前作
橘ありす「総理大臣フレデリカ?」
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~事務所~
ガチャ
橘ありす「おはようございます」
宮本フレデリカ「ありすちゃん!!!」
ありす「声が大きいですよ……どうかしましたか?」
フレデリカ「結婚しない!?」
ありす「ええ!?!?!?」
ありす「けっけけけけけけけっこん!? い、いやいやそ、そんなわたしはふれれりかしゃんをそんなめでみてるわけでは」グルグル
フレデリカ「しないの?」
ありす「で、ででですからこころのじゅんびといいますかやはりこういうのはおつきあいからはじめるべきでそんないきなりなんて」グルグル
フレデリカ「残念……」
ありす「ざ、残念って……も、ももももしかして」グルグル
フレデリカ「せっかくフレちゃんがありすちゃんの結婚式のプランを考えてあげようと思ったのに! まだ予定がないならしょーがない!」
ありす「……」
フレデリカ「?」
ありす「……はい?」
フレデリカ「あ! 言い忘れてた! 今日のフレちゃんはウエディングプランナー! みんなの幸せをプロデュースしちゃうよ!」
ありす「……」
フレデリカ「?」
ありす「……」ベシッベシッ
フレデリカ「い、痛い!!!」
ありす「それで、何がしたいんですか」ツーン
フレデリカ「怒ってる?」
ありす「怒ってません!!!」
フレデリカ「わ! びっくり!」
ありす「と、とにかく、ウエディングプランナー……でしたか」
フレデリカ「最近はありすちゃんも積極的で嬉しいな~」
ありす「諦めているだけです……」
フレデリカ「もう6月でしょ? テレビで昨日、やってたの!」
ありす「ああ、ジューンブライドの季節ですからね。それ関連のお仕事の特集もあるでしょう」
フレデリカ「みんなの幸せのために働く……! これこそやりがいだよね!」
ありす「まあ……素敵なお仕事とは思いますが……」
フレデリカ「ありすちゃんはどんな結婚式をしたい?」
ありす「どんなって……まだ小学生ですし……」
フレデリカ「やっぱり身内だけでしめやかに?」
ありす「それ葬儀の時に使う言葉じゃないですか?」
フレデリカ「まあまあ、雰囲気だけでも♪」
ありす「そうですね……なんとなくですが、教会で挙げたいという気持ちはあります」
フレデリカ「シャベル!」
ありす「チャペルです。誰が穴を掘るって言いましたか」
フレデリカ「それでそれで?」
ありす「衣装はやっぱり、純白の……」
フレデリカ「ハチマキ!」
ありす「台無しですよ」
ありす「見たことありますか結婚式の衣装で真っ先にハチマキの色を指定する花嫁!」
フレデリカ「まだない!」
ありす「これからもない!」
フレデリカ「続きをどうぞ!」
ありす「まったく……とは言っても、ここからは普通に進行してくれればいいと思いますが……」
フレデリカ「普通に?」
ありす「はい。2人は互いを愛することを誓い……」
フレデリカ「うんうん」
ありす「そして誓いの……」
フレデリカ「誓いの……?」
ありす「キ、キス……を……」
喜多日菜子「……しようとした瞬間に勢いよく開かれる教会の扉……! そこに立つは王子様……!!!」
ありす「!?」
フレデリカ「!?」
ありす「ひ、日菜子さん!?」
日菜子「そして王子様に手を引かれ、愛の逃避行へ……むふ。むふふ……」
フレデリカ「日菜子ちゃんの世界に入っちゃってるね!」
ありす「か、帰ってきてください!」
日菜子「ところがどっこい!!!」
ありす「なんなんですか!」
日菜子「その王子様も実はニセモノ!」
フレデリカ「急展開だね!」
日菜子「逃げ出した花嫁はとうとう辿り着いた! 王子の待つ約束の地……」
フレデリカ「マクドナルド」ヒソヒソ
日菜子「そう、マクドナルド……? お、王子様……?」ウーン
フレデリカ「ご一緒にポテトはいかがですか♪」ヒソヒソ
日菜子「ポテト……でもカロリーが……」ウーン
ありす「混乱させないであげてください」
日菜子「はっ!」パチッ
フレデリカ「やっほー♪ お目覚めしるぶぷれ~?」
日菜子「あ、あれ? フレデリカさん……ありすちゃん……?」
ありす「むしろ私たちの方が先にいましたが……」
