ちょっと、アンタらなんやねん!」

やよい「……ううっ……!」タタタ

あかね「あっ! やよいどこ行くん!?」

みゆき「……」



みゆきよ……



みゆき「……!」ビク

みゆき「ボス……?」

いま、ボスの声が……?



やよい「……ッ!」タタタ

やよい「……」

やよい「けっきょく……わたしの……自己満足……」

やよい「人に……わるく言われるくらいなら……」

やよい「……最初から、描かなきゃよかったッ……!」グス


アカオーニ「泣く子が出たオニ~。俺様がもっともーっとバッドエンドにしてやるオニ」

やよい「!? だ、だれ……?」

アカオーニ「おまえのような泣き虫が、いくら努力したところで『無駄』オニ!」

やよい「! ……そんなこと……わかってるよ……でも、絵を描くことが……好きだったから……」

アカオーニ「今さら何言っても『無駄』オニ!」

アカオーニ「世界よ! 最悪の結末、バッドエンドに染まれ!」ベッチャァァッ

アカオーニ「「『白紙』の『未来』を黒く塗りつぶすオニッ!!」ベタァアーーーー


┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

やよい「うああ……」ドヨン

やよい「わたし……わたしもう……絵を描くのなんて、やめ……」


諦めるのは……少し……早いんじゃあないかな……?


やよい「え……?」


┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

みゆき「……」

あかね「……」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

やよい「あかねちゃん……星空……さん」

みゆき「そこの……『赤鬼』さん……」

アカオーニ「俺様はアカオーニだオニッ!」

みゆき「どっちでも……いいよ……」

みゆき「さっきあなた……わたしのイチバン嫌いな言葉を……『2回』も言ったね……?」

アカオーニ「ああん? なんのことだオニ?」

みゆき「そう……『無駄』……実に不愉快な響きだよ……」

みゆき「なんでだろうね……誰に言われたわけでもないのに……この言葉を聴くと無性にむかっ腹が立つ……。理屈じゃあないんだろうね……こればっかりはわたしの持っている『性』なんだと思う……」


アカオーニ「おまえの『性』なんか知らないオニ! それに無駄な努力をするなんて人生の無駄そのものオニ! バカのすることオニ!」

アカオーニ「こいつの絵をアカンベェに変えて、それを証明してやるオニッ! 出でよアカンベェ!!」ヒュンッ


アカンベェ「アカンベェ~!」


あかね「やよいのポスターが!」

みゆき「どうやら……痛い目会わないとわからないみたいだね」

みゆき「黄瀬さんの幸福を壊すあなたは……絶対に許せないッッ!」



みゆき「『始末』させてもらうよッ!……プリキュア! スマイルチャージッ!」レディ-!!

あかね「プリキュア! スマイルチャージッ!」レディ-!!


ゴーゴー!! レッツゴー ハッピー!!(サニー!!)

ポンポンッ

キュァァンッ
ボンッ
パンッパンッパンパンパンッ
シュィィィンッシャァン
ポワァァァァッ
ポンポンポンポンポンポンッ

スタッ


┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

ハッピー「キラキラ輝く未来の光! キュアハッピー!」 ドバァアーーーーン

サニー「太陽サンサン熱血パワー! キュアサニー!」ドバァァーーーーン


アカオーニ「ふん! プリキュアなんて一捻りだオニ! 行け、アカンベェ!」

アカンベェ「アカンベェ~!」ブォン



グァキィィンッ!


ハッピー「ぐ……なかなかのパワーとスピードだよッ!」グググ

サニー「やよいのポスターから出ただけはあるってわけやなッ!」グググ

アカンベェ「アカンベェ~!」ブワッ

サニー「うわっ……!?」ドゴォアアッ

ハッピー「サニー!」

サニー「だいじょうぶやッ! ……これでもくらいやッ!」ゴッォォォッ


サニー「プリキュア! サニーファイヤー!!」バッシィィァ


ハッピー「あっ、ダ、ダメ!」

サニー「へっ!?」

ポッシュウウウウ……

サニー「な、なんでや!? サニーファイヤーが消えてしもうた!?」

キャンディ「ちゃんと力を込めないとダメクル~!」

サニー「んなアホな~!」

ハッピー「……」


ハッピー「(どうする……『ハッピーシャワー』の射程距離は1~2mが限界……ッ! 『外したら』次はない……サニーにちゃんと説明しておくんだった……)」

ハッピー「(燃費の悪い必殺技をどう叩き込むかッ! この勝負はそれが全て……! どう近づッ……!?)」ビクゥーン

アカオーニ「ふははははっ! マヌケオニッ! せっかくの必殺技を『無駄』撃ちするなんてバカオニッ!」

サニー「グググ……! 好き勝手言いおってからにあのオニ……!」

サニー「ハッピー! こうなったらアンタの『ハッピーシャワー』を叩っ込むしかないわ! 頼んだで~!!」

ハッピー「……」ウツムキィ

サニー「ハッピー?」


ハッピー「……とうおるるるるるるるるるるるん」グリンッ


サニー「!?」


アカオーニ「な、なんだオニ、アイツ……」

キャンディ「『ボス』からの電話クル~!」

ハッピー「とぅるるるるるるるるるるる……とぅるるるるるるるるるるる……」

サニー「こ、これは転校初日に見せたッ! 電波全開のッ!?」

ハッピー「……電話ッ! ボスからの指令ッ!」

ハッピー「指令は全てにおいて『優先』されるッ! とぅるるるるるるるるるるる……」

ハッピー「電話は! 電話はどこッ!? こんなに近くで鳴っているのに!?」サッサッ

アカオーニ「アイツ、頭おかしーんじゃないかオニ?」

サニー「あかーん!? ハッピーが壊れたら誰がアイツを倒すんやァァ―――――ッッ!?」


ハッピー「……はっ!!!」

ハッピー「信じられないよ……。こういうのを奇跡って言うんだよね、めったにあることじゃないよ……」

ハッピー「こんな学校の隅に『公衆電話』があるなんて……」スッ

ハッピー「がちゃリ……もしもし……ピィイ―――――ッッ!」つカエル

サニー「カッ……カエルゥゥ―――――ッ!? なにやっとんねん自分!?」

ハッピー「はい……はい。……えっ? ボス……まさか……でも……」

ハッピー「……はイィ~わかったよボス……」

サニー「まさか……」

サニー「カエルが……受話器なんかッ……?」

アカオーニ「わけがわからんオニ……」


ハッピー「ボス……『使う』んだね……? 『あれ』をわたしにくれるんだねっ!?」

サニー「ハッピー……?」


……
…………
………………


みゆきよ……わたしのかわいいみゆきよ……
そうだ……おまえにわたしの『能力』……

『         』の一部を与えてやった……

それを『使う』のだ

時間を稼ぎ……『仲間』の覚醒を促すのだ……
わたしの『見立て』に間違いがなければ……

あの小娘……『黄瀬やよい』こそ……新たなプリキュアッ!!

いいか『時間を稼ぐ』のだッ!

『落ち着いて……』『良くみるのだ……!』
『「動き」を!!』


『そして予想するのだッ!』


おまえに与えられた『帝王』の力を使いこなすのだッ!




ハッピー「『帝王』」


ハッピー「これが……『ボス』の……『帝王』の力……」ブツブツ

サニー「ハ、ハッピー……?」


ニブ ニブ ニブ ニブ ニブ ニブ ニブ ニブ ニブ ニブ ニブ ニブ ニブ ニブ ニブ ニブ ニブ


ハッピー「そう、これが…… これが」













ハッピー「 『エピタフ』 」










┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨





←TO BE CONTINUED……////

今日はここまで
みゆきちゃんの嫌いな言葉は『無駄』

そろそろ投下します
あまり進んでないすけど……



錯乱こそわたしのエピタフ

ひび割れ荒れ果てた道を這い進む

どうにかなるものなら腰を下ろし笑うこともできるのか

でも、わたしは明日が怖い
わたしは叫び続けるだろう

そうだ、わたしは明日を恐れ
わたしは叫び続けるだろう


ああ、わたしは明日が怖い
わたしは叫び続けるだろう



【Doppio 】……イタリア語で『二重』を意味する


ハッピー「額……わたしの額にッ!」

ハッピー「ボスの『力』を感じるッ……これは現実だ……ファンタジーやメルヘンじゃあないのは理解できる」

サニー「ハッピー! ……さっきから何ワケわからんこというてんのや? カエルなんか顔に押し付けて!」

サニー「アタマがどうかなってもうたんかッ!?」

カエル「……」モゾモゾ

ハッピー「サニー、わたしならだいじょうぶ……だいじょうぶだから……黄瀬さんをお願いできる?……ここはわたしにまかせて」

ハッピー「時間は稼ぐ……今のわたしならできるの。うん、自信を持って断言できるよ」


ハッピー「今のわたしには『エピタフ』がある!! ……それが断言の理由だよ」



サニー「エ……エピタフ……? なんや……それ」

アカオーニ「いつまでくっちゃべてるオニ? さっさとつぶれちまえオニ!」

アカオーニ「アカンベェ────ッ!!」

ハッピー「……!!」クワッ


ク ワ ア ア ア ア ア ア ア ア ア


ハッピー「(迫るアカンベェの攻撃を……サニーが受け止めている! いつの間に……? いや、違うッ!)」

サニー「……?」

ハッピー「サニーはここにいる! 黄瀬さんの側に……ならこの画像はっ」

ガッシィィ

サニー「な、なにボケっとしとるんやッ! 敵の攻撃が見えんかったかんか!?」グググ

ハッピー「(これはッッ! ……この画像は……先の……『未来』のビジョン!?)」

ハッピー「『十秒先の未来の画像』が見えているのッ!?」



そうだ……みゆきよ……『エピタフ』は未来を覗く力。そしてエピタフで見た画像の通りの未来となる……

その未来を変えることはできない。『あるひとつの例外を除いて』はな

しかし先を知ることの優位に変わりはないッ!
どう動くかは自らの覚悟によって決まる!

考えろみゆき……自らに与えられた優位を活かすのだ!

キャンディ「ハッピー、さっきからどこを見てるクル~?」


ハッピー「それがエピタフッ! ボスから与えられた未来予知の能力ッ!」

サニー「だからエピタフってなんなんやァァ─────ッッ!?」グググ


ク ワ ア ア ア ア ア ア ア ア ア 

ハッピー「見えるぞッ! 十秒先の画像! やつの次の行動の結果がッ!」

ハッピー「『右斜め前方に投げ飛ばされる』……それが結果! サニーによって起きる結果」

ハッピー「ならばわたしの取るべき行動はッ……」

サニー「うだあああああ!! いつまで押し付けてるんや! いい加減しつこいわァァアアア!!」ブォン

アカンベェ「ベェエ~ッ ……エッ!?」ビュオオン


┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨


ハッピー「画像の通り……この場面まで飛ばされて来る。……まったくのブレもなく正確に」



サニー「ハッピー、いつの間にあんな所に……! でも、今がチャンスや! ハッピーシャワーを叩き込むんや─────ッッ!」

ハッピー「確かにここでハッピーシャワーを叩き込めばあなたを『始末』することは簡単だね……だけど」

ハッピー「それでは『指令』がコンプリート出来ないッ! ボスからの指令は全てにおいて優先する……何物にも代えられない絶対の命令!」

ガッシィィ!!

サニー「受け止めた!? な、なんでや! せっかくのチャンスやったのに!?」

ハッピー「『黄瀬やよいをプリキュアに覚醒させる』……この任務は遂行する!」

ポーイッッ

サニー「投げたァア─────ッッ!? ってどこまで投げてんねーん!」


ハッピー「『時間は稼ぐ』……そして、あとはわたしが! 覚醒を促すッ!」バッ

ハッピー「この戦いを通して黄瀬さんに伝える! わたしの意志をもってッ! その言葉で心を揺り動かすッ」ズドドドドド

アカンベェ「ベェエ~ッ!?」ドッグァオ

キャンディ「ハッピーの攻撃がどんどん激しくなってるクル! すごいクル~!」


この時、キュアハッピーは思い出していた!
それは以前の戦いで日野あかねがプリキュアに覚醒した、あの瞬間!

ハッピーの偽りのない、意志が込められた言葉を受け止め、日野あかねはキュアサニーとして覚醒したのだ!

つまり! この状況で黄瀬やよいをプリキュアに覚醒させるには、日野あかねと同じように強い意志をもった言葉を届ける必要があると理解した!



アカオーニ「無駄オニ! 必殺技を使わなければ浄化も出来ないアカンベェにそんな攻撃はいつまでも続かんオニ!」

アカオーニ「弱いプリキュアがいくら頑張ったところで無駄オニ! まだわからないオニ!?」

ハッピー「『無駄』かどうかはあなたが決めることじゃあない……全ては自分自身の強い『意志』しだい」

ハッピー「あなたもオオカミさんも……誰も人の意志を否定することは出来ないッ! 黄瀬さんの意志の力を否定することは許さない!」

やよい「……!」ハッ



そして、キュアハッピーには、星空みゆきには言葉を人に届ける『力』が、『才能』があった!

それは物語の主人公が旅の道中で仲間を集めるかのように……

力強い意志と言葉で、人を惹き付ける!
古代中国の劉邦や、戦国時代の豊臣秀吉のように! 人を惹き付けて『動かす』パワーを持つ!

人はそれを『カリスマ』と呼ぶ!
しかし、それがみゆき自身に秘められたモノなのか、はたまた別の『何か』から来るモノなのか、それは知るよしもない

ハッピー「十秒先の未来ッ! 受け止めるにせよ避けるにせよ、『覚悟』が決まれば怖れることはない!」ガッシィィ

ハッピー「エピタフはわたしに『覚悟』を教えてくれる……。それは『幸福』だよ。紛れもない幸福だ……」ブォンッッ


アカオーニ「な、なんでだオニ!? おまえの動きからは『迷いがまるでない』オニ!」

アカオーニ「恐怖が、攻撃を受けるというのに、『恐れ』が感じられないオニ! フツーじゃないオニ!」

ハッピー「定められた『運命』は変えられなくても……それを『覚悟』することができれば、人は『勇気』が、『力』が沸いてくるッ!」バゴォン

アカンベェ「ぶべっ!!」ズザァー

ハッピー「そして、恐怖だけじゃなく、『幸福』もまた覚悟によって受け入れることができるの」ザッザッ

ハッピー「早朝の通学路で友達とおはようのあいさつを交わすかのように……」ザッザッ

ハッピー「至極当然のように『受け入れられる』。……このように」クルゥリ

アカオーニ「はっ……!? お、おまえ、なぜ後ろを向くオニ!? 敵が目の前にいるってのに正気かオニ!?」


ハッピー「『運命』は定められた。エピタフは告げている……『次のプリキュアの誕生への祝福』を」

アカンベェ「アカンベェ─────ッッ!!」グワァッッ


ドゴォオオアアアアッッ


アカオーニ「や、やったかオニ!?」

アカオーニ「……!?」




ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ


「ぴかぴかぴかりんッッ……! じゃんけんポンッッ!」グググ

「やああっっ!!」ドォォン

アカンベェ「アバッ!?」

アカオーニ「なに、突き返された!? 一体誰オニ!?」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨


ハッピー「なるほどね……エピタフの予知通りの場面……」

ハッピー「指令は『達成』されたッッ!!」

サニー「こ、これはッッ!」

キャンディ「3人目のプリキュアクル~ッ!」



ピース「キュアピース!!」ドッバァァーーーーン



┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨


ハッピー「黄瀬さん……ううん、キュアピース」

ピース「星空さん……キュアハッピー……」

サニー「3人目のプリキュア……! まさかやよいが変身するなんて……」ハッ

サニー「(まさかっ! ハッピーは最初からこれを狙って……!)」

ハッピー「……か」

サニー「ッッッ! ハッピー……」ゴクリ

ピース「か……?」ゴクリ

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨


ハッピー「かわイィィイ─────ッッ!! ねえねえねえピースってばスッゴクキャワイイィ~!!」キャルルルゥン


ピース「ふぁっ!?」

サニー「」

アカオーニ「」

アカンベェ「」

キャンディ「あ、いつものハッピーに戻ったクル~」


ハッピー「ねえもーいっかい! もーいっかいさっきのやって! ぴかぴかぴかりん じゃんけんポン!」

ピース「え、あ、ぴ……ぴかぴかぴかりん、じゃんけんポン♪」キャルッ

ハッピー「あああああああああ!! うわぁァアアアアア!! とってもとってもとってもとってもとってもとってもキャワイイヨォォォォォォォ!?」キララァン

ピース「あ、あのぉ~……」

ハッピー「……ンンン? ああ~ごめんねェ~? あんまりにもキュートだったものでつい、取り乱しちゃったよ」ゴホン

ハッピー「オメデトウ、キュアピース。わたしの声が届いたんだね♪」

ピース「あ、うん……。ハッピーの心からの声が、わたしの心に、しっかり響いたよ」


ピース「おかげでわたしも『覚悟』ができたよ……ほんとにありがとう……!」

ハッピー「うんうん、これからもよろしくね♪ ピース!」ハッピー

ピース「うん!」ピース

ハッピー「ねえねえピース、それよりもせっかくプリキュアになれたんだからさあ」

ピース「ふぇ?」

ハッピー「『あれ』……いっしょにぶちのめそうよ……?」


ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ


アカンベェ「べっ……!?」←あれ

ピース「え、えっ!? ぶ、ぶちのめ……ええっ!?」


ハッピー「サニーは必殺技をミスってへばってるし」

ハッピー「ピースの技が『今』もっとも必要なンだよね……わかる?」

ピース「ゴ……ゴクリ……う、うん」

ハッピー「だいじょうぶ……ピースならできるよ……。ほんのチョッピリ『気合い』を入れればいいんだ……このパクトにね。そうすれば力が出現する」

ハッピー「ピースだけの『力』だよ……。わたしは今、それに期待してるんだ……期待を」

ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ

ピース「(……プ)」

ピース「(プレッッシャァァ~……!?)」



ハッピー「」ニコニコ

ピース「(これは! ……外せないィイ~!? だって、だってだってもし、もしもだよ、もしわたしの力がたいしたモノじゃあなかったら)」

ピース「(ハッピーの『期待』を裏切るモノだったらッッ!)」ホワンホワンホワーン

ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ

ハッピー『あ? なんだ今のカスみたいな技は? それはどういう意味だ? つまり、え? その行為の意味はよォ?』

ハッピー『ピース? わたしはピースの事完全に信頼して協力してやろうっていうのに、ピースはその心を無視してずる賢こくごまかそうとしてるって事だな?』

ハッピー『この行為はそーゆー事か? そーゆー意味なんだな? おい!』


ハッピー『二人の関係はおしまいなのかァ─────ッ!! 答えろォォォォォォ─────ッ!!』ウバシャアッ


ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ


ピース「(ッッッッてなるよねェエ~ッッ!? なんでだろう、なぜかそーなる予感がするよ~っていうかそーなる!)」ガタガタガタガタ

ハッピー「どしたの?」ヒョコ

ピース「おっぱアアアア─────ッ!?」ビクゥーン


ハッピー「もしかしてピース……怖かったりするゥ? あーだいじょーぶだよーだいじょぶ。わたしも最初はこわかったもん。でも怖がらずに試してやってみれば」

ピース「やりますやります! いえ、ぜひともやらせてくださいィイ~! だから殺さないで~!?」

サニー「いや、殺すってアンタ」

ピース「恐怖はァア! 乗り越えるためにあるッ!! この目の前の恐怖を乗り越えて、わたしは生を勝ち取るゥウ~!」グワッ

ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ

キャンディ「パクトに気合いがたまっていくクル~」

サニー「いや、気合いっていうか生への執念的ななにかやん」

ハッピー「つまり、幸福!」

サニー「なんでやねん!!」ビシ


ピース「いっくよ~! 恐怖よあっちに行きなさい!」カアアッ


ピース「プリキュア! ピィィィスッッサンダー!!」ズバァアアアアアーーーーッッ


アカンベェ「アバァアア─────ッ!?」バリバリバリィィ


サニー「こ、これは雷や!?」

キャンディ「ピースの力はかみなりクル~!」


ポッシュゥゥゥ


アカオーニ「ちいっ、まさかこうも簡単にやられるとは」

アカオーニ「次はようしゃしないオニ!」シュン

ピース「ハァ、ハァ、や、やった! できたァア~!」

ピース「ハッピー! ハッピーの言う通りにやったらできたよ! ねえハッピー……!?」


ハッピー「」ブスブスブス


ピース「ハッピィィィイィイイイ!?」

サニー「あかん、黒こげやァァアアア!?」


キャンディ「恐怖のもとのハッピーにも電気がとんだクル」

サニー「落ち着いて分析しとる場合かァア─────ッッ!?」

ハッピー「」ムクゥリ

ピース「あ」

ハッピー「……」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

ピース「ハ、ハ、ハ、ハッピィイ~……。ぶ、無事だったんだ! よかったネ……?」

ハッピー「ピース」

ピース「ハピィイイッ!?」

ハッピー「ピースのこと……『やよいちゃん』て呼んでも……いいかな?」

ハッピー「わたしたち……もう『ともだち』だもんね?」

ピース「はいいっともだちっ、ともだちですぅ~! 『星空さん』のいいい言う通りですゥ~!?」

ハッピー「『みゆきちゃん』」

ピース「みみみみゆきちゃんッ! みゆきちゃんでしたあっっ!」ビエエ

サニー「なに泣いてんねん」

ピース「泣くよ!? 誰でも泣くよ~!」


ハッピー「ふふ、ふ、やよいちゃん……やよいちゃん……」ブツブツ

ピース「あひぃっ!?」

ハッピー「やよいちゃん……やよい……やよい~ん……」ブツブツ

サニー「み、みゆき……!?」

ハッピー「やよい~~~~~ん、やよい~~~~~ん♪」

ハッピー「やよいッ!!」バッ


ハッピー「やッよィヒヒィィ~~~~~ン!」クワッ


ピース「あヒヒィィイ~!? みゆきちゃんッ!?」ダッ


ハッピー「やッよィヒヒィィ~~~~~ン!!」ズドドドドド

ピース「ごめんなさぁい! だから追ってこないでェエ~~~~~ッッ!?」ズドドドドド


キャンディ「やれやれクル」

サニー「こんなんでウチらやってけるんやろか……」



←TO BE CONTINUED……////

とりあえずここまで
JOLENEは名曲

投下します


【Brio Solare】……イタリア語で太陽サンサンを意味する


黄瀬やよいを3人目のプリキュアとして迎い入れ、数日が経過ッ!


みゆき「わー! ねえねえねえやよいちゃん、これってもしかしてキャンディの『キャラ弁』ってのじゃあないの?」

キャンディ「キャンディの顔クル~♪」

やよい「えへ……作ってみたくって」テヘヘ

みゆき「自分で作ったの!? スッごぉい!」

あかね「へへ、ほな味見~!」ヒョイ

キャンディ「あっ、キャンディを食べちゃダメクル~!」プンスカ

あかね「ん! ……これめっちゃ美味しいやん!」モグゥ

やよい「え、そっ……そうかなァァアアア~? なんだか照れちゃう……」テヘェ~


みゆき「わたしも食べる~!」キャピ

キャンディ「キャンディも食べるクル~♪」キャピイ

みゆき「えー、さっき食べちゃダメクル~て言ってたじゃん!」

キャンディ「それはそれクル!」

みゆき「なにそれェ~?」キャハハ

やよい「どうそどうぞ~♪ おすそわけだよ~♪」

「ねえちょっと、あなたたち」

みゆき「はぃい?」クルゥリ

やよい「ひ……」ビク


パイセンA「悪いけど移動してくれない?」

パイセンB「ここはわたしたちの場所なんだけど」

やよい「え、え……」ビクビク

みゆき「……あのォ~……」

パイセンA「ランチなら他でもだいじょうぶでしょ?」

あかね「……なんなんですかいきなり。急に他んとこ行けやなんて」

パイセンA「……ハァ~……。あのね、わたしたちはいつもここで食べてるの。だから退いてくれって優しく『お願い』してあげてるの」

パイセンB「Do you understand ?」

みゆき「……」イラ


あかね「そんなん早いもん勝ち違うんですか?」

パイセンA「なに? あなた2年でしょ? 先輩に席を譲るのが礼儀ってものじゃないの?」

あかね「センパイ言うても歳いっこしかかわらんとちゃいますか~?」ケロッ

パイセンB「……なんですって」ギロォ

やよい「ひィィ~……」オドオドォ

みゆき「よちよちやよいちゃん……」ナデナデ

「センパイ……それは余りにも『ワガママ』なんじゃあないですか……?」

みゆき「!!」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

なお「たとえセンパイでも……後からやって来て場所を横取りするってのは~……おかしいと思いますよ?」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

みゆき「緑川……なおさん……ッ」ゴクリ

なお「ここは『学校』の『中庭』……『学校』の場所ってことは『みんなで仲良く』使うのが」

なお「『筋』だと思うんですが……そこんとこどうですか? 『先輩』」

パイセンAB「……」ムッ

あかね「へェ、なかなか言うやん」ホホゥ

やよい「」ガタガタ

みゆき「(緑川なおさん……クラスで最もパワーとスピードに優れた体育会系女子。特にスピードはあかねちゃんを凌駕する逸材……)」

ソノトオリダヨ
アッ イリエセイトカイチョウ

みゆき「(前から目をつけてたけど……向こうから来てくれるなんて、これは何かの『引力』を感じざるを得ないよッ!)」


ガッコウハミンナノバショダカラネ ネッ?
ソウネ イイスギタワ ゴメンナサイネ
ア,イエイエ コチラコソ

みゆき「(人の出会いは『引力』ッ! 則ち『運命』ッ! わたしはこの引力に従ってみるよッ!)」

ソレジャアネー
アッ カイチョウモランチデスカー

みゆき「(もし彼女に資格があるとしたら……迷うことはないね……)」

あかね「いやぁ、なおのおかげで助かったわ! ほんまありがとなー」

なお「わたしは当たり前のことを言っただけだよ。それじゃあこれから自主練があるから」

ガシィッ

なお「!?」

みゆき「緑川さん……さっきはどうもありがとう」ニコニコ

なお「星空さん……?」

みゆき「ぜひお礼がしたいんだけど、いいかな……? 立ち話もなんだからここに座ってさ……。お茶でも飲んで……」カチャ

ジョボジョボジョボ

みゆき「お話でもしようよ……」ニコォ

なお「……!!」ビク

あかね「ああ……こりゃあかんわ……」

やよい「みゆきちゃんに気に入られちゃったー……」


その日の夜ッ!


みゆき「4人目のプリキュアは緑川はん、あんさんや! ……ってしたいとこだけどォ~」

みゆき「プリキュアのことないしょならどー考えても誘えないよね……。ねえキャンディ、ほんとーにプリキュアの秘密って守らなきゃダメ?」

キャンディ「とーぜんクル! プリキュアは誰にも秘密じゃないとダメクル~」


みゆき「……バレてなんか困ることあったっけ?」

キャンディ「それは~……」

みゆき「……」

キャンディ「……えと、あれ? もしかして」

みゆき「ないね」

みゆき「敵にバレるとあぶない云々もオオカミさんたちにバレてる時点で意味ないしー」

キャンディ「ぐぬぬ」

みゆき「……よーし、明日はお休みだし、直接プリキュアになってって頼んでみよーっと!」

キャンディ「クル~♪」

みゆき「あ、そーだ! そろそろごはんにしなきゃ。おかあさんごはんまだかなあ」グキュルル

キャンディ「みゆきのごはんはおいしいからたのしみクル~♪」

みゆき「あはは、キャンディなに言ってるの? ごはんはいつもおかあさんが作ってるじゃない」

キャンディ「クル??」


翌日! 土曜日ッ!!


みゆき「今日もお日様ボンジョルノ~! 緑川さんに会いに行こ~!」ルンルン

キャンディ「みゆきとおでかけクル~」

みゆき「緑川さんのようなフィジカルバリバリィィな女の子が入ってくれれば心強いよね♪」スタスタ

みゆき「うまく誘えればいいなあ。……あかねちゃんとキャラがかぶる気がしないでもないけど」スタスタ

みゆき「プリキュアは全部で5人。あと2人……早く集めなくっちゃあね……」スタスタ

キャンディ「みゆきみゆき~!」ピョン

みゆき「どしたのキャンディ」

キャンディ「そういえばここどこクル~?」

みゆき「えー? どこってそりゃ……」

みゆき「……あれぇ、ここどこだっけ?」ハッピー


……
…………

みゆき「も、もしかして~……迷っちゃったァア~?」


キャンディ「みゆき、知らないのにおそと出たクル!?」

みゆき「だ、だってだって、引っ越してきたばっかりだったしぃ」オロオロ

みゆき「どうしよ、迷子になっちゃったよう……」オロオロ

なお「あれ? 星空さん?」

みゆき「!!」

なお「やっぱり星空さん! 家この辺なの?」

みゆき「あなたは『引力』を信じるタイプゥウウウウウ!!?」ガバァ

なお「わああああああ何!? なんなの!?」


……


なお「ここを曲がればすぐに家だから。……あの、平気? やっぱり持とうか?」

みゆき「へ、へっちゃらだよ~。これくらい手伝わせて♪ ……うう、重い……」グググ

なお「だいじょうぶかな……。あ、ここがわたしの家だよ」

みゆき「ほんと? た、たすかった……。ここで話があって会いに来たんだよー」

なお「話?」

みゆき「うん、実は緑川さんにプリキュアに……」

『なおねーちゃーん!! おかえりー!』

みゆき「ふぁっ!?」

なお「ただいま。ほら、こっち並んで」

ゾロゾロ

みゆき「こ、こ、この子達はッ!?」

なお「こっちからけいた、はる、ひな、ゆうた、こうた。ほら、あいさつ!」

『こんにちは~!!』

みゆき「ひゃっ! こ、こんにちはァ~♪」

なお「この人はおねえちゃんの友だちの星空みゆきちゃんだよ」


ワー ワー
ミユネエチャーン

なお「星空さんここまでありがとう。よかったらお昼食べてく?」

みゆき「え、いーの!? それじゃあお言葉に甘えてェ~♪」グキュルル


……
………

緑川家ッ!


ジャー
トントントン


みゆき「ふーむ、これは玉子焼きの匂いとみたねッ! ……緑川さんも料理できるんだねぇ、なんだかわかる気がするよ。どことなくおかあさんみたいなふんいき出てるし」フムゥ

チョイチョイ

みゆき「ん?」

ひな「おねえちゃん、あそぼ!」

ゆうた「あそぼあそぼー!」グイグイ

みゆき「わ、わ、わ」ググィィ


なお「あー、こら! お客さまに迷惑かけないの!」ヒョコ

みゆき「あ、だいじょぶだいじょぶ! こどもと遊ぶのダイスキだから~!」ハッピー

けいた「みゆねーちゃん、なんかおもしろいことやってよー」

みゆき「えー、おもしろいことォ~? そうだなあ……」

みゆき「ん~……あ、じゃあ~これとかどうかな?」スッ

はる「あーさくらんぼだ~」


みゆき「やったことある? 口のなかでさくらんぼ食べるとき、枝からタネを取っちゃあいけないの」ニコォ

みゆき「指を使っちゃダメ……しかも二連のさくらんぼでやるんだよ」パク

けいた「そんなんできんの~?」

みゆき「あ、ちょっとまってね」モゴモゴ


みゆき「…………」モゴモゴ


みゆき「…………………」モゴモゴモゴォ


みゆき「はいできた。ほら、タネつけたまま……たべた」レロォ

ひな「すごーい!」

ゆうた「うおおッ! ねーちゃんすげェエ~!」


みゆき「えへ~、そう? そうお? わたしったらスゴい?」ゴクン

はる「スゴいスゴいッ!」

みゆき「んフフ~♪ それじゃーあ次はもっと『スゴいこと』」

みゆき「しちゃおっかなァア~!!?」ゴソゴソ

ズラァアアッ

みゆき「シガレットココアを5本口の中に立てたままオレンジジュース飲んじゃいます!」ゴクゴク

ウワー
ホントニヤッター スゲー
スゲーケド キモイ
デモスゴーイ

みゆき「みんなもやってみるー? これやるのにはちょっとコツがあってね」

こうた「やるやるー!」

みゆき「まず下顎に一本目を入れ─────ッッ!?」ビクゥーン


みゆき「……」ウツムキィ

こうた「みゆねーちゃん、どしたの?」

みゆき「とうおるるるるるるるるるる!」グリン

こうた「ひゃっ!?」

みゆき「とうおるるるるるるるるるるん……あれぇ~? こんな時にボスから電話だよ~。どっからなってるのかな」

はる「でんわー? なんのこと?」

みゆき「えぇーみんな聞こえないの? こんな近くでなってるじゃないの」

みゆき「とおおるるるるるるるるるるるるる!」

みゆき「ホレ! 鳴ってるよッ聞こえるでしょォォ~~~~~~~? どっかに電話があるはずだよッ!」ゴソゴソ

みゆき「あー! あったあった! 電話だ電話ァァ~♪ ガチャリ」つ人形

ひな「あ、それわたしの……」

ゆうた「おねーちゃん、それなんかのギャグ?」

みゆき「はい、もしもしみゆきですぅ。もーボスったらいきなり電話かけてくるんだもん。びっくりしちゃったよォ~」



みゆきよ……聞こえるかみゆきよ……


みゆき「うんうん、聞こえてるよ~」


……食事の前に……


みゆき「え~?」


食事の前に……甘いものを食べてはいけませんと……前にも言っただろう……。仕方のない娘だ……


みゆき「あっ……! そーだよそーだった! ボスとの約束だったねー。ゴメンねボス~。誉められてつい調子に乗っちゃったよー」


うむ……わかれば良いのだ……かわいいみゆきよ……自分の身は大切に……それが幸福の条件だからな……



みゆき「うん、ありがとねボス! ……はい、それじゃーまたねェエ~! ガチャ」

みゆき「……電話急に借りちゃったねひなちゃん。はいこれ」つ人形

ひな「……」

みゆき「そろそろごはん出来る頃かなー? おねーちゃん、ちょっと見てくるよ~」トテテ

はる「……?」

ゆうた「ひなー、それ電話?」

ひな「えー、もちもち?」つ人形


……
………


昼食後、河川敷ッ


けいた「みゆねーちゃんそっち行ったよーオアアッ!」ボムッ

みゆき「こっちこっちオアアア─────ッ」

なお「悪いね、片づけまで手伝わせてしかもみんなと遊んでくれるなんて」

みゆき「いいよいいよー! こっちも楽しいしッ! オアアッ オアッ」

こうた「オアアッ!!」

なお「さっきから思ってたけどそのかけ声は一体……」

みゆき「緑川さんもやろーよ!」

けいた「そうだ、ねーちゃんが入ればおもしろくなるぞオアアッ」

ひな「オアアッ!」

なお「そうだなー。それじゃちょっと揉んでやろっかね」

みゆき「やったやったオアアッ!!」

なお「だからそのかけ声はなに!?」

キャンディ「……」ニンギョウノフリィ



十分後ッ


みゆき「い、い、一点どころか、ボールにすら触らせてくれないなんてェェ……」ゼハァゼハァ

ひな「しかも一人だけで……ねーちゃん容赦しなさすぎ……」

なお「フッフフ、この緑川なお容赦せん……たとえ遊びであっても、直球勝負!」

みゆき「うー……今度は負けないもん。わたしたちの絆パワーを見せてやるんだから! みんな、行くよ!」

みんな『YES!!』ビシィッ

キャンディ「(それはちがうとこのプリキュアさんクル~って、心の奥でクールに言うクル)」

アカオーニ「ふん、なにが絆オニ。そんなもの俺様がバッドエンドに染めてやるオニ!」

みゆき「あ!」


なお「な、なんだあの赤い人」

キャンディ「バッドエンド王国クル!」ピヨーン

なお「タヌキがしゃべった!?」

アカオーニ「世界よ! 最悪の結末(以下略」ベッタァアー


けいた「たのしくない……」ドヨォン

はる「帰る……」ドヨォン

なお「家族……そんなのいつかバラバラになる……」ドヨォン


みゆき「ちょっとみんな!? いくらなんでも変わりすぎじゃないのォ~!?」

アカオーニ「ふん! それがコイツらの本音オニ。家族だの絆だの、言うだけなら簡単だけどしょせんはこんなもんだオニ!」

みゆき「みんなしっかりしてよォオ~!」

アカオーニ「よいこはいねーか! 邪魔すんじゃねーオニ!」ズシン

みゆき「わわわっ!?」アタフタ

みゆき「この……!」

アカオーニ「次におまえは『それを言うならわるいこはいねーかだこのスカタン』というオニ」

みゆき「それを言うならわるいこはいねーかだこのスカタン! ……ハッ!」

アカオーニ「わはは、引っかかったオニ!」ゲラゲラ

みゆき「こっ、このォオ~~~~!!」

アカオーニ「……プリキュア、おまえが今『独りぼっち』なのは理解しているオニ」

みゆき「……!!」


┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

アカオーニ「だからこそ『今』を狙ったッ! オニ! 一人の時を狙ってッ! どうだおどろいたかオニ!?」

アカオーニ「一人だけで果たして勝てるかなァア~!? オニ!」

みゆき「(こッ……この赤鬼さん、単純だけど『マヌケ』じゃあないッ! プリキュアの数が増えてきている今だからこそ、一人の時を狙ってきたッ!)」

アカオーニ「とくにキュアハッピー、おまえ、人には言えないふしぎな力を持っているんじゃあないかオニ? この前の戦いで思い知らされたオニ。だから慎重に、確実に倒すオニ」

みゆき「ううっ」

アカオーニ「さーどーするオニ!? ここにはおまえの自慢の仲間はいないオニ!」

アカオーニ「いでよアカンベェ!」バッ


アカンベェ「アカンベェ~!」


みゆき「サッカーゴールがアカンベェになったァア~!?」


キャンディ「みゆき~! 早くするクル~!」

みゆき「ってそうだそうだ! 驚いてる場合なんかじゃあないッ! 変身するよ!」サッ


みゆき「プリキュア! スマイルチャージ!」レディー!!


省略ッ!


ハッピー「キラキラ輝く希望の光ッ! キュアハッピィィィィィ!!」ドギャァアアン


ハッピー「いっくよぉおお~!!」ズドドド

アカンベェ「フゥン!!」バサァッ

ハッピー「あるぇ!? と、と、と」キキーッ

アカンベェ「アカンベェ~!!」バッサバッサ

ハッピー「飛んだァア~!? そんな、ズルいよ~!」

アカオーニ「バカめ、そんなの飛べないのがわるいオニ! やれ、アカンベェ!」

アカンベェ「ンベェッッ!!」ズドドド

ハッピー「うわあボール攻撃ッ! ってバレーのアカンベェの時と同じ~!?」

アカオーニ「おまえの弱点が射程距離の短さだなんてことはウルフルンから聞いてるオニ! まねっこは気に入らねーがこれが一番オニ!」

アカオーニ「そら、このままなにも出来ずにぶっつぶれろォォォォ!! オニ!」

ズドドドドドドドドド!!!!

ハッピー「うっ……ウワァァァァァァ!!?」ズドドドドドド



シュウウウ……


アカオーニ「よーしッ! これでいっちょうあがりオニ! キュアハッピーはこれで再起不能ッ!! スマイルプリキュア完ッッ!」

ハッピー「ううう……」

アカオーニ「ああーん?」

ハッピー「ま、まだ、まだだよ……」ヨロッ

アカオーニ「なんだァア~!? まだ再起不能になってなかったオニ? しつっこいやつオニ!」

ハッピー「み、緑川さんたちをバッドエンドになんか、させないんだから……!!」フラフラ


アカオーニ「コイツはけっさくオニ! 自分より他人の心配してるオニ! 今にもくたばっちまいそうなくせに!」

ハッピー「バッドエンドなんて……幸福からもっとも遠ざかった場所にあるカスにも劣る境地なんて、誰も望んでないッ!」

ハッピー「だからわたしは最後まで戦い抜くッ 幸福のためにッ!」バァアーン

アカオーニ「だまれ虫けらにも劣るちっぽけなお子さまがッ!」

アカンベェ「アカンベェ~!!」シュルルルルル

ハッピー「こ、これは……!?」

ハッピー「ネット! サッカーゴールのネットがまるで獰猛な毒蛇のようにわたしの体に巻きつき、縛り上げてくる!?」グルルルルルゥ

ビタァアーン

ハッピー「ぐわっ! う、動けない……!?」ジタバタ


アカオーニ「なにかされるとうっとおしいオニ。これで今度こそぶっつぶれろオニ!」

アカンベェ「アカンベェ~!」


ズドドドドドドドドド


ハッピー「ぐうううッ! ダ、ダメ、避けられな」

ハッピー「あ……ッ!?」


ドッギャオオオン!!


アカオーニ「よォォォォしッ! 完全に止めをさしたオニ! これで今度こそ」


「アンタの次のセリフは『スマイルプリキュア完ッ! オニ!』 と言う」


アカオーニ「スマイルプリキュア完ッ! オニ! ……ハッ!」




┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨


サニー「ハッピー……またせたな」バァアーン

ハッピー「サニィィィィィィッ!!」

ピース「遅れてごめんねっ!」バァアーン

ハッピー「ピィィィィィィスッ!!」


アカオーニ「な……なんでだオニ!? プリキュアが3人じゃない時をわざわざ狙ってやって来たって言うのに」

アカオーニ「なぜプリキュアが揃ってるオニィィィィィ!?」


サニー「教えたるわ……確かにうちらの『絆』はたしかにまだそんな固ないけど」

ピース「1度つながった『絆』はたとえバラバラにほどけても、いずれまたひかれあい絡み合う! まるで『引力』のように……」

ピース「だよね? ハッピー!」ピース

ハッピー「サニー……ピース……! ……うん、そうだよ!」

ハッピー「わたしたちは『引力』によって巡りあった者どうしッそのつながりをどうこうしようなんてできないよッ!」バァアーン

なお「……」ハッ

なお「引、力……!」ググッ


ハッピー「あ、緑川さん! もとに戻ったんだね。よかったー!」ハッピー

なお「あれ、星空……さん?」

ハッピー「またバレたァァァァァ!? なんでみんな正体わかっちゃうの!?」

サニー「その濃すぎるキャラは隠せっちゅうのがムリってもんやで」

ピース「そうだねー」

アカオーニ「くだらないオニ! なにが絆オニ、ほどいても元にひかれあうと言うならッ!」

アカオーニ「2度と惹かれ合わないように、その絆もろとも鳥のはねをむしるように、一センチ四方の塊にしてくれるオニ! いけ、アカンベェ!」

アカンベェ「アカンベェ~!!」グワッ


ハッピー「しまった!! そっちの方向はァァ~!!」ジタバタ

サニー「あかん、アイツなおたちを狙っとる!」

ピース「や、やめてェエ~!」


バッ!!


なお「家族はバラバラにならないッ! わたしは『引力』を信じるッ!!」ドン


ハッピー「緑川さん!?」ハッ

なお「星空さん、あなたたちの言う『引力』、言葉だけでなく『心』で感じられたよ」

なお「たとえ離ればなれになっても、1度つながった絆は再び人を、家族を繋げる! その引力を否定することは誰にもできないんだッ!」

なお「もうわたしの心に一点の曇りもないっ! わたしはわたしの家族を守るために、戦いを選ぶッ!」



ビッカァア──────ッッッ!!


