千歌「サッカーやろうよ!」 (23)
ラブライブ!×イナイレ
オリ技有り。
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トン
トン
トーン
千歌「ぅわとと……!」
コロコロ……
千歌「うぅ……」ショボン…
ビュウウウウ……!
千歌「っ!?」
コロコロ……
千歌「あ!」
普通の私の日常に、突然訪れた奇跡。
タッタッタッ……
千歌「はぁ、はぁ……!」
何かに夢中になりたくて……
コロコロ……
何かに全力になりたくて……
コロコロ……
わきめも振らずに走りたくて……
コロコロ……
でも、何をやっていいかわからなくて……
ピタッ
千歌「はぁ、はぁ……んしょっと……」
くすぶっていた私の全てを吹き飛ばし……
ビュオオオオオオオ!
千歌「……!」
舞い降りた……!
【Love Live! second winner……】
それが――――――――
――――――――海岸
トン
トン
コロコロ……ピタッ
千歌「にっ……♪いっくよー!」ダンッ!
曜「来いっ!♪」
千歌「うっりゃあ!」バッ!
曜「なんの!」バッ!
バッ……バッ……!
コロッ!
千歌(行ける!!)
ズパッ!
千歌「だああ!!」
曜「甘いっ!」ガッ!
千歌「ぅあっ!?」ヨロッ
ズザァ!
曜「っし、っと♪」パシッ
千歌「ってて……」
曜「大丈夫?」スッ
千歌「ん……」ガシ…
曜「惜しかったね♪」
千歌「今のは抜けたと思ったのに……。フィジカル負けした……」
曜「まだまだ千歌ちゃんには負けないよ♪」ゞ
千歌「むぅ……」
千歌「あーあ。いっつもおんなじ相手じゃ変な癖ついちゃうよ。たまには曜ちゃん以外とも1on1したいなー」ゴロン
曜「不服?私とマッチアップして勝てたことないくせに」ツンツン
千歌「そうじゃないけどぉ……」
曜「私たちの周りにはプレイヤー少ないもんね。ムッちゃんたち誘うとか?」
千歌「選手より実況の方がいいって」ブスー
曜「アハハ……。まあ、サッカーは人気だけど、楽しみ方は人それぞれだしね」
千歌「はやくメンバー集めて、試合したいのになぁ……」
曜「メンバーどころか……サッカー部も無いけどね。うちの学校」
千歌「だから作ろうとしてるんじゃん!」
曜「集まるといいね~。メンバー」
千歌「絶対集める!!そして……そして……!!」
曜「ラブライブ……だっけ?」
千歌「そう!フットボールフロンティアと並ぶサッカーの祭典、ラブライブ!!あの大きな舞台で戦って……一番になる!!」
曜「じゃあまずは、私なんか相手でも一勝出来るようにならないとね」ニシシ
千歌「むうぅ……」
曜「それとメンバー集めね」
千歌「わかってるよぉ……」
曜「拗ねない拗ねない♪あー……そういえば、今日転校生が来るらしいよ」
千歌「転校生?」
曜「うん。たしか東京の……なんていったっけ……。サッカーで有名な学校だったと思うけど」
千歌「本当に!?サッカー好きかな!?好きだよね、サッカーが有名な学校なら!!もしかしてサッカー部だったり!?」グアッ!
曜「さあ?有名ってだけでサッカーをやってたとは限らないし……」
千歌「そっかあ……」ショボン
曜「……ってうわ!?もうこんな時間!!学校遅れる!!」
千歌「えっ!?うわわわ!!」
曜「千歌ちゃんはやく!!」
千歌「ちょっと待って!!ボール!!」アワアワ
ボンッ!