日菜子「そうでした~、部屋に入るなり、”結婚”とか”誓いのキス”とか、妄想パワーが湧きたつワードが聞こえてきまして~」
フレデリカ「今日のフレちゃんはウエディングプランナーなんだよ! 日菜子ちゃんはどんな結婚式にしたい?」
日菜子「結婚……結婚式……!!! むふふふふふふふ……!!!!!」
ありす「また旅立ってるじゃないですか」
日菜子「まずはですねぇ~、日菜子を取り合う王子様を何人かキャスティングしてもらって……むふ」
ありす「結婚って知ってます? 相手は自分で用意するんですよ」
フレデリカ「じゃあマナミ王子とアイ王子とナツキ王子を呼んでおくね!」
ありす(全員女性では……)
日菜子「むふふふ~!!!!!」
ありす(いいんだ……)
フレデリカ「それでー、3人の王子みんなと幸せに~」
日菜子「それは違います」キリッ
ありす「!?」
フレデリカ「!?」
日菜子「もちろん、ハッピーエンドそれ自体を否定するわけではありません。妄想だからこそ、誰もが幸せになっていいはずだという意見、ごもっともです。でも、それでも、誰か1人を選ばなければいけないという苦しみが、選ばれなかった人間の悲しみが、そのマイナスの思いこそがハッピーを色濃くする最高のスパイスになるんです。選ばなければいけないからこそ、揺れる。選ばなければいけないからこそ、迷う。選べるという最高の自由が、選ばなければいけないという最悪の不自由に化ける時! その物語の本質が滲み出て、見ている人の心を掴むんです!!!」
フレデリカ「う、うん……」
ありす「そ、そうなんですね……」
日菜子「そして、小さな、寂れた、誰もいない礼拝堂で……真実の愛を……むふふふふふふふ!!!」
フレデリカ「これ、ウエディングプランナーいらないんじゃないかな!」
ありす「そもそもターゲットが間違えてるんです」
~~~~~~~~~~
~廊下~
フレデリカ「他に誰か結婚したい人いないかなー?」キョロキョロ
ありす「いたら大問題ですよ」
フレデリカ「なんで?」
ありす「なんでって……アイドルなんですよ? そんな行き遅れるとか、結婚できないとか、そんなの気にするべきではないです!」
佐藤心「うおお~、何だよみんなしてジューンブライドジューンブライドって……! どうせはぁとは崖っぷちで行き遅れですよう……! 結婚してえなあ……☆」トコトコ
フレデリカ「……」
ありす「……」
フレデリカ「ありすちゃん」
ありす「見ちゃいけません」
心「お、フレちゃんとありすちゃんじゃーん☆」
ありす「げ」
心「オイ☆」
フレデリカ「何かおしゃべりしながら歩いてたけど、お悩み事?」
心「あちゃー、聞かれちった?」
ありす「というか心さん、以前は『アイドルはぁとはみんなのモノだから』とか『はぁとにはスイーティーなファンがたくさんいるもん』とか言ってたじゃないですか」
心「『スウィーティー』な☆」
ありす「めんどくさっ」
心「とはいえなー、そりゃアイドルのうちは平気でも、将来を考えるとさ? さすがにはぁともブルーになるっての☆」
フレデリカ「じょうねーつの! まっかなばーらをー!!!」
ありす「今はブルーなはぁとさんの話をしてるのであってブルーハーツの話はしてません」
心「そのツッコミできるの以心伝心かよ☆」
心「ってかありすちゃん、ようやくはぁとって呼んでくれた!?」
ありす「では心さん、忙しいのでこのあたりで」
心「いけずぅ~☆」
フレデリカ「それで、佐藤さんはどんな結婚式をしたいのかな?」
心「距離感☆ はぁとって呼べな?」
フレデリカ「Heartさん?」
心「発音良すぎだろ☆」
心「で、なになに? 結婚式って聞こえたけど?」
フレデリカ「フレちゃんがね! はぁとさんのウエディングプランを考えてあげるよ!」
心「マジか!!! 相手は見つけてくれるの?」
ありす「さっきから最低限の努力をプランナーに託すのやめましょうよ」
心「とはいえ、結婚式かー……」
フレデリカ「前にブライダルのお仕事やってたよね? えっと……シロクマ?」
ありす「白無垢です」
フレデリカ「そっちかー」
心「あの時は和風だったけど、ウエディングドレスも憧れるよなー☆」
