提督「うちの秘書艦夕雲さん」 (51)


  〇六〇〇  提督執務室 ――

提督「ふああ……」

提督「(早く目が醒めたから普段よりも2時間近くも早く来てしまった)」

提督「(とっとと書類仕事を始めてもいいが……これをなぁ)」ドッサリ

提督「(普段はあいつが整理してくれてるが、最初はこんなごちゃごちゃしてるんだなぁ)」

提督「(ま、やる量は変わらないんだ。とりあえず上から手をつけてくか)」


ガチャッ

提督「お?」

「あら提督、もういらしてたんですか」

提督「ああ、おはよう、夕雲」

夕雲「おはようございます、提督」


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夕雲「今日は随分とお早いんですね?」

提督「たまたま早くに目が覚めてしまってね」

夕雲「そうなんですか。……提督、少しお時間を頂いてもいいですか?」

提督「うん? うん、構わないよ。そもそも今日の始業は〇八〇〇からだしね」

夕雲「ありがとうございます。それじゃあ、少し失礼しますね」パタン タタタッ…

提督「……」


提督「(当然のように挨拶したけど)」

提督「(夕雲……まさか毎日この時間に来てるのか……?)」

提督「とりあえず軽く手をつけてくか……えーっと、これは来週の艦隊演習の計画書か……。こっちは……間宮への要望書? 何で俺のところに……」

 ・・・

提督「ああくそ、なんなんだこれは! 重要なものから俺に関係ないものまで一緒くたじゃないか!」

提督「これ、いつも俺の来る前に夕雲が仕分けしてくれてたのか……」

 コンコン
夕雲「提督、よろしいですか?」

提督「ああ、いいぞ」


 ガチャッ
夕雲「失礼しますね」

提督「おかえり夕雲。……それは?」

夕雲「間宮さんからいただいてきた羊羹と緑茶です。朝食まで時間がありますから、軽く甘い物でもと思って……ご迷惑でしたか?」コトッ

提督「夕雲……」ギュッ

夕雲「あっ……んもう、巻雲さんといい、提督といい、スキンシップ大好きですね」

提督「俺は夕雲みたいな秘書艦を持てて幸せだよ」

夕雲「うふふ、お上手ですね。提督、少しゆっくりしていらして? 夕雲が書類を整理しておきますから」

提督「ああ、助かるよ。ありがとう」


 〇九〇〇 舞鶴港――

巻雲「それでは司令官様、第四艦隊、鎮守府周辺海域の哨戒任務に出撃します!」

提督「ああ、しっかり頼むぞ」

巻雲「は、はい! 巻雲、頑張ります!」

巻雲「……あ、あのぅ、司令官様? 巻雲が居ないからって、夕雲姉さんに変なことしないでくださいね?」

提督「変なことって……しないよ、そんなこと」

巻雲「……本当ですかぁ?」ジィーッ

提督「う……何かな、その目は」

巻雲「……司令官様には前科がありますから……」

提督「いや、あれは――」


夕雲「巻雲さぁん? あまり提督を困らせてはダメよ?」スッ

巻雲「はわわわ、ゆ、夕雲姉さん! ま、巻雲、出撃しますー!」ザアアッ…

提督「あっ……転覆するなよー!」

巻雲「大丈夫で――わひゃあ!? …っととと……」

夕雲「んもぅ……巻雲さんったら」

提督「いいじゃないか。妹にあんなに慕って貰えて」

夕雲「それは嬉しいのよ? でも、巻雲さんにもそろそろ姉離れしてもらわないといけませんね」


提督「はは、それだと俺もそのうち夕雲離れしなきゃならないかな?」

夕雲「あ、そんなこと言うんですか? 提督のイジワル。夕雲は悲しいわ……」

提督「あ、いや、冗談だよ! 夕雲にはずっと俺の秘書艦で居て貰いたいって!」

夕雲「あら提督? それ、プロポーズと受け取ってもいいの?」

提督「いや、それは、その、」

夕雲「うふふふっ、冗談、よ。でも、当分は夕雲が提督の面倒を見てあげますからね?」

提督「……まったく、夕雲には敵わないなぁ」

夕雲「それに……」

夕雲「……提督がしたいなら、また夕雲に『変なコト』してもいいんですよ?」コソッ

提督「……わかった、俺が悪かった。降参だ」

