【バンドリ】市ヶ谷有咲「ちょっと話聞いてくんない?」奥沢美咲「え?」 (18)


※キャラ崩壊してます

 奥沢美咲「ちょっと話を聞いてほしい」市ヶ谷有咲「ん?」と同じ世界の話です

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――ファーストフード店――

奥沢美咲「どしたの、急に?」

市ヶ谷有咲「……喧嘩した」

美咲「はい?」

有咲「香澄と喧嘩した」

美咲「市ヶ谷さんと戸山さんが喧嘩って……この前のライブみたいな?」

有咲「あれは喧嘩じゃなくて私が一方的に拗ねてただけだから。あの件に関しては私の人生をかけてポピパのみんなと香澄に償うって決めてるから」

有咲「今回はそういうんじゃねーんだよ、普通に喧嘩した」

美咲「それは穏やかじゃないね……」

有咲「あいつ、ホント信じらんねーよ」

美咲「……そこまで言うって、何があったの?」


有咲「今日もさ、お昼ご飯、ポピパのみんなと食ってたんだ、中庭で」

美咲「うん」

有咲「まぁ本当は香澄と2人っきりがいいんだけどさ、流石にそんなことは口が裂けても言えねーじゃん?」

美咲「……うん、まぁ」

有咲「まぁ別に? 私はポピパのみんなが好きだからそれはそれで幸せだしいいんだけどさ?」

有咲「でもな……流石に許せねーよ、香澄のやつ。私の弁当より沙綾の弁当の方が美味しいとか抜かしやがった……!」

美咲「……そうなんだ」

美咲(いつものノロケかなぁ)

有咲「私が毎朝どれだけ香澄のことを考えて弁当作ってると思ってるんだよ」

有咲「いっつも幸せそうな顔で食ってくれるから私が一番だと思ってたのに、結局沙綾なのかよ……!」

有咲「所詮私は付け焼刃の腕だってことか? 沙綾みたいにずっと家事やってたやつには敵わねぇってことか?」

有咲「あーちくしょう! こんなことならばーちゃんの手伝い、昔からやっとくんだった!」

有咲「大体香澄も香澄だよ……あんだけ美味しそうな顔で食べてくれたら自信持っちゃうじゃん……気軽に毎日食べたい、なんて言うなよ……その気になっちゃうだろ……ったく。可愛いなぁちくしょう」

美咲(あー、いつものノロケだこれ)


有咲「はぁー……マジ有り得ねぇよ香澄のやつ……」

美咲「でも戸山さんが喧嘩する姿ってあんまり想像つかないなぁ」

有咲「あー、まぁあいつが本当に怒るのって自分のことじゃなくて友達とかのことだけだからな」

有咲「色々抱え込む沙綾に一回ブチギレてたし」

美咲「へー、そうなんだ。それなのに市ヶ谷さんと喧嘩しちゃったんだ」

有咲「ああ。今回ばかりは私も退かねー。まぁ、あいつから悪かったって言ってくるなら許してやらねーこともないけどさ」

有咲「あ……でも香澄のやつヘコんでたりしたら……そうだったらヤだな……いやいや、でも今回は私悪くねーし、こんなことで折れる訳には……」

美咲「そんなに気になるならさっさと謝ってくればいいのに」

有咲「……いいや、今回はぜってー折れねぇ」

美咲「戸山さんが『もう有咲なんて嫌いっ!』って言ってたら?」

有咲「え……」

有咲「…………」

美咲「ごめん、冗談だから無言にならないで。泣かないで。大丈夫だよ、戸山さんが市ヶ谷さんのこと嫌いになるなんて有り得ないって」

有咲「あ、当たり前だろっ、それに泣いてねーし!」

美咲(声が震えてるんだよなぁ……。ホント、戸山さん絡むとポンコツになるなぁ市ヶ谷さんて)