フレデリカ「じゃあ衣装はウエディングドレスで! 香典返しはどうする?」
心「引き出物だろうが☆」
ありす「いい加減”婚”と”葬”の混同やめましょうよ」
心「やっぱりぃ~、2人の顔と名前が入ったお皿とか?」
ありす「一番いらないやつじゃないですか」
フレデリカ「使いずらいね!」
ありす「捨てるわけにもいきませんし」
フレデリカ「別れたらどうするの? 割る?」
心「オイオイオイオイ!!!」
心「なんだなんだ若人は夢がなくてはぁと困っちゃう☆」
ありす「いえ、現実的な話を……」
心「じゃあはぁとのライブDVD総集編(5枚組)とか?」
ありす「即刻転売されそうですね」
心「ありすちゃん、はぁとに恨みでもあるのかな?」
フレデリカ「じゃあ引き出物は置いておいて、次いこ! 入場曲!」
心「We Are The Champions」
ありす「格闘技ですか?」
フレデリカ「赤コーナー! ”孤独の花嫁”佐藤心~!!!」
心「うおおおおおお!!! って誰が孤独だっつーの!!!!!」
ありす「帰っていいですか?」
フレデリカ「ありすちゃんは早くWe Are The Championsを歌って!」
ありす「嫌ですけど!?」
フレデリカ「盛り上がってきたね!」
心「これが結婚式じゃなければな☆」
フレデリカ「あとは何を決めればいいの?」
ありす「もはや聞いちゃってるじゃないですか……」
心「そうだな~……あ! 料理とか決めなきゃじゃない?」
フレデリカ「確かに!」
ありす「それこそ、フランス料理のコースだなんて定番ですよね」
フレデリカ「ご一緒にポテトはいかがですか!?」
ありす「この世界はファーストフードが幅を利かせすぎているのでは?」
心「しっかし、最近の結婚式の料理は凝っててびっくりしたぞ☆」
ありす「参加されたんですか?」
心「……この歳になるとな、1年に、多いと5人とか6人とか、地元の友達から招待状が届くわけよ……」
ありす(目が……)
心「ま、ご祝儀だって安くないし、できるだけ豪勢な料理でもてなしたいってのは理解できるかな☆」
フレデリカ「はたして自分がもてなす機会は来るのか……!」
ありす「なんで煽りました?」
フレデリカ「あ! 招待状! 誰に送るかも考えなきゃね!」
ありす「確かに、事務所の全員を呼ぶわけにもいきませんね。地元にだってご友人がいるでしょう」
心「う~ん……難しいとこだな~」
ありす「とりあえず大人組ですか?」
心「あとは千鶴ちゃんとか来てくれんかな~? ってか断られたら凹む☆」
ありす「流石に来てくれるでしょう……」
フレデリカ「今電話で聞いてみたらー?」
ありす「予定もないのに来てくれるか聞くんですか? おかしいですよ」
心「”予定もないのに”って地味に喰らうぞ☆」
フレデリカ「後は、花嫁さんからお父さんお母さんへのお手紙って泣けるよね!」
ありす「プランニングとかもう関係ないですよね。みんな通る道ですよ」
心「まー、はぁとも両親には超多大なる心配をかけてるしな☆」
ありす「結婚できずに泣かせるんじゃなくて、結婚して泣かせてあげてくださいね」
心「さっきからトゲがエグい☆」
ありす「あ……ごめんなさい……、で、でも心さんは黙っていれば美人さんなので、きっと素敵な人が見つかりますよ」
フレデリカ(あんまりトゲが抜けてない!)
心「じゃ、そろそろはぁとはお仕事だから☆」
ありす「そうですか、お気をつけて」
フレデリカ「結婚の予定が出来たら教えてね!」
心「おうおう! そん時は祝ってな~」ブンブン
フレデリカ「じゃーねー!」ブンブン
ありす「……」
フレデリカ「……」
ありす「?」
フレデリカ「はぁとさんと結婚したいって人、けっこう多いと思うけどなー」
ありす「……まあ、あの距離感が心地いい人はいるかもしれませんね」
フレデリカ「なかなか素直になれない人とか、ああやって距離をぐいーって近づけてくるタイプに弱そう!」
ありす「あとは、あまり自信が持てない人も、心さんは相手を褒めるのが上手いですから。相性がいいかもですね」
フレデリカ「居場所がなかなか作れない不器用さんも取り込む強さがあるね!」
ありす「……」
フレデリカ「……」
ありフレ(千鶴さん(ちゃん)では……?)
