【艦これ】どんぐりの背比べ (49)
※地の文アリ
よろしくお願いします。
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提督「大きくなったなぁ...潮」
漣「おっぱいがですか?」
提督「突っ込まないぞ」
漣「むしろ突っ込まないんですか?」
提督「...やっぱりピンクはだめだな」
漣「あー明石さんに言いつけてやりますよ!ご主人さまが明石さんの事、ドスケベ淫乱ピンクって言ってましたって」
提督「誰もそんな事言ってないだろ!つか自覚あるじゃねーか」
昼下がりの執務室、業務が一段楽したところで秘書艦の漣と軽口を叩く。
窓を見下ろすと潮が他の艦娘達と花壇のお世話をしているのが目に入った。
しゃがみこんで健気に土を弄る彼女の姿は、何とも可愛らしいものだ。
あれは何時だっただろうか、数人の艦娘たちが鎮守府内の一角に花壇を作りたいと直談判しに来たことがある。
別に断る理由もなかったし、彼女たちが日常で楽しむ事が増えればと思い俺は許可を出した。
その数人の中に潮はいた。後ろの方で控えめについて来ていたが、やはり花が好きらしい。
今では季節になると花壇にはその時折々の花が咲き、とても賑やかになる。
提督「昔は内向的だったのに、今ではあんなに笑うようになって...」
漣「えー。別に潮は前から良く笑ってましたよ?」
提督「それは漣が姉妹艦だからだろ。俺が言いたいのはだな」
漣「あーはいはい。そこから先はお仕事を終わらせてからでオナシャス」
この話は終了、とばかりに漣は書類を俺の顔へ押し付ける。潮談話は残念ながらここでお開きになりそうだ。
ここ最近良く天気が荒れる事もあってか、頻繁に花の世話をする潮の姿をみる。
一人で水遣りはもちろんのこと、他の艦娘たちと一緒に土の手入れや枝葉の剪定に渡るまで。
思い返してみれば俺はあまり潮の事を知らないのかもしれない。
顔を合わて挨拶、よくて作戦報告ぐらいだ。
上官と部下と言う関係とはいえ、これでは良いとは言えないのではなかろうか。
頭の片隅で始めた一人潮談話は瞬く間に提督の脳を支配していく。
漣「ご主人さまー?おててが止まってまちゅよー?」
提督「うっせ。」
いつの間にか俺は自然と潮の姿を追うようになっていた。
提督「おはよう。今日も早いんだな」
潮「あっ提督...。お早うございます」
翌日の朝、いつものように花の世話をしていた潮の声をかけてみた。
彼女は此方をちらりと一瞥して軽めのお辞儀を返すと、恥ずかしがるように視線を手元へ落とす。
横には小さなビニール袋。どうやら今は雑草を摘んでいるようだ。
提督「潮は花が好きなのか?」
潮「はい。少し手のかかる子達もいますけど、やっぱり綺麗なお花が咲くと嬉しくなります」
提督「そういえばすこし前はバラが咲いてたような...」
潮「見てくれたんですね!バラは育てるのがとても難しくて、去年も挑戦したのですがうまく咲かなかったんです。
よく葉っぱが齧られていたから、多分芋虫さんが食べちゃうんでしょうね...。でも今年は上手く咲いてくれました!」
提督「お、おお...」
いままでこんなに良く喋る潮を見たことがあっただろうか。
とても新鮮に感じた俺は、若干気圧されながらも頷く。
潮「あ、やだ、私...ご、ごめんなさいぃ!」
提督「う、潮!?」
勢い良く喋りすぎた事が恥ずかしかったのか、潮は花壇の手入れ道具もそのままに走り去ってしまった。
後ろから声をかけるも、曲がり角でその姿は消えてしまう。
花壇に取り残されたのは、スコップ、ビニール袋、そして何も出来なかった間抜けな提督。
もう少し潮と話したかったのだが...。
提督「まあ、少しずつでいいか。」
朝礼まで時間があったので、そのまま俺は花壇の手入れを引き継いだ。
土いじりなんて何時以来だろうか。
はっきりと記憶に残っているのは...小学生の頃、夏休みに植えたホウセンカ位だ。
提督「よいしょ...こんなもんかな」
門外漢ながら、できるだけの事はした...と思う。
潮が置いていった用具を角に寄せて、俺は執務室へと向かった。
潮「...。」
それからと言うもの、機会があれば潮と話そうとしたが中々その機会が来なかった。
廊下で会った時にはお辞儀をしてそのまま走り抜けられたり。
食堂では入れ替わりですれ違いを起こしたり。
もしかして俺、避けられてないか...?
