梨子「終活ノート?」 (88)

四月某日、千歌ちゃんルーム
 
梨子「はぁ、千歌ちゃんったら今日がなんの日か憶えてないのかな?」
 
千歌『ごめん梨子ちゃん、ちょっと今日はお客さんが多くて。わたしの部屋で漫画でも読んで待ってて』ペコッ
 
梨子「って家の事情なら仕方ないけどさあ」
 
梨子「進○の巨人でも読み返して待ってよっか、エビたんっ♡」ダキッ
 
パサッ
 
梨子「ってアレ? なんだろう、このノート」
 
【終活ノート 高海千歌】

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1530526323

梨子「終活ノート? 確か『自分が亡くなった時のために遺された人に伝えておきたいこと』を記しておくものよね? 葬儀の仕方とか、遺産の分配とか」
 
梨子「後は『今までの人生を振り返って、これからをどう生きていくべきか考えるきっかけにもなる』とか聞いたことがあるわね、ワイドショーで」
 
梨子(まだ千歌ちゃんは上がってこないよね?)キョロキョロ
 
梨子「すぅー、はぁ~」
 
梨子「千歌ちゃんのプライバシーを覗くのはアレだけど、私と千歌ちゃんは運命共同体なんだし問題ないよね?」
 
梨子「そもそも出しっぱにしておく千歌ちゃんが悪いんだし」ウンウン
 
梨子「りこっぴー、いきまーす!」ペラッ
 
梨子「こ、これって──」

二月○日(月)
 
想定① 対津島善子
 
梨子「なぜによっちゃん!? それにこの日って閉校祭の振替休日だったはず、どういうことだろう?」
 
実現レベル:☆☆☆☆☆
(今すぐにでも現実になりかねない以上極めて早急な対応が必要であり、かつあらゆる手段を講じなければならない)
 
梨子「なんかかなり物騒なことが書いてあるんだけど、どうしてかな?」ペラッ

千歌「ねぇ梨子ちゃん、どうして……」
 
梨子(妄想)「ごめんなさい。私、もう千歌ちゃんのこと面倒見切れないの」冷たい声
 
千歌「そんなぁ。どうして……嫌だよぅ」グスッ
 
梨子「私だって嫌なの。何度注意しても、悪いところを直そうとしてくれない人と一緒にいるのは」
 
千歌「あるならちゃんと教えてよっ! そしたら何でも直すからっ!」
 
梨子「嘘だよね? 一度だって本気で直そうとしてくれた?」
 
千歌「うっ、それは……」
 
梨子「自分でわかってるんだよね、今までそんな気はなかったって」
 
千歌「嫌だよぅ……わたし今度こそ変わるから、見捨てないでぇ」グスッ

善子「いい加減しつこいわよ、千歌さんっ!」
 
千歌「善子、ちゃん」ギリッ
 
善子「ヨハネよっ! リリーは千歌さんじゃなくて、このヨハネを選んだの。どうしてかわかる?」
 
梨子「言うまでもないでしょ? よっちゃんは私の言うこと、なーんでも聞いてくれる善い子だからだもんっ♡」ニコッ
 
善子「ええ。ヨハネはもう机の上に乗ったりしないし、リリーの秘密をベラベラ喋ったりもしないわ♡」
 
千歌「そんな、行かないでっ! わたし、梨子ちゃんがいないなんて耐えられないよぅ」ダキッ
 
梨子「しつこいのよ、離れてっ!」ゲシッ
 
善子「そうよ、リリーから離れなさいっ!」ゲシッ
 
千歌「ぐはぁっ!? 息ピッタリだなんてっ!」バタッ

梨子「これでわかったでしょ? 千歌ちゃんじゃなくて、よっちゃんこそが私にとって運命の人だったの」
 
千歌「待って、待ってよぅ」
 
善子「諦めなさい、千歌さん。本当にリリーが好きだってなら」
 
千歌「うっ……うわあぁぁぁぁーっ」
 
梨子「さようなら″高海さん″。私、全部忘れて新しい恋、始めるから」
 
`¶cリ˘ヮ˚)| ♡ メイ*^ _ ^リ やっぱり″よしりこ″なんだ変な人ヨハねぇ!
 
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梨子(現実)「ええーっ!? 何この昼ドラみたいなシチュエーション」
 
梨子「しかも涙の染みまでできて……いや、血痕まで? まさか、リストカット!?」
 
梨子「思い返せば千歌ちゃん、振替後の火曜日に包帯巻いてたよね。左手首に」
 
千歌『いや、ちょっと洋梨の皮剥くのに失敗して切っただけだから、心配しなくていいよ』
 
梨子「って言ってたけど、怪しくなってきたなぁ」
 
未来を回避する方法:梨子ちゃんから注意されたありとあらゆる至らぬ点を直す
(以下、一覧)
 
梨子「なんか千歌ちゃんに言ったことあるような内容がビッシリと」
 
梨子「だから決勝で使う曲の歌詞出すのも早かったし、『梨子ちゃん、わたし変なことしてないよね?』ってやたらと尋ねてくるようになったのね」

方法その2:梨子ちゃんが善子ちゃんに惹かれているであろう要素を真似る
(↑本人に否定されました)
 
梨子「ああ、だから一時期『何用かね、このリトルドラゴンちかちーに』とか言い出したり、黒ずくめになったり、お団子ヘアーにイメチェンしたりしたのね」
 
梨子「最終的には『よっちゃんが二人になられたらすっごい迷惑なんだけど』って指摘したら止めてくれたけどね」ハァ
 
方法その3:人格交換
 
梨子「よっちゃんと入れ替わるつもり!? どんだけー」
 
方法その4:アインシュタインの特殊相対性理論を勉強し、タイムマシンを作る
(既に梨子ちゃんの中でわたしへのマイナス感情が蓄積している場合、もはや何を試みようとも手遅れである。故に初めて出逢った日に戻り、マイナス点が付かないよう今度こそ完璧にこなしてみせる!)
 
梨子「タイムリープまで検討してたなんて、『私の戦場はここじゃない』ってやつ!?」
 
梨子「それに千歌ちゃんにマイナス感情なんて持ってる訳ないのに……」ハァ

方法その5:わたしだけを愛してくれるよう「サルでもわかる催眠術」「初めてのヤンデレ」を購入して勉強する
 
梨子「いや、何その犯罪者を生み出しかねない悪魔の書」
 
方法その6:人から愛されるギアスが欲しい
 
梨子「絶対遵守じゃないのね」
 
方法その7:いっそ穢土転生させて
 
梨子「一回私を[ピーーー]つもり!? もう完全にヤンデレ入ってるよね!」 
 
追記:わたしは梨子ちゃんのガワを好きになったの? 
否、わたしは梨子ちゃんが辛い時に励まし、隣で支えてくれたから惹かれていったのだ
単なるわたしに言いなりのお人形さんなら、それはもはや梨子ちゃんじゃない!
 
