モバP「オネエと姉御」 (67)

【まえおき】

※Pがオネエです。

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モバP「薫ちゃんが頑張ってくれたおかげで、お仕事も早く終わったわね」

龍崎薫「かおる上手にできてたよね♪」

P「うんうん、出来てたわよ。だから、そんな薫ちゃんにはご褒美をあげたいと思いまーす」

薫「わー! なになにー?」

P「アイス買ってきていいわよ。はい、これお駄賃ね」

薫「やったー! アイスアイスー!」

P「あ、薫ちゃん。レシートは忘れずに貰ってきてちょうだいね」

薫「はーい、いってきまー!」


ブォンブォンブォン…

P「……あら、バイクの集団かしら?」

P(こんな真昼間からとは、最近にしては珍しいわね)

P「……ん?」


向井拓海「……」ブォンブォン

P「へー……屈曲な男どもを束ねてるのは女の子なのね」

P(うんうん、なかなかいい素材じゃないの。久々に口説きたくなっちゃった)


拓海「よーしオマエら。一旦休憩にすっぞ」

舎弟A「ウッス!」

舎弟B「トイレいきてー」

舎弟C「俺も俺もー」



拓海「……オイ。何だテメエは?」

P「いいバイクに乗ってるわね。ゼッツーかしら?」

拓海「新手のナンパか? そういうヤツはお断りだ」

P「やぁん、あっさりフラれちゃった」シクシク

拓海「嘘泣きなのバレバレなんだよ」

P「あら、あっありばれちゃった」ケロッ


拓海「男なのか女なのかよく分かんねえヤツだな」

P「生物学上は男よ」

拓海「ハァ……?」

P「ほら。今流行ってるでしょ、二刀流って?」

拓海「……で?」

P「私は男性と女性の二刀流よ♪」

拓海「うるせーよ」


薫「せんせぇー! アイス買ってきたよー!」

P「あら帰ってきたわね。それじゃ、また」

拓海「次はねえだろよ」

P「どうかしら? 不思議と貴女とは会えそうな気がするのよね」

拓海「ハン、勝手に言ってやがれ」

P「ふふっ。じゃあね、特攻服のお嬢さん」

薫「ばいばーい!」フリフリ

拓海「……」フリフリ


拓海「……何だアイツ。ワケわかんねえ」


【数日後】

拓海「……喉乾いたな。コンビニでも寄るか」



<ピンポンピンポーン

店員「ラッシャッセー」

拓海「えーと、飲み物飲み物……げっ」


P「あらやだ。また会ったわね」

拓海「……何でテメエがいるんだよ」

P「付添いの子がトイレに寄りたいって言ったからよ」

拓海「またあのガキの子守りしてんのかよ」

P「あの子、ああ見えてウチの売れっ子なのよ?」

拓海「売れっ子……だぁ?」


薫「せんせぇ、おまたせー……あー、この間のおねーちゃんだー!」

拓海「コイツが売れっ子……信じられねえんだけど」

P「まぎれもない事実よ。ウチの事務所で一番お仕事貰ってるもの」

拓海「事務所?」

P「ああ、言ってなかったわね。私、アイドル事務所でプロデューサーしてるの。そしてこの子は」

薫「かおる、アイドルでーっ!」

P「薫ちゃん、ちょっとボリュームさげてね」

薫「はーい」


薫「あ、そーだ! おねーちゃんにこのワッペンあげる!」

拓海「ワッペン?」

薫「はい! かおるとおそろいのひまわりのワッペン!」

拓海「……オイオイ、この特攻服のどこにつけろってんだよ」

P「あら、特攻服の内側につけておくのもなかなかオツだと思うわよ。向日葵のような心意気、ってね」

拓海「……まあ、もらっとくか。えーと……薫、だったか? サンキュな」

薫「どういたしましてーっ!」


P「それじゃあ事務所に戻り……あ、そうだ。これ渡しておくわね」

拓海「何だコレ……名刺か?」

P「そうよ。事務所の住所も書いてあるから、気が向いたら来てちょうだいね♪」

薫「待ってるよーっ!」

拓海「ヘイヘイ、気が向いたらな」

P「それじゃあ、またね」

薫「ばいばーい!」フリフリ

拓海「おー」フリフリ




拓海「……せっかく貰ったし、付けるか」

拓海(名刺は……ポッケにでも入れとくか)







