ある日の事務所
P「ただいまー……」
志保「お帰りなさい……外、暑かったんじゃないですか」
P「ああ、暑い暑い。溶けちゃいそうなくらいだ」
志保「大変でしたね」
P「これでお腹周りだけいい具合に溶けてくれてればいいんだけどな~、なんちゃって」
志保「この部屋のエアコン、効きすぎてるかもしれませんね」
P「遠回しに寒いギャグやめろって言うのやめないか?」
志保「なら、そう言われるようなことを言わなければいいと思います」
P「それはそうだけど。志保ってオジサマが好みっぽいから、こういうギャグも挟んだ方がいいかと思って」
志保「オジサマのジョークならいいかもしれませんけど、今のはただのオヤジギャグです」
P「だよな」
志保「はい」
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P「よし! 次は志保を笑わせられるような小粋なジョークを用意してくるからな」
志保「仕事の方を疎かにしなければ、私は何も言いませんけど」
P「わかってるわかってる」
志保「まあ、大丈夫だとは思ってますけど……とりあえず、お疲れ様です」コトッ
P「ん?」
志保「プロデューサーさんは、冷たい麦茶が好きでしたよね。どうぞ」
P「わざわざ淹れてくれたのか? ありがとう」
志保「別に、たいした手間じゃないですから。それに……暑い中外を歩き回ってきたのは、私達のプロデュースのためなんですし」
P「志保……ああ、俺は幸せ者だなぁ。ありがたくいただくよ」
志保「はい」
P「じゃあ早速」ゴクゴク
P「は~~、やっぱり志保に淹れてもらった麦茶なだけあってうまいな! 五臓六腑に染みわたる!」
志保「………」
P「これだけで外回りの苦労が報われるってもんだ。ふう……幸せ」
志保「………」ジーー
P「? どうしたんだ志保、固まって」
志保「いえ。少し、気になったことがあって……聞いてもいいですか?」
P「ああ、いいぞ。俺に答えられることなら」
志保「プロデューサーさんって、チョロいんですか?」
P「ぶっ!!」
志保「……プロデューサーさん、女の子にお茶をぶっかける趣味があったんですね」
P「ち、違う違う! 志保がいきなり変なこと聞くから……でもごめん」
志保「まあ、ギリギリかからなかったのでセーフです」
P「よかった、危うく警察沙汰になるところだった」
志保「仮にかかっていてもなりませんけど……」
P「マジか。志保は優しいな」
志保「……ですから、そういうところです」
P「え?」
志保「お茶を淹れるだけでデレデレしたり、通報されなかっただけでデレデレしたり。なんというか……やっぱりチョロいです」
P「俺、そんなにデレデレしてたか?」
志保「してました。頬が緩んで、すごい笑顔で」
P「そうか、そんなにか」
志保「世間一般では、そういうのをチョロいというらしいと聞きました」
P「あー、まあ間違ってはない気もするけど。でも俺の場合は、チョロいとは違うと思うんだよな」
志保「どうしてですか?」
P「俺がさっきみたいなことで満面の笑みを浮かべてしまっているのなら、それはおそらく」
志保「おそらく?」
P「初期の志保の態度がトゲトゲしすぎて、今みたいな優しさを見せられるとギャップで心が幸せになるからだ」
志保「………」
P「………」
志保「………私、トゲトゲしてましたっけ?」
P「いやしてただろ! 俺割とビクビクしながら接してたんだけど!」
志保「冗談です。さすがに、少しはあの頃の自分を客観的に見ることはできてます」
P「なんだ、冗談か……安心した」
志保「でも、プロデューサーさんがビクビクしていたというのは知りませんでした。10個以上年下の女の子を怖がっていたんですね」
P「仕方ないだろう。志保、眼力すごいし。体つきも14歳とは思えないし」
志保「こんな感じですか」ギロ
P「ヒッ」
志保「………」
P「………」
志保「少し、面白いですね。これ」ニタリ
P(ヤバい。志保の嗜虐心が刺激されている)
P「し、志保には基本的に笑顔でいてほしいなぁ! 女の子は笑顔が一番だし!」
志保「それは、私の笑顔のためにプロデューサーさんが犠牲になってもいいということですか?」
P「しまった藪蛇だった……」
志保「嘘ですけど」
P「さっきから嘘多くないか?」
志保「嘘で隠さないと想いがバレてしまうので」
P「どんな想いなんだか……でも、冗談言うようにまでなってくれたのは嬉しいよ」
志保「嘘を言われて嬉しいだなんて、なんだかちょっと変ですね」
P「でも、言いたいことはわかるだろう?」
志保「まあ、そうですね」
志保「話を戻しますけど。プロデューサーさんがチョロいように見えるのは、私の態度の変化が原因ということですね」
P「そうだな。だから、志保以外にはこうはならないんじゃないかな」