下手をしたら以前よりも話す機会が減ってしまったかもしれない。
お手上げ状態の俺はある艦娘に助けを仰ぐ事にした。
漣「で、私って事ですかご主人さま」
提督「そういう訳」
漣「はぁー。まあ漣はとやかく口を出す気は無いですケド、一応姉妹艦でもある訳でして」
漣「潮ちゃんのどこに引かれたの?やっぱり胸...」
提督「お前な...違うから。恋愛感情抜きで距離を縮めたいだけだから」
漣「と言うのは建前で?」
提督「俺の棒に潮っぱいを登らせたい」
漣「憲兵さあああああああん!!!」
提督「ちょ、ばか!冗談だ冗談!」
漣「もう少しで漣の12.7cm連装砲が火を噴くところでしたよ...」
提督「恐ろしい事を言うなよ...。」
実際のところ、俺はあまり疚しい感情は潮に抱いていないと思う。
単純に潮との仲を深めたいだけだ。
漣「さっきのご主人さまの話を聞く限り、別に嫌われているわけじゃないと思うんですよ。漣は」
提督「そっか、良かった...。」
漣の言葉を聞いて一安心する。
漣「ただ、潮ちゃんがちょーっとばかり恥ずかしがり屋さんなだけかと」
提督「困ったな。どうやって話せばいいのやら...。」
漣「ふっふっふ、ここは漣にまかせて!ご主人様!」
提督「本当か!」
漣「そうですね...。じゃあお昼休みの時に酒保前で集合しましょうか」
提督「了解した」
自信満々に胸を張る漣。何やら策アリという様子である。
作戦会議でも開くのだろうか。
提督(で、昼休み。俺は酒保前までやってきたわけだが。)
提督「漣が居ない」
主案者である漣の姿はどこにも無かった。
これは...忘れているな?
その後暫くその場で待ったが、やはり漣が現れる気配は一向に無い。
提督「...帰るか」
作戦とやらはまた後で漣に聞けばいい話だ。
元来た道を戻ろうとすると、曲がり角から声が聞こえてきた。
潮「漣ちゃ~ん、ごめんね、遅れちゃった...て、提督!?」
提督「お、潮じゃないか。」
思わぬ所で潮に出会った。
彼女は少し汗をかいていて、急いでここまで来たらしい
提督「何か用事でもあったのか?」
潮「私、漣ちゃんにここに呼ばれて」
ん?漣?
脳裏に浮かぶのは自慢げに張る漣の姿。
漣に任せて----。
あいつ、直接俺と潮を合わせただけじゃねーか!
確かに潮と話したいとは言ったが、ストレートすぎやしないか?
潮「あの、提督?」
提督「ええと。そうだな...」
色々過程をすっ飛ばした気もするが潮と話せる事には変わりない。
何か話そうと俺は口をあけたが
(あれ?俺は何を話せばいいんだ...?)
思ったように言葉が出ない。
もどかしくなり頭をガシガシと搔くが、やはり俺の口からは何も出てこなかった。
潮「...私、漣ちゃんを探さなきゃいけないので...もう下がっても宜しいですか?」
提督「ああ、分かった。」
潮「それでは失礼します。」
そうじゃないだろ。何してんだ、俺。
顔を引きつらせながら、俺は潮の後ろ姿に手を振った。
提督(結局何も喋れなかったな)
漣「ちょっとご主人さま!何してるんですか!」
酒保の中からひょっこりと顔をのぞかせる漣。
提督「居たのかよ漣」
漣「居たのかよ、じゃないですよ!せっかく潮と話す機会を漣がセッティングしたのにー!」
提督「いや、いざ潮を前にしたら何を話せばいいのか分からなくなって...。」
漣「だめだこりゃ」
呆れた、と言わんばかりに漣は首を振る。
漣「失礼ですが、ご主人さまってあんまり女性慣れしてないのでは?」
提督「まあ、着任前は男だらけの海軍学校に居たからな。...それがどうした?」
漣「自覚が無いかもしれませんけどご主人さま、潮に夢中になってますよ。」
言われてみればここ最近、潮の事ばかり考えている。
そして潮の前だと緊張で上手く喋れない。
提督「ど、どうしよう漣」
完全に潮を意識しているじゃないか。
漣「なに急に弱気になってるんですか。...まあ一つ問題点が分かりましたね」
漣「このままのご主人さまじゃ、潮ちゃんに会っても同じ事を繰り返すだけです。」
提督「まあそうなるな」
漣「つまりご主人さまは他にやる事がある訳ですよ。」