舎弟A「あれ拓海さん、アイロンなんて持ってきてどうしたんすか」

拓海「このワッペンつけんだよ」

舎弟B「へー、向日葵のワッペンなんて意外っすね。拓海さんの趣味っすか?」

拓海「ちげーよ、貰いモンだ。ガキから貰ったんだよ」プシュー

舎弟A「わざわざつけてあげるなんて優しいっすね」

拓海「……捨てるのもワリィって思うしな。よし、出来た」

舎弟B「……裏地に向日葵ってのも悪くねえっすね」

拓海「……意外と出来栄えが悪くねえな」


舎弟C「姐さん、大変です!」

舎弟A「どうした、そんなに慌てて入ってきやがって」

舎弟C「それが……Dの奴がチンピラどもに襲われて重傷なんです!!」

舎弟B「ンだと!? それで、Dはどうしたんだ!!!」

舎弟C「病院で手当てを受けてます。チンピラどもは近くの公園でまだタムロしてやがります!」

拓海「……行くぞ。オイ、アタシのバンテージ持ってこい」

舎弟A「はい、わかりました!」

拓海「アタシの仲間に手ェ出す奴は……容赦しねえぞッッッ!!!」


【公園】

チンピラB「いやー、しっかし兄貴も容赦ないっすねー」

チンピラC「頭から血ダラダラでしたよ、あの特攻服のヤンキー」

チンピラA「あの位やっておいてわからせてやらねえとな」

チンピラB「魂のフルスイングでしたね。よっ、さすが!」

チンピラA「…………おい、誰だお前ら」


拓海「テメエらか? ウチの舎弟に手ェ出した奴らは」

チンピラB「何だこの女!?」

チンピラC「輪姦(まわ)されたくなかったらとっとと失せろや!!!」

拓海「……ハ。テメエらみてえなドグサレなんざ願い下げだ」

チンピラA「……女がリーダーとは、ずいぶんしょぼいグループなんだな」

拓海「しょぼいグループかどうか……試してみるか、オラ?」


チンピラA「……テメエの頭もカチ割ってやらぁ!!!」ブンッ

チンピラB「行った―! 兄貴のフルスイングだ!」

チンピラC「終わりだぜあのクソ女!」


パシッ

拓海「……オイオイ。こんな腰の入ってねえスイングがフルスイングだと?」

チンピラA「えっ……」


拓海「テメエの頭もコイツでカチ割ってやってもいいが、ケンカに武器を持ち込むのはアタシの趣味じゃねえ」

チンピラA「ああん…?」

拓海「素手喧嘩(ステゴロ)でぶっ飛ばしてやらぁ。かかってきやがれ」チョイチョイ

チンピラA「挑発しやがって……後悔させてやらァ!」ブンッ

拓海「……遅ェ!!!」


ゴシャッ


チンピラA「あ、あが、あう……」ドサッ

チンピラB「あ、兄貴が……ワンパンで」

チンピラC「め、めちゃくちゃ強えぞこの女!」

拓海「オイ、テメエら」ギロッ

チンピラB「ヒッ!」ビクッ

拓海「目障りなんだよ。とっとと失せろや」

チンピラC「ひいいっ! お、覚えていやがれー!!!」


バタンッ

ブロロロロr…

舎弟A「さすが姐さん!」

舎弟B「一発でぶっとばしちまうなんて!」

拓海「……オマエら、今日はさっさと帰れ」

舎弟C「はい、わかりました!」

「「「お先に失礼しまーす!」」」

拓海「オウ」


拓海「……ったく、胸糞悪ィな。どこのどいつなんだアイツらは……」


【病院】

拓海「頭は大丈夫だったか?」

舎弟D「はい、医者からも問題ないって言われました。しばらくは入院ですけどね」

拓海「ったく……心配したんだぞ?」

舎弟D「へへ、すいません。でも頑丈さだけには自信ありますから!」

拓海「もっと腕っぷしを鍛えろってんだ」


拓海「そもそも何で襲われたんだよ」

舎弟D「向こうの連中に一方的に難癖つけられたんすよ」

拓海「……」

舎弟D「もしかしたらアイツらのバックは、やべーのがいるかもしれないっす」

拓海「……わかった、気には止めとく」

舎弟D「お願いします」

拓海「ンじゃ、お大事にな」

舎弟D「ありがとうございます!」



カツカツカツ…

拓海「バックにヤバイ奴……ねぇ」

拓海(まさかどこかの組……いや、まさかな)