美咲「ところでさ、喧嘩ってどんなことしたの?」

有咲「まぁ……口喧嘩だな。お互いが主張を譲らず、って感じで」

美咲「聞かせてもらってもいい?」

有咲「ああ。あれは中庭から教室に戻る時のことで……」


――花咲川女子学園 廊下――

戸山香澄「あー、やっぱりさーやのお弁当って美味しいなー♪」

有咲「…………」

香澄「あれ? 有咲、なんか怖い顔してるけどどうしたの?」

有咲「どうしたの、じゃねーよ」

香澄「……?」

有咲「お前さ、私の弁当より沙綾の弁当の方が美味いって、本気で言ってるのか?」

香澄「うん! 有咲のお弁当も美味しいけどね、やっぱりさーやのお弁当は――」

有咲「ああそうかよっ!」

香澄「どしたの有咲?」

有咲「……別に」

香澄「なんでそんなに怒ってるの? お腹でも痛い?」

有咲「痛くねーよ。心の方が痛ーよ。お前のせいでな」

香澄「え、私なにかしちゃった?」

有咲「……そんなに沙綾の弁当が美味いなら、やまぶきベーカリーに永久就職すればいいだろ」

香澄「っ!?」

香澄「有咲……どうしてそんなこと言うの!?」

有咲「沙綾の方がいいんだろ……? 台所で割烹着着て、鼻歌まじりに揺れるあのポニーテールがいいんだろ……!?」

香澄「それも確かに好きだけど……それとこれとは関係ないよ!」

有咲「くそっ、どうせ私はツインテールだよ! そんなに沙綾が好きなら沙綾の妹になればいいだろ!!」

香澄「あ、有咲……言っていいことと悪いことがあるよ! なってみたいけど、それは流石に私でも怒るよ!!」


有咲「うるせー! 人の気も知らないで! お前なんか沙綾の妹になってめちゃくちゃ甘やかされてればいいんだよ!!」

香澄「どうしてそんなこと言うの!? 人の気も、って言われたって分かんないよ! ちゃんと話してくれなきゃ有咲のことだって半分くらいしか分かんないよ!」

有咲「はっ、私はもうちょい分かるけどな、なんも言われなくても香澄のことなら! 所詮お前はそれだけなんだろ!?」

香澄「有咲だってそれだけじゃん! 私の全部、分かってないよ!!」

有咲「ぐぬぬ……!」

香澄「うぅぅ……!」

有咲「もう香澄なんて知らねーからな! 弁当も作って来てやんねーからな!!」

香澄「私だって知らないもん! おはようとおやすみの電話、しないからね!!」

有咲&香澄「ふんっ!!」


山吹沙綾「……これ、私が悪いのかな?」

牛込りみ「えっと……悪くないと思うな」

花園たえ「よくあることだし放っておいて大丈夫だよ」

沙綾「ていうか私の妹になるとかどうって……」

りみ「沙綾ちゃんにこれ以上負担かけるのはダメってことじゃないかな?」

たえ「手のかかる妹が増えるからね。沙綾も大変だよ」

りみ「でも沙綾ちゃんの妹になりたいってちょっと分かるなぁ……」

たえ「うん、分かる」

沙綾「えぇ……」


――――――――――
―――――――
――――
……


有咲「って感じだよ。ったく、本当に香澄のやつ……」

美咲「……へー」

美咲(わーどうしよ。怒りのポイントが全然分からない。ていうかポピパのみんながいる前でやってたんだ)

美咲(……まぁ深刻じゃなさそうなのは分かったからいっか)

美咲(この前は市ヶ谷さんに助けられたし……今度はあたしが助ける番かなぁ)

有咲「それからはあいつと口も利いてねーな。こんなに話さなかったのはこの前のいざこざ以来だよ」

美咲「そっか。あ、ごめんちょっとこころからメッセージが」

有咲「ん」

美咲「…………」

美咲「……お待たせ。それでさ、市ヶ谷さんは仲直り、したくないの?」

有咲「したいけど」

美咲「あ、即答なんだね」

有咲「そりゃ、当たり前だよ。奥沢さんだってほら、この前みたいに弦巻さんと喧嘩したらどうするよ?」

美咲「即日仲直りするね。怒ってないかちょっと不安になるけど」

有咲「だろ? それと一緒だよ」


有咲「でもな、どうしても割り切れない気持ちがあるんだよ」

有咲「そりゃあな? 沙綾には敵いっこないのは分かってるんだよ、頭では」

有咲「学校でお嫁さんにしたい人コンテストやったらさ、生徒の過半数は沙綾に投票すると思うし」

美咲「あたしはこころに入れるけどね」

有咲「私も香澄に入れるけどな」

美咲「まぁでも分からないでもないなぁ。包容力あるよね、山吹さん」

有咲「あれで強かなところもあるから侮れねーんだよ」

美咲「それでもあたしはこころに入れるけどね」

有咲「私も香澄にしか入れないけどな」

美咲「…………」

有咲「…………」

美咲「市ヶ谷さんの気持ちも分かるけど、こころだっていいお嫁さんになると思うよ。基本天才で何でも出来るから家事だってお手のものだし。それに何より明るいからね。絶対笑顔の絶えない素敵な家庭になるよ」

