かがり「パパ、だいしゅきぃ♡」ダキッ 岡部「ファーッ!?」 (44)

※アニメ組はネタバレ注意
未来ガジェット研究所



まゆり「オカリンが、パパ……?」キョトン

るか「え……えーっ!?」ドキドキ

かがり「すりすり~♡」

岡部「ちょ、ま、うぇ、おい、鈴羽ァ!? 話が違うぞぉ!?」

鈴羽「かがり!? お前は何を言ってるんだ!?」

ダル「まさかのファザコンプレイktkr! さぁ鈴羽も素直になると良いのだぜぃ……!」ジュルリ

鈴羽「父さんは話をややこしくしないで!」


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岡部(病院で目覚めた時は普段のかがりだったが、ここに戻ってきて急にこんな風になってしまった!)

かがり「どうしたの? "りんたろうパパ"?」

岡部(りんたろうパパ!!)ガーン

かがり「私、かがりだよ? 未来から会いに来たんだよ?」ウルッ

岡部「ちょ、ちょっと待ってくれ! かがりはまゆりの娘じゃなかったのか!?」

るか「ふぇっ!? と、ということは、ま、まま、まゆりちゃんと、お、おお、岡部さんが……///」

岡部「ちっがーう!!」

ダル「童貞、乙!」

まゆり「そ、そうだよ、るかくん! まゆしぃは、オカリンとはまだキスしかしてないんだよ!?」

かがり「へぇ……キス、したんだ……」ジッ

岡部「うぉぉい!! 子どもの頃のおままごとハプニングは無効だっ!!」

ダル「許さない絶対ニダ」

鈴羽「ちょ、ちょっとみんな待ってってば!!」


鈴羽「確実に椎名かがりは椎名まゆりの養女だ! このあたしがこの頭でちゃんと記憶している!」

かがり「私、椎名かがりじゃないもん! 岡部かがりだもん! 鈴羽お姉ちゃんは間違ったこと言ってる!」プクーッ

岡部「わ、わかった! なんでもいいからその、離れてくれ! 頼むから!」カァァ

岡部(当たってる! いや、当たってるどころか押し付けられているッ!)ムニュッ

かがり「えーっ!? 昔はいつもギュッてしてくれたのにー!」ムニュッ

ダル「ほうほう。その辺の話kwsk」ハフーッ

まゆり「かがりさんとオカリンは、仲良しさんなんだねぇ……あはは……」

るか「不潔です……」

鈴羽「だぁーっ! もう、話を一回整理させて!」


…………



鈴羽「はぁ、はぁ……。まったく、無駄な体力を消費したよ……」

岡部「まさか、かがりが意外と筋肉があったなんてな……」

るか「磁石みたいに岡部さんから離れませんでしたね……」

ダル「結局オカリンが折れるとか、役得もいいところだろjk」

かがり「んふふ~。りんたろうパパぁ♪ おひげジョリジョリ~♪」ギュゥ

まゆり「いいなぁ、かがりさん……」


岡部「それで、鈴羽。これは一体どういうことなんだ? 説明してくれ」


鈴羽「……あたしにも、わかんないよ」


鈴羽「かがり。お前が唯一持っていたその、うーぱ? それは、誰から貰ったんだ」

かがり「勿論、りんたろうパパからだよ?」

鈴羽「オカリンおじさんはうーぱを買うような人間じゃないだろ! やっぱりかがりは間違って―――」

まゆり「そ、それは違うよ?」

鈴羽「……どういうこと、まゆ姉さん?」

まゆり「まゆしぃはオカリンにうーぱを買ってもらったことがあるので」

鈴羽「そ、そうなの?」キョトン

岡部「あー……確かに、そんなこともあったな」

鈴羽「なぁっ……」


かがり「ほーら! 鈴羽お姉ちゃんは間違ってる! 私とりんたろうパパが仲良くしてて羨ましいんだ!」

鈴羽「ち、ちがっ!」

かがり「だったら、お姉ちゃんもダルおじさんと仲良くすればいいのにー」

ダル「ぼ、僕はいつでもおっけい、おっけい、おっけいさんだお……ハァハァ」ワキワキ

鈴羽「……父さん?」ジャキッ カチャッ

ダル「ちょ、拳銃しまえって! 安全装置外すなってぇ!」

るか(あれ、おもちゃですよね?)