提督「やる事、とは」
漣「恋愛経験値を稼いでレべリングでしょjk」
提督「はぁ...」
こうして俺は漣の元、恋愛経験値とやらを稼ぐ事になったのだ。
提督「で、具体的に何をすればいいんだ?」
漣「そうですね...。一番手軽なのは相手を褒める、じゃないですかね」
提督「褒める...」
漣「物は試しです。漣を褒めちぎって、どうぞ」
提督「漣、今日もお前のウサギさんはかわいいな」
ウサギ「///」
漣「ご主人さま?違いますよね」
提督「悪い悪い。でも良く似合っていると思うぞ。ウサギ柄の冠バッチだって漣にピッタリだ」
漣「いいですね、その調子ですよご主人さま!」
提督「それにさくらんぼ見たいな髪留めも女の子らしいよ」
漣「ktkr!完璧です!そしてワンモアセッ!」
提督「中破の時にちらりと見えるイチゴさんパンツも可愛い!」
漣「はい結構です。結果は後日郵送しますので今日のところはお引取り願えますか」
絶対だめな奴だ。
急に口調が冷たくなる漣を見て俺は確信する。
漣「調子に乗りすぎです。そういう所は女の子は敏感なのでNGですからね」
提督「はい...」
漣「まあ途中まではそこそこいい感じでしたし、次のステップへ行きますか。」
漣(とはいっても漣だけから教わってもなぁ。聞きかじりの知識ですし)
提督「?どうした漣」
漣「ご主人さま。ここは他の助っ人も呼ぶ事にしたらどうですか?」
提督「他か」
漣「そうですねぇ...。鈴谷さん、あたりはどうでしょうか。」
提督「鈴谷か...。まあそっち方面は鈴谷強そうだしな。早速聞いてくるわ」
漣「いてら~」
漣に見送られながら、俺は鈴谷を探しに出かけた。
提督「鈴谷の奴、いねぇなー。」
てっきり部屋に熊野と一緒に居るんじゃないかと思ったのだが、あいにく鈴谷は不在だった。
熊野が言うには空母の談話室へ遊びに居く、と言っていたらしいが。
暫く廊下を歩くと、なにやら賑やかな部屋があることに気づいた。
部屋から聞こえる声はキャー、やら、早く、と大熱狂である。
確か蒼龍と飛龍の部屋だっけ。
気になった俺は一応ノックをして部屋のドアを開ける。
提督「お邪魔するぞー、ってうお」
部屋には所狭しと空母のメンバーが揃っていて、その中には俺の探していた鈴谷も居た。
飛龍「あっ提督!珍しいですね。誰かお探しですか?」
提督「いや、ちょっとな。...ところで何を読んでるんだ?」
部屋の中央のちゃぶ台で蒼龍が雑誌を広げている。
それを取り囲むように、他の艦娘たちが円の形を作っていることが分かった。
瑞鶴「やっぱり提督さんも気になっちゃう感じ?でもなー見せるわけにはね」
加賀「うるさいわ瑞鶴。さあ蒼龍、はやく続きを読みなさい」
秋津洲 「私も待ちきれないかもー!はやくはやく!」
蒼龍「じゃあ次のページ行きますね...。」
周りの艦娘たちが固唾を呑み、見守る中で蒼龍はページをめくる。
蒼龍「ッ...」
蒼龍が感極まれリ、とばかりに口元に手を押し当てる。
大鳳「ど、どうなのですか!?」
蒼龍「...読みます。彗星は食べなよ、と言わんばかりにボーキサイトボールを機首で転がし...」
一同「きゃあああああああああああ」
加賀「心に来ました」
葛城「先輩~。私泣きそうです~」
瑞鶴「ううう、翔鶴姉~」
翔鶴「あらやだ涙が...」
部屋が艦娘の黄色い声で満たされる。
あまりの熱量に驚きながらも、俺は泣いている蒼龍から雑誌を拝借した。
どうやら雑誌に連載されている恋愛小説を読んで居たらしい。
数ページに渡る熱いロマンス、そして文末にある煽り。
次号、怒涛の展開!忘れたはずの元カレ、天山が...!?
そこで俺は頭が痛くなって雑誌を閉じた。
表紙を見ると、そこには"週間KanKan!! 特別号 艦載機特集"の文字。
もうわけがわかんねぇな。
いくら恋愛経験の浅い俺でもこれだけは分かる。
絶対におかしいって。
提督「なあ鈴谷、ちょっとお前に話が...」
鈴谷「よかったじゃん..瑞雲の気持ちがむぐわれでっ..うッ...」
お前もそっち側かよ。
やはり戦い続けてどこか可笑しくなったのか?
