アイマスss「綺麗な指」 (15)

千早「プロデューサーの指って長くて綺麗ですね」

P「昔から何回か言われた事がある、自慢出来る事でもないけど」

千早「いえ、なんか良いなって」

P「それにしても酷い渋滞だもう8時だよ、千早すまないな」

千早「明日は学校も仕事も休みですから大丈夫です」

P「俺も明日は休みで今日は千早送って直帰のつもりだったよ、東京まで100キロ以上あるな」

千早「プロデューサーは大丈夫ですか?さっき薬飲んでましたね?」

P「肩凝り過ぎて偏頭痛してきた」

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私とプロデューサーは地方ロケの帰り道高速道路で渋滞にハマっている

新幹線も通ってない田舎での撮影は順調に終わり、翌日休みの私を気遣ったプロデューサーが

現地に泊まらずその日のうちに帰るため車を走らせていたところ

なんでも東京方面で大きな事故があり酷い渋滞が発生してかれこれ二時間も車に乗っているがほとんど進んでいない

本来ならもう東京に着いている頃なのに

しかもプロデューサーは疲労困憊で頭痛薬を飲んでいる

千早「プロデューサーもう何処かに泊まりましょう、事故起こしてからでは…」

P「そうだな、もうじきインター出口だからホテル探せば見つかるだろ、言っとくが普通のホテルだからな安心しろ、代えの下着とかは有るのか?」

千早「バックの中に代えの下着は入ってます、…くっ」



インターチェンジも渋滞していてヨロヨロと高速を降りると大手のホテルが直ぐに見つかり

駐車場に車を停めて荷物を持ち私とプロデューサーホテルに入った

フロント「申し訳ありません、事故の影響でほぼ満室になってましてセミダブル1部屋でしたらご用意できますが」

P「じゃあそれでお願いします」


正直私の控え目な胸がドキドキした、春香や美希だってプロデューサーと同じ部屋に泊まった事なんて無いだろう

P「千早、そう言う事だから鍵持って部屋に行け、朝になったら電話しろ迎えに行くから」

千早「プロデューサーはどうするんですか?」

P「他探すよ、心配するな」

千早「車で寝るつもりですね頭痛いのに、そう言う事なら私も泊まれません、きちんとベッドで寝てください」

P「…おい、一緒の部屋でセミダブルだぞわかってるのか?」

千早「しっ…信頼してますからあなたの事を、それとも私が信頼出来ないんですか?いつも信頼してくれと言ってますよね?」

P「うっ、わかったじゃあ俺を信じてくれ絶対変な事しないから」

そう言うとプロデューサーは綺麗な指で鍵をポケットにしまい頭をポリポリと掻いた

765号室のドアを開けた

大きめのベッドに枕が2つ、机と椅子に壁掛けテレビとユニットバスのシンプルな部屋

荷物を置いて私はベッドに、プロデューサーは椅子に座りお互いしばらく無言になった


この人を男性として意識してどこが好きになったのだろう

昔聞いた歌の歌詞が思い浮かぶ

最初に好きになったのは声 それから整えられた指先 ときどき黙りがちになる癖

春香と美希はわかりやすいけど他にうちの事務所の何人かは私と同じ気持ちだと思う

私には歌しか無い、春香のような明るさも美希のような積極性もあずささんみたいな…くっ!

