前世で評価される話 (10)
自分の前世書を思い出す度に憂鬱になる。
有名大学を卒業して、大手商社に入社。美人の妻を迎え、子宝にも恵まれた。
世間で言う、立派な人生ってやつだ。僕には些か荷が重い。
今生の僕はそんな大層な人間ではない。中高生の頃は周りに馴染めずに学校を休みがちだったし、勉強だって得意じゃなかった。運動神経も容姿も、人並みよりは劣っていると自認していた。
それなのに僕が推薦で一流大学に入れたり、就職活動を始めてすぐに大手商社に内定をもらえたのは、前世書のおかげに他ならない。
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