いや、もしかしたらこれは日本の艦娘特有のものなのかもしれない。
一縷の願いに縋りながら、俺は比較的新入りのGambier Bayに声をかけようとした。
Gambier Bay「Baaaaaaaay!!!!Baaaaaaaaaay!!!!Judy,惚れちゃいます...」
もう何も言うまい。
彼女たちの話を理解するのには俺の恋愛レベルが足りなかったのだと一人で納得し、その場を後にした。
提督「というわけで陸奥、頼んだ」
陸奥「まあ、提督に頼りにされるのは悪い気はしないわね」
先ほどは人選ミスをしたが、女子力の塊である陸奥なら間違いは無いだろう。
陸奥「そうねぇ。相手が潮ちゃんだと、あまり恋の駆け引きはお勧めできないかもね...。
提督はフット・イン・ザ・ドアって言葉、しってる?」
提督「いや、まったく」
陸奥「元はセールスマンから来た言葉なんだけどね。ドアを開けて足を踏み入れたら、次の段階へ進みやすくなるって事」
提督「...つまり?」
陸奥「はじめは小さなお願いから、段階を踏んで仲良くなればいいのよ。例えばそうね、提督、潮ちゃんが好きな物って知ってるかしら」
提督「よく花を育てているな。」
陸奥「じゃあ手始めにお花の世話の手伝いをするのはどうかしら。もちろん、潮と一緒にね」
提督「なるほど」
陸奥「でもちょっとそれだけじゃ弱いかも。後は、...ちゃんと相手に好意を示す。」
提督「?」
陸奥「好意の互恵性っていうんだけど、相手が自分の事を気になってるって知ると無視できなくなるのよ」
提督「へー。そうなのか」
陸奥「一種のギブアンドテイクみたいなもの、と考えると分かりやすいかも。まあ言いたい事は」
陸奥「ちゃんと素直にね?」
提督「...へい」
陸奥「よろしい!...応援してるわよ、提督」
提督「色々ありがとうな。相談して良かったよ」
陸奥に礼を告げて俺は部屋を出た。
(どっかの空母たちとは大違いだったな。)
陸奥「ちょっと、羨ましいかなぁ...」
あともう一人ぐらい、聞いてみようかと俺は頭をひねらせる。
秋雲か?いや、あいつは知識が偏りすぎてる気がする。
もっと潮の事を良く知っている艦娘。
提督「あ」
すっかり忘れていた。潮は綾波型駆逐艦である。
つまり綾波に相談すればいいじゃないか!
善は急げ、とばかりに綾波の部屋へむかった...のだが。
綾波「だ~め~で~す~。」
提督「そこをなんとかだな...」
綾波「いくら司令官の頼みでも、それだけはだめです。」
潮のことを教えてくれ、と綾波に伝えると開口一番に断られてしまった、
敷浪「アタシもそれには反対だなぁ。司令官のやってることはいってみればズルだよ?」
提督「敷浪まで...そんなにだめか?」
綾波「だって不公平じゃないですか。誰かを知るためには、何か自分の事を伝えなきゃ」
敷浪「それと他人から聞くってのもねぇ」
提督「おおう...。」
おっしゃるとおりである。これがぐうの音も出ない、と言う奴だろうか。
二人に正論を叩きつけられて、思わず黙ってしまった。
綾波「焦らなくても大丈夫です。ちゃんと二人は進んでますよ」
敷浪「ちょっと、綾波姉」
綾波「あ、あとは潮ちゃん本人から聞いてください!はい!」
提督「ちょ、そんなに押さなくても」
二人に背中を押されて俺は部屋を後にする。
潮本人に聞いて、か。
提督(中々難しいことを言うなぁ。)
すっかり遅くなってしまったので、今日はここら辺で切り上げることにした。
色々教えてもらったが、なにかもう一歩足りない気がしてならない。
そう、何かきっかけが...。
隼鷹「ぶっ、やばいねこれ。笑いが止まらないねぇ、フッフヒヒwwww」
龍驤「こらアカンわwww」
高雄「馬鹿め、といってさしあげますわwwww」
Верный「これは...無いね。まだ暁が読んでる連装砲ちゃんクラブのほうが現実味があるよ」
談話室の一角にいたのは、隼鷹、龍驤、高雄、そしてВерный。
錚々たる酒飲みメンバーだ。
提督「お前ら、程ほどにしろよ。」
隼鷹「おっ、提督じゃん。良かったら一杯引っ掛けてくかい?」
提督「いや、遠慮しとくわ」
