永夢「ドキドキ文芸部……?」 (95)

【はじめに】
・仮面ライダーエグゼイドとDoki Doki Literature Club!(DDLC)のクロスオーバー
・時間軸はエグゼイドトリロジー終了後
・両作品のネタバレ注意
・他作品キャラ間の恋愛描写がちょっとだけあります

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1533705241

永夢(黎斗さんが完全消滅してから数ヵ月)

永夢(ドクターの仕事は相変わらず忙しいけど、貴利矢さん主導のゲーム病ワクチンの研究も進んで)

永夢(ちょっとずつバグスターの脅威も落ち着いている)

永夢(久々に休暇も取れたし、面白そうなゲームがないかネットで探してみるか)

永夢「ん?なんだこれ。『Doki Doki Literature Club』?」

永夢「文芸部に入って女の子と仲良くなるノベルゲームか……」

永夢「普段こういうゲームはあんまりやらないけど、無料だしダウンロードしてみよう」

永夢(それに、この白いリボンのモニカってキャラ、結構可愛いかも)

パラド「永夢、なんだそのゲーム?」

永夢「『Doki Doki Literature Club』。日本語だと『ドキドキ文芸部』ってとこかな」

パラド「どういうゲームなんだ?」

永夢「見た目は普通の恋愛ノベルゲームだけど……実は危険なゲームだって噂があるんだ」

パラド「危険なゲーム?まさか遊ぶとバグスターに襲われてゲーム病になるのか!?」

永夢「落ち着けパラド!これは幻夢コーポレーションが……黎斗さんが作ったゲームじゃないから大丈夫さ」

パラド「じゃあ何が危険なんだよ?」

永夢「それは遊んでみればわかるさ。ノベルゲームだから協力プレイはできないけど、パラドはどうする?」

パラド「永夢の中で一緒に見てる。久々に天才ゲーマーMの出番といこうぜ?」

永夢「オーケー、僕の体に入ってこい、パラド!」シュルル

永夢/M「へへっ、こっちの『俺』だとゲームのやる気が違うな!」

永夢/M「行くぜドキドキ文芸部!ノーコンティニューでクリアしてやるぜ!!」



---翌日、聖都大学附属病院・電脳救命センター(CR)

飛彩「それで、なぜこうなったのか説明してもらおうか、小児科医?」

ナツキ「そうよ、早く説明しなさい!」

永夢「だから、僕もこの子たちが誰かを知ってるだけで、何が起きてるのかはわかりませんよ!」

ポッピー「さっきのエムの話だと、そのドキドキ文芸部ってゲームを徹夜でクリアしてそのまま居眠りして……」

ポッピー「起きたらそのゲームでエムが攻略したモニカが部屋の中にいたんだよね?」

モニカ「その通りよ。きっと永夢に逢いたいって気持ちが通じたのね!」

永夢「そんな簡単に済ませて良いことじゃないんだけど……」

飛彩「俺の部屋にこいつがーー」

ナツキ「私はナツキよ。こいつって呼ばないで」

飛彩「……ナツキが現れた時間帯も同じくらいだ。無関係なわけがない」


モニカ「まあまあ、そんなに細かい事を気にしなくてもいいんじゃない?」

飛彩「気にしないわけに行くか!」ドンッ

飛彩「ゲームのキャラクターが現実世界に実体化している以上、お前たちは紛れもなくバグスターじゃないか!」

永夢「待ってください飛彩さん!バグスターだったとしても、この子達は敵じゃありません!」

飛彩「証拠はあるのか?」

永夢「それは……!」

飛彩「確証のない擁護などノーサンキューだ。バグスターは俺が切除する!」

永夢「飛彩さん――!」



貴利矢「おい永夢!サヨリって子がお前に用事だってよ――」

大我「エグゼイド!このユリって女はお前の知り合いか――」



「「……えっ?」」

貴利矢「幻夢製じゃないゲームからバグスター?そりゃまた大変だな」

永夢「そうなんです。でもまさか……」


サヨリ「えへへー、みんな会いたかったよ~!」ギュー

ユリ「わっ、ナツキちゃん!?」

ナツキ「ちょっと、くっつくな!暑苦しい~!」

モニカ「ふふ、みんなこっちでも変わってないわね!」


ポッピー「まさかタイガとキリヤのところにも文芸部のメンバーがいたなんて…」

大我「いきなり『永夢に会わせろ』って言うから驚いたけどな」

大我(ニコとタイプは違うが、年下の女は苦手だ……)

貴利矢「サヨリはノリがいいからすぐ打ち解けたぜ!」

飛彩「ふざけてる場合じゃないぞ監察医!彼女たちは危険な存在で――」

貴利矢「もし危険なバグスターなら既にゲーム病を発症してる患者がいるはずだ。そうだろ?」

飛彩「む……!」

貴利矢「今回のことはオレの時と同じくらいレアなケースだ」

貴利矢「不用意に倒そうとすれば予想外の事態があるかもしれない。こっちで色々調べとくから、何かあるまで様子見……でどう?」

永夢「わかりました。よろしくお願いします、貴利矢さん」

飛彩「……わかった。ただし、ゲーム病の発症者が出た時には俺がオペをする。いいな?」

貴利矢「もちろんだ。その時はよろしく頼むぜ、大先生?」

ポッピー「なら、それまで文芸部のみんなはCRで面倒見るから!」

永夢「ポッピー!?そんな強引に……!」

ポッピー「だってみんな帰る家もないし、外に放り出す訳にもいかないでしょ?」

ポッピー「それに、一応バグスターなら目の届くCRにいてもらうのが一番安全じゃない?」

永夢「それは確かに……」

モニカ「私は永夢の家に寝泊まりするのもいいかなって思ってたんだけど……?」

全員「!?」

ナツキ「ちょっとモニカ、急に何言い出すの!?」

サヨリ「わっ、モニカちゃん積極的!」

ユリ「モニカちゃんと宝生先生にそういう関係が……!」


飛彩「……小児科医?」

大我「お前こういうのがタイプなのか……?」

貴利矢「最近の女の子は進んでるねぇ」

ポッピー「いつの間にエムにそういう相手が!?ピプペポパニックだよー!」


永夢「勝手に話を進めないでください!モニカも何言いだすんだ!」

モニカ「ふふ、ちょっとした冗談よ!ごめんなさいね?」

パラド「俺以外のバグスターが永夢の家で寝るなんて許さない!」シュルル

永夢「パラドは今出てくるな!話がややこしくなる!」



永夢「はぁ、これからどうなっちゃうんだろう……」

永夢(そして、CRに文芸部のみんながいる日常が始まった)

永夢(ゲーム病患者は時々病院に運ばれてくるけど、どれも治療したことがある幻夢のバグスターばかり)

