ミカサ「ハゲてしまった」(53)
ミカサ「どうしよう。アルミン?」
アルミン「いや、どうしようって言われても」
ミカサ「部分的だけどハゲてしまったの」
アルミン「…見えないけどどこかな?」
ミカサ「ほら。ここ…」ファサ
○←側頭部
アルミン「…」
アルミン「たしかにコイン状にハゲてるね…」
ミカサ「どうしよう…?」
アルミン「うーん…」
アルミン「ミカサは最近ストレスを感じてる?」
ミカサ「ストレス?」
アルミン「うん。これは多分、円形脱毛症だよ」
アルミン「円形脱毛症はストレスが一因にあるらしいからね」
ミカサ「なるほど」
ミカサ「エレンに会えない。それがストレス」
アルミン「ああ。それが原因だ」
ミカサ「私はエレンと家族になってから、こんなに長い間会えないことは初めて」
ミカサ「一ヶ月近くも会えないないんて訓練兵時代でもなかった」
ミカサ「ので、凄く寂しい…」シュン
アルミン「ミカサ…」
アルミン「僕もエレンに会えないのは寂しい。けど今は仕方ないよ」
ミカサ「それは理解している。でももう我慢出来ない」
アルミン「いやそこは我慢してよ」
ミカサ「きっとエレンも私に会えなくて寂しい思いをしているはず」
ミカサ「違わない?」
アルミン「え。ん、まあ…そうだね」
ミカサ「だから今晩にでもエレンのいる旧調査兵団本部に行く」
アルミン「ダメだよ!ミカサ。落ち着いて」
ミカサ「大丈夫。バレないようにこっそりと潜入する」
アルミン「ミカサなら出来そうだ。…普通の場所ならね」
ミカサ「どういうこと?」
アルミン「あそこには人類最強と呼ばれるリヴァイ兵長がいる。いくらミカサでもバレずに潜入は難しいだろうね」
ミカサ「またしてもあのチビか…」ギリギリ
アルミン「だから止めておいた方がいいと思うな」
アルミン「(ミカサとリヴァイ兵士長の戦闘なんて考えたくもないよ)」
ミカサ「いや…逆に言えばあのチビに報いるチャンス」
アルミン「本当にやめて!」
アルミン「それに問題を起こせば、エレンの監視もより強化されるだろうし、ミカサもエレンから離されるよ?」
ミカサ「それは困る」
アルミン「だからね?」
ミカサ「しかし」
アルミン「お願いだから…
ミカサ「ぐぎぎぎぎぎ」
ミカサ「くっ…アルミンがそういうのなら止めておく」
アルミン「よかった」ホッ
アルミン「それに近いうちにエレンと会えるんじゃない?」
ミカサ「本当?」
アルミン「調査兵団の活動が本格化すれば合流する機会が増える」
アルミン「特にミカサは即戦力だからね。あの聡明な団長のことだ。どうすればミカサの力が最大限に引き出されるかわかるはずだよ」
アルミン「それが人類にとっての最大の益になることもね」
ミカサ「…」
ミカサ「わかった」
ミカサ「やっぱりアルミンは正解を導く力がある。相談して良かった」
アルミン「そう言ってもらえると僕も嬉しいよ」
ミカサ「してなかったら、エレンの下に突撃していた」
アルミン「ははは…」
ミカサ「じゃあ私は気晴らしに散歩に行ってくる」
ミカサ「さっきより我慢は出来るけど、寂しいのは変わらないから…」
アルミン「うん。いってらっしゃい。僕はその頭に効きそうな薬でも調べておくよ」
ミカサ「ありがとう」
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エレン「オルオさん。ちょっとトイレに行ってきていいですか?」
オルオ「チッ。さっさと行けよ」
エレン「すみません!」タタタ
・
・
・
エレン「ふぅ。すっきりした」
エレン「ん?」
ミカサ「」トボトボ
エレン「おっ。ミカサじゃねえか」
エレン「おーい!ミカサー」
ミカサ「!」
ミカサ「今エレンの声が!」キョロキョロ
エレン「ようミカサ。なんだか久しぶりだな!」
ミカサ「エレン!」
エレン「おう」
ミカサ「この感触」ペタペタ
ミカサ「この匂い」クンクン
ミカサ「本物のエレン!」キラキラ
エレン「お、おう…」
ミカサ「どうしたのエレン!?もしかしてあのチビから離れられたの!?」
エレン「まさかリヴァイ兵長のこと言ってんのか…?」
エレン「先輩たちと出掛けるだけだ。また戻るよ」
ミカサ「そう…残念」チッ
エレン「じゃあ俺はオルオさんを待たせちまってるから…ん?」
ミカサ「?」
エレン「おい、ミカサ。頭どうしたんだ?」
ミカサ「!」
ミカサ「だ、だめっ!」ババッ
エレン「ちょっと見せてみろよ」
ミカサ「エレンには見せられない」←しゃがみ込んでる