拓海「しばらくは大人しくしとかねえと、やっかい事に巻き込まれるかもな」


ウィィィィン

拓海「……おい、誰だテメエら?」


黒服A「向井拓海で、間違いないな?」

拓海「だったらなんだってんだ」

黒服B「お前の部下を拘束してある。こっちに来い」

拓海「ハァ? 何言ってやがんだ」

黒服A「さっさとしろ」

拓海「うっせえな、指図すんじゃね……ッ!!!」


舎弟A「んー! んー!」

舎弟B「もがー! もがー!」

拓海「オマエら!!? どうしたんだよ一体!?」


幹部「私たちと一緒に来てもらおうか。向井拓海」

拓海「……誰だテメエは」

幹部「君がこの間ぶん殴ってくれた奴の上司だよ」

拓海「アイツの……!」

幹部「あの男はね、ああ見えても私の優秀な部下なんだよ。まあ、たまに余計な喧嘩を売ったりするけどね」

拓海「それはソッチから手出してきたからだろうが!?」

幹部「彼ね、顎を粉砕骨折したってさ。モノも食べれない状態だから流動食でなんとかしてる状態なの」

拓海「……だったら何だってんだ」

幹部「まあ、簡単に言えばだね。君に清算してもらおうと思って」

拓海「誰がンなことをッ!」


幹部「君が素直についてこないなら、この舎弟二人がどうなってしまうことやら…」

拓海「……テメエッ!!!」ギリッ

幹部「逆に、君が素直についてきてくれるのなら……彼らの身の安全は保障しよう」

拓海「……アイツらには手ェ出さねえんだな?」

幹部「約束しよう」

拓海「わかった。アタシを連れてけ」

舎弟A「んー! んー!」フルフル

拓海「心配すんな。大丈夫だから」


幹部「さあお前たち。二人の拘束を解いてやれ」

黒服A「ほら、さっさとどっか行け」

舎弟A「ぷはっ!? この野郎、いい加減にしやがれ!」

拓海「やめろ!!!」

舎弟B「!」ビクッ

拓海「アタシは大丈夫だ。そんなヤワじゃねえよ……お前らはさっさと行け」

舎弟A「でも…!」

拓海「アタシは天下無敵の特攻隊長、向井拓海さまだぜ? こんなのヘでもねえよ」


拓海「オラ、乗ったぞ。さっさと車出せや」

黒服B「では行きます」ブロロロロ

ブゥゥゥゥン…


舎弟A「くそっ……」

舎弟B「拓海さんが拉致られちまった……」


舎弟A「どうにかしてアイツらを追わねえと!」

舎弟B「……俺らが行っても何の意味もねえよ。ヤクザモンだぞアイツら」

舎弟A「じゃあ指咥えて待ってろって言うのかよ!?」

舎弟B「だから別の方法を考えるんだよ!」

舎弟A「他の方法って……ん、何だコレ?」

舎弟B「名刺……?」


舎弟A「拓海さんのポッケから落ちたんじゃねえのか」

舎弟B「事務所の住所……!」ダッ

舎弟A「おい、どこ行くんだよ!」

舎弟B「俺達でグダグダしてても仕方ねえだろ。賭けるしかねえ!」

舎弟A「おい、待てよ!」ダッ





P「うーん。そろそろ休憩にしましょうかしら」

千川ちひろ「お茶淹れてきますね」

薫「かおるも飲みたいー!」

村上巴「うちも一杯貰おうかのう」

P「ちひろちゃん、4人分お願いしていいかしら?」

ちひろ「はーい、わかりましたー!」


P「はぁー……落ち着くわね」

巴「しかしPの買ってきたせんべいは上手いのう」ボリボリ

P「でしょ? これ、テレビ局の人からオススメされたやつなの」

薫「おいしい!」

巴「茶にもよく合う……」ズズズ

P「やっぱりお茶には煎餅よねぇ……」ボリボリ


<バタン!