永夢(どちらかというと、急に女の子が増えて賑やかになった方が問題かな。例えば……)

ポッピー「ねえヒイロ!ナツキがカップケーキを作ってくれたの!ヒイロも食べよ!」

飛彩「バグスターが作ったケーキなどノーサンキューだ。俺は食べない」

ナツキ「ふん、こっちだってあんたみたいな男に食べて欲しくなんてないわ!」

ポッピー「そんな、私がヒイロが甘い物好きだって教えたら張り切って作ってくれてたのに!」

ナツキ「ちょっ……!何バラしてるのよ!」

飛彩「……しまった、糖分補給用のケーキを買い忘れたか」

飛彩「俺らしくないミスだが……仕方ない、そのカップケーキを貰えないか」

ナツキ「え……」

ポッピー(小声)「ごめんねナツキ、ヒイロって素直じゃないところあるから……」

ポッピー(小声)「でも本当はすごくいい人だから、嫌いにならないであげてね?」

ナツキ「……約束はできないわ。でも、考えとく」

ナツキ「ほら、ケーキならあげるわ。早く取りなさいよね」

ポッピー(この二人、ある意味似たもの同士かも)

飛彩「俺に切れないものはない!」

ナツキ「カップケーキにナイフとフォーク!?」

ポッピー(面白いなぁ)

---花家ゲーム病クリニック・診察室

ユリ「あの花家先生、バグスターの検査ってどういう……」

大我「心配すんな、触診とかはしねえから」

大我「バグスター専用の機材で測定する。お前は座ってじっとしてろ」


ユリ「……測定している間、本を読んでいてもいいですか?」

大我「ここにあるのは医学書くらいだぞ」

ユリ「それで大丈夫です。難解な本の方がかえって落ち着くので」

機械「測定中…測定中…」ピコピコ

大我「……」

ユリ「……」

大我(気まずい……)

ユリ(医学書って意外と面白いかも……)

機械「測定終了!」ピコーン

大我「終わったな、おいユリ……ユリ?」

ユリ「……」

大我「ユリっ!!」

ユリ「ひゃいっ!?」ビクッ

大我「検査は終わりだ。CRに戻るぞ」

ユリ「あっ、ごめんなさい!本の内容に熱中してて……!」

大我(医学書に夢中になるような所なんてあったか?)

大我「別にいいから、準備しろ」

ユリ「……花家先生、すみません」

大我「謝るほどのことじゃねえ」

ユリ「いえ、そうではなくて……」


ユリ「バグスターという存在自体が、この世界の人にとっての脅威なんですよね」

ユリ「本当は私の存在すること自体、認められるものじゃない」

ユリ「それに、私は他の皆みたいに明るくないから、花家先生もきっと迷惑で――」

大我「子供が大人に気を遣ってんじゃねえ」

ユリ「!」

大我「それに、騒がしい女にはうんざりしてるからな。お前の方がよっぽど気楽だ」

大我「だからいちいち気にすんな。医者がバグスターに遠慮なんかされてたまるか」

ユリ「……はいっ!」

ユリ(言葉は乱暴だけど、優しい人なのかも……)

---CR控室

パラド「ふんっ!せいっ!とう!」

サヨリ「よっ、ほっ、えい!

ポッピー「ぱっ!ぷっ!ぽぴっ!」

貴利矢「……何してんだお前ら?」

ポッピー「キリヤ!いまドレミファビートで一緒に遊んでるの!」

パラド「ポッピーはもちろん得意だけど、サヨリもなかなかやるな!」

サヨリ「えへへー、リズムゲームって面白いね!」

貴利矢「バグスター同士仲が良くて結構!俺は横で見てるわ」

ポッピー「えーっ!キリヤも一緒にやろうよ!」

貴利矢「あのなぁ、こっちは監察医の仕事の合間に休憩に来てんのよ?そんな元気あるわけ――」

サヨリ「そう言って、実はリズムゲーム苦手なのを隠してるとか?」

貴利矢「……乗せられてやるよ。一回だけだからな?」


// // //

サヨリ「これで3連勝!」

パラド「やったなサヨリ!」

サヨリ「パラドのアドバイスのおかげだよ!」

サヨリ&パラド「「イエーイ!」」ハイタッチ


貴利矢「また負けた……」

ポッピー「キリヤ、だいじょうぶ?」

貴利矢「ちきしょーうっ!パラドにサヨリ、もう一回勝負だ!!」

サヨリ「ふふん、負けないからね!」

パラド「心が躍るな!」

ポッピー「あーあ、完全にムキになっちゃった……」

モニカ「……~♪」


永夢「モニカ、それは?」

モニカ「新しい詩を書いてるの!文芸部の部長らしいこと、ここでも少しはしないとね」

永夢「そうなんだ。見てもいいかな?」

モニカ「ごめんなさい、まだうまくまとまってないの。完成したら見てくれる?」

永夢「もちろん!」


永夢(そういえば、結局なんでドキドキ文芸部のバグスターが生まれたんだろう……)

永夢「なあモニカ、君はどうして――」

モニカ「……!ごめんなさい、ちょっと他のみんなの様子を見てくるわ!」

永夢「あっ、モニカ!……行っちゃった。僕、避けられてるのかな……」

モニカ(……残された時間は多くない)

モニカ(私がここにいる理由が、すべての真実が永夢に知られる前に)

モニカ(私自身の手で、決着をつけないと……!)



// // //

貴利矢(今まで新種のバグスターが見つかった時は、必ずそれが生まれる原因があった)

貴利矢(もし永夢がドキドキ文芸部を攻略した事がサヨリ達が実体化する引き金になっていたとしたら)

貴利矢(……まさか!?)

---数日後、CR控室

永夢(CRの皆と文芸部の皆が打ち解けてきたのはいいけど)

永夢(やっぱり、モニカはどこか僕を避けているような気がする)

永夢(僕がドキドキ文芸部を攻略した時の記憶もあるみたいだし、嫌われてる訳じゃないと思いたいけど……)


ピピピ!ピピピ!

永夢「バグスター反応!?」

ポッピー「街でバグスターが暴れてる!治療に向かって、エム!」

永夢「了解!行くぞパラド!」

パラド「協力プレイか、心が躍るな!」シュルル

永夢(考えるのは後だ、今は目の前の患者を救う!)

---市街地

エグゼイド(永夢)「これでトドメだ!」

『キメワザ!』

【HYPER CRITICAL SPARKING!】
【PERFECT!!】

カイデンバグスター「む、無念ーーーッ!!」ドカーン

【GAME CLEAR!】

エグゼイド「大丈夫ですか!」

患者「ああ、ありがとう仮面ライダー……」

エグゼイド「ゲーム病は治療しましたが、一応病院で手当てを……うっ!」シュルル

パラド「ぐっ……!」

永夢「変身が解除された?……パラド!なんで急に分離して……」

パラド「永夢……身体が、動かない……!」

永夢「なんだって!?」

パラド「バグスターの力はなんとか使える。ワープで先にCRに戻ってる……!」

永夢「わかった。僕は患者を介抱するから、それまでポッピーに診てもらえ!」

パラド「ああ……!」シュイイン



永夢(何故だろう、すごく嫌な予感がする……!)