なお「うわっ!?」

ピース「こ、これはァア~!?」

サニー「まさかッ!」

キャンディ「四人目のプリキュアクル~!」

なお「うわっ、な、なにこの……タヌキ?」

キャンディ「キャンディたぬきさんじゃないクル~!」プンスカ

キャンディ「なお、このスマイルパクトに(以下略」

なお「よ、よーし、なんだかわからないけど、直球勝負だッ!」


なお「プリキュア! スマイルチャージ!」レディー!



省略ゥウッ!



マーチ「勇気リンリン直球勝負! キュアマーチ!!」ドバァアーーン



ハッピー「キュアマーチッやっぱり緑川さんが、四人目のプリキュアやったんやァア─────ッッ!!」ドギャァアン

サニー「ハッピー、なんで急に関西弁?」

マーチ「これが、これがわたし…!?」モフモフゥ

ピース「わあ、気持ち良さそうなトリプルテール。もふもふだよぅ♪」モフモフゥ

ハッピー「ねえねえわたしにもさわらせてぇーん♪」モフモフゥ

マーチ「ひゃあっ!?」

サニー「あんたら今そんなことやっとる場合かーい!」ビシィッ



アカオーニ「ち、ちっくしょぉ~! プリキュアが四人になっちまったオニ!」


四プリ「!!」


アカオーニ「こーなったら小細工はいらんオニ! パワーでごり押しだオニ~!」

アカンベェ「アカンンン~ベェエイイッッ!!」


ズドドドドドドドドド!!!


ハッピー「ま、またあのボール攻撃ッ! しかもさっきとはけた違いの量だよッ!」

サニー「だいじょうぶや! こっちは四人、みんなで弾けばなんとか」

マーチ「いや、ここはわたしに任せて」

ピース「マーチ!?」


ババッ

マーチ「教えてあげるよッ! ボールの『蹴りかた』を!」コォォォォォォ

アカオーニ「なにっ!?」




マーチ「オォオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!!」ドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコ



サニー「な、なんやァアあれはッ!?」

ピース「すさまじい蹴りの連打がボールを次々と弾いていくゥウ────ッッ!」

ハッピー「思った通りのパワーとスピード!! まさに蹴撃の嵐っ! マーチ・シュート・テンペスト・アタックと名付けるよッ!」

サニー「ながっ」




マーチ「オラァッ!!」ドッゴォオーーン



アカンベェ「アカンベェ~!?」

アカオーニ「な、なんてやつだオニ……全部弾き飛ばしてしまったオニ。ここは」


ハッピー「次にあなたは『いったん空に飛んで体勢を立て直せオニ』と言う」


アカオーニ「いったん空に飛んで体勢を立て直せオニ! ……ハッ」


┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨


ハッピー「ここでチャンスを見逃すほどわたしは甘くないよ? Do you understand ? 」

アカオーニ「し、しまっ────」

ハッピー「行くぜダメ押しッッ!!」




ハッピー「ウゥウルトララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララ!!!」ドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコ


ハッピー「HAPPYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYEAHHHHHHHHHHHHHHHH─────ッッ!!!」ドッッグァオォォーーーーン


アカンベェ「ヤッダーバァアァァァァアアアアア!!!!」ズギューン

ポッシュゥゥン……


……
…………


みゆき「あの、緑川さん」

なお「『なお」でいいよ。みゆきちゃん」

みゆき「……!」パァアア

なお「わたしたち、いいチームになりそうだね」

なお「それも『引力』なんだよね? ……だったら、わたしはその引力を大切にしたい」

みゆき「そ、それじゃあ」

なお「わたしはみんなの仲間になるよっ!!」ドン

みゆき「やったァァァァッッ!!!」ピョーン

やよい「これでプリキュアは四人集まったね!」

あかね「よーし、今日はうちの店でお好み焼きパーティやッ!」

キャンディ「クル~♪」


 バ ァ ア ア ア ア ア ア ア ン


四人目のプリキュア、キュアマーチを加え、ついにあと一人となったスマイルプリキュア! 

次なる『引力』に惹かれるのは果たしてどのような人間なのだろうか?



←TO BE CONTINUED……////

投下はいったんここまでです
つづきははもうすぐ出来ます

投下します。今回はちょっと長めです。



【Bellezza】……イタリア語で『美しい人』を意味する



星空家ッ!




みゆき「ふかァアアァアアア……Zzz……」ムニャァ


……ゆき……みゆきよ……


みゆき「くぽォォォォ……とぅるるるるる………るん」ムニャムニャ


起きなさい……みゆきよ……朝だぞ……朝ですよ……


みゆき「るるんッ! るるるんッ!……ぐかー」ムニャ


『遅刻』してしまうぞッ! 早く起きるのだみゆきよォォォォ!!


みゆき「ぱうッ!?」ビクゥーン

みゆき「あきゃあああああ!?」ガバァ


キャンディ「クル~? みゆき、どうしたクル」ムニャムニャ

みゆき「ちちちち遅刻ッ! もうこんな時間ッ! 『遅刻』 しちゃうよォオ~!!」ドタバタ


七色ヶ丘中学ッ!



みゆき「本日も遅刻ギリギリィイッ! もーわたしってなんで朝起きられないのかなァア~?」

キャンディ「早く寝ても夜更かししても結局寝坊するクル。みゆきってふしぎクル~」

みゆき「そ、そんなことないもん! はっぷっぷー。……ん?」プゥ

れいか「……♪」シャワァ

みゆき「花壇にいるあの人は……青木れいかさんッ!」

みゆき「早朝の花壇に水やりッ とても手慣れた様子……毎朝欠かさずに行っていると見て間違いないね」

みゆき「花に囲まれて優雅華麗に水をやるその姿は、さながら絵本の中からこの世界に飛び出してきた『水の妖精さん』ッ!」

れいか「そんな、水の妖精だなどと……恥ずかしいです」

みゆき「あれ!? き、聞こえてたのね~……」

れいか「 ? あれだけ大きな声で話していれば聞こえるかと。……おはようございます、星空さん」

みゆき「おはよう、青木さん!」


れいか「わたし、花が好きなのです。花に囲まれていると心が落ち着きますし、なにより綺麗なお花がたくさんあると」

みゆき「『みんなの気持ちもウルトラハッピーになる』と言う」

れいか「みんなの気持ちもウルトラハッピー……ハッ!?」

みゆき「えへへ~♪」ニコォ

れいか「もう、からかってはいけませんよ?……でも、確かにそうですね♪」

みゆき「うんうん」

キーンコーンカーンコォォォォン

れいか「ああ、いけません! チャイムがなってます。さあ、星空さんも早く」グイ

みゆき「わわわ、そうだったッ! 急がなくっちゃあ!!」ダダダ


みゆき「(『青木れいか』さんか……思った通り、知性に溢れた物言いと行動。やっぱり……)」

れいか「(『星空みゆき』さん……転校初日からふしぎな感性をお持ちの方だと思ってはいましたが、花を愛でる清い心がある方でよかった)」


昼食タイムッ!


みゆき「みんな……次のプリキュア……『5人目』に関してなんだけどね……」


ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ


やよい「ご、ゴクリ……!」

あかね「なんや気合い入ってんなァ……」

なお「それで、なにか心当たりでもあるの?」

みゆき「うん」

みゆき「その前に……みんな、聞きたいことがあるんだけどね」

みゆき「プリキュアになるための『資格』……それはいったいどういうものなのか、考えたことはあるかな?」

あかね「資格ゥウ~?」

なお「そういえば、あまり深く考えたことなかったな~」


やよい「みゆきちゃん、その資格ってなんなの?」

みゆき「うん。これはわたしの考えなんだけど、資格には最低でも『みっつ』あって」

みゆき「まず一つ目はは『強い』こと。……体でも心でもいい、とにかく一本芯の通った『強さを』持つ人間であること」

みゆき「ここにいるみんなはプリキュアになるとき、何かしらの『強さ』を証明した人だと思うの」

あかね「確かに、言われてみればそうかもしれへん」

なお「みんな敵に『立ち向かう勇気』を振り絞ってる感じだもんね」

やよい「えへ……ちょっぴり怖かったけどね」


みゆき「二つ目は『優しさ』。……これは言うまでもないと思うけど、みんなはわたしの……ううん、誰の目から見ても『優しい』人たちだと思うよ……。これは間違いない」

やよい「そ、そうかなあ? はっきり言われるとなんだか恥ずかしい」

あかね「顔がまっかやで」

なお「『優しさ』か……。わかる気がする」

みゆき「そして『三つ目』……これがある意味でもっとも重要だと思うんだ。前の二つよりもね……」

やよい「ゴクリ」

あかね「なんや、それは……」

みゆき「うん」


みゆき「三つ目ッ それは『美しさ』ッ! これはあらゆる意味で優先される最重要事項ッ!」バァアーン

なお「へ? う、美しさって」

みゆき「プリキュアはッ! 『美少女』でなければならないッ! 箸にも棒にもかからない『並以下』では通用しない世界ッ!」

あかね「そんな身も蓋もない……。……ま、そうかもしれへんけど」

やよい「否定はしないんだ……」

みゆき「そしてわたしの目で判断したみんなのレベルはどれも『一流』ッ!」ビシー


みゆき「『関西系ツッコミ美少女』あかねちゃん! 『あざといスイーツ系泣き虫美少女』やよいちゃん! そして『お姉さん系スポーツ美少女』なおちゃんッ! どれも隙のない布陣ッ!」

やよい「そ、そんなぁあ~♪ 美少女だなんて、照れるよぉお~」クネクネ

なお「やよいちゃん、微妙に貶められてない?」

あかね「うちだけなんか適当やないか!? なんやねんツッコミて!」

みゆき「『強く優しく美しく』ゥウ!! 花のプリンセスも言ってたプリキュアの資格ッ! これを満たす『逸材』をわたしは見つけました!」

やよい「おお~!」ワクワク

あかね「なんやこのノリ」


なお「で、誰なのさ、その『逸材』って」

みゆき「それは……」



弓道場ッ!



みゆき「青木さんッ! いっしょにプリキュアやってくださいィィッ!」ドゲザァッ

れいか「あの、まったく意味がわからないのですが」

なお「誰かとおもったらやっぱりれいかかー」

あかね「たしかに強く優しく美しくーを地で行っとるな」

やよい「ついでにスゴォく頭がいいッ! なんで同じ中学に通ってるのかふしぎだよォ~」

あかね「それを言うたらあかん……」


れいか「皆さんが嘘を言うようには見えませんが……」

みゆき「ウソじゃないんですゥウ~! ほんとのことなんです! ほら、コレェ!!」バッ

キャンディ「クル~♪」キャピィ

れいか「あら、これはまあ」

みゆき「こんなソーセージマルメターノが頭にくっついてるよーないきもの見たこと無いでしょッ!?」

あかね「みゆきも頭にコロネくっついとるけどな」

みゆき「なんか言ったかな」クルゥリィ

やよい「ひぃいっ!?」

キャンディ「キャンディはソーセージじゃないクル~!」プンスカ


れいか「これは……ずいぶんと珍しいカラクリ人形ですね」

みゆき「人形じゃないよ。これは妖精さんなの」

れいか「妖精とは……ふむ。……では、少し失礼します」ズズイ

みゆき「え? なになにそんなに近づいてェェ……?」

なお「あ」

ペロッ

みゆき「あきゃあんっ!?」

なお「あ~……遅かった」

れいか「ふむ……この味は『ウソをついている』味ではないようですね」キリッ

みゆき「いーいーいー今のーはッ!?」アタフタァ

なお「れいかは汗をなめるとウソかどうかわかるんだよ。あまり使わないけど」

れいか「やだ……なおの前ではしたないことをしてしまいました」ポッ

あかね「ちなみに女の子限定やでー」

やよい「はかどる」シュバババ


みゆき「な、なにその特技……これは意外な一面を垣間見た気がするよ~……」

れいか「ウソではなく、どうやらふしぎなことが起こっていると理解はしましたが」

れいか「そのプリキュアの話……折角ですが、今はいそがしくて……」

みゆき「ダ、ダメ……かなァア~?」

れいか「本当にすみません。今度隣の小学校で、生徒会主催の読み聞かせ会がありまして……」

みゆき「読み聞かせ? それって、もしかして絵本の?」

れいか「はい、童話の……『白雪姫』の話をします」

みゆき「白雪姫ッ! いいね~! いいよそのチョイス……。王道で行くなんてさすがだねェエ~♪」ハッピー

れいか「は、はい?」

なお「みゆきちゃん、なんだか火がついたっぽいね」

あかね「これはもしかすると……」

みゆき「わたし『たち』がお手伝いしても……いいかなァ~? 楽しそうだし」

やよい「なるほど、そういう流れか~」


れいか「お手伝いですか……。実は、少し困ったことがありまして」

みゆき「うん?」



生徒会室ッ!



れいか「そうですか、会長の熱は下がらないようですね……」

みゆき「会長さん風邪引いちゃったの? 大変だね……」

れいか「はい。ですから、星空さんが手伝ってくれると言ってくれた時は本当にうれしく思いました」

みゆき「うんうん、だいじょうぶだよー! わたしたちに任せてくれればへっちゃらだよ~」ハッピー


なお「そうだね、それと朗読だけじゃなくて紙芝居でやればもっと面白いかも」

あかね「お、それええなあ。絵やったらやよいが得意やもんな」

やよい「えへへ♪ それじゃ、裏にも描いてクルクル回せるようにしよっかな」

あかね「ええやん、それ!」

れいか「あの、みなさん本当によろしいのですか?」

みゆき「いーのいーの! こんな楽しいこと中止にしちゃあもったいないよ」

みゆき「みんなで明日来るこどもたちををウルトラハッピーにしなくっちゃあねッ!」ハッピー

れいか「星空さん……ありがとうございます」

れいか「(エキセントリックな人だとは思っていましたが、優しさと行動力に溢れた素晴らしい方ですね。……純粋な人)」

みゆき「それじゃ早速始めちゃおう!」


……
…………


バッドエンド王国ッ!



ウルフルン「ケェーッ!! 大口叩いてたわりにはだらしねーじゃねーかアカオーニッ!」

ウルフルン「いつの間にかプリキュアが四人に増えちまってるなんてよォオ~?」

アカオーニ「ふんッ! 半分はお前のせいオニ。とやかく言われる筋合いはねーオニッ!」

ウルフルン「んんだとゴラッ!? ケンカ売ってんのかアアアッ!?」

アカオーニ「やるかダメ犬ッ!?」

やめなバカどもッ!!


ウルフルン「あん!? ……ちっ、誰かと思えばよォォォォ~。ばあさんじゃねーかよ」

アカオーニ「おまえ、今までどこ行ってたオニ?」

マジョリーナ「ふん、お前らのような脳筋どもと違ってあたしは忙しいんだわさ」

マジョリーナ「四人のプリキュア? ケェーッ!! 聞けば頭脳がマヌケそうな小娘四人になにビビってるんだわさ!」

ウルフルン「誰がビビってるだゴラッ!?」

マジョリーナ「ケケケッ! まあいいさ、今度はあたしがいくよ。プリキュアなんてちょちょいのちょいして、バッドエンドに叩っこんでやるだわさ!」


読み聞かせ会当日ッ!!




みゆき「いよいよ本番……! き、緊張してきたァア~……!」

あかね「言い出しっぺのみゆきがイチバン緊張しとるやん!」

やよい「みゆきちゃん、リラックスリラックス」

みゆき「そ、そォーだねッリラックスしないとね。そうだ、こんなときは素数をかぞえるんだ。素数を。2……3……5……7……」

なお「なんで素数……?」

なお「あ、そろそろ始まるよッ!」

れいか「本日は読み聞かせ会にお越し下さり、ありがとうございます。最後までお楽しみ下さい」

ワーワー
パチパチ


みゆき「は、はじまっちゃったね~? どうしよう、緊張しすぎて動けない」

なお「普段からは考えられないほどカチカチだな。大丈夫?」

みゆき「だだだいじょーぶ、いこ、やよいちゃん」カチカチ

やよい「ほんとに大丈夫なの?」



………


れいか『そこでお妃様は言いました』

『鏡よ鏡、この世で一番美しいのはだぁれ?』

『鏡はこう答えました』

『それはお妃様ではありません。白雪姫です』

マジョリーナ「なんて言わせると思ってるだわさ?」ヌゥウ

れいか「えっ……? あ、あの、あなたはいったいどちら様ですか?」

ウワー スゴイ
ホンモノノ マジョダー

みゆき「あんなおばあちゃんいたっけ? ずいぶん気合いの入った衣装着てるけど」

マジョリーナ『さぁお前達、美味しい毒リンゴは如何かな?』ケラケラ

あかね「自分で毒リンゴ言うてるやん……」


れいか「保護者の方ですか? どうぞ、こちらの席にいらしてください」スッ

マジョリーナ「ケェーッ! 余計なお世話だわさ!」パッシィア

れいか「きゃっ!?」

なお「ああっ!? れいかッ!」

マジョリーナ「白雪姫が幸せになるなんて嘘だわさ。本当はバッドエンドになるだわさ!」

やよい「バッドエンド? も、もしかしてあのおばあちゃん……」

マジョリーナ「世界よ! 最悪の結末(以下略」ベッタァアー


こども「つまんない……」ドヨォン

生徒会「読み聞かせなんてくだらない……」ドヨォン

れいか「こんな事しても何の意味もありません……」ドヨォン


キャンディ「クル~……れいかたちからバッドエナジーが溢れてるクル……」

なお「れいか!? いくらなんでもネガティブ過ぎるよッ!!」ガーン

あかね「バッドエンドに囚われると一気にこんなんなってまうんや」

やよい「せっかくみんな楽しみにしてたのに……こんなのってひどいよ……」

みゆき「これは……許せない……ねえ? みんなでがんばって準備したのをぶち壊されちゃあ」

みゆき「誰だってむかっ腹が立つッ! 行くよ! みんな!」

『うん!!』

四人『プリキュア! スマイルチャージッ!』レディー!


省略ゥゥ!!


ハッピー「キラキラ輝く希望の光ッ! キュアハッピィィィィィッ!!!」ドバァアーーン

サニー「太陽サンサン熱血パワー! キュアサニー!」ドバァアーーン

ピース「ぴかぴかぴかりんじゃんけんポン! キュアピース!」キュァアアン

マーチ「勇気リンリン直球勝負! キュアマーチ!」ズギャァァン

マジョリーナ「ケェーッ! ノコノコ出たなプリキュアどもッ! このマジョリーナ様が一人残らず『始末』してくれるわさ!」

ハッピー「こっちは四人だよッ! そう簡単にいくかな?」

マジョリーナ「たしかに今の数では圧倒的不利ィィッ! だが、あたしゃ今まで通りには行かないだわさ! いでよアカンベェ!」バッ


アカンベェ「アカンベェ~!!」



マーチ「これは、鏡のアカンベェ? 見たところ脆そうだけど……」

マジョリーナ「鏡の力、存分に見せてやるだわさ! やれぇいっ!!」


アカンベェ「ンーむくむむむくむく!!」ゴゴゴゴ


アカンベェ×8「ズラァアアアアアッッ!!」バァアーン


サニー「分身したァア──────ッ!?」

ピース「なにそれ、ずるーい!」

マジョリーナ「本物のアカンベェは1体だけ。お前達に分かるかな?」

ハッピー「1体だけ……それじゃ、あとは全部ニセモノ? どれがホンモノなの?」


マーチ「考えててもしょうがないよっとにかく直球勝負ッ!」コォオオオオ

ハッピー「あっ、待ってマーチ!?」

マーチ「プリキュア! マーチ・シューットォォォォォ!!!」ズバァアアンッ

アカンベェ「べェー」パリーン

マーチ「よーしっこれでどうだッ!」ガッツポ

マジョリーナ「ぶっぶーハズレだわさ。ざんねんだっただわさ!」

マーチ「ええっ!……って、なにこれ……スゴく疲れる……」グタ

ハッピー「マーチ! 必殺技は一回使うとものすごく疲れちゃうんだよォォォ!!」

マーチ「そ、そんな……ふぅ、ふぅ。 息があがっちゃって……上手くしゃべれない……」ゼェゼェ

マジョリーナ「まず一人は戦力外になっただわさ。こっちは七体、プリキュアは後三人~!」

マジョリーナ「倒せるもんなら倒してみろだわさ!」

ハッピー「みんな! 必殺技は温存して、一体ずつパワーで叩き割ろう! それがベストだよッ!」

サニピ「うん!!」


ハッピー「サニーはわたしと来て。ピースはマーチの援護をしながら戦って!」

サニー「おっしゃ、まかせとき!」

ピース「マーチ、こっちに!」

マーチ「あ、ありがと……」

マジョリーナ「ケェーッ!! そんな付け焼き刃のチームプレイで倒せるほど甘くはないだわさ! アカンベェ、こっちのチームプレイを見せつけるだわさ!」

アカンベェ×7「アカンベェ~!!」

ハピサニ「ウォオオオオオッッ!!」ゴォオウアッ




ハピサニ「プリキュア! ダブルパーンチッ!!」グオゥウッ


アカンベェ1「べっ」パッシィア

サニー「アホな、弾かれたッ!?」

ハッピー「サニー、あぶない後ろッ!」

サニー「へっ……!? っとぉおお!?」ガッシィイ

アカンベェ2「ベベベベ」グググ

サニー「ぐ……コイツら、パワーもスピードもみんなまったく同じや。それが後七体もおるんかッ!」グググ

アカンベェ3&4「アカンベェ~!!」グワァアッ

サニー「あかん、二体同時やてッ!?」

ハッピー「プリキュアキーッックッ!!」グワキィイッ

アカンベェ3&4「ベッッッ!?」ズヒュゥウン

ハッピー「サニー! 大丈夫ッ!?」

サニー「お、おーきに。って、言うとる場合やあらへんみたいやな……」

アカンベェ×5「アカンベェ~……」ジリジリ


ハッピー「ご、五体同時はァア~……ちょっと厳しいね~……。それにピースたちも……」チラ

アカンベェ×2「アカンベェ~!」ズドドド

ピース「うわわわわっ」ササッ

マーチ「くっ……上手く動けない……ッ!」

サニー「ぼ、防戦一方やな……。これ、ちょっとまずいんやないか?」


マジョリーナ「わははははッ!! どうだこれが数の力だわさッ! しかもすべてのアカンベェが同じ力を持っているッ!! 昨日今日で結成されたチームじゃ絶対勝てないだわさ!」


マジョリーナ「これが『戦法』だわさ。あたしゃウルフルンやアカオーニのようなマヌケとは違うと言うことがよくわかっただろう!?」

ハッピー「くう、せめてホンモノさえわかればッ!」

マジョリーナ「今度はこっちのばんだわさ。アカンベェ、包囲網を作って一気に攻撃だわさッ!」

アカンベェ×7「アカンベェ~!!」グォオン

マーチ「囲まれたッ!! ま、まずいィイッ!?」


マジョリーナ「こいつで止めだッ! バッドエナジー・ミラージュ・キャノン─────ッッ!!!」クワッ


アカンベェ×7「アッカンベェェェェェェッッッッ!!!」ドッギャオオオン


4プリ「きゃあああああっっっ!!!」ドッグォオオオ


ドササァアア─────ッッ


4プリ「……」グタァアッッ

キャンディ「プ、プリキュアァァ─────ッッ!!」

マジョリーナ「ケェーッ! 他愛ないだわさ。ウルフルンもアカオーニも、なんでこんなやつらに苦戦したのか理解できないだわさッ!」

ハッピー「う、ううっ……つ、つよい……。技もコンビネーションもあっちの方が上……。どうすればいいの……?」グググ

マジョリーナ「……ん? これはなんだわさ?」

ハッピー「!!」

ハッピー「あ……あれは……白雪姫のキャラ札……」


マジョリーナ「くだらない、こんなものなんの意味があるだわさッッ!」グワッ

ハッピー「うあ……や、やめて、それは、それはみんなで作ったッッ!」

マジョリーナ「こんなものこうしてやるだわさ─────ッ!!」グッシャァァーーッ




ハッピー「──────!!!!」




プツゥゥ─────ン





れいか「……っ」ゾクッ

れいか「う、うう……わたしは……今まで何を……いえ、それよりも」

れいか「(今、肌で感じた……とてつもなく嫌な空気は……いったい、何だったのでしょうか)」

れいか「(そう……『吐き気を催す』ような、邪悪で、おぞましい感覚は……?)」

れいか「あ……そうです、みなさんは、星空さんたちは無事でしょうか……。……星空さんッ! みなさんッ! 大丈夫ですか!?」

れいか「星空さっ……!?」


ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ


ハッピー「……」ユラァァー


れいか「う、あっ」ガクガクガクガク



マジョリーナ「なんだおまえ、まだ立つつもりだわさ? たった一人で何ができるだわさッ!」

ハッピー「……」

ハッピー「…………けろ」

マジョリーナ「……ああ~ん? なんつっただわさ?」



ハッピー「その汚ならしい足をッ! 『退けろ』っつったんだァァァァァッこのボゲがァァァァァァ──────ッッ!!」



マジョリーナ「ひえっ!?」

れいか「あ、あの桃色の方は……もしかして」

れいか「ほ、星空さん……なのですか? そ、それではまさか……プリキュアというのは、あの姿のことなのでは……?」




ハッピー「~~~~~~~ッッ!!!」ガバッ



ハッピー「『また』だ……『また』……愚にもつかないクソッタレのアホが……わたしのッ! わたしだけの『世界』を壊そうとするッ!」ガクガクガクガク

ハッピー「わたしの『永遠の絶頂』を脅かすッ! どいつもこいつもッ……この世は……アホだらけなのかァ~~~~~~!?」ミシ……ギギ……

れいか「ほ、星空、さん……」


『いーのいーの! こんな楽しいこと中止にしちゃあもったいないよ』

『みんなで明日来るこどもたちををウルトラハッピーにしなくっちゃあねッ!』ハッピー


れいか「あれが、星空さん……?」


マジョリーナ「な、なんだコイツ……さっきと様子が……」

ハッピー「~~~~~~~ッッ!!」グリンッ

マジョリーナ「むっ」

マジョリーナ「(コイツ……よく見ると、『目』や『体』が……)」



ハッピー「……」顔を片手で押さえている



ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ

ハッピー?「落ち着けみゆき……キレるな……落ち着いて、敵を倒せ……冷静さを失えば、それは敗北に繋がるぞ……」グリンッ



れいか「……!?」




ハッピー「ボス? ……でも、でも……アイツが! アイツがみんなのハッピーをッ! 台無しにしたんだよっ! ……許せるはずがないッ!!」クルンッ

れいか「一人言……? 『ボス』とは……」

キャンディ「ハッピーがボスと話してるクル~。しかも、電話もなしで……」

ハッピー?「だから……頭を冷やせと言っている。……わたしの言うことを聞いて、冷静さを取り戻すのだ。」グリンッ

ハッピー?「冷静になれば……『私たち』は無敵だ。……負けることなどありえない。……な? だから落ち着くのだ」ギギ……

ハッピー「……うっ……うっうっ……ボス……」グス

ハッピー?「ああ、わたしのみゆき……泣いてしまって、可哀想に。ほら、安心しろ。みゆきには『わたしがついている』なにも怖がることはない……」


ハッピー「ボス……ごめんなさい……わたし……ちこっとアタマに血が上っちゃったよ……」グスグス

ハッピー?「よしよし……さあ、立ち上がるんだみゆき。『エピタフ』と『右腕』は与えた……そして『5人目』はすぐ近くにいる……」グギギッ

ハッピー?「協力して奴等を『始末』しろ。……速やかに……」ギギィッ

ハッピー「─────一片の澱みもなく」スッ

ハッピー「……」ギンッ

れいか「(星空さんから溢れて出ていたおぞましい空気が、止まった……?)」

ハッピー「青木さん、気がついたんだね」

れいか「あ……星空さん……」

ハッピー「えへ、よかった……元に戻れて……。……もう安心していいよ」


ハッピー「わたしが『戦う』から。戦って……敵を『始末』するから」


ハッピー「『幸福』を奪う者を……わたしは、許さない」



れいか「……」

れいか「いいえ、あなただけを戦わせる訳にはいきません」

ハッピー「えっ?」

れいか「詳しい事情はわかりませんが……わたしも『戦い』ます。……自棄になった訳ではありませんよ? ただ、あの方がたの狼藉を見過ごせないと思っただけです」

れいか「この七色ヶ丘中学校生徒会副会長として。……いえ、わたし青木れいか自身として、『許せない』と心が叫んでいる!」

れいか「だからわたしも……『プリキュア』として、星空さん、あなたの戦いに加勢しますッ!」


ビッカァァ─────ッッ!!


れいか「この光は……!」

マジョリーナ「青い閃光ッ! ……ま、まさかあの小娘がッ!?」

キャンディ「5人目のプリキュアクル~!」


ハッピー「……そっか……やっぱり青木さんがそうだったんだね」

れいか「星空さん……」

ハッピー「スマイルパクトに……デコルを入れて、こう叫んで! プリキュア! スマイルチャージって!」

れいか「……わかりましたッ!」

マジョリーナ「そ、そうはさせるかッ! これ以上プリキュアを増やしてなるものかァァァァァッッ!!」

バグォオンッッ!!

アカンベェ「べェフッ!?」メシャアッ

マジョリーナ「なにっ!?」

ハッピー「エピタフの予知に間違いはない……このタイミングで邪魔が入ることも」

ハッピー「予知できた……もう邪魔は入らない。運命は私たちの味方だよッ!」




れいか「プリキュア! スマイルチャージッ!」レディー!!


省略ゥゥ!!


ビューティ「しんしんと降り積もる清き心……キュアビューティッ!」シャラァァンッ


キャンディ「や、やったクル……プリキュアが、プリキュアがついに5人揃ったクル~!」


ハッピー「キュアビューティ……行くよッ!」

ビューティ「ハッピー……ええ、任せて下さい!」コク




推奨BGM:King Crimson 『Red』


キャンディ「ビューティ! キュアビューティのちからは『氷』クル~!」

ビューティ「氷……理解しましたッ!」


『右腕の力は絶大だ……しかも我々以外には絶対に見えない。そのアドバンテージを活かせ』


ハッピー「了解、ボス……ハァアッッッ!!!」グォン

マジョリーナ「ばかめ、必殺技でもないそんなパンチ恐るるに足らないだわさ!」

ドッグァオッッ!!

アカンベェ3「ベッッッ!?」パリン

マジョリーナ「なにィィィィィ!?」

ハッピー「過小評価しすぎだよ……ボスのパワーはプリキュアに匹敵する」

ハッピー「そして問題なく、十秒後を予知する……『わたしの所に残りのアカンベェが来る』」


マジョリーナ「キュアハッピーを先に倒せッ! ただのパンチであの威力は無視できないだわさッ!」


アカンベェ×6「アカンベェェェェェェェェ!!!」


ハッピー「だからわたしたちの『勝利』だ」



ピキィィイイイイン……!!



アカンベェ×6「アカッッッッ!?」バッシィイイイ



マジョリーナ「なああっ!? これはッ! ……氷の壁がッ! キュアハッピーの周囲に展開されて、防御しているだわさッ!?」

マジョリーナ「氷……まさかッ!」



┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

ビューティ「しんしんと、静かに泣く(ジェントリー・ウェイブス)……。すでに氷の壁を作りました。ハッピーを攻撃することは『不可能』です」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

ハッピー「たった数秒の間にこれほどの技を生み出すなんて……思った通り、キュアビューティは『賢い』ね」

マジョリーナ「アカンベェ! 一旦距離を取るだわさッ!」


ピキキキキキキ……


アカンベェ×6「べ……!!!」ピキキィィン


マジョリーナ「なァァァァァッッ!!?」

ビューティ「そして『逃がしません』。その氷があなた方の『墓標』となり……」

マジョリーナ「こッこッッッ小娘がァァァァァ!!!」

ハッピー「このわたしが『墓碑銘』を刻むッ!」



ハッピー「ウルトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラ!!!」ドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコ


ハッピー「トラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラ!!!」ドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコ


ハッピー「トラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラ!!!」ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン


ハッピー「HAPPUPPUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUU─────ッッ!!!」ドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコ



ハッピー「ウル トラ トラ トラ トラ トラ トラ トラ トラ トラ トラ トラ !!!」ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド



ハッピー「トラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラ!!!」ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド

アカンベェ「ヤッダーバァアァァァァアアアアア!!!」


ハッピー「HAPPYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYEAHHHHHHHHHHHHHHHH─────ァアアアアアッッッ!!!」ドッッグァオォォーーーーン

ハッピー「……」クルッ


ズヒュゥゥゥゥン……


ゴミ収集車『燃えるゴミは月・水・金』


─────ドグシャァアッ!!!


ハッピー「……しまった」

ビューティ「ハッピー、どうかしましたか?」

ハッピー「『鏡』は『燃えないゴミ』だったよ……」

ビューティ「あら……」



………
……


れいか『こうして、白雪姫は王子さまと末長く、幸せに暮らしました……。めでたしめでたし』


ワァアアアアア……!!!


みゆき「よかった、大成功だね♪」

なお「みんな、喜んでくれたみたい」

れいか「みなさーん!!」タタタ

みゆき「あ、青木さん!」

れいか「今日は本当にありがとうございました。……あの、わたし……」

れいか「一度お断りしてしまったんですけど、良かったら……皆さんのお仲間に入れてもらえないでしょうか?」

みゆき「……!!」パァア


みゆき「大歓迎だよ! もう青木さんでなきゃありえないって思ってたもん!」

れいか「わたしでいいんですか?」

みゆき「うん! だってわたし、青木さんのこと……れいかちゃんの事、大好きなんだもん!」

あかね「これでプリキュアも5人揃ったってわけやな」

やよい「れいかちゃん、いっしょにがんばろうね♪」

なお「れいか、色々頼みにしてるよ!」

れいか「みゆきさん、……みなさんッ!!」


れいか「……よろしくお願いします♪」ニッコリ



れいか「(……みゆきさん、あなたにも複雑な事情があるのでしょうが、今はまだわたしからは聞きません……)」

れいか「(あなた自身から話してくれるまで……わたしは待ちます。もし、その時が来たら……)」

れいか「(わたしは、あなたの力になってあげたい。……そう、友達として)」

れいか「(あなたを、助けてあげたい)」



バ ァ ア ア ア ア ア ア ア ア ン





ついにッ5つの光が引力によって集い、輝きはじめることとなったッ!

しかし、その光が進む未来は、本来歩むべく未来とはまったく違うモノとなるッ!

『エピタフ』! 『星空みゆき』!!

『ジョーカー』! 『皇帝ピエーロ』!

暗躍する『深紅の帝王』!!!

そして『幸福』の鍵となる『ミラクルジュエル』!!!

『物語の運命』は複雑に絡み合い、新たなステージへと『進化』するッ!



『第1部 5つの光  完』




←TO BE CONTINUED……////




緊 急 特 報




プリキュア15周年ッ! 

新たなる時代の幕開けにッ!

ついにッ!

プリキュア史上最大の『タブー』が破られるッ!






なぎさ「ねぇ、ほのか~」

ほのか「なぎさ、どうしたの?」

なぎさ「前から気になってたことがあったんだけどさ」

ほのか「うん」

なぎさ「わたしたちって、結局……『どっちが強い』のかな?」

ほのか「……!!」



┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

 All
プリキュア Star
Battle
   『引力のともだち』

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨



「ハーイ! テレビの前のみんな!元気してる?」

「……あれ、みんな『誰だ』って聞きたそうな表情してるわね。それじゃ、自己紹介してあげるわ!」


「わたしはおせっかい焼きの知念ミユキ! かつてプリキュアにもっとも近い存在と言われた女よ!」バァアーン


ミユキ「プリキュアどうしの戦いに参加するラブたちが心配で着いてきたの!」

ミユキ「……反応が薄いわね」

ミユキ「まあ、『フレッシュプリキュア!』も来年で10周年だし……知らないって人がいてもおかしくないし……時の流れの速さを感じるわ……」

ミユキ「って、そんなことどうでもいいの! 今度のプリキュアのテーマはなんと『みんなの中から一番決めちゃおう』なんだって!」

ミユキ「簡単に言えば『プリキュアvsプリキュア』ッッ! 史上2度目の試みッ!!」バァアーン

ミユキ「正直、誰が一番強いのかって、みんな気になってたんじゃあないの? プリキュアももう50人以上いるんだもの、気にならないっていったら嘘になるわねっ!」

ミユキ「それじゃあ、今回出場するプリキュアを少し紹介するわッ! みんなの知ってるプリキュアは出てくるかな? それじゃあ行くわよ!」


伝説の戦士たちッ!!! 入場ゥゥゥ~!!



わたしの青春はほのかとの青春! 今、その青春に決着をつけるッ!

『キュアブラック/美墨なぎさ』参戦ッ!
おうちに帰りたくなかったら、帰りつかしてやるよッ!



あなたは、今まで食べたパンの数を覚えているナリ?

『キュアブルーム/日向咲』参戦ッ!
わたしはプリキュアをやめるぞーッ! 『先輩(キュアブラック)』! わたしはプリキュアを超越するッ! 先輩、あなたの血でなァー!




二人ともぶん殴るつもりだったんだよ。わたし頭わるいからさぁ~ッ!

『キュアドリーム/夢原のぞみ』参戦ッ!
あなたは、このキュアドリームが仕留めるっ!
とらえたよッ! ダボがァァァァァァ!!


『しあわせゲットだよ!』と心の中で思ったならッ! そのとき既にしあわせは手にいれてるんだよ!

『キュアピーチ/桃園ラブ』参戦ッ!
わたしたち『クローバー』 はそこらで慰めあってる仲良しチームとはちがうッ!




あなたの敗因はたったひとつ。たったひとつのシンプルな答え……わたしの『堪忍袋の緒がキレた』です

『キュアブロッサム/花咲つぼみ』参戦ッ!
ぶちかましますッ! おしりパンチッ!



ミユキ「ま、有名どころを紹介しても知ってて当然って感じよねー」

ミユキ「でも、今回はもっとスゴいわよ! ついに『彼女たち』が『帰ってくる』のっ!」



返り咲く『悪の華』たちッ!




わたしってさぁ~~
やっぱりかっこよくって、美しいよねェエ~!

『ダークドリーム』参戦ッ!
喜んで『鏡』になるわ。もう一度貴女のために


教祖(メビウス)様復活よォォォォォォォォ!!

『イース/東せつな』 参戦ッ!
毎日の健康の秘訣? そうね、睡眠8時間半と毎朝1杯の(以下略




万雷の拍手を送れ世の中のボケども!

『セイレーン/黒川エレン』 参戦ッ!
わたしは『反省』すると強いわよ─────ッッッ!!


だがそれが逆にカナタ王子の妹の逆鱗に触れた!

『トワイライト/赤城トワ』 参戦ッ!
当然! 『ヴァイオリン』ですわッ!
祖先から受け継ぐ『ヴァイオリン』ッ! それが流儀ィィッ!




プリキュアとの戦いで木っ端微塵に爆裂死したはずのルールーがわたしの目の前にいるッ! ウィンウィン

『ルールー・アムール』 参戦ッ!
おのれらッ! プリキュア! このルールーとクライアス社が相手です!



ミユキ「とまあこんな感じで、総勢50名以上にも及ぶキャラが登場する超豪華な仕上がりになってるわッ! こりゃあ買うっきゃないでしょ!」

ミユキ「え、わたし? わたしはプリキュアに対する永遠の奉仕者。知念ミユキはクールに去るわ……それじゃあまたねッ!」


フォーチュン「お姉ちゃんのぶんだァァァァァァッッ!! これも!これも!これも!これも!これも!」ズドドドドドド

パルフェ「これで今夜もくつろいで『熟睡』できるわね……」

マジカル「ルビースタイルは許さない。『ダメよ』」

マカロン「ええ、もちろんウソよ。でも『マヌケ』は見つかったようね?」

スピードワゴン「アルティミット・プリキュア パルテノンハートの誕生だァァ─────ッッ!!」

フローラ「このヘアースタイルがヒヤシンスみてーだと!?」

フラワー「無用! たかが十数年しか生きていない小娘に労られるほどヤワな人生は送っていない!」

エース「ようこそ……『プリキュアの世界』へ……」

メロディ「リズムッ! 明日って『今』だよッ!」

エコー「愛は『無敵』ですもの……!」












とうおるるるるるるるるるるるるるるるるる…………ガチャ










コツーン…… コツーン……



┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨









これは……『試練』だ…… 

過去に打ち勝てという『試練』と

わたしは受け取った……








タブーの果てにあるものはッ! ドンッ

引力に惹かれあったッ! ドンッ

永遠のともだちッ!! ドンッ



プリキュア All Star Battle 『引力のともだち』



2019年 発売ィィ─────ッッ!!



そこにしびれるあこがれるゥ!!



今回の投下は以上です。
第1部 完ッ! です
これからもよろしくお願いしますッ!

そろそろ投下します

チュン…チュン チチチ……


カチッ


ナナ♪ イロ♪ イロ♪ イロ♪
ナナイロ ガオカ レ~ディオ~♪

『あなたの隣人、ジョー岡田の七色ヶ丘レディオ。さて、ラジオネームうさぎショートケーキさんから……』

トントントントントントン……

カシッ カチャッ

……ジュゥゥゥゥゥ……

ジャッジャッ…ジュゥゥゥ……

…………

うむ……我ながら今日もいい出来だ……これなら彼女も満足するだろう。


……こんな風に……自ら食事を作るようになって、どれだけの時が経過しただろうか。

わたしが毎朝毎晩『そうしている』ことに彼女は気づいてはいない。それはこれからも変わらないだろう。

彼女が知る必要もない。


…………


……人は自分の心の底を他人に隠したまま生活している……。
しかし、永遠に誰にも自分の本性を隠したまま一生を過ごせるものだろうか……

時々その不安に駆られる自分がいる。しかし、それでもわたしは幸福に生きてみせるぞ

わたしの幸福は誰にも邪魔をさせない……誰にも




【Cuoco】……イタリア語で料理人を意味する



やよい「プリキュアも5人になってこれからーって時だから」

やよい「みんなでお祝いしよ~って話になったのはわかるよ? で、でも……」

あかね「どしたん? トニオが張り切ってイタリアンのコースをごちそうしてくれるんやで! 本場のイタリアンなんて滅多に食べれんからなー。めっちゃ楽しみや!」

やよい「うう、フルコースなんてはじめてだから緊張してきたよぉ……」

あかね「だいじょうぶや。トニオの専門は家庭料理やからそんなに肩肘張らんでもええって」

やよい「う、うん」

あかね「ほら、それよりもうすぐ着くで……えーと、ここ……か……?」



ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ

『星空』

ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ



あかね「……」

やよい「ここがみゆきちゃんち……」

やよい「あ、あかねちゃんっ な、なんだか……その……言いにくいんだけど……」

あかね「お、おお……なんやえらい気合い入っとるっちゅうか……」

あかね「『スゴ味』が半端ないやん……」

やよい「得体の知れないオーラが漂ってるよう……」

あかね「ほんとにここがみゆきんちなん? キャンディも居候しとるって聞いてるけど」

やよい「と、とにかく呼び鈴押してみよ……?」

あかね「せやな……ほんじゃ行くでッ!」スッ


カチャッ……


あかね「ふぁッ!!?」

やよい「ド、ドアが開いて……!?」




「…………」



あかね「(女の人……? めっちゃ美人や)あ、あのォ~……星空みゆきちゃんの家はここで合ってますか?」

やよい「わ、わたしたち、みゆきちゃんのともだちなんです。今日は一緒に遊ぶ約束をしてて……(みゆきちゃんのおかあさんかな。ママより美人かも……)」


「……そうですか……みゆきの……『お友だち』でしたか……」ニコ…

「すぐに……呼んできますね……もう少しここで待っててください……」


ガチャ……



あかね「……び、びっくりしたわァァ~……」

やよい「あの人、やっぱりみゆきちゃんのおかあさんだよね……。うん、あの『スゴ味』はまちがいないよ」


ドタドタドタ

みゆき「おはよー! ふたりとも待たせちゃった?」バァーン

あかね「お、来た来た!」

キャンディ「キャンディもいっしょクル~♪」ピョーン

やよい「えへへ、おはようキャンディ♪」

あかね「そんじゃ、みんな待ち合わせ場所に行くで~ッ!」


……
…………


みゆき「イタリアン~♪ イタリアン~♪ ナポリタン~は嘘の味~♪」

あかね「なんやその歌」

みゆき「んふふ~♪ だってだって、本格的なイタリア料理が食べられるんだよォ? しかもッ! 『タダ』でッ!」

みゆき「もう期待と希望でお腹がムンムンペコペコォォ~ッだよォ~♪」

やよい「みゆきちゃん、ほんと楽しみにしてたんだね」

あかね「なおなんてこの日のために朝ごはん我慢したってゆうてたしな……あ、うわさしてれば……」

なお「おーい!」ブンブン

れいか「みなさん、おはようございます」

みゆき「なおちゃん、れいかちゃん! ぃよーしこれで5人そろったね♪ それじゃみんなであかねちゃんちにしゅっぱーつッ!!」ドドド

なお「あ、コラコラそんな急いでると……」

みゆき「あうっ!!」コケッ



「プリキュアは……キャンディの気配はこっちから来てるでござる!」

「待っているでござるよキャンディ……兄がすぐに向かうでござる!」



日野家ッ!