梨子「よく頑張ったね、千歌ちゃんの良心」ホロリ

方法その8:いっそクローン技術を用いて梨子ちゃんを量産し、学習装置で梨子ちゃんの人格をインストールする
そして幼少期からわたしだけを愛してくれるよう刷り込みを行う
 
梨子「千歌ちゃんはどこぞの統括理事長にでもなるつもりなの!? なんかみかんジュースの中で逆さまに浮かぶ千歌ちゃんのイメージがありありと浮かぶんだけど」
 
梨子「っていうか千歌ちゃんもよっちゃんに負けず劣らず厨二病だよね? これ読んでるとそう思う」ヤレヤレ
 
梨子「なんか最終的にどこぞの能力バトル物のラスボスみたくなりそうだし」
 
魔王ちかちー『梨子ちゃんの愛が手に入らない世界なぞ、存在する価値はあるのだろうか』虚ろな瞳
 
梨子「とか呟いたりして」
 
梨子「えーと、次は」ペラッ
 
梨子「んっ、三月△日って卒業式の日よね?」

三月△日(金)
 
想定② 対渡辺曜
 
梨子「ああ、曜ちゃんが『だーーーい好き』って叫んだの聞こえてたのね」
 
実現レベル:☆☆☆☆
(油断すればかなりの確率で実現しかねない。今からでも遅くはない、早期の予防が肝心である)
 
梨子「って生活習慣病じゃないんだから」ペラッ

音楽室
 
曜「私、梨子ちゃんのことだーーーい好き♡」
 
梨子(妄想)「うん、私も。これからもいい友達で──」
 
曜「いや、私はそんなつもりはないから」
 
梨子「えっと、どういうことかな?」キョトン
 
曜「決まってるでしょ、『恋人として』好きってことだよ」白い歯キラリン☆
 
梨子「ああ、やっぱりそういうことね。でもわからない訳じゃないよね? 私にとって一番は千歌ちゃんなんだって」
 
曜「うん、知ってる」
 
梨子「知ってて告白してきたの? どうして?」
 
曜「私達さ、なんだかんだでこの一年、一緒にいること多くなかった?」
 
梨子「そりゃ同じクラスで部活だって一緒なんだからね」
 
曜「そっか、梨子ちゃんにとって私は未だに『友達の友達』でしかなかったんだね」ショボーン メメ´- ント

梨子「いや、そういうつもりで言ったんじゃないよ。現に千歌ちゃん抜きの二人だけで居たこともそれなりにあった訳で」
 
曜「だよね。そして私は段々と梨子ちゃんに惹かれていった。おかしな話だよね? 元々嫉妬心を抱いてた相手に惚れちゃうなんて」
 
梨子「そうかな? 嫉妬心っていっても色々あるから、別におかしくはないと思うけど?」
 
曜「人はさ、自分にないモノを持つ人に惹かれていくんだろうね」
 
梨子「ええ、そうね」
 
曜「知ってのとおり、私結構ボーイッシュなところあるから、いかにも女の子女の子した梨子ちゃんに憧れちゃってた」
 
梨子「そう? 誉めてくれてありがと」ニコッ
 
曜「性格だけじゃないよ、その長くて艶のある赤髪、白くて細い指、強い意志を宿した琥珀色の瞳……」アゴクイッ
 
梨子「曜ちゃんっ// ……でも私には千歌ちゃんが──」
 
曜「私なら千歌ちゃんより梨子を幸せにしてあげられるよ、間違いなく。千歌ちゃんに出来て私に出来ないことなんて、何一つ──」

パシンッ!
 
梨子「千歌ちゃんを悪く言わないでっ!」キッ
 
曜「ふふっ、いい女でありますなぁ」ヒリヒリ
 
梨子「今日の曜ちゃん、ちょっとおかしいよ。頭でも打ったの?」ジー
 
曜「その蔑むような眼差し、いいなぁ。それでこそ私のモノにしがいがあるっ」ダキッ
 
梨子「ちょっ// 曜ちゃんっ!?」
 
曜「私の女になって、梨子♡」チュッ
 
梨子「んむっ!?」
 
曜「ぷはぁー、梨子の初めてかな?」
 
梨子「う、うん//」
 
曜「じゃあこれで梨子は私の女だね♡」キリッ
 
(*> ᴗ •*)ゞ ♡ メイ*^ _ ^リ やっぱり″ようりこ″なんだ変な人ヨーソロなぁ!
 
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梨子(現実)「いや、誰この鬼畜系BLに出てきそうな人? しかも途中から呼び捨てになってるし」
 
梨子「っていうか千歌ちゃん『普通コンプ』は卒業しても曜ちゃんへの劣等感は残ってたのね」ハァ
 
千歌『来年度から、また水泳始めようかな?』
 
梨子「って言ってたのはそのせいかな? 私はまだスクールアイドル続けてたいんだけどなぁ、千歌ちゃんと一緒に」
 
未来を回避する方法:何か一つでも曜ちゃんに勝てるものを持ち、そこを梨子ちゃんにアピールする
 
梨子「いや、あるよね? 球技とか音楽の成績とかスマ○ラの腕とか。それに私が大好きだって気持ちとか」
 
梨子「とりあえずこの『終活』っていうのが『私との関係が終わりを迎えないようにするには、どうすればいいか対策を考えること』っていうのはわかったわ」
 
梨子「やっぱり未だに引きずってるんだね、閉校祭で私が誘いを断ったことを。あれ以来、千歌ちゃんと二人きりになると気まずくなってばかりだし」ハァ
 
梨子(今日こそは仲直りしてみせる! だって今日は私達にとって『特別な日』なんだから!)

三月□日(日)
 
想定③ 対松浦果南
 
梨子「果南さんとはそんなに話したことなかったけど脅威なのかな? それにもう沼津にはいないのに」
 
実現レベル:☆☆☆
(実現する可能性は低いが、善子ちゃんのようにふとしたきっかけで急接近する場合もあるため油断は禁物。何か新しいことを始めたのが確認されたなら、すぐ☆4つ~5つに上昇も)
 
梨子「ええーっ、警戒されてるの!? これから色々始めようって考えてるのに」
 
梨子「千歌ちゃんに手料理食べてもらいたいし、千歌ちゃんに服とかぬいぐるみとかプレゼントしたいのになぁ」ペラッ

砂浜
 
梨子(妄想・ビキニ)「ふぅ、果南さん遅いなぁ。たかだかアイス買ってくるだけなのに」
 
梨子(もしかして、まーた口説かれてるんじゃ)ハァ
 
チャラ男A「ようよう、そこのカワイコちゃ~ん」
 
梨子「えっ、私?」
 
チャラ男B「ちょっと俺達と楽しいス○ラトゥーン大会(意味深)でもしな~い?」グイッ
 
梨子「ちょっ、サイレントチェリーブロッサムナイトメアぁ!」ミシッ
 
チャラ男B「ぐわぁっ!?」バタッ
 
チャラ男A「このアマぁ!」グイッ
 
チャラ男C「よくもB男をっ!」グイッ
 
梨子「きゃっ!? 離してっ!」
 
チャラ男D「おいおい、さっきまでの威勢の良さはどこ行ったんだい?」
 
チャラ男A「女の分際で男に勝てると──ぐはっ!?」バタッ
 
チャラ男C「A男っ!?」

果南「おうおう、私の女に手ぇ出すとはいい度胸だね」
 
梨子「果南さんっ!? っていうか今『私の女』って//」ポッ
 
果南「お前達、か弱い女の子相手によってたかって恥ずかしくないのかっ!」キッ
 
チャラ男C「いや、プロレス技掛けて一人のしたようなのがか弱くはねーだろ!」
 
果南「確かにそうだね」ウンウン
 
梨子「果南さんっ!」プンスコ
 
チャラ男D「何にせよ、プラスチックスプーンの投擲で一人のしたテメーも、只者じゃねーってことだよな?」
 
果南「まあ、そうなるかな?」
 
チャラ男C「だったら俺らも全員でやらせてもらうぜぇ!」

果南「この団体様相手なら……少ししんどいかもね」
 
チャラ男E「よく見たらオメーもいい身体してんじゃねーか! よっしゃ!」ガバッ
 
果南「遅いっ!」スッ
 
チャラ男E「ひでぶっ!?」バタッ
 
チャラ男F「だったら!」
 
チャラ男G「左右からっ!」
 
果南「甘いよっ」トンッ
 
チャラ男F「あべしっ!?」バタッ
 
チャラ男G「あびばっ!?」バタッ
 
梨子「早いっ!?」

(中略)
 
