丹生谷「勇太をなんとしてでも独占したい!2」 (123)



丹生谷「勇太をなんとしてでも独占したい!2」

【ゆうにぶSS】

中二病でも恋がしたい!SS

※続編ではなくリメイク作品の意味



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第1話「床を拭いている」

8月29日 17:59分

勇太「あ、あのさ。ちょっと時間ある?」
丹生谷「どうしたの?」
勇太「大きな声で言えないからさ。ちょっと折り入って頼みたいことがあるんだけど」
丹生谷「なに?」
勇太「事情で公衆電話だから早く端折りたい」
丹生谷「ああ、そうなの」
勇太「い、言いにくいんだけどさ......その。......。......。えっと......」
丹生谷「......はぁ。はやくして」
勇太「こ、う......六花に告白したいって思うんだけど......」
丹生谷「え?ええええええええええええええええええ!!!!!」

丹生谷「うっそ......。まじ?」
勇太「鼓膜が痛い!」
丹生谷「ああ、ごめんね。で、どうなったの?」
勇太「実は何もやってない。ただそう思っただけ......」
丹生谷「えー、なーんだ。つまんないの!んなことで時間とらせないでよ!」
勇太「ああ、ええと、......あ!そうだ!それで告白のことでな。告白」
丹生谷「へえ、いいじゃない!うんうんそれが?」
勇太「それで。どっかにデートする計画を考えようと思ったんだけど、いまいち決まらなくて」
丹生谷「今度こそ真正面キスするんでしょうね!」
勇太「そ、そっち聞く!?うん。いやこのために電話してるんだから」
丹生谷「はは~ん。ずばり、デートの仕方教えてほしいってこと?」
勇太「いやそれはもう大丈夫だ。これから良いやつ考える。告白のことを思うと一番かっこいいデートってのが、いまいちつかめなくて」
丹生谷「んな遠回りしてるからデートにたどり着けないんでしょ!」
勇太「丹生谷ならこういうの得意だろ?女の子だし」
丹生谷「はぁ!!!?何言っちゃってんのよ!!」
勇太「分からないのか?」
丹生谷「ああ分からないわよごめんなさい!!参考にできないゴミですぅ!!もう最っ低!!あんたなんか振られちゃえばいいのに!」
勇太「違う!皮肉じゃなくて!そういう意味じゃなくって!あ。丹生谷は一層変わってるよな。かわいいし、スタイルいいし、性格もいいし」
丹生谷「心の底からそう思ってない人に言われたくない!」
勇太「うっ......。お願いがありまして、ぜひ丹生谷にご教授願いたいと」
丹生谷「い~~~~や!自分で考えて!」
勇太「そっか......じゃあ俺一人でやる......」
丹生谷「......」
勇太「よくよく思えば、告白を赤の他人に任せようだなんて鬼畜だったよな......。ありがとう。じゃあ」
丹生谷「一人でやるの?ほんとに?」
勇太「うん。怖いけど。でもどうやりくりするか掴めないんだよな。不安でこうして電話している今が一番安心するレベルで。
でも何言ようかな......大丈夫だから、たぶん......。ばいばい」
丹生谷「富樫君!待って」
勇太「えっ!」
丹生谷「あ!あの、じゃこういうのどう?練習っていうのは?」
勇太「練習?なんの?」
丹生谷「そう。女の子って命がけなのよ。付き合う日も結婚指輪をもらう日もずっと覚えているんだから。富樫君はそれをやろうとしてるの、わかる?」
勇太「そんなのとっくに理解してる!悲しませたくないんだよ。あいつにとってほんとの幸せを探したい......」
丹生谷「へえかっこいいところあるじゃない!好きな女の子のために人生をかけるって私憧れなの!小鳥遊さん富樫君好き好きになるわよ」
勇太「うるさい!もうそういうのは卒業したの!」
丹生谷「やる?」
勇太「あ、いや。嬉しいけど告白の仕方の指導をしてほしいだけで、別にそこまで求めてない」
丹生谷「富樫くんみたいな鈍感オブ鈍感な男の子が、デートのことまで気遣いできるのかな~」
勇太「うっ!!!やめろよ!!聞いたら死亡フラグだろ!!!」
丹生谷「いつの間に泣かれたりして!」
勇太「ないない!!やめろおお!!」
丹生谷「あっそ。じゃあ告白も一人でやればいいじゃん」
勇太「......分かった。する」
丹生谷「利害一致ってことね」
勇太「お前にまんまと乗せられた気がする」
丹生谷「じゃあ~練習ということでね~」
勇太「うん?」
丹生谷「私と一緒にデートしない?」
勇太「ええええええ!!???お前ほんとに丹生谷か?」
丹生谷「なによ、いや?」
勇太「ダメに決まっているだろ!俺彼女いるんだぞ!俺を罠にはめる気か!!!」
丹生谷「なによ好きじゃないわよ!これは仮デート。あくまでごっこ。
誤解されたようだから盛大に言おうと思っているだけどね、あんたのことなんか気にも留めてないわ!ひとっつもね!!!!!!」
勇太「ひっ!!!!」
丹生谷「ゴミ?なんていうか。あ~、公衆電話だったわよね。その理由聞きたい?聞きたいでしょ?今週の日曜日教えてあげる、ふふっ」
勇太「聞きたくない聞きたくない!!!」
丹生谷「心ボロボロにならないように気を付けてね。私が口を開けたらびくびくさせてあげる」
勇太「お、おい、どういう言う意味だよそれ!」
丹生谷「こ・く・は・くの仕方も分からない男の子に、一から教えるの。ありがたいと思いなさいよね。それとお金持ってきてね当たり前だけど」
勇太「お前だって分からなくせに」
丹生谷「は!?何か言った!?」
勇太「......」
丹生谷「明日そこ含めて話しするから、きちんとするように。ましてや遅刻なんてしたら......」
勇太「あ、うん。あのさ、でもそんなことしたら六花に見つかったら俺......」
丹生谷「見つからないようにしなさい。石山駅で集合ね。じゃあね~」


切られた......。えっ、なんでこうなってんの?
脅迫電話だ。間違いなく脅迫電話もらっちゃった......。
やばい!やばい!明日金たかられる!ついでに黒歴史をちくちく言われて笑われるんだぁ~!!!
思えばあいつ、顔も学級も運動も勉強も、全身オールOK。っていったらいやらしいな。
でも性格のせいで価値0だろ。あ~こうやって罪のない人をけなすのはやめてほしい。
胃が持たない。あの性格さえなければ、できれば恋愛ゲームにありがちな、もっとおしとやかだったら、もっと優しい.......。
いやいや六花以外興味ない!何丹生谷好き前提になってるんだよ!
でもひょっとしたら......。
そんな浮かれ気分をお風呂から出た後も続け、かばうように胸に手を握りしめて、今夜は眠った。



8月30日 朝

はぁ......はぁ......はぁ......。息が詰まる。ドキドキする。
あいつのことを思うと胸が止まらない。あいつの顔が頭から離れない。
「次は~」
早く早く!
「~駅」
やべえよ!やべえよ! 
扉が開きます、というセリフと同時に停車した電車のエンジンの切る音を皮切りに、
扉の隙間をマラソンランナーのごとく猛ダッシュで、人の行く手をジェット走行の足音で阻み改札出口を出る。
手持ち鞄がまるで遊覧船のように揺れる。
うおお!!!出口だ、走れ!!!
外が眩しい。あいつは、見えない。どこだ、ここでいいんだよな?
誰だ?あそこの。丹生谷は、あ、あの姿、スカートで半袖であの髪型の夏服は。

勇太「おーい丹生谷―!」
丹生谷「とがしく-ん!」
大きく手を振って、半袖姿で中がちらちらする彼女の元へと降り立つ。
勇太「はぁ......はぁ......はぁ......。久しぶり」
丹生谷「久しぶりねー!20日ぶりかしら」
勇太「ごめん。待った?」
ここで、いいわよ~会えて嬉しいな富樫君♪と言ってくれるかな!
丹生谷「待ったじゃないでしょうが!今何時だと思っているの!!」
勇太「申し訳ございません!」
丹生谷「何分だと思う!!?15分よ!私こうやってぼーっと時間過ごすの嫌なの!15分も待たせるなんて御法度よ!?」
勇太「ごめんごめん!!」
丹生谷「昨日言ったのに全然じゃない!」
勇太「いや、今日は違うんだよ!」
丹生谷「言い訳やめて!」
勇太「昨日六花と樟葉で、明日の当番で色々揉めて」
丹生谷「知りません!」
勇太「ついてこないように工作するのも大変だったんだよ!」
丹生谷「知らないわよバカ!」
勇太「朝起きたらすごい時間だったので電車で来ました」
丹生谷「はあ?寝坊?寝坊ってことで良いよね?はぁ......。寝坊って言ったならただじゃな済まないわよ」
勇太「寝坊だよ( ´艸`)」
丹生谷「......」
勇太「すいませんでした」
丹生谷「この落とし前どうつける気?」
勇太「丹生谷を盛大に楽しませる存意です。一生忘れられない思い出を築きたく思います」
丹生谷「私楽しくないんだけど」
勇太「本気で楽しませますんで!もし減点されることが1つでもあればなんなりと願い仰ってください!」
丹生谷「どうせできないんでしょ」
勇太「いやできる!なんでもやる!」
丹生谷「へえ。今なんでもっていったよね。じゃあこれ受入れられる?」
勇太「あ、理不尽はなしで」
丹生谷「デートのお約束条項その1!遅刻しないこと!」
勇太「えっ?なにそれ?」
丹生谷「ペナルティよ!ペナルティ!減点!罰として復唱!はい!」
勇太「俺ギャグで来たのにシリアス入れられるの嫌いなんだよな。遅刻しない......はい以上」
丹生谷「ダメ―もっと大きな声で!」
勇太「嫌だよ」
丹生谷「とがしくんがー何でもやるって言ったくせに、詐欺言ったー」
勇太「うっとおしい。めんどくさい。拘束すんな。そんなことより遊ぼうよ!行こう!」
丹生谷「はぁバッカじゃないの!!?遊びじゃないのよ!私何のために来たの!わざわざ時間削って来たのにひどくない!」
勇太「頼んだ覚えはないけどな」
丹生谷「頼んだんじゃない!!?泣きながらデートの方法教えてくだしゃい~ってキモイながら」
勇太「俺からは要求しなかった!」
丹生谷「でも小鳥遊さんの気持ちわかんないんじゃない?」
勇太「うっ......」
丹生谷「おっ核心に入ったの?小鳥遊さんね。富樫君にね、
あのとき中二病止めるって言ったときに祖父母に反論してくれれば、
実家に帰って地獄みたいな気分味合わなくて済んだって言ってたのよ!」

勇太「なぜ知ってる!?」
丹生谷「ふっ。私の情報網を甘く見ないで頂戴。中二病ってホントいやよ、
新約聖書を解読する人の気持ちが分かった気がしたわ。
とにかく!富樫君が鈍いせいで周りに被害広めるのやめてほしいの!危機感足りなさすぎ!」
勇太「言いたきゃ言えばいいじゃん!!そんなことで!!一言言ってほしいって!何怒ってるんだよ!」
丹生谷「じゃあ富樫君も、愛してるよ六花!って言えばいいじゃん。なにかっこつけたいとか!ダサい!」
勇太「あ......」
丹生谷「もういいわ。これこそ時間の無駄よ。じゃあね、私ほしいグッズあるんだけど」
勇太「理不尽はなしで」
丹生谷「富樫君のお財布ないないする予定だから。あんたに人権いらないでしょ」
勇太「俺の貯めたお金だし!払うとしても1000円単位じゃなきゃ!ゲー......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「ゲー......」
勇太「デートがさ、資金がなくなるだろ!」
丹生谷「ゲー......」
勇太「行こう!うっわ今日のデート楽しみだなぁ!」
丹生谷「ふ~ん。ゲー......」
勇太「ゲー......ロゲロゲロ。おえっ」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「分かったわ。行きましょう。電車で富樫君の大好きなゲームが何なのか。
そのゲームに何円するのか。全部で何円になるんでしょうね。私富樫君のこともっと知りたいの~♡」
勇太「やめてやめて!絶対に答えない!」
丹生谷「よろしくねATM君。私お金持ってる人大好きなの」ニコッ
勇太「ひえ......!この貧乏神!」
丹生谷「......」
勇太「あっ待ってー!」

第2話「お誘いに行けない恨みと悲しみ」


勇太「切符売り場だけど~何買う?」
丹生谷「そうね~決めてなかったのよ」
勇太「思い切って大阪なんかどう!?」
丹生谷「とがしくん!!!遊びに来たの!?」
勇太「ひ!?(まーた怒らせてしまった!)」
丹生谷「この近くにしましょ」
勇太「ああ」
丹生谷「それに、大阪まで電車代高いじゃない」
勇太「(なんという現実的......)」


電車

勇太「(人は多いけれど満席ってほどじゃないな。休日なのにラッキーだな)」
丹生谷「あそこ座りましょ」
勇太「ふぅ......」ドスッ
丹生谷「ん......」ドスッ
勇太「こっからあそこまで2駅?」
丹生谷「3つ挟んでたと思うわ」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「(会話が続かねぇ......)」
丹生谷「ねえ富樫君、普段小鳥遊さんとどんなことしてるの~?」
勇太「言うわけないだろ」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「ねえ聞いてほしいんだけど。数学に空集合(∅)ってあるじゃない。論理学の。
私当時教科書の意味もわかんなくて友達に聞くとね「そんなことも分からない?」って言われたのよ!!ひどくない!?」
勇太「なんだよ。空集合も知らなくて数学やってたのか」
丹生谷「はぁ!!!?あんたにだけはバカにされたくないわよ!!!これひどいでしょ!」
勇太「空集合って言ったらあれだろ、A∪BどころかAかBにすら当てはまらないグループ」
丹生谷「なんで当てはまらないのに書く必要あるの!?いらないでしょ」
勇太「それは......」
丹生谷「よね!富樫君!」
勇太「あてにすんな」バシッ
丹生谷「いたっ!セクハラやめて!セークーハーラ!」
勇太「やめろって....../// お前もしかして数学苦手?」
丹生谷「....../// うん......///」
勇太「プププっ」
丹生谷「笑うな///」
勇太「数学得意な友達、優しい友達に教えてもらえばいいだろ」
丹生谷「その対象が言って来たのが問題なのよ......。あ~あ、
富樫君みたいに夜付きっきりで数学教えてもらいながらデートできるラブラブな人がいたらなぁ!!!」
勇太「んなことしてないだろ/// 大声やめろ/// 塾に行けばいいだろ」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「私には教えないで、小鳥遊さんには教えるんだ」ボソッ
勇太「えっ......///」ドキッ
丹生谷「死ね」
勇太「なんだよ......本当に知識ほしいだけか......」

勇太「(丹生谷か......。どんな話題欲しがるのか分からん)
あのさ、丹生谷。今日8月30日だろ。旅行行った?」
丹生谷「いやあいにく今年と来年はいけないのよ。マジ悲しい。花火見たかった。
1日中友達と会わずに引きこもるなんてニート!私ニートだったの~」
勇太「勉強?」
丹生谷「そうよ~。なんか時代が増えるたびに受験勉強量多くなってない!?
でね、やること多くて、将来のこともあるしひたすら勉強よ」
勇太「あ~俺達はそうだよな。宿題はもうやった?」
丹生谷「いや」
勇太「え......?」
うそだろ......。あの丹生谷が、宿題を日付単位でコツコツ片付てそうな完璧超人に見える丹生谷が、夏休みの宿題も終わってない!?
丹生谷「本当は今日終わらせたかったんだけど、だ―れかさんのせーで時間が取れなくなったの」
勇太「(え、俺の責任かよ......) その、ごめん」
丹生谷「まぁいいわ。だいたい終わってるし、明日ガッツを組めば一瞬で終わるわ」
勇太「(キャリア命にかかってる丹生谷に責任負わせたって責任重大だよな)」
丹生谷「その代わりおごってもらうからね!」
勇太「(宿題ができてないって、まるでハルヒのエンドレスエイトみたい!)」ププッ
丹生谷「え!!なになに!?」
勇太「いや、なんでもない......」
丹生谷「はぁ!?」
普通の友達に向かってオタク知識で盛り上がりたいけど怖くて勇気がでない......

丹生谷「宿題で思い出したんだけど、明日明後日やろうと思っても当日やらないわよね」
勇太「いざやろう!と思ったら無性に掃除がしたくなったり!」
丹生谷「あるある~!」
勇太「あれなんでだろうね?」
丹生谷「自己啓発書読んで、うおー!俺なら世界を変えられる!と思っても、明日その気がすっかり消えてたのに似てる」
勇太「分かる!分かる!分かる!あれ深夜テンションかな!」
丹生谷「私ね、勉強も並行して行ってるんだけど、教科書に一単元2ページじゃなくて、
3ページで一区切りされてるのを見ると、
できない罪悪感の重さからまぶたが重くなって寝てしまうのよ!翌朝見ると頬に肘の赤みがくっきり!」
勇太「あはははは/// あったあったあった!ちょっと仮眠すると3時間ぐらいぐっすり」
丹生谷「それ自制心弱いわよっふふ!夏休みの夜ってよくない?深夜まで寝ても何時でも起きていいもん」
勇太「あれはゲームし放題の特権だよな!
目覚まし時計の鳴る前に脅されたように目が覚めて心臓がバクバク鳴るのが耐えられないんだよ!」
丹生谷「なんで分かるのー!!?胸がキュッと痛むと吐き気がしてくるのよ!
夜ラインしてるからなんだけど。あ、そうそう、ラインで既読ついてないと不安になるわよね!」
勇太「友達だから返信しなきゃって切羽詰まって、まるで囚人のように既読がついて返信をもらうまで疑心暗鬼になる......」
丹生谷「ほんといやよねー!時間帯考えて寝かせてほしい!しなかったらはぶりとかしてくるって聞いてるからねー」
勇太「これだから人間関係は!」
丹生谷「わしらは老害になったのぅ」
勇太「ははは!!」
丹生谷「はははっ あ、車内車内!静かに」

丹生谷「富樫君、宿題や勉強を一人でやると寂しくなるのよね」
勇太「まぁな。友達いても夜には一人になるけど、やってる最中に周りが気になっちゃう」
丹生谷「でしょー!電話やラインで人の声が聴きたくなるのよ」
勇太「だよな!俺もまとめサイトで有名人が叩かれてるコメント見て安心するよな」
丹生谷「えっ......。それ富樫君だけじゃない?見てるんだ。 キモッ......」
勇太「(なんで辛辣な結果になるんだよ......)」

勇太「丹生谷ってコツコツ派?テストの2,3日前で徹夜する派?」
丹生谷「徹夜でできるとか頭どうにかしてるわよ!一週間前よね!」
勇太「え......」
丹生谷「えっ?」
勇太「テスト一週間前になるとさ、とうとう来るんだーって恐怖心とワクワク感でドキドキするよな」
丹生谷「わかるわー!そのために1日は24時間しかないから1ページでもやっておこうという気になって借金を減らすのよねー!」
勇太「へっ......?逆だろむしろ。
怖いから何もしなくて2,3日間近に火の車になりながらやり遂げるのがいいんだろ!罪悪感でするゲームが乙な味」
丹生谷「はぁ!?意味わかんない!?2,3日で終わるわけないじゃない!!!」
勇太「一週間を勉強に捧げるほうが気が狂うだろ」
丹生谷「そうやって小鳥遊さんの勉強アシストできないでしょ!」
勇太「教科書パラパラめくるだけで1日10分だろ!それで頭に入るじゃんか!」
丹生谷「入らない!少な!」
勇太「勉強は時間じゃない!質だ!」
丹生谷「そんなんだから小鳥遊さんを理詰めで攻略しようとするんでしょ!」
勇太「うっ......」

丹生谷「あと1駅ね」
勇太「ああ、疲れた。こんなに盛り上がれるとは思ってなかった」
丹生谷「そうね......」
勇太「夏休みの宿題って無駄だよな。あんなに量があって。ただ書き写す苦行で頭に入るかよって。ははは」
丹生谷「まぁ富樫君だからじゃない......」
勇太「......。あのさあのさ!!!授業に眠たいときにテスト出すぞと言われると目が覚めるんだけど、その内容覚えられてなーい!」
丹生谷「そういうのをバカって言うのよ。寝る人いるの?」
勇太「うっ......。えっと、えっと。作者の気持ちをさあ、考えろって言われても、あんなの無理だろ!エスパーか!!!!!」
丹生谷「問題文見なさい。富樫君って、意外に「バカ」だったのね。見直したわ」
勇太「(なんで一度話題が終わったものを続けると冷めた目線で見られるんだろう......)」


丹生谷「あ、着いたわ。出ましょう」
勇太「どこに行くんだよ」
丹生谷「それぐらい事前に調べなさい」
勇太「(無茶ぶりだ......)」



丹生谷「4番出口がいっかな」
勇太「どこいくの?」
丹生谷「人気のないところよ」
勇太「丹生谷、初めて?」
丹生谷「4番に行くなら初めてかな~。ってか駅大きすぎ。富樫君、何か話してよ」
勇太「(さっきのさっきで無茶ぶりすぎるだろ!)」

勇太「夏休みも終わるよな~。9月になってほしくないよな~」
丹生谷「私はもういいわ。これ以上勉強地獄を繰り返すなんてごめんよ」
勇太「俺9月からイメチェンしようかなって、迷っているんだよ」
丹生谷「くすすっ。ダークフレイムマスターになるの?」ニコニコ
勇太「ちゃうわ/// そのセリフを言っていいのは六花だけな覚えろ///!
ほら、8月って30日もあるからここで何も変わってないと無駄な日数を過ごしたと思われる」
丹生谷「あー。私もあったなー。でも結局自分に戻っちゃうのよねぇ」
勇太「クール系なんかどうかな」
丹生谷「えっ......。似合うー!にあうーーー!!!絶対やって!!!」
勇太「お前バカにしてるだろ!」
丹生谷「また変な富樫君を生で見られるとかもうないからねー!ふふっ」
勇太「わ、話題変えようか/// えっと......9月で特に嫌なのが、校長先生の長い話」
丹生谷「あ~」
勇太「あれ誰が得するんだよ!校長先生の自慢話より、俺たちが蒸し焼きになってることを理解しろよ!!!」
丹生谷「あ~思い出したくなかった!せめて聞いてほしいならクーラー付けて頂戴!」
勇太「しかも座らせてくれないし、座らせても尻が痛くなるぐらい話をされる」
丹生谷「時計の針が遅くなる」
勇太「ぷーーーー」
丹生谷「いや、だってー!」
勇太「校長先生に殺意芽生える。言いたいならぬいぐるみにでも言ってろ」
丹生谷「そういえば、家庭訪問あったじゃない。あれ、小鳥遊さんどうなった?」
勇太「どうなったって。あれ、ドキドキするよな。普段の悪行、してないけど、
例えばこの前寝て注意されたのを誇張で表現されないか不安で不安で。って言ってた」
丹生谷「担当ナナちゃんでしょ。さすがに許してくれるわよ!」
勇太「んで、案の定六花の点数の悪さを指摘された。六花が十花さんに報告したら電話口でみっちり叱られてたそうな」
丹生谷「でも、ダーリンがいるから大丈夫よ」
勇太「言うな///」
丹生谷「一夜漬けのダーリンかっこいいぞー!」
勇太「お前まだ根に持ってたのかよ......」

丹生谷「あ、4番出口ね」
勇太「できるだけ場所近ければいいなぁ。階段気を付けような」
丹生谷「ねえねえ、ふふっ///」
勇太「?」
丹生谷「あのね/// クスクスッ/// え、ちょっと待って///面白い話が」
勇太「なになに?」
丹生谷「深夜私ね友人と電話していたんだけど、面白くて爆笑していたら、なんか工事の音がしたのよ。窓閉めてるから。
うざいなーと思ったらますます音大きくなって、そう思ったらセミだったの」
勇太「へぇ」
丹生谷「友達の声も聴きづらいぐらいミンミンミンミンいるのが気になって、
窓開けたんだけど網戸じゃなくてその上にいるから追い払えなかった」
勇太「どうなったの?」
丹生谷「それがね/// 友達の声もとうとう聞こえないほど大きくて、イライラしすぎて「黙れうるさい!」って言ったら、
セミが飛んでいったの。一息ついたら、同時に電話口で「ごめん......」って」
勇太「やばすぎだろ!!!!!!誤解されたじゃんか!!」
丹生谷「あはははは/// そうなのよ!!これ絶対嫌われた!なんで鳴くのよ///」
勇太「その友人とはもう仲直りした?」
丹生谷「ううん。2,3日前のことだからまだ。おかしいでしょ!!!私に対するいやがらせかっての!!!」
勇太「あはははははは///」
丹生谷「ありがとう/// こんなに笑ってくれて/// 楽しいー///」


地上

勇太「駅から出たぞー!で?どこらへんにする?」
丹生谷「えーと、人通りが少ないところで、大きな広場なところね」
勇太「あるのかよ」
丹生谷「仕方ないでしょ。そこしかできないんだから。ほらさっさと探す」
勇太「うわっあっつ」
丹生谷「あつー。8月の終わりとはいえ暑すぎるわ」
勇太「残暑消えてほしいよな。もうやる前からやる気が出ないよな」
丹生谷「はぁ!?何言ってんのよ?」
勇太「ごめんごめんごめん!!!学校とかそういう意味で、な」
丹生谷「本当に告白したいの!?そんな風に見えないけど」
勇太「したいですぅー!!したいですぅー!!!(めんどくさい......)」

丹生谷「歩きましょう。さっさと終わらせたいの」
勇太「(歩道狭いな......)丹生谷、あのさ、電車で脇の臭い人このところいるじゃん。あれ何とかしてほしいよな」
丹生谷「そうよね。死んでくれって感じよね」
勇太「さすがにないだろ」
丹生谷「で?」
勇太「俺がこの前乗ったらあまりにも異臭で......」
ききーっ
丹生谷「きゃっ!ちょっと自転車!」
勇太「ああ、大丈夫か? でな、その時の吐き気がおえっときてな」
丹生谷「うん......」
勇太「胃を押さえると楽になって」
丹生谷「きゃっ!あ、すみません、すみません」
勇太「大丈夫か? でなその時にさ、」
丹生谷「......」
勇太「移動しようとするとスマホ落としちゃって、拾おうとすると」
丹生谷「......」
勇太「その異臭を放つ人が拾おうとしたので、すかさず奪って笑顔で対処したんだよ。あいつバカだったなー」ははは
丹生谷「と が し く ん!!!!!!!」
勇太「はいい!」
丹生谷「見て分かんない!?歩道危険なのよ!何が「大丈夫か?」よ!バカはそっちでしょ!」
勇太「え?」
丹生谷「なんであんたが壁沿い......。あ、分かった。
あんたデートに対するエスコートがまるでなってない!!!サルの方がよっぽど賢明!!!」
勇太「また何かしました......?」
丹生谷「壁沿いじゃなくて白線のほうが自転車も歩行者もぶんぶん飛び交って危ないの!
それを臭いとか臭いとかわけわかんないつまんない話するより、気遣いをなんとかしてよ!」
勇太「そうだけど壁沿いのほうがむしろヤバいだろ......」
丹生谷「はあ?どこが?」
勇太「ほら壁沿いを歩いたほうが、う、う......ウン......がな。そう思って」
丹生谷「え......。はぁ......。とにかく白線歩いておとりになりなさい!!!」
勇太「ごめん」
丹生谷「これぐらいもできないとか、彼氏失格よ!」
勇太「復唱します。デートのお約束条項その2 彼氏たるもの白線側を歩く」
丹生谷「そう。もう一回」
勇太「彼氏たるもの白線側を歩く」
丹生谷「うん、そういうこと。分かった?」ニコッ
勇太「うん。ありがとな」ニコッ
丹生谷「もうかわいいんだから/// 守りなさいね/// 轢かれるわよ」

勇太「渡ろうか」
丹生谷「今なら、大丈夫ね」

数分後

勇太「この住宅街にはなさそうだぞ」
丹生谷「でも人いないわね。帰省?」
勇太「帰省ってもう終わったろ」
丹生谷「ふふふっ」
勇太「右曲がろう。確か広くて、大きくて、人気のない場所......」
丹生谷「なさそうね......」
勇太「(詰んだな......)あ、蚊ってうざくないか?血を吸ってくるやつ」
丹生谷「いるわね。うざいし、キモイデザインだし、もうやだ」
勇太「潰したら手から誰かの血がでてうわああああああ」
丹生谷「そうそうそう!!!気持ち悪いの!死骸の足だけ残ってるのとか、
でかいバージョンあるじゃない、クモみたいに。もうそれ見ただけで親呼んで泣いちゃう!!!クーラー全開で布団敷いて防御態勢よ!」
勇太「よほど嫌いなんだな......」
丹生谷「ぷーーーーーんって音聞くでしょ!あれ聞いただけで不安でイライラで眠気吹っ飛んだわよ!!!!殺してやる!!!って」
勇太「手で叩き潰したと思ったら別の場所にいたり」
丹生谷「あー!いや!もう顔も見たくない!お母さんに最新のスプレー買ってもらったの!誰か召使雇いたいわ」
勇太「でもゴキブリよりはましだ」
丹生谷「そりゃましよー。あ、富樫君ゴキブリ倒せるの?」
勇太「いやむり......。外に出ていくようドア開けて」
丹生谷「なっさけないわね~!これじゃ役に立たないじゃない!」
勇太「いつの間に丹生谷の部屋におじゃますることになってんだよ!」
丹生谷「見てよ」
勇太「ん?」
丹生谷「太ももの真ん中にでかい粒あるでしょ!これかゆいの!!」
勇太「うわっ赤い (掻いたのか?)」
丹生谷「掻いても掻いても気になって、勉強どころじゃないの!」
勇太「なんで蚊って太もも刺しにくるんだろうな (丹生谷の太ももふっくらしてるな)」
丹生谷「私の脇にも刺されたとき、町で歩いているからかゆくてかゆくて仕方なかったの!!!脇あげると、はしたないだろうし」
勇太「(太ももむっちりしてる......)」
丹生谷「うわっ。チッ。富樫君、蚊が!!!!」バシンッ
勇太「いった!!なにすんだよ!!!」
丹生谷「変な視線感じた......」
勇太「(こいつ......)」

丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「(どうしよう。話題尽きちゃった)」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「なぁ、爪の白い部分ってネイルマトリックスって言う。かっこいいよな」
丹生谷「......」イライラ
勇太「......」
丹生谷「......」イライライライライライラ
勇太「(やばい!やばい!怒ってる!怒ってる!!!)」
丹生谷「......」イライライライライライラ
勇太「(あーもうイライラしてきた。俺だって散々話したんだから我慢しろよ。
調子にのるなよ!!! 状況変わらん!あーイライラするー!)」頭ポリポリポリポリポリポリ
丹生谷「ちょっと!ちゃんと頭洗ってんの!?フケ飛んできてるわよ!!!」
勇太「当たり前だろ暑いんだから!お前こそ話がないからってイライラすんなよ!」
丹生谷「えっ......。富樫君、くさくない?」くんくん くんくん
勇太「おい......いや......!」
丹生谷「なんかくさくない? 脇、変なにおいがする」くんくん くんくん
勇太「ほんとかよ......」
丹生谷「脇あげて」
勇太「......うん......」ヒョイ
丹生谷「くんくんくんかくんくんくん」
勇太「やあぁぁああ///!!!」
丹生谷「もうやーね///男の子なんでしょ我慢しなさいよ///」
勇太「恥ずかしい......」
丹生谷「ほらじっとして」腕ガシッ 香水シュッ
勇太「ひゃああん/// 俺丹生谷の子供じゃない......」
丹生谷「反対側も」
勇太「うん」脇見せ  シュッ
丹生谷「くんくんくん。うんいいにおい」
勇太「恥ずかしい......。俺のことどんな臭いしてた?」
丹生谷「獣の臭い。くっさー///」
勇太「いやだー/// 覚えないでよそんなことー///」
丹生谷「半袖でくさいのが悪いんでしょ!ワキガ!」
勇太「ごめんなさい......」
丹生谷「頭もシュッシュッしてあげようねー♪」
勇太「うわあああん/// やあん/// やめて///」シュッ シュッ シュッ 頭わしゃわしゃ
丹生谷「くんくん 良い匂いになったわねぇ~~~」
勇太「俺毎日洗ってる方だと思ったのにな~」
丹生谷「富樫君、普段から歯磨きしてる?お風呂入れる?私も一緒にお風呂入ってあげようか///」
勇太「うわあああああ/// そんなことされたら高校生男児として終わりだろーーー!」
丹生谷「屈辱極まりない?///」
勇太「くんくん くんくん 香水だらけ/// 脇から丹生谷の香りがするー///」
丹生谷「きゃー!富樫君さいってー///」


駐車場

勇太「あ、でかい駐車場。誰もいないし、ここがいい?」
丹生谷「そうね!ぴったし。ただ夏の日差しヤバいから、ヤバくなったら避難しましょ」
勇太「青空すごいな。さすが8月」
丹生谷「私、日傘おいて来たの。誰かさんの告白の邪魔になるだろうから、ね?」
勇太「分かった分かった。早急に帰ろうな!」
丹生谷「じゃ、練習に入りましょうか」

勇太「六花への告白だよな......なんか緊張する」
丹生谷「え!まだ決めてなかったの!?」
勇太「決めてないからお前を頼りにしたんだろ」
丹生谷「ああ......。はぁ......。玄関から帰った「あぅ~ゆうた~!」はい、結婚!」
勇太「できるか!!?」
丹生谷「うっさいわね~あんたB型?」
勇太「六花が玄関から帰った矢先にプロポーズするほうが無理難題だろ!もっとこう、デート」
丹生谷「どこでデートするの!?」キラキラ
勇太「見るな!見るな!....../// 以前、橋の下だったから、過去最高にきれいな場所、でなきゃ沖縄や北海道の先端か、自宅でしたい」
丹生谷「ああ~~~ああ♡」
勇太「(もういっそのこと死んでしまいたい......///)」
丹生谷「そうか、TPOによるのね。じゃあ、択一したプロポーズ無理よね......」
勇太「そ、そこを何とかお願いします!丹生谷様!」
丹生谷「ええ......。あ、いいこと思いついた!!!」
勇太「えっ?」
丹生谷「ようするに普段からプロポーズする気持ちで接すればいいんでしょ!愛の気持ちを裏で溜めて、本気にバー!と」
勇太「できるかよ!?......ということでもないな」
丹生谷「一般的なプロポーズの言葉知ってるといいんじゃない?」
勇太「う~ん。でも、それをする人がいないし~」
丹生谷「わたし!わたし!」
勇太「あとで脅してきそう」
丹生谷「はぁああああ!?せっかくゲルゾニために宿題やめてここまで来たのに、その恩を忘れるだぁ―!!!!」グイィッ!!
勇太「ぐるじいよ、にぶたに.......」
丹生谷「するならする!しないならしない!どっち!?」
勇太「する......」
丹生谷「よしっ!じゃあ決まりね!!!!!」

勇太「なんてプロポーズすればいいですか?」
丹生谷「ふふ~ん。感謝の気持ちを普通に伝えたら女の子なんてノックアウトよ!」
勇太「(言うのも恥ずかしいけど、聞く方も恥ずかしくないのかな......///)」
丹生谷「いつも○○してくれてありがとう~、でいいのよ」
勇太「平凡過ぎない?」
丹生谷「ねぇねぇ。ダークフレイムマスターくんの~告白のセリフが聞きたいな♡きゃは♡」
勇太「お前面白がってやってるだろ!こっちは真剣なのに!」
丹生谷「いいからはよー」
勇太『六花へ。いつも一緒にいてくれてありがとう。登下校楽しいよ。編み物得意でびっくりしたよ。
六花の作ってくれた料理がすごくおい......あいつ料理作れなかったよな。
邪王真眼の力の覚醒に付き合ってくれてありがとう。宿題一緒に付き添ってくれてありがとう。
困ったとき肩を叩いてくれたときは泣きそうになったよ。これからもずっとそばでいてください。貴方の初めてのキスをください』
丹生谷「あは~~~~~いや~~~~~~ん♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡ 心がムカムカくる~///」
勇太「ああああああああああああ!!!!!!言いたくなかったのに!!!!!」
丹生谷「富樫君素直すぎて、聞いてる私が照れちゃう/// これは没ね/// 笑っちゃうっはははははははははははははは///」
勇太「そ、そこまでおかしくないだろ///!!!」
丹生谷「ひ~~~いっひっひっひ/// ちょっと言っていい///」
勇太「なんだよ」
丹生谷「ど う て い あはははははははははっははっははは!!!!」
勇太「童貞でいいだろ///!!!笑う要素一つもねえだろ///!!!」
丹生谷「はぁ......。はぁ......。うん。これは没ね。
じゃあ、素直すぎて富樫君ダメなのよ。つまりキザなセリフを言うのがベストね」
勇太「お笑いじゃないんだぞ!人の告白笑うな!」
丹生谷「いや、違うのよ。あんた素直すぎて心の揺さぶり方がまるで下手なの。
だからあえて心を隠した、あんたが得意な中二病で披露することがベストだと思ったの」
勇太「......。分かった」
丹生谷「そう。じゃ、お願い」
勇太「......。いくぞ」
丹生谷「うん......///」
勇太『俺でいいの?』
丹生谷「......終わり?」
勇太「うん」
丹生谷「さっきよりよりダメになったわ。もっとかっこつけて///」
勇太「そういうのは卒業したの///」
丹生谷「いいから/// 中二病の富樫君も結構かっこいいと思うわよ。たぶん」
勇太『俺は君のことしか見てないぜ......///』
丹生谷「あ、いいわね!!」
勇太『お前のためなら死んでやる!!!』
丹生谷「くっさ!」
勇太『お前のいない人生なんて考えられないさ』
丹生谷「外国くっさ」
勇太『お前と一緒にいられるぐらい、頑張るからな!』
丹生谷「嘘くさい(笑)」
勇太『急にお前の声が聞きたくなって』
丹生谷「......」
勇太『俺の前で、強がんなよ』
丹生谷「......」
勇太『俺はずっと君のことを覚えているよ......』
丹生谷「......///」
勇太「......///」
丹生谷「......///」
勇太「どうだ?」
丹生谷「ぷくくくっ」
勇太「うえっ」
丹生谷「あははははは//////////////////////////////// 中二病!!!中二病!!!」
勇太「悪いかよー!頑張ったぞ!」
丹生谷「うん/// なんかドキッときた。きもい!ははははは」
勇太「(俺で遊んでやがる......!)」

丹生谷「ねえ/// 壁ドンして///」
勇太「だからしない!遊びだろ!」
丹生谷「とがしくん/// とがしくんじゃないと......だめなの♡」
勇太「えっ......。 (からかって......る......のか)」
丹生谷「駐車場の壁で」
勇太「ん。来たぞ。で、壁ドンってなんだっけ?」
丹生谷「告白したいけどその勇気がない女の子のために、男子が察して、壁に手をつけるやつ!!!」
勇太「(さっき散々バカにされたし本気で脅してみよ) ああいいぜ!俺丹生谷にしか夢中になれないんだぜ☆」ダンディ声&低い声&イケメンボイス
丹生谷「まぁ///」
勇太「出来るだけ目を合わせるぐらい近くでやろうぜ☆」
丹生谷「ふふふっ/// バカみたい///」
勇太「いくぞ、マイハニー。(やってやらああああああ!!!)」ドンッ!!!!!!!
丹生谷「きゃあ///」
勇太『俺の嫁になれよ』
丹生谷「あ....../// あ....../// ああ......///」
勇太「へっ?」
丹生谷「あああ......//////////」
勇太「あ......///」
丹生谷「......///」
勇太「......///」
丹生谷「......///」
勇太「ごめん///」
丹生谷「......///」
勇太「....../// (なんか変な雰囲気になっちゃった......///)」

勇太「えっと......ごめん/// 休憩しよう。そばのマンションにあるベンチに座ろ」
丹生谷「そうしましょ....../// はあ~あ。あつ~い」
勇太「着いたー。いや~疲れた~」
丹生谷「寄って」
勇太「チッ。」ペットボトルごくごくごく
丹生谷「ん......んまい!」ペットボトルごくごくごく
勇太「ぷはー。あのさ、正体不明でたいした理由もないっての分かる状態で、六花に嫌われたことがある。
あっちいってくれて、悲しかったな。あれなんだろな?」
丹生谷「ま~た富樫君いじめたんでしょ~」
勇太「してないわ!」
丹生谷「ん~」
勇太「十花さんがいたころ、十花さんも激怒で、お前は何も知らない奴だって罵られてさ」
丹生谷「十花さんも嫌うやつ?......あ、私、分かっちゃったかも!」
勇太「なに?」
丹生谷「ええっと......富樫君には内緒。聖域」
勇太「不倫とか、別れとか、関係ある?」
丹生谷「ないない。でも......言っちゃっていいのかな....../// 私の口から言えない///」
勇太「本当に大丈夫なやつか?」
丹生谷「むしろ男の子で知る人はいないわね......」
勇太「?」
丹生谷「でもなんであんた知らないのよ」
勇太「?」
丹生谷「お月さんが昇って来たの」
勇太「はぁ!?」
丹生谷「小鳥遊さん......生理」
勇太「................................................////////////////////」
丹生谷「うん、ほんと」
勇太「六花が。あの六花が?」
丹生谷「10歳児と接してるわけじゃないんだから分かりなさいよ!」
勇太「でもあの一件しかないんだぞ。俺に六花来るとき大抵元気な顔で、そんな素振りない」
丹生谷「ああ~。せっかく小鳥遊さんが休養しているときに、強引に訪ねてきたんでしょ!」
勇太「あ......。......なあ丹生谷、生理のときの女性ってどう扱えばいいんだ?」
丹生谷「はぁ!!?/// 最低!!!!!はぁ......。薬飲ませたり、彼氏なりの気遣い、したらいいのっ。ネットで調べて」
勇太「なんとなく分かった」
丹生谷「実は私もね、持ってるの。もう終わってるけど」ガサゴソガサゴソ
勇太「まさか......」
丹生谷「じゃじゃーん!!!」♡♡♡ナプキン♡♡♡
勇太「うわっ!」
丹生谷「常に4,5枚持つポリシー。何かあったときのために持っておくと便利!銃の弾よ♪」
勇太「丹生谷も、いつもしてるの......?」
丹生谷「や~ね!女の子はみんなそうなのよ!」
勇太「そうなの!?」
丹生谷「女の子が笑ったときに口抑えるシーンあるじゃない?あれって口が恥ずかしいんじゃないの......漏れたの」
勇太「股から血が?」
丹生谷「黙れ/// だからトイレ頻繁に行くようになったら合図」
勇太「一見清楚な女の子もふりして股から血がポタポタ流してるのか......。おえっ.......。
ところでさ、俺男の子だし......恥の概念あるのか?」
丹生谷「はぁ!? 富樫君は、そういう目で見る男の子じゃないよ!!!」
勇太「あっ......」
丹生谷「犬畜生以下のワンちゃんに欲情されても何とも思いませーん!」
勇太「わああああああああ!!!!」
丹生谷「ハッ!私といることをありがたく思いなさい!」
勇太「いつかお前を泣かせてやる!.......まぁ生理のこと、分かった。ありがとう」

丹生谷「ほんとに?じゃあ練習しましょ」立つ
勇太「ここでー!?」
丹生谷「うぅぅぅぅ。いったーーー。いたたたたたたたた!!!!!」しゃがみ
勇太「あはははははははは!!!!!やらせやらせ!!」
丹生谷「あ、いたっ。マジでいたい!富樫君、助けて!」
勇太「あははは!ガチでやらせしてもしらけるわ!」
丹生谷「違うのよ。本当に痛いのよ......。始まった」
勇太「えっ......。うそだろ」
丹生谷「いたっ......。やばい、お腹、いたいいたいいたい!!!はぁああ!!」
勇太「な......救急車呼ぼうか?」
丹生谷「いい......」
勇太「でも......。(「薬飲ませたり、彼氏なりの気遣い、したらいいのっ。」)」
丹生谷「......」
勇太「大丈夫?薬飲んだ?」
丹生谷「だいじょばない......。頭痛い......」
勇太「(彼氏なりの気遣い......) 頭さすってあげようか?」
丹生谷「......」
勇太「(腕で丹生谷の頭を抱えるように、手で癒す)」腕ギュ 頭なでなで
丹生谷「......」
勇太「大丈夫?」なでなで
丹生谷「うん......。奥がいい」
勇太「(俺の胸に丹生谷の顔が埋もれるように深く抱いて後頭部をさする)」ダキッ なでなで
丹生谷「とがしくん......」
勇太「喋るな」なでなで
丹生谷「......」
勇太「......」なでなで なでなで なでなで なでなで
丹生谷「......」
勇太「......」なでなで
丹生谷「.......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「もういい」
勇太「ふぅ......。大丈夫?立てる?」立つ
丹生谷「大丈夫。一人で立つ」立つ
勇太「もう休む?」
丹生谷「あの......大丈夫」
勇太「治った?」
丹生谷「これ......演技だから......。嘘」
勇太「大丈夫か!よかったぁ......」
丹生谷「そ、そこまで心配しなくてもいいじゃない!」
勇太「いや、目の前で死なれた方がいやだったから」
丹生谷「.......。あのね、その......。生理は7日間前後、頭や腰に腹パンされたような痛みと、
そ......その/// 下に針でささった痛みが走るから、小鳥遊さん看病してあげてね......。
遊園地の予定変えて俺と一日室内デートしよって言うの......惚れると思う......」
勇太「うん......なんか悪かったな」
丹生谷「あ......えっと。ほら、告白したいんでしょ!さっさと戻るわよ!」


駐車場

勇太「(まずい、微妙な雰囲気になってしまった)」
丹生谷「富樫君。脇、男臭い」
勇太「ええっ!?まじ!もう!?」
丹生谷「なんつーか獣の臭い。くすすっ。
ねえねえ富樫君さっきの要領で小鳥遊さんを抱いて見せてよ!ここで実演してもいいと思う!!!」
勇太「するか///!!?」
丹生谷「そうね、もっと手っ取り早く、体を触る......」
勇太「あのさ。気にしてることあるんだけど、女の子ってどんな人に惚れやすいのか分からない」
丹生谷「私はイケメンみたいな人が好きかな~」
勇太「お前のいうイケメンってどんな人なんだ」
丹生谷「なんでよ///」
勇太「丹生谷って六花と違って一般的な解釈できるから、的確なアドバイスできると思って」
丹生谷「少女漫画チックな男の人が好きよね」
勇太「丹生谷、頼む!お前じゃないと女子の目線がまるで分からん!」
丹生谷「う~ん。私のイケメン像ね~」

「イケメンファンクラブに入ってない奴がキタガワ君と一緒になるなんて100年早いわ。恥を知りなさい!あはは!」
「北川君......」ぽとぽと......
「みなみー!」ヘリコプターブロブロ
「北川君!」
「おい俺の女に何かやったらただじゃ済まさねーからな!」シュタッ!
「北川君......!」
「泣くなよ。せっかくの美しい顔が台無しじゃねーかよっ」
「北川君......」
「みなみ......」
「北川君、かっこいい///」
「みなみ!」あはは

あはは

あはは

あは......