岡部「お、落ち着け鈴羽!」

鈴羽「悪いけど、るか兄さん、と、まゆ姉さん。ちょっと席を外してもらえるかな」

まゆり「えっ……」

るか「……また僕は傍観者なんですか」

鈴羽「ちょっとこれから父さ、じゃなかった、兄さんを、人に見せられない状態にするから」ジャキッ

ダル「はっ」

るか「そ、そういうことなら……ごゆっくりどうぞ」

まゆり「や、やさしくしてあげてね?」


ガチャ バタン


ダル「るか氏ぃーーーっ! まゆ氏ぃーーーっ!」


鈴羽「……大丈夫。二人は中央通り方面に歩いて行った」チラッ

鈴羽「でも、こっちは大丈夫じゃない、か……」クルッ


かがり「だいすきだよ、りんたろうパパぁ……」スヤスヤ


岡部「……寝言か。俺の太ももの上なんかで、安心しきった顔をしているが」

ダル「一体全体、何がどういうことなんだってばよ」


鈴羽「オカリンおじさんも気付いていると思うけど、かがりの言っていることには絶対的な矛盾がある」

岡部「ああ。わかっている。俺もさっきはテンパっていただけだ」

ダル「えっ? それってなんなん?」

岡部「それは……」


鈴羽「岡部倫太郎は、2025年に死ぬ」


ダル「あっ……」

岡部「いや、そこは感情的にならなくていい。つまり、死人が養女など迎え入れられるわけがないんだ」

鈴羽「かがりは2026年生まれ。"りんたろうパパ"という言葉は、もうそれだけで矛盾している」

岡部「ということは、これは一体……?」

かがり「ムニャムニャ……」

ダル「記憶がまだ戻ってないとか?」

鈴羽「それとも、混乱している、か……」

岡部「記憶……記憶、か」


真帆『――――記憶の混濁はあり得るか、ね』

岡部「専門家の意見を聞きたくてな、こうしてRINE通話をさせてもらった」

真帆『どうしてそういうことを聞いてくるのか、非常に問い質したいところだけれど、今はいいわ。あなたは命の恩人だもの』

岡部「助かる」

真帆『もちろん、そういう症例が無いわけじゃない。軽度のものなら、それこそ誰の脳にも起こり得る通常の現象とも言える』

岡部「例えば、母親を探していたはずの人間が、ある男性に対して、あなたが私の探していた人です、と断言する、なんてことはあるのか?」

真帆『すごく特殊な例ね。……常識的に考えれば、無い、わね』

岡部「……常識を超えたところに答えがあるとすれば?」

真帆『あるとすれば、"偽造記憶"くらいかしら』

岡部「偽造、記憶!?」


岡部「そんなことが可能なのか!?」

真帆『私の研究テーマの一つでもあるのよ、偽造記憶』

岡部「なっ……」

真帆『マウスに偽の記憶を与えて、どのような反応を示すのか。……今は色々あって宙ぶらりんになっているけれど』

岡部「つ、つまり、人間の記憶を、そいつにとっての過去を、改変できる能力が、現実に存在している、と……!?」

真帆『人間の脳を扱うほどの実験レベルでは到底ないわ! なにより倫理規定とか、人権とか―――』


岡部(実は人間に応用できる技術だとして、仮にそうだとしたら……どういうことなんだ……?)


