【ドルフロ】ドールズフロントライン (29)
試しに書きます。
ご感想等頂ければ幸いです。
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~プロローグ~
暗い空、美しい満月の夜だった。
何が皮切りになったのか、先程まで五月蝿いぐらいに鳴っていた銃火器の音も、みんなの声も、一瞬にして静まり返る。
俺はといえば、何が起こったのか全く理解出来ないまま、顔面に硬い土の感触を覚えていた。
「…………」
砂利が口の中に入っても、冷たい地面が体温を奪っても、俺はただ身を任せるだけだ。
目を閉じる。
気が付くとあいつらが手を振っていて、俺は苦笑いを浮かべながら、ゆっくりと歩いていった。
仕事という柵(しがらみ)から抜け、上司と部下という壁を取り払い、改めて彼女達と出逢う。初めての事だ。
どんな会話をすればいいか悩む俺を見かねたのか、顔を合わせた彼女達一人一人が、おかしそうに笑いながら語りかけてきた。
指揮官が頑張ってくれたから、みんなが笑顔になれたんだよ! そんな顔しないで、あたしみたいにほら、スマイルだよ?
仕事の手は、休めたらだめよ。全部終わったら、まあ、どっかに遊びに行くぐらいは、しても良いんじゃない?
コーラ持ってこーいっ! 1人で飲むのも良いけど、やっぱりみんなで飲むコーラは最高だね。ね、指揮官っ。
姉さんに近づく、活路が見えた、気がします。指令官と、2人でなら……追い越せるかも、しれません…。
んふふふ、この子もあの子もみーんなまとめて指導してあげるわ。指令官、もちろんあなたもよ?
大丈夫です。そんなに近寄らなくても分かります。あ、別に嫌いな訳じゃないですよ? だって指揮官がくれた、音だから…。
あなたが私の指揮官で良かったです。あなたのお陰で、ようやく前を向けそうです。でも今はそうですね、取り敢えず寒いので、一緒にいて下さい。
誰が誰でどうなのかって、とても大切な事だったのね。そうだ、指揮官にとってのあたしって何? あたしにとっての指揮官はね……ふふっ、内緒だよ。
私は殺しの為に作られたけど、たまにはスコープの外を覗くのも、面白い顔が見られて良いものね。勉強になったわ。
指揮官が私達を信じてくれたお陰で、ここまで来れたんです。だから私達も、最後まで指揮官を信じます。
「あぁ、みんな、ありがとう……っ」
俺は撃ち抜かれた胸を押さえながら、空を見上げる。濡れたように滲んだ星々が、硝煙に消されて消えていった。
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