勇太「は?」
丹生谷「あはははははははははははは!!!!!!!!!!」
勇太「はぁ!?」
丹生谷「全然似てない!全然似てない!イケメンって言うほうが無理ある!」
勇太「いや、ヘリコプターを所持する少女漫画のほうがまず異端だろ!結局金じゃねーか!」
丹生谷「体が動くからいいんじゃない!アクションが全て見栄える!!!」
勇太「どうせ俺はイケメンじゃないよ......」
丹生谷「かわいいは、正義!」
勇太「ブサイクは、犯罪!」
丹生谷「ブサイクは、犯罪!」
勇太「ははは!」
丹生谷「ははは!」
勇太「言ってて悲しくなるよ......」
丹生谷「あら顔が無くても、性格のイケメンなら、ウケるんじゃない?」
勇太「まぁ......」
丹生谷「富樫君なら、なれるよ!」
勇太「......あ、ありがとうございます///」

丹生谷「性格のイケメンでしょ。気遣いよ。小鳥遊さんと手を繋いだことはあるの?」
勇太「あるよたくさん」
丹生谷「まぁ///」
勇太「でも、手を繋ぐまでが怖い。変な目で見られないように状況工夫しているけど、
千切られたこともしばしば。乙女心が分かんなくて」
丹生谷「うーん。性的に見られたとか?」
勇太「いや、緊張MAXでむしろ手が震えてる。
きっと話が続かなくて強引に手を引っ張るところやっちゃったからそれ覚えてるのかなって」
丹生谷「体の触れ方に問題あるのね。男の子なんだからしっかりしなさいよ!」
勇太「知ってるよ......」
丹生谷「そうね!はい!」
勇太「は?」
丹生谷「手、繋ぎなさい」
勇太「そういうのは、彼女とやりたい」
丹生谷「逃げないでよ!」
勇太「逃げてない!......恥ずかしい///」
丹生谷「はぁ/// 本番でそうする気?だからおてて震えるんでしょ!はい!」
勇太「うう......うぅ......ごめん......///」ギュッ ブルブルブルブルブルブルブルブル
丹生谷「うわっ!きしょい!」
勇太「はい!握れよ」
丹生谷「」ギュッ
勇太「」握り
丹生谷「ふふふっ....../// あったかい///」ギュッ
勇太「......///」ギュッ プルプルプル
丹生谷「あのねえ?一つ言っていい?」
勇太「なんだよ!」
丹生谷「私のこと大事にしてくれてありがとう///」
勇太「(あ......///やっちゃった!あの丹生谷と手を結んじゃった!!)」プルプル......ピタッ
丹生谷「富樫君の手、ごつごつしてかっこいいね」
勇太「......バカ!不意打するな......///」
丹生谷「にぎにぎ///」
勇太「にぎにぎ///」
丹生谷「あらっ。うまくできたじゃん!」

勇太「ありがとう!!今日は色々ためになった!」
丹生谷「次は腕ね!ぶらぶらしてるときに、自然とするのがマナー」
勇太「まだやるんかい。じゃ触るぞ......。っていってもこれデートじゃないだろ。不自然」
丹生谷「そうね。じゃ駐車場を歩いて周りながらしましょ」
勇太「いっちに いっちに」トコトコトコ
丹生谷「運動会じゃないんだから!もっと寄って!歩くの遅すぎ!はい!絡めて!」トコトコトコ
勇太「」腕ギュ
丹生谷「違うでしょ!自然に抱くの!」
勇太「ダメ出しが多い」
丹生谷「何か言った!?」
勇太「......」トコトコトコ
丹生谷「......」トコトコトコ
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......///」腕ギュ
丹生谷「おおっ///」
勇太「(恥ずかしいよ///)」
丹生谷「(これが普通なの///)」
勇太「」腕ギュ 手握ぎ 手にぎにぎにぎ♡
丹生谷「あはー♡」
勇太「喘ぐな/// 言わないだろ!」
丹生谷「富樫君のやっているつなぎ方って、恋人つなぎっていうのよ///」
勇太「......///」
丹生谷「......///」
勇太「もっと腕絡めたほうがいい? おっぱいに当たったら、怒る?」
丹生谷「殺す///」
勇太「きゃーーー///」
丹生谷「ほらー富樫君/// もっと絡めなさいよ///」ギュウウウウウ
勇太「やめて/// やめて/// 殺される///」
丹生谷「練習だもん。死刑付きの/// ほらっ。こけちゃうわよ離れすぎて///」
勇太「やめろーーーー///」

丹生谷「ふ~ん。ま、いいわね」
勇太「(胸が怖いから肩に寄り添う形だけど頭が近い)」
丹生谷「あ、富樫君、止まって」
勇太「うん///」
丹生谷「その/// 闇の炎に、なんだっけ?」
勇太「なんで!?」
丹生谷「富樫君のこと思い出しちゃったー♡」
勇太「....../// からかってんのか!......やみのほのおに抱かれてきえろ」
丹生谷「え~仕方ないなぁ。じゃあ練習ね。抱く練習」
勇太「お前狙ってやっただろ」
丹生谷「そんなに強制されたら、断ったらなにされるかわかんなーい♡」
勇太「見てくださいみなさん。猫被ってるってこういうこと言うんですよ」
丹生谷「被ってないにゃ~♡」

丹生谷「はい。抱け」
勇太「本気で!?ダメダメ!!!俺が好きなのは六花だけなんだよ!」
丹生谷「でも本番で~」
勇太「あ~その流れいいから!」
丹生谷「むぅ!」
勇太「(やばいやばいやばいやばい!!!!!!丹生谷が怒っている!!今日のこと言いふらされて殺される!!!)」
丹生谷「富樫君!はやく!」
勇太「OK!丹生谷、こい!」
丹生谷「は!?何お殿様気分なのよ!」
勇太「違うのか?」
丹生谷「男の方から抱いてくるもんだし!そして練習なのよ!!!分かる!?」
勇太「(お殿様気分なのはどっちなのか) はぁ…...。やるよ。あっ。ところでどうやって抱けばいい?」
丹生谷「ほらーーーーー!!!!ほら!」
勇太「はいはい。俺が悪うございました」
丹生谷「そうね、私は抱かれるとしたら/// ええっと/// 腰を抱かれると安心する。優しくね? 腹はNGよ!殺す!」
勇太「分かった。......するぞ」ダキッ
丹生谷「きゃっ///」
勇太「(猫被った演技は相変わらずだな......。えっと、腕を腰に回して)」
丹生谷「やだっ///」
勇太「やだってどうすんだよ/// (やばい丹生谷の顔が今までにないぐらいめっちゃ近づいている!!!)」
丹生谷「そうよ/// もっと強い方が好まれるかな///」
勇太「分かった」
丹生谷「富樫君、息......匂う///」
勇太「しかた///」
丹生谷「」くんくんくん
勇太「うわっ///」
丹生谷「うん/// 黙っとく///」
勇太「(俺だって勘違いされないから言ってないだけで、丹生谷の香水と口の匂い、好き......。
そのヘアクリップ、かわいいな......///)」
丹生谷「胸、当たらないようにしてくれてるのね/// そういうの、好き///」
勇太「....../// 別に///」
丹生谷「この配慮をデートに生かしてくれたらいいのにね///」
勇太「......///」
丹生谷「ごめんね///」
勇太「(嫌味か///) お尻触っちゃダメ?///」
丹生谷「鼻噛み千切るぞ///」
勇太「(かわいさに反して怖すぎ///)」

勇太「(とっても近くで見ると鼻筋が奇麗......外国人みたい)」触り ツー
丹生谷「きゃっ///」
勇太「鼻、奇麗だな」
丹生谷「ケアしてるからまぁ嬉しいわ。ありがと」
勇太「モデルさんみたい。丹生谷、アイドルなれるんじゃないのか?」
丹生谷「いやいやアイドルなんて自意識過剰の集団じゃない/// それに私の器じゃ無理よ」
勇太「そうか。でもなれるぞ」
丹生谷「富樫君だって」鼻 ツー
勇太「…..///」
丹生谷「何顔真っ赤にしてんのよ/// 結構私と同じぐらい高くない?///」
勇太「うん…...///」
丹生谷「....../// こういう雰囲気......好き///」
勇太「いや......///」
丹生谷「もう惚れちゃダメなんだからね///」鼻ツンッ
勇太「あ....../////////」
丹生谷「もー/// 練習続けるわよ/// この単純/// そうね、見つめる訓練、しよ///」
勇太「見つめ合うの!?」
丹生谷「この姿勢で目を合わせるの」
勇太「さすがに六花に悪いだろ」
丹生谷「恋人の練習でしょ!」
勇太「でもさすがにダメ///」
丹生谷「そう」
勇太「いや、でもいいかもしれない」
丹生谷「とがしくん?」
丹生谷の瞳をただ見続ける。無垢で潔白だった。
彼女の瞳がくりくり動く。近くで見れるため小奇麗な鼻息も良く思える。赤く染めた顔を見ると俺も蒸発していく。
丹生谷「」じっ
勇太「」じっ
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......///」
丹生谷「......///」
勇太「......///」
丹生谷「......///」キュン♡
勇太「(かわいい......///)」ドキッ
丹生谷「......///」
勇太「......///」
丹生谷「......///」
勇太「(キスしたい......///)」ドキドキドキドキ
丹生谷「......///」
勇太「......///」ドキドキドキドキ
丹生谷「......///」
勇太「......///」ん~
丹生谷「......///」
勇太「......///」ん~
丹生谷「ちょっと!///」
勇太「あっ....../// ああああ/// なんてことしてんだ俺―!」
丹生谷「キスはダメでしょ///」
勇太「....../// あ。ごめん、あれ、俺っておかしい///」
丹生谷「もう/// しっかりしなさいよ///」
勇太「うんっ (なんでこんなことやったんだろう......///)」

丹生谷「そうね、富樫君危ないから、告白の練習に戻しましょ///」
勇太「すまん///」
丹生谷「あ、前半の続き思い出したんだけど。はっきり言ってあの告白、
イケメン喋りでも普通でも、心に響くものじゃなかったのよ。普通に好きって言ったらいいわよあんた」
勇太「でも世界一かっこいい告白したい......」
丹生谷「その告白の基盤が揺らいでるから問題なんでしょ!」
勇太「なあ、俺どうすればいい?」
丹生谷「普通に、六花、好き、を大声で叫んだらいいんじゃない?」
勇太「あまあまカップルか!恥ずかしいわ///」
丹生谷「青春ってそんなもんじゃない///」
勇太「......///」
丹生谷「さ、あついんだしさっさとやりなさい」
勇太「まって......俺の本気を出す」
丹生谷「うん......」
勇太「りっかー。好きだ―」
丹生谷「声が小さい!」
勇太「りっかああああああああああああああああ!!!!好きだ!!!!!!!」
丹生谷「きゃっ!びっくりするでしょ!!!考えて!!」
勇太「りっかーーー。好きだ―」
丹生谷「棒読みじゃ心がこもってないわよ!」
勇太「りっかふうううううううううう!!!」
丹生谷「ふざけるんじゃないわよ!告白でふざける気!?」
勇太「りっがあああああああああ!!!!!!」
丹生谷「うるさい!!!ドラマチックじゃない!」
勇太「はぁ......はぁ......はぁ......」
丹生谷「どう?小鳥遊さんに熱い気持ちこもった?」
勇太「疲れた」
丹生谷「男の子でしょ。頑張りなさい!」
勇太「とにかく、恐怖心が消えたような気がする」
丹生谷「電話が鳴っても強引にキスできるみたいに?」
勇太「ああ!魔力が全身に籠った全能感を感じる!」
丹生谷「じゃ、この調子で告白できるわね」
勇太「待った!......やっぱり心配。練習させて」
丹生谷「分かったわ。.......はい」
勇太「六花のことが好きです!」
丹生谷「......分からない」
勇太「は?」
丹生谷「ねえ......と、富樫君。六花をにぶたにって言い換えてほしいなって。
告白するときのドキドキ感が、小鳥遊さんじゃ......分からないの」
勇太「それって不倫だろ」
丹生谷「分からないのよ!......分からないの......」
勇太「つまり、声の声調ならわかるけど、
その真意を六花で映すと、他人に思えて告白チックに聞こえるか分からないってこと?」
丹生谷「そうそう!」
勇太「......」
丹生谷「......だめ?///」
勇太「あとで言いふらしたりしない?お前こういうの好きだから」
丹生谷「うん......」
勇太「ダメダメな俺に色々なことを教えてくれて感謝してる」
丹生谷「いいの!?」
勇太「勘違いするなよ!好きとかそういう意味じゃないからな」
丹生谷「うん......」
勇太「にぶたにー好き......」
丹生谷「なにそれ!?ちっさ!いやがらせ?」
勇太「恥ずい///」
丹生谷「もっと頑張んなさいよ!」
勇太「丹生谷―好きだ―!」
丹生谷「もっと大きく!」
勇太「にぶたにいいいいいいいいいい!!!!大好きだ!!!!!!!」
丹生谷「あっはっは/// うふふ///」
勇太「丹生谷、好きだ!」
丹生谷「......///」
勇太「......どうした?」
丹生谷「......いいかも/// 合格」
勇太「やったーーーーー!!!ありがとな。丹生谷」
丹生谷「ううん/// 当たり前でしょ///」

丹生谷「ところで富樫君、唇の練習は///」
勇太「するかー/// 本末転倒だろ///」
丹生谷「かわいいー♡」
勇太「いくらなんでも、それやっちゃおしまいだろ」
丹生谷「じゃ、指キスする?」
勇太「キス?」
丹生谷「こう、富樫君の唇に~指を当てるの!流行っているらしいわよ!やって見せてよ!!!」
勇太「俺が!?/// 恥ずかしいって/// (それに丹生谷の唇に当てるって犯罪だろ///)」
丹生谷「いいからやりなさいよ///」
勇太「いや、恋人とやれよ///」
丹生谷「ううん......富樫君がいい」
勇太「どういう意味だよ///」
丹生谷「さあね/// じゃ、私から行くわ」
勇太「やっぱやめよう///」
丹生谷「ほ~れ人差し指だぞ~!」
勇太「キスぐらい真面目にやれ///」
丹生谷「やる気!?///」
初めてのドキドキ。丹生谷のそばに来てちょっとダンディな顔つきでかっこつけながら、
丹生谷に富樫君♡と言われた後、俺はつい恥ずかしくて目を閉じてしまった。
でも唇は対照的に勝手にふっくら尖っていく。その寝顔をくすっ♡と笑われ恥ずかしく、
丹生谷の荒い息遣いがかわいいなって思う。少し時間が立つと、
人形のような小さな指でできた冷たい人差し指が俺の唇にかかる。心臓が高まった。
恋のキューピットにイタズラされた気分。
愛のまごころがこもったような指の押し方に心がむずむずしてにやけてしまった。
このほのかな温かみから丹生谷の指の跡にキスされた感じが心から泉のように湧いてきて///
丹生谷「ひひっ/// 終わったよ///」
勇太「なんか......やばい!」
丹生谷「柔らかかったよ/// 男って感じが///」
勇太「やばい......ドキドキする......」
丹生谷「え......なんか私......ドキドキしてきた......いやーん♡」
勇太「こらやめろよ///」肩ポンッ
丹生谷「ひひっ/// なんか心ムカムカしてきたんだけど♡」
勇太「(聞いてるこっちが変な気持ちになる///)」

丹生谷「次は私からしたいの」
勇太「で、どうすればいいんだ?」
丹生谷「ちょっと。あの/// 私のこと/// 森夏って呼んで///」
勇太「(丹生谷!!!?え!!?俺のこと誘っているのか!?嘘だろ/// 
いや、演技だから演技で付き合わせようと思って。
でも夢が無いよな。いや、夢があったらそれこそ破局。心臓がドキドキするー!!!!)」ドキドキ
丹生谷「私も富樫君のことゆうたって呼ぶ♡」
勇太「(こいつの場合本当に好きかどうかわかんねえ!!!) うん。えっと///」
丹生谷「ふふっ......うん///」
勇太「森夏///」
丹生谷「きゃあ/// あの///   ゆうた///   ......なんかキャラ被りしてるみたい」
勇太「新鮮味を感じない」
丹生谷「ガーン!がっかり!」
勇太「なんでだよ///」
丹生谷「あの。私も告白の練習したいんだけど。その後でいいかな?」
勇太「ええー気になる/// お前の恋って!?」
丹生谷「えっと/// ただ私の受ける言葉を待っていればいいの。富樫君が社会人って設定で」
勇太「なにやるの?」
丹生谷「それはね、秘密。いくわよ」
勇太「うんっ」
丹生谷「ふぁああ!!おかえりなさいあなた!今日も一日ありがとう!」
丹生谷「ご飯にするー///」
丹生谷「お風呂にするー///」
丹生谷「それとも/// あ・た・プウーーーー!はははははっ!」
勇太「自爆すんなよ!俺も恥ずかしくなるだろ///!!」
丹生谷「いやーだー!恥ずかしい!!!」
勇太「恥ずかしいなら最初からするなよ!!」
丹生谷「だってやってみたかったんだもん!恋人と言えばこれでしょ!!」
勇太「だけど!!心が、かぁあとなるじゃないかどうしてくれるんだよ!」
丹生谷「いいじゃない。仮でも彼氏なんだしー!」
勇太「だ・め・だ・ぞ!つんっ」
丹生谷「やだぁ!ふふっ♡」

勇太「次......」
丹生谷「あ、指キス」
勇太「今度は森夏にか。人差し指でいいか。こう」
丹生谷「もっと奥に、できれば唇の近くに。そうそう」
勇太「え、間近すぎないか。は......恥ずかしいんだからな。もう今回だけだぞ」
丹生谷「うん......。目を瞑って」
勇太「......」
丹生谷「んーーー///」
勇太「......///」
丹生谷「チュッ♡」
丹生谷の醸し出す香からすぐに近づいてくる距離が分かった。
猫のように温かい体温が俺の鼓動をドキドキさせる。
鼻と鼻がぶつかり合うほど近い中で、俺の乾燥した人差し指の肉球が、
温かくねっとりとした一度付いたらへばりつく丹生谷の唇に吸い込まれる。
遊びでも罪悪感がすごくて怖くて目を瞑っていたが実際に間接でもキスすると、
キスしたって第一印象で頭の情報が空白に飛ぶ。心臓が一瞬小さく固まる。これが女の感触か。
俺の指キスに押されそうになり彼女の唇の中へと本気で触れてきそうな威圧を感じたのか柔らかい唇を固くされ押し返される。
だがそれゆえに肉に埋もれてしまった。
もう二度とない一瞬が永遠に感じられたその愛で埋まった唇から俺の指を離すと、彼女は唇マークのとがらせをやめる。
そして俺の人差し指を唇の唾液に湿らせて。
丹生谷に一度チュッと簡易投げキッスされた後、俺から後ずさってはちゃめちゃ笑顔になった。
丹生谷「へへっ」
勇太「あったかい。いい......!」
丹生谷「いいでしょ。なんかドキドキしない!?」
勇太「ドキドキが止まんない!なにか後ろめいたことやるっていい気分になるな!これが恋なのか!」
丹生谷「そうなのよ!犯罪なのよ恋愛は!これがいいのよね!私もドキドキしちゃった!」
勇太「へえー!これが......!体が変になってる!ごめん恋しちゃったかもしれない!」
丹生谷「きゃー!ダメじゃない!もう恋しちゃダメなんだからね!そんなゆうたにはラブラブに抱いて絞めちゃうぞ」
勇太「......されてもいいかもしれない!!」
丹生谷「もうゆうたのエッチなんだから!もう遊んであげないぞー!」
俺の湿った人差し指は空気の張りつめて冷たくなり、血の中に侵食していく気を味わう。
でもこれよくて気持ち悪くて、舐めたら俺になるから。
勇太「」ペロッ
丹生谷「えっ......」
勇太「リップの味がした......」
丹生谷「きゃあああああ!!何やってんの!」
丹生谷は片手で俺の人差し指を手で巻くように握り、片手で一瞬俺の唇を押さえつけようとその近くまで押さえた。
すりすりと俺の指先を彼女の温かみのある汗のつく手でこすり拭きとろうと必死だ。なんか指で抱かれてるみたい!
丹生谷「ダメじゃない!それは......結婚してからの、お楽しみで。半場犯罪!」
勇太「なんか森夏のこと素直に見られない......///」
丹生谷「なによそれっもう。勝手に惚れないで///ダメよダメ!」
勇太「お前がやったんだろ///」
丹生谷「もうゆうたのエッチ///」
勇太「森夏も///」
丹生谷「ねえ......私、ゆうたの赤ちゃん産みたい......」
勇太「はっ......?」
丹生谷「うっそー♡」
勇太「......。黒歴史建築士一級の俺が命じる。忘れろ」
丹生谷「なんで♡」
勇太「後々後悔する」
丹生谷「ダークフレイムマスターの過去に苦しむゆうたのほうがよっぽど後悔してるー♡」
勇太「そうじゃないだろ!」
丹生谷「ふふふっ」
勇太「ははっ」
丹生谷「......。えっとね。変、私の顔?」
勇太「俺もというか、幸せすぎて俺もおかしくなりそう!これ癖になる......!」
丹生谷「やだぁ~!またしろってことなの!チューは終わり!今日はこれでおしまい!」
勇太「違うー!変態さんじゃない~!紳士でありたい」
丹生谷「ふふっ。でも罰として~今日は特別でもいいんだけどね♪」
勇太「しないって!やったら人生ヤバイから///」
丹生谷「ふうんむっつりさんだぁ。いつか化けの皮はがしてやろうかしら♪」
勇太「ダメだってわかってるくせに///あ~あ森夏がそういうやつだとは思わなかった、もっと清楚だと思ってた」
丹生谷「ゆうたも性に強欲だとは知らなかったし。私の中のイメージガタ落ちだな~」
勇太「でもそんな森夏に支配されたいし守りたい。へへっ真正面から言うと照れる///」
丹生谷「もう、やだ~/// ふふふっ」腕トントンッ
勇太「ふふふっ」腕トントンッ

勇太「さあ帰ろうか」腕ギュ
丹生谷「やっとコンクリートジャングルから出られるんだー。暑い」腕ギュ
勇太「何話す?歩いても退屈だろうし」
丹生谷「そうね!富樫君の恋バナが聞きたい!」
勇太「森夏......」
丹生谷「やめて!丹生谷でしょ!馴れ馴れしいわよ。もう終わったでしょ!」
勇太「切り替えはや!」
丹生谷「部活のみんなで好きな子いる?」
勇太「いるわけないだろ!仮にいるって言って今ここで告白するかよ!」
丹生谷「ほんとう?」
勇太「......。六花一筋だ」
丹生谷「やだぁ。プププ」
勇太「やめろ!!地味に悶え死ぬからな!終わり!!」
丹生谷「でも、どうせ嘘なんでしょ。俺には六花がいるんだー!とか言っちゃって、
裏で呼んで抱いてはあんなことやこんなことを!」
勇太「してないわ!絶対してない!神に誓ってない!」
丹生谷「あ~、怪しいわ~。こりゃ調べないといけないわ~ねえ浮気男さん?はははっ!」
勇太「丹生谷、あの、いくら俺が怖くないからって、挑発するのはやめたほうがいい。癖になるぞ」
丹生谷「あんただからやってんじゃん。何バカなこと言ってんの?」ニヤッ
勇太「ムッカ!」
丹生谷「何質問してもいいの?」
勇太「どうぞどうぞ!赤っ恥かかせてやるぞ!」
丹生谷「私にはさ、わかんないから教えてほしいんだけど、小鳥遊さんのどこがいいの?」
勇太「えっそっち!?それ聞く?ん~。なんていうかな~。ほっとけない」
丹生谷「ほっとけない?」
勇太「うん。いっつも自覚ないのか中二病で俺の殺したい黒歴史を勝手に遊んでくるわ、
謎の言葉で言って意味わかんないし、
過去の俺思い出して心がキュってなるし周り困らすし数学で追試数回受けるバカだし、
ドジな面も関わるの面倒だし毎回事件起こすし。
なにか俺に苦情くるたびにあいつのせいなんだよないっつも。
でもな、あいつだけ特別なんだ。なんていうかこう今を真っすぐ見ている。
真剣に遊んで真剣に笑って。我先に組織と戦っては勝利して俺にニコッて笑ってきて、
ただのままごとなのに凸守と死闘の覚悟を決めたり。
俺が悲しいときも何も言わないでただじっと側にいたり、
困ったら私でもいい?って不安顔で言ってくるし。
俺がいないとあいつどうしてるか不安で夜も眠れなくなるんだよ。
でもな、あいつの心理状況を見ると、懐かしいものを感じるんだ。
心と心が共鳴し合うというか、俺もこうだったらいいなってー」

丹生谷は頬を赤らめて指先を口に抑え、俺の愛の理由に心が響いているようだ。
丹生谷「ん~!」
勇太「やめろ!やめろ!!そんな顔すんな!」
丹生谷「愛が長い(笑)」
勇太「悪かったな!」
丹生谷「へえー。富樫君そんな人だったんだ。あの富樫君が~そうだったんだ~」
勇太「あ~!言わなきゃよかった!」
丹生谷「はははっ!いやいや悪くないって!」
勇太「くっそ!恥ずかしい!」
丹生谷「悪くないわよ。富樫君の思う気持ちキュンときちゃった。
あ~大事にされてるな~って思って。いつか結婚できるんじゃない?」
勇太「あ、ありがとう」
な、なんだよ。急に優しくされるの嫌なんだよ。今まで敵だったくせに。
俺は照れくさくて顔を意図せず反らしている。
丹生谷「そうなんだ~。ほんとに小鳥遊さん好きなんだ」
勇太「だから、ごめんな、期待へし折っちゃって」
丹生谷「じゃあ私のことどう思ってるの?」
勇太「は?」
丹生谷「私はどう?」
勇太「えっ?かわいいってこと?OK?」
丹生谷「うん」
勇太「本人の前で言えるか///」
丹生谷「......」
勇太「けほけほっ/// え~と、好き」
丹生谷「えええええええええ!!!!!富樫君!!!富樫君!!!」
勇太「ちゃう!ちゃう!大きい声を出すな!!!」
丹生谷「だってだって!好きだって!」

勇太「違うんだ、友達として好き」
丹生谷「まぁそうよね。あんたに乗るの楽しい!」
勇太「丹生谷って、結構頼れるところあるからさ。面倒見がクラスで一番いい」
丹生谷「え~/// あんがと///」
勇太「あ、聞きたいことあるんだけど、丹生谷、好きなタイプあるの?」
丹生谷「う~ん。このこと内緒にしてくれない?」
勇太「分かった」
丹生谷「そうね~。ないって言ったら正しいのか~。優しい人?」
勇太「ふ~ん」
丹生谷「あと、守ってくれる人。......もっといそうだけど、そんな人かな///」
勇太「イケメンとか金とか、拘らないんだ~」
丹生谷「あ、忘れてた!あ~そうそう!!イケメンいいわよね~!
イケメンでしょ!筋肉!金持ってる!果ては夢の専業主婦!!!あ~~~抱かれたいわ~!!!」
勇太「夢が無い......」
丹生谷「特にイケメン!透き通る鼻筋!ぱっちりとしたお目目!
一見かっこいいけど、近くで見たらかわいい系男子、私大好物なの♡」
勇太「ジャニーズみたいな?」
丹生谷「そうそう!!!TVでね、KAT-TUNとか関ジャニ∞にいる男子が喋っている口を見るとドキッとくるー!!!」
勇太「はぁ......そうかよ」
丹生谷「なによそれ!」
勇太「丹生谷も所詮人間なんだなって」
丹生谷「イケメンが目の前にいるから好きになるのよ。富樫君だって美人好きでしょ」
勇太「はぁ!?俺はな!顔で女を選ぶなんて最低だと思うぞ!心だろ!」
丹生谷「架空ぐらい夢抱いちゃいけないわけ?じゃあ、クラスで地味な例の○○ちゃんと話しかけて見てよ」
勇太「えぇ......やだろ......」
丹生谷「ほらほら~~~ブスに価値ないでしょ」
勇太「すまん......認めるわ」
丹生谷「憧れてるの!イケメンな彼氏と偶然出会ったのち恋に落ちるそんなドラマみたいな恋愛してみたいわぁ♡」
勇太「そんなこと言ってたら一生ないんじゃないか?」
丹生谷「あんたはいいわよね!小鳥遊さんに夜景の綺麗な橋の下で告白したんじゃない!俺は六花が好きだ―!!!」
勇太「思い出させんな///」
丹生谷「私ね、東京ラブストーリーみたいなドラマチックなデートしたいー!」
勇太「もういいからこの話題やめよう」
丹生谷「あのね!主人公の同級生の男性が、
主人公の片思いしていた女性に突然のキスをするシーンを偶然目撃したショックでその場で佇んでいて。
だけど、主人公の横にいたヒロインが笑って彼を連れまわし、
心で泣いている愚痴の声を聞いても絶えない笑顔を見せてくれるの!!
彼女の顔で明るくなった彼は、夜空の綺麗な場所で、昔の同級生の時代を打ち明けていくのよ!!
帰り道の東京タワーの道のほとりで寂しさを嚙み締める二人の甘い雰囲気がもう最高で!!!」
勇太「だから知らんし!」
丹生谷「別れ際去っていくときにヒロインの「かんちー!」「かんちー!」って声がきゃーーー♡♡♡♡♡♡」
勇太「(黙れ!死ね!)」
丹生谷「そういう恋愛してみない?」
勇太「いや、もう俺は終わったから。六花で結構です」
丹生谷「いいじゃない!楽しい!」

勇太「丹生谷。あの。俺、イケメンかな」
丹生谷「え!!!?ええ......ええ、言いにくいよう///」
勇太「いや。言えよ。ブサイクなんだろ」
丹生谷「う~ん、部屋に誘われても、悪くない顔かな/// って。私何言ってるんだろう///」

なにこれ!?普段なら俺のこと人情無視して犬とかヒト扱いしているし、
ゴミって言ってくるんだと思ってたけど、なんか照れてるし!?イケメンのこと否定しないし!?
え、マジで。なんか俺顔赤くなってる!?まさかあいつ、俺のことを......

もしかしてだけど

もしかしてだけど......

もしかしてだけど

もしかしてだけど......

これって
にぶたにしんかが
ひそかに
おれに

惚れてるんじゃないのーーーー!!!!!!!!!!!!!!
惚れてるんじゃないのーーーー!!!!!!!!!!!!!!


丹生谷「ないわ」
勇太「ですよね......」
丹生谷「でも、顔は良いわよ。ジャニーズに入れるぐらいはかっこいい」
勇太「えっ......///」
丹生谷「小鳥遊さんも面食いで付き合いに来たんじゃないの!?」
勇太「俺、そんなに顔いいか///」
丹生谷「でも惜しいのが~優柔不断なところ、あと臆病な所、ゴミね」
勇太「うっ......」
丹生谷「あ。ねえ、そういう富樫君こそ好きな女性のタイプってなに?」
勇太「ええ~なんだよ/// 言いづらい///」
丹生谷「気になるから言っちゃいなさいよ!」
勇太「まず背が高い人、甘えさせてくれる人。あと......胸の大きい人」
丹生谷「うん?」
勇太「以上。恥ずかしい///」
丹生谷「え!!!?は!?ちょっと待って!あんた小鳥遊さん好きよね!?なんも入ってない!!」
勇太「本当は最初は丹生谷が好きだった......///」
丹生谷「はぁああああああああ!?」
勇太「てのが最初。六花と出会ってから違くなった」
丹生谷「ああ、そう。でも、好きなタイプじゃないじゃん?」
勇太「......六花の、心にさ、惹かれたんだよ!悪いかよ!?」
丹生谷「ひゅーひゅー。ひゅーひゅー」
勇太「はいはい黙れ/// でも六花の肉体にないことはないな......でも言いにくいことだし」

丹生谷「なになに教えて!?」
勇太「丹生谷にドン引きされるから嫌だ......」
丹生谷「え~!!教えてよ~!」
勇太「うぅ......」
丹生谷「なに恥ずかしがり屋の少年のマネしてるのよ!」
勇太「誰にも言わない?殺さない?」
丹生谷「うん言わないから。富樫君のこと一番分かってるの私じゃないの」
勇太「少々エロい。社会的に殺される」
丹生谷「いいわよ/// なーに?照れてんの///」
勇太「当たり前だっつの。俺の気持ちを考えろ!」
丹生谷「大丈夫よ。私達、仲いいじゃない?ね?」
勇太「ありがとな」
丹生谷「ふふっ」
勇太「......うん。じゃ、耳を貸して」
丹生谷「うん」
勇太「......///」
丹生谷「......///」
勇太「......///」ひそひそ
丹生谷「......///」







勇太「妊娠したらおっぱいが大きくなるから」ひそひそひそひそ


丹生谷「ぎゃあああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
勇太「ああああああ!!!!!!!!」
丹生谷「やあああああああああああ!!!!」バシッ
勇太「いたい!!!」
丹生谷「きゃああああああああああああああ!!!」バシッバシッ
勇太「いたい!いたい!いたい!うそ!うそ!」
丹生谷「きゃあああああああああああ!!!!!」バシッバシッ
勇太「いたっ......いたい......」
丹生谷「あああああ!!!!!!!!」バシッ
勇太「       」
丹生谷「あああ!!」バシッバシッ
勇太「   」
丹生谷「あぁ......!」バシッバシッバシッ
勇太「 」
丹生谷「はぁ......はぁ......はぁ......」
勇太「」

丹生谷「こっち見ないで!」
勇太「この凶暴女―!」
丹生谷「見ないで!見ないで!寒気走った!!!!」
勇太「信じてたのに!」
丹生谷「信用にも限度あるわよバカ!!!」
勇太「俺だって、顔がかわいくて、おっぱいがボインで、腰がむっちむちで、尻が大きい女性が好きだよ!」
丹生谷「開き直った......!もうアレね。あんたに色気づいてた私がばかだったわ。富樫君、日ごろそういう目で見てたの?」
勇太「......」
丹生谷「うわぁ......。最低っ!」
勇太「男だって常日頃から女のことしか考えられないんだよ!」
丹生谷「あんたなんかね~死んじゃえばいいのに!」ゲシッゲシッ
勇太「いたいっ。いたいっ!」
丹生谷「あ、富樫君、お口開けて」ガシッ グイッ
勇太「」パクパクパクパクパクパクパク
丹生谷「カァア......ペッ!」
勇太「んんんー/////////!!!!(お口に変なの入った///!!!)」
丹生谷「ああっ。きもち」
勇太「けほっ。けほっけほっ」
丹生谷「こっち見ないでくれる?へ ん た い」ゲシッゲシッ
勇太「(怖いよー!!!)」ニヤニヤニヤ
丹生谷「うわっ。喜んでる、きもー」
勇太「違うって!」
丹生谷「あんた生きてる価値ないんじゃない?」
勇太「はぁ......。はぁ......。はぁ......。」ゾクゾクゾクゾク
丹生谷「はぁ......。そんなに好きなら、じゃあくみん先輩と付き合えば?」
勇太「性格が、ちょっと......」
丹生谷「あははっ!」
勇太「はははっ!」
丹生谷「......。見るな!キモい!!!変態!変態!けだもの!強姦!強姦おじさん!!!」
勇太「うるっせーな......。だからな!最初......丹生谷のスタイルに、惹かれた」
丹生谷「ひいいいいいいいいい!!!!きもーーーーい!!!」
勇太「(よしっ!この勝負勝った!)」

丹生谷「」じー...... 胸サッ
勇太「」じー......
丹生谷「」胸サッ
勇太「え、と。あのさ話変わるけどさ、どうして女の人って金髪でバイクに乗っている人に惹かれるんだ?」
丹生谷「きしょ......」
勇太「......」
丹生谷「おっぱい見るな。スカート見るな。貴方一体何を考えているの!?」
勇太「えっと」
丹生谷「顔見るな!きゃー!!!!」
勇太「じゃどこ見て話せばいいんだよ!?」
丹生谷「きゃーーーーー!!!犯されるー!!!!!!!!!」
勇太「やめろ!誤解されたらどうすんだ///」
丹生谷「ねえ、さっきまで何の話してたっけ?」
勇太「小鳥遊さんのほかに好きな人がいるかって話」
丹生谷「あ!そうそう!」
勇太「(なにか嫌な予感)」

丹生谷「ん~。くみんかわいい?」
勇太「うん」
丹生谷「えー!かわいいって言ったあ!!!」
勇太「違う!違う!顔が好みなだけで性格がダメ」
丹生谷「まさか富樫君!えっ!」
勇太「いやいや違うって!無口であまり関わらないけど好き。
だけど顔は好きってだけで、あとスタイルもいいし俺のハートにドストライクだし、
あと母性溢れる感じ?がいいってそれだけ。失敗したときも笑って許してくれそうで......あれ?思ったより好きだ」
丹生谷「あー。あー!あー!」
勇太「違う!違う!やめろ!落ち着け!」
丹生谷「顔もいい。体もいい。性格もよほど悪くはない......はは~ん富樫君、ちょっと私とかつ丼食べに行こうか」
勇太「そうじゃないっての!!六花が本当に好きだ!本当に好きだから。愛してるんだ!その領域まで行ってないの!」
丹生谷「どうだかねえ、分からないよ~大切な妻を差し置いてこんなに長所あげるのなかなかないと思うんだけどな~」
勇太「うん!わかった!わかったから!く・み・んはブス!」
丹生谷「あははは!ははははははは、
ちょっと待って、あっははははは!おかしい!おかしい!お腹が痛い!あははっはっは!やめてよ!はぁ、はぁ。......ぷっ」
うっ......屈辱。ごめんよ、くみん。
丹生谷「うんうん分かった。真っ白だね。ありがとう富樫君」
勇太「ありがとう。でもこのこと話すなよ。それだけでいいから、すごく感謝してる」
丹生谷「え~気分次第でぽろっと言っちゃうかも。うっかり」
勇太「だからやめろって言ってるだろ!」
丹生谷「じゃあ~。あ!あのね、この件はみんな内緒にしてほしいんだけどね。ここだけの話、あいつ嫌いなのよ」
勇太「えっ?」
丹生谷「ただ寝てるならいいんだけどね、起きると皆くみんに構うじゃないわいわい。
なんでただ寝てるってだけなのにあんなにちやほやされるか分かんないの。
バカでサルな男はともかく全員集まるなんて。別に運動部で頑張ってるわけじゃないのにさあ。
おまけにあいつのスタイル見てよ。ムカつくでしょ。
日ごろただぼーっと寝てるだけなのに意味わかんないどうやったらあんなにスタイルもいいの?
私も学級委員長なりかけしたし努力してるのに不公平!私みたいだったら地位も友達もみんな取られてたほんっと怖いの」
勇太「同族嫌悪ってやつ?」
丹生谷「そうそうそう!!!それ!!私みたいに運動家だったら即潰してたわ~」
勇太「そんなのひどいじゃないか!!」
丹生谷「分かってないな~。私の居場所がなくなるのよ!かわいそうだとは思わないの!!」
勇太「絶対ない!金輪際ない!!いくら何でもそのセリフを喋っちゃいけなかった!お前の好感度......だだ下がり」
丹生谷「はぁ!?」
勇太「死ね」
丹生谷「かわいそうじゃない!!」
勇太「かわいそうじゃない!!」
丹生谷「かわいそうじゃない!!」
勇太「かわいそうじゃない!!そんなに元気なら他でもやっていけるだろ!」
丹生谷「うっさい!」
勇太「お前はそんなか弱い女の子だったのか?」
丹生谷「えっ?」
勇太「可愛い。反論されるとすぐ赤くなる。
丹生谷ってそういう弱さ見せる可愛い一面あったんだな~おどろきだー。さっきのお返し」
丹生谷「ひゃっ///」
だんだん丹生谷の顔が肌色からトマトみたいに蒸発した。
丹生谷「もうバカ!!」
肉づいた柔らかい手でパシッと頬をはたいた音が、空高くこだました。

丹生谷「ねえ」
勇太「......」
丹生谷「アレは?」
勇太「凸守を人間扱いしろ!!」
丹生谷「これはねえ、回答違ったら二重の意味で私を敵に回すことになるよ」
勇太「やめろよそんなん。屈しないし。凸守に興味ないはなっから」
丹生谷「え、もしかして私に気を遣ってる?」
勇太「ほんとに興味ない!!!かわいいってだけこれっぽちも欲情湧かない!!!」
丹生谷「ふ~ん」
勇太「かわいいけど湧かない!!!以上!!次!」
丹生谷「よかった。富樫君の口からYesのYでも言えば私の腹の虫を起こしたって意味で人生がアウト。
よかったね~私が制御できるときで。腹パンされたら絶対服従するって私史に有名だもん。
動かなくなるまであんなところやこんなところを、心も体も、思いっっきりいたぶろうかしらって思ってたんだけど。
ロリコンの意味でもアウト。小鳥遊さんとバイバイ案件ね。
部屋の片隅で一人泣く富樫君かわいいと思ったんだけどな~残念」
勇太「六花に比べれば欲情これっぽちもない!威張り腐ってるな!」
丹生谷「いやそんなにきっぱり言い切ることないじゃない!
ねえ、富樫君は知らないかもしれないけど、あの子結構子供な面もあるのよ。
うっとおしいしうざいのは確かだけど、
友達と話してるときにミョルニルハンマー無視したらあいつ裏でガチ泣きでその場に座り込んだことあるのよ」
勇太「それは見なかったな。初めて」
丹生谷「いいでしょ。かわいいでしょ」
勇太「うん。確かにかわいい......」
丹生谷「ハッ」ニヤッ
勇太「こっち見るな/// 六花だけなんだよ六花」
丹生谷「じゃあこの子もなしね。次は......」
勇太「うん」

丹生谷「次は............七宮ちゃんね。好き?」
勇太「うん、中学時代は」
丹生谷「小鳥遊さん一筋なんだねえ~......はぁ!?」
勇太「神社の件あっただろ。その時から粒々思い返したんだよ。よくよく考えれば七宮......」
丹生谷「浮気―!!!ひょっとして!」
勇太「今は付き合ってない。今はない。交流も友達程度。でも......」
丹生谷「でも......なになに!!?別れるの!!?好きになった!?」
勇太「あのとき。中学時代で、フラグ立ってたんじゃないかと思うときがあったかもな。
強引に手を握られて魔王を呼び起こそうとされたとき、ちょっとときめいたって思い出した......。
それと本人はあくまで偉大なる技の練習だよといってたけど、七宮の唇で口つけたジュース缶を飲むことになって。
実際に魔力の発動状態を見たいと願う七宮のキラキラした瞳に心がバクバクしながら」
丹生谷「へえ~」
勇太「これが初めての味......って」
丹生谷「やだあ!もう付き合っちゃえば!」
勇太「違うんだよ!違うんだよ!六花と出会わなかったら違ったのかもな」
丹生谷「悲しいわね......あの子」
勇太「疎遠は悪いよな。悪って言ったら正しいのか。あんなことになって」
丹生谷「それでも小鳥遊さんを、世界中の、誰よりも、愛してるのよね♪」
勇太「うん......///」
丹生谷「やっだーーーーー/// ガチうらやま!ねえねえ、小鳥遊さんとはどれぐらい仲がいいの?」
勇太「えっ?いやだから普通だよ」
丹生谷「だからあれよあれ」
勇太「えっ?」
丹生谷「例のほうの」
勇太「......。話さない」
丹生谷「少しだけならいいじゃない?」
勇太「......」
丹生谷「富樫君、ここまで付き合ってるんだし教えてもいいじゃない。ねえ~」
勇太「......。絶対」
丹生谷「えっ?ちょっとってどれぐらい?聞きたい聞きたい!」
勇太「......」
丹生谷「え~~聞きたい~~~!」

第3話「魔女との出会い」

イチャコラ話もそこまで遠くない距離だったのでもう駅近くの街についてしまった。
丹生谷「この辺お店多いわね」
勇太「ああ確かにな」
見渡すとここを象徴する不気味なオブジェのほかに、
人通りの中からファッションの服屋や肉まんを売る小さな店もとうに明かりがついて店員もちらちら見えて、
レストランに人が半席以上埋まっていたり旅行代理店にもそうで、
気が付いたら来店客が溢れるほど目に見えるすべての店は本格的に開いていた。
11時超えたのか?そういう時間帯なんだって感心する。
勇太「ふ~ん」
丹生谷「ねえ、あのラーメン屋さんの看板のマーク可愛いよね」
勇太「ユーモアがいいって意味ではいいんじゃない?」
丹生谷「誰が作ったんでしょうね、あれ?」
勇太「さあ、工場系の部門じゃないか?」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「へえあんなところにケーキ屋さんあるんだ」
勇太「チョコレートケーキ売っているな。丹生谷好きか?」
丹生谷「ううん。違うわよ。でもとってもおいしそうよね。可愛く飾られてて」
勇太「でもさ、ああいうところって有名じゃないしおいしくない割にはぼったくりだよね」
丹生谷「う、うん。そうよね」
勇太「ほら。あの店だって、高い割には量少なそう」
丹生谷「......」
勇太「それに」
丹生谷「あの、富樫君。お腹空いてない?」
勇太「ううん、全然。今はまだ大丈夫」
丹生谷「そうなの......」
しばらく無言の時間が流れる。丹生谷は話す言葉がなくなったのか黙っている。
だけどこの静かな空間で、喋らなくてもいいって制約からの解放した肩も上げられるような環境が好きだ。
二人で平行して歩くけどこうしているもいいなって思える。

ん、変だぞ。丹生谷の様子がおかしい。なんだろう。さっきのほわほわした優しい笑顔の雰囲気が消滅して、
何やら下を向いて頭が曇った感じがするのだが。
それも少しだけ、いや結構不機嫌なオーラになってないか!?下を見ると拳が震えてるし!
まずいよこれ!確実に怒ってる!!!!!俺何かした!?もしや自分の身が帰れなくなるかもしれない。
でもだからって「何か怒らせることいたしましたか?」って言うと殴られるよな絶対。
まーた俺何か言っちゃいけないこと言ったの!!?でも悪い気はしないよな。
ええと、さっき何話したっけ......?町の光景あって、ラーメンして、俺にご飯のこと聞いて。あっ......。
勇太「丹生谷、もしかして......お腹空いてる?」
その言葉を聞いて丹生谷の顔がパアァと明るくなってめちゃくちゃ元気になった。
丹生谷「うんうん!!!!!!!!すごいじゃないやるじゃない!!!!!!!!
富樫君!!!!!!!!!!!すっごーい!!!!!!!!!!!」
両手を握られてぶんぶん上下に振り回されてる握手状態だ。
勇太「あれ?う、うん。ありがとう。いたいっ!いたい!」
丹生谷「すごいじゃない!!!!えっ!!何で分かったの!!?」
勇太「それは、丹生谷がお腹空いたって聞いて来たからてっきり......」
丹生谷「やるじゃない~富樫君!!!!」
勇太「いや~当たり前のことをやったまでだよ~」
丹生谷「すごーい!頭出して頭!」
勇太「ええ、恥ずかしいよ///。それになんだか幼稚園児扱いされて腹立つ」
丹生谷「はい!頭!」
勇太「んっ」
丹生谷「よしよしよしよし!!!ワンワン成長しているわねよしよーし!!!偉い偉い!」
勇太「きゃははっ!!や!!くすぐったいよ!きゃきゃ!」ワシャワシャワシャ!!!
丹生谷「よしよしよしここがいいのよね~!よしよし」
勇太「やはははっ!!」
丹生谷「あーここね。一番!!!」
勇太「やー!はははっ」
こんなことしてくれるって丹生谷ってすっごい良い奴だったんだな。
俺のこと気遣ってくれるし、俺に特別だし。すごくいい人だったんだ!
勇太「はぁ......」
丹生谷「ふう......はい。これでよし」
ポンっと頭を叩いた丹生谷の笑う顔が眩しい。
勇太「俺、偉い?」
丹生谷「うん!こんな彼氏なかなかいないわよ~!
察してくれる男の子って女子からモテモテなのよすごいじゃない!よくモテるって言われない?」
勇太「ありがとう!」
嬉しい。ガチで嬉しい!褒められた、褒められたぞ~~!!!!
今体が天に昇っているよ!今まで生きててよかった~!神様仏様ありがとう!!一生恩にきる!!!!!
勇太「あの。すまんごめんな!!空腹だなんて、今まで気づかなくて。ははっ......」
丹生谷「 あ? 気づくの遅すぎ。もっと早く気づきなさいよねぇ......!」
あれ、さっきの笑顔.......。
勇太「あの......食事はどこに.......したいですか?」
丹生谷「は?考えてないの?」
えっ......。
勇太「え~と、ですね」
どこだ。どこだ。見当たらない。誰だよ!丹生谷を天使って言ったやつ!あんな奴全然違う絞め殺してやる!