隼鷹「なんだよ、つまんねーなぁ」
明らかに酔っている。悪絡みされるのが目に見えるので、俺は挨拶だけして通り過ぎようとした。
しかし、彼女たちが開けていた雑誌のページの一部に目が留まる。
提督「ちょっと失礼」
龍驤「えっキミ、そういうのに興味あるんか?...ちょっち意外やわぁ」
提督「だれがこんな怪文書を読むか。...あった。」
高雄「なにがですか?」
潮とのきっかけを探していたのだ。
指定されたページをめくると、お目当ての内容を見つける。
そこには見開き一ページに渡って、特集が組まれていた。
"読者100人に聞いた、絶対にいきたい!気になる人との思い出作り"
提督「潮!」
潮「は、はい。提督、何か潮に用ですか?」
提督「実は気になる場所を見つけたんだ。潮がよければなんだが、一緒に行かないか?」
そう言いながら俺は潮に雑誌を見せる。
紫陽花園。ちょうどこの季節になると綺麗な花を咲かすらしい。
あの雑誌に載っていた写真には、確かに色とりどりの紫陽花が写っていた。
これなら花好きな潮も誘いやすい。
提督「どう...かな?」
潮「提督..。はい、私も行ってみたいです!」
マ、マジか!!ついにやったぞ!!
まさに狂喜乱舞である。完全勝利S。圧倒的ではないか、我が軍は。
ありがとう、週間KanKan。馬鹿にして悪かった。
潮「ほかの綾波型も誘って、みんなで行きましょう?」
提督「お、おう」
...訂正しよう。勝利Aぐらいかもしれない。
しかし、綾波も焦らないでと言っていたしな。
なにより嬉しそうに笑う潮を見て、俺はどうでも良くなってしまった。
漣「残念でしたねぇご主人さま。」
提督「いいんだよ、これで」
休みの取れた俺は約束通り、綾波型をつれて紫陽花園へと足を運んでいた。
漣の言う通り、確かに思っていたのとは少し違うかもしれないが、これはこれでいいかもしれない。
他の姉妹艦と楽しそうに話す潮を見て思わずニヤリとしてしまう。
曙「うわっ。きもいわよクソ提督。鼻の下伸びてるし」
提督「の、伸びてねーし。ってあああ、俺の紫陽花ソフトクリーム!」
いつの間にか手に握っていたアイスクリームが曙に齧られていた。
曙「閲覧料よ、潮のね。...案外イケるわね。」
提督「曙のソフトクリームも寄越せよ!」
曙「だれが渡すもんですか。」
提督「曙のミルクよこせよおおお!!!」
曙「ちょ、やめなさいよ!なんか違う意味に聞こえるじゃない!!」
漣「うーんこの馬鹿ご主人さま...。」
楽しい時間と言うのはすぐに過ぎ去ってしまうものだ。
名残惜しくも紫陽花園を後にすると、潮に服のすそをくいっと引かれた。
潮「提督。」
提督「どうかしたか?」
夕日に照らされた顔に思わずドキリとさせられる。
潮「その...今はまだ無理ですけど...」
潮「いつかは、二人で来てみたいです...ね?」
提督「...そうだな」
もう最高。
有頂天のような心地で俺は旅の岐路を辿った。
敷浪「いやー、やっぱり潮のほうが司令官より上手だねぇ」
綾波「ふふっ。そうだね」
手を繋ぎながら歩く二人を後ろで眺めながら、私は敷浪と会話をする。
綾波「でも潮ちゃん、もう少し素直になってもよかったかも」
潮本人は隠せていると思っているかもしれないが、実は他の姉妹艦は知っているのだ。
夜中にこっそりと日記を記していて、そして最近の愛読書は恋愛の手引き。しおりを開けば、愛情表現の仕方。
そして極めつけは寝言。ここまでこれば、嫌でも気がついてしまう。
敷浪「まあ、結果上手くいったんだから良かったんじゃない?」
綾波「...うん、私もそう思う。」
そう遠くない未来に思いをはせながら、私たちは鎮守府へと戻った。
もっと司令官と仲良くなれるといいね...潮ちゃん。
終了!最近は雨が多くて気が滅入りますねぇ
皆さんもお体に気をつけて。
htiml依頼行ってきます。
>>14
読み返してたら胸が抜けてました。
自慢げに胸を張る、ですね。
わるかったよ漣...
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