夕雲「うふふ」


 一〇三〇 舞鶴海軍工廠――

提督「夕雲! 夕雲はどこだ!!」

夕雲「はいはい、なんですかぁ? 夕雲はここに居ますよ」

提督「夕雲! なんだこれは!!」バンバン

夕雲「軍令部からの通知書? これがどうかしましたか?」

提督「ここだここ! 第一艦隊の名称!!」

『夕雲さんに甘え隊』

提督「なんだよこれ!!」


夕雲「お気に召しませんでしたか?」

提督「お気に召しません! さっき電話で長官に死ぬほど笑われたんだぞ!!」

夕雲「長官はなんて?」

提督「…………『夕雲を秘書艦にくれ』と」

夕雲「まぁ。光栄ですね」

提督「間髪入れずに突っぱねたけどな」

夕雲「あら、なんて仰ったの?」

提督「そりゃあ『夕雲は俺の――』って、言えるか!」

夕雲「残念。提督が夕雲のことをどう思ってるのか聞きたかったわ」

提督「――っ、とにかく! もうこんな珍妙な艦隊名を勝手に書かないように!!」

夕雲「はぁい。……ですけど、次の再編まで第一艦隊は『夕雲さんに甘え隊』ですからね?」

提督「……うちの上はなんでこんなにゆるゆるなんだ……」


夕雲「それはそうと、提督?」

提督「……なんだ? また厄介事か?」

夕雲「もう、提督ったら夕雲のことを何だと思ってるの? そうじゃなくて、提督お望みの装備が完成したわ」

提督「お……まさか……」

夕雲「ええ。こちらが『三式爆雷投射機』、あちらが『三式水中探信儀』よ」

提督「お……おおお! ついに高性能対潜装備が……!! 凄いぞ夕雲!! 流石だ!!」ギュウウッ

夕雲「あん……そんなに喜んでくれるなんて、夕雲も嬉しいわ」ギュ


提督「よし、なら早速夕雲の艤装への取り付け作業にかかってくれ」

夕雲「あら、新装備の試験運用は夕張さんのお仕事ではないの?」

提督「普段ならそうなんだが、夕張はドイツ製の副砲の試験運用に入ったばかりだからな」

夕雲「そういえばそうだったわね」

提督「そうすると、うちで対潜錬度が一番高い夕雲が適任だと思う。どうかな」

夕雲「わかったわ。夕雲がきっちりチェックしてあげる」

提督「頼む。最近は鎮守府周辺海域での潜水艦の発見報告も多い。……ここの制海権はなんとしても死守しなきゃならん」ギリッ

夕雲「……提督」スッ


提督「なん……むゅあ」ムニィ

夕雲「そんな怖い顔をしてはだめよ。他の皆が怖がってしまうわ」

提督「……ふぉんなふぁおふぃへふぁふぁ?」ムニムニ

夕雲「夕雲がたじろいでしまうくらいにね。……提督、ちょっとそこに座ってくれます?」

提督「……? ああ」スッ

夕雲「……」ギュッ

提督「……夕雲?」


夕雲「大丈夫よ。この国と、この海と……提督のことは、夕雲たちがしっかり守ってあげる」

提督「……」

夕雲「だから、提督はいつものように、私達が活躍できるように、素敵な戦術を立ててくださいね?」ナデナデ

提督「……ああ、そうだな……そうだった」

夕雲「期待、してますからね」ナデナデ

提督「任せておけ」


提督「…………あの、夕雲さん」

夕雲「なぁに? 提督」ナデナデ

提督「いや……その、そろそろ頭を解放して頂けると……」

夕雲「夕雲の胸ではご不満かしら?」

提督「滅相もない。……けど、俺はまだ仕事があるし……工廠妖精さんたちに見られてるし」

妖精s「じーっ」

夕雲「あ、あら」パッ

提督「ははは、流石の夕雲も沢山の妖精さんに見られるのは恥ずかしいか?」

夕雲「……提督? まさか夕雲のこと、誰に見られても平気なふしだらな女だと思ってたの?」ジト

提督「と、とんでもない」

夕雲「もう、失礼しちゃうわね。夕雲が見られてもいいのは――」


夕雲「提督にだけ、よ?」


 一一四五 第一作戦会議室――

提督「――よって、本日午後の第一艦……」

夕雲「……」コホン

提督「………………『夕雲さんに甘え隊』の帰投をもってサーモン沖海域攻略は一時中断、予てより報告のあった鎮守府周辺海域の残存潜水艦の排除に注力する。……何か質問は?」