エレン「いいから」グイ
ミカサ「あ!」
エレン「…」
○←ミカサの側頭部
エレン「ハゲてるな」
ミカサ「うぅっ…」
ミカサ「だめって言ったのに…」グスッ
エレン「あ、すまねぇ」
ミカサ「エレンには見られたくなかった…」
エレン「悪いって。でもこれって円形脱毛症だろ?」
ミカサ「…アルミンもそう言っていた。知ってるの?」
エレン「ああ。父さんもなったことあるしな」
ミカサ「おじさんが?」
エレン「母さんと喧嘩して一週間くらい口を利かないことがあってな。それで円形脱毛症になったらしい」
ミカサ「ストレス…?」
エレン「そうだ。でもそのあと、父さんが謝って仲直りしたんだ」
エレン「そして母さんが父さんの頭をこうして…」ナデナデ
ミカサ「ほあ!??」
エレン「撫でたら治ったみたいだぞ」ナデナデ
ミカサ「エ、エレン//」
エレン「その晩なぜか父さんから俺は一人で寝ろって言われてな」
『エレン!弟か妹が出来るかも知れないぞ!』
エレン「って。実際は出来なかったけどな」
ミカサ「でもそのあと私がきた」
エレン「そうだな」
エレン「とにかくストレスが解消されたら治ると思うけど…何が原因なんだ?」
ミカサ「今、私のストレスは解消されている」
エレン「?」
エレン「そっか。なら時期に治るだろ。そろそろ行かないとオルオさんに…」
ミカサ「待って!」
ミカサ「もう少しだけ…エレンと一緒に居たい」
ミカサ「頭を撫でてほしい」
エレン「いやでも待たせちまってるし…」
ミカサ「お願い」
エレン「…」
エレン「わかったよ。もう少しだけたぞ」ナデナデ
ミカサ「//」
エレン「お前は子供かよ」ナデナデ
ミカサ「かぞく」
エレン「…そうだな」
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オルオ「ったく!」
オルオ「あの小僧いつまで!」スタスタ
オルオ「ん?」
「おいミカサ。あんまりくっつくなよ」
「これくらいは仕方ない」スリスリ
オルオ「…」
オルオ「ちっ…」クルッ
オルオ「最近のガキ共は…」
リヴァイ「おい。エレンはどうした?」スタスタ
オルオ「…。あのガキなら便所です」
オルオ「下痢らしくて長くなりそうなんで、先に行ってて下さい」
リヴァイ「…」
リヴァイ「そうか」
オルオ「すみません。すぐに追いつきますんで」
リヴァイ「ああ」スタスタ
オルオ「…」
----------------------
エレン「ミカサ、もういいだろ?」ナデナデ
ミカサ「私はずっとこうしていたい」
エレン「オルオさんに怒られちまうよ」
ミカサ「…」
ミカサ「わかった。名残おしいけど…」
エレン「撫で過ぎて疲れちまったよ」
ミカサ「ありがとうエレン。とても気持ち良かった」
エレン「そりゃよかった。今度こそもう行くからな」スクッ
ミカサ「エレン!」
エレン「なんだよ」
ミカサ「エレンは私に会えなくて寂しくなかったの?」
エレン「馬鹿。俺はガキじゃないんだぞ」
エレン「それに今は巨人化のことや、班のことで頭がいっぱいだ」
ミカサ「…そう」
エレン「でも…」
エレン「お前のことを忘れた日は一度もないぜ」
ミカサ「きゅん!」
エレン「またな!」タタタ
ミカサ「//」バタッ
・・・・・・
・・・
・
タタタ
エレン「オルオさん!待たせてすみません!!」
オルオ「おせえんだよ!!!」ポカッ
エレン「いてっ!すみませんちょっと同期に会って…」
オルオ「わーったから早く行くぞ!」
エレン「は、はい!」
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~翌日~
ミカサ「アルミン。ハゲが治った」
アルミン「え、もう?」
ミカサ「ほら」ファサ
●←側頭部
アルミン「本当だ…」
アルミン「どうしたの?」
ミカサ「昨日エレンと会えた。アルミンの言った通り、近いうちだった」
アルミン「(いやそんなに早くとは)」
アルミン「…」
アルミン「ふふ」
アルミン「よかったね。ミカサ」
ミカサ「よかった」
ミカサ「ありがとう。アルミン」
アルミン「僕は何もしてないよ」
ミカサ「アルミンの助言があったから…」
ミカサ「今度は三人で会おう」
アルミン「うん!」
アルミン「(昨日あの人に貰ったこの育毛剤はいらないみたいだね)」
おわり
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