~~~~~~~~~~
~衣装室前~
フレデリカ「とうちゃーく!」
ありす「えっと……、どうして衣装室に?」
フレデリカ「ナイスクエスチョン! やっぱり、お仕事は気持ちから! 実際に花嫁衣装を見て、モチベーションを上げちゃおう! ってね!」
ありす「フレデリカさんはブライダルのお仕事、まだでしたっけ」
フレデリカ「今はまだその時じゃないみたいだね! ありすちゃんはやったことあるもんね?」
ありす「まあ……そもそも小学生に花嫁衣装のお仕事はおかしいって言ったんですが……」
フレデリカ「あんなに可愛かったのにー?」
ありす「あ、ありがとう……ございます……」
フレデリカ「その時の衣装も残ってるかもね! じゃ、たのもー!」ガチャー
ありす(相変わらずノックをしない)
新田美波「あ! ありすちゃんとフレデリカちゃん!」
ありす「ああ、先客でしたか、お疲れ様で……す……み、美波さん……?」
フレデリカ「!!!」
美波「ふふっ、ちょうど衣装合わせだったの」
ありす「ウエディングドレス……! き、きれいです……!」
美波「ありがとう♪ でも2人とも、早かったのね?」
フレデリカ「へ?」
ありす「早かった……?」
美波「あれ? 連絡を見て来てくれたんじゃないの?」
ありす「れ、連絡……?」
フレデリカ「あ! ホントだ! メッセージ来てる!」
ありす「わ、私もです……! ごめんなさい、見ていなくて……」
フレデリカ「フレちゃんがありすちゃんを連れまわしてたから~」
ありす「まったくです」
フレデリカ「……いっさい守ってくれない!!!」
ありす「でも、どうして私たちに連絡を……?」
フレデリカ「自慢かなー?」
美波「ち、違います! 今回のお仕事、2人も一緒にってお話なの」
ありす「え……」
フレデリカ「あれ? フレちゃんも?」
美波「もちろん! 私は衣装が早めに届いたから先に合わせちゃったけど、すぐに2人のも届くはずって」
フレデリカ「……へー♪」
ありす(嬉しそう)
美波(嬉しそうね)
フレデリカ「じゃ、美波ちゃんはどんな結婚式にしたい?」
美波「え? どうして?」
フレデリカ「だって今日のフレちゃんはウエディングプランナーだもん!」
美波「ああ、今日はそうなんだね。お疲れ様」
フレデリカ「ねぎらわなくっていいから~」
美波「そうね……でも、私は特別な演出とかはいらないかな」
フレデリカ「ありすちゃーん……美波ちゃんが『お前は必要ない』って……」
美波「い、言ってません!!!」
ありす「よくこっちに振りましたね」
美波「逆にフレデリカちゃんは、どんな結婚式にしたい?」
フレデリカ「えー? ヒ・ミ・ツ♪ かな~」
ありす「他人には散々聞いていたのに」
フレデリカ「強制はしてないよー?」
美波「2人は仲良しだから、お互いの友人代表のスピーチを任されたりしてね?」
ありす「わ、私の友人代表が……!? 恥ずかしい……」
フレデリカ「フレちゃんはありすちゃんにスピーチしてほしいよ?」
ありす「普段からの恨みつらみを言えばいいんですか?」
フレデリカ「か、語るほどの恨みつらみが……!?」
ありす「と、とにかく! 存在しない結婚式の予定なんて考えても仕方がありません!」
フレデリカ「えー、ご紹介に預かりましたー、ありすちゃんのお友達代表の、高〇純次です!」
ありす「明らかに滑りそうなシミュレーションやめて!!!」
フレデリカ「ありすちゃんとフレちゃんの出会いは、今から40年ほど前だったでしょうか……」
ありす「私52で結婚するんですか!?」
フレデリカ「最後にこれだけは言わせてください。『離婚したらご祝儀返してね』」
ありす「最後までろくでもないんですが!!!」
美波(仲良いなあ……)
フレデリカ「ちなみにありすちゃんが今日の最初に『結婚しましょう!』って返してれば、『フレちゃん攻略! ありフレた幸せルート!』に入ってたんだよ!」
ありす「知りません!!!」
おわり
直近の過去作
神谷奈緒「憎めない常務と春の魅力満載☆どきどきお花見会議……!?」
緒方智絵里「朋さんのパジャマが」白菊ほたる「すごくダサい?」
【モバマスSS】誇れ!なおかれん!
などもよろしくお願いします
このSSまとめへのコメント
やったー日菜子ちゃんキター!
それとありフレルートも見てみたいですな。