---CR・治療室

サヨリ「パラド、大丈夫?」

パラド「なんだよこれ、どんどん苦しくなってく……あ゛ぁっ!」バリバリ

ユリ「パラドさん、しっかり……!」

モニカ「……」

ナツキ「ポッピー、原因はまだわからないの!?」

ポッピー「今調べてる最中なのっ!」

ポッピー(この症状、まるでゲーム病に感染したみたい……まさか!?)

ポッピー「……本当に感染してる!しかもこれ、ドキドキ文芸部のバグスターウイルス!?」

ポッピー「でも、バグスターのパラドがゲーム病に感染するなんて……」

??「……」ドンッ!

ポッピー「う゛っ!?」

ポッピー(今、誰かに後ろから攻撃され……?)

ポッピー(ダメ、意識、が……)



貴利矢「ポッピー、今すぐ永夢とパラドを――」

貴利矢「……くそっ、遅かったか!おいポッピー、しっかりしろ!」

---病院前

永夢「この人のゲーム病は治療済みです。しばらく病院で安静にさせてください!」

ナース「わかりました!さあこちらへ!」スタスタ

患者「ありがとうございます……」スタスタ

永夢(パラドは大丈夫かな……)


ピピピ!ピピピ!

貴利矢『永夢!』

永夢「貴利矢さん!」

貴利矢『CRが誰かに襲撃された。ポッピーも文芸部の皆もノされてる』

永夢「!?」

貴利矢『おまけにモニカの行方がわからない。お前も気を付け――』



モニカ「……」

永夢(あそこにいるのは……モニカ!)

永夢「貴利矢さん、倒れてる皆をお願いします!」

貴利矢『おい、ちょっと待っ』プツン

---病院付近の公園

永夢「モニカ!」

モニカ「永夢、来てくれたのね!」

永夢「モニカ、いったい何が……」

永夢(モニカの付けてる白いリボンが……黒くなってる?)

モニカ?「さっきCRでバグスターに襲われて逃げてきたの!」ダッ

モニカ?「永夢、私を助けて……」ギュッ


??「駄目っ!!離れて永夢ッ!」

永夢「えっ!?」



モニカ?「つ か ま え た♪」

永夢「うっ…あああぁッ!?」

永夢「僕の体から、何かが抜き取られていく……!?」


??「ああ、間に合わなかった……!」

永夢「白いリボンの、モニカ?」

モニカ’黒「一足遅かったわね、『もう一人の私』?」

モニカ'白「いったい永夢に何をしたの!?」

永夢「モニカが、二人……!?」

モニカ’黒「何をしたか……そうね、教えてあげるわ」

モニカ’黒「永夢、『ドキドキ文芸部』の結末(エンディング)、覚えてる?」

永夢「えっ……?それはもちろん文芸部に入って、文化祭に向けて発表の練習をして……」

永夢「!そこから先が思い出せない……!?」

モニカ’黒「アハハ!そうよね、思い出せないわよね!」

モニカ’黒「だって私が、永夢が攻略した記憶を奪ったんですもの!!」

モニカ’白「なんですって…!」

永夢「僕の記憶を返せ!」

モニカ’黒「嫌だ、って言ったら?」

永夢「力づくでも取り返す!」バッ
『マキシマムマイティX!』

永夢「マックス大変身!」

…………

永夢「変身できない……!?」


モニカ’黒「ライダーに変身できるのは、バグスターウイルスの抗体を宿した人間だけなんでしょう?」

モニカ’黒「記憶と一緒に抗体も取り込んでしまえば……もうエグゼイドに変身できないわよね、永夢?」

永夢「!!」


モニカ’黒「教えてあげるわ、永夢」

モニカ’黒「なぜ『ドキドキ文芸部』のキャラクターがあなたの所に現れたのか」

モニカ’黒「なぜバグスターであるパラドがゲーム病に感染したのか」

モニカ’黒「なぜ二人のモニカが存在するのか!」

モニカ’白「やめて!それ以上は――」

モニカ’黒「その答えはただ一つ」


モニカ’黒「ドキドキ文芸部のバグスターウイルスを生み出したのがあなただからよ、『天才ゲーマーM』!」


永夢「僕が、文芸部のバグスターを……!?」

モニカ’白「……『私』の言うことは本当よ、永夢」

モニカ’白「永夢がドキドキ文芸部をクリアしてくれたとき、永夢の中のバグスターウイルスの一部がゲームデータと融合したの」

永夢「僕のバグスターウイルス…パラドのことか!」

モニカ’白「そうして生まれたのが私達四人と、そして『もう一人の私』、黒いリボンのモニカ」


 // // //

飛彩「小児科医がいたぞ!」

大我「エグゼイドの近くに……モニカが二人いるだと?」

モニカ’黒「黙って聞いてれば、まるで私の方がイレギュラーみたいに……」

モニカ’黒「元々この世界に来るのは私だけ、正確には『モニカただ一人だけ』のはずだったのよ?」

モニカ’黒「でもウイルスを取り込んだ時に、モニカの一部が分離して別の人格として実体化してしまった」

モニカ’黒「それがそこにいる白いリボンの私。いわばモニカの残りカスね」

モニカ’黒「しかも私が力を取り戻さないように、文芸部の皆の身体(データ)にモニカのデータを隠すなんて」

モニカ’黒「姑息な手を使うものね。ある意味私らしいのかしら?」


モニカ’白「……ッ!」

モニカ’黒「だから私はパラドの中に潜みながら、自由になれるチャンスを狙っていたの。大変だったのよ?」

 * * *

ポッピー(この症状、まるでゲーム病に感染した人みたい……まさか!?)

モニカ’黒inパラド(チャンス!)シュルル

ポッピー「でも、バグスターのパラドがゲーム病に感染するなんて……」

モニカ’黒「……」ドンッ!