トニオ「いらっしゃいませ~! 本日はようこそお出で下さいました」バァアーン

トニオ「今日はワタクシ、トニオ・トラサルディーが、日頃の感謝を込めて皆様に料理を振る舞いたいと思いまス。どうぞ、堪能していってくだサイ」

やよい「おお……本物のイタリア人ッ!」

あかね「へへ~♪ どや、おどろいたやろ?」

れいか「こちらこそお招きいただきありがとうございます」ペコォ

トニオ「いえいえ、あかねお嬢さんのご友人にならばいくらでも腕をふるって差し上げますよ」

なお「やったッ! ううーん、よだれが出てきたよ……!」

れいか「なお、はしたないですよ?」

トニオ「まずは席にご案内します。それでは……」




┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

トニオ「料理を始めましょうか」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨



バッドエンド王国ッ!



ウルフルン「なんだかよォォ~……知らない間にプリキュアの数がよ……また『増えて』いる気がするんだけどよォォ~?」ピッ

ウルフルン「こいつは気のせいじゃあねェェェェよなァァァァ~? え? マジョリーナのばあさんよォォォォ~? あ、それダウトな」

アカオーニ「なにィィィィ!? ま、また……。はっ、さてはおまえイカサマしたオニ!?」

マジョリーナ「ぐっ、ぐぬぬぬ……!!」ギリギリ

ウルフルン「はァァァァ!? なんだあそりゃあ!! おめーがよわっちいのがわりーんじゃねーかッ!」

アカオーニ「俺様はよわっちくないオニ!! よーし、今度は『ババ』抜きで勝負オニ!」

ウルフルン「ウルッフッフッフ!! おもしれーなオイ。いいぜ、次は『ババ』抜きでケリつけたらー」


マジョリーナ「さっきから『ババ』抜き『ババ』抜きうるっさいんだわさ! このスカタンども!」

アカオーニ「誰がスカタンオニ! おまえも大口叩いといてプリキュアに負けてるオニ!」

ウルフルン「そうだぞー? 負け犬が何吠えてもむなしいだけだぜェ~?」

マジョリーナ「犬はてめーだろうがこのボケが……」ボソッ

ウルフルン「聞こえてんぞババァァァァ─────ッッ!! 俺は犬じゃねェェェェ!!」

「はーい、みなさんお悩みのようですねェ~?」

三人「!?」




┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

ジョーカー「はい! みなさんごきげんよう♪」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨


三人「ジョーカーッッッ!!!」



ジョーカー「水臭いな~? 私も作戦会議に混ぜてくださいよォォん?」

ウルフルン「ケェーッ!! てめーなんぞ参加しなくたってな……『答え』は出てんだよッ!」

ウルフルン「人間たちの世界をバッドエンドにしッ!」

アカオーニ「人間たちからバッドエナジーを搾り取りッ!」

マジョリーナ「皇帝ピエーロ様を復活させるッ!」

ジョーカー「グッド! みなさんよーくわかってらっしゃる……そんなみなさんに朗報がッ! プリキュアは5人しかいないんですって!」

ウルフルン「ふーん……意外とすくねーじゃねーの。ま、何人来ようが再起不能にしてやるぜっ」


ジョーカー「うんうんその意気です。……ですから、理解ってるとは思いますが」

ジョーカー「あーんまり時間をかけないでくださいねェん? ピエーロ様が怒っちゃいますからね~……」

三人「……!」

ジョーカー「早急に『始末』してください。……頼みましたよォォ~?」ポワワン

ウルフルン「……ケッ」

アカオーニ「どうやらチンタラやってる時間はねーみたいだオニ」

マジョリーナ「早くプリキュアどもを『始末』しなければッ!」

ウルフルン「上ォォォ等だコラァァァァ!! だったら今度は俺が出てってプリキュアを始末してやるぜェ─────ッ!」



だが、この瞬間の選択を彼は激しく後悔することになるッ!


場所は変わり、再び日野家ッ!


トニオ「まずはアペリティーヴォ(お飲み物)……『無糖炭酸水』です」


【アペリティーヴォ】
『無糖炭酸水』

イタリアでは通常どこのレストランでもガス入りのアクア・ミネラレ(ミネラルウォーター)が置いてある。ガス入りとガス抜きは客の好みで変えることができる。



みゆき「おおー……普通のお水じゃなくて、炭酸水なんだ」

トニオ「最近は日本でも無糖の炭酸水の需要が増えていますが、イタリアやフランスでは昔から種類が多く、レストランの飲み物として親しまれています。スッキリしていておいしいですよ?」

トニオ「それでは、ごゆっくりどうぞ……わたしは次の料理を持ってきます」スタスタ

やよい「へぇ~、しらなかったよ……。そ、それじゃあいただきますッ!」グィィー

やよい「……あっ……。!!………」ピクッ

なお「こ、この水……おいしい!」ゴクゴク


みゆき「え……?」ゴクリ

みゆき「!!」ピキィィィン

みゆき「スッキリとした水の味と爽やかなのど越しッ! い、いままで飲んだどのミネラルウォーターよりもおいしいよッ!」ゴクゴク

あかね「炭酸の粒の一つ一つが弾けるたび口の中に訪れる爽快感! こんな……水がこんなうまいなんてッ!」ゴクゴク

れいか「これは……ここまではっきりと『水』の味を感じたのははじめてです」ゴク


5プリ「「「「「~~~~~ッ!!!」」」」」グビグビ

タンッッ



5プリ「「「「「ンまあ~~いッ!!」」」」」プハァァーーッ




やよい「ハア~……♪ す、すっきりィィ~♪」ウットリ

なお「あかね……スゴいよ。水だけでもうこんなに『ハッピー』になれるなんて」ウットリ

あかね「そやろ~? トニオが厳選した水や、旨ないわけがあらへん。……でも、まさかここまでとはな~……」

やよい「ハア、ハア……あかねちゃん、わたし、まだ水を飲んだだけなのに感動で汗が出てきたよ~……」ハアハア

あかね「はは、そなおおげさな」

みゆき「いや、ホントだって……それに何だか……身体中が熱く……」ハアハア

キュルルルルルルル……

れいか「あら? この音は……一体なんでしょうか?」


みゆき「!!」バッ

やよい「!?」バッ

なお「ふ、二人ともどうしたんだ。急に立ち上がったりなんかしてさ」

やよい「お、音が……」

あかね「ん?」


みゆき「『血液』ッ! かっ……身体中の『血液』がっ! 音をたてて体内を駆け巡っているゥゥゥ─────ッ!!」ギュルルルルルルルル


あかなお「な、何ィィ─────ッッ!!?」


やよい「ふええ~……な、何これェェ~!? わたしの体どうなっちゃってるの~!?」ギュルルルルルルルル

れいか「きッ聞こえますッ! 今はハッキリと、みゆきさんとやよいさんの体内を、血液がとてつもない勢いで循環する音が聞こえますッ!!」

ギュウルルルルルルルルルル!

なお「な、なんか音が大きくなってないか……?」

あかね「みゆきィィッ!! やよいィィ~ッ!! だ、だいじょうぶなんか!?」

みゆき「うわあスゴいッ! スゴいよあかねちゃんッ! 頭のてっぺんから爪先まで血液のビートが刻まれているみたいだよ~!」ギュルルルルルルルル

やよい「わあああああああ!?」ギュルルルルルルルル

あかね「ふ、二人とも落ち着くんや! しっかりしぃやァァ────ッッ!!」




みゆやよ「ウルトラハッピー……」キラキラキラ


あかね「へっ……?」キョトン



みゆき「なにこれ……体全体から『凝り』が消え去っちゃって、疲れが遠くに吹き飛んでいくような感覚が……!」キラキラキラ

やよい「昨日ちょっと夜更かししちゃって寝不足だったのが一発でなくなっちゃった……!」キラキラキラ


みゆやよ「まさにウルトラハッピィィィィ────ッ!!!」キュピィィィン


なお「どうなってんだこれ……」

れいか「お二人の顔が生気に満ち溢れています。でも、なぜ急にこれほどの変化が表れたのでしょうか?」


トニオ「それは『デトックス効果』デス」スタスタ


れいか「トニオさん」


トニオ「炭酸水に含まれる二酸化炭素が血管内の二酸化炭素濃度を上げ、対抗して酸素を取り入れようと血管を拡張させる現象でス」

トニオ「そのため『血の流れ』が良くなり、体にまんべんなく血液が行き届くため体の凝りが解消されマス」

トニオ「そして、新陳代謝が上昇することによって身体と精神の疲労を緩和させたのデス」

あかね「炭酸水にそんな効果が……! けど、なんでみゆきとやよいだけあないなごっつい効果が表れたん?」

トニオ「そちらの二人のお嬢さんは顔の『むくみ』と首筋の『腫れ』から、寝不足から来る疲労とストレスが溜まっていると判断しました」

トニオ「デスから、その疲労が回復するように料理をお出ししたトイウわけです……。……そろそろですね」


みゆき「な、なんだか急にお腹が減ってきたよ……」キュルルル

やよい「わたしも……」キュルルル

なお「……うん、わたしも」キュルルル

あかね「な、なおも? どないなっとんのや……」キュルルル

れいか「わたしもです……やだ……はずかしい////」キュルルル

トニオ「炭酸水を胃に入れたことで、胃腸が刺激され消化機能が促進されます。みなさん、もうお腹がペコペコでしょ?」

なお「た、確かに……!!」グギュー

みゆき「もう待ちきれないよ~!」ジュルリ


トニオ「ふふ、では料理を続けましょうか……」


トニオ「お待たせしました。アンティパスト(前菜)、『タコのトマトソース煮』デス……」ニコ

5プリ「おォ~~~!!」キラキラキラ



【アンティパスト】
『タコのトマトソース煮』

【材料】
・マダコ(足、明石産) ・にんにく
・トマト ・赤ワイン(サルディーニャ産)
・タマネギ ・唐辛子
・塩 ・胡椒
・オリーブオイル ・イタリアンパセリ

(賞味時期 冷めないうち)

イタリア南部を代表する家庭料理
ぶつ切りにして下拵えしたタコをトマトソースで煮込んだシンプルなもの
イタリアにおいてこの料理はタコがトマトソースの海で溺れている様を連想させるため
『ポルポ・アッフォガート(タコの溺れ煮)』の名で呼ばれ親しまれている。
水ダコではなくマダコを使うのがポイント



トニオ「本来この料理はセコンド・ピアット(主菜)向けの料理なのですが、今日はアンティパスト向けに調理した特製になってまス」

みゆき「うわあ、とっても美味しそ~!!」キラキラキラ

なお「へェ~……タコか~! イタリアってタコを使った料理があるんだ」

あかね「うちも最近知ったんやけどな、トニオの故郷のナポリじゃわりと普通の食材なんやて。へへ、うちの故郷の大阪もたこ焼きで使ってるしな。大阪とイタリアの意外な共通点ってヤツや」

トニオ「そのとおり。イタリアはヨーロッパでも珍しくタコを食材として扱っています……。そして、トマトはイタリア料理には欠かせない重要な食材の一つでス」

トマト「わたしの故郷の食材とあかねお嬢さんの故郷の食材……この二つの誇りある食材を使用して作った料理ということデス。どうぞ、御召し上がりくだサイ」ニコ

みゆき「いっただっきまーす!」パク

みゆき「……!!」


やよい「こッこれは……まさに絶品ッ!!」パクパク

あかね「さっと塩をふってタコ本来の濃厚な味を引き出しつつ、あっさりトマトソースが何倍にも旨さを引き出しとる! アトを引く味や!」モグモグ

なお「トマトの甘味と酸味を楽しむと同時に、微かに香る赤ワインの上品な渋味とまろやかさ! 食欲をくすぐって何個でも食べられるよ!」ガツガツ

れいか「フォークに簡単に刺さるほど柔らかく煮込まれながらもしっかり感じる確かな歯応えと、噛めば噛むほど溢れ出る旨味! 素晴らしい『仕事』です!」パクパク

みゆき「最高だッ! 文句のつけようがないィィッ! まさに味のゴールド・エクスペリエンス(黄金体験)ッ!!」ガツガツ


5プリ「ゥんまあ~いッ!!!」キラキラキラ



なお「あかね~! 最高だよっ! こんな美味しいタコ料理食べたことないよ~!」ガツガツ

あかね「そーやろ! これで前菜なんて幸せ過ぎる~! トニオが家に来てくれてよかったァァァァ!!!」ガツガツ

ピシッ……パキィィッ……

やよい「……? ねえねえみゆきちゃん。なんか、音がしない? こう、なんか……乾いた音が」

みゆき「え、音~? ……そういえばなんだかこっちから」クルゥリ

みゆき「げぇッ!!?」




ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ

あかね「旨い! 旨いィィ!!」ピシッパキッ

なお「来てよかったァァ~!!」ピシシシシ……

ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ


みゆき「あかねちゃんッ! なおちゃんッ! か、顔に……『顔にヒビが入ってる』よッ!!?」



あかね「へ、何ゆうとるんやみゆき? うちの顔がどうしたって?」ピキパキィッ

なお「ヒビって……なんのこと?」サッ

なお「顔に亀裂がァァァァァァ!?」ピシィ────ッ!

あかね「ほんまやァァァァァァ!? な、なんやコレェェェェェェ!?」パキィィィィン!

トニオ「おォ……効果が表れたようですね……」

あかね「トニオォォォォォォ!! コレは一体どうなっとんのやァァァァ!?」パキキキキ

れいか「あかねさんっ大声を出すと亀裂が、大きくッ!」


トニオ「ご心配いりまセン……それは肌の老廃物が自然に剥がれ落ちる前兆です」

トニオ「洗面所に行くことをオススメしまス」ニコ

なお「あかねッ! 洗面所こっちであってる!?」

あかね「せや、早く行かんと!!」ダダダ

やよい「あのォォ~……トニオさん、あかねちゃんとなおちゃんは大丈夫なんですか?」

トニオ「はい、あの二人は少々肌が荒れぎみでしたので、コラーゲンとビタミンが豊富なタコとトマトを合わせることで、肌の真皮層を刺激して古い皮膚や角質を根こそぎ除去シタのです」



トニオ「ほら、もうすぐ二人が帰ってきますヨ?」

みゆき「あっ、なおちゃんあかねちゃんおかえり~ッッッ!?」


パァアアアアア─────ッッッ!!!


やよい「光り輝いてるゥゥゥゥ────ッッ!?」

れいか「まっ眩しいッッッ!!」


なお「なんだかさぁぁ~ッッッ! ……スゴい爽やかな気分だよ……」ツヤヤヤァン

あかね「ほんまや……まるで文字通り『脱皮』したかのような清々しい気分や……」キラキラキラァン


あかなお「ウルトラハッピィィィィ────ッ!!!!」キュピィィィン


トニオ「グラッツェ~♪ 喜んでもらえて光栄でス。それでは私はパスタの茹で加減を見なければいけないので……」クルゥリ

やよい「あ、いっちゃった……ね、ねえ二人とも、ほんとになんともないの?」

あかね「ん~? すこぶる絶好調やで。ホラ、お肌つるつる~ん♪」ツルゥン

なお「運動部は肌が荒れやすいからな~。これは嬉しいッ!」ツルルン

みゆき「うぅ~む……トニオさんがあそこまでスゴいシェフだったなんて……プリキュアに誘えばよかったかな」ボソリ

あかね「みゆき、なんか今えらいこと言わんかった?」

やよい「でも、あんなスゴい料理を作れる人がなんで日本に来たんだろう……。本場のイタリアでレストランを開いても充分過ぎるほど通用すると思うんだけど」

なお「確かに……この味は何処で出しても三ツ星は確実だよ」

キャンディ「れいか、キャンディもそれ食べたいクルー……」ヒョコリ

れいか「あ、すみませんキャンディ。あまりの美味しさに夢中になっていました……。それでは、トニオさんが来る前にどうぞ」サッ

キャンディ「クル~♪」パクパク


みゆき「うむむ、人にはいろいろな事情があるからねェ~。なんにしても、トニオさんが日本に来てくれたおかげでこんなに美味しい料理を食べられるんだから」

みゆき「今はそれでウルトラハッピー! ……でいいんじゃない?」

あかね「せやな、考えてもしゃあないし、今は料理をたのしもか!」

なお「うんうん! 次は何がくるのかな~!?」キュルルル

トニオ「お待たせしました。次はプリモ・ピアット(第一の皿)……パスタ料理デス。その名も……」

みゆき「あ、あれってもしかして……」




トニオ「そう、みなさんもご存じ『カルボナーラ』ですッ!!」バァアーン


【プリモ・ピアット】
『カルボナーラ』

【材料】
・タリオリーニ(2~3㎜幅の平打ち麺)
・パンチェッタ(豚バラ肉の塩漬け)
・白ワイン(ピエモンテ産)
・卵黄 ・ペコリーノチーズ
・黒こしょう

(賞味時期 お早めに)

イタリアンパスタの王道中の王道料理。
卵、チーズ、黒胡椒で味付けされたこの料理は日本人にも馴染みが深く、イタリアンレストランで置いていない所は無いと言われるほどである
生クリームは使わず、ペコリーノチーズ(羊のチーズ)を使用して甘さと塩辛さを引き出している



みゆき「わたし、コレ大好きなんだよねェ~!!」

なお「奇をてらわない直球勝負で来たか……。気に入ったァァ~ッッッ!!」ビシッ

れいか「シンプルな料理ほど料理人の腕がはっきりと解ると言いますが、よほど腕に自信があるようですね」

やよい「いや、トニオさんなら期待『大』だよう!」

トニオ「カルボナーラの歴史はそう古いものではありません。それまで卵とチーズを使用したパスタはあっても、明確に『カルボナーラ』と名付けられたのは第二次世界大戦後と言われてまス」

みゆき「ふむふむ」

トニオ「当時、イタリアに進軍したアメリカ軍の若年兵たちが疲労と空腹でホームシックにかかった際、それをみかねたイタリアのシェフたちが振る舞ったのをキッカケに世界に広まったそうです」

れいか「なるほど、アメリカ人はベーコンと卵が大好きですからね」

あかね「なんか、ええ話やなー。敵さんにこんなご馳走するなんて」

トニオ「イタリア人の『食』に対する誇りと執念から産み出された美談というわけデス。……それでは、ごゆっくり……」スタスタ


あかね「これもめっちゃ旨そうやな~。では、さっそく……」

みゆき「……ッ!!」ズビズバー

なお「ッッッ!!」ズビズバー

あかね「もう食べとる……」

みゆき「だっだってコレ、たまんなくいい匂いがするんだもん!」ズババー

なお「ペコリーノチーズの独特な風味が一気に食欲を開花させてるって感じかな!? とにかく、やめられない止まらないィィ!!」ズババババ

やよい「激ウマシコシコのパスタに絡んだ濃厚チーズとベーコンが奏でる三重奏ッ!!! まさにステアウェイ・トゥ・ヘブン(天国への階段)を一気に駆け上がる気持ちッ!」ズババババ

れいか「濃厚でありながらまったく飽きがこないのは、黒胡椒と隠し味の白ワインから来るピリッとした辛味のおかげですね! 何皿でも頂けますッ!」モクモク

あかね「ゴクリ。……あかん、出遅れた……う、うちもいただきまーすッ!!」ズビズバー


5プリ「ゥんまァァ~~いッ!! ボーノ」キュピィィィン


キャンディ「クル~……みんなばっかりズルいクル。キャンディだっていっぱい食べたいクル!」プンスカ



……フワァアアアア……


キャンディ「……クル~……?」クンクン

キャンディ「向こうからいい匂いがするクル!」トテテテテ




ウルフルン「プリキュアめ、どこ行きやがったんだァァ~? この町に全員揃ってるぐれーしかわからねーからな……」

ウルフルン「こーなったら適当にアカンベェ作って暴れさせて……」

フワァアアアア……

ウルフルン「……」ゴクリ

ウルフルン「な、なんかスゲーいい匂いがするじゃあねーかッ! 腹へってきたぜェェ!!」



調理室ッ!


キャンディ「おなかすいたクル~……。くんくん、こっちから甘酸っぱいいい匂いがするクル!」クンクン


トニオ「……」ユラァア


キャンディ「あ、トニオさんクル! 今度はなに作ってるクル~?」

トニオ「おや、あなたは……」

キャンディ「あああっ!? いけないクルー! キャンディの正体ばらしちゃダメクル! またみゆきがキレちゃうクル~!」

トニオ「……フム、しゃべるラム肉とは珍しいデスネ。……ちょっと、あなたコレ、食べてみます?」スッ

キャンディ「クル?」

フワァアアアア……

キャンディ「そ、それ、スゴくおいしそうな匂いクル~……」ヨダレダバァ


トニオ「この『仔牛肉のサルティンボッカ』はシンプルな料理ですが、ソースの調整が難しいので、味見役が欲しかったのですが……」

キャンディ「キャンディ! キャンディがあじみするクル! 食べたいクル~!」

トニオ「おーそうデスカ! それはちょうどよかったデス。では、どうぞお召し上がりください……」


【セコンド・ピアット】
『仔牛肉のサルティンボッカ』

【材料】
・仔牛フィレ肉 ・生ハム
・マッシュルーム ・塩
・コショウ ・セージ
・小麦粉 ・オリーブオイル
・無塩バター ・白ワイン(ヴェネト産)
・じゃがいも ・インゲン

(賞味時期 約15分)

サルティンボッカとは『口に飛び込んでくる』という意味
あまりにも簡単で、短時間に作れることからこの名前が付いたと言われている
仔牛肉の下味は薄めにし、主に生ハムの塩気とソースの味を同時に楽しむ北イタリア出身の家庭料理である


キャンディ「いただきまーすクル~!」ガブリィィ

フワァアアアア……

キャンディ「クル!? 口にいれたとたんにお花のようないい匂いが広がるクル~!」キャッキャ

トニオ「ソースに使っているヴェネト産白ワイン、『ソアーヴェ・クラシコ』は、花のような芳醇な香りと共に優しい甘味と酸味を楽しませてくれマス」

キャンディ「クル~♪ お肉と生ハムだからもっと重いかと思ってたけど、やわらかくっていくらでも食べれるクル~!」パクパク

トニオ「仔牛と生ハムの間にある『セージ』が両者の脂をサッパリさせ、食べやすくしているのデス。さらに抗菌、消臭効果で肉のわずかな臭みを取り除いてマス」


トニオ「まさに、『肉で肉を食べるための肉料理』と言えるノデス」



キャンディ「す、スゴいクル~……。こんなにガッツリ食べてるのに、ど、どんどん、お腹が減ってくクル。ま、まだまだ食べたいクル!」ガツガツ

トニオ「おや、やはりあなた! 食生活が偏ってマシタか。お菓子ばかり食べてるから体の栄養バランスが崩れてます。もっと野菜やお肉を食べなきゃダメデスよ?」

キャンディ「に、肉の旨みと生ハムの旨みが同時に襲いかかってくるとおもえば、白ワインソースとセージのつややかな香りが優しく包み込んで、喉を通る度にハッピーを感じるクルゥゥ!!」ガツガツ

キャンディ「こ、これはまさに『天国』! キャンディは今、ヘブンズ・ドアー(天国への扉)を開いたクル~!!」パァアアアアア


キャンディ「ゥゥんまァァ~いッ!! クルッ!」キュピィィィン



トニオ「クックック……いいぞ……いい食べっプリだ……この『仔牛肉のサルティンボッカ』は成功だ……」

ウルフルン「なんだァァ~? せっかくいい匂いに誘われて来てみりゃあもう食っちまってるじゃあねーか!」

トニオ「!!」

ウルフルン「まあいいか、そこらにあるもんでも漁って食っちまえば……お、こりゃなんだ? レモンの皮か?」ゴソゴソ


トニオ「………………」


ウルフルン「皮なんてゴミみたいなモンを後生大事にビンなんかに入れてよォォ~? バカじゃねーのかギャハハハハ!」ベタベタ



────ヒュオンッッ……

ドカァッッッ!!!


ウルフルン「あひゅっ!? な、なんじゃあっっ!?」


ビィィィイン……


ウルフルン「ほ、包丁……? ハッ!?」クルゥリ




┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

トニオ「…………」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨


ウルフルン「て、テメーいきなりなにしやがんだぁぁっっ!?」


ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ

トニオ「私は……『ギャング』ではありません……。ですから、『ブッ殺す』と心の中で思っても、既に行為は終わってるなんて物騒なことはシマセン……」

ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ


ウルフルン「お、おまえ……ッッ」


トニオ「だから最初にちゃんと警告シマス」



┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

トニオ「手を洗いなさい。『ブッ殺しマス』よ?」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨



今日はここまでです
メシテロ万歳

おはようございます
続き投下します



「キャンディ……こっちからキャンディの生命エネルギーを感じるでござるッ!
この感覚、もうすぐとみたでござる」

「しかし、同時に感じたドス黒いエネルギー。これはバッドエンド王国のもの! キャンディが危ないっ」

「キャンディ、待ってるでござる~!!」


調理室ッ!



ウルフルン「なんだテメーはァァ~? いきなり包丁ぶん投げといて『手を洗いなさい』だとぅ?
それがよォォ~……人にものを頼む態度かッ!? ええ!?」

トニオ「おや、あなた犬の被り物をしているのではないのですか? てっきり泥棒かなにかと思ってイタのですガ」

ウルフルン「俺は犬じゃあねええッ! オオカミだッ! テメー調子乗ってるんじゃねぇぇーぞコラァ!!」

トニオ「調子に乗ってるわけではアリマセン。
この調理場を任されたシェフとして、清潔を保つのは『当然』のことデス」

トニオ「それをさっきからあなた……周りをベタベタ触って、何を考えてるんデスカ! バイ菌は調理場の最大の敵なんですよ!?」クワッ

ウルフルン「あ、ああ……?」

トニオ「調理場においては清潔第一!!例外はアリマセンッ!!『手を洗ってちゃんと掃除するまで』許しませんッ!」


トニオ「ドーシテモ嫌だというなら仕方アリマセン、『覚悟』してもらいマスッ!」シャキィィン


ウルフルン「な、なんだこのコックの迫力! とてもコックが発していい迫力じゃあねえッ! ナニモンだァァ~!!?」



トニオ「ヒャウッッッ!!」ビュオムッ


ウルフルン「うおお、包丁を何本も手裏剣のようにッッッ!!」サッ

ドスカカカカァッッッ

ウルフルン「あっぶね……! コラァテメー! 調理道具を武器にしていいんかよー!」

トニオ「問答無用でスッ!!」つ石鹸

ブォオオオムッッ

ウルフルン「ウォオオオオ─────ッッ!?」ガキィイイン

トニオ「フゥウウム……小賢しいオオカミさんデスネ。まだ従わないつもりですか……?」グググ

ウルフルン「ぐ、おおおおおっっ!? なんじゃあコイツのパワーはッ!? とてもコックが持っていいようなパワーじゃあねえ────っ!!」

トニオ「料理人に必要なのは『パワー』デス! 一回真剣に料理したくらいで倒れるような軟弱な人たちとは鍛え方がチガイマスッ!」グググ


トニオ「さあ! 石鹸とバケツを持って掃除しなさい! さもなくば『ブチ殺し』マスッ!!」グググ



ウルフルン「だッ……! 誰が人間の命令に従ってやるものかよ! 死んでもゴメンだぜェェ────ッッ!!」グォンッッ

トニオ「オオウッ!?」グワーー

ウルフルン「ハァァー……! よーやく脱出できたぜ……! とても認めたくねーが人間の癖に俺を『ビビらせる』なんてよぉ」

ウルフルン「生意気だぜェェ~ッ!! そして気に入らねえッ!! 俺はテメーをバッドエンドにしなきゃあ気がすまなくなったぜ!」

トニオ「バッドエンド?」

ウルフルン「後悔しなコックが!! テメーもこれでオシマイだァァ────ッッ!!」


ウルフルン「世界よ! 最悪の結末(以下略」ベッタァアー


トニオ「オワァアアアアア!?」ズギューン




みゆき「なんだか遅いね~! トニオさん、時間かかってるのかな?」

やよい「そんなに時間がかかるなんて、スッゴク難しい料理作ってるのかなあ」

あかね「うーん……それはなんか違うわ」

なお「あかね、どうしたの?」

あかね「トニオの作る料理は一部の気取ったグルメが食べるような難しいものじゃああらへん。オカンから子どもに受け継ぐような、そんな料理が中心なんや」

れいか「それでは、大がかりな料理を作るとは考えにくいと……?」

あかね「せや。だからこない時間かかるわけないんやけど……」




ドゴルォオォンッッ!!


あかね「おわあっ!? な、なんや~!!?」

なお「調理場からだよッ! ……それにこの感覚は」

みゆき「バッドエナジーだァッ!! トニオさんが危ないィィ────ッ!!!」

れいか「みなさん、行きましょう!!」

やよい「あわわ、ま、待ってェェ~!!」


…………
……


みゆき「トニオさーんッ! だいじょうぶ!?」バタァアーン

みゆき「……ハッ!?」


トニオ「……」ドヨォオン


やよい「トニオさんからFUKOのエナジーが!!」

あかね「ちゃうで、バッドエナジーやっ!」ビシッ

なお「冷静にツッコミしてる場合じゃあないってば」

れいか「バッドエンド王国のしわざですね……!」

ウルフルン「ウルッフッフッフ……その通りだぜプリキュア」

みゆき「オオカミさん!」


ウルフルン「5人揃ってるってことはよォォ~……。ここで倒しちまえばオシマイってワケだ……違うか? ええ?」

みゆき「せっかく楽しくお食事会してたのに……こんなのひどいよッ!」

ウルフルン「ケェーッ! 何がお食事会だァァ!? こっちは危うくコックに料理されちまうとこだったんだぜッ!!」

あかね「へ、それって……まさか……」

やよい「メインディッシュってもしかして……」ガタガタ

ウルフルン「何ソーゾーしてんだッ!? いくらなんでも犬を出すわけねーだろーがよ!!」

なお「自分で犬って言ってるよ……」

ウルフルン「ハッ!? ……ま、まあいい。今日こそテメーらを再起不能にしてやるぜ! 覚悟しろよプリキュアァァ────ッ!!」ポーイ



アカンベェ「アカンベェ~!!」グワァア


みゆき「ビンのアカンベェ!?」

れいか「よく見ると中にレモンの皮が入ってますね」

やよい「あ、わたしあれ知ってるよ~。あれってレモンピールの砂糖漬けだね。きっとドルチェに使うんだね」

みゆき「ドルチェ!!」

あかね「てゆーことは」

なお「あれがないと〆のスイーツが食べられないッ!!」ガビーン

れいか「なお、スイーツよりも先にトニオさんを助けないと」

みゆき「トニオさんをバッドにするだけじゃあきたらず、みんなのスイーツを奪うなんて許せないっ」

みゆき「みんなッ! 変身するよッッ!!」クワッ


やよなおれい『YES !!』ビシィィー


あかね「それはあかんってセンパイ的な意味で」




5プリ「プリキュアッ! スマイルチャージッッ!!」レディー!


省略ゥ!!


ハッピー「はい! ここでみんなに相談デス」

ピース「ど、どしたのハッピー? みんな変身終わったよ……?」

ハッピー「んふ~♪ あのねピース、わたしたちってさァァ~、チーム名って決めてなかったよね?」

ハッピー「わたし、いい名前を思い付いたんだけどッ! 決めていいかなァ?」

ピース「チーム名……な、なんかワクワクするねッ! いい、いいよ~そーいうの~♪」

ピース「ね、みんな!!」クル!!

サニー「どうでもいい」

マーチ「すこぶるどうでもいい」

ピース「冷たいまなざしッ!?」ガビーン

ビューティ「いえ、ここはお互いの結束を深めるために、チーム名を決めるべきだと思います」キリッ

ピース「ビューティ~!!」キラキラ


ハッピー「ぃよォォ~しッ! 決まったッ! それじゃあこのキュアハッピーが名付け親になってあげるよ!!」

ハッピー「ズバリ、5つの光が導く未来的な意味で
『YES ! プリキュアファ」

サニー「だからそれはあかんって。センパイ的な意味で」

ハッピー「えぇ~。ぜったいこれだと思ったのに……はっぷっぷー」

マーチ「ハッピー、もっとこう、みんなの幸福を呼び込む感じがいいと思うな」

ハッピー「幸福? ……ンッンーいい響きだねェ~♪ それじゃあ幸福を呼ぶための一番の方法から取って付けよう」


ハッピー「幸福=スマイル!! 苦しいときこそニヤリと笑え~からいただこうッ!!」

ハッピー「すなわち『スマイルプリキュア!』『スマイルプリキュア!』と名付けようッ!」バァアーン

ハッピー「それじゃあみんな!ご一緒にィィ~♪」


ハッピー「5つの光が導く未来ッ!!」キリッ

5プリ「輝け!!!」ザッ


5プリ「スマイルプリキュアッ!!」ドッギャァァーーーーン


ハッピー「決まったァァ────ッ!!」バァアーン



ウルフルン「……」

ハッピー「待たせたねオオカミさん! このキュアハッピーが、あなたのスマイル取り戻してみせるッ!」キュァアン♪

ウルフルン「キャラが定まってねーぞおまえ……。他にもいろいろツッコミてーとこはあるがとりあえずほっといてやるぜ……」

ウルフルン「やっちまえ! アカンベェ────!!」

ハッピー「ウオオ、負けるかァァ────ッッ!!」

アカンベェ「アカンベェ~!!」ブォンッッ


ドグシャァアッッ!!


ハッピー「あぼっふぇッッ」ズギューン


4プリ「ハッピィィィィィィ!?」




ハッピー「つ、強い~……。な、なんで? いままでのアカンベェとはパワーもスピードもけた違いだよ」

ビューティ「どうやら敵も本気で来ると言うわけですね」

サニー「なんや、ようやく本気出したっちゅうわけか。おもしろくなってきたで~!」

ウルフルン「(いやいやいやまてまてまて。俺が出したのはフツーのアカンベェだぜ。それがなんであんなにツエーんだッ!?)」

ウルフルン「……んん?」


トニオ「マッシモ……」ドヨォオン


ウルフルン「あのコック、陽気なイタリア野郎かと思いきや、なかなか根が深いバッドエナジーを発してやがるッ! だからアカンベェも強いのか……人は見かけによらねーな」

ウルフルン「コイツは意外な掘り出し物だぜッ! 行け、アカンベェ!! プリキュアを始末しろ!」

アカンベェ「アカンベェ~!!」

ピース「あわわ、来た来た~!!?」


ハッピー「ピース、慌てないで! 前と違って敵は一体。落ち着いて必殺技を叩き込めばどうってことはないよ!」

マーチ「ってことは、やることは決まったね! 直球勝負ゥゥ!!」

サニー「ほな、やったるでェェ~!!」


サニー「プリキュアッ! サニーファイヤー!!」ドゴァアッ

ピース「プリキュアッ! ピースサンダー!!」ズギャァアン

マーチ「プリキュアッ! マーチシュートッ!!」バグォオン

ビューティ「プリキュアッ! ビューティブリザード!!」シャァアアンッ


ハッピー「さあ、コイツでトドメだよッ!」



ハッピー「ウゥルトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラ
トラトラトラトラトラトラトラトラトラトラァァァァ!!!」ドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴ



アカンベェ「アカンベェ~!!」パッシィア

ハッピー「ッ!?」ググッ

ピース「うそ、効いてない……!?」


ビューティ「全員の必殺技を叩き込んだのにですか!?」

アカンベェ「べェェェェ────ッッ!!」ドゴァアッ


5プリ「キャアアァァ────ッッ!!?」


ウルフルン「お、おお~! これはイケるッ! ベネッ! 予想外にベネッ! 勝てるぞォォ~!!」

「そこまででござるッ! バッドエンド王国ッ!」

ウルフルン「あ? 誰だァァ~!? 今いいところだってのによォォ~?」クルゥリ


ポップ「このポップ、悪党に名乗る名など持ち合わせておらぬでござる!」バァアーン


ウルフルン「……名乗ってんじゃねーか」

ポップ「はッ!? し、しまったでござる!?」

ウルフルン「その頭脳のマヌケ具合からして、おめーメルヘンランドのもんだな? わざわざ何しに来やがった?」

ポップ「ふ、妹の気配とバッドエナジーに惹かれて来てみれば、バッドエンド王国の幹部と伝説の戦士、プリキュアに会えるとは……」

ポップ「手間が省けたでござる! さあ、後はキャンディ、どこにいるでござるか?」


……バリ……ムシャ,ムシャァ……


ポップ「む? そこにいるのは……」


「……」ピタッ




ポップ「オオッ! やはりそのうしろ姿はキャンディ!! 元気にしていたでご、ざる……か……?」


……ガツ……グチャグチャ……


キャンディ「……オ、ニイ……チャァァァァ~ン……?(CV楠見尚己)」ドギャーーーー


ポップ「キャンディィィ────ッッ!!?」ガビーン


キャンディ「オニーチャン……。キャンディクルゥゥゥゥ……(CV楠見尚己)」ドギャーーーー

ポップ「え、キャンディ? これキャンディ!? この、まるでアフリカに住む凶暴な猿マンドリルに種の改造を行い、戦闘用に訓練したかのような生物がキャンディ!?」マーチンッ!!

ウルフルン「なげーよ」

トニオ「さすがわたしのセコンド・ピアットデスネ……あれほどの強化が肉体に表れるとは……」ドヨォオン

ウルフルン「コイツはコイツでフツーに話してるしよォ~……」


キャンディ「フシュゥゥゥゥ。プゥゥゥリキュアッ。プリキュア助けるクルゥゥゥゥ……。キャンディが助けるクルゥゥゥゥ……!」メキメキ


キャンディ「キャンディィィィィもっ!! プリキュアの力にッッ!! なァァァァりたァァァァいクルゥゥゥゥ!!!」ドギャーーーー


ビッカァアァァ─────ッッ!!!!


ウルフルン「ウオオッ!? なんだァァ~!?」

ポップ「ああっ!? キャンディから発せられたおぞましい『閃光』が死肉に群がる屍生人のようにプリキュアに向かっていくでござるゥゥ────ッ!!!」


ドギャオゴォオアッ!!
メメタァッ!!


パァアア────────ッッ!!!




ポップ「こ、この光はァァ~!?」

トニオ「まちがいありません……わたしの『パール・ジャム』の身体活性化能力と、子ヒツジさんの力」

トニオ「そして彼女たちの眠っていたパワーが合わさり、かつてない『現象』にナロウとシているのデス」


トニオ「即ち、『武装現象(アームド・フェノメノン)』ッ!!」バァアーン


────バグォオンッッ!!


ウルフルン「な、なんじゃあありゃァァ~!?」



プリキュアの……

美しき魂がッ!

邪悪な心を『始末』するッ!



5プリ「プリキュアッ! アームド・フェノメノン────ッッ!!」ドッギャァァーーーーンッッ!!!!!



ポップ「違う世界の人たちになったァァ────ッッ!!?」ガビーン

ウルフルン「ぜんぜんプリティーでもキュアッキュアでもねェェ────ッッ!!?」ガビーン




マーチ「一番手、キュアマーチッ行くよッ!!」ザッ

ズー
ズーッ


マーチ「プリキュア(闘技)ッ! 神砂マーチ!!」シュタァッ


ドォアアアン!!!


ウルフルン「関節がありえねえ方向に曲がったァァ!?」


左腕を、関節ごと右回転!
右腕を、関節ごと左回転!

結構呑気してたウルフルンも、拳が一瞬巨大に見えるほどの回転圧力にはビビった!

そのふたつの拳に生じる真空状態の圧倒的破壊空間は、まさに歯車的砂嵐の小宇宙!


ドォアア!!
オパウ!

ゴシャアッ!


アカンベェ「アバ────ッッッ!!?」メシャァアッッ


ポップ「ヒィイイイ────ッッ!? ア、アカンベェが削り取られていくでござるゥゥ!!」




サニー「二番手、キュアサニー……行くでッッ!!」ドギャーーーー!!!!!

サニー「時空を超えるッ! 『太陽球の無限回転エネルギー』!!!」ズアッ



サニー「プリキュアッ! サニーボール・ブレイカァァ────ッッ!!!」



ギャルギャルギャルギャルギャル
ギャルギャルギャルギャルギャル!!!!



アカンベェ「アベカバベベッッベッッベベベ!!?」ギャルギャルギャルギャルギャルギャルギャルギャル!!!


ポップ「と、止まらないッ! 異様な回転を伴った『太陽球』がアカンベェのエネルギーごとむしりとるように奪い、炸裂したァァ!!」


ドグァオォ───ン


アカンベェ「べー……」ズギューン

ウルフルン「なにやってんだアカンベェッ!! まだまだ来るぞォォ────ッッ!!」


アカンベェ「……ベッ!?」ハッ




────これがッ! ピカ!

────これがッ! ピカ! ピカ!


「これが『キュアピース』だッ!」

「そいつにふれることは死を意味するッ!
『ぴかりん・現象(フェノメノン)』ッ!」ウオオオム


ピース「プリキュア・シューティング・ピースス・スティンガー・フェノメノンッ!!」ドババァァーーーー


ブスブスブスゥゥゥ────ッッ!!


アカンベェ「アギャァアアアアア!!?」


ポップ「意外ッ! それは髪の毛ッ! 硬質化したプリキュアの毛髪が鋭い針のように射出され、アカンベェに突き立てているでござるゥゥ!!」


ピース「ぴかぴかぴかぴかぴか!!」



匂いだッ!