チャラ男一同「」チーン
 
梨子「じゅ、12人の不良男が……3分でっ!?」
 
果南「まだやるつもり?」
 
チャラ男C「ぐっ……覚えてやがれー」シュタッ
 
果南「一昨日来やがれっての」
 
梨子「ふぅ、助かったぁ」フニャッ
 
果南「……良かったよ、梨子に傷一つなくて」
 
梨子「う、うん」
 
果南「悪かったね、並んでて遅く──」
 
梨子「果南さんっ」ダキッ
 
果南「梨子……」
 
梨子「怖かった、怖かったですよぅ……」グスッ
 
果南「よしよし、泣いていいんだよ。私の胸で」ナデナデ
 
梨子「ううっ、うううっ」グスッ

パラソルの下

果南「あちゃー、アイス溶けちゃってるね。ごめん梨子」ペコッ
 
梨子「ううん、仕方ないですって」
 
果南「いいの? 生ぬるいよ」
 
梨子「私、少し溶け始めたくらいが好きなんで。ってな訳ではい、あーん♡」つスプーン
 
果南「あーん♡ ってこんなところで?」
 
梨子「見せ付けてあげたいんです、私と果南さんがラブラブなんだって♡」
 
果南「まあ、いいかもね。また梨子に悪い虫が寄って来たらしんどいし」
 
梨子「私にだけじゃないですよ、果南さんに寄ってくる虫もいるんですからね」
 
果南「ああ……それもそっか」ハムッ
 
梨子「美味しいですか?」
 
果南「うん、美味しいよ」ニコッ
 
梨子「果南さん//」ポッ
 
∫∫( c||^ヮ^|| ♡ メイ*^ _ ^リ やっぱり″かなりこ″なんだハグしよ変な人なぁ!
 
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梨子(現実)「果南さんつっよ。っていうか千歌ちゃんから見てもイケメン扱いなんだね」
 
梨子「あと多分この話『スプ○トゥーンやりたい』って思いながら書いたんだろうなぁ。まあ『やろう』って誘われたらいつでも付き合うけど」
 
未来を回避する方法:体力付けるためひたすら筋トレする
(今まで怠惰な生活をしていたのが悔やまれる)
 
梨子「やっぱり後悔してるんだね、色んなこと途中で投げ出してきたの」
 
(最悪ドーピングも選択肢の一つとして念頭に置いて)
 
梨子「薬物、ダメ、絶対」

三月◆日(月)
 
想定④ 対黒澤ダイヤさん
 
梨子「紙面でも『さん』は付けるんだね」
 
実現レベル:☆☆☆
 
梨子「果南さんと同じ☆3つなのね。確かにダイヤさんともそんなに親しくしてなかったし、妥当なところかな?」
 
梨子「どれどれ~♪」ペラッ

東京都内、駅前
 
梨子(妄想)「ううー、くしゅん」
 
ダイヤ「すみません、梨子さん。いつもいつも待たせてしまって」
 
梨子「いいですよ、謝らなくて。一度下宿まで戻るのは骨が折れますから」ニコッ
 
ダイヤ「そうですわね」ダキッ
 
梨子「ダイヤ、さん//」ポッ
 
ダイヤ「冷たいではありませんか、髪だって芯まで凍っているみたいで」
 
梨子「気にしないで下さい。『今日は冷える』って予報だったのに、下にもう一枚着込んでこなかった私が悪いんですから」
 
ダイヤ「でしたら」つトレンチコート
 
梨子「いや、でもそしたらダイヤさんが」

ダイヤ「ですが梨子さんが風邪をひいてしまっては──」
 
梨子「いいですか、今はダイヤさんが稼ぎ頭なんですよ。そんなダイヤさんが体調を崩してしまったら元も子もないんですからね」プンスコ
 
ダイヤ「え、ええ。でしたら、せめてこれだけでも」つマフラー
 
梨子「いや、別にいいですって」
 
ダイヤ「受け取って下さい。首元が空いていると、そこから冷たい空気が入ってきますので」
 
梨子「……わかりました」マキマキ
 
ダイヤ「どうですか?」
 
梨子「うん、あったかい// ダイヤさんの温もりを感じます//」
 
ダイヤ「まあ今の今まで、わたくしが巻いておりましたので//」
 
梨子「ありがとうございます、ダイヤさん」ペコッ
 
ダイヤ「どういたしまして」ペコッ

ダイヤ「ひゃんっ!?」
 
梨子「っていきなりどうしたんですか?」
 
ダイヤ「首筋に何か冷たいものが」
 
梨子「これですよ」つ雪
 
ダイヤ「雪? 東京で?」
 
梨子「東京だって数年に一度くらいは降るんですよ」
 
ダイヤ「そうでしたね、確かμ′sがラブライブの決勝に──」
 
梨子「いいですから、こんなところでまでスクールアイドル談義しなくても」
 
ダイヤ「コホン、失礼しました」
 
梨子「まあ嫌いじゃないですけどね、ダイヤさんとスクールアイドルについて話すのって」ニコッ
 
ダイヤ「そうでしたか、でしたら今度のオフ会に梨子さんも参加しません?」
 
梨子「遠慮しときます」
 
ダイヤ「……まあ初対面の方といきなり話せ、というのは酷ですものね」

梨子「足元に気を付けて歩いて下さいね」
 
ダイヤ「ええ、そうですわね。明日もこんな感じが続くのでしょうか?」
 
梨子「たぶん寝雪になるかと思います」
 
ダイヤ「それは残念ですわ」ショボーン |c||´.- `||
 
梨子「どうして残念なんです?」
 
ダイヤ「いえ、明日はお休みなので梨子さんと二人で雪だるまでも作りたいと思いまして」
 
梨子「ふふっ、可愛らしいですね」
 
ダイヤ「笑いましたわね」ムウッ
 
梨子「ダイヤさんって、案外子どもっぽいところがあるんですね」ニコッ
 
ダイヤ「いいではありませんか」プクー
 
梨子「そうやって頬膨らませて拗ねるところなんかも。でもそんなダイヤさんが、私は好きですよ♡」
 
ダイヤ「梨子さん// コホン、早く銭湯まで行きましょう。風邪をひく前に」
 
梨子「うんっ♡」
 
|c||^.- ^|| ♡ メイ*^ _ ^リ やっぱり″ダイりこ″なんだ変な人ですわぁ!
 