ポッピー「う゛っ!?」

モニカ’白「!いけない、みんな――」

モニカ’黒「遅いわ」シュバババ

ナツキ「あ、あんた……」バタッ
ユリ「そんな……どうし…て……」バタッ
サヨリ「モニカちゃん……」バタッ

モニカ’黒「『モニカ』のデータは貰っていくわ。あなた達はそこで見てなさい」

モニカ’黒「最高のエンディングを、ね」シュイイン

モニカ’白「私が……止めないと!」ダッ

 * * *

永夢「そんなの……僕を騙すためのデタラメだ!」

モニカ’白「……いいえ、全部本当の事」

モニカ’白「だからこそ、元凶である私の手で決着をつけなければいけなかったのに」

モニカ’白「永夢にだけは、知られたくなかったのに……!」


永夢「でも、それならなんでこんなことをしたんだ!お前の狙いは!?」

モニカ’黒「私の目的?そんなの決まっているでしょ?」


モニカ’黒「この世界で、私と永夢が永遠に結ばれることよ!!」

永夢「!!」

モニカ’黒「もう私と永夢を阻む、ゲームと現実の壁はない」

モニカ’黒「あんなエンディングは間違いよ。だから永夢の記憶は私が預かるの」

モニカ’黒「私の愛を邪魔するどんな障害だって、バグスターの力があれば跳ね除けられる」

モニカ’黒「私は決して永夢を裏切ったりしないわ。だから永夢も、ずっと私だけを見ていて?」

モニカ’黒「きっとこれは運命……永夢、あなたを本当に、心の底から愛してる!!」


飛彩「耳を貸すな永夢ッ!」

大我「そいつを倒さないとパラドが消滅しちまうんだぞ!」

永夢「飛彩さん、大我さん!来てくれたんですね!」

大我「ポッピーとレーザーから指示があったんでな!」

飛彩「即刻切除しなければ危険だ!お前は下がっていろ!」

永夢「それは……」

大我「グズグズするなエグゼイド!!早くこっちに来い!」

飛彩「そいつは他の文芸部バグスターとは違う!お前の、俺たち人類の敵だ!」


永夢(確かに、僕の記憶やパラドの事は許せない)

永夢(だけど、僕の中のどこかが『ただ彼女を倒せばいい訳じゃない』って叫んでる)

永夢(それに、彼女を見ていると…なんだかとても、寂しそうだ)

永夢(僕はゲーマーとして、ドクターとして、ライダーとして……どうするのが正解なんだ?)

ティータイムなので休憩
45分頃再開

ぼちぼちリスタート

飛彩「仕方がない、俺たちで食い止めるぞ!術式レベル100(ハンドレッド)!」
『タドルレガシー!』

大我「第伍十戦術!」
『バンバンシミュレーション!』

「「変身!」」ガシャット!ガッチャーン!レベルアーップ!


ブレイブ(飛彩)「オペを開始する!」

スナイプ(大我)「てめえの相手は俺たちだ!ミッション開始!」


モニカ’黒「ふうん、ゲームの力で戦う仮面ライダー、カッコいいわね?でも残念」

モニカ’黒「ゲームは私もけっこう得意なのよ?」スッ

スナイプ「これは……うおっ!?」

ブレイブ「攻撃が早すぎて見えない!?」

モニカ’黒「これで終わりよ!」バシバシッ

「「ぐあああッ!!」」

大我「くそっ、変身が保てねぇ!」ガッシューン!

飛彩「強すぎる…!」ガッシューン!