ちひろ「きゃっ! ど、どちら様ですか!?」

舎弟B「ここのプロデューサーって奴は誰だ?」

P「プロデューサーなら私だけど」

舎弟A「アンタが最近名刺を渡した女のことを覚えてるか?」

P「ええもちろん。あんな上玉の女の子を忘れるものですか」

舎弟B「頼む! 助けてくれ!」

P「……何かやっかい事に巻き込まれたのね?」

舎弟A「ああ……拓海さんが拉致られちまった。それもとびきりヤベエ奴らに」


P「……そいつらの特徴、覚えてる?」

舎弟B「一人は高そうなスーツのグラサン、もう二人は黒いスーツだった」

舎弟A「黒塗りの高級車に乗ってやがった」

P「……オーケー。それだけわかれば十分よ。ちひろちゃん、いいかしら?」

ちひろ「はい」

P「……午後の予定変更。帰社時間の所、19時に変えてもらっていいかしら?」

ちひろ「わかりました。目的はどうしておきますか?」



P「スカウト活動。そう書いておいてちょうだい」


P「さて、これだけトランクに入れておけば大丈夫ね」

舎弟A「な、なあ! 俺達にも手伝わせてくれ」

P「ダメよ。貴方たちは帰りなさい。足手まといにしかならないわ」

舎弟B「……わかった。拓海さんを頼む」

舎弟A「おい! なんでそう薄情なんだよお前は!!」

舎弟B「弱いやつが行っても足手まといにしかならねえんだよ」

舎弟A「ぐっ……!」

P「安心しなさい。必ず五体満足の状態で連れて帰るから」

舎弟B「頼みます」

舎弟A「……頼む、拓海姐さんを助けてくれ」

P「任せときなさい。私、バッドエンドは嫌いなの。それじゃあね」



ブォォォォォン…

P「さーてと……マキノちゃん、泉ちゃん、聞こえるかしら?」

八神マキノ『聞こえてるわ』

大石泉『こっちも聞こえてるよ』

P「位置情報を教えてもらえるかしら?」

泉『……首都高速湾岸線を移動中』

マキノ『行先はおそらく横浜港ね』

P「ベッタベタな場所ねぇ……いかにも拉致って感じね」


泉『ねぇ、プロデューサー』

P「なぁに?」

泉『今から救出に行くのって、どんな子なの?』

P「そうねぇ……気が強くて、髪が長くて、強いんだけど……脆い子かしら」

マキノ『ツンデレなのかしら…』

P「多分そうね。間違いないわね」

泉『ツンデレか…』

P「貴女たちとはキャラが被らないから安心してちょうだい♪」




ブロロロロ…

キキッ! バタン

P「さーてと。ここに居るのね」

マキノ『第6倉庫から例の少女の反応有り』

P「第6ね。了解」

泉『プロデューサー……無事で帰ってきてね』

P「お土産も持って帰るわ」


P「どうも~、こんばんはー♪」

黒服A「誰だお前は」

黒服B「こんな所で何をしている?」

P「私の知り合いがちょっとここに遊びに来てるってk」スッ

黒服A「動くな」チャキッ

黒服B「撃つぞ」チャキッ

P「……あらやだ。冗談も言わせてもらえないのかしら」ピタッ


P「ちょーっとそこを通してほしいのだけど」

黒服A「誰に頼まれて来たかは知らんが帰れ」

黒服B「そこから一歩でも動いたら撃つ」

P「……じゃあ、交渉決裂ね」

スタッ

黒服A「!」カチャ

P「おやすみなさい」




パァン



ドサッ


【第6倉庫】

幹部「強情なのが玉にキズだが、上玉という言葉すら霞むほどの女だな」

拓海「……」

幹部「風俗に売り飛ばせば、あっという間に富を生むだろうに」

拓海「誰が娼女になんかなるかよ。ふざけんじゃねえぞグラサン野郎!」

側近「おい、なんて口をきくんだ!」

幹部「ふふふ。この状況でそんな口がきけるとは本当に気の強い女だ」


幹部「まあ別に……風俗に売り飛ばす必要があるわけではないのだがな」

拓海「……」

幹部「病院送りにした分の落とし前を支払う手段があるのなら構わんが……君にそんなものはないだろう?」

拓海「ぐっ……」

幹部「ならばその肢体をもって支払ってもらうのは、合理的だと思うがね?」

拓海「このヤロォ……!」


ガラガラガラ…

P「よいしょ、よいしょ……この扉結構重いわね~」



拓海「アンタは……!」

側近「誰だ貴様は!?」チャキッ

幹部「待て。銃口を下せ」

側近「えっ!?」

幹部「貴様、どうやってここにたどり着いた。外に見張りが十数人居たはずだが」