勇太「あ、あそこのラーメン屋ってどうだ?小規模で空いてるぞ!ほら安いし!」
丹生谷「は? やだ~。化粧落ちるんだけど~。
まさか知らないの?ああ知らないわよね!ごめんね!それに何あのきったない店!」
勇太「そ、そうだよな!!あんなの滅びるべきだよな!ごめんごめん。発声練習でつい」
丹生谷「にんにくの入った料理をデートに誘うとかほんとデリカシーないわよね。
喋ったら口からにんにくのイメージがぷ~んって飛ぶのよ。ぷ~んって」
勇太「そ、そうだよなあ!!すまん寝ぼけてた!!!」
勇太「あ、あそこなんてどうですか!魚屋さん!おいしそう~!」
丹生谷「私今そんな気分じゃないんだけど~」
勇太「あ、実は俺もそう思ってたんだよ~!気が合うよなははっ!」
勇太「あそこにおいしそうなハンバーグが!」
丹生谷「あ、そうそう!」
勇太「はい!!!」
丹生谷「煙付くのが最高に嫌なのね。おニューの服着られなくなっちゃう」
勇太「はい......」
どれならいいんだよ!
勇太「じゃあえっと、焼肉屋さん!」
丹生谷「バカにしてるの?」
えっ......。ジューシな感じで国民誰もがうまいって言いそうなのになんで?
食うとしてもスタイルいいしデブじゃないと思うんだけど。なんで丹生谷は、にぶ......!
勇太「あっ、丹生谷(にぶたに)ってだけに、ぶたって言われるの嫌なのか? あっ! ははははっ!!!」
やばい。体の生理的な動きに耐えられず思わず吹き出してしまった。
いけないと思ったのはその後のことだ。ああ......やっちゃった......。
丹生谷は生きる気の死んだ殺気を醸しながら冷たく俺の方をじっと向いている。アワワワワワワ!!!!
丹生谷「帰る!」
勇太「やめてやめて!もっといいのあるぞ!おごるからー!やめてください!金輪際の全てをおごりますから!」
丹生谷「私今傷ついたの!とっても泣きそうな気分なの!!
......あ......わかったぁ.......。そんなので私を癒すつもりなんだ?きもーい、さいってー......」
勇太「ごめんごめんごめんごめん!!本当にごめんなさい!もうしませんから!」
丹生谷「はぁ......。で、アイデアなし?」
さすがに名前をバカにするってやっちゃいけなかった。ガチで反省しよう。すまない。痛恨のミス。
丹生谷「あっ。ねえ、あそこにパスタ店あるじゃない~!?行ってみない?行こ行こ!」
なんで何で急に元気になるんだよ!拍子が狂い丹生谷の思考回路に追いつかない。
刹那の間バグって答えないでいると丹生谷の顔つきがまた静かに暗くなってきた。
勇太「うん行く行く!」
かくして俺たちはイタリアンレストランに行くことになった。丹生谷と手を繋ぐ。深く熱く。
さっきの嵐はどうやら晴れてきたようだ。俺にも安堵の環境が訪れる。ふう。
丹生谷「ねえ~富樫君!ひとつ言いたいことがあるんだけど」
勇太「なに?」
丹生谷「あのね!あのね!すごく言いたいの!」
勇太「うん!!」
丹生谷「デートのお約束条項その3 察し悪い」
勇太「.......。ごめん......。夕方までに治す」
丹生谷「もうしなくて十分よ。あんたなんかに、ぜ~~~ったい、無理だから!私が保障してあげる!
離婚する原因にもなるのにドハマりしてるし、もう救いようがないわよ」
勇太「ごめん必ず丹生谷を見返すほど成長するから!夕方までにさ!やってもらえば絶対!」
丹生谷「無理無理。諦めなさい。地に落ちて」
勇太「う~ん性格だからな~やっぱ無理か、がっかり」
丹生谷「でもそこもいいじゃないって思うのよね。なんというか。ふふっ」
勇太「えっ?どこが?」
丹生谷「......」
勇太「どこが?どこが!!?」
丹生谷「教えてほしい?」
勇太「ほしい!ほしい!」
丹生谷「ふふっ。それは......な・い・しょ!」
勇太「教えてくれよ~!」

手を握った俺たちはつなぎ手を揺らし歩幅を合わせて少しだけ歩いて目的の場に向かう。
このイタリアンレストラン。外観のイタリア国旗ですぐに分かる。俺たちは目の前に立った。
スパゲッティやピザを代表するイタリアの国旗が入口横の壁を起点に斜め立てされている。
店の全身の内、下を茶と黒のレンガを基調に、上を清潔の白を基調に、俗店から離れた存在であることを示している。
そして俺達を照らす入口ドアの近くに1つ埋められ、
夜の高級ホテルのようなオレンジ色の小さな照明が貴族感を照らしている。
そして小さな俺の半身ぐらいの黒板が3枚立てられている。
イタリア語の内容で羅列された言葉の分からないメニューとチョークのパスタ絵と、
その他説明項カップル云々とあるが情報過多で耳に入らず、異文化の、それも高度な店であることを彷彿とさせる。
ドラマで知っている本物の彼氏彼女みたいじゃん!こんな場所行ってないー!
俺には突入する友達が、彼女がいる!しかもこの彼女は六花というポンコツオブポンコツと違い、
一般人の常識という名の知識を持っている。
何かへますれば普通は他の来店客に睨まれるまで気づかないんだが、その恥を難なくクリアできる!
デートの作法を学べるうえに新しい知識も入る、その敬虔なる偉大なお方が丹生谷森夏様だ!

丹生谷「どうここ富樫君?」
勇太「すごいんじゃない......か?」
怖い。俺なんかがこんな店入っていいのかよ!?こわいよこわいよ!
丹生谷「行こっ」ニコッ
丹生谷の動じないさっぱりとした顔を見ると俺の目が覚めた気がする。かっこいい......。つい見とれてしまった。
勇太「......。行こう」レバー引き

扉のぎいっとなる音、それに連られるベルのチャリンチャリンという音に、
またもや失敗するのが怖くて帰りたい気持ちになる。
だけどかっこ悪いところを見せるのも丹生谷に悪くて胸を張り、
「何名様ですか」と店員もいる後戻りできない状況まで俺を追い込んでいく。
勇太「2名で」
「カップルでございましょうか?」
カ......カップルうぅ!?!聞いてないよこんなの!え、なに?どうしよ!これなに?
嘘ついたらどうなるの?死刑??俺たちは「カップル」という定義に入っているのだろうか?
いやそれよりも周りの人高級そうだし!どうしよう!!
俺が返事に詰まると丹生谷が前に出て言った。
丹生谷「はいっ」ニコッ
「喫煙席と禁煙席がございますが」
丹生谷「禁煙席で」
案内しますと言われて、丹生谷の振り向いた笑顔と共に行かざるを得なかった。
この場所イタリアンレストランは外より暗いもののずいぶんお洒落でゴージャスだった。
オレンジ色の照明が幾多もの輝いてしかし陰には暗さを残すほどであり、
天井の白さもオレンジ色に染まる。まるで夜の気分だ。
「混んでいる関係上、端でいいでしょうか」と店員に言われ、
丹生谷は頼んでもないのに「ありがとうございます」と礼儀をして、
彼女の異なる一面を目撃し目が仰天した。店員にも言うなんてこいつ......。
ん?席がおかしいぞ。普通なら対面に座るはずなのにこの席は対面が窓で横は壁、横並びにイスが2つある!
目の前が窓で気晴らしのいい環境であるのは分かるが、まさか丹生谷と隣り合わせに座るのか!?
まさかラノベにありがちなラブラブがあったり!?いや、丹生谷だしないだろ。
だけど主導権を奪われていくのも悔しいので、俺が先に左の席に奥詰めて座った。
次いで丹生谷も右に座ると、この異変の説明をしてもらうべく抗議をした。ただし小声で。

勇太「(なんでこうなってるんだよ!)」
丹生谷「(知らないの?メニュー表にあったじゃん。カップル割引って)」
勇太「(それなに?バレたら追い出されるぞ!)」
丹生谷「(たぶんだけど、見栄えのいいカップルを集めてお店の集客に務めようとしているんじゃないの?)」
勇太「(でもバレたらどうするんだよ!)」
丹生谷「(頼むわよ!か れ し/// ふふっ///)」
勇太「(こいつ失敗したら責任押し付けるつもりなんだ......!)」

「ご注文お決まりになりましたら呼んでください」水&おしぼり配り
勇太「はい!」
丹生谷「はい」
勇太「......」ごくごくごく
丹生谷「......」ごくごくごく
勇太「はぁ......」
丹生谷「暑かったわね~。太陽サンサンなときに外出るもんじゃないわ」
勇太「うん......。(ねむい......。べたべたしてるしおしぼりで手を冷やそうか)」
丹生谷「この!!!!くっ!!!!!あぁ!!!ムカつく!」
勇太「(おしぼりがビニールパックに包まれているが開けられないという)」
丹生谷「堅い!何でこれ堅いの!」
勇太「ふんっ!」パカッ
丹生谷「すごっ!」
勇太「ここをこうつまんで、一気に開けるんだぞ」
丹生谷「へぇ。開けてお願い」
勇太「なんだよー/// 俺には強いくせにこんなもんで弱いのかよー///」
丹生谷「ちがうもんっ/// 硬すぎるの///」
勇太「......ふんっ///」パカッ
丹生谷「......いじわる///」
勇太「はい」
丹生谷「......ありがと///」
勇太「......///」
丹生谷「......///」
勇太「(なにこの雰囲気......///)」
丹生谷「......50点。かな/// +50点」
勇太「なにそれ?」
丹生谷「こーかんどー///」
勇太「(えっ!あの犬畜生としか思われていないあの丹生谷に!褒められた......!)やったああああああ!!!はは!」
丹生谷「ちょ、ちょっと!やめなさい!!!!ああもう!!!マイナス100点!!!」
勇太「は?」
丹生谷「ははって部分がきもさを増していた。マイナス150点」
勇太「丹生谷に嫌われた......」

丹生谷「ここお洒落よねー!いったことないの!」
勇太「そうか 何頼む?(ごちそうの匂いでお腹空いた!)」
丹生谷「そうねー。うわっ、なにこのメニュー表!?かわいい!!!!」
勇太「(どこがかわいいんだ?) ああ旨そうだな!どれかに絞り切るのができん!」
丹生谷「パスタねえ......」
勇太「俺はこれにしようかな?」
丹生谷「へえ。エビとズッキーニとペペロンチーノ」
勇太「何でって言われても、そこまで食べたいわけじゃないけど。中身で///」
丹生谷「あーでも、ここの店ね、ちょっと違うのよ」
勇太「何が?」
丹生谷「パスタが補佐みたいな。大皿に一枚イタリアンパスタ配られて、
人数分料金に応じて分け合うスタイルだから、麺類一つしか頼めないのよ。私は良いけど、どうする?」
勇太「(俺に選ばせた!?大人な丹生谷のその素顔が見たい///) 丹生谷の食べたいものでいいよ。俺は」
丹生谷「いいのよ。食べなさい」
勇太「いいって。その......丹生谷の素顔が見てみたい......」
丹生谷「はぁ!? な、何よ!おごらないぞ♡」
勇太「点数稼ぎじゃなくて、ほら、気遣われるの嫌いだから」
丹生谷「そう。じゃーねー私ねーふふっ。ナポリタン!イタリアンレストランに来たんだからナポリタンでしょ!!」
勇太「うん!シンプルだな!それにしようか!」
丹生谷「それと、サラダやスープやビーフなどミニ肉類も頼むとピザ料金で、
パスタは別個だと500円台だけどピザ含むと1700円台よ。ピザは個人で選ぶ」
勇太「じゃあ2000円×2人で4000円台でいいか?」
丹生谷「そうね!せっかくここに来たんだから贅沢したいじゃない!分かってるわね!」
勇太「(なんか嬉しい///)」
丹生谷「スープねえ、鶏がらスープかな?サラダはシーフードサラダ」
勇太「俺も同じく。めんどうだし」
丹生谷「ねえねえ!鹿肉食べられるらしいわよ!食べたことある?」
勇太「売ってるんだ!ないなー」
丹生谷「私これにする!牛や豚なら食べたことあるんだけど、鹿はないのよ」
勇太「個人的さ、狩猟で死んだ死体を彷彿とさせるから無理だな」
丹生谷「とげ!!!!!!!ぶっころすぞ!」
勇太「ひゃーーー俺が肉にされる!!!!」
丹生谷「いやっははは!そういう意味じゃなくて!なんでそうなるの!」
勇太「あはははは///」
丹生谷「鹿肉食べたーい。安いし」
勇太「俺はビーフでいいかな」
丹生谷「ピザ。私は......チーズトマトピザかな」
勇太「お前メジャーなもの好きなんだな」
丹生谷「ふえっ/// たまたまよ!たまたま!なんか選ぼうと思ったら目に入ったの」
勇太「味を知りたがる俺と大違いかな」
丹生谷「あははは。でも彼女とデートするときはメジャーがいいわよ。
わけのわからないもの食べて別れるとかありがち。かといって吉野家だと振られるわよ」
勇太「俺はディアボラにする。ピリ辛だって」
丹生谷「地獄みたいに真っ赤じゃない!?大丈夫?」
勇太「いや、これトマトの赤だから。取っ手も黒く焦げてておいしそう!」
丹生谷「私もピリ辛食べてみたいな。まぁ胃袋たくさんはないわ」
勇太「じゃ、決まり?」
丹生谷「うん」

勇太「すいませーん! ナポリタン1つと、鶏がらスープとシーフードサラダを二つ。
鹿肉ミニステーキとビーフを1つ。チーズトマトピザとディアボラを一つずつ」
「分かりましたー」
勇太「あと俺に、いちごミニパフェください」
「お飲み物は何になさいますか?」
勇太「へっ?」
「ピザコースですと飲み物を1杯のみサービスで含まれています」
勇太「そうですか......」
丹生谷「何飲む?」
勇太「うーん俺は......丹生谷は?」
丹生谷「私は......そうね......」
ん!?ジュースを頼むなどいかにも「とがしくん大好きなんでちゅね~」と丹生谷にバカにされかねない。
だからここはバカされない遠く離れたブラックコーヒーを選び黄色い歓声と尊敬返しでウハウハじゃないか!!
いや、待てよ。丹生谷はその先を読んで笑ってくるかもしれない!
だとしたらブラックコーヒーと思わせて、そのままオレンジジュースを頼んだその不意打ちに笑われる確率は0。
いや、その意図すら読んで高笑いする可能性もあるが、そうじゃない可能性も......。
ええい!
オレンジジュースを頼んで笑われる読み!
の ブラックコーヒーを頼んで笑われる読み!
の オレンジジュースを頼む からの~
ブラックコーヒーで!!!
勇太「ブラックコーヒーで」
丹生谷「ブラックコーヒーで」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「あはははは///」
丹生谷「ははははは///」
勇太「何でこういうときだけ息ぴったしなんだろうな///」
丹生谷「ほんとよねーーーあはは/// 富樫君ブラック好きなの?」
勇太「ああ。毎日飲んでるからな。丹生谷もそうなのか?」
丹生谷「奇遇ね。私もよ」
勇太「ブラックおいしいよね~」
丹生谷「ね~。分かり会えて嬉しいわよほんと!」
勇太「......」
丹生谷「......」
「コーヒーはすぐにお持ちしますね!」トコトコトコ
勇太「......」
丹生谷「......」

数分後
「ブラックコーヒーのお客様~」
勇太「ありがとうございます」
丹生谷「ありがとうございます~」
勇太「(これ飲むのかよ......)」
丹生谷「熱いわね」
勇太「......。......。うん、おいしい!この苦さ、うまい!」ズッ
丹生谷「そうそう!!!この苦さがいいのよね!少し冷めたら飲んでみたい!」
勇太「......」ごくごくごく
まずいーーーーーー!!!!俺はすぐ後ろを振り返って大口を開けた。
苦い臭いが口周りにこびりついてるー!おえーーーーーー!!!
丹生谷「どうしたの?」
勇太「ううん。メニューまだかなーって、はは」
丹生谷「我慢しなさいよ」
勇太「(この悠長な素振り。もしや本当にコーヒー飲めるのか。俺が遅れてるのか!?)」

丹生谷「ねえ、話しかけていい?」
勇太「ん?」
丹生谷「いちごミニパフェってなによ///」
勇太「目に留まったの!食べたかったんだ!」
丹生谷「あはははは/// それ女の子が頼むものよ!!!あはははは///」
勇太「......///」
丹生谷「へえ。こんな顔して、甘いものが好きなんだ!富樫君子ちゃん♡」
勇太「やめろ/// そうやってすぐ人をからかう///」

勇太「(あ、携帯。返信来た)」
丹生谷「はぁ......つまんないの」
勇太「」ピッ ピッ
丹生谷「ねえ、富樫君」
勇太「」ピッ ピッ
丹生谷「聞いてる?」
勇太「」ピッ ピッ
丹生谷「......」
勇太「」ピッ ピッ
丹生谷「『おれ! 今! ひまだよ。! クラスメイトといるんだけ!』」
勇太「やめろよ///!!!!!」
丹生谷「だって」
勇太「恥ずかしいわ///」
丹生谷「いや、私に話しかけてよ」
勇太「今、そんなネタない!」
丹生谷「はぁ!!!?女の子置き去りにして携帯いじられるのすっごい不快なの!!」
勇太「小休憩も必要!」
丹生谷「あんた小鳥遊さんにもやる気!?」
勇太「あいつは何も言わない」
丹生谷「誰とラインしてるのよ」
勇太「......///」
丹生谷「暇って何!?練習に付き合ってあげてるのよ分かる!!?」
勇太「あーはいはい」
丹生谷「はい。は一回!」

丹生谷「あ。そういえばね、巫部ちゃんにね、男がいるらしいわよ!!」
勇太「ええーーー!!!」
丹生谷「あのねあのね!入口の靴の階段の端っこで、男と会っているの目撃したんだって!」
勇太「あれだけ六花ちゃんラブとかいってたのにとうとう春が来たのか!」
丹生谷「そうそうそう!!!!!でね、噂によるとね、二人してラブホ行ったらしいのよ!!!」
勇太「いや、それはないだろ。そんなことしてたら捕まるわ!」
丹生谷「でも噂になってたわよ。相談していくうちに心に溜まっていったとか、あるわよ~!」
勇太「丹生谷、人の噂はやめといたほうがいいって!!」
丹生谷「でも学校で流行っているわよ!」
勇太「(こいつスキャンダルな噂大好きで困るなぁ~。自分が流されてみろよって)」
丹生谷「......」
勇太「......」
会話が尽きたのでちょっとでやってきた鶏がらスープを飲む。うん、味が濃厚でうまい!
丹生谷「この鶏がらスープうまいわね!」
勇太「この喉に味が残る感じがまた印象に強く残る。すっ、ていくのが気持ちいい」
「チーズトマトピザとディアボラのお客様~」
勇太「はい!おおっ!!!良い匂い!」
丹生谷「うわっー!!!」
勇太「食べよう!」
「鹿肉ミニステーキとビーフと、ナポリタンのお客様~」
丹生谷「はい!」
勇太「......。すごいなぁ!!!」
丹生谷「かわいいいい!!!!すごーーー!!ナポリタンかわいい!!!!」
勇太「よし!じゃ!食べよっか!」
丹生谷「待って!写真撮るの!」
勇太「ええっ!?写真!?」
丹生谷「ああ♡かわいい♡すごーい♡ほんとかわかわ♡」パシャパシャ
勇太「スパゲッティをかわいいだなんてどんな神経しているんだよ!?どこがかわいいんだよ!!」
丹生谷「えっ!?分からない!この麺のまるっこい形、トッピングと麺が髪型に見えてキュートじゃない!?かわいい!!!!!」
勇太「全然そう思えねえ。女性らしさすらない」
丹生谷「かわいいじゃん!何言ってるの!?うんうん......この角度!インスタばえ!」パシャ
勇太「なぁ......非常識なことだと分かっているけど、もしかしてお前......パスタに恋しているのか?」
丹生谷「はあ!?」
俺と丹生谷の意思疎通はまだ遠いようだ。

勇太「終わった?」
丹生谷「ちょっと......」
勇太「はよ終わらせてくれよ!」
丹生谷「あ、富樫君」
勇太「(嫌な予感)」
丹生谷「写真撮ろう!」
勇太「なんでー?食べ物映せばいいだろ!」
丹生谷「いいじゃん!撮ろうよ!」
勇太「いやだよ!」
丹生谷「富樫君との記念が撮りたかったな......」
勇太「....../// で、どうすればいいんだ?」
丹生谷「とがしくーん!!!ありがとう!だいすき!!!」
勇太「俺がいるってことは、ツーショット?」
丹生谷「そう!近寄って!」
勇太「こう?」
丹生谷「もうちょっと」
勇太「こう......?」
丹生谷「枠はみ出てるじゃない!!もっと近く!」
勇太「それ以上やると丹生谷の体に、ほら!!!」
丹生谷「彼氏なんだから練習よ!はい!小鳥遊さんの笑顔から逃げないための!」
勇太「こう///(なんだよ!バリバリ近いぞ/// 丹生谷の体の温かみがすぐ近く感じる!)」
丹生谷「もっと」
勇太「(もうどうにでもなっちゃえ!)丹生谷、こう?」ひっつき
丹生谷「もっと///」
勇太「いや、これ以上近づいたら地肌擦れるぞ!」
丹生谷「富樫君!!あのね!小鳥遊さんと写真撮るときも、
少しだけ隙間開けて写真撮るの半場避けられているみたいじゃない!それすっごく失礼なのよ!」
勇太「......。分かった」
俺は右腕を、丹生谷の右腰に優しく抱えるようにベルトした。
丹生谷の頭に俺の頭を乗っけているが、こんなに近い息遣いを見るとドキドキしてくる。
丹生谷の香りと感触にいやらしい気持ちになるが、彼女となると触るのも合法となるのも不思議な気持ちがする。
さっきの訓練のおかげで触るのに抵抗が低かった。でもまるで不倫みたいだな......。
丹生谷「パスタを主人公に、その周りに私達。撮るわよ!!!イタリアンピザは?」
勇太「ちーず」ニコッ/// ピース パシャ
丹生谷「ちーず」ニコッ/// ピース パシャ
勇太「ふぅ......」
丹生谷「」ポチポチポチ
勇太「お腹空いたー」
丹生谷「ねえ、これラインに送っていい?」
勇太「あああああ!!!ダメだろ!やめろよ!!!ギロチン!ギロチン!」
丹生谷「でも富樫君にっこり笑って嬉しそうだよ!私も!」
勇太「勘弁してください!」
丹生谷「せっかくお金使ってきてるのにー!」
勇太「(小悪魔系め......)」

勇太「さて、食うか」
丹生谷「そうね」
勇太「いただきまーーーーーーす!!!!」大声
丹生谷「いただきま......す」小声
勇太「よし食うか!」
丹生谷「ちょっと/// 恥ずかしいでしょ///」
勇太「なんで?」
丹生谷「あんな大声で!」
勇太「でも言わなきゃダメだろ!」
丹生谷「あんたそういうところ律儀なんだね。かわいい~♡」
勇太「なんで俺をバカするの!?俺何かした!?」
丹生谷「お母さん思いなんだね♡」
勇太「....../// 動物と植物の供養のために......」
丹生谷「ふ~ん///」にこっ
勇太「そういう丹生谷こそ言えよ」
丹生谷「はぁ!?したし!!!」
勇太「もっと大声で!」
丹生谷「はぁ!?死ね!デリカシーのないやつ!」

勇太「(丹生谷、パスタ食うらしいから先にピザ食べるか。......あっつーい!!!なにこれ!!!
ピリ辛で舌に味が残ってうまいけど、なんで店のピザってこんなに熱いの!?)」
丹生谷「あ、富樫君もナポリタン食べるんだ!」
勇太「熱い。舌が焼けた」
丹生谷「なっさけな!!!猫舌かい!ダサ!」
勇太「俺も仲間に入れてくれー!」
丹生谷「あげにゃーい!」
勇太「腹減った。なるほどナポリタンか。久しぶりに食べるな。
おいしいそう!いただきまーす!!!」ずーずー!!! ずーずー!!!
丹生谷「(いやあああああああ!!!富樫君!何やってんの!?)」ひそひそ
勇太「(ん?うまい!)」ニコッ
丹生谷「(あんた小学生か!みんな見てるわよ!!!恥ずかしい!どんな教育してきたの!?)」
勇太「腹が減ったから食べた。何が悪い!」
丹生谷「チッ。ちょっとマジでイラッと来たかも......」
勇太「こわい!」
丹生谷「まず、この店のスパゲッティ、ナポリタンはね、
乗ってある大皿を、小皿に入れてそれから自分で食べるのよ!!
あんた姿勢が亀よ亀!みっともないまねやめなさいよね///」
勇太「じゃあ、気を付ける」
丹生谷「あとね!そうめんじゃないんだからずーずー言わすのやめなさい/// 恥ずかしくて集中できない///」
勇太「なんか俺のお母さんみたいだな/// あっはっは///」
丹生谷「バカ/// それぐらい知っておきなさい/// 
なんでそんな社会常識ないの!? 私は富樫君のお母さんになった覚えはありません/// 哺乳瓶刺すわよ///」
勇太「なんか言われてるこっちが恥ずかしくなってきた///」
丹生谷「こら/// もうナポリタン食べさせてあげないわよ///」
勇太「」麺移し くるくるくる パクッ
丹生谷「」麺移し くるくるくる パクッ
勇太「おいしー!!!」麺移し くるくるくる パクッ
丹生谷「うん!ナポリタンね!!」麺移し くるくるくる パクッ
勇太「おいしいよな!丹生谷!この輪切りソーセージのジューシな味とトマトとパスタのミックス殿堂入りだろ!」
丹生谷「んーうまい!!!」
勇太「」ムシャムシャムシャ
丹生谷「富樫君、富樫君」
勇太「ん?」
丹生谷「あーん///」
勇太「....../// やめろって///」
丹生谷「あーん///」
勇太「気が引ける///」
丹生谷「いいから!あーん///」
勇太「あーん/// んー///」パクッ
丹生谷「ふふっ///」
勇太「おいしい///」
丹生谷「えへへ///」
勇太「(地味に丹生谷のぷるんと弾ける愛らしいお口でできた唾液を自分の中に混ぜた間接キスに大感動!幸せだー!)」
丹生谷「とっても幸せそうね///」
勇太「あーん///」
丹生谷「え、やだぁ///」
勇太「いいだろこんな辱め受けたの/// あーん///」
丹生谷「あー///」
勇太「あーん///」
丹生谷「ふふっ....../// やっぱあまあまカップルじゃないと周り気になるし恥ずかしくって死んじゃいそう///」
勇太「かわいい♡」
丹生谷「もうからかわないの///」

勇太「なあ聞いて///」
丹生谷「ん///」
勇太「最近、近くに新しくカフェ店がオープンして。そこのサンドイッチが超うまいって!」
丹生谷「そうなんだ///」
勇太「価格も360円でお手頃だって」
丹生谷「へえ」ナポリくるくる
勇太「養殖のツナとマヨネーズと秘伝のソースで練った特製のソースが、
めっちゃおいしいらしくて女性客が列に並んでてさ!
クリーミーとスパイシーを楽しめる今までにない味なんだって!
あ、特に誕生日のお祝いに出してくれる特別な料理があって、
その具材もサンドイッチなんだけど。そしたらなんだと思う!?」
丹生谷「」あ~ん パスタ床ポト
勇太「あ......」
丹生谷「あ......」
勇太「なんかごめん......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「3秒ルール!!!」拾い
丹生谷「こら/// やめなさい///」
勇太「いや、丹生谷のメンツが潰れるから、どうかなって」
丹生谷「きったな/// 子供か/// 嬉しかないわ死ね!」

なんだよ気遣ったのに!気遣わなきゃ怒鳴ってくるくせに!
......。気を取り直そう。
俺はちょっと暴飲暴食したいと負の力に押されながら、パスタの底をフォークで吊り上げ、
その大皿から小皿にいちいち移す作業をするが本当にめんどくさい!

勇太「」パクパクパク
丹生谷「ちょっと!あんた取りすぎ!一度取ったら巻きつくフォークの量まで!じゃないと見栄え悪いでしょ!」
勇太「別に誰も見ていないからいいだろ」
丹生谷「そういう問題じゃないでしょ!!!デートのお約束条項その4!マナーを守る!」
勇太「(うるっさいな......)」
丹生谷「ふふ~ん♪」ナポリくるくる
勇太「(そのまま食べちゃお)」ずーずー! ずーずー!
丹生谷「(こらっ/// 何やってんのよ///)」
勇太「(腹減ったんだよこっちは!)」ずーずー ずーずー
丹生谷「(私の取り分減るじゃない!!!やめなさい/// 大皿で食うのみっともないわよ!)」
勇太「(じゃあ丹生谷も真似ればいいだろ!早い者勝ち!)」ずーずー ずーずー
丹生谷「(ああもう!あんたのその行為世界史上最も最低!!!)」大皿パクパク
勇太「」大皿パクパク パクパク
丹生谷「」大皿パクパク パクパク
勇太「」パクパク! パクパク!
丹生谷「」パクパク! パクパク!
勇太「......!?」
えっ......?
口に入れたはずのパスタの麺が、妙に力づいて、物理法則を無視して空中に浮かぶ。
むしろ何かに引っ張られているような......。
恐怖を抱きながらもずーずーと恐る恐る麺をちゅーちゅーする。
すると、丹生谷の顔だった。
勇太「......!!!」
丹生谷「......!!!」
何か繋がっている思ったら丹生谷もその麺を吸っていたのだ。
間接キスじゃないけど間接キスみたいだな!!!
丹生谷の唾と混じっているみたいでちょっと恥ずかしい/// 
あははと笑いながらこんな奇跡有るんだなと爆笑しつつ、いつもどおり麺を吸っていく。
勇太「......///」
丹生谷「......///」
あれ
あれ......
あれえ!!!!!!
前に進んでいく!!!
あ、あわ、あわわわわわわわ!!!!!!!!
麺を吸っていけばなくなるはずなのに、一歩一歩丹生谷の顔が近づいてくる///!!!!!
やばいやばいやばいやばい!!!!!!
勇太「んんーーーー////////////////////」
丹生谷「んんんーーーーー/////////////」
これじゃナポリ食べてるじゃなくて、熱熱カップルの贅沢なキスじゃないか///
周り見ているんじゃないかって恥ずかしい!!! 
勇太「」ちゅーちゅー
丹生谷「」ちゅーちゅー
やばい/// 丹生谷と一つになってる/// え......。でも笑えないぞ......。
だんだん近づいてきて、本当にキスしているみたいになってる!!!
六花とのファーストキスのために守ってきたのに、なぜか丹生谷と近づいているーーー///
なんとか対策考えないと///
そうだ!吸ってれば前に進むんだから、丹生谷の速度を上回るぐらい早く吸っちゃえばいい!!!!
勇太「んん!!!!!んん!!!!」ちゅーちゅー
丹生谷「んんん!!!!ん!んん!!!!」ちゅーちゅー
なぜか強く吸っても丹生谷のせいで引っこ抜くことができない///
やばい/// 本当にキスするじゃないか!!!!!!!!
勇太「んーんんーんんん!(離せよ!やばいって!!!)」
丹生谷「んんーーーんんん!!!(なんとかしなさいよ!!!!)」
だんだん近づいてきて、でも吐くみたいに戻したら丹生谷の服にナポリつくだろうし。
ああ!!!!どうしよう!!!!丹生谷の慌てる瞳と鼻がくっきりしてきた!!!!!
赤い顔で人差し指をぶんぶん指摘して怒鳴るけど、あいつ全然わかっちゃいない!!
勇太「んんんんんん!!!!!!んんん////////(お前が抜けよ!!!)」
丹生谷「んーんんーんんん/////////(富樫君が引っこ抜きなさいよー!!!!!)」
勇太「んーんん/////////////////!!!!!!」
丹生谷「んんーんんーーーんんーーーーーー/////////////」

あと、10cm、5cm、3cm、丹生谷の唇の動力源まで来た!
もう本当にキスするんじゃないか!!!!だんだん視界の減っていくナポリに恐怖心さえ覚える!!!!!
勇太「......///」
丹生谷「......///」
丹生谷の顔の温かみを直に感じる。
ゆっくりと進む絶望感に飲まれて丹生谷は、頬を赤く染めながら瞳を強く閉じた。
覚悟してるのか......?
これって......。
これってーーーーーーー////////////////






もう丹生谷とキスしちゃってもいいかな......



あ。


勇太「」かみかみかみ
丹生谷「」かみかみかみ
勇太「はぁ......。はぁ......。はぁ......。」ドキドキドキドキドキドキ
丹生谷「はぁ......。はぁ......。」ドキドキドキドキドキドキ
勇太「丹生谷離せよ!!!/////////////////」
丹生谷「なんてことするのよ!!!!ーーーー//////////////」
勇太「なんでお前とちゅーしなきゃいけないんだよ!!!!//////////////」
丹生谷「こっちのセリフよ!!!だから小皿に分けましょっていったのに/////////////////」
えっ。視線が熱い。俺達は慌てて周りを振り返る。
あ。みんな見てる。お客さんもウェイターさんもみんな見てる。
皆喋ってない。そして気づかれたのか皆顔を元に戻す。

ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!

恋人と誤解されたのかはもうでもいい/// 俺は顔が原色のように真っ赤になった。
丹生谷も顔が生まれたての赤い顔で、見てる俺もますます赤くなった。熱熱だなって。ふぅ♡ 違うのにーーー///

勇太「......////////////////////」カァアアアアアアアアアア
丹生谷「......////////////////////」カァアアアアアアアアアア
俺達はお互いに顔を見合わせることもできず、無言の最中ただ机の上をじっと見つめていた。

やがてその赤い緊張も解けた。もう俺はあの話をする勇気はない///
でも黙っているのも悪いよな。そう思うと丹生谷が話しかけてきた。
丹生谷「ねえねえ富樫君聞いてよ」
勇太「ん?」
丹生谷「この前まで私チア部やってたんだけどさー、酷くない?」
勇太「???」
丹生谷「あのね、体育館で私達チームでダンスの振り付け練習してたんだけど、
空中にジャンプで股を開脚するスプリットジャンプとか、隣に合わせて腰を左右に振ったり、
タイミングよく右のポンポン高く上げたり、そういうのが私達の練習なんだけど、
私そのとき熱か暑さなのか知らないけど、くらっと周囲が真っ黒になるめまいがしたの。
なんか気持ち悪くて途端に立てなくなって座って」
勇太「大丈夫か?後遺症とか?」
丹生谷「ありがとう。みんな心配で詰め寄って、私だけ特別に体育館の隅っこで休ませてもらったの。
だけどね、そのあとコーチが来て「おいっ丹生谷、なにサボってんだ!!!」ってデカい声で叱ったのよ!」
勇太「えー!それひどいだろ!!」
丹生谷「うん。しまいには怖い顔で、お前の怠慢だっ!って突きつけたのよ!ひどくない?
違うって返したけど逆に激昂して怒られたし。私すごく怖くてショックだった。
おまけにみんな助けてくれなかった。友達だって思ってたのに」
勇太「うわーひどいな。辛かった?」
丹生谷「うん。もう学校行くのやめようかと思ったわあのとき。ベットにうずくまって月の光を意味なく見てたの。一日を長く感じたと思う」
勇太「大丈夫か?」
丹生谷「ありがとう。人生でやばい系じゃないけど、あれはトラウマだったなって」
勇太「俺も悪いのはあのコーチだと思うよ。丹生谷は悪くない。絶対に。
事情を知らないのに、大切な人殺されたってくらい説教してくる人いるよな。限度をわきまえなし」
丹生谷「うんうん」
勇太「おまけに謝らないしさ。俺たちのこと下に見てんだよ生徒の一存だとかで」
丹生谷「そうそうそうそう!!!!わかるわかるわかる!!!」
勇太「でも、たまたま起きた事故だし被害者だろ。お前が他人を傷つけるとか絶対にない。
いつも皆に気を配っては、特に一人だけ準備遅れて焦ってる子に、
頑張れー、ファイト―って肩を叩いて詰め寄ってるの、かっこいいなって俺思ったんだ」
丹生谷「えっそんなとこまで見てたの!」
勇太「う、うん。部活だって、俺の恋愛だって、お前がいつも誰かに絡んでは一緒に悩んでくれるし。
うっとおしいけど、解決したらありがとうって言いたくなって」
丹生谷「そ、そうかな......」
勇太「そういうの嬉しかったし、憧れだった」
丹生谷「富樫君......」
勇太「うん、ほんとだぞ、嘘じゃなくて」
丹生谷「あの、その、ありがとう......。今上手に答えられない。
今胸がキュンってして、何かがもやもやしてる気がして、お礼で言えない気がしてて」
勇太「丹生谷、もしかして照れてる?」
丹生谷「もう!!そんなこと言わないの!!!!あっち向いて!!!」
勇太「でも」
丹生谷「私の言ってること分かんないの!」
なぜか怒った様相をし、
俺の腕に丹生谷のツッコミで小奇麗な手がポンっと強く触れ優しい触感に包まり、中の筋肉も柔らかに揺れる。
なんだよ急に。でも悪いようではないようで。
俺は言われるがごとくそのまま壁に目を移して暇で壁の模様をじっと観察している。なぜか隣から小さい笑い声が聞こえるんだが。
勇太「なんだよ!」
丹生谷「あっち向いて!ほら!」
勇太「あーはいはい」
ルールに反して一瞬丹生谷の顔を見てしまったが、
ほっぺが赤面していて、リップで薄桃色に塗られた口も上機嫌な様相で、
清楚な長い茶髪で覆われた女性のベールに、怒っているようで優しく笑っている表情がちらっと見えた。
丹生谷「ねえねえ富樫君」
勇太「なに?」
丹生谷「富樫君って、案外イケてるとこあるのね!」
勇太「どういう意味だよ!まるでそこ意外全部だめみたいな言い方!」
丹生谷「あはは、そうじゃないけど、そうだよねって」
勇太「喧嘩売っているのかよ!」
丹生谷「私、富樫君のこと、好きになっちゃったかも」
勇太「え   っ」
丹生谷「冗談よ~!なに本気になってんの!!でも嬉しいのはほんとよ」
勇太「い、今のはフェイクに聞こえなかった......」
丹生谷「嬉しい?」
勇太「建前で言えば、NO」
丹生谷「ふふふっ」
勇太「......。今日だけだし!!そこまでじゃないからな!......」
丹生谷「あ、そうそう、あのね」
丹生谷のテンションがまた下降した。何話すんだ?
丹生谷「さっきチア部のこと話したじゃん。コーチも富樫君から言えば腐っているって」
勇太「それコーチには言わないでくれよ」
丹生谷「それ以上にヤバイやつがあるんだけど?聞きたい?」
勇太「なになに?」

丹生谷「チアで練習してるとたまに外れる子いるじゃん練習中」
勇太「うん」
丹生谷「トイレ行ってるんだなってことはわかるんだけど。コーチいない間、
外れた子がいなくなるとチアの練習止めてひそひそ会話が始まるのよ。
あの子また行ったよね~とか大丈夫~?とかで身内でゲラゲラ笑ってさ。あ、私は違うのよ。楽しんでないし。
あいつらが異常なだけ。
例の子の帰ったとき体育館の時計見て、2分だったよね~とか5分だとか小か大で、
または大当たりとか、帰り姿を皆で覗いてさ。もうほんと気色悪いの」
勇太「おいっ!俺今食べてる途中だぞ!」
丹生谷「関係ないわ。あの円見て、立ち尽くした子見てかわいそうだって思うけど、
毎回これが恒例になってね。私も嫌だけどそれ言ったら何かされそうでなんもできなかったの。それでやめちゃった子もいるの」
勇太「ぐろい。グロすぎる」
丹生谷「私もさ、人間だから行くんだけど。それ、やられたの」
勇太「えっ-!」
丹生谷「帰ったら皆で丸くなってさ。チア同士で誰かと耳元で話して驚いた顔で見られてね、
ドン引きで怖かったの。もうこれが嫌で止める決定打にした!」
勇太「うわあ」
丹生谷「ひどいでしょ」
勇太「ひどい。辛かっただろ?」
丹生谷「そうね」
勇太「チア部、男子でも服があの人がかわいいかわいいって噂だったけどさ、これ見るともう興味ゼロだな。
こんな事情だったなんていつか膿が出るだろうよ。関わった瞬間、明日の犠牲者は何々のリストに載るみたいな」
丹生谷「でしょう。だから絶対にチア部に近づかないでね」
勇太「お前の辞める理由がなんとなくわかった気がする」
丹生谷「ありがとう」
勇太「同情でしか助けられなくてごめんな」
丹生谷「ううん。富樫君からエネルギーもらっただけで十分幸せだよ」
勇太「......。恥ずかしい」
丹生谷「ふふっ、ふ~ん」
だから、なんで俺の顔をじっと見ているんだよ!!
どうしても見たいって気持ちなら公開してやらないこともない。
顔を合わせるのが照れくさくてテーブルの正面を顔に向けているが、
横目で丹生谷の微笑ましく笑う顔を見て、やっぱ嬉しいけど俺ってドMなんかなって再認識する。

丹生谷「ねえねえこれ見てよ!」
丹生谷の手に持つピンクの携帯のスマートフォンの光が照っていること自体は分かるのだが、太陽で隠れ良く見えない。
光度をあげてもらうように言うとちょっと待ってね、と言われたのち、
丹生谷の興奮した吐息の良く聞こえるぐらい俺の腕のすぐ横まで顔と体を寄せられた。
その近すぎる距離に俺の体も震えてしまい対処に困る。手の画面を見せつけられた。この見覚えのある緑色の写真は......。
勇太「サボテン?」
丹生谷「そう!サボテンなの!かわいいでしょ!!!」
こんなんのどこがかわいいんだよ。
勇太「う......うん」
丹生谷「でしょー!!!!サボちゃんっていうの!!!針のチクチクがかわいいでしょ!」
勇太「サボテンに名前あるのー!???」
丹生谷「私最近サボテン飼い始めたの!」
勇太「そうなんだ!」
というか、これTwitterの画面だよな。丹生谷ってTwitterやってたんだ。
勇太「Twitterやってるの?」
丹生谷「あっ」
その指摘を受けるとすぐ携帯を隠し、赤い顔で威嚇した。
丹生谷「見ちゃダメ!」
勇太「ごめんごめん。別にフォローするとか考えてないから」
丹生谷「ほんとう?」
勇太「ごめん。無視して」
丹生谷「でさ、サボちゃんの体見てよ」
勇太「TVで見てるのと違うね。普通はY字を描いているのに、
このサボテンは小さい植木鉢に小さく丸くのってて不思議だ。込みで10cmもないな。
こんなに丸いの売ってたんだ。あ、でも子供みたいでかわいいよな」
丹生谷「でしょー!!!!!!!!!分かってくれるなんてほんと嬉しい!ハグしたい!!!」
勇太「!!!!!!!?!!!!」
!??!
丹生谷「あ、ごめんつい口走っちゃって。可愛いでしょお団子のサボちゃん。
もうむっちゃ可愛いんだから!!犬や猫よりもずっと!!!もう誰も分かってくんないのよ!」
勇太「そうかぁ?キメラやパピペのほうがいいと思うぞ」
丹生谷「かぁー、これだから人生を損してるのよ富樫君は!もっとサボちゃんを尊敬しなさいよね!」
勇太「サボテンに敬礼を送るような人生は送りたくないよ!」
丹生谷「サボちゃん日光浴が好きで、一般的にあるところまで熟すと伸びたり花咲かせたりするんだって」
勇太「花!?サボテンに花!?」
丹生谷「そうでしょ驚くでしょ!!!」
勇太「うん」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「サボちゃんまじかわいい!!!!!!なでなでしたい!!!!」
丹生谷「でしょーーーーー!!!!やっぱ富樫君にも分かるんだ!!」
ん!!なんなんだこの間は!?
丹生谷「実はサボちゃんね、2代目なの」
勇太「ということは1代目亡くなったのか?」
丹生谷「うん......。私がバカだったから、サボテンだし水あげなくてもいいと思って放置しとくとね、
上は緑のままなのに下が茶色の死臭に染まって、なんかいかにも枯れています、みたいな色を出すのよ」
勇太「へえ。サボテンって枯れるんだ!」

丹生谷「そうなのよぉ。私最初気づかなくて、せっかく店内で悩んで見た目がこれだ!と思ったのに、
すぐにダメになっちゃうよのね。あーあ嫌だったな」
勇太「そりゃ初心者なんだし失敗するよ。丹生谷はバカじゃないって」
丹生谷「ありがと」
勇太「今のは生きてるの?」
丹生谷「まあ、生きてるけどどしたの?」
勇太「やっぱ天才じゃんって」
丹生谷「う~ん。そうだね。富樫くんに褒められるとなんか悔しい(笑)」
勇太「うるせえ!」
丹生谷「富樫君も買ってみる?」
勇太「えっ!いやそんな唐突に言われても」
丹生谷「二人でお揃いなんていいと思わない?」
勇太「丹生谷~これ仮デートってこと忘れてるのか?」
丹生谷「知ってるわよ!ただサボ友増やしたくて」
勇太「サボ友!?なにそれ!サボテンに友達!?」
丹生谷「寂しいのよ。誰にも相手してもらえず静かに夜中じっーと見る気持ちわかる!?
最近買った黄緑のキャンドルにね照らされたサボちゃん可愛いのよ!
二人で静かにじっと、元気になるサボちゃんの愛の成長記録に感動して微笑み合うのもいいと思うわ」
勇太「だから!」
丹生谷「それじゃあ デートのお約束条項その5 サボテン買え」
勇太「意味わかんないから!それ脅迫だから!!デート要素どこいったんだよ!!!」
丹生谷「あ。でねサボちゃんのことだけど、てっぺんや体中のあちこちにピンクや赤や色々咲かすのよ。
それで、針もボーボーに伸びて見栄え悪くなるから、古いトゲをチョッキンしてあげると喜ぶの!」
勇太「へえ、楽しそう」
丹生谷「ああ、このことあったの。
サボちゃんねもう枯れ気味かなーって思ってて、それで月の良く見えるある夜、
私が落ち込んで元気が出ないとサボちゃんどうしたらいい......って相談したの。
針のチクチクを整えて、かっこいい君を作って眺めてたの。
そしたら、翌日寝ぼけて目をこすると、なんとねサボちゃん長くて大きくなってたのよ!!
新緑の緑がすごかったの!!私超びっくりしちゃった!!!
きっと元気出してよ丹生谷さんってあの子頑張ってくれたのよ!あんなにちっこいのに!
その時以来子供みたいに話しかけてるわ。ふふって笑うと笑顔で返してくれるのよ!
可愛いすぎてもう一生あの子のためにご飯つくりたい!すごくない!!?」
勇太「偶然だろ」
丹生谷「修学旅行とか家族旅行とかで帰ってくると、
ああ水は2週間に一回取り換えるだけでいいんだけど、帰ったらしおれてててね。
私ショックで慌ててバッグ放り投げてサボちゃんに旅行で楽しかったこととか悲しかったこととかたくさん話したの。
3時間もずっとサボちゃんの返しが面白くてつい。
私の感想に反応してくれた気がした。いつか人に化けて恩返ししてくれたらな~って。ふふふ」
勇太「おいそれ知ってるか?病気っていうんだぞ。植物に感情はない」
丹生谷「はぁ!?あるわよ!!富樫君が無知だからじゃないの!!マジキモイ!」
勇太「一般的に考えてありえん。植物が喋るか?口を開けてさ。丹生谷~ごはんとかさ。雑草が喋るわけないだろ。
精霊を呼び寄せるのもたいがいにしろもうモリサマーはいないんだろ」
丹生谷「でもサボちゃん笑ったし。大きくなったのもそうじゃない......」
勇太「面白そうだな。今度買ってみるか」
丹生谷「マジ!?本当!?」
勇太「話しかけて成長なかったら精霊のせいにしようかな」
丹生谷「そうじゃないって!富樫君には分からないの!
あれは中二病とは違うし......。小鳥遊さんの気持ちだって分からないじゃない!」
勇太「うっ......。いやだけど、全然違うだろ!」
丹生谷「小鳥遊さんの気持ちが分からないくせにあんたが雑草の悪口を言う資格はない!」
勇太「極論すぎるだろー!!」

