梨子「転性モノ?」善子「転生モノよ」 (23)

梨子「雨、止みそうにないね」

善子「薄々こうなる気はしてたわよ」

梨子「天気予報は晴れだったのに」

善子「クーックック! 矮小な人間ごときにヨハネの力を予測なんて・・・できるはずないわ!」ギラン

梨子「はいはい、さすがヨハネちゃんね」

善子「善子よっ! ・・・・・・あれ?」

梨子「ふふっ」

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善子「ごめんね」

梨子「えっ?」

善子「せっかく遊びに誘ってくれたのに」

梨子「雨は別に善子ちゃんのせいじゃないでしょ?」

善子「いやいや! 雨が降ったのは他ならぬヨハネの力のせいなんだけど!」

梨子「ふーん」

梨子「なら怒ってもいい?」

善子「・・・すみませんでした」

梨子「うそうそ、冗談よ」

梨子「たまにはこうやって過ごすのもいいじゃない。二人ともインドア派なんだし」

善子「そう?」

梨子「そうだよ。こうやって善子ちゃんの部屋でのんびりするのってちょっと新鮮だし」

善子「あ、あんまりジロジロ見ないでよ?」

梨子「見られたらまずいものでもあるの?」

善子「ないわよっ!」

梨子「ふふ、それなら何処を見ても大丈夫だよね?」

善子「えっ!? ち、ちょっとぉ!?」

梨子「やっぱり定番はベッドの下よね」ゴソゴソ

善子「ないっ! 何にもないからぁっ!!」

梨子「ん? これ何だろう」

善子「もう、何を見つけたのよぉ・・・」

梨子「小説かな? ブックカバー付いてるけど」

善子「っ!? それ駄目! 駄目だから!!」

梨子「見られて困るものはないんでしょ?」ペラ

善子「ああああああぁ・・・!!」

梨子「なになに?『歌舞伎町No1ホステスの私が異世界でイケメン勇者に生まれ変わったら、持ち前のコミュ力活かして最強の美少女パーティを完成させちゃった件』? とんでもなく長いタイトルね」

善子「読み上げないで・・・」カァー

梨子(何だかすごく動揺してるけど、これって善子ちゃんが好きそうなただのライトノベルじゃないの?)

梨子「えっと・・・善子、ちゃん?」

善子「わ、笑いたいなら笑いなさいよっ! ええ、そうよ! 転生モノのラノベよ!! 悪い!?」

梨子「開き直った!?」

善子「バレちゃったならしょうがないでしょ!? そうよ! ヨハネは転生モノのラノベが大好きなのよ!!」

梨子「へ、へえ・・・」

梨子(転性モノ? 転性って性転換って意味よね? それが大好きって・・・)

梨子「・・・善子ちゃんって、そういうの(性転換)に興味あるの?」

善子「(異世界転生に興味が)勿論あるわよ! 悪い!?」

梨子(やっぱりぃいいいいい!?)

善子「な、何よ! 文句あるの?」

梨子「い、いや、文句はないんだけど、ちょっとびっくりしたというか・・・!」

善子「転生モノって今じゃかなりメジャーなジャンルなのよ?」

梨子「そうなの!?」

善子「アニメだって毎シーズン、二、三作品は作られてるし!」

梨子「そんなに!?」

梨子(大丈夫なのそれ・・・。拗らせ過ぎでしょ日本)

善子「リリーは見たことないの?」

梨子「いや私は・・・」

善子「あるの? ないの? ハッキリ言って!」

梨子(あるにはある。けど私はあくまで女の子同士が至高なの。適当にお茶を濁す? ううん、善子ちゃんは私を信じてカミングアウトしてくれたんだ。なら、腹を括るのよ桜内梨子!)ガンバリコ!

梨子「善子ちゃん、私は女の子同士でイチャイチャする作品の方が好きなのっ!!」

善子「」

善子「はあああああぁっ!?」

善子「急に何言い出すのよっ!?」

梨子「だって善子ちゃんだけにそんな告白してもらうの悪いでしょ!?」

善子「内容の重さが全然違うんだけど!?」

梨子「同じくらいだよ!!」

善子「絶対違う! 女の子同士ってその・・・」

梨子「ええ、百合よ! 私は百合が大好きなの!!」

善子「わかった! わかったからちょっと待って!!」

梨子「でも転性モノが好きってことは、善子ちゃんだって潜在的に百合好きなんだよ!?」

善子「どんな理論よ!? 違うわよ!」

梨子「本当に違うの?」

善子「えっ」

梨子「本当に?」ジー

善子「う・・・」

梨子「善子ちゃん?」ジー

善子「ゆ、百合も嫌いじゃ、ないけどっ・・・」

梨子「ほら!」

梨子「でも百合が好きなら何でわざわざ転性モノなんて見るの?」

善子「何でその二つを比べるのよ。全然違うじゃない」

梨子「そうかな?」

梨子(女の子が好きって点では同じだよね?)

善子「はあ、良い? 転生モノの一番のウリは何か分かってる?」

梨子「んー。ごめん、分からない」

善子「クックック、ならば教えてあげるわ」

善子「転生モノ、最大のウリはね・・・」

善子「圧倒的な力での蹂躙よ!!」

梨子「」

梨子(えええええええっ!?)