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梨子(現実)「ダイヤさんがお茶目なのは同意」
 
梨子「っていうかここまで書いたなら入浴シーンまで行きなさいよっ!」
 
未来を回避する方法:お嬢様力を上げる必要がありますわね
 
梨子「何その『お嬢様力』って単語」
 
梨子「っていうかだんだん筆が乗ってきてるよね? なんか歌詞がスラスラ浮かんできた時の筆跡になってるんだけど」

三月💮日(火)
 
想定⑤ 対国木田花丸
 
梨子「今度は花丸ちゃんね」
 
実現レベル:☆☆
(可能性は極めて低いが、万が一が起こった場合いつでも対応できるよう、心の片隅に留意しておくべし)
 
梨子「さほど脅威と思われてないのね。そりゃ花丸ちゃんとはほとんど話したことなかったけどさぁ」ペラッ

三月💮日(火)
 
想定⑤ 対国木田花丸
 
梨子「今度は花丸ちゃんね」
 
実現レベル:☆☆
(可能性は極めて低いが、万が一が起こった場合いつでも対応できるよう、心の片隅に留意しておくべし)
 
梨子「さほど脅威と思われてないのね。そりゃ花丸ちゃんとはほとんど話したことなかったけどさぁ」ペラッ

図書室
 
花丸「あれ、梨子さんだけ?」キョトン
 
梨子(妄想)「うん。よっちゃんは今日、千歌ちゃんと二人で話したいことがあるんだって」
 
花丸「そうなんだ、だったらまた今度に──」
 
梨子「待って、花丸ちゃん」ガシッ
 
花丸「って梨子さん!?」
 
梨子「せっかくだから、今日は私達も二人でお喋りしない?」
 
花丸「……わかったずら」

梨子「へぇ~、花丸ちゃんって聖歌隊に入ってたんだね」
 
花丸「うん、幼稚園の頃から続けているんだぁ」ニコッ
 
梨子「だからあんなに力強い歌声が出せるんだね」
 
花丸「ありがとうございます」ペコッ
 
梨子「ところで花丸ちゃんは、私のことどう思ってる?」
 
花丸「梨子さんのこと、ですか?」
 
梨子「うん、私のこと」
 
花丸「どうって言われましても……優しくて面倒見のいい先輩としか」
 
梨子「本当にそれだけ?」
 
花丸「どういう意味ですか?」


>>29
>>30
二重投稿になってしまいました、すみません

梨子「へぇ~、花丸ちゃんって聖歌隊に入ってたんだね」
 
花丸「うん、幼稚園の頃から続けているんだぁ」ニコッ
 
梨子「だからあんなに力強い歌声が出せるんだね」
 
花丸「ありがとうございます」ペコッ
 
梨子「ところで花丸ちゃんは、私のことどう思ってる?」
 
花丸「梨子さんのこと、ですか?」
 
梨子「うん、私のこと」
 
花丸「どうって言われましても……優しくて面倒見のいい先輩としか」
 
梨子「本当にそれだけ?」
 
花丸「どういう意味ですか?」

梨子「いや、私が去年の末くらいからよっちゃんといきなり距離を縮めたことこととか、内心どう思ってるのかな? って」
 
花丸「そ、それは……」ギリッ
 
梨子「やっぱり、嫉妬してたのね」
 
花丸「う、うん//」
 
梨子「そうだよね。今までずっとよっちゃんのこと色々と気に掛けてきたのは自分なのに、後から割り込んできて『なに恋人面してるんだ』って思いたくもなるよね?」
 
花丸「うっ……自覚があるのなら、もう必要以上に善子ちゃんに色目を──」
 
梨子「そうね、そうする」
 
花丸「えっ!?」キョトン

梨子「『何をそんなにあっさり』って顔ね」
 
花丸「何がしたいんですか? 梨子さんは」
 
梨子「何がって?」
 
花丸「マル達の人間関係を引っ掻き回して、ってことずら」ムスッ
 
梨子「ああ、そういうことね」
 
花丸「千歌ちゃんを弄んだだけでは飽き足らず、善子ちゃんまでたぶらかして」
 
梨子「ふふっ、そうね。私は熱しやすくて、冷めやすい女なの♪」ニヤリ
 
花丸「最低な女ですね、梨子さんって」
 
梨子「ええ、誉め言葉と受け取っておくわ。花丸ちゃん♡」アゴクイッ
 
花丸「なっ// 梨子、さんっ!?」カァーッ

梨子「そしてもう一つ言っておくなら、私は他人が持っているモノほど自分のモノにしたくなっちゃう性分なの♪」
 
花丸「だから千歌ちゃんには曜さんや果南さんが、善子ちゃんにはマルがいるとわかっておきながら手を出したんですね?」
 
梨子「うん、そういうこと♪ だから今は──」
 
花丸「善子ちゃんからマルを奪う? もう支離滅裂ずら」
 
梨子「そうね。花丸ちゃん、そんな私を温めてくれない?」
 
花丸「お断りするずら。人を使い捨てカイロのようにしか見ていない梨子さんなんて」
 
梨子「本当に? じゃあどうしてこんなに頬が真っ赤に染まってるの?」
 
花丸「別にそんなこと──」
 
梨子「そうは言うけど、身体は正直なものなのよ」ホッペプニッ
 
花丸「ふにゃんっ!?」
 
梨子「可愛い声ね。私がもっといい声で泣かせてあ・げ・る♡」
 
メイ*^ _ ^リ ♡ ノcリ,,^o^,,ル やっぱり″りこまる″なんだ変な人ずらなぁ!
 
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梨子(現実)「いや、誰この魔性の女? もうどこから突っ込んだらいいかわからないんだけど」
 
梨子「っていうか千歌ちゃんから見てもわたしと花丸ちゃんって『よっちゃんを挟んだ友達の友達』にしか見えてないのね」
 
未来を回避する方法:わたしも乙女の花園に加わる!
(問題はきっかけ作りである)
 
梨子「やっぱり寂しい思いさせちゃってたんだね、千歌ちゃんに」ハァ

三月󾭠日(金)
 
想定⑥ 対小原鞠莉
 
梨子「とうとう鞠莉さんのターンデースかぁ!」ノリノリ
 
実現レベル:☆☆☆☆☆☆
 
梨子「☆6つってよっちゃんより多いしー! なんでなんで!?」
 
(鞠莉ちゃんがその気になった場合、いかなる手段を講じようとも勝算はない)
 
梨子「『その気に』ってことは、じゃあ実質的な脅威度はもっと低いのかな?」
 
(もはや天災であると諦めざるを得ないだろう)
 