岡部「…………」

ダル「真帆たん、なんて?」

岡部「偽造、記憶……」

鈴羽「なんだって!?」

ダル「しーっ! かがりたん、起きちゃうお!」

鈴羽「あ、ごめん。でも……確かに未来には、最強の兵士の記憶を戦闘マシーンにインプットした兵器があった」

岡部「なっ!? そんなものが!?」

ダル「マジかよ、それなんてSF!」

鈴羽「未来でそのレベルの技術があるんだ。この時代に人間の記憶を偽造する技術があってもおかしくない」


ダル「その、かがりたんを探してるとかいう例の外国人が、そういうことをしたってことになるん?」

岡部「だが、仮にそうだとして、一体なんのために?」

鈴羽「……わからない。そもそも、オカリンおじさんが2025年に死んじゃうことを知ってないと、何か目的があったとしても意味が無い」

岡部「かがりは? 幼少期のかがりは、俺が既に死んでいることは知っていたのか?」

鈴羽「うん。一応、あたしが知っていた情報はすべてかがりに伝えてあるつもり」

岡部「ということは、かがりに偽造記憶を注入した奴らは、前もってかがりから情報を聞き出していたのかも知れない」

鈴羽「ッ!? かがりがあたしたちのスパイとして、利用されたって言いたいのか!?」ガタッ

ダル「あ、ちょっ!」


かがり「んむぅ……もう、なに?」


かがり「あ、パパだ」ニコ

岡部「お、おう」テレッ

ダル「くそぅ、オカリンめ……寝起きパパ呼びとは、羨ましすぐるだろ常考!!」

鈴羽「くっ……」

かがり「どうしたの、鈴羽お姉ちゃん?」キョトン

鈴羽「……なぁ、かがり。お前は……」

鈴羽「…………」

鈴羽「なんでもない。ちょっと出てくる」ガチャ バタン

ダル「あ、おい、鈴羽ぁ! 僕、鈴羽の様子見てくるお!」ガチャ バタン

岡部「あ……」


かがり「二人だけになっちゃったね、りんたろうパパ」

岡部「というか、だな。そろそろ、起き上がってもらえるか?」

かがり「はーいっ! んーっ、眠ったら汗かいちゃった。パパ、一緒にお風呂入ろう?」

岡部「」ブーーーーッ

かがり「ど、どうしたの? 変なものでも食べた?」

岡部「い、いや、ゲフン、その、お風呂? シャワー? は、さすがに、マズいんじゃ、ないか……?」プルプル

かがり「えー? だってかがり、まだ小学生だよ?」タユンタユン

岡部(目の前に揺れているソレは、間違いなく成人女性のソレだ……)ゴクリ


かがり「たしかここ、シャワーがあったよね。湯舟が無いのはちょっと残念だけど」

岡部「そ、そうだな。だから、やめような? な?」

かがり「それじゃ、お洋服の脱がせあいっこ、しよっか!」タユンタユン

岡部「待て待て待てっ! お前、ラボに来てからの記憶は無いのか!? シャワーがあることもわかってたじゃないか!」

かがり「……あははー、バレちゃった。もちろん、自分が22歳だって自覚はあるよ?」テヘ

岡部(この女……)


かがり「でもね、ようやく子どもの頃の記憶を思い出せたんだもん。昔と同じこと、したいなぁ」

岡部「い、いや、だからと言って、シャワーはマズイだろ、シャワーは……」ドキドキ

かがり「じゃぁさ、お散歩しよう! パパと一緒にお買い物、行きたいな~♪」

岡部(まぁ、それならシャワーよりはマシだよな。うん)

かがり「ほーら、りんたろうパパ。お手て、つなご?」

岡部「おててっ!?」


秋葉原 街中



岡部(この非リア充が集まる街で、女性と手を繋いで歩くのはかなり勇気の要る行為だ。まゆりとだってしたことはほとんど無い。しかも―――)


かがり「パパとデート! パパとお買い物! パパ、大好きぃ~♡」ルンルン


通行人A「ヒソヒソヒソ」

通行人B「ヒソヒソヒソ」


岡部(完全に円光現場ではないか!!)


ダル「今オカリン、完全に円光です本当にありがとうございました、って思ったっしょ?」

岡部「ぬおっ!? ダル、こんなところに居たのか!? おどかすなよ……」

鈴羽「……二人で何してるわけ?」

かがり「うふふ、パパとお買い物だよ! 鈴羽お姉ちゃんも?」

鈴羽「あたしは違う。遊んでる暇なんて、無い」

ダル「す、鈴羽……?」


鈴羽「オカリンおじさん。ひとつだけ忠告しておく」

鈴羽「もしかがりがスパイだとしたら、勿論、たとえ本人にその気がなかったとしても、だ」

鈴羽「……この世界は終わるよ」クルッ ダッ

ダル「あ、ちょ! そんなに早く走ったらさすがのパパも追いつけないっつーの!」ハァ ハァ


岡部「鈴羽……」

かがり「変なお姉ちゃん。ね、パパ。続き、しよ?」

岡部「お、おう……」


柳林神社 境内



かがり「このオデン缶、おいしいね~」ハフハフ

岡部(ルカ子も、まゆりも来ていない、か……)