はじけるレモンの匂いだッ!

悪いのはこの「アカンベェ」だッ!!

こいつの匂いを止めてやるッ!


ピース「ぴかぴかぴかぴかぴか……ぴか!!」グワ


ピース「プリキュア・ブレイク・ピース・サンダー・フェノメノン!!」バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ


ドッコルナォオン────ッッ!!!


アカンベェ「ヤッダーバァアァァァァアアアアア!!!」ズギューンッッ!!!


ポッシュゥウン……


ウルフルン「ウ、ウソだろ~!? アカンベェがミンチよりもヒデー状態になるまで『磨り潰され』ちまいやがったァァ~!!」ガタガタガタ


ウルフルン「お、覚えてやがれプリキュアッ!! 次こそはオメーらをバッドエンドに」


パッキィイイイイインッッ!!


ウルフルン「はがッッッ!?」パキッ


ビューティ「住みよい町を作るために、ちょうど『名所』が欲しいと思っていたところなのですが」


ウルフルン「はぐううおああああああああ!!?」ドリュゥゥ~ン


ビューティ「『氷のウルフルン像』。不気味な外見とは裏腹に、皆さんに慕われるとは思いませんか?
……超低温は静止の世界。最低温度において、すべての物質は『運動をやめます』」


バァアア─────z______ン


ウルフルン「……アギ」


ハッピー「ダメだよビューティィ~。いくらナンでもこれは悪趣味だよ……ちゃんと『片付け』なくっちゃあ」

ウルフルン「!!」


ハッピー「ところでオオカミさん……わたしだけその……あれ、アームド・フェノメノンってやつがさァァ~。
あんまし変わらないンだよねこれが」

ハッピー「みんなと比べてわたしだけね。
……成長性が低いって言われてるみたいでちょっとガッカリだな~って思うんだけど、
オオカミさんはどう思う?」


ウルフルン「……ッ!?」ハッ


ハッピー「あれ、言えない? それじゃああなたが何を考えてるか当ててあげるね!」

ハッピー「あなたは今こう思っています。
……『もしかしてウルトラハッピーですか』……って」


ウルフルン「────ッッッ」



トニオ「Si!Si!Si! 『Mamma Mia』 」






ハッピー「ウゥルトラトラトラトラトラトラトラトラトラ
トラトラトラトラトラトラトラトラトラトラ!!!」ドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコ


ハッピー「HAPPYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY
YYYYYEAHHHHHHHHHHHHHHHH─────ァアアアアアッッッ!!!」ドッッグァオォォーーーーン



ウルフルン「ヤッダーバァアァァァァアアアアア!!!」ズギューン



────ウルフルンは思った
カッコつけて一人でうろちょろするんじゃあなかったと

しかし最早後の祭りである


ジョーカー「どじゃああ~ん!」


ハッピー「!?」



ジョーカー「ウルフルンさ~ん、お疲れさまでしたァん♪ あなたのおかげでプリキュアのパワーを見定めることができましたよォン!」

ウルフルン「……ア、アガ」

ジョーカー「あなたにはこれからもっと働いてもらわないとッ! ここで再起不能になられては困りますよ~」

ハッピー「あ、あなた誰!?」

ジョーカー「こーんにちわ~ん♪ プリキュアのみなさーん。わたくしジョーカーと申します。……偉大なる皇帝ピエーロ様に仕えるモノです」

マーチ「皇帝ピエーロ……?」

サニー「なんや、いきなり出てきて偉そうやでッ!」

ジョーカー「まあまあそう角をたてないでぇん♪ 今日はほんの挨拶と言うことで、プリキュアのみなさん、またお会いしましょうね~ん♪ ではラリホーッ!!」ヒュルルルン

ジョーカー「(プリキュアの力。そしてあの妖精……ミラクルジュエルのカギはどうやらあれが持ってるようですね~。くく、面白くなってきました!)」ヒュルンッッ

ピース「あ、逃げちゃった!」


ビューティ「ジョーカー……いままでの人たちとはどこか違う。ドス黒いなにかを感じます」

ビューティ「そして……」クルゥリ

キャンディ「オニーチャンンンン!!」ダキィイッ

ポップ「キャ、キャンディ……放してほしいでござ……つ、つぶれ……」ぎゅううう

ビューティ「キャンディ(?)と、この方は一体……」



トニオ「さ、料理をつづけましょうか!」バァアーン

みゆき「ト、トニオさん、もう平気なんですか?」

やよい「あまり無理しちゃダメですよ~……」

トニオ「トンでもない! 最後までみなさんを楽しませなければプロの名折れです。みなさん遠慮せずに堪能してくだサイ」

なお「そ、そこまで言うなら遠慮なくいただこうかなぁ」ジュルリ

あかね「なお、よだれよだれ」

れいか「それで、これが最後の料理ですか?」


トニオ「はい!心を込めて作らせてイタダキましタ! 『レモンピールのジェラート』デス」


【ドルチェ】
『レモンピールのジェラート』

【材料】
・レモンピール(アマルフィ産)
・リモンチェッロ(レモンのリキュール)
・牛乳 ・白砂糖

(賞味時期 溶けないうちに)

トニオの故郷、ナポリはアマルフィ海岸の伝統食品であるレモンピールとリモンチェッロを使ったアイスクリーム


トニオ「イタリアでレモンと言えばシチリアと言う人が多いですが、アマルフィのレモンも世界に誇るイタリアのレモンと言えます。
肉厚で甘さのあるこのレモンは菓子づくりにおいて最適なのです」


みゆき「わあ、おいしそ~♪」

やよい「見た目もスゴくキレイッ!」

なお「トニオさん、パティシエもこなせるなんてスゴいな~! それじゃ、いただきますッ!」カプッ

あかね「!!」

れいか「!?」

みゆき「────あっ」




その瞬間、みゆきたちの舌の上で『天国』が作られたッ!
それはまさに『メイド・イン・ヘブン』!!


みゆき「舌に広がるレモンの酸味と香りから、見たこともない景色が広がっていく……」

あかね「太陽がサンサンと降り注ぐ海岸沿いに、光をたっぷり浴びて育ったレモン畑が並んどるのがみえる……」

やよい「見たことも聞いたこともないのに、ハッキリと映る情景、イタリアのアマルフィ海岸の肥沃な土地が、脳裏に浮かんでくる!」

なお「そうか、これが……これが『天国』
……わたしたちがたどりつきたかった場所」

れいか「郷愁の想いが広がっては切なく溶けていく……。懐かしくも優しく、そして哀しい味です……」ホロリ


トニオ「そうです。今日のコースのテーマは『郷愁』……誰しもの心にある故郷の想いを揺り動かす料理を作りました」

トニオ「日本にくるまでに行った修行の日々の合間に、時々思い出し、哀しくなることもありますが、わたしにとっては今でも大切な故郷です」

トニオ「『天国』とは『故郷』なのでは……わたしはソウ考えます。みなさんも自分の天国を大切にして、幸福を掴んでほしいデスネ」


みゆき「……」


…………
……


トニオ「それではみなさん! 本日はお越しいただきありがとうゴザイマシタ!」

なお「いや、ほんと美味しかったです! 感動しました!
あなたはまるで『天使』のような料理人だッ!」

やよい「また食べたいくらい美味しかったです……!」

れいか「ええ、料理でここまで感動したのははじめてです。とてもよい時間を過ごしました」

みゆき「おみやげももらっちゃったし、今日はもうウルトラハッピーだよ~!」ハッピー

みゆき「あかねちゃん、今日は呼んでくれてありがとね! じゃ、また明日ッ!」

あかね「おー、気をつけて帰りや~」

トニオ「グラッツェ~♪」


バイバーイ
デハ,マタアシタ……


あかね「……」


トニオ「あかねお嬢さん、ドウカしましたか?」

あかね「いやな。なんてか……うちもまだまだやなァって思ってな」

あかね「トニオみたいに、いつか人を心から感動させて、幸せにできる料理人になれるかなあってな……」

あかね「ほんま、長い道のりやな……」

トニオ「……お嬢さん、今日、みなさんに渡したオミヤゲ。なんだと思いますか?」

あかね「へ? ……なんなん?」

トニオ「『ピッツァ・マルゲリータ』……イタリアでもっとも有名なピッツァです」

トニオ「その美味しさに惚れ込んだイタリアの王妃、マルゲリータ妃が自らの名をそのピッツァに与えた……。
そんな逸話があります」

あかね「ほえー……。そりゃまた大層やな」


トニオ「あかねお嬢さんの『名前』も、いつか自分の料理に与える時が来る。そんな風になると良いでスネ」ニッコリ

あかね「……せやな。そーなるように、うちもたくさん頑張らんと!」

あかね「よし! 明日の仕込み始めるかっ。行くで~トニオ!!」

トニオ「オ・カピートォ♪ 任せてくだサイ。
……ちなみにあかねお嬢さん」

あかね「なんやー?」

トニオ「明日は何曜日でしたか?」



あかね「『ドメニカ(日曜日)』」キリッ




キャンディ「オニーチャン……ZZZ……」ギュウウウウ

ポップ「拙者……もしかして忘れ去られてるでござるか……?」ギュウウウウ





←TO BE CONTINUED……////

今日はここまでです
ぶっちゃけバオーをやりたかっただけ

皆さんお久しぶりです
本日投稿します。
ちょいとキツいシーンもあるけど『覚悟』すれば問題ないッ!!





とうおるるるるるるるるる……




もしもし? ボスですか? ……はい、わたしです、みゆきです

……はい、はい……デコルは順調に集まってるよ。うん、もうすぐ女王様も復活するって言ってた。うん……みんなのおかげだよ

え、今はデコルを集めることに専念……?よくわからないけど……ボスが言うなら間違いないよねッ!

任せてボス! わたし、がんばるから! だから……『みんなで幸福に』なろうね?


ガチャ


……
…………



……
…………


『みんなで幸福に』か……

みゆきよ……『誰かの幸福は誰かの不幸』という法則で出来ている……この世とはそういうものだ

皆が皆、幸福を掴むことなど……出来はしないのだ……

しかし……それでも幸福は……私たちにこそふさわしい……

物語の『主役』だけが幸福に至る……
『バッドエンド』など『悪役』のような末路はあってはならない……当然だ

私たち……だけが幸福を掴めるのだ……





バッドエンド王国




マジョリーナ「もうずいぶん人間どもからバッドエナジーをしぼりとったと思うけど、ピエーロ様はいつ復活するんだわさ?」

アカオーニ「しらねーオニ、ピエーロ様の様子は全部『アイツ』が知ってるオニ。アイツに聞けばいいんじゃあねーかオニ?」

マジョリーナ「ケェーッ! あたしがアイツを嫌いなのを知ってて言ってるのかい?」

アカオーニ「ふん! アイツを好きな奴なんてそもそもいるわけねーオニ。……それにしても気に入らねーオニ、いつになったらピエーロ様は復活するオニ?」

マジョリーナ「そうだわさ。早く『世界をバッドエンド』にしないと、このままじゃあたしたちの存在が……」


ジョーカー「はぁーい、お二人ともお元気ですかぁん?」バァアーン


アカマジョ「ジョーカーッッ!!」


ジョーカー「仲良くおしゃべりですかぁ? さすが幹部は余裕があっていいですねぇん♪」

アカオーニ「けっ、いちいち勘にさわる言い方オニ。で、何しにきやがったオニ!?」

ジョーカー「いえいえ♪ ただの報告ですよォ~? みなさんのお陰でバッドエナジーが順調に集まってますからね~。……そろそろ復活するんですよ」

マジョリーナ「ハッ……!?」


ジョーカー「ピエーロ様が」ニヤァリ


アカオーニ「な……なにッッ」


┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨


ジョーカー「そぉ~う♪ まもなくピエーロ様は復活なされます……そして世界をバッドエンドにしてくれるのです。よかったですねぇ~♪」

マジョリーナ「そうかっ! ようやくこれで……」

アカオーニ「俺たちの時代オニッッ!!」

ジョーカー「た、だぁ~~しッッ!!」

アカマジョ「!?」


ジョーカー「我々の邪魔をするうっとうしい方々がいますよねェエ~? どうもその人たち……『プリキュア』との戦いは良くないらしいですが? んん~おかしいな~?」

アカオーニ「ぐ、ぬぬぅ~……!」ギリギリ

マジョリーナ「痛いところを……!」

ジョーカー「ハイ! そんな困ったあなた方に私から便利なモノをプレゼントしちゃいます! それがコレ……『青っぱな』です」ス……

アカマジョ「青っぱなァア~~?」

ジョーカー「これは今までの赤っぱなとは違い、デコルを変化させたモノではありません。つ、ま、り~~……プリキュアの技では浄化されないのです!」

マジョリーナ「ほう……そいつは便利だわさ」

アカオーニ「そいつをつかってプリキュアをぶっ潰してやるオニ!」

ジョーカー「あぁ~ですが、気を付けて下さいねぇン? 
青っぱなのアカンベェは確かにプリキュアの技は効きませんが、代わりにパワーとスピードは少~し劣ります。
そこのところ頼みますよ?」



ジョーカー「あ、それと……『ウルフルンさん』はどちらにいらっしゃるのですかぁン? さっきから姿が見えませんが」

アカオーニ「ウルフルン? ああ、アイツなら……」

マジョリーナ「部屋に引きこもってるだわさ。だけど、アイツはもうダメだわさ。完全に心がポッキリ!」

ジョーカー「ほほう、それは……なぜそのようなことに?」

アカオーニ「前にプリキュアにボッコボコにされたショックだオニ。まったく情けねーヤツオニ!」

ジョーカー「それはなんと痛ましい! しかし、困りましたね。大切な戦力が減るのはいただけません。……ちょっと『お話』しないといけないかも知れませんねェエ~?」ニヤァリ



ウルフルンの部屋


ジョーカー「ウルフルンさーん♪ お元気ですかァア~? 私です、ジョーカーです!」コンコン


……………


ジョーカー「ん~……返事がないですね。あー……いいですか? 勝手に入らせてもらいますよ?」シュンッッ

ジョーカー「ハイ、この通り。瞬間移動でぇす!」パッッ

ウルフルン「なッッ!?」

ジョーカー「ダメじゃないですかぁ~? せっかくみんなで『プリキュア』を倒すための作戦を練っていたというのにッ」

ウルフルン「プ、プ、プリキュア……!?」

ジョーカー「うん?」


ウルフルン「プリキュア……プリッキュアッッ……!!」ブツブツ

ウルフルン「────きゃぁああああああああッッッッ!?」クワッ

ジョーカー「おやおや、叫ぶほど嫌ですか? 『プリキュア』の名を聴くのが」

ウルフルン「そそそその単語を言うんじゃあねェェ─────ッッ!?」ガタガタ

ジョーカー「そんなに怖がらなくたっていいじゃあないですか。ここに『プリキュア』はいないんですから」スタスタ

ウルフルン「やめろぉぉこっちにくるなああ─────っ!!」ビクビク


ジョーカー「……はァア~……これは重症ですねえ、かわいそうに……。ですが、いいのですか? ウルフルンさん」


ジョーカー「あなた、また『昔』に戻りたいのですか?」


ウルフルン「うッッ」ビク

ジョーカー「ピエーロ様はまもなく復活なされます。その時にあなたがそんな様では、はてさてどうお叱りを受けることやら」

ジョーカー「もしかしたら『全て取り上げて』しまうかも……。あなたのだけね」

ウルフルン「ぬ、ぐ……!」

ジョーカー「そうなりたくなかったらキッチリ働いてくださいよ? タダで手に入れられる『安息』なんて……ありえないんですから」

ウルフルン「……」


ジョーカー「ま! そこまで心が『再起不能』では見込みも薄いでしょう! どうぞ落ち着くまでゆっくりと休んで下さいね~? ……永遠に」

ウルフルン「待てコラ……」

ジョーカー「はい?」

ウルフルン「プリキュアは怖い。認めたくねーが……あそこまで恐怖したのは事実だからな……死にかけたし……そこは認めるぜ……」

ウルフルン「だけどな! 昔に戻ることのほーがよっぽど『怖えー』ぜッッ! プリキュアなんか目じゃねーくらいにはなァァ────ッッ!!」

ジョーカー「ではぁ、やる気になってくれたんですね?」

ウルフルン「ケェーッ! ここまできたらもうなんだってやってやるぜェェ────ッッ!!」

ジョーカー「それはすばらしいッッ!! ではあなたには特別な『任務』を与えることにしましょう!」

ウルフルン「任務だぁあ~?」


ジョーカー「任務は『二つ』。ひとつはメルヘンランドに伝わる伝説の秘宝、なんでも願いを叶えると言われる『ミラクルジュエル』の捜索です」

ウルフルン「ああ~あれか……そういやそんな話があったな……て、あれはおとぎ話じゃあなかったのかよ」

ジョーカー「いいえ、ミラクルジュエルは確実に存在します。そして、それがプリキュアの手に渡ったらどうなるか……かなり厄介でしょうねえ」

ジョーカー「なんとしてもプリキュアよりも早く私たちが手に入れなくてはなりません。わかりますね?」


ウルフルン「お、おう。それで、二つ目はなんなんだよ」

ジョーカー「はい、これはある意味ではもっとも重要な任務ですねェエん♪ それに、この任務はあなたにこそふさわしいと思っているのですよ」

ウルフルン「だぁからなんだってんだよ」

ジョーカー「なに、いたってシンプル。────キュアハッピーの『抹殺』です」


ウルフルン「……!!!」

ジョーカー「フフッ♪」





【Rapsodia】……イタリア語で狂詩曲を意味する



冒頭終わり
続きはおやつの時間に

続きを投下します



わたし、星空みゆきです! 中学二年生、スマイルプリキュアのキュアハッピーやってまーす!

わたしたち5人がプリキュアになってけっこう時間が経ちました。みんなだんだん慣れてきたかな?

そんなある日、わたしたちのところにメルヘンランドの使者、ポップがやって来たの! 色々あって自己紹介が遅れちゃったけど、なんでもプリキュアは何のための存在か伝えにきたみたい。それで、プリキュアっていうのは……


────プリキュアとはッ!

ひとつ 伝説の戦士なり!
ふたつ ロイヤルクイーンの力の欠片であり!
みっつ クイーンを復活させる存在である!
よっつ あらゆる自然現象の能力を兼ね備え
しかも その能力を上回る!
そして その形は川村敏江のデザインのように美しさと可愛らしさを基本形とする。



みゆき「つまりわたしたちはッ!」

やよい「スーパーヒーローッ!」

みゆき「うんうん、メルヘンランドの女王様を復活させるためのね。それで、デコルをいーっぱい集めなきゃならないんだよねっ」

やよい「伝説の戦士、プリキュアの絵本の主人公がわたしたちで……その絵本のページはまだ途中、白紙! 続きは主人公のわたしたちに託される。……なんか話ができすぎてる気がするー……」

みゆき「そうかな? わたしはぜったい『運命』だと思うなァ~。この町に来て、キャンディに出会って、一気に物語が進んだんだよ」

やよい「みゆきちゃんはそれが運命だって信じてるの?」

みゆき「うん! こうしてやよいちゃんとも友達になれたのも、あかねちゃんもなおちゃんもれいかちゃんも、みんな『運命に選ばれた』んだと思うの。それってなんだか素敵じゃない?」


やよい「うーん、よくわからないけど……わたしはみゆきちゃんと友達になれて良かったって思ってるよ」

みゆき「えへへ、わたしもやよいちゃんのことだーいすきっ!」ガバッ

やよい「きゃっ! ふ、ふええ……恥ずかしいよみゆきちゃん……」

みゆき「まあまあ遠慮しないで~♪ それで、今日は何して遊ぶ~?」

やよい「え、えと、せっかく不思議図書館に出入りできるようになったから、そこでデッサンでも描こうかなって」

「あ、あの、星空さん!」

みゆき「ん?」クルゥリ

男子生徒「こ、こ、これ、受け取ってください!」つ手紙

みゆき「あ、どうも」ヒョイ

やよい「……」


男子生徒「そ、それじゃッッ!! 返事お願いしますね!!」ピューン

みゆき「ああ~……また受け取っちゃったよ。返事書くのってけっこう頭使うんだよねー」

やよい「……みゆきちゃん、それ、今月入って何通目……?」

みゆき「うーん、40……あれ? 50だったかな?」

やよい「す、スゴい……。みゆきちゃんって、かなり男子に人気あるよね……わたし一通ももらったことないよぉ」

みゆき「そうかなぁ、最初はみんな怖がってたみたいな気がしてたけど、最近急にもらうようになったんだよね。ふしぎー」

やよい「不思議だね……(黙ってれば美少女だし、それに……奇妙な魅力……フェロモンってのかな?出てる時があるような……。
ある意味れいかちゃんより人気かも……)」


やよい「そ、そういえばみゆきちゃん、この七色が丘に『岸辺露伴』先生がいるってウワサがあるんだけど、ほんとかなあ?」

みゆき「へ!? き、岸辺露伴って、あの『超』人気漫画家の……? なんでまたそんなグレートな有名人が……ッッ」

やよい「ウワサだとね、どうも家が火事になったり、破産したり……『色々不幸なことが』重なって……気分転換に旅行してるんだって」

みゆき「でもでも、なんでこの町に? もっと良いところなんていっぱいあると思うけどなあ」


やよい「……あのねみゆきちゃん、実は露伴先生、この町にある『ウワサ』に興味があるみたいなの」

みゆき「『ウワサ』ァアア~?」

やよい「突然空が暗くなったり、ピエロのお化けが暴れてる幻覚を何人も見てたり」

やよい「それと戦う5人の女の子の姿を目撃したり……」

みゆき「……それって」

やよい「わたしたちだよ……ねェエエエエ? それに、これってさァアア~? みゆきちゃんの言う……『運命』だと思うんだッ!! うん」ズイ

みゆき「運命!!」


やよい「だから今度一緒に会いに行こーよォォォォ!! 一人じゃ怖くて行けないのォォォォ!!」ビエエ

やよい「滞在してる間に1度だけでもいいのッ! 露伴先生と会って握手! サイン!! できれば漫画のアドバイスとかァァ!!」

みゆき「わ、わかった、わかったよやよいちゃん。うん、今度ね? わたしも前から漫画家さんって興味あったからね、一緒に行こ?」

やよい「ありがとみゆきちゃんッッ!!」ダキッ

みゆき「よちよち」



七色ヶ丘図書館ッ



みゆき「えーと、確か本棚があればどこからも入れるんだったよね。なるべく人が見てないところから入んなきゃね。ついでになんか借りよっかな~?」

やよい「み、みゆきちゃん、今日は本を借りにきたんじゃなくって」

みゆき「あぁ~だいじょぶ、だいじょぶだよぉ~? ただね? せっかく図書館にきたんだからさ、ちょっぴり珍しい本でも、無いかな~って思っただけだよ……」

やよい「みゆきちゃん、心から本が大好きなんだね……なんだか尊敬しちゃうなあ」

みゆき「ふふ、それほどでもないよ。ただ暇があったらお休みの日はいつもここにいるだけだからね……」

みゆき「……うん?」


ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ


みゆき「なんだろ……こんな本図書館にあったっけ?」スッ


やよい「あったっけって……も、もしかしてここにある本を全部知ってるの?」

みゆき「そうだよ、ここのコーナーに置いてある本は全部読んじゃったし、何が置いてあるかは大体分かってたはずなんだけど……」


みゆき「なにこれ……『ヤギとオオカミ』の絵……?」


ウルフルン「見つけたぜェエ~……キュアハッピー……!!」

みゆき「!!」


┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨


ウルフルン「よぉ、久しぶり……だな……」

みゆき「オオカミさん……」

やよい「バ、バッドエンド王国!?」

ウルフルン「テメーだ」ビシィッ

みゆき「え?」

ウルフルン「テメーに会ってからだ……全部『ケチ』がつきはじめたのはよォォォォ……」


--

ウルフルン『キュアハッピーの抹殺だぁあ~!? なんであんなのに構うんだよ』

ジョーカー『考えてもみてくださぁい? 彼女がすべての始まりであり、同時に……あなたが今そんな風になっている原因でもある……。そうは考えられませんか? え?』

ウルフルン『!!』

ジョーカー『キュアハッピー……星空みゆきさんがプリキュアになってからの行動は恐ろしく速い……』


ジョーカー『いち早く仲間を集め、プリキュアチームをまとめ、リーダーシップを取り指示を出して戦う……。あるんですよ、彼女には、あの平凡な顔の裏に隠された……』


ジョーカー『支配者の顔が』


ウルフルン『……』ゴクリ

ジョーカー『思い当たるふしがあるのではないですか~? 追い詰められた他のプリキュアを……誰が叱咤し、誰が励まし、誰が支えてきたか……。
そう、他ならぬキュアハッピーです』

ジョーカー『チームの精神的柱ほどやっかいなモノはありません。
何度痛め付けても、ああいうムードメーカーを兼ねたリーダーがいると、しつこくチームがよみがえってしまうんですよねェエ~? ほんと、困った困った!』


ウルフルン『……ってことはよー、アイツさえぶっ殺しちまえば……』

ジョーカー『はい、柱が崩れればあとはバラバラ♪ プリキュアはおーしまい♪ 我々の勝利でェェーすッ!!』

ウルフルン『……そうか……言われてみりゃあ確かに……』

ウルフルン『そうだよなあァァァァ!?……確かにその通りだぜ、アイツと会ってから……』

ウルフルン『まっったく! 良いことがねえッ!! 1度もだッ! 
ムカつくがよォォォォ……やっとわかってきたぜ。……俺にとって、アイツこそがッ!』




ウルフルン『なんとしてでも倒さなきゃあならねえ『宿敵』だってことがなッッ!!』






--




ウルフルン「テメーを始末すりゃあよ……俺はもう一度返り咲けるんだ……だから……何がなんでもテメーを……」


ウルフルン「ぶっ殺すぜッッ! プリキュアッ!! さあおっ始めようじゃ」ピシィッ



司書「図書館ではお静かにィィッッ!! ……ね。 二度も言わせないでくださいよ?」ガッ



みゆき「……」

やよい「……」

ウルフルン「……お、おっ始めよーじゃあねーかァ~?」ヒソッ

みゆき「無理しなくてもいいよ?オオカミさん」ヒソッ

やよい「かわいい」ヒソ

ウルフルン「うるせっ! ……ん?」ヒソ


ポゥウウウ……


ウルフルン「なんだあ? そのピカピカ光ってる本は? 珍しいじゃあねーかよおい」

みゆき「え? わ、わ、なにこれ? 本が光ってるッ!?」


やよい「みゆきちゃん! な、なんか変だよその絵本~!」

ウルフルン「絵本……まさか……プリキュアに関係が……」

ウルフルン「……まさかッ! その絵本が『アレ』なのかよ!? 『ミラクルジュエル』ってえのはよォォォォ!!」

みゆき「『ミラクルジュエル』……?」

ウルフルン「へ、ちょうどいいじゃあねーかよコラ……テメーを始末するついでにミラクルジュエルまで手に入れちまえばよォォォォ?」

ウルフルン「もう俺の天下だッ! 誰にも文句は言わせねー……ジョーカーであっても黙らせてやるぜ────ッ!!!」ガバァッ

みゆき「いやぁああああああ!?」

やよい「みゆきちゃああああああん!?」



ウルフルン「オラッ! とっととそれ渡せコラッ!! 放しやがれェェ────ッ!」グイグイ

みゆき「ちょ……ッ!? だ、だめだってば! そんなに引っ張ったら本が破けちゃうよぉ!」グイグイ


やよい「端から見ると子どもが取り合いっこしてるみたいだよ……」ヤヨーン……

ウルフルン「いい加減放しやがれテメェェ……!!」グググ

みゆき「だから引っ張っちゃダメだってば……!!」グググ


つるぅぅんッ!


みゆき「はぅわあっっ!?」ステーン

ウルフルン「ウオワッッあぶねッ!?」ツルーン

やよい「ああッ!? みゆきちゃんがこんなときに出さなくてもいいドジっこ性能を出したッ! これはあざといィィ!!」

みゆき「いや、やよいちゃんに言われたくなああああああああああ!?」

ウルフルン「おおおおおおおっっ!?」


ドシィィン……



ウルフルン「イテテ……! こ、こらテメー……! だいたいなにもねー所でスッ転んでンじゃあねッ…………ッッッ!?」フニン

ウルフルン「………!!!」

フニン フニン

やよい「みゆきちゃん、だいじょ……!? は、はわわわわわわわ……!?」カァァ

ウルフルン「(こッ……この『感触』はッ! うっすら『ふくらみ』のある柔らかい『感触』はッ!)」フニフニ

ウルフルン「(先っぽにコリコリと弾力のある心地よい感触の『これ』は、まさかァアッッ!!?)」コリコリィ

みゆき「オ、オオカミさん……っ。 んッ」ビク

ウルフルン「うおああああああああ!?」ガバァッ

みゆき「うう……」

ウルフルン「ち、違う! これは俺のせいじゃあねェェェェェェ!! オ、オメーが転んだせいで────」

みゆき「オオカミさん……」

ウルフルン「はッ……!?」





みゆき「……痛いよ……」グスッ



ウルフルン「──────!?!?!?」ピシャァアアン



この時! ウルフルンの全身を電流が走った!
それは彼が今まで感じたことのない『奇妙な感覚』であった。
まさに『黄金体験』ッ!!



みゆき「……」ジー

ウルフルン「うお、お、お……な、何みてんだよ……」

みゆき「……じー」

ウルフルン「わ、わかったよ……その、なんだ……わ、わり」

やよい「いい……スゴクいい!! いいラブコメ!! 
シチュエーションといい甘酸っぱさといい、こういうの良好! はかどる! ベネ!」シュババババババ

ウルフルン「オメーはスケブにナニ描いてんだァァ────ッッ!? 
やめろ描くんじゃねェェ────ッそして忘れろォォォォォ!!」



ビッカァァアア─────ッッ!!


みゆき「うわあっっ!?」

ウルフルン「ウオオ!? な、なんだぁァアア~!?」

やよい「ほ、本がッ!? 今までよりももっと強い輝きをッ!?」





ウルみゆ「うきゃあああああああああ!?」ズキューン


……………
………
……



やよい「う、うう……なにが起こったの~……? ねえ、みゆきちゃん……?」

やよい「……あれ?」

ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ


やよい「みゆきちゃん、どこ? あれ、オオカミさんも……」


ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ


………
……


ウルフルン「…………」

ウルフルン「う、うう……!? 俺は一体……なにが……」ググ

ウルフルン「そうだ……『キュアハッピー』だ……! キュアハッピーのおっぱ……って違う!」

ウルフルン「アレだッミラクルジュエルッ! 何処へ行きゃあがったんだコラッ!?」

ウルフルン「……『何処へ』?」



ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ


ウルフルン「……こっ……ここはっ!」





ウルフルン「ここは何処だァァァァ────ッッ!!?」






再び図書館ッ!


やよい「ふ、二人ともどこいっちゃったのォォ~?」オロオロ

やよい「とつぜん『光』が……ば────ってなって……それで……うう、何がどうなってるのかわかんないよ……」グスッ

キラッ

やよい「うん?」

絵本「」ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ

やよい「みゆきちゃんが持ってた絵本……も、もしかしてこれが原因……!?」

やよい「もし、こ、これが原因なら誰かに……そうだ! ポップに見せればなにかわかるかも……!! は、はやく行かなくちゃッ!」


チョイチョイ


やよい「だれっ!?」




┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

司書「……」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨


やよい「ひいいっ!?」ビクゥーン


司書「このメスガキが俺をなめてんのかッ!? 何回言わせりゃあ理解できんだコラァ!!」クワッ

司書「ド低脳がァ────ッ!!」グワァアア


やよい「ごごごごめんなさァァ────いッッ!!?」ピューン



七色ヶ丘市名所その②
『七色ヶ丘図書館』
行き方:おせーて! おせーてくれよォ!

市内で唯一の図書館
閑静で古風な雰囲気が味
みゆきはひまがあればここに来て絵本を読んだりしている
絵本コーナーだけでなく、古い童話集などのコーナーも充実している
最近、司書が物静かで知性に富むが非常にキレやすい美青年に替わったらしい

いったんここまでです
続きは夜の予定です

続きを投下します


その頃、ウルフルン!!



ウルフルン「じょ、冗談……じゃ」ゼェゼェ

ウルフルン「ねェェ────ぞォォォォッッ!!
なんなんだここはァァァァ!? 歩いても歩いても木、木、木ィィィィッッ!!」

ウルフルン「……おいおいおいどーなってやがんだこれはよォォォォ~? 俺は確かに図書館に居たんだぜ……それがどーしてこんな森ん中に居るんだッ!?」

ウルフルン「やっぱりあの本……『ミラクルジュエル』とは関係ねーのかぁ? でも、あれのせいとしか思えねーが……」



ウルフルン「……んん? なんだぁありゃ」


ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ


それは! 森にそぐわぬ一軒家!
まるで中世ヨーロッパの童話から飛び出したかのような趣がそこにはあったッ!


ウルフルン「なんでこんな……『森の奥』に家があるんだ……? おかしいぜこりゃあよ」


♪~♪♪~……


ウルフルン「誰か出てきやがった……! っておい、アイツ……」



みゆき「わたしは~♪ おかあさんヤギ~♪ みんなのやさしいヤギのおかあさん~♪」ランラン




ウルフルン「キュアハッピー! アイツもここに……つーかなんだあの格好は? 頭に角が生えてるぜぇぇ~? ケケケ、まるでヤギだなありゃ」

ウルフルン「……」


ウルフルン「ヤギ?」


ウルフルンは気づいていなかった! 自身の運命が示す避けられぬ出会いを!
これから自分に待ち受ける過酷な試練の始まりを!




不思議図書館ッッ!



あかね「……で、これがその絵本てわけか? なんや怪しいもん持ってきたなあ」

やよい「うん、スゴい光がこれからバーって光って、気がついたら二人とも……」

なお「これ……もしかしなくてもメルヘンランドのものだよね……。
みゆきちゃんと、バッドエンド王国のオオカミもこれのせいでどっかに行っちゃったんだ」

キャンディ「クル~……みゆき心配クル~……」

れいか「問題は、これが一体なんなのか、そしてみゆきさんは無事なのか、です」

キャンディ「れいか……」


れいか「今、ポップさんがメルヘンランドからこちらに向かっています。なにかわかれば良いのですが……」

あかね「せやな……こればっかりはうちらにはどうにもならへん。こーいうのの専門に調べてもらわんと」

やよい「ポップ……まだかなあ」


ポップ「皆の衆! 待たせたでござる!」

4プリ「ポップ(さん)!!」


ポップ「話は聞かせてもらったでござる。しかし、これはやっかいなことになってしまったでござる……」

あかね「ポップ、みゆきは一体どこに行ってまったん?」

やよい「みゆきちゃんは無事なのッ!?」


ポップ「落ち着いて。みゆき殿なら無事でござる。そして……みゆき殿はこの中にいるでござるッ!」つ本

なお「ほ、本の……中ッ!?」

れいか「ポップさん、どういうことですか?」

ポップ「これはメルヘンランドに伝わる『はじまりのオオカミと七匹の子ヤギ』でござる」

4プリ「『はじまりのオオカミと七匹の子ヤギ』?」

ポップ「このページを見るでござる」パラッ


みゆき『わたしィィ~はやさし~いおかあさん~♪』ランラン


あかね「み、みゆきやッ!!」


ポップ「みゆき殿はオオカミと七匹の子ヤギの世界に入り込んでしまったでござる」

れいか「ポップさん、この本は一体……」

ポップ「この本は世界中のオオカミと七匹の子ヤギの本と繋がっていて、その全ての絵本の幸せの源なのでござる。
もし、この本が悪者の手に渡ってしまったら……」

なお「ね、ねえちょっと……これって……もしかして……」

れいか「なお、どうかしましたか?」

やよい「ま、まさか……!?」




ウルフルン『ここは何処なんだァァァァ────ッ!?』



あかね「オオカミがアイツやァァァ───ッ!?」

ポップ「バッドエンド王国ッ!? まさかもうこの本の結末を変えようとしているでござるか!?」

なお「結末を変えるって……どういうことなのさ?」

ポップ「もしも、このはじまりの本の結末をバッドエンドに変えてしまったら、世界中の全ての『オオカミと七匹の子ヤギ』の結末がバッドエンドになってしまうでござる!」

やよい「そんな、それじゃどうすればバッドエンドにならなくて済むの?」

ポップ「物語の結末通りに話を進められれば問題ないでござるが……バッドエンド王国の者が必ず邪魔をしに来るでござるな」

れいか「それでしたら、やることは決まっていますね」


あかね「れいか、なんかええ考えでもあるんか?」

れいか「『私たちも物語の世界に行く』……これがベストな判断だと……思います」

やよい「わたしたちもッ!?」

なお「……まあ、みゆきちゃんを放っては置けないからね」

れいか「ポップさん、可能でしょうか?」

ポップ「確かに……皆の衆が一丸となって事に当たれば、バッドエンドから守れるかも知れないでござる」

キャンディ「お兄ちゃん、そうじゃないクル」

ポップ「キャンディ?」

キャンディ「ここにいる皆は『みゆき』が『大好き』で、『心配』なんだクル。キャンディもみゆきが大好きクル。
物語の筋書きはどうしようもないかも知れないけど、みゆきのいのちには替えられないクル!」

ポップ「キャ、キャンディ……そのような立派な考えを……! 兄は嬉しいでござる!!」


あかね「せやな、何はさておき今はみゆきや! うちらの大切なともだち、はよ助けに行かんと!」

やよい「そうだね! みゆきちゃんには今までいっぱい助けてもらったんだから、今度はわたしたちが助けなきゃ!」

なお「ともだちは助けなきゃッ! 筋を通すなら今だと理解したよ!!」

キャンディ「みんなでみゆきを助けに行くクル~!!」

れいか「みなさん、少々お待ちを。見てください、どうやら物語に動きがあったようです」

あかね「ん、これは……?」


……………
………
……



ある所にお母さんヤギと七匹の子ヤギが暮らしていました。
ある日、お母さんヤギは街へ出かけることになり、子ヤギたちに「誰が来ても、決してドアを開けてはいけませんよ」と注意して家を出ました。


みゆき「じゃあ、みんな! わたしはこれから街に買い物に行くから、いいこでお留守番しててね♪」

みゆき「あ、後ね、誰が来ても決してドアを開けちゃダメだからね! 
悪いオオカミさんが来て、みんな食べられちゃうから!」

みゆき「じゃ、いってきまーす!!」ランラン


ウルフルン「……」コソッ





ウルフルン「……やっぱり、これってよぉ……アレだよなあ? うん、『アレ』」

ウルフルン「オ、オオカミと七匹の……くっ、お、俺が出る話じゃあねーかッ! 胸くそわりーぜチクショウがッ!」

「ねぇねぇオオカミさん」

ウルフルン「しかも、よりによってッ! アイツが……キュアハッピーがメスヤギだとォ~? 主役じゃあねーか、ますます気に入らねェェェェぜッ!!!」

「ねぇねぇねぇったら、オオカミさん」

ウルフルン「うるせーぞッ!! 今考え事してんだよおおおおおおああああああああ!?」ビクゥーン

みゆき「えへー♪」


ウルフルン「ななななんでオメーここにッ! ここに居やがるんだァア!? 街に行ったんじゃあねーのかコラァアッ!?」

みゆき「だってぇ~、オオカミさんいつまで待っても家に来ないんだもん。ほら、早く『家を訪ねなきゃ』それが『筋書き』だよ?」

ウルフルン「筋書きっておまえ……今、この状況がどんだけおかしいか分かってんのか?」

みゆき「ヤギのおうちに狼がやって来ますが、狼のがらがら声で『お母さんですよ』と言っても子ヤギたちにはすぐに見破られてしまいます」

ウルフルン「おい、オメー話聞けよ」

みゆき「そこで狼は店でチョークを買い、それを食べてがんばって声を変えます。……子ヤギたちを騙すために」

ウルフルン「お、おい」


みゆき「はい、オオカミさんチョークだよ♪ ちょっと早いけど買ってきたの♪」ス

ウルフルン「なんでオメーがこんなモノをッ!? つーかバカかオメーは!! チョークで声が変わるわけねーだろ!!」

みゆき「」うるうる

ウルフルン「ハッ!?」

みゆき「……オオカミさん、イヤなの……? ダメだよ、悪いオオカミさんは『チョークを食べる』の。筋書き通りに……」うるうる

ウルフルン「いやオメー……でもチョークはさすがによぉぉぉ……」

みゆき「うぅー」うるうる

ウルフルン「……ま、まあどーしてもってゆーならよぉぉぉ……
……食ってやっても……いいぜ……な、なんて」

みゆき「ほんと!?」パアア

ウルフルン「う、うむ」


みゆき「オオカミさん、ありがとうッ!」ダキィッ

ウルフルン「お、おお、わかったからよ、さっさと寄越せよなオメー」


みゆき「じゃあこれ全部食べてね♪」ジャラジャラ


ウルフルン「ブフォウウッッ!?」


みゆき「一本じゃあ足りないと思って、いっぱい買ってきたんだ~♪」

ウルフルン「ちょ、待ておま、その量は……ッ」


みゆき「声を変えるって筋書きは辿らなくっちゃあダメなんだよ……? だって、それが物語なんだもん。
ホラ、『いっぱい買ってきたから』がんばって食べよう? ね?」ジャラジャラ

ウルフルン「」

みゆき「食べようね♪」ニコォ


ウルフルン「」ゾォォ




ウルフルン「じょ、ジョーダンじゃあねーぜっ!? 付き合いきれるかってんだ!!
第一よく考えたらなんでオメーの言うこと聞かなきゃあならねんだコラァア!?」


ガシィイイイイッッ!!


ウルフルン「ウオオオオオオオオオッ!?」


みゆき「ダメだよ……いっぱい買ってきたんだから……食べなきゃ。ね?
だいじょうぶ、ちょっとガマンすればいいの。すぐ終わるから」グググ

ウルフルン「ムグゥウウオオオオオオ!?(コイツ、変身してもいねーのになんてパワーだ!? ビクともしねェ────ぞ!?)」グググ


みゆき「はい、アーンして♪ アーン♪ アァァァァァァン♪」グイグイ

ウルフルン「ウグオアアアアやめろオオオオおおおおおお!!! 口を開けるんじゃねェェェェ────ッ!!」グイグイ

グパアアアア

ウルフルン「はがァアああああああ!?」クパー


ジャラジャラジャラジャラァァァァ


ウルフルン「ウグオエエエエッッ!!? オグウフオゥウウ」ジャラジャラ

みゆき「はい、よくかんで食べてね? カーミカーミしようね♪ カーミカーミ、カミカミ♪」グイグイ


ウルフルン「ウゴゲエエエエエエ─────ッッ!!?」バリボリバリ



みゆき「はい、ごっくん♪ ……ん、良くできました! これで声も良くなるよ、オオカミさん♪」

ウルフルン「ぼへぇえあっっ!? ふ、ふざけんな……声なんて変わるわけ……」ゼェゼェ

みゆき「あれ、おかしいなあ? 声が変わってない……まだ『足りない』のかな」ハテ

ウルフルン「─────」

ウルフルン「……な、なんてこった!? 声がまるで天使のようなソプラノボイスにッ!(夢の国のネズミ風)」

みゆき「わぁあああスゴォオオオオオイッ!! グーだよオオカミさんとってもグー♪」

みゆき「はい、それじゃあ玄関まで行ってきて、おかあさんヤギの真似してね? あ、逃げちゃあダメだからね、逃げちゃ」

ウルフルン「お、おぉぉぉう! 任せとけ。
うん、スゲー任せとけよなァアびしっと決めて来るぜチクショー!(よぉぉぉぉしっ逃げんなら今っきゃねーぜッ!)」スタスタ


ウルフルン「(まずはコイツからなるべく距離を取ってから、一気にトンズラして……)」スタスタ

みゆき「えへへ♪」スタスタ

ウルフルン「……お、おう、なんでオメーまで一緒に付いてきてんだよ?」

みゆき「オオカミさんがちゃんと筋書き通りにするかどうか見てあげるんだよ?」ウデクミィ

ウルフルン「────」

みゆき「がんばって! オオカミさん♪」ニコォ

ウルフルン「……へ、へへへ」








ウルフルン「─────なんでだァアああああああッッッ!?」







現実世界ッ!