青葉「はいはい司令官、ひとつよろしいですか?」

提督「……だいたい予想はできるが……なんだ」


青葉「先ほどの『夕雲さんに甘え隊』という――」

提督「ノーコメントだ。他に質問のある者はいるか? いないな。本日は以上、解散!」ガタン スタスタスタ

青葉「ああっ、司令官! 青葉、有ること無いこと書いちゃいますよ!」

夕雲「青葉さん」

青葉「おっ、これは夕雲さん! ちょうどいいですねー。さっきの件、取材させて貰ってもいいですか?」

夕雲「ごめんなさい、この後も秘書艦のお仕事があるの」

青葉「それはそれは、いつも大変ですねー。あ、機会があれば秘書艦のお仕事の取材をしてもいいですか?」

夕雲「ええ、構わないわ」

青葉「やりました! 今から記者魂が疼きますねー!」

夕雲「でもね、青葉さん?」

青葉「はい?」


夕雲「提督を貶めるようなことを書いたら許しませんからね」ボソッ

青葉「」


・・・

提督「……まったく、あんなもんどうやって説明すりゃいいんだか」

提督「つーかあの名称だと艦隊組んでる艦娘が夕雲に甘えたいみたいだよな」

提督「…………ふむ、それはそれで中々」

夕雲「――督、提督?」

提督「え、うわ、夕雲!」

夕雲「随分真剣なお顔だったけど……考え事? 廊下でするのは危ないわ」

提督「いや、なんでもないよ。大したことじゃない。少しぼーっとしてただけさ」

夕雲「本当に大丈夫? 夕雲は心配だわ……」

提督「大丈夫だって。ありがとうな」ナデナデ

夕雲「んっ……それなら、いいのだけど……」


夕雲「それはそうと提督、そろそろお昼の時間よね」

提督「ん、そうだな。食堂に行こうか」

夕雲「提督、夕雲に心配させたお詫びにご馳走してくれてもいいのよ?」

提督「ええ……といっても俺、カレーくらいしかまともに作れないぞ?」

夕雲「夕雲、なんだか急にカレーが食べたくなってきちゃったわ」

提督「……仕方ないな。ちょっと厨房借りてくるから自分の部屋で少し待ってろ」

夕雲「はぁい♪」


 一三〇〇 夕雲・巻雲の部屋――

夕雲「はぁ……提督の……とっても美味しかったわ……」

提督「まだ言ってるのか……そろそろ恥ずかしいからやめてくれ」

夕雲「本当よ。今まで食べたどんなものより、提督のカレーは美味しかったんだもの」

提督「そう言ってくれるのは嬉しいけどな……流石に褒めすぎだ。市販品のルーとスパイスしか使ってないんだから」

夕雲「料理は込められた愛情で美味しくなるものよ?」

提督「――っ、全く……」


夕雲「ねぇ提督、ごはんを食べると眠くなりません?」

提督「ん? まぁ、少しな」

夕雲「少しお昼寝しません? お昼の睡眠は脳の活性化にいいと聞くけど」

提督「いや、でも仕事が……」

夕雲「今日残ってる重要な作業は『夕雲さんに甘え隊』が帰投しないとできないわよね?」

提督「……本当、優秀な秘書艦で助かるよ」

夕雲「夕雲を選んで良かったでしょう?」

提督「全くもって。……じゃあ、三〇分だけな」

夕雲「はい♪」


夕雲「さぁ提督、どうぞ」ポンポン

提督「……いや、予想はしてたし、正直期待もしてたよ」

夕雲「うふふ、夕雲は期待に応えられてるかしら?」

提督「そりゃもう、充分に。……いいのか? 疲れるぞ」

夕雲「もう、そんな野暮な事を訊いてはダメよ? 提督は大人しく夕雲に膝枕されていればいいの」

提督「そういうもんかね」

夕雲「そういうものよ」

提督「そういうことなら仕方ないな」ゴロン

夕雲「ん……どう、提督? 夕雲の脚、固かったりしない?」

提督「全然。柔らかくて、ずっとこの枕にしたい……くらい……」ムニャムニャ