志保「そうですか。私にだけ、チョロいんですね」
P「チョロいという表現はいささか受け入れがたいが、そういうことでいいよ」
志保「そうですか」
P「どうして笑ってるんだ?」
志保「もともとこういう顔なんです」
P「いや絶対嘘だ。だったら俺初対面からビビる必要なかったもん」
志保「プロデューサーさんのがうつったのかもしれません」
P「つまり俺は普段から笑顔ということか? アイドル向きじゃないか」
志保「……プロデューサーさんは、プロデューサーが天職だと思います」
P「遠回しに夢を壊すのはやめないか?」
美咲「あ、お疲れ様ですプロデューサーさん! 志保ちゃんも!」
P「美咲さん。お疲れ様です」
志保「お疲れ様です」
美咲「あれ? プロデューサーさん、ネクタイ変えました?」
P「あ、わかります? 新調してきたんですよ」
美咲「とっても似合ってます! いつもよりかっこいいかも」
P「えー? 本当ですか~? いやー、美咲さんに褒められるなんて、このネクタイ選んでよかったなあ」デレデレ
美咲「本当ですよっ。似合ってます♪」
P「はははっ。本当褒めるのが上手だなぁ」
美咲「あっ!? 私、さっきのお部屋に忘れ物しちゃってるかも……ちょっと取ってきますね」
P「あ、はい。行ってらっしゃい」
美咲「ふえ~、行ったり来たりで忙しい~」タッタッタ
P「ははっ。本当、見ていて元気がもらえる人だな。なあ志――」
志保「………」ジトーーー
P「……志保? どうして睨んでるんだ?」
志保「気にしないでください。もともと、こういう、顔なので」
P「ヒンッ」ブルッ
志保「プロデューサーさんって、やっぱりチョロいんですね」
P「いや、別にそうじゃなくて、美人に褒められたら男は誰でもああなるというか」
志保「そうですか。それは知りませんでした」
P(は、早く誰か来てくれ……空気を変えてくれ……!!)
美咲「あれ~? ここじゃなかったのかなぁ~。あのペン気に入ってたんだけどな~」
美咲「他の部屋も探してみよう……」
夕方、帰り道
志保「………」
P「………」
志保「あの。今日は、すみませんでした」
P「え?」
志保「子どもっぽかったというか……面倒くさかったというか。とにかく、嫌な子だったなと思ったので」
P「いや、大丈夫だよ。俺だって、年甲斐もなく鼻の下伸ばしてたのは事実だし」
志保「いえ、私の方こそ」
P「いやいや俺の方こそ」
志保「………」
P「……ははっ」
志保「ふふっ」
志保「もしよければ、今夜はうちでご飯を食べていきませんか」
P「いいのか?」
志保「お昼のお詫びです。迷惑なら、断ってもらってもかまいません」
P「迷惑だなんてとんでもない! 志保の料理はおいしいから、ぜひ行きたい」
志保「そうですか。プロデューサーさんが来てくれるなら、きっと弟も喜ぶと思います」
P「そうか。弟くんとは積もる話もあるからな」
志保「……一応、言っておきますけど。変なことは教えないでくださいね」
P「わかってるよ」
志保「安心しました」
P「楽しみだなぁ、女の子の手料理」
志保「女の子の手料理、ですか」
P「もちろん、その中でも志保の手料理ってところが超高ポイントだ」
志保「……そうですか。はぁ」
P「ため息つかれた!? また怒ってるのか……?」
志保「いいえ、そうじゃないです」
志保(……私も、大概チョロかったりするのかな)
P「志保? どうした」
志保「何でもないです。デレてないです」
P「いやそんな話してないけど……それよりなんでこっちに顔向けないんだ」
志保「気にしないでください。頬の筋肉を引き締めているだけなので」
P「?」
志保「それより、晩御飯は何が食べたいですか」
P「ハンバーグ!」
志保「ふふっ。あの子と同じこと言ってる……」
P「心は少年のままだからな」
志保「もう、調子に乗らないでください」
P「ごめんごめん」
志保「……プロデューサーさんといると、いくら頬を引き締めても意味がないですね」
志保(……でも。それでもいいのかな、なんて)
P「それってどういう意味だ?」
志保「見ていて笑える人だという意味です」
P「その言い方棘がないかぁ?」
志保「さあ、どうでしょう」クスッ
おしまい
(チョロい)
乙です
>>1
北沢志保(14) Vi/Fa
http://i.imgur.com/iMWFGDP.png
http://i.imgur.com/EXsw1vW.jpg
青羽美咲(20) Ex
http://i.imgur.com/N78dpoq.png
おわりです。お付き合いいただきありがとうございます
志保のアナザーアピール見てきます
前作的なもの
北沢志保「気付くの、遅すぎです」
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