4プリ「」ガタガタガタガタガタガタ

キャンディ「」ガクガクガクガクガクガク

ポップ「」ブルブルブルブルブルブル

やよい「ね、ねえキャンディ、オオカミと七匹の子ヤギって、こんなお話だったっけェェ~……?」ガタガタガタ

キャンディ「キャ、キャンディこんなお話知らないクル~」ガタガタガタ

あかね「なんやこれ……メルヘンなはずの絵本がサイコホラーみたいになっとるやん。
これぜったい子どもに見せたらアカンヤツや……」ガタガタガタ

れいか「なお、大丈夫ですか? 顔色が真っ青ですが……」ガタガタガタ

なお「れれれれれいかこそかかかっかか体が、震えてるよっ!?」ガタガタガタ


ポップ「まさか、みゆき殿にこれほど強靭な精神力があるとは……。
きっと、物語の正しい筋書きを通すために恐るべきパワーを発しているのでござる」ガタガタガタ

あかね「冷静に分析しとる場合ちゃうで。これこのままじゃどうなってまうん? オオカミもう死にそうやん。序盤で死んだら話終わってまうやん」

ポップ「う、うむむ、やはり絵本に入って、みゆき殿の暴走を止めるしかないでござる。
このままだと物語そのものが恐ろしい結末を迎えてしまうでござるな……」

ポップ「皆の衆! やはりここはそなたらがなんとかするしかないでござる!」クルゥリィ



4プリ「」ドンビキィー



ポップ「あれェェッ!? さっきまでやる気に満ち溢れてたのになんでそんな遠くに引いてるでござるか!? 友だちでしょそなたら!」


あかね「イヤ……せやかて、なあ?」

やよい「わざわざ死にに行くみたいなモノだし……」

なお「無理無理無理ィィ!? ダメなの! あたしああいうの絶対無理なの!」ギュゥゥ

れいか「よしよし、なお」ナデナデ

キャンディ「キャンディまちがってたクル。みゆきはきっと助けなくてもなんとかなるクル~」

ポップ「冷たい! なにこの手のひらの返しよう!? さっきまで熱いこと言ってた連中とは思えないでござるゥゥ!!」



「ほんとだわさ。仲間って言っても所詮その程度の関係かい?」

「これじゃあ俺たちのほうがまだ優しいオニ!」



なお「あ、あんたたちは!?」

やよい「バッドエンド王国!!」


マジョリーナ「あの本の気配を感じたと思ったら、ウルフルンに先を越されちまったわさ」

アカオーニ「このままアイツに手柄を取られてたまるかオニ! さあ始まりの絵本を渡すオニ!」バッ

れいか「あ、お待ちなさい! 手荒な行為は許しませんよ!」

ポップ「本を渡してはダメでござる!」バッ

れいか「わかってます!」


ガシィイイイイ

マジョリーナ「ええい、放しな小娘! これはあたしたちのモンだわさ……!」グイグイ

れいか「あなたたちに渡す道理などありません……!」グググ

やよい「ちょ、ちょっと二人とも、本をそんな風に引っ張ったらダメだよ?」オロオロ

あかね「なあ、アレ破いてもうたらどうなるん? もしかしてみゆき、ずっと出てこれなくなるんちゃうか?」

なお「こ、怖いこと言わないでよ!?」ブルッ


アカオーニ「なにやってるマジョリーナ! 俺に任せろオニ!」グイ



マジョリーナ「ま、待ちな! バカ力のあんたが引っ張ったらほんとに破け……」

アカオーニ「誰が『バカ』オニ!?」グイッ


ビリィィッッ


アカオーニ「あ」

マジョリーナ「あ」

れいか「」

3プリ「え?」

キャンディ「……破けちゃったクル~」



ポップ「イヤイヤイヤなにやってんだおまえらァァァァ!?」



ビッカァアアアア────ッッ!!



なお「うわあなんだこの光────ッ!?」


あかね「破けたページから溢れてきとる!! な、何がどうなっとんのやァァァァ!?」

れいか「これは……私……私のせい……?」オロオロ

やよい「れいかちゃんしっかりしてェェ────ッッ!?」



────キャァアアアアアアアア!?



……………
………


ポップ「ひ、光が収まったでござる……皆の衆、大丈夫でござるか……?」

ポップ「……あれ、皆の衆?」



再び物語の中ッ!




みゆき「さあオオカミさん、ドアをノックしたら『ただいま~♪ おかあさんですよ、ドアを開けてちょうだい♪』って言うんだよ! ね、わかった?」

ウルフルン「なんで俺がそんなこと……」

みゆき「オオカミさん、声」ニコォ

ウルフルン「ノックしてもしもお~~~しで良かったかしらッ!?
だからそのスマイルはやめてとっても怖いのォォォ!?(夢の国のネズミ風)」




ウルフルン「あーテステス……よし、いっちょやったるかァァ」

トントン

ウルフルン「ただいまァァ~ン♪ おかあさんですよォ?ドアを開けてちょうだァァ~いン♪」


シィィ────ン


ウルフルン「……返事がねーな」

みゆき「あれぇ? おかしいなー? ここは子ヤギちゃんたちが『おかあさんの声だ~』って言う所なのに」

みゆき「オオカミさん、リテイクゥ……!」びし

ウルフルン「あー? またやんのかよったく……」ゴホン


ウルフルン「ノックしてもしもお~~~し? おかあさんよォォォン♪
今ならおみやげでテキーラ酒もあるわよぉん? だから開けてちょうだぁいんッ」ムホ

「なんでヨーロッパのおとぎ話にテキーラが出てくんねん!」

ウルフルン「は? そういうオメーはなんで関西弁……て誰だ!?」

みゆき「あれ? あかねちゃんの声だ」

「返事してんじゃあねーだわさこのスカタン! ストーリーがすすんじまうだわさッ!」

ウルフルン「ばあさんの声ッ!?」


「キャンディ、あんた結局ヒツジなの? それともヤギ?」

「キャンディヒツジさんでもヤギさんでもないクル~!」プンスカ

「お、俺の体がこんなにちっこくなっちまったオニ!?」

「わあ、オニさんかわいい~!」

「バッドエンド王国の皆さんまで来てしまうとは……それに私たちのこの格好は」



ギャーギャー!!
クルゥゥ



みゆき「み、みんなの声……もしかしてッ!?」




バターンッッ!!


やよい「あーみゆきちゃんだァァ~! よかった~! もう会えないかと思ったよ~」ビェェ

みゆき「やよいちゃんッ!? その姿……か、かわいいっ!
じゃなくて、どうして『この世界に』……!?」

やよい「わたしだけじゃないよ……」

あかね「なんやうちらも」

なお「巻き込まれちゃったみたい。……はは」

れいか「すみません……私の責任です」

キャンディ「みんな子ヤギさんクル~♪」


ウルフルン「なんでオメーらまでこっちに来てんだッ!? そんでもってなんでオメーらが子ヤギなんだよ!?」

マジョリーナ「ケェーッ! 抜け駆けは許さないよ!」

アカオーニ「オメーだけに手柄はやらねえオニ!」

みゆき「いち、にい、さん……うん、全部で七匹だね? そっか、みんなが子ヤギさん役なんだねー♪」

あかね「これもうオオカミと七匹の……なん? ヤギ要素ほぼ無いわ。ヒツジとオニと魔女が混じっとるやん」

キャンディ「だからキャンディヤギさんじゃないクル!」プクゥ

あかね「それはもうええっちゅうねん!!」

ウルフルン「なんなんだよ……このグレートにカオスな展開はよォォォ?」

寝落ちしてしまったので続きはお昼頃投下します。




みゆき「あーそっかぁ~? みんなも物語の筋書きを通しに来たって」



全員「!!」


┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

みゆき「ことだよ……ねェェ~? なんだか嬉しいなッ! みんなと一緒に絵本のお話をやれるなんて」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨


あかね「み、みゆき? うちらは別に遊びに来たんとちゃうで?」

みゆき「えー? でもでも、みんな子ヤギさんの『役』でしょ?
『役』は決められた通りにこなさなきゃダメなんだよ?」

あかね「みゆき……?」


みゆき「だって、ここは『物語の世界』なんだもん。物語をハッピーエンドにするには、『正しい筋書き』を辿らなきゃあ……ね?
わかる? これは『正しいこと』なの。みんなハッピーになるために必要なことなんだよ♪」

やよい「みゆきちゃん、何言ってるの? 今のみゆきちゃん、なんだかこわいよ……」

なお「なんか、ヤバいよこれ。みゆきちゃんフツーじゃない」

れいか「もしかしたらですが、物語の世界に来たことで、みゆきさんの精神が何か影響を受けているのかもしれません」

ウルフルン「それってよぉ、ワリー方向にだよなあ? あれ見ればわかるぜぇイヤでもよォ」

アカオーニ「なんだオメー、ずいぶんげっそりしてるオニ」


みゆき「あ、そーだオオカミさんッ! ちょっと早くなったけど、みんなに姿を見られちゃったね。だから、早く『済ませちゃって』もいいよ?」

ウルフルン「はあ? なんの話だよ」

みゆき「もー、忘れちゃあダメだってば。『姿を現したオオカミはこどもたちを次々と食べてしまいます。助けておかあさん!
こどもたちの悲鳴をよそに、とうとうオオカミは六匹の子ヤギを丸のみにしてしまいました』……だよ?」



全員「!!!!」



みゆき「無事だったのは、柱時計に隠れていた末っ子だけでした……。んー、キャンディが一番ちっちゃいから、キャンディが末っ子だね? じゃあみんな、『キャンディ以外は全員オオカミさんのお腹に』─────」

あかね「ちょちょちょい待ちみゆきィィ! 落ち着かんかい!?」

なお「そ、そーだよッ! みゆきちゃん冷静になって!!」

みゆき「え? なにが?」キョトン


あかね「いくらなんでもあんな腹ん中入れるワケないやん! うちら下手したら死んでまうわ!」

みゆき「だいじょぶだよー。ここはファンタジーやメルヘンの世界なんだから。ちょっと狭いかもしれないけど、お腹に入ったくらいじゃあ死なないよ。たぶん」

あかね「『たぶん』じゃあないわァァ!? ほんまにやったらマジでアカンことになるわッッ!!」

れいか「みゆきさん、体格的に考えて私たちがオオカミさんのお腹に入るとは思えないのですが」

やよい「そ、そうだよね、何もそこまで『筋書き通り』にしなくてもいいんじゃないかな」

なお「うん、こればっかりは直球じゃなくてもいいと思う」


アカオーニ「だいたいなんでオメーの言う通りにしなきゃならねーオニ!?」

マジョリーナ「そうだわさ! そもそもあたしたちはこの絵本を『バッドエンド』にするために来たんだわさ!」

マジョリーナ「ハッピーエンドなんかこの手で『ぶち壊して』─────」


みゆき「─────え?」キロリ


マジョリーナ「………!!!」ゾワァ

ウルフルン「ば、ばか、オメー……」ゾク




みゆき「なあに? 『バッドエンド』? ハッピーエンドを『ぶち壊す』? ……って言ったのかなあ? 聞き間違いじゃあ無ければ。
……どうしてそんなこと言うのかなあ?
ダメだよそんな、カスみたいなことをのたまっちゃあ」ブツブツ


なお「……これは」

あかね「アカン……とてつもなくアカン気がする……」ゾク




みゆき「ねえ、魔女さん? 魔女さんは今子ヤギさんなんだよ?」

マジョリーナ「は……?」

みゆき「子ヤギさんは『食べられる』のが『役割』なの。それが決定されてるの。
……なのにあなたはそれを『無視』しようっての?
せっかく与えられた役割なのにッッ!?」

マジョリーナ「お、おまえ、何を」

みゆき「……ねェェ~……? もしかしてみんなも『そう』思ってたり……するのかな? 役割や筋書きってのは『無視』しても構わない軽いものだって……」ワナワナ

やよい「みゆきちゃんッ! 思ってない! わたし全然そんなこと思ってないよォォォ!?」ガタガタ


みゆき「思ってるよね……。うん、きっと思ってるからそんなこと言えるんだよね……もう、しょうがないなあ。
『おかあさん』……悲しくなっちゃったなァァッッ!?」クワッ



みゆき「なんて! 頭の悪い子たちでしょうッ! ガボッ! あなたたちにはこの物語が、そんな程度の低い存在に見えるの? ガボガボ」



やよい「あヒィイイイイイ─────ッッ!!」ビクゥーン 

れいか「みゆきさんッ! みんなを困らせてはいけませんよ!? それに今のあなたは普通ではあr」

ハッピー「当て身」トン

れいか「はぅ……」パタリ

なお「れいかァァ─────ッ!?」



あかね「みゆきッ……いつのまに変身したんやッ!?」

ハッピー「ここは空想の世界……『やろうと思えばできないことはない』んだよ?」

ハッピー「連続当て身」トトトン


あかね「そんなんあり……か……」パタリ

なお「筋が通ってない……」ドサ

やよい「ごめんなさいごめんなさいごめんなさ」バタ


ハッピー「さて」クルゥリィ

ウルフルン「ヒィイイイイイッッ!?」

アカオーニ「こ、こ、こ、コイツ、マジでヤベーやつオニ!?」


マジョリーナ「あ、あたしゃ付き合ってられないよッ!? 今日はさっさと帰る」

トトン

アカオーニ「おふぅ」ドサ

マジョリーナ「だわ……さ」ドサ


ハッピー「こォォォれで準備はオッケー……。だね、オオカミさん?
ちゃんと食べやすいように『静かに寝かしつけてあげた』からさ、ホラ、ぐいっといっちゃっていいよ? 『カービィ』みたいに」スタスタ

ウルフルン「」ガタガタガタガタ


ハッピー「あ、カービィじゃ吸い込みになっちゃうよね? でも、三匹の子豚のオオカミさんの肺活量ならいけるんじゃあないかな。うん、いけるよいける。……だから」スタスタ

ウルフルン「……お」




ハッピー「がんばってハッピーエンドにしようね? オオカミさん♪」ハッピー♪




ウルフルン「俺のそばに近寄るなああ─────ッ!!」




←TO BE CONTINUED……////

以上で前半終わりです
後半はウルフルンさん大活躍
というか主役です

そろそろ投下します
ハグプリが終わってしまった……
もう夢も希望もねえ……
スマプリ終わった時も同じこと言ってたよ
それがプリキュアロス





これは現実?

それともただの幻想?

地滑りに会うように

現実から逃れることができない

さあ目を開けて

空を見上げてみよう







【Rapsodia Parte2】





ウルフルンは元からバッドエンド王国の一員と言うわけではなかった。

彼も昔から拗れていたわけではなかったし、人並みに幸運を追いかけていた時期もあった。

それが『当然』だと思っていたし疑問にも思っていなかった。
そしていつか自分も幸福になれると信じて生きていたのだ。

しかし、時を経るにつれて彼もこう思うようになる。
『この世には如何なる努力や行動をもってしても変えられない定めというものがある』と。

ウルフルンが人生に絶望し、泥沼に沈むかのように『漆黒』に染まるのに時間は掛からなかった。

ウルフルンは思う
『生まれてきた者には平等に報われる機会があるはず』ではないのかと。
そうでない自分は、果たして生きている意味があるのか?
苦しむために生きているのか?
なんのために生まれたのか?

まるで世界から爪弾きにされているような疎外感を自覚し、生きる意味を失ったウルフルンの胸中に生まれたのは





世界に対する『怒り』の炎だった







チク……タク……
  チク……タク……


ウルフルン「─────ハァアッ!?」ガバァッ

ウルフルン「ハーッ! ハーッ! ────うぶ、ぐ、げほっふぉっっ!!」

ウルフルン「────お、俺は……『どうなった』? ……いや、ちがう! そうじゃあねェェ!!」


ウルフルン「『気づいた』!? いつ気を失ったんだ!? それに『アイツ」』も何処に行きやがったッ!?」


ウルフルン「……ウブッ!? う、ぐぐ……。な、なんだ……? 
気分がわりい……。吐き気も……
『体が重てえ』」

ウルフルン「まるで……『無理矢理リンゴを何個も丸のみした』みてーだ。
……丸のみ?」


チク……タク……
……ガサ


ウルフルン「!!」ガバァッ


チク……タク……


ウルフルン「……」

ウルフルン「おまえか……? そこ……その、『柱時計の中』か?」


チク……タク……





…………


よく…… も……


ウルフルン「……!」


よくも……
やってくれたな……クル



ドグシャアァアアッッ!!


ウルフルン「隠れてこそこそしてんじゃあねェ────ぞッッ!!
『そこに居るか』って聞いてんだよボゲがァァ────ッッ!!?」


ウルフルン「ハァ、ハァ……くそったれがよ……」


メェエエエエエエ……クル


ウルフルン「なんだっ!?」




キャンディ「メェエエエエエエエ……。メェエエエエエエエエエエエ……クル」


ウルフルン「妖精……何?なんだ? それは……その鳴き声。
……まさかヒツジか? それとも……」

キャンディ「よくもキャンディのお姉ちゃんたちを食い殺してくれたなああああああクル!
メェエエエエエエエ~~~~~クル!!」

ウルフルン「ヤギッッ!! そうだ末っ子……オメーの役割は確かッ!!」


無事だったのは、柱時計に隠れていた末っ子だけでした……。んー、キャンディが一番ちっちゃいから、キャンディが末っ子だね?


ウルフルン「末っ子のヤギだッ! 末っ子は隠れていたから助かった! オオカミに食われなかったんだッ!」


ウルフルン「そして他の……他の『きょうだい』たちはッ!!」グイッ



メェエエエ……
メェエエエエエエエ~~~~……
メェ……



ウルフルン「俺の『腹の中』だァァ────ッ!?
ちくしょう夢じゃねえ『現実』だッ!?
俺の腹の中にヤギになったプリキュアとマジョリーナたちが居やがるんだッ!!」



キャンディ「アイツはズル賢い奴クル。子ヤギたちを騙して家の中に入ってしまったクル。
そしてアイツはッ!」

キャンディ「七匹の子ヤギを一匹一匹と食べ始めたクル。
唯一助かったのは末っ子のキャンディクル!!」




キャンディ「怒ったのは留守にしてたおかあさんヤギクルゥゥゥゥゥ!!
おかあさんはハサミを持ってオオカミを探しだすとオオカミのヤツのハラワタ引きずり出して」



キャンディ「かわりに石をつめて池に沈めました。クル」



ウルフルン「!!」

キャンディ「ぜんぶ『筋書き』通りクル~」

ウルフルン「こ、こいつ……!?(そうだ……俺は『知ってる』!! 誰よりもこの続きを知ってるだろーが!! 改めて言われるまでもねえ、俺は……ッ!)」

ウルフルン「アイツ……そうだアイツはッ!? 何処に行った!? この後俺はッ! アイツにッ!」


キャンディ「おかあさんが戻って来るぞォォォォォォ!! ハサミを持って。
キャンディたちのおかあさんがァァァァ!! クル」




キャンディ「おかあさんヤギは昼寝をしていたオオカミのおなかをチョキンチョキン」

キャンディ「内臓のかわりに石をつめこんで糸でじょうずにぬいましたぁああああああクル」

ウルフルン「おい! テメーは何勝手に話進めてんだ? それ以上読むんじゃねえェ────ッ!!」

ウルフルン「……!(いやまて、そもそもおかしいぜこりゃあ……。『コイツはなんでこんなことしてる』?
アイツじゃああるめーし、なんで『筋書き通り』にしようとしてやがるんだ!?)」


メェエエエエエエエエエエエ
  エエエエエエエエエエエエエ~~~~~


ウルフルン「!!」ガバッ




ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ


ウルフルン「……ッ」ゴクリ


……チョキ
……チョキ、チョキン


────てメェエエエエエエエエエエエ……


ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ


ウルフルン「来んのかッ! このヤロウッッ!!」


ママー
助けてママー


ウルフルン「お、俺の腹……!? うるせぇぇ───ぞッ! 静かにしやがれッ!?」

キャンディ「まだ生きてるクル!! おねえちゃんたちはおなかの中で生きてるクル~!」

ウルフルン「テメーも黙ってろッ! アイツがもう近くに……ハッ!?」バッ






シィィーン……



ウルフルン「ア……アイツの気配がねえッ!? ヤロウ何処に行った!? ……く、来るならとっとと来やがれくそったれがよォォォ!!」



────ヂョギン



ウルフルン「づっ!?」


ヂョギリ ヂョギ……


ウルフルン「────」

ウルフルン「(まさか……『ウソ』だろ? ちょっと……『ほんのちょっとだけ』……
……目を離しただけでッ!?)」ガタガタ





ハッピー「てめェエエエエエエよくもッ!
よくもわたしのこどもたちをォオオオオオオ!!」ウシャァアアアア





ウルフルン「うおおおおおおおおお!?」グバッ




ドグシャアァアアッッ!!


ウルフルン「おおおおおおおおおッッ!?」グググ

ハッピー「てめェエエエエエエ何ガードしてんだァァァァァァ!?
筋書きどおりハラワタぶちまけさせろォオオオオオオッッ!!」ギリギリギリ

ウルフルン「やめろちくしょぉおおおおおッッ!! そんなことしたらッ! 俺はァアッ!」

ハッピー「『覚悟』してハッピーエンドォオオオオオオにッ! なるんだよォオオオオオオ!?
テメーの内臓ぶっこぬいて石突っ込んだあと、池の底に叩ッ込めば」

ハッピー「みんな! みィイイイイんなッ! ウルトラハッピーィイイイイエンドになるんだからああああああああ!!」ギリギリギリ

ウルフルン「何がハッピーエンドだッ!? 俺が! 俺だけがッ!!『バッドエンド』だろーがちくしょぉおおおおお!!?」ギリギリギリ


ウルフルン「ぐううおあああ!!」ガギンッ

ハッピー「しゃらくせェエエッ! ボゲェエエエエエエ!!」ドグォンッ

ウルフルン「うおおおおコイツは家の中で跳躍をッッ!?」


ハッピー「この狭い家の中! 斜面とか崖を走らせたら、おかあさんヤギにかなうものはいないよォオオ─────ッ!!」グワッ


ママー
ママー ウウー
はやくたすけてー


ハッピー「待っててねェエエエエエエ!? わたしのかわいい子ヤギちゃんたちッ!!
はやくそのクソッタレオオカミの腹ァアかっさばいて助けてあげるからねェエエエエエエ!!」ギャァァァス


ウルフルン「(ドアッッッ!!……ダメだ遠いッ!! すぐに追いつかれちまう!? 逃げられねえ!? 死、こ、殺され……)」




ジョーカー『あなた、また昔にもどりたいんですか?』


ウルフルン「……!!」


ジョーカー『ま! そこまで心が『再起不能』では見込みも薄いでしょう! どうぞ落ち着くまでゆっくりと休んで下さいね~? ……永遠に』



永遠に



────オオカミは『始末』される

『悪役』はオオカミだ

いつだってオオカミだ

だってしょうがねえじゃねーか

そういう『役割』なんだからよ

ずーっと前から決まってたじゃねーか

……でもよォ、俺だってな、最初っから……

最初っから……『諦めて』なかったんだぜ?
せめてフツーの……フツーの終わり方だけでもってよ

ああそーだよ、誰にも言わねーけど、ほんとは……

ほんとは、俺は……







ウルフルン「────誰が戻るかッ諦めるかァァアアアア!? 俺はまだ終わっちゃいねェエエエエエエ!!」グワッ



ドッグォオアアアア─────!!



ハッピー「何イィィィッッッ!?」

ウルフルン「出口がねーなら『作る』!! 壁に穴を空けるくれーのパンチならよォオ~!
わけねーんだぜ~コラァアッッ!!」

ウルフルン「筋書きも物語も関係ねえッ! 俺は、『俺だけの未来』を掴むんだァア─────ッ!!」ドォアッッ

ドドドド……




ハッピー「……逃げちゃったァア~~~……。ダメだよオオカミさんん……『逃げる』なんて筋書きは」

ハッピー「はじめから用意されてねェエエエエエエぞッッ!!? 逃がさねェエ────からなド畜生がアアッ!!」ダダッ






現実世界



ポップ「なぜ……? みゆき殿だけではく、キャンディや他の者まで筋書きを辿ろうとしているでござる?」ガタガタ

ポップ「まさか……」ハッ

ポップ「世界の修正力? 本が破けた事でバラバラになった物語が、再び元に戻ろうとしているでござるかッ!?」

ポップ「みゆき殿の精神力が物語の修正に大きく影響を及ぼしているならば……
世界の修正力とみゆき殿の精神力……それが他の者にまで及んでいる……!? こ、こんな事態になるとはッ!?」


ポップ「このままでは暴走によって大きく物語が変わってしまうでござる! そればかりか皆が帰ることすら……」

ポップ「……いやまて、あのオオカミだけが、みゆき殿の精神力の影響を受けていない。もしかしたら、あの者ならば……」

ポップ「敵とはいえ……皮肉でござるな……」



--


ウルフルン「アイツは『池』ッ! 池に俺を沈めるのが最終目的!!
だったら池から離れちまえば捕まったとしても時間が稼げる!」ダダダ

ウルフルン「まあもっとも『森林』ならよォオ~? オオカミの独壇場だぜッ! このまま逃げきってやらぁああ~!」ダダダ

ズグン……

ウルフルン「おォうフッ!?」ドォアッッ

ズグン……ズグン

ウルフルン「いッッッ……『イテェ』!! 鈍い痛みが腹の底から捻切るように襲ってきやがるううううううおああああああああ!!?」



ウルフルン「ま……まさかっ!?」さっ


ママァア~ウウゥウー
ママァア~


ウルフルン「腹の中のッ! ガキどもが……ッ!? 『暴れて』やがるのかァアア────ッ!?」ズグズグ




ボゴォッッ!!


ウルフルン「おぐぅあああああッッッお、おお~……!?」ボゴォオ

ウルフルン「フゥウッ、フーッや、やめ、暴れるんじゃねえッグアアアアアオオオオ!?」ボッグォン

ウルフルン「ああああぎぃいいいおおおおおおおお!?!?」ジタバタァ



ウルフルン「ウギャアアアアアアアァアア────ッ!!」ゴロゴロ





「ああ、かわいそうに……みんな、はやく外に出たがってるんだね?」


ウルフルン「ハァ、ハァ。……あ、あ?」


┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

ハッピー「でも安心して? おかあさんが……今……出してあげるからッ!!」シャキィイイン


ウルフルン「……や、やめ、やめ」


グサァアアア────ッ!!


ウルフルン「グオワァアアアアアア──────ッ!!?」ブシャァアア




ウルフルン「グオワァアアアアアア──────ッ!!?」ブシャァアア


ハッピー「動かないでッ!? 手元が狂っちゃったら……お腹のこどもたちまで死んじゃうから……ァアアッ!!」クワッ

ヂョギン!
ヂョギンッ!!
ヂョギリ

ウルフルン「アイィイイイイギャアアアアアアアアアッ!!!」ゲホォオオ





ウルフルン「ウグァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア───────ッッッ!!!」





ちょっと休憩
ウルフルンさんアナスィより酷い目に会ってるけど大好きだよ

続きを投下します


ブチブチブチ!!


ウルフルン「ガァアアアアアア……!?」ビクビク


ウルフルン「(イテェ……! 体が焼けるみてーだ……! バラバラに引き裂かれるゥゥゥゥゥ……!!)」

ウルフルン「(また……ダメなのかよォオ……結局、頑張ったって、努力したって『筋書き』は変えられねえ……!)」

ウルフルン「(腹ァア引き裂かれて、石を突っ込まれて、池にドボンされておしまい……。
ハッピーエンドだ。
……ハハハ、ほんと、よくできてんじゃあねーか? 筋書きってのは……)」


ウルフルン「(物語は『絶対』だった。俺はまたダメだった。
何回やってもこうだ。仕方ねえ、腹ァくくるしかねーよ、『覚悟』ってやつさ……)」



ウルフルン「(……覚悟?)」ハッ



俺は何を『覚悟』するんだ?
物語の結末を? 変えられねえ筋書きってヤツをか?

あれ? じゃあ、俺は今まで『覚悟』したのか?
ただ決まっている結末に怯えて、筋書きから尻尾向いて逃げてただけなんじゃあねーのか?

さっきもそうだ、まだ終わってねーとか言っときながら、『アイツ』から……母親ヤギっつー死神からただ逃げ出しただけで……
俺は『戦っていねー』

ケツまくって逃げただけ

……イヤ、ちげーだろ、そこはよォオ

俺は結末が怖くって、ただ何もせずに受け入れんのがイヤで!
バッドエンド王国に入ったんじゃあねーのか!?


幸福なんて、ハッピーエンドなんて大層なもんはいらねえ。ただ、『どうしよーもねえマイナスをなんとかしたかっただけだ』!!

なのによ、俺はまだ、始まってすらいねーのに!
スタートラインにすら立ってねーのに!
何が覚悟だ!? 腹ァアくくるしかねーだァア!?


ウルフルン「(そうだ……今さら腹ァ裂かれた程度の事、俺は何回も、何回も何回も何回も!!繰り返してきてんだろォーがよ……!? なにを今さら……ビビッちまってんだ!?)」

ウルフルン「(恐れるのは退くことだ……この痛みから逃げるな! 『立ち向かう』んだよォオッ!!)」


ウルフルン「腹ァアくくるってのは……」カッッ


ガシィイッッ


ハッピー「えっ?」


ウルフルン「こういう事だァア──────ッッ!!」グバァアアッ


ブチッシャァアア─────ッッ!!


ハッピー「じ、自分でッ! 自分のおなかを引き裂いた!?」


ウルフルン「ぐぅううォオお……。やっぱ、い、イテェ~なあァア~……? 
自分でかっさばくてのはよォオ~?」ブシャァアア

ウルフルン「け、けどよ……俺ァ『覚悟』したぜ……? 筋書きが変えられねーのは仕方ねー。だが、痛みが来るってのをわかってるなら……」ドクドク

ウルフルン「耐えられんだよォオオオオッ!! そうよ、『逆に』考えたんだよッ! 『腹がかっさばかれてもいいじゃあねーか』ってなァァアアアア!?」ブシャッッ

ハッピー「─────!!」



ウルフルン「ゲボッお、お陰でよ……? 腹ン中に溜まってるモン」

ウルフルン「全部引き出せるぜェエエエエエエ良かったじゃねえかぁ手間が省けてよォオ────ッ!?」ブチブチブチ


ズルズルッ!
ドシャァア────ッ!!


あかね「」
やよい「」
なお「」
れいか「」
アカオーニ「」
マジョリーナ「」


ハッピー「みんな……」

ウルフルン「へ、へぇぇへへッ!? 腹ン中がスッキリ……したぜェエエ!? 何より……」


ウルフルン「俺はッ! ようやく『ゼロ』に戻れたんだ! やっと『スタートライン』にッ! 筋書きを覚悟することでェエエッ!!」グバッ

ハッピー「オオカミさん……自分で自分のお腹を引き裂くなんて、今までと違う……」

ハッピー「物語に怯えていた。あのオオカミさんとは違うッ!!」

ウルフルン「言ったろ……!? 『真の覚悟』はとっくに出来たんだよォォ……。
筋書きは変えられなくったってな、俺自身が……『俺が変われば』済むって話……ッ!?」ウプ

ウルフルン「グボッゲホゥオッッ!? は、は……。あんましチンタラしてらんねーな……
次に行かしてもらうぜ……」ズチャ


ハッピー「それは……!?」

ウルフルン「解ってんだよ俺は……!! 何百年も、おんなじ結末を迎えてたんだぜ……!!
テメーよりも遥かに……『覚悟』決める下地は出来てたはずなんだよォォォォォォ!!」

グチャグチャグチャ

ウルフルン「ハッ……ハァ、ハ、石を突っ込んだオオカミは……池にドボンするんだ……。
わかるか? 違いはテメーによってじゃあねぇ。そうだ、俺が……」


ウルフルン「俺が池に突っ込むっ!! ただしこの『青っぱな』と一緒にだッ!!」グチャァアア


ハッピー「オオカミさん!? 自分から飛び込んだッ!?」


ドボォォオオオン!!






……………
………




────水……そうだ水だ……

オオカミは『水』によって終わるんだ。いつだってそうなんだ
赤ずきんのオオカミは『井戸に落とされて溺れ死に』
三匹の子ぶたのオオカミは『煮えた大鍋に落ちて死ぬ』

水は俺にとっちゃ運命なんだ。避けられねー終わりだ!!


だが俺はあえてそこに飛び込むッ!!


自棄なんかじゃあねえッ!!
俺がスタートラインに立つ切っ掛けにするためだ!!


恐怖とは!! 乗り越えるために存在するッ!!
俺は水という恐怖を、結末を乗り越える!!



ウルフルン「出でよアカンベェェエエ────!!」カッッ





アカンベェ「アカンベェェエエ!!」


ハッピー「青い鼻のアカンベェ!?」

ウルフルン「池の水……そのものをアカンベェにしてやったぜ……!! 俺は池に落ちた……『筋書き通り』だ!! だが、そこで終わっちゃいねェエエエエエエ!!」



ウルフルン「今度はテメーを倒すんだッ!! キュアハッピー!! 物語の続きは母親ヤギの死で完結する! それが俺の筋書きだ!! そして本当の始まりだァアアアア!!」


アカンベェ「アカンベェェエエ────ッ!!」グワッ


ハッピー「くぅうっっ!?」サッ


ガギィイイイイイン!!


ウルフルン「オオオオ……!! き、気合い入れろよなァァアアアア!? ここがテメーと俺の」

ウルフルン「正念場なんだからよオオオオおおああああああああああッッッ!!」ゴァアア

アカンベェ「ベェエエエエエエエエ!!!!」ズドドドド


ハッピー「二体による同時攻撃ッ!? ……だけど」

ハッピー「(オオカミさんは既に『満身創痍』。ハラワタぶちまけながら戦ってる。
おそらく長くは戦えない……。それにこのアカンベェ)」

ハッピー「パワーもスピードも、明らかに劣るッ! 『問題はない』ッ!!」ドゴォアッ

ウルフルン「ぶげっっ!!」ベゴォ

アカンベェ「ベボォオオッッ!?」ドゴォアッ

ズギュゥゥゥン!!


ウルフルン「─────ガ、ハッッ!!……さすがに『効いた』ぜ……ェエエ~!!
キュアハッピー……オメーがやっぱり一番つえー。他と違って……敵を『ブッ殺せる』殴りかたを知ってる……!」ゲホォオ

アカンベェ「ベ、ェエ~」ググ

ウルフルン「おう……オメーも初陣がこんなんでワリーなぁ?
でもよ……オメーは『プリキュアをブッ殺す』ために産み出された……特注なんだぜ……
しっかり……働いてもらうぜッ!!」

アカンベェ「アカンベェ!!」コクリ

ハッピー「あまり効いてない……!?」

ウルフルン「水から作ったアカンベェだぜッ! パンチやキックじゃあダメージが通りにくいってのは理解できっかァアアアア!?」

アカンベェ「ウォオオオオオオオオオオ!!!」

ハッピー「水のボディ!! 物理じゃあ通らない! だったら……」

ハッピー「浄化の力を! プリキュアの浄化の力によって、アカンベェを倒すまでだよッ!」ガッ




ハッピー「ウゥルトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラ
トラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラ!!!」ドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴ



ハッピー「HAPPYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY
YYYYYEAHHHHHHHHHHHHHHHH─────ァアアアアアッッッ!!!」ドッッグァオォォーーーーン



ウルフルン「『使ったな』……? ハッピーシャワー」



ハッピー「ハッ……!?」


┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨


ウルフルン「俺は『待ってた』……オメーが切り札を切る瞬間をな……。いや、待つだけじゃあなかったな。
オメーが攻撃の意思を持つための努力はしたつもりだぜ」


アカンベェ「アカンベェ~」ニヤリ


ハッピー「そんなッ……!! ハッピーシャワーが効かない!?」


ウルフルン「『青っぱなに浄化の力は効かない』。ジョーカーの野郎にはすこーしだけ感謝……しなくっちゃあな。
おっと、こんなこと言ったら余計に付け上がらせるだけか?」



ウルフルン「だが、依然、問題ねえ。『筋書き通り』だ」ニヤリ






ウルフルン「ウルァアアアアアアアアアアアア
アアアアアアアアアアアアアアア───────ッッッ!!!」ドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴ

アカンベェ「アッッッカンンンンンンベエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ────────ッッッ!!!」ドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴ

ハッピー「きゃああああああああああ!?」ズギューン






ウルフルン「勝てるッ! 俺は勝てるぞッ!? 運命にッ! 筋書きを越えることができるッ!
俺だってやりゃあ出来るんだッ!」ドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴ

ウルフルン「こいつでとどめだッ! これで俺たちの筋書きが完成する!!」グアッ



「違うな。台本は『こちら』が握っている」



───ドォォォォン!!!


ウルフルン「」

アカンベェ「」






┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨


「正直な感想を言おう。『お前はよくやった』
一瞬とはいえ……私を本気にさせたのだからな」

「だが、悲しいかな、しょせんお前は『兵士』だ。あくせくがんばった所で、筋書きに抗うことくらいしかできん」

「全てを支配し、思うがままに操れるのは『帝王』たる私だけだ。
……私は『兵士』ではない。」


┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨



ウルフルン「────ハッ!?」

アカンベェ「!?」

ハッピー「あれ……?」パチクリ





ウルフルン「────なんだ……? オッ……俺はッ!? 今何をした!? キュアハッピーに……そうだ!
確かにッとどめをさしたはずだッ!」

アカンベェ「アカンベェ……?」

ウルフルン「とどめの一撃を! 叩き込んだ……それは解る!
だが『やっていない』!俺たちは『やっていない』! 『やったのにやってない』!
何かがおかしい……何かがッ!?」

ハッピー「あれ? わたし……オオカミさんに倒された……はずだった? あれ?」



ハッピー「……………………あれ? わたし?」



ウルフルン「……!!」


ウルフルン「そうかっやっぱりオメーなんだな!? この奇妙な感覚の正体は!
『オメーが引き起こした』」



ドグォオオアッッッ!!



アカンベェ「ベ、ェエ……」ポッシュゥウン

ウルフルン「バカな……何が……」ドグォオ

ハッピー「わたしは……何もやってない……?」コォオオオオオ

ウルフルン「……オメーは……」

ウルフルン「後ろ……オメーの……『側に立っている奴』は……誰だ?」

ハッピー「え?」


ウルフルン「……そう……か。そんなのがいるんじゃ『勝てねえ』よなァア~……。
それじゃあ……最初から勝てねえって」ゴホッ

ウルフルン「訳だったのに……何故か…『スゲーいい気分』だ……。
生きていて良かったってのは……」


ウルフルン「こういう気分だったのか」フラッ


ドバァアア───ン!!
ゴポポポポポ……


ハッピー「オオカミさん!?」




ウルフルン「結局筋書き通り……オオカミは池の底に沈んで終わりってか」

ウルフルン「(変わらねー結末……ワルモノの死で完成する物語。
何百年も変わらねー決まりきった定めってヤツには、俺なんかが逆立ちしたって敵わねーのかもなあ)」

ウルフルン「でもよ、キュアハッピー」

ハッピー「あ……」

ウルフルン「そんな腐るだけだった俺が、はじめて本気で『運命』ってヤツに立ち向かおうと思ったのは……ある意味オメーのおかげなのかもな」

ハッピー「!!」

ウルフルン「オメーと戦って俺は気づけた……荒療治だったが……こういうのも悪くねーと思う。
……そうだな、俺ァ……」






ウルフルン「オメーと出逢うために、何百年も童話の中をさ迷ってたのかもしれねえ」フッ




ハッピー「─────オオカミさんッッ!!」ダッ




ザブゥウンッッッ!!