岡部「……なぁ、かがり」

かがり「うん? なぁに、パパ?」

岡部「お寺に保護される前の記憶は、まだ取り戻せていないのか?」

かがり「……うん。ごめんね、パパ」ウルッ

岡部「い、いや! かがりを責めているわけではない! そういうわけじゃないんだ!」アタフタ

かがり「けど、私のせいでラボのみんなに迷惑かけちゃって……パパにも……」グスッ

岡部「た、頼むから泣かないでくれ……!」


フェイリス「あーっ! オカリンが、カガニャンを泣かせてるニャー! これは事件ニャー!」


岡部「んはっ!!」


フェイリス「で、こんなところで何してるニャーン?」

岡部「挨拶代わりにからかうのはやめてくれ……」

かがり「あ、"るみほお姉ちゃん"!」


フェイリス「…………」※真顔


岡部「ち、違うぞフェイリス! かがりにフェイリスの本名を教えたのは俺じゃない! 元々知ってたんだ!」

岡部「というか、かがり! わかっててからかうんじゃありません!」

かがり「てへっ。はーい、りんたろうパパ!」

フェイリス「パ……パパ……?」プルプル

岡部「あっ」


フェイリス「―――あやうく通報するところだったニャ」

岡部「まったく、とんだ災難だ……」ハァ

フェイリス「でも、記憶が戻って本当に良かったニャン!」

かがり「ありがと、るみほおね―――」

フェイリス「フェ・イ・リ・ス・お・ね・え・さ・ん・ニャ?」ニコ

かがり「う、うん」

フェイリス「……ちょっとオカリン、いいかニャ?」

岡部「ん? なんだ?」

フェイリス「カガニャン、悪いけど、少しパパを借りるニャ」

かがり「早めに返してねー」


本殿裏



フェイリス「カガニャン、嘘をついてるニャ」

岡部「な、何!?」

フェイリス「たぶん、その取り戻したって言う記憶に、自分でも違和感を覚えてる、みたいな、そんな感じニャ」

岡部「すごい観察眼だな……」

フェイリス「わからニャいけど、今までの恐怖とか寂しさがすごすぎて、自分で自分を安心させるために無理やり納得してるんだと思うニャ」

岡部「そう、なのか……」


フェイリス「でも、仮に本当の記憶があったとしても、嘘の記憶のままの方が幸せ、っていうことも、あるかも……知れない……」

岡部「……フェイリス?」

フェイリス「それはきっと、夢のような世界だと、思うの……」

フェイリス「パパが生きてて、一緒に居れる世界、なんて……」ウルッ

岡部「…………」

フェイリス「あ、あれ? なんでフェイリスが、こんな気持ちに……ううん、なんでもニャいニャ! ニャハハハ!」

フェイリス「それじゃ、フェイリスはアキバのみんなをいっぱいいっぱい元気にしてくるのニャ! バイニャ~~!」タッ タッ


岡部(フェイリス、まさかα世界線での記憶が……)


境内



岡部「…………」

かがり「あ、パパ! おかえりー!」

まゆり「オカリン、もうお話、大丈夫なの?」

岡部「来てたのか。すまないな、追い出すような真似をしてしまって」

まゆり「ううん、まゆしぃは平気だよ」ニコ

るか「岡部さん。こちらにいらしてたんですね」

岡部「かがりを送り届けるついでに、と思ってな」

かがり「えっ? 今日から私、パパと一緒に寝たいんだけど」

岡部「んなぁっ!?」

るか「え、ええっ!?」


まゆり「えっとね? そういうのは、お父さんとお母さんの許可を取ってからじゃないと……」

かがり「私のお父さんは、りんたろうパパだよ?」

まゆり「あうぅ……」

岡部「ちょ、ちょっと待ってくれ! さすがにそれは……」

るか(―――ハッ!)ピコーン

るか「も、もし岡部さんさえ良ければ、今日はボクの部屋に泊まっていきませんか……?」モジモジ

岡部「あ、ああ。そういうことなら大丈夫だ」

岡部(ルカ子は男、ルカ子は男だ、問題ない……!)