P「ああ、あの子たち? ちょっと『おねんね』してもらったわ」

側近「おねんねだとぉ? 何をバカなことを」

幹部「……なるほど」


幹部「目的はこの女か」

P「そうよ。その子は私が先に目をつけてたのよ? 勝手に連れてってもらっちゃ困るわ」

幹部「そうか。それは失礼した」

P「それじゃあ、交渉の時間にしましょうか。その子を返してちょうだい」

幹部「……対価は?」

P「入院に追い込まれたチンピラの治療費、全額支払うわ。それでどう?」

幹部「成立だな。ちなみに治療費は130万だ」

P「ちょっと待ってちょうだい。ひーふーみー……これでいいかしら?」

側近「…………確かに130万、丁度だな」


幹部「よし。その女は解放してやれ」

側近「ほら、さっさと行け」シュルッ

拓海「……よくもやってくれたなこの野r」

P「はいストーップ。気持ちは分かるけど抑えなさい」ガシッ

拓海「何しやがんだ!?」

P「それじゃあさようならー♪」

拓海「オイ、腕引っ張んじゃねえよ!」ズルズル


ガラガラガラガラ

バタン



側近「……よかったんですか? あっさり解放してしまって」

幹部「構わん。あの女、思ったよりもヤブヘビだったようだ」

側近「……ヤブヘビ?」

幹部「ああそうだ。今後はあのグループには手出しするな。全員に通達しておけ」

側近「はぁ……わかりました」


ブロロロロロ…

拓海「……オイ」

P「どうしたの?」

拓海「何でバカ正直にカネ払ったんだよ」

P「貴女を守るためと、貴女の舎弟君たちを守るためよ。これでもうあいつ等は手出ししてこない」

拓海「何でそう言い切れる?」

P「そうねぇ……オネエの勘、って奴かしら」

拓海「……ホント食えねえ奴だなアンタは」

P「少しくらいミステリアスな方が魅力的でしょ?」

拓海「ハァ……わかったよ、もう。そういうことでいいよ」


ブロロロロ…キキッ



P「さあ、ウチの事務所に着いたわよ。降りてちょうだい」

拓海「……思ったより小せえな」

P「小さくても、案外いいものよ? 住めば都、って感じかしら」

拓海「ふーん……」


ガチャ

P「ただ今戻りましたー♪」

拓海「……」

ちひろ「おかえりなさい、プロデューサーさん」

薫「おかえりなさーっ!」

P「あら薫ちゃん、まだ残ってたの?」

ちひろ「プロデューサーさんのことが心配だって、ずっと待ってたんですよ?」

薫「そうだよー?」

P「あらあら、心配かけてごめんね」


拓海「……そういや、聞きたかったんだけどよ」

P「何かしら?」

拓海「アタシが拉致られたときに、どうして居場所が分かったんだ?」

P「あら、そんなの簡単よ。ほら、そのワッペン」

拓海「このワッペンがどうかしたのかよ」

P「それ、追跡機能付きの特別なワッペンだから」

拓海「……ハァ!??」


P「最初は薫ちゃんが迷子にならないようにー、って作ってもらった奴なんだけどね」

拓海「ソレを追って来たワケかよ……」

P「ご名答♪」

拓海「そういうことかよ……アタシがワッペンつけてなかったらどうするつもりだったんだよ」

P「大丈夫よ。貴女は必ずつけててくれると思ったわ。だって、優しい子だもの」

拓海「…………優しくなんかねーよ。ばーか」


P「さあ、明日もみんな仕事があるし。戸締りして帰りましょうか」

ちひろ「台所見てきますねー」

薫「かおるは電気みてくるー!」

P「じゃあ拓海ちゃん、明日からよろしくね」

拓海「オウ、任せとけ!」


拓海「ん?」


P「どうしたの?」

拓海「オイ、アタシは何を任されたんだ」

P「そりゃあ決まってるでしょ。ウチのアイドルとして活動してもらうわよ」

拓海「………………ハァァァァァ!??」

P「慈善事業で人助けしてるわけじゃないのよ?」

拓海「そ、そりゃあそうだけどよ……」

P「まさかと思うけど……130万踏み倒す気だったのかしら?」ジトー

拓海「グッ……!」

P「ちゃーんと全額支払ってもらうまでは頑張ってもらわないと困るんだから……よろしくね♪」

拓海「な、な、な」


「なんでアタシがアイドルなんだよォォォォォォ!!!!!!!?」


つづく。

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