梨子「ちょ、えっ? そ、その・・・」

善子「ん? どうかしたの?」

梨子「じゅ、蹂躙って、相手(の女の子)を?」

善子「そうよ! 相手(敵)を転生して手に入れた力で一方的に蹂躙し、屈服させるのよ!!」

梨子(ひゃあああああっ・・・! 善子ちゃんってそっち!? そっちの願望があったの!? 私はてっきり善子ちゃんはネコだって・・・。もしかして演技だったの? わたしを油断させるための?)

善子「どうしたの? 顔が真っ赤だけど」

梨子「な、何でもないです・・・」プシュー

善子「なんで敬語?」

梨子(れ、冷静になるのよ桜内梨子。本当に恐ろしい子ね津島善子、いやヨハネ! 堕天使の名前は伊達じゃないわ。私をここまで動揺させるなんて・・・!)

善子「リリー?」

梨子(今日こそイけると思ってたけど猛獣の檻に閉じ込められたのは私の方だったということかしら? いや、むしろそれもアリ? 堕天使ヨハネに蹂躙されてリトルデーモンに・・・いや、家族という意味で将来的にはファミリアまで・・・!)

善子「ねぇー? おーい!」

梨子(あああ、でもやっぱりダメ! いざという時は攻める気満々だったから私の心臓が保たない! こんなことならもっとネコ側に感情移入して同人誌読んで来るんだったー!)

善子「リリー!!」

梨子「ひゃいっ!?」

梨子(か、顔が近い・・・!)

梨子「よ、善子ちゃん・・・」

善子「ん?」

梨子「ん・・・」

善子(・・・リリー、急に目瞑って何やってるのかしら?)

善子「さっきからボーッとしてるけど眠いの?」

梨子(あれ?)

梨子「んー!」

善子「眠いならベッド使っていいわよ」

梨子(釣られない!? 何で? 焦らしてる? いや、さっき善子ちゃんが話したことが事実で女の子をむちゃくちゃに蹂躙したいなんて願望があるなら間違いなく唇を奪いに来るはず。私ならそうする。ということは・・・)

善子「本当にさっきから変よ、リリー」


梨子(私は、何か思い違いをしている・・・?)


梨子「善子ちゃん」

善子「なに?」

梨子「善子ちゃんって本当に相手を無茶苦茶に犯したいのよね?」

善子「お、おかっ!? そんなこと私がいつ言ったのよ!?」カァー

梨子「えっ!? だってさっき男に生まれ変わって女の子をぐちょぐちょに犯したいって!」

善子「言ってない! リリーの変態!!」

梨子「どういうこと!?」

善子「こっちのセリフよ!!」

梨子(待って)

梨子「ごめん。私、勘違いしてた」

善子「勘違い? どうやったらそんな方向に勘違いできるか分からないけど・・・」

梨子(そうだ。転性モノが好きだと言っても、善子ちゃんは一言も自分が男になりたいとは言ってない。つまり・・・)

梨子(善子ちゃんは犯される女の子側に感情移入をして読むタイプ!)

梨子(間違いない! これなら私が善子ちゃんをネコだと判断していたこととも辻褄があう。やっぱり善子ちゃんはバリネコ!!)

善子「リリーが急に変なこと言い出すからびっくりしたじゃない。もー・・・」

梨子(でも、だとしたらまずい)

梨子(善子ちゃんは男が女を一方的に蹂躙できる存在だと誤認しているってことになる。確かに見かけはダイヤさんに次いで大和撫子だし、母親が教師という家庭環境・・・昔ながらの男尊女卑なジェンダー感が反映されているのかも。このまま放置すれば言い寄られた男になし崩し的に・・・なんてことにもなりかねない)

善子「リリー・・・?」

梨子(私が、なんとかしないと)

梨子「善子ちゃん」グイ

善子「きゃっ、え、リリー・・・?」

梨子「善子ちゃんは間違ってる!」

善子「えっ? えっ?」

梨子「私が女の子同士の良さをたっぷりと教えてあげるから、ね?」トサリ

善子「なんか、目が怖いんだけど」

梨子「ふふふ・・・」ジュルリ

善子「い、いや・・・!」



「いやあああああああっ!!!!!」


~翌日~

曜「ねえ、千歌ちゃん?」ヒソヒソ

千歌「ん? なあに?」ヒソヒソ

曜「梨子ちゃん、何かあったの?」ヒソヒソ

千歌「あー・・・。なんか善子ちゃんと大喧嘩して、ビンタされちゃったんだって」ヒソヒソ

曜「うそっ!?」

千歌「声がおっきい!」ヒソヒソ

曜「ごめん・・・。それ、大丈夫なの?」ヒソヒソ

千歌「ルビィちゃんによると善子ちゃんすごく怒ってて、絶対に許さないって言ってるって」ヒソヒソ

曜「うわあ、何やったんだろ、梨子ちゃん・・・」ヒソヒソ






梨子「・・・・・・はあ」

梨子「異世界転生ってどうやったらできるのかな・・・」




終わりです。
お読み頂きありがとうございました。
復活おめでとうございます。
依頼出してきます。

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