夕雲「……提督? ……もう、可愛らしい寝顔しちゃって」

夕雲「ゆっくり休んでくださいね……夕雲が付いてますから」


 一五〇〇 舞鶴港――

金剛「テートクゥ! ただいまデース!!」タタタッ

提督「おかえ……のぅわっ! ま、待て金剛! 艤装付きは……!」

榛名「お、お姉様! 提督が怪我をしてしまいます!」

金剛「Oh…Sorry! 久し振りの再会でHigh tensionになってしまったネー」

高雄「うう……結構被弾してしまいましたわ……」

愛宕「早くお風呂に入りたいわぁ……」

雷「ねぇ聞いて司令官! 今回は電が戦艦二隻もやっつけたのよ!」

電「はわわわ、あれはたまたま、運が良かっただけなのです」

提督「みんな本当によくやってくれた。デブリーフィングは一六三〇から第二作戦会議室行う。それまでに艤装の入渠を済ませて各自身体を休めてくれ。ご苦労様」


愛宕「提督、一緒にお風呂に入りませんかぁ?」

提督「ん? 一緒に………………はぁ!?」

金剛「Nice ideaデース! Hey,テートク! BathroomにLet's goネ!」

雷「司令官、私が背中を流してあげるわ!」

電「はっ、恥ずかしい……の、ですけど……電は……電は司令官の頭を洗ってあげるのです!」

提督「待て待て待て待て、そんなことできるわけないだろ! なぁ、高雄! 榛名!」

高雄「私は提督がよろしいのでしたら……」

榛名「榛名は大丈夫です!」

提督「」


夕雲「お戻りが遅いと思ったら、まだこちらにいらしたんですか」

提督「おお、夕雲!」

金剛「きましたネー、夕雲! でも残念デスがテートクはこれから私たちと一緒にBath timeなんデース!」

夕雲「あら。提督、そうなんですか?」

提督「何とか言ってやってくれ……このままじゃ拉致されて風呂場行きだ」

夕雲「ふぅん。……いいんじゃないかしら」

提督「ゆ、夕雲!? 何言ってるんだ!?」

金剛「Yes♪ 夕雲は心が広いネ!」

夕雲「ただし……夕雲も一緒、ですけど」

金剛「ふふん、構わないワ! ワタシのDynamite bodyでテートクをノーサツしてあげマース!」

愛宕「胸の大きさなら負けないわよぉ」

電「はわわわ、スタイルでは電たちに勝ち目はないのです……」

雷「大丈夫よ、きっと司令官はそんなこと気にしないわ。だって……」チラッ

夕雲「こ、これでも夕雲、あなたちよりはあるのよ? ……ほ、本当なんだからぁ!」


 一六三〇 第二作戦会議室――

提督「辛く苦しい戦いだった……」ゲッソリ

榛名「て、提督が戦ってきた私達よりも疲労しているように見えます……」

高雄「七人の女性とお風呂に入って指一本触れなかったのですから……並大抵の精神力ではできませんね」

提督「お前らわかってるなら自重しろよ!!!!」

金剛「ワタシは別に触ってくれても良かったんデスよー?」

愛宕「私もよ~?」

提督「できるか!!」

雷「提督、気持ちよかった?」

電「電は初めてだったので、きちんとできたか不安なのです」

提督「ああ、お前たちは背中と頭洗ってくれてありがとうな。……それだけだよな?」


提督「……さて、とりあえず報告を聞こうか。金剛」

金剛「Yes! 本日一五〇〇をもって第一艦―― 」

提督「あー……金剛、無線でも言ったが……」

金剛「……アレ、本当なんですカ?」

提督「……」バサッ

金剛「…………Oh……」

提督「そういうわけで……もう一度頼む」

金剛「……本日一五〇〇をもって、……『夕雲さんに甘え隊』は第九次サーモン沖海域攻略作戦から帰投しまシタ……」

提督「うん、本当にご苦労様」

金剛「Mmm……納得いかないデース!」