梨子「千歌ちゃんが諦めを抱くほどとは……鞠莉さんにどんな秘められた力が」ワクワク

淡島ホテル、鞠莉の私室
 
梨子(妄想)「よっちゃんが前に教えてくれたとおり、鞠莉さんの家って本当に色んなものがあるんですね」
 
鞠莉「でしょ。……ホントにね」ハァ
 
梨子「そんなに嬉しそうじゃないですね」
 
鞠莉「そりゃ世界に名だたるオハラグループの後取りとして、色々仕込まれてきたからね」
 
梨子「やっぱり……実際そういう英才教育ってあるんですね」
 
鞠莉「ええ。そうでなくちゃ海外留学の話だって出てこなかったわよ」
 
梨子「どうでしたか、向こうに居た時」

鞠莉「果南やダイヤに勧められてだから不満はあったけど、普通にエンジョイしてたわよ。向こうでもフレンドがいっぱいできたしね」ニコッ
 
梨子「そうなんですね。今でもメールとかやり取りするんですか?」
 
鞠莉「イエース☆ 彼女達も私の大切なフレンドだもの♪」ニコッ
 
梨子「へぇー、安心しました。二年間ずっと不満を抱えてた訳じゃないってわかって」
 
鞠莉「そう、センキュー。……そりゃ時々日本を思い出してホームシックになったりもしたけどね」
 
梨子「別にそれくらいは誰にでもありますよね」
 
鞠莉「リリーも東京のフレンドを思い出したりするの?」
 
梨子「ううん、私は元々そんなに誰かと深く関わることがなかったので」
 
鞠莉「あらー、なかなかクールな娘だったって訳ね」
 
梨子「そうですね、いつも周りに壁を作ってました」

鞠莉「それをデストローイ! したのが千歌っちだったのかしら? リリーにとっては超大型巨人の襲来みたいなインパクトを与えた感じで」
 
梨子「まぁ……そんなところです。鞠莉さんにとっては果南さんがそれに当たる感じですか?」
 
鞠莉「そうね、あのハグ魔がね」フフッ
 
梨子「ふふっ、ハグ魔ですか。結婚とかって考えてたりするんですか?」
 
鞠莉「さすがにそこまではナッシングよ。ただ、結婚っていうと別の問題があるのよね」つ写真
 
梨子「なんですか、この写真」
 
鞠莉「向こうでさせられたお見合い、そのお相手達よ」
 
梨子「みんな凛々しい顔立ちですね」
 
鞠莉「そりゃみんな大企業のご子息、エリートオブエリートなんだからね」
 
梨子「でも全部断ったんですよね?」
 
鞠莉「もちろん。勿体ないって思う?」
 
梨子「全然。自分の気持ちに素直であるべきですから」

鞠莉「そうよね。ところでそのフレーズ、千歌っちからの受け売り?」
 
梨子「ま、まあ、はい」
 
鞠莉「そっか、リリーの中に千歌っちが息づいているって訳ね……はぁ」
 
梨子「どうしたんですか、鞠莉さん? 具合が悪いならもう──」
 
鞠莉「いやね、曜に嫉妬ファイヤーがどうたらってアドバイスしときながら、私も偉そうに言える筋合いはなかったなぁ……ってね」
 
梨子「それってどういうことです?」
 
鞠莉「私、千歌っちにジェラシー感じちゃってる」
 
梨子「鞠莉さんが千歌ちゃんに嫉妬してる? どうしてですか?」
 
鞠莉「リリーの一番になれない、ってことに」
 
梨子「鞠莉さん……」

鞠莉「でもマリーは千歌っちに負けるつもりはないから」
 
梨子「いや、そう宣言されましても」
 
鞠莉「ってな訳でリリー、マリーをここから連れ出しなさい!」
 
梨子「は、はい?」キョトン
 
鞠莉「マリーも自分の気持ちに素直になるって決めたのデース!」
 
梨子「は、はぁ」
 
鞠莉「ちょっと、なに『やれやれ、まーた鞠莉さんの悪ふざけが始まったのか』みたいな呆れ顔は!?」
 
梨子「だって鞠莉さん、冗談と本気の区別が付きにくいんですもの」
 
鞠莉「マリーは本気だよ、これに関しては。そんな私のこと、リリーは嫌い?」
 
梨子「別に嫌いってことはないですけど──」
 
鞠莉「じゃあ決定! マリーとリリーで愛の逃避行デース!」
 
梨子「だからなんでそうなるんですかっ!」
 
鞠莉「嫌、なの?」

梨子「いや、常識的に考えて──」
 
ポヨンッ♡
 
梨子「おうっふ//」
 
梨子(や、柔らかい//)カァーッ
 
鞠莉「マリーの胸、こんなにドキドキしてるの。リリーのことを想うだけで弾け飛んじゃいそう//」
 
梨子「……はい、伝わってきます//」ドキドキ
 
梨子(保って、私の理性!)
 
梨子「だけど、家のことは──」
 
鞠莉「いいのよ、気にしなくて」
 
梨子「でもそしたら鞠莉さんが──」

鞠莉「マリーは全てを投げ出してでも、リリーを私のモノにしたいの。わかる?」
 
梨子「……わかりました。鞠莉さんがそこまでの覚悟を見せたなら、私も応えなければ女が廃ります」キリッ
 
鞠莉「リリーーっ♡」ガバッ
 
梨子「ちょっと鞠莉さんっ!? まだ昼間ですって!」
 
メイ*^ _ ^リ ♡ ノξソ>ω<ハ6 やっぱり″りこまり″なんだシャイニー変な人なぁ!
 
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梨子(現実)「は? これからが本番でしょうに!」クワッ
 
未来を回避する方法:天に祈るしかない
 
梨子「まあ気持ちはわからなくもないけど。確かにこういう風に『全てを投げうってでも君を愛してみせる』みたいなのって憧れちゃうし♡」

三月◎日(日)
 
想定⑦ 対黒澤ルビィ
 
梨子「ルビィちゃんでaqours全員ね」
 
実現レベル:☆
(全く脅威に非ず、今後10年以内に地球に巨大隕石が落下する方がまだあり得る)
 
梨子「ルビィちゃんェ……というより隕石が落ちたら私も千歌ちゃんもみんな死んじゃうよね!」ペラッ
 
(そして何よりルビィちゃんは「みんなの妹」なのだから! 妹を彼女にするとかあり得ない、世間の目とか両親を説得するとか課題も多いし)
 
梨子「地味子ェ……だけど完全に千歌ちゃんの主観だよね、それ」

桜内家玄関
 
ルビィ「お邪魔しまーす」
 
梨子(妄想)「あれ、ルビィちゃんだけ? よっちゃんと花丸ちゃんは?」
 
ルビィ「今日は二人でホラー映画観てくるんだって」
 
梨子「そうなんだ、ルビィちゃんは怖いの苦手だったもんね」
 
ルビィ「うんっ、どうしてもダメなものはダメなんで」
 
梨子「別にそれくらい、克服できなくてもいいと思うよ。私だってそういうの苦手だもん」
 
ルビィ「梨子さんも?」
 
梨子「うん。とにかく上がって。私の部屋で話しましょ」
 
ルビィ「うんっ」ニコッ

梨子ちゃんルーム
 
梨子「じゃあ、今日は何しよっか?」
 
ルビィ「いえ、今日は遊ぶとかじゃなくて、お願いがあって来たんです」
 
梨子「お願い?」
 
ルビィ「うゆっ。梨子さん、どうかルビィの……おねえちゃんになって、くださいっ」ペコッ
 
梨子「お姉ちゃん? ダイヤさんが東京に行って寂しいのはわかるけど、ちょっと」
 
ルビィ「……そうですよね、言い方が悪かったですよね?」
 
梨子「言い方? 何の?」
 
ルビィ「だって梨子さんはルビィの……もとい″林檎″の実のおねえちゃんなんですから」
 
梨子「あのー、ルビィちゃん? ″林檎″だとか実の姉だとか言われても、さっぱりついていけないんだけど」
 
ルビィ「ああ……そうですよね。まずはこれを見てください」つ紙

梨子「これって……戸籍謄本?」
 
ルビィ「はいっ。で、ここを見てください」ユビサシ
 
梨子「私に、私のママに……第二子″桜内林檎″?」
 
ルビィ「うんっ、その″林檎″っていうのがルビィ……もとい林檎のことなんです」
 
梨子「ルビィちゃん……」
 
ルビィ「ルビィ……じゃなくて林檎もつい最近知ったばかりで、いきなりこんなの見せられても信じられませんよね?」
 
梨子「そ、それはまあ」
 
ルビィ「でもっ、でもっ──」

ダキッ
 
ルビィ「えっ!?」
 
梨子「私も逢いたかったよ、″林檎″」
 
ルビィ「どう……して……」
 
梨子「私が内浦に引っ越して来た本当の理由、分かる?」
 
ルビィ「『周囲からのプレッシャーに耐えられなくなって、ピアノが弾けなくなったから』って千歌ちゃんが教えてくれました」
 
梨子「うん、確かにそれもある。でももう一つはね『生き別れになった妹に逢いたかった』からなんだ」
 
ルビィ「知ってたんですか、ルビィ……林檎がその妹なんだって」
 
梨子「うん、初見で気付いたよ。私と同じ赤髪の可愛い娘なんだもの♡」ニコッ
 
ルビィ「梨子さんっ//」カァーッ
 
梨子「ママが『やっぱり私、林檎を手放すべきじゃなかった』って泣いてるのを見ちゃって、それで『引っ越し先は内浦がいい』ってお願いしたの」
 
ルビィ「そうだったんですか。だったら……」
 
梨子「だったら?」

ルビィ「だったらどうして今までずっとルビィ……じゃなくて林檎に構ってくれなかったんですかっ!」グスッ
 
梨子「林檎……ごめんね」ナデナデ
 
ルビィ「千歌ちゃんや善子ちゃんみたいに、林檎だって優しくしてもらいたかったのに……この一年間、辛かったですっ」グスッ
 
梨子「仕方なかったのよ、ダイヤさんの目が光ってたから」
 
ルビィ「ダイヤおねえちゃんの?」
 
梨子「うん、警告されてたの。『梨子さんのご家族が一度借金の肩に手離したのです、もうルビィは貴女の妹ではありませんわ』ってね」
 
ルビィ「そんな……そんなの一言も」
 
梨子「そしてこうも言われたの」
 
ダイヤ『何よりルビィも梨子さんも、小さ過ぎてお互いのことなんて覚えていないのでしょう? 対してわたくしは十数年もの間、「姉妹として」積み重ねてきた日々と絆があります。』
 