千歌「うわあああ!!蹴り飛ばしちゃったあ!!!」
曜「なにやってるの!!」
ヒュウウウウ……
ボンッ……ボンッ……
コロコロ……
???「……………………」
千歌「はぁ、はぁ……ごめんなさーい!!」タッタッタッ……
???「……………………」スッ
ポンッ……ポンッ……
ポーン……
千歌「!」
フワッ……
千歌「っとと……」キャッチ
???「……………………」クルッ…スタスタ…
千歌「……………………」
曜「千歌ちゃーん!」
千歌「あ……」ハッ
曜「どうしたの?ボーッとして」
千歌「今の人……」
曜「ああ……スゴく柔らかいボールタッチだったね。繊細っていうか、動作がキレイっていうか」
千歌「……………………」
曜「って、だから遅刻しちゃうってば!!急ぐよ千歌ちゃん!!」
千歌「あ、うん!!」
――――――――浦の星女学院
――――――――二年教室
ダダダダダダ……
ガラッ!
曜「セーフっ!!」
千歌「間に合ったぁ!!」
むつ「おっはよー」
いつき「今日もギリギリ」クスクス
千歌「アッハハ……」
曜「千歌ちゃんのせいだよ」
千歌「間に合ったんだからいいじゃん」
よしみ「今日もボール蹴ってたの?」
千歌「もっちろん!」
むつ「相変わらずサッカーバカだね、千歌は」
千歌「褒め言葉ありがとう!」
よしみ「そういえば聞いた?転校生の話」
千歌「うん、さっき曜ちゃんから」
よしみ「その転校生、あの音ノ木坂から転校して来たらしいよ」
千歌「音ノ木坂!!?」
曜「あー……そうそう。音ノ木坂学院だっけ」
千歌「あのサッカーの名門中の名門の!?」
よしみ「うん」
千歌「そんなスゴいところから転校……ってことは、その子もサッカー好きだよね!?ねっ!?」
曜「だから、さっきも言ったけどその子がサッカー好きとも、サッカー経験者とも限らないって」
千歌「ううん!絶対好きだよ!だってあの音ノ木坂だよ!?世界中のサッカー選手が憧れるあの音ノ木坂!!これはもう運命だよ!!」
いつき「運命って……」
むつ「大袈裟な……」
千歌「どんな子だろ~♪楽しみだなぁ♪」ルンルン
ガラッ
先生「はい、席について」
バタバタ……
先生「今日からみなさんと仲間になる、転校生を紹介します」
千歌「♪」ドキドキワクワク
曜「千歌ちゃん、落ち着いて」ヒソヒソ
先生「どうぞ、入って」
スタ……
スタ……
ヒュウウウウ……
???「……………………」スタスタ……
千歌「!」
曜「あの子……って……」
???「クシュン……失礼……」
サアアア……
???「東京の音ノ木坂という高校から転校してきました」
千歌「……!!」
梨子「桜内梨子です。よろしく」ニコッ
千歌「~~~~!!奇跡だよ!!」ガタッ!
梨子「?」
曜「ちょっ、千歌ちゃん!?」
ズンズンズンズン!
ガシッ!
梨子「キャッ!?」
千歌「桜内さん!!」
梨子「は、はい?」
千歌「サッカーしたことある!?」
梨子「えっ、と……?」
千歌「あるよね!?さっきのボールタッチ、絶対経験者だよね!?」
梨子「さっき……」
曜「えっと、ゴメンね桜内さん。あ……私、渡辺曜」
千歌「高海千歌!!」
梨子「は、はい……」
曜「さっきのこと覚えてない?海岸で、千歌ちゃんが蹴り飛ばしたボールを返してくれたでしょ?」
梨子「ぁ……」
千歌「あのときのボールタッチ、スゴくキレイだった!桜内さん、サッカーやってたんでしょ!?」
梨子「それは……」
千歌「!!」キラキラ
梨子「うっ……」
先生「高海さん、ホームルームを始めますよ。席についてください」
千歌「ひゃい!」
梨子「ほっ……」
千歌「桜内さん!」
梨子「はいっ!」ビクッ!
