春香「グランプリプロデューサー」

それは私がアイドル引退を目前に控えた夜の出来事でした

その頃は既にデビュー当時から一緒にやってきた何人かもそれぞれ別の道に進み

765プロは世代交代の過渡期でそんな時に社長が退任を発表し相談役兼パートタイマーに就任し

次期社長には私のプロデューサーさんが就任することに決まった

　
私が忘れ物を取りに夜遅くに事務所へ行くと中からプロデューサーさんと律子さんの声が聞こえて来ました

P「律子、いや秋月律子さん俺と結婚してください!」

凄いショックでした、あの二人が付き合ってる事を薄々感じていたけど現場を見てしまうと辛すぎる

私は事務所に入らず泣きながら自分の車に駆け込みマンションに帰りました

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律子さんが765プロを退職し独立して自分の会社を立ち上げる事を知ったのはその夜から数日後の事でした

プロデューサーさんと結婚する事よりも自分の夢を選んだ結果です

数日間憔悴しきった顔で仕事をしていた律子さんを今でも思いだします

そして、それはプロデューサーさんも同じでした

私が引退会見の打ち合わせを終え事務所に帰ると社長室の明かりだけが灯っていて、中から咽び泣く声が聞こえます

意を決してドアを開けると頭を抱え泣いていたプロデューサーさんと目が会います

袖で必死に目を擦り誤魔化そうとするのを見て私も涙が溢れてきます

P「春香か…みっともないとこを見せてすまない、しかし春香まで泣いてどうする？」

春香「こんなに辛そうなプロデューサーさん見て平気な私だと思ってるんですか!」

私はプロデューサーさんに歩みよりちからいっぱいその頭を抱きしめました

P「お、おっおい!春香」

春香「どれだけ…どれだけあなたに助けてもらったか覚えてます?今度は私が助ける番です、何があっても離れません、たとえ千早ちゃんのバストが大きくなるほどの事があってもです」

P「…春香、ありがとう…」

私が引退後765プロの社員になって、プロデューサーさん、いえ社長は意外な三人を社員として入社させ

765プロは勢いを盛り返し、二年後に私は社長と結婚しました

冬馬「おい、さっきから何ぶつぶつ言ってるんだ?社長はどこ行ったんだよ」

春香「ちょっと昔の事思いだしてて、社長は家から直行でコマンドーのレッスン指導行ったみたい」

冬馬「べネット・サリー・クックの三人は社長自らプロデューサーだからか、本気でグランプリ狙ってるな」

北斗「じゃあ五人でミーティング始めよう、翔太、長介こっち来て」

翔太「はーい、長介君も行こう」

長介「わかりました」

私の引退と同じ頃に解散したジュピターの三人をスタッフとして採用した時はびっくりしました

もともと自分たちでプロデュースも営業もやっていて961を辞めたあと苦労を経験していたジュピターは即戦力になり

一応冬馬君がプロデュースチームのリーダーで北斗さんが営業担当翔太君は主にダンス指導、高校時代から事務所でバイトしていた長介君はこの春大学を卒業してやよいと入れ替わりで入社し事務員をしています

冬馬「じゃあ今日は北斗はテレビ局と出版社に営業で翔太は見習いのダンス指導か」

北斗「何人か収録があるから乗せてくよ」

翔太「僕がレッスン指導したら収録組迎えに行くね、」

長介「経費の領収書を月末にまとめて出すのを止めてください冬馬さん」

春香「私はお昼まで事務仕事で午後は社長のお手伝いしますね」

冬馬「よし、じゃあ今日も気合い入れて行こうぜ！ミーティング終了」

冬馬「今年のグランプリはコマンドーと乙姫乱舞の一騎討ちだな、オフィスRAって最近凄い勢いだ」

春香「その年にデビューしたアイドルユニット最強決定戦、まるでダービーだね」

冬馬「ウチの事務所って獲った事無いんだよな、決勝進出もあの時以来か？」

春香「うん、律子さんの竜宮小町と社長のシグナルとジュピターで決勝やったとき以来だよ」

翔太「春香さん千早さん美希さんの三人がシグナルってユニットだったよね、よく僕ら勝てたと思う」

冬馬「オフィスRAの社長ってあの時の竜宮のプロデューサーだよな、社長にとっちゃ絶対に勝ちたいだろ」

春香「それはどうかな?むしろ絶対勝ちたいって思ってるのは律子さんだと思うよ」

かすみ「おはようございます！」

長介「朝から元気だなかすみ」

かすみ「あっこれお姉ちゃんがお弁当だって、忘れ物してお姉ちゃん怒ってたよ」

長介「ああ、帰ったら怒られる…」

冬馬「おう、おはようかすみ、今日はライブの下見とインタビューだ頑張ろうな」

かすみ「あの、冬馬さんにクッキー作って来たんですけど…春香さんに教わって」

冬馬「サンキュ、じゃあ行き掛けに食べようぜ」

春香(かすみちゃんお菓子の作り方聞いて来たのはこう言う事だったのね、昔の私とそっくり)

長介「おっかしーなー、ブラックのコーヒーが甘くて吐きそうだ」

冬馬「おまえらの姉ちゃんみたいな嫁さん欲しいよ、家庭的でしっかりしててって熱い!」

かすみ「ごめんなさいコーヒーこぼしました！」

春香(冬馬君の鈍感なとこ社長に似てるわ、頑張ってかすみちゃん)