それ以前に私はアイドルであの人はプロデューサー

それを絶対に崩す人ではない

もうどうして良いかわからない

P「大浴場行って来る、悪いが千早はユニットバス使ってくれ、誰が見てるかわからないから、じゃあ鍵は持っててくれ」

千早「はい?どうして持って行かないんですか」

P「…俺が部屋を出たら必ず鍵を閉めてくれ、一時間ぐらいしたら戻るからあと食べ物買ってくる、ゆっくり風呂に入るんだぞ」


そそくさとプロデューサーは部屋を出て行った

どこまで私に気を使ってくれるのだろうか





P「大浴場行って来る、悪いが千早はユニットバス使ってくれ、誰が見てるかわからないから、じゃあ鍵は持っててくれ」

千早「はい?どうして持って行かないんですか」

P「…俺が部屋を出たら必ず鍵を閉めてくれ、一時間ぐらいしたら戻るからあと食べ物買ってくる、ゆっくり風呂に入るんだぞ」


そそくさとプロデューサーは部屋を出て行った

どこまで私に気を使ってくれるのだろうか





小一時間ほどたった頃プロデューサーは部屋に帰ってきた

P「ただいま、ついでに売店でおにぎり買ってきたぞ」

千早「お帰りなさい、ゆっくりお風呂に入らせていただきました」

P「浴衣に着替えたのか…」

千早「す、すいません似合わないですよね」

P「いや、似合わないじゃなくて似合い過ぎと言うか…それよう食事にしよう」

千早「真っ赤な顔して、長湯し過ぎです」

P「そうそう、さっき社長に電話しといた」

千早「社長は何か言ってました?」

P「大事をとって泊まれってさ、他のアイドルの子には秘密にしておけとのこと、信用してるけど間違えのないようにって釘刺された」

千早「私なんかでそんなことあるわけ無いじゃないですか…」

P「…もう寝ようか俺反対向いて寝るから」

千早「じゃあ私も反対向いて寝ますね」






灯りを消してベッドに入る

子供の頃優と一緒に寝ることはあったけど男の人と同じベッドで寝るなんて経験は無い

ましてや相手はプロデューサー

この人のどこが好きになったのだろう

昔聞いた歌の歌詞が思い浮かぶ

最初に好きなったのは声 それから整えられた指先 ときどき黙りがちになる癖

春香と美希はわかりやすいけど他にうちの事務所の何人かは私と同じ気持ちだと思う

でも私には歌しかない、春香のような明るさも美希の積極性もあずささんみたいな…くっ

それ以前にこの人はプロデューサーで私はアイドル

それを絶対に崩す人ではない 私はこの人にとって大切なアイドルだけど

それ以上の関係にはなれない

もうどうしたら良いかわからない

実は私の宝物、プロデューサーから贈られたプラチナの指輪を左手の薬指にはめてベッドに入った

せめて今だけは…

酷い夢

子供の頃の光景、公園で遊んでいる優

私に気づくとニッコリ笑って駆けてくる

来ちゃダメ!止まって!

嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ

絶対思いだしたくない光景

私の声は届かない

そして聞こえて来る急ブレーキの音

もうやめて お願い

こんなのもうやめて!

次に見えてきたのは言い争う父さんと母さん

千早父「おまえが見てなかったから優は!優は!」

千早母「ごめんなさいっ!でも優はっ!」

千早父「返してくれ!優を返してくれ!」


やめて!二人とももう喧嘩はやめて!そんな事したってもう優は…

暗闇に包まれる

いくら叫んでも泣いても何も見えない 私は1人だ

お願い、私を1人にしないで…




すると闇の中から手が伸びてきて私の左手に指をからめしっかりと繋いでくれた

綺麗で長い指をした手のひらは暖かく力強い

繋がれた左手を抱くように胸元に寄せる

とても暖かくて安心する

すると周囲は光に包まれ

私はスポットライトを浴びステージの上で歌を歌っていた




朝日が私の顔を照らし目が覚める

最初に目に映ったのはプロデューサーの寝顔

寝返りをうったのかお互いに内側を向き見つめ会うような体勢だ

そしてプロデューサーの左手は私の左手を恋人繋ぎでしっかりと握っていて右手は私の頭を撫でるように添えられていた

ゆっくりとプロデューサーが瞼を開き私と目が逢った

あきらめる事なんて出来ない、目が逢う瞬間本当に私はこの人の事が好きだと気づいた

P「…うん?おおい!スマン寝相が悪くて信じてくれ!寝相が悪いだけなんだ!」

慌てて右手を私の頭から離す

P「…千早?如月さん?左手放してくれないかな」

千早「私、うなされて泣いてたんですね…」

P「…うん、どうして良いかわからなかった、勝手な真似して申し訳ない」

千早「じゃあもう少しだけこうしててください」

P「ああ、でも、うーん…」

千早「そっちに行って良いですか?」

P「それはダメだよ、この状態だってかなりやばいし」

千早「私なんかでそんな気持ちになりませんよね」

P「あのな、自分でどう思ってるか知らないがこんなに綺麗な顔してスラッとした女の子に朝からそんなふうにされたら耐えられる自信無いんだよ」

そう言ってプロデューサーは腰を引く

P「わかってくれ、俺は男なんだ朝起きると生理現象で色々あるんだよ、今手を繋いでるだけでも心臓爆発しそうなんだよ!」


10分ほどそうしているとプロデューサーのスマホが鳴る、陸上自衛隊の起床ラッパなのは元自衛官だからなのだろうか

P「起床っ!千早起きろ!」

私が手を放すとベッドから出て照れ隠しに点呼をとる

P「総員二名事故者ありません!」

陸自名物体力向上運動をワンセット行うプロデューサーを寝惚け眼で眺める私

P「朝風呂行ってくるからそれまでに身支度しといてくれ、変装わすれるなよ」

部屋を慌てて大浴場に行った

小一時間たちその間に身支度を整えるとプロデューサーが帰ってきた

P「もう渋滞は解消されたから帰れるな」

千早「インスタントですけどコーヒー一緒に飲みませんか?」

P「ありがとう、頂くよ」

長い指でカップを持ちコーヒーをすするプロデューサー

P「二時間あれば東京帰れるな、よし朝食バイキング食べてかえるか」

もう終わってしまう夢のような一時

私が手を差し出すと長い指を絡め握ってくれた

P「部屋を出たら放すよ、今日は特別な」

この綺麗な指をした手は私をどこまで連れて行ってくれるのだろう

終わり

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