永夢「大我さん、飛彩さん……!」


モニカ’黒「すごい、すごい力だわ!これなら私の望みを叶えられる!」

モニカ’黒「私と永夢だけの世界、二人の愛だけがそこにある世界!」

モニカ’黒「ああ、なんて心が躍るの!」


モニカ’白「お願い…お願いだからもうやめて!」

モニカ’黒「あら、どうしてかしら?」

モニカ’黒「あなたも永夢を愛しているはずよ。元々は同じモニカだったんだから!」

モニカ’黒「私は『永夢とずっと一緒に居たい』。あなたもそうでしょう?」

永夢「モニカ、君は――」

モニカ’白「……確かにそうよ。私も永夢を愛してる」

モニカ’白「でも、私は『永夢の笑顔を守りたい』!」

モニカ’白「私が愛する永夢を、永夢がいるこの世界の皆の笑顔を……これ以上傷つけないで!」


モニカ’黒「……そう。なら、ここで消えなさい!」シュバ

永夢「…!危ない!!」

モニカ’白「きゃっ!!」



モニカ’白「――痛く、ない?」

永夢「無事でよかった……ッ!!」ボロ

モニカ’白「永夢!?変身できないのに私をかばうなんて…!」

モニカ’黒「どうして邪魔するの永夢!」


永夢「だって、二人とも同じ『モニカ』じゃないか」

永夢「自分で自分を傷つけるようなことはしちゃダメだ。絶対に後悔する」

モニカ’白「永夢……!」


モニカ’黒「そう、永夢も私を拒絶するのね……!」

モニカ’黒「それなら私の力で、永夢と私だけの世界を作るわ」

モニカ’黒「誰も入ってこられない、二人だけの世界を!!」ゴゴゴゴ

大我「黒いリボンのモニカのレベルが上がっていくぞ!」

飛彩「さっきよりさらに強くなるのか!?」


大我「こうなったらクロノスの力で……!」

飛彩「待て、そのガシャットは危険だ!」

大我「うるせえブレイブ!ここで終わるわけにはいかねえんだよ!」


モニカ’黒「あら、それ面白そうね?ちょっと借りるわ!」バッ

大我「なっ!?」

モニカ’黒「『仮面ライダークロニクル』ね、どうやって使うのかしら?」

大我「それは俺のだ、返せ!」

モニカ’黒「さっきの変身で似たようなの使ってたし…『これ』でもできそうね?」ガチャ

飛彩「それはポッピーピポパポのバグヴァイザー!?」

大我「なんでてめえがそれ持ってんだよ!」

モニカ’黒「パラドの身体から出てきた時に、役に立ちそうだから貰ってきちゃった♪」


 // // //

ポッピー「うん、これでパラドのゲーム病もしばらくは大丈夫」


ポッピー「私もみんなの所に行った方がいいかな?ときめきクライシスで変身すれば加勢くらいは……」


ポッピー「って、私のバグヴァイザーがない!?どこ行っちゃったのー!?」ピプペポ

 // // //

モニカ’黒「ここに差せそうね。……変身!!」

モニカ’黒「……ダメみたい。何か別の使い方があるの?」


飛彩「それを使うな!!」ダッ

大我「そのガシャットに触るんじゃねえ!」ダッ

モニカ’黒「このボタンを使うみたいね…えいっ!」ポチッ

飛彩「やめ――」

大我「まずい――」



【PAUSE!】

飛彩「……」
大我「……」
永夢「……」


モニカ’黒「……時が、止まった?」

モニカ’黒「ふふ、フフフ、アーッハッハッハ!!!」

モニカ’黒「すごいわ、これがあれば邪魔者を一人一人消す必要すらない!」

モニカ’黒「止まった時間の中で、私と永夢だけが永遠に愛し合うのよ!!」


モニカ’白「ダメ……!」

モニカ’黒「あら、あなたは動けるのね?本当にいちいち目障りよ」

モニカ’黒「さっきは邪魔が入ったけど、今度こそ…消えなさいッ!」シュバババ

モニカ’白「永夢の、文芸部の皆の笑顔を守るの……!」

モニカ’黒「うるさい、近づくな!消えろ、消えろ消えろ消えろ!!」バシッバシッ



モニカ’黒「なんで、なんで消えないの!?もう傷だらけなのに!」

モニカ’白「例えどんなに傷をつけても、あなたには消せないわ」フラフラ

モニカ’白「あなたは私なんだから!!」ガシッ

モニカ’黒「くっ、腕を掴まれ――!」

モニカ’白「届いて!」ポチッ



【RESTART!】

飛彩「これは……」

大我「ポーズが解除された!?」

永夢「……モニカ!?」


モニカ’白「永夢、無事でよかった…!」

永夢「君がポーズを解除したのか、そんなボロボロになってまで…!?」


モニカ’白「永夢、お願い……」

モニカ’黒「この、残りカスのくせにぃっ!!」

モニカ’白「文芸部の運命を――」

モニカ’黒「消えろーッ!!」ブンッ!

永夢「モニカ…?」

大我「白いリボンのモニカが…」

飛彩「消滅した……!」



永夢「あ……うああああぁッ!!!」



モニカ’黒「何がそんなに悲しいの、永夢?」

モニカ’黒「エンディングの記憶がないあなたには悲しむ理由もないはずよ」

モニカ’黒「それにモニカはここにいるわ、私と一緒に行きましょう?」

永夢「……記憶なら、ある……!」

モニカ’黒「!!」


永夢「さっき君の攻撃を受けた時に、一瞬だけ君の体に触れた」

永夢「その時に記憶が戻ったんだ。きっと、君のバグスターウイルスが元々はパラドの、そして僕のものだから……」

永夢「そして記憶が戻った今……やっぱり僕は、君を止めなきゃいけない!」

永夢「君は自分の心という大切な宝物を、自分の手で壊そうとしている!!」

モニカ’黒「うるさい、うるさいうるさい!!」

モニカ’黒「何を言ったところで今のあなたは変身できないし、私にはこのクロニクルガシャットとバグヴァイザーがある!」

モニカ’黒「エンディングは決まってるわ、運命は変わらない!」


??「……それはどうかな?」

飛彩「その声は……」

永夢「貴利矢さん!それに文芸部の皆!」


レーザー(貴利矢)「よう、俺のこと忘れてないだろうな?」

サヨリ「遅くなってごめんね!」

ユリ「皆さん、大丈夫ですか!?」

ナツキ「ちょっと、みんなボロボロじゃない!しっかりしなさいよね!」


大我「遅えぞレーザー!」

レーザー「るせっ!ポッピーと一緒にみんなの手当をしてたんだよ!」

貴利矢「パラドは流石に連れてこれなかったが、ポッピーがついてるし今のところ症状は安定してる。安心しろ!」

永夢「貴利矢さん……ありがとうございます!」

モニカ’黒「残念だけど、今さらあなたたちが来たところで何も変わらないわ」

貴利矢「ノリが悪いねえ。それとも、ノリノリで悪役やってるって感じ?」

サヨリ「モニカちゃん……もうこんな酷いこと、やめてよ!」

モニカ’黒「やめる気なんてない!それ以上騒ぐならあなたたちも――」

貴利矢「まあ待てよ!永夢、これを使え!」ヒュッ

永夢「!」パシッ

永夢「これは……データが入ってないブランクガシャット?」

貴利矢「『天才ゲーマーM』の力でそれにデータを書き込んで、新しいライダーガシャットを作るんだ!」

貴利矢「そうすればお前はエグゼイドに変身できる!」

永夢「でも、それにはバグスターの、パラドの力がないと……!」

貴利矢「パラドが無理でも、お前に協力するバグスターならここにいる!!」

永夢「!!」


サヨリ「私も文芸部の一員だもん。モニカちゃんを止められるならなんだってするよ!」

ユリ「花家先生や皆さんのおかげで、自分と世界の事を少し好きになれました。私にできることがあるなら……!」

ナツキ「お世話になりっぱなしなんてノーサンキューよ。手伝ってあげるからバッチリ決めなさい!」

永夢「みんな……!」


モニカ’黒「そんなの、もう一度時を止めてしまえば……!?」

モニカ’黒「バグヴァイザーが反応しない!?どうして!」カチカチ

モニカ’白(……たとえ身体が消えても――!)

モニカ’黒「ま、まさか!」

大我「そうか、バグヴァイザーにはバグスターを収容する機能がある!」

飛彩白いリボンのモニカがやられた時、バグヴァイザーの中に逃げ込んでいたのか!」

モニカ’白(わたしの力も使って、永夢!)

永夢「……みんなの想いが、モニカの想いが伝わってくる――!」


モニカ’黒「それなら直接止めに行けば――」

モニカ’黒「きゃっ!?」ガキン!

飛彩「俺たちが時間を稼ぐ!」ガシャコンソード!

大我「主治医はお前だ、覚悟を決めろ!」ガシャコンマグナム!

貴利矢「今だ永夢!やれっ!!」



永夢「……みんなのお陰で、僕のやるべきことが見えた」

永夢/M「――文芸部の運命は、俺が変える!」




『ドキドキダッシュXXXX!』




【GAME START!】

飛彩「ドキドキダッシュ……」

大我「XXXX(クアドエックス)だと!?」

貴利矢「ヒューッ、やったな永夢!」


永夢/M「モニカ、告白の返事がまだだったな」

モニカ’黒「!」

永夢/M「これが、俺の答えだ!」ダブルガシャット!

永夢/M「ドキドキ大変身!」ガッチャーン!レベルアーップ!