千歌「また後でね♪」ウィンク
梨子「……………………」
――――――――お昼休み
キーンコーンカーンコーン
梨子「ふぅ……」
千歌「桜内さん!サッカーしよっ!」
梨子「えっと……結構です」
千歌「私と1on1でいいよね?曜ちゃん審判で」
曜「オッケー」
梨子「えっ?あの……」
千歌「さっ、行こー!」グイッ
梨子「えええっ!!?」
――――――――校庭
千歌「いっちに、さんし……」グッグッ!
梨子「あの……」
曜「ゴメン。千歌ちゃん、一回言い出したら聴かないから……。少し相手してあげれば、お腹すいて落ち着くとは思うからさ」
梨子「はあ……」
千歌「梨子ちゃん、ポジションは?」
梨子「……………………」
千歌「ポジション……って、あれ?もしかして、本当に未経験者……?」
梨子「あ、いえ……ミッドフィルダー(MF)でした」
千歌「MF……!じゃあ曜ちゃんと一緒だね!ちなみに私はフォワード(FW)!」
曜「まあ、まともに試合したことないから志望だけどね」
千歌「内浦のエースストライカーとは私のことだよ!」
曜「自称ね、自称」
千歌「そのうち現実になるもん!!」
千歌「メンバー集めて、ラブライブに出る!!」
梨子「!」
千歌「そして優勝する!!」グッ!
梨子「優勝……メンバーもいないのに?」
千歌「んー、まだ三人だけど……大丈夫!!なんとかなるよ!!」
梨子「なんとか……」
曜「三人って、桜内さんを入れてでしょ」
千歌「そうだよ?」
曜「そうだよって……。せめて桜内さんに許可を取ってから……」
梨子「あの……」
千歌「?」
曜「?」
梨子「この1on1で私が勝ったら、私をメンバーに誘うのを諦めてくれますか?」
千歌「ふえ?」
梨子「諦めてくれますか?」
千歌「……………………」
サアアア……
千歌「わかった。その代わり、私が勝ったらメンバーに入ってもらうよ」
梨子「わかりました」
曜「えっと、それじゃルールは……」
梨子「十分」
千歌「!」
梨子「十分間、私から一度でもゴールを奪えたら高海さんの勝ち。それでどうですか?」
曜「それって……」
梨子「ピッチはハーフ。1on1なので当然キーパーは無し。シュートはペナルティエリア以外でも、どこからでも撃っていいです。もちろん……撃てるなら」
千歌「さすがに……舐めすぎじゃないの?」
梨子「足りませんか?なんだったら、チャージとスライディングも無しにしましょうか」
千歌「自信?」
梨子「そうですね。私の実力はさておき……試合経験も無い素人にはちょうどいいハンデです」
千歌「ちょっとムカッてした」
梨子「……始めましょうか」
千歌「曜ちゃん、お願い」
曜「う、うん!」スッ
コロッ……
ボンッ
千歌「!」パシッ
梨子「……………………」
千歌「絶対決める」
ヒュウウウウ……
千歌「……………………」
梨子「……………………」
――――――――生徒会室
???「……………………」
――――――――図書室
???「……………………」
???「なに見てるずら?」
???「あ、ううん……。ちょっと……」
――――――――校庭
曜「それじゃあ……!」スゥー!
ピィーッ!
千歌「!!」ダッ!
梨子「……………………」
千歌「……………………」ザッ!
曜(実力のわからない桜内さんに無闇に突っ掛かろうとしない。距離を取って出方を窺ってる。千歌ちゃん、イラついてるけど冷静だ)
梨子「消極的なプレイですね」ジリッ
千歌「挑発には乗らないよ」コロッ…コロッ…
千歌(桜内さん棒立ち……。距離取ってるのに……なんだろ、このイヤな感じ……)
梨子「攻めなきゃ点は取れませんよ」
千歌「……それもそうだよ、ねっ!!」ダッ!
梨子「…………」ダッ!
千歌「やあっ!!」ギュッ…ダンッ!
梨子「…………」ヒュンッ!
千歌「てやっ!」ボンッ!
コロッ……!
曜「股抜き!!」
千歌「っ!!」ダンッ!