有咲「香澄だってそうだよ。まぁ、不器用だからさ、家事とかはあんまりかもしれないけど、それでも健気に頑張ってくれるよ、あいつは。いじらしいだろ? それにさっきも言ったけど優しいからな。子供の面倒見だってすげーいいぞ」

美咲「それを言ったらこころだってすーぐ知らない子供と仲良くなってるからね。子供の目線に立って、等身大で相手をしてあげられるから」

有咲「いやいや、それこそ香澄の専売特許だから。やっぱり純粋な子供は分かるんだよな、誰が一番優しくてあったかい人なのかって」

美咲「…………」

有咲「…………」

美咲「……この話は今度にしよう」

有咲「だなー……誰が一番か、って話しだすと終わりそうにねーや」

美咲(まぁこころが一番だと思うけど)

有咲(まぁ香澄が一番だと思うけどな)


美咲「それで……なんだっけ? 山吹さんをお嫁にしたいって話だっけ?」

有咲「えーっと、そう、沙綾の嫁力が高いって話」

有咲「私はそれに敵わないのは分かってるんだけど……分かってはいるんだけど……な」

美咲「あーまぁね。その気持ちは分かるよ。ちょっと嫉妬しちゃうよね」

有咲「……別に嫉妬なんてしてねーし」

美咲「はいはいツンデレツンデレ」

有咲「誰がツンデレだよ」

美咲「鏡、見る?」

有咲「……いや、いいや」

美咲「よかった、自覚はちゃんとあったんだね」

有咲「そりゃ、まぁ……素直になるのって難しいじゃん。奥沢さんも分かるだろ?」

美咲「うん、分かる分かる。前はあたしもそうだったもんなー……」

美咲「ハロハピの活動、楽しいのに斜に構えててさ……あーなんか懐かしい」

有咲「……でも奥沢さんは最近素直すぎると思うけど」

美咲「こころが可愛いのが悪い」

有咲「出たよ開き直り……」

美咲「聞こえませーん」

有咲「はぁ……」

美咲「市ヶ谷さんも開き直ればいいのにって思うけど」

有咲「それが出来たら苦労しねーって」

美咲「一回開き直ると楽になれるよ。せかいのっびのびトレジャーだよ」

有咲「いや流石に私は頭ハロハピになれないから」

美咲「そっかぁー」


有咲「まぁ、そこまでは無理だけど、もうちょっとくらい素直になれればなぁ……」

有咲「ホント、いっつも意地張って香澄に迷惑ばっかりかけてんな、私」

有咲「つかポピパのみんなに迷惑かけてるよ……」

有咲「はぁ~……本当はすぐにでも謝りたいんだけどなぁ……」

有咲「香澄……ヘコんでなきゃいいけど……でも今さら私から折れるのもなぁ……」

美咲「うーん……よし、それじゃああたし相手に練習してみよう」

有咲「練習?」

美咲「そう、練習。あたしを戸山さんだと思ってさ、正直に気持ちを吐き出してみたらどうかな」

有咲「えぇ?」

美咲「出来ない?」

有咲「いや、そりゃ香澄相手に言うよりは気が楽だけどさ」

美咲「じゃーはい、ささっと言ってみよう」

有咲「なんでそんな急かすんだよ……」

美咲「あーほら、それはアレだよ。この前はあたしが話聞いてもらったし?」

美咲「市ヶ谷さんはなんだかんだこうして気軽に話が出来る仲だしね」

美咲「あそうだ、あたしの顔が気になるならミッシェルのお面でも被ろうか?」スッ

有咲「持ち歩いてんのかよ!? あ、いや、お面はいいって……逆に気になるから」

美咲「ん、了解。じゃーほら、自分の気持ちを言ってみよう」

有咲「……分かったよ。えーっと……素直な気持ち、素直な気持ち……」

美咲「うん」


有咲「あーその、なんだ。すまん、香澄。私が悪かった」

有咲「その、な? 私なりに一生懸命作ってたんだよ、弁当。だからな、その、沙綾の方が美味しいって言われてちょっとムッとしたっていうか……まぁそういうのなんだよ」

有咲「弁当作らないって言ったのは嘘だ。明日も作ってくから、だから、アレだよ」

有咲「おはようとおやすみの電話、して欲しいなって……うん、その、アレなんだよ」

有咲「つまり……まぁ、うん。ごめん。言い過ぎたし、ホント悪かった」

有咲「……だから、その、き、嫌いにならないでくれると嬉し――」

香澄「ならないよ!!」

有咲「うおぉっ!?」ビクッ

香澄「ならないよ! 私もごめんっ! 有咲の気持ち、全然考えてなかった! 本当にごめん!」

有咲「えっ!? な、え、え!?」