提督「軍令部の決定事項だ……恐ろしいことにな」

金剛「絶対おかしいデース……」


 ・・・

電「電からは以上なのです」

提督「うん、ありがとう」カリカリ

提督「……よし。……思った以上に時間をとらせてしまったな。戦果報告はこれで終了、解散とする。明日からは暫くの休暇だ。存分に満喫するといい」

金剛「Hey,テートクゥ! これから一緒にDinnerにいくネー!」

榛名「榛名もご一緒したいです!」

提督「……あー、そうしたい気持ちもあるんだが……」

金剛「……なーんかイヤな予感がするネ……」


コンコン ガチャ
夕雲「提督? 戦果報告はまだ……あら、丁度いいタイミングだったみたいね」

金剛「夕雲ー! いつもいつも貴女ばっかりズルいデース! たまにはワタシ達もテートクとすごしたいネ……」

夕雲「金剛さん……ごめんなさいね、独占してるつもりはないのだけど……」

夕雲「そのお詫び、というわけではないのだけど……ちょっと付いて来ていただけますか?」

金剛「……What?」

提督「……?」


 一八四五 小和室――

金剛「Wow……!」

榛名「これは……」

高雄「随分と豪勢ですね……」

愛宕「美味しそうね~」

雷「あっ、ハンバーグがあるわ!」

電「はわぁ……これ、みんな夕雲さんが作ったのですか?」

夕雲「さすがの夕雲もそこまではできないわ。鳳翔さんと千歳さんと……他にも空いてる方たちに手伝って貰ったの」

夕雲「サーモン沖海域攻略作戦も仮だけど一段落ついたことだし……ね?」


提督「待ってくれ。俺はそんなこと全く聞いてなかったんだが……」

夕雲「部屋の使用目的も込みで使用許可申請書は先日出しましたよ?」

提督「え? マジ?」

夕雲「ええ。提督のサインもここに」ピラッ

提督「……本当だ」

榛名「提督……」

高雄「確認されなかったのですか……?」

提督「いや、まて、これは……違うんだ! 確認する必要のある書類は夕雲が事前に分けてくれるから――」

雷「問題ない書類はサインするだけ、ってこと?」

電「司令官さん、夕雲さんに頼りすぎなのです……」

提督「う……むぅ……」

愛宕「仕事はきちんとしなきゃダメよ~?」

提督「面目次第も御座いません……」


愛宕「まぁ、提督には今後しっかりしてもらうとして~」

提督「うっ……」

高雄「折角の御料理が冷めてしまわないうちに、いただきませんか?」

雷「出撃帰りでもうお腹ペコペコよ!」

電「どれも美味しそうなのです……」

提督「では……そうだな、皆の無事の帰投と、これからの勝利を願って」

提督「乾杯」


 『カンパイ!!』


 二三〇〇 提督執務室――

夕雲「提督? 今日は早く寝ましょう?」

提督「んー、この書類を片付けたらなー」

夕雲「そんなに急いでやる仕事は無かったと思うのだけど……あら? これ、今度夕雲が出る対潜装備の運用試験の計画書? もう完成してたんじゃ……」

提督「念には念を入れて、な。小規模な潜水艦隊しか発見されてないが、万が一の事態にも備える必要がある」

夕雲「もう、心配し過ぎよ。確かに備えがあるに越したことはないけれど、作戦海域から少し下がれば制海権内よ?」

提督「そうは言ってもな……」

夕雲「今までだって提督が作戦でミスしたことなんて無いでしょう?」

提督「今まで無いからと言って、これからもないとは限らないからな」


夕雲「……提督、なにかあったの?」

提督「……なにかって程じゃないが……。まぁ、あれだよ。今日の食事会然り、艦娘たちの楽しそうな姿を見ると、そのたびに『俺がしっかりしなきゃ』って思わされるからね。戦闘で指揮できない分、作戦はキッチリ立てないと」