梨子「まだです」ガンッ!
千歌「っあ!!……っ!!」ズザッ!
梨子(チャージをくらってもボールをキープする……。身体はそこそこ出来てるみたいですね)
千歌(左右の揺さぶりに簡単についてくる……!それにこんなに細身なのに、壁にぶつかったみたいに硬い!)
梨子「遅いだけですね、高海さん」
千歌「この……ッ!」
梨子「スピードもテクニックも普通……。それじゃあ、無理ですよ。ラブライブなんて」
千歌「ッ!!」
梨子「…………」スッ
ビュウウウウッ!
千歌「ぅあっ!!」
曜「桜の花びらが渦を巻いて……!!」
梨子「【チェリーブロッサム・ナイトメア】!!」ビュオオオオ!
千歌「っああああああ!!」
千歌「っつ!!」ドシン!
トン……
梨子「……………………」ピタッ
曜「花びらが千歌ちゃんからボールを掠め取った……!あれが……桜内さんの……!」
千歌「必殺技……!」
梨子「……………………」
千歌「この……!」
ポンッ
千歌「!!」パシッ
梨子「……私の勝利条件はゴールを奪われないことですから」
千歌「ボールキープしたままじゃ、奪われもしないってこと?」
梨子「ええ」
千歌「カチーン……。吠え面かいても……知らないよ!!」ダンッ!
梨子「高海さんのスピードはもう見切りました」バッ!
千歌「っ!!」ギュッ!
コロッ……
梨子「あなたじゃ私は抜けない」
千歌「そっか……。じゃあ、抜かない!」キッ!
梨子「!」
千歌「てやあっ!!」トンッ……バシュッ!
梨子「上空に大きく蹴り上げた……!」
曜「千歌ちゃんのドリブルセンスは中の下がいいとこ……。私相手のマッチアップで勝ったことは一度もない。だけど、ストライカーとしての千歌ちゃんは……!!」
千歌「とぉりゃああっ!!」ギュインッ!
シュパッ!
千歌「【みかんドライブ】!!」ドガァッ!
ゴオオオオ!
梨子「みかんのオーラを纏った必殺シュート……」
千歌「ゴールがら空き!!いっけー!!」
ゴオオオオッ!
梨子「まあ、だからといって……」シュンッ!
シュンッ!!
千歌「なっ!!?」
曜「シュートに……追い付いた!!?」
梨子「この程度の必殺技……パスにもなりませんよ」タン
ポロン……♪
梨子「そしてこれが、本当の必殺シュートです」
――――――――♪
ズバァッ!
梨子「【アリアスパーダ】!!」
ドガアアアアアアアア!
千歌「【みかんドライブ】が……押し戻されて……!!」
梨子「はぁあああああああ!!」
ドゴォォォォォォォッ!!
バシュウウウウ――――――――!!
曜「シュートブロック……!千歌ちゃんのシュートをシュートで返して……ゴールを決めた……!!」
千歌「……………………!!」
梨子「……歴然ですね」
千歌「!」
梨子「実力の差です。これ以上は……」
千歌「まだ!!」
梨子「……………………」
千歌「まだ時間はある!!ゴールを決めたら私の勝ち……でしょ!!点を取られたら取り返せばいい!!サッカーに諦めるなんて言葉無い!!」
梨子「……負けず嫌いは見苦しいですよ。高海さん」
――――――――
バシュッ!
バシュッ!
バシュウッ!
千歌「はあっ、はあっ……!!」
梨子「……………………」
コロコロ……
曜「9-0……。ゴールを決められないどころか、まるで桜内さんに敵わないなんて……」
梨子「これで、自分のレベルがわかりましたか?」
千歌「はあっ、はあっ……」
梨子「あなた程度のプレイヤーなら、全国に掃いて捨てるほどいます。ラブライブに出場出来るのはその中でもほんの一握り。その中の一チームのみが、優勝という栄光を手にするんです。なんとかなる……そんな淡い理想じゃ無理です」
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