勇太「もうすぐ8月の終わりだよな。早いな~」
丹生谷「7月よりましだけどまだ暑いわよね」
勇太「一日中冷房つけっばで体がだるいんだよ」
丹生谷「スーパーから出たあのもわっとした感じ、きもいよね~!」
勇太「あ~あるな!あまりの暑さに出たくなくてスーパーにいったら無意識に魚や肉のコーナーで涼みたがるとか!」
丹生谷「そうそう!暑いわよね~!汗臭くなるし終わってほしい!」
勇太「洗濯物が乾きやすいっていう点で8月は良いんだけどな。
それが終わったらもう文化祭だろ、体育祭だろ、すぐ冬になって、いよいよ受験。
1月1日の1年を見る気の遠さはいずこへ。あーあ、楽しい時間がほしいなあ」
丹生谷「あったあった!春にね、夏服の準備しようって思っていたときの1年開くと、
お気に入り着られなくなったときの、あのムカつきようほんといやね!」
勇太「そうだそうだ。それで無駄になったなあ。
そうだ、夏って脂肪を隠せないから早く過ぎ去ってほしいよな」
丹生谷「へえ」
勇太「ちゃうわ!あと4か月、いや3か月で急に寒気くるなんて信じられないよな。
外行くとまだ暑いけど、信じられない」
丹生谷「早いわね。12月ねえ。来てほしいけど来てほしくないというか。はぁ......。
あ、クリスマスといえばね、すごいもの見ちゃったのよ」
勇太「んっ?」
丹生谷「ドイツクリスマスマーケットっての。大阪の梅田の近くのやつ。知らない?」
勇太「え、なにそれ?」
丹生谷「なんかねなぜか大阪のしかも中央の駅の近くなのにねドイツっていう謎の国チョイスで、
ドイツ出身の食べ物とか文化の交流があるのよ。ソーセージでしょ、フランクフルトでしょ、ビールでしょ。お土産とか。
出店みたいな形式で食べるの。それがクリスマスの日に出されるって」
勇太「へえ、すごそう」
丹生谷「ビールも売ってあるわよ?しかも本場のやつ。一気する?ふふっ」
勇太「おいっそれ知ってて言ってるんだろうな!?まさか......お前!?」
丹生谷「うそうそ。冗談~。で、私数年前に行ったんだけどすごかったのよ!
夜暗くて人もいっぱいて、友達に誘われたんだけど、巨大なクリスマスツリー輝いてて、
私の身長の百倍ある木に、靴下の飾りつけもてっぺんのスターもライトで光っててね、
私思わず手袋を合わせて目もキラキラしちゃったの!ほんとすごかった!」
勇太「へえ。六花と行ったら喜びそうだな」
丹生谷「はぁ。綺麗だったなぁ。もうすぐ大学あるだろうけど、
ここ離れちゃうかもしれないからそれまでに1回見ときたいわね」
勇太「丹生谷って彼氏いるの?」
丹生谷「え......。な、なにを言ってるの!!!バカじゃないの!!」
勇太「いや、開催される日があれだろ。12月の24日といえば、あれじゃん」
丹生谷「あー、彼氏といるラブラブイベントってやつ?興味ないのよね~。
普段からイチャイチャできないくせに24日だけ神聖な愛を抱くなんて無理よ無理。
そんなの毎日できるじゃない!一日一日を大事にしないさいよメメントモリ精神よ!変よ!
マスコミは恋をする人の気持ちが分かってないの!!!!
イベントにたかって告白するバカいるけどぜっったいお正月で破局するって!!できなきゃ私が呪ってやる!」
勇太「言いすぎだよ......。目が本気......」
丹生谷「じゃああんたら二人はすでにカップルだから祝い殺してあげようか?」
勇太「なんでそうなる!嫉妬で死にたくねえよ!」
丹生谷「ふふふっ。ん~と、あ、いないわ。そうね、誰と行こうかな......」
勇太「よかったら俺と一緒に行ない?」
丹生谷「えっ......?」
勇太「嫌じゃなかったら。こんなイベント皆で楽しんだ方がいいじゃん。
俺だけじゃなくて六花と一緒に夜のクリスマスの飾りつけも食事もわいわいして、
くみんも、凸守も、七宮も、みんなで一緒にさ。楽しむんだよ。
格別部活の時と変わらないかもしれないけどさ、でも楽しいなって思うんだ」
丹生谷「わ、私は......極東魔術なんたらに入った覚えはないけど」
勇太「えっ?もうお前は入部届だしただろ?」
丹生谷「あれは......」
勇太「もうこんなことないかもしれないからな......。来年にはくみん先輩、卒業するんだし」
丹生谷「......」
勇太「もし時間あるなら、12月23日でもいいから。今年行こう?」
丹生谷「......。嫌よ。そんな気遣いだなんて」
勇太「別に気遣いって!」
丹生谷「ごめんなさい。私そういうの嫌いなの。小鳥遊さんも中坊も憧れの景色に面倒見るの嫌なの。
それにくみん先輩がかわいそうってそれ富樫君の感想じゃん。他でやって頂戴よ」
勇太「違うって!」
丹生谷「富樫君のこと嫌いになりそう」
勇太「......。ごめん。ただ楽しいってだけじゃダメなのかな......」
丹生谷「もうすぐクリスマスなのよね......」
勇太「うん......」
丹生谷「......」

トイレ行くわ、との丹生谷のセリフを聞いて、思わず罪悪感と友達へのいら立ち、
そして丹生谷の気持ちと平行線になったこの世界への脱力感で、机の上をただじっと見ていた。
人の声が眩しいようなやかましいように聞こえる声を微弱な体で受けとめる。
でも口が寂しいので、食べ終わりかけのディアボラを口にする。辛い。元気が出る。
でも。丹生谷......。
あ、帰ってきた。
丹生谷「よっこらしょ!」
勇太「......。......。......。 にぶ? にぶ!!」
丹生谷「あー気持ちいい!」
勇太「俺の膝の上に座っているんだが!」
丹生谷「いいクッションね~」
勇太「降りろ!」
丹生谷「なんか臭い息が聞こえているんだけど」
勇太「(こいつ......怒ったと思ったら遊んでやがる!!心配したのに!!!)」
お前のせいで、目の前がお前の垂れる髪と背中しか見えない!匂いが女の子過ぎて頭がどうかしそうだし!
しかも太ももに体重かかって重い!血管が止まる!
勇太「行儀悪い!周り見てるぞ!」
丹生谷「......」キョロキョロ
勇太「(よし!降りろ!)」
丹生谷「ないじゃん......」
はぁ......。こうなったら、膝を揺らす攻撃だ!
勇太「のいて! (重すぎて揺らせなかった)」
丹生谷「あははは。そんなことあったわよね~」
勇太「携帯で遊ぶな!のいて!」
丹生谷「後ろうるさいの。ごめんね」
そうだ!あいつ俺のこと大っ嫌いだったよな!こんなことするし!
先端の髪をそっと吹き飛ばしてやる!
勇太「ふっ。ふっ!。ぶっ!!!」
丹生谷「やめて富樫君!」
勇太「されたくないんだろ!俺も同じ気持ちなんだよ!分かるか!」
次は、こちょこちょ......したら本気で殴ってきそうなので、小さく腰回りをつん・つん抵抗する!
勇太「つん つん つんつんつん」
丹生谷「あははは/// やめなさい///」
勇太「つん♡ つん♡ つん♡」
丹生谷「あ、今。胸触ったでしょ」
勇太「   は   ? 」
丹生谷「セクハラ。このこと訴えるから」
勇太「(えっ......どうしよ......。触ってないよな。腰の周りだけだよな。なんで?いたい…..)」
丹生谷「なんか足垂れさがっているんだけどなんとかして!」
勇太「(いたい!いたい!いたい!いたい!足がもう限界!) おい丹生谷!重い!」
丹生谷「はぁ!!!???なんですって!女の子に失礼でしょ!我慢しなさい!」
そう丹生谷は言うと、俺の願いは確かに届いたようだ。
丹生谷は膝から立ち上がり、希望の遮光が隙間から見える。膝の痛みが一瞬で止まった。
丹生谷「よっこらせっと!はぁ♡」
なんと、体をじりじりと動かし俺の腹に来るというか、
リクライニングチェアーに背を乗せる感じで、俺の自由が完全に縛られる!
なんとか彼女の腰の前に手を回せたようだが、
腹を持ち上げると「爪が食い込んでいたい!」と言われたため何もすることができない!
丹生谷の髪の後頭部の甘い香り。丹生谷のぷにぷにした柔軟な背中。丹生谷の大きな太もも。それとは対称な重み。
くんくん、と俺は嫌がらせするが開き直ったのか飽きたのか全く動じない。
それに鼻の0cm先にある髪が良い匂いすぎて口がニヤニヤしてしまう。
丹生谷ってこんな性格してて、本当は外見みたいに素敵な人じゃないか

あ///
股間がこんなときなのに温まってきちゃった/// たっちゃった/// たっちゃったよう!!!///  
勇太「のいて/// のけよ///」ジタバタ!
抵抗するが動じてくれない!まずい!まずい!まずい!まずい!
バレたら→丹生谷に驚かれる→丹生谷にバカにされる→六花に言いふらされる→六花に振られる→勃ったのは事実である→結婚おめでとう♡
ああああああああああああ!!!!!!いやだ!いやだ!!!こんな形で結婚はいやだあ!!!
勇太「のいて/// のいて///」ジタバタ!ジタバタ!
まずい勃っちゃったよう!!!丹生谷のスカートの中にある秘部の肉が分かっていく!恥ずかしい///
俺の手もいつの間にか丹生谷のすらっとした腰を絡むように抱いているし!
ぼっき......もう/// 我慢できない///
勇太「ああああ!!///」ジタバタ!ジタバタ!
丹生谷「いたいわねえ!!!」立つ
よかった~!俺は後ろを振り返られる恐怖心からそれが見れぬよう即座に足をクロスし、
本当は嬉しいんだけど怒った顔をする。
すると丹生谷は隣に戻った。辱めを受けるなんて......!!!
最初から、遅刻のこととか、浮気しているんじゃないかとか、金たかってくるとか、こいつ失礼すぎだろ!
あいつが地獄に落ちたら周囲を驚かせるほど高笑いしてやる!
とまあ、でも、丹生谷の笑う顔を見るとなんだか癒されてしまうのであった。

勇太「」水ごくごくごく ふぅ......
丹生谷「」携帯ピッピッピ
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「(そろそろ潮時かな......?) 丹生谷、もういい?」
丹生谷「そうね。会計」
勇太「会計俺が払うよ」
丹生谷「私が払う」
勇太「いや俺に任せて。ここまで練習してくれたお礼だし。それに4000円だし」
丹生谷「悪いわよ」
勇太「いいっていいって!割り勘したかった?」
丹生谷「あ、私、お金持っているからー」クーポン
勇太「なにそれ!?」
丹生谷「ふふ~ん!」
勇太「すげーーーー!!!!丹生谷さすがー!!!」
丹生谷「ふっふー!!甘く見ちゃ困るわね!!!」
勇太「どこで見つけたの!!?」
丹生谷「ま、大人が見る雑誌ね」
勇太「すごいすごい!!!丹生谷!」
丹生谷「こういうのも見なさいよ。たまには役に立つんだから」
勇太「おおっ!うん!ありがとな!!!」
丹生谷「先行ってていいわよ」
勇太「なんか悪いから一緒で///」
丹生谷「そう」

カウンター

「ご注文の会計が、計3801円になります」
丹生谷「ありがとうございます!!!」
「あ、いえいえ!」
丹生谷「あ、これなんですけど~」クーポン
「これ......あ、分かりました」ピッ ピッ
丹生谷「はい!」
「…...。あの」
丹生谷「はい!」
「これ効くの、先月末までなんです~」
丹生谷「えっ......」
「......」
丹生谷「......」
「......」
丹生谷「......」
「......どうされますか?」
丹生谷「え......あの/// あはっ/// 払います!持ってますから/// あはははは///」
「はい......。会計が3801円になります」
丹生谷「はいー///」払い
「ありがとうございましたー」

勇太「......」トコトコトコ
丹生谷「......」トコトコトコ
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「すぅ......はぁ......」
勇太「......」
丹生谷「すぅ......はぁ......」
勇太「......」
丹生谷「あっついわね~」
勇太「......」
丹生谷「......あ。」
勇太「......」
丹生谷「けほっ」
勇太「......」
丹生谷「けほっけほっ!!!吸いすぎた。すぅ......はぁ......」
勇太「......」
丹生谷「......けほっ。けほっけほっ! けんっ」
勇太「......」
丹生谷「けほっ、けほっけほっ!けほっ、けほっけほっ! んん!!」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......けほっ。けほっけほっ。けほっ」
勇太「プッ!」
丹生谷「けほっ///けほっけほっ///ごほん///」
勇太「プックススススははっ......」
丹生谷「......けほっ///」
勇太「あははははははははは!!!!!!!!!」
丹生谷「ごほっ!ごほっ!  な に よ!!///」
勇太「あははははははははは!!!!あはははははははははははは!!!いひー!」
丹生谷「......///」カアァァァァァァァ///
勇太「間違えた!!!あの丹生谷が ま ち が え た ぎゃはははははははっははははは!!!!!」
丹生谷「きゃああああああ!!!!富樫君!!!」
勇太「ま ち が え た!ま ち が え た!あははははははは!!!!」
丹生谷「人が間違えるなんてあるでしょう///!!!!」
勇太「あははははははは!!!!
丹生谷「黙って/// 富樫君黙ってよ/// 」
勇太「あははははははは」
丹生谷「もうやめて/// なんでもするからやめて///」
勇太「ははは!!!はは......ははは......」
丹生谷「もう/// 富樫君が悪いんでしょ!!!富樫君が悪いんだよ!!!/// 
あのときラーメンが食べたいとか論外なこと言うから!!!!」
勇太「いや、丹生谷がイタリアンレストランに行きたいって言ったから、わざわざ俺は付き合ったんだぞ?」
丹生谷「じゃあ最初から食事の店決めればよかったのに!マナー違反じゃない!!!
彼氏としてほんとにほんとにほんとに最低―!!!」
勇太「じゃあなんで期限切れのクーポン持ち歩いているんだよ!!!」
丹生谷「それは......いっぱい割引券あったから役に立つと思ったからよ!!!」
勇太「役に立ってないじゃんか!!!」
丹生谷「....../// 富樫君が行き先決めとけばよかったんでしょ!この鈍感男!!!」
勇太「何で俺が悪いんだよ!!お前が間違えたのが悪いんだろ!!!」
丹生谷「ああもう!!!結論:富樫君が悪い!!!!そうじゃないとだめなのお!!!」
勇太「なんでさ、偶然イタリアンレストランで、偶然その店のクーポン持ってんだ?」
丹生谷「それは......///」
勇太「結局、イタリアンレストランに通い詰めてクーポンが溜まったので消化したかったんだろ!!!」
丹生谷「聞きたくない」
勇太「雑誌で集めたなんて嘘で、ちまちま集めた努力の結晶だろ!4000円って雑誌であるわけないだろ!」
丹生谷「知らないもん/// 知らないもん///」
勇太「おバカな富樫君だからまんまと信じ込んで、
丹生谷って大人だ―!すっげええええ!!!って言われたかったんだろ」
丹生谷「......///」耳塞ぎ

勇太「この見栄っ張り!」
丹生谷「......///」
勇太「......。会計私が払うー!」
丹生谷「......///」
勇太「あ、富樫君が4000円支払う。困ってそうだぞ。よーし!私の稼ぎチャーンス!!!」ウキウキ
丹生谷「......///」
勇太「じゃじゃーん!クーポン!無知でバカな富樫君知らないけど、これ『雑誌』で取ったんだ!いいでしょ!」
丹生谷「......///」
勇太「まぁ、大人がみる者だからねー。苦笑」
丹生谷「......///」
勇太「あ、私、お金持っているからー」
丹生谷「......///」



丹生谷「......///」






丹生谷「終わった......?」












勇太「ドヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」




丹生谷「いやああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」





丹生谷「やめて///やめて///やめて///やめて///やめて///やめて///いやーーーー///////////////////」
勇太「お前が嘘ついたのがいけないんだろ!!」
丹生谷「やめてええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!
いやあああああああああああああああ//////////////」
勇太「だいたい見栄っ張りのせいで俺まで恥かいたんだから、その虚構にまみれた鼻高くするのやめろよ!」
丹生谷「いやあああああああああああああああああああんんん」
勇太「自分の黒歴史にまた一つ増えたな(笑)」
丹生谷「やめてえええええええ/// もう現世で恥かくのいやなのおおおおおおおおお!!!!」
勇太「じゃ日付ぐらい確認しろ!!!」
丹生谷「きゃあああああああああああああ/// もういや/// いやあああああ///
殺してー/// 殺してー/// ああああ///」
勇太「勝手にやってろ!!!」
丹生谷「あああ....../// ぐっす…..ひっぐ......うぅ......」
勇太「泣くなよ。お前が全部悪いんだから、な?」
丹生谷「富樫君が悪いんでしょ!!無能みたいにデート振る舞ってー。何度注意したと思う!!!?
私、我慢したんだよ!!!!慰めてほしい......」
勇太「関係ないだろ!!!」
丹生谷「謝って!」
勇太「逆だろ!俺に向けて!」
丹生谷「謝って!!!」
勇太「やだ!」
丹生谷「謝ってん!!ほらっ!」
勇太「......」
丹生谷「謝ってん!!」
勇太「......」
丹生谷「ほらっ!謝ってん!!」
勇太「すみませんでした......」
丹生谷「謝って!」
勇太「すみませんでした......」
丹生谷「土下座」
勇太「申し訳......ございませんでした...... orz」
丹生谷「はぁ。しっかりしてよ」
勇太「はい」
丹生谷「......」
勇太「(あいつが悪いのに......!)」
丹生谷「ふぅ......。あーすっきりしちゃった!!!空が奇麗ね!!!」

くっそ!なんだよあの態度!
丹生谷に頭が上がらないせいであいつバカにしまくってきているじゃんか!!
クーポン間違えたの俺じゃなくて丹生谷のせいだよなー!!!あーイライラする!対抗手段ないし!
消えてほしいけどそうじゃないし!!!あーでも!ああああ!!!

あ。

俺は人通りの少ない路地を選んで、丹生谷に話しかけた。
勇太「あのさ、お願いがあるんだけどな......」
丹生谷「なによ?」
勇太「パスタおいしかった?」
丹生谷「へっ?うん......」
勇太「あの。頼れる人で、女性っていったら、もうお前しかいなくて」
丹生谷「え?どうしたの?」
勇太「丹生谷、「ヒ」って言ってほしい」
丹生谷「はぁ!?だからなに!?」
勇太「お願いだから言ってほしいんだ。この通り」
丹生谷「引っかからないわよ!罠でしょ!どうせバカな富樫君がしこんだことでしょ!
残念でしたー!黒歴史学校中にばらまいてやろうかー!!?」
勇太「真剣に悩んでいるんだぞ!!!!!!? もういい。もう......いいよ」
丹生谷「え、まじ?本気?」
勇太「いいよ。どうせ六花と疎遠になったって」
丹生谷「ちょ。ちょっと」
勇太「ありがとな。ごめん」
丹生谷「あー!もうなんなのよ!!私にできることならなんでも言って。「ヒ」はい」
勇太「できるだけ俺に顔向けてほしいんだけどさ。その次に「ヒ」って」
丹生谷「「ヒ」?」
勇太「次が「フ」なんだよ」
丹生谷「「フ」?」
勇太「ヒ ヒ フ」
丹生谷「ヒヒフ?」
勇太「ヒー ヒー フー」
丹生谷「ヒー ヒー フー ん???」
勇太「ヒー ヒー フー」
丹生谷「ヒー ヒー フー」
勇太「ヒッ ヒッ フッ」
丹生谷「ヒッ ヒッ フッ」
勇太「ヒッ ヒッ フー」
丹生谷「ヒッ ヒッ フー」
勇太「ヒッ ヒッ フー」
丹生谷「ヒッ ヒッ フー」
勇太「......」
丹生谷「ヒッ ヒッ フー
ヒッ ヒッ フー
ヒッ ヒッ フー
ヒッ ヒッ......




......



ああああああああああああ////////!!!!!!!!!」


勇太「あははは!!本日二発目!!!」
丹生谷「とがしくん!!!とがしくん!!!!!!」
勇太「お前情に流されるとほんと弱いな。あはははは///」
丹生谷「セクハラ!!セクハラだから!!!訴える!!!」
勇太「あははははははは!!!!!!将来の顔が分かった!」
丹生谷「最低!!見損なったわ!今日のあんた!ド変態!!!」
勇太「それもこれも丹生谷が勝利をかっさらうせい」ボソッ
丹生谷「はああああああああ!!!!???」
勇太「あはははは!!!あははははははは!!!!勝った勝った!丹生谷、顔赤いぞ」
丹生谷「もう許さないんだから!!!!!!!!」グリグリグリグリ
勇太「いたい!いたい!いたーーーーーーーーい!」
丹生谷「お前は何やっとんじゃ―――――!!!」グリグリグリグリグリグリグリグリ
勇太「あははいたいいたい!いてーーー!!ああぁぁぁぁいたぁーい......」

勇太「もうやらないので許してください」ぐす......ひっぐ......うぅ......
丹生谷「当たり前でしょ。だいたいね、私が何のために来たか分かる?」
勇太「うん......」
丹生谷「はぁ」
勇太「はなみじゅが、はんがちぬれぬれになっだー」
丹生谷「ああもう!!!何で持ってきてないの!?はいハンカチ、使いなさい」
勇太「ありがどーごじゃいまじゅ。あらっでがえじゅ。ガバンづいてどれなぐで」フキフキ
丹生谷「うーわっきったな。なんであんたの子守をしなきゃいけないのよ!」
勇太「ありがとうございます。もうしません。たぶん」
丹生谷「はぁ!?何か私にあったらこればらすからねじゃあ次行わよ」
勇太「待って!それは想定外だろ!!」

第4話「私は今、馬に乗っている」

勇太「イタリアンレストランの料理、マジでうまかったなー!どの店にもあのディアボラはなかったし!」
丹生谷「あそこ美味しいわよね!!チーズトマトピザのチーズが異様に長くて、
しかもチーズたっぷりだからびっくりした!!!」
勇太「鹿肉どうだった?」
丹生谷「なんていうか例えられない特有の味だったわ。でもジューシーでおいしかった」
勇太「そうなのか今度食べようかな。なんか腹減ってくるな///」
丹生谷「大食い!///」
勇太「次......」
丹生谷「どこ行く?」
勇太「映画館行く?別にする?」
丹生谷「私はいいわ。何見たいの?」
勇太「うん」
丹生谷「どんなジャンル見てるの?気になる~」
勇太「その......恋愛もの」
丹生谷「あ、私に気遣わなくていいから」
勇太「だから恋愛もの///」
丹生谷「えっ!?うそっ!?あの富樫君が!ありえなーい///」
勇太「本気で好きなんだって!」
丹生谷「鈍感なのに!?デートアシストしてもらうほどなのに!?」
勇太「やめろリアルは違う/// 俺も胸キュンするの好きだから......。
女子に混じって上映楽しんでるんだけど終わったら気分が楽になるのが最高だよな!
特に友達の関係を築く甘い蜜が!!!」
丹生谷「恋愛もの好きなんだ......きしょ!」
勇太「わるうございました!......どうせなら褒めてくれてよかったのに」
丹生谷「はぁ!?あんたといてちっとも嬉しくないわ!
そんなに好きならもっとエスコートぐらいできるでしょ!」
勇太「作りと現実は別だろ!恋愛映画の中ならいつでもイケメンになれる!」
丹生谷「うっわーーーー!!!ナルシスト!!!鏡見たら?
まぁ面白い作品はそうよね。私ね、映画好きじゃないの。なんつーか。暗い」
勇太「ああ~」
丹生谷「日本の作品って何か暗いのよ。じめじめしてるというか。
ぼそぼそ何喋っているのかBGMにかき消されて聞きにくいし!
人が暗さで分からないし!謎の顔ドアップがきもっ!展開長いしつまらないし!
電話切れたときの、もしもーし、のあれ何!?棒読み俳優金払っているのに呼ぶな!それに高いし!」
勇太「全部嫌い?」
丹生谷「逆だったらいいのよ!最初から最後までギャグに徹していると笑って終わってみてよかったって!」
勇太「そうそう!分かる!青春ものを見終わって上映から出るときのあのさっぱり感ずっと浴びていたい」
丹生谷「よね~!名作は違うわ。駄作は詐欺。これ絶対」
勇太「じゃ、スルーしていい?」
丹生谷「うん」
勇太「次は......」
丹生谷「ねえ、君の膵臓を食べたいって映画あったじゃない。
甘い蜜の詰まった青春映画っての聞いているんだけど、どう考えてもタイトルがパニックモンスター映画よね/// 
キサマノシンゾウヲヨコセー ワタシトヒトツニナロウジャナイカー!!! ガブリムシャムシャ」
勇太「/////////// ほらっいくぞ///」

取りあえず街をぶらぶら歩こうと散歩する。そうだ!ショッピングモールに行こうか!
丹生谷っていい人だよな~。わざわざ俺と付き合ってくれるし、フォローしてくれるし。
されてばかりだ。それに......俺男の子だし。
整った鼻、くりっとした目、ふくよかな胸、スラっとした腰つき、しり......。
あかん......股間がおっきくなっちゃう......!
でも服にセンスを感じないというか、そこでマイナスに感じてしまう。
例えば、あそこで過ぎ去っていく歩いている夏服の女性。
上は茶で下は白、スカートも白くてもふもふでかわいい。まるで天使の衣装。あ、以外と顔もいいかも......。
丹生谷「富樫君......富樫君......富樫君!!!」
勇太「ひっ!?」
丹生谷「首、あっちのほうに向いてたわよ!人危ないからこっちに寄りなさい!」
勇太「すまん景色が奇麗でさ」
丹生谷「お猿さんみたいにあっち向いてたじゃない!」
勇太「見てない!」
丹生谷「ほんとに......?」
勇太「悪かったよ。ただ服が奇麗で丹生谷もそうだったらいいなーって思っただけ」
丹生谷「分かったわよ!ごめんね私、かわいい人じゃなくて!」
勇太「丹生谷も丹生谷もかわいいって!ほんと!」
丹生谷「ほんと?嘘でしょ」
勇太「だからごめんって!」

丹生谷「あ~疲れた。休憩しましょう。行き先のないぶらぶらやめてよね!」
勇太「えっと......あ、あそこの噴水、公園じゃないか?休もう?」

しろみさき公園

勇太「(しろみさき公園か......。初めてだな)」
丹生谷「えっと、あそこに座りたい!」
勇太「......よっと」座り
丹生谷「はぁ疲れた」座り
勇太「(もう暑い。帰りたい。のども焼かれるようにカラカラ......)」
丹生谷「はぁ」
勇太「丹生谷、買ってこようか?ペットボトル」
丹生谷「うん。なんでもいいわよ」
勇太「(確か公園から出てそのビルの裏に自販機があったな。......うん、味、これでいっか)」

さて丹生谷のところに戻ろう。公園に入って、丹生谷はどうやら携帯をいじっている。俺に気付いていない。
あ、そうだ!やりたいこと!ペットボトルを彼女の頬にぴっつけて
「きゃっ!」「ほらよっ(イケメン顔)」「もぉー富樫君ったらー///」って言わせるのがやりたいなあ!
くぅー丹生谷の赤い顔楽しみー!
ベンチにそろっと近づいて目の前に来たが、何も気づいていない。
しめしめ。このまま丹生谷の頬の1cm近くまで持ってきた。
でもせっかくだから絵柄を見せてびっくりさせたいなー。俺はペットボトルを回す。
でもちょっとずれてる?丹生谷の頬の位置と絵柄を合わせる。合わせたい。あ、いきすぎた。いや、もうちょ。
丹生谷「え、なに?」ガンッ!!!

丹生谷「いったあああああああああ!!!!!!なにすんのよ!!!」
勇太「わわわわわわ!!!」
丹生谷「富樫君!!ふざけないでよ!!!」
勇太「ごめんごめん!ごめんなさい!」
丹生谷「肌に傷ついちゃうじゃない!!!!!!!」
勇太「でも俺だって喜ばせたくてやったんだぞ!」
丹生谷「ああ!もういいわ!貸して!」
勇太「はい」ペットボトル
丹生谷「ったく!ゴミゾニアンサスなんだから!」
勇太「(ありがとうぐらい言えよな!非常識め......。あっ) この度は飲んでいただきありがとうございます!!!」
丹生谷「気をつけなさいよね!!!いたかったの!......使えない!」
勇太「ありがとうございます!!!お味はいかがなさいますか!!」
丹生谷「だめね。全然!!!」
勇太「私という存在がご不快にさせてしまい申し訳ございませんでした!」
丹生谷「当たり前よ」ごくごくごく
勇太「申し訳ございませんでした!」
丹生谷「まぁいいわ。座りなさい」
勇太「はい」座り
丹生谷「ねえこれ、私のためにペットボトル運んでくれたんでしょ。ありがとね/// よしよし」なでなでなでなで
勇太「へへっ///」
丹生谷「もうかわいいんだから~///」なでなで
勇太「(こういうの好きだったりする///)」

勇太「(あっつ~。なでなでされるの嬉しいけど、丹生谷手がべたつかないのか?
全身びちょびちょだろー。俺ものど乾いたわ。飲もう)」ごくごくごく
丹生谷「ん~♡」
勇太「......。......。」ごくごくごく
丹生谷「んん~♡」
勇太「なんだよ!!見んな!」
丹生谷「別に」
勇太「......」ごくごくごく ぷはっ!!!はぁー。
丹生谷「んんんんんー♡♡♡」
勇太「(もういいや......。あっつ)」胸元ばさばさ
丹生谷「おおー♡」
勇太「(あっつ)」胸元ばさばさ ばさばさ
丹生谷「おほーーーーーー♡♡♡」
勇太「(なんだよ!もう......。顔中汗だらけだな)」服の裾 顔フキフキ へそチラチラ
丹生谷「うほっー♡うほっー♡うほっー♡」
勇太「なんだよ!」

勇太「さあ、行こうか」
丹生谷「ねえ、富樫君。もしかして......狙った?」
勇太「は?」
その周りは、なんとカップルだらけじゃないか!!!ハートの水流でできた噴水!
ハート型のベンチ!ハートの石像!嬉しそうに見つめ合ってるカップル/// やべえ///やべえ///
丹生谷「行くの///」
勇太「えっ......恥ずかしい/// 逃げよう」
丹生谷「えーせっかく来たのに///」
勇太「ここ本当にカップルの居る場所だろ!
俺いつも通っている場所が12月24日にカップルの聖地にされてから居場所取られた気分がするんだよ!」
丹生谷「楽しそうだもん///」
勇太「(でもデートの練習のためといえば、
確かにこんな場所うろつけられるのカップルだけだよな。練習になるし) あの......行こう?」
丹生谷「やったー!大好きー!」腕ギュ
勇太「もうやめろよー///」腕ギュ

丹生谷「見て見て!噴水!噴水!水がハート型!!!かわいいい!!!!!」
勇太「こんな場所みたことなかった......」
丹生谷「涼しい―!」
勇太「(周りカップルのところに、俺も参入できるのか......へへっ冴えない男子ども、勝った!)」
丹生谷「涼しいー!ねえ、水、触っていい?」
勇太「ダメだ!ばっぢいだろ!」
丹生谷「あぅあぅ~富樫君が私のこと守ってくれるー♡」指触り
勇太「こらっ周りの人見てるぞ///」指握り
丹生谷「ふふっ/// 触られた///」
勇太「触ったー///」
丹生谷「離して気持ち悪い!」
勇太「こらっ///」

丹生谷「ねえ、あのフェンス、カップルが何かやってない?」
勇太「ほんとだ。なんだろ?」
丹生谷「行ってみましょ」
勇太「あー、なるほどな。カギか。二人の名前をペンで南京錠の表面に書いて鍵でフェンスにロックする。
すると二人が成就するジンクスってやつだな」
丹生谷「ねえねえ、まるでデートスポットじゃない///」
勇太「だからデートスポットって言っただろ!」コツン!
丹生谷「いたい!」
勇太「あ、ごめんな。大丈夫か?」なでなで
丹生谷「うん///」
勇太「南京錠ください!」
丹生谷「あ、買ったの?」
勇太「うん。丹生谷、食う?」
丹生谷「なんでそんなの食わないといけないよの/// あっはっはははは///」
勇太「おいしそうな顔してたから///」
丹生谷「なにそれー///」
勇太「(フェンスに来た。多くの南京錠が風でぶらんぶらん揺れている。
隣でカップルがやってるけど緊張するなー)」
丹生谷「恋を願いたい二人の名前を書くの?」
勇太「そうだよ。(こいつと......?)」
丹生谷「まず富樫君が書いてよ」
勇太「うん」カキカキ
丹生谷「字、きったな」
勇太「南京錠だぞ!お前だってそうなるだろ!」
丹生谷「え~と、私は......、 いいの?私で」
勇太「......」
丹生谷「......ねえ。やっぱり......ね」
勇太「丹生谷♡」手 握り
丹生谷「きゃっ///」
勇太「デートの練習中だから」
丹生谷「......そうね♡ ふふっ♡ よーし書いちゃうぞー! ......出来たわ!」
勇太「見せて見せて!」
丹生谷『 とがしゆうた♡にぶたにしんか 』
勇太「くすす/// なんかなー相合傘思い出した!」
丹生谷「これかわいい///」
勇太「持って帰っていい?」
丹生谷「だめよー/// 付けるの!///」
勇太「誰がつける?」
丹生谷「それは......そうね」
勇太「じゃ、一緒にやろう///」
丹生谷「うん///」
勇太「指、重ねて」
丹生谷「うん」
緊張する。南京錠の鍵の上、俺の人差し指の上に柔らかい丹生谷の人差し指の肉球が重なる。
俺と体がくっつくように柔軟な丹生谷の肩がそっと触れている。
その匂いはまさに女の子だ。こんなことされたら顔が赤くなる。理性が持たない///
勇太「せーの!」ガチャ!
丹生谷「せーの!」ガチャ!
『 とがしゆうた♡にぶたにしんか 』
勇太「ひひっ///」
丹生谷「ふふっ///」
勇太「いいね......///」
丹生谷「......///」パシャ パシャパシャ
勇太「おいっ!取るなよ!」
丹生谷「こんなにかわいいのよ!ばらさないから大丈夫!」
勇太「やめてくれよ......。その......恥ずかしい///」
丹生谷「ふひひっ......///」パシャ
勇太「おいいいいいいいいいいっ!!!」
丹生谷「富樫君の顔かわいかったんだもん///」
勇太「やっていいことと悪いことがある――――!!!」

丹生谷「ベンチに座りましょ!!ほらあそこ!
ハートマークのベンチ!ハートの石像!マジかわいい!!!」
勇太「俺はただいま不貞腐れている」
丹生谷「もぅーノリ悪いよ///」
勇太「誰のせいだと思っている!......責任を取れ!」
丹生谷「え、なに。え......まさか、結婚しろって/// きゃーーーーーー!!!!」
勇太「今日の丹生谷はあからさまにおかしいーーー!!!これだけは断言する!」
丹生谷「富樫君だっていつも私と話しないじゃん!!!」
勇太「ちょっと待った......じゃあ、俺も、実は、おかしかったりして///」
丹生谷「え、本気で私と結婚するの!!!?? やめてよ......」
勇太「なんでそうなるんだよ///」
丹生谷「ねえねえ、早く座ろうよ!」
勇太「うん......」
丹生谷「あはー!これがハートの石像!!!すべすべしてるーーーーーー!!!」
勇太「本当だ」
丹生谷「あ、富樫君!!カップルが石像を触ると結婚するらしいよ!」
勇太「 は   ? 」
丹生谷「ねえ、やば、く、ない......?」
勇太「    」
丹生谷「うっそー!!!!やーいばーかーばーかー」
勇太「おい!俺怒ったぞ!でもすべすべしてるな」
丹生谷「かわいいよね」パシャ
勇太「すごいよな。これどうやって作ったんだろう?」
丹生谷「石ってこんなに丸くなるのね。あつっ!!!」
勇太「丹生谷!?」
丹生谷「太陽のせいで。うん、大丈夫」
勇太「ん?おい、丹生谷。こっちのベンチのハートマーク。
これベンチの真ん中にも小さくハートマークの石があるぞ!!!」
丹生谷「え!?うそうそ!!!」
勇太「わーすごいなーーー!!!!」
丹生谷「かわいいいいいいいいいいい!!!!!!きゃああああああ!!!!」
勇太「ハートマークの周りがキラキラしてるー!!」
丹生谷「すごーい。あ、硬い!」つんつん
勇太「ざらざらしてるけど、まるでネックレスみたいな位置だよな」
丹生谷「かわいい!あ、写真撮ろう!富樫君と私を入れて」
勇太「いやだよ、一人でやれば!」
丹生谷「なんでよ!」
勇太「恥ずい///」
丹生谷「むぅ/// 富樫君のバカ///」
勇太「(何この顔かわいい......♡) よしっ♡よいしょっ!」
丹生谷「富樫君、右に座るの?私、左ね」

勇太「スマホ? 人差し指と親指でハートマーク作ろ!真ん中の石を囲う形で!」
丹生谷「指、ぶるぶる震わせないでよ」
勇太「分かってるって!(丹生谷と体が接触できてうれしい///)」
丹生谷「撮るよー!はいーちー」
勇太「ちー!」
丹生谷「......あれ?角度が......。こうじゃない......」
勇太「丹生谷、大丈夫?」
丹生谷「話しかけないで!......こう......ああ、もう!」
勇太「俺がやろうか?」
丹生谷「うるさい!黙って!」
勇太「チッ!なんだよ!(......。......。あ。ニヤァ)」
丹生谷「撮るわよ! はいーちー」
勇太「」耳ふぅ~
丹生谷「はぁああん///」パシャ
勇太「ニヒヒ」
丹生谷「とがしくん///!!!!!!やめなさい!!!!」
勇太「丹生谷があまり遅いもんで」
丹生谷「次やったら呪い殺すわよ!」
勇太「はいはい」ニコニコ
丹生谷「はぁ......。いくわよ。はぁ......。よし。富樫君。はいーちー」
勇太「」耳ふぅううう
丹生谷「にゃあああああああああん///」パシャ
勇太「お前耳弱いんだな///」
丹生谷「もうやめてよ///」耳ほじほじほじほじ
勇太「耳の中をほじるなよ!!!!!人が見てるだろ!!!」
丹生谷「見んなバカ///」
勇太「分かった。じゃあ、次はもうしないから」
丹生谷「もう信じてないわよ。......ほらっ、指合わせなさい!」
勇太「はい」
丹生谷「撮るわよ。はいーちー」
勇太「」ふぅううううううううううう!!!!
丹生谷「」ふぅうううううううううううう!!!!!!!!
勇太「お前今騙そうとしていただ」
丹生谷「」ふぅううううううううううう!!!!!
勇太「うわっ。おえっ。目が!目!」
丹生谷「」ふぅうううううううううううううううう!!!!!
勇太「」ふぅうううううううううううううう!!!!
丹生谷「」ふぅううううううううう!!!!
勇太「」ふぅうううううううううううう!!
丹生谷「」ふっふ!!!ふっふ!!!
勇太「」ふっふ!!ふっ!!ふっ!!!
丹生谷「」ふっ!ふっ!ふ!!!!
勇太「」ふっ!ふっ!ふっ!ふ!!ぶっ!
丹生谷「」ふっ!ふ!っふっ!ふ!
勇太「あの、丹生谷......。なんか俺達キスしてるみたい......」
丹生谷「あ......///」
勇太「......///」
丹生谷「......///」
勇太「ごめん......///」
丹生谷「......///」
勇太「かわいかった///」
丹生谷「もう///」
勇太「ちーず」パシャ
丹生谷「はい。ちーず」パシャ
勇太「撮れたな///」
丹生谷「世界で一番いい出来かもしれないかも///」
勇太「そうか/// それがこれって報われないな///」
丹生谷「ふふふっ///」
勇太「あはは///」

勇太「どこ行く?」
丹生谷「ねえねえ富樫君!!!高いわよー!」
勇太「こらっ!土台の上に登るな!(公園の土の集積なのか、草の生えた台形の大きな土台を、
丹生谷は小さな階段を登って笑っている。が、やめてほしい)」
勇太「危ないぞー!崩壊したらどうする!」
丹生谷「富樫君が抱っこしてくれるー!」
勇太「ああ、丹生谷!!危ないだろ」手握ぎ
丹生谷「高い!噴水もカップルも!大丈夫よ離して」
勇太「そこまでじゃないと思うが......」
丹生谷「ふんふんふん」手振り振り♪
勇太「やめろ/// みっともない///」
丹生谷「いえーい!富樫君、踊ろう///」
勇太「俺は踊らんけどな」
丹生谷「いえーい!みんなきまってるぅー!?」ニコッ
勇太「......///」手振り振り♪
丹生谷「ジャンプ―!ジャンプー!かたーい!土!」ぴょんぴょん
勇太「(丹生谷のはっちゃける顔初めて見た///)」ぴょんぴょん
丹生谷「ハイタッチ!!!ふーーー!!!」パンッ
勇太「いえーい/// ハイタッチ///」パンッ
丹生谷「いえーい!」手振り振り
勇太「いえー///」手振り振り
丹生谷「はぁ......。降りましょうか」
勇太「ええっもう!?」
丹生谷「富樫君ノリよかったわよ」トコトコトコ
勇太「なんでこんなことしたんだ」トコトコトコ
丹生谷「う~ん。高いから?」
勇太「(こいつにもこんな一面があるんだな......///)」

勇太「どこ行く?」
丹生谷「そうね、どこ行きたい?」
勇太「カラオケかな?」
丹生谷「え......///ちょっと恥ずかしい/// 準備できてないから」
勇太「恥ずかしいってなんだよ///」
丹生谷「映画見に行く?ホラー!」
勇太「さっきも話しただろ」
丹生谷「まさかひょっとして怖いのー!?」
勇太「ちゃうわ/// 平気だろ!怖いやつなんて小学生ぐらいだ!」バシッ!
丹生谷「いった!つまんないの!富樫君怖くて膝枕してあげようと思ったのになー」
勇太「見くびるな!次はショッピングモール行くか?」
丹生谷「そうね。暑いからとっとと店に入りたい!」
勇太「そうか」

勇太「(クレープ屋!)おいっ丹生谷!あそこにクレープ屋があるぞ!」
丹生谷「へえ!おいしそう!」
勇太「(女の子に気遣いを入れる......か) あ、あのさ、俺のおごりでいかない?」
丹生谷「え!!いいの!!!?どうして?」
勇太「....../// んなことより食べたい!」
丹生谷「......。悩むわねえ。どれにしましょう」
勇太「列、5分もあるな。それだけ美味しいんだろうな」
丹生谷「富樫君はどれにする?」
勇太「見てるだけで癒されるー」
丹生谷「ねー。涼しいわねー」
勇太「そうだな。丹生谷は何にする?」
丹生谷「と......富樫君と同じなのがいいな///」
勇太「なんで?」
丹生谷「......分かんない」
勇太「......」
丹生谷「富樫君と一緒がいい......///」
勇太「そうか。じゃあトロピカルパイナップルクレープ。おいしそうだよな。
あ。頼んだのって限定品の新作だって」
丹生谷「すごーい!トロピカルパイナップルってどんな味!!?今食べないと損損!」
勇太「お前限定品に目がない人?」
丹生谷「でも限定品よ!分かる!?今買わないと手に入らないのよ!!!」
勇太「おばさん気質」
丹生谷「ぶぅー//// おいしそうなんだもん♡」
勇太「列あと3人」
丹生谷「ねえねえ富樫君。聞いて。私ね前にね、
超レアバレンタインチョコレートがここでも販売されて。2時間も待ったのよ!
そしてとうとう私の出番だ!!!って喜んでいたら。目の前で、売り切れ」
勇太「はははっ///」
丹生谷「私どんだけくじ運ないの!!?どんだけバカなの!?って」
勇太「はははははははっ///。それは残念だったな」
丹生谷「私の人生3大の悲劇の殿堂入りに入ってる。で、友人に笑ってもらって呪縛を晴らす」
勇太「ははは。あ、出番だ。すみませーん」
丹生谷「......♪♪♪」
勇太「えっ!?ない!!もう、一個しかない!?」
丹生谷「えっ......」
勇太「丹生谷......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「どれにする?後つっかえているから」
丹生谷「ああ!もう!!!これだから現実って嫌なのよ!」
勇太「どうする?」
丹生谷「はぁ。マンゴークレープ。......と、抹茶クレープ。特大サイズで」
勇太「そんなに食べられるのか!?」
丹生谷「ふんっ......」

丹生谷「富樫君きたー。あんまりうれしくない......」
勇太「大丈夫だよ。二度あることは三度ある。けど、いつかその分いいことあると思う」
丹生谷「私なんかダメだー......」
勇太「そんなことないって!」
丹生谷「ま。悩んでもしょうもないわね」
勇太「」パクッ
丹生谷「......」
勇太「あ~む」パクッ
丹生谷「......」
勇太「うん♡おいしい♡」
丹生谷「......」じー
勇太「あ~む」パクッ
丹生谷「......」じぃー
勇太「うんおいしい♡」
丹生谷「......」じぃー
勇太「あ~......。なんだよ!顔になんかついてるか!?」
丹生谷「別に」
勇太「あ~む んん~♡」パクッ
丹生谷「ふふっ」
勇太「あ~む」パクッ
丹生谷「それおいしい?」
勇太「おいしいだろ。自分の食べたら?」
丹生谷「うっきゃーーー!!!」パクッ
勇太「ああっ俺のー!!」
丹生谷「一口もーらい♡ ふふっ♡」
勇太「自分の食べればいいだろ!」
丹生谷「富樫君がより一層おいしゅうございました」
勇太「こいつバカにしやがって!」
丹生谷「う~んマンゴー!はい。私の食べて」
勇太「......///」パクッ
丹生谷「きゃっ/// 間接キス///」
勇太「やめまい/// うまい///」
丹生谷「私も食べよっと」
勇太「うまい!!つめたい!!パイナップルな味が口に濃厚に広がる!!!」パクッ
丹生谷「うーん。おいしい!!!抹茶の味!なんでこんな!死ね!死ね!死ね!」ガブガブガブッ!!!
勇太「お腹壊すぞ/// 抹茶好き?」
丹生谷「ううん嫌い」
勇太「えっ......」
丹生谷「でも一度は食べてみたいじゃん!マンゴーも結構乾いた舌にとろけるようでおいしい!」
勇太「生地おいしくない?」
丹生谷「具のとろーり感と乾燥した生地の無地の味が相まってうまいわね!癖になる!」
勇太「ここ当たりだねー」
丹生谷「最高ってほどでもないけど、なかなかって感じ?」
勇太「ん~♡」パクッ
丹生谷「富樫君、食べて」
勇太「は!?まだ一口ぐらいだろ!!!」
丹生谷「飽きた」
勇太「もったいない。あのなあ、このクレープができるまでにたくさんの製造者さんの熱い思い」
丹生谷「もう!!!分かってない!!いいわよ!!!」
勇太「ああはいはい。食べます食べます」
丹生谷「味見?食べたかっただよ!富樫君嫌い!」
勇太「(腹立つ......。でもこのクレープに開いた穴、間接キスだよな......。
嬉しいと言われれば嬉しい......///)」パクッパクッ
丹生谷「......。......」携帯ピッ ピッ
勇太「......」
丹生谷「......」ピッ ピッ
勇太「(両方、最後の一口)」パクッ
丹生谷「あー!!!!なんで食べちゃったの!!私食べたかったのにー!」
勇太「いらないっていったじゃん」
丹生谷「残してくれなかったのー!独り占め!最低!!!」
勇太「(むっかつく!)」

勇太「今何時だ?」
丹生谷「今1時30分ね」
勇太「そっか。じゃあまだ遊べるな!」
丹生谷「うん......」
勇太「」トコトコトコ
丹生谷「」トコトコトコ
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
丹生谷「ねえ/// 富樫君///」
勇太「なに?」
丹生谷「富樫君の好きなゲームってなに?///」
勇太「なんだよ唐突に!」
丹生谷「買いたいゲームってあるって朝言ったじゃん!」
勇太「俺は任天堂やソニーのゲームが大好きだな///」
丹生谷「へえ/// どんな///」
勇太「(......。まさかゲームを買う資金源を当てにショッピングで財産奪うつもりなんじゃ!!!)」
丹生谷「富樫君の/// 気になる―///」
勇太「ない!」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「ふんふ~ん♪ふ~ん」髪直し
勇太「......」
丹生谷「ふ~ん♪」髪さらっ
勇太「あのさ。俺に顔見せつけるのやめてくれないか?」
丹生谷「ふ~ん♪」髪チラチラ さららっ!
勇太「何が目的なんだよ。美容院?」
丹生谷「いや、違うわよ」
勇太「じゃあ前見ろよ。危ないぞ」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「ねえ/// 富樫君の好きな食べ物って何?」
勇太「えっ.......イチゴ」
丹生谷「富樫君イチゴ好きなんだ/// 私も大好き―///」
勇太「ショートケーキに乗る甘い香りが好き」
丹生谷「そうなの/// わたしもわたしも//// 
ショートケーキにちょこんと乗るイチゴが子供みたいでかわいいよねー////」
勇太「イチゴよりメロンのほうが好きかな」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......。もういい。帰る」
勇太「へっ?」
丹生谷「......」トコトコトコ
勇太「お、おい!......行っちゃった。まぁ。すぐに帰ってくるだろう」

3分後

あれ、帰ってこない!!!あいつほんとに帰っちゃった!!!!
どこいったんだよ!!!
確か駅の方だったよな。まだそんなに時間は立っていない。
はぁ......。はぁ......。はぁ......。けほけほっ。
いない。エスカレーターにも改札口にもいない。
他の店に寄り道してるとしたらもう会えない!丹生谷、どこだよ!!!
俺はぜいぜいと息を切らして汗を流しながら、丹生谷を口に当てて、探し回る。
どこいったんだよ。
人ごみの中を探すが、周りが多すぎて視界が封殺されている。
......でも、何か聞いたような足音がする。
あ。いた!!!!!!俺の後ろに小さくいた!