夕雲「それは……そうかもしれないですけど。それで根を詰め過ぎては本末転倒じゃないかしら」

提督「そりゃ……確かにそうだ」

夕雲「なら提督、お休みになってとは言いませんから、少し休憩しませんか?」

提督「うん……そうだな、そうしよう」

夕雲「何かお飲み物をお持ちしますね」パタン

提督「ああ、頼む」


 ・・・

夕雲「お待たせしました。紅茶でよかったですか?」

提督「ああ、ありがとう。……うん、旨いな」

夕雲「よかった。紅茶はあまり詳しくないから……今度金剛さんに美味しい紅茶の淹れ方を教わろうかしら」

提督「あー、あいつはダメだ。紅茶好きだが淹れ方はからっきしだぞ」

夕雲「あら、そうなの?」

提督「以前にちょっとな。紅茶の淹れ方なら霧島が詳しいんだが……今は呉だったか。榛名にでも聞いてみるといい。ずっと勉強してるみたいだしな」

夕雲「そうなんですか。今度訊ねてみますね」


 翌 〇二〇〇 提督執務室――

夕雲「んん……ぅ」ウトウト

提督「夕雲、わざわざ付き合うことはないぞ? 早く戻って休め」

夕雲「……っ、いえ、夕雲は別に眠くなんかないわよ? 本当よ?」

提督「無理をするな。お前は次の出撃が近いんだ。本番で体調不良にでもなったらどうする?」

夕雲「そこにはきちんと気をつけるわ」

提督「全く……」ガタッ

夕雲「提督?」


提督「ほら」バサッ

夕雲「きゃ……これ、提督の制服……」

提督「まだ夜は冷えるからな。せめて身体は冷やさないようにしろよ」

夕雲「提督……ありがとうございます。……ああ、提督の匂いがするわ」

提督「バカ、やめろ、恥ずかしい」

夕雲「やめません。こうしてると、提督に抱き締められてるみたいで……落ち着くわ」

提督「――、全く……よくそんな恥ずかしいこと言えるな」

夕雲「だって本心ですもの」

提督「余計に悪いわ!」

夕雲「うふふ」


 〇五〇〇 提督執務室――

提督「よし……こんなもんか」

夕雲「お疲れ様。せっかくだったから、今日の書類の整理も終わらせておいたわ」

提督「流石は夕雲、俺の自慢の秘書艦だ」

夕雲「うふふ、夕雲にご褒美をくれてもいいのよ?」

提督「ご褒美か……うーん、夕雲は何が欲しい?」

夕雲「そうね……夕雲は……そう」

夕雲「提督が欲しいわ」

提督「」


提督「や……ま、待て! こんなところで――」ガタッ

夕雲「こんな時間に誰も来ないわ。それに……」ギシッ

夕雲「普段お仕事するところで……っていうのも、ドキドキするでしょ?」

提督「……」

夕雲「……な、なにかしら」

提督「……いや。そういう夕雲も好きだよ」

夕雲「ぁ、ゃん! もう、意地悪ね……っん、」



金剛「フンフフーン、今日はワタシが書類整理を済ませて提督と夕雲をビックリさせてやりマース!」ガチャッ

提督「あ」

夕雲「あっ」

金剛「…………What?」


提督「あ、あー、金剛、これはな?」

夕雲「て、提督と、夜通し……そう、作戦を立てていたのよ……!」

提督「そ、そうそう! 作戦な! うん!」

金剛「…………」




金剛「F○ckin' shit!!」


おしまい。

夕雲さんとのケッコン記念に書きました。
彼女は雷ちゃんに負けず劣らずのダメ提督製造器だと思うんですが、どうもレア度が高いせいかいまいち露出が少なくて寂しいです。
こんなSSでも夕雲さんに興味持ってくれる人が増えたら嬉しいなぁ、とか。

お読みいただいた方、ありがとうございました。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年03月26日 (木) 00:03:07   ID: MPLXLU6U

夕雲が欲しい
夕雲が出ない

2 :  SS好きの774さん   2015年06月19日 (金) 18:19:44   ID: GcSskBMV

雷は遅効性
夕雲は即効性

異論は認めるが、理解はしてもらえると思う

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