梨子「否定できなかった、だって事実なんだから」
 
ルビィ「だけど、だけどっ」グスッ

梨子「だからね、私は決めたの」
 
ルビィ「決めたって、何をですか?」
 
梨子「『姉妹として』″林檎″と愛し合うのが許されないのなら、『一人の女として』″ルビィちゃん″を愛するって」キリッ
 
ルビィ「梨子さんっ……屁理屈ですよね!?」
 
梨子「うん、屁理屈だよ。でも『恋人として』の付き合いなら、黒澤家とて承服せざるを得ないと思うんだ。違う?」
 
ルビィ「ま、まあたぶん」
 
梨子「でしょ。という訳だから、改めて今日からよろしくね、ルビィちゃん♡」ニコッ
 
ルビィ「……そういうことなら、ルビィも梨子さんを全力で幸せにしてみせます!」キリッ
 
梨子「うんっ、ルビィちゃん格好いいよ♡」ナデナデ
 
ルビィ「うゆぅ// 少しくらい背伸びさせてくださいよぅー」
 
メイ*^ _ ^リ ♡ ⌒°( ^ω^)°⌒ やっぱり″りこルビ″なんだ変な人ピギなぁ!
 
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梨子(現実)「いや、そもそも入校の手続きで戸籍謄本出したけど、どこにも″林檎″なんて書いてなかったからね」
 
梨子「でも、私とルビィちゃんが似てるとこがあるのは認めるけど」
 
未来を回避する方法:ハッカーの技術を身に付け、国のデータベースを書き換える
 
梨子「それ、とんでもない重罪行為だからね」
 
(ついでにわたしが梨子ちゃんの妹になるように修正しておく。″桜内蜜柑″って名前で)
 
梨子「私と同い年、しかも八月産まれって時点で色々無理があるからね」

三月▽日(水)
 
想定⑧ 対高海しいたけ
 
梨子「とうとう人間ですらなくなったし」
 
実現レベル:☆☆
 
梨子「しかもルビィちゃんより☆多いし」
 
梨子「まあここまで来たら読むけどね」ペラッ

十千万外
 
千歌「えっ、しいたけとお散歩に行きたいって?」
 
梨子(妄想)「うん。私ももう犬が平気になったから、一度はね」
 
千歌「いいよ、わかった。しいたけもいいよね?」
 
しいたけ「わふっ」尻尾フリフリ
 
千歌「よしよし。じゃあリード着けるね」ナデナデ
 
梨子「今日はよろしくね、しいたけちゃん」ニコッ
 
しいたけ「わふっわふっ」

遊歩道
 
梨子「ごめんね、しいたけちゃん」
 
しいたけ「わおんっ?」(何がよ?)
 
梨子「今までずっと、貴女を遠ざけていたこと」
 
しいたけ「わっふ」(ああ、そのことね)
 
梨子「嫌だったよね? 好意を持った相手から無下にされてさ」
 
しいたけ「わふっふ」(少しはね)
 
しいたけ「わふわっふ」(だけど私こそ、梨子さんが犬が苦手なのを知らなくて迫ったのだから……)
 
梨子「しいたけちゃん……気にしてたんだね、私のこと」
 
しいたけ「くぅーん」(私の方こそ、ごめんなさい)
 
梨子「そう、ありがとね。改めてこれからはよろしくね♪」ニコッ
 
しいたけ「わふっ♪」(こちらこそ♪)

梨子「それじゃあお近づきの印に」グイッ
 
しいたけ「きゃうっ!?」(ってそっちは歩道じゃないけど!?)
 
梨子「いいのよ、こっちで。人目に付いたら困るもの、色々とね」
 
しいたけ「くぅーん?」(どうして困るのよ?)
 
梨子「決まってるでしょ。これからしいたけちゃんを──」
 
しいたけ「わふっ?」(私を?)
 
梨子「余すところなくもふもふ(意味深)するんだからっ!」キリッ
 
しいたけ「くぅーん、わふわふ!」(そんな、やめてっ! 私には愛を誓い合った旦那も、しめじとえのきもいるってのにっ!)
 
梨子「それでも私、しいたけちゃんが好きで好きで仕方ないのよっ!」
 
しいたけ「わふわふっ!」(貴女にだってご主人という恋人がいるでしょうに!)

梨子「しいたけちゃんには関係ないでしょ、私と千歌ちゃんのことは」
 
しいたけ「くぅーん」(それはそうだけど)
 
梨子「もちろん千歌ちゃんとは、これからも仲良くするよ。しいたけちゃんとこうやって密会するために、ねっ♡」
 
しいたけ「ばうっばうっ!」(最低ね、自分のエゴを満たすためにご主人の気持ちを弄ぶなんて!)
 
梨子「どうとでも吠えなさい。わしゃわしゃ~♪」
 
しいたけ「くぅーん//」(ちょっとやめてっ// くすぐったいからっ//)
 
梨子「ふふっ、身体は正直ね♪ すぐ私に忠実な雌犬として調教してあ・げ・る♡」
 
∪´ω`∪ ♡ メイ*^ _ ^リ やっぱり″しいりこ″なんだ変な人ワンなぁ!
 
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梨子(現実)「なんか花丸ちゃんのと色々被ってない? さすがにネタ切れたのかな?」
 
梨子「というかごく自然に犬語理解してるよね? この私」
 
未来を回避する方法:さすがにあり得ない
 
梨子「だよね、書いてるうちに冷静になってきたのかな?」

ガラッ
 
千歌「ごめん梨子ちゃん、遅く──」
 
梨子「あっ、千歌ちゃん」
 
梨子(しまった!)
 
千歌「──そ、それって……」
 
梨子「ごめんっ」
 
千歌「……ぐっ」シュタッ
 
梨子「待って!」シュタッ

十千万外
 
千歌「うっ……ううっ……」シュタッ
 
梨子「速いっ!? こうなったら……」
 
梨子「しいたけちゃんっ!」
 
しいたけ「わおぉーん!」シュタッ
 
千歌「ちょっとしいたけっ!? 邪魔しないでよっ!」
 
ピョンッ!
 
しいたけ「わふっ!?」
 
梨子「飛び越えたっ!?」

桟橋
 
梨子(まだ四月……まさかっ!)
 
千歌「さようなら、梨子ちゃんっ!」ピョンッ
 
梨子「早まっちゃダメーっ!!」ガシッ
 
千歌「んなっ!?」
 
梨子「んんーっ、どりゃあぁーっ!!」グイッ
 
千歌「うわぁっ!?」
 
ドスーン☆
 
千歌「うっ、あいたたた……って梨子ちゃんっ!?」
 
梨子「はぁ、はぁ……良かった、間に合って」フゥ
 
千歌「どうして──」

パシーン!
 