春香「グランプリ当日ですよ!当日」

P「いよいよだな、思いっきり楽しんでこい!緊張するなよ」

クック「とんでもねえ、待ってたんだ」

サリー「乙姫の相手は私がしといてやるよ」

P「面白い奴だな、[ﾋﾟｰｰｰ]のは最後にしてやる」

べネット「相手はただのカカシだ、瞬きする間に皆殺しに出来る」

司会「乙姫乱舞の皆さんで七彩ボタンネオでした盛大な拍手をお願いします!」

P「いよいよだな」

春香「72が始まるんです？」

P「第三次世界大戦じゃない、俺と律子の勝負だ」

司会「続きまして765プロ所属コマンドーの登場です!」

べネット「私たちの全てを込めて、野郎ぶっ殺してやる!行きます！」

春香「グランプリ当日ですよ!当日」

P「いよいよだな、思いっきり楽しんでこい!緊張するなよ」

クック「とんでもねえ、待ってたんだ」

サリー「乙姫の相手は私がしといてやるよ」

P「面白い奴だな、[ﾋﾟｰｰｰ]のは最後にしてやる」

べネット「相手はただのカカシだ、瞬きする間に皆殺しに出来る」

司会「本年度のグランプリ優勝はオフィスRA所属の乙姫乱舞です!おめでとうございます！」

P「また勝てなかったか…」

バックステージ

P「秋月社長、優勝おめでとうございます」

律子「ありがとうございます、天海社長、何か不思議ですね」

P「俺は次男坊で春香は１人娘だからな、婿養子に入って向こうの親も喜んでたよ」

律子「それだけじゃなくてお互いに」

P「じゃあ昔みたいにするか、おめでとう律子」

律子「…あっありがとう、っございます、やっと悩み抜いた結果が出ました」

P「泣くなよ、お互いこれで良かったんだ」

律子「プロデューサー殿、ひとつだけお願いして良いですか？」

P「おいおい、グランプリ獲った上におねだりか?まあ良いよ」

律子「私の夢はグランプリ獲ってあなたの胸で思いっきり泣くことだったんです!」

ギュッ

P「ほら、思いっきり泣けよ春香にバレたら土下座でもなんでもするから心配するな」

乙姫乱舞「社長ー!律子社長ー!表彰式始まりますよー!」

律子「今行くわよー!」

P「胸を張って行け!立派なグランプリプロデューサーさん」

P「いっ痛い！誰だ俺の足踏んだのは？」

春香「…今日だけは許してあげます、今度やったら絶対許しませんけど」

P「その気は無かったけど、本当にごめんなさい」

春香「ほら、みんなこっちに来ましたよ」

べネット「ダメでしたーううっ」

サリー「ごめんなさい、悔しいです～」

クック「乙姫半端無いって、歌もダンスもビジュアルも完璧だし、半端無いって」

P「あれは絶対トップアイドルになるな、実は楽屋で握手して貰った」

春香「三人ともこれで終わりじゃないよ、私もグランプリ獲れなかったけどトップアイドルになれたんだから」

P「よしこれから残念会だ、何でも好きな物奢ってやる、いっぱい食べていっぱい泣いて明日から頑張ろうな!」

数日後　765プロ社員ミーティング

P「来週の高槻かすみスペシャルライブの準備は問題無いな」

冬馬「完璧ですが、ちょっとサプライズを考えてます」

北斗「やよいちゃんにゲストで出て貰うつもりです、姉妹夢の共演で」

翔太「見所ありそうな新人や若手が何人か居るから来年度はユニットを２つ組めそうです」

冬馬「一つは俺たちがもう一つは社長がプロデュースするって事にしましょう、アイドルでもプロデューサーでもグランプリ獲ります！」

P「まだまだおまえらには負けんよ、よし来年は我が社で決勝戦やろう、ユニット名俺のほうは港湾労働者組合にするぞ!」

冬馬「俺たちがプロデュースするユニットは、真紅のジハードに決めます」

春香「あの、私から社長とみんなに報告があるんですけど」

P「ん?どうした春香、顔真っ赤にして」

春香「…妊娠しました、昨日病院行って２ヶ月ですよ２ヶ月…」

P「なななななnなんで家で俺に先に言わないんだよ!?サプライズってレベルじゃねーぞ、うっうー嬉しくて舌がまわらねえ!」

春香「グランプリで忙しそうだったし、結果が出てからのほうが良いかなーって」

冬馬「マジかよ!?でもグランプリは社長に負けねえぜ」

P「俺だって絶対勝つぞ！産まれてくる我が子に親父はグランプリプロデューサーだって教えてやるんだ」

北斗「冬馬はグランプリプロデューサーになってプロポーズするつもりだね」

長介「えっ?まさか…」

翔太「そのまさかだよ、付き合ってもいないのに長介君のお姉ちゃんに優勝したら結婚申し込むんだって」

長介「おいあまとうふざけんな!なあかすみ」

かすみ「社長さん絶対勝ってくださいねっ!冬馬さんにはお姉ちゃんよりふさわしい相手がいるかなーって」

あれから色々な事があったけど765プロは今日もにぎやかです

終わり

まとめに載せて

春香「グランプリプロデューサー」

春香「グランプリプロデューサー」 (18)

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