勇太「丹生谷!!!」
丹生谷「......」
勇太「申し訳ございませんでした!!!
丹生谷が逃げるほどつらい思いさせて申し訳ありません!!!
すみません!すみません!すみません!!! はぁ......。はぁ......。」
丹生谷「分かった?」
勇太「はい......」
丹生谷「頭出しなさい」
勇太「(うぅ.......!)」
丹生谷「とがしくん!!!!」
勇太「!!」
丹生谷「別に褒めてるわけじゃないから」
勇太「......」
丹生谷「ま、あんたが私を構ってほしいってなら、
付き合ってあげないこともないわ」なでなで
勇太「......///」わしゃわしゃ
丹生谷「......」
勇太「ごめ......ありがとう///」
丹生谷「次はないわよ」
勇太「ありがとうございます///」わしゃわしゃ
丹生谷「......///」
勇太「......///」わしゃわしゃわしゃわしゃ
丹生谷「ふふっ///」
勇太「......///」
丹生谷「で?次は?」
勇太「ショッピングモール。行く?」手握ぎ
丹生谷「行きましょ!」手握ぎ
勇太「あはは!」
丹生谷「ふふふ!」


ショッピングモール

丹生谷「着いたわねー」
勇太「さて、何階に行こうかな?」
丹生谷「私は......」
勇太「へっ。へっ。へくち///」
丹生谷「なにそれかわいーーーーーー///」
勇太「バカにすんな/// へくちっ///」
丹生谷「とがしくんきゃわわ♡」
勇太「へっ。へっ。へくち///」
丹生谷「」じー
勇太「ショッピングモール乾燥してない?」
丹生谷「もっかい!もっかい!」
勇太「俺はマスコットか! へっ。へっ。」
丹生谷「おおっ!」
勇太「へくちん///」
丹生谷「かわいい!!!!!なでなでしてあげようね♡」なでなで
勇太「やめい///」わしゃわしゃ
丹生谷「あっ。 はっ。はっ。はくちゅん///」
勇太「う~ん、普通? まぁかわいいんじゃないか?」
丹生谷「かわいくない///」
勇太「でもかわいかったよ」
丹生谷「かわいくない/// はっ。はっ。」
勇太「......」
丹生谷「はくちゅ///」
勇太「はくちゅ/// ははは///」
丹生谷「ちっ!! はっ。はっ。はぁ!」
勇太「?」
丹生谷「ばっくしょい!!!!!はぁ!!!」
勇太「丹生谷の唾が飛んだー」フキフキ
丹生谷「ははははは///」

勇太「(どこ行く?って言葉何度も使ってもな) 丹生谷、ゲーセン行く?」
丹生谷「行きたーい」
勇太「(何するんだろう?丹生谷ってレースカーゲーム好きなのか?
はたまたメダルパチンコ好き......?いや、ありえないよな。なんだ?)」

5F ゲーセン

丹生谷「いろいろあるわねーさすが都会!」
勇太「都会は関係ないと思うが」
丹生谷「あれ、しよう。あれ!」
勇太「もぐらたたきー!?あれするのか!」
丹生谷「うん♪だってかわいいじゃん!もぐら!」
勇太「そんな理由かよ......」
丹生谷「富樫君!富樫君!最高78回!80体叩くと世界最高記録よ!私でもできるんじゃない!!!?」
勇太「全く。見た目の数字にこだわるなよ。一番になって何になる」
丹生谷「あのね......ワニワニパニックって昔あったじゃない......。あれ、なくなったのよ。倒産して」
勇太「えっ......」
丹生谷「という豆知識は置いといて、やりたい!」
勇太「なんだよ!シリアスじゃないのか!ああびっくりした」
丹生谷「二人分あるし、しよ♡」ピコピコハンマー
勇太「俺、隣の格ゲーでチャンピョンになってくるから」
丹生谷「けちー!!」
勇太「俺身体能力が、丹生谷はチアやってた経験あるけど、あいにくそんな才能ない。
腕を動かすの疲れるんだよ!だから隣の格ゲーしよ!」
丹生谷「ガチャコーン!」ゲームスタート!
勇太「はぁ......」
丹生谷「とがしくーん!!始まっちゃった!!!どうしよう♡」
勇太「勝手にやってろ」
丹生谷「こんっ!!!!やぁ!!!てい!!!!」ピコピコピコ
勇太「(隣に行くか......)」
丹生谷「かわいい♡ とがしくん!もぐらかわいいよ♡」
勇太「......」
丹生谷「やあ!死ね!死ね!とがしくん!!やった―死んだ!」ピコ ピコ
勇太「バカ/// やめろ///」
丹生谷「とがしくん!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!」ピコピコピコピコピコピコ
勇太「俺にうらみでもあるのか!!!」
丹生谷「死ね」ピコ!
勇太「いたっ!」
丹生谷「富樫君ってかわいいからもぐらと勘違いしちゃった♡」ピコピコピコピコ
勇太「丹生谷、死ね」
丹生谷「人に死ねはないでしょ!!!ちゃんと学校行ってるの!!!?
あ、だんだん早くなってきた!とがしくーん!!」
勇太「(1分もあれば終わる。格ゲーしよっと)」
丹生谷「はぁ......。はぁ......。ああ!!はやい!はやいよ!富樫君助けて!!」
勇太「」

丹生谷「ねえ、富樫君助けてよ!!!まじで助からない!!!残り40!!!」
勇太「」
丹生谷「追いつかない......。あ、もぐらちゃんが!逃しちゃう!連続が!富樫君!富樫君!ああ!」
勇太「」ピコ
丹生谷「富樫君......」ピコピコ
勇太「俺が右半分やるから、お前は左をやれ」ピコピコピコ
丹生谷「うん......///」ピコピコ
勇太「ていっ!」ピコ
丹生谷「やあ!」ピコピコ
勇太「うっとおしいなあ!!!俺の魔王炎閃波をくらえ!!!」ピコピコピコピコ
丹生谷「おっ///」ピコピコピコピコ
勇太「ふ。きさまか。見切ったぞ!ここだ!!!」ピコピコピコピコ
丹生谷「くすす///」ピコピコ
勇太「喰らえ広範囲攻撃!スーパーガバメントなんちゃらかんちゃら!」ピコピコピコピコ
丹生谷「くすすっ/// 笑わせないでよ!」ピコピコ
勇太「丹生谷!奥!」ピコピコ
丹生谷「ありがとう!はぁ......。はぁ......」ピコピコピコピコ
勇太「礼を言うなら終わってからにしろ!」ピコピコ
丹生谷「精霊よ......今こそ結集......きゃはははは///」ピコピコピコピコ
勇太「気が散るぞ!」ピコピコ ピコ!
丹生谷「いたっ!どこ打ってんのよ!!!」ピコピコピコピコ
勇太「戦争に犠牲は付き物だ!」ピコ
丹生谷「あと20!手が痛い!」ピコピコピコピコ
勇太「我慢しろ!!」ピコピコピコピコピコ
丹生谷「10切った!早すぎ!」
勇太「うおおおおおおおおおおお!!!!」ピコピコピコピコ
丹生谷「はあああああ!!!!」ピコピコピコピコ
勇太「(最後の1匹!)」
丹生谷「(最後の1匹!)」
勇太「やあああ!!」ピコ
丹生谷「たあああ!!」ピコ
勇太「はぁ......。はぁ......。はぁ......。」
丹生谷「はぁ......。はぁ......。はぁ......。」
「 80 」
勇太「80!?」
丹生谷「えっ......」
勇太「やったよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!
丹生谷!!!!やったああああああああ!!!!」ダキッ ハグッ ギューーーー!!!
丹生谷「ちょ/// ちょっと///」ダキッ ハグッ ギューーーー!!!
勇太「ははははは///」
丹生谷「ふふふふ///」
勇太「あ 」
丹生谷「  」
勇太「すまん......///」
丹生谷「......///」

練習のせいか無意識にハグしてしまった俺達は現実に帰り、
恥ずかしすぎて真っ赤になり顔向けもできず背中を向け合った。
そして俺は手をポケットに突っ込んで大人のかっこよさを構築し、赤い気持ちで天井を眺めた。

勇太「丹生谷、手、大丈夫か?ごめんな、あんとき状況読めなかったから」
丹生谷「大丈夫よ。富樫君って生きているんだなって、私ね、ちょっと安心した♡」
勇太「なんだよ///」
丹生谷「ひ・み・つ」
勇太「はぁ......。次は......。(プリクラ)」
丹生谷「あ......。プリクラ」
勇太「いや、いくらなんでも恋人じゃないんだから......」
丹生谷「あんた友達いないの?」
勇太「......」
丹生谷「いや、友達でも使うでしょ」
勇太「それもそうだけどさ」
丹生谷「でも私プリクラ使ったことないの/// 使った?小鳥遊さんと」
勇太「あんな場所行けるわけないだろ/// 
バカップルの聖地が愛を確かめるために行く場所だぞ///」
丹生谷「私の女友人達はよく撮っているけど、
カップルのいたいけなイメージが根強いのよ。うん、やめときましょう///」
勇太「うん。次どこ行く?」
丹生谷「そりゃショッピングモールでしょー!買い物かな?」
勇太「行こうか」手握り
丹生谷「ええっ!」手握り
勇太「......」じー
丹生谷「......」じー
勇太「......」じー
丹生谷「......」じー  
!!!プリクラ!!!
勇太「俺達って考えること一緒だなよ///」
丹生谷「やっぱ気になるわよねえ///」

プリクラ

勇太「こんなボックスで料金投入するの高校入学試験以来だぞ」
丹生谷「入りましょ......」
勇太「うわぁ。背景が緑。まるでハリウッドスタジオみたい!」
丹生谷「こ、怖いから帰りましょ」
勇太「いや」
丹生谷「恥ずかしいわよ/// こんな静かな場所で二人って///」
勇太「俺何もしないから!」
丹生谷「そうじゃないの/// いや、そうかも......」
勇太「なんだそれ」コイン投入
丹生谷「と、富樫君と二人きり......」
勇太「そんな言葉聞いても興奮しない!写真撮る。後ろの背景の枠内に合わせるんだって」
丹生谷「ねえねえ!どんな写真好き?」
勇太「分からん。まずはオーソドックス」
丹生谷「えーなにそれ。つまんない!」
勇太「お前は我慢というものを覚えろ!」
丹生谷「富樫君に十分譲歩してるつもりなのに!」
勇太「(嘘だ!絶対嘘だ!) ......。早く撮ろう」
丹生谷「ちーず」ピース パシャ
勇太「ちーず」ピース パシャ
丹生谷「......。なんか証明写真みたいね///」
勇太「俺達ってまじめすぎないか///」
丹生谷「富樫君がダメだからで、私は違うわよ!」
勇太「はいはいそうだねそうだね。連射していい?あ!押しちゃった!」
丹生谷「はぁ!?なにやってんの考えてないわよ!!あんたの性格のせいでデートも告白もー!」
勇太「はい。ちーず」ニコッ パシャ
丹生谷「はい。ちーず」ニコッ パシャ
「さん、に、いち」
勇太「(舌を出してベロベロベロ~)」パシャ
丹生谷「あはは///なにそれ~///」パシャ
勇太「(次何したらいい......)」
丹生谷「(富樫君、彼氏っぽく///)」
勇太「(腕肩を丹生谷の腰を支えるように、丹生谷の髪に寄りかかり、片方でピース)」パシャ
丹生谷「愛されてまーす ちーず///」パシャ
勇太「丹生谷。ちゅーしたいよー。ん~~~~
(遠近法用いて、俺が前に、丹生谷が後ろに来ることで、キスしているみたいに見える)」パシャ
丹生谷「きゃー。ほっぺにちゅーされたー(棒)」パシャ
勇太「イケメンのポーズ」キリッ☆ パシャ 
丹生谷「あはは/// ナルシスト/// きも/// 美女のポーズ~。うっふ~ん」パシャ
勇太「(丹生谷と、親指と人差し指くっつけてハートマーク)」パシャ
丹生谷「恋人みたい///」パシャ

勇太「撮れたな。これで一応終わりになる。あと加工できるぞ」
丹生谷「ペンで落書きできるのね。デジタル進化してる!すごい!何書こう?」
勇太「あ、顔補正できるんだって」
丹生谷「富樫君、それって男の人がやるとおかまになる~あれ?」
勇太「うん......///」
丹生谷「あっはっはっは/// えいっ!」
勇太「プ――――――――――――」
丹生谷「あはははははははは/// おかま!おかま!」
勇太「いや、本物のおかま様に失礼だろ」
丹生谷「目がキモイ!唇が見ちゃいけないやつ!男から男らしさを取ったらただの火星人じゃない///」
勇太「いまだにこの加工。好きになれない」
丹生谷「いや、好きになったら人生終わりよあはははははははは///」
勇太「ペン書きしよ。チャリで来た」カキカキ
丹生谷「来てないし(笑)」
勇太「丹生谷の耳にうさぎさんが生えるよ!」
丹生谷「かわいい。じゃあ、富樫君の顔に、ペンでぐちゃぐちゃぐちゃ!!!」
勇太「おいー!!!」
丹生谷「顔亡くなった!!!!」
勇太「やめろよ/// じゃあ俺も丹生谷の顔に、しわを」
丹生谷「は?」
勇太「......。しあわせのゴルフバッドをカキカキ」
丹生谷「つまんな」
勇太「いーじゃん!楽しいんだから!」
丹生谷「 ←この人浮気です。っと」カキカキ
勇太「やめろおおおおおおおお!!!!丹生谷←背が小さい 」カキカキ
丹生谷「は!?同格でしょ!? 富樫君←イケメンではありません」カキカキ
勇太「丹生谷←かわいい 髪←良い匂い 顔←かわいい 耳←弱い 口←口から災い 胸←好き 腹←怒る」カキカキ
丹生谷「....../// 富樫君←楽しいおもちゃ 眉←大抵犬の顔 目←服従の目+変態の目 口←へたれ野郎 
腕←筋肉付けろ 腹←デブ 富樫君←死ね 死ね 死ね 死ね 死ね」カキカキ
勇太「失礼すぎ!!!」
丹生谷「うふふ/// できた///」
勇太「出すから、ちょっと待ってろ」
丹生谷「うん」
勇太「長いな…..。よし。出た。うわっ加工したのに文字潰れてないぞ!」
丹生谷「うわあーーー!かわいいーーーーー!!!」
勇太「いや......照れる///」
丹生谷「私かわいい///」
勇太「そっちかよ」
丹生谷「富樫君にかわいい要素微塵もないわよ」
勇太「それもそうか」
丹生谷「ははは」
勇太「ははは」
丹生谷「大事にするね」
勇太「うん!」

勇太「買い物しよう」トコトコトコ
丹生谷「やっほー!この時を待ってました!」トコトコトコ
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「(丹生谷の横顔って綺麗だな......///)」
丹生谷って、かわいい。怒る姿も慰める姿も、なにか心をもごもごさせる。
丹生谷とショッピングモール街を歩いていて、ずいぶん端麗なかわいい横顔しているな~と、
その醸し出す香水にお気に入りを示しながら尊敬する。
それと同時に、男たちの周りの視線がマジで向けられている。
別に不釣り合いなのはどうでもいいけど、
どう考えても丹生谷のことかわいいと、周りの男子は顔を向けて皆思っている。
もしやナンパとかして丹生谷を奪いに来るかもしれない......。
丹生谷の扱い方とか歴史とか何も分かってないくせに!体目当てで!
でも、ひょっとして俺がぐずぐずしてたら......。

勇太「(丹生谷を見るな!!!)」

なんで心から好きでもない女子に、必死になるんだよ俺。

丹生谷「ちょっと! なに見惚れてんのよ!」
勇太「いや見てないから!」
丹生谷「デートしてるんだから男の子らしくしてなさいよ!
見てたじゃない!また女のこと考えてたの!?富樫君は私だけ見てればいいの!」
勇太「そうじゃない......」
丹生谷「もう嫌い!」
勇太「ごめんごめん!誤解だって!な!」

4F 雑貨・食器・家具・宝石(高級品・名器含む)

丹生谷「ここって三越みたいに高い商品並んでいるんでしょ!私こういうの行ったことないのよ」
勇太「へえ!意外だ!丹生谷なら行っていると思ったのに」
丹生谷「どうして?」
勇太「そういうの好きそうだから」
丹生谷「いやいや高級品過ぎて行かないわよ/// 一人じゃ怖いわ///」
勇太「丹生谷、俺がいてよかった?」
丹生谷「えっ....../// なにそれ///」
勇太「あ、歩き注意してな。ここ人いるし、よろけて壊したら多額だから」手握ぎ♡ 腕ダキッ
丹生谷「あ。なによ......やるじゃない///」
勇太「丹生谷!有田焼だ!教科書でたびたび話題になっているよな!」
丹生谷「さすが高級品ねー。お皿。大皿。小皿。もろもろ。
安物と値段がバカにすごいのね!私のお小遣いの何回分?」
勇太「筆で書いたような蒼い花柄が美しくて見てるとうっとりする」
丹生谷「綺麗。私達普段食器使っているけど、
親が努力してただご飯を食べるためにあの食器を買ったんでしょ。改めて見ると感動するわね」
勇太「丹生谷、買う?」
丹生谷「いやいいわよ。こんなゴミなんて」
勇太「そっか」
丹生谷「でも食器に集めてみたいわね。新築とかそうなったら」
勇太「うん......///」
丹生谷「サンプル怖くて触れないわよ」
勇太「あ、これ見てよ!」
丹生谷「ん?」
勇太「ドラゴン!水墨画で書いたようなかっこいい龍!六花が好きそうなやつ!
誕生日プレゼントに暗炎龍の化身とか言ってあげると本当に魔力信じてそうな気配がする。食器にも興味湧くかな!」
丹生谷「まぁ小鳥遊さん単純だしありうるわねー」

勇太「服買いたい?」
丹生谷「でも。さっきのあれで~1万もないのよ///」
勇太「丹生谷!大丈夫!買ってやるよ!!!!!!」
丹生谷「え!!!!いいの!!!?やさしー!!!!!なんでも?」
勇太「驚くなよ!諭吉さん二枚!25000円持ってる!」
丹生谷「おおーーー!!!大金持ってるわねー!!!何で持っているの!?」
勇太「いや、丹生谷だから何かデート用にもっていかないとダメかなって。
それに2万5千円ってゲーム機一台か、ゲームソフト3枚しか買えないだろ」
丹生谷「男ってつまらないもの好きよねー」
勇太「丹生谷なら2万5千円出してもいいと思う」
丹生谷「なにそれ告白!? きもいんだけど///」

丹生谷「でも財布ぼろくない?」
勇太「人に見せない物だからな」
丹生谷「ベルトはきれいなのね」
勇太「人に見せるものだからな」
丹生谷「物は人の心を映すっていうでしょ!!中まで綺麗にしなさいよ!」
勇太「お前がしたらウェディングドレスになるぞ!」

勇太「眼鏡コーナーだな。赤・黒・緑。ない色はないってぐらいにいっぱいあるよな。きれい!」
丹生谷「かわいいー!眼鏡!」
勇太「眼鏡にかわいいってどんな感じなんだよ」
丹生谷「かわいい!私眼鏡買おうと思っているのよ!」
勇太「視力悪いのか?」
丹生谷「いーや。ファッション!」
勇太「眼鏡にファッションってあり!?」
丹生谷「例えば赤ぶち眼鏡をつけると女教師っぽくなるとか」
勇太「あ~あ。なるほどな」
丹生谷「そんな感じ」
勇太「丹生谷、見たい」
丹生谷「えっ?」
勇太「丹生谷の付ける女教師見て見たら面白そう!」
丹生谷「......。そうかな?」
勇太「もともと美人だから似合うんじゃないか?」
丹生谷「....../// えっと、場所は」
勇太「丹生谷、これ。はい」
丹生谷「ありがとう/// なんか優しくなった?」
勇太「俺はもともとこうだよ?」
丹生谷「そう......///」装着
勇太「おーーー!!!似合ってる!!丹生谷が一気に知的になった///」
丹生谷「そう/// 私教師になれるかな?」
勇太「何でも知ってそう/// 丹生谷ってイメチェンのプロだよな///」
丹生谷「そうかなー/// 偶然だと思う///」
勇太「眼鏡クイッってやって!」
丹生谷「ええっ。もう/// 一回だけよ///」クイッ
勇太「おおおおっ」
丹生谷「やだ/// そんなに見ないで///」
勇太「うん......。他は、金色のもあるんだな」
丹生谷「金色」
勇太「恥ずかしいな/// これつける人///」
丹生谷「つけてみてよ!」
勇太「いや、パス。じゃ丹生谷がつけろよ」
丹生谷「いやよ/// 勘違いしたバカ金持ちみたいじゃない!」
勇太「じゃ、俺、つけるか?俺、つけるか?」
丹生谷「やめたほうがいい///」
勇太「つけまーす。変だったら笑ってくれ」
丹生谷「......。あれ?普通?金色の眼鏡かけても違和感ない」
勇太「マジ?」
丹生谷「店の光に照らされて分からなくなっているのよ」
勇太「買っちゃおうか?/// 帰ったら丹生谷にメールする」
丹生谷「富樫君のお金だし、大事にしなきゃダメでしょ///」
勇太「ありがとな。丹生谷っていつも親切だから憧れる」
丹生谷「そんな大した人間じゃないわよ/// ありがとう///」
勇太「(あ、黒ぶち眼鏡だ)  どう?」装着
丹生谷「プ――――――――!!!オタク!!!!秋葉で見るオタク丸出し!あはは!!!」
勇太「......///」

勇太「宝石店......か」
丹生谷「富樫君、買って♡」
勇太「ああ、こい!」
丹生谷「そんなに金持ってないでしょ/// 2万5千で何ができるの///」
勇太「ツッコミされるのが好き///」
丹生谷「私で遊ばないでよー///」
勇太「真珠。ネックレス......買えないレベルだな。5万が一番安いって」
丹生谷「へえ。富樫君、これかわいい」
勇太「指輪か…..。かわいいな/// ルビーとエメラルドが散らばっててキラキラしてる!!
俺見たの初めて!周りのダイヤも太陽の反射で強く光っている!!」
丹生谷「ほしいよね......」
勇太「うん......」
「この商品いかがですか?彼女さんに?」
丹生谷「へっ?」
勇太「えっ?」
丹生谷「......///」
勇太「......///」
丹生谷「......///」
勇太「ああ/// はい/// 彼氏です///」
丹生谷「(ちょっと......!///)」
勇太「でも2百万はないです///」
「では、大学生用の5万の指輪はどうでしょう」
勇太「すごく、かわいいかなって思います」
「せっかくですので置いときますのでどうぞ記念にお付けください」
丹生谷「…..///」
勇太「....../// あの人行ったな。空気読んで遠くにいった/// 恥ずかしい///」
丹生谷「えっと、富樫君、彼女だって///」
勇太「俺達そう思われてるの?///」
丹生谷「......///」
勇太「......///」
丹生谷「ふふっ....../// 彼女だって」
勇太「俺達ただ喋っているだけでカップルと言えるのか///」
丹生谷「......///」
勇太「......///」
丹生谷「......///」
勇太「自分で付ける?」
丹生谷「付けるって、さすがにシャレにならないわよ///」
勇太「言われてみれば婚約者じゃないか///」
丹生谷「それなら自分で......」キラッ
勇太「おおっ!きれい!!!」
丹生谷「はああああ!!!私これはめるの夢だったの!!!!」
勇太「おおっ!」
丹生谷「光の反射に輝いているー!!!!きれいー///」
勇太「丹生谷ってこういうの好き?」
丹生谷「光物は私の大好物よ!見てるだけで元気が湧いてこない!?」
勇太「金かかりそうな人だ。女の人ってみんなダイヤ好きのか?」
丹生谷「いや。人によると思うわ。けど自分で考え抜いて渡されたプレゼントが一番よ!覚えておいてね」
勇太「これめっちゃ似合う!丹生谷美人で性格もいいからめっちゃ似合う!!」
丹生谷「うれしい......///」
勇太「丹生谷」
丹生谷「うん?」
勇太「かわいい」
丹生谷「......///」
勇太「......///」

丹生谷「富樫君......///」
勇太「丹生谷.......///」
丹生谷「......///」
勇太「......///」
丹生谷「富樫君、あのね、私の親のことなんだけど」
勇太「(ちょっ!!!まった!!!告白!?)」
丹生谷「ある日私が、お母さんの机を好奇心でつい開けると不思議な小さい箱を発見して。
気になって開けようとしたら取り上げられて、胸に秘めてた。結婚指輪だった。
私のお父さんに大学生のころプロポーズされた指輪ずっと持ってたのよ。
今じゃ正式な指輪持っているけど大切な思い出をなくしたくなくて、大事に保管してた......」
勇太「(なんだよこの状況///!! 告白を求めているのか///!!?)」
丹生谷「今こうした気持ちが分かる気がする///」
勇太「......///」ドキドキ
丹生谷「......///」
勇太「......///」
丹生谷「......///」
勇太「あの!」
丹生谷「うん?」
勇太「お......俺.......///」
丹生谷「え.......///」
勇太「あの......///」ドキドキドキドキドキドキ
丹生谷「ええ......//////////////」
勇太「その......///」ドキドキドキドキドキドキドキドキ
丹生谷「......///」
勇太「丹生谷.......ことが!......///」ドキドキドキドキドキ
丹生谷「......///」
勇太「......///」ドキドキドキドキドキドキドキドキ
丹生谷「......///」
勇太「その結婚指輪......似合っていると思う///」ドキドキドキドキドキドキ
丹生谷「.......///」
勇太「終わり......///」ドキドキ
丹生谷「......///」
勇太「......///」ドキドキドキドキドキドキドキ
丹生谷「あ......うん。ありがとう///」
勇太「......///」ドキドキドキドキドキドキドキドキドキ
丹生谷「......///」
勇太「......///」ドキドキドキドキ......
丹生谷「富樫君、なんか、私も......変なの/// 心が/// 分かんないの/// ちょっと苦しい///」
勇太「大丈夫?」
丹生谷「ショッピングモール行ってから富樫君......ううん。優しいなって」
勇太「丹生谷の思いが分かってきた......からかな」
丹生谷「あまり分からないでほしいな/// 恥ずかしくて死に絶えそう/// 
私の知っている富樫君が、分からなくなっていくみたい」
勇太「丹生谷が鈍感すぎるのがいけないんだぞ!俺その前も優しかった!」
丹生谷「ぶぅー///」
勇太「やめろよ。怒ってる/// 顔がブサイクだぞ/// 眉ブサイク///」
丹生谷「きゃっ/// 見んな///」
勇太「もっと見たい///」
丹生谷「からかうな///」
勇太「くすすっ///」
丹生谷「やだっ///」
勇太「あ。エメラルドとルビーの指輪で思い出したけど、六花に渡すと過反応示そうだな!!!
気合を入れて強力な魔族を封印!!!ジャッジメントルシファーのとどめ!!ってあいつやってくるんだよー!
付き合わされる身にもなってくれよな!
こんなふうに!はああって!気合で世界が変わるならもうとっくに変わってるわ!」
丹生谷「......」
勇太「は~あ」
丹生谷「ねえ。あのねぇ!
仮でもデートしてるのに他の女性の名前出さないでくれる!雰囲気ぶっ壊れるんだけど!!!!!」足ギュウウウウウウウ
勇太「(ふんぎゃああああああああああ!!!!)」
丹生谷「そうね、分からせないとね? 分かった?」足グリグリグリグリ
勇太「いたたたたた!」
丹生谷「私に対する奉仕が足りないわよ!」
勇太「んな無茶な......」

丹生谷「ちょっと他の宝石見てくるわ」
勇太「おうっ」
丹生谷はそう言って消えて行った。
ん?なんだ?髪留め?銀色でダイヤの光がまばらに広がっている、
きらきらした銀色の小さなヘアクリップが、俺に訴えかけるように存在感を増している。
丹生谷のヘアクリップとそっくりだ。
まるで色違いと言った方が正しい。銀色のキラキラがより強い。というより同じメーカーなんじゃないか?
いや、さすがに宝石メーカーに取り込んだ有名企業でもないだろう。名前知らないし。
4万かー。高すぎる。この財布じゃ一発ノックアウトだな。
でもキラキラしてるな。こんな場所にいて誰か買うのだろうか?
薄暗く照らす店内に、一様に輝きをもたらすヘアクリップ。美しい女性のために飾る象徴。
これ飾っている人見たことがないが、飾り付けたら相当きれいなんじゃないか。
そんな人が世の中にいるだろうか。こんな現実離れしたものを好む人は。
丹生谷だったら......喜んでくれるだろうか。
でも迷惑だし、派手もの町で歩いていたら顔を覚えられるだろ。まずいない。
町に持っていけない実用品なんて女性全般嫌うだろ。



でも、




きれいだ。





丹生谷「とがしくーん!!」
勇太「お、帰ったか」
丹生谷「みてみてー!いいのがあったの!すっごく綺麗!」
勇太「ああ!どんなの!?」




丹生谷「......きれいね」
勇太「(宝石に見惚れすぎた。いつまでも見てるわけにいかないよな)」


もう時間だぞ丹生谷、少し急がないと服に時間さけなくなる。そう思う。



勇太「丹生谷、行こうぜ」パッ 手握ぎ





丹生谷「きゃっ」





丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
勇太「......どうした?」
丹生谷「えっ......。あの、別に」
勇太「行こう!」
丹生谷「う......うん」
勇太「」トコトコトコ
丹生谷「富樫君......」ボソッ トコトコトコ
勇太「ん?」
丹生谷「ああ、ううん。気にしないで......」

3F ファッション・婦人服

丹生谷「そうそうここよね!あはー!私服着るの楽しみにしてたの!」
勇太「......///」
丹生谷「富樫君、早く来なさいよー。どうしたの?」
勇太「ちょっと小声で」
丹生谷「なによ?」
勇太「ここ女性用のコーナーだろ。行けない。周り見て見ろ」
丹生谷「うん?それが?」
勇太「だから/// そのな/// あちこちに女性用のブラとかパンティとかあるだろ。
いくら女性を付き添いにしたところで、
俺下着を嬉々と見に来た変態と嘲笑される罪悪感が身にまとって免罪符が消えないんだよ。こんなとこ歩けない」
丹生谷「気にしなきゃいいじゃん///」
勇太「目線が困るんだよ。店員さんも女性客もいるだろ。
男の子の苦労も考えて/// ブラを・見たら・死んじゃう」
丹生谷「わけわかんない。そういうのよ自意識過剰っていうのよ。
でも考えている地点で十分変態じゃないの(大爆笑)」
勇太「やめい/// あの......さっきみたいに......手を繋いで」
丹生谷「キモイ」トコトコトコ
勇太「待ってー! (俺は変態じゃありません!みなさんごめんなさい!)」トコトコトコ

丹生谷「どれにしようかな!!?」
勇太「丹生谷、ファッション好きなんだ」
丹生谷「ふふ~ん。ここは私お得意の18番手」
勇太「ワンピースとかキャミソールとか、何着ても丹生谷美人だし似合いそうだよな」
丹生谷「え~/// 私だって失敗することあるよ/// 見てないからそう言えるのよ///」
勇太「これにするのか?」
丹生谷「富樫君、どれがいい?」
勇太「知るか。全部、似合うと思う」
丹生谷「もっと真剣に考えてよ」
勇太「全部......かわいいと思う///」
丹生谷「はぁ......。あんたファッションセンスゼロね」
勇太「これなんかどう?バラの絵だぞ。試着したらかわいいと思った」
丹生谷「うわっ!最低!こういう趣味持ってるの?熟女好き?
バラの絵柄のプリントだし、地味だし、こんなのクソババアしか好まないわよ」
勇太「悪かったな///」
丹生谷「全く。さっきまで紳士っぷりは何だったの?
上から目線で私をバカにしてくれたくせに/// いいわ。私がお手本見せるから富樫君見てて」
勇太「じゃあ、着替え終わるまで待っとくな」
丹生谷「かわいい靴履いていい?持ってきて頂戴。
あ。でも長くなるだろうから富樫君、適当に待ってて」

試着室

かわいらしい靴を持ってきて、やや、時間がたった。
俺は超絶かわいい彼女の丹生谷のために壁に腰かけて待っておくと、しゅるり、と服がはけ落ちていく。
その擦れる音、もっぱら今の服から進化して下着の姿に成り代わっていると想像する。
今のは音の距離からしてスカートだろう。汗臭そうな上着を脱いだ、
丹生谷の汗と香水で充満し染み満ちたパンティと、
肩こりのひどそうな弾けるボインのせいで今にも肩から落ちそうなゆるゆるのひものブラジャーを彷彿とさせ、
無論新しい服を着るため中のポーチからガサコソと、
処理済みの脇とふくよかなおっぱいの狭間をタオルでぷるんぷるんといわせながら拭きとっているに違いない。
そのような丹生谷の隠すことのない野生の女という感じが頭の中を誘惑し、股間が勃っちゃった(やだぁ///)
確かに「見てて」と丹生谷は助言を下したが、このような姿を間近で彷彿とできるのも彼氏の特権だろうか。いいな///これ///

丹生谷「できたわよ」
勇太「おお!ん?」
丹生谷「ねえねえ、富樫君、こんなものが下着コーナーにあったんだけど」ブラジャー

水色のブラジャーで、丹生谷の胸にすっぽり入りそうな、
触ると柔らかそうなふくよかな丸い婉曲を描いたDカップのレース付きブラジャーだった。

勇太「うわあああああああああ!!!!!俺こんなもの好きじゃないのに!!」
丹生谷「喜んでいる!喜んでる!変態!!しっかり見てんじゃん///」
勇太「(ダメだ/// ブラと丹生谷のおっぱいに目がいってしまう///)」
丹生谷「あ、富樫君!靴!かわいいけど、ヒールだけじゃなくて、パンプスも用意してほしかった!!」
勇太「なにいってんだ?全部ヒールだろ?」
丹生谷「違うのよ。これだから疎い人は。区別を説明するとね、
富樫君の知っているヒールは基本的にかかとが高いのね。
対してパンプスだとね、かかとの低い代わりにつま先までの部分が広いの。
私はハイヒールでここまで来たけど」
勇太「ハイヒールだと、やっぱ歩きにくい?」
丹生谷「当たり前よ!それに痛いし!使ったら1日中歩けない!」
勇太「歩くのいちいち合わせるのめんどくさかった」
丹生谷「仕方ないでしょ/// かわいいってほしか......」ぶつぶつ
勇太「ん?」
丹生谷「んで、どう?服の感想は!!?どうなの!?」
勇太「まぁまぁかわいいかな」
丹生谷「まぁまぁ!?」
勇太「白のノースリーブTシャツへそ出しに青色の短パン。
夏服でお出かけに最適。でも短パンか......。俺は好きじゃないな」
丹生谷「え。そうなの」
勇太「短パンもな、
(下がもっこりしてて/// はみ出る太ももが最高でうへへ///)かわいいけど、スカートじゃないと俺好きじゃない。女らしさ?」
丹生谷「女らしさねえ。やっぱり女に見られないのかしら?」
勇太「その辺は俺の好みだから気にするな。あの、かわいいよ///」
丹生谷「う~ん。むしゃくしゃする。がんばる!」

試着中

丹生谷「できたわよ。どう!///」
勇太「かわいいーーー///」
丹生谷「やったー!!!」
勇太「上のただの白い服より、真っ赤に燃える赤のフレアスカートを重視した姿。
ミニスカより少し長いけど、その原色に魅了される。かわいいよ」
丹生谷「かわいいかな/// これ気に入ったかも」
勇太「これ買う?」
丹生谷「他のも試したい」

試着中

丹生谷「じゃーん。ワンピース着てみた」
勇太「城のドレスじゃないけど、統一色の灰色のワンピースか。いいな。体も小さく見える。
夏服らしいしお嬢様みたい。膝から上の短いスカートもよし。腰に巻いたTシャツもかわいい」
丹生谷「やったー!褒めてもらった///」
勇太「似合ってるよ。丹生谷///」
丹生谷「うん/// ありがと///」
勇太「......///」
丹生谷「......///」
勇太「......///」
丹生谷「富樫君の好きな方向が分かんないな。女の子らしいってだけで。予想付かない」
勇太「う~ん。そうだな。「涼しそう」で「露出が多い」のが好きだな」
丹生谷「なにそれ///」
勇太「とにかくそれが好き///」
丹生谷「ふ~ん。そうなんだ///」

試着中

丹生谷「どう/// かわいい?///」
勇太「エロい!!!何でこんなものを選んだんだよ/// 下の蒼いジーパンとは対称に、
上のタンクトップが服の分厚さを隠さず腰も腹も線をくっきり見せて、

上が/// 脇が見えるタイプだし//// 過激すぎなのに/// 胸元見せているんじゃねーか/// 
(おっぱいの膨らみも服で引き締まって、どこがどれぐらい大きくて膨らみがあるのか一瞬で分かってしまう/// 
脇の横のおっぱいのラインがたまらなく好き///)」

丹生谷「やだー/// 谷間見ないで―/// きゃあああ///」
勇太「見てない―///」
丹生谷「顔赤いよー///」
勇太「これは没/// ダメだ全然に合わない/// かわすぎて没/// ......。」じぃー
丹生谷「くすすっ/// ばればれよ///」
勇太「丹生谷はこんなもの着るな///」
丹生谷「はぁ!?かわいいいのに粛清しないでよ!」
勇太「その......、男寄ってくるぞ///」
丹生谷「へえ。嫉妬してるんだ///」
勇太「してないーーー///」

丹生谷「富樫君っておしゃれしたことある?」
勇太「まあ。ないことはない。
一時期、高校入学の時に私服がダサいと嫌われると思って張り切った」
丹生谷「へえ。私と一緒だ」
勇太「......///」
丹生谷「......///」
勇太「なんで俺達って嫌な部分までかぶるんだろうね」
丹生谷「なんででしょうね......///」
勇太「でもおしゃれしたいなー」
丹生谷「じゃ、私手伝う!」

試着中

勇太「出るぞー」
丹生谷「あ、うん」
勇太「じゃじゃーん」
丹生谷「おおー」
勇太「男らしい?」
丹生谷「それ私の口から言わせる?/// かっこいい///」
勇太「......///」
丹生谷「かわいい~///」
勇太「......バカ、見るな///」
丹生谷「あはは! インナーとトップスの相性。白黒を基調とした対比構造だからばっちしね!」
勇太「丹生谷に褒めてもらえて初めて元気出た」
丹生谷「VネックT白シャツをインナーに黒のジャケットで覆い胸元を光らせる。
黒のジーンズで色を統一。うん、かっこいいわ」
勇太「ありがとう/// 俺イケメン?」
丹生谷「イケメンー///」
勇太「......///」
丹生谷「やだ/// 私、また失言///」
勇太「丹生谷なんか変///」
丹生谷「え!舞い上がっているけど普通よ///」
勇太「丹生谷/// 俺より身長低い かわいいぞ///」なでなで
丹生谷「はぁ!?/// 触んな!」
勇太「小さいくせに生意気だぞ」なでなで
丹生谷「やめなさい/// 私のワンちゃんなのよ!
なでなでしていいのは飼い主だけなの!力逆転許した覚えはない殺す!」
勇太「そういうところもな。丹生谷ってお姉さんなところもあるけど、徐々に子供っぽくなってなる」
丹生谷「はあ!?誰が失礼なことしたの!?それ富樫君でしょ!」
勇太「笑う回数が多くなった」
丹生谷「それは社交辞令ですぅー!」
勇太「一回転。おおっいいね」くるっ
丹生谷「サイジングあってる?ぶかぶか?」
勇太「大丈夫。ちょうどぴったり」
丹生谷「何か似ていると言えば、闇の炎の衣装に少々似てるわね」
勇太「おいっ/// 闇こそ我が帝国みたいなスタイルだったしなあ。どうしても黒歴史に衝突する」
丹生谷「でもこれならおしゃれの範囲に入るんじゃない?」
勇太「そうか。次着ようかな?」
丹生谷「あの......富樫君......お願いがあるんだけど///」
勇太「なに?手伝い?」
丹生谷「スーツかっこいいと思う///」
勇太「そうかな......。俺学生だし。試着はできるけど」
丹生谷「かっこいいよ///」
勇太「なんで執拗に勧めるんだ?かっこいいか?」
丹生谷「黒が似合うから、一番合うのがスーツかなって。まぁ/// いやならしなくていいわよ///」

試着中

勇太「丹生谷―」
丹生谷「ん?」
勇太「ただいま」スーツ
丹生谷「きゃ/// おかえりなさい。あ、えり、立ってるわよ」
勇太「あ///」
丹生谷「もう、しっかりしなさい。私がいなくてもできるようにね。将来働くんだから」
勇太「すまん///」ムニムニ
丹生谷「......///」
勇太「なんかお母さんみたい......///」ムニムニ
丹生谷「やめなさい///」
勇太「......///」
丹生谷「富樫君のショルダーと首、綺麗」さわさわ
勇太「やめろ/// なにしてる///」
丹生谷「いいじゃない!減るもんじゃないし///」
勇太「それエロおやじのセリフだ///」
丹生谷「全体見せて」
勇太「どうだ。きつくはない」
丹生谷「へえ。富樫君社会に行ったらこんな格好してるんだ///」
勇太「そりゃするだろ」
丹生谷「うん/// しばらくそうしてほしい///」
勇太「(視線がエロっぽいぞ....../// 丹生谷って俺のこと友達と思っているのかな///)」

勇太「待ち時間が非常に長い。疲れた」
丹生谷「ねえねえ、決めようと絞り込んだんだけど」
勇太「どれにした?」
丹生谷「富樫君、どっちがいい?フレアスカートとワンピース」
勇太「どっちが好きかって......。どっちが比べ物にならないぐらい好きだし、どっちが好きかって言えば......」

俺が好きなのはー だけ。



勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......どったの?」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......え、えっと、その。エッチ。エッチなこと考えてた!!!」
丹生谷「もうやーね///」
勇太「はははっ!!!悪い!忘れよう!」
丹生谷「で、どっちにする? 決めてよ~」
勇太「どっちもかわいかったんだよな。じゃあ、フレアスカート。美しかったから」
丹生谷「え~ワンピースもかわいかったよ!」
勇太「じゃあワンピースで」
丹生谷「でもフレアスカートのほうも十分イケてると思うんだけどな」
勇太「どっちだよ!!」
丹生谷「う~ん」
勇太「(待て、値段聞いてなかったよな?) 何円?」
丹生谷「ワンピースが1万5千円。フレアスカートが2万2千円ね」
勇太「高い!!!!たった洋服ごときで!?特にフレアスカート買ったら財布の全財産飛ぶだろ!!」
丹生谷「だから迷っているのよ」
勇太「う~ん。じゃ、うぅ......。フレアスカートかな。丹生谷なら美しいが合いそうだし」
丹生谷「え/// えっ/// だって富樫君ゲーム買えないよ!」
勇太「いいよ。丹生谷のためなら」
丹生谷「......。いいや、ワンピースでいい!ワンピースが好きになっちゃった!」
勇太「えっ!無理すんな!」
丹生谷「富樫君これ買って!好きだから!マジで!」
勇太「本気で?いいのか......」
丹生谷「これでチャラね♪」
勇太「お前がいいっていうなら......」

勇太「はい。お前が好きなワンピース」
丹生谷「わあ!ありがとう!!」
勇太「うん。楽しかった」
丹生谷「スーツも服も買わないんだ」
勇太「あくまで遊びだしな」
丹生谷「はい。プレゼント!さっきのお返し!私借りを作られると罪悪感で死んじゃうの」
勇太「財布!?革製!!?」
丹生谷「あんなおんぼろで財布使うのみっともなかったの!誰かは許しても、私は許さないわよ!」
勇太「すまん......というより、ありがとうだよな。感謝してる。今度あれ買ってみような!」
丹生谷「うん......。そうね。今度があればね......」

ショッピングモール ベンチ

丹生谷「疲れた~」ペットボトルごくごくごく
勇太「俺も。でも楽しかったよな」
丹生谷「そうね」
勇太「(次何しようかな~。いい雰囲気でよかった~)」
丹生谷「えっ......! ちょっと!」
勇太「ん?」
俺は丹生谷と腰を縮めながら、なんだが緊迫した表情で俺を見ている。
勇太「どうした?」
丹生谷「いるのよ......」
勇太「......」
丹生谷「私の同級生......。見られたらやばい!」
勇太「頭伏せろ!」ダキッ ギュッ
丹生谷「......///」
勇太「どんな人だ?」
丹生谷「間違いなく、私の友達の笹だった。どうしよう?富樫君......」
勇太「どうしようって言われたって?他は?」
丹生谷「いない。ほらあの子」
勇太「あのピンク色の」
丹生谷「うん。友達いるかもしれない」
勇太「じゃあ俺が今から避け口探してくるから30秒間待ってろ」
丹生谷「うん......」
勇太「どこだどこだ。いた!なるほど、こういって......」
丹生谷「どうだった?」
勇太「俺についてこい。ずっと」
丹生谷「えっ......///」
勇太「行くぞ」手ギュッ
丹生谷「富樫君......」
勇太「」タッタッタッタッ
丹生谷「」タッタッタッタッ
勇太「曲がって。あの階段降りるから。偵察してくる」
丹生谷「......」
勇太「大丈夫だ。このまま一階に行く」手ギュッ
丹生谷「うん…...」手ギュッ



勇太「着いた。ここならもう分かるまい。でもできるだけ遠くに行こう!」
丹生谷「あ、そこまでいいわよ」
勇太「にぶ?大丈夫か?」
丹生谷「わ、私のために、してくれてありがとう」
勇太「丹生谷を失わせたくない」
丹生谷「......///」

勇太「なあ、おれ。中二病でてなかった?今恥ずかしくなった///」
丹生谷「ううん/// かっこよかった/// 富樫君の中で一番かっこよかった/// やり遂げる男なんだね///」
勇太「はははっ///」
丹生谷「褒められるとすぐ赤くなる///」
勇太「子供みたいに言うな/// ......休憩しよう。何か食べたいものある?」
丹生谷「そうね......。食べたいものってある?」
勇太「いいよ。丹生谷が好きなら。なんでも」
丹生谷「私は!」
勇太「......!」
丹生谷「富樫君の食べたい食べ物が、食べたいの///」
勇太「......そうか///」
丹生谷「教えてよ......///」
勇太「......。あそこにたこ焼きあるから、一緒に食ってみたい」

勇太「俺が取ってくるから、待ってて。あのパラソルベンチに」
丹生谷「分かったわ。サンキュー」

勇太「たこ焼き持ってきたぞ~!値段高いけど12個セットだった」
丹生谷「おいしそう~!すごく良い匂いじゃない!」
勇太「香ばしい香りと湯気のむくむく感。忘れられない。まさにたこ焼き」
丹生谷「ねえ~食べましょ。食べましょ」
勇太「丹生谷。あ~ん」
丹生谷「え/// いやよ///」
勇太「かわいい///」
丹生谷「バカにしてない/// かわいいかわいいって/// どんなことでも撫ですぎると後で噛まれるわよ」
勇太「平気平気。全然後悔しないから///」
丹生谷「どれにしよっかな~」
勇太「つまようじ。はい」
丹生谷「サンキュー☆」
勇太「あの。熱いから食えないよな」
丹生谷「よね~翌朝皮ができて舌でチロチロするのが本当に嫌よね」
勇太「そうだ。たこ焼き、中を割るか?」
丹生谷「いやよ......といってる食べ物でもなさそうよね」
勇太「中からたこさんがこんにちわー」パカッ
丹生谷「かわいい!!ちゃんとミニたこ!」
勇太「こんにちは!ボクたこさん!かわいい!」
丹生谷「あんたが『かわいい』っていうのなんか変よ」
勇太「そう?赤ちゃんみたいだろたこさん。かわいいだろ。たこ。丹生谷、あ~ん」
丹生谷「ちょっと人が見てるわよ///」
勇太「見てない見てない あ~ん///」
丹生谷「あ~ん。う~んおいしい///」パクッ
勇太「俺は殻をいただきますか」パクッパクッ
丹生谷「あ!今度私の番だったのに!」
勇太「そんな予約をされた覚えはない」
丹生谷「けち///」
勇太「誰も頼んでもいないがな」
丹生谷「あー!私なんかイライラしてきたー!
さっきから富樫君、私のことブサイクとか身長足らないとか色々バカにしてきたじゃない!生意気よ!生意気!」
勇太「ごめん」
丹生谷「ごめんで済む問題じゃないわ!!デートのお約束条項その6 私に気付いて」
勇太「もはや職権乱用」
丹生谷「黙りなさい!」
勇太「そう言えば、デートのお約束条項作られたら罰ゲームするって最初に言ってたよな。
あれ結局実施されなかった」
丹生谷「覚えててくれたんだ」
勇太「......///」
丹生谷「......///」
勇太「罰ゲームはなし?」
丹生谷「あり。そうね。このたこ焼き熱熱だったわよね~~~~~覚悟しなさい!!!」
勇太「するか!俺は捕まらないぞ!......ほらっ。やれよ。丹生谷。あ~ん」
丹生谷「え......。あんたドMなの。ふふふっ。観念しなさい」あ~ん
勇太「記念だよ。今の」

あ~ん。
口の中でたこ焼きが割れ、弾ける。
するとただでさえ耐えきれない熱いたこ焼きの殻の中から猛烈に熱いたこ焼きが噴出した。
そのたこさんと殻は俺の口内の各地を転々と踊り、
溶接に溶けた鉄のようにじりじりと、俺の歯と皮膚を溶かしていく。
んんんんんんんんん!!!!!!!!!!!!!!!
あついよー!あついよー!口を抑え猛烈な熱さを冷やしたいのか無駄に涙が溜まっていく。
歯でプレスしてしまえば圧倒的に細々と砕かれるのは知っているがそんな余裕はなく、
あまりの熱さに口がふさがらなくなった。少し砕かれたたこ焼きの熱さを外の空気を吸うことで癒していく。
すると丹生谷の「とがしくん、お口、きもちわるいよ~」と、
わざわざ俺の口によじり見て、抱きつきたくなるような泣きそうでくりっと潤った瞳で必死に訴える。
大丈夫だぜ、丹生谷!!と、俺は腕にこぶをつくりガッツポーズをするが、
再び口に熱が高まって思わず口を押え、そして涙が流れた。
それを見た丹生谷は「あはははははははは!!!!バカじゃないの!ダッサ!!!」と、
俺の今までのイケメン像をことごとくぶっ壊し、俺の感謝とプライドを完全にへし折った。
そして、その熱もとうとう冷めてきたので早めに飲み込んだ。

勇太「ごくっ。はぁ......。はぁ......。はぁ......。」
丹生谷「はい。あ~ん♡」
勇太「んんーーーーーー!!!!!んんんーーーーーーーーー!!!!!」
丹生谷「はははは!!!!!!」

丹生谷―!俺らしさを返せ!
またおもちゃにされてしまった。
まぁ。俺って、丹生谷にされて嬉しかったのかな。
丹生谷、喜んでるし。それもいいかもしれない。
俺って、ドM!?ドMなのか!?