まゆり「あっ! だったらまゆしぃもお泊り会に参加したいのです!」


ルカの部屋



岡部「まゆりの親父さん、よくOKを出してくれたな」

まゆり「えへへー。かがりさんが今大変な状況だっていうお話をしたら、おーけーしてくれたのです」

かがり「おっとまり! おっとまり! パパと久しぶりのおっとまり!」ダキッ

岡部「……言葉だけ聞くと、複雑な家庭みたいだな」

るか「あ、あはは……」


かがり「それじゃ、私はパパとお風呂に―――」

まゆり「あ、あのね、かがりさん! お風呂はまゆしぃと一緒に入ろ?」

かがり「えぇー」ムスッ

まゆり「お風呂の中でね、オカリンのこと、一緒に色々お話しよう? ね?」

かがり「あっ! ガールズトークってやつだ! やってみたい、やってみたい!」

岡部(まゆり、グッジョブだ!)

るか「そ、それじゃあ、ボクたちは二人を待ってるね」

かがり「ハーイ!」


るか「…………」

岡部「…………」

るか(お、岡部さんと、自分の部屋で、二人っきり……!)ドキドキ

岡部(なんだかいい香りのする部屋だ。だが、だが……ッ!)ドキドキ

るか「テ、テレビでも見ましょうか」ピッ

岡部「お、おう。そうだな……」

るか「……そ、その」

岡部「なっ、なんだ……?」

るか「ボ、ボクたちも、男同士、い、一緒に、お風呂、入りますか……?」カァァ

るか「な、なぁんて! じょ、冗談です、よ……アハハ……」

岡部(だが男だ、だが男だ、だが男だ、だが男だ、だが男だ、だが男だ……)


まゆり「はふぅ、いいお湯だったよー。るかくん、パジャマ貸してくれてありがとう」

るか「ちょっとサイズが大きくてごめんね」

岡部「それで、ガールズトークとやらはできたのか?」

まゆり「う、うん。オカリンの好きな女性のタイプとかで盛り上がったんだよーえへへー」

岡部「ほ、ほーう。そうなの、かー」

るか(好きな"女性"の、タイプ、ですか……)


かがり「見て見て! りんたろうパパの好きな髪型にしてきたよー!」


岡部「――――んなぁっ!!!」


かがり「うふふ、いつも前髪パッツンだったから、センターに寄せてみたの! どう、ねえ、どう?」ジリッ

岡部(こ、これではまるで、紅莉栖そっくりではないか……!)ドキドキ

まゆり「ご、ごめんねオカリン! かがりさんって、ケータイの中に入ってたクリスさんに似てるねって話をしちゃって……」

岡部「い、いや、まゆりは悪くない……」

かがり「ケータイの中に入ってる女の子だから、よっぽど好きなんだろうなーって思ったんだけど、この反応は当たってたなー?」ニヤニヤ

岡部「うぐっ……いや、しかし、紅莉栖とは明らかに違うところが一カ所、いや二か所……」

かがり「ん? どこどこ?」タユンタユン

岡部(人はどうして山に登るのだろう。そこに山があるからだ)


岡部「それで、かがり。ちょっと話がしたいんだが、いいか?」

かがり「んー? いいよ♪ パパ♪」

岡部(ぐっ! この容姿で"パパ"と呼ばれると、なぜか中鉢の顔が浮かんでしまう……)ギリッ

岡部「コホン。その、お前の取り戻した記憶についてなんだが……」

かがり「な、なあに?」ビクッ

岡部「やっぱり、自分でもおかしいと思ってるんじゃないか?」

かがり「…………」

るか「かがりちゃん……」

まゆり「…………」

かがり「あ、あはは。さすが私のパパだね。隠し事、できないや……」


かがり「おかしいなって思ったのはね、例の歌なの」

岡部「あぁ、あれか……」

かがり「さーがーしーもの、ひとつー……。うん、どうしても、パパの声で再生されなくて」

かがり「もっとやさしい、女の人の声だった気がするの」

岡部(間違いなくそれは、まゆりの声だろうな)

かがり「一緒に手を繋いで歩いた感覚も、やっぱり、違ってた」

かがり「手のやわらかさとか、あったかさとか、匂いとか」

岡部(それを確かめるために散歩に誘ったのか)