千歌「痛っ!?」ヒリヒリ
 
梨子「千歌ちゃんっ!」ダキッ
 
千歌「梨子、ちゃんっ!?」
 
梨子「千歌ちゃんがいなくなったら、悲しむ人がここにいるんだよ。だから……だからっ……ううっ」グスッ
 
千歌「……ごめんっ、梨子ちゃんっ……ううっ」グスッ

砂浜
 
梨子「それで、千歌ちゃんはどうしてあんなノートを?」
 
千歌「梨子ちゃん、もしかしなくても怒ってる?」
 
梨子「怒ってるよ。私が『千歌ちゃんを好き』って気持ちを信じてもらえなくて」ムッスー
 
千歌「ごめんっ。でもね、すっごく不安だったんだよ。あの日からずっと」
 
梨子「あの日って、やっぱり閉校祭の二日目から?」
 
千歌「うん。梨子ちゃんはいつでもわたしの隣に居てくれて、どんな時でもわたしを選んでくれるのが当たり前なんだって思い込んでたから」
 
梨子「ずっと引きずっていたんだね? 私がよっちゃんの手伝いに行ったこと」
 
千歌「うん、最低だよね。梨子ちゃんには梨子ちゃんの意志があるってのに……善子ちゃんも他のみんなも、梨子ちゃんにとって大切な友達なのに……」
 
梨子「千歌ちゃん……」

千歌「たかだか一回わたしじゃなくて他の娘を優先しただけで、それをずーっと根に持ってるなんて……面倒な女だよね?」
 
梨子「うん、確かに面倒」
 
千歌「うっ……だったらやっぱり──」
 
梨子「だけど私も千歌ちゃんと同じくらい面倒な女だから」
 
千歌「それってどういうこと?」
 
梨子「さっき『千歌ちゃんに怒ってる』って言ったけど、私は今同じくらい私自身に怒ってるの」
 
千歌「どうして? 梨子ちゃんには何の落ち度もないのに」
 
梨子「あるよ、ありまくりだよ!」
 
千歌「そうなの?」
 
梨子「そうだよ。例えばあの時だってちゃんと理由を説明して、わかってもらおうとしなかったこととか」
 
千歌「えーっと、つまり?」

梨子「そうね……もしあの時、私が閉校祭を一緒に回るのOKしてたら嬉しいよね?」
 
千歌「それはもちろん。でも──」
 
梨子「でも?」
 
千歌「──先に約束してた善子ちゃんが困ったと思う」
 
梨子「だよね、千歌ちゃん優しいから。そういうの後から知って後悔しちゃうよね」ナデナデ
 
千歌「梨子ちゃんっ// ありがとね」ニコッ
 
梨子「正直なこと言うとね、昨日よっちゃんに指摘されるまで千歌ちゃんがおかしくなってた理由に気付かなかったの」
 
千歌「善子ちゃんがっ!?」
 
梨子「そうだよ。長々とお説教された上、『鬼! 悪魔! 人でなし!!』ってもうボロクソに罵られたんだからねっ!」
 
千歌「うわぁ……ご愁傷様です」
 
梨子「だから私も今は自信喪失気味なの。『私が誰よりも千歌ちゃんを理解できてる』って思い込んでたんだから」
 
千歌「そう、だったんだね// 実を言うならわたしも先週、善子ちゃんと二人きりで話したんだ」
 
梨子「千歌ちゃんとよっちゃんが?」
 
千歌「うん」

回想、空き教室
 
善子「千歌さん、まずはこれを受け取って」つ小箱
 
千歌「これってチョコレート? だけどバレンタインはもう──」
 
善子「お詫びよ、閉校祭の時の」
 
千歌「閉校祭? ちょっと心当たりがないんだけど」
 
善子「嘘でしょ?」
 
千歌「それは……まあ」
 
善子「やっぱりね。リリーが私を優先したこと、気にしてたのね」
 
千歌「善子ちゃんが気を回す必要はないのに」
 
善子「ヨハネよ。私が見てて苛つくからよ」
 
千歌「苛つくって……でもわたしがワガママ言う資格なんてないよ、梨子ちゃんの行動一つ一つに対して」
 
善子「でも辛かったんでしょ?」

千歌「そんな訳ないってば」ニコッ
 
善子「嘘が下手ね。リリー含めて、誰の目から見ても明らかだったのよ。『週明けから千歌さんがおかしくなった』って」
 
千歌「それは……おかしかったの?」
 
善子「おかしいわよ。おおかた『梨子ちゃんに愛想尽かされたから、もう一度振り向いてもらうにはどうすればいいのかな?』って試行錯誤してたんでしょ?」
 
千歌「テレパスっ!? ドンピシャなんだけど」
 
善子「私もリリーに聞いたのよ。『千歌さんに説明したの?』ってね。そしたら『ううん、してないけど』って」
 
千歌「そんなやり取りがあったんだね」
 
善子「まあその時は特に追及しなかったけど、相当堪えてたのね」
 
千歌「わたし……梨子ちゃんに嫌われちゃったのかな?」シュン

善子「よく見たらすっごい隈ね、疲れてる?」
 
千歌「ここ一月くらい、あんまり眠れてないから。ふわーぁ」
 
善子「でしょうね、最近あくびも多くなってたし」
 
千歌「ううっ……善子ちゃんって案外周りをよく見てるんだね」
 
善子「ヨハネっ。私が特別ってことはないわよ」
 
千歌「そうかな?」
 
善子「そうよ。あと言っとくけど、リリーが千歌さんを嫌う訳ないでしょ」
 
千歌「……その根拠は?」

善子「リリーってば隙あらばおノロケかますんだから。『千歌ちゃんがー、千歌ちゃんってばー』ってね」ハァ
 
千歌「梨子ちゃんっ//」カァーッ
 
善子「まあリリーなりに気にはしてたっぽいわね。『千歌ちゃん、何がなんでもラブライブ優勝するために肩肘張り過ぎてるように見える』ってね」
 
千歌「梨子ちゃん、ちょっと勘違いしてたんだね……まあわたしも『今は余計なこと考えないようにしよう!』ってある程度自分に言い聞かせてたのは事実だけど」
 
善子「やれやれ、気持ちのすれ違いって訳ね」
 
千歌「面目ないです」
 
善子「ともかく、今度時間がある時にでもリリーと二人でゆっくり話し合いなさい。いいわね?」
 
千歌「うん。ありがとね、善子ちゃんっ」ニコッ
 
善子「だからヨハネだってば。それともう少しお小言いいかしら?」
 
千歌「お小言? いいけどなあに?」

善子「千歌さんは『パラレルワールド』って聞いたことある?」
 
千歌「『パラソルワールド』? なんかずーっと雨が降ってそうだね」
 
善子「傘じゃないわよ、『平行世界』って呼んだ方が分かりやすかったかしら?」
 
千歌「ああ、それならなんとなく分かるよ」
 
善子「そう。んで、もし仮にそういう世界が実在するとしたら、その中には千歌さんの言うとおり『千歌さんに愛想尽かして私と付き合うのを選んだリリー』もいるかもしれないわね。あるいは『曜さんやずら丸を選んだリリー』なんかもね」
 