勇太「んんんーーーーー!!!」
丹生谷「そんなに熱いの? パクッ んーーーー!!!あっつ!」

勇太「喉乾いた。買ってくるな」
丹生谷「待って。私の。飲みかけだけどもう飲まないし」ペットボトル
勇太「くれるの!?」
丹生谷「はい」
勇太「ありがとう/// さすがクラス委員長。何でも分かる///」
丹生谷「便利屋じゃないわよ///」
勇太「なあ、丹生谷。間接キスだよな......」
丹生谷「......///」
勇太「丹生谷、見てろ」ごくごくごくごく
丹生谷「....../////////////////」
勇太「ぷはっ!!!!リップの味、酸っぱかった!」
丹生谷「きゃあああ///」
勇太「はい。返す」
丹生谷「......///」
勇太「......///」
丹生谷「何を期待しているのよ......///」
勇太「......///」
丹生谷「はぁ....../// んん!!」ごくごくごく
勇太「おおっ......///」
丹生谷「ぷはー!!! 冷たい!」
勇太「....../////////////////////////」
丹生谷「私、富樫君と間接キスしちゃった♡」
勇太「......///」
丹生谷「......///」
勇太「丹生谷......///」
丹生谷「富樫君......///」
勇太「......///」
丹生谷「......///」
勇太「もっと一緒にいれたらいいのにな......」
丹生谷「そうよね......」

勇太「丹生谷」
丹生谷「なーに///」
勇太「言いにくいんだけど」
丹生谷「なによ/// 楽しいこと?///」
勇太「いや」
丹生谷「......」
勇太「帰ろ。もう時間」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「ごめん......」
丹生谷「......」
勇太「......」

電車

勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「.......」
勇太「景色、奇麗だね」
丹生谷「うん」
勇太「もうすぐ夕方」
丹生谷「......」
勇太「......」

待ち合わせ場所 4時40分

勇太「......ついたな。確か、ここで会ったんだよな」
丹生谷「うん......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「じゃあ......」
丹生谷「うん......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......。ねえ、ちょっと寄って行かない?」

第5話「ガラスの靴」

4時50分。太陽は西日をつくる。
永遠に感じるかのような光を灯す太陽も、天国間近の晴天だった青空を今、
オレンジ色とは程遠い真っ白に染めている。
今歩いている道路もビルも家もそして大きな川も白く光り、その顔を素直に直視することが困難であった。
待ち合わせ場所の石山駅から離れた俺達は分かれ道とは全然違う方向を進んだ。
なんでもない、どこにでもある殺風景な巨大な川沿いの道を二人で歩く。
自動車の走る音がけたたましいなかで、無言で。
初期の弱い、夕日と呼べない太陽の光に丹生谷の顔も少し白くなっている。
多数の赤とんぼが8月のくせに群れを成して飛んでいる。
あれだけうるさかったセミの鳴き声も一切聞こえず死骸がころころ転がっている。
暑さを感じるのに、ちょっと寂しい夏。

勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
なんだろう。丹生谷ともうすぐお別れだというのに。もっと喋って楽しむ。はずだったのに。
手を繋ぐ気にもなれない。だけど俺と一緒にいたくないというのも完全に間違いだと思う。なんなんだ。
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「なあ」
丹生谷「.......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「なんでもない......」
丹生谷「......」
重い。雰囲気が重い。大切に思う人が隣にいるのに、むしろ近づくほど離れていくような虚しい気持ちが身に纏う。
勇太「(なにかしなきゃ......)」
丹生谷「......」
勇太「(でも丹生谷を見るとなんだか愛おしく思える。そう思った瞬間胸がズキズキ痛い)」
丹生谷「......」
勇太「(手、繋ぎたい......。あのころを、もういちど)」
丹生谷「......」
勇太「(彼氏......なんだよな///)」
丹生谷「......」
勇太「(手、汗ばんでないか?また丹生谷を怒らせないか?......緊張する......)」フキフキ
丹生谷「......」
勇太「(誰も見ていないよな......。触りたい....../// 触りたい....../// ごめん神様!)」ギュ
丹生谷「きゃっ///」パシッ!!!
勇太「いたっ!あ、ごめん!」
丹生谷「いえ。ごめんなさい」
勇太「あ///」
丹生谷「あ///」
勇太「......///」
丹生谷「......///」
勇太「......///」
丹生谷「......///」
勇太「......」
丹生谷「......///」小指ギュ
勇太「えっ///」
丹生谷「悪いですか?///」
勇太「いえ///」手ギュ
丹生谷「うふふ///」
勇太「あはは///」
丹生谷「......///」
勇太「......///」
丹生谷「......」
勇太「...... (話したいのに、昔なら話せたのに)」
丹生谷「あの///」
勇太「はい!」
丹生谷「手、私の、濡れてませんか?」
勇太「いえ///」

丹生谷「迷惑......///」
勇太「違います///」
丹生谷「......///」
勇太「あの!」
丹生谷「......」
勇太「......。僕!」
丹生谷「......///」
勇太「......」
丹生谷「......///」
勇太「何でもありません」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......///」恋人つなぎ
丹生谷「......///」
勇太「迷惑......ですか?」
丹生谷「いえ......」
勇太「......///」
丹生谷「......///」
勇太「(手のつないだ指先がやけに気になる......)」ドキドキドキドキ
丹生谷「......///」
勇太「(なぜか鼓動が破れるぐらい高まっていく......)」ドキドキドキドキドキドキドキドキドキ
丹生谷「......///」手ギュ!!
勇太「(......!!丹生谷の手もだんだん俺の手を強く掴む。
汗ばむ握り手をまるで隠すように強く握られていく。でも彼女はむしろ笑っている。
丹生谷の汗と混じっているんだと思うと、
体中がドキドキ唸って、胸が苦しくて、手が汗ばんで、体がほわほわになる。
重力が減ったように足が軽い)」
丹生谷「......///」
勇太「....../////////////////////////」
丹生谷「......///」
勇太「......///」
丹生谷「富樫さん!」
勇太「はい///」
丹生谷「ちょっとあそこで、休みませんか?」

公園

恋人つなぎする俺達とは対照的に、見渡すと誰もいない。児童も親も誰もいない寂しい広い公園。
あれだけ夢につかりそうな楽しいブランコもすべり台もジャングルジムも光の影に落とされて寂しさの哀愁を匂わせる。
ただ動いているのは時計台だけ。時計台は5時きっかりを指している。
そして時計台から機械音声が報知で5回動いた。
反対側に自動車の道路もあり多数飛び交っているが騒音は聞こえない。
贅沢にも近くに大きな川があり、その対岸に、巨大な山を背に高そうな豪勢なマンションが立ち並んでいる。
その近くの橋に小さな車たちが橋を止まりそして歩いている。
この大きな川のその照らされた輝きが、まるであのときの真珠のようだ。
思えば、この公園は俺と丹生谷の思い出の地だ。
俺の部屋にあったマビノギオンを償却するためわざわざこの公園近くの広場で薪をした。
それからこの場所にはよく丹生谷も部活動の一環としてよく行っている。
そして部活と称して毎回皆と笑顔で過ごした。
俺は緊張のあまり太陽の方向を向くと、太陽の落ちる空が薄く黄色く染まっていくのが分かった。
さっきまで白かったのに。俺達の顔を少しだけ金色に変えていく。
5時か。

勇太「あの///」手ギュ
丹生谷「......」手ギュ
勇太「綺麗ですね。川の光」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「うん......」
勇太「ぷっ。もうやめよう///」
丹生谷「うん///」
勇太「きれいだよな///」
丹生谷「うん///」
勇太「......///」
丹生谷「......」
勇太「......(無言が辛い......)」
丹生谷「......///」手ギュ!
勇太「あ......///」
丹生谷「富樫君。なんで、さっきと違うんだろうね」
勇太「......」
丹生谷「すごく......分からないの///......分かる?」
勇太「(このときめき、胸のドキドキ......///)」
丹生谷「......」
勇太「(話せないよ。目を向いて、そしてくだらない話なんて、今の丹生谷の前では、できっこないよ)」

丹生谷「ベンチに座ろう?」
勇太「そうだな......あ。」パンパン
丹生谷「......」
勇太「丹生谷、ベンチに砂があったから」パンパン
丹生谷「......///」
勇太「どうぞ」
丹生谷「ありがとう......///」
勇太「座れるな」
丹生谷「よいしょ」
勇太「ふぅ」
丹生谷「......」
勇太「......」ペットボトルごくごくごく
丹生谷「......///」じぃー
勇太「....../// (やっとここで分かったことがある。
人の飲み仕草をなぜ見るのか。胸の高まりがそう答えている)」
丹生谷「......///」
勇太「ぷはぁ! ふぅ///」
丹生谷「......」
勇太「......///」
丹生谷「......///」ごくごくごく
勇太「......///」じぃー
丹生谷「ぷはぁ!」
勇太「......///」
丹生谷「......///」ニヤッ
勇太「......///」ニヤニヤ
丹生谷「富樫君の飲み方、飲みやすいわね」
勇太「移った?」
丹生谷「かもね///」
勇太「ははは///」
丹生谷「ふふふ///」
勇太「......///」
丹生谷「......///」
勇太「......///」
丹生谷「......///」
勇太「......///」
丹生谷「ねえ、」
勇太「うん?」
丹生谷「富樫君、文系選ぶの?理系選ぶの?」
勇太「俺は物理も数学も苦手だから文系だな。
日本史もつまんなくて、仏像だらけだし。だから世界史にした」
丹生谷「一人?」
勇太「うん。日本史の中二病な美学に惹かれて六花と違う方になって残念だけど。丹生谷はどうだよ?」
丹生谷「私も富樫君と一緒///」
勇太「お前もか!?意外だな!」
丹生谷「数学が苦手なアホに向かないのよ。足手まとい。
でも日本史と世界史比べるとしたら世界史だなぁって」
勇太「一緒の席になるのかな?」
丹生谷「だといいね/// 知り合い誰もいないと怖い///」
勇太「このまま文系コースで行くと営業になるんだろうな」
丹生谷「弁護士にならないの?」
勇太「いや。なんで?」
丹生谷「金持ちじゃん」
勇太「そういう目!?」
丹生谷「最初富樫君、医学部入るって予想してたの」
勇太「お金好きだなぁ」
丹生谷「だって、将来結婚するときにお金いるでしょ?
新築も。それにお金なかったら人間関係築けないわよ?」
勇太「俺は好きな人と一緒にいられるなら、どんな場所でもいいな」
丹生谷「それはダメよ!」
勇太「でも好きな人がお金が好きだったら、頑張ろうかな」
丹生谷「誰を意識して言ってるの///」
勇太「それは......秘密!」
丹生谷「あはは///」
勇太「ははは///」
丹生谷「......///」

勇太「今日いっぱいあったよな。告白だろ。イタリアンだろ。鍵だろ。ファッション」
丹生谷「全部!全部!楽しかった!」
勇太「友達とよく行ってるのか?」
丹生谷「そりゃ、誰かさんと違って行ってるわよ」
勇太「一言多い!」パシッ
丹生谷「きゃ/// いた~い」
勇太「イタリアンでちゅーしそうになって、正直怖かった」
丹生谷「あったわねー。寸前まで行こうとしてたわよね」
勇太「すまん/// でもあのとき丹生谷最後キスする覚悟してて、かわいいって思った」
丹生谷「えー!!してない/// ちゃんとマナーは守りなさいよね!」
勇太「個人的に印象に残っているのが、鍵ロック」
丹生谷「うん/// ドキドキした/// 将来何かが起こるのかと思った///」
勇太「ひょっとしたら今の状況もこのご利益があったり///」
丹生谷「ないない/// もっと大きいものよ」
勇太「でも告白の練習で俺の恥を楽しむのマジでやめろよな///」
丹生谷「えー!甘酸っぱくて嬉しかったわよ/// 富樫君をワンちゃんみたいにからかうの楽しいもん!」
勇太「はぁ!?もうそんなに言うなら本当に丹生谷の犬になってやるよ!
ほらほらご主人様エサをくれ!楽しいんだろ!?三回回ってワン!」お尻フリフリ
丹生谷「あはははははははは/// きしょい///」
勇太「見たかったんだろ!?/// 叶えてやったぞ褒めろ///」
丹生谷「むしろ見たくないわよ/// 誰が好むのよこの捨て犬///」
勇太「......///」
丹生谷「......///」
勇太「ああ。有田焼。地味なのに今でも思い出す」
丹生谷「あれよかったわよねー。食器並べてみたいって」
勇太「川沿いを挟んだあのマンション。何階建てだろうな?
いつかお金が溜まったから行ってみたいなー。そんな部屋で食器並べたらいいよなあ」
丹生谷「きれいよねー」
勇太「ああいうマンション。丹生谷、住んでみたい?」
丹生谷「えっ......//////////////」
勇太「......」
丹生谷「その。心の整理ができていない」
勇太「仮の話に心の整理もあるか!」
丹生谷「うん/// 住んで......みれたら....../// いいのにね......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「丹生谷」
丹生谷「ん?」
ベンチに座る丹生谷に体の擦れる音まで近づき、丹生谷の頭に俺の頭を傾ける。
勇太「......///」手ギュ
丹生谷「......///」手ギュ
勇太「......///」
丹生谷「......///」
勇太「......///」
丹生谷「......///」
勇太「(丹生谷の心臓の音が、俺の頭の中にも響いている。
彼女のほのかな頭と体の熱が俺の心にけたたましく響く)」
丹生谷「......///」
勇太「丹生谷の体、あったかいよ」
丹生谷「富樫君......」
勇太「あのな」
丹生谷「......。うん」
勇太「俺、丹生谷といて、悪くないと思ってる///」
丹生谷「......///」
勇太「ある意味、幸せの絶頂期かもしれない」
丹生谷「......///」
勇太「こんな思い、どんな友人にもなかった」
丹生谷「......///」
勇太「今日、色々とありがとな。丹生谷の色々な顔見れて楽しかった///」
丹生谷「うん......///」
勇太「......///」
丹生谷「......///」
勇太「......///」
丹生谷「......///」

丹生谷「私ね。あ、変な話していい?」
勇太「うん。誰にも言わない」
丹生谷「あのね、普通の恋愛って何なんでしょうね?
TVやドラマ、街中のカップルでよく見る典型例に憧れてた。
手を繋ぐこともキスもその......エッチも、結婚も子供も、知り合う男女はいずれ通る道。
だけど、その愛し方って本当は違うんじゃないかなって。
好きな人を子供みたいに慰めたり叱ったり、
些細なことで怒ったり笑われたりした変なやり取りの曇りの塊が猜疑心を呼ぶの。
TVやドラマの模範解答みたいな夫婦の喋りができないなら、
第一にその設定もなかったら、それって本当に恋愛と呼べるの?」
勇太「......」
丹生谷「いいわ。富樫君なら無理して答えてくれるでしょ。ありがとう。女の子ってね、愚痴を聞いてほしいだけなの」
勇太「......」
丹生谷「それでも、分からないわ......。自分がどこにいるのか......」
勇太「......」
丹生谷「例えばこういう恋愛も......。聞かないで」
勇太「…..」
丹生谷「そう......じゃないのかも」

本当に俺も分からない。思考を停止し近くの太陽を見る。
俺は丹生谷と言って、強く手を握った。
俺はなぜ強く握るのか。なぜ胸がドキドキ痛むのか。
懐かしいのに、全然分からない。
あの夕日、そろそろ落ちるころだろうか。
太陽の暑さと丹生谷の体温と混じっていて、どっちのせいで暑いのか分からない。
横を見ると丹生谷の顔が金色に輝いていて、鼻筋に黒い影を落とし、その大人の女性っぷりに、胸の鼓動が早くなる。
俺達はお互いに一緒。ずっと一緒。
幸せすぎて、今日に起きた悩みも、すべて消えていく。

六花。いまごろ、どうしているんだろうな。

勇太「六花が呼んでる......。帰らなきゃ......」
丹生谷「えっ......」
勇太「今日樟葉いないから、六花が料理することになっているんだ」
丹生谷「料理できないの?」
勇太「あいついつもドラゴンや魔力に夢中だからな。勉強も家事もしないでさ」
丹生谷「一人で大丈夫なの?」
勇太「無理だろうな。誰かがいないとあいつは成長しない。俺がいないとダメなんだ」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「.......」
勇太「......」
丹生谷「ねえ」
勇太「うん?」
丹生谷「小鳥遊さんの中二病やめさせなさいよ」
勇太「えっ......」
丹生谷「......」
勇太「お前何言っているんだよ......」
丹生谷「中二病、中二病とか言って、できない言い訳を盾に富樫君を守ってもらってるんじゃないの?」
勇太「いや、あいつも少しずつ成長しているんだぞ!蛹から蝶が羽化するように少しずつ時間がたてば、
あいつも中二病であった自分を受け入れるかもしれないじゃないか!」
丹生谷「それがあだになるのよ」
勇太「えっ......」
丹生谷「あんたが中二病にかかった小鳥遊さんを愛そうが、卒業後でも愛そうが、それは構わない。あんたならできるでしょ。
でも、自分を磨くための時間はもう帰ってこないわよ!
肝心の大学入試試験も中二病に夢中になっているからと甘く判定する気?
高校卒業して専業主婦にしたところで今夜はブルームーンだからとほったらかす彼女の背中を見つめるの?」
勇太「ゆっくりやれば......できないことはないだろ!例え中二病でも!少しづつ!」
丹生谷「だから時間がなければできないつってんの!聞いてよ!
開花時間を遅くしたら小鳥遊さんどころかあんたの人生も終了するのよ!共倒れじゃない!」
勇太「だからって無理矢理やめさせることないだろ!......あいつは!あいつの中二病は人生そのもので!
自分以外解くこのできない呪いを必死に解消してるんだぞ!六花の悪口を言うな!」
丹生谷「死ぬわよあんた!」
勇太「死ぬか!絶対に間に合わせてやる!」
丹生谷「東大に行く力もないくせに威張るな!」
勇太「東大だけが全てじゃないだろ!」
丹生谷「時間はそこまで待ってくれないわよ!
私は今日明日の話じゃなくて1年3年後にかくまってやっと覚醒したそのタイムロスのこと言っているのよ!
来年受験なのよ!就職どうするの!?」
勇太「それは......」
丹生谷「なに!?小鳥遊さん世話するあまり、
将来大手企業の新入社員を大学経歴カットで受けれなくてハローワークに行くつもり!?あんた生きてて楽しい!?」
勇太「まだ決まったわけじゃないだろ!」
丹生谷「さっさとやめさせなさい!!」
勇太「......そういう丹生谷だってできてるのかよ」
丹生谷「は?」
勇太「自分だけできると思ってさ。人のことずかずか入るなよ!」
丹生谷「私は心配して言ってるのよ!心配してなきゃ言ってない!」
勇太「じゃなんでお前チア部やめた?
辞めなきゃ全国大会で有名人に引っ張りだこだったお前がなぜ夢を捨てたんだ!?」
丹生谷「やめてよ......」
勇太「演劇部に入った部外者のお前が、合わないとかすっぽかしてここに来る理由は一体何だよ!人間関係だろ」
丹生谷「ちが......違うわよ!何か私の目指してるものとは違ったからよ!」

勇太「目指してるってなんだよ!金か?金、金、金か?」
丹生谷「違う!そんなの楽しくないじゃない!!もっと理想よ......」
勇太「理想ってなんだよ」
丹生谷「分からない......」
勇太「富か名声か権力か!!」
丹生谷「そんな目で見ないでよ!!!!!!最低!!!!
分からないわよ!!ええっ分からないわよ!!!だから何!?」
勇太「うぜ!目的もないのにふらついているのは実はお前の方だろ!
お前の辞めたすべて中途半端に止めた地点で何も手に入らないんだよ!!!!!
だったら六花の方が幾分賢いね!」
丹生谷「バカじゃない!?先に消えるのはそっちの方!
私の履歴書の部活の欄にチアガールと演劇部載せられるけど、
あんたは何?極東魔術なんちゃら結社!?それ面接官の前で説明できるの!?」
勇太「......確かにできないかもしれないけど、部活の欄見ないところだって」
丹生谷「悪いけど、くみん先輩も小鳥遊さんも中坊も七宮ちゃんも、全員バカだとしか思えないわ!あんたもね!
履歴書になんて説明すればいいの!?遊んでるだけじゃない!」
勇太「なんだよ!!履歴書だけが全てかよ!」
丹生谷「周囲を観なさい!皆誰誰が失敗したとか上からケラケラ笑って見ているのよ!
溺れている犬がいたら棒で叩いて殺す!これが現実よ!
人は皆お金を持っている限りお姫様でいられる!大事なものなの!怖いじゃないそんなの!」
勇太「お前だってあざ笑ったくせに!!!今日のデートでも散々迷惑振りまいたじゃないか!!!
覚えてるか!?殴られたり、叱ろうとすると俺のせいにしたり、
俺に似合わなかったからってバカにしてきたじゃないか!!!!!
俺から見たお前の印象良いを通り越して最悪だ!!!!」
丹生谷「なによ......。いいじゃない......。私が悪いって言うの!?私が悪いって言えば丸く収まるの!!!?
守ってくれるって言ったくせに全然守ってくれないじゃない!!!!!!!
ありがとうって全部嘘だったの!!?富樫君全然死んでもらって結構だから!!!
あんた見直したけれどやっぱダメね。そのセリフ一生覚えておくから!!!!!
あんたからもらった物も写真も全部ゴミ箱に消去して、一切合切なくしましょう。もう、見なかったことにしたい」
勇太「ああ、やっとけ!」
丹生谷「私、帰る」
勇太「あーあーそうかいそうかい。口も聞きたくない」
丹生谷「そうなの......。じゃ、いいわよ。富樫君。
そばにいるから言うけど。私、極東魔術なんちゃら結社辞めるわ」
勇太「おいっ......。どうするんだよ!?」
丹生谷「時間と評価の無駄」
勇太「凸守が悲しむだろ!」
丹生谷「別にー。あの部室来なくても、私の教室まで来れるんだから関係ないわ」
勇太「丹生谷がいなくなったら、どうするんだよ!!?みんな心配するぞ!」
丹生谷「このこと言いふらしちゃえばいいじゃん。私、独り、慣れてるから」
勇太「......」
丹生谷「じゃ、帰るわ」
勇太「......」
丹生谷「あ。 私の気持ちが分からないのに、小鳥遊さんの気持ちなんて理解できるはずがない。
さっさと止めさせなさいよねー」
勇太「......」
丹生谷「さようなら」



待てよ。



おい待てよ!


本当に行くのか。
嘘だよな。
嘘だよな。
こんなのないんじゃないか。
望んでないだろ。
今まで部活のみんなと笑い合って喧嘩し合って、
そして困ったときに相談に乗ってくれた丹生谷の結末がこんな形で決まる。
一番辛いのは丹生谷のはずなのに!
丹生谷の言う理想の部活ってここであるはずなのに、
じゃなかったとしたら既に関わってもいないはずなのに!
手を伸ばしても、伸ばしきれない。
どうしたらいいんだよ俺!
どうしたら止められるんだよ!!!!



丹生谷はベンチから立ち、オレンジ色のすっかり老けた太陽の日差しを背に、少しだけ歩いて止まる。


止まる。




止まる。





俺は思わずベンチから立ってしまった。

ああ。
俺を待っているんだ。
最後のチャンスを待っているんだ。
俺に救いを求めているんだ。
きっと助けてほしいんだ。この現実から。
丹生谷が最後の優しさを俺に見せてくれる。
どんな言葉がいい?どんな言葉なら分かってくれる?
ぐずぐずしていると行ってしまう。
何だ?何がいい!?どんな言葉で引き留めてくれる!?
分からない。分からない!
あれか、あれを言えばいいか!?
「私は、あなたのことが、好きです」
言えばいいのか?解決するんじゃないか!?
違う!!!!そうじゃない!!!好きといって解決する問題じゃない!!
......それに六花の笑う顔を思い出す。
詰まってるんだよ現実が!潰されそうなんだよこの希望が!
あいつは、俺達は、何のために生きているんだよ......!

何か万能な!!丹生谷の悩みを吹き飛ばしてくれる万能な答えはないのか!!!
その辺にあるはずなのに!!思い出せるはずなのに!!
お願いだ!丹生谷が動き出してしまう!
いやだよ!!
こんな別れ方!
もっといたいよ!
もっと笑っていたいよ!もっと叱られて撫でられたいよ!
悪いとは分かってるけど、でも楽しかったのは事実なんだ!
せめて友達としてでも別れたくはないんだ!
丹生谷もそれを知っているはずなんだ!
あってほしいのに、別れの日がやってくる!
引き留めたい......!
今日の楽しかった思い、そして丹生谷を慰められるような一致する何か!
この思いを、一文で伝えたい!!!
またこの世界で丹生谷に笑ってほしい!
丹生谷の笑う顔が、出会ってから今日が、
最高にかわいかった!
でも、
でも......!
......
......

明日が!
来るな!!!




丹生谷と笑い合えて、まるで夢みたいだったな......。



......!














勇太『俺はずっと君のことを覚えているよ!!!!!!!』









響いた。空に。強く。
俺の心臓は硬直した。言ってよいのかならないのか恐怖心で耳が凍る。世界が止まる。
その叫び声で、丹生谷の硬直している体と足に加え、かすかに動く手さえも微動だにしなくなった。

そして、ゆっくりと体が揺れ、手が震え、足が揺れ、何かを募らせていると背中が語る。
まるで何かを隠しているかのように。
そして振り返った。すらっとした髪のなびき方が彼女の感情を表していた。

オレンジ色の丹生谷が大好きといったきらきらの、光の夕日が丹生谷の正面を照らす。
夕日のオレンジ色を背景に丹生谷の体がよく見えるぐらい光色に反射する。

その姿は。

眉にしわを寄せ、敵意をつくる目で、瞳に涙を溜め、顔を真っ赤に染め、唇をかみしめ、体中の震える。
誰かを殴るような堅さの手に、握り拳をつくる。
夕日の光に同調するような体をしたー。
いわゆる悔しい顔だった。

その姿に俺は鼓動が止まり、真実の姿に目の前が真っ白になる。

丹生谷は俺を真っすぐに、じっと、ずっと見つめて何か言いたげな気持ちが心に伝わる。
一瞬だけその背中に、天国からやってきた、片鱗の折れた天使の羽のように見えた。
俺の動揺が止まらない中、丹生谷は足を出して急にまるで衝突するかのように走って駆け寄って、
走りながら飛んで行った弾ける多数の涙が夕日の空を舞い、きらきらと輝く。
顔を下に隠しながら俺の胸にめがけて。
体と体が近くなり。
そして、胸の衝動と共に、思いがぶつかる。




丹生谷「バカーーーーーーーーー!!!!!!!!
バカバカバカバカバカーーー!!!!!!!!!!!
何で優しくするのよー!!!!!!
どうして断らなかったのよーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!」


「どうして私じゃないの!
あれだけ富樫君笑ってくれたくせにどうして私を選んでくれなかったの!?!!!!
なんでよ!!!!どうしてよ!!!!!!!」


「結局小鳥遊さんにはかなわないの!?私が出遅れたから!?!!!??こんなに胸が苦しいのに!?!!!!!!!!
いやよ!!!!!いやなの!!!!!!!!!!!認めない!!!!!!!」


「伝えるだけなのに!ただ伝えたいだけなのに!あの一言が重いの!私言葉の重みに耐えられない!
あれを言うと罪悪感で死にそうなのにそれでも富樫君に期待しちゃうのよ!」


「女の名前を口にしないでよ!私じゃダメなの!?!!なんでデート中現実に戻そうとするの!!!!!
話のネタがなくなったら私のことひたすらかわいいかわいいって言っとけばそれで満足なのに!!!!!!」


「どうして好きじゃない女性にここまでしてくれるの!?!!!!
キモいとか言ってれば集団組んではぶってくるのに!!!!ただの他人なのに!!!!
でも富樫君は違う!ただの私をここまで温かく抱いてくれた!繋いでくれた!!!!
どんな願いもかなえてくれた!!!!エスコート泣くほど嬉しかった!!!
私にこんなことしてくれる人なんていなかった!!!!気づくのが遅すぎた!
別れたくない!!!!!もっとしてほしいよ......!
でも富樫君には小鳥遊さんがいるからああああああああ!!!!!!!!!」


「あなたの代わりなんてどこにもいない!!!!
他の男子とは違って前を真っすぐ見てるし夢とか希望とか温かくなるような優しさをたっぷり包んでいるの!!!!
そんなことされる小鳥遊さんがうらやましい!!!!!
泣いたときに慰めてくれるなんて想像できない!!!!
富樫君と抱きついた体温かくて最高だった!!!!!
でももうあの体は......小鳥遊さんのもの......」


「富樫君私分かったんだよ!!!!地位とかお金とかどうでもいい!
どんなに王冠持ってたって愛されなきゃ意味がないって!成長したよ!!!私いい人だよね!?!!!!!
貧乏でいいから......!!!!!!富樫君のためなら今死んでやる!
なんにもいらない!私は本気!やっと見つけた人......!!!!
また富樫君に一回でも抱いてくれたらなら私は!!!!!」


「結局、あの言葉言ってくれなかったけど、でもまだ心のどこかで期待している私がいる!!!!
富樫君のせい!!!!!
責任取ってよ!!!!!!!!!!!!!!!!
恋心は消えないんだからあああああああああ!!!!!!」


「こんなことなら知らなきゃよかった......。
胸が痛い。痛いよ。最初から何もかも。
全て消し去ってしまいたい。
生まれた中でも消えたい......」



「それでも富樫君は聞いてくれるんだよね。この体温大好き」



「富樫君......優しすぎ......」





「ごめんね......。」


丹生谷......!
俺はそのぶちまけられた本音に声も出ず、
しがみついた胸の中で怒鳴って泣いている丹生谷を目の当たりに、腕に力も入らない。
初めて気づいた。その気持ち。
ああ、あのときそうだったな、と気付いた途端、彼女の罪悪感で心に剣が刺さり傷跡が赤く広がる。
本気の罵声を言い終わると疲れたのか丹生谷は俺の胸の中で嗚咽を漏らすだけで喋らなくなった。
丹生谷の顔と頭の真っ赤な熱と、涙で湿らせた胸が温度を分からなくさせる。
その異常事態に胸の鼓動が最高潮に鳴る。
丹生谷から落ちたしずくが地面に模様をつくり、服の上からも大粒を垂らしていく。
そんな丹生谷を抱きしめる。いや、抱きしめるだけしかできなかった。
愛なのか。怒りなのか。
俺のさっきのドキドキという意味の正体を丹生谷を見ることで確かめながら。
憐れみと罪悪感とそれと.......。裏切りは悪い。
俺がここまで連れてきたという罪悪感が、俺も薄々分かって六花を見捨てたことを思い出し、
今までの優しさの基底に反し、今の丹生谷を地面に突き放す、
そのような気の迷いを、愛の優しさの優先度で封じ込めた。
泣いて小刻みに震える丹生谷を胸に抱いて、でもどうしようもない気持ちに顔が虚ろになる。
憐れむしかできない俺に、撫でる勇気はない。
背徳心で鳴る俺の鼓動にいら立つ。このような残酷な気持ちに駆られていく。
俺は泣くこともできずただじっと見つめる。聖人君主であれば丹生谷を悲劇から戻せるのだろうか。
だからそのお詫びに俺の体温を、明日風邪ひくかもわからないぐらい代償を、熱を出して丹生谷の心の氷を溶かす。
丹生谷と付き合ってしまったという罪悪感と、
丹生谷と付き合っているという......そう。恋心によって。



その恋心は思っていたよりなにか寂しく冷たい。
うずくまっている胸の中から小さく声がした。
勇太「ごめん」
丹生谷「......///」ぽとぽと
勇太「気づいてやれなくて、ごめん」
丹生谷「......///」ぽとぽと
勇太「優しくして、ごめん」
丹生谷「......///」ぽとぽと
勇太「......///」
丹生谷「......///」ぐすっぐすっ ずーずー
勇太「......///」
丹生谷「......///」ぽとぽと
勇太「......///」
丹生谷「とがしくん......。ごめんね」
勇太「......」
丹生谷「ドン引きした......?」
勇太「ううん。ここまで辛い思いさせてゴメンな」
丹生谷「ワガママだよね。これが私だから......」
勇太「丹生谷の素直な気持ちが聞けて嬉しかった」
丹生谷「いやなの......。優しい。優しすぎる。でも、嬉しい」
勇太「すまん。俺こそ悪かった」
丹生谷「......」
勇太「六花には本当悪いと思ってる。処刑行きだよな俺。なんで彼女を裏切るまねをしたのか。
真面目にあいつがいるんだから、他の女性とこうするんじゃなかった。当たり前だよな。
いちゃいちゃしちゃいけないよな!!俺のせいだ。今度からやっぱり六花の人とは絶対」
丹生谷「やめて......!......なんとなく」
勇太「......。もっと優しくしなかったら、よかったはずなのに」
丹生谷「そうよ。富樫君バカよ。やってほしくなかった......」
勇太「ごめん......」
丹生谷「でも富樫君じゃないと、優しさってのが分からないの」
勇太「......」
丹生谷「つらかった」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「俺、あのとき丹生谷に言いすぎた。
丹生谷、俺の将来のことを思って言ってくれたんだよな。ごめん」
丹生谷「ううん私も。自分のわがままでたいした意味はなかったの。
あんなに焦らせる気もいらなかったにね。私のせいよ......全部。
小鳥遊さんの悪口言っちゃった。小鳥遊さんに......償えない......!」
勇太「ごめん。本当にごめん」
丹生谷「いいわよ。私の勝手なわがまま」
勇太「でも、悪いのは全部俺だから。
他の異性に抱かれるまで何の危機感も感じなかった俺が悪いんだ。
世界最大のバカだ。だから、俺の責任だから、何も悪くない」
丹生谷「富樫君。そういう優しさが......いや......」
勇太「......。ごめん。......俺も丹生谷の言い方に問題があると思った」
丹生谷「うん。私が悪いの。ごめんなさい」

丹生谷「顔上げたい」
勇太「ハンカチ持っているか?」
丹生谷「ない」
勇太「うん。顔、離したくない?」
丹生谷「さすがにダメ......」
勇太「じゃあ、俺目を隠して離れて鞄から取ってくるから」
丹生谷「お願い......」
勇太「せーの。(視界が真っ暗だ。取り出して、この感触。ティッシュ)」
丹生谷「......」
勇太「(うわっ俺の服。リップは写ってないものの、涙と鼻水でびしょびしょだ)」
丹生谷「......」
勇太「はい」
丹生谷「ありがとう」フキフキ フキフキフキフキ
勇太「(うわっ。全く。美少女にあるまじき鼻水がこんなに粘ってるよ。
でも俺のこと大事に思ってくれた証。俺のために泣いてくれた。嬉しい......)」フキフキフキフキ
丹生谷「できたわ」
勇太「(目が腫れてるけど、言ったら酷だろうな) かわいいよ」
丹生谷「うん......///」
勇太「水でも飲む?」ペットボトル
丹生谷「うん。飲んでから、また話したい。ちょっとベンチに座りたい」

勇太「丹生谷......。あのときの気持ち。本当?」
丹生谷「......。どうしても......?後悔しない?」
勇太「......うん」
丹生谷「うん。ごめん弱い子で。やっぱ我慢できない」
勇太「......」
丹生谷「私、やっぱ悪い子なんだよ」
勇太「悪いのは俺のせいで、全然違うと思う」
丹生谷「私よ。私が富樫君に甘えすぎたから。好きになってわがままを見せちゃった。
私の性格、最悪ね。盗る人になるなんて。性格全部だめよ。全部」
勇太「違うだろ。それでも丹生谷は俺の憧れの人なんだよ」
丹生谷「どこが......?」
勇太「優しいし。怒れるし。美人だし。そんな勇気がほしい。
俺だったら、もし付き合うんならあんな風にわがまま言う勇気もなかった。
強引に付き合うか泣き寝入りするか二つしかない。丹生谷芯の太さ、いいと思ってる」
丹生谷「いいなってそれ......わがままになっちゃうよ。今の状況がいいって言うの?」
勇太「いや、もっと。真似するぐらいまで割り切れば。うん。丹生谷、尊敬する」
丹生谷「私は別に尊敬できる人間じゃないわよ!こんなふうに......。いい人生じゃなかった。
今の私が笑顔だと思う?私こそ、生まれ変わったら富樫君みたいな」
勇太「俺はダメだ。丹生谷よりダメ人間だ」
丹生谷「でも私は富樫君みたいな人になりたい/// ガチでなりたい!」
勇太「いや/// するな/// 俺は押しに弱いぞ」
丹生谷「そんな人間になりたい!!///」
勇太「俺も俺で大変だぞ。あと。ごめんな。デート中、六花って言って。怒らせてごめん」
丹生谷「うん。ごめんなさい。私だってわがままだった。
正当な彼女だったら散らせるんだけど。笑って。こんな私に価値ゼロよ」
勇太「やめろよ!!俺も色々すんごく悪かった。だからその分その発言撤回してほしい!
丹生谷だってきらめくところいっぱい持ってんだからな!」
丹生谷「富樫君....../// こんなことした私に価値なんてないのに......やっぱり優しいよ......」ぽとぽと
勇太「泣くなよ 俺が拭く」フキフキ
丹生谷「ありがとう......///」
勇太「辛いよな。別の話しよ」
丹生谷「富樫君と話しているとドキドキして辛いの......」ぽとぽと
勇太「......」

勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「俺達、あんなにいちゃいちゃしなきゃよかった」
丹生谷「うん......。悪かったって思ってる。
小鳥遊さんに指導している人なのに、私、顔を合わせられない」
勇太「俺達、恋が実るなんて思いもよらなかった。普通は難しいのに」
丹生谷「私も。でも心の中では期待していたのかもしれない。
最初は怒る存在だったのに、いつの間にか笑い合う存在になってた。分からないものね」
勇太「昨日から1日しか経っていないのに、まるで1年中過ごした結果みたいな」
丹生谷「会って最初はあなたを下に見ようと思ってたけど、でもあったかかった。
ノリが楽しくてその発展形なのか。とにかく忘れられなかった。
2万するスカートを本気で、私の要望で買うような人には見えなかったもん」
勇太「それは......恩返しだよ」
丹生谷「恩返し?」
勇太「丹生谷、告白の練習で、あんたに抱きついてくれたから。お礼」
丹生谷「2万も使われてびっくりする私の身にもなってよ。でもあれ練習よ?」
勇太「抱きつくってあり得ないだろ?」
丹生谷「......。そうね。内心、富樫君のこと狙ってたのかもしれない。
小鳥遊さんといつもかまってくれている姿が、
心に疎外感を感じてなにか羨ましかった......。あ~あ、私、嫌な子だ」
勇太「嫌な子じゃないよ」
丹生谷「......。甘えすぎちゃったな......」
勇太「丹生谷、やっぱ優しくされると情に弱いのか?」
丹生谷「そんなに安い女になった覚えはないわよ。
富樫君って周りに優しいの?今日の私みたいに」
勇太「うん......ううん」
丹生谷「どうして?」
勇太「異性と一人っきりになる機会って六花についで丹生谷が二番目だから。
優しくするときもあるが、たいてい響かない。友達でエンドだ。丹生谷も優しいだろ?」
丹生谷「......」
勇太「そうでもない?」
丹生谷「......わがままよ......世界一」
勇太「でも俺は、わがままな丹生谷がいいと思ってるよ。うん。十分素敵」
丹生谷「ありがと///」
勇太「......」
丹生谷「あの!!」
勇太「ん?」
丹生谷「富樫君もかっこいい男の子だよ!保証する♡♡♡」
勇太「俺がか///」

丹生谷「夕日、奇麗ね。川はどうしてあんなに綺麗なんでしょうね」
勇太「うん。魂取られちゃうよな」
丹生谷「はぁ.......。それに対して私は......」
勇太「一人で荷物背負んな」つんっ♡
丹生谷「きゃあ///」
勇太「手、握っていい?」
丹生谷「うん」
勇太「......///」手ギュ 恋人つなぎ
丹生谷「富樫君ってろくにデートできないと思ったけど、やるときにはやる男なのね」手ギュ
勇太「俺そんなにできない///」
丹生谷「でもエスコートできるとこはできるのよね。あんたが不思議でたまらないわ」
勇太「でもお約束条項つくられるみたいに気遣いできなかった」
丹生谷「ううん。いっぱいしてくれたよ。私に何もかも。
辛いときも助けてくれて、嬉しかったわ。この世界であんた一人」
勇太「そんなオーバーな/// 俺、この調子で人に嫌われないかな?」
丹生谷「ばっちりよ。心配しないで」
勇太「ありがとう///」

勇太「丹生谷って料理得意?」
丹生谷「う~ん」
勇太「きれいな川と夕日見たら、お腹空いてきちゃって」
丹生谷「得意といえば得意よ」
勇太「ほんとか!?///」
丹生谷「な、何で喜ぶのよ!?」
勇太「いや、別に......」
丹生谷「肉じゃが作るの得意よ。基本的なことしかできないけど。
彼氏つくるために女磨きの修行に。
あのね、初めて作ったのに、その肉じゃがうまかったのよ!」
勇太「すごいなーーーーーーーーー!!!!!」
丹生谷「えへへへ/// そんなにすごい!?/// 違うわよ/// 全然うまくない///」
勇太「でも作れたんだろ!?すごいな!!!!」
丹生谷「じゃあ、今度食べる?」
勇太「えっ」
丹生谷「小鳥遊さんいるだろうけど、おすそ分けで。
感情抜きに食べさせてあげるから、それならできるでしょ?」
勇太「いいのか!!?」
丹生谷「ちょっとだけよ。弁当の汁こぼれやすいんだから」
勇太「あ~んってされるのか///」
丹生谷「ちょっと!!?/// それ小鳥遊さんの前で食べさせるのよ分かる!!?」
勇太「あ~んって弁当全部食べちゃう!!」
丹生谷「とらないで///」肩パシッ
勇太「いやん/// ははは///」
丹生谷「ぷっ。いやんってなによ/// ふふっ///」

丹生谷「富樫君......。私達、高校卒業したら離れ離れになる」
勇太「うん......。寂しくなる」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「あの.......富樫君、赤ちゃんの話覚えてる///?」
勇太「いや?」
丹生谷「はぁ......。よかった.......」
勇太「丹生谷が告白の練習の時に「富樫君の赤ちゃん産みたい」って舞い上がって話したことだろ?覚えてないよ」
丹生谷「とがしくん///!!!!!!!」
勇太「ははは///」
丹生谷「殺す!絶対殺す///」
勇太「黒歴史になっちゃったか?」
丹生谷「やめて/// 忘れて頂戴///」
勇太「もし俺が唱えたらどうする?」
丹生谷「永遠の魔法にかけてあげる」
勇太「殺される///」