香澄「有咲ぁ~!!」

有咲「ちょ、抱き着くなって!! え、ていうかなんでお前ここにいんの!?」

香澄「美咲ちゃんに聞いたの! たまたま近くにいたからね、走ってきちゃった!」

有咲「え」


美咲「…………」

有咲「奥沢さん、まさか……」

美咲「あー、ごめん。こころにメッセージ返したと思ったら戸山さんに返してた」

美咲「『今、市ヶ谷さんと商店街のファーストフード店にいるよ』って。『声は出さないでね』って」

美咲「それと偶然、戸山さんと電話繋がってたみたい。ハンズフリー通話で」

有咲「お、おまっ!? 偶然とかそういうのじゃねーだろそれ!?」

美咲「いやいや、偶然だよ偶然」


香澄「有咲の気持ち、ちゃんと聞いたから! おはようとおやすみの電話もしっかりするよ! 私もしないと寂しいもん!」

有咲「あ、ああ、うん……その、ホント、なんていうか、昼休みはごめん」

香澄「私の方こそごめんね? 許してほしいな……」

有咲「いや、許すも許さないもねーって。本当に、私がちょっと意地張ってただけっていうか……」

香澄「じゃあお互い様ってことで!」

有咲「……そうだな。そうしとこう」

香澄「えへへ、よかった! 有咲~有咲~!」

有咲「ちょ、おま、流石に近いって……!」

香澄「ねぇねぇ、今日、有咲の家に泊まっていい?」

有咲「え!?」

香澄「仲直りのお泊り会!」

有咲「い、いや、そんな急に言われてもな……」

香澄「……ダメ?」

有咲「ダメじゃない」

美咲(即答した。本当に戸山さんの前だと別人だなぁ市ヶ谷さんて)

香澄「ありがとーっ! 有咲大好きっ!」

有咲「う、うるせー、そういうのは人のいないとこで言ってくれよ……」


美咲「仲直り出来て良かったね」

香澄「うん! ありがとね、美咲ちゃん!」

有咲「えーっと……あ、ありがとな」

美咲「いやいや。借りがあるからね、市ヶ谷さんには」

美咲「さ、もう行きなって。あんまり店内で騒ぐと花音さんにも迷惑だろうし」

有咲「ああ。その、悪いな、私から誘っといて」

美咲「いいっていいって。この前のお返しだよ」

有咲「ん……分かった。それじゃ、また」

香澄「バイバイ、美咲ちゃん!」

美咲「はーい」フリフリ

美咲「……ふぅ」

美咲「やれやれ……市ヶ谷さんも世話が焼けるなぁ」

美咲「それにほとんどノロケ話聞かされただけだったし、目の前でノロケられたし」

美咲(……まぁ、いつものことか。市ヶ谷さんと寄り道すると大抵ああなるし)

美咲「あたしもこころの家に泊まろっかなぁ」

美咲「電話してみよ。スマホぽちっと……」

美咲「…………」

美咲「……あ、こころ? 今大丈夫? うん、ちょっと急な話なんだけどさ――……」


―― レジカウンター ――

丸山彩「…………」

松原花音「…………」

彩「……今日は有咲ちゃんと香澄ちゃんがアレだったね」

花音「うん……美咲ちゃんは珍しくまとも、だったね」

彩「あの美咲ちゃんが……ハロハピだと日曜日に話してた風になっちゃうんだ」

花音「ハロハピ、っていうか……こころちゃんがいると……ちょっと、ね……」

彩「……そっかぁ」

花音「……うん」

彩「花音ちゃん……いつも本当にお疲れ様です」

花音「ううん……もう慣れてるから……」

花音「ハロハピ会議の時とか、こころちゃんの部屋で色々する美咲ちゃんに……」

彩「色々、かぁ……」

花音「色々、だね……」

彩「…………」

花音「…………」

彩「また一緒に遊びに行こっか、花音ちゃん」

花音「……水族館に行きたいな」

彩「いいよね水族館。癒されるよね」

花音「うん」

彩「一日中、ずっと一緒にクラゲ見てよっか」

花音「彩ちゃん……ありがとう」

彩「ううん、気にしないで。私、花音ちゃんといるの楽しいから」

彩「それじゃあ、また日曜日にでも」

花音「うん、楽しみにしてるね。……えへへ」


おわり


色々とごめんなさい。

今日は「二重の虹(ダブルレインボウ)/最高!(さあ行こう)」の発売日だし大目に見てくれないかなって気持ちです。
すみませんでした。


HTML化依頼出してきます。

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