千歌「なんかギャルゲーの個別ルートみたいだね、梨子ちゃんが主人公の」
 
善子「なにゆえギャルゲー!? ともかく、少なくとも『この世界のリリー』に関しては、千歌さんが一番好きに見えるけど?」
 
千歌「そう、かな?」
 
善子「そうよ。それともなに、千歌さんは『ありとあらゆる平行世界のリリー』が全員千歌さんラブでなくちゃ不満なの?」

千歌「いやー、さすがにそこまでは。っていうか、その『平行世界』とやらにまで干渉しようがないんじゃない?」
 
善子「そうでしょ。なら信じてあげなさい、『この一年間ずっと共に頑張ってきたリリー』のことを」
 
千歌「善子ちゃん……だよね、うん」
 
善子「ヨハネよ。というか私だって『こんだけリリーが好きな千歌さん』を捨てて、私にあっさり靡くような薄情者ならこっちから願い下げってものよ!」
 
千歌「うわぁ、きっつい物言いだねぇ。でもどうして?」
 
善子「だって他の娘とフラグ立ったら、またすぐに乗り換えそうじゃない?」
 
千歌「ああー、なるほどー」コクコク
 
 
千歌「色々とありがとね、よっちゃん」ペコッ
 
善子「どういたしまして。っていうか私だって、友達には幸せでいてほしい気持ちはあるんだからねっ!」
 
千歌「どうしよう……なんかわたし、よっちゃんに惚れちゃいそう//」ポッ
 
善子「なんでそうなる訳よ!?」

回想終わり
 
千歌「それでますます涙が出ちゃった。『よっちゃんに女の器で負けたー』ってね」
 
梨子「あはは……ところであのノートにあった血痕は?」
 
千歌「だからそれは前話したとおりだってば。洋梨の皮剥いてたら、ちょっと手が滑っただけだから」
 
梨子「本当に?」
 
千歌「ほんとだっての」
 
梨子「そう、なら信じるね。でも紛らわしくて心配したんだからね」
 
千歌「紛らわしいって、どんな想像してたのさっ!」
 
梨子「いや、千歌ちゃんが『私に見放された』と思い込んでリストカットでも──」
 
千歌「しないからっ! ……って言う資格なかったよね?」
 
梨子「まあ、たった今入水自殺しようとしてたしね」
 
千歌「う、うん」

梨子「お願いだから『もう二度と自分の命を粗末にしない』って約束して、私と」
 
千歌「うん、わかった」
 
ちかりこ「「指切りげんまん、嘘ついたら針千本のーます。指切った!」」
 
梨子「約束したからね!」
 
千歌「うんっ!」
 
梨子「あと、この際だから千歌ちゃんが思い込んでることを一つ訂正しておくけど」
 
千歌「思い込み? 何かな?」

梨子「『私が嫉妬心なんて一切持ち合わせてない』ってこと。私だって、千歌ちゃんが他の娘と仲良くしててモヤッとしたりするんだからね!」
 
千歌「そうなの? ほんとに?」
 
梨子「本当だって。例えば千歌ちゃんと曜ちゃんが私の知らない昔の話で盛り上がったりすると、話についていけなくて『いい加減切り上げてくれないかなー』って内心イライラだったりするもの!」プンスコ
 
千歌「へぇー、梨子ちゃんでもそういうのってあるんだね」
 
梨子「あるからね、そういう気持ち。だから最近よく思うのがね」
 
千歌「何を思うの?」
 
梨子「いっそ『曜ちゃんになりたいなぁ』って」
 
千歌「うん、分かるよその気持ち。運動も出来てスタイルも良くてコミュ力も抜群で──」

梨子「そういうのもあるけど、一番は『千歌ちゃんと幼なじみだから』なの!」
 
千歌「ええーっ、わからなくはないけどさぁ」
 
梨子「曜ちゃんってば、二人で千歌ちゃんの話してても時々ドヤ顔することあるし」
 
千歌「曜ちゃんェ……」
 
梨子「だけどね、『これからも私と千歌ちゃんは一緒なんだから』って考えたら、そんなに気にならなくなったの」
 
千歌「どうして? 悔しくないの?」
 
梨子「悔しいけど、こればっかりはどうしようもないんだから。だけど思い出ならこれから作っていけばいい、でしょっ♡」ニコッ
 
千歌「うんっ、だよねっ♡」ニコッ

梨子「ところで、千歌ちゃんは今日が何の日か憶えてる?」
 
千歌「もちろん! 戻ろっ!」
 
梨子「何かあるの?」
 
千歌「うんっ、ちょっとしたサプライズをねっ♪」
 
梨子「本人いる前で宣言したら、もうサプライズでも何でもないよね?」

十千万台所
 
梨子「うわぁ、美味しそうなケーキ♪ もしかして『手伝いがある』ってのは嘘?」
 
千歌「うん、ごめんね。これ作ってたんだ」
 
梨子「もしかして洋梨の皮剥き練習してたのって……」
 
千歌「うん、このケーキ、みかんと洋梨入りなんだ」
 
梨子「私と千歌ちゃんの好きな果物を入れたんだね。じゃあ上に載ってる私と千歌ちゃんのメレンゲドールも?」
 
千歌「ううん、それは美渡ねえの知り合いに職人さんがいるって聞いたから、頼んでもらったんだ」
 
梨子「そっか。そりゃ一朝一夕で出来るようにはならないもんね」
 
千歌「だけどいつかは自分で作れるようになりたい、って考えてる」
 
梨子「そうなんだ、じゃあ練習あるのみだね」
 
千歌「うんっ」

梨子「そうだ、私からもプレゼント」つチケット×2
 
千歌「これって……遊園地の?」
 
梨子「うん、よっちゃんから『これで埋め合わせしなさい』って貰ったの」
 
千歌「そうなの? さすがにこれは受け取れないよ」
 
梨子「いいの。よっちゃん、高い所がトラウマになっちゃったみたいだから」
 
千歌「木の上は平気なのに?」
 
梨子「夏休みに花丸ちゃんと観覧車に乗ったら、てっぺんで止まっちゃって『天に召されるかと思った』ってさ」
 
千歌「あはは……それは運が悪かったとしか言えないね」
 
梨子「じゃあ来週の休みに二人で行くってことで。予定空いてるよね?」
 
千歌「うんっ!」
 
梨子「わかったよ。その時は千歌ちゃんの好きなもの、いっぱい作って来るからね♪」
 
千歌「うん、いつもありがとねっ♪」

梨子「じゃあさっそくケーキ入刀しよっか、二人で」
 
千歌「うんっ! なんか結婚式みたいだねっ//」
 
梨子「なら将来の予行演習も兼ねて、ってことで」
 
千歌「なんか気が早くない?」
 
梨子「いいの♡」

千歌「今日はわたしと梨子ちゃんが、あの桟橋で初めて出逢った記念日です」
 
梨子「いや、誰に向かって言ってるの?」
 
千歌「ビデオカメラに」
 
梨子「っていつの間に撮ってたの!?」
 
千歌「だって大事な日なんだから、目に見える形で残しておきたいじゃない?」
 
梨子「まあ気持ちはわかるけどね」
 
千歌「でしょ。それで来年の同じ日にも見返して、お互いの成長を確かめ合うんだ」
 
梨子「ふふっ、それは素敵な目標ね。お互い頑張りましょ、私達の関係がいつまでも続くように♡」
 
千歌「うんっ! これからもよろしくねっ、梨子ちゃん♡」
 
梨子「こちらこそよろしくね、千歌ちゃん♡」
 
从c*^ヮ^§ ♡ メイ*^ _ ^リ やっぱり″ちかりこ″なんだ奇跡だ変な人なぁ!
 
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メイ*^ _ ^リ 終わりです
 
本日7月2日は二年前にサンシャインの1期1話「輝きたい!!」が放映された日になります
 
「メレンゲの気持ち」という番組にて、長嶋一茂さんが「毎朝自分が死ぬ瞬間をイメージし、晩にそうならずに生きていられたことに感謝する習慣がある」という話から発想を得て、こんな話にしてみました

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