丹生谷「私、太りすぎたのよ」
勇太「へえ。何キロぐらい?」
丹生谷「富樫君?」
勇太「冗談。ごめんな、乙女だもんな」
丹生谷「二キロよ。56キロ。はぁ~あ。2キロ増えたの。デブになっちゃう」
勇太「十分綺麗だよ?」
丹生谷「はいはいそうね。お菓子の食いすぎかしら?」
勇太「なんで女って数字の目減りだけで、あんなにワイワイできるんだ?」
丹生谷「そりゃ重大問題だからよ!!!分かる?太った?って社交辞令で言われる辛さ?」
勇太「あ~、デリカシーのないやつな」
丹生谷「富樫君みたいな人」
勇太「なにぃ!!!俺だって気遣ってるわ!!!」
丹生谷「私のこと辛いねって言ってくれないもん」
勇太「ダイエットしてる?」
丹生谷「朝ランニング。夜もランニング。野菜もりもり。受験しているのにもう体がへとへとで」
勇太「女の子って辛いんだな」
丹生谷「そうなのよ~」
勇太「丹生谷って本当に超人みたいに芯が強いな。俺なら走った後にすぐ食べる」
丹生谷「痩せなさい///」

暫くして話が終わり頬の火照った俺達は夕日とその光に照らされるキラキラ輝く巨大な川を、
ベンチに座ってただ静かに手を繋がずぼーっと見ている。
あれだけ長く青空を白く飾っていた太陽も、西日に落ちかけ、
しかも光の力も弱くなり世界を黄金とオレンジ色に染めている。
夏の暑さはふだんうっとおしいけれど、なんだか見守られているような、勇気をくれているような、
ずっと見た何かに見慣れた色をしていて飽きず、その温かさに護られているような気がする。
やがては太陽は落ち、夜になり、そして明日が来る。
俺が例え死んでもずっと太陽は登る。ずっと同じように。

丹生谷「ねえ、」
勇太「ん?」
丹生谷「富樫君に出会えてよかった」
勇太「なんだよ///」
丹生谷「素直すぎるのよ/// なんかね、のんびりしていられる」
勇太「そりゃよかった」
丹生谷「ねえ、富樫君はこんなこと思ったことがある?」
勇太「ん?」
丹生谷「思えば昔は、大きくなったらこの世界の限りを知り尽くせるんだーって、
もっと楽しいことあるんだって思ってた」
勇太「うん」
丹生谷「高校生になったら、登校中イケメンとぶつかった後学校行ったらその人だった。
その人と運命の出会いを遂げて、靴箱を開けたらラブデターがあったり、最後結婚式で結ばれる。
なんてことないのにね。
今でもそうじゃないかって、転校生が来る話題を見て思うのよ。靴箱を開くたび虚しい気持ちになる」
勇太「うん」
丹生谷「あ~あ。小学校は楽しかったな。
授業中友達と笑い合いながら明日授業があることを期待してね、
放課後フラフープをしておにごっこではしゃいだ。
算数のドリルを両親に恥ずかしくもなく堂々と褒めてもらった。
その後、皆と一緒に食卓について今日の学校のことを誰誰が何かしたことをいちいち報告して喜んで。
そういう日がいつまでも続くと思ってた」
勇太「うん」
丹生谷「でも現実は親に褒められることもなくなったし、そもそも接点もなくなった。
それでもまだ若いんだからダメと言われるとムキになって早く家を出て大人になりたい」
勇太「うん」
丹生谷「だから友達に逃げたけど、○○がいいよね~とか、あれかわいいよね~とか、
それを否定すれば白い目で見られるのわかってるから偽善の笑顔振りまいて。
嬉しくもないのにうんうんって。遅れて教室入ったときの白い目が怖いみたいな。
いつの間にか人に頷かないと死ぬって暗い顔をしていた」
勇太「うん」
丹生谷「友達にひそひそ話されたくなかった。
それで経験不足な私の学力の分野ではうまくいきたいと思ったら大人にダメだしされた。
だから責任取ったらかっこいいと思っている。
何かがしたいからじゃなくて、なんとなく上に立てれば自由になる気がする。
これは中二病じゃないでしょ?」
勇太「うん」
丹生谷「どこもかしこもどこか閉鎖的で。夢を見た世界は実は地獄で。
私が学校にいるから皆を助けようと思ったけど委員長の代わりはいくらでもいる。
落ちたら好きでやってた自業自得だった。
皆が完璧超人に愚痴でさえも見えるのに、他の人でも成立する役割に自信も希望も湧いてこない。
私の代わりなんていくらでもいる」
勇太「うん」
丹生谷「大人になっても、人は生きるためではなくお金のために働いて。
意味のないことの当てのない旅。
たいしてもやりたいことはないし、やりたいことは他人がうまい。
家族に仕事についてない人がいると思われるのを恐れる就活の始まりが怖いの」
勇太「うん」
丹生谷「ねえ、夢を描かなかったら幸せなんでしょうかね。ただ喋りたい。人を助けたいだけなのに。
私が彼氏とデートした、だから褒めてよ。って自慢されて嬉しくないのに、私はお面をかぶって笑うことしかできない。
クラスの委員長も仕事も代わりはいくらでもなりたつ。私の入る場所がない。
今もつまらない勉強して、将来も生きるためではなく、金を稼ぐために生きて、そして死ぬ。
それに何の意味があるのでしょうね。
周囲の目を気にしてお面を被っても、報われなきゃ全然楽しくない。
勉強だって役に立つ機会もなければなにも意味はない。
でも他人の目をうかがわなきゃ生きていけない。
でもそのまま死んだら、何のために宿題済ませて生きてきたんでしょうね?
私は何がしたくて生きてるかわかんなくなっちゃった」
勇太「......」
丹生谷「いつの間にか、
彼氏がいることがまずステータスになって、持ったことがないのが異常扱いされる。
確かにそうだけど、何かが足りない」
勇太「......」
丹生谷「私ね。いっぱい持ってるの。
金も、友達も、成績もある。顔もいい、ルックスもいい。幸せなはずなのに」
勇太「......」
丹生谷「幸せに感じない。こんなの全然幸せじゃない」

勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「闇の炎に抱かれて消えろ......」ボソッ
丹生谷「......?」
勇太「意識のある今言っておくが、俺のする行動、俺でさえ分からないからな」
丹生谷「なに?」
勇太「うっ!!!あああああ!!うっ!!!!」
丹生谷「えっ!!!?」
勇太「右手が!!!右手が!!!!!!!???」
丹生谷「富樫君!?」
勇太「なんだか俺を呼んでいる!右手の力が覚醒する!!!うおおおおお!」立つ
丹生谷「あんたなにやってんの!バカにしてるの!?」
勇太「かかれーーーーーー!!!!!うああああああああああああああ!!!!」
丹生谷「はあ!?最低!!?」
勇太「(俺は漆黒の闇に疼いた右手を天空に伸ばし雲を吹き飛ばした!)」
丹生谷「何バカやってるのよ!!?」
勇太「ふっ。貴様如きに何もわかるまい。
これは選ばれし者しか認識できぬものだからな!」
丹生谷「偉そ!」
勇太「なぬっ!?刺客か!!?いいだろう、
我、闇の帝王、ダークフレイムマスターの領地を荒らしに来たことを公開させたげるわー!」
丹生谷「誰もいないわよ」
勇太「くらえっ。魔王炎閃波!!!はははは!!一撃で吹っ飛んでいったわ!!」
丹生谷「ダサっ。今頃ぶり返したの?」
勇太「貴様っ!俺の技を受け入れるとは何者だ!!なにー!俺のコピーロボット!!?」
丹生谷「なにくだらないことに本気使ってんの」
勇太「うわあああああああああ!どっかーん!や・ら・れ・た!!!!」
丹生谷「ははははははは!!!はははは!!」
勇太「」チラッ
丹生谷「今、見たでしょ?」
勇太「くそっ!!俺の姿はおろか、使った技を、ロボットの光速の手で動かしやがる!!!」
丹生谷「へぇ」
勇太「こんなに凄腕だとは......!待てよ!?俺の分身なら......」
丹生谷「ふ~ん」
勇太「こい!俺を殺しに来い!俺を殺したら最後お前のおしまいだ!」
丹生谷「悪役のセリフじゃない!」
勇太「ぐはーーーーーー!!!俺がやられた!!!!!!」
丹生谷「ははは!!」
勇太「いまだ!!!ダークフレイムマスターソード・カッター。ビュンビュンビュンバシュビュンビュンビュン」
丹生谷「これね。傍から見たら、
おっさんが何か愚痴めたことをぼそぼそと言いつつ、パンチやダッシュしているから狂気よ」
勇太「ふっ。敵ではなかったな。我の魔力が完全に覚醒した!!!
我、覚醒、来たり!暗炎龍よ俺を空まで連れていけ!!!魔王界最強の覇者はこの俺だー!!!!!!!」
丹生谷「......」
勇太「ふぅ......」
丹生谷「......」
勇太「はあああああああああああ!!!地面よ割れよ!!!!」
丹生谷「なにやってんの。割れないわよ!」
勇太「雑草よ!巨大化し足を持つモンスターになれ!」
丹生谷「持たないわよ」
勇太「丹生谷!」
丹生谷「なに!?」
勇太「はあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
丹生谷「......」
勇太「はあああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
丹生谷「......」
勇太「はぁ......。はぁ......。お前に最強と呼ばれし真実の力を与えた!」
丹生谷「......くすっ」
勇太「戦争から帰還した......。ベンチに座る」
丹生谷「あははははははは/// ははははははははは///」
勇太「あ....../// はずかしいいいいいいいいいいいい!!!いやあああああああ!!!」
丹生谷「あははははははははははははははははははははははは///」
勇太「笑うな/// ごめん/// ごめん///」
丹生谷「もうウケる/// はははは/// 自爆!自爆!」
勇太「お願いだから///」
丹生谷「ははは......。ああ。うん、すっきりした」
勇太「俺でも分からん」
丹生谷「富樫君って中学時代中二病だったんでしょ!!マジでそうだったんだね!」
勇太「ああ....../// 悪いか!?しょうがないだろ!」
丹生谷「くすすっ/// へえ。本気で闇の炎に抱かれて消えろなんて言ってんだ」
勇太「まぁ。ゲームの受け入りだけどな」
丹生谷「富樫君、面白いね」
勇太「うれしかない/// そういえばさ、」

丹生谷「なによ?」
勇太「俺たちの最初の出会いって、通学中の駅だったよな。
鏡見て髪を整えていると誰かとぶつかりそうになって」
丹生谷「あー!!!あったわね!」
勇太「そっから俺と丹生谷の出会いが始まった」
丹生谷「なんかロマンチックとは言えないけど、運命よね」
勇太「新学校に行ったら、黒歴史の塊といえるダークフレイムマスターとの痕跡を金輪際さらばして、
皆によく思われたくて髪型変な癖ついてないかなとか考えてた」
丹生谷「そうなんだ。私と似てるね」
勇太「丹生谷も!?」
丹生谷「高校入学前に架空の妖精がいると信仰したバカなモリサマーを演劇を恥じてね、
それで世界を救うとか考えることはなくなったわ。委員長になって皆を助けるんだって」
勇太「そうか。初めて聞いた」
丹生谷「当たり前でしょ!
富樫君の過去をべらべら喋る人なんか、一部を除いているわけないじゃない」
勇太「そこに丹生谷も含まれているよ」
丹生谷「あの中坊と小鳥遊さんのことだっつの!!」
勇太「思えばあの部活も、あってよかったなーって、六花に感謝してる。
何というか、嬉しいんだよな......。ごめん、上手く言語化できん」
丹生谷「言いたいことは分かるわ。なんか昔の私を見ているみたいで。
小学校の放課後の遊びが面白かったみたいに、何か若返るのよ。私も知らないけどね」
勇太「そういえば、あのときの丹生谷かわいかったな」
丹生谷「ふぇ///」
勇太「ほらっ。マビノギオンを丹生谷が取りに来るその約束した日、
夕方で、一面に広がる畑と山の中の通学路でさ、
茶髪の美人がなんもフラグもなしに俺にキスする距離まで近づかれて鼻をつんってされて、
俺に興味を示しているみたいと思うと、俺、ドキドキしたんだよ......」
丹生谷「ああ。あったわね。ドキドキしたの!?私で!?」
勇太「うん/// 一時は結婚の妄想ばっかりしてたのに、あの凶暴な仕草を見ると......な」
丹生谷「誰が狂暴よ/// たくっもう///」
勇太「丹生谷と会えたのも、元中二病という経験で会えたんだろうな。俺達、運命の赤い糸みたい」
丹生谷「こらこら誰かさんを泣かせないでよ」
勇太「でも中二病って、ただ学校に来て、友達におべっかかいて、
人の手伝いして、勉強して、家に帰るより。
そんなつまらない日常を送るよりよかったな。明日が昨日と違う、か」


俺はベンチから立って丹生谷の見上げる顔もさも思わず、
夕日に広がる人の手では掴みきれない広大な大空に向かって、
その声の振動を宇宙まで届けるべく愛を叫んだ。


勇太「俺は誰かに与えられた幸せに生かされるより、
存在すらしないドラゴンに乗る楽しい世界に創り変える人間になりたいーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!」


丹生谷「ふふっ。バカね/// もう///」
勇太「丹生谷!?」


丹生谷「私も嫌なことは嫌だと言える大人になりたいーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!」


勇太「丹生谷///」
丹生谷「私だって/// 似たもの同士じゃない///」
勇太「世の中嫌なことだらけだよな///」
丹生谷「あ~あ/// いい年して私何やってんだか/// 
なんで中二病ってそんな存在しない物に夢中になれるんだか。......。
そうね。懐かしいわね。解放したいわ」
勇太「丹生谷......?」
丹生谷「モリサマーのこと。聞く?///」
勇太「......いいのか?」
丹生谷「うん、いいわよ。座ろ。富樫君ならいいと思って。
でも誰かに喋ったら~呪い殺すわよ!」
勇太「いつにも増して迫力満点です」

丹生谷「私ね、モリサマーになった経緯を自己解釈したんだけどね」
勇太「へえ」
丹生谷「あのとき、自分が何になればいいのか分からなかった。
中学時代、普通に大学入って、普通に会社に入って、普通に結婚して。
羨ましいけど、普通の方が難しいけど、でも嫌だった。そんなに枠に閉じ込められたくなかった。
私はのんきに退屈な毎日を過ごしているのに悩みのある人をほっといていいのかって。
それで、学校にいる人を、
世界中で戦争して人がなくなっている惨事がなくなればいいのになって、人の役に立ちたいからって」
勇太「お前......」
丹生谷「これは神が規定事項で起こしたことだから、
お金にまみれ非人道的な行為を絶えず企む汚い人間界にお怒りになられたこと。
その解釈で、天に祈りをささげることで、私が役に立っている世界中心の役割を手に入れようとした」
勇太「いろいろあるんだなぁ......」
丹生谷「それがモリサマー」
勇太「ごめん。色々勘違いしてた。ちゃんと根本持ってたんだな」
丹生谷「見上げないでよ/// 今で恥ずかしいすっかり黒歴史だわ/// そのせいで高校変えたし///」
勇太「俺と同格だな」
丹生谷「あんたと同じに思われたくない/// 急にきええええええ!って騒ぐ癖やめてよね!死ね!」
勇太「そんな///」
丹生谷「でも、感謝してるわ。何か思い出が帰った気がした。この石を見て」
勇太「(丹生谷がポーチから取り出す、指より小さなボールは......光ってる!!!)」
丹生谷「そんな驚かないで/// 小鳥遊さんか/// 暗炎龍は出ないわよ」
勇太「(なるほど。色が透明で透けて見える。赤、青、緑、ピンク、黄色) お祭りで取ったのか?」
丹生谷「ううん。びっくりするだろうけれど。これ自然で取ったの!!苦労したのよ!!」
勇太「すっげええええええええええ!!!」
丹生谷「普段人には見せないんだけどね。
私もね、きれいだからなんか恩恵もらえると思っていつも持っているの。
富樫君に喜んでもらえて嬉しいわ///」
勇太「山で取ったの?」
丹生谷「山と川。初め自然状態の原石を丸く磨いて、色のある場所を丸く重点的にして、
ネットで見て加工して、砕いて、また磨いて、やすりで。ボールにした」
勇太「持っていい?」
丹生谷「ダメ/// 恥ずかしい/// 長年触ってきた私の宝物///」
勇太「そうなのか......///」
丹生谷「それで、モリサマーの状態で、太陽の方角を風水と照らし合わせて、
あ、言っておくけど今の風水も占いもと中二病と関係ないからね!!」
勇太「それで?」
丹生谷「モリサマーの力で煌めく色々の水晶の中から、

困っている人の絵が映し出されて/// そのボールを持ち上げて撫でるのよ/// 静まるように/// 
その人が笑ったようになる世界が映し出されたら置くの/// 
最後にどうかこの人がうまくいきますようにって手を合わせてお辞儀をするのよ。笑ってちょうだい!!!」

勇太「くすくすくすくす///」
丹生谷「笑うなゲルゾニ!!」
勇太「どっちなんだよ/// それって効力あった?」
丹生谷「......。ダークフレイムマスターのことを思い出せばわかるんじゃない?」
勇太「やめろ///」
丹生谷「でも人に親切になることができたのは報酬だったな。
一緒に祈っていた七宮ちゃんはいい友達なんだけど、
言いふらさないでくれたら......。あいつ悪魔よ」
勇太「そうか。今はやってるのか?」
丹生谷「やってません///!!!!!!!!!!」
勇太「ごめんごめんごめん。だよな」
丹生谷「こうやって昔は人の役に立って喜んでいた。私の生きがいだった。
誰かにも代えられない、誰かの役に立てる、唯一の場所」
勇太「俺もなんだか、ただ楽しいだけじゃなくて、
中二病って本当は悪くないんじゃないかと思う」
丹生谷「チア部やるより、受験するより、話すより。とっても楽しかった」
勇太「丹生谷......」
丹生谷「二度と思い出したくなかったのにね。誰かさんのせいで」
勇太「ごめんな」
丹生谷「よし、じゃあ富樫君と小鳥遊さんの将来の恋仲を占ってあげようか?」
勇太「ええっ!?」
丹生谷「うん。なんだかモリサマーと富樫君の相性がいいみたい」
勇太「無料で。無性なら。まぁ」
丹生谷「じゃ、本人呼んでくるわね」
勇太「いや、性格変わるだけだろ」
丹生谷「私の頭では数百人の私がいるの!!」
勇太「(中二病じゃん......)」

丹生谷「お願いだから/// 笑わないでね......///」
勇太「....../// うんっ///」ドキッ
丹生谷「闇聖典七色の写本 第3章1節 精霊の囁きと、
光と水の思いが私たちに届く白い世界は開かれるのです。
400年にもわたって世界を見続けてきた私にはわかります。
この世界に一番必要なのは......愛です」
勇太「(ほんものだーーー!)」
丹生谷「この世界に現存する本物の魔術師その私が記す。
精霊に導かれし物語。そう我が名はモリサマー」
勇太「すごい!!!!!丹生谷ですか?」
丹生谷「いいえ神のお使いモリサマーです」
勇太「ええと叶えたい願い事があるんですが、俺と六花の相性を見たいんです!」
丹生谷「はい。では選んでください」
勇太「好きなボール、ピンクにします」
丹生谷「分かりました......。あら、ふふふっ。
この水晶から富樫君と小鳥遊さんの笑う顔が出てますね。
......。少々待ってくださいね。......。......。」持ち上げ
勇太「(この悠長な動き、まさしくモリサマーだ!)」
丹生谷「では時空を観ます」
勇太「(......。なんかすっげえ!かっこいいいいいいい!!!)」
丹生谷「そうですね。ふふっ。分かりましたよ」
勇太「はい!」
丹生谷「あなたの将来は......」
勇太「はい!」
丹生谷「あなたの......あなた......」
勇太「......」
丹生谷「あなたの将来は、必ず小鳥遊さんと......、結ばれるわね......!」
勇太「(丹生谷......)」

勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「ごめん」
丹生谷「いいわよ。それでいいんだし」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「(なんとか、言えないか?......夕陽が落ちていく。きれいだけど......)」
丹生谷「ねえ、今日って8月30日?」
勇太「そうだけど?」
丹生谷「私の誕生日だ!!!」
勇太「ええええ!!!!」
丹生谷「あ、自分の誕生日なのに今思い出した!!」
勇太「そうなのか!?あ、そうだ!今日だ!」
丹生谷「ということは、親が待ってる!?私家族で食べるタイプだから!」
勇太「家族思いか。俺は今じゃ六花と一緒だな」
丹生谷「誕生日かー」
勇太「17歳?」
丹生谷「......。うん、17歳」
勇太「丹生谷、誕生日、おめでとう!ハッピーバースデートューユー!」
丹生谷「ありがと/// 富樫君とこうして話せるなんて/// プレゼントかしら!?」
勇太「めでたい! 俺がか!?似合わないな///」
丹生谷「あ、ごめんね富樫君。私、19時に産まれたの。
親から出産のこととかしつこく言われてて覚えてるの。だからまだ17歳だけど16歳よ」
勇太「俺はもう17だぞ。同い年だな」
丹生谷「......ねえ、富樫君。あと1年後で、18で大人になる。
大人ってこんなんでいいのかしら。
そんな器じゃない......。私、生きてきて、よくないことばかり......」
勇太「何言ってるんだよ!!俺は、お前が、生まれてきて......///」
丹生谷「富樫君......///」
勇太「本当によかった....../// なんか俺達って似てる///」
丹生谷「そういう素直な性格、私にもあったらな......今ごろ」
勇太「丹生谷だって、さっきのモリサマーとか」
丹生谷「言わないでえええ///!!!」
勇太「あ......。とにかく叱ったり慰めたり大人な行動できるお前の方こそ素直」
丹生谷「......///」
勇太「プレゼント......持ってきた」
丹生谷「え!!!?なになに!!!?」
勇太「お前に一番似合うやつ」
丹生谷「富樫君知ってたの!!?」
勇太「いや、今日のデートの感謝と思ったんだが、ここで渡すとは」
丹生谷「どんなの!!?ねえ富樫君!」
勇太「はいこれ、受け取ってほしい......///」パカッ
丹生谷「え......」
勇太「ダイヤモンドのような散らばった銀色のヘアクリップ。
丹生谷のヘアクリップにそっくりだから。買ってきた」
丹生谷「きれい......! 持っていい? これ......どこで買ってきたの?」
勇太「昼間の店。価格は4万」
丹生谷「きゃっ///」ぽと
勇太「......」
丹生谷「あ/// ごめんなさい......///」
勇太「似合うと思った。それと一目惚れ?」
丹生谷「富樫君。でも財布2万5千しかないって言ってたよ」
勇太「それだとゲームソフトが4枚しか買えないからな。バッグの中に非常用入っている」
丹生谷「ひょっとして......使い果たした?」
勇太「......」
丹生谷「ねえ......なんで使ったの!?私なんかのために!
小鳥遊さんに使いなさいよ喜ぶでしょ!!?
服ワンピース買ったからそれで満足だったのに!!!
富樫君だって贅沢できるじゃない!なんで私なんかを!!」
勇太「なんかじゃないだろ!
俺にとっての丹生谷はこれを買うよりも高いんだよ。綺麗な丹生谷が見たかった......」
丹生谷「......富樫君......私、そんな価値ないよ......」
勇太「ある」
丹生谷「ない!」
勇太「はい。......付けて」
丹生谷「......」
勇太「付けた君が最高にかわいいと思う///」
丹生谷「......。    どう?」パチッ
勇太「(夕日の光に照らされて、以前の丹生谷とデザインがほぼ変わりなく、
銀色に輝くヘアクリップの細かな宝石の反射部分が虹色に輝く)」
丹生谷「かわいい......かな?」
勇太「うん....../// お姫様......」
丹生谷「お姫様っていわれたーーーーーーーーーーー!!!!!きゃあああああああああああああああああああ!!!!」
勇太「待て待て興奮するほどか!?」
丹生谷「お姫様!お姫様!ありがとう!大事に保管しとくね!絶対になくさないから!」
勇太「うん......こんな結末になって、俺も嬉しいよ///」
丹生谷「富樫君......///」
勇太「丹生谷......///」

勇太「...... (俺達は疲れたのでベンチで二人夕日と対岸の光景をじっと見ている)」
丹生谷「......」
勇太「あの対岸先の川沿いのマンション。誰が住んでいるんだろうな」
丹生谷「さあ、金持ちじゃない?」
勇太「......。丹生谷は大きくなったらどうする?」
丹生谷「......。大企業に就職しようかな?富樫君は普通のリーマンでしょ?」
勇太「まあ就職先で働いているかな」
丹生谷「ニートにならないんだ(笑) 富樫君らしい」
勇太「俺のこと見くびるな!!!」
丹生谷「でも働いているってことは、いずれ会うかもね。東京の部署で、あっ!って」
勇太「あるかもな!意外に世界って狭いし!
またそのときになったら、俺達があのころを振り返るだろうな。
このベンチに座って友達みたいに軽快に過去のことをあれこれ」
丹生谷「仲良くなって家におじゃまするかもね」
勇太「あの川沿いの豪華なマンションみたいなところに、俺か、丹生谷が住んでいてさ、格差を思い知ったりするかな」
丹生谷「でしょうね。有田焼の食器を並べられて、当時のことを振り返ったり」
勇太「あのころの無性ないちゃいちゃな話をして笑顔になったりするんだろうな///」
丹生谷「肉じゃが食べさせて、富樫君泣いちゃうかもね!」
勇太「仲良くなりすぎて、家のテーブルで夫婦みたいにブラックコーヒーを飲むときが来たりして!」
丹生谷「......」
勇太「にぶ?」
丹生谷「ないわよ......」
勇太「......」
丹生谷「ない」
勇太「......」
丹生谷「......会えるわけないでしょ......二度と......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「丹生谷......」
丹生谷「......」
勇太「あの......」
丹生谷「......」
勇太「あのさ///......」
丹生谷「......」
勇太「ぼく!///......」
丹生谷「......」
勇太「......ぼく!///」
丹生谷「......」
勇太「丹生谷のことが!!!」

丹生谷「それは言っちゃダメ!!!!!!!!!!!!」



丹生谷「私の思い、全部無駄になるじゃない......」



勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「.......うぐ......ひっぐ......ぐす......」
勇太「......」
丹生谷「.......」ぽとぽと
勇太「......(あっ......)」
丹生谷「......」ぽとぽと
勇太「丹生谷!」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」




勇太「まだ練習は終わってないよ」



丹生谷「  」
勇太「......」
丹生谷「富樫君......」
勇太「うん......」
丹生谷「......そうよね。そうよね!
まだ仮デート終わってないわよね!まだ会話できるんだから!」
勇太「うん!」

丹生谷「何言おう?時間がなくなっちゃう」
勇太「俺は......」
丹生谷「富樫君、好き」
勇太「    」
丹生谷「......」
勇太「にぶ!?」
丹生谷「うそよ」
勇太「......」
丹生谷「練習でしょ?デートの」
勇太「......ぷっ。はははっ///」
丹生谷「......///」
勇太「まいった。こりゃまいった!!心臓に悪い!!!!」
丹生谷「くすすっ///」
勇太「じゃあ俺も」
丹生谷「     」
勇太「嘘だけど、」
丹生谷「        」
勇太「好き」
丹生谷「              」
勇太「......///」
丹生谷「         」
勇太「......丹生谷?」
丹生谷「はははは/// なにこれ!!!? ありえない!!!」
勇太「ははははは/// ははははははははは///」
丹生谷「ははは///」
勇太「あっははははは///」
丹生谷「あはははははは///」
勇太「丹生谷、」
丹生谷「......」
勇太「嘘だけど、」
丹生谷「......」
勇太「愛してる......///」
丹生谷「うん///」
勇太「恥ずかしい///」
丹生谷「富樫君、」
勇太「うん///」
丹生谷「大好き!」
勇太「....../// 嘘だけどが抜けてる!!」
丹生谷「違うわ///」
勇太「丹生谷、嘘だけど、好き!」
丹生谷「......。富樫君、嘘だけど、ずっと気になってた!!!」
勇太「丹生谷、嘘だけど、かわいい!!!」
丹生谷「富樫君、好きだけど、嘘い!」
勇太「にぶたに~///」
丹生谷「富樫君、嘘だけど、大好き!」
勇太「丹生谷、嘘だけど、愛してる!」
丹生谷「富樫君、嘘だけど、愛してる!」
勇太「丹生谷、嘘だけど、愛してる!愛してる!愛してる!」
丹生谷「富樫君、嘘だけど、愛してる!愛してる!愛してる!」
勇太「愛してるー!愛してるーー!愛してるーーー!愛してるーーーー!」
丹生谷「愛してるー!愛してるーー!愛してるーーー!愛してるーーーー!」
勇太「嘘だけど、愛してる!」
丹生谷「嘘だけど、愛してる!」
勇太「ははは/// きゃっきゃっ///」
丹生谷「あはは////」

勇太「ふぅ///」
丹生谷「富樫君とコーヒーカップか....../// ねえねえ?」
勇太「うん?」
丹生谷「二人であのマンションに住まない///?」
勇太「いいね!お金持ちだろ?有田焼一杯集めて、皆から評価されて」
丹生谷「朝富樫君のかわいい寝顔をつんとついて起こすの」
勇太「....../// 寝ぼけて丹生谷のお着換え姿をちらっと見てしまった///」
丹生谷「何見てんのよー///」
勇太「すまない///」
丹生谷「私も、富樫君と私の、歯磨きコップの中にある二つのブラシを取る///」
勇太「朝パンとコーヒーを丹生谷が用意してくれて、二人で仕事?」
丹生谷「そうねえ/// 一緒の職場にしよ///」
勇太「それ職場恋愛になるぞ///」
丹生谷「んで~、二人であ~んする?」
勇太「さすがに夫婦じゃ恥ずかしいだろ///」
丹生谷「新婚なら誰でもやってるわよ///」
勇太「それで行ってきますのちゅーして///」
丹生谷「ラブラブじゃない/// 仕事で分からないところあったら、教えてね?」
勇太「うん、帰り際。今夜は離さないとか言って」
丹生谷「二人の家一緒でしょ!?」
勇太「そうじゃなくて、結婚記念日、告白記念日に、わざわざここまで飛行機で帰る」
丹生谷「あら優しい/// さすが富樫君ね大胆/// 私、高級料理店に行ってみたい!」
勇太「ええ......無理だよ」
丹生谷「なによ!富樫君ならできるわよ/// 自信もって、富樫君!」
勇太「うん/// 指輪もらったら......嬉しい?」
丹生谷「嬉しい!富樫君と一緒になれるのよ/// その証///」
勇太「そういう発言やめろよ///」
丹生谷「誘ったの富樫君じゃない///」
勇太「あ、子供何人にする?」
丹生谷「えっ///」
勇太「何人つくりたい?」
丹生谷「富樫君!?///」
勇太「あ/// すまん///」
丹生谷「私は......4人がいいな。少子高齢化の役に立っているから」
勇太「丹生谷......優しいな///」
丹生谷「富樫君のほうが///」
勇太「俺は2人だな」
丹生谷「なんで?」
勇太「現実的に頑張って......」
丹生谷「なによー!頑張りなさい!私、これでもかわいい女の子って自負しているのよ!
かわいい子にされて幸せなんじゃないの///」
勇太「そうだけど~。好きだけど~。でも......アンアン/// じゃなくて!!!!
いつまでも丹生谷と会話してる方が、大好き♡」
丹生谷「私も、こうやって笑ってる富樫君が、大好き♡」
勇太「見るな///」
丹生谷「見ちゃったもん///」
勇太「次からバリケードつくる///」
丹生谷「ドリルで開ける///」
勇太「壁で塞ぐ///」
丹生谷「富樫君に別れ話を切り出す///」
勇太「またそうやってー/// でも、会えるからいっか///」
丹生谷「富樫君、またこうやれて嬉しい!!!」
勇太「嘘だけど、ずっと好きだよ/// 丹生谷!!!」
丹生谷「嘘だけど、富樫君、永遠に愛してるからー!!!」

燃え尽き合った二人はその熱愛を覚ますべくベンチの前で夕陽を見続ける。
でも今度はもうネタも尽きたので、
話す気力も失せたので、時が無駄に経つのを待つばかり。
この一瞬一瞬が特別で、もう二度とない女性との付き合いに、
悔しいのは分かっているが、その悔しさの気力も出せない。
時刻を見ればもう5時40分。あれだけ長い時間は、今はもうない。
でも当初と違い二人で無言の日々を過ごす時間に恐怖心も感じない。
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」


丹生谷「飽きちゃった…..」


勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」



......!




勇太「森夏姫!!!僕と手を握っていただけませんか?」




その言葉を聞いて、俺はまるで紳士のように地面に膝をつけ、最大の敬礼をするように深く跪き、
清潔な白い手袋をしているような手を差し伸べて、驚いた顔つきの丹生谷の前に、自分の仮の姿を見せた。


俺は不意に体が動いたのだ。
丹生谷のためにしてやれることを、もはや世界が狂ってもいい。
笑われてもいい。彼女のために、自分ですら制御不能な本能が、闇の炎を世界中に分散させる。
このまま帰したら、丹生谷も何か納得しないと思う。
感謝と愛の気持ちを表現した、理想と妄想が現実すらも覆った奇妙な世界がこの世に現出する。
この世界に常識はない。もう、丹生谷の心のためにある。

勇太「私は地球でも一人しかない甘美なお姫様に最高級のパートナーを要請されて飛んできた別の国の王子です。
お姫様、どうか私を受け入れる矜持を持ちなされば、どのような願いでも一つ叶え差し上げましょう」

丹生谷「えっ......。富樫君?」

勇太「森夏姫!どうかこの世の王子様にさせてください!」

丹生谷「え....../// あの、じゃあ、いい?」

勇太「はい」

丹生谷「私はもうすぐ17歳で、あと1年で大人になるの。
でもそれと同時に付き合っている人の恋さえも魔法で奪っていくような愛のないシンサマーと名乗る醜い人にもうすぐ私は変わってしまう。
今日しか、チャンスがないの。
お願い、助けて。
私、魔女にはなりたくない......」




ギュッ


勇太「分かりました。私が助けましょう」

勇太「さ、こちらへ。手を貸して。私が貴方をご案内しましょう」


勇太『まっくろーなー世界でー!僕たちは進むー!』

勇太『当てのない夜の道に、救世主がやってくる!』
丹生谷「え!?なになに!?」

勇太『彼女の明るい顔を見れば、お姫様のプリンセス!ドレスは光り闇は消える!』

勇太『白色のドレスを身に纏った、眩しくて見れない銀のヘアクリップが特徴の、
煌めくガラスの靴を美しき足にした、超美人の王女様が来たからーーー!』
丹生谷「私、いつの間にお姫様///」

勇太『真っ暗な世界が包んでいた、木々は子供のように太く樹を成して、
動物たちは顔を出して遊び、とあるうさぎは森夏姫をお伺いしてキュン死する、
村人がいつも笑い召使も城でお辞儀して、花畑の花は僕らのために咲き、
光に照らされてきらきらする遠くの海が奇麗だー!』

勇太『吸い込まされた陰から出てきたお城と花畑―!ラ!ラン!ラララランラ!
リスは笑い!鹿は踊り!小鳥は舞い僕と歌うー!僕は森夏姫と過ごす!幸せな世界!!!』

勇太『さあ、森夏姫!僕たちと楽しいパーティーをしましょう!!!』

勇太『世界は、お城は、君のために待っているーーーーーーーー!!!!!』

勇太『はーっはっはっは!!!富樫め!!!!
闇の帝王ゲルゾニアンサスこそダークフレイムマスターが!お前の幸せを壊しにきたーーーーー!』
丹生谷「はあ///!!!?」
勇太『お前か!!お前など服従する余地はない!』

勇太『そうかー!そんなに地獄が見たければ見ればいい!!!俺の力よ吹き飛べー!!!!』
勇太『ああまずい!なんということだ!!!世界が!お城が!動物たちのお城が!!!
森夏姫を支えるお城の人達が、
ティーポットやカップやフォークに変えられてしまった!!!森夏姫、逃げるぞー!!!!!』手ギュ
丹生谷「ちょっとー//// 走るの本当に?///」手ギュ

勇太『俺達は邪悪な悪魔から逃げるためー!
熱い手を強く握り!決壊寸前の橋を超え!牛の群れを避け!森に迷い込んだ!!!』

勇太『ここはここはおどろおどろしい世界だ~。
暗すぎて前の見えない森の道。食べられても仕方ないぞ~。でも走らねば追いつかれる~』

勇太『昼間では木であったのに、樹木から化け顔を見せるのだ。
気づかれないようにのそのそと歩いた。だが森は僕らを追いかけ、ツタは僕らを捕まえるために伸び、
暗い森林に怯える僕たちを化け顔が大笑いする!
お前ら食ってしまうぞーーーーーーーー!!!あーっはっはっはっは!逃げろー!森夏姫―!』
丹生谷「えっ! ちょっと!早い!」

勇太『ここを走れば大丈夫―!ここに怖い大樹が!うわあ!左に逃げよう!ここにも大樹が!うわあ!
ここにも!ここにも!ここにもー!きゃあああ!!!』
丹生谷「きゃあああ///(棒)」

勇太『僕たちは疲れ果てるとラッキーなことに、
大樹の中に小さな穴を見つけた!リスの通り口だ!入ったら僕たちは助かるだろうー!』
丹生谷「でも小さいなら入れないんじゃない?」

勇太『その穴から出てきた、リスさんリスさん。リスさんが答えてくれるよ。
やあ、お友達かい!?どうしても入りたいなら左のキノコを食べると小さくなるよ!』

勇太『さあ、キノコを食べよう!』
丹生谷「頭おかしいんじゃないの!?」

勇太『パクッと僕も森夏姫も喜んで食べると、体が急に小さくなって、
木の中の穴の中にしゅるりと入ってまるで木の色をしたすべり台のジェットコースターのよう!!!
離すなよーーー!森夏姫―!僕たちは奈落の底まで落ちていくー!』

勇太『木の色をしたトンネルの抜けた先はー、
森夏姫に大丈夫?と言って見るとー、巨大な雑草と巨大な虫の中に囲まれた草原だった―!』

勇太『その中で不思議な家を発見したー!
小さな家が僕らを待っていた―!らららららら!救済の宴―!』
丹生谷「ここのパートつまんないー」

勇太『おやおやー!誰もいないようだぞ!!!!中身は!煙突のある!暖炉のある!暖かな!小人の!おんぼろの!』
丹生谷「うさぎさんの家がいい!」

勇太『......。......。......。中身は!きれいな!うさぎの形の屋根の!ピンク一色のお家の!
時計台にうさぎの耳のついた!お皿の模様もうさぎの!豪華な家具のキャスティング~!』

勇太『しばらく留めてもらおう~。』
丹生谷「でも留守なら食器洗ってないんじゃない?」

勇太『そうだーーーー!!!お姫様からの盛大なアドバイスに皆が集まる!よし皆カモン!
犬も、猫も、リスも、鳩も、小鹿も、植物も二足歩行になって!僕たちを受け入れてくれるのさー!
食器を洗う~!美しい色のクジャクがほこりを飛ばし~!リスが片隅のどんぐりを内緒で持ち帰る~!
森夏姫も一緒に!ごしごしごしごし!』
丹生谷「ごしごしごしごし!」

勇太『うさぎの食器はぴっかぴか!床も天井もぴっかぴか!!うさぎランドは元の色ー!!!!!
ありがとうー!彼女の笑顔にありがとう!みんな森夏姫を愛してくれてありがとうー!!!
ぴかぴかに終わったら、遊びまわりたく、小鳥が森夏姫の隣で鳴き~!小鹿がステップを踏み~!
虫たちが机の上でフォークダンスを踊る~!!!』
丹生谷「まあ/// 楽しいわ///」

勇太『ランラン♪ランラン♪ララララン♪
小鹿たちは森夏姫に喜んでいるー!楽しすぎて愉快な時間~!次は何をしよう~!』
丹生谷「私、ドレスべとべとだから、風呂入ってくるわ」

勇太『ダメよ!ダメよ!ダメよ!ダメよ!そんなの歌にしたら教育上によろしくない~!
解説する身にもなって~~~~~~~~!!!!!!!
そんな森夏姫の発言を妄想してうさぎ耳の時計台さんが鼻からケチャップとカスタードをぶ~~~~~~!!!!』
丹生谷「あははははははは///」

勇太『この小さな城を何て名前付けようか!?』
丹生谷「うさぎの国だから、うさぎさん王国なんてどう?」
勇太『おおおーーーーー!!!感動する!!!!このセンスは神の賜物―!』

勇太『うさぎさんがやってきたぞ~~!7人のうさぎさんが炭鉱場から帰って来たぞ~!』
丹生谷「うさぎさんだ!かわいい!!!全部持って帰る!」

勇太『少し凶暴なうさぎもいるからやめようね~!なになに!ああ!森夏姫!
例の城を占拠した人がやってきているともふもふ言っているよ!!』
丹生谷「え、どうすんの?」

勇太『だけど、うさぎさんでは何もできないと~。僕たちどうしよう~。明日を待とうか~鍵が必要だと』
丹生谷「う~ん!私、考えた!!!えいっ!きらきらくるる~ん!!!
私はモリサマーです!精霊たちよ!!!この世界に結集し本来の力を思う存分に発揮するのです!
お家に光の粉を!飛び立てエルフ!囁け精霊!スピリチュアルカリカチュア!!!」

勇太『わわわわ~~~~~!!!台本にないー!これは何の魔法だろう!?』
丹生谷「きゃあああ。
どんどん私達、この家も、動物たちも、大きくなっていくわ!!!なんてことなの!!?」

勇太『なるほどー!なんということだ!!!!うさぎさんの家はお城になっちゃった!
その大きさは普通を超えて!あのポッドに変えた邪悪な城と接近するぐらい大きくなってしまったー!!!!』
丹生谷「ええ!!!?富樫君やっつけよーーー!!!!」

勇太『愛馬を呼んで!僕と白馬に乗ろう!森夏姫、さあこっちに来い!』
丹生谷「白馬!!?/// きゃあ///」

勇太『天候が途端に大嵐になったがー!僕と森夏姫は白馬に乗って!勇敢にもパカラパカラパカラ!
毒リンゴを届けに来たおばあさんを蹴とばしてー!お城に行く!』
丹生谷「私、富樫君と白馬に乗ってるー///」

勇太『僕たちを改造した邪悪な城からトランプの兵隊が槍と共にやってきたー!』
丹生谷「富樫君なら蹴散らせるもん!」

勇太『しっかり捕まってー!処刑が怖くてやってきたトランプの軍勢!
トランプ一枚を踏んずけたらー、ドミノ式に死ぬ』
丹生谷「あはははは///」

勇太『白馬で城を乗り越えたらー!あいつがいた!』

勇太『はははは!!!!
我が名は闇の帝王ゲルゾニアンサスことダークフレイムマスター!
よくぞトランプ軍団を蹴散らした!!!』

勇太『森夏姫、逃げて!!!』

勇太『待ちたまえー!!!はははは!そこの美しいお嬢さん!
僕と世界を半分にする代わりに結婚しようじゃないか!!!』

丹生谷「誰があんたとするの!!いやよ!」

勇太『森夏姫!僕が時間を稼ぐから逃げて!僕一人で大丈夫だ!』

丹生谷「でも」

勇太『キンキンキンキン。闇の帝王め!剣の戦いが劣勢だー!
うわっ!さらにパワーアップしている!これでは勝てない!何か方法は!』

勇太『あはははは!!!貴様はもう死ぬのだー!遊び疲れたぞー!』

勇太『森夏姫―!僕だけじゃ!僕だけじゃ!』

丹生谷「富樫君!!!負けないで!!ずっと私がいるじゃないー!」

勇太『あ!!!!!思い出したぞー!二つの心が重なったときこの世界に奇跡が起こる!大事なのは愛!!
僕は、森夏姫ともう一度会話したいと思ってるー!森夏姫、手を!』

丹生谷「富樫君!」手ギュ

勇太『僕一人じゃダメなんだー!僕と一つになってくれーーー!』
丹生谷「はい。誓います///!!!!!!」

勇太『バニッシュメント・ハードワールド♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡!』
丹生谷『バニッシュメント・ハードワールド♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡!』

勇太『はあああああああああああああああああああああ!!!』
丹生谷『はあああああああああああああああああああああ!!!』

勇太『ぐおおーーー!やられたーーーー!!!』バタッ

勇太『やったー!倒した~ありがとう~!
闇の帝王にかけられていた邪悪な魔法が溶け城の人も村人も元通りー!
僕たちのいる宮廷も美の色に帰るー!
また美しい青空が広がることができたー!!!
ありがとう!!!森夏姫バンザイー!!!君の思いが世界を変えたーー!!!!
君がいるだけで世界は華やかになったー!
どうか永遠に続いてほしいー!』ダキッ
丹生谷「きゃはははは/// 富樫君......///」ダキッ

勇太『ともに~~~~~~~~~~すもう~~~~~~!!!!!!!!!!!!』ダキッ
丹生谷「......///」ダキッ

勇太「......///」ダキッ
丹生谷「......///」ダキッ
勇太「......」
丹生谷「終わっちゃったね......」
勇太「踊ろ?」
丹生谷「踊る!?」
勇太「ハッピーエンドだから踊るものだろ?」
丹生谷「分かった///」

丹生谷「ちょっと待ってね」

丹生谷「はあああああああ!」
そのとき、丹生谷が城の天井に向けて右腕を伸ばし、
ぐーの手から2本のピースの指を空に突き出すと、
その先と同じ方向に後ろから巨大な時計台が新たに伸びてきてお城の面積が巨大化し、
隣にあったうさぎさん王国と一つになった。
その力は、11億キロメートルの高さのある時計台を出すほどで、その衝撃波に北半球は衝撃を受け改変され、
町や人や社会すらも巨大な動物や花畑や塔や村に代わり、その大きさは大層圏をとうに超えるほど。
地球が一瞬でお姫様のための世界に創りかえられた。
家具も道具も城もみーんなうさぎの耳を持っているか、かわいさを象徴するピンク一色に染まっていた。

勇太「すごいな/// 世界中に迷惑だ///」
丹生谷「いいの/// 私が好き///」
お城の踊り場が急に真っ暗になり、二人にスポットライトの光が当たる。
勇太「踊ろう/// 俺踊ったことないんだけど分かる?」
丹生谷「分かんない///」

金管楽器の幻想的に鳴る華やかな演出と、
こうしている自分たちを客観的に見てしまうと、俺達の頬は強く染まった。笑い合いながら微笑み合う。
俺はぎこちない手で、
ダイヤよりも貴重な森夏姫の腰に手を置き、手と手を握って王国界を変えるダンスを踊る。
勇太「これでいい?」
丹生谷「うん/// 私もやったことない////」
勇太「こうか?」
丹生谷「もっと下///」
勇太「あ!足痛かった?」
丹生谷「ふふふ///」
勇太「......///」

演奏に流されるように、頬の赤く染まった二人の笑顔を共に近距離で見ながら、ダンスを踊る。
後ろ足を下げると丹生谷もつられて下がる。でもそのたびに手の思いがギュッと強くなる。
その瞳がやけにきれいで。思わず手の力が抜けてしまう。
くるりとゆっくり体を回転すると丹生谷も回って、
そのうまくいったという眩しい笑顔ににやけて、世界の回転はひとつだ。

勇太「こう/// ステップか?//」
丹生谷「あ!いった!」
勇太「ごめん!」
丹生谷「頑張って///」
勇太「......///」

俺が失敗し愚痴をこぼすと、頑張って、と天使のような笑顔の掛け声で答えてくれる。
だからその笑顔にまたダンスの足が動こうとする。
スポットライトの光が眩しいけれど、その光に照らされて丹生谷の笑う姿のよく見える方が、とても見ていられない。
でも、じっと見てしまう。励まし合いながらの二人の求愛。
そんなお城ラブストーリー。

金管楽器の演奏が終了を迎えると同時に周囲は明るくなり人々が拍手を送る。
その瞬間に俺達はハグをした。かっこつけなのか、純粋な思いなのかは分からない。
心に見たような感動的な思いに抱きしめが強くなる。俺達は子供のように微笑んでいた。

丹生谷「......ありがとう///」
勇太「うん///」
丹生谷「素敵ね/// 何もかも///」
勇太「嬉しいよ///」
丹生谷「楽しい/// .......」
勇太「......」
丹生谷「.......」
勇太「ベンチに戻る?」
丹生谷「そうね///」