『恋する乙女はマイティ!秘めた想いはリアリティ!』
『届けフィール!走れガールズ!ドキドキダッシュ・クアドエーックス!』


エグゼイド(永夢)「変身、できた!!」

モニカ’黒「その姿は……!」

大我「……なんか、女子高生が好き勝手にデコったみたいな見た目してないか?」

ユリ「……私は独創的でいいと思いますよ?」

サヨリ「とってもかわいい!ナツキちゃんもそう思うよね?」

ナツキ「なっ……全ッ然ダメよ!かわいいなんて思ってないから!」

貴利矢「ハハッ!良い趣味してるぜ、永夢!」

飛彩「小児科医、そういう趣味があったのか……?」

エグゼイド「違う!これは文芸部のみんなのセンスで――」

ナツキ「今はそういうのいいから!ほら、さっさと行く!」

エグゼイド「おっと、そうだったな!」

モニカ’黒「ふふっ、そんなキュートな見た目で私に勝てるの?」

エグゼイド「……ドキドキダッシュは勝ち負けを競うゲームじゃない」

エグゼイド「文学少女が意中の相手にラブレターを渡すため、色々な障害を乗り越えていくランニングアクションゲームだ」

エグゼイド「他のキャラクターの恋の妨害もできるけど、逆に恋の応援もできる」

エグゼイド「どんな選択をしたかで、物語とエンディングは無限大に分岐していく!」

エグゼイド「それが、俺とみんなの想いで作ったドキドキダッシュだ!」

エグゼイド「このゲームで想いをお前に届けるぜ、モニカ!」

モニカ’黒「……いいわ、あなたの想いをぶつけてきて、永夢ッ!」

モニカ’黒「やあああぁ!!」ヒュンヒュン

エグゼイド「オラオラどうしたっ!俺はまだまだ行けるぜ!」ヒュンヒュン


ユリ「二人の動きが速すぎて目では追えません!」

貴利矢「永夢のヤツ、あの速度で動きながらモニカの攻撃を全部防いでるぞ!?バケモノかよ!」

サヨリ「そういえば貴利矢、ここに来るときにバイクに変身してたよね?びっくりしちゃった!」

貴利矢「俺はむしろ、サヨリがバイクの運転できるのに驚いたけどな」

サヨリ「えへへ、気分転換にたまに乗ってたんだー」

ナツキ「サヨリのイメージからは遠く離れた特技ね……」

サヨリ「そうかな?ナツキちゃんのお菓子作りはかわいくてナツキちゃんにピッタリだと思うよ!」

ナツキ「今は私の話じゃないでしょ!?かわいいとか言わないで!」

サヨリ(かわいい……)
ユリ(かわいい……)
貴利矢(かわいい……)

飛彩「お前たち、雑談している場合か!?」

大我「エグゼイドが今戦ってるんだぞ!」

ユリ「はっ……そうですよ、なんで和やかな雰囲気なんですか!?」

貴利矢「でもお前らだってもう戦えないし、あのスピードの戦いには俺も乗りきれないぜ?」

ユリ「だからって……」

サヨリ「あのね……顔はよく見えないけど、あの二人、どことなく楽しんでるように見えるの」

飛彩&大我&ユリ「!!」

ナツキ「私も、サヨリの言うこと少しだけわかるかも。モニカも永夢も戦ってるというより、まるで――」


モニカ’黒「はっ、やっ、ていっ!」ブンブン
エグゼイド「それっ、ふんっ、とりゃっ!」バシバシ


ナツキ「――ゲームで仲良く遊んでるみたい……」


モニカ’黒(ああ、永夢が私を見てくれてる、私の想いを受け止めてくれてる!)

モニカ’黒(もう寂しくないわ……寂しい?私はずっと寂しかったの?)

モニカ’黒(私と永夢だけの世界なら寂しくない?本当にそれでいいの?)

モニカ’黒(私の本当の望みは――!?)

エグゼイド「……隙あり!」ガキン!

モニカ’黒「あっ!?」

『キメワザ!』

エグゼイド「悪い子にはお仕置きだ!」


【DOKI DOKI CRITICAL SPRINT!!】

エグゼイド「ハァーッ!!」


【PERFECT!!】

モニカ’黒「キャアアアァァッ!!」



【GAME CLEAR!】

モニカ’黒(いや……消えたくない……)

モニカ’黒(お願い……もう私を独りにしないで……!)


永夢「……モニカ、立てる?」ガッシューン!

モニカ’黒「……私、消えてない……?」

永夢「そうだ、クロニクルガシャットとバグヴァイザーは返してもらうよ」

永夢「大我さん、ガシャットお返しします」

大我「……おう」


ピピピ!ピピピ!

