幼女「我輩は猿である」 (11)
ウッキー! 我輩は猿である! 名前はチンパン! チンパンジーだからチンパンなのだー! ウッキー! 練馬区在住の5ちゃいだぞっ!☆ きらーん☆ チンパンジーレーザービーム!(*´ω`*)
あのね、あのね、我輩の趣味は積み木を積んでそれをぱーんち!☆ どんがらがっしゃーん きゃー! 家が倒壊したーッ! 誰か助けてー! なんか知らにゃいけど家がブッ壊れちゃったのおおおおお! ふええぇ~ん!(爆)
ウッキー! こうするとね、こうするとね、大人はみーんな! 我輩に諭吉を貢いでくれるの! 何万欲しい? 小切手いる? みたいなみたいなーッ! ウキウキウッキー!
幼女冥利につきるわー、あっ違うの我輩は猿なのチンパンジーのチンパンなのだからそんな疑うような目で我輩を見ないで、あ! どーこ見てるの、チンパンジーレーザービームでズッキュンしちゃうぞ(照)
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1535166303
ー山手線・渋谷駅ー
俺「幼女「我輩は猿である」っと……よし、スレタイは完成した。あとは本文だな」
俺の名は俺屑(アン・シエ)。福建省のスラムから出稼ぎに来た、45歳の独身男性。現在は土木とコンビニのバイトで生計を立てている。酒は飲まない。タバコも吸わない。ギャンブルは嗜む程度。そんなグレートな俺が最近どハマりしていること。
SS執筆だ。
SS速報VIPという匿名掲示板で、短編SSを書いている。この前は宇宙で遭難した宇宙飛行士のSSを書いた。まとめサイト、インド象速報では案の定、最低ランクの評価を受けていた。
「ゴリラにしちゃあ、読める文章じゃあねーか」
「へぇー! 文字の書けるゴリラなんていたんだ! 論文にして、学会に発表しなくっちゃなァーッ!」
こんな評価は日常茶飯事だ。最初は腹が立った。誰がゴリラだ、誰が原始人だ。下に見やがって、ブチのめすぞ。俺は福建省で特別奨励賞を取った男だ。長恨歌の現代風アレンジで、アニメ化まで漕ぎ着けた男だ。偉大なんだ。
だが、そんな意味のないプライドもズタズタに引き裂かれた。日本のSS界は敷居が高い。どんなに頑張っても、またげそうにない。それでも、俺はインド象速で最高評価を受けたかった。面白い、涙が出た、気がついたら夜が明けていた、それどころか寿命を全うしていた。そんなSSを書いてみたかった。
ある日
血小板「うんしょ! うんしょ!」
クソども「血小板たそぉおおおお!」
俺「フーン、ジャパンでは幼女がウケるのか」
俺「幼女っと……」
幼女の何を書けばいい。幼女のことなど、何も知らないのに。日本の幼稚園に通ったことすらないのに。しかし、幼女は光を掴むためのキーポイント。幼女×???は必ずウケる! なぜなら、みんな幼女が好きだから!!!!!
こうして、幼女×チンパンジーのSSは誕生した。正午。山手線。無言でスマホの画面をタップする。タップする。タップし続ける。ここは自身の中の獣性を爆発させよう。幼女(チンパンジー)に憑依するのだ。ガラスの仮面で北島マヤが紅天女を頑張って練習していた時のように。
ウッキー! 我輩は猿である! 名前はチンパン! チンパンジーだからチンパンなのだー! ウッキー! 練馬区在住の5ちゃいだぞっ!☆ きらーん☆ チンパンジーレーザービーム!(*´ω`*)
俺「フゥ……ここまでは書けたぞ」
隣に座る人「お、キモオタが何か打ってるぞ。冥土の土産に、ちぃとばかし覗いてやるか」チラ
隣に座る人「……ッ!!?」
隣に座る人(こいつはやべぇ……幼女チンパンジーだと……? 完ッ全にイカレてやがるぜ……じきに、ヤバい性犯罪を起こしそうな匂いがプンプンしやがる!)
俺「ふぅ……」
隣に座る人(始末するか……? 気づかれないように……)
隣に座る人「……おい、オッサン」
俺「は、はい、な、なな何か用ですか」
隣に座る人「テメェ、次の駅で降りろ」
俺「え!? どうして! ど! ど、どど」
隣に座る人「いいから降りろ。いいな」
言われるがまま、駅のドトールに連れ込まれた。
隣に座る人「性犯罪者、何をしでかす気だ、ええ?」
俺「性、犯、罪」
隣に座る人「トボけてんじゃあねーぞこのタコッ! テメェのスマホ画面、幼女チンパンジーという文言が見えたぜ。つまりよォ~、テメェーはただモンじゃねぇ」
隣に座る人「黒だ」
ヒュンッ! ストローが俺の左胸に突き刺さる!
俺「ごはぁッ! ガッ……アッ……!」
隣に座る人「始末させてもらう。これ以上、新たな犠牲者を増やさないためにもな!」
客A「わっ☆ すごーい殺陣☆」
客B「映画の撮影かな?」
アホに絡まれているだけだ。こういうアホは、東京に限らずどこにでも発生する。しかし、こいつの場合は他のアホとひとつ大きくかけ離れた点がある。
本気で、俺を殺りに来ている。
隣に座る人「ヒャハハハハハハ! もうおしまいかァーッ!? 俺はまだまだイケるぜェ!」
カフェモカ(Lサイズ)についてきたストロー。奴は音速を超える速さで突いてくる。ただのストローも、圧倒的なスピードが加われば鋭いゲイ・ボルグとなる。見えない。ストローの動きがまったく見えない!