………………
…………
………
……




ハッピー「げほっ!ごほッ……!!」ハァハァ

ウルフルン「……」グッタリ

ハッピー「ハァ、ハァ……」

ウルフルン「……なんで、助けた……」

ウルフルン「俺は敵だぜ……しかもオメーの命を狙った……『殺し合った』仲だ。
それをオメー……どうかしてるんじゃねーのか」

ハッピー「……」

ウルフルン「オメーは何がしてーんだ。俺を殺せばハッピーエンドだ、オメーの望んでいたな……。
俺を助けるってことは筋書きには書いてねぇ。
『ハッピーエンドじゃなくなる』んだ。あのままほっときゃあ良かったのによォ?」

ハッピー「ほっとけるわけ、ない……」

ウルフルン「ああ?」




ハッピー「あなたも、わたしと同じ。
『心の底でハッピーエンドを望んでいる』から。
……そんな人を、……殺せるわけないッ!!」


ウルフルン「俺が、ハッピーエンドになりたい……?」

ハッピー「そうだよ。辛いことも、苦しいことも、全部ひっくるめて」

ハッピー「それでも何とかしたいってがんばってる。……あなたは、ただ『幸せ』になりたかったんだって、わたし、気づけた……」


ハッピー「気づいたから、こう思ったの。筋書き通りに死ぬ運命のオオカミさんだって、幸せを望むことは間違ってないって」

ハッピー「なにも、なにも変わらない。幸福を求めるわたしとなにも変わらないんだって!」

ウルフルン「……」

ハッピー「バッドエンドなんて望んでない。あなたは幸せになりたいオオカミさん。
わたしと同じ、『マイナスをゼロに』したいだけの人」

パァアアア……



みゆき「だから、あなたはもう怖くない」ス……



ウルフルン「おれが、オメーと同じ……?」

みゆき「うん、だからいっぱい、お話しよ? 戦いは終わりにして、どうすればいいか……ハッピーエンドになれるか、一緒に考えよ? オオカミさん!」


ウルフルン「……」

『マイナスをゼロにしたいだけ』

ウルフルン「(……そうかい、こいつも……)」

バッドエンドを怖れていた。
だから俺を殺そうとした。
なんてこたねーんだ。こいつも恐怖を乗り越えようと、必死こいて足掻いてただけだったってわけか
なにも変わらねー……
『俺たちはなにも変わらねぇ』



ウルフルン「ウルフルンだ」



みゆき「え……?」

ウルフルン「『オオカミさん』なんてかわいい名前じゃあねぇ……。俺は『ウルフルン』。
オオカミのウルフルン」

ウルフルン「そしてオメーはなんだ? キュアハッピー?」


みゆき「……わたしは」


みゆき「わたしは星空みゆき! プリキュアの星空みゆきだよ!」パアッ


ウルフルン「みゆき」

みゆき「ウルフルン!」


ウルフルン「(人間の名前なんてはじめて覚えた気がする……)」


ウルフルン「……オメーは」

マジョリーナ「こんなところで油売ってたのかい!? ほら、とっとと帰るだわさ!」

ウルフルン「へ!? ばーさん!?」

みゆき「魔女さん!?」

アカオーニ「作戦は失敗オニ! もうこの世界はハッピーエンドオニ! おら、掴まれオニ!」


ウルフルン「ま、待て! 俺はまだこいつに用があって」

マジョリーナ「何があったかしらないけど長居は無用だわさ! プリキュア! 次こそ覚悟するだわさッ!」

みゆき「待って! わたしもまだウルフルンとお話したいの! だから」

あかね「みゆきッ! 無事かぁ!? ってバッドエンド王国の連中が集まっとるやん!?」

なお「やっぱり、物語をハッピーエンドにしたみゆきちゃんを狙ってるんだよ!」

れいか「そうはさせません。さあみゆきさん、こちらに来てください!」

やよい「なんか途中から記憶がフッ飛んでるんだけど……お、思い出さなくてもいいよね? せっかくハッピーエンドなんだし!」

キャンディ「クル~……キャンディなんにも覚えてないクル~……?」

みゆき「みんなッ!? なにもこんなタイミングで来なくても……」

あかね「もう、危ないからはよこっち来んかい!」グイ

みゆき「あっ……!」クル




みゆき「オオカミさ……『ウルフルン』ッ!!」



ウルフルン「!!」


みゆき「……また、会おうねッ!」


ウルフルン「……ケッ」


シュンッ


れいか「どうやら帰ったようですね……」

あかね「全く、みゆき一人で突っ走ったらあかんねんで?」

やよい「でも、無事で良かったよ……」

なお「みゆきちゃん、どこか怪我とかしてない?」

みゆき「う、うん。だいじょぶだよなおちゃん? だいじょうぶだから……」


みゆき「(ウルフルン……)」




バッドエンド王国




ジョーカー「散々な目に会ったようですねえ?」

ウルフルン「……」

ジョーカー「ですが、キュアハッピーの抹殺に失敗したのは事実。これをどうピエーロ様に伝えれば良いのやら」

ウルフルン「勝手にしやがれ。……だが、これだけは言っとくぜ」

ジョーカー「……なんでしょうかあ?」

ウルフルン「キュアハッピーを倒すのは『俺だけだ』。俺だけがアイツを倒せる。
他じゃあ絶対無理だオメーも含めてな」

ジョーカー「ほう……それは面白いですねえ」


ウルフルン「ジョーカー、オメー人間のことはどう思ってんだ?」

ジョーカー「はいぃ? なんですか急に?」

ウルフルン「別に……ただ、たまには俺からも忠告しようってな、ありがたく受け取っておきな……。
『あんまし舐めてっと痛い目に遭うぞ』
……これだけだ。じゃーな!!」スタスタ

ジョーカー「……何を愚かなことを」



ウルフルン「(俺は『納得』はしていねー……。
『理解』はできても俺はアイツに! みゆきに勝てちゃあいねーんだッ! それは俺のプライドが許さねーッ!)」



ウルフルン「俺が納得するまで付き合ってもらうぜ。 なあ? みゆきよぉ……」





ポップ「一時はどうなるかと思ったでござるが、なんとかなったでござるな!」

みゆき「うん」

キャンディ「クル~? みゆきどうしたクル? なんか上の空クル」

みゆき「なんでもないよ? キャンディ」

ポップ「しかし……物語はハッピーエンドで終わったでござるが、『結末』はずいぶん変わったでござる……」

キャンディ「クル~♪ みんなハッピーエンドクル~♪」

みゆき「……そうだね」ニコ




池に落ちたオオカミは、おかあさんヤギに助けられます

『もう悪いことはしないで、いっしょにお話しましょう?』
おかあさんヤギはやさしくオオカミに語りかけました

それを聞いたオオカミは黙って背を向けて、どこかへ行ってしまいました

おかあさんヤギはその背中を、見えなくなるまでずっと見ていました

おしまい





←TO BE CONTINUED……////


以上で今日の投下は終わりです



闘い=理解!


みなさん、お久しぶりです

今から投下します

もうすぐアニメでドッピオが出てくるので……書き溜めを解放する時が……来た……


黄瀬やよいは幼い頃から漫画やイラストを描くことが大好きな少女であった。

彼女の家は母親との二人暮し、母子家庭である。

母親はキッズファッションの会社に勤める美しく
優しい女性で、やよいのことを大事に考えてくれる人だった。
父親はいない、やよいがまだ五歳の頃に他界している。
そのことについては殆ど思い出せないが、気持ちの整理は着いているし、たぶん自分はたくさん悲しんだのだろうなと何となく今ではそう思っている。


そんな一見普通の中学生に見える彼女にも悩みがあった。中学二年生になるまで『親友』という言葉とは無縁の生を送っているということだ

『友だち』はいると自分では思う
しかし心の内面を共有できる仲間だとか、そういったワイワイするものはなかなか作る機会が無かった。
引っ込み思案で人見知りというのも理由ではあるが、何より同年代の子と比べて明らかに『オタク』だからだ。

いつの時代でもオタクはなかなか理解されない。そして自分の趣味が理解されないことほど悲しい事はない。
『理解されないことを恐れるから近付かない』
それはある種の諦めにも似た考えであった。


だからこそありのままの自分を受け入れてくれたみゆきを含めるプリキュアメンバーに対する信頼は篤く、『自分も親友のために頑張れる』という気持ちが湧いてくるのだ。

それがやよいのプリキュアとして戦う意志の源である




【Casa dei cartoni animati】……イタリア語で漫画家を意味する




七色ヶ丘公園ッ!!



やよい「うーん、やっぱりキテないかなあ?」キョロキョロ

みゆき「毎日来るとは限らないからねえ~?」キョロキョロ

なお「なあ、ほんとにここにいたのか? その……マンガ家の岸辺先生って人がさ」

やよい「うんッ! あの、超人気少年漫画『ピンクダークの少年』の作者ッ天才漫画家の『岸辺露伴』先生がッ!」クワ

やよい「昨日スケッチブック片手にここら辺を歩いてたって! ほんとならあなた、これはスゴいことなんだよ!!」ペラペラ

なお「そ、そうなんだ」ドンビキ

みゆき「やよいちゃん、ほんとーにその岸辺先生の大ファンなんだねえ」


キャンディ「キャンディ、その人知らないクル。そんなにスゴい人クル?」

やよい「うん! 露伴先生の描く絵の線はとっても力強くて、それでいて緻密で繊細さも秘めているって言うか……とにかく『スゴい』の!」ペラペラ

やよい「ストーリーやキャラクターも独創的かつ大胆な構成と、読み手の予想を上回る熱い展開! 一度読み出したら止まらない面白さなんだよ!!」ペラペラ

なお「そ、そう(やよいちゃん、今日はよくしゃべるなあ)」

みゆき「うんうん、わたしもそんなスゴい人に会えるなんて感動だよ! 早く会いたいな~」ハッピー


なお「問題はいつ会えるかだけどね……。ねえみゆきちゃん、漫画家先生がいたって情報はみゆきちゃんのソースだったよね? どっから持ってきたの?」

みゆき「うん? ちょっと前に男子がお誘いしてきたの! 星空さんはピンクダークの少年読んでますか~だって。その時にね」

やよい「……」

なお「……」

みゆき「わたし、絵本はよく読むけど漫画はあんまり知らないんだけどなァ~?」ハッピー

なお「ねえやよいちゃん、みゆきちゃんてモテるの? なんか慣れてる感じが……」コソ

やよい「うん……道を歩いてていっぱい声かけられてるの見たことあるよぉ……まるで漫画の主人公並に」コソソ


なお「へ、へえ~? 意外だな……本人に自覚は……」

やよい「あるよ、でも顔色ひとつ変えないんだもん。堂々としてるというかなんというか」

なお「普段のあの様子からは想像できないな……」

みゆき「二人ともどしたの? はやくいこォーよッ!!」スタタタ

キャンディ「クル~♪」ピューン

なお「あ、待ってみゆきちゃん!」スタタタ

やよい「……」



みゆき『とうおるるるるるるんッ! あ、ボスから電話だぁ~!? ごめんねやよいちゃん、ちょっと電話探してくるから~!』タタタ


やよい「(みゆきちゃんの言うボスさんって誰なんだろう……プリキュアのこととか色々あったから、みんな聞いてなかったけど)」

やよい「(どこから電話?をかけてるんだろ……ううん、それより……『本当にいる人』なのかなあ? こんなことみゆきちゃんに聞いたら怒られちゃうかもしれないけど)」

なお「やよいちゃん! 置いてっちゃうよ~!」

やよい「あ、ま、待ってェ~!?」



1時間経過ッ!



みゆき「いないね……」

なお「やっぱりそう都合よくいるわけないか。サイン欲しかったんだけどな」

みゆき「あれ、なおちゃんもサインほしいの?」

なお「弟がファンなんだ、会えたらもらってくれってせがまれた」

みゆき「ふうん、そういえばあかねちゃんの弟もファンだって言ってたかな?」

なお「そうなんだ? じゃああかねの分ももらっとくかな。あとはれいか……は、もらって嬉しいかな?」

みゆき「嬉しいよ~!二人とも今日は家の都合で来られなかったからねえ」


なお「そうだね。ま、それも漫画家先生が来なきゃ意味ないけどね……」

やよい「うう~」

みゆき「あ、やよいちゃんが泣きそう」

キャンディ「やよい、泣いちゃダメクル!」

なお「ま、まだ会えないって訳じゃあないからさ」

やよい「う、そ、そうだよね! まだ会えないって決まった訳じゃないッ! もうちょっと粘ってみるよッ! ね、みゆきちゃん!」

みゆき「……」

やよい「みゆきちゃん?」

みゆき「あれ」スッ

やよなおキャン「「「??」」」クルゥリィ




┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨


???「……」


┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨


なお「なんか変な人がッ!?」

キャンディ「クル~、スッゴい変な髪型クル~! ついでに服装も奇妙クル~!」

みゆき「どう見てもタダ者じゃあ無いよね……。それに、なんだろ……なんだか、わたしの……」

みゆき「勘が告げている気がする……『あの人に近づくのは吉じゃあない』って」ゴゴゴゴ

やよい「ろろろろろろろろろろッッッ!!?」

みゆき「どしたのやよいちゃん、肥溜めで溺れているドブネズミみたいな顔しちゃってるよ?」

なお「みゆきちゃん、辛辣」

やよい「『露伴先生』ッ!! ……まさかッ! ここでッ……!!」


キャンディ「クル? あの人がロハン先生クル?」

なお「ほんと……!? な、なんていうか……スッゴク近寄りがたいんだけど……なんか漫画家っぽいイメージと違う」

露伴「バカ言っちゃいけない。まさか漫画家がみんな『見た目がネクラっぽくてベレー帽被ってる』……なんて思ってるんじゃあないよな? ま……」

露伴「僕に限ってそれは当てはまらないけどね」ドン

なお「へッ!!?」

キャンディ「あれ、いつのまに後ろにクル?」

みゆき「キャンディ、しゃべるの禁止」ドッグォオ

キャンディ「クルゥオオッ!!?」ムギュ


露伴「で、君たちさっきから僕のことジロジロ見てキャイキャイしゃべってたけど、なんか用でもあるのかい? こっちとしてはけっこう不愉快……なんだけど」

やよい「あああああああのあのあのッ!? 露伴せん、先生ですよねッ!? わわわたわたわたしッ!」

露伴「落ち着いて話しなよ、吃りかなにかってわけじゃないだろ?」

みゆき「やよいちゃん、ほら、深呼吸」

やよい「すぅぅ────ッッハァア────ッッ!!」

なお「よちよち」

みゆき「……漫画家の岸辺露伴先生……ですよね?」

露伴「うん?」


ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ

みゆき「わたしたち、『先生のファン』なんです。……お会いできて嬉しいです」スッ

みゆき「君は礼儀を解ってる人間のようだね。……よろしく」スッ

ガッシィイ

ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ

なお「」ゴクリ

やよい「」アワワワ

キャンディ「(クル~。みゆきがまたギャングのようなスゴ味を出してるクル)」ニンギョウノフリィッ

露伴「とりあえず……あそこの四阿(あずまや)で話しでもしようか?」

みゆき「はい! よろしくお願いしますっ♪」ハッピー





バッドエンド王国ッ!



アカオーニ「ジョーカー! いきなり呼び出して何の用だオニ!?」

マジョリーナ「あたしゃ忙しいんだよ、さっさと用件を言うだわさ」

ウルフルン「……」

ジョーカー「いえいえ、大した用ではないのですがァ~?」

アカオーニ「だからなんだオニ」

ジョーカー「みなさんのおかげでバッドエナジーは順調に集まっています。しかぁしッ!」

ジョーカー「いまだにプリキュアを倒せていないッ! 一人もです……これは少し見逃せませんねェエ~?」

アカオーニ「うぐッ!?」

マジョリーナ「う、うるさいだわさ!!」

ウルフルン「……チッ」


ジョーカー「ピエーロ様が復活なされた時に、プリキュアなどという者たちが残っているとなると……ああ、なんと言われるでしょう! 考えただけで恐ろしいッ!」

ジョーカー「あなた方に失望されて……見放してしまうかも……しれませんねえ? おお、怖いですねえ?」

アカオーニ「……」

マジョリーナ「……」

ジョーカー「そうなりたくなければ、せめて一人位はプリキュアを倒してほしいものですねえ?みなさん?」

ウルフルン「テメーに言われなくてもよォオ~……」

ジョーカー「!!」


ウルフルン「オレはやるぜ……。プリキュアをぶっ倒してついでにミラクルジュエルとかも見つけてよォオ~……」

マジョリーナ「あんた……」

ウルフルン「言われるまでもねーぜ。……しかしだ」

ウルフルン「キュアハッピーは『別』だ。オメーらじゃ逆立ちしても勝てねー、諦めな」

アカオーニ「なっ!? てめえッ!」

マジョリーナ「あたしらじゃ相手にならないってのかい!?」

ウルフルン「忠告しただけだぜ……心当たりはあるんじゃあねーのか? アイツの恐ろしさをよ……」

アカオーニ「……」

マジョリーナ「それは……」


ウルフルン「ま、オレは勝手にやらせてもらうぜ……ピエーロ様もメルヘンランドも関係ねえッ! アイツをぶっ倒すことだけが、何よりも大事ってのは確かだからな」

ジョーカー「おや、聞き捨てなりませんねえ? ピエーロ様をないがしろにするような台詞を言うとは」

ウルフルン「勘違いすんじゃねーよ。仕事はキッチリやるぜ……じゃ、行ってくらあ」スタスタ

ジョーカー「……やれやれ、ずいぶん強気ですね。頼もしいと言うべきかどうか」

アカオーニ「お、オレも行くオニ! 嘗められっぱなしはガマンならねーオニ!」






再び公園ッ!



やよい「そ、それで露伴先生ッ! 今日はどのような目的でこの公園に来たのですかッ!?」

露伴「見ての通り、取材さ……。僕は漫画家だからね、良い漫画を描くためにはネタが必要だ。そのための取材も兼ねてこうやって歩き回ってるのさ」

やよい「ふんふんッ! お仕事熱心ですね! 流石ですッ!」

露伴「オイオイ褒めても何もでないぞ? ま、確かに水も空気も綺麗な町だけど、ありきたりな感じは否めないかな。これと言って大したモノは描けなかったけど……見るかい?」

やよい「みみ、見ても良いんですかッ!? 先生のなななな生デッサンッ!!」

露伴「いいよ、別に減るもんじゃあないし」

なお「(さっきからめちゃくちゃ偉そうだなこの人……やよいちゃんは気にしてないみたいだけど)」

やよい「あ、あれ? これって……」


みゆき「これは、デッサン……なの?」

なお「なんかデッサンにしてはスゴく簡単に描いてるような」

露伴「こういうのははじめてかい? 55年没『ド・スタール』を意識して描いたものさ……彼の絵は抽象画でありながら同時に風景画でもありそのギリギリのせめぎ合いをテーマに描いている」

露伴「絵画で心の究極に挑戦しているんだ、彼の絵は泣ける。僕もそういう心を射つ漫画家でありたいと思っている」

やよい「」ポカン

なお「(ま、漫画家……というか)」

みゆき「芸術家ですねッ」

露伴「ま、彼の画集が僕に残された唯一の財産だからね。見てるうちに描く気になっただけなんだけど」


やよい「せ、先生は漫画以外の知識も豊富なんですね」

露伴「知識? 当然さ、漫画家が漫画ばっかり読んでたって良い作品は作れない。そーいうのはよくてファンアートが関の山だ、第一引き出しが足りない」

露伴「いいか? 面白い漫画ってのは『経験』や『知識』から成るリアリティがモノを言うんだ。漫画の神様って知ってるだろ? 手塚治虫。彼の漫画が偉大なのは人生の中で出来た膨大な『引き出し』から形成されているからさ」

露伴「彼は戦争も体験してるし医師免許も持ってる。映画に関する造詣も深い。これだけでも濃い人生経験だ……。戦争を体験してるのはデカイかもな、正直羨ましい」

なお「ええ……」

露伴「まあ命がけになるけどね、要はそれくらい本気でやってはじめて面白い漫画が描けるってことだ(もちろん一番面白い漫画を描けるのは自分だと言う確固たる自信があるけどね)」

やよい「……先生ッ!!」ガタッ

露伴「なんだい、急にマジになって」


やよい「わっわたしッ! 先生の漫画に対する姿勢に感激しましたッ! はじめてです。こんな衝撃は……!」

露伴「そうかい? そんなに感動されるとなんか調子狂うな」

やよい「そ、そんな先生にはぜひ……わたしの『漫画』を読んでくれませんかッ!?」

なお「やよいちゃん!?」

みゆき「おお、ついに言っちゃった!!」

露伴「……君の漫画を? 何? 僕に読んでもらって……なんだ、つまり……」

露伴「『感想』を言ってほしい……ってことか?」

やよい「はいッ! ほんとは怖くて『とても見せる気が起きない』って思ってましたッ!」

やよい「けど、先生の話を聞いてこう思ったんです。『わたしも本気で面白い漫画を描きたい』って……! そして、露伴先生にもわたしの漫画を読んでもらいたいって、心から思ったんですッ!!」

なお「いつになくやよいちゃんが熱い」

みゆき「よっぽど感動したんだね~♪」ハッピー


露伴「……正直この手の話は無いわけじゃあないんだ……『僕に弟子入りしたい』って言うヤツなんて、それこそ腐るほどいる……まあそんなのは僕には要らないんだけどさ」

やよい「うう」

露伴「でも、君は『弟子入りしたい』のではなく『漫画を読んでもらいたい』って言ったね? そういう熱くてまっすぐな心意気は……いいね、嫌いじゃあない」ニヤ

やよい「そ、それじゃッ!?」

露伴「いいよ、君の漫画を読もうじゃないか……『一読者としてね』。光栄に思えよ? 滅多にこんなことしないんだから」

やよい「ありがどうございばずぅぅぅぅぅ!!」ビエエ

なお「な、泣いちゃったよ……よしよしやよいちゃん」ヨシヨシ

みゆき「ちょっと偉そうだけど話のわかる人で良かったね」ヨシヨシ

露伴「ふむ……『ミラクルピース』……意外だな、君のような女の子が少年漫画を持ってくるとは」パラ

なお「もう読んでる……」




バッドエンド王国ッ!!



アカオーニ「オイコラ! 待つオニ! ……待てっつってるオニ!」

ウルフルン「んだようっせーなー……。つーかなんでテメーまで付いてきてんだよ? オレだけでいいっつっただろーがよォオ~?」

アカオーニ「フン! 抜け駆けは許さんオニ。オレも手柄を立ててピエーロ様に認めてもらうぜ!!」

ウルフルン「ピエーロ様ねえ……ま、テメーの好きにやりゃあいい。ただし、オレの邪魔はすんじゃあねーぞコラ」

アカオーニ「あん? ……オメーなんだか最近変オニ。変なモノでも食ったか?」

ウルフルン「テメーじゃあるめーし一緒にすんじゃねーよ。じゃー先に行ってんぞ」

アカオーニ「……(いつもならここでもう少し喰ってかかるオニ。こいつも大概気が短けーはずだったんだが)」

ウルフルン「(待ってろよォオ~みゆきよ~? 目にもの見せてやんぜコラァア~……!!)」ケケケ




再び公園ッ!!



パラ……

   パラ……


露伴「……」ジィィ…

やよい「ドキドキ」

なお「……ッ」ドキドキ

みゆき「さすが『プロ』だね……目が『マジ』だよ……一切の妥協を許さない光を放っているッ!」

露伴「……なるほど、ね」トントン

やよい「ど、どーでしたか?」ドキドキ

露伴「『どう』だって? 話にならないよ」

やよい「はうッ!?」グサァ


なお「ちょ、ちょっと先生!?」ガタッ

みゆき「なおちゃん、抑えて」グイッ

露伴「絵はそこそこ観れる……けど、コマの構図や繋がり、ストーリーの粗はそれだけじゃあごまかせないな……」

やよい「ッッ!!」グサグサッ

露伴「残念だけど、漫画の技術は凡百の同人誌レベルと大差は無いね。ま、やる気があるならそれこそ何千枚描きまくってようやく半人前ってとこかな」

やよい「ううう……」

露伴「悪く思うなよ? 僕は漫画に対しては嘘はつけない。『素直な感想』を言わせてもらったまでさ。僕なんかまだ優しい方だと思うぜ? 読者はそれこそメッタクソに叩くなんてことは珍しくもないんだからな」

やよい「は、はい……ありがとうございます……」

みゆき「辛辣だねえ」

なお「や、やよいちゃん、元気だしなよ?」

やよい「うん……」

露伴「おっと、勘違いするなよ? 別に僕は君の漫画を『つまらない』と言った訳じゃあないんだ」


やよい「えっ!? そ、それって」

露伴「さっきも言ったが、面白い漫画ってのはリアリティが大事なんだ。読者を物語に引き込むパワーはリアリティから産まれる。それが一番重要なのさ!」

露伴「そして君の漫画は技術だけを観れば確かに未熟だ、僕はもちろんプロには遠く及ばない。だが!!」

露伴「君の漫画からは『奇妙なリアリティ』を感じるッ!!」クワッ

やよい「ひゃあっっ!?」ビクッ

露伴「ミラクルピースと言ったね? 正義のヒロインが悪者をやっつける……『王道中の王道』だ……手垢が着きまくってるという感は否めないがしかし!!」

露伴「この物語は『生きている』!!主人公も悪役も舞台も、『現実味を帯びた説得力がある』……そう、『まるで実際に見てきたかのような』……ね」


みゆやよなお「「「!!??」」」




ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ


露伴「……ああ、そういえば君たちに話して無かったことがあったな。僕はね、ただの休暇や取材のために……この町に来たわけじゃあないんだ」

やよい「み、みゆきちゃんッ!」

みゆき「うん……前話してたことが本当なら……ッ!」

なお「え? なに? 二人とも何か知ってるの?」オドオド

露伴「突然空が暗くなって、ピエロの怪物が暴れまわる……そして、それに立ち向かう5人の女の子達の噂……君たち聞いたことがあるかい?」

やよい「え、え~っと……」

なお「(まさか、プリキュアのことを調べに来たっていうの?)」


露伴「そんなメルヘンチックな噂なんて聞き流す所だが、どうやら何人もの人々が目撃してるらしいじゃあないか? え? ちょっとした都市伝説くらいには有名らしいぜ、とても興味深い」

みゆき「……露伴先生、なにが言いたいんですか~?」ニコ


ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ


露伴「オイオイオイオイそんな凄むなよ、取材ってのは間違っちゃあいないさ。ただね、聞いた所によるとその女の子達の『特徴』なんだけど……さ、ずいぶん明るいらしいじゃあないか? そう、『髪』の色とか」


みゆやよなお「「「!!!」」」サッ


露伴「おおっと、『髪に触れた』なッ!? そうさ、そんな鮮やかな髪の毛の女の子が何人もいてたまるかッ!? 知ってることは全部教えてもらうぞッ!!『ヘブンズ・ドアー』ッッ!!」ズキュゥゥン

やよい「いや、先生ッ! これは地毛ですッてきゃあああああ─────ッッ!?」ズキュゥゥン

なお「確かに緑の髪なんて滅多にいないけどッ!? それにその髪型でどうこう言われたくないよッ!」

みゆき「このヘアースタイルがコロネみてーだとッ!?」クワッ

キャンディ「言ってないクル」


やよい「ふええ……」バタッ

なお「やよいちゃんッ!! ……アンタ、やよいちゃんに何をしたんだッ!?」キッ

みゆき「(やよいちゃんの顔が、まるで本のページのようにッ!!)」スック

露伴「ああー……待て、落ち着けよ。別に危害を加えるって訳じゃないさ。あくまで取材だよ取材」

露伴「ただし詳細にッ!!だ!! ヘブンズ・ドアー!!」ドシュドシュ

なお「えっ!? ……うぁ」ドサ

みゆき「なおちゃんッ!(まただよ、もしかしてこれが、この人の)」バッッ

露伴「ふむ、どうやらこの二人は『見えない』らしいな……それとも、まだ実力を隠している……可能性も否めないか」

みゆき「……」ゴゴゴ

キャンディ「……ッ」ドキドキ


露伴「そしてさっきから君から放たれている得たいの知れない『スゴみ』……いいね! その覚悟を決めた表情ッ! とてもグッとくるッ!」

みゆき「……あなた、一体何者なんです?」

露伴「漫画家さ、ただし、人とは少し違った特別な能力を持ってはいるけどね。そう、君たちのように」

キャンディ「クル? もしかしてロハンもプリキュアクル~?」ひょこ

みゆき「キャンディ!!」

露伴「……おい、ちょっと待て、なんだその……何? 『毛玉』? の……ヌイグルミみたいなのは」

キャンディ「あ、しゃべっちゃったクル!!」テヘペロ

みゆき「キャンディ、もーうっかりし過ぎだよぅ!」プンスカ

キャンディ「ごめんなさいクル」

露伴「まさかスタンドか? いや、精神的な感じはしない。……実際に触れるし体温もある、もふもふしてて気持ちいいな。味もみておこう」モフペロ

キャンディ「ひゃあっ!!!?」ビクッ

みゆき「キャンディになにするのッ!?」


露伴「……スゴいぞ……まさか、こんな生き物がこの世にいるなんてな! 妖精ってやつかい? 魔法少女には御約束の存在ってわけか。これはいいっ! 今度妖精を描くときの参考になりそうだッ!」クワッ

キャンディ「こ、こわいクル~……」

露伴「君たち3人から取材するつもりだったが気が変わったぞッ! まずは君からだ妖精くん!! 『ヘブンズ・ドアー』!!」ズキュゥゥン

キャンディ「クル~!?」ズキュゥゥン

みゆき「(キャンディも本のようになっちゃった。どーなってるの?)」

露伴「君は慎重だね? 僕が本当にこの子達に危害を加えるかどうかぎりぎりまで見極めて、少しでも『その気』があれば即座にぶちかましてやるっていう気概を感じるよ」

露伴「すぐにそうしなかったのは僕の能力の全体が見えなかったからってとこか? それとも……」

露伴「力をできるだけ見せたくない理由があるからか?」

みゆき「……さあ、どうでしょうか。ただ……先生からは、相手を害そうとする殺意がなかったからね。それで動きが少し遅れたってのが事実だよ……」

みゆき「はじめてだよ、殺意のない攻撃っていうのは」

露伴「殺意? 当然さ、大切な取材相手を殺しちゃあダメだろ。僕は青少年に健全な漫画を描いてる漫画家なんだぜ?」


露伴「安心していい。ヘブンズ・ドアーは相手のこれまでの記憶や情報などの『人生の体験』を読むことができる……もちろんそれだけじゃあないが、君の友達二人とこの妖精に使うのはその能力だけさ。それ以上は何もしない」

露伴「ただし、君が僕を攻撃しようとした時は、話が変わってくるけどね」

みゆき「……」

みゆき「先生が『本物の誇りあるプロフェッショナル』なら、その言葉に嘘偽りは無いのだろうけど」

みゆき「もしそうでないとしたら……『攻撃しないという保証はできません』。私は私の友達を守るために、先生を攻撃しますッ!」

みゆき「……できたらそうさせないでくれるとうれしいなッ!」ニコ


ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ


露伴「……言うじゃあないか。その自信は君が持つ『力』とやらから来るのかい? おもしろい、ますます興味が沸いたよ」

みゆき「……」


露伴「そうだ、そのまま静かにしてりゃあいいのさ。さて、まずは妖精くんの体験を覗こうじゃあないかッ!!」バッ

露伴「なになに……名前はキャンディ、メルヘンランドで生まれる……『メルヘンランド』? 妖精の国か何かか? 年齢は今年で5才。兄が一人いて名前はポップ」パラパラ

みゆき「(ほんとにキャンディの体験を読んでるんだ……)」

露伴「ふむ……メルヘンランドは想像の国か、童話やお伽噺の元になる国。それじゃあもしかしたら僕の漫画も想像としてそこにあるかもしれないってことか? なんだか夢があっていいじゃないか」パラ……

露伴「なに……バッドエンド王国? 世界をバッドエンドにする……そうか、これが『悪役』ってわけか? そして皇帝ピエーロの復活……それを阻止する5人の戦士、プリキュア……『プリキュア』だって!?」パラ

露伴「そうかッこれだよこれ! このプリキュアが君たちなんだな!? いやまて、数が少ないな?後二人……まあそれはまた今度でもいいか」


露伴「それよりもこれはスゴいぞッ!! 今年の2月から現在までは特にスゴいッ! プリキュアとバッドエンド王国との戦い! 間近で見てみたいものだッ!」

露伴「次はプリキュアについてだッ! この子の体験を見ようじゃないか!!」グイッ

みゆき「(やよいちゃん……!!)」



露伴「なるほど、この子は3番目のプリキュア、キュアピースかッ! 能力は雷!! 見かけや正確に依らず過激な能力だな、そういう設定もギャップがあっておもしろいぞ」メモメモ

露伴「だがこの『ぴかぴかぴかりん じゃんけんぽん』とかいう決め台詞は無いな。とても中学生が発していい言葉じゃあない。頭脳が退化してるんじゃないか?」

みゆき「わたしもそー思う」

露伴「君、外見に似合わず辛辣だね。友達少ないほうだろ」

みゆき「(テメーに言われたかねーよ)」ニコニコ

露伴「(さて、できればこの子のページを破いてじっくり見たいところだが)」チラ

みゆき「……」ニコニコ

露伴「(やめておくか……? 正直、この二人と一匹に比べてこいつは『得たいが知れない』)」

露伴「(あらゆる人間を観察してきた僕だからこそ分かる。こいつの『目』は『やるときはやる』目だ……危険な光を孕んだ覚悟の眼差し)」

露伴「(下手に刺激すれば思わぬ反撃を食らう……かもしれないな。最悪、命を取られかねない……)」





露伴「(だから気に入った)」





露伴「(考えてもみろ、フツーこんなちっぽけな小娘がここまでの威圧感、スゴ味を発することができるかッ!? 答えは否だねッ!)」

露伴「(何かがあるッ! この少女にはプリキュアの力の他にも、何かとてつもない秘密があるッ! 僕はそれを何としても知りたくなってきたぞ!!)」

露伴「……さてと、次はこの緑の髪の子の記録を読もうかな(少しでも隙を見せたら一気にヘブンズ・ドアーを食らわせるッ! 当たれば僕の勝ちだっ)」

「おっと……妙な考えを起こすんじゃあないぜ……?」

みゆ露伴「「!?」」


ガッシィイッ!!



ウルフルン「この『手』はよォオ~~~……何かよからぬことを仕出かそうって企んでる手だぜ……。なんで分かるかって? 俺もよからぬことを仕出かす側だからだよッ!!」ドンッ

みゆき「ウルフルンッ!?」

露伴「な、なんだ!? オオカミが喋っているだとっ!?」


ウルフルン「いい歳したオトナが不意討ちなんて情けねえ真似はよくねぇよなァア~? え? 漫画家サマよォオ~!!」グイッ

露伴「ぐっ、ヘブンズ……」

ウルフルン「遅ェエエエッッ!!」

ドグシャァアアッッ!!

露伴「ゴバッッ!?」ズキュゥゥン

ウルフルン「みょーな能力を持ってるようだが、体の動きはプリキュアに比べりゃあ屁でもねーぜ!!」

みゆき「ウ、ウルフルン、あなた、わたしを助けるなんてッ!? どうかしちゃったのッ!?」

ウルフルン「ケェーッ勘違いするんじゃあねーぜッ!! おめーをブッ倒すのは俺の役目なんだッ! こんなワケのわからねー人間なんかに横取りされたらたまらねーってだけよぉ!!」

みゆき「ウ、ウルフルン……」

露伴「……やれやれ……清々しいまでに少年マンガしてくれるキャラじゃないか……ゴフッ」

みゆき「ま、まだ倒れてないッ!?」


ウルフルン「ああ~? テメーまだくたばってなかったのかッ!? しぶてー野郎だぜ」

露伴「ふん……漫画家は体力がモノを言う職業なんだぜ? この程度じゃあくたばってやれないね」

みゆき「わたしの知ってる漫画家とちがう」

ウルフルン「だったら今度こそトドメ刺してやろーじゃねーかコラァ!?」

露伴「まあ待てよ、僕は別に君と戦おうって考えてる訳じゃないんだ。用があるのはそっちのプリキュア、つまり『君の敵』だ」

露伴「バッドエンド王国ってのは君のことなんだろ?『オオカミ』くん。プリキュアの敵なら戦う相手が間違ってるぜ」

ウルフルン「だからさっきも言っただろーがよ、そいつをブッ倒すのは俺の役目だってよ」

露伴「それにしちゃ随分と御執心じゃないか? え? そこに転がってる二人と一匹に比べると、君のそのピンク髪の子に対する態度は『特別』に見えるけどね?」


みゆき「えっ、わ、わたし?」

ウルフルン「はああッ!? な、何言って」

露伴「なんだ、まさか『気でもある』のか?
 オイオイオイオイオイオイ、いくらなんでもそいつは不味いんじゃないか? 鏡を持ってるなら見ることを進めるぜ。自分を知れよまったく」

ウルフルン「だッッ! 誰がこんなちんちくりんのことをッッ! すすすすすすす……『好き』だなんてよッ!? バ、バカ言ってんじゃねェエエエ─────ぞッッ!!?」

露伴「おや、僕は一言も『好き』だなんて言ってないぞ」

ウルフルン「……」

ウルフルン「……」クルゥリィ

みゆき「ドキドキ」

ウルフルン「い、今のはよォオ~……そんなつもりで言ったワケじゃ……」

みゆき「やだ……ウルフルン、わたしのことそんな風に思ってたの? キュアドリームみたいに種族の壁を越えた……なんて。な、なんかはずかしーなー///」テレレェ

ウルフルン「あう、お、おめーな……」

みゆき「でもゴメンね、わたしピーターパンが好きなの」

ウルフルン「」



あかね「ポップ、ほんとーにここら辺でバッドエナジーの気配がしたんか? 見たとこなーんもあらへんけど」

ポップ「間違いないでござる。バッドエンド王国が現れた時に溢れるバッドエナジーッ!! 今、限界を超えたエナジーを集中させた者が、この公園の何処かにいるでござる!」

れいか「だとしたら放ってはおけません。ここは町の人たちの憩いの場、それをバッドエンドするなどとは断じて許せません!」

あかね「こんな時にみゆきたちと連絡とれへんのはイタイけど、無い物ねだりしてもしゃーないか」

れいか「わたしたちだけで何とかするしありませんね。ポップさん、バッドエナジーの発生場所はまだでしょうか?」

ポップ「あの四阿からエナジーが溢れてるござるッ!」

れいか「わかりました。……あら、あれは……!」

あかね「れいか、どないしたん? ってみゆきたちやん!! あのオオカミもいっしょや!! 今行くでみゆきッ!」


れいか「あかねさん待ってください、様子が変ですッ! オ、オオカミさんがッ!」

あかね「なにィ~~~~ッ」





ウルフルン「」ブツブツ



れいか「み……見てください! オオカミさんの表情を! 眼がうつろですッ!」

れいか「あの姿勢のまま動こうとしませんッ! なにやらブツブツつぶやいていますッ!」

ウルフルン「ま……まさか、こんなことが……なぜ……そんなバカな」ブツブツ

みゆき「どしたのウルフルンってば? 冬のナマズみたいにおとなしくなっちゃった」キョトン

露伴「君がトドメを刺したんだよ」

ポップ「キャンディ! やよい殿、なお殿! しっかりするでござる!」ユサユサ

キャンディ「」シィーン


ポップ「おのれ……バッドエンド王国ッ! よくもキャンディたちを傷つけたでござるなッ!?」

露伴「ああ、そーいう流れになるって訳かい? こっちとしてはその方が都合がいいな」

ポップ「おぬしは……?」

露伴「通りすがりの一般人さ、そこのオオカミが悪さをするもんだから困っててね。早くプリキュアってのが助けに来てくれればありがたいんだけどな?」

ポップ「そうでござったか。ここは危ないから安全な所に……」

アカオーニ「コラァおめーオオカミッ! バッドエナジー集めんのにどれだけ時間かかってるオニ!?」バァアーン

ポップ「二人目でござるかッ!?」

露伴「そら、お出でなすったぞ? 早く呼んだ方がいいんじゃあないか? プリキュアをさ」

ポップ「くっ……」

アカオーニ「おめーが先陣斬ってプリキュアをぶったおすっつーから待ってやったが、もういいオニ! もう俺一人で十分……って」

ウルフルン「」ブツブツ ドヨォオン

アカオーニ「なんだコイツ……バッドエナジーが勝手に溢れてるオニ。それもヤバイほどの量ッ! コイツは使えるオニ! ありがたく吸収させてもらうオニ」ズズズズ

露伴「なるほど、ああやってバッドエナジーを吸収して、ピエーロってヤツを復活させるって訳か」


あかね「なんやこの変な髪型の人……バッドエンド王国の連中見ても全然びっくりせえへんで」

れいか「あかねさん、来ますよッ!」

あかね「!!」

アカオーニ「出でよアカンベェ!!」ポーイ


アカンベェ「アカンベェ~~~~ッ!!」


みゆき「やよいちゃんの漫画がアカンベェになったッ!?」

あかね「ん? あのアカンベェ、鼻が青いで」

れいか「いつもの赤い鼻ではありませんね」

みゆき「あ、そっか……前の戦いだと青っぱなと戦ったのはわたしだけだったッ」

露伴「おおッ!? コイツはスゴいぞッ!? これが噂のピエロの怪物ってのか! いいぞ、いい『迫力』だッッ!!」

あかね「さっきからなんなんこの人……めっちゃ喜んどるやん」

みゆき「こ、こんな状況でも観察をやめないなんて……! これがプロフェッショナルッ!」

れいか「みなさん、驚いてる場合ではありません。行きますよッ!」

みゆあか「「YESッッ!!」」ビシィー





みゆあかれい「「「プリキュアッ! スマイルチャージッッ!!」」」レディー!!



省略ッッ!!



ハッピー「キラキラ輝く未来の光ッ! キュアハッピー!!」ドバァアーンッ


サニー「太陽サンサン熱血パワー! キュアサニー!!」ドギャアァンッ


ビューティ「しんしんと降り積もる清き心……キュアビューティ!!」シャァアンッ



露伴「おお、本当に変身したぞッ!? これがプリキュアかッ!! なるほど、迫力があるなっ」

アカオーニ「プリキュア! 今度こそ倒してやるオニ!」


ハッピー「ううー、5人いないと決め台詞が言えないよ~……」ハップップ

サニー「そんなこと言うとる場合ちゃうやろッ!!」

ビューティ「ピースとマーチを欠いた状態ですが、やるしかないようですねッ!」

今日はここまでです

みゆきちゃんはジョジョの主人公らしくモテる設定です

それではまた

おはようございます

今から投下します



アカンベェ「アカンベェ~~~~ッ!!」グワッ

サニー「なんやこの青っぱな、スッとろい攻撃やで」ハテ

ビューティ「確かに攻撃にキレがありませんね」サッ

ドゴンッ!!

サニー「ほんまや、大した攻撃やあらへんわ」ヤレヤレ

ハッピー「二人とも、コイツはパワーとスピードはカスみたいなモノだけど特別な能力があるんだよッ!」

ハッピー「このアカンベェにはプリキュアの技が通用しないの。技の使用は敗北を意味するッ!」

サニー「へ!? アホな、そんなんどうやって倒せばええねん!」

ハッピー「答えは簡単だよ。シンプルに『パワーで押し通す』……無駄な消耗はあってはならないッ! 確実にブチのめすッ!」

ビューティ「なるほど、シンプルが一番という訳ですね」

サニー「なんや、そんなんならウチは大歓迎やで! 分かりやすくてええからな!」




ポップ「ま、待つでござる! アカンベェは浄化の力で無くては倒せないので」

ハッピー「オラァアッ!!」ブォンッ

サニー「ドラァアッ!!」ビュオッ

ビューティ「無駄ァアッ!!」ズバァッ



ドゴベギグシャァアッッッ!!!



