魔王「答えろ勇者よ!」勇者「▼はい いいえ」(7)

魔王「この世界は悲しみに満ち溢れている……!私を倒しても第二、第三の魔王はすぐに誕生するであろう……」

魔王「そしていくら貴様が強く、そして正しかろうが百年後にはもうこの世にはいない!」

魔王「貴様ら人間は逃れようの無い闇となぜ戦おうとするのだ?勝ち目など微塵もありはしないぞ?」

魔王「答えろ勇者よ!」

勇者「▼はい いいえ」

魔王「……」

勇者「……」

魔王「……では答えろ勇者よ!」

勇者「▼はい いいえ」

魔王「……」

勇者「……」

魔王「……」

勇者「▼はい いいえ」

魔王「……」

勇者「……」

魔王「…………まだ溜めるのか?」

勇者「はい ▼いいえ」

魔王「では今すぐに答えてもらおう!」

勇者「▼はい いいえ」

魔王「……」

勇者「……」

魔王「…………答えが出ないのなら無理に答えなくても良いぞ?」

勇者「はい ▼いいえ」

魔王「……そうか」

勇者「……」

魔王「……」

勇者「……」

魔王「……言いにくい事なのか?安心しろ、この魔王城での会話は例え神であろうと伺い知ることは出来ない。
そして私も絶対に誰にも話さないと約束しよう。これなら安心だろう?」

勇者「▼はい いいえ」

魔王「そうか。なら答えてくれ……」

勇者「……」

魔王「…………もしや貴様…はいかいいえしか喋れないのか?」

勇者「▼はい いいえ」

魔王「やっぱり!!……薄々勘づいてたけどやっぱりそうか!!!」

魔王「ならばもっと早く言わぬか!何だったんださっきの無駄に気まずい時間は!!」

勇者「▼はい いいえ」

魔王「…そうかそれを伝える術すらお前は持たぬのだったな……」

魔王(くっそー……この問答ずっとやってみたかったんだけどなぁ……答えのパターン百通りくらい予想して、格好いい切り返しを毎晩考えてたんだけどなぁ……)

勇者「……」

魔王(だが勇者のあの熱い瞳……確実に何か己が信じる主張を持っている目だ。それを私に伝える手段さえあれば……)

魔王「! そうだ!筆談だ!文字に起こせばいいではないか!」

勇者「……」

魔王「ええーと、確かここに……勇者よ!答えをこの裏紙に書いてくれ!!」

勇者「▼はい いいえ」

魔王(よし!多少不格好だがこれでようやく……)

勇者「……」カキカキ スッ

『▼いえ は いい』

魔王「…………家は良い?」

END

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