かがり「でもね、そういう、感覚的なもの以外はね、ちゃんとパパの記憶なの」

岡部「……そうか。そういう、身体が覚えているような記憶と、脳が覚えている記憶がズレているのか」

かがり「そ、そうなの、かな……。難しくて、よくわかんないや……」


かがり「でもさ、これって、どういうことなの? 私、どうしていくつも記憶を持ってるの?」ウルッ

岡部「かがり……」

かがり「不安だよ……自分の過去が、自分でわからないなんて、自分が自分じゃないみたいで、わけわかんないよ……!」ヒシッ

岡部(……フェイリスの言った通りだったな)


『仮に本当の記憶があったとしても、嘘の記憶のままの方が幸せ、っていうことも、あるかも……知れない……』


岡部(それはまるで、α世界線で俺が犠牲にし続けた、仲間たちの記憶と一緒だ)

岡部(だが、俺はもう犠牲にしない。しなくていい。ここは、β世界線なんだから)



岡部「―――かがり。聞いてくれ」

かがり「パパ……?」グスッ


岡部「今の俺には自分がかがりの父親だ、という記憶も自覚も無い」

かがり「う、うん。それは、わかってるよ……」

岡部「そして、お前の記憶がどうしていくつもあるのか、それもわからない」

かがり「うん……」

岡部「この謎はいつか解明されなければならない。それも、なるべく早く」

岡部(怪しい奴らがまたかがりに何かする前に……)

岡部「だが、答えが出るまでは、真実が明らかになるまでは―――」


岡部「俺が、かがりのパパだよ」

かがり「パパ……!!」ダキッ


未来ガジェット研究所



ダル「―――で、こうなってるってわけっすな」

かがり「んふふ~♪ パパ、だいしゅき~♡」ダキッ

岡部「こ、こら、かがり! あんまりくっつくんじゃない! 動きにくいぞ!」

かがり「パパに怒られるの、しゅき~♡」

ダル「んで、夕べはお楽しみでしたね?」

岡部「馬鹿言え。娘に手を出す父親がどこにいる」

鈴羽「だってよ、父さん」

ダル「ぐぬぬ……」

まゆり「オカリンはすっかりお父さんだね~」ニコニコ

かがり「うふふ、私の素敵なパパなの~♪」


ダル「つか、鈴羽的には納得したん? なんかちょっとメリバっぽい雰囲気が流れてるわけだが」

鈴羽「一応ね。かがりにまつわる謎を一刻も早く解明して、敵の目的を明らかにする必要があるってのは同意だから」

鈴羽「……ううん、本当は、かがりをスパイだなんて疑いたくないんだ。軍人として失格なのは、わかってるけど」

ダル「鈴羽が本当は優しい子だってこと、父さん知ってるお」

鈴羽「なぁっ……。こういう時だけ、父親面、しないでよ……」テレッ

まゆり「えっへへ~。みんなが仲良しで、まゆしぃはとっても嬉しいのです!」


かがり「でもね、実は、まゆりさんが私のお母さんな気もしてるんだー」

まゆり「え? それって、つまり―――はわわぁ!? ///」

岡部「ハッ!? ち、違うぞ、まゆり! そういう意味ではなくてだなっ!」アセッ

かがり「私としてはー、りんたろうパパとまゆりママが仲良くしてくれると嬉しいなっ!」

まゆり「まゆしぃ、ママになっちゃった……! し、しかも、オ、オ、オカリンの、お嫁さんにも……///」

岡部「ま、ま、ま、まゆりぃ!? それは違うんだ、勘違いなんだっ!!」

ダル「まぁ、その方が話としてはややこしくなくて済む罠」

鈴羽「かがりのパパになるんだろ? オカリンおじさん」ニヤリ

まゆり「ふ、不束者ですが、ど、どうぞよろしくお願いしますのです……///」


岡部「――――どうしてこうなったぁー!!!」


ヴィクコン脳科研



謎の人物「K6205の記憶をちょっと弄ったら弄り過ぎちゃったみたいだネー」フーム


真帆「……?」

レスキネン「おっと、今日は早いんだネー、マホ。何か用事かな?」

真帆「いえ、ちょっと昔の研究データを捜しに」

レスキネン「そういえば、リンターロは最近どうしているんだい?」

真帆「それが……岡部さん、父親になった、みたいです」

レスキネン「それはそれは、おめでとうマホ! いつ産まれるのかな?」

真帆「へっ? ……なぁぁッ!?!? ///」

レスキネン「?」





おわり

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