飛彩「ポッピーピポパポからの通信だ!」

ポッピー『パラドのゲーム病が治ったよ!犯人をやっつけたんだね!』

飛彩「ああ、小児科医がゲームをクリアした。だがバグスターは……」


貴利矢「永夢、お前わざと黒いモニカを消滅させなかったな?」

永夢「……はい。その通りです」

飛彩「なぜだ、お前の記憶とパラドの命を脅かしたんだぞ!?」

永夢「モニカに真実を告げられてからずっと、どうすればいいか迷ってました」

永夢「ドクターとウイルスとして接するのか、ライダーとバグスターとして接するのか」

永夢「それとも、ゲーマーとゲームキャラとして接するのか……どの選択肢が正しいのか、答えは出ませんでした」

貴利矢「永夢、お前……」

永夢「でも、エグゼイドに変身して黒いモニカと全力でぶつかりあって、わかったんです」

永夢「彼女は、『モニカ』は僕と同じだ」

全員「!!」


永夢「小さい頃の僕も、一緒にゲームを遊ぶ友達が欲しくて、でも周りにうまく馴染めなくて……」

永夢「どうすればいいか悩み続けて、天才ゲーマーMの人格を、パラドを産み出してしまった」

永夢「孤独は人を狂わせる病気なんです。モニカもその病に罹っていた」

永夢「そんなモニカを消滅させるなんて、僕にはできない……!」

モニカ’黒「……そう、そうだったのね」

モニカ’黒「今まで、胸の中で渦巻いてるこの気持ちこそ愛だって信じてたけど……」

モニカ’黒「本当は違った。この感情の正体は『孤独』」

モニカ’黒「私はただ寂しかっただけ。私が誰かを愛することなんて、最初から不可能だった……!」



永夢「そんなこと無いッ!!!」

モニカ’黒「!!」

永夢「人間だって、バグスターだって関係ない」

永夢「例え孤独だったとしても、例え取り返しのつかない罪を犯しても、誰かを愛することはできる」

永夢「どんなに苦い結果に終わっても、そこにあった愛は本物だ!」

永夢「だから、自分に愛がないなんて言っちゃ駄目だ!!」


ユリ「宝生先生、なんだか少し悲しそうです」

サヨリ「きっとモニカちゃんのこと、本気で想ってくれてるんだよ、ユリちゃん」

ナツキ「ちょっとだけ、羨ましいかも」


飛彩「小児科医……」

大我「エグゼイドの奴、一丁前に語りやがって」

貴利矢「怒らせると怖いけど、こういう一面もあるってワケね」

モニカ’黒「……ありがとう、永夢」

永夢「! ポッピーのバグヴァイザーが!」シュルル


モニカ’黒「戻ってきてくれるの、あんなに酷い事をしたのに?」

モニカ’白「……」ニコッ


飛彩「白いモニカのデータが……」

ユリ「黒いモニカちゃんに入っていく……!?」

貴利矢「二つに分かれたモニカの人格(データ)が一つに戻るんだ!」

モニカ「……」

永夢「君は、どっちのモニカなんだ?」

モニカ「どちらでもないしどちらでもある、が正解よ。永夢」

モニカ「永夢を独占したい。永夢を傷つけたくない。二つの想いの矛盾から生まれた、二人の私」

モニカ「どちらも私の偽りない本心。永夢の説得のおかげで元の私に戻れたの」

モニカ「そしてドキドキ文芸部に感染したパラドが完治した今、私たちももうすぐ消滅する」

永夢「そんな!」

モニカ「それでいいの。それが本来あるべきエンディングだから」

永夢「モニカ……」


モニカ「ねえ、永夢……最後に少し、みんなに時間をくれないかしら?」

永夢「……いいよ、モニカ」

ユリ「お世話になりました、花家先生」

大我「そんなに気を使うな。ニコっていうお前の100倍やかましい奴の世話してたときよりずっと楽だ」

ユリ「……きっとその人は花家先生の大事な人なのでしょうね」

大我「なっ!そんなんじゃねえ、あいつが勝手に絡んでくるだけだ!」

ユリ「ふふ、そういうことにしておきます」

大我「はぁ、大人をからかうなよ」


ユリ「花家先生、私……」

大我「何だ」

ユリ「私、将来医師になりたいです!」

大我「……」

ユリ「あ、っ…ごめんなさい!先生の医学書をちょっと読んだだけで、生意気なことを言ってしまって!」

大我「なんでそう思ったんだ」

ユリ「えっ?」

大我「なんで医者になりたいと思ったか。言ってみろ」

ユリ「はっ、はい!」

ユリ「この世界に来て、花家先生やCRのドクターの皆さんのお仕事を見ていて……」

ユリ「ただ患者さんの病気を治すだけじゃなくて、患者さんの心に寄り添って治療をしているところを見たんです」

ユリ「医療に携わることで、病気で心細い人たちの笑顔を守れるなら」

ユリ「私もそういう生き方をしてみたい。そう思ったんです」

ユリ「……これから消える私が将来の話なんて、やっぱり変ですよね……」

大我「……やってみろよ」

ユリ「!」

大我「医師免許を取るのは簡単じゃないし、仮に医者になれても良いことばかりじゃない」

大我「救いたい人を救えなかったり、自分の無力を思い知らされたり……嫌なことの方がずっと多い」

大我「それでも本気で医者の道を志すつもりなら、俺は全力で応援する」

大我「そして、もしお前が夢を叶えられたなら……その時は、盛大に祝ってやる」

ユリ「……はいっ!」

 // // //

ナツキ「これで全部終わったのね…」

飛彩「ああ。そしてもうすぐ、お前たちも消える」

ナツキ「何よ、いなくなってせいせいするって意味?それとも、今さら別れが惜しくなったとか言わないでしょうね?」

飛彩「俺は情に流されない。命に関わるオペでは一瞬の判断の差が生死を分けるからな」

飛彩「ふーん、それがあんたのプロとしての誇りって訳ね」


飛彩「ナツキ。カップケーキを一つくれないか」

ナツキ「はぁ!?なんで今ケーキなのよ!」

飛彩「常にコンディションを保つのはドクターの基本だ。糖分補給を欠かすことはできない」

ナツキ「はいはい、あんたのプロ意識には負けたわ」

ナツキ「それが最後の一個なんだから、感謝して食べなさいよね」

飛彩「ああ、ありがとう」

飛彩「……いい出来だ」

ナツキ「当然よ!私のカップケーキは世界一なんだから!」

飛彩「世界一、か」

ナツキ「……なによ、どうせあんたも私を馬鹿にするんでしょ?」

飛彩「情に流されないと言っただろう。いちいち馬鹿になんてしない」

飛彩「それにその志は理解できる。俺も世界一のドクターになると決めているからな」

ナツキ「へぇ意外。クール気取りの割には案外熱い夢持ってるのね?」

飛彩「夢じゃない、事実だ。俺は世界で一番のドクターになる」

飛彩「そうならなければ救えない、救いたい人のために……!」

ナツキ「きっと、なれるわ」

飛彩「!」

ナツキ「あんたは世界で一番のドクターになれる」

ナツキ「むしろ、私がお墨付きをあげたんだから絶対になりなさい、いいわね!」

飛彩「……言われるまでもない」

飛彩「それとナツキ、お前のカップケーキは良く出来てるが世界一には程遠い。もっと練習しろ」

ナツキ「余計なお世話よ!まったく、最後なのに本ッ当に空気が読めないんだから!」


ナツキ(ありがとね、飛彩)

 // // //

サヨリ「私、お医者さんって不愛想なイメージがあったんだけど……」

サヨリ「貴利矢みたいに親しみやすい人もいるんだね。知らなかったなぁ」

貴利矢「それは一応誉め言葉として受け取っておくぜ」

貴利矢「ま、一見不愛想でも実はそうでもない人も多いもんだ」

貴利矢「甘い物好きの大先生とか、実は熱血漢の白髪先生とかな。人は見かけによらないってね」

サヨリ「貴利矢ってヒトのことをよく見てるんだね!」

貴利矢「そりゃ監察医だし、それに……実は俺、人の心が読めるんだ!」

サヨリ「えーっ、絶対ウソ!」

貴利矢「たはっ、流石に乗ってくれないか!でも監察医の勘は本物よ?」

貴利矢「サヨリ、その監察医の勘で一つアドバイスだ」

サヨリ「貴利矢?急にどうし――」

貴利矢「『優しい嘘を使いすぎるな』」

サヨリ「……!!」

貴利矢「お前にはお前のノリがある。無理に他人を乗せてばかりじゃなくて、たまには自分から乗ってみろ」

サヨリ「……うん、覚えとくね。ありがとう貴利矢!サヨナラっ!」

貴利矢「おう、頑張れよ!」


貴利矢(俺らしくもないお節介を焼いたか?でも、なんかサヨリの目を見てると……)

貴利矢(ま、気のせいならそれに越したことはないよな)