ブシュウ!
隣に座る人「ケケケ! 防御を崩し、左の眼球に1000ダメージィィ!」
俺「ぐおおッ! 俺の目が、俺の目が!」
隣に座る人「悔しかったら反撃してみろォォォォ! オラ、フォーク貸してやっからよ。俺の目玉も突いてみろッてんだギャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
俺「その必要はない」
隣に座る人「臆したか? ゴミが」
俺「すでに、お前は負けている。目を抉り、勝ち誇った時点でな」
隣に座る人「なぁ~にィ~?」
ガシッ
警察「暴行罪の容疑で現行犯逮捕! 通報があってね。ストローを振り回す暴漢がいると」
隣に座る人「なっ……!」
まぁそんなこんなで、俺は片目を失った。病院でパイナップルみたいな形の眼帯をもらった。眼帯の裏側はゲロで汚れていた。誰のゲロ? ああ、飼い猫が毛玉と一緒に吐いてね。
ざけんじゃあねーぞヤブ医者が。傷口から細菌が入ってウジュルウジュルしたらどうすんだクソが。俺の細胞は働かねぇ。ひたすら傍らで嗤い続けるだけさ。クッソ、左目の邪気眼が疼くぜ。こいつの名前はパブロ・ピカソ。闇に飲まれ龍となった画家。
あのね、あのね、我輩の趣味は積み木を積んでそれをぱーんち!☆ どんがらがっしゃーん きゃー! 家が倒壊したーッ! 誰か助けてー! なんか知らにゃいけど家がブッ壊れちゃったのおおおおお! ふええぇ~ん!(爆)
俺「フッ……こんなものだろう」
俺はノーパソを閉じて、運ばれてきたシェフサラダを口に運んだ。真夜中のサイゼリヤ。幸せだ。昼間は酷い目にあったが、今こうして筆を進めることができている。
???「やっと見つけましたよ。あなた、俺屑(アン・シエ)さんですね?」
俺「だったらなんだ」
???「誠に申し訳ないのですが、少しばかり死んでいただけますでしょうか」
俺「あ?」
ぐるん。世界が回った。首に強烈な一撃。ボキリ。木の幹をへし折ったような、気味の悪い音。狭まる視界。遠のく意識。
え……? まさか俺、死んだの?
β「フン、αがやられたと聞き警戒したが、所詮は人の身。私の敵ではなかったか」
見える……見えるぞ……バカでかい広辞苑を持った、詰襟のクソガキ……。
β「私の広辞苑は、5兆8000億カラット。硬すぎてヒィヒィ鼻血が出るレベル。こいつに殴られたら、骨折どころではすまない。Ωをブチのめした時に実証済みだ」
武器の説明か。間抜けな野郎だ。
β「どれ、頸骨が折れているか確認しよう」
βが近づいてくる。今度こそ広辞苑で頸骨を叩き折るつもりだろう。絶対絶命。けれどそれは、見方を変えれば大きなチャンスにもなり得る。例えば……
ガシッ
β「ゲッ!」
俺「こんな風に、敵の首も掴める」
β「き……さ……ま……まだ、生きて……」
俺「いいクラッキングだったぜ。首の痛みも取れた。整体師に転職しろよ」
β「が、あ、あああ……!!!」
ゴキリ
β「」
俺「せーの」
ドゴォン!
壁をぶち破る。サイゼリヤは58014階にあるので、まぁ落ちたら骨折どころではすまない。地獄行きだ。
俺は生まれて初めて、人をこの世から追放した。ただSSを書いているだけなのに、やたら俺の周りには厄介事が集まるんだ。
3900垓8580京3250兆9621億7826万4621次元の人間が、俺の家を訪ねてきた。3900垓8580京3250兆9621億7826万4621次元から来た客は実に平べったく、ふやけたせんべいみたいな奴だった。
俺が3900垓8580京3250兆9621億7826万4621次元から来た理由を問うと、3900垓8580京3250兆9621億7826万4621次元の人間は3900垓8580京3250兆9621億7826万4621次元が嫌になり、3900垓8580京3250兆9621億7826万4621次元を抜け出して地球へきた。そしてもう3900垓8580京3250兆9621億7826万4621次元のことは忘れたい。3900垓8580京3250兆9621億7826万4621次元など聞きたくもない。3900垓8580京3250兆9621億7826万4621次元であることに誇りすら感じない。
そんな話を滔々と話してきた。見た目がせんべいなので、笑いを堪えるので精一杯だった。俺は3900垓8580京3250兆9621億7826万4621次元人間にあだ名を聞いた。3900垓8580京3250兆9621億7826万4621次元ではあだ名は存在しないらしい。しかし3900垓8580京3250兆9621億7826万4621次元人間は3900垓8580京3250兆9621億7826万4621次元人間であるのをやめたい。なのであだ名をつけてほしいと平謝りしてきた。
俺はそいつを蹴飛ばして追い出した。
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