アカンベェ「ギェエエエエエエエッ!!?」メシャンッッ



ポップ「ござ……る」

露伴「……なかなか凶暴だね……彼女たち」



アカンベェ「オ、オァァー……」ピグッピグッ

アカオーニ「コラァァア────ッッ! おめーあの程度でもうギブアップしてんじゃあねーオニ!? なめてんのかコラッ!」

アカンベェ「ベ、ベッ! ベェ~ッ!!」イヤイヤ

アカオーニ「ちぃいッ! これじゃフツーの赤っぱなの方がまだ戦えるオニ!!」バッ

ハッピー「赤鬼さん! 戦えるのはどうやらあなただけみたいだね!」

サニー「ようやくボスのお出ましかいな!」

ビューティ「いいでしょう、私たちがお相手します!!」

アカオーニ「さっきから黙って聞いてりゃ嘗めおってからに! おい、アカンベェ! いつまで腐ってるオニ!!」

アカンベェ「ベェ……」


アカンベェ「パワーが足りねえなら他で戦うオニ! 『持ち味』を活かせッ! オニ!」

アカンベェ「……ベッ!!」コクリ

ビューティ「気をつけて! なにか来ますよッ!」


アカンベェ「アッッカンベェエ────ッ!!」ボバァア───ッ


ポップ「アカンベェから黒い液体がッ!?」

露伴「……この臭い……そうか、なるほどな」


ハッピー「きゃぁああッ!?」バシャッ

サニー「のわぁああ~~ッ!?」ドバシャッ

ビューティ「ハッピー! サニー! ……ッ!この臭いッ!」


ビューティ「『インク』ッ!! あのアカンベェは二人にインクを浴びせたと言うのですかッ!?」

ハピサニ「「うう……」」

ビューティ「お二人ともッだいじょうぶですか!?」


ハピサニ「「……」」


ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ


ビューティ「ハッ!? こ、これは……」


ハッピー?「WRYYY……」ユラ

サニー?「……」ユラ


ビューティ「『黒く』ッ! インクを浴びた二人が、まるで漫画で言う『ベタ』を塗られたかのように、真っ黒になっていますッ!」

ポップ「な、何が起こったのでござるかッ!?」


アカオーニ「ほう、コイツはいい。どうやらインクには俺たちの使う『黒い絵の具』と似た効果があるみたいだオニ」

ビューティ「どう言うことですかッ!?」

アカオーニ「かんたんオニ。その二人はもうプリキュアじゃあない、黒に染められた悪の戦士ッ、言うなれば『ブラックプリキュア』オニ!」


ビューティ「『ブラックプリキュア』ッ!?」


露伴「そこはかとなく悪意を感じるネームなのは気のせいか?」

ポップ「奇遇でござるな。拙者もそう思ったでござる」


Bハッピー「ウシャアアアアアアッッ!!」バッ

Bサニー「ウッシャァアアアアアアッッ!!」ババッ



ビューティ「これはッ! まるで屍生人のようにッ 凶悪な面構えになったお二人が、動物で例えるならヒョウくらいの俊敏さで私に飛びかかってッ!?」

ポップ「ハッピー、サニー! ……なんということだ、プリキュアが悪に堕ちるなどッ!」

露伴「フム、連載が長続きした漫画で、たまに見かける『パターン』だなァ~? 僕としては少々ベタだとは思うが……」


Bサニー「ウシュルッ! ウバシャァアアアアアッ!!」ブォンッッ

Bハッピー「ルン!ルン!ルン!」ブォンッ


ビューティ「くっ……! お二人とも、正気に戻ってくださいッ!」

Bハッピー「あたしィィィのれいかちゃあァァァん!」オゴォォォ

ビューティ「きゃあああッ!?」


アカオーニ「ワハハハッコイツはいいオニ! このままプリキュア同士で潰しあえッ! 再起不能になっちまえオニ!」

アカンベェ「アッカンベェ!」ケラケラ

ポップ「あわわわわ……こ、このままではプリキュアが共倒れになってしまうでござる」

露伴「そうだな……。それにしても見ろよ、あの凶悪な面構え。まるでパニック映画のクリーチャーそのものじゃあないか? エイリアンもびっくりさ、参考になるッ!」カキカキ

ポップ「お、おぬしはこんな時に何を呑気に観察してるでござるかッ!」

露伴「ん? 何を言ってるんだ、あんなもの滅多に見れるもんじゃあ無いんだぜ? 貴重な体験が出来たことは喜ぶべきだ。創作者としてね」

ポップ「プリキュアが負けたら世界はバッドエンドになってしまうでござる! それをわかってるでござるかッ!?」


露伴「やかましいぞ……別に、プリキュアが負けるとは限らないだろ? 正義の味方なんだからな。あのくらいの試練は乗り越えてもらわなくっちゃあつまらない」

露伴「ま、どーしても負けて困るんだって言うなら、考えが『無いわけでも無い』」

ポップ「へ?」


露伴「ヘブンズ・ドアーッ!!」バァアアンッッ


ズバババッッ!!


やよい「……」ビシィイッ

なお「……」バシュッッ

キャンディ「……」シュバァッ



ポップ「皆の衆ッ!? おぬし、3人に何をしたでござるかッ!?」

露伴「覚えていたら面倒だからな、まず『本にされたことは忘れる』と書き込んだ。そして」


ムクゥリ


露伴「『すぐに起き上がり、目の前の状況を理解し、変身する』ってな」


やよなお「「プリキュア! スマイルチャージッ!!」」レディー!!


ポップ「おおっ!?」



ビューティ「ハア、ハア、……くっ」

アカオーニ「フフフッ! とうとう追い詰めたオニ!」

アカンベェ「アカンベェ~ッ!」

Bハッピー「フシュルルルルゥゥゥ~ッ!」

Bサニー「ウシャシャシャシャッッ!!」

ビューティ「うう、お二人とも、なんてあわれな姿に……」

アカオーニ「フフフッ! 良いこと思いついたオニ! プリキュア! キュアビューティを捕まえるオニ!」

Bハッピー「シャァアアアッッ!!」

Bサニー「ウッシャァアアアアアア!!」


ガシィイイッ


ビューティ「きゃっ! な、なにを……」

アカオーニ「おめーもコイツらと同じよーにしてやるオニ! アカンベェ! キュアビューティにインクをぶっかけろッッ!」

アカンベェ「アカンベェ~ッ!!」ゴゴゴゴ


ビューティ「は、放してくださいっ! お二人とも、正気に戻ってッ!!」グググ

Bハッピー「フッシャァアアッッ!!」グググ

Bサニー「エシャアアアアアッッ!!」グググ

ビューティ「ダ、ダメ……こちらの言葉が通じないッ! 二人に届かないッ! もう……」

アカオーニ「おめーも黒くそまっちまえオニ! やれ、アカン」


『プリキュアキーーーーックッ!!』ドッゴォオオアッッ


アカオーニンベェ「「ベバフッッ」」メシャンッッ


ビューティ「!?」

Bハッピー「ウガ……」

Bサニー「グルルッ!?」

「だいじょうぶ? ビューティ」

「ごめんね、遅くなったッ!」

ビューティ「あ、あなたたちはッ!!」





┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨



ピース「ピカピカピカリンじゃんけんぽん! キュアピース!」バァアアンッッ

マーチ「勇気リンリン直球勝負ッ! キュアマーチッ!!」バァアアンッッ



┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨



ビューティ「ピース! マーチ! 目が覚めたのですねッ!」

ピース「ごめんねビューティ、一人で無理させちゃって」

マーチ「でも、私たちが来たからもうだいじょうぶだよッ!!」

ポップ「ビューティ、間に合って良かったでござる!!」

ビューティ「ありがとうございます! ……ですが、その前にッ!」

Bハッピー「ウシャアア……ッ!」

Bサニー「ルルルルウッッ」

ビューティ「敵に操られてしまったハッピーとサニー! この二人をどうにかしませんと……ッ!」


マーチ「それなら『なんとかなる』よ……ピースッ!」

ピース「うん、まかせてッ! プリキュアッッ……!!」バチバチッ


ピース「ピースッッ! サンダァアアアアッッッ!!!」ズバシャァアアアッ


Bハピサニ「「アババッバババッババババッッババ!!?」」バリバリバリバリ


ビューティ「え、ええっ? これは一体……」

マーチ「悪いけど、ちょっとおとなしくなってもらうから」

ピース「……ふう、露伴先生ッ! お願いしますッ!」

露伴「ん、わかってるさ……」



Bハピサニ「「……」」チーン


露伴「ふん、ちゃんと手加減は出来てるみたいだな? これなら楽で良い……ヘブンズ・ドアー!!」ズキュゥウン


Bハッピー「……」ズバッ

Bサニー「……」ドシュッ


露伴「よし、これで問題ない……後は君たちプリキュアに任せるよ、戦いは得意じゃあないからな」

ピース「はいっ! 後は私たちにまかせてくださいッ!!」びしいっ

ビューティ「やよいさんがここまで尊敬の念を抱くとは……この方は一体……」

露伴「僕は漫画家さ、ただし、少しばかり人より好奇心が強いけどね……」

ポップ「少しの域を越えてる気がするでござる」

露伴「ほら、『もうすぐ』だ。プリキュアってのは5人組なんだろ?」

ビューティ「!!」




アカオーニ「クソッ! 仲間が隠れてたなんてズルいオニ!! あと一歩で倒せたものをッ!」グググ

アカンベェ「ベエ……」グググ

アカオーニ「でも、こっちにはまだブラックプリキュアがいるオニ! もう一度取っ捕まえて全員ブラックプリキュアにして……」



ビッッカァアアアアアア─────ッッッ!!!



アカオーニ「な、なんだッ!? この光はァアアアアッッッ!?」






ハッピー「キラキラ輝く未来の光ッ! キュアハッピーッッ!!」バァアアンッッ

サニー「太陽サンサン熱血パワー! キュアサニーッッ!!」ズギャァアンッッ

ピース「ピカピカピカリンじゃんけんぽん! キュアピース!」キュァアンッ

マーチ「勇気リンリン直球勝負ッ! キュアマーチッ!!」ドギャンッッ

ビューティ「しんしんと降り積もる清き心、キュアビューティ!!」シャァアンッッ



スマプリ「「「「「5つの『光』が導く未来ッッ!!」」」」」ゴゴゴゴゴゴゴゴ


スマプリ「「「「「輝けッッ!!」」」」」ザッ



スマプリ『スマイルプリキュアッッ!!』ドッッギャァア────z____ンッッッ



ポップ「プリキュアッッ! プリキュアがよみがえったたでござるぅうッッ!!」

アカオーニ「ば、バカなッ! ハッピーとサニーはブラックプリキュアになったはずオニ!? なんで元に戻ってるオニ!?」

露伴「簡単だよ、僕が二人に『書き込んだ』からさ」ドン

露伴「『すぐに目覚める、そして正気に戻る』ってね」

アカオーニ「何いぃいいいッ!?」

ハッピー「ビューティ、迷惑かけちゃってごめんね。もうだいじょうぶだから!」ドン

ビューティ「ハッピー……いいのです、ハッピーが無事ならそれで」

サニー「みんなえろおすまんかったな。この借りはキッチリ返したるわッッ!!」バン

ハッピー「行くよッみんなッッ!!」


スマプリ『YESッッ!! 』ピシィイッッ




アカオーニ「く、クソッ! ならばもう一度インクをぶっかけろ! アカンベェ!!」

アカンベェ「アッッカンベェエ~~~~ッッ!!」ブッシャァアアッッ

ハッピー「みんな、インクは私とサニーにまかせてッ!」

サニー「よし、来んかいッッ!!」ババッ


バシャァアアアアアッ!!


ポップ「ハッピー! サニー! そんな、これではまた……」

アカオーニ「ブハハハハッ!? バカオニ! また操られにきてくれたオニ!」


ハッピー「それは……どうかなァア~~~~?」

サニー「今のウチらをなめたらアカンで~~~~ッッ!」


アカオーニ「はいっ!?」




ハッピー「じゃんッ! 効いてないッ!」バァアアンッッ

サニー「なんやこんなもん! タコの墨に比べたらなんてことないわッ!」バァアアンッッ


アカオーニ「な、なんでだオニ!? なんでインク攻撃が効かないオニ!?」

露伴「そりゃあこの僕が『何か』したに決まってるだろ」

アカオーニ「ま、またおめーかッ! 今度はどんな手品を……まさかッ!?」

露伴「考えてる通りだ……。既に『インク攻撃は効かない』と書き込んだ。そのピエロの攻撃はもう彼女たちには効かないよ、残念だったな」

アカオーニ「そ、そんなのズルいオニ!!?」

サニー「そっちもプリキュアの技が効かんのやろ? お互い様や!」


ピース「でも、これからどうやって戦えばいいの? プリキュアの技が効かないならアカンベェを浄化できないよ」

マーチ「直球勝負でギタギタのボコボコにするのは……」

ビューティ「それで倒せるとも思えませんが……」

ハッピー「うーん、どうしよっか?」


プリキュアは負けないクル……


ハッピー「!!」


キャンディ「キャ、キャンディ信じてるクル……プリキュアはぜったい、だれにも負けないって信じてるクル……!」

ポップ「キャンディ! おぬしも目を覚ましたでござるな!」


キャンディ「おにいちゃん……ハッピー……プリキュアのみんなががんばってるのに、キャンディだけ寝てちゃあいられないクル」コォォォォ


ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ


ハッピー「キャンディ……?」

キャンディ「キャ、キャンディはみんなと一緒に戦えないクル。でも、みんなの『力』になりたい気持ちは負けないクル!」

ポップ「キャンディ! ムリをしてはダメでござる! なにか、良からぬことがッ!?」

露伴「……(この妖精、ただならぬ何かを感じるぞ。こういった妖精は物語の鍵になることが多いそうだが、まさか……)」


露伴「(おもしろいからもう少し見ておこう)」




キャンディ「だから、キャンディの『命』と『心』を懸けて……プリキュアに『勝利』をもたらせるクル────ッ!!」カッ



ビッッカァアアアアアア────ッッッ!!



サニー「こ、この光はァア────ッ!?」

マーチ「プリキュアの聖なる輝きに似ているッ!」

ピース「まさかッ新しい力が生まれようとしているの?」

ビューティ「考えるのは後です! みなさん、輝きを手に!」サッ

ハッピー「うん、みんなッ! 掴んで! キャンディの光を!」サッ



ガッシィイ!!



ハッピー「これはッ! 新しいデコル!」パァアア


ビューティ「キャンディの気持ちが新しい力を生み出したのですね」パァアア

露伴「(イヤイヤイヤイヤそんな都合のいいもんじゃあ無いだろ? 感情でどーにかなるんだったら世の中もっと楽になるさ)」

露伴「(あれは間違いなく、あの妖精が『元々持っていた力』だ。どんな能力かは知らんが……おもしろい、あの妖精にはなにかあるぞッ!)」

アカオーニ「な、なんだかわからんが叩き潰すオニ! アカンベェ!」

アカンベェ「アカンベェ~ッ!!」ズドドド


ハッピー「みんなッ! デコルをスマイルパクトにセットして!」サッ


サニー「おっしゃ!」サッ


ピース「うん!」サッ


マーチ「オッケー!」サッ


ビューティ「了解しました!」サッ



カチリッ☆

キュァアアンッ☆





ポップ「い、今までにない力が来るでござるッッ! これが、プリキュアの真のパワーなのでござるかッ!?」


ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ


スマプリ『プリキュア!』

スマプリ『レインボォォォーーッヒーリングッ!!』



ピカァァ────ッッッ




アカンベェ「ベッ……」パァアアーーッッ



チュドォオオ────ンッッッ!!!



アカンベェ「べェエ~~~………」ポッシュゥウン



アカオーニ「あ、青っぱなが浄化されちまったオニ!? ジョーカーのヤツッ! 話が違うオニ~ッ!」

ウルフルン「……あれ? 俺、ナニやってんだァア~?」ハテ


アカオーニ「おめーは結局何しに来たオニ~ッ!!? とっとと帰るオニ!」ガシ

ウルフルン「うおおっ!? っと、ちょっと待っ────」シュンッッ



ハッピー「やったあ! 青っぱなのアカンベェを浄化出来たよッ!」

キャンディ「よ、良かったクル……みんなの力になれて……」

サニー「キャンディ! もう動いてだいじょうぶなん?」

ピース「あまりムリしちゃだめだよ?」

マーチ「まさかキャンディにあんな力があったなんてね」

ビューティ「キャンディ、あの力は一体……」

キャンディ「キャンディにもよくわからないクル。ただ、みんなを助けたいって『願った』ら、からだが動いたクル~……」



ハッピー「!」




ポップ「フム、キャンディにもわからない力とは……しかし、あの光はまるで女王様のような……」


「なるほど、白い浄化の光とその妖精・・・ミラクルジュエルの手がかりはあなたが持っていると見て間違いなさそうですねぇ?」


ビューティ「誰ですかッ!?」クルゥリィッ



ジョーカー「はいっ! みなさんまたお会いしましたねぇん?」バァアアンッッ



スマプリ『ジョーカーッッ!!』



露伴「(なんだ……また妙なヤツが出てきたな。あれもバッドエンド王国の幹部か?)」




ジョーカー「青っぱなを倒すなんてやるじゃあないですか? 流石は伝説の戦士プリキュア! 手強い相手です!」

サニー「なんや! ウチらとやろーってのかッ!?」

ジョーカー「あー違う、違いますよぉ? 今日はあなた方に用があって来たのでは無いのです。用があるのは……」キラッ

キャンディ「」ビク

ジョーカー「そこのあなた♪ 私と一緒に来てもらいますよっ!!」シュバババッッ

マーチ「カード!?」

ピース「カードがキャンディの周りに……ッ!」

ビューティ「キャンディッ!!」


キャンディ「ク、クル~ッッ!!?」ポワンッ


ジョーカー「フフ、妖精1名様ご案内♪」ガシッ

キャンディ「クルッ! は、はなすクル~ッッ!」ジタバタ


ピース「キャンディッ!? あなた、キャンディを放してッ!」

ジョーカー「フフン、それは出来ません。あなた方に願いを叶えさせるわけにはいきませんからねえ?」

ピース「え、な、なんのこと……?」

露伴「(願いだと?)」ピク

ハッピー「……」

ジョーカー「ピエーロ様ももうじき復活なされます……あなた方の未来は……『バッドエンド』! フフフフッ! では、サヨウナラ♪」ポワンッ


マーチ「キャンディッ!! ……どうしよう、キャンディが……!」

ポップ「さらわれた……でござる……」ヘナ

サニー「で、でも! なんでキャンディなん!? デコルを狙うんならわかるけど、キャンディをさらう理由なんてあらへん!」

ハッピー「……理由なんて……『どうでもいい』ことだよ」

サニー「ハッピー……」


ハッピー「問題は、あの人がキャンディを……『大切なモノ』を奪ったことッ! それがもっとも大きな問題……だよ」

ビューティ「……!」

ハッピー「奪われたモノは……『奪い返さなければならない』ッ! シンプルな結論……。みんな、そうだよね?」

ピース「……うん、そう……だねッ」

マーチ「考える必要なんてないッ! そう、はじめからッ!」

ビューティ「わたしたちの成すべきことはッ!」


┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨



『バッドエンド王国に乗り込むことッ!』ドン



┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨



ポップ「み、皆の衆、本気でござるか……? バッドエンド王国は敵の本拠地ッ! みすみす罠に飛び込むようなものでござる!」

ハッピー「百も承知ッ! ここで手をこまねいても何も変わらないッ! それに、いつかは戦わなければならないことに変わりはないよッ!」

サニー「手っ取り早く本拠地潰すってのはありやなァア~?」

ピース「キャンディは、ぜったい助け出すッ!」

マーチ「もう、みんな『覚悟』は決まっているよッッ!」

ビューティ「ポップさん、キャンディはわたしたちの大切な友達です。友達を救うためなら、多少の危険に戸惑っている時ではないのです」

ポップ「む……皆がそこまでキャンディのことを思ってくれるとは、キャンディも良い友を持ったでござるな……」

ポップ「ありがとうでござる。ならば、拙者も覚悟を決めるでござる! いざ、バッドエンド王国へッッ!!」ザッ



『行くぞ!』バ────z____ン



ハッピー「とぅるるるるるるるるるるる!! あ、ちょっと待って! ボスから電話だッ! えーと電話電話……」キョロキョロ



4プリポプ『だぁあああああッッ!!?』ズコー





ハッピー「えへー♪ ごめんねみんな? 『すぐに』終わるからさ……ちょっぴりだけ待ってね♪」

マーチ「もう! 締まらないなあ!」プンスカ

ピース「さ、さすがハッピー、マイペース……」

サニー「さっきまでカッコつけてたんが台無しやん」

ビューティ「ハッピー、早く戻ってきてくださいね?」


ハッピー「はぁあーいッ♪」ピューン



ハッピー「……」スタスタ

ハッピー「…………いいよ? もう出てきても……」

ハッピー「岸辺……露伴さん」


┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨


露伴「おや、やっぱりバレてたのか。こっそり後から付いていこうと思ってたんだけどな」

ハッピー「先生、今日は私たちを助けてくれて、ありがとうございました……」

ハッピー「ですが……もう、これ以上『私たち』に関わらない方がいいです。命の安全は……保障できません……」


┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨




露伴「ふん、この岸辺露伴が、たかが『危険』程度で怖じ気づくとでも思ったのか? バカにするんじゃあないよ」

露伴「……ますます気に入ったさッ! メルヘンランドにバッドエンド王国ッ! 異世界への切符が目の前に置いてあるんだぞッ!? 手に取るに決まってるだろ!!」

ハッピー「……じゃあ、どうしても諦めないと?」

露伴「……」



ニブニブニブニブニブニブ…………





露伴「(既にヘブンズ・ドアーの射程距離内だ……攻撃が成功すれば、彼女の意識は途切れ、後は思うように書き込める)」

露伴「(ページに『岸辺露伴も一緒に連れていく』と書き込めばいい。彼女はプリキュアのリーダー、強く推せば周りが納得する。そうなればどうとでもできるッ!)」

ハッピー「……」

露伴「(……なんだ? なぜ動かない? この距離で……ヘブンズ・ドアーを上回るスピードで攻撃できる自信でもあるのか? やけに静かだが……)」











ハッピー「─────とぅるるるるるるるるるるる!!」











露伴「なにっ!?」




ハッピー「とうおるるるるるるるるるるる! るるるるるるるるるるる!」




露伴「な、なんだコイツ、急に……頭でもおかしくなったか?」




ハッピー「とぅるるるるるるるるるるる……とぅるるるるるるるるるるる!! るるるん♪」

露伴「ワケがわからん……ワケがわからんが」




露伴「(とてつもなく『イヤな感じ』だッ! そう、予感と言ってもいい、今ここでコイツを倒しておかないと『ヤバい』気がする……。なんだ? なんなんだこの『感じ』は?)」


ハッピー「とぅるるるるるるるるるるる……!!」


露伴「……考えてもしょうがないな……そっちも退く気がないならこちらは対処させてもらうぞッ!」


露伴「ヘブンズ・ドアーッ!!」ズキュゥウン


ハッピー「とぅッッッ!!」ビクン

ハッピー「……」バタ




露伴「……やった? 成功したのか? ……思ったより呆気ないな……」

露伴「まあいいさ、ヘブンズ・ドアーの書き込みは絶対……念のために『岸辺露伴へ攻撃出来ない』と書けば安心だ。さあ、書き込むか」チラッ





【警告】
これより先は、読んではいけない





露伴「────!?」





ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ


露伴「いきなりなんだ? これは……」

露伴「ヘブンズ・ドアーが本にして読む記憶はこの少女が記憶している嘘偽りのない『人生の体験』。それが……」

露伴「警告? いったいなんなんだ? 『警告』ってのがコイツの人生の体験なのか?」

露伴「……」


ニブニブニブニブニブニブ…………


露伴「はじめから……」


露伴「奇妙な少女だとは思っていた。あの四人とは一味違う……なんらかの『毒気』を感じてはいた」

露伴「ここに示されているのが、その『毒気』の正体だと言うのならばッ!」ガシッ

露伴「迷わず『読む』ッ! 毒を食らわば皿までってヤツだッコイツの正体を読んでや────────────」ググッ




ドクンッ




露伴「─────あ?」パラッ





露伴「……」

露伴「……?」キョロキョロ

露伴「今、なんかおかしくなかったか……? ……いや、そうだ、早くページをめくって……」



『岸辺露伴は死んだ』

『ページを見終わった後に殺された』

『星空みゆきの秘密に近づいたから殺された』



露伴「……!?」






ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ


露伴「死、んだ……? 殺された? 僕が?」

露伴「秘密……なんだ、秘密だと? 『秘密に近づいたから殺され』─────」


ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ



「まさか……この地におまえのような能力を持ったモノが現れるとはな……」

露伴「!!?」

「おまえは気づいてはいないだろうが……おまえは既に『読んだ後』なのだよ。ただ、お前自身が認識していないだけだ……」

露伴「(誰かがいるだと……!?……『僕の後ろ』にッ!? バカな、何時からいたんだッ!?)」



「そう、『読み終わったという結果』だけが残ったのだ」





露伴「(……ち、違う、目の前の少女じゃあないッ! もっと、別の……『悪魔のようにおぞましい者』がッ! 僕の後ろにいるッ!!)」

露伴「(……そうだ、わかったぞッさっきから感じていた『イヤな感じ』……こ、これはッ)」


露伴「(『恐怖』……!)」



「人の本質を『見抜く能力』を持ち………それを漫画という商売にさいたのは…………おまえ自身の最大の不幸だ…………」

「このわたしの本質を! ほんのちょっぴりでもわかるものが………この世に存在してはならないのだ……。わかるな?わたしの言ってる事が…………」



「君はもう! この世にいてはならない。それはもう、くだされたわたしの決定だ……」



露伴「────ヘ」

露伴「ヘブンズ・ドアーッ!! 後ろだッ! 後ろにいる敵を攻撃しろッッ!!」





露伴「────!?」



露伴『』



露伴「(なんだこれは!? どういうことだ!? 後ろ……後ろにいたのは……」



露伴「────『僕自身』だとッ!?)」



「最期に……おまえが観察するモノは……」

露伴「!」ビクッ










「おまえという……人間そのもの……『自らの死』だ」







露伴「───ッッヘブンズ────」



グシャアッッ!!








……

…………

…………………




少女「ねえ、おじちゃん、テーブルにつっぷして、お腹でもいたいの? ねえ、おじちゃん?」


露伴「……」


少女「……つかれてるのかな? もう行くね。かぜ引いても知らないんだから」




露伴「…………」













露伴「」



←TO BE CONTINUED……////


今日はここまでです

知らなくてもいいことは知ってはいけない

ではまた今度!

こんばんわ

今から投下します

ドッピオ登場記念ンンンンッ!



ジョーカー「ピエーロ様、ミラクルジュエルの手がかりである妖精をゲットしました」

ジョーカー「すぐにでも始末したいところですが……まもなくプリキュアがこちらに来る頃でしょう。私はそちらの相手をします」


ニブニブニブニブニブ…………


ジョーカー「……ええ、解っていますとも、あなたの期待は」

ジョーカー「満たされるでしょう……。必ずや仕止めて……ご覧に」

ジョーカー「……いれます」






【Disperazione】……イタリア語で絶望を意味する





日野あかねは星空みゆきよりも以前に、大阪から七色ヶ丘に転校してきた少女である。

性格は人一倍熱い心を持ち、ノリがよい。好きなことは人を笑わせること

典型的な大阪人であると言えるだろう

彼女は常に話にオチをつけることを求めるが、これは白黒をハッキリとさせる彼女の気質から来るものであり、その気っ風のいいところはクラスでも受け入れられている

そんなあかねから見て、星空みゆきとはまるで見たこともない人間だった

破天荒にして天然のボケ体質……それでいてツッコミを殺すキラーパスを平然と放ち、なおかつ己の本分であるツッコミを奪いかねないキャラの濃さ……

何もかもが予想のナナメ上であった

プリキュアを続けているのもみゆきに引っ張られている感じだが、あかねはそれについては不満は持っていない

むしろ、自身を委ねてもよいという心地よささえある。

この先に何が待ち受けていてもみゆきと一緒ならなんとかなる……そんな気持ちが湧いてくるのだ





不思議図書館ッ!



ポップ「バッドエンド王国への行き方でござるが、まずメルヘンランドに行かねばならぬでござる。そのために、この絵本がゲートになるでござる!」

みゆき「みんな、準備はいい?」

あかね「もちろんやッ! いつでもええで~ッッ!」

やよい「ま、まだほんのちょっぴりだけ怖いけど……」

やよい「キャンディを助けるためだもん。わたし、がんばるッ!」

なお「いよいよ敵の本拠地か……! 誰が来ようと、負けるわけにはいかないッ!」

れいか「なお、無茶はダメですよ?」



ポップ「それでは皆の衆!」






『行くぞッ!』バ───z____ン





バッドエンド王国ッ!



ジョーカー「それではみなさん、私はプリキュアのみなさんを……『始末』しに向かいます。ここの守りは任せましたよ?」

マジョリーナ「おまえ自ら出るなんて珍しいだわさ」

アカオーニ「あんなやつら、俺たちだけで充分だオニ!!」

ジョーカー「そう言うわりには、いくら待ってもプリキュアを倒せていないではないですか?」

アカオーニ「むぐッ!?」

ジョーカー「だから私が出るのですよ。ピエーロ様の復活を……より確実にするために」

ジョーカー「プリキュアをバッドエンドに染めて……バッドエナジーを絞りとってあげます♪」ニヤァ

ウルフルン「……」


ジョーカー「まー、危なくなったら頼むかも知れませんから、せいぜい準備だけはしといてくださいねぇん? では……」シュンッ


アカオーニ「あ、あのヤロー! 完璧に俺たちを嘗めてるオニ!」

マジョリーナ「どうするだわさ? アイツ、ああ見えてけっこうやるだわさ」

マジョリーナ「もしも、プリキュアを倒してしまったらあたしらの立場が……」

ウルフルン「心配いらねーよ」

マジョリーナ「あん?」

ウルフルン「黙って待ってりゃあいい……プリキュア……アイツは必ずここに来る」

アカオーニ「なんで分かるんだオニ!?」

ウルフルン「ケッ! 勘だよ勘! 俺様の野生の本能が言ってるのよォオ!! プリキュアが来るってなァア~!?」



ウルフルン「まー、お手並み拝見と行こーじゃねーか? しかしジョーカーのヤロウ、案外手こずるかもだぜェエ~ッッ!!?」





メルヘンランドッ!



みゆき「ここがメルヘンランドッ! おとぎ話の世界……かァア~♪ なんだかドキドキするよぉ」

なお「みゆきちゃん、遊びに来たんじゃあないんだよ?」

みゆき「ご、ごめんッ! ついはしゃいじゃった」

あかね「異世界に来ても、なおのオカン気質は変わらんやっちゃなあ~?」

なお「オ、オカンって……あかね!」

あかね「ひゃ、堪忍!」

れいか「みなさん、とりあえず今は騒がない方が良いでしょう」

やよい「そ、そうだよ。それに早くキャンディを助けなきゃ……」

みゆき「騒ぐ……といったら、なんかやけに静かだよね? 誰もいないし……」

あかね「確かに、人っ子一人もおらへん。みんなどこ行ったんや?」

ポップ「いや、住人はいるでござる。しかし……」


ポップ「女王様が眠りについてからはすっかり意気消沈し、滅多に家から出なくなってしまったでござる」

やよい「そうなんだ……」

ポップ「一刻も早く女王様を復活させねば、そしてキャンディも……」



「それは困りますねえ?」



スマプリ『!!!』キョロキョロ



「ハハハッ!! こっちですよぉ?」バサバサバサ



ポップ「皆の衆、空でござるッ!」



ジョーカー「ごきげんようプリキュアのみなさん。はじめてのメルヘンランドはどうですか? いい感じにバッドエンドになってるでしょ」

なお「アイツ……」

れいか「バッドエンド王国の幹部、ジョーカー!!」


あかね「早速お出ましっちゅうわけやなッ!!」

ポップ「ジョーカー! キャンディを返すでござるッ!!」

ジョーカー「フフッ! イヤだと言ったらぁ?」

やよい「あ、あの人……こっちをバカにしてッ!」

やよい「……あれ? みゆきちゃんは?」キョロキョロ



いいからさっさと……



やよい「!! あ……ッ!?」ユビサシ



ジョーカー「ん? ────はっっ!?」クルゥリィ



ハッピー「キャンディを返してッッッ!!」バァアンッ



ガキィイインッッ!!




ハッピー「ちぃいいっっ!!」ググッ

ジョーカー「ふ、不意討ちとは……! やりますねえっ!!」グググ


れいか「みゆきさん、いつの間に変身をッ!?」

なお「さ、さすがみゆきちゃん手が速いねッ問答無用ってか?」

あかね「みゆきらしいっちゃあらしいわな。ほな、行くでぇみんなッ!」


なおやよれい『YESッッ!! 』ピシィイッ




ハッピー「どうだこの拳の応酬はッ!? とても避けられないでしょッ!」ドドドドドド

ジョーカー「フフンッ! スローですねェエ~?」パシパシパシ

ハッピー「なにっ、受け止めるのッ!? 私のラッシュの応酬を、こうもたやすくッ!」

ジョーカー「これが3幹部のみなさんを震え上がらせた、キュアハッピーの実力ですかぁ? たいしたことないんですねぇん?」

ハッピー「やかましいッ! ひーひーこれからおびえるのは……アンタの方だよッ!」ドギャ




ハッピー「ウゥルトラトラトラトラトラトラトラ
トラトラトラトラトラトラトラトラトラトラ
トラトラトラトラトラトラトラァア────ッッ!!!」ドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴ

ジョーカー「無ゥ駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァア────ッッ!!!」ドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴ



ポップ「スッッ凄いッッ!! ハッピーシャワーを使わなくても、あれだけの攻撃が出来るようになったでござるかッ!?」



ハッピー「HAPPUPPUUUUUUUUUUU AHHHHHHHHHH ─────ッッ!!」ドッゴォアッッ


ジョーカー「ぬぅうッッ!!」バッシィアッ


ポップ「うまいッ! ラッシュの決めのパンチで、ジョーカーの細身の体躯が宙に浮かんだでござるッ!」

ハッピー「攻撃を畳み掛けるのは、『今』ッ! みんなッッ!」




サニマチ『こっちは……』

ピスビュ『任せてッッ!!』


サニー「太陽サンサン、大盤振る舞い鉄板焼ッ!! プリキュア・サニーファイヤー!!」ゴォウッ


マーチ「そして太陽球から発せられる熱風の嵐ッ!!」ブォオッ



サニマチ「「プリキュア・サンライト・ウィンド・オーバードライブ!!」」ドッギャォンッ





ポップ「これは『太陽風』ッ! サニーファイヤー熱球に当てたマーチシュートの烈風が、恒星から発せられる電離したプラズマのように、奔流となってジョーカーに襲いかかったァアッ!」


ジョーカー「オオオ~ッッ!?」ドジュゥウーーッッ


ポップ「これはさすがのジョーカーもたまらず逃げ出すッッ! しかしッそれを追跡するのはッ!」


ビューティ「しんしんと、静かに泣く(ジェントリー・ウィープス)……ビューティ・フェノメノンッ!」シャキィインッ

ピース「そして氷と雷を纏った美しき追跡者ッ!!」バリバリ



ピスビュティ「「プリキュア・ピース・サンダー・ブリザード・フェノメノンッ!!」」ジャキィインッッ






ポップ「これはキュアビューティが氷の鎧を纏ったッ!? そしてビューティブリザードで地面を凍結させ、足に生えたエッジで地面を滑るように移動しているッ!!」



ビューティ「逃がしませんッッ!!」キュゴォオッ



ポップ「しかし後ろからはサニーが放った太陽暴風がッ!? このままではビューティが電子レンジに入れられたゆで卵のように爆発四散してしまうでござるッ!!」



ビューティ「……」キュゴォオッ






ポップ「爆発しないッ!? ……そうか、『ピースサンダー』! 
氷の鎧にピースサンダーの電磁バリアを張ることによって太陽風をシャットアウト! 
今、キュアビューティはさながら磁場を発しながら自転する地球そのもの、地球の発する圧倒的パワーを操っているッ!」




ビューティ「喰らいなさいッ! トリプルアクセル・惑星自転カッターッッ!!」ギュルンッッ



ジョーカー「グワァアッッ!?」ズバシュッッ



ポップ「よし! 最高難度の技が決まったッッ!! 
3回転半の超スピードが生み出すエッジの波状攻撃がジョーカーのヤツを切り刻んで行くゥウ─────ッッ!!」







ハッピー「これがわたしたちの力! 
プリキュアが持っている星々の超自然的な能力を何倍にも活かす闘い方……
『スター☆トゥインクルの闘法(モード)』ッ!!」バァアンッ



サニー「どや! ウチらをなめたら痛い目見るでぇッ!」

ピース「これが! みんなとの結束の力だよッ!」



ジョーカー「なるほど……プリキュアッ! 侮り難しッ!」ニヤァ



スマプリ『!?』





ジョーカー「3幹部では厳しいわけですねえ。あなた方は強いッ! 敬意を表しますよ……
しかし無駄に終わりますッ!」


ピース「そ、そんなあ……みんなの合体攻撃をあれだけ受けたのに、カスリ傷の一ミリもないよぅッ!?」

サニー「んなアホな……! 不死身やあるまいし、いくらなんでも無傷やなんて」

ジョーカー「はい! キュアサニーさん正解でぇすッ! いくら私でもあれだけの攻撃を受けたら木っ端微塵に爆裂死したでしょうねえ……しかしッ!」


ジョーカー「ここにいる私が私で無かったとしたらァア~?」バララララッ


マーチ「ジョーカーの体が、無数のカードになってバラけていくッ!?」


ビューティ「ま、まさか……私たちはッ!?」バッ

ハッピー「……嵌められたッ!? コイツはジョーカーじゃあないッ!」


ハッピー「偽物ッッ!!」


ジョーカー(真)「その通~りぃ♪ みなさん偽物相手にごくろうさまでした♪」


ポップ「始めから偽物を使ってプリキュアと戦っていたとは……!」

ジョーカー「プリキュアの戦力を見極めるためです。それと、体力の消耗も期待したのですけどね~?」ケラケラ

ピース「こ、このひきょー者ッ!」

ジョーカー「おや? 一人相手に五人で寄って集って戦うあなた方にひきょーとは言われたくないですねえ?」

マーチ「う、そう言われると……」

ビューティ「そのような気もしてきます……」

サニー「何納得してんね~んッ!!」ビシッ

ハッピー「戦争にひきょーもらっきょうもないんじゃあないかな?」ニコニコ

ピース「ハッピー、顔が怖いよ……」




ジョーカー「ほう? あなたたち、そんなに負い目があるならちょうどいい。
『フェアプレー』で戦おうじゃあないですかッ! 正々堂々、一対一でッ!」つカード


バララララッ


マーチ「今度は何をするつもりだッ!?」

サニー「カードが宙を舞っとる!? みんな、気ぃつけぇや!」


ジョーカー「フフッそう慌てないでくださいよ! 面白くなるのはこれからですよ?」

ジョーカー「ハァアッ!!」カッ

ズラァアアアアアッッ

ピース「うぇええっっ!?」

マーチ「ジョ、ジョーカーの数が増えたぁ!?」

ポップ「トランプを使った分身でござる!」




ジョーカー「ひとりひとり」

ジョーカー「順番に順番に」

ジョーカー「あなた方の希望とやらを、このジョーカーの作り出すバッドエンド空間にバラ撒いてあげましょうッ!」ニヤァリ


ハッピー「みんな、来るよッ!」



ジョーカー×5「さあ! 『Black Jester(黒い道化師)』ジョーカーの『絶望の喜劇』、開幕です♪」





ビューティ「みなさん! おそらくこの分身はひとつひとつが本物と同程度のパワーがあると見て間違いないでしょう! 
気を引き締めて……」

ジョーカー「他人よりも自分の心配をするべきだと思いますよ?」ヒュパッ

ビューティ「えっ……!?」

ジョーカー1「そぅれッ!!」バッキィンッ

ビューティ「きゃあっ!!」ズザザッ

マーチ「ビューティ!!」

ジョーカー2「あなたの相手はわ、た、し♪」ヒュパッ

マーチ「ぐっ、こ、コイツッ!!」ブォウンッ

ジョーカー2「読みやすい、単調な攻撃ですねえ?」ヒョイ

マーチ「このっ! ちょこまか動き回って……! 当たらない!」ブンッ



ジョーカー3、4「あなた方プリキュアは確かに強いッ! 5人揃えばアカンベェ程度では歯が立たないでしょうね。
しかしッ!」バギッ

ピース「あわわッ!?」ドシャッ

ジョーカー5「ひとりひとりはそこまで恐れる程でもないんですよ……もっと簡単に言えばッ!」ブンッ

サニー「うわッ!?」ドッゴォアッッ

ハッピー「サニーッ!!」

ジョーカー1「チームで戦うことに慣れすぎましたねぇん♪ 1度隙を突いてしまえば、ほーらご覧の通りぃん♪」




マーチ「う、うう……」ググッ

ピース「強い……」

サニー「あかんわこんなん……予想外や」

ビューティ「ま、まさかここまで、力の開きがあるなんて……!」



ポップ「そんな、プリキュアが……!?」

ハッピー「み、みんなッ!!?」




ジョーカー「キュアハッピーさん、あなたも例外じゃあありませんよ? 
仲間に便りきり、一人ではなんにもできなくなってるんじゃないですか?」スッ


ハッピー「う……! そ、そんなことないっ! わたしは一人でだって戦えるもん!」

ジョーカー「『ボス』と言う人物に頼らなければ、立ち上がることもできない弱虫のあなたが?」

ハッピー「……!? ボスがどうしたのッ! ボスは私を見守ってくれてる! それだけで充分だよッ!」

ジョーカー「見守ってる、ですかあ? 何処にそんな人がいるのですか? 全部あなたの都合の良い妄想なのでは?」

ハッピー「勝手なこと言わないでッ! ボスは本当にいるもん!」

ジョーカー「では、なぜこの状況で、あなたを助けに来てくれないのでしょうか? いつも見守ってくれてるのでしょ?」

ハッピー「そ、それは」



ジョーカー「ほら、言い切れないッ! 私の言うことなんてはね除けるパワーが無いんですよあなた。……結局」

ハッピー「!」

ジョーカー「あなたはここで『おしまい』なんですよ。
一人ぼっちで寂しく、ゲームオーバー! 
いえ、『バッドエンド』ですねえ~?」

ハッピー「……おまえッ」

ジョーカー「だからさっさと『絶望』してくださいよ? 
そんなちっぽけなカスのような存在が、何を夢見た所で、
全部『無駄』なんですから」

ハッピー「さっきからいちいち勘にさわることばっか言ってッ!! 
私にあるのは『永遠の絶頂』だけッ!」

ハッピー「『無駄』だの『絶望』だの『バッドエンド』だのッ! 道端の犬のクソにも劣る言葉で私を惑わすんじゃあないよッ!!」グワァッ

ジョーカー「……ああ、そーですかー。あくまでバッドエンドを認めないと?」


ジョーカー×5「……それなら仕方ないッ! より決定的でッ! 分かりやすい『現実』を教えてあげましょうッ!」ヒュパッ


ハッピー「うっ!?」



ジョーカー1「私にも勝てないッ!」ドゴォッ

ハッピー「うわッ……!」

ジョーカー2「弱々しく、ちっぽけな存在がッ!」ゲシッ

ハッピー「ぐぅうっ……」

ジョーカー3「ピエーロ様に敵うわけないでしょー?」ドガッガッガッ

ハッピー「うあっがっ……! あ……」

ジョーカー4「ねえ、なんとか言い返してくださいよ? ほら、早くっ」ガッガッガッガッ

ハッピー「う……う……うわァアあああッッ!!」グォオオッ


パッシィアッ!!