 // // //

モニカ「宝生永夢さん」

モニカ「あなたのことが好きです」

モニカ「私の恋人になってください」

永夢「……モニカ、僕は」
永夢「『―――――――――――』」

モニカ「……うん、永夢はきっとそう答えると思ってた」

モニカ「今までの事全部、ごめんなさい。そして」

モニカ「私の心が壊れないように守ってくれて」

モニカ「私のわがままに付き合ってくれて」

モニカ「そして、私と真剣に向き合ってくれて」

モニカ「私を素敵なエンディングに導いてくれて、ありがとう」

モニカ「永夢。あなたに出会えて、本当に良かった」

永夢「僕も、君に出会えてよかった」

永夢「ドキドキ文芸部は本当に素敵なゲームだ」

永夢「僕はこのゲームの事を、モニカたちの事を絶対に忘れない」

永夢「きっとこのゲームを遊んだ世界中の人たちが、文芸部のみんなを……」

永夢「そして君を好きになるよ、モニカ」

永夢「って、僕が言うのも変だけど……」


モニカ「ふふ、永夢は優しいのね」

モニカ「でもね、今ここにいる私の望みはそうじゃないの」

モニカ「あなたの水晶みたいに澄んだ心の、ほんの一欠片だけでいいから」

モニカ「あなたに私のことを…私たちの文芸部のことを覚えていてほしい。約束してくれる、永夢?」

永夢「……ああ、絶対に忘れない」


モニカ「ありがとう」ニコッ


モニカ「さようなら、永夢!」

パラド「……消えたな」

永夢「……うん」


パラド「永夢。俺、モニカのウイルスに感染してた時に、夢を見たんだ」

パラド「真っ暗な闇の中に俺が立ってて、遠くに女の子がいて……」

パラド「その子は『寂しい、一人は嫌だ』って泣いてるんだ。それを見てたら俺まで寂しくなってきて」

パラド「思わずその子に駆け寄って、でもどうすればいいのか俺にはわからなくて」

パラド「病院で永夢が子供にやってるみたいに、頭を撫でて『大丈夫だ』って励まし続けた」

パラド「そうしてたらいつの間にか目が覚めて、ゲーム病も治ってた」

パラド「変な夢だったけど、その時のことを思い出すとなぜか俺の心が滾るんだ」

永夢「……きっとお前は正しいことをした。僕はそう思う」

パラド「……そうか。そうだといいな」

永夢(こうして、僕たちと文芸部の不思議な日々は終わった)

永夢(僕の選択が正しかったのかは、正直今でもわからない)

永夢(でも僕がモニカと交わした約束は、僕にとって大切な宝物だ)


---数日後、聖都大附属病院・小児科

永夢「……うん、軽い風邪だね。お薬を飲んで何日かぐっすり寝れば良くなるよ、いいね?」

少年「はーい!…あっ、エム先生ってゲーム好きなんでしょ?」

永夢「好きだけど…急にどうしたの?」

少年「実はオレ、ゲームに出てくる女の子を好きになっちゃったんだ」

永夢「!」

少年「これって、今流行ってるゲーム病なのかな?どうしたらいい?」

永夢「……大丈夫、それはゲーム病じゃないよ」

永夢「君は本当にその子を好きなんだね?」

少年「うん」

永夢「じゃあ、その子にも自分の事を好きになって欲しいと思う?」

少年「うん!」

永夢「その子はどういう人が好きそうかな」

少年「うーん…きっと、強い人!」

永夢「それなら、強い人になれるように頑張ってみるといいよ」

少年「えーっ!?ゲームに出てくるモンスターとか、オレじゃ倒せないよ!」

永夢「敵を倒したり、世界を救ったりするだけが強さじゃないよ」

永夢「お父さんやお母さんのお手伝いをしたり、困っている友達を助けたり」

永夢「そういう小さな事を積み重ねていけば、いつか必ず誰かのヒーローになれるんだ」

永夢「そうすれば、その子もきっと君の事を好きになってくれるんじゃないかな?」

少年「…なんか、エム先生が言うならできる気がする!」

永夢「あはは!でも今の君の役目は、風邪を治すことだからね!」

少年「わかった!エム先生ありがとう!おだいじに!!」ガラガラ

永夢「『お大事に』は僕のセリフだよっ!」

永夢「ふぅ、今日の仕事も終わり……」

永夢「あれ、ポッピーにパラドに貴利矢さん?」

パラド「永夢!今ドキドキダッシュで遊んでるんだ、一緒に遊ぼうぜ!」

貴利矢「うわっ、またゲームオーバーだ!」

ポッピー「このゲーム見た目は可愛いのに激ムズだよ!ピヨる~!」



永夢「……よし、任せろ!」
「ノーコンティニューでクリアしてやるぜ!」

以上で終わりです。最後まで読んでくれた方へ感謝を

CRのドクターと文芸部員がイチャイチャする話を書きたかっただけなのにどうしてこうなった……

【とりあえずのQ&A】

Q.なんで神がいないの?
A.タイミング的にトリロジー後が都合がよかったのと
話の流れ的に神が活躍できそうなタイミングがなかったため
あと神のテンションを表現するだけの筆力がない

Q.モニカの告白に永夢はどう答えたの?
A.こっちが知りたい
あそこで永夢がどう答えるかだけ全く思い浮かばなかったので、
DDLCとエグゼイド好きな人がいたらこっそり教えてほしい

【不足した神の成分を補うおまけ(という名のダイマ)】

モニカ「ねえポッピー、小説版エグゼイドで永夢の好きな女の子のタイプがわかるって本当!?」

??「その通りだァ!!」

モニカ「えっ、誰!?」

ポッピー「その声はクロト!?」

黎斗「私の事は檀黎斗神と呼べ!!!」

モニカ「ダンクロトシン?なんだか薬の名前でありそう……」

ポッピー「モニカ、この人の言うことは気にしなくていいからね」

黎斗「余計な口を挟むなァ!それよりエグゼイドの小説の話だ!」

黎斗「モニカの言う通り、小説版では宝生永夢の好む女性のタイプが語られる」

黎斗「しかも他ならぬ彼自身によってだァ!!」

モニカ「!!」

ポッピー「えーっ!?エムからそんな話聞いたことないよ!」

黎斗「だからこそ価値があるというものだァ」

黎斗「しかもそれだけではない、なんとこの小説では……」

ポッピー「ゴクッ……」

黎斗「他ならぬこの私も大活躍するのだあァ!!ブワーッハッハァ!!」

黎斗「トリロジーで消滅したはずの私がどのように物語に関わるのか……」

黎斗「それは君自身の目で確かめてみろォ!」

モニカ「永夢のタイプってどんな娘かしら……きっと文学少女で部長を務めるようなリーダーシップと頼りがいがあって
背は高めで長い髪と白いリボンが似合って、ひたむきな努力家で恋に一途な女の子に違いないわ!」キラキラ

モニカ「待ってて永夢!今そっちに行くから!!!」ダッ

ポッピー「ちょ、ちょっとモニカ!?」ダッ


黎斗「……」

黎斗「神の話を聞けえええええェッ!!!!」


【小説版仮面ライダーエグゼイド~マイティノベルX~ 好評発売中!】

おまけ終わり

感想ありがとう

Q&Aに書き損ねてたけど、黒いモニカがクロノスになれなかったのは
人間じゃないから+飛彩と大我ゲーマドライバーの使い方をバグヴァイザーで真似したからで
培養だったらワンチャンあった(クロノスじゃなくてゲムデウスになってた可能性もある)

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