白いドレスを着た素敵なお姫様と、紳士に応対するこの新しい世界の王子様の衣装。
そんな丹生谷に歩かせるのも酷なのできらめく靴が落ちないようにお姫様抱っこする。
丹生谷「きゃ///」
勇太「いい?」
丹生谷「いいけど/// 恥ずかしいわよ///」
勇太「君はいつだって素敵さ/// ぷっ!恥ずかしい///」
丹生谷「もう!うれしい......富樫君///」

俺の腕に抱きかかえられて動揺の止まらない瞳を見る丹生谷の顔が、
まるで成長した赤ちゃんみたいな感じで、
夢の国の二人みたいな世界だからついおかしくて、ニコッと丹生谷に笑うと、彼女も返してくれた。
だけど恥ずかしいのか丹生谷は俺を見つつもそらすことを繰り返す。

その歩きと共に世界は幕を閉じ、
きらきらとしたひし形の星が多数現れて、夢の世界は視界から揺れて消えて行った。
ベンチに帰った俺達は火照りが帰らない。
夕日のオレンジ茶色のような光が丹生谷の周りにきらきらと、顔の周りにダイヤが光るような、
世界で一番どこにも買えない高級な光景を見ているみたいだ。
きらきらとした顔を二人でじっと何かを語るように見つめ合う。


丹生谷「本物も偽物もない~」
丹生谷「だって本物は死んでしまったのだから~」
丹生谷「でもそばには彼がいた~」
丹生谷「私と彼だけの最果ての夢~」
丹生谷「明日が来ようと抱きしめたい~」
丹生谷「偽りの国で、真実の愛を叫ぶよ~」
丹生谷「ああ、私の王子様~。秘密の花園へ連れてって~」
勇太「なにそれ///」
丹生谷「移った//」
勇太「そうなのか///」
丹生谷「富樫君。あれもっとやってほしい。私も富樫君のこと下の名前で呼びたい」
勇太「ああ/// 何度でもな///」
丹生谷「ゆうた......ん。ゆうたん」
勇太「ゆうたんか。ぬいぐるみみたいだな///」
丹生谷「ゆうたん。ゆうたん。大好きなゆうたん///」
勇太「くすぐったい///」
丹生谷「ゆうたん。私の国の王子様?」
勇太「恥ずかしい/// やっぱこういうのは/// 森夏姫の夫///」
丹生谷「ふふっ/// ふふふふっ/// うれしいゆうたん///」
勇太「この世界は、この城は俺達だけのもの。もう誰にも干渉されない///」
丹生谷「もうどこにも行っちゃダメ///」
勇太「ああ、分かったよ///」
丹生谷「いつまでもゆうたんと一緒」
勇太「リスさんが見てるぞ~///」
丹生谷「見てない/// 見てないもん///」
勇太「動物たちがいっぱいいるの?」
丹生谷「うさぎさん王国だもん/// ゆうたんもうさぎさんになる///」
勇太「そんなー/// どうやって暮らそう///」
丹生谷「学校も会社もみんな行きたくない/// あんなところ嫌い///」
勇太「そうか。じゃ消そうか///」
丹生谷「ゆうたんと二人で過ごす///」
勇太「恥ずかしい///」
丹生谷「朝はゆうたんが起こしてくれる。毎日告白してキスじゃないと嫌だ///」
勇太「え~俺かよ///」
丹生谷「マンネリもいや///」
勇太「難しいだろう///」なでなで
丹生谷「ふへへっ/// んでね~朝起きたらフランス料理食べるん///」
勇太「贅沢だなあ~///」
丹生谷「ゆうたんにあ~んしてもらう」
勇太「ラブラブカップルか///」
丹生谷「してほしい///」
勇太「ああ。じゃ食べ終わるまであ~んな」
丹生谷「それ嫌~///」
勇太「ちゃんと食べろ」
丹生谷「私デブになっちゃうよ?」
勇太「......じゃ、やめるか///」
丹生谷「ふひひっ/// 今のゆうたんは私のドツボの中///」
勇太「こらっ///」ぐりぐり

丹生谷「うう~/// それでね、食べ終わったらね、お外で遊ぶの///」
勇太「俺も森夏姫と一緒に花園かけぬけたい///」
丹生谷「花畑でおにごっこ。お花の中でもふりたい。捕まえられたら愛の告白///」
勇太「俺毎回おにになるのかな///」
丹生谷「ゆうたんは私の王子様だよ!......誰にも渡さない///」
勇太「恥ずかしい///」
丹生谷「でね~、お昼になったら、うさぎさんと遊ぶの。かわいいから。
うさぎさんの国でピョンピョン跳ねるん。でね、遊び終わったら。
お花畑でゆうたんと花を植えるん。そのときにゆうたんの顔でときめくん///」
勇太「うん/// うん///」
丹生谷「お家帰るときゆうたんと手を繋いで、夜になったら、ご飯食べておいしいって言うん。
一緒にお風呂入って今日のこと話して、一緒に歯磨きして、
お歌聞かせてもらって、絵本読んでもらって、最高の気分で寝る///」
勇太「俺休む暇ない///」
丹生谷「ゆうたんはずっといるの!!!」
勇太「ああ///」
丹生谷「ゆうたんは絶対いるの!目を離しちゃダメ!ゆうたん私のこと嫌いなの///」
勇太「はいはい。大好きだよ」
丹生谷「目を反らしちゃダメ/// ぶーっていうよ///」
勇太「俺は離れないからな/// ずっと一緒だぞ///」
丹生谷「うん/// それが普通だもん/// 一緒に手を握って、一緒に笑う/// でもゆうたんは無理しないでほしい」
勇太「ありがとな///」
丹生谷「う~ん/// う~~~ん/// この国の村の人達呼んで、毎日お城の上でキスして歓声もらう///」
勇太「恥ずかしすぎるだろ///」
丹生谷「恥ずかしくないもん/// 浮気されたらいやだもん///」
勇太「ごめんな/// ずっと見てるもんな///」
丹生谷「赤ちゃんつくりたいー!」
勇太「こらっ///」
丹生谷「富樫君の赤ちゃんつくりたいー!」
勇太「....../// 俺は2人がいいな」
丹生谷「なんで?」
勇太「森夏姫と一緒にいられるから///」
丹生谷「......一万人」
勇太「そんなに/// 頑張れないよ///」
丹生谷「だってゆうたんと一緒だもん///」
勇太「エッチ楽しいけどな、ひたすら性行為しなきゃ終わらない///」
丹生谷「私達は無限に生きる/// 楽しく会話して忘れられないほど楽しかったら夜するの///」
勇太「大変だな///死にそう///」
丹生谷「死んじゃダメ/// でね赤ちゃんの世話して、私達親になって、フランス料理を食べさせたい///」
勇太「一万人を机の上に並べられるか///」
丹生谷「ゆうたんはずっと私と一緒/// う~~~~~/// この体好き///」ダキッ ガブッ
勇太「こら腕噛むな///」
丹生谷「すきー/// 筋肉のこぶ好きー///」ガブッ
勇太「いたいいたい!」
丹生谷「逆らっちゃダメ/// 泣いちゃうよ///」
勇太「歯形がつくぞ///」
丹生谷「ううううーーーー///」ガブガブガブ!
勇太「こらっ///」立つ
丹生谷「ああ///」
勇太「いたいぞ///」
丹生谷「ゆうたんの腕にぶら下がるー///」
勇太「ダメだぞ///」
丹生谷「するの///」
勇太「......ほらっ」
丹生谷「すごーい!!!」ぶらーん
勇太「上げることもできる///」
丹生谷「きゃっきゃっ///」
勇太「もっと高く///」
丹生谷「きゃっきゃっきゃっ///」
勇太「まあチビな森夏姫には無理だけどな///」
丹生谷「ゆうたんが悪口言った―///」
勇太「誰かさんがおバカだからだよ///」
丹生谷「ひどーい///」
勇太「へへっ///」
丹生谷「ゆうたんの方がバカ///」
勇太「なんだとっ!///」
丹生谷「やーい!ここまでおいでー!!!」
勇太「待てー!」
丹生谷「きゃきゃっ!」
勇太「こらー!待ってー!森夏姫―!」
丹生谷「待たないー!」
勇太「待ってー!!!!」
丹生谷「やだーーー!」
勇太「捕まえた///」ダキッ
丹生谷「きゃっ!」ダキッ
勇太「......捕まっちゃったね///」
丹生谷「うん///」
勇太「あったかい....../// 俺これ好きだよ///」
丹生谷「ゆうたんもあったかい///」
勇太「......///」
丹生谷「......///」
勇太「さあ、ベンチに戻ろうか?」
丹生谷「うん///」

ベンチに戻ってから俺達はその熱が冷めないまま和気あいあいとした雰囲気で、
何もかもが許せるような幸福に満ちている。言葉を喋らないで、
お互いの顔を、恍惚とした愛らしい顔を、
今日の出来事は今日でおしまいだから、愛くるしいように見続ける。
いつまでも記憶していたい思いが俺達の中で渦巻いて。
丹生谷の中から真剣な表情と、それとは対照的な瞳の動く可愛らしい顔が記憶に残り続ける。
あの夕日もオレンジの光が濃くなっており、残酷さと、
今日会ってよかったという一瞬の奇跡に漬かっている。

だから俺も丹生谷も同時に抱きついた。
ハグした愛の温かさが、肩も背中も柔らかく、彼女の香りがする、もう二度とない体験。
そんな今が嬉しいし、寂しくて胸が痛い。
彼女特有の香りと柔らかさに俺の体は飲み込まれ、
そんな肩と首筋を贅沢だと思いながら、しっかり抱いた。忘れないように。
だからもっと欲しかった。欲しくなった。もっと繋がっていたい。


じっと、俺達は、その顔を見続ける。



目が、



奇麗だ。





丹生谷「......///」ギュッ じっ
勇太「.......///」ギュッ じっ
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「(瞳がかわいい)」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「(キスしたい......!)」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「目キス......?」
勇太「...... ...... ......」

思わずこぼれた俺のはいと言う言葉が、
俺の心が素直に望んでいるのだろうと理解して、運命の行方を後押しする。
抱き合いながら、
その瞳が好きで好きでドキドキと鳴る胸の鼓動が止まらなく、もっと近づいていたい。
丹生谷の鼻がくっきり見える距離で、
二人で目を閉じてわずかな時間を愛おしいと噛みしめて、そしてゆっくりと目を開けた。
同時だったので少しびっくりしていたが顔は崩れていない。
認識した彼女の瞳が宝石のようにきれいだった。
だけど、少しうるうるしていた。
近距離で見続ける。
ただでさえ怖くて赤いのに、彼女の頬が赤面すると俺も恥ずかしくなる。
彼女のその目がほしい。
できればもっと近づいていたい。イタズラしてみたい。
今までの彼女にはなかった、純粋すぎる目。
できればずっと見ていたい。
うるうるとした瞳の中に、俺がいる。
頬を赤くした俺がいる。

.......。やがては飽きて、目を見開けなくなったのを機にハグをやめる。
でも丹生谷のその瞳がいつまでもきれいだから、その映像が脳に焼き付いた。
嬉しすぎて頭がぼーっとする。
それと同時に、丹生谷と別れの時がやってくると思うと寂しすぎて胸に手を当てた。


勇太「......///」
丹生谷「......///」
勇太「......///」
丹生谷「......///」
勇太「......///」
丹生谷「......///」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「(何かやり残したことをしたい......。
何か記念になるようなものを残したい。ものじゃなくて、もっと記憶に残るような何かを)」
丹生谷「......」
勇太「(かわいい姿。誰にもないかわいい顔。聖母のような柔らかい肩。ふっくらとした禁断の果実のような胸。
それとは対照的なすっきりとした腹、柔らかそうなスカート、
柔らかそうな太もも、俺のところにやってくるための愛くるしい足)」
丹生谷「......」
勇太「(その中でもとりわけ気になるのが、胸。ふくよかな姿に惹かれる。でもどんな丹生谷も奇麗だ)」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「おっぱい揉んでいい?」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「あっ!いや、そうじゃなくて!」
丹生谷「......」
勇太「丹生谷との......」
丹生谷「......」
勇太「えっと......」
丹生谷「......」
勇太「違う......その......いやらしい意味じゃなくて......記念......」
丹生谷「いいわよ」
勇太「......。......。」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「はい。」
勇太「(丹生谷は両腕を大きく高く広げて、見せるように、俺にあげるように広げる)」
丹生谷「......///」
勇太「丹生谷......」
丹生谷「信じてるから」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「(やって......いいんだよな......。やっていいんだよな。俺触っていいんだよな。
胸揉むの初めてでその言葉の実感が湧かない。
いいのか!!!いいのか!!?

じゃあ/// 俺/// やる/// やってやる/// 
今までやってみたいと思ったことが叶う/// 
ガチで嬉しい!!!)」

丹生谷「......」

ベンチの上で、俺は好奇心旺盛で鼻息の荒く止まらない様相で、
ロケットパンチを繰り出すロボットのように、両手で掴むように、
一つたりとも逃さないと指をしびれるほど大きく広げ、息が乱れていく。
したい......したい......したい!したい!したい!したい!
俺は、風を生み出すスピードで両手を伸ばし、聖母の果実を奪いに行く。

......だが、途端に手が動かない。
いざ揉んでいいと言われると、硬直して手が......手が.......動かない。
手が震える。震えが落ち着かない。
俺はそのチキンハートならではの性格に怯え、その位置で固定されたまま、ずっと震わし続ける。

勇太「......」ぶるぶる
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」












丹生谷「はぁ......」



......!




その疲れた声を掛け声に、なぜだか助けたい思いが溢れ俺の手が急発進する。
全力で俺の腕が伸びていき、捕獲キャッチャーのように指が限界まで大きく開いた。
着陸するスピードを弱められず、包含するように、
その柔らかそうなおっぱいを理想と共に、
ギュッと揉んだ。
全力で動いたスピードの反動で丹生谷の胸の中に受け止められる。
柔らかいクッションを思いっきり掴んだような女性特有の柔らかさを指で感じる。
そして胸はふっくらしていく。
大きく開いた指の間に乳肉が溢れる。そして俺の爪が深くまで食い込み、
その先は揉み切れないほど固い底板が底になっており、
丹生谷の両方の胸は、風船のような小さく太い胸に変形する。
その揉みように丹生谷は顔を赤くし、はしたない舌を上げて、「きゃあ///!」と女の子な悲鳴を上げる。
体が近場にいるので丹生谷のいい香りが俺の脳内に届いて。
本当に丹生谷で揉んでいるのだと理解した。この声が一層嬉しかった。
......俺は恥じて揉んだ感触を理解したのちすぐに手を離した。

俺って......。
俺って揉んだんだよな。
丹生谷の、魅了するような、一度は掴んでみたい大きな胸を......。
俺は大きく開いた指の大きさを、思い出補正でよみがえらし、
はちきれんばかりの大きな胸を揉んだそれのサイズを確認する。
顔を下にして。おっぱいの触った手の皮膚と、脈と、指の大きさを見つめながら喜びと共に呆然する......。

勇太「......」じっ......
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「へへ......」
丹生谷「......」
勇太「へへへへへ///」
丹生谷「うれしいん?」
勇太「......///」
丹生谷「うれしいのお~///」 
勇太「......///」
丹生谷「初めて?」
勇太「」コクッ
丹生谷「よかったね~!!!」なでなで
勇太「......//////」

勇太「さて、今何時だ?」
丹生谷「今、あ、もう5時55分......」
勇太「俺達、お別れだね。仮デートの終わり」
丹生谷「そうよね......」
勇太「あの!俺楽しかった!!!
丹生谷からデートの作法とか、ハプニングとか、今の禁断の愛とか!色々あった!」
丹生谷「私も~、たこ焼き食べた富樫君とか、
一緒にもぐらたたきしたとか、パスタで恥をかいたけど、今じゃ、いい思い出になってる......。あっ」
勇太「丹生谷!?」
丹生谷「大丈夫よ!泣かない!」
勇太「ごめんな。俺......丹生谷のこと......。ううん。言わない」
丹生谷「そう。家で待っているんでしょ。でも、ありがとう。分かる......」
勇太「うん......。
ダークフレイムマスターとモリサマーの上位世界で繋がっているから、胸に痛いほどズキズキ来てる......!」
丹生谷「......。ねえ、私、今日よかった。大丈夫よ。私、泣かないから」
勇太「俺もだ。最高に」
丹生谷「私ね。人って常に無関心で、常にマスクしてるものと思ってた。
自分が排斥されたくないから他人に同調して、そうじゃないやつは淘汰される。
自分が将来プロ選手やお姫様になれると思ってたのに気づいたらそれはさら地で怖かったの。
叶えたい望みを持つ、それは罪だって。そんな怖い人たちと一緒にいたくないけど、そうじゃないと生きられない。
私、無理して生きてきたのかもね。
でも富樫君は夢を見せてくれた。私をお姫様に仕立て上げてくれた!!!嬉しかった!!!!!!
子供のころ思った幸せに帰った気分で、童話の世界に帰ったみたいで、嬉しかった。
これが私の理想......。お金だけじゃなかったのね。
私、この世界が間違っていると思う。
彼氏ってこんなに笑って愛されて奇跡に近いものなのに、
いつの間にか経験人数とか道具みたいに扱われて、私、そんな世界、いやよ!
富樫君は富樫君だもん!!!富樫君の代わりはいないの!!!もっと一緒にいたい!その気持ちは誰にも取られたくない!!!
今日デートで何回笑いあえて、何回怒れたのか。過去を思い出すだけで辛い気持ちに苛まれる。
でも幸せだった。まるで幻のよう。これが恋なんだね。
奇跡に近い現実なんだね。足が浮くほど軽いの。私って今いないんじゃないかしら......。
もう夕日が落ちて夜になる。私達の時間が幻に変わる。
だけど富樫君の頬の温かみ、一生忘れられないから!こんなに好きなってしまって!!
富樫君は私を照らす希望の光。私の王子様にふさわしい人。
私、後悔しない。
遠く離れてどこか行ったってこんなに素敵な人がいること、おそらく死ぬまで覚えられる!
私は大人になったら、お金とか地位とか性欲のために生きる汚い人間になると思う!
だけど今日があったから!希望があるとまた信じられるようになった!
この世界、この夕日、このベンチ、大人になっても大好きだった証拠になる。
こんなに愛してくれて、ありがとう!ありがとう富樫君。最高のプレゼントになった!
望みをかなえてくれてありがとう......!私の大好きな王子様!!!!!!!!!!」
勇太「......」
丹生谷「ありがとね///」
勇太「......」
丹生谷「.......」
勇太「俺......つくづく悪いことしちゃった。誘わなかったら」
丹生谷「いいのよ」
勇太「俺も!」
丹生谷「うん」
勇太「丹生谷がかわいいと思う!茶髪の髪がかわいいだろ!目がくりくりしてかわいいだろ!
触ったらすっとしそうな高そうな鼻がかっこいいだろ!そのくせすぐ赤くなるほっぺがかわいいだろ!
だ液すらもかわいいと思えるぷるんとする唇が大人っぽいだろ!肩も柔らかくてかわいいし、胸は大好きで!」
丹生谷「くすっ///」
勇太「すらっとした腰つき見惚れるほど好きで!
お尻とふとももがむっちりでかわいくて!足はすらっとしてるほどかわいい!」
丹生谷「あはは/// うん///」
勇太「怒った顔もかわいい!情に流されて釣られて怒った顔もかわいい!
泣いた顔もお姫様みたいで超かわいい!!!!
かわいいっていったらほんとうにかわいい!!!大好きなほどかわいい!!!
恥をかいている姿もじっと見ていたいほどで!
宝石にきらきら目を輝かせる丹生谷も!公園の土の上で踊る丹生谷も!
鍵をロックしたときのかわいさを例えられないほどかわいい!
何もかも全部全部全部かわいいーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!
地球上で一番かわいい!!!!!!!!!!!!!」
丹生谷「くすすっ///」
勇太「でも何よりも」
丹生谷「......」
勇太「俺を誘ってくれるような、子供のように許して慰めてくれる優しい丹生谷が、嬉しかった......」
丹生谷「うん......。ちょっと目が」くしくし
勇太「はぁ......。はぁ......。はぁ......」
丹生谷「私のことずっとかわいいって言ってほしいって言葉、覚えてくれたんだ......。
なんだ、記憶力いいじゃない......。ごめん見ないで」
勇太「......(俺は泣かない。泣きたくない......)」

丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「ねえ、言っておくけど辞めるって話、あれ嘘だから」
勇太「ほんとか!?」
丹生谷「うん。心配かけてごめんね。くみんもみんな大好き。富樫君に焼いてただけ......///」
勇太「そこまでか/// 六花に悪い......。なんて謝ればいいか」
丹生谷「......忘れちゃえばいいのよ。今日のこと.......全部」
勇太「丹生谷!!?」
丹生谷「ううん。富樫君のこととっても楽しかった!
貴方は小鳥遊さんといちゃいちゃしてそのうち忘れるだろうけれど、いいの」
勇太「俺は忘れないぞ!!絶対!!」
丹生谷「あなたには小鳥遊さんがいるもの......。
私じゃ手に負えない。あの子みたいに純粋だったら......。ううん、なかったことにしましょ」
勇太「......。分かった。今日のこと忘れる。
でもな!絶対だぞ!誰が何と言おうと今日の出来事は!丹生谷のこと忘れないからな!!!!!」
丹生谷「はいっ。あげる」
勇太「これっ......。丹生谷の付けていたピンク色のヘアクリップ......」
丹生谷「人間だもの。すべて忘れちゃうわよ......。あんた、かっこつけすぎ......」
勇太「......。いいのか?登校日困らないか!!?」
丹生谷「大丈夫よ。まだ1個予備あるの。
ありがとね、銀色のヘアクリップ。
一生机の中で保管しとく!!!こんな大事なもの、捨てられない......!」
勇太「丹生谷......!」ギュッ
丹生谷「富樫君!!あのね......!あのね!!!気をつけなさいね!
デートで気遣いできるようにもっとフォローするの忘れないでね!
ヒール履く女性がいたらちゃんと小幅合わせてね!食事のマナー守ろうね!
困っている人がいたら頼んでないとか言わないで助けてあげようね!でも他人を裏切るまねはしないでね!
彼女困ることがあったら察して肩を撫でてあげてね!言葉の表面だけに囚われないでね!
辛いものは常に隠すものだから助けてあげてね!
......デートのお約束条項直していいデートしなさいよ!幸せになって!!!」
勇太「丹生谷だって!皆がいいって言うからって押されず反論してほしい!
嫌なときに猫かぶりされると余計辛いの分かってくれよな!
デート中にわがまま言わないように気をつけような!
ちゃんと謝れる人間になろうな!相手分かってくれるから!
俺は丹生谷よりデートの知識はないけど、でも丹生谷の心が傷つくの耐えられないからな!
遠く離れてもずっと守るからな!
ありがとう!丹生谷のおかげで俺、いいこととか、悪いこととかいっぱい、いっぱい教えてもらった!
絶対にいい男と丹生谷に呼ばれるぐらい男らしい男に成長するからな!!」
丹生谷「うん......。うん......。ありがとね......」
勇太「ありがとう......。ずっと覚えてる」
丹生谷「今日はありがとう......富樫君!」
勇太「今日の出来事、これまで生きた中で最高に楽しかったぞ!!」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」



勇太「......」
丹生谷「......」


夕日が落ちる。
だんだん蒼い夜空が数えられないほどの星々を照らすようになって、
残されたのは夕日の薄く光るオレンジだ。
その色を見ただけで俺の隣の人を思い出し、辛くなる。
ベンチ越しに見る夕日と、見守られたような太陽の温かさも、
そして大きな川の太陽によるきらきらとした反射もなくなりかけていて、憂鬱感と辛さで胸が痛い。
公園の中に街灯が光っていく。
でも、丹生谷にその姿を見せてさらに辛い思いはさせたくない。
丹生谷の香水の香り、すっかり俺の体に馴染んでしまった。
対照に俺の獣臭い匂いなのに隣の丹生谷から漂ってくる。
限りなく嬉しいし、あの夕日を見れば限りなく悲しい。

俺達は来るべき時が怖くて、いよいよ目をそらして地面をただ見つめるだけになってしまった。
時間は非常にも過ぎていく。あれだけ時が経つのが楽しかったのに、今じゃもう。
だから俺は丹生谷の姿を目に焼き付けた。
肉眼が破裂してもいいぐらい、いつまでも記憶に残らせるようじっと見た。
丹生谷の髪の匂いに最初ドキッときた。あのときが懐かしい。
辛すぎて、時間を巻き戻せられたらいいのに。
丹生谷の体、髪も顔も肩も腰も柔らかくて本当に愛おしい。でも感触も忘れてしまうのだろう。
ふと、この色と、鼻筋を見ると、
あのころ、俺の部屋にあるマビノギオンを取ろうと猫を被った丹生谷が畑の広がる広い道路で、
俺の鼻をつんとついて「誰かさんが鈍いからだよ♡」と言われたあの頃を思い出す。
あのとき恋愛するんじゃないかと胸騒ぎした。
今思えば今回のデートも、怒られてもからわれたり、
犬や子供を見る目で慰められたり、とにかくいろいろあった。好きすぎてあげられない。
俺が見ていると丹生谷も俺の顔を見て、その瞳が愛おしいという意味を目の輝きで表していた。
俺達は無為に少ない時間を過ごした。
今日で終わる。この夏。奇跡の時間。

丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」



丹生谷......。


富樫君......。



心が通じ合う。
でもより一層心が段々苦しくなる。
こんな瞳を見る時間なんて、
今日がこれで最後だろう。
それでも二人の顔があるから喜びに満ちている。


勇太「......」
丹生谷「......」
丹生谷「最後のわがまま言っていい?」
勇太「うん......」
勇太「......」
丹生谷「一分間、眠っていい?」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「うん......」

オレンジ色の小さくなった夕日の光が、丹生谷の髪の色とほぼ同じになっている。
俺も丹生谷も互いに手が動いて、
最初はプルプル震える手だったのに、丹生谷の体をそっと優しく、これ以上にないほど優しく、
今日のデートをオーバーするぐらいの優しさで、抱きしめる。優しく。強く。瞳を閉じながら彼女を感じる。
丹生谷も手を強く、今日のように優しく、温かく抱きしめる。
丹生谷も、俺も、互いに目を閉じて安らかに眠る。今日のことが夢であるように。
互いに温もりを感じる、この感触と温度を永遠に覚え続けたい......。
そのうち丹生谷の髪を、
左らへんを持ち上げてはそっと落とし、
右を持ち上げて柔らかな感触を堪能した後、そっと落とした。
うさぎさんの......形にして。

丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「帰りたくない......!」
勇太「......」
丹生谷「うえええええええええん!」
勇太「......」
丹生谷「うえええええええええええええええええええええええええええん!」
勇太「......」
丹生谷「うえええええええええええええええん!」
勇太「......」
丹生谷「うええええええええん!」
勇太「......」なでなで
丹生谷「うええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええん!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
勇太「......」なでなで
丹生谷「やだああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
勇太「......」なでなで
丹生谷「うえええええええええええええええええええええええええええええええん!!!!!!!!!!!」
勇太「......」なでなで
丹生谷「うえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええん!!!!!!!!!!!!!」
勇太「......」なでなで
丹生谷「うええええええええええええええええええええええええん」
勇太「......」なでなで
丹生谷「うえええええええええええええええええええん......」
勇太「......」なでなで
丹生谷「うええええん......」
勇太「......」
丹生谷「うええん......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」

丹生谷「......もう。大丈夫......」
勇太「ちょっと。顔拭く」
丹生谷「うん」


丹生谷「なんかさっぱりした!!!」
勇太「なにも後悔がないって感じで!なんか万能だな!!」
丹生谷「富樫君、銀色のヘアクリップありがとね」
勇太「大切にな!......俺達友達に戻るんだよな。できるかな......」
丹生谷「あ~ら。何言っちゃってんの!今の涙で今日の出来事全て吹っ飛んだ!」
勇太「それはないだろー!」
丹生谷「なら、恋心はここでおしまい。全ておしまいね。小鳥遊さんが家に待っているんでしょ!早くいきなさい!」
勇太「......。うん。丹生谷を見ても何にも感じない」
丹生谷「本当に?......ねえ、富樫君。私と一緒にカフェに行かない♡」グイッ
勇太「......。本当だ。何にも感じてない」
丹生谷「えっ!?あんたも恋冷めやすいのね!よかった!」
勇太「今日のこと、必ず役立てるからな!!!」
丹生谷「今日は楽しかった。まるで夢みたい」
勇太「明日になったら普通の友達になるんだろ?信じられない!」
丹生谷「そうよね。まるで夢みたい......。いい夢だったわ」
勇太「そっか。よかった!卒業しても、遠く離れた場所でも友達でいような!」
丹生谷「富樫君こそ小鳥遊さんを泣かせないでよー!いつまでも元気でいてね!!!富樫君!!!」
勇太「8月30日、誕生日おめでとう!」
丹生谷「私あと1歳で大人になれる!」
勇太「じゃあな。俺、ちょっと用事でここに残る」
丹生谷「そうなの!?じゃ、先行ってるね!」
勇太「にぶたにーーーーーーーーーーーーーー!!!!!さよならーーーーー!!!!」
丹生谷「とがしくーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!!!!!」
勇太「にぶたにーー!!!じゃあなーーーーーーー!!!」
丹生谷「とがしくんーーーーーーーーーー!今日会えてよかったわよ!!!!」
勇太「にぶたにーーーーーーーーー!!!!!」


俺達は恋心を浄化して友達に戻ってさよならの挨拶をして、
少し丹生谷が下がったらと思ったらその名前を無性に叫びたくなって、また大きく挨拶する。
丹生谷が小さくなるまで手を振り続ける。
そして、丹生谷は顔も見れないぐらい小さくなって、指
に遠くの丹生谷の姿がすっぽり入るぐらい、小さくなった。
丹生谷を慰められた。俺はお詫びとして聖人君主でいられたかな。
終わった。今日の全てが。

......。

かなり遠くにいる丹生谷が足を止め俺の方にじっと見続けている。
だからさよならを言った。
だけど、なにか。じっと俺を見続けているようで。

6時00分の時刻を確認する。
ぽーん、ぽーん、ぽーん、
という時計台の機械音声が3回なる。


目を離した隙に、丹生谷は極小から俺に少しずつ近づいて、走って駆け寄って来た。

乙女のように走り、段々俺のいる場所まで近づく。

時計台の音が2回鳴っていく。

丹生谷の髪が揺れているのが分かって、
彼女の足音が空に響いて、
少し荒い息をした音が聞こえて、
甘い匂いが漂ってきて、
とうとう顔がくっきり見えるところまで来て、
俺の体の近くまで来て、
手を握れる範囲まで来ると、俺に向かって飛んできて、









......そして俺のほっぺに、ほのかな甘い感触がー伝わった。





キスだ。












丹生谷「友キス......」






丹生谷「」ダッ

潤った瞳で、その言葉を伝えると一瞬で、まるで逃げるように公園から、俺から遠ざかった。
丹生谷の周りから弾けて飛んでいく涙を、夕日のかすかな光できらきらと映していた。


丹生谷......



......本当に......丹生谷......俺のことが......




......好きだったんだ......




俺はその意味に立ち尽くすしかなかった。
言葉が出なかった。
ゴマ粒みたいになる彼女をただ見つめて、そして消えていく......。
俺の後ろで機械時計の最後のぽーんという音が、虚しく公園中に響いた。

力が起きない。
なにもやる気がない。
歩く気もない。
ただ公園のベンチの上に座って、地面の模様を見続ける。


丹生谷の訴えに、俺ではどうしようもないから聖人君主でいようとした。
だからせめてでも喜ばせようとお姫様にした。喜んでもらってよかった。
よかったのに......。
丹生谷の思い。伝えたかったこと。
ようやく分かった。愛がこんなにつらいなんて。
罪悪感で死にそうだ。



ふと、空を見上げる。
夜空に染まって星が光る。
あの夕日の下でデートをしたんだよな。



少し寒くなった夜の世界で、


消えそうな夕日のかすかなオレンジ色の光が俺の体に当たって慰めてくれて、


その温かさに心が壊れそうだった。






今日のデート、





楽しかったな......。








あの日の夕日は、もう来ないんだ。








もし、



もし、



夕日の畑の広がる場所で、



丹生谷と二人っきりになった場所で、



恋心を抱いたあのときに、



強引に丹生谷の手を引っ張って、



告白できていたら......









勇太「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!」



勇太「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」




勇太「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」




勇太「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」





勇太「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」















虚しい声はもう誰にも響かない。
大粒の涙がベンチと地面に水玉模様をつくり、
涙が一生枯れるぐらい、
地面に水たまりのできるぐらいの、
現実の地面に何も残らないほどの、
頭が割れるような、
後悔の雨を降らし続けた。



第6話「                      」


教室

勇太「丹生谷!大丈夫か!!」
丹生谷「あら!富樫君!宿題ならバッチしよ!」
勇太「そうじゃなくて、あれだよ!」
丹生谷「大丈夫よ。今じゃ元気よ。少々家荒れちゃったけど」
勇太「ああ、よかった。借りてたハンカチ」
丹生谷「ありがとう。私達友達なんだから、あまりいちゃつかないでよね」
勇太「......。六花はまだだ。先に来た」
丹生谷「ねえ、弁当に肉じゃが作って来たんだけど、食べる?」
勇太「 えっ...... 」
丹生谷「食べる?」
勇太「友達としてなら、うん」
丹生谷「本当は富樫君のために作ってきた愛妻弁当なんだけどね」
勇太「やめろよ違う///」
丹生谷「顔がマジになってた。 えっ......って、なに!!!!不倫!不倫!」
勇太「違うだろ/// またそうやって人をからかう! 何も変わってないな!」
丹生谷「富樫君が私の弁当を食べたいってーーーーーーーーーーーーーー言うんだけどーーーー!!!!!
ねえみんなこれって!!!!!!!」
勇太「しー!このっ!」
丹生谷「きゃ! やだ!触らないで!!!この不倫ですー!!!!不倫!!」
勇太「違うって!」
丹生谷「こーこまでおいでー!!!おバカさん! この人ねー!!!知ってるー!!!?」
勇太「待てよ!」
丹生谷「きゃ! きゃ!」
勇太「丹生谷、待ってー!」
丹生谷「やーーーーー!」
勇太「待って――――――!」
丹生谷「やーー!」
勇太「おいっあいつの姿が見えただろ!やめろ!!!」
丹生谷「やーーーーーー!」
勇太「おいっ。待ってー!!」
丹生谷「富樫君来てー!」
勇太「待ってーーーーーーーーー!」
丹生谷「いやーーーーーーーーー!」
勇太「あはは」
丹生谷「ははは」
勇太「あはは」
丹生谷「ははは」


第6話「二人はいつまでも仲良く幸せに暮らしましたとさ」


END


あとがき
作品の雰囲気をぶち壊されたくない人はブラウザバッグで。
お読みいただき大変ありがとうございました!!!
丹生谷「勇太をなんとしてでも独占したい!2」を読んでくださり本当に嬉しいです!!!
ありがとうございます!
泣けてもらえたら最高に嬉しいです。
この話は前半はらき☆すたみたいにあるある話を想定して、
それから恋でキュンキュン、最後泣けるように作りました。
本当に大変でした!!!私もあんな純粋な恋がしていたいなー。
ちょっと言っていい?
センテンススプリング!!!ぷーーーーーーーー!!!あははは!(以下自粛)
いや、浮気はダメだけど悲しいからだけど、片思いみたいな恋の結末で終わる純愛の浮気なら私はありと思います。
でも本当に本妻を泣かしたら絶対アウトだと思います。
それと生の感想として。やっと終わったああああああああああああああああ!!!!!
眠たい!!!!!!やっほおおおおおお!!!
できて長年の夢が果たせてすごく嬉しい激熱ファンタスティックエブリデー!!!!
やっと寝られる!間に合ってよかったー!嬉しい!
数年前からの夢がとうとう実現できて泣きたいですほんと!!!
感想ね、もう悲しい!私、何度も泣きました。シンデレラみたいに映したくて......あ、感想後ろで話します。
え?あとがきに作者のコメント入れんな寒いって?
あとがきで作者の自分を褒められない奴は作家なんかやるんじゃない!!!ってネットで見て、
はっとして以来どう思われようが大作限定で付けてます。そういうポリシー。
それと、ごめんなさい!改行のないせいで見にくいと気分を大いに害したと思います!
申し訳ございませんでした!
本当は自分も改行したほうがいいと思ったのですが、
3年前コメントで「100レスいくなら次スレ立てて続編したほうがいいよ」とのアドバイスを受けたのですが
一つのスレにその話を完結させてまとめたい強い思いから、
あえて数百レスをとうに超える話も雑多に改行を圧縮しまとめ上げようと決めました。
誠に申し訳ございませんでした!!!
これから先2018年からの約10年間、
短編でないこのような大作をアップすることは絶対にないので、改行面に関して、ご安心ください!
今回2018中二恋映画記念ということで私的に記念になろうと
六花「勇太をなんとしてでも独占したい!」
丹生谷「勇太をなんとしてでも独占したい!2」の2作品を掲載いたしました!
あと残り一つ作りたいと思ってます!
中二恋SSの中で今まで誰もやった事のない楽しい!最高に楽しい!
改行は登場人物が多いためひたすら会話だからしてる!そんなSSをまた作ろうと思います!
これ含め、3部作で私のお祝い超大作SSは終息します!ぜひご期待ください!
過去の作品の反省会をしたいと思います。
まず、ごめんなさい!六花「勇太をなんとしてでも独占したい!」で大いに邪王「心」眼と誤表記いたしました!!!!!
肝心なところをゲシュタルト崩壊してどうすんの!!へたこいたー!
正しくは邪王真眼です。ごめんなさい。
それと前作(森様「勇太をなんとしてでも独占したい!」)の最後の大団円で、
凸守登場させられなかったの本当に悔しかった!
別に凸守嫌いじゃなかったんだけど、私がバカだったせいでこの子の喋り方が当時マスターできなかった。
さんざん「マスター!」「サーヴァント!」と連呼していたから、
私てっきりフェイト(セイバーのあれ)からパロディ引用してきたのかなと、でも京アニがやるなんて、って誤解してたら、
ただ単にジャンプとかのバトル漫画からセリフを現実に当てはめてただけなんだ......ってことありました。
あー、悔しいな。時間が巻き戻せたらあの汚点は。今では凸守の動機とセリフ自由に創れるようになって、
私の扱いやすい中二恋キャラ上位に入ってます。成長しました!
でも私、凸守と丹生谷が二人一緒にいるシーン見ると、
勇太じゃないからきぃー!ってやきもち焼いて嫉妬しちゃうんだよね。凸守も好きだよ。
でも丹生谷は勇太と笑ってほしい。
凸守といえば虎虎先生、中二恋3巻で凸守を編集者の指示されたのか分からないけど雑に入れたところネットでこの原作者がバッシング受けて、
それで4巻、あとがきに作者のコメントを息殺して、
凸守口調でひたすら話す悲しいことになったのかなぁ。って思います。
あとがきを素直に虎虎先生の話の締めくくりで聞きたかったな。
オルガネタやけもフレネタ入れた人だったから、ネットのバッシング見たのかな。
丹生谷「勇太をなんとしてでも独占したい!2」について。
感想の話をする前に、なんでこれ続編じゃないのに、「2」を入れてるのか気になる方いると思います。
実はこれリメイク作品(作り直し作品)です。
森様「勇太をなんとしてでも独占したい!」が没作品(親作品)となっております。
前回は虎虎先生の丹生谷を森様、表記にツンデレ書いて勇太といちゃいちゃさせようと思っていたんです。
それが今回アニメ版丹生谷をモチーフに話を進めて行こうと思い丹生谷「~」と表記しました。
森様はわざとやりました。六花は辞書登録云々でああいう結果になりましたがあの話以降標準に戻しております。
今回ここしばらくゆうたゆうたと書いていたから括弧前の表記に違和感なく慣れてしまったから苗字読みでなくなったんです。
よかったら出来酷いですがぜひ前回も。

シンデレラ!

シンデレラ!

シンデレラ!丹生谷をシンデレラみたいに映したいって夢本当に叶えて嬉しいんです!!!!!
感動!泣ける!もう丹生谷がかわいそう!ドレスを着た丹生谷見て見たい!
丹生谷かわいいよね!全部!take on meで六花がお嬢様みたいにラストされてたじゃないですか。ちょーかわいいやつ!
あれを丹生谷にもさせてみたいなって思いました。それで本物のシンデレラに。
中二病と絡めて、宿題をして遊んだあのころに帰って(ノスタルジー)、
大きくなったらシンデレラになるー!という夢をこの作品で表現できて光栄です!
そうそう。前回の、六花「勇太をなんとしてでも独占したい!」の舞台が夜だったので中二病な空と対する
現代チックな夕日を舞台に丹生谷を輝かせたいと思って夕日を選んだんです。
それにしてもシンデレラ扱いされるって憧れるわー!
それと、今回結末があれじゃないですか悲しい話で終わる。
だから、後悔しないようにいっぱい午後恋心を楽しんでもらったんです。
そうじゃないと、もう浄化が悲劇と釣り合わないというか罪悪感で溺れそう(笑)。
あ、別の話でおっぱいのことなんですが、
勇太をあの描写なしで返すと聖人君主でただの罪悪感で丹生谷を見送ったことになるから何か報酬をさせたいと思ってあれしたんです。
それと......揉んだら柔らかそう()。
丹生谷がかわいいからっていう理由でこんなSSを創れるとは思いませんでした!
子供みたいな、誰にも叱れず、何一つ縛られない世界に行きたいなー。
あんな悲劇、悲しいけど、なんか温かくて好き!貴方はどうですか?やっぱ浮気じみてたから嫌い?
3年前私悲劇書くの恐れてたんですがここまで成長したんだなーと思います。

実は前作(森様「勇太をなんとしてでも独占したい!」)で、
今作のようにバッドエンドで終わるはずが。私、逃げてたんです。
こんな非情な展開で終わらしたくないって、現実見たくないって、逃げたんです。
だから、前作で二人が無駄に対立してあんな風に......。
だから今回リベンジして無事に悲劇を書き終えることができました!!!
悲劇を描きたくない前回の自分に勝った!!!!!悲しかったけど、本当嬉しかった!!!!
アイスキュロス(悲劇作家)の右頬をぶってやったぜ!やったーーーーー!!!
うん......、この丹生谷のSSを書くためにわざわざ人生刷って遠回りでここまで来て。
丹生谷にとっての最高の作品が完成できた......。もう思い残すことはない。
勇太と丹生谷のいちゃいちゃのストーリーを書くことができて、
こんなことはもう二度とできないだろうと思って、
それで最高傑作ができた。こんな力ができた。......私は今、最高に幸せだ。

丹生谷って顔もかわいいし、胸も大きくて、性格も猫被っている割に裏の顔みせて楽しいし
でも困ったら助けてくれる母性愛......そんな丹生谷を私、本当に愛しています!!!
それと、私が中二恋を3話で切らずに見続けたってのが、
丹生谷のかわいさと愛くるしさ、
特に1話の勇太と丹生谷が鏡で一緒になるシーンで運命の出会いって私ドキドキしたんです!!
そのおかげで映画まで見ることができました。1話見てこいつら結ばれるのかなと思って。
その後むしろ勇太×丹生谷結ばれてほしい!!!!って
熱気に包まれながらフラグ折られてああっ......ってなったのを覚えています。
take on meのときも勇太にムッとした丹生谷が近距離で話しかけて視聴した私がドキッってなりました!
どうしても結ばれなかったのか!!!?
六花もいいけど丹生谷と結ばれて二人のいちゃいちゃが見たかった!!!
1期の夕日に映る丹生谷と勇太の姿に惚れちゃったよー!
だから私は補完したいなって思ってる。車のサファリゾーンで驚く二人をみれたり、
お祭りでぶーぶー文句垂れる丹生谷をみれたり、二人でサッカー観戦して喜びを共鳴し合う。
くだらないお笑い番組......最近TVつまらないっていうけど、
カップルで笑い合い、ツッコむ二人を想像すると、楽しそうだなあ。そういうの夢見てる。
中二恋はもう映画で終わっちゃったけど、二人の新しい物語をもっともっと見ていたい。
笑う、丹生谷。困る勇太。二人ともいつまでも見ていたいな。
いーい!教えるけどね!「たのしい!」「悪かった!」「ありがとう!」っていかにもテンプレな表記に見えるけど!
テンプレじゃなくてその人がその言葉を言ったから重要なの!!誰かが「笑った」じゃ務まらないの!
丹生谷が笑ったから世界は楽しいの!だから愛してれば、別に......テンプレでもいい......。

私的なことなんですが、「世界の中心で、愛を叫ぶ」って恋愛映画あったじゃないですか。
あれのロケ地(香川県の庵治町)に行きました!!!最高だったよ!
ロケ地が80年代の建物の港町でかなり古臭くてすごくよくって、
巨大なロケ地の看板にここは○○が~したシーンの場所ってのがあって、
その14か所のシーンが、私はまだ映画未視聴で見たいと思ってますが、
まるで映画と変わってなくてガチで感動しました!言葉出ませんでした!
青い海洋と小さな場所を巡るたびにふと「誰にも知られないような小さな町で、
好きな人をただ一筋に追いかけていく。私にはできないや」と青春の意味と度胸を再確認できて、
私も作品も成長できて本当によかったと思います。
観光交流館には、映画のクイズや写真館、
セカチューファンのための黒板(東京からから来たーなどのメッセージ)本当にすごかったです!
それとマジですっごーいのが!純愛の聖地、純愛ロードと言われる、
城岬公園(しろみさきでなく、しろばなと読む)がとってもきれいだった!!!
目の前に広大な透けた青空と巨大な海洋、そして島、それを一人を背景に贅沢に一望できるベンチと広場。
また行ってみたいぐらい綺麗でした。
そしてその公園には、石を掘ってできた愛のメッセージ(告白文コンクールの)文集を見てドキッてときめきました。
横に見たこともないようなすべすべになるほど丸いハート型の石像やベンチもあって、
思わす「あ、ここやばい///」みたいになりました。あ、話しすぎた(笑)。
行きたい方は天気のいい日にぜひ!

さて、最後になりました。私のこのSSに費やした30日間もとうとう終わりかぁ。
名残惜しいなぁ。ううん。二人を幸せにできてよかったなって満足感でいっぱいです!
さて告知を。例の3部作をもし終えたら私の生きる意義がなくなっちゃいます。
なので2028年の1月6日にまた超長文SSを投稿して(虎虎先生に憧れて作りますので改行面は誠に申し訳ございません)、
その内容が!勇太と丹生谷が結ばれる!っていう華やかで、
いじめとかなしで楽しい話を作ろうと思ってます!もう構想はできています。
もしかして丹生谷俺のことを......っていうのやりたいです!!!私が生きてたらお楽しみに!
そしてまだまだ!!!私、決めました。やっぱり丹生谷と勇太じゃないと、人生がつまらないんです。
二人が結婚するかしないかでも、イチャイチャする短編SSを書きたいと思います!!!
私が好きだから!絶対批判くると思いますが私は勇太と丹生谷の二人が大好きなんです!くっつけます!


その名も「ゆうにぶSS」と称します!勇太×丹生谷メインのSSを指すことを示します!!!

平成30年8月30日、ゆうにぶSSの創立を宣言する!

うん....../// これからバシバシ、は無理か、1か月か1年か10年に一回投稿したいです。
勇太と丹生谷の結ばれるifルートのラブラブっぷりを見ていきたいと思います!
さあ、最後に、締めましょうか!
あとがきの最後までお読みいただきありがとうございました!!!
中二恋好きの皆さん!丹生谷好きの皆さん!そして皆さん!
またお会いしましょう!


にぶたに!


ずっと!


あいしてるよ!



ここで見ている皆と、勇太と丹生谷で、
また一緒に冒険がしたいな






じゃあね!





恋人の聖地 その101
勇太と丹生谷のイチャイチャぶりでニヤニヤできた方は
将来必ず、素敵な人に出会って結婚できます




♡ モリサマー ラブ ♡




NO END 中二病でも恋がしたい!


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