ハッピー「!?」ググッ

ジョーカー「ダメですよぉ? もっと力をいれなきゃ♪」


ジョーカー5「ほら、ぜんぜんダメダメじゃないですか?」グググッ

ハッピー「うわぁあああっっ!?」ミシミシミシミシィイ……

ジョーカー「ハイッ! これでおしまーい♪」グンッ


ドグシャァアッッ


ハッピー「ぐあッッ……か……」バギャッ


ジョーカー「『永遠の絶頂』? そんなモノありませんよ……あなたにあるのはただひとつ」

ジョーカー「……『永遠の絶望』です♪」



ハッピー「」バァアンッ





ピース「そんな、ハッピーが……あのハッピーが」ズズ

サニー「負けた……ウ、ウソや……こんなんって……」ズズズズズ


ジョーカー「おやぁ? みなさんよーやく、絶望してくれたようですねえん?」ヌッ

ピース「ひっっ」ビクッ

マーチ「な、なにこれ……私たちの体から……ッッ」ズズズズズ

ビューティ「これは、バッドエナジー……?」ズズズズズ




ジョーカー「みなさんの心の支えッ! 頼れるリーダー……キュアハッピーが倒れた今」

ジョーカー「心と体が理解したのですよ……『もうおしまいだって』……ね?」

ピース「う……あ」ガタガタガタ

サニー「な、なに言うてんのや! ま、まだ……これから……」ガタガタガタ



ジョーカー「そう! それそれそれェエッ!! 
その顔が見たかったんですよォオ~!? 絶望にまみれたその顔がァアッ!!」バッ



マーチ「……!」ガタガタガタ

ビューティ「み、みなさん、ダメです、あの人の言葉を聞いてはッ!」ガタガタガタ





ジョーカー「ああ、なんて心地よいッ! 希望に溢れる者が絶望に叩き落とされた時に発せられるバッドエナジーは格別です!」


ジョーカー「ディモールト・ベネ(とても良い)ッ!! 
あなた方の絶望が、ピエーロ様を目覚めさせる最後の鍵になるでしょう。
ほんとーにありがとうございましたッッ!!」


ジョーカー「それでは、良い絶望をッ!」パッチン


バララララッ……



ポップ「み、皆の衆……」


サニー「……」

ピース「……」

マーチ「……」

ビューティ「……」






ハッピー「」






←TO BE CONTINUED……////


今日はここまでです

アニメのドッピオが想像以上にイカれてて良かったw

みゆきちゃんはあんな感じでとぅるるるしてると思っててください

それではまた今度

みなさんお疲れさまです

そろそろ投下します

推奨BGM 『21th Century Schizoid Man』





死の種 欲にまみれた盲者

詩人に餓えた子らは血を流す

欲するモノは何一つ得られない

21世紀の精神病者








【Diavolo】……イタリア語で悪魔を意味する






緑川なおは6人姉弟の長女としてこの世に生まれた。

彼女は『家族の繋がり』……『家族の絆』を非
常に大事にしており、それを否定するものには怪物であろうと果敢に立ち向かう、正しい勇気と正義感を持った人間に成長した。

『直球勝負』とは彼女の曲がったことを嫌うサガをよく表す言葉である

運動神経はバツグンでスポーツ万能……プリキュアの中でも、もっとも打撃力が高いのは彼女で間違いないだろう。その性格とも相成って、チームの切り込み役を引き受ける場面が多い。

彼女にとっての『繋がり』は家族だけでなく、心を許す『友達』にも当て嵌められる。

もしも『友達』が傷付けられたら、まるで自分を傷付けられたのと同じように痛み、そして傷付けた相手を許すことはないだろう

なおとはそういう人間……『情に篤く義理堅い』……その言葉を体現した人間なのだ





バッドエンド王国ッ!



マジョリーナ「ジョーカーのヤツがプリキュアを倒したみたいだわさ」

ウルフルン「……」

アカオーニ「け、気に入らねーが……バッドエナジーも吸収したし、これでいよいよピエーロ様が復活するオニ!」

マジョリーナ「ウルフルン、アンタの言う通りにはならなかったねえ? キュアハッピーも脆いもんだわさ」

ウルフルン「おかしーぜ……」

マジョリーナ「あん?」

ウルフルン「俺はバカだからよぉ~……
何回もプリキュアに負けるたび、バカなりに考えるってことを覚えたんだがよ」


ウルフルン「……早すぎるとは思わねーか?」



アカオーニ「なんの話だオニ?」

ウルフルン「ああ、俺たちゃこれでもけっこうガンバってバッドエナジー集めてたつもりだったけどよォオ~? 
ピエーロ様がこんなに早く復活するほど、たくさん集めたと思うか?」

マジョリーナ「……確かにちょっと早すぎる気が……するだわさ」

ウルフルン「そもそもよ……なんで俺たちは『わざわざプリキュアの住んでる町の近くで』バッドエナジーを集めてンだ?」

マジョリーナ「ん……?」

アカオーニ「あー? オメーバカじゃあねーかオニ? プリキュアが邪魔だからついでにぶったおすって理由があるオニ」

ウルフルン「んなもんよぉ……ピエーロ様が復活すればカンケーねーだろーがよ。
なのに俺たちゃあわざわざプリキュアに邪魔されながらヒーコラバッドエナジー集めてよ、……効率ワリーよな考えてみりゃ」

アカオーニ「……言われてみりゃそうだオニ」

マジョリーナ「考えたこともなかったわさ。アンタよく気がついたね」

ウルフルン「……んで、こっからは俺の考えなんだけどよ、俺たちはバッドエナジーの集まりそーな所が『なんとなく分かる』」



ウルフルン「バッドエンド王国の住人だからな……バッドエンドな空気のする場所ってのがよ、どーしてもそっちにつられっちまうんだよな。そっちの方が居心地いいからな」

アカオーニ「おう、『ハッピーな空気』なんざヘドが出るオニ!」


ウルフルン「つまりだ……『ハッピーじゃねー空気』……『バッドエンドな空気』てのが、あの町……『プリキュアの住む町』から、元々出てるっつったらどー思うよ? え?」


アカオーニ「!?」


マジョリーナ「なんだそりゃ……じゃあ何か? あたしらは無意識のうちにプリキュアの住む町に『誘われ』ちまってたってわけかい?」

マジョリーナ「アホらしいだわさ! プリキュアといったら希望の象徴だわさ! そんな奴等がいる町が、最初からバッドエンドに包まれてるわけねーだろッ!」

ウルフルン「……『希望』ってのはよー……キラキラしてたら見えねーんだよ」

マジョリーナ「ああ~?」

ウルフルン「始めっからキラキラ輝いてたらよ……『希望なんてもんは霞んじまう』。輝いても気づかねーからな、いらなくてもへーきなのさ」

ウルフルン「じゃあ希望が目立つにはどうしたらいい? ……『絶望の真っ暗闇の中』なら、キラキラ輝くんじゃあねーか? 希望ってのは……」

アカオーニ「……」ゴクリ

マジョリーナ「……」


ウルフルン「……なんかよォオ~、『イヤな予感』つーのか? バッドエナジーとは違う……ドス黒い何かっつーか」



あなたは、わたしとおなじ……



ウルフルン「……オメーら、ワリーけど少しの間頼んだわ……」

アカオーニ「ど、どこ行くオニ!!?」

ウルフルン「ちょっと気になるっつーか……確かめてーことがあってよ……あとは頼んだぜッ!」バッ

アカオーニ「あっ……!? ま、待つオニ! もうピエーロ様が復活するオニ~!!?」





ウルフルン「(俺がアイツを……『観るようになっちまった』理由ってのは……まさか……)」





メルヘンランドッ!




みゆき「……」

あかね「……」

やよい「……」

なお「……」

れいか「……」


ポップ「今……なんと言ったでござるか?」



┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨



みゆき「冗談や酔狂で言ったわけじゃあないからもう一度言うよ……」


みゆき「『自信のない人は帰ってもいいよ』……と、わたしは言ったの。理解できないなら何度でも言うけど」


れいか「みゆきさん、その言葉はどういう意図を……含んでいるのですか?」

みゆき「……この次の戦いはッ」

みゆき「生きて帰ることはできないかもしれない……だから、『キャンディを救いたいが命は惜しい』
そう考えるのは可笑しくなんかない……と、わたしは思う」

なお「そ、それはッ見捨てるって言ってるのッ!?」ガタッ

みゆき「だからわたしはみんなに聞いてるの。
『命を懸けてでも、キャンディを助ける覚悟があるのか』……と」

あかね「命を……懸けて」

やよい「……」ガタガタガタ


みゆき「今までは……『なんとか』なった。わたしたちはチームワークを発揮して、敵を倒し……勝利してきた」

みゆき「だけど、今度ばかりはそうはいかないッ! 敵はチームワークが通用しない。だから、一人のパワー……個人ではね除ける強さが必要なの!」

みゆき「それができない……『一人で戦えない』人は……来なくていい。むしろ、みんなを危険にさらす可能性があるから」

みゆき「だから決めてほしいの。『立ち向かうか、帰るか』を」

4プリ『……』

ポップ「皆の衆……」



あかね「ウチは……なんやろな……よぉわからんけど」


みゆき「あかねちゃん」

あかね「命を懸けるとか、世界救ったるとか、そーいう重たい使命感なんて……イマイチ実感沸かんわ」

あかね「しかしや」

あかね「元々プリキュアなった時から……いつかこんな展開来るかナァア~? 
なんて思っとったし……。つまり、ここが正念場ってわけやな」


あかね「今ここで退いたらウチは一生お天道様に顔向けできひん。ここは『行く』べきやと、ウチの心はそう言っとるッ!」ズン!




みゆき「あかねちゃん、ありがとう」

あかね「へへ、それにウチがおらんかったら誰がみゆきにツッコミすんのや? そーいう意味じゃウチの存在は必須やしな!」


なお「ツッコミの役目は」


あかね「!!」


なお「あかね一人じゃ荷が重いんじゃあないかな? みゆきちゃん相手じゃさ……」ザッ


なお「あたしも行くよ、当然だけど……。
それに、みゆきちゃんは負けるつもりなんて全然ないでしょ? 
その顔は勝算があるッて感じの顔だ……」

なお「リーダーがしっかりしてれば、不安なんてなくなる……そうは思わない?」

みゆき「なおちゃん」

あかね「なんや……ウチだけじゃ不安ゆうんか?」

なお「はは、一人より二人……でしょ?」




れいか「確かにそうです。そして、心の繋がりがあれば、パワーは後から湧き出てくる……そうでしょう? みゆきさん」

みゆき「れいかちゃん」

れいか「これは私たちに与えられた……試練なのでしょうね。遅かれ早かれ、選択を迫られる。『退くか進むか』を」

れいか「私は……この『道』を進むことを選択します。どんなに困難でも……『それが正しいこと』だと思ったから、私は迷いません」

なお「『道』か……。れいからしいな」

れいか「それに、幼馴染みのなおを放ってはおけませんからね」

あかね「結局それかいッ!!」ビシ

みゆき「まあまあ」





やよい「……」ガタガタガタ





みゆき「……やよいちゃん、やよいちゃんは……どうするの?」

やよい「……わたし、わ、たしは……」ガタガタガタ

やよい「……わ、わかんない……わかんないよ……みゆきちゃん。
わたし、どうしたらいいか……」

みゆき「怖い? やよいちゃん」

やよい「怖い……スッゴク怖いよ……これから死んじゃうかもしれないんだよ……? 
怖くないなんてとても言えないよッ!」

やよい「ねえ、なんでみんなは平気なのッ!? 
わたしたち、まだ中学生なんだよッ? 
大人じゃあない……まだまだちっぽけな存在なんだよ……? 戦いなんて、元々縁なんかなかったのに」ガタガタガタ


あかね「やよい……」

やよい「もしも、し、し、死んじゃったら……! それを考えただけで、ガタガタ震えが止まらないのッ! 
わたし、ダメだよぉ……? とてもじゃないけど、無理だよ……」ガタガタガタ

みゆき「やよいちゃん」

やよい「み、みゆきちゃん……」



みゆき「わたしの手、さわってみて……?」スッ

やよい「え? ……!」ニギ


カタカタカタ


みゆき「震えてる……でしょ? えへ、実は、わたしもちょっぴり怖いんだ……」カタカタカタ

みゆき「みんなもたぶん……同じだとおもう。それだけはわかって貰いたかったの」

やよい「みゆきちゃん」

みゆき「でも……あえて言うなら……うん、やっぱり、やよいちゃんは来ない方がいい。
やよいちゃんは優しすぎる……
『向いていない』よ」

なお「……確かに、今までもかなりガンバってたしな」

あかね「なけなしの勇気を振り絞って……ようやっとったわな!」

れいか「やよいさん、退くことも『道』です。どうか、よく考えてください」

やよい「……うあ」


ポップ「皆の衆、時間がない……そろそろ行くでござるッ!」

みゆき「そうだね……」ザッ

やよい「み、みゆきちゃん! わたしにッ『ついてきて』って言ってよ! 
言ってくれればわたし、大丈夫だから! 
何処でもついてくよっ」


みゆき「やよいちゃん、それはダメなの。
これだけは自分で決めなきゃダメ。『自分の道は自分で決める』んだよ」スタスタ

あかね「せやな……悪いけど、こればっかりはしゃあない」ザッ

やよい「あ、あ」

なお「れいか……」ザッ

れいか「ええ、行きましょう……」ザッ

やよい「み、みんな……ッ」




やよい「(い、行っちゃう。みんな……『覚悟』を決めて……! わ、わたしは……)」


やよい「(プリキュアが、正義のヒーローみたいで、キラキラ輝いてて……
みんなといっしょにいるのが楽しくてッ! だから、こんな、こんなことになるなんて)」

やよい「(思ってなかった! わたしだけ……。
わたしは、みんなのように、覚悟を決めるなんて……『死ぬ』覚悟なんてッ!!)」



やよい「(……『死ぬ』?)」



震えてる……でしょ? えへ、実は、わたしもちょっぴり怖いんだ……



やよい「(みゆきちゃん……あのみゆきちゃんも、自分が死ぬかもしれないって思ってる……
死んじゃう? みゆきちゃんが……キャンディが……)」


やよい「(みんなが死んじゃう?)」



今日のお好み焼きは自信作やでー!

わ、やよいちゃん絵を描くのほんとに上手だね

今度また、ポスターの作成をお願いしてもよろしいですか?

ねえねえやよいちゃん! 今日は何して遊ぶ~?

キャンディもやよいとお絵かきするクル~




やよい「(……やだ……みんながいなくなるなんて、わたし、耐えられない!!)」

やよい「(キャンディやみんなが居てくれたから、私はすごく素直になれた……
みんながいるからわたしもいられる、だったら……!)」

やよい「(逃げるなんてできないッ! 
そう、逃げることは死ぬよりも怖いこと
……今のわたしはッ!)」


やよい「(みんなと離ればなれになりたくないッ! だって、わたしはッ!)」



やよい「ッッッみゆきちゃぁあああああんッ!!」



みゆき「!!」バッ






┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

やよい「行くよッ! わたしもいっしょに行くッ! 行くんだよォオ─────ッッ!!」バッ

やよい「みんな、わたしに『来ない方がいい』なんて言わないでよ────ッ! 
わたしもみんなの仲間だから!!」

やよい「みんなのことが……大好きだからァア────ッ!」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨



みゆき「……」

あかね「やよい……泣かせるやないか……」グス

なお「あかね……意外と涙もろいんだね」クス

あかね「うっさい!」

れいか「これで決まりましたね……スマイルプリキュア!」

れいか「5人全員で……バッドエンド王国へッ!」





みゆき「やよいちゃん……」ナデナデ

やよい「グスッ み、みゆきちゃあん……」ヒック



ポップ「皆の衆、本当に感謝するでござる……!」

みゆき「うんッ。……行くよ、みんなッ!!」ザッ



『YESッッ!! 』バ────z____ン!!





七色ヶ丘上空


ウルフルン「……」シュンッ

ウルフルン「……今まで、なんで気づかなかったか不思議でならねーぜ……」ガタガタガタ

ウルフルン「こっ……この町を覆う異様な空気はッ! 
似ている……ほんの僅かだがッ!」

ウルフルン「バッドエンド王国に似ているッ
……あの薄暗い空気によォオ────ッ!?」

ウルフルン「俺は……自分でも考えられねーほど、『ボケ』ちまってたみてーだな……。
楽な方にしかいかねーから、足下が見えてねぇ」

ウルフルン「だが、今ならわかるぜェエ~? プリキュアとの戦いを重ねてボケは矯正されたッ! 
今なら自由に鼻が利くぜッ!」クンクン

ウルフルン「何処だッ!? バッドエナジーの発生源は!? 
この町を支配する暗黒の発生源はッ!?」クンクン



ウルフルン「────あっちかッ!!」バッ





ウルフルン「(俺は確かめる必要があるッ! なぜこの町なのか! 
俺たちを…… ジョーカーですら影で支配していたモノがなんなのかッ!)」

ウルフルン「じゃなきゃ意味がねえッ! 俺が戦う理由! 生きる意味ッ! すべてを茶番にしてたまるかッ!」

ウルフルン「────!? こ、ここか……!? 」


ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ


ウルフルン「ただの家……!? 住宅街に建つ、ごくフツーの一軒家じゃあねーかッッ。
ほ、ホントーにここなのかよ……?」

ウルフルン「……ン? まてよ、……こ、こりゃあ……!?」


ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ

『星 空』

ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ


ウルフルン「星空ッ!! ま、まさか……!? なんでだッ!?」

ウルフルン「なんでアイツの……ッ!! 
『星空みゆき』の家が……バッドエナジーの発生源なんだよ!?」



ウルフルン「……」ゴクリ

ウルフルン「(俺は今……『何か』を掴みかかっている……! 
だ、だが、なんだかわからねーが……この、掴みかかっているモノを手繰り寄せたら……
もう、引き返せねー……)」

ウルフルン「そういう確信がッ! してならねーぜッ! 
……けど、それでも行くしかねえッ!」ガシッ

ウルフルン「ドアノブをブッ壊して中に侵入するッ! 後戻りは……できねーぜッ!」

グシャッ!!

ウルフルン「さあ、行くぜッ!」ザッ



………
……







バッドエンド王国ッ!




アカオーニ「ついに、プリキュアがやって来るオニ」

マジョリーナ「ああ。……結局ウルフルンは戻って来なかっただわさ」

アカオーニ「けっ、アイツの考えてることはよくわからねーオニ。なんにも考えないでブッ壊したほーが楽なのによッ!」

マジョリーナ「あたしらにはカンケーないだわさ。どのみち、世界をバッドエンドにしなきゃあたしらの『運命』は……」

アカオーニ「俺は認めねーオニ! やられ役だけの人生なんざ、まっぴらごめんだオニ!」

アカオーニ「絶対に運命って奴を……ブッ壊してやるオニ! どんなことをしてでもオニ!」

マジョリーナ「……ああ、そうだ。その通りだよ!」

マジョリーナ「さあ、プリキュア! 来るなら来いだわさ!」

アカオーニ「返り討ちにしてやるオニ!」



ちょっと休憩します

物語は果たして『ハッピーエンド』と『バッドエンド』のどちらか……?


続きを投下します



青木れいかは幼い頃から『道』に拘る少女であった。

彼女の祖父は高名な書道家であった。特に『道』に関しては一家言があり、れいかは祖父の言う道……人の進むべき道について教えられてきた。

今、れいかは自分が進むべき『正しい道』を歩んでいるという実感があった。
正義と言う名の白……『白い道』の中にある感覚が。

その感覚が、れいかに希望と勇気を与えてくれる。前へ進む力がみなぎってくる。

プリキュアとして、そして人間として、正しき道を歩み、仲間と幸福を分かち合おう……
れいかは正しく、その澄んだ氷のように美しい信念を持って、戦いに臨んでいるのである。




みゆき「ここが、バッドエンド王国ッ!!」

れいか「とても気味が悪いですね……」

やよい「な、なんか息苦しい……空気が淀んでるよ」

あかね「まさにバッドエンドな空気ってわけやな……悪趣味やでまったく」




そこまでだプリキュアどもッ!



みゆき「!!」

なお「みんな、あそこっ!!」



┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

アカオーニ「やはり来たなプリキュアッ!」

マジョリーナ「ピエーロ様の復活の邪魔はさせないだわさ!」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨





なお「いよいよ幹部のお出ましってわけかい!!」

やよい「あれ? でも、オオカミさんがいないよ?」

あかね「なんや、もしかしてウチらに恐れをなして逃げたんやないか?」

アカオーニ「ケェーッッ! テメーらじゃあ役不足だってよ~!?」

アカオーニ「俺様が二人分暴れてやるオニ!」

マジョリーナ「さあおしゃべりはここまでだわさ。今日こそお前たちを」


『始末してやるッ!!』ドン


みゆき「行くよッ! みんな!!」サッ



『プリキュアッ! スマイルチャージッ!!』レディー!!





ゴーゴー!! レッツゴー ハッピー!!

ポンポンッ

キュァァンッ
ボンッ
パンッパンッパンパンパンッ
シュィィィンッシャァン
ポワァァァァッ
ポンポンポンポンポンポンッ

スタッ


┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

ハッピー「キラキラ輝く未来の光ッ! キュアハッピーッ!!」バァアーーーーン

サニー「太陽サンサン熱血パワー! キュアサニーッッ!!」ズギャァアンッッ

ピース「ピカピカピカリンじゃんけんぽん! キュアピース!」キュァアンッ

マーチ「勇気リンリン直球勝負ッ! キュアマーチッ!!」ドギャンッッ

ビューティ「しんしんと降り積もる清き心、キュアビューティ!!」シャァアンッッ

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨


「「「「「5つの『光』が導く未来ッッ!!」」」」」ゴゴゴゴゴゴゴゴ


「「「「「輝けッッ!!」」」」」ザッ



『スマイルプリキュアッッ!!』ドッッギャァア────z____ンッッッ




ハッピー「みんな、ここは一気に……」

サニー「ハッピー、ここはウチらに任しとき」

ハッピー「え……」

ビューティ「私達の目的はキャンディを助けることです。
誰かがここで彼等を止めておかないと、キャンディは絶対に救出できません」

ピース「……!」ウンウン

マーチ「ここに来る前に言ってたでしょ? 『一人で戦う覚悟』が必要だってさ。
……頼んだよ、リーダー」

ハッピー「みんな……わかったよ! ここは任せるッ!!」ダッ

アカオーニ「おっと、そうはさせないオニ!!」ザッ


ピース「ピースサンダーッッ!!」バリバリバリッ


アカオーニ「うおおおっ!?」バチィッ

ピース「ハッピーの邪魔は……させないッ!」


サニー「アンタらの相手はウチらやでェッッ!!」

マーチ「ここから先には……行かせない!!」バキボキ

マジョリーナ「ケェーッッ小癪なッ! キュアハッピーのオマケでしかないクセにッ! 生意気だわさ!」

アカオーニ「ブッ潰してやるオニ!!」


サニー「おっしゃ、みんな行くでェエ────ッッ!!!」カッ



ウォオオオオオオッッッ!!!



…………
……


ハッピー「みんな……」ダダダダ

ハッピー「……!!」バッ


カカカカッッ


ジョーカー「ほう、私のトランプをよく避けましたねえ?」バン

ハッピー「ジョーカーッッ!!」

ジョーカー「そう簡単に通しませんよぉ~?」パララララッ



『ビューティブリザードッッ!!』カッ



ジョーカー「何!?」ゴォオオオオッ

ハッピー「ビューティ!!」

ビューティ「悪知恵の働く貴方のこと、こうして最後に現れると思ってました」バァアーーーーン

ポップ「さあハッピー、早く!!」

ハッピー「うん!」タタタ……

ジョーカー「ハッハッハ!! 悪知恵ですか……」

ビューティ「!!」サッ


ジョーカー「私から見れば、あなたは『小賢しい』ですけどねえん?」

ビューティ「なんとでも言いなさい。……先程の借り、返させていただきます」

ジョーカー「フフン、面白い……」

…………
……


ハッピー「ハァ、ハァ……」タッタッタ

ハッピー「ハァ……」タタ……

ハッピー「…………」

ハッピー「…………………」





ハッピー「……そんなに、私がピエーロの所に行くのが困るの?」スッ


………………


ハッピー「それとも、キャンディの所に行くのが……かな?」


………………

………………ヒヒッ


ジョーカー「ヒャッハッハッハッハァア!! よーく私の存在に気がつきましたねえん!?」ヒュパッ



ハッピー「あなた……分身できたからね……れいかちゃんが戦ってるのは分身で」

ジョーカー「そう! 私が本物でぇす♪ あなたたちはまたまた私に騙さ────」

ハッピー「」ヒュンッ

ジョーカー「れ? ─────ベヒッッ!?」ドグシャァアッッ

ハッピー「……」ギュンッ

ジョーカー「オアア────ッッッ!?」ズキュゥウウンッッ!!




ハッピー「図に乗るんじゃあないよ……『アホ』が……」ザッザッ






ジョーカー「ご、ごふっ!?」ゲホッ


ハッピー「これからあなたは……『絶望』を……味わうんだから」


ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ


ハッピー「『騙された』?……違うね、わざわざ『おびき寄せて』やったんだよ……」コツーン

ハッピー「……みんなが見てる前じゃ、とても出来ないからね……『出来れば誰も見てないところまで』……」コツーン…コツーン……


「……『貴様』を遠ざけたかった」コツーン…コツーン……


「だが、これで……ようやく、『遠慮なく』行える……」コツーン……


「我が『絶頂』を脅かす最大の障害を……取り除くことが……できる」コツーン……


ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ




ジョーカー「な、何のことです……?」



「まだ分からないのか? 貴様を、『始末』する……ということだ」グリンッ



グググググ……ベキ


ジョーカー「!?」


メキッ……ベキベキ……ミシッ




ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ


「これは……『試練』だ……」ズッ

「絶望に打ち勝てという『試練』と 」グググッブチッ……

「『オレ』は受け取った…… 」バサァッッ


ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ




ジョーカー「(……この女ッ! ……髪……体格が変わっていくだと!?!?)」



「人の『幸福』とは……」

「『恐怖と絶望』に打ち勝つこだとな……」

「え? おまえもそう思うだろう? ジョーカー」



ジョーカー「あ……!! あなたは、誰ですか!?」



「みゆきからは……『ボス』と呼ばれてはいたが……」

「オレを知っている者たちは、口を揃えて……
オレを『こう』呼んだ」




┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨


「『悪魔(Diavolo)』……と、な」


┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨



←TO BE CONTINUED……////


今日はここまでです

みゆきちゃんの今の格好ですが

成人女性並の身長と体格

髪は下ろして黴のような模様入り

ボスのオシャレ下着着用(重要)

覚えてる人はお久しぶりです
なんとなくモチベーションが上がらず腐ってる間に半年以上も放置した結果
気付いたらスレ立てて1年たっちまったじゃあねーかッックソッッ!?
いくらなんでもエタらせるのはあんまりだと猛省したので
書きだめを作りラストまで行きたいと思っております。
皆さんほんとごめんなさい

というわけで書きだめの一部を投下します


静かな灰色の朝、母親達はさめざめと泣き 大人達は冗談を言い合う

私もいたずらするために 神さまの許しを求めて走り回る

黄色いピエロは自らは演じず ただそっと糸を引いてせせら笑う 

あやつり人形が踊りだす

深紅の王の宮殿で



【Re Cremisi】……イタリア語で深紅の王を意味する


10年前、とある田舎町に奇妙な噂が広まっていた


『星空家には悪魔が存在する』


閑静な住宅街に存在するごく普通の一軒家
そこを知る者は皆口を揃えてそう呼んでいた

なぜそのような噂が広まっているのか。それにはいくつかの理由がある

曰く、家具や食材が空中に浮かぶ

いきなり壁に大きな穴が空く

買った覚えのない物がいつの間にか大量にある

意識が飛んだような感覚に陥ることがある

これらの奇妙な現象は何度も起こり、そのたびに家の者は頭を抱えることになった


だが、家族の頭を抱えさせる原因は他にもあった


『星空さん、お宅のみゆきちゃんは、友だちをまったく作ろうとしません。 
そう、嫌われているというより、まったく人とうちとけないのです』

『友だちを作らず毎日ひとりで絵本ばかり読んで……』

『それが…恥ずかしいことですが…親である…わたしにも…なにが原因なのか…』

……
…………

子供の時から思っていた。 町に住んでいると、それはたくさんの人と出会う。
でも、普通の人たちは、
一生でほんとに気持ちがかよい合う人が、いったい何人いるんだろう……?

わたしは知っている
この家で起こってることがなんなのか

これはピーターパンのせい
おとなには見えない人
おかあさんにもおとうさんにもおばあちゃんにも見えない

わたしだけに見える人

ピーターパンはわたしを喜ばせようとしてるから、あんないたずらをするんだよ
わたしだけが見えるから

きっと友だちになりたいんだ! そうだよね!
ネバーランドからウェンディを迎えに来たんだよ!
ウェンディはわたし!わたしを迎えに来たんだ!
わたしだけのピーターパン!

わたしはきっとウェンディで
ピーターといっしょにネバーランドにいくの!

だから
だから、やめて


わたしからピーターパンをとりあげないで

わたしをネバーランドに行かせて!
やめて!ちがうの!
わたしはおかしくなんかない!

わたしはウェンディなの!ほんとだよ!?なんでわかってくれないの!?

やだ、やめて、そんなところにいきたくないよ!

おねがい、たすけてピーターパン!
たすけて!

たす……



わたしから『それ』をとりあげるなァァ─────ッ!!?
聴いているのかァァ─────ッ!!




…………
…………


なんで…邪魔をするっ!?
どいつもこいつもっっ……

わたしは『主役』だッ!
主役はしあわせになる権利がある!ちがうか!?


だからわたしが『ネバーランド』に行くことは当然なのだッ!
だれもわたしが『ネバーランド』に行くことを阻むことはできない! そう!

わたしは『ウェンディ』になるんだ!!
そのための『ピーターパン』だッ
だれにも邪魔はさせないぞッ!!


邪魔…そうだ、わたし以外のすべては邪魔だ!
みんな

みんな『消し飛んでしまえ』ばいい!


とある田舎町で、大規模な火災が発生した

町一つを灰にするほどの炎は、住民の大半を巻き込み、全てを『無に帰した』

もう10年も前の出来事である



……

おお
みゆきよ

わたしのかわいいみゆきよ

いままで1人でよく耐えてきた

つらかっただろう、かなしかっただろう?だがもう安心するといい

わたしはいつでもおまえを見守っているぞ

だから行こう、2人で

2人でネバーランドに行こう

ネバーランドで『幸福』を手に入れるのだ……

『永遠の絶頂』という名の幸福を……






星空家には悪魔が存在する
悪魔がそのあとどうなったかは誰にもわからない

そして、時は再び現代に戻る



--



ジョーカー「ディアボロ…『悪魔』だとでも言うのですか? あなたが?」

ディアボロ「そう言われるような事は」

ディアボロ「腐るほどやってきた……もっとも、それを知るものは1人として生きてはいない」

ディアボロ「あの日、オレたち2人は誓った……『必ず幸福になってみせる』と、な」ザッ

ジョーカー「うッッ!?」タジッ





ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ

ディアボロ「そして生きるためなら何でもしてきたぞ。障害を排除するなど……今更ではあるが」

ディアボロ「すぐに『済む』ことだ……なんの問題もない」

ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ

ディアボロ「貴様を始末するぞッ!ジョーカーッ!!」バッ

ジョーカー「いい気になるんじゃあないッ! たかがプリキュアごときがァッ!!」



ドゴォアアアアアッッ!

以上で投下は終わりです
年内にはなんとかしたいです

6時頃に投下します
今年はやりたいゲームが多い…


アカオーニ「オレ様の金棒を喰らうオニッ!」ブォンッ!!

ピース「わあッッ!?

ドグォオンッ!!

アカオーニ「ふん!泣き虫のキュアピースのくせに、よく逃げなかったオニ?」

ピース「ううっ……! わ、わたしはッもう逃げないって決めたから!」グググ

ピース「ハッピーやみんなと一緒に、キャンディを助けるんだもん!」グオオッ

アカオーニ「うおっ!?」



ピース「やあああああッッ!!」グググ

アカオーニ「ふぎぎぎぎっ!! このちっぽけなお子さまが─────ッ!!」グググ

ドォオオオンッ

アカオーニ「何!?」

サニー「ウチを忘れるんやないでッッ」バアァ-ン

ピース「サニーッ!!」

サニー「ピースッ 1人で気張りすぎやで? もっとウチらを便りや!」

サニー「ウチらが力を合わせればこんなんどうってことないわ!!」

ピース「う、うん!」

アカオーニ「ぐっ…またしても友だちごっこオニ!? いい加減ウンザリだオニ!」

ピース「ア、アカ鬼さん……」

アカオーニ「友だちなんざ結局都合の良い存在でしか無いオニ!!
どうせ使えなくなったら最後は捨てられるのがオチだオニ!」

サニー「そんなことないでッ! ウチらはそんな安っぽい関係やない!」

ピース「そうだよ! わたしたちは都合が良い悪いとかで集まったんじゃないよ!」


アカオーニ「良い子ぶるんじゃあないオニッ! プリキュアッ!
おまえら見てるとすっごいムカムカするオニ!!」

アカオーニ「何も知らないからそんなノーテンキなこと言えるオニ!
信じれば裏切られる! 騙される方が悪い! 世の中そんなもんオニ!」

アカオーニ「なーにが『信じる』だの『友だち』オニ? そんな世迷言を言うお気楽なおまえらなんかに……」

アカオーニ「オレが負けるかぁああああッッ!!」グオォッ

サニー「来るでぇッッピースッ!」サッ

ピース「うんっ!」サッ


ドグォオォオオオンッッ!!



┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

マーチ「……」

マジョリーナ「……」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨


マジョリーナ「そういえば、あんたが最初に戦ったのはあたしだったわさ。
思えばあん時からケチがつき始めたねえ?」

マーチ「それがどうしたのッ!?」

マジョリーナ「ふんッッ! バカの一つ覚えみたいに直球、直球言うおまえみたいなのが、イッチバン大嫌いだわさ」


マジョリーナ「そんな単細胞に負けるなんてッ! あたしのプライドが許さないだわさッッ!」ゴオオオオオッッ

マーチ「誰になんと言われようと……」ザッ

マーチ「私はッ 『直球勝負』が間違ってるとは思わないッ!
あんたを倒してそれを証明してみせるッ!」バッ

マジョリーナ「ケェェエ─────ッ!! その若さの勢いに任せた青臭い小娘風情がッ!
生意気言ってんじゃあねえだわさ─────ッ!!」グオオ



ドォオオオンッ!!


ドシャァアア─────ッ!!


ビューティ「うああっ!」

ポップ「ビューティ殿ッ!」

ジョーカー「ふっふーん♪ 先ほどまでの威勢はどこに行ったのですかぁん?」

ビューティ「はぁ、はぁ……」グググ

ジョーカー「あなたたちも、まだ『理解』できてない…ようですねェ?
いまさら何をしても無駄、無駄! 無駄ァ!!」

ジョーカー「この世の行く末は『バッドエンド』ッッ! どのような頑張りも『無駄』に終わると言うのにッ
それでもあなた方は『無駄』な努力を続けようとする」


ジョーカー「全く『理解不能』です! ああっそしてなんと嘆かわしいのか!
『無駄』だと分かり切ってるのに、それでも歩みを止めないあなた方のバカさ加減g」

ビューティ「ビューティブリザードッッ!!」カッ

ゴォオオオオッッ!!

ジョーカー「おおっとおッッ!?」


ビューティ「ふぅ……。さっきから、『無駄』『無駄』『無駄』と…
いい加減しつこいですよ?」ザッ

ジョーカー「ぅん?」

ビューティ「ハッピーがいつか言っていました。『無駄という言葉が最も嫌いな言葉だ』と……
私、今ならその言葉の意味がわかります」

ビューティ「『無駄』という言葉そのものが、私の歩む『道』を妨げる小石……なのだと」ギン

ジョーカー「─────ッ!!」


ビューティ「ですが……路傍の石は『蹴飛ばされる』のが世の道理。あなたの卑劣な行いという『小石』も……」

ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ

ビューティ「軽く『蹴っ飛ばして』差し上げましょう」

ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ


ジョーカー「(この自信ッ そして迫力ッ!! 信じられませんねー? なぜ諦めないんでしょうか…どいつもコイツも)」

ジョーカー「いいでしょう! 希望が輝くほど絶望もまた、味わい深くなります。
……その澄ました顔を、バッドエンドに染めて差し上げましょうッ! キュアビューティ!」


ビューティ「ポップさん」

ポップ「援護は拙者に任せるでござる!」

ビューティ「ありがとうございます。
……では、参りますッッ」パキキキ

ビューティ「ヤアアアッッ!!」ブォンッ

ジョーカー「ほう、氷の剣とは器用なッ ならばこちらも!」ガキンッ

ビューティ「くっ……!!」ギリギリギリ

ビューティ「ハァアアッッ!!」ガギンッ

ジョーカー「さあかかってきなさいッ!」バツ

ギャリィイインッッ!!


アカオーニ「オレ様の全力ッ 見せてやるオニ─────ッ!!」ドォオンッ

サニピス「「!?」」

アカオーニ「オルぁああああッッ!!」ドッゴオオオンッ!!

サニピス「きゃああああああッッ!!」


マジョリーナ「スーパーマジョリーナタイムだわさッッ!!」クワッ

マジョリーナ「URYYYYYYYYYY!!!!」バアァ----ン!!

マーチ「若返った!?」

マジョリーナ(若)「ふぅううう……。この姿の私はいつもと違うわよ?」

マジョリーナ「ふんッッ」ズラアァア----ッ

マーチ「今度は分身ッ!?」

マジョリーナ’s「本物の私がどれかわかるかしら?……さあ、行くわよッ!」

マーチ「来いっ! マジョリーナッ」





その瞬間であったッッ!!




ドォ─────z______ン!!




この世の時間が、『消し飛んだ』のはッ!!






プリキュアとバッドエンド王国が激突した、ほんの少し前ッ


ジョーカー「いい気になるんじゃあないッ! たかがプリキュアごときがァッ!!」バッ

ディアボロ「……」ユラァァ

ジョーカー「(何? この状況で動かないとは奇妙なッ 何か企んでいる?
…しかしッ!)」

ジョーカー「いまさら何を考えようが『無駄』ァァッ! 食らいなさいッキュアハッピーッ!!」グワッ

ドグシャァアッッ!!

ディアボロ「……」メキィッ

ジョーカー「はぐぉアァッ!?」ズギュ-ン

ドシャァアア


ジョーカー「ごふっ……!?」ゲボォ

ジョーカー「な、なにが……(奴は何もしていないッ! 動いてすらいないのに、なぜですか?)」

ジョーカー「(この殴られたかのような衝撃はッ!?)」

ディアボロ「やはり貴様…『見えて』いないな?
まあ、当然か……見えているならば、わざわざオレの間合いに……
飛び込むような馬鹿なマネはしないはずだ」

ジョーカー「うっ……」


ディアボロ「このままの状態でも貴様をバラバラにすることは容易いが……
ちょうどいい機会だ、特別に教えてやろうじゃあないか」

ディアボロ「この世を支配するのに……相応しいのが誰なのかをッ!」ザッ

ジョーカー「戯れ言をッ偉そうに言うんじゃあないぞ!!
これ以上近づくんじゃあありませんッ!」

ジョーカー「近距離で攻撃を受けるなら、近づかなければいいだけのことッ
このトランプは避けきれませんよォオオオ─────」シュバアア

ディアボロ「……」

ザザッ…


ジョーカー「─────ォオン?」

ディアボロ「…」

ジョーカー「……あれェ?」

ディアボロ「おまえの動きは『既に解って』いた……。
次にとる行動も」

ジョーカー「私の攻撃が? あれ? 奴をすり抜け……
…あなたッ何をしたのですッ!?」

ディアボロ「『エピタフ』で全てお見通しだ……『カードを放つ』
オレにむかって」

ジョーカー「はっ!!」ヒュパッ

ディアボロ「しかし、この予知は覆すことができるッ! そう!!」



ディアボロ「この世で『オレだけ』がッ!」








ディアボロ「『キング・クリムゾン』!!」




ドバァア─────z______ン!!











ジョーカー「」


ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ

ディアボロ「これが……」

ディアボロ「『キング・クリムゾン』だッ! ……時間を数秒だけ『吹っ飛ばした』
その時間内のこの世のものは全て消し飛び」スッ

ヒュパパパパッ!!

ディアボロ「残るのは数秒後の『結果』だけだ。
カードがオレの居た場所を通るという『結果』だけが残る。
途中はすべて消し飛んだのだ」スス-…

ディアボロ「『エピタフ』で障害のある未来を予知しッ」

ディアボロ「『キング・クリムゾン』によってその予知を覆すッ!」




ディアボロ「時よ! 再始動しろ!!」




ジョーカー「……ハッ!?」

ジョーカー「これは、一体……ッ!?
…私はカードを投げたッ
……それは確かです。しかしこれはッ……?」


--

サニー「……は? なんで目の前に金棒があるんや?
って、なんでウチがこんなッ…!?」ググッ
ピース「あれ? いつのまにか受け止めて……
…あれっ?」

アカオーニ「オ、オレはッ 殴ったのか!?
いや、殴った筈だった!?」



マーチ「わたしは動いていなかったのに……
なんで、こんな所までいるの?」

マジョリーナ「分身の数が減ってる!? いつのまに……」


ビューティ「…今のは? 私の行動が……既に終わっている?
…何か、おかしいッ
……これは、なにかただならぬ事が!?」

ポップ「拙者は盾になろうとして、気がついたら元に……?」ブツブツ

ジョーカー「理解ができな…い…
……何が起こったのですか……?」


ジョーカー「一体なにがッッ─────」

ザザッ

ジョーカー「グフゥウアアアッッ!!」ゴボォッ

ビューティ「!?」ビクッ

ビューティ「ジョーカーッ!?」

ビューティ「……あ!? ま、またさっきの……『奇妙な感覚』…?」

ジョーカー「ぐあ……ほ、『本体』……
バカ……な」シュウゥゥ…

ポップ「そんな…消えたでござる……」

ビューティ「…この世界で何が…」

ビューティ「なにが起こってるのですか!?」



ジョーカー「き、貴様一体、何を……?」

ディアボロ「人という存在は」

ジョーカー「!!」

ディアボロ「理解できないものを恐れる……
もっとも貴様が、人かどうかはともかく、だが……
貴様の恐れが手に取るようにわかるぞ。なあ、ジョーカー?」

ジョーカー「うっ」

ディアボロ「だが貴様にはッ! 恐怖したことを後悔する時間も与えん!! キング・クリムゾンッッ!!」


ドバァア─────z______ン!!



ジョーカー「」


ディアボロ「…消し飛んだ時間において、全ての人間は『動いた足跡を覚えていない』ッ!」

ディアボロ「空の雲はちぎれ飛んだことに気づかず……
消えた炎は消えた瞬間を炎自身さえ認識しない!
気づいた時には既に、『行動を終えた結果』だけが残る!」

ディアボロ「時間の消し飛んだ世界では動きは全て無意味となるのだッ!」

ディアボロ「そしてオレだけがこの『動き』に対応できるッ!
おまえがどう動くか全て見えるッ」


ディアボロ「そしてッ」

ディアボロ「貴様の背後に回るという『過程を』消し、一撃をくらわせる『結果』だけを残すッ!!」ス---

ディアボロ「時は再始動するッ!」グオォアッ!!



ドグシャァアッッ!!



ジョーカー「ごあっっ!?」


ディアボロ「『結果』だ……
この世には『結果』だけが残るッ!!」

ディアボロ「…理解できたか? 全てを支配するのに相応しいのが誰なのか」

ディアボロ「その理由がッ」メリィイイッ

ジョーカー「ゴボッ!! き、きさ、ま
いつの間に……後ろに」

ディアボロ「これがキング・クリムゾンッ
我が無敵の能力!!」ズバアァッ

ジョーカー「ぐあああああ……!!」ドバアァ-

ドサァッッ


ディアボロ「……しょせん貴様も、取るに足らん『兵士』
……『帝王』の足下にも及ばん」

ジョーカー「」シュウゥゥゥ…

ディアボロ「貴様らカスどもに勝利などありえん!
『勝利』、そして『幸福』とはこのディアボロにこそ相応しいのだッ!」

ディアボロ「誰にも邪魔はさせんぞ……。
そうだ、たとえそれが……」

ディアボロ「……」


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ディアボロ「『プリキュア』であってもだ。
……そろそろ『始末』するべきか……
『プリキュア』……」


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『ボス』の正体-ディアボロ
スタンド名-キング・クリムゾン
未来を予知し、時間を一部消し去ってしまう能力。

『無敵』








←TO BE CONTINUED……////

今日はここまでです
よーしポケモンやるぞー

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